説明

ガラス取り付けシステム

【課題】ガラスの取り付け作業にかかる時間を短縮でき、かつ、設備を小型化してコストを低減できるガラス取り付けシステムを提供すること。
【解決手段】ガラス取り付けシステム1は、フロントガラス11またはリヤガラス12とクォータガラス13とを搬送路21に沿って搬送する搬送装置22と、搬送路21に設けられた一対のガラス取り付けロボット27、28と、を備える。一対の取り付けロボット27、28は、フロントガラス11またはリヤガラス12を取り付ける大型ガラス取り付けロボット28と、クォータガラス13を取り付ける小型ガラス取り付けロボット27と、で構成される。搬送装置22は、フロントガラス11またはリヤガラス12とクォータガラス13とを1組として、この1組のガラスが同時に大型ガラス取り付けロボット28および小型ガラス取り付けロボット27に供給されるように、間欠的に駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス取り付けシステムに関する。詳しくは、自動車のボディにガラスを取り付けるガラス取り付けシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の製造工程では、ボディに嵌め殺しの窓ガラスが取り付けられる。ここの嵌め殺しの窓ガラスとしては、コーナーガラスやクォータガラス等の小型ガラスと、フロントガラスやリヤガラス等の大型ガラスと、がある。
ここで、大型ガラスをボディに取り付ける作業と、小型ガラスをボディに取り付ける作業とは、別工程で行われている。
【0003】
例えば、小型ガラスは、人手でボディに取り付けられる。
一方、大型ガラスは、例えば、ガラス取り付けシステムによりボディに取り付けられる(特許文献1参照)。このガラス取り付けシステムは、フロントガラスおよびリヤガラスを搬送する搬送コンベヤと、この搬送コンベヤの搬送路に設置されてフロントガラスをボディに取り付ける第1ロボットと、搬送路の第1ロボットよりも下流側に設置されてリヤガラスをボディに取り付ける第2ロボットと、を備える。
この搬送コンベヤにフロントガラスおよびリヤガラスを交互に供給すると、このフロントガラスおよびリヤガラスは、搬送コンベヤにより搬送されて、第1ロボットおよび第2ロボットにより、ボディに取り付けられる。
【特許文献1】特公平8−9351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来では、大型のガラスおよび小型のガラスを別工程で取り付けるため、ガラスの取り付け作業に時間がかかっていた。また、ガラスを取り付けるための設備が大型化し、コスト高となっていた。
【0005】
本発明は、ガラスの取り付け作業にかかる時間を短縮でき、かつ、設備を小型化してコストを低減できるガラス取り付けシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のガラス取り付けシステム(例えば、後述のガラス取り付けシステム1)は、自動車のボディ(例えば、後述のボディ10)にガラスを取り付けるガラス取り付けシステムであって、大型ガラス(例えば、後述のフロントガラス11、リヤガラス12)および小型ガラス(例えば、後述のクォータガラス13)を搬送路(例えば、後述の搬送路21)に沿って搬送する搬送装置(例えば、後述の搬送装置22)と、前記搬送路に設けられて、前記搬送されるガラスを保持して前記ボディに取り付ける一対のガラス取り付けロボットと、を備え、当該一対の取り付けロボットは、大型ガラスを取り付ける大型ガラス取り付けロボット(例えば、後述の大型ガラス取り付けロボット28)と、小型ガラスを取り付ける小型ガラス取り付けロボット(例えば、後述の小型ガラス取り付けロボット27)と、で構成され、前記搬送装置は、大型ガラスおよび小型ガラスを1組として、当該1組のガラスが同時に大型ガラス取り付けロボットおよび小型ガラス取り付けロボットに供給されるように、間欠的に駆動することを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、ガラス取り付けシステムは、以下のように動作する。
すなわち、フロントガラスやリヤガラスなどの大型ガラスと、サイドガラスのような小型ガラスと、を交互に搬送装置に供給する。すると、これら大型ガラスおよび小型ガラスは、搬送装置により搬送され、一対のガラス取り付けロボットにより、把持されてボディに取り付けられる。
【0008】
ここで、一対のガラス取り付けロボットを、大型ガラスを取り付ける大型ガラス取り付けロボットと、小型ガラスを取り付ける小型ガラス取り付けロボットと、で構成した。さらに、大型ガラスおよび小型ガラスを1組として、この1組のガラスが同時に大型ガラス取り付けロボットおよび小型ガラス取り付けロボットに供給されるように、搬送装置を間欠的に駆動した。
よって、大型ガラス取り付けロボットで大型のガラスを取り付けると同時に、小型ガラス取り付けロボットで小型のガラスを取り付けできるから、ガラスの取り付け作業にかかる時間を短縮できる。また、設備を小型化してコストを低減できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一対のガラス取り付けロボットを、大型ガラスを取り付ける大型ガラス取り付けロボットと、小型ガラスを取り付ける小型ガラス取り付けロボットと、で構成した。さらに、大型ガラスおよび小型ガラスを1組として、この1組のガラスが同時に大型ガラス取り付けロボットおよび小型ガラス取り付けロボットに供給されるように、搬送装置を間欠的に駆動した。よって、大型ガラス取り付けロボットで大型のガラスを取り付けると同時に、小型ガラス取り付けロボットで小型のガラスを取り付けできるから、ガラスの取り付け作業にかかる時間を短縮できる。また、設備を小型化してコストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るガラス取り付けシステム1の斜視図である。
ガラス取り付けシステム1は、自動車のボディ10に、大型ガラスとしてのフロントガラス11、大型ガラスとしてのリヤガラス12、小型ガラスとしてのクォータガラス13を取り付けるものである。
【0011】
具体的には、このガラス取り付けシステム1は、自動車のボディ10が搬送されるボディ搬送路14の両側に設けられた一対のガラス取り付け装置20A、20Bで構成される。
ガラス取り付け装置20Aは、自動車のボディ10にフロントガラス11および左側面フロント側のクォータガラス13を取り付けるものである。
ガラス取り付け装置20Bは、自動車のボディ10にリヤガラス12および右側面フロント側のクォータガラス13を取り付けるものである。
【0012】
以下、ガラス取り付け装置20Aについて説明する。
ガラス取り付け装置20Aは、ボディ搬送路14に沿って延びる搬送路21に沿ってガラス11、13を搬送する搬送装置22と、搬送路21に設けられて搬送されるガラス11、13の表面を脱脂してプライマーを塗布する下地処理ロボット23と、搬送路21の下地処理ロボット23よりも下流側に設けられて搬送されるガラス11、13に接着剤を塗布する接着剤塗布ロボット24と、搬送路21の接着剤塗布ロボット24よりも下流側に設けられて搬送されるガラス11、13を保持して上昇させる一対のリフタ25、26と、これら一対のリフタにより上昇したガラスを保持してボディ10に取り付ける一対のガラス取り付けロボット27、28と、を備える。
【0013】
図2は、搬送装置22の構造を示す斜視図および断面図である。
搬送装置22は、互いに平行に延びる一対の第1ベルトコンベヤ221と、この一対の第1ベルトコンベヤ221の外側に設けられて互いに平行に延びる一対の第2ベルトコンベヤ222と、を備える。
第1ベルトコンベヤ221の搬送面の高さは、第2ベルトコンベヤ222の搬送面の高さよりも低くなっている。
また、一対の第1ベルトコンベヤ221は、同期して駆動されるとともに、一対の第2ベルトコンベヤ222は、同期して駆動される。
【0014】
以上の搬送装置22では、供給されたガラスの幅が第2ベルトコンベヤ222同士の間隔よりも狭い場合、つまり、供給されたガラスが小型ガラスである場合には、このガラスは、第1ベルトコンベヤ221により搬送される。
一方、投入されたガラスの幅が第2ベルトコンベヤ222同士の間隔よりも広い場合、つまり、投入されたガラスが大型ガラスである場合には、このガラスは、第2ベルトコンベヤ222により搬送される。
【0015】
したがって、図2に示すように、クォータガラス13は、第1ベルトコンベヤ221により搬送され、フロントガラス11は、第2ベルトコンベヤ222により搬送される。
【0016】
図1に戻って、下地処理ロボット23は、搬送装置22を跨いで設けられた支持フレーム231と、プライマーを吐出するノズル232と、支持フレーム231に設けられてノズル232の位置や姿勢を変化させるロボットアーム233と、を備える。
この下地処理ロボット23は、搬送されるガラス11、13の表面周縁部分を脱脂してプライマーを塗布する。
【0017】
接着剤塗布ロボット24は、搬送装置22を跨いで設けられた支持フレーム241と、接着剤を吐出するノズル242と、支持フレーム241に設けられてノズル242の位置や姿勢を変化させるロボットアーム243と、を備える。
この接着剤塗布ロボット24は、搬送されるガラス11、13の表面の周縁部分、つまり、下地処理ロボットによりプライマーを塗布した部分に、接着剤を塗布する。
【0018】
一対のリフタ25、26は、搬送される小型のクォータガラス13を保持して上昇させる小型ガラスリフタ25と、搬送路21の小型ガラスリフタ25よりも下流側に設けられて搬送される大型のフロントガラス11を保持して上昇させる大型ガラスリフタ26と、で構成される。
小型ガラスリフタ25は、クォータガラス13を吸着して保持する保持装置251と、この保持装置251を昇降させる昇降機構252と、を備える。
大型ガラスリフタ26は、フロントガラス11を吸着して保持する保持装置261と、この保持装置261を昇降させる昇降機構262と、を備える。
【0019】
図3は、ガラス取り付けロボット27、28の構造を示す斜視図である。図4は、図3と同様に、ガラス取り付けロボット27、28の構造を示す斜視図であるが、ガラス取り付けロボット28を二点鎖線で示したものである。
一対のガラス取り付けロボット27、28は、小型ガラスリフタ25の近傍に設置された小型ガラス取り付けロボット27と、大型ガラスリフタ26の近傍に設置された大型ガラス取り付けロボット28と、で構成される。
【0020】
小型ガラス取り付けロボット27は、小型ガラスリフタ25で保持された小型のクォータガラス13をボディ10に取り付けるものである。この小型ガラス取り付けロボット27は、移動機構29によりボディ搬送路14に沿って移動可能となっている。
すなわち、この移動機構29は、ボディ搬送路14に沿って延びて小型ガラス取り付けロボット27が載置されるスライドレール291と、小型ガラス取り付けロボット27の下面に螺合する送りねじ292と、この送りねじ292を回転するモータ293と、を備える。
この移動機構29によれば、モータ293を駆動することで、送りねじ292を回転させて、小型ガラス取り付けロボット27をスライドレール291に沿って移動させることができる。
【0021】
小型ガラス取り付けロボット27は、小型のクォータガラス13を吸着して保持する保持装置271と、この保持装置271の位置や姿勢を変化させるロボットアーム272と、を備える。
大型ガラス取り付けロボット28は、大型ガラスリフタ26で保持された大型のフロントガラス11をボディ10に取り付けるものであり、大型のフロントガラス11を吸着して保持する保持装置281と、この保持装置281の位置や姿勢を変化させるロボットアーム282と、を備える。
【0022】
ガラス取り付けシステム1のガラス取り付け装置20Aは、以下のように動作する。
ガラス取り付け装置20Aの搬送装置22に、クォータガラス13とフロントガラス11とを交互に供給する。すると、クォータガラス13は、搬送装置22の第1ベルトコンベヤ221に載置され、フロントガラス11は、搬送装置22の第2ベルトコンベヤ222に載置される。
次に、搬送装置22により、これらクォータガラス13およびフロントガラス11を間欠的に移動する。つまり、クォータガラス13およびフロントガラス11をタクト送りする。具体的には、搬送装置22は、1枚のクォータガラス13と1枚のフロントガラス11とを1組として、小型ガラスリフタ25および大型ガラスリフタ26の直下に、クォータガラス13およびフロントガラス11が1組ずつ同時に供給されるように、間欠的に駆動する。
【0023】
したがって、クォータガラス13およびフロントガラス11は、1組ずつ下地処理ロボット23に供給され、この下地処理ロボット23により、脱脂されてプライマーが塗布される。具体的には、下地処理ロボット23は、ガラス13、11の搬送が一時的に停止した際に、図示しない位置センサにより1組のクォータガラス13およびフロントガラス11の位置を検出して、この検出した位置情報に基づいて、これら1組のクォータガラス13およびフロントガラス11について、連続した一連の動作で脱脂およびプライマー塗布を行う。
【0024】
また、クォータガラス13およびフロントガラス11は、1組ずつ接着剤塗布ロボット24に供給され、この接着剤塗布ロボット24により、接着剤が塗布される。具体的には、接着剤塗布ロボット24は、ガラス13、11の搬送が一時的に停止した際に、図示しない位置センサにより1組のクォータガラス13およびフロントガラス11の位置を検出して、この検出した位置情報に基づいて、これら1組のクォータガラス13およびフロントガラス11について、連続した一連の動作で接着剤の塗布を行う。
【0025】
以上の搬送装置22の動作により、クォータガラス13およびフロントガラス11は、搬送装置22により、1組ずつ小型ガラスリフタ25および大型ガラスリフタ26の直下に移動する。
そして、クォータガラス13は、小型ガラスリフタ25の保持装置251により保持されて、昇降機構252により上昇する。同時に、フロントガラス11は、大型ガラスリフタ26の保持装置261により保持されて、昇降機構262により上昇する。
【0026】
次に、クォータガラス13は、小型ガラス取り付けロボット27により、自動車のボディ10の左側面フロント側に取り付けられる。具体的には、小型ガラス取り付けロボット27は、保持装置271でクォータガラス13を保持し、その後、ロボットアーム272を駆動して、この保持したクォータガラス13をボディ10に取り付ける。
同時に、フロントガラス11は、大型ガラス取り付けロボット28により、自動車のボディ10の前面に取り付けられる。具体的には、大型ガラス取り付けロボット28は、保持装置281でクォータガラス13を保持し、その後、ロボットアーム282を駆動して、この保持したクォータガラス13をボディ10に取り付ける。
【0027】
また、ガラス取り付け装置20Bは、搬送路21の小型ガラスリフタ25よりも上流側に大型ガラスリフタ26が設けられる点が、ガラス取り付け装置20Aと異なり、その他の構成は、ガラス取り付け装置20Bと同様である。
よって、このガラス取り付け装置20Bの搬送装置22に、クォータガラス13とリヤガラス12とを交互に供給すると、クォータガラス13は、小型ガラス取り付けロボット27により、自動車のボディ10の右側面に取り付けられる。同時に、リヤガラス12は、大型ガラス取り付けロボット28により、自動車のボディ10の後面に取り付けられる。
【0028】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)フロントガラス11およびリヤガラス12を取り付ける大型ガラス取り付けロボット28と、クォータガラス13を取り付ける小型ガラス取り付けロボット27と、で構成した。さらに、フロントガラス11またはリヤガラス12とクォータガラス13とを1組として、この1組のガラスが同時に大型ガラス取り付けロボット28および小型ガラス取り付けロボット27に供給されるように、搬送装置22を間欠的に駆動した。
よって、大型ガラス取り付けロボット28でフロントガラス11またはリヤガラス12を取り付けると同時に、小型ガラス取り付けロボット27でクォータガラス13を取り付けできるから、ガラスの取り付け作業にかかる時間を短縮できる。また、設備を小型化してコストを低減できる。
【0029】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本実施形態では、ボディ搬送路14に、クォータガラス13が両側面フロント側に取り付けられる機種のボディ10を流通させたが、これに限らず、クォータガラスが両側面リヤ側に取り付けられる機種のボディを流通させてもよい。この場合、小型ガラス取り付けロボット27は、保持装置271でクォータガラス13を保持した後、移動機構29によりスライドレール291上を移動して、保持したクォータガラス13をボディに取り付ける。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係るガラス取り付けシステムの全体斜視図である。
【図2】前記実施形態に係るガラス取り付けシステムの搬送装置の斜視図および断面図である。
【図3】前記実施形態に係るガラス取り付けシステムの一対のガラス取り付けロボットの斜視図である。
【図4】前記実施形態に係る一対のガラス取り付けロボットの大型ガラス取り付けロボットを二点鎖線で示した斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ガラス取り付けシステム
10 ボディ
11 フロントガラス(大型ガラス)
12 リヤガラス(大型ガラス)
13 クォータガラス(小型ガラス)
21 搬送路
22 搬送装置
23 下地処理ロボット
24 接着剤塗布ロボット
27 小型ガラス取り付けロボット
28 大型ガラス取り付けロボット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のボディにガラスを取り付けるガラス取り付けシステムであって、
大型ガラスおよび小型ガラスを搬送路に沿って搬送する搬送装置と、
前記搬送路に設けられて、前記搬送されるガラスを保持して前記ボディに取り付ける一対のガラス取り付けロボットと、を備え、
当該一対の取り付けロボットは、大型ガラスを取り付ける大型ガラス取り付けロボットと、小型ガラスを取り付ける小型ガラス取り付けロボットと、で構成され、
前記搬送装置は、大型ガラスおよび小型ガラスを1組として、当該1組のガラスが同時に大型ガラス取り付けロボットおよび小型ガラス取り付けロボットに供給されるように、間欠的に駆動することを特徴とするガラス取り付けシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−220733(P2009−220733A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68523(P2008−68523)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】