説明

ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物

【課題】電動工具のハウジング材として用いることが可能な、優れた衝撃強度、弾性率、エラストマーとの接着強度、表面光沢を有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリアミド6樹脂組成物(a)100質量部に対して、ポリアミド/ポリエーテル樹脂(b)0.1〜10質量部、変性ポリオレフィン樹脂(c)1〜30質量部、およびガラス繊維(d)5〜100質量部を含むガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド6樹脂組成物(a)が、ポリアミド6樹脂100質量部に対して膨潤性層状ケイ酸塩0.1〜10質量部を均一に分散したものであり、ガラス繊維(d)の平均繊維長L(μm)、平均粒径D(μm)、および、膨潤性層状ケイ酸塩の平均粒径Q(μm)とした場合、K=L/(D×Q)とした場合に、下記一般式( I )に示される関係にあることを特徴とするガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
3≦K ≦20 ( I )

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃強度、弾性率、エラストマーとの接着強度、さらに、表面光沢に優れるガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂は優れた機械的強度、耐熱性、耐薬品性などの特徴を有するエンジニアリングプラスチックとして広く用いられており、更に耐衝撃性を向上させるために、ポリアミド樹脂に強化材を配合し、また良外観とし、電動工具のハウジング材として用いられている。電動工具のハウジング材には、ポリアミド樹脂のほかに、ハウジングを手に持った時のグリップ感や、落下したときの衝撃を和らげるため、ハウジングにエラストマー部材を二色成形で張り合わせることもあり、ポリアミド樹脂とエラストマーの接着性が要求される
【0003】
このような電動工具のハウジング材としては、特定の結晶化温度を持ったポリアミド樹脂に、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物などを混ぜ靭性を向上させる一方で、ガラス繊維で強度を補強し、特性をバランスさせる方法(特許文献1)。耐衝撃性に優れるポリカーボネート樹脂にガラス繊維を配合して、強度と靭性を両立させる方法(特許文献2)が開示されている。
【0004】
さらに、電動工具は、直接手で持って使用するため、電動工具のハウジング材の外観は、平滑で光沢性に優れるものが要求されている。この点で、特許文献1、特許文献2の樹脂組成物は、光沢性に劣り、更なる改良が求められていた。
【0005】
ポリアミド樹脂組成物の光沢性を改良する方法としては、ポリアミド樹脂のカルボキシル基濃度と分子量を特定な範囲の樹脂を用いる方法(特許文献3)、非晶性あるいは低結晶性ポリアミドと、膨潤性層状ケイ酸塩を配合する方法(特許文献4)、ポリアミド樹脂に変性ポリオレフィン、変性オレフィン系エラストマーなどを配合する方法(特許文献5)が開示されている。しかしながら、特許文献3、4の樹脂組成物では、耐衝撃性に劣り、特許文献5の樹脂組成物では、耐寒性に優れスキーブーツとして用いることはできるが、室温での強度は不十分で、いずれも電動工具用ハウジング材として用いることはできなかった。
【0006】
ポリアミド樹脂組成物の耐衝撃性を低下させずに、光沢性を向上させるには、ポリアミド樹脂に、液晶ポリマーとビスオキサゾリン化合物を配合する方法(特許文献6)、降温結晶化速度が185℃以下の流動性が良いポリアミド樹脂にガラス繊維とワラストナイトやタルクなどの無機フィラーを配合する方法(特許文献7)が開示されている。しかしながら、これら樹脂組成物は、耐衝撃性、光沢性の点では満足するもののエラストマーとの接着性に劣り、電動工具のハウジング材として用いることはできなかった。
【特許文献1】特開2004−307615号公報
【特許文献2】特開平10−147700号公報
【特許文献3】特開平8−151516号公報
【特許文献4】特開2001−302845号公報
【特許文献5】特開平6−46901号公報
【特許文献6】特開平4−320450号公報
【特許文献7】特開2000−154316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電動工具のハウジング材として用いることが可能な、優れた衝撃強度、弾性率、エラストマーとの接着強度、さらに、表面光沢を有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討した結果、膨潤性層状ケイ酸塩を含有したポリアミド樹脂に対して、特定のポリアミド/ポリエーテル樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、ガラス繊維を配合することで、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
【0010】
(1)ポリアミド6樹脂組成物(a)100質量部に対して、ポリアミド/ポリエーテル樹脂(b)0.1〜10質量部、変性ポリオレフィン樹脂(c)1〜30質量部、およびガラス繊維(d)5〜100質量部を含むガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド6樹脂組成物(a)が、ポリアミド6樹脂100質量部に対して膨潤性層状ケイ酸塩0.1〜10質量部を均一に分散したものであり、ガラス繊維(d)の平均繊維長L(μm)、平均粒径D(μm)、および、膨潤性層状ケイ酸塩の平均粒径Q(μm)とした場合、K=L/(D×Q)が、下記一般式( I )に示される関係にあることを特徴とするガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
3≦K ≦20 ( I )
(2)ポリアミド/ポリエーテル樹脂(b)が、ポリアミド6かポリアミド12のいずれかのポリアミド単位と、ポリエチレングリコールかポリテトラメチレングリコールのいずれかのポリエーテル単位であり、各ブロック単位に由来するポリアミドとポリエーテルの構成比率がポリアミド/ポリエーテル=10/90〜95/5(質量比)であり、ポリアミド/ポリエーテル樹脂(b)中に、10質量%以下の脂肪族二塩基酸を含むことを特徴とする(1)のガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
(3)変性ポリオレフィン樹脂(c)が、酸無水物またはグリシジル基で変性されたポリオレフィン系樹脂組成物である(1)または(2)のガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
(4)(1)〜(3)のガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形品。
(5)成形品が電動工具用ハウジング材である、(4)の成形品。
(6)成形品表面のJIS−K7105で測定される表面光沢度が、80%以上である、(4)または(5)の成形品。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電動工具のハウジング材として用いることが可能な、優れた衝撃強度、弾性率、エラストマーとの接着強度、さらに、表面光沢を有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明において用いるポリアミド樹脂は、アミノカルボン酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸(それらの一対の塩も含まれる)を主たる原料とするアミド結合を主鎖内に有する重合体である。その原料の具体例としては、アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等がある。またラクタムとしてはε−カプロラクタム、ω−ウンデカノラクタム、ω−ラウロラクタム等がある。ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等がある。またジカルボン酸としては、アジピン酸、スべリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等がある。またこれらジアミンとジカルボン酸は一対の塩として用いることもできる。
【0013】
かかるポリアミド樹脂の好ましい例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリカプロアミド/ポリウンデカミドコポリマー(ナイロン6/11)、ポリドデカミド(ナイロン12)、ポリカプロアミド/ポリドデカミドコポリマー(ナイロン6/12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)およびこれらの混合物ないし共重合体等が挙げられる。中でもナイロン6が特に好ましい。
【0014】
本発明において用いる膨潤性層状ケイ酸塩は、ケイ酸塩を主成分とする負に帯電した結晶層とその層間に介在するイオン交換能を有するカチオンとからなる構造を有するものであり、後述する方法で求めた陽イオン交換容量が50ミリ当量/100g以上であることが望ましい。この陽イオン交換容量が50ミリ当量/100g未満のものでは、膨潤能が低いためにポリアミド複合材料の製造時に実質的に未劈開状態のままとなり、性能の向上が認められない。本発明においては陽イオン交換容量の値の上限に特に制限はなく、現実に調製可能な膨潤性層状ケイ酸塩の中から適当なものを選べばよい。
【0015】
かかる膨潤性層状ケイ酸塩としては、天然に産出するものでも人工的に合成あるいは変成されたものでもよく、例えばスメクタイト族(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、ソーコナイト等)、バーミキュライト族(バーミキュライト等)、雲母族(フッ素雲母、白雲母、パラゴナイト、金雲母、レピドライト等)、脆雲母族(マーガライト、クリントナイト、アナンダイト等)、緑泥石族(ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイト、クリノクロア、シャモナイト、ニマイト等)が挙げられるが、本発明においてはNa型あるいはLi型膨潤性フッ素雲母やモンモリロナイトが特に好適に用いられる。
【0016】
本発明において好適に用いられる膨潤性フッ素雲母は一般的に次式で示される構造式を有するものである。
【0017】
Ma(MgXLib)Si4OYFZ
(式中で、Mはイオン交換性のカチオンを表し、具体的にはナトリウムやリチウムが挙げられる。また、a、b、X、YおよびZはそれぞれ係数を表し、0≦a≦0.5、0≦£b≦£0.5、2.5≦X≦3、10≦Y≦11、1.0≦Z≦2.0、である)
このような膨潤性フッ素雲母の製造法としては、例えば酸化珪素、酸化マグネシウムおよび各種フッ化物とを混合し、その混合物を電気炉あるいはガス炉中で1400〜1500℃の温度範囲で完全に溶融し、その冷却過程で反応容器内に膨潤性フッ素雲母の結晶成長させる溶融法が挙げられる。
【0018】
一方、タルク〔Mg3Si4O10(OH)2〕を出発物質として用い、これにアルカリ金属イオンをインターカレーションして膨潤性を付与し、膨潤性フッ素雲母を得る方法もある(特開平2-149415号公報)。この方法では、所定の配合比で混合したタルクと珪フッ化アルカリを、磁性ルツボ内で700〜1200℃の温度下に短時間加熱処理することによって、膨潤性フッ素雲母を得ることができる。
【0019】
この際、タルクと混合する珪フッ化アルカリの量は、混合物全体の10〜35質量%の範囲とすることが好ましい。この範囲をはずれる場合には膨潤性フッ素雲母の生成収率が低下する傾向にある。
【0020】
本発明に用いるモンモリロナイトは次式で表されるもので、天然に産出するものを水ひ処理等を用いて精製することにより得ることができる。
【0021】
MaSi(Al2-aMg)O10(OH)2・nH20
(式中で、Mはナトリウム等のカチオンを表し、0.25≦a≦0.6である。また層間のイオン交換性カチオンと結合している水分子の数はカチオン種や湿度等の条件によって様々に変わりうるので、式中ではnH2Oで表した)
またモンモリロナイトにはマグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイト等の同型イオン置換体の存在が知られており、これらを用いてもよい。
【0022】
次に本発明のポリアミド6樹脂組成物(a)の製造方法について説明する。
本発明のポリアミド6樹脂組成物(a)の製造方法は、基本的には、適宜選択した膨潤性層状ケイ酸塩の存在下、所定量のモノマーをオートクレーブに仕込んだ後、水等の開始剤を用い、温度250〜280℃、圧力0.5〜2MPa、3〜5時間の範囲で重合することが好ましい。
【0023】
また、かかるポリアミド6樹脂組成物(a)を製造するに当たっては酸を添加してもよい。一般的に、酸を添加することにより、膨潤性層状ケイ酸塩の劈開が促進されポリアミド樹脂マトリックス中へのケイ酸塩層の分散がより進行するため好ましい。
【0024】
上記の酸としては、pKa(25℃、水中での値)が0〜6または負の酸であるなら有機酸でも無機酸でもよく、具体的には安息香酸、セバシン酸、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、亜硝酸、リン酸、亜リン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、過塩素酸等が挙げられる。
【0025】
酸の添加量は、使用する膨潤性層状ケイ酸塩の全陽イオン交換容量に対して1.0〜5.0モル量程度とすることが、膨潤性層状ケイ酸塩の劈開およびポリアミド樹脂マトリックスにおける重合触媒としての作用の点から好ましい。
また、重合後のポリアミド6樹脂組成物に残留しているポリアミドのモノマーを除去するために、該ポリアミド6樹脂組成物のペレットに対して熱水による精練を行うことが好ましい。この場合、好ましくは90〜100℃の熱水中で8時間以上の処理を行えばよい。
【0026】
このとき膨潤性層状ケイ酸塩の配合量は、得られたポリアミド6樹脂組成物(a)を500℃の電気炉で樹脂成分をガス化させ、得られた不揮発分の重量から算出するものとする。本発明では、膨潤性層状ケイ酸塩の配合量は、ポリアミド6樹脂を形成するモノマーに対して0.1〜10質量部とすることが好ましい。この配合量が0.1質量部未満では、得られたポリアミド6樹脂組成物(a)の表面光沢度の向上が充分でなく、10重量部以上では、生成したポリアミド複合材料をオートクレーブから払い出すことが困難となり、収率が大きく低下するため好ましくない。
【0027】
本発明におけるポリアミド/ポリエーテル樹脂(b)とは、反応性末端を有するポリアミドと反応性末端を有するポリエーテルの共重縮合で得られる。
【0028】
反応性末端を有するポリアミドとは、ジカルボン酸を配合させて末端をカルボキシル基に変性させたものであり、ジカルボン酸とε―カプロラクタム、もしくは、ω―ラウロラクタムとを共重合させることにより得ることが出来る。
【0029】
反応性を有するポリエーテルとは、そのまま末端基が水酸基のまま用いても良いし、ジアミンを反応させて、末端をアミノ基としてもよい。ポリエーテルは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロプレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)などがあるが、本発明では、PEGやPTMGを用いるのが好ましい。
【0030】
これらポリアミド/ポリエーテル樹脂(b)の作成方法は、ポリアミドとポリエーテルを適宜配合し、溶融混練することで、ポリアミド/ポリエーテルブロックコポリマーとして得ることができる。
【0031】
ポリアミド/ポリエーテル樹脂(b)が、ポリアミド6かポリアミド12のいずれかのポリアミド単位と、ポリエチレングリコールかポリテトラメチレングリコールのいずれかのポリエーテル単位を配合した樹脂であり、このポリアミドとポリエーテルの配合比率は、各ブロック単位に由来するポリアミドとポリエーテルの構成比率がポリアミド/ポリエーテル=10/90〜95/5(質量比)が好ましく、ポリアミド/ポリエーテル=20/80〜85/15(質量比)とすることがさらに好ましい。ポリアミドの配合比率が、95質量比より多い場合は、エラストマーとの接着強度が低くなるため好ましくない。また、ポリアミドの配合比量が10質量比より少ないときは、得られたポリアミド/ポリエーテル樹脂組成物が室温で非常に軟らかくブロッキングが激しいため、取り扱いが事実上困難であるため好ましくない。
【0032】
また、ポリアミド/ポリエーテル樹脂(b)には、10質量%以下の脂肪族二塩基酸を配合することが好ましい。脂肪族二塩基酸としては、例えばアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸を選ぶことができる。中でも、ウンデカン二酸、ドデカン二酸は、本願発明の優れた衝撃強度、弾性率、エラストマーとの接着強度が得られるため、より好ましい。
【0033】
ポリアミド6樹脂組成物(a)100質量部に対して、ポリアミド/ポリエーテル樹脂(b)の配合比は、0.1〜10質量部が好ましい。0.1質量部より少ないときは、エラストマーとの接着強度が低いので、好ましくなく、10質量部より多いときは、得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物の曲げ弾性率が低くなるので好ましくない。
【0034】
本発明に用いる変性ポリオレフィン樹脂(c)のポリオレフィン成分には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの脂肪族ポリオレフィンや、ポリスチレンなどの芳香族ポリオレフィン、または、それらの共重合体であるα―共重合ポリオレフィンなどを用いることが出来る。これらのポリオレフィンに、無水マレイン酸を共重合させたり、グラフト化させて用いることが出来る。
【0035】
ポリアミド6樹脂組成物(a)100質量部に対して、変性ポリオレフィン樹脂(c)1〜30質量部を配合することが好ましい。1質量部より少ない場合、得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物のIZOD衝撃値が低く、好ましくなく、30質量部より多い場合曲げ弾性率が低くなるので好ましくない。
【0036】
本発明に用いるガラス繊維(d)は、ガラス繊維に対して、ビニルシラン系、アクリルシラン系、エポキシシラン系、アミノシラン系などのシランカップリング剤で表面処理され、ガラス繊維を束ねて扱いやすくするための造膜剤には一般的に公知となっているウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂などを用いることができる。
【0037】
ポリアミド6樹脂組成物(a)100質量部に対して、ガラス繊維(d)を5〜100質量部配合することが好ましく、5質量部より少ない場合、得られるガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物との樹脂組成物の曲げ弾性率が低くなるので好ましくなく、100質量部より多い場合、混練時にストランドが切れるなど、作業効率が悪化し生産性が劣るので好ましくない。
【0038】
本発明においてガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物から得られる成形品の表面光沢度を80%以上にするためには、ガラス繊維(d)の平均繊維長L(μm)、平均粒径D(μm)、および、膨潤性層状ケイ酸塩の平均粒径Q(μm)とした場合、K=L/(D×Q)とすると、下記一般式( I )に示される関係があることが必要である。
【0039】
3≦K ≦20 ( I )
【0040】
なお、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物中に含まれるガラス繊維のL/D は、ポリアミド樹脂組成物を約500℃の電気炉中で樹脂成分をガス化させ、残渣中に含まれるガラス繊維長を光学顕微鏡で500本測定する。得られた平均値を仕込み時のガラス繊維の直径で除して算出した値である。Kが3より少ない場合、また20より大きい場合はいずれも、表面光沢度に劣るため好ましくない。
【0041】
本願発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物は、通常の、二軸混練機を用いて、溶融混練法で混合することが出来る。シリンダー温度を260℃〜270℃に設定し、スクリュー回転、吐出量を適宜調整し、ストランド状に押出し、ペレット状にカッティングすることで得られる。ガラス繊維は、混練時にガラス繊維同士の擦れ、スクリュー剪断力により、折れ、摩滅が生じ、細かくなりすぎるのを防ぐため、サイドフィーダーを用いて、押出の下流側にて供給することが好ましい。
【0042】
上記、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物の溶融混練において、スクリュー回転を早くし、ガラス繊維を細かく砕いた場合は、上記一般式( I )におけるK(=L/(D×Q))が小さくなり、得られる成形品の表面光沢度が低下し、また、成形品の機械的強度も十分でないため好ましくない。スクリュー回転を遅くし、ガラス繊維の破砕を極力抑制した場合は、上記一般式( I )におけるKが大きくなり、得られる成形品の機械的強度は十分ではあるが、表面光沢度が低下するため好ましくない。さらに、ガラス繊維の平均繊維長Lと平均粒径Dで示されるL/Dと、配合する層状ケイ酸塩の粒径Qとの関係において、平均粒径Qが小さな層状ケイ酸塩を用いた場合は、混練時にガラス繊維を破砕し、ガラス繊維のLを小さすることで、3≦ K ≦20とすることができる。一方で、平均粒径Qが大きな層状ケイ酸塩を用いた場合は、混練時のガラス繊維の破砕を極力抑制し、ガラス繊維のLを大きくすることで、3≦ K ≦20とすることができる。この際、成形品の本来の機械的強度を損なわないために、ガラス繊維を細かくし過ぎないことが重要である。
【0043】
ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物から得られる成形品の表面光沢度は、成形品の表面にガラス繊維が浮き出ることで、成形品の表面外観に荒れが生じ、光沢度が低下する。これを抑制するには、同時に配合する層状ケイ酸塩が、成形品表面のガラス繊維とガラス繊維の間を埋めるような形で存在し、射出成形された成形品が冷却され、成形品表面の樹脂が収縮し、ガラス繊維が浮き出るのに対し、ガラス繊維間を満たす層状ケイ酸塩が樹脂の収縮を抑制し、またガラス浮きの発生も抑えられるため、表面外観が向上する。この場合、ガラス繊維と大きさと、層状ケイ酸塩の大きさに、大きな差があると、成形品表面にも凹凸が生じることとなり、表面光沢度の向上に対する効果が低下する。
【0044】
以上のように、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物の溶融混練において、ガラス繊維の平均繊維長Lと平均粒径Dで示されるL/Dと、配合する層状ケイ酸塩の粒径Qをバランスさせることによって、機械的強度と表面光沢度に優れる成形品を得ることができる。
【実施例】
【0045】
以下本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。なお、実施例および比較例に用いた原料および物性測定方法は次の通りである。
【0046】
1.測定方法
(1)陽イオン交換容量
日本ベントナイト工業会標準試験方法によるベントナイト(粉状)の陽イオン交換容量測定方法(JBAS-106-77)に基づいて求めた。
すなわち、浸出液容器、浸出管および受器を縦方向に連結した装置を用いて、まず初めに、層状ケイ酸塩をpH=7に調製した1N酢酸アンモニウム水溶液により、その層間のイオン交換性カチオンの全てをNH4+に交換する。その後、水とエチルアルコールを用いて十分に洗浄してから、前記したNH4+型の層状ケイ酸塩を10質量%の塩化カリウム水溶液中に浸し、試料中のNH4+をK+へと交換する。引き続いて、前記したイオン交換反応に伴い浸出したNH4+を0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定することにより、原料である膨潤性層状ケイ酸塩の陽イオン交換容量(ミリ当量/100g)を求めた。
(2)ポリアミド6樹脂組成物の膨潤性層状ケイ酸塩配合量
ポリアミド6樹脂組成物の乾燥ペレットを磁性ルツボに精秤し、500℃に保持した電気炉で15時間焼却処理した後の残渣を膨潤性層状ケイ酸塩配合量として、次式に従って求めた。
膨潤性層状ケイ酸塩配合量(質量部)={残渣(g)}/{焼却処理前の試料の全質量(g)―残渣(g)}×100
(3)曲げ弾性率
ISO178に準拠して23℃で測定した。5.0GPa以上を、合格とした。
(4)IZOD衝撃値
ASTM D−256に準拠して、ノッチをつけて、23℃で測定した。200J/m以上を合格とした。
(5)エラストマーとの接着強度
ポリアミド樹脂組成物を幅12.5mm、厚み1.6mm、長さ126.5mmの形状に射出成形した。この成形体を幅12.5mm、厚み3.2mm、長さ126.5mmの形状の金型にインサートした後、エラストマー(アロン化成製ポリスチレン系エラストマー ショア硬度A=65)を射出成形した。この一方を剥がした後、引張試験機を用いて、エラストマーとポリアミド樹脂組成物をそれぞれ試験機のチャックで挟み、常温で引っ張り試験をした。安定した強度を示した部分を接着強度とした。0.9N以上を合格とした。
(6)光沢度
ポリアミド6ガラス強化樹脂組成物を260℃で、2mm×60mm×90mmのサイズのカラープレートを作成し、JIS−K7105に従い、グロスメーター値を測定し、光沢度とした。ただし、入射角は60度とした。80%以上を合格とした。
2.原料
(a)ポリアミド樹脂組成物
下記、参考例1で作成した膨潤性層状ケイ酸塩を用いて、参考例2にてポリアミド樹脂組成物(a−1)〜(a−6)の製造を行い、試験に用いた。
(b)ポリアミド/ポリエーテル樹脂
下記、参考例3〜14の方法で、以下のポリアミド/ポリエーテル樹脂を得た。ポリアミド/ポリエーテル樹脂におけるポリアミド成分、ポリエーテル成分につき、それぞれの配合を表2に示す。
(c)変性ポリオレフィン樹脂
・ 変性α共重合体(三井化学社製MA8510)
(d)ガラス繊維
(d−1)CSG3DE−451(日東紡績社製、長さ3mm、直径7μm)
(d−2)CSG3H−451 (日東紡績社製、長さ3mm、直径10μm)
(d−3)CSG3PE−451(日東紡績社製、長さ3mm、直径13μm)
【0047】
参考例1(膨潤性層状ケイ酸塩の製造)
ボールミルにより平均粒径が30μmのタルクに対し、平均粒子径が10μmの珪フッ化ナトリウムを全量の15質量%となるように混合した。これを磁性ルツボに入れ、電気炉にて850℃で1時間反応させることにより、平均粒径30μmの膨潤性フッ素雲母(m−1)を得た。この膨潤性フッ素雲母の組成は、Na0.60Mg2.63Si4O10F1.77、後述する測定方法により得られた陽イオン交換容量は110ミリ当量/100gであった。
この膨潤性層状ケイ酸塩(m−1)をメカニカル粉砕することにより、平均粒径が5.0μmの(m−2)、2.0μmの(m−3)、1.0μmの(m−4)を得た。
【0048】
【表1】

【0049】
参考例2(ポリアミド6樹脂組成物の製造)
ε−カプロラクタムと指定の平均粒径を持った膨潤性層状ケイ酸塩、および、水をオートクレーブに投入し、260℃で圧力1MPa、5時間でε−カプロラクタムを重合し、ポリアミド6樹脂組成物(a−1)〜(a−6)を作成し、得られたポリアミド6樹脂組成物中の膨潤性層状ケイ酸塩を前記の方法で測定し、結果を表1にまとめた。(a−3)は、膨潤性層状ケイ酸塩を16.1質量部含み、オートクレーブからの払い出しが困難であった。

参考例3〜8(ポリアミド/ポリエーテル樹脂の製造)
二軸混練機に対して、ポリアミド12(重量平均分子量 10000、相対粘度2.1)とPEG(重量平均分子量7000)を所定の配合比となるよう配合し仕込んだ。参考例6〜8については、ポリアミド/ポリエーテル樹脂に対し、さらに5質量%の比率で、ウンデカン二酸を配合した。その後、シリンダー温度200〜240℃、スクリュー回転300rpmにて溶融混練を行い、ストランド状に押出し、20℃で水冷、カッティングを行い、ポリアミド12/PEGブロック共重合体を得た。得られたポリアミド12/PEGブロック共重合体は、H NMR測定を行い、表2記載の組成であることの確認を行った。
【0050】
【表2】

【0051】
参考例9〜12(ポリアミド/ポリエーテル樹脂の製造)
二軸混練機に対して、ポリアミド12(重量平均分子量 10000、相対粘度2.1)とPTMG(重量平均分子量12000)、ウンデカン二酸を所定の配合比となるよう配合し仕込んだ。その後、シリンダー温度200〜240℃、スクリュー回転300rpmにて溶融混練を行い、ストランド状に押出し、20℃で水冷、カッティングを行い、ポリアミド12/PTMGブロック共重合体を得た。得られたポリアミド12/PTMGブロック共重合体は、H NMR測定を行い、表2記載の組成であることの確認を行った。
【0052】
参考例13〜14(ポリアミド/ポリエーテル樹脂の製造)
二軸混練機に対して、ポリアミド6(重量平均分子量 15000、相対粘度2.4)とPEG(重量平均分子量7000)、ウンデカン二酸を所定の配合比となるよう配合し仕込んだ。その後、シリンダー温度240〜280℃、スクリュー回転300rpmにて溶融混練を行い、ストランド状に押出し、20℃で水冷、カッティングを行い、ポリアミド6/PEGブロック共重合体を得た。得られたポリアミド6/PEGブロック共重合体は、H NMR測定を行い、表2記載の組成であることの確認を行った。
【0053】
実施例1
ポリアミド6樹脂組成物(a−1)10kgに対し、ポリアミド/ポリエーテル樹脂(b−1)0.5kg、変性ポリオレフィン樹脂(C)1.5kgを混合し、同方向二軸押出機(東芝機械社製TEM‐37BS)の主ホッパーより仕込み、シリンダー温度260℃〜270℃、スクリュー回転200rpmにて溶融混練を行い、途中、サイドフィーダーより、ガラス繊維(d−2)を表3に示す所定の配合となるよう投入し、ストランド状に押出し、冷却した後、ペレット状にカッティングを行い、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物を得た。押出しの吐出量は、10kg/hにて行った。得られた樹脂ペレットにつき、樹脂組成物中のガラス繊維のL/Dを測定し、膨潤性層状ケイ酸塩の粒径Qとの比K(=L/(D×Q))を算出した。
さらに、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットを射出成形機(東芝機械社製IS100E−3S)を用いて樹脂温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル30sで成形し、各種試験片を作製した。得られた試験片を用いて、曲げ弾性率、IZOD衝撃値、光沢度を測定した。また、同様な射出条件にて、エラストマーとのインサート成形体を得て、接着強度を測定した。結果を表3に示す。
曲げ弾性率、IZOD衝撃強度、光沢度、エラストマーとの接着強度のいずれも合格であった。
【0054】
【表3】

【0055】
実施例2〜7
用いた原料と、その割合を表3に示す配合に変更したほかは、実施例1と同様な条件にて、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットを得て、Kの算出、各種評価を行なった。その結果を、表3に示す。
【0056】
実施例8〜14
用いた原料と、その割合を表4に示す配合に変更したほかは、実施例1と同様な条件にて、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットを得て、Kの算出、各種評価を行なった。その結果を、表4に示す。
【0057】
【表4】

【0058】
比較例1
ガラス繊維の投入をサイドフィーダーから行わず、他の原料とともに、表3に示す配合でブレンドした後、同方向二軸押出機の主ホッパーより一括して仕込んだ以外は、実施例1と同様にしてガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットを得て、Kの算出、各種評価を行なった。その結果を、表5に示す。
【0059】
【表5】

【0060】
比較例2
ポリアミド樹脂組成物100質量部に対し、変性ポリオレフィン樹脂を50質量部配合し、溶融混練時のスクリュー回転を300rpm、吐出量を15kg/hとしたほかは、実施例1と同様にして、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットを得て、Kの算出、各種評価を行なった。その結果を、表5に示す。
【0061】
比較例3、4
平均粒径(=Q)の異なる膨潤性層状ケイ酸塩を配合したポリアミド樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットを得て、Kの算出、各種評価を行なった。その結果を、表5に示す。
【0062】
比較例5
膨潤性層状ケイ酸塩を配合しないポリアミド6樹脂組成物(a−6)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットを得て、Kの算出、各種評価を行なった。その結果を、表5に示す。
【0063】
比較例6
膨潤性層状ケイ酸塩を配合しないポリアミド6樹脂組成物(a−6)を用い、ポリアミド/ポリエーテル樹脂を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットを得て、Kの算出、各種評価を行なった。その結果を、表5に示す。
【0064】
比較例7
膨潤性層状ケイ酸塩を配合しないポリアミド6樹脂組成物(a−6)を用い、ポリアミド/ポリエーテル樹脂、変成ポリオレフィン樹脂を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットを得て、Kの算出、各種評価を行なった。その結果を、表5に示す。
【0065】
実施例1〜7は、適切な配合、溶融混練条件で、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造を行ったため、Kも所定の範囲であり、得られた成形品の機械的強度、表面光沢性が優れていた。また、エラストマーとの接着性も十分であった。
【0066】
比較例1は、ガラス繊維を他原料とともにブレンドした後、一括投入したため、混練によるガラス繊維の破砕が顕著で、平均繊維長Lが短くなり、平均粒径Dで示されるL/Dが小さくなった。したがって、Kが2.6となり、Kが本願発明の下限よりも小さな値であったため、成形品の表面光沢度が74%と基準に達しなかった。また、ガラス繊維の平均繊維長Lが短いことで、曲げ弾性率が不十分であった。
【0067】
比較例2は、変性ポリオレフィン樹脂の配合を所定よりも多くしたため、曲げ弾性率が大きく低下した。
【0068】
比較例3は、平均粒径(=Q)の大きな膨潤性層状ケイ酸塩を配合したため、Kが1.0となり、Kが本願発明の下限よりも小さな値であったため、得られる成形品の表面光沢度が大きく低下した。
【0069】
比較例4は、平均粒径(=Q)の小さな膨潤性層状ケイ酸塩を配合したため、
Kが30となり、Kが本願発明の上限よりも大きな値であったため、得られる成形品の表面光沢度が大きく低下した。
【0070】
比較例5は、膨潤性層状ケイ酸塩を配合しなかったため、成形品のガラス浮きが顕著で、表面光沢度が低下した。
【0071】
比較例6は、膨潤性層状ケイ酸塩、ポリアミド/ポリエーテル樹脂を配合しなかったため、成形品の表面光沢度、エラストマーとの接着性が低下した。
【0072】
比較例7は、膨潤性層状ケイ酸塩、ポリアミド/ポリエーテル樹脂、変性ポリオレフィン樹脂を配合しなかったため、成形品の表面光沢度、IZOD衝撃値、エラストマーとの接着強度が低下した。















【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド6樹脂組成物(a)100質量部に対して、ポリアミド/ポリエーテル樹脂(b)0.1〜10質量部、変性ポリオレフィン樹脂(c)1〜30質量部、およびガラス繊維(d)5〜100質量部を含むガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド6樹脂組成物(a)が、ポリアミド6樹脂100質量部に対して膨潤性層状ケイ酸塩0.1〜10質量部を均一に分散したものであり、ガラス繊維(d)の平均繊維長
L(μm)、平均粒径D(μm)、および、膨潤性層状ケイ酸塩の平均粒径Q(μm)とした場合、K=L/(D×Q)が、下記一般式( I )に示される関係にあることを特徴とするガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
3≦K ≦20 ( I )
【請求項2】
ポリアミド/ポリエーテル樹脂(b)が、ポリアミド6かポリアミド12のいずれかのポリアミド単位と、ポリエチレングリコールかポリテトラメチレングリコールのいずれかのポリエーテル単位であり、各ブロック単位に由来するポリアミドとポリエーテルの構成比率がポリアミド/ポリエーテル=10/90〜95/5(質量比)であり、ポリアミド/ポリエーテル樹脂(b)中に、10質量%以下の脂肪族二塩基酸を含むことを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
【請求項3】
変性ポリオレフィン樹脂(c)が、酸無水物またはグリシジル基で変性されたポリオレフィン系樹脂組成物である請求項1または2に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形品。
【請求項5】
成形品が電動工具用ハウジング材である、請求項4に記載の成形品。
【請求項6】
成形品表面のJIS−K7105で測定される表面光沢度が、80%以上である、請求項4または5に記載の成形品。


【公開番号】特開2010−1364(P2010−1364A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160541(P2008−160541)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】