説明

ガラス繊維集束剤及びガラス繊維強化結晶性樹脂組成物

【課題】成型品の表面性及び機械的特性に優れたガラス繊維強化結晶性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】o−スルホベンズイミド化合物を含有する水性樹脂であることを特徴とするガラス繊維集束剤。結晶性樹脂及びガラス繊維を含有してなるガラス繊維強化結晶性樹脂組成物において、前記ガラス繊維が前記ガラス繊維集束剤で処理されてなることを特徴とするガラス繊維強化結晶性樹脂組成物。前記水性樹脂としては、水系ポリウレタン樹脂が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス繊維集束剤及びガラス繊維強化結晶性樹脂組成物に関し、詳しくは、o−スルホベンズイミド化合物を含有するガラス繊維集束剤、及び該ガラス繊維集束剤で処理したガラス繊維を含有するガラス繊維強化結晶性樹脂組成物に関する。該ガラス繊維強化結晶性樹脂組成物は、その成型品が表面荒れ、色ムラのない優れた表面性を示し、強度、剛性等の機械的物性に優れたものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリスチレン等の結晶性樹脂(結晶性合成樹脂)にガラス繊維をブレンドして得られるガラス繊維強化結晶性樹脂組成物は、未強化の結晶性樹脂と比較して強度、剛性の面で優れ、近年その用途の伸長が期待されている。
【0003】
ところが、これらの結晶性樹脂とガラス繊維との親和性、あるいはガラス繊維の配向性等の問題から、ガラス繊維強化結晶性樹脂組成物は強度、剛性が十分に上がらず、さらに表面荒れを生じる等の欠点を有している。この欠点はガラス繊維の形態や集束剤の種類を変えることで幾らかの改善は見られるものの、顕著な効果は見られない。
【0004】
また、下記特許文献1には、ポリオレフィン、ポリブテン−1及びガラス繊維からなる樹脂組成物に芳香族リン酸エステル金属塩等を結晶核剤として配合することで成型品の表面性及び機械的物性を改善することが提案されているが、このように芳香族リン酸エステル金属塩を結晶核剤として結晶性樹脂中に直接添加した場合には、その効果は未だ不十分であった。
【0005】
さらに、下記特許文献2には、ガラス繊維集束剤中に芳香族リン酸エステル金属塩を結晶核剤として配合することで成型品の表面性及び機械的物性を改善することが提案されているが、更なる改善が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平01−090238号公報
【特許文献2】特開平10−087879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、成型品の表面性及び機械的特性に優れたガラス繊維強化結晶性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、種々検討を重ねた結果、ガラス繊維強化結晶性樹脂組成物において使用することが従来知られていた上記芳香族有機リン酸エステル金属塩とは全く異なる特定の構造を有する化合物を含有させてなる集束剤を用いて処理したガラス繊維で、結晶性樹脂を強化することによって、前記目的を達成し得ることを知見した。
【0009】
本発明は、前記知見に基づきなされたもので、o−スルホベンズイミド化合物を含有する水性樹脂であることを特徴とするガラス繊維集束剤を提供するものである。
また、本発明は、結晶性樹脂及びガラス繊維を含有してなるガラス繊維強化結晶性樹脂組成物において、前記ガラス繊維が前記ガラス繊維集束剤で処理されてなることを特徴とするガラス繊維強化結晶性樹脂組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のガラス繊維集束剤で処理したガラス繊維を用いれば、成型品の表面性が優れ、強度等の機械的特性も優れたガラス繊維強化結晶性樹脂組成物を提供することができる。本発明のガラス繊維強化結晶性樹脂組成物は、家庭用電気製品、OA機器、自動車用内外装用部品等に特に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のガラス繊維集束剤及びガラス繊維強化結晶性樹脂組成物について、その好ましい実施態様に基づいて詳しく説明する。
【0012】
先ず、本発明のガラス繊維集束剤について説明する。
本発明のガラス繊維集束剤は、水性樹脂を主成分として含有するものである。該水性樹脂としては、従来のガラス繊維集束剤に用いられている水性樹脂を用いることができ、自己乳化系のものでも強制乳化系のものでもよい。該水性樹脂としては、例えば、澱粉、植物油等の天然物、あるいは酢酸ビニル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、アクリル系等の合成樹脂が挙げられるが、特に合成樹脂、とりわけ水系ポリウレタン樹脂を使用することで、物性あるいは表面性が特に良好なガラス繊維強化結晶性樹脂組成物が得られるため好ましい。
【0013】
本発明のガラス繊維集束剤に好ましく用いられる前記水系ポリウレタン樹脂は、周知の方法で製造できる。前記水系ポリウレタン樹脂の水分散方法については、アニオン性基及びカチオン性基等のイオン性基、或いはポリエチレングリコール基等の親水性基等をポリウレタン骨格中に導入して水中に分散させた自己乳化系ポリウレタン樹脂でもよく、界面活性剤等の乳化分散剤を用いた強制乳化系ポリウレタン樹脂でもよく、これら自己乳化及び強制乳化の併用系でもよい。また、鎖延長剤により高分子化されたものでもよい。
【0014】
前記水系ポリウレタン樹脂は、より具体的には、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分、必要に応じて用いられるイオン性基導入成分、必要に応じて用いられるイオン性基中和剤成分、必要に応じて用いられる乳化剤成分、及び必要に応じて用いられる鎖延長剤成分から得られるものである。
【0015】
前記ポリイソシアネート成分としては、ジイソシアネート化合物、一分子中にイソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート化合物等が挙げられ、これらは、1種類又は2種類以上混合で用いることができる。
【0016】
前記ジイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,2'−ジメチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタン−4,4'−ジイソシアネート、2,5,2',5'−テトラメチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、シクロヘキシルビス(4−イソシアントリフェニル)メタン、3,3'−ジメトキシジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、4,4'−ジメトキシジフェニルメタン−3,3'−ジイソシアネート、4,4'−ジエトキシジフェニルメタン−3,3'−ジイソシアネート、2,2'−ジメチル−5,5'−ジメトキシジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、3,3'−ジクロロジフェニルジメチルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−3,3'−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、3,3'−ジメチルビフェニルジイソシアネート、3,3'−ジメトキシビフェニルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トランス−1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジプロピルエーテルジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、3−メトキシヘキサンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、3−ブトキシヘキサンジイソシアネート、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、パラキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
【0017】
前記ジイソシアネート化合物は、カルボジイミド変性、イソシアヌレート変性、ビウレット変性等の変性物の形で用いてもよく、各種のブロッキング剤によってブロックされたブロックイソシアネートの形で用いてもよい。
【0018】
前記1分子中にイソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,7−ナフタレントリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4'−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4'−トリイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4'−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4',4"−トリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート及びジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート、並びに前記例示のジイソシアネート化合物のイソシアヌレート三量化物、ビューレット三量化物、及びトリメチロールプロパンアダクト化物等の三官能以上のイソシアネート化合物等が挙げられ、これらのイソシアネート化合物はカルボジイミド変性、イソシアヌレート変性、ビウレット変性等の変性物の形で用いてもよく、各種のブロッキング剤によってブロックされたブロックイソシアネートの形で用いてもよい。
【0019】
前記ポリイソシアネート成分としては、これらの中でも、耐黄変性、入手容易性及び製造容易性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0020】
また、前記ポリイソシアネート成分は、後述するポリオール成分並びに必要に応じて使用されるイオン性基導入成分及び鎖延長剤の活性水素の合計に対し、好ましくは0.8〜3倍当量、より好ましくは1〜2倍当量となるように使用される。該ポリイソシアネート成分の使用量が0.8倍当量未満の場合には過剰のポリオール等が残存することとなり、また、3倍当量より多い場合には水を加えたときに尿素結合を多量に生成することとなり、いずれの場合もその特性を低下させるおそれがある。
【0021】
前記ポリオール成分としては、ジオール化合物、トリオール化合物等が挙げられ、これらは、1種類又は2種類以上混合で用いることができる。
【0022】
前記ジオール化合物及びトリオール化合物としては、低分子ポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエステルポリカーボネートポリオール類、結晶性又は非結晶性のポリカーボネートポリオール類、ポリブタジエンポリオール、シリコーンポリオールが挙げられ、中でも、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類が好適に使用できる。
【0023】
前記低分子ポリオール類としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキシトール類、ペンチトール類、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチロールプロパン等の三価以上のポリオールが挙げられる。
【0024】
前記ポリエーテルポリオール類としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のエチレンオキサイド付加物;ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のプロピレンオキサイド付加物;前記の低分子ポリオール類のエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。前記ポリエーテルポリオール類の数平均分子量としては、500〜7000が好ましく、より好ましくは1000〜5000である。
【0025】
前記ポリエステルポリオール類としては、前記に例示の低分子ポリオール類等のポリオールと、その化学量論量より少ない量の多価カルボン酸若しくはそのエステル、無水物、ハライド等のエステル形成性誘導体及び/又はラクトン類若しくはそれを加水分解開環して得られるヒドロキシカルボン酸との、直接エステル化反応及び/又はエステル交換反応により得られるものが挙げられる。前記多価カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、水添ダイマー酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸類;トリメリト酸、トリメシン酸、ひまし油脂肪酸の三量体等のトリカルボン酸類;ピロメリット酸等のテトラカルボン酸類等の多価カルボン酸が挙げられ、そのエステル形成性誘導体としては、これらの多価カルボン酸の酸無水物、該多価カルボン酸クロライド、ブロマイド等のハライド;該多価カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、アミルエステル等の低級脂肪族エステルが挙げられる。また、前記ラクトン類としては、γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、ジメチル−ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられる。前記ポリエステルポリオール類の数平均分子量としては、500〜7000が好ましく、より好ましくは1000〜5000である。
【0026】
前記ポリカーボネートポリオール類としては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオールとホスゲン、ジアリルカーボネート(例えばジフェニルカーボネート)又は環式カーボネート(例えばプロピレンカーボネート)との反応生成物等が挙げられる。前記ポリカーボネートポリオール類の数平均分子量としては、500〜7000が好ましく、より好ましくは1000〜5000である。
【0027】
前記イオン性基導入成分としては、アニオン性基を導入するものとカチオン性基を導入するものが挙げられる。アニオン性基を導入するものとしては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸等のカルボキシル基を含有するポリオール類、1,4−ブタンジオール−2−スルホン酸等のスルホン酸基を含有するポリオール類が挙げられ、カチオン性基を導入するものとしては、例えば、N,N−ジアルキルアルカノールアミン類、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、N−ブチル−N,N−ジエタノールアミン等のN−アルキル−N,N−ジアルカノールアミン類、トリアルカノールアミン類が挙げられる。
【0028】
前記イオン性基導入成分の使用量としては、用いるポリオール成分及びポリイソシアネート成分の種類や乳化剤使用との関係にもよるが、イオン性基導入成分を用いた自己乳化系においては、通常、水系ポリウレタン樹脂を構成する全ての反応成分中において、好ましくは0.5〜50重量%、さらに好ましくは1〜30質量%が用いられる。0.5質量%未満では保存安定性が劣ることがあり、また、50質量%を超えて使用するとウレタンプレポリマーの水分散性やウレタン塗膜の物性に悪影響を及ぼすことがある。
【0029】
前記イオン性基中和剤成分としては、アニオン性基の中和剤として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン類、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、1−ジメチルアミノ−2−メチル−2−プロパノール等のN,N−ジアルキルアルカノールアミン類、N−アルキル−N,N−ジアルカノールアミン類、トリエタノールアミン等のトリアルカノールアミン類等の3級アミン化合物;アンモニア、トリメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の塩基性化合物が挙げられ、カチオン性基の中和剤として、蟻酸、酢酸、乳酸、コハク酸、グルタル酸、クエン酸等の有機カルボン酸;パラトルエンスルホン酸、スルホン酸アルキル等の有機スルホン酸;塩酸、リン酸、硝酸、スルホン酸等の無機酸;エピハロヒドリン等のエポキシ化合物の他、ジアルキル硫酸、ハロゲン化アルキル等の4級化剤が挙げられる。これらの中和剤の使用量は、通常、イオン性基1モルに対して過不足が大きいと水系ポリウレタン樹脂から得られる塗膜等の耐水性、強度、伸び等の物性が低下するおそれがあるので、0.5〜2.0モルが好ましく、0.8〜1.5モルがより好ましい。
【0030】
前記乳化剤成分としては、例えば、脂肪酸塩、高級アルコールの硫酸エステル塩、液体脂肪油の硫酸エステル塩、脂肪族アミン及び脂肪族アマイドの硫酸塩、脂肪族アルコールのリン酸エステル、二塩基酸性脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸、ホルマリン縮合ナフタリンスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤、第一アミン塩、第二アミン塩、第三アミン塩、第四級アミン塩、ピリジニウム塩等のカチオン系界面活性剤、ベタイン型、硫酸エステル型、スルホン酸型等の両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0031】
前記鎖伸長剤成分としては、従来から水系ポリウレタン樹脂組成物に用いられている周知一般の鎖伸長剤を一種類又は二種類以上混合で使用することができ、多価アミン化合物、多価一級アルコール化合物等が好ましく、多価アミン化合物がより好ましい。
【0032】
前記多価アミン化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン等の前記例示の低分子ポリオール類のアルコール性水酸基がアミノ基に置換されたものである低分子ジアミン類;ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンジアミン等のポリエーテルジアミン類;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の脂環式ジアミン類;m−キシレンジアミン、α−(m/pアミノフェニル)エチルアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ジメチルチオトルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等の芳香族ジアミン類;ヒドラジン;前記のポリエステルポリオール類に用いられる多価カルボン酸で例示したジカルボン酸とヒドラジンの化合物であるジカルボン酸ジヒドラジド化合物が挙げられる。
【0033】
前記鎖伸長剤成分の使用量については、特に制限されることはなく、任意の量を選択して使用できるが、例えば、水系ポリウレタン樹脂の製造方法としてプレポリマー法を選択した場合、プレポリマー中のイソシアネート基の数1に対して鎖伸長剤成分の活性水素の数が0.1〜1.5の範囲が、得られる水系ポリウレタン樹脂の分散性が良好であるため好ましく、0.5〜1.0がより好ましい。
【0034】
前記水系ポリウレタン樹脂には、必要に応じて、周知一般に用いられるポリウレタン分子に架橋構造を与える架橋剤を用いてもよい。水系ポリウレタン樹脂に好適な架橋剤としては、メラミン、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、ブチル化メチロールメラミン、メラミン樹脂等が挙げられ、中でも、得られるポリウレタン樹脂の分散性が優れ且つ安価なメラミンが特に好ましい。
【0035】
また、前記水系ポリウレタン樹脂の製造においては、必要に応じて、反応に不活性な溶媒を使用することもできる。該溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン等を挙げることができ、これらの溶媒は、通常、プレポリマーを製造するために用いられる前述の各種原料の合計量に対して、3〜100質量%の量で用いられる。これらの溶媒のなかで、沸点100℃以下の溶媒はウレタンプレポリマーを水分散させた後、減圧留去することが好ましい。
【0036】
また、前記水系ポリウレタン樹脂において、使用される前記ポリイソシアネート成分のイソシアネート基と前記ポリオール成分のアルコール性水酸基との数の比であるNCO数/OH数は、1.0〜5.0であることが好ましく、1.05〜3.0の範囲がより好ましい。前記イソシアネート成分とポリオール成分とからなるウレタンプレポリマーは、必要に応じて用いられる前記イオン性基導入成分を反応させるために、末端イソシアネート基であることが好ましく、NCO数/OH数が1.0より小さいと、末端水酸基のウレタンプレポリマーとなるため好ましくない。また、5.0を超えると得られる水系ポリウレタン樹脂の保存安定性に影響を及ぼす場合があるので好ましくない。
【0037】
前述のように、これらの原料から水系ポリウレタン樹脂を製造することは周知であり、これらの原料の仕込み順序を適宜変更したり、あるいは分割して仕込むことも可能である。
【0038】
このようにして得られた水系ポリウレタン樹脂は、通常、樹脂固形分が1〜90質量%、好ましくは5〜80質量%となるように調整される。
【0039】
また、市販されている水系ポリウレタン樹脂をそのまま使用することも勿論可能であり、例えば、(株)ADEKA製の「アデカボンタイター」シリーズ、三井東圧化学(株)製の「オレスター」シリーズ、大日本インキ化学工業(株)製の「ボンディック」シリーズ、「ハイドラン」シリーズ、バイエル製の「インプラニール」シリーズ、日本ソフラン(株)製の「ソフラネート」シリーズ、花王(株)製の「ポイズ」シリーズ、三洋化成工業(株)製の「サンプレン」シリーズ、保土谷化学工業(株)製の「アイゼラックス」シリーズ、第一工業製薬(株)製の「スーパーフレックス」シリーズ、ゼネカ(株)製の「ネオレッツ」シリーズ等を用いることができる。
【0040】
本発明のガラス繊維集束剤は、前記水性樹脂にo−スルホベンズイミド化合物を含有させたものである。o−スルホベンズイミド化合物としては、o−スルホベンズイミド、o−スルホベンズイミドの塩、o−スルホベンズイミドのハロゲン化物、o−スルホベンズイミド誘導体等が挙げられ、具体的には、例えば、o−スルホベンズイミド、o−スルホベンズイミドナトリウム、o−スルホベンズイミドカリウム、o−スルホベンズイミドカルシウム、チオ−o−スルホベンズイミド、N−メチル−o−スルホベンズイミド、o−スルホベンズイミドメチルエーテル、N−プロポキシメトキシ−o−スルホベンズイミド、N−プロピル−o−スルホベンズイミド、N−(ヒドロキシメチル)−o−スルホベンズイミド、N−(2−ニトロフェニルチオ)o−スルホベンズイミド、N−ブロモ−o−スルホベンズイミド、N−ヨード−o−スルホベンズイミド、N−クロロ−o−スルホベンズイミド、アセチル−o−スルホベンズイミド、ブチリル−o−スルホベンズイミド、ヘキサノイル−o−スルホベンズイミド、オクタノイル−o−スルホベンズイミド、デカノイル−o−スルホベンズイミド、ラウロイル−o−スルホベンズイミド、ミリストイル−o−スルホベンズイミド、パルミトイル−o−スルホベンズイミド、ステアロイル−o−スルホベンズイミド、シンナモイル−o−スルホベンズイミド、3,4‐ジメトキシシンナモイル−o−スルホベンズイミド、3,4,5‐トリメトキシシンナモイル−o−スルホベンズイミド、N‐ビニル−o−スルホベンズイミド等が挙げられる。
【0041】
本発明のガラス繊維集束剤に用いる前記o−スルホベンズイミド化合物は、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。尚、前記o−スルホベンズイミド化合物は、水和物を含むものであってもよい。
【0042】
【化1】

【0043】
前記一般式(1)中のAで表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0044】
前記一般式(1)中のAで表される置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、へキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルへキシル、トリフルオロメチル等が挙げられ、これらの基中の水素原子は、例えばハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0045】
前記一般式(1)中のAで表される置換基を有してもよい炭素原子数1〜8のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、第二ブトキシ、第三ブトキシ、トリフルオロメチルオキシ等が挙げられ、これらの基中の水素原子は、例えばハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0046】
前記一般式(1)中のAは、前記アルキル基、アルコキシ基の他、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、第三ブチルチオ等の炭素原子数1〜5のアルキルチオ基、ニトロ基、シアノ基でもよい。
【0047】
前記一般式(1)中のXで表される金属原子としては、リチウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタニウム、マンガン、鉄、亜鉛、珪素、ジルコニウム、イットリウム又はバリウム等の金属原子が挙げられ、それらの中でも、カリウム、リチウム、ナトリウムは、ポリエステル樹脂の結晶化促進効果に優れているので好ましく、ナトリウムが特に好ましい。
【0048】
前記一般式(1)で表されるo−スルホベンズイミド化合物として、より具体的には、下記化合物No.1〜No.5で示される化合物等が挙げられるが、本発明はこれらの化合物によって限定されるものではない。
【0049】
【化2】

【0050】
【化3】

【0051】
【化4】

【0052】
【化5】

【0053】
【化6】

【0054】
本発明のガラス繊維集束剤において、前記o−スルホベンズイミド化合物の含有量は、前記水性樹脂100質量部に対して好ましくは0.5〜20質量部、更に好ましくは1〜10質量部である。該含有量が0.5質量部未満であると物性改善効果が充分得られない場合があり、20質量部を超えても効果の向上は期待されず、むしろ集束剤の機能に悪影響を与えるおそれがある。尚、含有量の基準となる「水性樹脂100質量部」は、前記水性樹脂の樹脂固形分としての量である(以下同様)。
【0055】
本発明のガラス繊維集束剤には、前記o−スルホベンズイミド化合物と共に、集束剤に通常用いられる配合剤、例えば、表面処理剤、潤滑剤、滑剤、帯電防止剤、pH調整剤、水等を配合することができる。尚、本発明のガラス繊維集束剤におけるこれらの任意の配合剤の含有量(水等を除いた固形分換算)は、本発明の効果を損ねないようにする観点から、水性樹脂100質量部に対して合計で50質量部以下とすることが好ましい。
【0056】
前記表面処理剤としては、例えば、アミノシラン系、エポキシシラン系、ビニルシラン系、メタクリロシラン系、ウレイドシラン系、ボラン系、チタネート系、アルミニウム系、クロム系、ジルコニウム系等のカップリング剤;コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等のコロイダルゲル等が挙げられる。
【0057】
前記潤滑剤としては、例えば、動植物油水添硬化物、パラフィンワックス、エステル系合成油等が挙げられる。
【0058】
前記滑剤(あるいは風合改質剤)としては、例えば、ブチルステアレート、テトラエチレンペンタミンジステアレート、水添ひまし油、イミダゾリン系脂肪酸アミド、カチオン性脂肪酸アミド、カチオン性ポリエチレンイミンポリアミド、ビスフェノールAポリ(オキシエチレン)エーテルグリコール等が挙げられる。
【0059】
前記帯電防止剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の各種界面活性剤が挙げられる。
【0060】
前記pH調整剤としては、例えば、アンモニア、酢酸等が挙げられる。
【0061】
前記o−スルホベンズイミド化合物を前記水性樹脂に含有させる方法及び時期に関しては特に限定されず、例えば、水系ポリウレタン樹脂等の水性樹脂の製造時に該水性樹脂の原料と共に予め配合する方法;水性樹脂を製造した後、該水性樹脂及び必要に応じて用いられる他の配合剤と混合する方法等を採ることができる。さらに、本発明のガラス繊維集束剤を、前記水性樹脂を含有する処理液と、該処理液とは別途の前記o−スルホベンズイミド化合物を含有する処理液とで構成し、これらの処理液を用いてガラス繊維を多段階に分けて処理して、ガラス表面で水性樹脂とo−スルホベンズイミド化合物とを一体化させてもよい。即ち、最終的にガラス繊維表面上に水性樹脂とo−スルホベンズイミド化合物とが存在するように、水性樹脂及びo−スルホベンズイミド化合物を用いればよい。
尚、必要に応じて用いられる他の配合剤も、上述のo−スルホベンズイミド化合物と同様にして前記水性樹脂に含有させることができる。
【0062】
本発明のガラス繊維集束剤でガラス繊維を処理する際には、本発明のガラス繊維集束剤が、ガラス繊維100質量部に対し、残存固形分で好ましくは0.05〜10質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部となるように処理される。本発明のガラス繊維集束剤の処理量が0.05質量部未満であると集束剤としての機能が不充分となる場合があり、10質量部を超えても本発明の効果の更なる改善は期待されず、むしろ物性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0063】
本発明のガラス繊維集束剤で処理するガラス繊維に特に制限はなく、その原料としては、含アルカリガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラスのいずれでもよく、これらの製造法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ロービング、チョップドストランド、ミルドファイバー等の方法が挙げられる。
【0064】
前記ガラス繊維の形態は、特に限定されるものではないが、繊維長0.5〜10mm、繊維径1 〜50μ、特に繊維長1〜5mm、繊維径2〜20μのものを用いることが、物性あるいは表面性が特に良好なものが得られるため好ましい。
【0065】
本発明のガラス繊維集束剤により前記ガラス繊維を処理する方法としては、浸漬塗布、ローラ塗布、吹き付け塗布、流し塗布、スプレー塗布等の公知の方法を任意に用いることができる。
【0066】
次に、本発明のガラス繊維強化結晶性樹脂組成物について詳述する。
本発明のガラス繊維強化結晶性樹脂組成物は、結晶性樹脂及びガラス繊維を含有してなるガラス繊維強化結晶性樹脂組成物において、前記ガラス繊維が本発明のガラス繊維集束剤で処理されてなることを特徴とするものである。
本発明のガラス繊維強化結晶性樹脂組成物は、目的に応じてそれぞれ任意の量の結晶性樹脂、及び本発明のガラス繊維集束剤で処理されたガラス繊維を含有するものであるが、95〜50質量%、特に90〜60質量%の結晶性樹脂、及び1〜50質量%、特に5〜40質量%の本発明のガラス繊維集束剤で処理されたガラス繊維を含有することが好ましい。該結晶性樹脂が50質量%未満の場合には成型品が脆くなったり、表面性が低下するおそれがあり、反対に該ガラス繊維が1質量%未満では十分な機械的物性の改善が得られない場合がある。
【0067】
前記結晶性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジポアミド等の直鎖ポリアミド樹脂;シンジオタクチックポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)及びこれらの共重合体等のポリスチレン系重合体等の結晶性合成樹脂を挙げることができ、中でもポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂を用いた場合に機械的特性に特に優れた成型品が得られるため好ましい。また、ガラス繊維との親和性を高めるために、これらの結晶性樹脂を不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体、塩素、ビニルシラン等で変性することもできる。
【0068】
前記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ステレオブロックポリプロピレン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン重合体、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体等のα−オレフィン共重合体等が挙げられる。
【0069】
前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンテレフタレート又はポリアルキレンナフタレートを含む芳香族ポリエステル;ポリエーテルエステル樹脂;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸樹脂、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2−オキセタノン)等の分解性脂肪族ポリエステル;芳香族ポリエステル/ポリエーテルブロック共重合体、芳香族ポリエステル/ポリラクトンブロック共重合体、ポリアリレート等が挙げられ、この中でもポリエチレンテレフタレート及び/又はポリブチレンテレフタレートが、透明性が良好なため、好ましく用いられる。
【0070】
また、本発明のガラス繊維強化結晶性樹脂組成物には、必要に応じて、フェノール系抗酸化剤、有機リン系抗酸化剤、チオエーテル系抗酸化剤、紫外線吸収剤あるいはヒンダードアミン化合物等の光安定剤を加え、その酸化安定性及び光安定性をさらに改善することができる。
【0071】
前記フェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4'−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4'−ブチリデンビス(2,6−ジ第三ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(6−第三ブチル−3−メチルフェノール)、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ第三ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
【0072】
また、前記有機リン系抗酸化剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4'−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2'−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、テトラトリデシル・4,4'−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、トリス(2−〔(2,4,7,9−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。
【0073】
また、前記チオエーテル系抗酸化剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類等が挙げられる。
【0074】
また、前記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5'−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−C12〜13混合アルコキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ−3−アリルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2'−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4'−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;各種の金属塩又は金属キレート、特にニッケル又はクロムの塩又はキレート類等が挙げられる。
【0075】
また、前記ヒンダードアミン化合物等の光安定剤としては、例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジルメタクリレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、1−(2−ヒドロキシエチル)−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、ビス{4−(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジル}デカンジオナート、ビス{4−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ウンデシルオキシ)ピペリジル)カーボナート、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製TINUVIN NOR 371等が挙げられる。
【0076】
また、本発明のガラス繊維強化結晶性樹脂組成物には、造核剤を配合することもでき、該造核剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、アルミニウム−p−第三ブチルベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレート、2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等の有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウム等の有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)等のカルボン酸アミド、ベンジリデンソルビトール及びビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(pーエチルベンジリデン)ソルビトール等のベンジリデンソルビトール誘導体、ナトリウム−2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等のリン化合物金属塩、及び2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム等を挙げることができる。
【0077】
また、本発明のガラス繊維強化結晶性樹脂組成物においては、本発明のガラス繊維集束剤に用いた前記o−スルホベンズイミド化合物に加えて、さらに前記o−スルホベンズイミド化合物を本発明のガラス繊維強化結晶性樹脂組成物中に第三成分として直接配合することもできる。
【0078】
その他、本発明のガラス繊維強化結晶性樹脂組成物には、必要に応じて、ノニオン系、カチオン系又はアニオン系の帯電防止剤、ハイドロタルサイト類、アルカリ土類金属の脂肪族カルボン酸塩、顔料、染料、充填剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、加工助剤等を加えることができる。
【0079】
本発明のガラス繊維強化結晶性樹脂組成物は、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、カレンダー成形、回転成形、架橋発泡成形等の周知の加工方法により、各種成型品等として使用することができ、例えば、家庭用電気製品、OA機器、自動車用内外装用部品等に特に好適に使用することができる。
【実施例】
【0080】
以下、実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例等によって何等制限を受けるものではない。
【0081】
〔実施例1及び比較例1〕
1,6−ヘキサンジオールのポリカーボネートジオール(平均分子量2000)139質量部、1,4−ブタンジオール13質量部、ジメチロールプロピオン酸13質量部及びイソホロンジイソシアネート85質量部をメチルエチルケトン中で反応させてプレポリマーを製造した。
【0082】
その後、水300質量部、トリエチルアミン10.8質量部、エチレンジアミン3.0質量部及び試験化合物(下記〔表1〕参照)12.5質量部を加え更に反応させた。その後メチルエチルケトンを留去して、水系ポリウレタン樹脂を主成分とするガラス繊維集束剤を製造した。
【0083】
ここで得られたガラス繊維集束剤を用い、チョップドストランド法により直径13μ、長さ3mmのガラス繊維a〜dを製造した。この際、ガラス繊維への集束剤の付着質量は、残存固形分として、ガラス繊維100質量部に対し1質量部であった。
尚、ガラス繊維a及びbは、それぞれ、試験化合物としてo−スルホベンズイミド化合物である前記化合物No.1及び2を用いたものである。ガラス繊維cは試験化合物不使用のものであり、ガラス繊維dは試験化合物として比較化合物−1を用いたものである。
【0084】
下記配合にてガラス繊維強化結晶性樹脂組成物(マレイン化ポリプロピレン樹脂組成物)を配合し、二軸押出し機で270℃で混練し、ペレタイザーでペレットを作成した。このペレットから成型温度270℃、金型温度80℃で射出成型法により試験片を作成した。
【0085】
この試験片を用いて、引張強度(ISO527−1)、曲げ強度(ISO178)及びシャルピー衝撃強度(ISO179)を測定した。また、この試験片の表面状態(表面の滑らかさ)を観察し評価した。表面状態の評価基準は、○:良好(表面の荒れがなく滑らか)、△:やや不良(表面に僅かに荒れ)及び×:不良(表面の荒れが目立つ)の3段階とした。それらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0086】
<配合>単位:質量部
マレイン化ポリプロピレン樹脂 80
ガラス繊維(下記〔表1〕参照) 20
テトラキス〔メチレン−3−(3',5'−ジ第三ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン 0.1
ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト 0.2
【0087】
【表1】

【0088】
〔実施例2及び比較例2〕
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(平均分子量2000)166質量部、1,4−ブタンジオール15質量部及びイソホロンジイソシアネート69質量部をメチルエチルケトン中で反応させてプレポリマーを製造した。
【0089】
その後、水300質量部、乳化剤(商品名「アデカプルロニックP−85」、(株)ADEKA製)5.0質量部、アジピン酸ジヒドラジド7.5質量部及び試験化合物(下記〔表2〕参照)12.5質量部を加え更に反応させた。その後メチルエチルケトンを留去して、水系ポリウレタン樹脂を主成分とするガラス繊維集束剤を製造した。
【0090】
ここで得られたガラス繊維集束剤を用い、チョップドストランド法により直径13μ、長さ3mmのガラス繊維e〜hを製造した。この際、ガラス繊維への集束剤の付着質量は、残存固形分として、ガラス繊維100質量部に対し1質量部であった。
尚、ガラス繊維e及びfは、それぞれ、試験化合物としてo−スルホベンズイミド化合物である前記化合物No.1及び2を用いたものである。ガラス繊維gは試験化合物不使用のものであり、ガラス繊維hは試験化合物として比較化合物−1を用いたものである。
【0091】
以下、実施例1と同様にして、ガラス繊維強化結晶性樹脂組成物(マレイン化ポリプロピレン樹脂組成物)を配合し、該組成物から試験片を作成し、各種強度の測定並びに表面状態の評価を行った。それらの結果を下記〔表2〕に示す。
【0092】
【表2】

【0093】
〔実施例3及び比較例3〕
ガラス繊維強化結晶性樹脂組成物の配合において、マレイン化ポリプロピレン樹脂80質量部及びガラス繊維20質量部に代えて、ポリエチレンテレフタレート樹脂(ユニチカ(株)製、MA−2103、IV=0.68)70質量部及びガラス繊維(下記〔表3〕参照)30質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作成し、各種強度の測定並びに表面状態の評価を行った。それらの結果を下記〔表3〕に記す。
【0094】
【表3】

【0095】
以上の実施例及び比較例から、以下の点が明らかである。
水性樹脂のみからなる集束剤で処理したガラス繊維を用いると、ガラス繊維強化結晶性樹脂組成物は、表面性が不良で、その強度においても不十分なものである。また、水性樹脂に芳香族リン酸エステル金属塩を含有させた集束剤で処理したガラス繊維を用いると、ガラス繊維強化結晶性樹脂組成物の表面性及び強度は幾分改善するが、未だ不十分である。また、ガラス繊維強化結晶性樹脂組成物中にo−スルホベンズイミド化合物を直接配合した場合も、その強度あるいは表面性の改善は未だ不十分である。
【0096】
これに対し、水性樹脂にo−スルホベンズイミド化合物を含有させた本発明のガラス繊維集束剤で処理したガラス繊維を用いると、ガラス繊維強化結晶性樹脂組成物においては、優れた強度及び表面性の向上が見られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
o−スルホベンズイミド化合物を含有する水性樹脂であることを特徴とするガラス繊維集束剤。
【請求項2】
前記o−スルホベンズイミド化合物が下記一般式(1)で表される請求項1に記載のガラス繊維集束剤。
【化1】

【請求項3】
前記水性樹脂が水系ポリウレタン樹脂である請求項1又は2に記載のガラス繊維集束剤。
【請求項4】
結晶性樹脂及びガラス繊維を含有してなるガラス繊維強化結晶性樹脂組成物において、前記ガラス繊維が請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス繊維集束剤で処理されてなることを特徴とするガラス繊維強化結晶性樹脂組成物。
【請求項5】
前記結晶性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である請求項4記載のガラス繊維強化結晶性樹脂組成物。
【請求項6】
前記結晶性樹脂が、ポリエステル系樹脂である請求項4記載のガラス繊維強化結晶性樹脂組成物。

【公開番号】特開2012−193081(P2012−193081A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59163(P2011−59163)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】