説明

ガンマ抵抗性不織布ウェブ積層体

ガンマ及びE−ビーム抵抗性不織布ウェブ積層体素材が、産業的用途のために提供される。不織布ウェブ積層体は、不織布素材の少なくとも1つの層とコーティング素材の第2層とを含んでもよい。不織布ウェブ積層体素材のコーティング素材は、7500G/24時間の水蒸気透過速度を有する微孔性膜を含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年6月3日に出願された仮出願番号第61/158,146号に対して米国特許法第119条(e)に基づき優先権を主張するものである。
【0002】
各種の実施形態は、ガンマ抵抗性不織布ウェブ積層体(gamma resistant nonwoven web laminates)のための新しい製品及び用法を形成するための、不織布素材から製造され且つ膜が接着された不織布素材を含み、ガンマ又はE−ビーム滅菌による照射を受ける布に関する。
【背景技術】
【0003】
不織布素材及びそれらの積層体は、様々な用途において使用される。それらは、医療用防護衣服、外科的ドレープ、クリーンルーム用衣服としてヘルスケアにおいて、及び熱傷ユニットにおいて使用されてもよい。それらは、除染ユニット、個人用防護衣服、ドレープにおける、外科的分野、滅菌等のある種の環境を保持するために産業上使用されてもよい。
【0004】
ある種の用途、例えば外科において使用されるドレープなどにおいて、不織布素材は、滅菌を必要とする可能性がある。産業界において、幾つかの滅菌技術が使用されてもよい。好ましくは、ガンマ線又は電子ビーム(E−ビーム)を用いる滅菌技術である。ガンマ線及びE−ビームは、細菌等の生物を死滅させるために使用され得るので好ましい。生物を死滅させるこのプロセスは、照射と呼ばれる。ガンマ線は、非常に短い波長を有し、単一の入射光子が生細胞に対する著しい損傷を引き起こし得る。E−ビームは、電子として、通常は、生細胞に対する損傷を引き起こす可能性もある、対象物を滅菌するために使用され得る高エネルギー電子を使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガンマ線及びE−ビームは非常に強力なので、不織布素材に対する損傷を引き起こす可能性があり、その素材に対してある種の物理的及び機能的特性を喪失させ、悪臭を発生させる。したがって、ガンマ又はE−ビーム照射によって著しい影響を受けないコンポーネントで構築した布を製造するために、より多くの研究が産業界において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態は、ガンマ及びE−ビーム滅菌可能な不織布及びコーティング素材を含む不織布ウェブ積層体を含む。コーティング素材は、7500G/24時間の水蒸気透過速度を有する微孔性膜を含んでもよい。本実施形態における不織布ウェブ積層体は、60kGy超のガンマ放射線に供しても劣化せず、悪臭を発生させない。ガンマ及びE−ビーム抵抗性不織布ウェブ積層体を使用して、ガンマ及びE−ビーム抵抗性複合布を形成してもよい。
【0007】
「繊維」又は「線維性」という用語は、各素材の長さと直径との比が約10超である粒子素材を意味する。逆に、「非繊維」又は「非線維性」とは、上記の直径比が約10以下である粒子素材を意味する。
【0008】
本明細書において用いられる用語「ポリエステル」とは、反復単位の少なくとも85%が、エステル単位の形成によって生じた結合を有するジカルボン酸と二価アルコールとの縮合生成物であるポリマーを包含するものが意図される。これに当たるものとしては、芳香族、脂肪族、飽和及び不飽和の二酸及びジアルコールが挙げられる。また、本明細書において用いられる用語「ポリエステル」は、コポリマー(copolymer)(例えば、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ランダムコポリマー及び交互コポリマー)、それらの混合物及び変形物をも包含する。ポリエステルの一般的な例は、エチレングリコールとテレフタル酸との縮合生成物であるポリエチレンテレフタレート(PET)である。
【0009】
本明細書において用いられる用語「ナイロン」とは、等量のジアミンとジカルボン酸とを反応させ、その結果ポリペプチドバイオポリマーと同様のプロセスにおいて各モノマーの両端でペプチド結合を形成することによって形成される縮合コポリマーを包含するものが意図される。ポリエステル等の他の通常のコポリマーと同様に、反復単位は各モノマーの1つから成り、その結果、それらは鎖中に交互に並ぶ。
【0010】
本明細書において用いられる用語「スパンボンド(spunbond)」フィラメントは、押し出されたフィラメントの直径を有する紡糸口金の複数の微細な毛管から溶融した熱可塑性ポリマー素材をフィラメントとして押し出し、次いで引き抜きによって急速に縮小させることによって形成されるフィラメントを意味する。スパンボンドフィラメントは、一般に連続しており、通常、約5ミクロン超の平均直径を有する。スパンボンド不織布又はウェブは、スパンボンドフィラメントを有孔スクリーンやベルト等の捕集面上にランダムに敷設することによって形成される。スパンボンドウェブは、ホットロールカレンダー加工、通風結合、又はウェブのその飽和蒸気チャンバを通した高圧における迂回等、当該技術分野における公知の方法によって結合されてもよい。例えば、ウェブを、スパンボンド布全体に位置する複数の熱結合点において熱的に点結合させてもよい。
【0011】
本明細書において用いられる用語「メルトブローン(meltblown)」繊維とは、溶融加工可能なポリマーを、複数の毛管を通して、高速加熱ガス流中に、溶融糸又はフィラメントとして押し出すことによって形成される繊維をいう。高速ガス流は、溶融した熱可塑性ポリマー素材であるフィラメントを細くして、その直径を約0.5〜10ミクロンに縮小する。メルトブローン繊維は、一般に不連続な繊維であるが、連続していてもよい。高速ガス流によって運ばれたメルトブロー繊維は、一般に捕集面上に沈積して、ランダムに分散した繊維のメルトブローウェブを形成する
【0012】
本明細書において用いられる用語「カーディング可能な(cardable)」繊維とは、ブラッシング又は洗浄してそれを織物として調製することができる繊維を意味する。カーディングを用いて、無秩序の繊維を取り、それを紡糸のために調製して、カードからの出力口における機構に応じて不織布製品になる繊維のウェブを製造する。それを用いて、異なる繊維又は異なる色の混合物を製造することもできる。カーディングプロセスは、異なる繊維を混合し、同時にそれを整理し、もつれを取り除きながら、各種の繊維の均一混合物を製造する。
【0013】
本明細書において用いられる用語「カーディング可能な熱結合」繊維は、不織布を製造するために繊維を配向し、からみ合わせる何千もの針を含む機械的プロセスを意味する。
【0014】
本明細書において用いられる用語「ニードルパンチ結合」繊維は、不織布を製造するために繊維を配向し、からみ合わせる何千もの針を含む機械的プロセスを意味する。
【0015】
本明細書において用いられる用語「ニードルパンチ補強スクリム」素材は、ニードルパンチ結合プロセスによって製造されるスクリムを意味する。
【0016】
本明細書において用いられる用語「水流交絡(hydroentangled)」繊維は、水流交絡法を用いて製造される任意の繊維又はフィラメントを指す。水流交絡法は、ウェブ中における繊維を交絡させるためにカードウェブを高圧液ジェット流に供し、それによってウェブに対して特定の交絡構造と適切な機械的性質とを提供する方法を含む。この水流交絡プロセスによって製造された不織布は、繊維が単に機械的に交絡し、一緒に堅固に結合しないので、他のいずれの織布及び不織布よりも高い布中の繊維の移動度を可能にする。したがって、その繊維は、ドレープ及び柔軟触覚特性を一緒に改善する柔軟で且つ結合が自由な特性を有する。
【0017】
本明細書に示される布のうちの幾つかは、粘性水流交絡繊維と結合する。
【0018】
本明細書において用いられる用語「不織布、シート又はウェブ」とは、編まれた又は織られた布と対照的に、同一とみなし得るパターンなしで平面素材を形成するためにランダムな様式で配置された個々の繊維、フィラメント又は糸の構造を意味する。
【0019】
用語「フィラメント」は、連続したフィラメントを指すものとしてに本明細書において用いられるが、一方で用語「繊維」は、連続した又は不連続の繊維を指すものとして本明細書において用いられる。
【0020】
本明細書において用いられる用語「フィラメントのマルチプルコンポーネント(multiple component of filament)」及び「マルチプルコンポーネント繊維(multiple component fiber)」とは、単一のフィラメント又は繊維を形成するために一緒に紡糸された少なくとも2種の別のポリマーから構成される任意のフィラメント又は繊維を指す。マルチプルコンポーネント繊維又はフィラメントは、2種の別のポリマーから製造され、マルチプルコンポーネント繊維の断面を横切って、繊維の全長に沿って延長する別の区域内に配置されたバイコンポーネント(bicomponent)繊維又はフィラメントであってもよい。マルチプルコンポーネント繊維及びフィラメントは、シートコア(sheet−core)及びサイドバイサイド(side−by−side)繊維を含むものでもよい。
【0021】
本明細書において用いられるとき、「二成分繊維」又は「多成分繊維」は、押し出しプロセスの前に組み合わせられる少なくとも2種のポリマー成分の密接混合物を含む繊維を意味する。
【0022】
本明細書において用いられる用語「多成分ウェブ」とは、多成分繊維又は多成分フィラメントを含む不織布ウェブを指す。本明細書において用いられる用語「二成分ウェブ」とは、二成分フィラメント又は二成分繊維を含む不織布ウェブを指す。多成分及び二成分ウェブは、マルチプルコンポーネント繊維と単一成分繊維との混合物から構成されてもよい。
【0023】
本明細書において用いられる用語「直鎖状低密度ポリエチレン(linear low density polyethylene)」(LLDPE)とは、約0.955g/cm未満の密度を有する直鎖状エチレン/α−オレフィンコポリマーを指す。直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンと、微量のアルファ、ベータ−エチレン性不飽和アルケンコポリマー(α−オレフィン)、α−オレフィン分子1個当たり3〜12個の炭素を有するα−オレフィンコールモノマーとを共重合することによって調製される各種の実施形態において用いられる。各種の実施形態において有用なLLDPEを製造するためにエチレンと共重合され得るα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1‐オクテン、1−デセン又はその混合物を挙げることができる。主ポリマー「バックボーン」からの重合モノマー単位ペンダントの分枝鎖の実質的な非存在のため、かかるポリマーを「直鎖状」に向きを変える。各種の実施形態において使用される直鎖状低密度ポリエチレンは、Ziegler Natta又はメタロセン触媒のいずれかを使用して調製されてもよい。市販の適切なLLDPEのものの例としては、Dow Chemical Companyから入手可能なもの、例えば、ASPUN Type 6811A(密度0.923g/cm)、Dow LLDPE 2500(密度0.923g/cm)、Dow LLDPE Type 6808A(密度0.940g/cm)、ENGAGE(登録商標)(Dow Chemical Co.)、並びにExxon Chemical CompanyからのLLDPEポリマーのEXACT(登録商標)及びEXCEED(登録商標)シリーズ、例えば、EXACT(登録商標)2003(密度0.921g/cm)が挙げられる。
【0024】
本明細書において用いられる用語「高密度ポリエチレン」(HDPE)は、少なくとも約0.94g/cm、好ましくは約0.94g/cm〜約0.965g/cmの範囲の密度を有するポリエチレンホームオールポリマーを指す。
【0025】
本明細書において用いられる用語「積層」とは、別々のコンポーネントの個々の特徴に基づく物性の変形をもたらすために2種の素材を組み合わせることを意味する。いずれの布の積層も、「積層体」を形成する。
【0026】
各種の実施形態は、ガンマ線又はEビーム抵抗性であり、0.04ミクロン〜0.3ミクロンのサイズの粒子に対する改善された粒子バリア性を含む不織布ウェブ積層体を提供する。各種の実施形態の不織布ウェブ積層体は、少なくとも2つの層を含むものでもよい。第1層は、ポリエステルスパンボンドウェブ等の不織布素材を含んでもよく、第2層は、ポリエチレンバリア膜等のコーティング素材を含んでもよい。
【0027】
一実施形態において、不織布素材は、ポリエステル又はポリアミド(ナイロン)繊維を完全に又は部分的に含むものでもよい。例えば、不織布素材は、ポリエステル繊維を完全に含んでもよい。不織布ポリエステル繊維としては、100%ポリエステルスパンボンド繊維、100%ポリエステルカーディング熱結合繊維、100%ポリエステルニードルパンチ結合繊維、100%ポリエステルニードルパンチ補強スクリム素材、100%ポリエステル水流交絡繊維、ナイロン水流交絡繊維と混合した100%ポリエステルを挙げることができる。100%ポリエステルニードルパンチ補強スクリムは、素材として、例えば、綿、ポリエステル、ポリエチレン又はナイロン結合繊維を用いてもよい。
【0028】
不織布ナイロン繊維としては、100%ナイロンスパンボンド繊維、100%ナイロンカーディング熱結合繊維、100%ナイロンニードルパンチ結合繊維、100%ナイロンニードルパンチ補強スクリム素材、100%ナイロン水流交絡繊維、粘性水流交絡繊維と結合した100%ナイロンを挙げることができる。100%ポリエステルニードルパンチ補強スクリムは、素材として、例えば、綿、ポリエステル、ポリエチレン又はナイロン結合繊維を用いることができる。
【0029】
不織布素材の実施形態は、100%ポリエステル又は100%ナイロンを部分的に含んでもよく、多成分繊維(multiconstituent fibers)又は他のカーディング可能なステープル繊維を更に含んでもよくる。多成分繊維は、多成分繊維が著しく安価に製造されるのでマルチプルコンポーネント繊維(例えば、シースコア(sheath−core)又はサイドバイサイドバイコンポーネント繊維(side−by−side bicomponent fibers))よりも使用される。多成分繊維を製造するための製造プロセスは、マルチプルコンポーネント繊維を製造するために使用されるプロセスよりも複雑でなく、繊維の製造中の押し出し量は非常に大きい。ガンマ又はE−ビーム抵抗性であるが多成分繊維でないカーディング可能なステープル繊維としては、例えば、セルロース繊維、例えば、綿又はレーヨン繊維が挙げられる。
【0030】
一実施形態において、不織布素材は、不織布素材の少なくとも75重量%がガンマ又はE−ビーム抵抗性ポリマーを含む限り、多成分繊維又は他のカーディング可能なステープル繊維を部分的に含んでもよい。別の実施形態において、不織布素材は、不織布素材の100重量%がガンマ又はE−ビーム抵抗性ポリマーを含む限り、多成分繊維又は他のカーディング可能なステープル繊維から部分的に製造されてもよい。
【0031】
各種の実施形態の多成分不織布繊維を調製する際に有用なガンマ又はE−ビーム抵抗性ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリエステル及びポリスチレンを挙げることができる。多くの用途において、ポリエチレンは好ましい化合物でありてもよい。エチレンポリマーは、コポリマー又はエチレンホモポリマー若しくはコポリマーであってもよい。エチレンホモポリマーは、低密度、高密度又は直鎖状低密度エチレンポリマーであってもよい。エチレンコポリマーは、最高20重量%の別のα−オレフィン、例えば、プロピレン、ブタン、オクタン及びヘキサンを含んでもよい。エチレン10ポリマー繊維は、典型的には、約0.88〜約0.97g/cmの密度を有する。
【0032】
各種の実施形態の不織布素材を製造するために使用される多成分繊維としては、ポリマーの混合物であるポリマー溶融体から紡糸された繊維を挙げることができる。多成分繊維は、疎水性若しくは親水性表面、又は疎水性及び親水性表面を有する繊維の混合物を有するものでもよい。カーディング可能な多成分ステープル繊維としては、例えば、Hercules Inc.,Wilmington,DL,U.S.から入手可能なT−412及びT−413 HIMED(登録商標)ポリオレフィン繊維を挙げることができる。
【0033】
各種の実施形態において、カーディング可能な多成分繊維は、1.5デシテックス(decitex)超の繊維繊度を有してもよい。しかし、1.5デシテックス未満の繊度を有する繊維を使用してもよい。デシテックスは、各繊維の10,000メートルのグラム量である。ステープル繊維は、好ましくは長さが約1〜約6インチ又はより好ましくは約1〜約3インチ、及び最も好ましくは長さが約1と1/4〜約2インチである。
【0034】
多成分繊維は、2つの型のエチレンポリマーを含んでもよい。一方のエチレンポリマーは、例えば、高密度ポリエチレンであってもよい。別のエチレンポリマーは、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンであってもよい。
【0035】
高密度ポリエチレンは、従来のスパンボンドプロセスにおいて十分に紡糸され、紡糸の間に非常に低いレベルの揮発性素材を生成する。しかし、これらのポリエチレンは、非常に硬いフィラメントを生成し、それによってスパンボンドプロセス等のある種の調製の間に捕集面上に均一にフィラメントを配置することが困難になり、硬い手ざわりを有する素材を提供する。更に、これらのポリエチレンのための結合窓は非常に狭く、それを加工することが困難になる。「結合窓(bonding window)」という用語は、結合が成功する温度の範囲を意味する。高密度ポリエチレンに対する結合窓は、約125℃〜約133℃である。125℃未満では、高密度ポリエチレンは、溶融し、結合するのに十分熱くない。133℃超では、それは過剰に溶融する。
【0036】
直鎖状低密度ポリエチレンは、より広い結合窓を有するので、加工がより容易である。直鎖状低密度ポリエチレンに対する結合窓は、約100℃〜約125℃である。直鎖状低密度ポリエチレンはまた、所望の柔らかい手ざわりを有する素材をも形成する。しかし、直鎖状低密度ポリエチレンを加工することは、例えばスパンボンド押し出しプロセスの間にそれが放出する高レベルの揮発性素材のために困難でありてもよい。加工機器上の高レベルの沈積物形成は、機器を掃除するために製造プロセスが時々操業停止になることを表す。その結果、このプロセスは、高密度ポリエチレン加工と比較して、より時間がかかり且つよりコストがかかる。
【0037】
一実施形態において、多成分繊維は、主な連続直鎖状低密度ポリエチレン相と、高密度ポリエチレンを含む少なくとも1つの不連続相とを含んでもよい。不連続相は、領域の形態の主な連続相を通して分散してもよく、不連続相の少なくとも約70重量%は、約0.05〜約.03ミクロンの直径を有する領域を含む。好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンは、約55重量%〜約90重量%の繊維を含む。より好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンは、約70重量%〜約90重量%の繊維を含む。最も好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンは、約80重量%〜約90重量%の繊維を含む。これらの繊維、それらの製造方法、及びこれらの繊維から製造される不織布素材は、米国特許第5,487,943号に開示されている。
【0038】
各種の実施形態において、本発明の布の第2層において使用されるコーティング素材は、ガンマ放射線又はE−ビーム抵抗性ポリマーであってもよい。ガンマ放射線又はE−ビーム抵抗性ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル及びセルロース繊維、例えば、綿、レーヨン及び木材パルプ繊維を挙げることができる。好ましくは、不織布ウェブ積層体の第2層において使用されるコーティング素材は、ポリエチレンである。エチレンポリマーは、エチレンホモポリマー又はエチレンのコポリマー及び最高20重量%の別のα−オレフィン、例えばプロピレン、ブタン、オクタン及びヘキセン等であってもよい。エチレンホモポリマーは、低密度、高密度又は直鎖状低密度エチレンポリマーであってもよい。好ましくは、コーティング層は膜であってもよい。
【0039】
各種の実施形態において、コーティング層はバリア層であってもよい。膜がバリア層として用いられる場合、それは微孔性膜であってもよい。好ましい実施形態において、微孔性膜層は、7500G/24時間以上の水蒸気透過速度(WVTR)を有してもよい。
【0040】
一実施形態において、微孔性膜の製造プロセスにおいて炭酸カルシウムを加えてもよい。各種の実施形態の膜を製造するプロセスにおいて炭酸カルシウムの量を変化させることは、膜の微孔性に影響を及ぼす可能性がある。7500G/24時間のWVTRを有する微孔性膜層は、製造中に有効量の炭酸カルシウムを膜素材に加えることによって製造されてもよい。微孔性膜の製造プロセスは、本分野において一般的なものである。
【0041】
各種の実施形態において使用される微孔性膜は、液体不透過性であり、空気に対して透過性であってもよく、又は透過性でなくてもよい。空気に対する透過性は、コーティング層において使用される素材の型に依存してもよい。好ましい実施形態において、積層体において使用される微孔性膜は、空気に対して透過性であるが、液体に対して不透過性である。
【0042】
各種の実施形態の布のコーティング層において使用される素材は、空気不透過性であってもよい。
【0043】
少なくとも1種の不織布素材と少なくとも1つのコーティング層とを組み合わせて、各種の実施形態において使用される不織布ウェブ積層体を形成する。この不織布ウェブ積層体の層を結合するために使用される技術としては、連続ホットメルト蒸気、結合熱カレンダー結合、超音波結合及びスポット接着結合を挙げることができる。
【0044】
布のコンポーネントは、好ましくは結合される。不織布素材は、技術、例えば、カレンダー熱結合、通風結合、高穿孔交絡、ニードルパンチ、超音波結合及びラテックス結合の組み合わせのうちのいずれか1つを用いてバリア層と組み合わせる前に、熱的に圧密化されてもよい。バリア層が膜である場合、膜の別々の層を不織布素材と組み合わせてもよく、又は膜の薄層を不織布素材上に押し出し被覆してもよい。スパンボンド層等の更なる層は、それがガンマ又はE−ビーム抵抗性である限り存在してもよい。
【0045】
一実施形態によれば、不織布若しくはバリア層のいずれか又は両方は、当該技術分野において一般的に用いられる添加剤、例えば、顔料、充填剤、安定剤及び抗酸化剤を含有してもよい。
【0046】
更なる一実施形態において、不織布ウェブ積層体は、0.04ミクロン〜0.3ミクロンのサイズを有する粒子に対して微粒子濾過効率のパーセントが改善する。
【0047】
ある種の不織布ウェブ積層体の最終用途のために、不織布が、同一の不織布層又は異なる層、例えば、異なるポリマー組成の繊維を含む不織布に熱的に結合する場合に良好な熱封止性を有することが望ましい。例えば、医療用衣服等の衣類用途の保護において、ステッチングプロセスの間に針が挿入される際に生じる孔の形成を回避するために継目を熱封止することによって衣服を調製することが望ましい可能性がある。別の場合、補強部分を、接着剤又はステッチングプロセスを用いる代わりに所定位置で熱的に結合してもよい。
【0048】
良好な熱封止性に加えて、不織布が、できるだけ柔軟で且つドレープ可能であると共に高強度を有することが望ましい。医療の最終用途のために、不織布が、ガンマ放射線によって滅菌され得るポリマーの繊維から製造されることも望ましい。
【0049】
各種の実施形態の不織布ウェブ積層体布は、ガンマ線滅菌を受ける任意の医療、衛生又は関連の用途のために有用である。例えば、本発明の布は、外科的ガロン、外科的ドレープ及びクリーンルーム用衣服において使用されてもよい。これらの布は、ガンマ放射線及びE−ビーム抵抗性であり、布をその用途に不適切にし得る物理的又は化学的性質の変化を示すことなく布を滅菌するのに十分なガンマ放射線処理に耐えることができる。
【0050】
ガンマ放射線曝露レベルは滅菌プロセスにおいて用いるか、又はMrad(メガラド:mega−rad)若しくはkGy(キログレイ:kilo−Gray)で測定する。1Mradは、10kGyに等しい。滅菌プロセスのための典型的な線量は、2〜6Mrad(20〜60kGy)である。実施形態の不織布ウェブ積層体は、コロニー形成単位において10−6を達成し得る60kGy超のガンマ放射線に供する場合、劣化する可能性がなく、悪臭を発生させる可能性もない。
【0051】
布の坪量は、1平方メートルの布のグラム量である。一実施形態において、各種の実施形態の不織布ウェブ積層体の平均坪量は、1平方ヤード当たり1oz〜10ozであってもよい。
【0052】
一実施形態は、微粒子バリア性を維持すると共に物理的劣化、機能不良及び臭気の生成に対して改善されたガンマ又はE−ビーム抵抗性を有する不織布接着結合ウェブ積層体を含む。これらの不織布接着結合ウェブ積層体は、0.04ミクロン〜0.3ミクロンのサイズの粒子に対する微粒子バリア性を改善することも可能である。
【0053】
各種の実施形態によれば、不織布ウェブ積層体布は、様々な用途、例えば、医療用防護衣服、外科的ドレープ、クリーンルーム用衣服及び熱傷ユニット;除染ユニット、職員用防護衣服、ドレープ及び滅菌環境のための複合布において使用されてもよい。医療、除染及び外科的用途において使用される複合布は、それらの使用の前にしばしば滅菌を必要とする。この実施形態の複合布は、布に対する損傷や悪臭を発生する臭気の生成なしでガンマ及びE−ビーム放射線を用いて滅菌されてもよい。ガンマ放射線及びE−ビーム照射を含む幾つかの滅菌技術が、産業界において用いられる。ガンマ線滅菌は、限定を意味するものではないが、好ましい技術である。ガンマ又はE−ビーム放射線に対する曝露の間、布コンポーネントの著しい劣化は生じず、機械的性質の喪失を引き起こさない。したがって、これらの布は、市販の滅菌プロセスにおいて用いられるガンマ放射線レベルによって著しく影響を受けないコンポーネントから構築されることが望ましい。
【0054】
例示的な実施形態において、微孔性ポリエチレン膜とポリエステルスパンボンド不織布とを含む不織布ウェブ積層体布を複合布において使用してもよい。これらの複合布は、織物のような感触及び快適性を提供するために典型的には少なくとも1つの線維層を含む。
【0055】
更なる例示的な実施形態において、ポリエチレン膜とポリエステルスパンボンド不織布とを含む不織布ウェブ積層体布を複合布において使用してもよい。これらの複合布は、織物のような感触及び快適性を提供するために典型的には少なくとも1つの線維層を含む。
【0056】
ポリエステル、ナイロン及びポリエチレンは、医療用アイテムの滅菌において用いられるガンマ又はE−ビーム放射線の線量に対する曝露の際に一般に広範囲にわたる悪化を受けない。ポリエステル及びナイロン織物は、柔軟な手ざわり、良好なドレープ及びポリエチレン膜に対する熱封止能力を含む他の好ましい属性を有する。ポリエチレンは、ポリエステル又はナイロン織物と比較して相対的な化学的不活性、とりわけ酸性又はアルカリ性条件に対するその抵抗性を有する。
【0057】
更なる例示的な実施形態において、微孔性ポリエチレン膜とポリエステルカーディング熱結合不織布素材とを含む不織布ウェブ積層体布を複合布において使用することができる。この実施形態の複合布は、織物のような感触及び快適性を提供するために少なくとも1つの線維層を含む。
【0058】
更なる例示的な実施形態において、ポリエチレン膜とポリエステルカーディング熱結合不織布素材とを含む不織布ウェブ積層体布を複合布において使用してもよい。これらの複合布は、織物のような感触及び快適性を提供するために典型的には少なくとも1つの線維層を含む。
【0059】
更なる例示的な実施形態において、複合布に使用され得る不織布ウェブ積層体布は、ポリエステルニードルパンチ結合繊維の1つの層とポリエチレン微孔性膜から形成された少なくとも1つの層とから形成された少なくとも2つの層の多層不織布ウェブ積層体を含んでもよく、ポリエチレン微孔性膜から形成された層は、バリアとしての役割を果たし、ポリエステルニードルパンチ結合繊維は、支持シートとしての役割を果たす。微孔性膜は、7500G/24時間以上の水蒸気透過速度を有してもよい。これらの複合布は、織物のような感触及び快適性を提供するために典型的には少なくとも1つの線維層を含む。この例示的な実施形態の複合素材は、除染用組み立て型テントの形態又は患者のための滅菌毛布において使用されてもよい。他の用途としては、個人用保護衣類及び外科的ドレープを挙げることができる。
【0060】
更なる例示的な実施形態において、複合布に使用され得る不織布ウェブ積層体布は、ポリエステルニードルパンチ結合繊維の1つの層と、ポリエチレン膜から形成された少なくとも1つの層とから形成された、少なくとも2つの層を含む多層不織布ウェブ積層体を含んでもよく、ポリエチレン膜から形成された層は、バリアとしての役割を果たし、ポリエステルニードルパンチ結合繊維は、支持シートとしての役割を果たす。これらの複合布は、織物のような感触及び快適性を提供するために典型的には少なくとも1つの線維層を含む。この例示的な実施形態の複合素材は、除染用組み立て型テントの形態又は患者のための滅菌毛布において使用されてもよい。他の用途としては、個人用保護衣類及び外科的ドレープを挙げることができる。
【0061】
更なる実施形態において、複合布に使用され得る不織布ウェブ積層体布は、ポリエステルニードルパンチ補強スクリム素材の1つの層であって、前記スクリム素材が綿、ポリエステル、ポリエチレン又はナイロン結合繊維である層と、ポリエチレン微孔性膜から形成された少なくとも1つの層とから形成された少なくとも2つの層を含む多層不織布ウェブ積層体を含んでもよく、微孔性膜から形成された層は、バリアとしての役割を果たし、ポリエステルニードルパンチ補強スクリム素材は、支持シートとしての役割を果たす。微孔性膜は、7500G/24時間以上の水蒸気透過速度を有するものでもよい。この例示的な実施形態の複合素材は、除染用組み立て型テントの形態又は患者のための滅菌毛布において使用されてもよい。他の用途としては、個人用保護衣類及び外科的ドレープを挙げることができる。
【0062】
更なる例示的な実施形態において、複合布に使用され得る不織布ウェブ積層体布は、ポリエステルニードルパンチ補強スクリム素材の1つ層であって、前記スクリム素材が綿、ポリエステル、ポリエチレン又はナイロン結合繊維である層と、ポリエチレン膜から形成された少なくとも1つの層とから形成された少なくとも2つの層を含む多層不織布ウェブ積層体を含んでもよく、微孔性膜から形成された層は、バリアとしての役割を果たし、ポリエステルニードルパンチ補強スクリム素材は、支持シートとしての役割を果たす。この例示的な実施形態の複合素材は、除染用組み立て型テントの形態又は患者のための滅菌毛布において使用されてもよい。他の用途としては、個人用保護衣類及び外科的ドレープを挙げることができる。
【0063】
更なる実施形態において、複合布に使用され得る不織布ウェブ積層体布は、微孔性ポリエチレン膜を含んでもよく、ポリエステルスパンレース不織布素材は、様々な用途、例えば、医療用防護衣服、外科的ドレープ、クリーンルーム用衣服、熱傷ユニット、除染ユニット、職員用防護衣服、ドレープ及び滅菌環境において使用されてもよい。
【0064】
更なる例示的な実施形態において、複合布に使用され得る不織布ウェブ積層体布は、レーヨン水流交絡繊維と混合したポリエステルの1つの層とポリエチレン膜から形成された少なくとも1つの層とから形成された少なくとも2つの層を含む多層不織布ウェブ積層体を含んでもよく、ポリエチレン膜から形成された層は、バリアとしての役割を果たし、粘性水流交絡ファイバー素材と混合したポリエステルは、支持シートとしての役割を果たす。この例示的な実施形態の複合素材は、除染用組み立て型テントの形態又は患者のための滅菌毛布において使用されてもよい。他の用途としては、個人用保護衣類及び外科的ドレープを挙げることができる。
【0065】
更なる例示的な実施形態において、複合布に使用され得る不織布ウェブ積層体布は、微孔性ポリエチレン膜及びナイロンスパンボンド不織布素材を含んでもよい。この複合布は、様々な用途、例えば、医療用防護衣服、外科的ドレープ、クリーンルーム用衣服及び熱傷ユニット;除染ユニット、職員用防護衣服、ドレープ及び滅菌環境において使用されてもよい。
【0066】
更なる例示的な実施形態において、複合布に使用され得る不織布ウェブ積層体布は、ポリエチレン膜及びナイロンスパンボンド不織布素材を含んでもよい。これらの複合布は、様々な用途、例えば、医療用防護衣服、外科的ドレープ、クリーンルーム用衣服及び熱傷ユニット;除染ユニット、職員用防護衣服、ドレープ及び滅菌の環境において使われてもよい。
【0067】
更なる例示的な実施形態において、複合布に使用され得る不織布ウェブ積層体布は、微孔性ポリエチレン膜及びナイロンカーディング熱結合不織布を含んでもよい。本実施形態の布は、様々な用途、例えば、医療用防護衣服、外科的ドレープ、クリーンルーム用衣服、熱傷ユニット、除染ユニット、職員用防護衣服、ドレープ及び滅菌環境において使用されてもよい。
【0068】
更なる例示的な実施形態において、複合布に使用され得る不織布ウェブ積層体布は、ポリエチレン膜及びナイロンカーディング熱結合不織布を含んでもよい。本実施形態の複合布は、様々な用途、例えば、医療用防護衣服、外科的ドレープ、クリーンルーム用衣服、熱傷ユニット、除染ユニット、職員用防護衣服、ドレープ及び滅菌環境において使用されてもよい。これらの複合布は、織物のような感触及び快適性を提供するために少なくとも1つの線維層を典型的には含mmでもよい。
【0069】
更なる例示的な実施形態において、複合布に使用され得る不織布ウェブ積層体布は、ナイロンニードルパンチ結合繊維の1つの層とポリエチレン微孔性膜から形成された少なくとも1つの層とから形成された少なくとも2つの層を含む多層不織布ウェブ積層体を含んでもよく、微孔性膜から形成された層は、バリアとしての役割を果たし、ナイロンニードルパンチ結合繊維は、支持シートとしての役割を果たす。微孔性膜は、7500G/24時間以上の水蒸気透過速度を有してもよい。この例示的な実施形態の複合素材は、除染用組み立て型テントの形態又は患者のための滅菌毛布において使用されてもよい。他の用途としては、個人用保護衣類及び外科的ドレープを挙げることができる。
【0070】
更なる例示的な実施形態において、複合布に使用され得る不織布ウェブ積層体布は、ナイロンニードルパンチ結合繊維の1つの層とポリエチレン膜から形成された少なくとも1つの層とから形成された少なくとも2つの層を含む多層不織布ウェブ積層体を含んでもよく、膜から形成された層は、バリアとしての役割を果たし、ナイロンニードルパンチ結合繊維は、支持シートとしての役割を果たす。この例示的な実施形態の複合素材は、除染用組み立て型テントの形態又は患者のための滅菌毛布において使用されてもよい。他の用途としては、個人用保護衣類及び外科的ドレープを挙げることができる。
【0071】
更なる例示的な実施形態において、複合布に使用され得る不織布ウェブ積層体布は、ナイロンニードルパンチ補強スクリム素材の1つの層であって、前記スクリム素材が綿、ナイロン、ポリエチレン又はナイロン結合繊維である層と、ポリエチレン微孔性膜から形成された少なくとも1つの層とから形成された少なくとも2つの層を含む多層不織布ウェブ積層体を含んでもよく、微孔性膜から形成された層は、バリアとしての役割を果たし、ナイロンニードルパンチ補強スクリム素材は、支持シートとしての役割を果たす。微孔性膜は、7500G/24時間以上の水蒸気透過速度を有することができる。この例示的な実施形態の複合素材は、除染用組み立て型テントの形態又は患者のための滅菌毛布において使用されてもよい。他の用途としては、個人用保護衣類及び外科的ドレープを挙げることができる。
【0072】
更なる例示的な実施形態において、複合布に使用され得る不織布ウェブ積層体布は、ナイロンニードルパンチ補強スクリム素材の1つの層であって、前記スクリム素材が綿、ナイロン、ポリエチレン又はナイロン結合繊維である層と、ポリエチレン膜から形成された少なくとも1つの層とから形成された少なくとも2つの層を含む多層不織布ウェブ積層体を含んでもよく、膜から形成された層は、バリアとしての役割を果たし、ナイロンニードルパンチ補強スクリム素材は、支持シートとしての役割を果たす。この例示的な実施形態の複合素材は、除染用組み立て型テントの形態又は患者のための滅菌毛布において使用されてもよい。他の用途としては、個人用保護衣類及び外科的ドレープを挙げることができる。
【0073】
更なる例示的な実施形態において、複合布に使用され得る不織布ウェブ積層体布は、微孔性ポリエチレン膜及びナイロンスパンレース不織布素材を含んでもよい。この例示的な実施形態の複合素材は、様々な用途、例えば、医療用防護衣服、外科的ドレープ、クリーンルーム用衣服、熱傷ユニット、除染ユニット、職員用防護衣服、ドレープ及び滅菌環境において使用されてもよい。
【0074】
更なる例示的な実施形態において、複合布に使用され得る不織布ウェブ積層体布は、ポリエチレン膜及びナイロンスパンレース不織布素材を含んでもよい。この例示的な実施形態の複合素材は、様々な用途、例えば、除染用組み立て型テント又は患者のための滅菌毛布において使用されてもよい。他の用途としては、個人用保護衣類及び外科的ドレープを挙げることができる。
【0075】
更なる例示的実施形態において、複合布に使用され得る不織布ウェブ積層体布は、微孔性ポリエチレン膜及びレーヨンスパンレース不織布と混合したナイロンを含んでもよい。この例示的な実施形態の複合素材は、様々な用途、例えば、医療用防護衣服、外科的ドレープ、クリーンルーム用衣服、熱傷ユニット、除染ユニット、職員用防護衣服、ドレープ及び滅菌環境において使用されてもよい。
【0076】
更なる例示的な実施形態において、複合布に使用され得る不織布ウェブ積層体布は、ポリエチレン膜及びレーヨンスパンレース不織布素材と混合したナイロンを含んでもよい。この例示的な実施形態の複合素材は、様々な用途、例えば、除染用組み立て型テント又は患者のための滅菌毛布において使用されてもよい。他の用途としては、個人用保護衣類及び外科的ドレープを挙げることができる。
【0077】
他の層は、ガンマ滅菌可能特性を有して存在してもよい。上記の各種の実施形態のバリア布は、ドレープ可能であり、織物のような感触がある。それらは、ガンマ滅菌であるにせよE−ビーム滅菌であるにせよ、市販の滅菌プロセスにおいて典型的には用いられるガンマ放射線レベルに対する曝露の後でそれらの機械的性質を実質的に保持する。
【0078】
一実施形態は、1平方メートル当たり約30グラム(GSM:grams per square meter)のポリエチレン微孔性積層体、約30GSMのポリエステル不織布又はウェブ、及び互いに層を接着結合するための約3.5GSMの接着剤を含む。これらの重量は、限定を意味するものではない。
【0079】
代替的実施形態は、25GSMのポリエチレン微孔性積層体、25GSMポリエステル不織布、及び互いに層を接着結合するための3.5GSMの接着剤を含む。これらの重量は、限定を意味するものではない。
【0080】
なお別の実施形態において、GSMポリエチレン微孔性積層体及びポリエステル不織布又はウェブは、当該技術分野において公知の熱的手段を用いて一緒に結合している。
【0081】
各種の実施形態に記載される型の布は、様々な市場、例えば、限定されないが、クリーンルーム、製剤加工、航空宇宙の用途、ヘルスケア、手術室、病院、医療装置の製造、動物研究及び生物学的研究の用途において使用される。
【0082】
更なる実施形態において、各種の実施形態の布は、フード及びオーバーシューズを有する及び有さないカバーオールの形態の衣服、エプロン、実験室用コート、靴及びオーバーシューズカバー、並びにクリーンルーム用衣服を製造するために使用されてもよい。各種の実施形態の布は、そのトップにおけるショルダライン中に首開口部を有するボディ部分、ボディ部分から延長する2つのスリーブ部分、内側縁部及び外側縁部を有する各スリーブ部分、並びにボディ部分から延長する2つの脚部分を含む防護衣服の構築に使用されてもよい。
【0083】
各種の実施形態の衣服は、使用者の口及び鼻をカバーするマスクを含み、且つ衣服のボディと同じ素材から形成されるマスクを含んでもよい。口及び鼻をカバーするためのマスクは、首開口部におけるボディの布の延長部であってもよい。マスクは、着脱可能なマスクであってもよい。衣服の使用者は、空気中の粒子の吸入を防ぐためマスクを取り出して、取り付けることで口及び鼻を覆うことが可能であってもよい。
【0084】
本発明を、開示の本発明から逸脱することなく他の特定の形に組み入れることが可能であり、本明細書において記載される実施例及び実施形態は、あらゆる点で例示的であり、限定的でないことも理解される。本発明の当業者は、本明細書に記載される概念を用いた他の実施形態も可能であることを認識する。更に、例えば、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」又は「その(the)」を用いた請求項の単数の要素に対するいかなる参照も、要素を単数に限定するものとして解釈されないものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガンマ滅菌可能な不織布素材;及び
ガンマ滅菌可能なコーティング素材
を含む不織布ウェブ積層体であって、
前記コーティング素材が、7500G/24時間の水蒸気透過速度を有する微孔性膜であり、
前記不織布ウェブ積層体が、60kGy超のガンマ放射線に供された際に劣化せず、悪臭を発生しない、不織布ウェブ積層体。
【請求項2】
前記不織布ウェブ積層体の平均坪量が、1平方ヤード当たり約1オンス〜約10オンスである、請求項1に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項3】
前記不織布ウェブ積層体が、約0.04ミクロン〜約0.3ミクロンのサイズの粒子に対する改善された粒子バリア性を備える、請求項1に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項4】
前記不織布の素材が、全てポリエステル繊維を含む、請求項1に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項5】
前記ポリエステル繊維が、100%ポリエステルスパンボンド繊維、100%ポリエステルカーディング熱結合繊維、100%ポリエステルニードルパンチ結合繊維、100%ポリエステルニードルパンチ補強スクリム素材、100%ポリエステル水流交絡繊維、ナイロン水流交絡繊維と混合した100%ポリエステルから成る群から選択される、請求項4に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項6】
前記不織布素材が多成分繊維を含む、請求項1に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項7】
前記不織布素材が、少なくとも75重量%のガンマ抵抗性ポリマーを含む、請求項6に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項8】
前記多成分繊維が、高密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンから成る群から選択されるエチレンポリマーを含む、請求項6に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項9】
前記多成分繊維が、主な連続直鎖状低密度ポリエチレン相と、少なくとも1つの不連続高密度ポリエチレン相とを含む、請求項8に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項10】
前記コーティング素材がポリエチレンバリア膜である、請求項1に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項11】
前記コーティング素材がポリエチレンバリア膜である、請求項1に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項12】
前記コーティング素材が、空気に対して透過性を有する、請求項1に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項13】
前記不織布ウェブ積層体が複合布において用いられる、請求項1に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項14】
前記複合布が、ポリエチレン膜及びポリエステルスパンボンド不織布を含む、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項15】
前記複合布が、微孔性ポリエチレン膜及びポリエステルカーディング熱結合不織布素材を含む、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項16】
前記不織布ウェブ積層体が、ポリエステルニードルパンチ結合繊維の1つの層とポリエチレン微孔性膜から形成された少なくとも1つの層とから形成された少なくとも2つの層の多層不織布ウェブ積層体を含み、前記ポリエチレン微孔性膜から形成された層が、バリアとしての役割を果たし、前記ポリエステルニードルパンチ結合繊維が、支持シートとしての役割を果たす、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項17】
前記複合布が、ポリエステルニードルパンチ補強スクリム素材の1つの層であって、前記スクリム素材が綿、ポリエステル、ポリエチレン又はナイロン結合繊維である層と、ポリエチレン微孔性膜から形成された少なくとも1つの層とから形成された少なくとも2つの層を含む多層不織布ウェブ積層体を含み、前記微孔性膜から形成された層が、バリアとしての役割を果たし、前記ポリエステルニードルパンチ補強スクリム素材が、支持シートとしての役割を果たす、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項18】
前記複合布が、ポリエステルニードルパンチ結合繊維の1つの層とポリエチレン膜から形成された少なくとも1つの層とから形成された少なくとも2つの層を含む多層不織布ウェブ積層体を含み、前記ポリエチレン膜から形成された層が、バリアとしての役割を果たし、前記ポリエステルニードルパンチ結合繊維が、支持シートとしての役割を果たす、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項19】
前記複合布が、微孔性ポリエチレン膜及びポリエステルスパンレース不織布素材を含む、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項20】
前記複合布が、ポリエステルニードルパンチ補強スクリム素材の1つの層であって、前記スクリム素材が綿、ポリエステル、ポリエチレン又はナイロン結合繊維である層と、ポリエチレン膜から形成された少なくとも1つの層とから形成された少なくとも2つの層を含む多層不織布ウェブ積層体を含み、前記微孔性膜から形成された層が、バリアとしての役割を果たし、前記ポリエステルニードルパンチ補強スクリム素材が、支持シートとして役割を果たす、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項21】
前記複合布が、微孔性ポリエチレン膜及びナイロンスパンボンド不織布素材を含む、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項22】
前記複合布が、微孔性ポリエチレン膜及びナイロンカーディング熱結合不織布を含む、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項23】
前記複合布が、ナイロンニードルパンチ結合繊維の1つの層とポリエチレン微孔性膜から形成された少なくとも1つの層とから形成された少なくとも2つの層を含む多層不織布ウェブ積層体を含み、前記微孔性膜から形成された層が、バリアとしての役割を果たし、前記ナイロンニードルパンチ結合繊維が、支持シートとしての役割を果たす、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項24】
前記複合布が、レーヨン水流交絡繊維と混合したポリエステルの1つの層とポリエチレン膜から形成された少なくとも1つの層とから形成された少なくとも2つの層を含む多層不織布ウェブ積層体を含み、前記ポリエチレン膜から形成された層が、バリアとしての役割を果たし、粘性水流交絡繊維素材と混合した前記ポリエステルが、支持シートとしての役割を果たす、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項25】
前記複合布が、ナイロンニードルパンチ補強スクリム素材の1つ層であって、前記スクリム素材が綿、ナイロン、ポリエチレン又はナイロン結合繊維である層と、ポリエチレン微孔性膜から形成された少なくとも1つの層とから形成された少なくとも2つ層を含む多層不織布ウェブ積層体を含み、前記微孔性膜から形成された層が、バリアとしての役割を果たし、前記ナイロンニードルパンチ補強スクリム素材が、支持シートとしての役割を果たす、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項26】
前記複合布が、微孔性ポリエチレン膜及びナイロンスパンレース不織布素材を含む、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項27】
前記複合布が、ポリエチレン膜及びナイロンスパンボンド不織布素材を含む、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項28】
前記複合布が、微孔性ポリエチレン膜及びレーヨンスパンレース不織布と混合したナイロンを含む、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項29】
前記複合布が、ポリエチレン膜及びレーヨンスパンレース不織布素材と混合したナイロンを含む、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項30】
前記複合布が、ポリエチレン膜及びナイロンカーディング熱結合不織布を含む、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項31】
前記複合布が、ナイロンニードルパンチ結合繊維の1つの層とポリエチレン膜から形成された少なくとも1つの層とから形成された少なくとも2つの層を含む多層不織布ウェブ積層体を含み、前記膜から形成された層が、バリアとしての役割を果たし、前記ナイロンニードルパンチ結合繊維が、支持シートとしての役割を果たす、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項32】
前記複合布が、ナイロンニードルパンチ補強スクリム素材の1つの層であって、前記スクリム素材が綿、ナイロン、ポリエチレン又はナイロン結合繊維である層と、ポリエチレン膜から形成された少なくとも1つの層とから形成された少なくとも2つの層を含む多層不織布ウェブ積層体を含み、前記膜から形成された層が、バリアとしての役割を果たし、前記ナイロンニードルパンチ補強スクリム素材が、支持シートとしての役割を果たす、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項33】
前記複合布が、ポリエチレン膜及びナイロンスパンレース不織布素材を含む、請求項13に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項34】
ガンマ滅菌可能な不織布素材;及び
ガンマ滅菌可能なコーティング素材
を含む布から製造されたボディであって、
前記コーティング素材が、7500G/24時間の水蒸気透過速度を有する微孔性膜であり、
前記不織布ウェブ積層体が、60kGy超のガンマ放射線に供された際に劣化せず、悪臭を発生しない、ボディ;並びに
前記ボディの布が、口及び鼻をカバーするためのマスクを形成するために首開口部において延長部を含み、
前記マスクが、前記ボディと同じ布から製造される前記首開口部
を含む防護衣服。
【請求項35】
前記ガンマ滅菌可能な不織布素材が、1平方メートル当たり約30グラム(GSM)のポリエステル不織布を含み;
前記ガンマ滅菌可能なコーティング素材が、約30GSMのポリエチレン積層体を含み;及び
前記不織布ウェブ積層体及び前記ガンマ滅菌可能なコーティング素材が、約3.5GSMの接着剤を用いて一緒に接着結合される、
請求項1に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項36】
前記ガンマ滅菌可能な不織布素材及び前記ガンマ滅菌可能なコーティング素材が、熱的手段を用いて一緒に結合される、
請求項1に記載の不織布ウェブ積層体。
【請求項37】
前記ガンマ滅菌可能な不織布素材が、1平方メートル当たり約25グラム(GSM)のポリエステル不織布を含み;
前記ガンマ滅菌可能なコーティング素材が、約25GSMのポリエチレン積層体を含み;及び
前記不織布ウェブ積層体及び前記ガンマ滅菌可能なコーティング素材が、約3.5GSMの接着剤を用いて一緒に接着結合される、
請求項1に記載の不織布ウェブ積層体。

【公表番号】特表2012−519606(P2012−519606A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553169(P2011−553169)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/026554
【国際公開番号】WO2010/102298
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(511216606)インターナショナル エンバイロガード システムズ インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】