説明

キネシンスピンドルタンパク質(EG5)の阻害剤としてのインドロピリジン

式(I)の化合物(式中、R1、R2、R3及びR4は明細書中に示した意味である)は有効なEg5阻害性化合物であり、抗増殖性及び/又はアポトーシス誘導活性を有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の応用分野
本発明は、医薬産業において医薬組成物の製造に用いることができるインドロピリジン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の技術的背景
Hotha他、Angew. Chem. 2003, 115, 2481-2484の文献には、インドロピリジン化合物HR22C16が、Eg5を標的することによる細胞分裂の阻害剤として記載されている。
Eg5(キネシンスピンドルタンパク質とも呼ぶ)は細胞分裂の際の双極紡錘体の組み立て及び機能のために必須でありかつ新規の癌治療法の発見のための対象となっているタンパク質である。
WO2006/018435号明細書には、特に、インドロピリジンはEg5阻害活性を有するものと記載されている。
EP357122号明細書は、特に、細胞増殖抑制化合物としてのインドロピリジン、ベンゾフラノピリジン及びベンゾチエノピリジン誘導体を含む。
国際出願WO9632003号及びWO0228865号明細書では、インドロピリジン誘導体がPDE阻害活性を有するものと記載されている。
国際出願WO2004/004652号明細書には、特にトランス−10−(3−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ〔b〕フルオレン−1,3−ジオンが、キネシンスピンドルタンパク質(KSP)との結晶化複合体として記載されている。
米国出願US2005/0004156号明細書には、インドロピリジン誘導体、特にモナストロリン誘導体がEg5阻害剤として記載されている。
Bioorg. Med. Chem. 2005, 13, 6094-6111には、テトラヒドロ−β−カルボリンがEg5阻害剤として記載されている。
J. Org. Chem., 1994, 59(6), 1583-1585及びChem. Pharm. Bull. 1994,42,10, 2108-2112には、テトラヒドロ−β−カルボリン−3−カルボン酸とイソシアネート及びイソチオシアネートとの反応が記載されている。
J. Med. Chem., 2003, 46(21),4525-4532には、インドロピリジン誘導体がPDE5阻害活性を有することが記載されている。
国際出願WO2005/089752号明細書は、VEGF産生の阻害剤としての四環式カルボリン誘導体を記載している。
DE19744257号明細書は、悪性疾患の治療に使用することができる、チロシンキナーゼ阻害剤としての2H−ピロロ〔3,4−c〕−β−カルボリンを記載している。
【発明の概要】
【0003】
今回、下記に詳細に記載するインドロピリジン誘導体が驚くべきかつ有利な特性を有することを発見した。そのインドロピリジン誘導体は有糸分裂キネシンEg5の阻害剤として作用する。
【0004】
本発明は式I
【化1】

【0005】
[式中、R1は、C1〜C4アルキル、C3〜C7シクロアルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキル、又は、R11により置換されたC2〜C7アルキルであり、ここで
R11は−N(R111)R112又はハロゲンであり、ここで
R111は、水素、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、C3〜C7シクロアルキル、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルキル、1N−(C1〜C4アルキル)ピラゾリル、1N−(H)−ピラゾリル、イソオキサゾリル、又は完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C4アルキルであり、
R112は水素、C1〜C4アルキル、C3〜C7シクロアルキル、又はC3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキルであり、
あるいは、R111とR112が一緒になってそしてそれらが結合される窒素原子を含めて、環Hetを形成し、ここで
Hetは、任意にC1〜C4アルキル及びフッ素から独立に選ばれる1個又は2個の置換基によって置換されていてよい、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、チオモルホリン−4−イル、S−オキソ−チオモルホリン−4−イル、S,S−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イル、アゼチジン−1−イル、ホモピペリジン−1−イル、4N−(R113)−ピペラジン−1−イル、4N−(R113)−ホモピペラジン−1−イル、2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル、ピロール−1−イル、ピラゾール−1−イル、イミダゾール−1−イル、トリアゾール−1−イル、又はテトラゾール−1−イルであり、ここで
R113は水素、C1〜C4アルキル、C3〜C7シクロアルキル、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキル、C1〜C4アルキルカルボニル、アミジノ、又は完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C4アルキルであり、
R2は水素又はヒドロキシルであり、
R3は、水素、C1〜C4アルキル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルコキシ、ヒドロキシ−C2〜C4アルコキシ、C3〜C7シクロアルコキシ、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルコキシ、又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4アルコキシであり、
R4は、水素、C1〜C4アルキル又はハロゲンであり、
ただし、R3及びR4が両方とも水素である場合には、R1はC1〜C4アルキルではなく、
ただし、(1)R4が水素であり、かつ、(2)R3が6位に結合しておりかつブロモ又はメチルから選ばれる場合には、R1はn−ブチルではない]の化合物、並びにそれらの化合物の塩、立体異性体及び該立体異性体の塩に関する。
【0006】
C1〜C4アルキルは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基である。言及されうる例は、n-ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n-プロピル、イソプロピル、エチル及びメチル基であり、その中でエチル及びメチル基が好ましい。
【0007】
C2〜C4アルキルは、2〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基である。その例は、n-ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソプロピル、n-プロピル及びエチル基であり、その中でエチル及びn-プロピルが好ましい。
【0008】
C2〜C7アルキルは、2〜7個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基である。その例は、n-ヘプチル、イソヘプチル(5−メチルヘキシル)、n-ヘキシル、イソヘキシル(4−メチルペンチル)、ネオヘキシル(3,3−ジメチルブチル)、n-ペンチル、イソペンチル(3−メチルブチル)、ネオペンチル(2,2−ジメチルプロピル)、n-ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソプロピル基、n-プロピル及びエチル基であり、その中でエチル及びn-プロピルが好ましい。
【0009】
R11によって置換されていてよい、上記のアルキル基、たとえば、用語2-(R11)-エチルはR11によって2位で置換されたエチルであり、用語3-(R11)-n-プロピルはR11によって3位で置換されたn-プロピルであり、用語4-(R11)-n-ブチルはR11によって4位で置換されたn-ブチルである。
【0010】
C3〜C7シクロアルキルは、3〜7個の炭素原子を有する単環式飽和脂肪族炭化水素基である。その例はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルであり、その中でシクロプロピル、シクロブチル及びシクロペンチルが好ましい。
【0011】
C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキルは、上記のC3〜C7シクロアルキル基の1つによって置換されている上記のC1〜C4アルキル基の1つを表す。例として挙げられるのは、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチル及びシクロヘキシルエチル基であり、その中でシクロプロピルメチルが好ましい。
【0012】
C2〜C4アルケニルは、2〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルケニル基である。その例は2−ブテニル、3−ブテニル(ホモアリル)、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)及びエテニル(ビニル)基である。
【0013】
C2〜C4アルキニルは、2〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキニル基である。その例は2−ブチニル、3−ブチニル(ホモプロパルギル)、1−プロピニル、2−プロピニル(プロパルギル)、1−メチル−2−プロピニル(1−メチルプロパルギル)及びエチニル基である。
【0014】
本発明での意味でのハロゲンには、ヨウ素、臭素、塩素及びフッ素が挙げられ、その中で、臭素、塩素及びフッ素が好ましい。
【0015】
ヒドロキシC2〜C4アルキル基はヒドロキシル基によって置換されているC2〜C4アルキル基を表す。例として挙げられるのは2−ヒドロキシエチル及び3−ヒドロキシプロピル基である。
【0016】
C1〜C4アルコキシは、酸素原子に加えて1〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状アルキル基を含有する基を表す。例として挙げられるのは、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、エトキシ及びメトキシ基であり、その中でメトキシ及びエトキシ基が好ましい。
【0017】
C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルキルは、上記のC1〜C4アルコキシ基の1つにより置換されている上記のC2〜C4アルキル基の1つを表す。例として挙げられるのは、2−メトキシエチル、2−n-ブトキシエチル及び3−メトキシプロピル基である。
【0018】
C1〜C4アルキルカルボニルは、カルボニル基に加えて上記のC1〜C4アルキル基の1つを含む基を表す。例として挙げられるのはアセチル基である。
【0019】
完全に又は部分的にフッ素で置換されたC1〜C4アルキルとしては、たとえば、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、ペルフルオロエチル、1,2,2−トリフルオロエチル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、モノフルオロメチル、2−フルオロエチル及び2,2−ジフルオロエチル基が挙げることができ、その中で2,2,2−トリフルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル及び2−フルオロエチルが好ましい。この関連での「部分的に」とは、C1〜C4アルキル基中の水素原子の少なくとも1個であるが全てではない水素原子がフッ素原子により置換されていることを意味する。好ましいのはトリフルオロメチル及びジフルオロメチル基である。
【0020】
完全に又は大部分がフッ素で置換されたC1〜C4アルコキシは、たとえば、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ、ペルフルオロエトキシ、1,2,2−トリフルオロエトキシ基、特に1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、トリフルオロメトキシ及びジフルオロメトキシ基であり、その中でトリフルオロメトキシ及びジフルオロメトキシ基が好ましい。この関連での「大部分」とは、C1〜C4アルコキシ基中の水素原子の半分より多くがフッ素原子により置換されていることを意味する。
【0021】
C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルコキシは、上記のC1〜C4アルコキシ基の1つにより置換されている上記のC2〜C4アルコキシ基の1つを表す。例として挙げられるのは、2−メトキシエトキシ、2−エトキシエトキシ及び2−イソプロポキシエトキシ基である。
【0022】
ヒドロキシ−C2〜C4アルコキシは、ヒドロキシル基により置換されている上記のC2〜C4アルコキシ基の1つを表す。例として挙げられるのは、2−ヒドロキシエトキシ及び3−ヒドロキシプロポキシ基である。
【0023】
C3〜C7シクロアルコキシは、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ及びシクロヘプチルオキシを表し、その中でシクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ及びシクロペンチルオキシが好ましい。
【0024】
C3〜C7−シクロアルキル−C1〜C4−アルコキシは、上記のC3〜C7シクロアルキル基の1つにより置換されている上記のC1〜C4アルコキシ基の1つを表す。例として挙げられるのは、C3〜C7シクロアルキルメトキシ基、たとえば、シクロプロピルメトキシ、シクロブチルメトキシ又はシクロペンチルメトキシであり、その中でシクロプロピルメトキシが特に言及される。
【0025】
一般に、そして特に言及しないならば、複素環式基はその全ての可能な異性体形態を含み、たとえば、その位置異性体を含む。そのため、たとえば、用語トリアゾール−1−イルは[1,2,3]トリアゾール−1−イル、[1,3,4]トリアゾール−1−イル及び[1,2,4]トリアゾール−1−イルを含み、又は、用語イソキサゾリルはイソキサゾル−3−イル、イソキサゾル−4−イル及びイソキサゾル−5−イルを含む。
【0026】
1N−(C1〜C4アルキル)−ピラゾリル又は1N−(H)−ピラゾリルは、それぞれ、1位にある環窒素原子上でそれぞれC1〜C4アルキルにより又は水素により置換されているピラゾリル基を表し、たとえば、特に1−メチル−ピラゾール−5−イル又は1−メチル−ピラゾール−3−イル基を表す。
【0027】
4N−(R113)−ピペラジン−1−イル又は4N−(R113)−ホモピペラジン−1−イルは4位にある環窒素原子上でそれぞれR113により置換されているピペラジン−1−イル又はホモピペラジン−1−イル基を表す。
【0028】
本明細書中に記載されるように任意に置換されていてよい構成部分は、特記しないかぎり、どの可能な位置で置換されていてもよい。
【0029】
特記しないかぎり、第四級化可能なアミノ−又はイミノ型環窒素原子(−N=)を含む環は、好ましくはそれらのアミノ型又はイミノ型環窒素原子上では記載される置換基又は親分子基により第四級化されない。
【0030】
構成部分いずれにおいても1つより多くの変型が起こりうる場合には、各々の定義は独立である。
【0031】
好ましい実施形態において、本発明は式Iの化合物であって、式中、R1は、C3〜C7シクロアルキル、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキル、又は、R11により置換されたC2〜C7アルキルであり、ここで
R11は−N(R111)R112又はハロゲンであり、ここで
R111は、水素、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、C3〜C7シクロアルキル、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルキル、1N−(C1〜C4アルキル)ピラゾリル、1N−(H)−ピラゾリル、イソオキサゾリル、又は完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C4アルキルであり、
R112は水素、C1〜C4アルキル、C3〜C7シクロアルキル、又はC3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキルであり、
あるいは、R111とR112が一緒になってそしてそれらが結合される窒素原子を含めて、環Hetを形成し、ここで
Hetは、任意にC1〜C4アルキル及びフッ素から独立に選ばれる1個又は2個の置換基によって置換されていてよい、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、チオモルホリン−4−イル、S−オキソ−チオモルホリン−4−イル、S,S−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イル、アゼチジン−1−イル、ホモピペリジン−1−イル、4N−(R113)−ピペラジン−1−イル、4N−(R113)−ホモピペラジン−1−イル、2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル、ピロール−1−イル、ピラゾール−1−イル、イミダゾール−1−イル、トリアゾール−1−イル、又はテトラゾール−1−イルであり、ここで
R113は水素、C1〜C4アルキル、C3〜C7シクロアルキル、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキル、C1〜C4アルキルカルボニル、アミジノ、又は完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C4アルキルであり、
R2は水素又はヒドロキシルであり、
R3は、C1〜C4アルキル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルコキシ、ヒドロキシ−C2〜C4アルコキシ、C3〜C7シクロアルコキシ、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルコキシ、又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4アルコキシであり、
R4は水素である化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩に関する。
【0032】
好ましい実施形態において、本発明は式Iの化合物であって、式中、R1は、R11により置換されたC2〜C7アルキルであり、ここで
R11は−N(R111)R112又はハロゲンであり、ここで
R111は、水素、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、C3〜C7シクロアルキル、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルキル、1N−(C1〜C4アルキル)ピラゾリル、1N−(H)−ピラゾリル、イソオキサゾリル、又は完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C4アルキルであり、
R112は水素、C1〜C4アルキル、C3〜C7シクロアルキル、又はC3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキルであり、
あるいは、R111とR112が一緒になってそしてそれらが結合される窒素原子を含めて、環Hetを形成し、ここで
Hetは、任意にC1〜C4アルキル及びフッ素から独立に選ばれる1個又は2個の置換基によって置換されていてよい、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、チオモルホリン−4−イル、S−オキソ−チオモルホリン−4−イル、S,S−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イル、アゼチジン−1−イル、ホモピペリジン−1−イル、4N−(R113)−ピペラジン−1−イル、4N−(R113)−ホモピペラジン−1−イル、2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル、ピロール−1−イル、ピラゾール−1−イル、イミダゾール−1−イル、トリアゾール−1−イル、又はテトラゾール−1−イルであり、ここで
R113は水素又はC1〜C4アルキルであり、
R2は水素又はヒドロキシルであり、
R3は、C1〜C4アルキル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルコキシ、ヒドロキシ−C2〜C4アルコキシ、C3〜C7シクロアルコキシ、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルコキシ、又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4アルコキシであり、
R4は水素である化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩に関する。
【0033】
好ましい実施形態において、本発明は式Iの化合物であって、式中、R1は、R11により置換されたC2〜C7アルキルであり、ここで
R11は−N(R111)R112又はハロゲンであり、ここで
R111は、水素、C1〜C4アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルキル、又は完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C4アルキルであり、
R112は水素又はC1〜C4アルキルであり、
R2は水素又はヒドロキシルであり、
R3は、6位に結合しており、C1〜C4アルキル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルコキシ、ヒドロキシ−C2〜C4アルコキシ、C3〜C7シクロアルコキシ、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルコキシ、又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4アルコキシであり、
R4は水素である化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩に関する。
【0034】
好ましい実施形態において、本発明は式Iの化合物であって、式中、R1は、R11により置換されたエチル又はn−プロピルであり、ここで
R11は−N(R111)R112又はハロゲンであり、ここで
R111は、水素、C1〜C4アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルキル、又は完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C4アルキルであり、
R112は水素又はC1〜C4アルキルであり、
R2は水素又はヒドロキシルであり、
R3は、6位に結合しており、メトキシ、エトキシ、クロロ又はブロモであり、
R4は水素である化合物もしくはその塩、又は、その立体異性体もしくはその立体異性体の塩に関する。
【0035】
好ましい実施形態において、本発明は式Iの化合物であって、式中、R1は、メチル、又はR11により置換されたC2〜C4アルキルであり、ここで
R11は−N(R111)R112又はハロゲンであり、ここで
R111はC1〜C4アルキルであり、
R112はC1〜C4アルキルであり、
R2は水素又はヒドロキシルであり、
R3は、C1〜C4アルキル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ又はトリフルオロメチルであり、
R4は水素である化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩に関する。
【0036】
本発明に係る式Iの化合物の塩としては、置換に依存して、全ての無機酸及び有機酸付加塩又は塩基との塩が挙げられる。好ましいのは、医薬上許容される無機酸及び有機酸付加塩並びに塩基との塩であり、特に、医薬において常用されている、すべての医薬上許容される無機酸及び有機酸付加塩並びに塩基との塩である。酸付加塩の調製に使用される酸としては、限定するわけではないが、(1)無機酸、(2)カルボン酸、(3)(a)脂肪族、脂環式、飽和もしくは不飽和カルボン酸、(b)芳香族もしくは複素環式カルボン酸、(c)ヒドロキシル化もしくは炭水化物誘導カルボン酸、及び、(3)スルホン酸が挙げられる。適切な塩としては、水不溶性、及び、特に、水溶性酸付加塩並びに塩基との塩が挙げられる。
【0037】
酸付加塩の例としては、限定するわけではないが、たとえば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酪酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、エンボン酸塩、サリチル酸塩、スルホサリチル酸塩、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸塩、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、たとえば、(+)−L−酒石酸塩もしくは(−)−D−酒石酸塩もしくはメソ酒石酸塩、乳酸塩、たとえば、D−乳酸塩又はL−乳酸塩、リンゴ酸塩、たとえば(−)−L−リンゴ酸塩もしくは(+)−D−リンゴ酸塩、D−グルコン酸塩、D−グルクロン酸塩、ラクトビオン酸塩(4−O−β−D−ガラクトピラノジル−D−グルコン酸の塩)、ガラクタル酸塩、トシル酸塩、メシル酸塩、ベシル酸塩、ラウリルスルホン酸塩及びアスコルビン酸塩が挙げられる。
【0038】
これらの酸付加塩の中で、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、メシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩及び酒石酸塩が好ましい。最も好ましいのは塩酸塩、メシル酸塩、酒石酸塩及びクエン酸塩から選ばれる塩である。
【0039】
本発明の一実施形態において、式Iの化合物の塩としては、式Iの化合物の塩酸付加塩が挙げられる。
【0040】
本発明の別の実施形態において、式Iの化合物の塩としては、式Iの化合物の塩酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、トシル酸塩及び硫酸塩が挙げられる。
【0041】
塩基との塩の例としては、限定するわけではないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、アンモニウム、メグルミン及びグアニジニウム塩を挙げることができる。
【0042】
本発明に係る式Iの化合物、ならびに、それらの化合物の塩、立体異性体及び立体異性体の塩は、たとえば、結晶形態で単離されたときに、様々な量の溶媒を含んでよい。それゆえ、式Iの化合物のすべての溶媒和化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩は本発明の範囲に含まれる。前記溶媒和化合物の好ましい例は水和物である。
【0043】
置換基R3及びR4は、特に断らない限り、骨格のベンゼン部分の任意の位置に結合していてよいが、骨格の8位にはR3及びR4のいずれもが結合していないことが好ましい。一実施形態では、R3は骨格の5位に結合しており、別の実施形態では、R3は骨格の7位に結合しており;更に別の実施形態では、R3は骨格の6位に結合しており;ここで、特に、それぞれR4は水素であるか、又はそれぞれR4はフッ素である。特定の実施形態では、R3は骨格の6位に結合している。より特定の実施形では、R3は骨格の6位に結合しており、そしてR4は水素である。別の実施形態では、R3は骨格の6位に結合しており、そしてR4は骨格の7位に結合されているフッ素である。更に別の実施形態では、R3は骨格の6位に結合しており、そしてR4は骨格の5位に結合しているフッ素である。
【0044】
【化2】

【0045】
式Iの化合物は、少なくとも3a位及び10位に不斉中心を有する不斉化合物である。それゆえ、本発明に係る化合物及びその塩は立体異性体を含む。上記立体異性体中に存在する立体中心の各々は絶対配置R又は絶対配置S(カーン・インゴールド・プレログ則による)を有することができる。したがって、立体異性体(3aR,10R)、(3aR,10S)、(3aS、10R)、(3aS,10S)(上記の数字は上述の式中に示される原子を指す)及びその塩は本発明の一部である。
【0046】
本発明は、全ての考えられる立体異性体、たとえば、ジアステレオマー及びエナンチオマーを包含する。本発明は、さらに、実質的に純粋形での立体異性体、及び、任意の混合比での立体異性体の混合物(たとえば、ラセミ体を含む)、ならびにそれらの塩を含む。
【0047】
従って、本発明に係る化合物の立体異性体、特に下記実施例の立体異性体は全て本発明の一部に含まれ、そして下記でさらに詳細に記載されるとおり、当業者に周知の手順に従って、たとえば、対応する混合物の分離により、立体化学的に純粋な出発材料を使用することにより、及び/又は立体選択的合成法により、得ることができる。
【0048】
ここで、3a位及び10位に関して式I*に示されるのと同じ立体配置を有する、式Iの化合物が好ましい。
【化3】

【0049】
式I*の化合物において、カーン・インゴールド・プレログ則に従ったその立体配置は、3a位がSであり、かつ10位がRである。
【0050】
式I*を有するエナンチオマー及びその塩は、本発明の好ましい態様である。
【0051】
さらに、3a位及び10位に関して、式I**に示されるのと同じ立体配置を有するものも式Iの好ましい化合物である。
【化4】

【0052】
式I**の化合物において、カーン・インゴールド・プレログ則に従った立体配置は、3a位がRでありかつ10位がRである。
【0053】
さらに、同じく言及すべき式Iの化合物は、3a位及び10位に関して、式I***又は式I****に示されるのと同じ立体配置を有するものである:
【化5】

【0054】
式I***の化合物において、カーン・インゴールド・プレログ則に従った立体配置は、3a位がRでありかつ10位がSである。
【0055】
式I****の化合物において、カーン・インゴールド・プレログ則に従った立体配置は、3a位がSでありかつ10位がSである。
【0056】
本発明に係る化合物において特に興味深いのは、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩であり、以下の特定の実施形態の1つ、又は、可能な場合には、1より多くの以下の特定の実施形態の組み合わせによって本発明の範囲に含まれるものである。
【0057】
本発明に係る式Iの化合物の特定の実施形態(実施形態1)は、R1がメチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0058】
本発明に係る式Iの化合物の特定の実施形態(実施形態2)は、R1がエチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0059】
本発明に係る式Iの化合物の特定の実施形態(実施形態3)は、R1が2−(R11)−エチルであり、
R11、R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0060】
本発明に係る式Iの化合物の特定の実施形態(実施形態4)は、R1が3−(R11)−n−プロピルであり、
R11、R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0061】
本発明に係る式Iの化合物の特定の実施形態(実施形態5)は、R1が4−(R11)−n−ブチルであり、
R11、R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0062】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態6)は、R1が2−ジメチルアミノ-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0063】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態7)は、R1が2−(N−エチル−N−メチル-アミノ)-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0064】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態8)は、R1が2−(N−イソプロピル−N−メチル-アミノ)-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0065】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態9)は、R1が2−[N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル-アミノ]-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0066】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態10)は、R1が2−[N−(2−メトキシエチル)−N−メチル-アミノ]-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0067】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態11)は、R1が2−(N−アリル−N−メチル-アミノ)-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0068】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態12)は、R1が2−(N−メチル−N−プロパルギルアミノ)-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0069】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態13)は、R1が2−[N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)-アミノ]-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0070】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態14)は、R1が2−[N−エチル−N−(2−メトキシエチル)-アミノ]-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0071】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態15)は、R1が2−ジエチルアミノ-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0072】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態16)は、R1が2−メチルアミノ-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0073】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態17)は、R1が2−エチルアミノ-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0074】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態18)は、R1が2−イソプロピルアミノ-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0075】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態19)は、R1が2−イソブチルアミノ-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0076】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態20)は、R1が2−シクロプロピルアミノ-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0077】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態21)は、R1が2−シクロブチルアミノ-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0078】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態22)は、R1が2−(シクロプロピルメチル)アミノ-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0079】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態23)は、R1が2−モルホリン−4−イル-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0080】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態24)は、R1が2−ピロリジン−1−イル−エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0081】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態25)は、R1が2−アゼチジン−1−イル−エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0082】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態26)は、R1が2−ピペリジン−1−イル−エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0083】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態27)は、R1が2−(4−メチル−ピペリジン−1−イル)−エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0084】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態28)は、R1が2−ホモピペリジン−1−イル−エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0085】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態29)は、R1が2−(2,5−ジヒドロピロール−1−イル)−エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0086】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態30)は、R1が2−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル)−エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0087】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態31)は、R1が2−イミダゾール−1−イル−エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0088】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態32)は、R1が2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0089】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態33)は、R1が2−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0090】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態34)は、R1が2−アミノ-エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0091】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態35)は、R1が2−[(2−ヒドロキシエチル)−アミノ]−エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0092】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態36)は、R1が2−[(2−メトキシエチル)−アミノ]−エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0093】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態37)は、R1が2−tert−ブチルアミノ−エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0094】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態38)は、R1が2−アリルアミノ−エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0095】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態39)は、R1が2−プロパルギルアミノ−エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0096】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態40)は、R1が2−[(1−メチルプロパルギル)−アミノ]−エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0097】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態41)は、R1が2−[(2,2−ジフルオロエチル)−アミノ]−エチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0098】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態42)は、R1が3−ジメチルアミノ−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0099】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態43)は、R1が3−エチルアミノ−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0100】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態44)は、R1が3−イミダゾール−1−イル−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0101】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態45)は、R1が3−(N−エチル−N−メチル−アミノ)−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0102】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態46)は、R1が3−(N−イソプロピル−N−メチル−アミノ)−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0103】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態47)は、R1が3−[N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−アミノ]−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0104】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態48)は、R1が3−[N−(2−メトキシエチル)−N−メチル−アミノ]−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0105】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態49)は、R1が3−(N−アリル−N−メチル−アミノ)−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0106】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態50)は、R1が3−(N−メチル−N−プロパルギルアミノ)−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0107】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態51)は、R1が3−[N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−アミノ]−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0108】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態52)は、R1が3−[N−エチル−N−(2−メトキシエチル)−アミノ]−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0109】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態53)は、R1が3−ジエチルアミノ−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0110】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態54)は、R1が3−メチルアミノ−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0111】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態55)は、R1が3−イソプロピルアミノ−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0112】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態56)は、R1が3−イソブチルアミノ−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0113】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態57)は、R1が3−シクロプロピルアミノ−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0114】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態58)は、R1が3−シクロブチルアミノ−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0115】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態59)は、R1が3−(シクロプロピルメチル)アミノ−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0116】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態60)は、R1が3−モルホリン−4−イル−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0117】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態61)は、R1が3−ピロリジン−1−イル−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0118】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態62)は、R1が3−アゼチジン−1−イル−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0119】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態63)は、R1が3−ピペリジン−1−イル−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0120】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態64)は、R1が3−(4−メチル−ピペリジン−1−イル)−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0121】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態65)は、R1が3−ホモピペリジン−1−イル−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0122】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態66)は、R1が3−(2,2−ジヒドロピロール−1−イル)−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0123】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態67)は、R1が3−(1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル)−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0124】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態68)は、R1が3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0125】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態69)は、R1が3−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0126】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態70)は、R1が3−アミノ−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0127】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態71)は、R1が3−[(2−ヒドロキシエチル)−アミノ]−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0128】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態72)は、R1が3−[(2−メトキシエチル)−アミノ]−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0129】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態73)は、R1が3−tert−ブチルアミノ−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0130】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態74)は、R1が3−アリルアミノ−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0131】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態75)は、R1が3−プロパルギルアミノ−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0132】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態76)は、R1が3−[(1−メトキシプロパルギル)−アミノ]−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0133】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態77)は、R1が3−[(2,2−ジフルオロエチル)−アミノ]−n−プロピルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0134】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態78)は、R1が4−ジメチルアミノ−n−ブチルであり、
R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0135】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態A)は、R2がヒドロキシルであり、
R1、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0136】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態B)は、R2が水素であり、
R1、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0137】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態86)は、R3及びR4のいずれもが骨格の8位に結合しておらず、
R1、R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0138】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態87)は、R4が水素であり、
R1、R2、R3が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0139】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態88)は、R3が骨格の5−、6−又は7位に結合しており、
R4は水素であり、R1、R2、R3が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0140】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態89)は、R3が骨格の6位に結合しており、
R4が水素であり、
R1、R2、R3が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0141】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態90)は、R4がフッ素であり、
R1、R2、R3が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0142】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態91)は、R3が骨格の6位に結合しており、
R4が骨格の5−又は特に7位に結合しており、フッ素であり、
R1、R2、R3が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0143】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態92)は、
R3が臭素であり、
R4が水素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0144】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態93)は、R3がフッ素であり、R4が水素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0145】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態94)は、R3がメチルであり、R4が水素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0146】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態95)は、R3がメトキシであり、R4が水素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0147】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態96)は、R3がエトキシであり、R4が水素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0148】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態97)は、R3が塩素であり、R4が水素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0149】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態98)は、R3がシクロプロピルメトキシであり、R4が水素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0150】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態99)は、R3が2−メトキシエトキシであり、R4が水素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0151】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態100)は、R3がトリフルオロメチルであり、R4が水素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0152】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態101)は、R3がトリフルオロメトキシであり、R4が水素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0153】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態102)は、R3がジフルオロメトキシであり、R4が水素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0154】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態103)は、R3がシクロプロピルオキシであり、R4が水素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0155】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態104)は、R3が骨格の6位に結合しており、メチル、トリフルオロメチル、フッ素、塩素、臭素、メトキシ、エトキシ、2−メトキシ−エトキシ、シクロプロピルメトキシ、トリフルオロメトキシ又はジフルオロメトキシであり、R4が水素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0156】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態105)は、R3が骨格の6位に結合しており、フッ素、塩素、臭素、メトキシ、エトキシ、ジフルオロメトキシ又はトリフルオロメトキシであり、R4が水素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0157】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態106)は、R3が骨格の6位に結合しており、塩素、臭素、メトキシ又はエトキシであり、R4が水素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0158】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態107)は、R3が骨格の6位に結合しており、塩素、臭素、メトキシ、エトキシ又はジフルオロメトキシであり、R4が水素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0159】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態108)は、R3が骨格の6位に結合しており、塩素、臭素、メトキシ、エトキシ又はジフルオロメトキシであり、R4が骨格の5位に結合しており、フッ素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0160】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態109)は、R3が骨格の6位に結合しており、塩素、臭素、メトキシ、エトキシ又はジフルオロメトキシであり、R4が骨格の7位に結合しており、フッ素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0161】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態110)は、R3が骨格の6位に結合しており、メトキシであり、R4が骨格の5位に結合しており、フッ素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0162】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態111)は、R3が骨格の6位に結合しており、メトキシであり、R4が骨格の7位に結合しており、フッ素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0163】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態112)は、R3が骨格の6位に結合しており、塩素であり、R4が骨格の7位に結合しており、フッ素であり、
R1、R2が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0164】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態113)は、上記に示すとおりの式Iから選ばれる化合物であって、 R1、R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0165】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態115)は、上記に示すとおりの式Iから選ばれる化合物であって、R1及びR3が下記の表1に示す1.1〜1.902のいずれかの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0166】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態116)は、下記に示すとおりの式I−Aから選ばれる化合物であって、R1及びR3が下記の表1に示す1.1〜1.902のいずれかの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0167】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態117)は、Hetがピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イル又はアゼチジン−1−イルであり、R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0168】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態118)は、Hetが4N−(R113)−ピペラジン−1−イルであり、R113が水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、C1〜C2アルキルカルボニル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル又は2,2−ジフルオロエチルであり、たとえば、4−メチル−ピペラジン−1−イル又は4−アセチル−ピペラジン−1−イルであり、R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0169】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態119)は、Hetが任意にメチル及びフッ素から独立に選ばれる1個又は2個の置換基によって置換されていてよい、ピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、アゼチジン−1−イル又はホモピペリジン−1−イルであり、たとえば、ピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イルもしくはアゼチジン−1−イル、又は、4−メチル−ピペリジン−1−イル、4−フルオロ−ピペリジン−1−イル、4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イル、(S)−3−フルオロ−ピロリジン−1−イル、(R)−3−フルオロ−ピロリジン−1−イル、3,3−ジフルオロ−ピロリジン−1−イル、3−フルオロ−アゼチジン−1−イルもしくは3,3−ジフルオロ−アゼチジン−1−イルであり、R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0170】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態120)は、Hetがピラゾール−1−イル、イミダゾール−1−イル又はトリアゾール−1−イル、特にイミダゾール−1−イルであり、R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0171】
本発明に係る式Iの化合物の別の特定の実施形態(実施形態121)は、Hetが2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イル又は1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イルであり、R2、R3、R4が本明細書中に規定されるとおりの意味のものである、式Iの化合物、ならびに、その塩、立体異性体及び立体異性体の塩である。
【0172】
本発明に係る好ましい化合物として、下記の式I−A
【化6】

の化合物及びその塩であって、R1及びR3が下記の表1に規定されるとおりの置換基であるものを挙げることができる。
【0173】
本発明に係るさらなる好ましい化合物として、下記の式I−B
【化7】

の化合物及びその塩であって、R1及びR3が下記の表1に規定されるとおりの置換基であるものを挙げることができる。
【0174】
本発明に係るさらなる好ましい化合物として、下記の式I−A−1
【化8】

の化合物及びその塩であって、R1及びR3が下記の表1に規定されるとおりの置換基であるものを挙げることができる。
【0175】
本発明に係る他の好ましい化合物として、下記の式I−A−2
【化9】

の化合物及びその塩であって、R1及びR3が下記の表1に規定されるとおりの置換基であるものを挙げることができる。
【0176】
本発明に係るさらなる好ましい化合物として、下記の式I−B−1
【化10】

の化合物及びその塩であって、R1及びR3が下記の表1に規定されるとおりの置換基であるものを挙げることができる。
【0177】
本発明に係る他の好ましい化合物として、下記の式I−B−2
【化11】

の化合物及びその塩であって、R1及びR3が下記の表1に規定されるとおりの置換基であるものを挙げることができる。
【0178】
本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩は、下記のように調製できる。好ましくは、下記実施例に例として記載されるとおりの方法で調製することができる。さらに、当業者に知られる調製手順又は合成方策と類似の方法で調製されうる。
【0179】
「類似」とは、所望の生成物を生成するように対応する反応体を選択しながら、記載の反応を行うことを含む。「類似手順」は所望の生成物の合成を行うように手順を調整するために反応体を置き換える点で記載の反応手順とは異なる。
【0180】
スキーム1に示すとおり、R1、R2、R3、R4が上記に与えた意味を有する式Iの化合物は、RがC1〜C4アルキル、たとえば、メチル又はエチルであり、R2、R3及びR4が上記に与えた意味を有する式IIの化合物から出発して得ることができる。式IIの上記の化合物は、反応スキーム2において示すとおりのヒダントイン合成において、R1−N=C=O(R1は上記に与えた意味を有する)のイソシアネートと反応し、又は、対応する活性化カルバミン酸エステル、たとえば、N−ヒドロキシスクシンイミド活性化ウレタン、たとえば、H3C−NH−C(O)−OR’(R’は1Nースクシンイミジルである)と反応して、対応する所望の式Iのヒダントインを提供することができる。このヒダントイン合成は、たとえば、マイクロ波の存在下に、当業界において知られた方法で又は下記の実施例に記載されるとおりに行うことができる。
【0181】
【化12】

【0182】
N−スクシンイミジル−N−メチルカルバメートは市販されている。式R1−N=C=O(R1は本明細書中に規定されるとおりである)のイソシアネートは既知であり、又は、既知の手順と類似の方法で得ることができ、又は、後述のとおりに入手することができる。
式Iの化合物、特にR1がメチルと異なる式Iの化合物を生成するヒダントイン環の別の合成方法は、式II(R2,R3及びR4は本明細書中に規定されるとおりである)の化合物から出発する。その式IIの化合物は反応スキーム2aに示されるとおり、式VIの対応する尿素化合物に転化されうる。
【0183】
【化13】

【0184】
この尿素合成は当業者によく知られるとおりの方法で又は下記の実施例に記載されるとおりに行え、たとえば、反応スキーム2bに例示される反応工程にしたがって行える。その後、式VIの化合物は環化されて、式Iの対応する所望の化合物を提供することができる。この環化は当業者によく知られるとおりの方法で又は下記の実施例に記載されるとおりに行える。
【0185】
【化14】

【0186】
式VI又はVIの尿素化合物は、反応スキーム2bに示すとおりの対応する式IIの化合物から、式L−C(O)−X(X及びLは適切な脱離基であり、たとえば、Xは塩素であり、Lは4−ニトロ−フェノールである)との反応により、対応する式Vの化合物を提供し、その後、式R1−NH(R1は上記に規定されるとおりである)と反応して対応する式VIの化合物を提供することで得ることができる。これらの反応は当業者によく知られるとおりの方法で又は下記の実施例に記載されるとおりに行える。
【0187】
適切な置換基R1を有する式Iの化合物、そしてその中で式I又はI***の化合物は好ましく、誘導化によって異なる置換基R1を有するさらなる化合物へと転化されうる。特に、R2、R3及びR4が上記に与える意味を有し、R1がYによって置換されたC2〜C7アルキル(有利にはC2〜C4アルキル)であり、Yが適切な脱離基、たとえば、メシレート、クロロもしくはブロモである、式Iの化合物は、求核置換反応において、式HN(R111)R112(R111及びR112は上記に与えるとおりの基である)(もし必要ならば、適切な保護基によって一時的に保護されていてよい(たとえば、遊離アミノ基はtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)保護基によって一時的に保護されうる)と反応し、対応する式Iの化合物(R1は−N(R111)(R112)によって置換されたC2〜C7アルキルである)を調製することができる。この求核置換反応は当業者にとって本質的に常用される方法で又は下記の実施例に記載されるとおりに又はそれに類似する方法で行うことができ、たとえば、適切な溶媒(たとえば、アセトニトリル、メタノール又はテトラヒドロフランなど)の存在下に、場合により適切な塩基の存在下に、又は、場合によりマイクロ波の存在下に、過剰量の式HN(R111)R112のアミンを用いて、大気圧又は高圧で(たとえば、密閉容器内で)、室温で又は高温で、あるいは、使用される溶媒の沸騰/還流温度又はマイクロ波過熱沸騰温度で行うことができる。
【0188】
式I−3(R1は−N(R111)R112によって置換されたC2〜C7アルキルである)は、一方では、適切なイソシアネートR1−N=C=O(R1は−N(R111)R112によって置換されたC2〜C7アルキルである)を用いて、スキーム1に記載される手順によって直接的に得ることができる。
【0189】
上記のイソシアネートR1−N=C=O(R1は−N(R111)R112によって置換されたC2〜C7アルキルである)は、当業者にとって本質的に常用の方法又は下記実施例に例示的に記載されるとおりに、式R1−N=C=O(R1は適切な置換基Y、たとえば、臭素によって置換されたC2〜C7アルキルである)の化合物から、対応するアミンHN(R111)R112による求核置換反応によって得ることができる。本発明の上記のイソシアネートはイソシアン酸塩を用いた置換反応によって得ることができ、たとえば、B. Akhlaghinia, Synthesis, 2005, 1955-1958に与えられた手順にしたがって、対応するアルコール、チオール又はトリメチルシリルエーテルから出発して、アセトニトリル中でのトリフェニルホスフィン/2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノリン/BuNOCNとの反応により得ることができる。さらに、本発明のイソシアネートは当業界で知られたイソシアネート合成によって対応するアミン化合物から得ることができる。
【0190】
他方で、特定の態様において、スキーム3に示すように、式I−3(R2、R3、R4、R111及びR112は本明細書中に規定されるとおりの意味である)は、式I−2(R2、R3及びR4は本明細書中に規定されるとおりの意味であり、Yは適切な脱離基、たとえば、メシレート、クロロもしくはブロモである)から出発して、対応するアミンHN(R111)R112(R111及びR112は上記に与えるとおりの意味である)(もし必要ならば、適切な保護基によって一時的に保護されていてよい)による求核置換反応によって合成することができる。
【0191】
上記の式I−2の化合物は、一方で、スキーム1に記載した手順によって、適切なイソシアネートR1−N=C=O(R1は適切な脱離基、たとえば、ブロモ又はクロロによって置換されたC2〜C7アルキルである)を用いて得ることができ、又は、式I−1(R2、R3及びR4は上記に与えるとおりの意味であり、R1はヒドロキシルによって置換されたC1〜C4アルキルである)の転化によって得ることができる。上記の式I―1は反応スキーム1に記載された手順によって、対応するC1〜C4アルキルアミンを第一級アミン(たとえば、エタノールアミン又はプロパノールアミン)として用いて合成することができる。その後、反応スキーム3に例示されるとおり、式I−1のこれらの化合物中のヒドロキシル基は適切な脱離基Y、たとえば、メシレート、ブロモ又はクロロへと転化され、次いで、上記のとおり、式HN(R111)R112のアミン(R111及びR112は上記に与えるとおりの意味である)による求核置換反応に付される。
【0192】
【化15】

【0193】
適切な置換基R1を有する式Iの化合物は誘導化によって異なる置換基R1を有するさらなる化合物へと転化されうる。特に、R2、R3及びR4が上記に与える意味を有し、R1がXによって置換されたC2〜C7アルキル(有利にはC2〜C4アルキル)であり、Xが適切な脱離基、たとえば、塩素もしくは臭素である、式Iの化合物は、求核置換反応において、式HN(R111)R112(R111及びR112は上記に与えるとおりの基である)(もし必要ならば、適切な保護基によって一時的に保護されていてよい(たとえば、遊離アミノ基はtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)保護基によって一時的に保護されうる)と反応し、対応する式Iの化合物(R1は−N(R111)R112によって置換されたC2〜C7アルキルである)を調製することができる。この求核置換反応は当業者にとって本質的に常用される方法で又は下記の実施例に記載されるとおりに又はそれに類似する方法で行うことができ、たとえば、適切な溶媒(たとえば、アセトニトリル、メタノール又はテトラヒドロフランなど)の存在下に、場合により適切な塩基の存在下に、又は、場合によりマイクロ波の存在下に、過剰量の式HN(R111)R112のアミンを用いて、大気圧又は高圧で(たとえば、密閉容器内で)、室温で又は高温で、あるいは、使用される溶媒の沸騰/還流温度又はマイクロ波過熱沸騰温度で行うことができる。
【0194】
式I(R2、R3及びR4は上記に与えるとおりの意味であり、R1はXによって置換されたC2〜C7アルキル(有利にはC2〜C4アルキル)であり、Xは適切な脱離基、たとえば、塩素または臭素である)は、対応する式R1−NCOのイソシアネートを用いて、本明細書中に記載されるとおりのヒダントイン合成によって得ることができる。より詳細には、上記のヒダントイン合成は適切な溶媒(たとえば、ケトン、たとえば、2−ブロモ−エチルイソシアネートを用いる場合には、たとえば、ブタノンなど)の存在下に、好ましくは高温、又は、沸騰/還流温度で行われる。
【0195】
それゆえ、場合により、式Iの化合物は、当業者に知られた方法によって、式Iのさらなる化合物に転化されうる。より詳細には、たとえば、
a)R113が水素である式Iの化合物から、対応するN−アルキル化化合物は還元アミノ化又は求核置換反応によって得ることができ、
b)R111及び/又はR112が水素である式Iの化合物から、対応するN−アルキル化化合物は還元アミノ化又は求核置換反応によって得ることができ、
c)R11が塩素又は臭素である式Iの化合物から、R11が−N(R111)R112である対応する化合物が式HN(R111)R112のアミンによる求核置換反応によって得ることができる。
【0196】
a)〜c)に記載した方法は当業者に知られた方法に類似した方法により又は下記実施例に記載されるとおりに適宜に行うことができる。
【0197】
本発明に係る純粋なジアステレオマー及び純粋なエナンチオマーの化合物及びその塩は当業者に知られた方法によって調製されうる。好ましくは、それは、合成においてキラル出発材料を用いることで不斉合成によって、又は、合成で得られたエナンチオマー及びジアステレオマー混合物を分離することによって得られる。不斉合成において、キラルシントン又はキラル試薬を出発材料として用いる。ジアステレオマー及び/エナンチオマー化合物は、調製の適切な段階、たとえば、中間体の段階で、分離されうる。エナンチオマー及びジアステレオマー混合物は当業者に知られた方法によって純粋なエナンチオマー及び純粋なジアステレオマーに分離できる。好ましくは、ジアステレオマー混合物は結晶化、特に、分別晶出、又は、クロマトグラフィーによって分離される。ジアステレオマー混合物の分離のための好ましい方法は結晶化である。ジアステレオマー混合物の分離のための別の好ましい方法はクロマトグラフィーを用いた分離である。エナンチオマー混合物は、たとえば、キラル補助剤を用いてジアステレオマーを形成し、得られたジアステレオマーを回復し、そしてキラル補助剤を除去することにより分離することができる。分離の好ましい方法は、光学活性補助剤を用いてラセミ体のジアステレオマー塩を形成することである。キラル補助剤として、たとえば、キラル酸(たとえば、下記のもの)は、ジアステレオマー塩を形成することにより、エナンチオマー塩基を分離するために使用することができ、キラル塩基は、ジアステレオマー塩を形成することにより、エナンチオマー酸を分離するために使用することができる。好ましいキラル酸はマンデル酸、酒石酸、O,O′−ジベンゾイル酒石酸、ショウノウ酸、キナ酸、グルタミン酸、ピログルタミン酸、リンゴ酸、カンファースルホン酸、3−ブロモカンファースルホン酸、α−メトキシフェニル酢酸、α−メトキシ−α−トリフルオロメチルフェニル酢酸及び2−フェニルプロピオン酸である。さらに、ジアステレオマーエステルなどのジアステレオマー誘導体は、それぞれキラル酸又はキラルアルコールをキラル補助剤として使用して、アルコールのエナンチマー混合物又は酸のエナンチオマー混合物から形成することができる。さらに、ジアステレオマー錯体又はジアステレオマークラスレートはエナンチオマー混合物を分離するために使用することができる。エナンチオマーの分離のための別の適切な方法は酵素分離であり、たとえば、適切なリパーゼを用いる。他の方法としては適切な条件下でのラセミ化合物の速度論的分割、適切な条件下でのエナンチオ形態結晶集成体からのエナンチオ選択的(優先)結晶化(又は同調(entrainment)による結晶化)、又は、キラル補助剤の存在下における適切な溶媒からの結晶化(分別晶出)が挙げられる。エナンチオマー混合物の分離のための好ましい方法は、カラムクロマトグラフィーにおけるキラル分離カラムを用いた分離又は結晶化である。
【0198】
式I及びI**のジアステレオマー化合物の混合物は、好ましくは、たとえば、塩基性条件下にエピマー化されて、式Iの化合物を提供する。類似の方法で、式I***及び式I****の化合物の混合物から出発して、式I***(トランス異性体)をエピマー化によって得ることができる。
【0199】
反応スキーム4に示すように、式I及び式I***(R1、R2、R3、R4は上記に与えるとおりの意味である)のエナンチオマー化合物は反応スキーム1に示す手順と類似の手順によって得ることができる。式IIa’及びIIb’(Rはメチル又はエチルであり、R2、R3、R4は上記に与えるとおりの意味である)の化合物から出発して、その手順によって、(式IIa’の化合物から)中間体VIa’、 (式IIb’の化合物から)中間体VIb’をそれぞれ経て、所望の生成物I及びI***が得られる。もし、反応体が鏡像異性的に純粋な形態での式IIa’の化合物であるならば、鏡像異性的に純粋な式Iが得られる。 類似的に、式IIb’の化合物の反応により、鏡像異性的に純粋な式I***の化合物が得られる。もし式IIa及び式IIbによって記載されるエナンチオマーの化合物の混合物、たとえば、ラセミ体が反応体として用いられるならば、式I及び式I***の化合物の混合物が得られる。
【0200】
【化16】

【0201】
類似的に、式I**及び式I****の化合物は式IIa”、IIb”から出発して得ることができる。IIa’/IIb’はエナンチオマーの対(トランス)であり、それは式IIa”/IIb”の対(シス)に対してジアステレオマーである。
【0202】
【化17】

【0203】
【化18】

【0204】
RがC1〜C4アルキルであり、たとえば、メチル又はエチルであり、R2、R3、R4及びR5が上記に与えるとおりの意味である式IIの化合物は以下のとおりに得ることができる。下記のスキーム5に示す合成経路に示すように、R3及びR4が上記に与えるとおりの意味である式IVのエステル化合物(特に、式IVのエチルエステル又は特にメチルエステル)は、R2が上記に与えた意味である式IIIのベンズアルデヒドとのピクテット−スペングラー(Picket−Spengler)反応において縮合及び環化させると、R2、R3及びR4が上記に与えるとおりの意味である式IIa及び/又は式IIbの対応する化合物が主に混合物として得られる。上記のピクテット−スペングラー(Picket−Spengler)反応は、当業者に知られたとおりに又は下記実施例に記載されるとおりに、有利には、触媒又は反応促進剤としての適切な酸(たとえば、トリフルオロ酢酸)の存在下で、適切な溶媒、たとえば、トルエン又は特にジクロロメタン中で、高温、好ましくは30〜110℃で又は室温で実施することができる。
【0205】
【化19】

【0206】
Rがメチル又はエチルであり、R3及びR4が上記に与えた意味である式IVの化合物は既知であり、又は既知手順にしたがって又は既知の手順と類似の方法で調製することができるか、又は後述するように入手することができる。
【0207】
R2が上記で与えられたとおりの意味である、式IIIの化合物は、既知であるか、又は既知のやり方で、たとえば、適切な芳香族化合物のホルミル化により、たとえば、ヒドロキシメチル化とその後のアルデヒドへの酸化により、又は適切な安息香酸誘導体のアルデヒドへの還元により、得ることができる。
【0208】
Rがメチル又はエチルであり、R3及びR4が上記に与えた意味である、式IVの化合物は、上記ピクテット−スペングラー(Pictet−Spengler)反応においてラセミ体として又は鏡像異性的に純粋な化合物として使用することができる。反応体に応じて、得られる混合物は、ジアステレオマー又はジアステレオマーラセミ体として式IIa及び式IIbの化合物を含みうる。上記の混合物は、場合により、上記のとおりに又は当業者に知られるように分離してもよい。たとえば、式IIa及びIIbのジアステレオマー化合物は、たとえば、カラムクロマトグラフィーにより分離することができる。
【0209】
適当ならば、ジアステレオマーのさらなる分離を行わずに上記の混合物を次の工程で使用することもできる。次いで、下記工程のうちの1つの工程の後にジアステレオマーの分離を実施することができる。好ましくは、分子によって、ジアステレオマーはエピマー化されて、下記に示すとおり、熱力学的により安定したジアステレオマーが、たとえば、式Iの化合物の最終段階で提供される。
【0210】
式IVの化合物を上記のピクテット−スペングラー反応においてラセミ体混合物として用いる場合には、式IIa’及び式IIb’のエナンチオマー化合物を含むラセミ体が上記反応において優先的に得られ又は過剰に得られる。
【0211】
式IVの化合物の適切な純粋なエナンチオマーから出発して、式IIa’又はIIb’のいずれかの化合物(式IVの出発化合物の立体配置に依存して)を優先的に得ることができる。たとえば、(S)−トリプトファンメチルエステル誘導体〔即ち、(S)−2−アミノ−3−(1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸メチルエステル誘導体〕を上記ピクテット−スペングラー反応において使用すると、式IIa’の対応する化合物が優先的に得られる。
【0212】
式IIa’及び式IIb’の化合物は本発明に係る化合物の純粋なエナンチオマー及びジアステレオマーについて上述したとおりに、たとえば、カラムクロマトグラフィー又は結晶化により、好ましくは、光学活性酸によるジアステレオマー塩の結晶化、又は、最も好ましくは実施例に記載されるとおりに又はそれと類似の方法でジアステレオマー化合物から分離できる。
【0213】
Rがメチル又はエチルであり、R3及びR4は上記に与えるとおりの意味であり、R5が水素である、式IVの化合物であって、スキーム5に示す反応における反応体である化合物は、市販されており、又は、反応スキーム6に示すとおりに、たとえば、下記の実施例に記載されるとおりに又はそれと類似する方法により、あるいは、WO0194345号明細書32/33ff頁に記載されるのと類似の方法で入手可能である。
【0214】
【化20】

【0215】
R3及びR4が上記に記載の意味である式Xの化合物から出発して、対応する式VIIIの化合物は当業者に本質的に常用されているアミノメチル化反応(マンニッヒ反応)によって得ることができる。
【0216】
式VIIIの化合物は求核置換反応においてRがC1〜C4アルキル、たとえば、メチル又はエチルである式IXaの化合物と反応して、対応する式VIIaの化合物を提供する。上記の置換反応は当業者に知られたとおりに又は下記実施例に記載されるとおりに又はそれに類似的に行うことができる。
【0217】
R3及びR4が上記に与えるとおりの意味である式VIIaの化合物はニトロ基の還元反応を受け、対応する式IVのアミン化合物が得られる。上記の還元反応は当業者に本質的に知られたとおりに行うことができ、たとえば、触媒水素化、たとえば、活性炭素上の白金などの貴金属触媒、又は、特にラネーニッケルの存在下に行うことができる。場合により、触媒有効量の酸、たとえば、塩酸を溶媒に添加することができる。又は、還元は水素生成性混合物、たとえば、亜鉛、亜鉛−銅カップル(zinc-copper couple)又は鉄などの金属と、酢酸などの有機酸又は塩酸などの無機酸との混合物を用いて行うことができる。
【0218】
又は、式VIIIの化合物は、求核置換反応において、RがC1〜C4アルキルであり、好ましくはメチル又はエチルである式IXbの化合物と反応し、対応する式VIIbの化合物を提供する。上記の置換反応は下記実施例に記載されるとおりに又はBioorg. Med. Chem. Lett. 2005 (15), p.5039-5044に記載されるとおりに又はそれと類似の方法で行うことができる。式VIIbの化合物をエステル及びN−アセチルの塩基性ケン化に付し、そして続いて行う脱カルボキシル化を行うことで、Rがメチル、エチル又は水素である式IVの対応するアミン化合物が得られる。
【0219】
場合により、式IVのエステル化合物は既知のケン化反応によって対応する遊離酸へと転化されうる。場合により、式IVの化合物の遊離酸は、また、既知のエステル化反応によって、たとえば、チオニルクロリド/メタノールを用いて、対応するエステル、特にメチルエステルに再転化されうる。
【0220】
化合物IXa(2−ニトロ酢酸)は市販されている。Rがエチルである化合物IXb(ジエチルアセトアミド−マロネート)は市販されている。
【0221】
式Xの化合物は既知であり、又は、既知手順にしたがって又は下記実施例に記載されるとおりに又はそれに類似する方法で得ることができる。したがって、たとえば、5−メトキシ−1H−インドール、5−クロロ−1H−インドール、5−ブロモ−1H−インドール、5−フルオロ−1H−インドール及び5−トリフルオロメチル−1H−インドールは市販されている。
【0222】
エーテル化合物である式Xの化合物は、当業界で知られたエーテル化反応によって、対応するアルコール化合物から得られる。したがって、たとえば、R3がヒドロキシルである式Xの化合物は、下記実施例に記載されるとおりに又はそれと類似の方法で、対応するエーテル化合物に転化されうる。
【0223】
したがって、たとえば、R3がヒドロキシルである式Xの化合物は、適切なアルキル化剤を用いたアルキル化反応によって、R3がC1〜C4アルコキシ、たとえば、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルメトキシ、ジフルオロメトキシ又はトリフルオロメトキシである式Xの化合物へと転化されうる。
【0224】
本発明に係る鏡像異性的に純粋な出発化合物は式Iの化合物のエナンチオマー及びジアステレオマーの合成又は分離について上述したとおりに得ることができる。
【0225】
又は、鏡像異性的に純粋なトリプトファン又はトリプトファン誘導体(たとえば、エステル誘導体IV、IIa、IIb、IIa’、IIb’、IIa”、IIb”、VIa’、VIb’)は、たとえば、WO0194345号明細書、32/33ff頁に記載されるように又はそれに類似する方法により、あるいは、たとえば、適切なキラル補助剤を用いた立体選択的なアミノ酸合成法にしたがって得ることができる。よって、鏡像異性的に純粋なトリプトファンは、たとえば、Tetrahedron Letters 39 (1998), 9589-9592に記載のとおりに、又はそれと類似する方法で得ることができる。
【0226】
最終工程のうちの1つ又は精製が無機酸又は有機酸(たとえば、塩酸、トリフルオロ酢酸、酢酸又はギ酸など)の存在下で行われるときに、式Iの化合物は、その個々の化学的性質及び使用する酸の個々の性質に依存して、遊離塩基として又は、理論量又は非理論量の酸を含有したものとして、得られる。含有する酸の量は当業界で知られた手順、たとえば、滴定又はNMRによって決定できる。
【0227】
もし、出発化合物又は中間体化合物中に複数の反応中心が存在するならば、所望の反応中心で特異的に反応を進行させるために、1つ又は複数の反応中心を保護基によって一時的にブロックすることが必要なことがあることは当業者に知られている。多数の有効性が証明されている保護基の使用についての記載は、たとえば、T. Greene及びWuts の"Protective Groups in Organic Synthesis" (John Wiley & Sons, Inc. 1999, 3rd Ed.) 又はP. Kocienski の"Protecting Groups (Thieme Foundations Organic Chemistry Series N Group" (Thieme Medical Publishers, 2000)に見られる。
【0228】
場合により、式Iの化合物はその塩に転化されてよく、又は、場合により、式Iの化合物の塩は遊離化合物に転化されてよい。
【0229】
本発明による式Iの化合物の塩は、適切な溶媒(たとえば、アセトン、メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトンなどのケトン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサンなどのエーテル、塩化メチレン又はクロロホルムなどの塩素化炭化水素、メタノール、エタノール又はイソプロパノールなどの低分子量脂肪族アルコール、又は、酢酸エチルなどのエステル)であって、所望の酸又は塩基を含んでいるもの又は所望の酸又は塩基が後に添加されるものの中に、必要ならば加熱しながら、遊離化合物を溶解することにより得ることができる。一塩基酸もしくは多塩基酸又は一酸塩基もしくは多酸塩基のいずれが関係するかによって、どの塩が望まれているかによって、等モル量比であるか又はそれとは異なる量比であるかによって、酸又は塩基を塩形成に使用することができる。塩は、たとえば、溶媒を蒸発させること、又は、再沈殿もしくは冷却とともに沈殿もしくは塩に対する非溶媒による沈殿を行い、そして、沈殿後の塩の分離を、たとえば、ろ過により行うことで得られる。得られた塩は遊離化合物へと転化されてよく、それは逆に塩へと転化されてよい。このように、たとえば、工業規模で又は式Iの化合物の分離もしくは精製において、本発明に係る化合物もしくはその塩、又は、立体異性体もしくはその立体異性体の塩の製造におけるプロセス生成物として得ることができる、医薬上許容されない塩は、当業者に知られた方法によって医薬上許容される塩へと転化されうる。
塩形成において、酸又は塩基は、関係する酸又は塩基によって、たとえば、酸が一塩基酸であるか又は多塩基酸であるか及びどの塩が望まれるかによって、酸又は塩基は等モル量比又はそれとは異なる量比で使用される。
【0230】
本発明は、また、本発明に係る化合物を調製するための本明細書中に開示した方法に関し、その方法は本明細書中に開示したとおりの条件下に、記載した中間体を転化し及び/又は記載した中間体を適切な反応相手と反応させる1つ又は複数の工程を含む。本発明は、また、本明細書中に開示しそして本発明に係る化合物の合成に有用である、中間体(その塩、立体異性体又はその立体異性体の塩を含む)、ならびに方法及びプロセスに関する。
【0231】
以下の実施例はより詳細に本発明を例示するが、それを限定しない。調製について明示的に記載していない本発明のさらなる化合物は類似の方法で調製することができる。
【0232】
実施例において、m.p.は融点を表し、hは時間(時)を表し、minは分を表し、V:V又はV:V:V又はV:V:V:Vは体積比を表し、conc.は濃厚を表し、Mはモル濃度を表し、THFはテトラヒドロフランを表し、calc.は計算値を表し、fnd.は実測値を表し、EFは元素式を表し、MSは質量分析を表し、LCMSは液体クロマトグラフィー質量分析を表し、HPLCは高圧液体クロマトグラフィーを表し、Mは質量分析における分子イオンを表し、MHは質量がMの分子のプロトン付加イオンを表し、m/zは観測される質量ピーク(質量/電荷)を表し、NMRは核磁気共鳴を表し、そして他の略語は当業者に本質的に慣用される意味である。
【0233】
室温は20〜25度の温度である。
【0234】
化合物の名称はISISのAutonom, Autonom Engine Version 4.0, Copyright (1998) Beilstein Institut Frankfurt am Mainを用いて生成した。
【0235】
更に、立体化学における通常の慣習に従って、RS及びSRという記号はラセミ体の指定のキラル中心の各々の特定の立体配置を示すために使用される。より詳細には、たとえば、「(3aSR,10RS)」という用語は、立体配置(3aS,10R)を有する一方のエナンチオマーと立体配置(3aR,10S)を有する他方のエナンチオマーとを含むラセミ体を表し;更に詳細には、たとえば、「(3aRS,10RS)」という用語は、立体配置(3aR,10R)を有する一方のエナンチオマーと立体配置(3aS,10S)を有する他方のエナンチオマーとを含むラセミ体を表し;それらのエナンチオマーの各々、及び純粋な形でのそれらの塩、並びにラセミ体を含むそれらの混合物は、本発明の一部である。
【0236】
そのため、トランス配置のラセミ体は(3aSR,10RS)、又は、同様に、(3aRS,10SR)として記載され、上記の式Iに記載される立体配置(3aS,10R)を有する化合物及び式I***に記載される立体配置(3aR,10S)を有する化合物を含む。
したがって、シス配置のラセミ体は(3aRS,10RS)、又は、同様に、(3aSR,10SR)として記載され、上記の式I**に記載される立体配置(3aR,10R)を有する化合物及び式I****に記載される立体配置(3aS,10S)を有する化合物を含む。
【実施例】
【0237】
最終化合物
1.(3aSR,10RS)−6−フルオロ−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
(1RS,3RS)−6−フルオロ−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル及び(1RS,3SR)−6−フルオロ−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステルの未精製混合物の10mlアセトン中の溶液に、1.34g(7.8mmol)のN−スクシンイミジル−N−メチルカルバメートを添加する。この混合物をマイクロ波反応器を用いて20分間150℃に加熱する。減圧下に溶媒を除去し、残留物を20mlのアセトニトリル中に溶解させ、2.7gの炭酸カリウムを添加し、懸濁液を210分間加熱して還流させる。減圧下に溶媒を除去し、残留物を酢酸エチル中に溶解させる。溶液を水及びブラインで洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、減圧下に溶媒を除去する。未精製生成物をメタノール及びジクロロメタンの混合物中に懸濁させ、加熱して還流させる。室温への冷却後に、所望の生成物を懸濁液からろ過し、そして乾燥する。460mgの題記の化合物を無色の固形分として得る。
m.p.:328〜331℃
MF:C20H16FN3O3(365.37)
MS:m/z(M-H)=364,1
【0238】
対応するA2〜A7の化合物から出発して、対応する反応体を選択することで、以下の化合物2〜6を例1について例示的に記載したのと類似の方法で得ることができる。
2.(3aSR,10RS)−7−フルオロ−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
m.p.:279〜283℃
MF:C20H16FN3O3(365.37)
MS:m/z(M-H)=364,1
3.(3aSR,10RS)−6−ブロモ−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
m.p.:313〜314℃
MF:C20H16BrN3O3(426.27)
MS:m/z(M-H)=426,0/428,0
4.(3aSR,10RS)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,6−ジメチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
m.p.:195〜209℃
MF:C21H19N3O3(361.40)
MS:m/z(M-H)=362,1
5.(3aSR,10RS)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
m.p.:348〜352℃
MF:C21H19N3O3(361.40)
MS:m/z(M-H)=362,1
6.(3aSR,10RS)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,7−ジメチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
m.p.:282〜285℃
MF:C21H19N3O3(361.40)
MS:m/z(M-H)=362,1
7.(3aSR,10RS)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メトキシ−2−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
(1RS,3RS)−6−メトキシ−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル及び(1RS,3SR)−6−メトキシ−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステルの混合物の10mlアセトン中の溶液に、156mg(900μmol、4.00当量)のN−スクシンイミジル−N−メチルカルバメートを添加する。この混合物をマイクロ波反応器を用いて10分間150℃に加熱する。減圧下に溶媒を除去し、残留物を5mlアセトニトリル中に溶解させる。313mgの炭酸カリウムを添加し、懸濁液を150分間加熱して還流させる。減圧下に溶媒を除去し、残留物を酢酸エチル中に溶解させる。溶液を水及びブラインで洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、減圧下に溶媒を除去する。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/酢酸エチル4:1)の後、42mg(48%)の所望の生成物を青白い固形分として得る。
m.p.:172〜175℃
MF:C21H19N3O4(377.40)
MS:m/z(M-H)=378,2
【0239】
下記に記載する適切な出発化合物A1〜A7から出発するが、化合物A8を反応相手として選択し、以下の化合物を例1又は7について行うのと類似の手順で得ることができる。
8.(3aSR,10RS)−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−6−フルオロ−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
9.(3aSR,10RS)−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−7−フルオロ−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
10.(3aSR,10RS)−6−ブロモ−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
11.(3aSR,10RS)−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
12.(3aSR,10RS)−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−5−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
13.(3aSR,10RS)−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−7−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
14.(3aSR,10RS)−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メトキシ−2−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
【0240】
下記に記載する適切な出発化合物A1〜A7から出発するが、化合物A9を反応相手として選択し、以下の化合物を例1又は7について行うのと類似の手順で得ることができる。
15.(3aSR,10RS)−2−(3−ジメチルアミノ−n−プロピル)−6−フルオロ−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
16.(3aSR,10RS)−2−(3−ジメチルアミノ−n−プロピル)−7−フルオロ−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
17.(3aSR,10RS)−6−ブロモ−2−(3−ジメチルアミノ−n−プロピル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
18.(3aSR,10RS)−2−(3−ジメチルアミノ−n−プロピル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
19.(3aSR,10RS)−2−(3−ジメチルアミノ−n−プロピル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−5−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
20.(3aSR,10RS)−2−(3−ジメチルアミノ−n−プロピル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−7−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
21.(3aSR,10RS)−2−(3−ジメチルアミノ−n−プロピル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メトキシ−2−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
22.(3aS,10R)−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン
500mgの(1R,3R)−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル(A10)及び708mgの(2−イソシアナト−エチル)−ジメチルアミンの5mlアセトン中での溶液をマイクロ波を用いて10分で150℃に加熱する。15mlのアセトニトリル及び2.5gの炭酸カリウムを添加しそして混合物を3時間加熱して還流させる。水を添加し、溶液を酢酸エチルで抽出する。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させる。減圧にて溶媒を除去する。分取HPLC及び凍結乾燥による残留物の精製の後に、120mgの題記の化合物を得る(m/z (MH+)=405.2)。
【0241】
下記の式I−A、I−A−1、I−A−2、I−B、I−B−1又はI−B−2及び表1による式Iの化合物は、以下の一般手順において記載されるとおりに、好ましくは、A−I−1〜A−I−19、A−II−1〜A−II−10から選択される対応する反応体から出発して下記の実施例について記載されるとおりに調製できる。
【0242】
【化21】

【0243】
一般手順A(R1=Me)
A−I−1〜A−I−19、A−II−1〜A−II−10から選択される適切な反応体及びN−スクシンイミジル−N−メチルカルバメートの適切な溶媒(たとえば、アセトン)中の混合物を密閉チューブを有するマイクロ波反応器を用いて150℃に加熱する。減圧下に溶媒を除去し、残留物をアセトニトリル中に溶解させる。炭酸カリウムを添加し、TLCにより所望されないジアステレオマーが消失するまで懸濁液を加熱して還流させる。減圧下に溶媒を除去し、残留物を酢酸エチル中に溶解させる。溶液を水及びブラインで洗浄する。有機層を乾燥させ、減圧下に溶媒を除去する。この未精製生成物を、結晶化、分取HPLC又はカラムクロマトグラフィーなどの適切な方法によって精製する。
一般手順B(R1=R11によって置換されたC2〜C7アルキル)
A−I−1〜A−I−19、A−II−1〜A−II−10から選択される適切な反応体の2−ブタノン中の溶液に、ブロモエチルイソシアネート、クロロn−プロピルイソシアネートをそれぞれ添加する。混合物を少なくとも24時間加熱して還流させる。減圧下に溶媒を除去する。この未精製生成物を、カラムクロマトグラフィーによって精製することができ、又は、さらなる精製なしに使用してもよい。
その中間体をTHFなどの適切な溶媒中に溶解させ、そして過剰量の適切なアミン及び触媒量のヨウ化ナトリウムを添加する。その混合物を密閉チューブを用いて150℃に加熱する。減圧下に溶媒を除去し、残留物を酢酸エチル中に溶解させる。その溶液を水及びブラインで洗浄する。有機層を乾燥させ、溶媒を減圧下に除去する。未精製生成物を、結晶化、分取HPLC又はカラムクロマトグラフィーなどの適切な方法によって精製する。
【0244】
【表1】

【0245】
【表2】

【0246】
【表3】

【0247】
【表4】

【0248】
【表5】

【0249】
【表6】

【0250】
【表7】

【0251】
【表8】

【0252】
【表9】

【0253】
【表10】

【0254】
【表11】

【0255】
【表12】

【0256】
【表13】

【0257】
【表14】

【0258】
【表15】

【0259】
【表16】

【0260】
【表17】

【0261】
【表18】

【0262】
【表19】

【0263】
【表20】

【0264】
【表21】

【0265】
【表22】

【0266】
【表23】

【0267】
【表24】

【0268】
【表25】

【0269】
【表26】

【0270】
【表27】

【0271】
【表28】

【0272】
【表29】

【0273】
塩は下記の一般手順に従って調製されうる:
100mgの適切な遊離塩基、1.00当量の対応する酸及び1mlの適切な溶媒(好ましくは、メタノール、2−プロパノール、ジイソプロピルエーテル、エタノール、酢酸エチル、アセトンから選択)の混合物を加熱して還流させる。その溶液を室温に冷却させる。沈殿した塩をろ過し、溶媒で洗浄しそして減圧下に40℃で乾燥させる。
【0274】
出発材料
A1.(1RS,3RS)−6−フルオロ−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル及び(1RS,3SR)−6−フルオロ−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
460mg(1.95mmol)の2−アミノ−3−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)プロピオン酸メチルエステル(化合物B1)及び3−ヒドロキシベンズアルデヒド(286mg、2.34mmol)の10mlトルエン中の懸濁液に、940μl(2.67mmol)のトリフルオロ酢酸を添加する。得られた溶液を14時間45℃に加熱する。その溶液を室温に冷却し、水を加える。炭酸ナトリウムの飽和水溶液をpHが塩基性となるまで加える。その混合物を酢酸エチルで抽出する。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥する。減圧下に溶媒を除去する。残留物(890mg)をさらなる精製なしに次の工程で使用する。
対応するインドール−プロピオン酸メチルエステルB2〜B6から出発して、化合物A1について例示的に記載したように下記の化合物を得ることができる。
A2.(1RS,3RS)−7−フルオロ−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル及び(1RS,3SR)−7−フルオロ−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A3.(1RS,3RS)−6−ブロモ−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル及び(1RS,3SR)−6−ブロモ−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A4.(1RS,3RS)−6−メチル−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル及び(1RS,3SR)−6−メチル−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A5.(1RS,3RS)−5−メチル−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル及び(1RS,3SR)−5−メチル−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A6.(1RS,3RS)−7−メチル−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル及び(1RS,3SR)−7−メチル−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A7.(1RS,3RS)−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メトキシ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル及び(1RS,3SR)−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メトキシ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
510mg(2.10mmol、1.00当量)の2−アミノ−3−(5−メトキシ−1H−インドール−3−イル)プロピオン酸メチルエステル(化合物B7)及び3−ヒドロキシベンズアルデヒド(308mg、2.52mmol)の10mlトルエン中の懸濁液に、1.00ml(2.67mmol、1.67当量)のトリフルオロ酢酸を添加する。得られた溶液を14時間45℃に加熱する。その溶液を室温に冷却し、水を加える。炭酸ナトリウムの飽和水溶液をpHが塩基性となるまで加える。その混合物を酢酸エチルで抽出する。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥する。減圧下に溶媒を除去する。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/酢酸エチル2:1)の後に、80mgの題記のジアステレオマーの混合物が得られ、それを分離なしに次の工程で使用することができる。
【0275】
A8.(2−イソシアナト−エチル)−ジメチル−アミン
2.50gの2−ブロモエチルイソシアネートを20mlのジクロロメタン中に溶解させる。ジメチルアミンの弱い流れで3時間、溶液を通してバブリングする。減圧下に溶媒を除去する。1.9gの題記の化合物を無色の液体として得る。それはさらなる精製なしに使用することができる(m/z(M+)=114.1)。
A9.(2−イソシアナト−n−プロピル)−ジメチル−アミン
3−ブロモプロピルイソシアネートから出発して、化合物A8について記載したのと類似の方法で題記の化合物を調製する。
A10.(1R,3R)−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
23.0gの市販のD−トリプトファンメチルエステル及び16.3gの3−ヒドロキシベンズアルデヒドの200mlジクロロメタン中の溶液に、38.4gのトリメトキシオルトホルミエートを添加する。溶液を60時間攪拌する。溶媒を減圧下に除去し、残留物を200mlジクロロメタン中に溶解させる。0℃に冷却した後に、16.5gのトリフルオロ酢酸を添加し、そして混合物を室温にて一晩攪拌する。
溶媒を減圧下に除去し、残留物を酢酸エチル中に溶解させ、溶液を重炭酸ナトリウムの水溶液及び水で洗浄する。その混合物を硫酸マグネシウムで乾燥させる。減圧下に溶媒を除去する。残留物を熱2−プロパノール中に溶解させ、そして溶液を室温に冷却する。沈殿物をろ過し、乾燥させる。4.0gの題記の化合物を無色の固形分として得る(m/z(MH+=323.0)。
NMR実験(核オーバーハウザー効果など)によると、ピクテット−スペングラー反応の主生成物は、通常、立体配置(1RS,3SR)を有するジアステレオマーである。このジアステレオマーは、通常、立体配置(1RS,3RS)を有する少量生成物よりも高い保持係数を有する(シリカゲル、酢酸エチル−軽質石油エーテル)。
【0276】
B1.2−アミノ−3−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸メチルエステル
1.02g(4.60mmol)の市販の5−フルオロ−DL−トリプトファンの15mlメタノール中の懸濁液に、0℃において、1.67ml(23mmol)の塩化チオニルを滴下して加える。その混合物を0℃で1時間、室温で14時間攪拌する。減圧下に溶媒を除去し、残留物を酢酸エチル中に溶解させる。溶液を炭酸ナトリウムの飽和水溶液及びブラインで洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下に溶媒を除去する。1.0gの題記の化合物を青白い結晶として得る。
当業界において知られているトリプトファン誘導体から出発して、以下のエステル化合物を、化合物B1について例示的に記載したように得ることができる。
B2.2−アミノ−3−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸メチルエステル
B3.2−アミノ−3−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸メチルエステル
B4.2−アミノ−3−(5−メチル−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸メチルエステル
B5.2−アミノ−3−(4−メチル−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸メチルエステル
B6.2−アミノ−3−(6−メチル−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸メチルエステル
B7.2−アミノ−3−(5−メトキシ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸メチルエステル
1.06g(4.30mmol、1当量)の市販の5−メトキシ−DL−トリプトファンの15mlメタノール中の懸濁液に、0℃において、1.56ml(21.5mmol、5.00当量)の塩化チオニルを滴下して加える。その混合物を0℃で1時間、室温で14時間攪拌する。減圧下に溶媒を除去し、残留物を酢酸エチル中に溶解させる。溶液を炭酸ナトリウムの飽和水溶液及びブラインで洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下に溶媒を除去する。1.21gの所望の生成物を青白い結晶として得る。
【0277】
以下の化合物A−I−1〜A−I−19は、B−I−1〜B−I−20から選ばれる適切な反応体及び3−ヒドロキシベンズアルデヒドから出発して、上記の実施例について記載したのと類似の方法で調製することができ、又は、WO0194345号明細書の32/33ff頁に記載されるのと類似の方法で調製することができる。ピクテット−スペングラー反応の主生成物は、通常、立体配置(1RS,3RS)を有するジアステレオマーであり、又は、そのジアステレオマーは既知の手順によって分離されうる。
A−I−1.(1RS,3SR)−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メトキシ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル及び(1RS,3RS)−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メトキシ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
(1RS,3SR)−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メトキシ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステルは、分取HPLCによってそのエナンチオマーに分離されうる。
(−)−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メトキシ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
(+)−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メトキシ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A−I−2.(1RS,3SR)−6−エトキシ−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A−I−3.(1RS,3SR)−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−(2−メトキシ−エトキシ)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル及び(1RS,3RS)−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−(2−メトキシ−エトキシ)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A−I−4.(1RS,3SR)−6−クロロ−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A−I−5.(1RS,3SR)−6−ブロモ−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A−I−6.(1RS,3SR)−3−エチル−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メトキシ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸エチルエステル
A−I−7.(1RS,3SR)−6−エトキシ−3−エチル−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸エチルエステル
A−I−8.(1RS,3SR)−3−エチル−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−(2−メトキシ−エトキシ)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸エチルエステル
A−I−9.(1RS,3SR)−6−クロロ−3−エチル−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸エチルエステル
A−I−10.(1RS,3SR)−6−ブロモ−3−エチル−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸エチルエステル
A−I−11.(1RS,3SR)−6−シクロプロピルメトキシ−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A−I−12.(1RS,3SR)−6−(1,1−ジフルオロ−メトキシ)−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A−I−13.(1RS,3SR)−6−トリフルオロメトキシ−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A−I−14.(1RS,3SR)−6−シクロプロピルメトキシ−3−エチル−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸エチルエステル
A−I−15.(1RS,3SR)−6−(1,1−ジフルオロ−メトキシ)−3−エチル−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸エチルエステル
A−I−16.(1RS,3SR)−3−エチル−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−トリフルオロメトキシ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸エチルエステル
A−I−17.(1RS,3SR)−5−フルオロ−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メトキシ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A−I−18.(1RS,3SR)−7−フルオロ−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メトキシ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A−I−19.(1RS,3SR)−6−クロロ−7−フルオロ−1−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
【0278】
以下の化合物B−I−1〜B−I−20は市販されているか、又は、D1〜11から選ばれる適切な反応体から出発して、上記実施例について記載したのと類似の方法で又はWO0194345号明細書、32/33ff頁に記載されるのと類似の方法で調製できる。
B−I−1.(+/−)−2−アミノ−3−(5−メトキシ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸メチルエステル
B−I−2.(+/−)−2−アミノ−3−(5−エトキシ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸メチルエステル
B−I−3.(+/−)−2−アミノ−3−[5−(2−メトキシ−エトキシ)−1H−インドール−3−イル]−プロピオン酸メチルエステル
B−I−4.(+/−)−2−アミノ−3−(5−クロロ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸メチルエステル
B−I−5.(+/−)−2−アミノ−3−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸メチルエステル
B−I−6.(+/−)−2−アミノ−3−(5−メトキシ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸エチルエステル
B−I−7.(+/−)−2−アミノ−3−(5−エトキシ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸エチルエステル
B−I−8.(+/−)−2−アミノ−3−[5−(2−メトキシ−エトキシ)−1H−インドール−3−イル]−プロピオン酸エチルエステル
B−I−9.(+/−)−2−アミノ−3−(5−クロロ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸エチルエステル
B−I−10.(+/−)−2−アミノ−3−(5−ブロモ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸エチルエステル
B−I−11.(RS)−2−アミノ−3−(5−シクロプロピルメトキシ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸メチルエステル
B−I−12.(RS)−2−アミノ−3−[5−(1,1−ジフルオロ−メトキシ)−1H−インドール−3−イル]−プロピオン酸メチルエステル
B−I−13.(RS)−2−アミノ−3−(5−トリフルオロメトキシ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸メチルエステル
B−I−14.(+/−)−2−アミノ−3−(5−シクロプロピルメトキシ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸エチルエステル
B−I−15.(+/−)−2−アミノ−3−[5−(1,1−ジフルオロ−メトキシ)−1H−インドール−3−イル]−プロピオン酸エチルエステル
B−I−16.(+/−)−2−アミノ−3−(5−トリフルオロメトキシ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸エチルエステル
B−I−17.(RS)−2−アミノ−2−(5−メトキシ−1H−インドール−3−イルメチル)−酪酸エチルエステル
B−I−18.(RS)−2−アミノ−3−(4−フルオロ−5−メトキシ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸メチルエステル
B−I−19.(RS)−2−アミノ−3−(6−フルオロ−5−メトキシ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸メチルエステル
B−I−20.(RS)−2−アミノ−3−(5−クロロ−6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−プロピオン酸メチルエステル
【0279】
以下の化合物A−II−1〜A−II−10は、B−I−1〜B−I−20から選ばれる適切な反応体及びベンズアルデヒドから出発して、上記の実施例について記載したのと類似の方法で調製することができ、又は、WO0194345号明細書の32/33ff頁に記載されるのと類似の方法で調製することができる。ピクテット−スペングラー反応の主生成物は、通常、立体配置(1RS,3RS)を有するジアステレオマーであり、又は、そのジアステレオマーは既知の手順によって分離されうる。
A−II−1.(1RS,3SR)−6−メトキシ−1−フェニル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル及び(1RS,3RS)−6−メトキシ−1−フェニル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A−II−2.(1RS,3SR)−6−エトキシ−1−フェニル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A−II−3.(1RS,3SR)−6−(2−メトキシ−エトキシ)−1−フェニル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A−II−4.(1RS,3SR)−6−クロロ−1−フェニル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A−II−5.(1RS,3SR)−6−ブロモ−1−フェニル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸メチルエステル
A−II−6.(1RS,3SR)−6−メトキシ−1−フェニル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸エチルエステル
A−II−7.(1RS,3SR)−6−エトキシ−1−フェニル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸エチルエステル
A−II−8.(1RS,3SR)−6−(2−メトキシ−エトキシ)−1−フェニル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸エチルエステル
A−II−9.(1RS,3SR)−6−クロロ−1−フェニル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸エチルエステル
A−II−10.(1RS,3SR)−6−ブロモ−1−フェニル−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸エチルエステル
【0280】
以下の化合物D1〜D11、E1〜E10、F1、G1、I1、J1、K1は市販されており、又は以下のとおりに調製されうる。
D1.(5−メトキシ−1H−インドール−3−イルメチル)−ジメチル−アミン
題記の化合物(5−メトキシ−グラミン)は市販されている。
D2.(5−エトキシ−1H−インドール−3−イルメチル)−ジメチル−アミン
5−エトキシ−インドール(7.84g、48.7mmol)、ジメチルアミン40%水溶液(9.25ml、73mmol、1.5当量)及び96%酢酸(30ml)の混合物を0℃で攪拌し、その後、36%ホルムアルデヒド水溶液(6.33ml、82.7mmol、1.7当量)を滴下して加える。その混合物を室温へと冷却し、一晩攪拌した後に、TLC(ジクロロメタン−メタノール、4:1)は出発材料が存在していないことを示す。NaOHの10%水溶液(150ml)を添加し、その混合物を室温で2時間攪拌する。その後、それをジクロロメタン(4×200ml)で抽出し、有機層を乾燥させ、濃縮させる。残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール4:1 →メタノール−アンモニア水溶液50:1)によって精製し、粗生成物(10.18g、96%)を提供し、それをアセトンから結晶化させ、純粋な(5−エトキシ−1H−インドール−イルメチル)−ジメチル−アミン(10.2g、96%)を白色結晶として提供する。M.p.95〜97℃
D3.[5−(2−メトキシ−エトキシ)−1H−インドール−3−イルメチル]−ジメチル−アミン
5(2−メトキシ−エトキシ)−インドール(2.06g、11.0mmol)の酢酸(7ml)及び40%ジメチルアミン水溶液(2.1ml)中の溶液を0℃に冷却し、36%ホルムアルデヒド水溶液(1.38ml)(事前に0℃に冷却)を滴下して加える。混合物を室温で一晩攪拌し、2M塩酸を加え、そして混合物をジクロロメタンで洗浄する。合わせた水性層を10%NaOHでアルカリ化し、ジクロロメタンで抽出する。合わせた有機層を水で洗浄し、乾燥させそして濃縮させる。残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン−メタノール4:1 →ジクロロメタン−メタノール−水−アンモニア水溶液10:20:1:1)によって精製し、[5(2−メトキシ−エトキシ)−1H−インドール−イルメチル]−ジメチル−アミン(2.42g、90%)を提供する。M.p.163〜164℃(トルエン−N,N−ジメチルホルムアミドから)。
D4.(5−クロロ−1H−インドール−3−イルメチル)−ジメチル−アミン
適切な出発化合物から出発して、題記の化合物を化合物D2又はD3について記載した手順と類似の方法で調製する。M.p.:127〜130℃
D5.(5−ブロモ−1H−インドール−3−イルメチル)−ジメチル−アミン
適切な出発化合物から出発して、題記の化合物を化合物D2又はD3について記載した手順と類似の方法で調製する。M.p.:139℃
D6.(5−シクロプロピルメトキシ−1H−インドール−3−イルメチル)−ジメチル−アミン
適切な出発化合物から出発して、題記の化合物を化合物D2又はD3について記載した手順と類似の方法で調製する。1H-NMR (CDCl3): 0.36 (m, 2H, シクロプロピルCH2), 0.64 (m, 2H, シクロプロピルCH2), 1.26 (m, 1H, シクロプロピルCH), 2.34 (s, 6H, 2 NMe2), 3.8 (m, 2H, CH2O), 6.8-7.4 (m, 4H, 芳香族), 8.84 (bs, 1 H, NH)
D7.[5−(1,1−ジフルオロ−メトキシ)−1H−インドール−3−イルメチル]−ジメチル−アミン
適切な出発化合物から出発して、題記の化合物を化合物D2又はD3について記載した手順と類似の方法で調製する。1H-NMR (CDCl3 + CD3OD): 2.30 (s, 6H, NMe2), 3.66 (s, 2H, CH2), 6.53 (t, 1H, JH,F = 75 Hz, CHF2), 6.95 (dd, 1H, 芳香族), 7.2-7.4 (m, 3H, 芳香族). 13C-NMR (CDCl3): 44.4 (NMe2), 53.6 (CH2), 109.2, 109.7, 112.1 , 114.8, 126.6, 128.1 , 133.9, 145.0 (芳香族)
D8.[5−トリフルオロメトキシ−1H−インドール−3−イルメチル]−ジメチル−アミン
適切な出発化合物から出発して、題記の化合物を化合物D2又はD3について記載した手順と類似の方法で調製することができる。
D9.(4−フルオロ−5−メトキシ−1H−インドール−3−イルメチル)−ジメチル−アミン
適切な出発化合物から出発して、題記の化合物を化合物D2又はD3について記載した手順と類似の方法で調製する。m/z(MH+)=222.8
D10.(6−フルオロ−5−メトキシ−1H−インドール−3−イルメチル)−ジメチル−アミン
適切な出発化合物から出発して、題記の化合物を化合物D2又はD3について記載した手順と類似の方法で調製する。m/z(MH+)=222.6
D11.(5−クロロ−5−フルオロ−1H−インドール−3−イルメチル)−ジメチル−アミン
適切な出発化合物から出発して、題記の化合物を化合物D2又はD3について記載した手順と類似の方法で調製する。m/z(MH+)=226.8
【0281】
E1. 5−エトキシ−インドール
市販の5−ヒドロキシインドール(18g、13.5mmol)、無水KCO(93.5g、5当量)及びヨードエタン(40.5ml、3.75当量)のアセトン(180ml)中の混合物をアルゴン下に50℃で攪拌する。TLC(ジクロロメタン−メタノール、95:5)が5−ヒドロキシ−インドールの消失を示すときに(4日)、混合物をろ過し、固形分をアセトンで洗浄し、その後、ろ液を濃縮して17.67g(90%)の題記の化合物を提供する。それは次の工程で使用するために十分に純粋である。M.p.144〜146℃(エタノールから)。
E2. 5−(2−メトキシ−エトキシ)−1H−インドール
5−ヒドロキシ−インドール(15.2g、114mmol)の250ml乾燥アセトン中の溶液に、2−メトキシエチルヨージド(15ml、141mmol、1.25当量)及び無水KCO(46.7g、338mmol、3当量)を添加し、混合物を還流させる。さらなる量の0.5当量の2−メトキシエチルヨージド及びKCOを各々の日に添加する。6日後に、TLC(トルエン−アセトン9:1)は出発材料が存在しないことを示す。固形分をろ過により除去し、そして溶媒を蒸発させる。残留物をジクロロメタン(800ml)中に溶解させ、溶液を2MのHCl水溶液、10%NaHCO水溶液及び水で洗浄する。有機層を乾燥させ、濃縮させる。カラムクロマトグラフィー(トルエン−アセトン9:1)は5−(2−メトキシ−エトキシ)−1H−インドール(18.8g、86%)を提供する。M.p.58〜60℃(酢酸エチル−軽質石油から)
E3. 5−クロロ−1H−インドール
題記の化合物は市販されている。
E4. 5−ブロモ−1H−インドール
題記の化合物は市販されている。
E5. 5−シクロプロピルメトキシ−1H−インドール
7.3gの5−ヒドロキシ−インドールの130ml乾燥アセトン中の溶液に、10.5mlブロモメチルシクロプロパン及び22.7gの無水炭酸カリウムを添加する。その混合物を加熱して24時間還流し、さらなる量の5mlのブロモメチルシクロプロパンを添加する。混合物を加熱してさらに4日間還流する。混合物をろ過し、溶媒を減圧下に除去する。残留物をジクロロメタン中に溶解させ、塩酸水溶液(2M)、10%NaHCO水溶液及び水で洗浄する。有機層を乾燥させ、溶媒を減圧下に除去する。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン、アセトン、95:5)によって精製した後に、題記の94%の化合物9.62gを油として得る。1H-NMR (CDCl3): 0.36 (m, 2H, シクロプロピルCH2), 0.64 (m, 2H, シクロプロピルCH2), 1.30 (m, 1H, シクロプロピルCH), 3.83 (d, 2H, J = 7.0 Hz, CH2O), 6.45 (s, 1H, 芳香族), 6.90 (dd, 1H, 芳香族),.7.09-7.27 (m, 3H, 芳香族), 8.05 (bs, 1H, NH). 13C-NMR (CDCl3): 3.1 (2 シクロプロピルCH2), 10.4 (シクロプロピルCH), 74.2 (CH2O), 101.2, 101.6, 104.0, 104.6, 149.8 (芳香族)
E6.5−(1,1−ジフルオロ−メトキシ)−1H−インドール
70mlのジオキサン及び20mlの水酸化ナトリウム水溶液(50%)中の6.65gの5−ヒドロキシ−インドールの氷冷溶液をとおしてクロロジフルオロメタンをバブリングする。TLCが出発材料が存在しないことを示した後に、500mlのジクロロメタンを添加する。その混合物を水で洗浄する。有機層を乾燥させ、減圧下に溶媒を除去する。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル;トルエン、アセトン99:1)で処理した後に、2.19g(24%)の題記の化合物を無色の液体として得る。MS: [M+H]: 184.1 , [M-H]: 182.0。 1H-NMR (CDCl3): 6.48 (t, 1H, JH,F = 75 Hz, CHF2), 6.52 (m, 1H, 芳香族), 6.98 (dd, 1H, 芳香族), 7.2-7.4 (m, 3H, 芳香族). 13C-NMR (CDCl3): 103.0, 111.5, 111.9, 115.4, 117.1 , 122.2, 126.0, 128.4, 133.6 (芳香族炭素)
E7.5−トルフルオロメトキシ−1H−インドール
題記の化合物はトリフルオロメチル化反応によって5−ヒドロキシ−1H−インドールから得ることができる。
E8. 6−フルオロ−5−メトキシ−1H−インドール及び
E9. 4−フルオロ−5−メトキシ−1H−インドール
題記の両方の化合物は4−フルオロ−5−メトキシインドール及び6−フルオロ−5−メトキシインドールを混合物として調製するためのWO2003/064413(91f頁)に記載された手順と類似の手順で調製される。この場合、位置異性体中間体(4−フルオロ−5−メトキシ−2−ニトロ−フェニル)−アセトニトリル及び2−フルオロ−3−メトキシ−6−ニトロ−フェニル)−アセトニトリルを以下のシーケンス:2−プロパノールから(4−フルオロ−5−メトキシ−2−ニトロ−フェニル)−アセトニトリル(m/z(MH+)=166.1)を結晶化させ、次いで、上記結晶化の母液を用いて、トルエンから2−フルオロ−3−メトキシ−6−ニトロ−フェニル)−アセトニトリル(m/z(MH+)=166.1)を結晶化させることで分離する。
E10. 5−クロロ−6−フルオロ−1H−インドール
12.4gのナトリウム1−アセチル−6−フルオロ−1H−インドール−2−スルホネートの30mlアセトニトリル中の懸濁液に、7.1gのN−クロロスクシンイミドを加える。その混合物を室温で2時間攪拌し、110℃に加熱する。450mlの水酸化ナトリウム水溶液(1M)を加える。溶液を110℃で1時間攪拌し、0℃に冷却する。有機層を分離し、溶媒を除去する。残留物をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/メチルtert-ブチルエーテル)によって精製した後に、7.82g(39%)の題記の化合物を得る。m/z(M-H+)=168.0
【0282】
F1. 2−メトキシエチルヨージド
未精製2−メトキシエチルトシレートを1600mlアセトン中に溶解させ、NaI(300g、2mol、2当量)を加える。その混合物を加熱して還流し、反応の進行をTLC(トルエン−アセトン、9:1)でモニターする。3時間後、混合物を室温に冷却し、固形分をろ過により除去する。溶媒を蒸発させ、残留物をジクロロメタン(700ml)中に溶解させ、10%Na水溶液及び水によって洗浄する。有機層を乾燥させ、溶媒を蒸発させる。残留物を減圧下に蒸留し、108g(58%)の2−メトキシエチルヨージドを得る。B.p.30ミリバールで34〜36℃
G1. トルエン−4−スルホン酸2−メトキシエチルエステル
p−トルエンスルホニルクロリド(205g、1.08mol)及びピリジン(150mLのスラリーをアルゴン雰囲気下に攪拌する。温度を5℃未満(アイスウォーターバス)に維持し、その間、エチレングリコールモノメチルエーテル(80ml、1mol)を滴下漏斗からゆっくりと添加する。添加が完了した後に、混合物を5℃未満で1時間攪拌する。混合物を氷水(1L)中に注ぎ、ジクロロメタン(1.2l)で抽出する。有機層を氷冷された6MのHCl(3×350ml)で洗浄し、真空下に蒸発によって最小体積になるまで減量する。
I1. 2−ヨード−3−メチル酪酸エチルエステル
10gの市販のエチル2−ブロモイソバレエート及び17.8gのヨウ化ナトリウムの150mlアセトン中の混合物を加熱して一晩還流させる。減圧下に溶媒を除去する。残留物にジクロロメタンを添加し、溶液をチオ硫酸ナトリウム水溶液(10%)及びブラインで洗浄する。有機層を乾燥させ、溶媒を減圧下に除去する。11.34g(93%)の題記の化合物を黄色い油として得る。MS:m/z(M+)=255.9
J1. ナトリウム1−アセチル−6−フルオロ−1H−インドール−2−スルホネート
14.0gの6−フルオロ−1H−インドール−2−スルホネート及び87ml無水酢酸の混合物を70℃で20分間攪拌する。35mlの追加の無水酢酸を添加し、温度を70℃で15分間維持する。追加の46mlの無水酢酸を添加し、温度を110℃に上げる。1時間後、温度をさらに90分間90℃に下げる。室温への冷却後、180mlのジエチルエーテルを添加する。沈殿物をろ過し、減圧下に乾燥させる。12.5g(76%)の題記の化合物を無色の固形分として得る。m/z(M-H+)-=258
K1. ナトリウム6−フルオロ−1H−インドール−2−スルホネート
23.4gの亜硫酸ナトリウムの80ml水中の溶液に、13.5gの6−フルオロ−インドールのエタノール中の溶液を滴下して添加する。得られた懸濁液を室温で一晩攪拌する。沈殿物をろ過し、冷水、冷メタノール及びジエチルエーテルで洗浄する。7.0g(29%)の題記の化合物を無色の固形分として得る。
【0283】
産業上の利用性
式Iの化合物(式I、I**、I***及びI****の化合物が好ましい)及びその医薬上許容される塩(=本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩)は産業上利用可能とする有益な医薬上及び/又は薬学上の特性を有する。これらの誘導体は細胞過剰増殖の有望で非常に有効な阻害剤及び/又は癌細胞中での細胞周期特異的なアポトーシスの誘導剤である。特に、本発明の化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩は有糸分裂キネシンEg5の阻害剤として作用することが意外にも発見された。本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩は細胞周期依存性で、抗増殖性で、及び/又はアポトーシス誘導活性を示す。このため、このキネシンの誘導に応答性である疾患、たとえば、下記の疾患、特に、過剰増殖性疾病の治療、及び、アポトーシス誘導に応答性である疾患の治療に産業上利用可能である。
【0284】
本発明の内容において、用語「過剰増殖」は癌などの疾患の顕著な特徴である、異常及び/又は調節不全となった細胞成長を記載するのに使用される。この過剰増殖はそれぞれの細胞における単一又は複数の細胞/分子の変異によって引き起こされることがあり、全体の組織において、良性又は悪性の挙動であることがある。「細胞増殖の阻害」とは、化合物が接触していない細胞と比較して接触している細胞の成長を遅らせ及び/又は死滅させることができる化合物の能力を意味するように本明細書中で使用される。もっとも好ましい細胞増殖の阻害は100%である。このことは、すべての細胞の増殖が止まり及び/又は細胞がプログラム化された細胞死を経験することを意味する。ある好ましい実施形態において、接触した細胞は腫瘍細胞である。腫瘍細胞は、異常な細胞増殖及び/又は異なる組織又は器官へ転移する可能性のある細胞と定義される。良性の腫瘍は、進行性で転移性の腫瘍を生体内で形成できない、細胞の過剰増殖により説明される。対照的に、「悪性の腫瘍」は、たとえば、腫瘍転移を生じることができる、異なる細胞性でかつ生化学的な異常を有する細胞により説明される。悪性の腫瘍細胞の後天性機能異常(以下で「癌の特徴」とも呼ぶ)は無制限の複製可能性、増殖信号の自給自足、抗増殖信号に対する非感受性、アポトーシスの回避、持続的な血管新生及び組織の侵入及び転移である。
【0285】
異常増殖性疾病及び/又はアポトーシス誘導に応答性である疾患は上記の細胞条件から生じる疾病及び/又は疾患である。
【0286】
「アポトーシス誘導剤」なる用語は、その化合物と接触している細胞の中でのプログラムされた細胞死を誘導する化合物を示すために本明細書中に使用される。アポトーシスとは、接触された細胞の中での複雑な生化学的現象、たとえば、システイン特異的プロテイナーゼ(「カスパーゼ」)の活性化及びクロマチンの断片化により定義される。この化合物と接触した細胞におけるアポトーシスの誘導は、必ずしも細胞増殖の阻害と連関するわけではない。好ましくは、細胞増殖の阻害及び/又はアポトーシスの誘導は、異常な細胞増殖(過剰増殖)を伴う細胞に特異的である。このように、異常な細胞増殖を伴う細胞と比較すると、正常増殖細胞又は静止細胞は、この化合物の増殖阻害活性又はアポトーシス誘導活性に対して低感受性であるか又は非感受性でさえある。最後に、細胞毒性とは、たとえば、細胞周期依存又は細胞周期非依存性の様式でのアポトーシス/プログラムされた細胞死の誘導を含む様々な機構により細胞を死滅させる化合物を特定するために、より一般的な意味で使用される。
【0287】
「細胞周期特異的」という用語は、細胞周期の特定の段階を能動的に通過する増殖細胞においてのみアポトーシス/細胞死を誘導するが、静止した非分裂細胞ではこの効果を生じない化合物を特定するために本明細書中に用いられる。連続的に増殖する細胞は、癌のような疾患に典型的であり、且つ細胞分裂周期の全段階、つまりG(「間隙」)1期、S(「DNA合成」)期、G2期及びM(「有糸分裂」)期のすべての細胞分裂周期を特徴とする。
【0288】
有糸分裂キネシンEg5は、双極性紡錘体の組み立て及び機能にとって必須の酵素である。Eg5は、有糸分裂の様々な段階にわたり必須の役割を果たす。有糸分裂を混乱させる薬剤は、多くの癌の治療において臨床的に有効であることが証明されている。新規癌療法の発見のための標的として利用できる重要な紡錘体タンパク質が多数存在するにもかかわらず、今日、臨床的使用におけるどの紡錘体標的療法も、唯1つのタンパク質、つまりチューブリンに対して作用する。驚くべきことに、キネシンEg5発現は増殖中のヒト組織中で最も豊富であるが、一方で、それは殆どの有糸分裂後細胞、たとえば、ヒト中枢神経系ニューロンには存在せず、このことは細胞増殖におけるEg5の排他的な又はほぼ限定された役割を示している。微小管の動的不安定性を直接妨げる薬剤とは対照的に、Eg5キネシン阻害剤は、増殖に無関係である、微小管ベースの細胞過程、たとえば、ニューロン輸送を妨害しないことが期待される。有糸分裂中、Eg5は、紡錘体を形成する双極性構造へと微小管を編成することに本質的に関与している。
Eg5機能の実験的混乱は、紡錘体の特徴的奇形又は機能不全を引き起こし、しばしば細胞周期の停止や細胞死をもたらす。
【0289】
Eg5阻害特性のために、本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩は紡錘体形成を活性調節するのに利用できるので、しばしば後にアポトーシスが起こる有糸分裂中の細胞分裂停止の延長を引き起こす。本明細書中において「活性調節」とは、紡錘体形成を増加させること及び減少させることを含む、紡錘体形成を変更することを意味する。本明細書中において「紡錘体形成」とは、微小管が有糸分裂キネシンによって双極性構造へと編成されることを意味する。本明細書中において「紡錘体の機能不全」とは、有糸分裂停止及び単極性紡錘体形成を意味する。「紡錘体の奇形」とは、紡錘体の極の扁平化を含むか、又は他の方法で紡錘体の形態学的混乱を引き起こすことを含む。
【0290】
Eg5阻害特性のために、本発明の化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩は良性又は悪性の腫瘍の治療において有用であることができる。
「腫瘍(新形成)」は、異常な細胞増殖及び/又は生存及び/又は分化の妨害を示す細胞により定義される。「良性の腫瘍(新形成)」は、進行性で転移性の腫瘍を生体内で形成することができない、細胞の過剰増殖により説明される。対照的に、「悪性の腫瘍(新形成)」は、全身性疾病を形成することができる、たとえば、遠位の器官に腫瘍転移を生じることができる、多細胞性で且つ生化学的異常を有する細胞により説明される。
【0291】
本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩はEg5活性を変更することができ、特にEg5活性を阻害することができる。それは有糸分裂を変更することができ、特に有糸分裂を阻害することができる。
このように、本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩は細胞抗増殖特性を有する。このため、良性又悪性の腫瘍疾患、好ましくは癌の治療において、アポトーシス及び/又は異常な細胞増殖を調節する。
【0292】
種々の疾患は、異常な細胞増殖(「過剰増殖」)並びにアポトーシスからの回避によって引き起こされる。これらの疾患は、たとえば、良性前立腺過形成(“BPH”)又は結腸上皮過形成などの良性過形成、乾癬、糸球体腎炎又は変形性関節炎を含む。最も重要であるのは、これらの疾患が通常は癌として説明され、そして別異の器官又は組織に最終的に転移する腫瘍細胞によって特徴付けられる悪性腫瘍を含むことである。悪性腫瘍は固形腫瘍及び血液腫瘍を含む。固形腫瘍は、胸部、膀胱、骨、脳、中枢神経系及び末梢神経系、結腸、内分泌腺(たとえば、甲状腺及び副腎皮質)、食道、子宮内膜、生殖細胞、頭部及び頚部、腎臓、肝臓、肺、喉頭及び下咽頭の腫瘍、中皮腫、肉腫、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、腎、小腸、軟部組織、精巣、胃、皮膚、尿管、膣及び肛門の腫瘍により例示される。悪性腫瘍は、網膜芽細胞腫及びウィルムス腫瘍によって例示される遺伝性の癌を含む。更に、悪性腫瘍は、前記器官における原発性腫瘍及び離れた器官における対応する二次性腫瘍(「腫瘍転移」)を含む。血液腫瘍は、白血病及びリンパ腫の進行性形態及び無痛性形態、即ち非ホジキン病、慢性及び急性骨髄性白血病(CML/AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ホジキン病、多発性骨髄腫及びT細胞リンパ腫により例示される。また骨髄異形成症候群、形質細胞新形成、腫瘍随伴症候群、未知の原発部位の癌並びにエイズ(AIDS)関連悪性疾患も含まれる。
【0293】
それゆえ、本発明は医薬組成物の製造における本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩の使用、本発明に係る治療方法又は組み合わせであって、治療されるべき癌が以下のもの:胸部、膀胱、骨、脳、中枢神経系及び末梢神経系、結腸、内分泌腺、食道、子宮内膜、生殖細胞、頭部及び頚部、腎臓、肝臓、肺、喉頭及び下咽頭の腫瘍、中皮腫、肉腫、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、腎、小腸、軟部組織、精巣、胃、皮膚、尿管、膣及び肛門の癌、遺伝性の癌、網膜芽細胞腫及びウィルムス腫瘍、白血病、リンパ腫、非ホジキン病、慢性及び急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病)、ホジキン病、多発性骨髄腫及びT細胞リンパ腫、骨髄異形成症候群、形質細胞新形成、腫瘍随伴症候群、未知の原発部位の癌並びにエイズ(AIDS)関連悪性疾患からなる群より選ばれる。
【0294】
癌疾患並びに悪性腫瘍は遠位器官における転移の形成を必ずしも必要としないことに留意すべきである。或る腫瘍は、その原発器官に対してそれらの集中的増殖特性を通して壊滅的作用を発揮する。これらは組織及び器官構造の破壊を引き起こし、最終的に、指定された器官機能の不全を引き起こし得る。
【0295】
腫瘍性細胞増殖は、正常な細胞挙動及び器官機能に影響を及ぼすことがある。たとえば、血管新生として記載される過程である、新血管の形成は、腫瘍又は腫瘍転移によって誘発される。本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩は、良性又は腫瘍性の細胞増殖によって引き起こされる病態生理学的関連過程、たとえば、限定するわけではないが、血管内皮細胞の非生理学的増殖による血管新生、の治療のために産業上利用可能である。
【0296】
標準的癌療法において頻繁に生じる不成功には、薬剤耐性が特に重要となる。この薬剤耐性は、薬剤排出ポンプの過剰発現又は細胞標的タンパク質内の突然変異といった様々な細胞機構又は分子機構によって引き起こされる。本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩の産業上利用可能性は、患者の第一選択薬治療(first line treatment)に制限されるものではない。規定の癌化学療法剤又は標的特異的抗癌剤(第二選択薬治療又は第三選択薬治療)に対する耐性を有する患者も、本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩での治療を受けることができる。
【0297】
本発明の化合物は、細胞に対する抗増殖特性のため、細胞周期及び細胞増殖に関連した疾患、たとえば、上述した癌の他に、たとえば、線維増殖性及び分化性疾患、乾癬、関節リウマチ、アテローム動脈硬化症、過形成、再狭窄、心臓肥大、(自己)免疫疾患、真菌病、骨疾患、又は急性もしくは慢性炎症の治療のためにも産業上利用可能である。
【0298】
このように、本発明は疾患の治療における使用のための本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩に関する。
【0299】
特に、本発明に係る化合物は、過剰増殖性疾病及びアポトーシスの誘導に応答性である疾患の治療のために産業上利用可能である。好ましい態様において、そのような化合物は過剰増殖性疾病及びアポトーシスの誘導に応答性である疾患の治療、予防又は寛解のために有用である。好ましい態様において、本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩は、良性腫瘍又は悪性腫瘍、特に癌、特にEg5阻害に感受性である癌、さらに特には、上述の癌のいずれかの治療、予防又は寛解のために産業上利用可能である。好ましいのは上記の疾病の治療である。
【0300】
このように、本発明は、さらに、過剰増殖性疾病及びアポトーシスの誘導に応答性である疾患の療法、たとえば、治療、予防又は寛解のための本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩に関する。好ましい態様において、本発明は、良性腫瘍又は悪性腫瘍、特に癌の治療、予防又は寛解における使用のための本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩に関する。好ましいのは上記の疾病の治療である。
【0301】
本明細書に記載するそれらの性質、機能及び利用可能性に照らして、本発明に係る化合物は、それと関連する有効でかつ望ましい効果、たとえば、低い毒性、一般に優れた生物学的利用能(たとえば、良好な腸内吸収)、優れた治療濃度域、有意な副作用の不在、及び/又はそれらの治療上及び製剤上の適合性に関連した更なる有益な効果により、区別されることが期待される。
【0302】
好ましい態様において、本発明は、哺乳動物において、過剰増殖疾病及び/又はアポトーシスの誘導に応答性である疾患を治療、予防又は寛解する方法であって、それを必要とする前記哺乳動物に、医薬的に活性でかつ治療上有効でかつ許容できる量の1又は複数の本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩を投与することを含む方法に関する。好ましいのは上記の疾病及び疾患の治療方法である。
【0303】
特に好ましい態様において、本発明は、上記の病気、疾患、状態又は病状、特に、良性腫瘍又は悪性の腫瘍の治療方法であって、それを必要とする哺乳動物に、医薬的に活性でかつ治療上有効でかつ許容できる量の1又は複数の本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩を投与することを含む方法に関する。特定の態様において、疾病は癌であり、より特定的にはEg5阻害を受けやすい癌であり、より特定的には上記のいずれかの癌疾病である。
【0304】
本発明は、さらに、Eg5活性を調節し、特に阻害する方法であって、医薬的に活性でかつ治療上有効でかつ許容できる量の1以上の本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩を、このような調節、特に阻害を必要とする患者に投与することを含む方法を含む。
【0305】
本発明は、さらに、良性又は悪性の腫瘍疾病、特に癌の治療においてアポトーシス又は異常細胞増殖を調節する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、医薬的に活性でかつ治療上有効でかつ許容できる量の1又は複数の本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩を投与することを含む方法を含む。
【0306】
本発明はさらに、紡錘体を調節する方法、即ち、たとえば、紡錘体形成を改変し、たとえば、紡錘体形成を減少させ、又は、紡錘体極の奇形を引き起こす紡錘体極の分離を増加又は減少させる方法であって、そのような調節を必要とする患者に、医薬的に活性でかつ治療上有効でかつ許容できる量の1又は複数の本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩を投与することを含む方法を含む。
【0307】
本発明はさらに、細胞における有糸分裂を阻害する方法であって、そのような阻害を必要とする患者に、医薬的に活性でかつ治療上有効でかつ許容できる量の1又は複数の本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩を投与することを含む方法を含む。
【0308】
本発明はさらに、哺乳動物においてEg5キネシン活性に関連した疾病及び/又は疾患、たとえば、過剰増殖性疾病及び/又はアポトーシスの誘導に応答性である疾患、たとえば、良性もしくは悪性の腫瘍、たとえば、癌を治療、予防又は寛解するための方法であって、それを必要とする前記哺乳動物に、医薬的に活性でかつ治療上有効でかつ許容できる量の1以上の本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩を投与することを含む方法を含む。
【0309】
本発明はさらに、上述した1以上の疾病の治療、予防及び/又は寛解のために使用される医薬組成物の製造のための、本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩の使用に関する。
【0310】
本発明は、特に、過剰増殖性疾病及びアポトーシスの誘導に応答性である疾患の治療、予防又は寛解のための医薬組成物の製造における本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩の使用に関する。
【0311】
本発明は、特に、良性腫瘍又は悪性腫瘍、特に癌、より特定的にはEg5阻害を受けやすい癌、より特定的には上述の癌疾病のいずれかの治療、予防又は寛解のための医薬組成物の製造における、本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩の使用に関する。好ましいのは、哺乳動物の治療に使用される医薬組成物の製造のための、本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩の使用である。
【0312】
本発明は、過剰増殖性疾病及びアポトーシスの誘導に応答性である疾患の治療、予防又は寛解のための本発明に係る化合物もしくは医薬上許容されるその塩に関する。特に、本発明は、良性の腫瘍又は悪性の腫瘍、特に癌の治療、予防又は寛解のための本発明に係る化合物もしくは医薬上許容されるその塩に関する。
【0313】
本発明はさらに、過剰増殖性疾病及びアポトーシスの誘導に応答性である疾患の治療、予防又は寛解のための本発明に係る化合物もしくは医薬上許容されるその塩を含む医薬組成物に関する。特に、本発明は、良性の腫瘍又は悪性の腫瘍、特に癌の治療、予防又は寛解のための本発明に係る化合物もしくは医薬上許容されるその塩を含む医薬組成物に関する。
【0314】
本発明はさらに、1又は複数の本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩、及び、医薬上許容されるキャリア又は希釈剤を含む医薬組成物に関する。
【0315】
本発明はさらに、1又は複数の本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩を、医薬上許容される助剤及び/又は賦形剤と組み合わせることを含む医薬組成物に関する。
【0316】
本発明はさらに、良性の腫瘍又は悪性の腫瘍、特に癌、たとえば、上述した癌疾患のいずれかを治療、予防又は寛解するための、1又は複数の本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩と、医薬上許容される助剤、賦形剤及び/又はビヒクルとを含む組み合わせ物に関する。
【0317】
本発明はさらに、たとえば、過剰増殖性疾病、たとえば、癌、及び/又はアポトーシスの誘導に応答性である疾患を治療、予防又は寛解するための、治療上有効でかつ許容できる量の1以上の本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩を、療法に使用される通常の医薬上許容されるビヒクル、希釈剤及び/又は賦形剤とともに含む組成物に関する。
【0318】
本発明はさらに、Eg5阻害特性を有する本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩に関する。本発明はさらに、抗増殖活性及び/又はアポトーシス誘導活性を有する本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩に関する。
【0319】
本発明はさらに、Eg5阻害特性を有する本発明に係る医薬組成物に関する。本発明はさらに、抗増殖活性を有する本発明に係る医薬組成物に関する。本発明はさらに、アポトーシス誘導活性を有する本発明に係る医薬組成物に関する。
【0320】
本発明はさらに、上述した病気の治療及び/又は予防のための医薬品の製造における、唯一の活性成分としての1又は複数本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩及び医薬上許容されるキャリア又は希釈剤を含む医薬組成物の使用に関する。
【0321】
その上、本発明は、包装材料、及び、前記包装材料内に含まれる薬剤を含む製品であって、ここで前記薬剤は治療上効果的にEg5を阻害し及び/又は細胞過剰増殖を阻害し及び/又はアポトーシスを誘導し、Eg5により媒介される疾患及び/又は過剰増殖性疾病及び/又はアポトーシスの誘導に応答性である疾患の症状を寛解し、前記包装材料は薬剤がEg5媒介疾患及び/又は過剰増殖性疾病及び/又はアポトーシスの誘導に応答性である疾患を予防又は治療するのに有用であることを示すラベル又は添付物を含んでおり、そして前記薬剤が1以上の本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩を含んでいることを特徴とする製品に関する。
【0322】
本発明に係る医薬組成物は、本質的に知られている方法及び当業者が精通している方法により製造される。医薬組成物としては、本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩はそれ自体で使用されるか、又は好ましくは適切な医薬助剤及び/又は賦形剤と組み合わせて、たとえば、錠剤、コート化錠、糖衣錠、ピル剤、粒剤、カプセル剤、カプレット、坐剤、パッチ剤(たとえば、TTS)、乳剤(たとえば、マイクロエマルジョン又は乳濁液)、懸濁剤(たとえば、ナノ懸濁剤)、ゲル剤、可溶化物もしくは溶液(たとえば、無菌溶液)の形で使用されるか、或いは、リポソーム中に封入されるか又はβ−シクロデキストリンもしくはβ−シクロデキストリン誘導体封入複合体として使用され、ここで前記活性化合物の含量は有利には0.1〜95%であり、そして助剤及び/又は賦形剤の適切な選択により、活性化合物に及び/又は作用の所望の開始に厳密に適合した医薬投与形(たとえば、遅延放出形又は腸溶性形)を達成することができる。
【0323】
当業者はその専門知識のために望ましい医薬製剤、医薬調剤又は医薬組成物に適切である助剤、ビヒクル、賦形剤、希釈剤、キャリア又はアジュバントに精通している。溶媒、ゲル形成剤、軟膏基剤及び別の活性化合物に加えて、賦形剤、たとえば、酸化防止剤、分散剤、乳化剤、保存剤、可溶化剤(たとえば、ポリオキシエチレングリセロールトリリシンオレエート 35、PEG 400、Tween 80、Captisol、 Solutol HS15等)、着色剤、錯生成剤、浸透促進剤、安定剤、充填剤、結合剤、増粘剤、崩壊剤、緩衝剤、pH調節剤(たとえば、中性、アルカリ性又は酸性製剤を得るため)、ポリマー、潤滑剤、コーティング剤、噴射剤、張力調節剤、界面活性剤、矯味矯臭剤、甘味料又は染料を使用することができる。
【0324】
特に、所望の製剤及び所望の投与形態に適切であるタイプの助剤及び/又は賦形剤が使用される。
【0325】
本発明に係る化合物、医薬組成物又は組合せ物の投与は、当該技術分野で利用可能な一般に許容される任意の投与方法で実施することができる。適切な投与方法の実例としては、静脈内、経口、経鼻、非経口、局所、経皮及び直腸輸送を挙げることができる。経口投与及び静脈投与は好ましい。
【0326】
皮膚病の治療には、本発明の化合物を特に局所適用に適した医薬組成物の形で投与することができる。医薬組成物の製造には、本発明の化合物(=活性化合物)を好ましくは適切な医薬助剤と混合し、そして更に加工して適切な医薬製剤を提供する。適切な医薬製剤は、たとえば、粉剤、乳剤、懸濁液剤、スプレー剤、オイル、軟膏、油脂軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、又は溶液である。
【0327】
本発明に係る医薬組成物は、それ自体知られた方法により調製することができる。本発明の化合物(活性化合物)の投与は、Eg5阻害剤、細胞過剰増殖阻害剤又はアポトーシス誘導剤について常用される桁で実施される。皮膚病の治療のための局所投与形(たとえば、軟膏)は、たとえば、0.1〜99%の濃度で活性化合物を含む。全身治療の場合の常用投与量は、(p.o.)では0.03〜60 mg/kg/日であり、(i.v.)では0.03〜60 mg/kg/hであることができる。別の実施形態では、全身投与の場合の常用投与量は(p.o.)では0.3〜30 mg/kg/日であり、(i.v.)では0.3〜30 mg/kg/hである。
【0328】
各場合に必要である活性化合物の最適な投与方法及び治療の期間、特に最適投与量及び投与方法の選択は、当業者によりその専門知識に基づいて決定することができる。
【0329】
治療又は予防すべき特定の疾病によっては、場合により、その疾病を治療又は予防するために通常投与される追加的な治療活性物質を本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩と同時に投与してもよい。本明細書中で使用する場合に、特定の疾病を治療又は予防するために通常投与される追加的な治療活性物質は、治療すべき疾病に適切であると知られているものである。
【0330】
たとえば、本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩を、上述した疾病の治療に使用される1以上の標準的な治療剤と組み合わせてもよい。
【0331】
これに関して、本発明は、本発明に係る少なくとも1つの化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩である第一の活性成分、及び、少なくとも1つの抗癌剤である第二の活性成分を含む組み合わせ物に関する。過剰増幅性疾病及びアポトーシスの誘導に応答性である疾患の治療、予防又は寛解における、別個、順次、同時、併用、又は経時的交互使用のための組み合わせ物が好ましい。
【0332】
第二の活性成分が1以上の下記の既知の抗癌剤である組み合わせ物が好ましい。本明細書中に記載した疾病のいずれかの治療、特に、過剰増殖性疾病及びアポトーシスの誘導に応答性である疾患、より特定的には癌の治療に使用する組み合わせ物は好ましい。
【0333】
本発明に係る用語「組み合わせ物」は、固定組み合わせ物、非固定組み合わせ物又は部品キットとして存在してよい。
【0334】
「固定組み合わせ物」は、前記第一の活性成分と第二の活性成分とが1つの単位用量で又は単一存在物として一緒に存在する組み合わせ物として定義される。「固定組み合わせ物」の一例は、前記第一の活性成分と第二の活性成分とが、たとえば、一製剤中に同時投与用に混合状態で存在する医薬組成物である。「固定組み合わせ物」の別の例は、前記第一の活性成分と第二の活性成分とが、混合されることなく1単位で存在する医薬品組み合わせ物である。
【0335】
「部品キット」は、前記第一の活性成分と第二の活性成分とが1より多くの単位で存在する組み合わせ物として定義される。「部品キット」の一例は、前記第一の活性成分と第二の活性成分とが別々に存在する組み合わせ物である。部品キットの成分は、別々に、順次に、同時に、併用的に又は経時的に交互に投与することができる。
【0336】
本発明は、さらに、少なくとも1つの本発明に係る化合物である第一の活性成分、及び、少なくとも1つの当該技術分野で既知の抗癌剤、たとえば、1又は複数の上記の抗癌剤、及び、場合により、医薬上許容されるキャリア又は希釈剤、を含む、療法において別々に、順次に、同時に、併用的に又は経時的に交互に使用するための医薬組成物に関する。
【0337】
本発明は、さらに、a)医薬上許容されるキャリア又は希釈剤とともに調合された少なくとも1つの本発明に係る化合物、及び、b)医薬上許容されるキャリア又は希釈剤とともに調合された少なくとも1つの当該技術分野で既知の抗癌剤、たとえば、1又は複数の上記の抗癌剤を含む組み合わせ物に関する。
【0338】
本発明は、さらに、少なくとも1つの本発明に係る化合物である第一の活性成分及び医薬上許容されるキャリア又は希釈剤を含む調剤、及び、少なくとも1つの当該技術分野で既知の抗癌剤、たとえば、1又は複数の上記の抗癌剤である第二の活性成分及び医薬上許容されるキャリア又は希釈剤を含む調剤を含み、療法において同時に、併用的に、順次に、別々に又は経時的に交互に使用するための部分キットに関する。場合により、前記キットは療法における使用のための説明書を含み、たとえば、過剰増幅性疾病及び/又はアポトーシスの誘導に応答性である疾患、たとえば、癌、より正確には、上記の癌疾病のいずれかを治療するための説明書を含む。
【0339】
本発明は、さらに、少なくとも1つの本発明に係る化合物及び少なくとも1つの当該技術分野で既知の抗癌剤を含む、同時、順次又は別個の投与のための組み合わせ調剤に関する。
【0340】
本発明は、さらに、Eg5阻害活性及び/又は抗増殖性及び/又はアポトーシス誘導性を有する本発明に係る組み合わせ物、組成物、製剤、調剤又はキットに関する。
【0341】
1つの特定の実施形態において、本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩は1又は複数の当該技術分野で既知の抗癌剤、たとえば、下記のとおりの、1又は複数の化学療法剤及び/又は標的特異的抗癌剤と組み合わされてよい。
【0342】
組み合せ療法において頻繁に使用される既知の化学療法抗癌剤の例としては、限定するわけではないが、 (i) アルキル化剤/カルバミル化剤、たとえば、シクロホスファミド(Endoxan(登録商標))、イホスファミド(Holoxan(登録商標))、チオテパ(Thiotepa Lederle(登録商標))、メルファラン(Alkeran(登録商標))又はクロロエチルニトロソウレア(BCNU);(ii) 白金誘導体、たとえば、シスプラチン(Platinex(登録商標)BMS)、オキサリプラチン、サトラプラチン又はカルボプラチン(Cabroplat(登録商標)BMS);(iii) 有糸分裂阻害剤/チューブリン阻害剤、たとえば、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンオレルビン)、タキサン類、たとえば、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))及びその類似体並びにその新規製剤及び接合体(たとえば、アルブミンに結合したパクリタキセルを有するナノ粒子製剤Abraxane(登録商標))、エポチロン、たとえば、エポチロンB(Patupilone(登録商標)、アザエポチロン(Ixabepilone(登録商標))又はZK-EPO、全合成エポチロンB類似体;(iv)トポイソメラーゼ阻害剤、たとえば、アントラサイクリン類(たとえば、ドキソルビシン/Adriblastin(登録商標))、エピポドフィロトキシン類(たとえば、エトポシド/Etopophos(登録商標))及びカンプトセシン及びカンプトセシン類似体(たとえば、イリノテカン/Camptosar(登録商標)又はトポテカン/Hycamtin(登録商標));(v) ピリミジンアンタゴニスト、たとえば、5−フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、アラビノシルシトシン/シタラビン(Alexan(登録商標))又はゲムシタビン(Gemzar(登録商標));(vi) プリンアンタゴニスト、たとえば、6−メルカプトプリン(Puri-Nethol(登録商標))、6−チオグアニン又はフルダラビン(Fludara(登録商標))並びに最後に(vii) 葉酸アンタゴニスト、たとえば、メトトレキセート(Farmitrexat(登録商標))及びプレメトレキセド(Alimta(登録商標))が挙げられる。
【0343】
実験的な及び標準の癌療法で使用される抗癌剤、好ましくは、標的特異的抗癌剤の例としては、限定するわけではないが、(i)キナーゼ阻害剤、たとえば、イマチニブ(Glivec(登録商標))、ZD-1839/ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、BAY43-9006(ソラフェニブ、Nexavar(登録商標))、SU11248/スニチニブ(Sutent(登録商標))、OSI-774/エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、デサチニブ(Sprycel(登録商標))、ラパチニブ(Tykerb(登録商標))又は、下記を参照して、バタラニブ、バンデタニブ(Zactima(登録商標))もしくはパゾパニブ;(ii) プロテアソーム阻害剤、たとえば、PS-341/ボルテツミブ(Velcade(登録商標));(iii)ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、たとえば、SAHA(Zolinza)、PXD101、MS275、MGCD0103、デプシペプチド/FK228、NVP-LBH589、NVP-LAQ824、バルプロン酸(VPA)、CRA/PCI24781、ITF2357、SB939及び酪酸塩;(iv)熱ショックタンパク質90阻害剤、たとえば、17−アリルアミノゲルダナマイシン(17-AAG)又は17−ジメチルアミノゲルダナマイシン(17−DMAG);(v) 血管標的薬剤(VTA)、たとえば、コムブレタスチンA4リン酸塩又はAVE8062/AC7700及び抗血管新生薬、たとえば、VEGF抗体、たとえば、ベバシツマブ(Avastin(登録商標))、又はKDRチロシンキナーゼ阻害剤、たとえば、PTK787/ZK222584(Vatalanib)もしくはバンデタニブ(Zactima(登録商標))もしくはパゾパニブ;(vi) モノクローナル抗体、たとえば、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))又はリツキシマブ(MabThera/Rituxan(登録商標))又はアレムツズマブ(Campath(登録商標))又はトシツモマブ(Bexxar(登録商標))又はC225/セツキシマブ(Erbitux(登録商標))又はアバスチン(上記参照)又はベバシズマブもしくはパニツムマブ(Vectibix(登録商標))並びにモノクローナル抗体の変異体及び接合体、たとえば、ゲムツズマブ−オゾガミシン(Mylotarg(登録商標))又はイブリツモマブ−チウキセタン(Zevalin(登録商標))、及び抗体断片;(vii) オリゴヌクレオチド系治療薬、たとえば、G-3139/オブリメルセン(Genasense(登録商標))又はDNMT1阻害剤MG98;(viii) Toll様受容体/TLR9アゴニスト、たとえば、Promune(登録商標)、TLR7アゴニスト、たとえば、イミキモド(Aldara(登録商標))又はイサトリビン及びその類似体、又はTLR7/8アゴニスト、たとえば、レシキモド、並びにTLR7/8アゴニストとしての免疫感受性RNA;(ix) プロテアーゼ阻害剤;(x) ホルモン治療剤、たとえば、抗エストロゲン類(たとえば、タモキシフェン又はラロキシフェン)、抗アンドロゲン類(たとえば、フルタミド又はカソデックス)、LHRH類似体(たとえば、ロイプロリド、ゴセレリン又はトリプトレリン)及びアロマターゼ阻害剤が挙げられる。
【0344】
組み合わせ療法に使用できる他の既知の抗癌剤としては、限定するわけではないが、ブレオマイシン、レチノイド類、たとえば、オールトランス型レチノイン酸(ATRA)、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、たとえば、5−アザ−2′−デオキシシチジン(デシタビン、Dacogen(登録商標))及び5−アザシチジン、アラノシン、サイトカイン、たとえば、インターロイキン−2、インターフェロン、たとえば、インターフェロンα2もしくはインターフェロン−γ、死受容体アゴニスト、たとえば、TRAIL、DR4/5アゴニスト抗体、FasL及びTNF-Rアゴニスト(たとえば、TRAIL受容体アゴニスト、たとえば、マパツムマブ又はレキサツムマブ)が挙げられる。
【0345】
本発明に係る組み合わせ療法において有用でありうる抗癌剤の例としては、限定することなく、以下の薬剤:
5-FU、アクチノマイシンD、アバレリクス(ABARELIX)、アブシキシマブ(ABCIXIMAB)、アクラルビシン(ACLARUBICIN)、アダパレン(ADAPALENE)、アレムツズマブ(ALEMTUZUMAB)、アルトレタミン(ALTRETAMINE)、アミノグルテチミド(AMINOGLUTETHIMIDE)、アミプリローズ(AMIPRILOSE)、アムルビシン(AMRUBICIN)、アナストロゾール(ANASTROZOLE)、アンシタビン(ANCITABINE)、アルテミシニン(ARTEMISININ)、アザチオプリン(AZATHIOPRINE)、バシリキシマブ(BASILIXIMAB)、ベンダムスチン(BENDAMUSTINE)、ベバシズマブ(BEVACIZUMAB)、ベキサール(BEXXAR)、ビカルタミド(BICALUTAMIDE)、ブレオマイシン(BLEOMYCIN)、ボルテゾミブ(BORTEZOMIB)、ブロクスリジン(BROXURIDINE)、ブスルファン(BUSULFAN)、カムパト(CAMPATH)、カペシタビン(CAPECITABINE)、カルボプラチン(CARBOPLATIN)、カルボコン(CARBOQUONE)、 カルムスチン(CARMUSTINE)、セトロレリクス(CETRORELIX)、クロラムブシル(CHLORAMBUCIL)、クロルメチン(CHLORMETHINE)、シスプラチン(CISPLATIN)、クラドリビン(CLADRIBINE)、クロミフェン(CLOMIFENE)、シクロホスファミド(CYCLO(登録商標)PHOSPHAMIDE)、ダカルバジン(DACARBAZINE)、ダクリズマブ(DACLIZUMAB)、ダクチノマイシン(DACTINOMYCIN)、ダサチニブ(DASATINIB)、ダウノルビシン(DAUNORUBICIN)、デシタビン(DECITABINE)、デスロレリン(DESLORELIN)、デクスラゾキサン(DEXRAZOXANE)、ドセタキセル(DOCETAXEL)、ドキシフルリジン(DOXIFLURIDINE)、ドキソルビシン(DOXORUBICIN)、ドロロキシフェン(DROLOXIFENE)、ドロスタノロン(DROSTANOLONE)、エデルフォシン(EDELFOSINE)、エフロルニチン(EFLORNITHINE)、エミテフル(EMITEFUR)、エピルビシン(EPIRUBICIN)、エピチオスタノール(EPITIOSTANOL)、エプタプラチン(EPTAPLATIN)、エルビツクス(ERBITUX)、エルロチニブ(ERLOTINIB)、エストラムスチン(ESTRAMUSTINE)、エトポシド(ETPOSIDE)、エキセメスタン(EXEMESTANE)、ファドロゾール(FADROZOLE)、フィナステリド(FINASTERIDE)、フロクスウリジン(FLOXURIDINE)、フルシトシン(FLUCYTOSINE)、フルダラビン(FLUDARABINE)、フルオロウラシル(FLUOROURACL)、フルタミド(FLUTAMIDE)、ホルメスタン(FORMESTANE)、ホスカルネト(FOSCARNET)、ホスフェストロール(FOSFESTROL)、フォテムスチン(FOTEMUSTIN)、フルベストラント(FULVESTRANT)、ゲフィチニブ(GEFITINIB)、ゲナセンセ(GENASENSE)、ゲムシタビン(GEMCITABINE)、グリベック(GLIVEC)、ゴセレリン(GOSERELIN)、グスペリムス(GUSPERIMUS)、ヘルセプチン(HERCEPTIN)、イダルビシン(IDARUBICIN)、イドクスウリジン(IDOXURIDINE)、イホスファミド(IFOSFAMIDE)、イマチニブ(IMATINIB)、イムプロスルファン(IMPROSULFAN)、インフリキシマブ(INFLIXIMAB)、イリノテカン(IRINOTECAN)、イクサベピロン(IXABEPILONE)、ランレオチド(LANREOTIDE)、ラパチニブ(LAPATINIB)、レトロゾール(LETROZOLE)、リュープロレリン(LEUPRORELIN)、ロバプラチン(LOBAPLATIN)、ロムスチン(LOMUSTINE)、リュープロライド(LUPROLIDE)、メルファラン(MELPHALAN)、メルカプトプリン(MERCAPTOPURINE)、メトトレキセート(METHOTREXATE)、メツレデパ(METUREDEPA)、ミボプラチン(MIBOPLATIN)、ミフェプリストン(MIFEPRISTONE)、ミルテホシン(MILTEFOSINE)、ミリモスチム(MIRIMOSTIM)、ミトグアゾン(MITOGUAZONE)、ミトラクトール(MITOLACTOL)、マイトマイシン(MITOMYCIN)、ミトキサントロン(MITOXANTRONE)、ミゾリビン(MIZORIBINE)、モテキサフィン(MOTEXAFIN)、ミロタルグ(MYLOTARG)、ナルトグラスチム(NARTOGRASTIM)、ネバズマブ(NEBAZUMAB)、ネダプラチン(NEDAPLATIN)、ニルタミド(NILUTAMIDE)、ニムスチン(NIMUSTINE)、オクトレオチド(OCTREOTIDE)、オルメロキシフェン(ORMELOXIFENE)、オキサリプラチン(OXALIPLATIN)、パクリタキセル(PACLITAXEL)、パリビズマブ(PALIVIZUMAB)、パニツムマブ(PANITUMUMAB)、パツピロン(PATUPILONE)、パゾパニブ(PAZOPANIB)、ペガスパルガーゼ(PEGASPARGASE)、ペグフィルグラスチム(PEGFILGRASTIM)、ペメトレキセド(PEMETREXED)、ペンテトレオチド(PENTETREOTIDE)、ペントスタチン(PENTOSTATIN)、ペルホスファミド(PERFOSFAMIDE)、ピポスルファン(PIPOSULFAN)、ピラルビシン(PIRARUBICIN)、プリカマイシン(PLICAMYCIN)、プレドニムスチン(PREDNIMUSTINE)、プロカルバジン(PROCARBAZINE)、プロパゲルマニウム(PROPAGERMANIUM)、塩化プロスピジウム(PROSPIDIUM CHLORIDE)、ラロキシフェン(RALOXIFEN)、ラルチトレキセド(RALTITREXED)、ラニムスチン(RANIMUSTINE)、ランピルナーゼ(RANPIRNASE)、ラスブリカーゼ(RASBURICASE)、ラゾキサン(RAZOXANE)、リツキシマブ(RITUXIMAB)、リファンピシン(RIFAMPICIN)、リトロスルファン(RITROSULFAN)、ロムルチド(ROMURTIDE)、ルボキシスタウリン(RUBOXISTAURIN)、サルグラモスチム(SARGRAMOSTIM)、サトラプラチン(SATRAPLATIN)、シロリムス(SIROLIMUS)、ソブゾキサン(SOBUZOXANE)、ソラフェニブ(SORAFENIB)、スピロムスチン(SPIROMUSTINE)、ストレプトゾシン(STREPTOZOCIN)、スニチニブ(SUNITINIB)、 タモキシフェン(TAMOXIFEN)、タソネルミン(TASONERMIN)、テガフール(TEGAFUR)、テモポルフィン(TEMOPORFIN)、テモゾロミド(TEMOZOLOMIDE)、テニポシド(TENIPOSIDE)、テストラクトン(TESTOLACTONE)、チオテパ(THIOTEPA)、チマルファシン(THYMALFASIN)、チアミプリン(TIAMIPRINE)、トポテカン(TOPOTECAN)、トレミフェン(TOREMIFENE)、トライル(TRAIL)、トラスツズマブ(TRASTUZUMAB)、トレオスルファン(TREOSULFAN)、トリアジクオン(TRIAZIQUONE)、トリメトレキセート(TRIMETREXATE)、トリプトレリン(TRIPTORELIN)、トロホスファミド(TROFOSFAMIDE)、ウレデパ(UREDEPA)、バルルビシン(VALRUBICIN)、バタラニブ(VATALANIB)、バンデタニブ(VANDETANIB)、ベルテポルフィン(VERTEPORFIN)、ビンブラスチン(VINBLASTINE)、ビンクリスチン(VINCRISTINE)、ビンデシン(VINDESINE)、ビノレルビン(VINORELBIN)、ボロゾール(VOROZOLE)及びゼバリン(ZEVALIN)が挙げられる。
【0346】
本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩の組み合わせ相手としての上記に言及した抗癌剤は、医薬上許容されるその誘導体、たとえば、それらの医薬上許容される塩を包含するものと意味される。
【0347】
当業者は、その分野の専門知識に基づいて、同時投与される追加の治療剤の全1日量及び投与形を承知している。その全1日量は広範囲で変更することができる。
【0348】
本発明の実施において、本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩は、組合せ療法において、別々に、順次に、同時に又は経時的に交互に(たとえば、組み合わせ単位投与形として、別々の単位投与形として、隣接した別個の単位投与形として、固定もしくは非固定組み合わせ物として、部品キットとして、又は混合物として)、1以上の標準的な治療剤(たとえば、化学療法薬及び/又は標的特異的抗癌剤)、特に当該技術分野で既知である抗癌剤、たとえば、上述した抗癌剤のいずれかとともに投与することができる。
【0349】
本発明に係る組み合わせ療法に関連して記載した組み合わせ物、たとえば、組成物、調剤、製剤、キット及びパッケージは、また、少なくとも1つより多くの本発明に係る化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩、及び/又は1つより多くの当該技術分野で既知の上記の抗癌剤を含むことができる。
【0350】
本発明に係る組み合わせ物又は部品キットの第一の活性成分及び第二の活性成分は別々の製剤として(すなわち、互いに独立に)提供されることができ、次いでそれらの製剤を組み合わせ療法における同時、併用、順次、別々又は経時的に交互の使用のために合わせ、;或いは、組み合わせ療法における同時、併用、順次、別々又は経時的に交互の使用のために組み合わせパックの個別の成分として包装しそして一緒に提供されてもよい。
【0351】
本発明に係る組み合せ物又は部品キットの第一の活性成分及び第二の活性成分の医薬製剤のタイプは同じであることができ、即ち両成分を別々の錠剤又はカプセル中に製剤するか、あるいは上記のタイプは異なることができ、即ち異なる投与形態、たとえば、一方の活性成分を錠剤又はカプセルとして製剤しそして他方を、たとえば、静脈投与用に製剤することができる。
【0352】
本発明に係る組み合わせ物、組成物又はキットの第一の活性成分及び第二の活性成分の量は、一緒になって、(過剰)増殖性疾病及び/又はアポトーシスの誘導に応答性である疾患、特に上述した疾病の1つ、たとえば、良性もしくは悪性腫瘍、特に癌の治療、予防又は寛解のための治療上有効な量を含むことができる。
【0353】
さらに、本発明に係る化合物は、癌の術前又は術後の治療に使用することができる。さらに加えて、本発明の化合物は放射線療法と組み合わせて使用することができる。
【0354】
本発明に係る組み合わせ物は、本発明に係る化合物及び他の活性な抗癌剤の両方を固定組み合わせ物中に含有する組成物(固定単位投与形)、又は2以上の活性成分を別個の投与形として含有する医薬包装品(非固定組み合わせ物)を指すことができる。2以上の活性成分を含む医薬包装品の場合、活性成分は、有利にはコンプライアンスの改善に適するブリスターカード中に包装される。
【0355】
各ブリスターカードは、好ましくは一日の治療に摂取されるべき医薬品を含有する。それらの薬品が一日の異なる時点で摂取される場合には、薬剤は、それらが摂取される日の種々の時間の範囲に応じて(たとえば、朝と夕、又は朝と昼と夕)ブリスターカード上の異なる区画に配置することができる。一日の特定時点で一緒に摂取されるべき医薬品のためのブリスター空隙は、一日の時間のそれぞれの範囲に合わせられる。一日の種々の時間は、もちろん明瞭に見えるやり方でブリスター上に記入される。もちろん、たとえば、医薬品を摂取すべきである時間を指示すること、たとえば、その時間を示すことも可能である。
【0356】
日割区画は、ブリスターカードの1本の線を表すことがあり、そして一日の時間はこの縦列での時間的順序で特定される。
【0357】
一日の特定時間で一緒に摂取しなければならない医薬品は、有利には狭い間隔として、ブリスターカード上の適切な時間のところに配置され、それらを容易にブリスターから押し出すことができ、そしてブリスターから投薬薬剤を取り出すのを忘れないという効果を有する。
【0358】
さらに、本発明は、
−過剰増殖性疾病及びアポトーシスの誘導に応答性である疾患の治療、予防又は寛解のために使用される医薬組成物の製造のための、本発明に係る上記に組み合わせ物の使用、
−過剰増殖性疾病及びアポトーシスの誘導に応答性である疾患の治療、予防又は寛解のための、本発明に係る組み合わせ物、
−哺乳動物において、過剰増殖性疾病及びアポトーシスの誘導に応答性である疾患を治療、予防又は寛解するための方法であって、それを必要とする前記哺乳動物に、医薬上活性でかつ治療に有効でかつ許容される量の上記組み合わせ物を投与することを含む方法、
−上記の組み合わせ物を含む市販包装品、
に関する。
【0359】
好ましい態様において、過剰増殖性疾病及びアポトーシスの誘導に応答性である疾患は良性腫瘍、悪性腫瘍及び癌を含む。
【0360】
生物学的研究
本明細書に記載される化合物の抗増殖活性/細胞毒性活性は、RKO型ヒト結腸腺癌細胞のサブクローン(Schmidt他、Oncogene 19, 2423-2429, 2000)に対して、Alamar Blue 細胞生死判別試験(O’Brien他、Eur J Biochem 267, 5421-5426, 2000に記載)を用いて試験することができる。化合物をDMSO中の10 mM溶液として溶解させ、次いで片対数目盛で希釈する。DMSO希釈物を更に10%の仔ウシ血清を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中に1:100v/vとなるように希釈して、試験の際の最終濃度の2倍に等しい最終濃度にする。RKOサブクローンを、96ウエル平底プレート中に1ウエルあたり4000細胞数の密度でウエルあたり50μlの容量で播種する。播種の24時間後に、DMEM培地中の化合物希釈液それぞれ50μlを96ウエルプレートの各ウエルに添加する。各化合物希釈物を三回反復試験する。未処理の対照細胞を含有するウエルを、1%DMSOを含有する50μlのDMEM培地で満たす。次いでこれらの細胞を試験物質と共に、5%二酸化炭素を含む湿潤雰囲気中で37℃にて72時間インキュベートする。細胞の生存度を測定するために、10μlのAlamar Blue溶液(Biosource社)を添加しそして544 nmの消光及び590 nmの発光で蛍光を測定する。細胞生存度の計算のために、未処理の細胞からの蛍光放出率を100%生存度として定め、処理された細胞の蛍光放出率を未処理の細胞の値に比較して定める。生存度は%値として表わす。得られた用量−応答曲線からの抗増殖活性/細胞毒性のEC 50の計算には、Graphpad Prismプログラムを使用する。
【0361】
細胞周期に特異的な作用機構を調べるために、RKO結腸腺癌細胞のサブクローン(Schmidt他、Oncogene 19, 2423-2429, 2000に記載されたようなRKOp21又はRKOp27)を96ウエル平底プレート中に、1ウエル当たり16000細胞数の密度において、10μMポナステロンAを含有する10%FCS+DMEM増殖培地中、1ウエル当たり50μlの容量で播種する。播種の24時間後、DMEM培地中の化合物希釈液の各50μlを96ウエルプレートの各ウエルに添加する。各化合物希釈液を三回反復試験する。未処理の対照細胞を含有するウエルを、1%DMSOを含有する50μlのDMEM培地で満たす。次いでこれらの細胞を試験物質と共に、5%二酸化炭素を含有する湿潤雰囲気中で37℃にて72時間インキュベートする。細胞生存度を測定するために、10μlのAlamar Blue溶液(Biosource社)を添加し、そして544 nmの消光及び590 nmの発光で蛍光を測定する。細胞生存度の計算のために、未処理の細胞からの蛍光放出率を100%生存度として定め、処理された細胞の蛍光放出率を未処理の細胞の値に対比して定める。生存度は%値として表わす。得られた用量−応答曲線からのEC50値の計算には、Graphpad Prism プログラム(GraphPad Software, Inc.)を用いる。誘導物質であるポナステロンAの不在下で増殖した増殖性細胞の生存度を、ポナステロンAによって誘導された異所性p27Kip1の発現により停止した細胞の生存度に対して比較する。
【0362】
前記アッセイで測定された抗増殖性/細胞毒性についての代表的EC 50値[−log EC 50(モル/l)として測定]は下記表Aから分かり、表中の化合物の番号は実施例の番号に対応する。
【0363】
【表30】

【0364】
-log EC50 [mol/l] RKOp27誘導(停止)の値はアッセイ規格によって決められた最小値よりも低かった(≦4.0、≦5.0、≦5.5、≦6.0)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、R1は、C1〜C4アルキル、C3〜C7シクロアルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキル、又は、R11により置換されたC2〜C7アルキルであり、ここで
R11は−N(R111)R112又はハロゲンであり、ここで
R111は、水素、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、C3〜C7シクロアルキル、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルキル、1N−(C1〜C4アルキル)−ピラゾリル、1N−(H)−ピラゾリル、イソオキサゾリル、又は完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C4アルキルであり、
R112は水素、C1〜C4アルキル、C3〜C7シクロアルキル、又はC3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキルであり、
あるいは、R111とR112が一緒になってそしてそれらが結合される窒素原子を含めて、環Hetを形成し、ここで
Hetは、任意にC1〜C4アルキル及びフッ素から独立に選ばれる1個又は2個の置換基によって置換されていてよい、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、チオモルホリン−4−イル、S−オキソ−チオモルホリン−4−イル、S,S−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イル、アゼチジン−1−イル、ホモピペリジン−1−イル、4N−(R113)−ピペラジン−1−イル、4N−(R113)−ホモピペラジン−1−イル、2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル、ピロール−1−イル、ピラゾール−1−イル、イミダゾール−1−イル、トリアゾール−1−イル、又はテトラゾール−1−イルであり、ここで
R113は水素、C1〜C4アルキル、C3〜C7シクロアルキル、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキル、C1〜C4アルキルカルボニル、アミジノ、又は完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C4アルキルであり、
R2は水素又はヒドロキシルであり、
R3は、水素、C1〜C4アルキル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルコキシ、ヒドロキシ−C2〜C4アルコキシ、C3〜C7シクロアルコキシ、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルコキシ、又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4アルコキシであり、
R4は、水素、C1〜C4アルキル又はハロゲンであり、
ただし、R3及びR4が両方とも水素である場合には、R1はC1〜C4アルキルではなく、
ただし、(1)R4が水素であり、かつ、(2)R3が6位に結合しておりかつブロモ又はメチルから選ばれる場合には、R1はn−ブチルではない]の化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩。
【請求項2】
R1は、C3〜C7シクロアルキル、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキル、又は、R11により置換されたC2〜C7アルキルであり、ここで
R11は−N(R111)R112又はハロゲンであり、ここで
R111は、水素、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、C3〜C7シクロアルキル、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルキル、1N−(C1〜C4アルキル)−ピラゾリル、1N−(H)−ピラゾリル、イソオキサゾリル、又は完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C4アルキルであり、
R112は水素、C1〜C4アルキル、C3〜C7シクロアルキル、又はC3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキルであり、
あるいは、R111とR112が一緒になってそしてそれらが結合される窒素原子を含めて、環Hetを形成し、ここで
Hetは、任意にC1〜C4アルキル及びフッ素から独立に選ばれる1個又は2個の置換基によって置換されていてよい、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、チオモルホリン−4−イル、S−オキソ−チオモルホリン−4−イル、S,S−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イル、アゼチジン−1−イル、ホモピペリジン−1−イル、4N−(R113)−ピペラジン−1−イル、4N−(R113)−ホモピペラジン−1−イル、2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル、ピロール−1−イル、ピラゾール−1−イル、イミダゾール−1−イル、トリアゾール−1−イル、又はテトラゾール−1−イルであり、ここで
R113は水素、C1〜C4アルキル、C3〜C7シクロアルキル、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキル、C1〜C4アルキルカルボニル、アミジノ、又は完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C4アルキルであり、
R2は水素又はヒドロキシルであり、
R3は、C1〜C4アルキル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルコキシ、ヒドロキシ−C2〜C4アルコキシ、C3〜C7シクロアルコキシ、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルコキシ、又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4アルコキシであり、
R4は水素である、請求項1記載の化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩。
【請求項3】
R1は、R11により置換されたC2〜C7アルキルであり、ここで
R11は−N(R111)R112又はハロゲンであり、ここで
R111は、水素、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、C2〜C4アルキニル、C3〜C7シクロアルキル、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルキル、1N−(C1〜C4アルキル)ピラゾリル、1N−(H)−ピラゾリル、イソオキサゾリル、又は完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C4アルキルであり、
R112は水素、C1〜C4アルキル、C3〜C7シクロアルキル、又はC3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルキルであり、
あるいは、R111とR112が一緒になってそしてそれらが結合される窒素原子を含めて、環Hetを形成し、ここで
Hetは、任意にC1〜C4アルキル及びフッ素から独立に選ばれる1個又は2個の置換基によって置換されていてよい、ピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、チオモルホリン−4−イル、S−オキソ−チオモルホリン−4−イル、S,S−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル、ピロリジン−1−イル、アゼチジン−1−イル、ホモピペリジン−1−イル、4N−(R113)−ピペラジン−1−イル、4N−(R113)−ホモピペラジン−1−イル、2,5−ジヒドロ−ピロール−1−イル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル、ピロール−1−イル、ピラゾール−1−イル、イミダゾール−1−イル、トリアゾール−1−イル、又はテトラゾール−1−イルであり、ここで
R113は水素又はC1〜C4アルキルであり、
R2は水素又はヒドロキシルであり、
R3は、C1〜C4アルキル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルコキシ、ヒドロキシ−C2〜C4アルコキシ、C3〜C7シクロアルコキシ、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルコキシ、又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4アルコキシであり、
R4は水素である、請求項1又は2記載の化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩。
【請求項4】
R1は、R11により置換されたC2〜C7アルキルであり、ここで
R11は−N(R111)R112又はハロゲンであり、ここで
R111は、水素、C1〜C4アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルキル、又は完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C4アルキルであり、
R112は水素又はC1〜C4アルキルであり、
R2は水素又はヒドロキシルであり、
R3は、6位に結合しており、C1〜C4アルキル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルコキシ、ヒドロキシ−C2〜C4アルコキシ、C3〜C7シクロアルコキシ、C3〜C7シクロアルキル−C1〜C4アルコキシ、又は完全にもしくは大部分がフッ素で置換されたC1〜C4アルコキシであり、
R4は水素である、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩。
【請求項5】
R1は、R11により置換されたエチル又はn−プロピルであり、ここで
R11は−N(R111)R112又はハロゲンであり、ここで
R111は、水素、C1〜C4アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ−C2〜C4アルキル、又は完全にもしくは部分的にフッ素で置換されたC1〜C4アルキルであり、
R112は水素又はC1〜C4アルキルであり、
R2は水素又はヒドロキシルであり、
R3は、6位に結合しており、メトキシ、エトキシ、クロロ又はブロモであり、
R4は水素である、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩。
【請求項6】
立体化学構造が式I
【化2】

に示すとおりである、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩。
【請求項7】
式I−A、I−A−1、I−A−2、I−B、I−B−1、I−B−2
【化3】

のいずれかであり、R1及びR3は下記の1.1〜1.902
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【表20】

【表21】

【表22】

【表23】

【表24】

【表25】

【表26】

【表27】

【表28】

【表29】

のいずれかである、請求項1記載の化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩。
【請求項8】
1)(3aSR,10RS)−6−フルオロ−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
2)(3aSR,10RS)−7−フルオロ−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
3)(3aSR,10RS)−6−ブロモ−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
4)(3aSR,10RS)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,6−ジメチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
5)(3aSR,10RS)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,5−ジメチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
6)(3aSR,10RS)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2,7−ジメチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
7)(3aSR,10RS)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メトキシ−2−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
8)(3aSR,10RS)−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−6−フルオロ−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
9)(3aSR,10RS)−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−7−フルオロ−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
10)(3aSR,10RS)−6−ブロモ−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
11)(3aSR,10RS)−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
12)(3aSR,10RS)−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−5−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
13)(3aSR,10RS)−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−7−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
14)(3aSR,10RS)−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メトキシ−2−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
15)(3aSR,10RS)−2−(3−ジメチルアミノ−n−プロピル)−6−フルオロ−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
16)(3aSR,10RS)−2−(3−ジメチルアミノ−n−プロピル)−7−フルオロ−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
17)(3aSR,10RS)−6−ブロモ−2−(3−ジメチルアミノ−n−プロピル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
18)(3aSR,10RS)−2−(3−ジメチルアミノ−n−プロピル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
19)(3aSR,10RS)−2−(3−ジメチルアミノ−n−プロピル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−5−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
20)(3aSR,10RS)−2−(3−ジメチルアミノ−n−プロピル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−7−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、
21)(3aSR,10RS)−2−(3−ジメチルアミノ−n−プロピル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−6−メトキシ−2−メチル−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオン、及び、
22)(3aS,10R)−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−10−(3−ヒドロキシ−フェニル)−3a,4,9,10−テトラヒドロ−2,9,10a−トリアザ−シクロペンタ[b]フルオレン−1,3−ジオンから選ばれる、請求項1記載の化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩。
【請求項9】
R1は、メチル、又はR11により置換されたC2〜C4アルキルであり、ここで
R11は−N(R111)R112又はハロゲンであり、ここで
R111はC1〜C4アルキルであり、
R112はC1〜C4アルキルであり、
R2は水素又はヒドロキシルであり、
R3は、C1〜C4アルキル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ又はトリフルオロメチルであり、
R4は水素である、請求項1記載の化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩。
【請求項10】
疾患の治療における使用のための請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項記載の1つ又は複数の化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩を、医薬上許容される補助剤及び/又は賦形剤とともに含む、医薬組成物。
【請求項12】
過剰増殖性疾病及びアポトーシスの誘導に応答性である疾患を治療、予防又は寛解するための医薬組成物の製造における、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩の使用。
【請求項13】
過剰増殖性疾病及びアポトーシスの誘導に応答性である疾患を治療、予防又は寛解するための、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩、あるいは、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩を含む医薬組成物。
【請求項14】
哺乳動物において、過剰増殖性疾病及びアポトーシスの誘導に応答性である疾患を治療、予防又は寛解するための方法であって、それを必要とする前記哺乳動物に、請求項1〜9のいずれか1項記載の1つ又は複数の化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩の医薬的に活性でかつ治療上有効でかつ許容される量を投与することを含む方法。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物、又は、その塩、立体異性体もしくは立体異性体の塩である第一の活性成分、及び、
少なくとも1つの抗癌剤である第二の活性成分、
を含む組み合わせ物。
【請求項16】
前記抗癌剤は、 (i)キナーゼ阻害剤;(ii)プロテアソーム阻害剤;(iii)ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;(iv)熱ショックタンパク質90阻害剤;(v)血管標的薬剤(VAT)、及び抗血管新生薬及びKDRチロシンキナーゼ阻害剤;(vi) モノクローナル抗体、モノクローナル抗体の変異体及び接合体、及び抗体断片;(vii) オリゴヌクレオチド系治療薬;(viii) トール(Toll)様受容体/TLR9アゴニスト、TLR7アゴニスト又はTLR7/8アゴニスト;(ix) プロテアーゼ阻害剤;(x)ホルモン治療薬;ブレオマイシン;レチノイド類;DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤;アラノシン類;サイトカイン類;インターフェロン類;及び死受容体アゴニストから選択される、請求項15記載の組合せ物。
【請求項17】
前記癌は、胸部、膀胱、骨、脳、中枢神経系及び末梢神経系、結腸、内分泌腺、食道、子宮内膜、生殖細胞、頭部及び頚部、腎臓、肝臓、肺、喉頭及び下咽頭の癌、中皮腫、肉腫、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、腎、小腸、軟組織、精巣、胃、皮膚、尿管、膣及び肛門の癌:
遺伝性癌、網膜芽細胞腫及びウィルムス腫瘍;
白血病、リンパ腫、非ホジキン病、慢性及び急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、ホジキン病、多発性骨髄腫及びT細胞リンパ腫;
骨髄異形成症候群、形質細胞新形成、腫瘍随伴症候群、未知の原発部位の癌並びにエイズ(AIDS)関連悪性疾患
から選択される、請求項9記載の方法。

【公表番号】特表2010−536807(P2010−536807A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521314(P2010−521314)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058748
【国際公開番号】WO2009/024190
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(507208200)4エスツェー アクチェンゲゼルシャフト (17)
【Fターム(参考)】