説明

キメラ治療剤

融合タンパク質は、(i)前記融合タンパク質のアミノ末端に位置し、第1生理活性ペプチドもしくはタンパク質の配列を含有する第1セグメント;並びに、(ii)融合タンパク質のカルボキシル末端に位置し、第2生理活性ペプチドもしくはタンパク質の配列を含有する第2セグメントを含有する。前記第1及び第2のセグメントは、機能するように共有結合している。また、融合タンパク質をコードする核酸、ベクター及び核酸を有する宿主細胞、並びに、関連する合成物及び糖尿病もしくは/及び肥満の治療法についても開示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2005年7月29日に出願された米国仮出願番号US60/703,950;2005年10月17日に出願された米国仮出願番号US60/727,612;2006年1月27日に出願された米国仮出願番号60/762,820;及び、2006年2月14日に出願された米国仮出願番号60/773,385に基づく優先権を主張し、それらの内容は全体として参照により本願に引用される。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
糖尿病(diabetes mellitus)は、通常、糖尿病(diabetes)と呼ばれるが、複数の原因因子に由来する病気のプロセスを意味し、高血糖と呼ばれる血漿グルコースの濃度の上昇を特徴とする。例えば、LeRoith,D.ら(eds.)、DIABETES MELLITUS(Lippincott−Raven Publishers、フィラデルフィア、ペンシルバニア州、アメリカ合衆国、1996年)を参照せよ。米国糖尿病学会によると、糖尿病は世界の人口の約6%が罹患していると推定される。制御されない高血糖は、腎症、神経症、網膜症、高血圧、脳血管疾患及び冠状動脈心疾患を含む大血管及び小血管の病気にかかる危険性が高いことに起因して、死亡率の増加及び夭逝と相関性がある。それ故、グルコースのホメオスタシスを制御することが、糖尿病治療にとっての重要な方策である。
【0003】
糖尿病には2つの主要な型がある。すなわち、1型糖尿病(かつて、インシュリン依存性糖尿病もしくはIDDMといわれた);及び、2型糖尿病(かつて、インシュリン非依存性糖尿病もしくはNIDDMといわれた)である。1型糖尿病は、インシュリン、すなわちグルコース利用を調節するホルモンが完全に欠乏した結果である。このインシュリンの欠乏は、通常膵臓のランゲルハンス島中でのβ細胞の破壊及びインシュリンの完全なる欠乏を特徴とする。2型糖尿病は、完全というよりはむしろ相対的なインシュリンの欠乏を伴うインシュリン抵抗性を特徴とする疾患である。2型糖尿病は、相対的なインシュリンの欠乏を伴う優性のインシュリン抵抗性から、何らかのインシュリン抵抗性を伴う優性のインシュリンの欠乏の範囲まで及びうる。インシュリン抵抗性は、幅広い濃度にわたって生理活性を発揮できるインシュリンの能力を減じる。インシュリン抵抗性の個体において、身体はこの欠陥を補うために、異常なほど大量のインシュリンを分泌する。インシュリン抵抗性を補うため、及びグルコースを適切に制御するために、適切とはいえない量のインシュリンが存在する場合、グルコース耐性が損われるという状態が促進される。糖尿病の臨床的状態の結果として、非常に多くの個体において、インシュリン分泌はさらに減少し、血漿グルコース濃度は上昇する。
【0004】
2型糖尿病患者の大部分は、β細胞からのインシュリンの放出を刺激することにより作用する血糖降下剤、もしくはインシュリンに対する患者の組織感受性を増進する薬剤のいずれか、またはインシュリンを用いた治療を受けている。しかし、この治療法はほとんどの症例で満足のいくものではない。
【0005】
インシュリンは、主に細胞表面の細胞内貯蔵部位からグルコーストランスポーター4(GLUT4)の移動を通じて、骨格筋及び脂肪組織によるグルコースの摂取を刺激する(Saltiel,A.R.& Kahn,C.R.(2001) Nature 414:799−806;Saltiel,A.& Pessin,J.E.(2002) Trends in Cell Biol.12:65−71;White,M.F.(1998) Mol.Cell.Biochem.182:3−11)。インシュリンに対する応答において、細胞内膜に存在するGLUT4の一部は、原形質膜に再分配され、結果として、細胞表面上のGLUT4が増加し、これらの細胞によるグルコースの摂取が促進される。GLUT4の移動は、主にインシュリン受容体(IR)を通して伝達される。
【0006】
グルコース輸送に加えて、インシュリンは脂質形成、すなわち前脂肪細胞(pre−fat cells)の増殖、及び脂肪細胞における脂肪の蓄積を伴う、前脂肪細胞から脂肪細胞(fat cells)への分化を含む方法に深く関わっている。脂肪細胞系である3T3−L1に関する研究は、脂質形成におけるインシュリンの果たす役割が主に有糸分裂であることを示唆している。分化前において、3T3−L1細胞はIRより多くのIGF−1受容体を含む線維芽細胞様の前脂肪細胞である。インビトロにおいて、前脂肪細胞の脂質形成は、通常用いられる分化誘発混合物、すなわちcAMPを上昇させる薬剤のメチルイソブチルキサンチン(MIX);グルココルチコイド、デキサメタゾン(DEX);及び、前脂肪細胞上のIGF−1受容体と結合するインシュリン(もしくはIGF−1)(Tong,Q.,Hotamisligil,G.S.(2001) Rev.in Endoc.& Metabolic Disorders.2:349−355;Rosen,E.Dら(2000) Genes Dev.14:1293−1307)からなるMDIが引き金となりうる。MDIを用いた治療をうける際、融合性の前脂肪細胞は再び細胞周期に入り、およそ二回の有糸分裂を経るものであり(Modan−Moses,Dら(1998) Biochem.J.333:825−831;Tong,Q., Hotamisligil,G.S.(2001) Rev.in Endoc.& Metabolic Disorders.2:349−355;Rosen,E.Dら(2000) Genes Dev.14:1293−1307)、この方法は通常クローン性増殖といわれる。下記のクローン性増殖において、前記前脂肪細胞は細胞周期から出て、脂肪細胞遺伝子を発現することにより脂肪細胞への分化を開始する。
【0007】
その脂質生成の効果が原因となり、インシュリンは2型糖尿病患者の肥満促進という好ましくない効果を有する(Moller,D.E.(2001) Nature 414:821−827)。不運なことに、2型糖尿病患者におけるグルコース輸送を刺激するために現在用いられている他の抗糖尿病治療薬は、脂質生成の活性も有している。このように現在の薬物治療では、血糖値の減少をもたらす一方で、肥満を促進することがある。
【0008】
したがって、同時に脂質生成という副作用を生ずることなく高血糖を治す抗糖尿病治療薬を新たに作り出すことが非常に好ましい。糖尿病患者におけるグルコース摂取を、高血糖の原因となることなく誘発するような化合物もまた好ましい。多くの治療用タンパク質が糖尿病または肥満の治療のために開発されている。しかし、それらの多くは、乏しい有効性、副作用または不安定な性質のために満足のいくものではない。
【0009】
一方、肥満は世界でも著しく進行の速いヒトの病気である。肥満患者は、耐糖能または「臨床的もしくは前臨床的」糖尿病を悪化させる場合がある。悪化した耐糖能を改善する抗肥満薬を作り出すことが非常に好ましい。理想を言えば、高血糖の原因とならずに肥満患者の減量を誘発し、悪化した糖耐性を改善する化合物もまた好ましい。
【発明の開示】
【0010】
要約
本発明は、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)もしくはそのアナログ、ペプチドYY及びアミリンのような抗糖尿病もしくは抗肥満治療用ペプチドの生物学的有効期間を伸ばすための機能的な融合のパートナーとして、ヒトのレプチンを使用することに関する。前記レプチンの融合は、治療用ペプチドの生物学的有効期間を伸ばし、より多くの付加的な効果または治療用ペプチドとの相乗効果をもたらす。
【0011】
したがって、本発明の一態様は、(i)前記融合タンパク質のアミノ末端に位置し、第1の生理活性ペプチドまたはタンパク質の配列を含有する第1のセグメント;及び、(ii)前記融合タンパク質のカルボキシル末端に位置し、第2の生理活性タンパク質またはペプチドの配列を含有する第2のセグメントを含む融合タンパク質であって、前記第1及び第2のセグメントが機能するように共有結合してなる融合タンパク質を特徴とする。
【0012】
単離されたタンパク質またはポリペプチドは、当然に関連した分子から実質的に遊離したタンパク質またはポリペプチドを意味する。すなわち、単離されたタンパク質またはポリペプチドは、乾燥重量で少なくとも75%(すなわち、75%から100%の間の全ての値を含む)の純度を有する。いかなる適切で標準的な方法、例えば、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、またはHPLCによっても、純度を測定できる。本発明の単離されたポリペプチドは、(野生型のポリペプチドについては)天然物から精製することができ、組換えDNA技術または化学的方法により生産できる。
【0013】
前記第1及び第2の生理活性ペプチドまたはタンパク質は、ペプチドまたはタンパク質のホルモンである。前記第1の生理活性タンパク質は、グルカゴン様のペプチド1、アミリンもしくはペプチドYY、またはその機能的等価物の配列を含有しうる。
【0014】
一実施形態では、前記第1の生理活性タンパク質は、配列番号2の配列を含有する。前記第2の生理活性タンパク質は、レプチンもしくは機能的等価物または減量誘導タンパク質の配列を含有しうる。前記第2の生理活性タンパク質は、ヘテロのペプチドまたはタンパク質のC−末端に共有結合的に融合する場合、生理活性タンパク質の機能を維持する。前記第2の生理活性タンパク質は、配列番号1の配列を含有する。一例を挙げると、前記融合タンパク質は、配列番号4、5、10、11、16または17の配列を含有する。「ヘテロの」ポリペプチド、核酸または遺伝子は、異なるポリペプチド、核酸もしくは遺伝子に由来するものであるか、または、同種のポリペプチド、核酸もしくは遺伝子に由来する場合には、実質的にその元の形態から改変されている。
【0015】
他の実施形態では、前記第1の生理活性タンパク質は、ペプチドYYのうちのアミノ酸残基3〜36の配列を含有する(配列番号19)。この場合、前記融合タンパク質は、配列番号12または13の配列を含有しうる。
【0016】
さらに他の実施形態では、前記第1の生理活性タンパク質は、アミリンのうちのアミノ酸残基1〜36の配列を含有する(配列番号18)。例えば、前記融合タンパク質は、配列番号14または15の配列を含有する。
【0017】
上記した融合タンパク質は、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントと結合するリンカーセグメントをさらに含みうる。前記リンカーセグメントはダイマー化することができる。前記リンカーセグメントは、免疫グロブリン、例えば、IgA、IgE、IgD、IgGもしくはIgMのFc断片またはその機能的等価物のFc断片を含有しうる。好ましくは、前記免疫グロブリンはIgGのFc断片であり、例えば、配列番号3を含有する。
【0018】
前記融合タンパク質は、分泌前に、配列番号9またはその機能的等価物をさらに含有しうる。配列番号9はtPA分泌シグナルペプチド配列である。成熟したタンパク質またはペプチドのC−末端と融合する場合、配列番号9は、前記タンパク質またはペプチドを分泌経路及び細胞外空間(例えば、タンパク質またはペプチドを発現する細胞の培地)へ導く。前記tPAシグナルペプチドは分泌後に成熟したタンパク質またはペプチドから開裂されうる。IgGの重鎖及び軽鎖に由来するペプチドのような類似のシグナルペプチドは同じ分泌目的に使用することもできる。
【0019】
本発明の他の態様は、上記の融合タンパク質をコードする配列を含む単離された核酸であることを特徴とする。前記核酸は、配列番号6〜7のうち一の配列を含有しうる。
【0020】
核酸とは、DNA分子(例えば、cDNAもしくはゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、またはDNAもしくはRNAのアナログを意味する。DNAまたはRNAのアナログは、核酸アナログから合成することができる。前記核酸分子は一本鎖または二本鎖でありうるが、好ましくは二本鎖のDNAである。「単離された核酸」とは、いかなる自然発生した核酸の構造、または自然発生した核酸のいかなる断片の構造とも一致しない構造を有する核酸を意味する。このように、かかる用語は、例えば、(a)自然発生したゲノムDNA分子の一部の配列を有するが、自然発生した生物のゲノムにおいて、分子の一部と並んだコーディング配列の双方と並ぶことのないDNA;(b)結果的に得られる分子がいかなる自然発生したベクターまたはゲノムDNAとも一致しないような方法で、ベクター、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAに組み込まれた核酸;(c)cDNA、ゲノム断片、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)によって合成された断片、または制限断片のような分離した分子;及び、(d)雑種遺伝子の一部である組換えヌクレオチド配列、すなわち融合タンパク質をコードする遺伝子をカバーしている。上述の核酸は、本発明の融合タンパク質を発現するために用いられうる。かかる目的のために、前記核酸を、発現ベクターを生み出す上で適切な制御配列と、機能できるように結合させることができる。
【0021】
ベクターとは、連結される他の核酸を輸送することができる核酸分子を意味する。前記ベクターは自己複製することができ、または宿主DNAに組み込むことができる。前記べクターの例として、プラスミド、コスミドまたはウィルスベクターが含まれる。前記ベクターは、宿主細胞内で前記核酸の発現に適切な形態の核酸を含有する。好ましくは、前記ベクターは、発現されるべき核酸配列と、機能できるように結合される一以上の制御配列を含有する。「調節塩基配列」は、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含む。組織特異的及び/または誘導可能な配列だけでなく、制御配列は、ヌクレオチド配列の構成的発現を命令する配列を含む。前記発現ベクターの構成は、形質転換されるべき宿主細胞の選択や、所望のタンパク質またはRNAのレベルなどのような因子に依存しうる。前記発現ベクターは、本発明のポリペプチドを生産する宿主細胞に取り込まれうる。上記核酸を含有する宿主細胞は、本発明の範囲内である。例として、大腸菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウィルス発現ベクターを使用)、酵母細胞、または哺乳類細胞が含まれる。例えば、Goeddel, (1990) Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press、サンディエゴ、カリフォルニア州を参照せよ。本発明のポリペプチドを生産することで、本発明の核酸によりコードされるポリペプチドを発現させることのできる条件を備えた培地において、宿主細胞を培養することができ、前記培養細胞または前記細胞の培地から前記ポリペプチドを精製することができる。他の方法として、本発明の前記核酸は、インビトロで、例えば、T7プロモーター制御配列及びT7ポリメラーゼを用いて転写及び翻訳されうる。
【0022】
タンパク質の因子についての「機能的等価物」とは、タンパク質、例えば、一以上の点変異、挿入、欠失、切断、融合タンパク質、またはそれらの組み合わせを有するタンパク質のポリペプチド誘導体を意味する。それは前記因子と、少なくとも70%(例えば、80%、90%、95%もしくは100%、または70%から100%の間の他のいかなる数字全てを含む)一致し、前記因子の活性、例えば、その受容体との結合能、及び対応するシグナル変換経路の誘発能を実質的に維持する。
【0023】
二つのアミノ酸配列または二つの核酸についての「一致の確率」とは、Karlin及びAltschulによるProc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264−68,1990、Karlin及びAltschulのProc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−77,1993で修正されている、のアルゴリズムを用いて決定される。このようなアルゴリズムは、AltschulらによるJ.Mol.Biol.215:403−10,1990に記載されたNBLAST及びXBLASTのプログラム(バージョン2.0)に組み込まれる。BLASTヌクレオチド検索は、NBLASTプログラム、スコア=100、語長−12を用いて実行し、本発明の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラム、スコア=50、語長=3を用いて実行し、本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得ることができる。ギャップが2つの配列の間に存在する場合、AltschulらによるNucleic Acids Res.25(17):3389−3402,1997に記載されているようなGapped BLASTを利用できる。BLAST及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、各プログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)のデフォルトパラメータが利用できる。
【0024】
前記融合タンパク質をコードする前述の融合タンパク質もしくは核酸を含む合成物は本発明の範囲内に含まれる。前記合成物は、医薬として許容されるキャリアを含有する製薬用合成物、または食事として許容されるキャリアを含有する食品用合成物である。前記合成物は、前記融合タンパク質をコードする前記融合タンパク質または核酸の有効量を、必要としている被験者の体重の維持または減量のために投与することができる。この目的のために、前記被検者は同時に、非融合形態における上述の第1または前記第2のペプチドもしくはタンパク質の投与を受けることができる。
【0025】
本発明は(i)レプチンまたは機能的等価物;(ii)グルカゴン様ペプチド1、アミリン、ペプチドYY、またはそれらの機能的等価物のいずれか一つ;及び、(iii)医薬として許容されるキャリアを含有する別の製薬用合成物であることを特徴とする。
【0026】
本発明はまた、前記融合タンパク質、または前記第2のペプチドもしくはタンパク質とともに前記第1のペプチドもしくはタンパク質を生産し、分泌する組換え乳酸菌を含む食品用合成物であることを特徴とする。
【0027】
上記合成物は、糖尿病または肥満の治療に用いることができる。このように、糖尿病もしくは肥満の治療の方法は本発明の範囲に含まれる。前記方法は、上記融合タンパク質または前記融合タンパク質をコードする核酸の有効量を、必要としている被検者に投与することを含む。前記方法は、互いに融合していない前記第1(特に、持続性型)または前記第2のペプチドもしくはタンパク質を被検者に同時に投与することを含んでいてもよい。
【0028】
他の態様では、本発明は、被検者における、組換え治療用ペプチドまたはタンパク質の半減期を増大する方法を特徴とする。前記方法は、配列番号1またはその機能的等価物を含有するセグメントに組換え治療用タンパク質を結合させて、融合タンパク質を形成すること;及び、被検者における前記融合タンパク質の半減期を決定することを含む。前記治療用ペプチドまたは組換えタンパク質は、糖尿病または肥満に関する治療効果を有する。
【0029】
本発明はまた、被検者における組換え治療用ペプチドまたはタンパク質の前記有効性を増大させる方法を特徴とする。前記方法は、配列番号1またはその機能的等価物を含有するセグメントに前記組換えタンパク質を結合させて、融合タンパク質のキメラを形成し;及び、被検者における前記融合タンパク質の有効性を決定することを含む。前記治療用ペプチドまたは組換えタンパク質は、糖尿病もしくは肥満またはその両方に関する治療効果を有する。配列番号1の融合は、前記組換え治療用ペプチドまたはタンパク質の有効性を付加的もしくは付加的以上もしくは相乗効果によって増大させうる。前記融合のパートナーは互いの生物学的機能を干渉しない。
【0030】
本発明の一以上の実施形態の詳細は以下の記述において説明される。本発明の他の特徴、目的及び利点は、前記記載及び請求項から明らかであろう。
【0031】
発明の詳細な説明
本発明は、少なくとも部分的には、抗糖尿病または抗肥満の治療用ペプチドまたはポリペプチドの生物学寿命または有効性を延ばすための機能的な融合パートナーとしての、レプチンの新たな用途の発見に基づく。レプチンまたはその機能的等価物は、多くの生理活性ペプチド、例えば、抗糖尿病ペプチドのC末端に結合する際、より多くの付加的作用または相乗効果とともに、生物学的寿命及び生理活性ペプチドの有効性を伸ばすことは予想外であった。例えば、これらのタンパク質は、グルカゴン様ペプチド1、アミリンもしくはペプチドYY(PYY)、またはそれらの機能的等価物を含む。
【0032】
本分野において公知であるが、生理活性タンパク質に対するN末端タンパク質の融合は、特に、大きなサイズのタンパク質融合パートナーに対して完全に活性を喪失する場合がある。例えば、プロ酵素及びプロホルモンは、N末端におけるプロペプチド融合が原因となって活性化しない。これらのプロ消化酵素及びプロホルモンは、それらのプロペプチドが開裂される後まで生物学的に活性化している。さらに、大きなサイズのタンパク質融合は、発現する量を減少させることがある。予想外なことに、タンパク質に結合したレプチンは、哺乳類の宿主細胞中で量産することができる。前記融合はレプチンまたは結合された生理活性タンパク質の活動を妨げない。また、予想外なことに、レプチンまたはその機能的等価物は、前記生理活性ペプチドの生物学的寿命を伸ばすだけでなく、互いの活動を増進する。
【0033】
さらに、GLP−1またはそのアナログを使用する際、PYYまたはアミリンは、(融合タンパク質中であるか、またはそうでない)レプチンとともに使われ、それらは食欲または食物摂取を減らすこと等を通して、体重に対してより付加的な効果または相乗効果を有する。市販のGLP−1または組換えレプチンの使用のみでは、我々の動物モデル(我々のパイロット実験)において著しい減量を誘発しなかったので、これは予想外のことであった。このようなレプチン及びGLP−1またはそのアナログ、PYY、あるいはアミリンの併用投与は、肥満または糖尿病の治療に用いることができる。
【0034】
例えば、下記の例に示すように、融合タンパク質であるGLP1−Fc−レプチンは、GLP−1のグルコース低下活性を維持するだけでなく、レプチンの減量活性も保つ。さらに、それは、GLP−1のアナログであるE4 Byettaよりも生物学的寿命をよりいっそう長くし、または治療効果をより長く持続させる。
【0035】
レプチン
レプチン、例えば、 ジーンバンク登録番号NP_000221は、脂肪由来ホルモンであって、食物摂取及び体重を調節する鍵となる栄養センサーである。組換えレプチンは、小動物においては効果的な減量薬である。しかし、肥満体の人間に対するレプチン治療は、先天的なレプチン欠乏に苦しむ被検者に限定されない。明らかなことであるが、レプチンそれ自体は、素晴らしいヒト治療用薬とはいえない。一方、前記ヒトの食欲、食物摂取及び減量の調節は、一以上の因子によって調節されうる。本願で開示するように、生物学的寿命を延ばすための、他の糖尿病関連治療薬または減量治療薬の機能的な融合パートナーとしてレプチンを使用することは、さらなる治療上の価値を有する。
【0036】
本発明で用いられるレプチンは、米国特許出願第20030203837号、及びZhangら(Nature,1994,372:425−432;参照により本願に引用される)で説明されているような組換えマウスまたは組換えヒトタンパク質、あるいは28番目のグルタミル残基を欠いたタンパク質(Zhangら、上記文献、428頁)から選択されうる。米国特許出願20030203837号(そこでは配列番号:4)で説明されているような組換えヒトレプチンタンパク質アナログも使用することができ、(1)35番目に位置するリジンの代わりにアルギニン、及び(2)74番目に位置するイソロイシンの代わりにロイシンを含有する。
【0037】
マウスのレプチンタンパク質は、特に成熟タンパク質のような前記ヒトレプチン、さらにいえば、特にN末端で、実質的に相同性を有する。前記組換えヒト配列において、前記マウスの配列から分化したアミノ酸を替えることにより(例えば、アミノ酸残基の代替)、前記組換えヒトタンパク質のアナログを調製できる。なぜなら、前記組換えヒトタンパク質は、マウスにおいて生理活性を有し、このようなアナログはヒトにおいて活性化している可能性があるからである。例えば、配列番号1とナンバリングされたものの、35番目に位置する残基にリジン、及び74番目に位置する残基にイソロイシンを有するヒトタンパク質を用いると、32、35、50、64、68、71、74、77、89、97、100、105、106、107、108、111、118、136、138、142、及び145番目に位置する一つ以上のアミノ酸が別のアミノ酸に置き換わりうる。前記マウスのタンパク質の対応する位置にあるアミノ酸を選択してもよい。
【0038】
ラットレプチンタンパク質(Murakamiら、Biochem.Biophys.Res.Comm.1995;209:944−952)または赤毛猿レプチンタンパク質(米国特許出願第20030203837号)も使うことができる。これらレプチンタンパク質は、多くの位置においてヒトレプチンタンパク質とは異なっている。これらの多様な位置にある一つ以上のアミノ酸を別のアミノ酸に置換してレプチンアナログを生産できる。他のアナログは、前記タンパク質のアミノ酸配列の一部を欠失させることにより調製できる。例えば、参照により本願に引用される、米国特許出願20030203837号を参照せよ。
【0039】
グルカゴン様ペプチド−1
グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、例えば、ジーンバンク登録番号P01275のものは、GLP−1(7−36)及びGLP−1(7−37)のような2つの原理分子形態における腸内分泌細胞中で合成される。前記ペプチドは、以下のプログルカゴンのためのDNA及び遺伝子のクローン作成で初めて確認された。GLP−1の生物学的活性の初期の研究は、GLP−1(アミノ酸1−37及び1−36)のうちN末端の全長を伸ばした形態を利用した。大きなGLP−1分子は、一般的に生理活性を欠いている。後に、1987年に、前記第1の6アミノ酸を除去することにより、生理活性が大幅に増進したGLP−1分子がより短くなることが見出された。
【0040】
循環している生物学的に活性のあるGLP−1の大部分は、前記GLP−1(6−36)であり、生理活性のあるGLP−1(7−37)の形態もより少量ではあるが検出可能である。ジペプチジルペプチダーゼ(DPP−IV)は、2番目に位置するアラニンがペプチドの分解を導くので、N末端はGLP−1の生理活性を調節する上で重要な遺伝子座である。2番目に位置するアラニンがグルタミンまたはバリンに置換されたGLP−1アナログはDPP−IVに抵抗する。
【0041】
GLP−1は潜在的に抗糖尿病及び抗肥満に有益な効果を有する。例えば、GLP−1は、胃の内容物の排出を遅らせ、食後の血統上昇を鈍らせ;食欲を抑制し;食物摂取を抑制し;及び、β細胞の成長を引き起こす。これらの効果は、製薬会社にとって大変興味深い。アミリン ファーマスーティカル社は、糖尿病及び肥満に関係した兆候に対して求められているGLP−1のアナログを市販している。ノボ ノルディスク社は、別の長時間作用型のGLP−1を開発した。現在少なくとも5社が、GLP−1の結合したヒューマンゲノムサイエンス社のアルブミン融合GLP−1アナログを開発中である。
【0042】
ペプチドYY及びアミリン
GLP−1アナログのほかに、ペプチドYY(例えば、ジーンバンク登録番号P10082)、アミリン(例えば、ジーンバンク登録番号P10997)、及び多くの他のポリペプチドもしくはタンパク質もまた潜在的「抗肥満」もしくは「抗糖尿病」薬であり、それらの生物学的寿命を伸ばすためにレプチンに結合し、付加的なもしくはそれ以上の作用あるいはキメラ分子のような相乗効果を有する。実際のところ、アミリンファーマスーティカル社は現在糖尿病及び肥満を適応症とするアミリン(商号Smylin)を市販している。
【0043】
本願で開示するように、レプチン及び抗肥満タンパク質についての多くの融合タンパク質が作り出されている。それらの例として、GLP−1−3xGly−レプチンの単量体形(配列番号:4)、GLP−1−3xGly−IgG1 Fc−レプチンの二量体型(配列番号:5)、(G8−またはV8−GLP−)−リンカー−レプチン(配列番号:10)、GLP−1アナログ(G8−またはV8−GLP−1)−リンカー−IgG1 Fc−レプチン二量体型(配列番号:11)を含有する。さらに、ペプチドYY(3−36)−リンカー−レプチン(配列番号:12)、ペプチドYY(3−36)−リンカー−IgG1 Fc−レプチンの二量体型(配列番号:13)、アミリン−リンカー−レプチン (配列番号:14)、アミリン−リンカー−IgG1 Fc−レプチンの二量体型(配列番号:15)もまた作られた。
【0044】
これらのキメラ治療用薬は、GLP−1及びレプチン単独と比較して付加的利益を持つ。例えば、前記キメラ薬は、レプチンまたはGLP−1よりもインビボでより安定である。キメラ分子のファーマキネティック(Phamarkinetics) プロファイル、組織分布、副作用、及び有効性は、二つの個別分子、すなわち天然またはアナログのレプチンまたはGLP−1を同時使用した場合とは異なっている。
【0045】
レプチンのアナログ、GLP−1、ペプチドYY、またはアミリン(またはそれらの生物学的に活性な断片)を本発明において使用することができる。各アナログの配列は、一つ以上の保存アミノ酸置換または一つ以上の非保存アミノ酸の生理活性を失わない置換、欠失もしくは挿入により、野生型配列とは異なる。以下に示す表は、適したアミノ酸置換を示している:
【0046】
【表1】

【0047】
本願で開示される融合タンパク質は、一つ以上の化学的な部分が前記タンパク質の部分に結合することによって誘導体化されうる。化学的に改良した誘導体は、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、口腔、鼻腔、肺、局所もしくは他の経路を用いた投与のために、さらに改良されてもよい。生理活性タンパク質の化学的改良は、何らかの環境下、例えば、治療用タンパク質の安定性及び循環時間を増加させ、並びに免疫原性を減少させるような環境下で、付加的利益をもたらすことが分かった。米国特許第4,179,337号、Abuchowskiら、Enzymes as Drugs中(J.S.Holcerberg及びJ.Roberts,eds.pp.367−383(1981);Francis,Focus on Growth Factors 3:4−10(1992年5月)(出版社:Mediscript, Mountview Court,Friern Barnet Lane,London N20,OLD,英国)を参照せよ。
【0048】
誘導体化に適切な化学部分はさまざまな水溶性ポリマーから選択される。結合した前記タンパク質は水性の環境で沈殿しないように選択された前記ポリマーは水溶性であるべきである。好ましくは、前記最終生成物生成の治療用使用のために、前記ポリマーは医薬的に許容できる。前記ポリマー/タンパク質 複合体が治療用に用いられるといった配慮、そしてもしそうなら、望ましい投与量、循環時間、タンパク質分解への抵抗力、及び他の配慮に基づいた望ましいポリマーを当業者は選択できるであろう。現在のタンパク質及びペプチドにとって、誘導体化の有効性は望ましい形(すなわち、浸透圧ポンプによる、あるいはさらに好ましくは、注射もしくは輸液、あるいはさらに経口投与、肺送達、もしくは経鼻投与用に考案された形、例えば)での前記誘導体の投与及びここに説明するような生物学的効果を観察することによって解明されうる。
【0049】
水溶性ポリマーは例えばポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸のコポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムもしくは非ランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストランまたはポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールのホモポリマー、酸化ポリプロピレン/酸化エチレンのコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリスチレンマレイン酸エステル、及びポリビニルアルコールからなる群から選択されうる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中で安定のため製造において有利である。
【0050】
融合タンパク質は、前記タンパク質の循環半減期を増加させるために、ポリアミノ酸にさらに結合できる。現在の治療用または美容用の目的のために、このようなポリアミノ酸は、中和抗原反応、または他の副作用を作り出さないものであるべきである。このようなポリアミノ酸は、(ヒト血清アルブミンのような)血清アルブミン、抗体またはそれらの一部(例えば、抗体のコンスタント領域、すなわちFc領域)、あるいは他のポリアミノ酸からなる群から選択することができる。
【0051】
前記ポリマーは、いかなる分子量でもよく、分枝または非分枝でありうる。ポリエチレングリコールについて、取り扱い及び製造を容易にするために好ましい分子量は約2kDaから約100kDaの間である(「約」という用語は、ポリエチレングリコールの調製において、定められた分子量よりも大きな分子もあり、小さな分子もあるということを示す)。所望の治療用プロファイル(例えば、所望の徐放期間、場合により生物学的活性に関する効果、取り扱いの容易さ、抗原性の程度もしくは欠如、及び治療用タンパク質もしくはアナログに対するポリエチレングリコールの他の公知の効果)によっては、他のサイズのものも使うことができる。
【0052】
このように結合するポリマー分子の数は変化しうるものであり、当業者であれば機能への影響を解明できるであろう。モノ誘導体化されうる、あるいは同一のもしくは異なる化学的部分(例えば、ポリマー、例えば、異なる分子量のポリエチレングリコール)とジ、トリ、テトラ、または何らかの組み合わせによる誘導体が提供されうる。タンパク質(またはペプチド)分子に対するポリマー分子の割合は、反応混合物におけるそれらの濃度が変化するにつれて、変化するであろう。一般に、(過剰な非反応タンパク質またはポリマーの存在しない反応効率に関する)最適割合は、所望の誘導体化度合(例えば、モノ、ジ−、トリ−、など)、選択されるポリマーの分子量、ポリマーが分枝であるか非分枝であるか、及び反応条件のような因子によって決定される。
【0053】
化学的部分は、タンパク質の機能性または抗原性ドメインにおける効果を考慮してタンパク質と結合されるべきである。当業者にとって利用可能な多くの結合方法がある。例えば、本願に参照により引用される、EP0401384(PEGのG−CSFへのカップリング)。Malikら、Exp.Hematol.20:1028−1235(1992)(塩化トレシルを用いるGM−CSFのPEG化を報告)。例えば、ポリエチレングリコールは遊離アミノまたはカルボキシル基のような反応基を介して、アミノ酸残基に共有結合されうる。反応基は、活性化ポリエチレングリコール分子が結合されうる基である。遊離アミノ基を有するアミノ酸残基は、リジン残基及びN末端アミノ酸残基を含有し、遊離カルボキシル基を有するアミノ酸残基は、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、及びC末端アミノ酸残基を含有する。スルフヒドリル基もまた、ポリエチレングリコール分子を結合させるための反応基として用いられうる。治療目的のため、好ましくは、アミノ基での結合、例えば、N末端またはリジン基での結合である。レセプター結合にとって重要な残基での結合は、レセプター結合が所望である場合には避けるべきである。
【0054】
特に、N末端の化学修飾タンパク質が好ましい。本合成物の例示として、ポリエチレングリコールを用いる場合、(分子量、分枝などによる)種々のポリエチレングリコール分子、反応混合物中のタンパク質分子に対するポリエチレングリコール分子の割合、実施されるPEG化反応のタイプ、及び選択されたN末端PEG化タンパク質を得る方法から選択されうる。N末端PEG化タンパク質を得る(すなわち、必要であれば他のモノPEG化部分からこの部分を分離する)方法は、PEG化タンパク質分子の集団からN末端PEG化物質を精製することにより行われうる。選択的なN末端の化学修飾は、特定のタンパク質における誘導体化に利用可能な異なるタイプの元のアミノ基(N末端に対してのリジン)についての異なる反応性を用いた還元アルキル化により、行うことができる。適切な反応条件下で、ポリマーを含有するカルボニル基によるN末端でのタンパク質の実質的に選択的な誘導体化が達成される。例えば、タンパク質のリジン残基のイプシロンアミノ基とN末端残基のアルファアミノ基との間のpKa差を利用可能なpHで反応を行うことにより、タンパク質を選択的にN末端でPEG化することができる。このような選択的誘導体化により、水溶性ポリマーのタンパク質への結合が制御される:ポリマーとの複合体化は、タンパク質のN末端で優性的に生じ、リジン側鎖のアミノ基のような他の反応基の有意な修飾は生じない。還元アルキル化を用いる場合、水溶性ポリマーは上記のタイプであり得り、タンパク質にカップリングするための一つの反応性アルデヒドを有するべきである。一つの反応性アルデヒドを含有するポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドであれば使用可能である。
【0055】
N末端のモノPEG化誘導体は、治療用品の製造を容易にする上で好適である。N末端のPEG化は、ジ、トリ、または他の複数のPEG化した製品に比して、製品の特徴が単純化されるので、同一の製品を保証する。上記の還元アルキル化方法をN−末端合成に利用することは、工業的な製造を容易にするため、好まれる。
【0056】
さらに本発明の別の形態において、本発明のタンパク質の製薬用合成物及び誘導体を使用する方法を提供する。このような製薬用合成物は、注入による投与、または経口、肺、経鼻、経皮もしくは他の形態の投与に対して用いられうる。一般的に、本発明は医薬として許容される希釈剤、防腐剤、溶解補助剤、乳化剤、アジュバント及び/またはキャリアとともに、本発明のタンパク質または誘導体産物の有効量を含む製薬用合成物を含む。このような合成物は、様々な緩衝剤(例えば、Tris−HCI、酢酸塩、リン酸塩)、pH及びイオン強度の希釈剤;界面活性剤及び溶解補助剤(例えば、Tween80、ポリソルベート80)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール)、並びに充填剤(例えば、ラクトース、マンニトール)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等のようなポリマー化合物からなる粒子製剤、またはリポソームへの物質の取り込みを含む。ヒアルロン酸も使用でき、これは、循環中における持続時間の延長を促進する効果を有すると考えられる。このような合成物は、物理的状態、安定性、インビボでの放出速度、並びに本タンパク質及び本誘導体のインビボでのクリアランス速度に影響を及ぼしうる。例えば、レミントンズファーマスーティカルサイエンス、18th Ed.(1990,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.18042) 1435−1712頁が、参照により本願に引用される。前記合成物は、液体形態、または乾燥粉末のような凍結乾燥形態に調製することができる。経皮製剤と同様に、移植可能な徐放性製剤も考慮される。
【0057】
本願に参照により引用されるレミントンズファーマスーティカルサイエンス,18th Ed.1990(Mack Publishing Co.Easton Pa. 18042)Chapter 89において概説されている経口固形投与形態が本願での使用のために考慮される。固形投与形態は、錠剤、カプセル、丸剤、トローチまたはロゼンジ、カシェまたはペレット剤を含有する。また、リポソームまたはプロテノイドのカプセル化も本合成物(米国特許第4,925,673)を製剤するために使用しうる。リポソームのカプセル化も使用でき、さまざまなポリマー(例えば、米国特許第5,013,556)でリポソームを誘導体化することができる。本願に参照により引用されるMarshall,K.In:Modern Pharmaceutics Edited by G.S.Banker及びC.T.Rhodes Chapter 10,1979において、治療用に可能な固形投与形態の説明が述べられている。一般的に、製剤はタンパク質(またはアナログもしくは誘導体)、及び胃環境に対する防御と腸における生理活性物質の放出を可能にする不活性成分を含有する。
【0058】
また、特に、上記の誘導体化されたタンパク質の経口投与形態も考慮される。必要に応じて誘導体の経口送達は有効であるようにタンパク質を化学的に修飾することができる。一般的に、考慮される前記化学修飾は、(a)タンパク質分解の抑制、及び(b)胃または腸からの血流への取り込みを可能にする少なくとも1つ以上の成分をタンパク質(またはペプチド)分子そのものに結合することである。また、タンパク質の全体安定性の上昇及び体内での循環時間の上昇も望ましい。このような成分の例として:ポリエチレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリプロリンを含有する。例えば、AbuchowskiとDavis、可溶性ポリマー−酵素付加化合物、「薬剤としての酵素」、HocenbergとRoberts,eds.,Wiley−Interscience,New York,N.Y.,(1981),pp 367−383;Newmarkら、J.Appl.Biochem.4:185−189(1982)参照。使用できる他のポリマーはポリ−1,3−ジオキソラン及びポリ−1,3,6−チオキソカンである。
【0059】
前記タンパク質(もしくは誘導体)が放出される場所は、胃、小腸(十二指腸、空腸、もしくは回腸)または大腸である。当業者は、胃で溶解されないが、十二指腸の中または小腸の中の他の部位で、物質を放出する製剤を利用できる。好ましくは、タンパク質(もしくは誘導体)の保護か、胃内環境、例えば腸を超えて生理活性物質を放出するかのいずれか一方によって、前記放出は胃内環境の悪影響を避けるであろう。
【0060】
充分な胃の抵抗性を確保するために、少なくともpH5.0に対して不浸透性の被覆剤が不可欠である。腸の被覆剤に使われている、より一般的な不活性成分の例としては、酢酸トリメリット酸セルロース(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、HPMCP 50、HPMCP 55、ポリビニル酢酸フタレート(PVAP)、Eudragit L30D、Aquateric、セルロース酢酸フタレート(CAP)、Eudragit L、Eudragit S及びShellacがある。これらのコーティングは混合膜として使われうる。
【0061】
被覆剤または被覆剤の混合物は、胃に対する保護を意図していない錠剤として使うこともできる。これは、シュガーコーティング剤、または嚥下をより簡単にさせる被覆剤を含みうる。カプセルは、治療用乾燥物、すなわち粉末の運搬用の(ゼラチンのような)固いシェルからなり;液状用には、やわらかいゼラチンシェルが用いられうる。カプセルのシェル材料は、濃いスターチ(thick starch)もしくは他の食用紙である。丸剤、薬用キャンディー、成形の錠剤または粉薬錠剤用には、湿式塊化法を用いることができる。
【0062】
治療薬は、粒径約1mmの顆粒またはペレットの形態の微細多粒子として、製剤中に含めることができる。カプセル投与用物質の製剤は、粉末、軽度圧縮プラグまたは錠剤であってもよい。治療薬は圧縮によって調製することができる。
【0063】
着色剤及び着香剤は、どれもが含まれうる。例えば、前記タンパク質(もしくは誘導体)を製剤し、(リポソームもしくはミクロスフィア被包などによって)それからさらに着色剤及び着香剤を含有する冷却飲料のような食品の中に配合することができる。
【0064】
不活性物質を伴う治療薬を希釈するか、その容量を増加させてもよい。これらの希釈剤は炭水化物、特にマンニトール、α−ラクトース、無水ラクトース、セルロース、スクロース、変性デキストラン及びデンプンを含有しうる。一部の無機塩もまた、カルシウム三リン酸、炭酸マグネシウム及び塩化ナトリウムを含有して、フィラーとして使用しうる。市販の希釈剤の一部として、Fast−Flo、EmDEX、STA−Rx 1500、Emcompress及びAvicellがある。
【0065】
崩壊剤も、固形投与形態の治療製剤中に含まれうる。崩壊剤として使用される物質は、デンプンをベースとする市販の崩壊剤であるエキスプロータブを含有するデンプンを含んでもよいが、これに限定されることはない。デンプングリコール酸ナトリウム、アンバーライト、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ウルトラミロペクチン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オレンジピール、酸性カルボキシメチルセルロース、天然のスポンジ及びベントナイトは全て使用しうる。崩壊剤の別の形態は不溶性陽イオン交換樹脂である。粉末ゴムは崩壊剤及び結合剤として使うことができる。そして、これらは寒天、カラヤゴムもしくはトラガカントのような粉末ゴムを含有しうる。アルギン酸及びそのナトリウム塩もまた、崩壊剤として有用である。
【0066】
結合剤は、硬錠剤を形成するために、治療用薬剤と結合して用いることができ、アカシア、トラガカント、デンプン及びゼラチンのような天然産物からの材料を含有しうる。その他のものはメチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む。ポリビニルピロリドン(PVP)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)はいずれも、治療薬を顆粒化するためのアルコール溶液中で使用できる。
【0067】
減摩剤は治療製剤の中に製造工程中の粘着を防ぐために含まれうる。潤滑剤は治療薬及び鋳型壁の間の層として使うことができ、これらはマグネシウム塩及びカルシウム塩を含有したステアリン酸、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、流動パラフィン、植物油及び蝋を含みうるが、それだけに限られない。ラウリル硫酸ナトリウム及びラウリル硫酸マグネシウム、様々な分子量のポリエチレングリコール、Carbowax 4000及び6000のような可溶性潤滑剤も使用できる。
【0068】
製剤中の薬剤の流動特性を高めることができ、また、圧縮の際の再配列を助けるすべり剤を添加してもよい。すべり剤は、デンプン、滑石、発熱性シリカ及び水和ケイアルミネートを含有しうる。
【0069】
水性環境中での治療用薬剤の溶解を助けるために、界面活性剤を湿潤剤として添加してもよい。界面活性剤として、例えばラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム及びスルホン酸ジオクチルナトリウムのような陰イオン界面活性剤がありうる。陽イオン界面活性剤も使用でき、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムを含みうる。界面活性剤として製剤中に含有されることができる潜在的な非イオン性の界面活性剤の一覧として、ラウロマクロゴール400、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50及び60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート40、60、65及び80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。これらの界面活性剤はいずれか一方単独、または種々の比率での混合物として、タンパク質または誘導体の製剤中に存在しうる。
【0070】
前記タンパク質(もしくは誘導体)の吸収を潜在的に高める添加物として、例えばオレイン酸、リノール酸及びリノレン酸のような脂肪酸が挙げられる。
【0071】
放出制御製剤は好ましいものでありうる。前記製剤は、拡散または浸出機序による放出を可能にする不活性マトリックス、例えばゴムに配合することができる。緩やかに変性するマトリックスもまた製剤中に組み込むこともできる。本治療薬の制御放出のもう一つの形態は、Oros治療システム(Alza社)に基づく方法によるものであり、すなわち、浸透圧作用によって1個の小さな開口部を通して水が侵入し、薬剤を押し出す半透過性膜中に薬剤が納められている。一部の腸溶剤皮も緩徐放出作用を有する。
【0072】
他の被覆剤は製剤用に使用しうる。これらはコーティングパンに適用可能な多様な糖類を含む。治療用薬剤は、薄膜被覆錠剤中に含めることもでき、この場合に用いられる材料は2つの群に分けられる。第1の群は非腸溶物質であり、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシ−エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、プロビドン及びポリエチレングリコールを含む。第2の群は一般にはフタル酸のエステルである腸溶物質からなる。
【0073】
最適な薄膜状の被覆を提供するために、材料の混合物を用いてもよい。薄膜状の被覆はパンコーターもしくは流動床において、または圧縮被覆によって実施できる。
【0074】
また、本タンパク質またはその誘導体に関する、食品用の乳酸菌発現システムを通じた、今までにない経口送達システムが本願で考慮される。融合タンパク質をコードする遺伝子は、usp45のような有効な分泌のリーダー配列がN末端に組み込まれた食品用の発現プラスミドpLEB590及びpLEB600(Timo Takala,PhD thesis,ISBN 952−10−2260−4;http://ethesis.helsinki.fiで利用可能)中で再構築されうる。前記再構築されたプラスミドは、さらに発現及び増殖のための食品用乳酸菌に移行されうる。GLP1−レプチンのような分泌された融合タンパク質を発現する形質転換された乳酸菌は、経口送達用にフリーズドライされうる。前記乳酸菌は耐酸性であり、簡単に低いpHのバリアを通過しうり、数日間、腸にとどまりうる。分泌された融合タンパク質は、有効性のために直接腸に吸収されうる。
【0075】
本発明のタンパク質(またはその誘導体)の肺送達も考慮される。タンパク質(またはその誘導体)は吸入の際に哺乳類の肺に送達され、肺上皮内層を通って血流に入る。これについての報告は、例えば、Adjeiら、Pharmaceutical Research 1990,7:565−569;Adjeiら、International Journal of Pharmaceutics 1990,63:135−144;Braquetら、Journal of Cardiovascular pharmacology 1989,13(suppl.5):s.143−146;Hubbardら、Annals of Internal Medicine 1989,3:206−212;Smithら、J.Clin.Invest.1989,84:1145−1146;Osweinら「タンパク質のエーロゾル化」、Proceedings of Symposium on Respiratory Drug Delivery II,Keystone,Colo.,1990,March;Debsら、The Journal of Immunology 1998,140:3482−3488、及び米国特許第5,284,656号を参照せよ。
【0076】
その全てが当業者には熟知のものである、ネブライザ、定量吸入器、及び粉末吸入器を含むがこれらに限定されない、治療薬剤の肺送達用に設計された広い範囲の機械的装置が、本発明を実施する際の使用に関して考慮される。
【0077】
本発明の実施に適した市販の装置のいくつかの具体例は、Mallinckrodt,Inc.,St.Louis,Mo.が製造しているUltravent ネブライザ、Marquest Medical Products,Englewood,Coloが製造しているAcorn II ネブライザ、Glaxo Inc.,Research Triangle Park,N.C.が製造しているventolin定量吸入器、及びFisons Corp.,Bedford,Mass.が製造しているSpinhaler粉末吸入器である。
【0078】
このような装置は全て、タンパク質(またはアナログもしくは誘導体)を投薬するのに適した製剤を使用する必要がある。典型的には、各々の製剤は、用いる装置の種類に特異的であり、治療において有用な希釈剤、アジュバント及び/またはキャリアに加えて適切な促進物質の使用を含む。
【0079】
前記タンパク質(または誘導体)は、遠位肺への最も有効な送達のために、平均粒径10μm(またはミクロン)未満、最も好ましくは0.5から5μmの微粒子形態として最も好適に製剤されるはずである。
【0080】
医薬として許容されるキャリアは、トレハロース、マンニトール、キシリトール、スクロース、ラクトース、及びソルビトールのような炭水化物を含む。製剤において使用するためのほかの成分は、DPPC、DOPE、DSPC、及びDOPCを含有する。天然または合成界面活性剤も使用できる。(前記タンパク質またはアナログを誘導体化することへの使用とは別にしても)ポリエチレングリコールも使用できる。シクロデキストランのようなデキストランも使用できる。胆汁酸塩及び他の関連増強剤も使用できる。セルロース及びセルロース誘導体も使用できる。アミノ酸も、例えば緩衝剤製剤中で使用することができる。
【0081】
また、リポソーム、マイクロカプセルまたはミクロスフェア、包接複合体、あるいは他のキャリアの使用も考慮される。
【0082】
ネブライザ、ジェット噴霧器または超音波噴霧器による使用に適した製剤は、典型的には溶液1mL当たり、生理活性タンパク質を約0.1から25mgの濃度で水に溶解したタンパク質(または誘導体)を含む。前記製剤はまた、(例えば、タンパク質の安定化及び浸透圧の調節のため、)緩衝剤及び単糖も含有しうる。また、前記ネブライザ製剤は、エーロゾルを形成する際の溶液の噴霧化によって生じるタンパク質の表面誘導凝集を低減または予防するために、界面活性剤を含有しうる。
【0083】
定量吸入装置に関して使用するための製剤は、一般に界面活性剤の助けを借りて、推進剤に懸濁した前記タンパク質(または誘導体)を含有する、微細に分かれた粉末を含む。前記推進剤は、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、もしくはトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンを含有する炭化水素、またはそれらの組み合わせのような、かかる目的に使用される物質であれば、従来のいかなるものでもよい。適当な界面活性剤は、トリオレイン酸ソルビタン及びダイズレシチンを含有する。オレイン酸も界面活性剤として有用であると考えられる。
【0084】
粉末吸入装置から投薬するための製剤は、タンパク質(または誘導体)を含有する微細分割乾燥粉末を含み、同時に、装置からの粉末の散布を促進する量、例えば50から90重量%の、ラクトース、ソルビトール、スクロース、マンニトール、トレハロース、またはキシリトールのような充填剤も含みうる。
【0085】
前記タンパク質(またはアナログもしくは誘導体)の経鼻送達も考慮される。経鼻送達は、薬剤を肺に沈着させることを必要とせず、治療薬剤を鼻に投与した後に直接、タンパク質が血流へ通過することを可能にする。経鼻送達のための製剤は、デキストランまたはシクロデキストランを含むものを含有する。他の粘膜を通しての輸送による送達も考慮される。
【0086】
本発明の融合タンパク質の有効量を、それを必要としている被検者に投与することによって糖尿病または肥満を治療する方法は、本発明の範囲に含まれる。治療を受ける被検者は、糖尿病または肥満に特徴的な状態を有しているか、そのような状態になる危険性がある。この方法は単独で、または他の薬剤もしくは治療法とともに行うことができる。「処置(treating)」という用語は、療養(cure)、緩和(alleviate)、軽減(relieve)、治療(remedy)、予防(prevent)、または疾患、疾患の兆候、病状の二次状態もしくは疾患の素因の改善といった目的を伴う、合成物の被検者への投与を意味する。「有効量」とは、治療される被検者に対して、医学的に好ましい結果を生み出すことのできる合成物の量である。前記医学的に好ましい結果とは、客観的(すなわち、いくつかのテストもしくはマーカーによって測定可能)または主観的(すなわち、被検者が効果の兆候を示すか効果を感じる)なものでありうる。
【0087】
治療される被検者は一つ以上の上記の疾患の治療を必要としているといっていい。このような治療を必要としている被検者と特定することは被検者または専門医療機関の評価においてでき、そして主観的(例えば、意見)または客観的(例えば、テストもしくは診断方法により測定可能)でありうる。
【0088】
あるインビボのアプローチにおいては、治療用合成物(例えば、本発明の融合タンパク質を含有する合成物)が被検者に投与される。一般的に、前記タンパク質は医薬として許容されるキャリア(例えば、生理食塩水)中に懸濁され、経口的にまたは静脈内輸液によって、投与、あるいは皮下、筋肉内、髄腔内、膣内、鼻腔内、胃内、気管内もしくは肺内に注射または注入される。
【0089】
必要とされる投与量は、投与の経路の選択、製剤の性質、被検者の疾患の性質;被検者のサイズ、体重、表面積、年齢及び性別;他に投与されている薬剤;並びに主治医の判断に依存する。適切な投与量は、0.01−100.0mg/kgの範囲である。必要とされる投与量のバリエーションは、利用できる合成物の多様性及び各種の投与経路の異なる効果を考慮して予想される。例えば、経口投与は、静脈内注射よりも投与量が多くなることが予想される。これらの投与量のレベルのバリエーションは、当該技術分野で周知のように、最適化のための標準的な経験上のルーティンを用いて調節できる。適切な輸送手段(例えば、高分子微粒子もしくは移植可能な装置)での合成物のカプセル化は特に、経口送達で輸送の効率を増大しうる。
【0090】
本発明の合成物の有効性は、インビトロ及びインビボ両方において評価される。例えば、以下に示す例を参照せよ。簡潔にいえば、前記合成物は、インビトロでその有効性の検査を受けることができる。インビボでの研究のために、前記合成物を動物(例えば、マウスモデル)に注射することができ、その治療効果はその後アクセスされる。その結果に基づき、適切な投与量の範囲及び投与経路が決定できる。
【0091】
本方法は、糖尿病治療薬(例えば、インシュリン、及び場合によってはアミリン)、コレステロールや血圧を下げる薬剤(例えば、血中脂質濃度を下げる薬剤、または心臓血管の薬剤)、及び活性を増大する薬剤(例えば、アンフェタミン)のような、治療に有用な他の薬剤とともに使用されうる。食欲抑制剤もまた使用されうる。このような投与は、同時にまたは順次、行われうる。
【0092】
さらに、本方法は、身体全体の外観を変えるためにデザインされる美容整形(例えば、体重を減らすためにデザインされる脂肪吸引術もしくはレーザー手術、または見た目の体重を増やすためにデザインされる移植手術)のような外科的治療とともに用いられうる。バイパス手術または動脈プラークのような脂肪性沈着物による血管の閉塞が原因となる、有害な状態を緩和するためにデザインされる他の手術のような心臓手術の健康上の利益は、本合成物及び本方法の併用により増大しうる。超音波もしくはレーザーのように胆石を除去する方法は、治療方法を行う前、最中または治療後に用いることができる。
【0093】
下記の例は、単に例示として説明されるものであり、ここでの開示の内容に限定されることはないものと解釈されなければならない。更なる労作なしに、当業者であれば、ここでの説明に基づき、本発明の最大限の範囲を利用することができると考えられる。本願で引用された全ての刊行物は、それらの全体が参照により本願に引用される。
【0094】
例1:
融合タンパク質であるGLP−1−Fc−レプチン及びGLP−1−3G−レプチンをコードする構成物を調製した。
【0095】
具体的にいうと、EcorRI−tPA−GLP−1−3xGly−レプチン−Not I cDNAは、まず、市販のサービスプロバイダー(Genscript)によって合成され、EcoRI ad Not Iを用いて消化した。結果として生じた融合配列(配列番号:6)は、続いて、哺乳類発現用の、CMVベースの哺乳類の発現ベクターであるpCA、pCApuro及びpCAdhfr中でクローニングした。
【0096】
GLP−1−3xGly−IgG1 Fc−レプチン(配列番号:5)をコードする発現ベクターを構築するために、標準的な多段階PCR法を用いて、コーディング配列(配列番号: 7)を生成した。簡潔に説明すると、上記融合配列(配列番号:6)及びIgG1 Fc cDNA(配列番号:8)は、PCRの鋳型として用いられた。GLP−1、IgG1 Fc、及びレプチンの3つのオーバーラッピング断片を合成するためにプライマーはデザインされた。これらの断片を、2段階PCR反応によって最終配列(配列番号: 7)を作るために結合した。結果として生じた融合配列は、コザック配列、すなわちtPAシグナル配列を、そのN末端GLP−1−3xGly−IgG1 Fc−レプチン cDNAに含んでいた。この配列を、哺乳類発現用の、CMVベースの哺乳類発現ベクターであるpCApuro及びpCAdhfr中にライゲーションした。
【0097】
例2:
融合タンパク質であるGLP−1−3xGly−IgG Fc−レプチン及びGLP−1−3G−レプチンを、無血清の懸濁液中で培養されたCHO細胞中で発現させた。上述の二つの構造物は、標準的な方法を用いてCHO細胞系中で発現させた。前記tPAの分泌シグナル(配列番号:9)により、上記の培地中で融合タンパク質を発現させた。各細胞クローンの培地を集めて、ウサギの抗ヒトFc断片抗体(PIERCE、製品番号0031423)を用いたドットブロット解析を行った。高レベルの融合タンパク質を発現する多数の細胞クローンが見つかった。
【0098】
例3:
GLP−1−3xGly−IgG Fc−レプチンを、無血清の懸濁液培地中でスケールアップした。GLP−1−3xGly−IgG Fc−レプチン(配列番号:5)を発現するクローンについての発現タイター及びロバストを、96穴プレート中でのアニマルコンポーネントフリー無血清培地中で行い、その後、125ml容の攪拌フラスコでのフェドバッチ研究を行った。高い発現レベルを有するクローンは、アニマルコンポーネントフリー無血清培地を含有する4リットルの懸濁液培養容器中でスケールアップした。条件付き培地中での発現タイターは、上記のようにドットブロットによって研究した。スケールアップは成功したことが分かった。
【0099】
前記融合タンパク質を生産するために、培地を集めてろ過した。前記タンパク質を、タンパク質−Aの親和性樹脂(Repligen)を用いて精製し、0.5Mのアルギニン HClのpH3.3バッファーにより溶出した。その精製したバルクを、1%のアルギニン HCl、5mMのヒスチジン、0.1%のTween−20及び1%のマンニトールを含有するpH5.0のバッファー中で形成し、−80℃で保存した。
【0100】
下記の分子を、上記の場合と類似した手法で構築し、発現させた。これらの分子は、(1)改変GLP−1(G8−GLP−)−リンカー(GGGSGGGS)−レプチン(配列番号:10);(2)改変GLP−1(G8−GLP−1)−リンカー(GGGGSGGGGS)−IgG1 Fc−レプチン(配列番号:11)のダイマー形態;(3)ペプチドYY(3−36)−リンカー−レプチン(配列番号:12);(4)ペプチドYY(3−36)−リンカー−IgG1 Fc−レプチン(配列番号:13)のダイマー形態;(5)アミリン−リンカー−レプチン(配列番号:14);(6)アミリン−リンカー−IgG1 Fc−レプチン(配列番号:15)のダイマー形態;(7)G8−GLP1−3Gly−レプチン(配列番号:16)のモノマー形態;及び、(8)G8−GLP1−3xGly−IgG1 Fc−レプチン(配列番号:17)のダイマー形態である。
【0101】
例4:
GLP−1−3xGly−IgG Fc−レプチンを精製した。上述の培地を、タンパク質−Aの結合用親和性カラム(Regeneron)及び溶出用のpH3.5の0.5M アルギニン−HClを用いて、ろ過し、精製した。精製されたタンパク質をSDS−pageゲルにより研究した。
【0102】
例5:
発現したGLP−1−3xGly−IgG Fc−レプチンの分類を行った。HRPが複合体化したウサギの抗ヒトIgG1 Fc(PIERCE、製品番号0031423)、ヤギの抗ヒトレプチン抗体(R&D systems、カタログ番号AF398)、及びHRPが複合体化したウシの抗ヤギIgG抗体(Santa Cruz biotechnology Inc、カタログ番号sc−2350)、ウサギの抗GLP−1抗体(Alpha diagnostic International、カタログ番号GLP15−P)、及びHRPが複合体化したヤギの抗ウサギIgG抗体(Santa Cruz Biotechnology Inc、カタログ番号sc−2004)を用いて、タンパク質についての分子の全体性を、還元及び非還元のウエスタンブロットにより決定した。発現したGLP−1−3xGly−IgG Fc−レプチンは、すべての一次抗体によって認識されることが分かった。この結果は、如才なくGLP−1−3xGly−IgG Fc−レプチンが発現したことを示している。
【0103】
例6
GLP−1−3xGly−IgG Fc−レプチンの治療活性を研究した。
【0104】
まず、腹腔内グルコースの耐性テスト(ip GTT)を行い、グルコース依存性のインシュリン分泌に関するGLP1−Fc−レプチンの活性をテストした。手短に言うと、マウスの血糖を、one−touch blood glucose stripsを用いて測定した。尾の採血を通してマウスから血液サンプルを得た。続いて、0.04、0.1または0.2mgの、GLP1−Fc−レプチンまたは調節タンパク質であるヒトのIgG1 Fc断片を腹腔内から注入した。注射後直ちに飽和グルコース水溶液0.2mlをマウスの中へ腹腔内からip注入した。1及び2時間後、別の血液サンプルをグルコース測定のために同じような方法で集めた。Byetta(0.025mg;GLP−1 アナログE4という商号、Amilin Pharmaceuticals Inc)は陽性対照として用いた。この結果を下記の表1−4に要約した:
【0105】
【表2】

【0106】
【表3】

【0107】
【表4】

【0108】
【表5】

【0109】
表1に示されたように、Byetta、0.1mg GLP1−Fc−レプチン、及び0.2mgのGLP1−Fc−レプチンの注入は、血液グルコースレベル(それぞれ、P<0.01、0.05及び0.05)を有意に抑制した。上記の結果は、GLP1−Fc−レプチンが用量依存性に血液グルコースレベルを下げるのに用いることができることを示す。
【0110】
グルコース耐性テストの前に、上記の実験をGLP1−Fc−レプチン(0.2mg)のday−1で繰り返した。IPグルコース耐性テストは、day−1及びday−2で各々2回行われた。この結果を下記の表5に要約した:
【0111】
【表6】

【0112】
表5に示されたように、0.2mgのGLP1−Fc−レプチンを一回注入することで、血液グルコースレベルは抑制され、少なくとも二日間続いた。
【0113】
GLP1−Fc−レプチンの体重に対する効果を研究した。0.1mgのGLP1−Fc−レプチンまたはヒトのIgG1 Fc断片を、上記と同じような方法で7日間マウスに注入した。1日目と7日目に、各々のラットの体重を量り、記録した。この結果を下記の表6に要約した。
【0114】
【表7】

【0115】
7日目にGLP1−Fc−レプチンを注入されたマウスは、11.3%体重が減少したことが分かった(p<0.05)。一方、ヒトのIgG1 Fc断片を注入されたマウスでは、体重減少がまったく見られなかった。これらの結果は、GLP1−Fc−レプチンが体重を減らすのに有用であることを示している。
【0116】
次に、Byetta(GLP−1 アナログE4)の体重に対する効果を、同じような方法で研究した。5マイクログラムのByettaを、各マウスに1日2回、7日間注入した。体重を、1、4及び7日目に測定した。この結果を下記の表7に要約した。
【0117】
【表8】

【0118】
Byettaの投与は、IgG1 Fc断片と比較して、体重に対する統計学的に有意な効果は有していないことが分かった。
【0119】
上記の実験において、7日間、各マウスの血液グルコースレベルを、GLP1−Fc−レプチン(0.1mg)もしくはIgG1 Fc断片を注入後1時間の時点で、毎朝測定し、記録した。同じテストを、Byetta(GLP−1 アナログ 5ug;1日に2回)を用いて行った。この結果を下記の表8及び9に要約した。
【0120】
【表9】

【0121】
【表10】

【0122】
下記の表8及び9に示すように、GLP1−Fc−レプチンもしくはByettaを注入したマウスは、IgG1 Fc断片を注入したマウスよりも低い血液グルコースレベルを有していた。
【0123】
レプチンの体重に対する効果を上記と同じような方法で研究した。より具体的にいうと、0.1mg/mouseのヒトの組換えレプチン(R&D Systems、カタログ番号398−LP)もしくはヒトのIgG Fcを、1日2回(午前9時及び午後5時)を7日間、腹腔内からマウスに注入した。この結果は下記の表10に要約した。
【0124】
【表11】

【0125】
表10に示すように、レプチンにより、GLP1−Fc−レプチンが誘発する体重減少が半分未満となった。
【0126】
GTTアッセイも同様に、少数のラット及びウサギに対して行った。全ての結果は、血液グルコースレベルをGLP1−Fc−レプチンが抑制することを裏付けるものである。
【0127】
要約すれば、市販のGLP−1のアナログE4 Byettaと比較して、GLP1−Fc−レプチンは、GLP−1がグルコースの活性を低くするのを維持するだけでなく、レプチンの減量効果も維持する。さらに、GLP1−Fc−レプチンは、GLP−1アナログE4 Byettaよりも長く持続する治療効果を有する。このように、臨床的利用のために、注入頻度をもっと少なくする必要がある。また、市販のGLP−1のアナログE4 Byetta(表7)もしくは組換えレプチン(表10)の単独でのip注入またはそれらを組み合わせた効果は、結果としてGLP1−Fc−レプチンが誘発するのと同程度の減量には到らなかった。結論として、(例えば、融合タンパク質として)レプチンと一緒にGLP−1を用いることは、減量に対して、付加的以上の効果または相乗効果を有する。
【0128】
他の実施形態
本明細書に記載のすべての特徴はいかなる組み合わせにおいても実施できる。本明細書に記載の各特徴は、同一、均等または類似の目的をもたらす代替的な特徴によって置換されうる。このように、もし明確に述べていないのであれば、開示された各特徴は、一般的な一連の均等または類似の特徴に関するほんの一例にすぎない。
【0129】
上記説明から、当業者は容易に本発明の不可欠の特徴を解明することができる、そして本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な用法及び環境に適応するために本発明を変形及び修正することができる。このように、他の実施形態も、以下の請求項の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
融合タンパク質のアミノ末端に位置し、第1の生理活性ペプチドまたはタンパク質の配列を含有する第1のセグメント;及び、
融合タンパク質のカルボキシル末端に位置し、第2の生理活性タンパク質またはペプチドの配列を含有する第2のセグメントを含む融合タンパク質であって、
前記第1及び第2のセグメントが、機能するように共有結合してなる、融合タンパク質。
【請求項2】
前記第1もしくは第2の生理活性ペプチドまたはタンパク質は、ペプチドまたはタンパク質のホルモンである、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
前記第1の生理活性タンパク質は、グルカゴン様のペプチド1、アミリンもしくはペプチドYY、またはその機能的等価物の配列を含有する、請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
前記第1の生理活性タンパク質は、配列番号2の配列を含有する、請求項3に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
前記第2の生理活性タンパク質は、レプチンもしくは機能的等価物または減量関連タンパク質の配列を含有する融合タンパク質であり、ここで、前記第2の生理活性タンパク質は、ヘテロのペプチドまたはタンパク質のC−末端に共有結合的に融合する場合、その機能を維持する、請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
前記第2の生理活性タンパク質は、配列番号1の配列を含有する、請求項5に記載の融合タンパク質。
【請求項7】
前記融合タンパク質は、配列番号4、5、10、11、16または17の配列を含有する、請求項6に記載の融合タンパク質。
【請求項8】
前記第1の生理活性タンパク質は、配列番号19のペプチドYYのうち、アミノ酸残基3〜36の配列を含有する、請求項3に記載の融合タンパク質。
【請求項9】
前記融合タンパク質は、配列番号12または13の配列を含有する、請求項8に記載の融合タンパク質。
【請求項10】
前記第1の生理活性タンパク質は、配列番号18のアミリンのうち、アミノ酸残基1〜36の配列を含有する、請求項3に記載の融合タンパク質。
【請求項11】
前記融合タンパク質は、配列番号14または15の配列を含有する、請求項10に記載の融合タンパク質。
【請求項12】
前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントと結合するリンカーセグメントをさらに含み、ここで、前記リンカーセグメントはダイマー化することができる、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項13】
前記リンカーセグメントは、免疫グロブリンまたはその機能的等価物のFc断片を含有する、請求項12に記載の融合タンパク質。
【請求項14】
前記免疫グロブリンは、IgA、IgE、IgD、IgGまたはIgMである、請求項13に記載の融合タンパク質。
【請求項15】
前記免疫グロブリンはIgGである、請求項14に記載の融合タンパク質。
【請求項16】
前記Fc断片は、配列番号3を含有する、請求項15に記載の融合タンパク質。
【請求項17】
前記融合タンパク質は、分泌前に、配列番号9またはその機能的等価物をさらに含有する、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項18】
請求項1に記載の融合タンパク質をコードする配列を含む、単離された核酸。
【請求項19】
前記核酸は、配列番号6〜8のうち一の配列を含有する、請求項18に記載の核酸。
【請求項20】
請求項18に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項21】
請求項18に記載の核酸を含む、宿主細胞。
【請求項22】
請求項21に記載の宿主細胞を、前記核酸にコードされたポリペプチドを発現させる条件下で培地中にて培養し、及び前記培養細胞または前記細胞の培地から、前記ポリペプチドを精製することを含む、ポリペプチドを生産する方法。
【請求項23】
請求項1に記載の融合タンパク質または前記融合タンパク質をコードする核酸を含む、製薬用合成物;及び、医薬として許容される、キャリア。
【請求項24】
請求項1に記載の融合タンパク質または前記融合タンパク質をコードする核酸を含む、食品用合成物;及び、食事として許容される、キャリア。
【請求項25】
請求項1に記載の融合タンパク質または前記融合タンパク質をコードする核酸の有効量を、必要としている被検者に投与することを含む、体重の減量方法。
【請求項26】
前記第1もしくは前記第2のペプチドまたはタンパク質を前記被検者に同時に投与することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1に記載の融合タンパク質または前記融合タンパク質をコードする核酸の有効量を、必要としている被検者に投与することを含む、糖尿病の治療方法。
【請求項28】
前記第1もしくは前記第2のペプチドまたはタンパク質を前記被検者に同時に投与することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
被検者における、組換え治療用のペプチドまたはタンパク質の半減期を増大する方法であって、
配列番号1またはその機能的等価物を含有するセグメントに組換え治療用タンパク質を結合させて、融合タンパク質を形成すること;及び、被検者における前記融合タンパク質の半減期を決定することを含む、方法。
【請求項30】
前記組換え治療用のペプチドまたはタンパク質は、糖尿病または肥満に関する治療効果を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
配列番号1またはその機能的等価物を含有するセグメントに前記治療用のペプチドまたは組換えタンパク質を結合させて、融合タンパク質のキメラを形成し;及び、
被検者における前記融合タンパク質の有効性を決定することを含む、治療用のペプチドまたはタンパク質の有効性を増大させる方法。
【請求項32】
前記治療用のペプチドまたは組換えタンパク質は、糖尿病または肥満に関する治療効果を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
(i)レプチンまたは機能的等価物;(ii)グルカゴン様ペプチド1、アミリン、ペプチドYYまたはそれらの機能的等価物のいずれか1つ;及び、(iii)医薬として許容されるキャリアを含む、製薬用合成物。
【請求項34】
(i)レプチンまたは機能的等価物;(ii)グルカゴン様ペプチド1、アミリン、ペプチドYYまたはそれらの機能的等価物のいずれか1つ;及び、(iii)食事として許容されるキャリアを含む、食品用合成物。
【請求項35】
請求項33に記載の製薬用合成物の有効量を、必要としている被検者に投与することを含む、糖尿病の治療方法または体重の減量方法。
【請求項36】
請求項33に記載の製薬用合成物の有効量を、必要としている被検者に投与することを含む、糖尿病の治療方法または体重の減量方法。
【請求項37】
請求項1に記載の融合タンパク質または機能的等価物を生産し、分泌する組換え乳酸菌;及び、食事として許容されるキャリアを含む、食品用合成物。
【請求項38】
前記第1または前記第1の持続性型を、前記第2または前記第2の持続性型とともに生産し、分泌する組換え乳酸菌を含む、食品用合成物。
【請求項39】
(i)レプチンまたは機能的等価物を、(ii)グルカゴン様ペプチド1、アミリン、ペプチドYYまたはそれらの機能的等価物のいずれか1つとともに生産し、分泌する組換え乳酸菌を含む、食品用合成物。

【公表番号】特表2009−510999(P2009−510999A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523865(P2008−523865)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/011276
【国際公開番号】WO2007/018619
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(508027800)エーエムプロテイン コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】