説明

キャラクタ画像処理装置

【構成】 加算値を形成する小数部を間引き係数に加算することで、加算値の整数部が示す数値は局所的に変動する。変動のタイミングは、小数部が示す数値に依存する。書き込みアドレス値は、このような変動態様を有する整数部の積算によって求められ、OSDデータは、求められた書き込みアドレス値に従ってSDRAM30に書き込まれる。読み出しアドレス値は順次更新されるため、SDRAM30から読み出されるOSDデータは、ダミーデータを含むこととなる。そして、このダミーデータが、間引き係数に従う間引き処理によって間引かれる。
【効果】キャラクタ画像の鮮明な表示が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置に関し、特にたとえば、ディジタルカメラなどの液晶モニタに文字および画像などのキャラクタをOSD(On Screen Display)態様で表示させる、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。この従来技術によれば、ビデオデータにOSDデータを挿入するとき、OSDデータを形成する文字データ,OSDデータを形成する縁データ,文字データおよび縁データの中間値を示す中間値データ,縁データおよびビデオデータの中間値を示す中間値データのいずれかが選択される。これによって、フィルタ効果による視認性の向上が可能となる。
【特許文献1】特開平8−149386号公報[H04N 5/445]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、フィルタ処理では高周波成分が除去されるため、エッジの鮮鋭度が低下するという問題が生じる。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、鮮明なキャラクタ表示を実現するキャラクタ画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
加算手段は、加算値を形成する小数部に間引き係数を加算して加算値を更新する。積算手段は、加算値を形成する整数部を積算して書き込みアドレス値を算出する。書き込み手段は、算出されたアドレス値に従ってキャラクタ画像データをメモリに書き込む。読み出し手段は、メモリに格納されたキャラクタ画像データを順次更新される読み出しアドレス値に従って読み出す。間引き手段は、読み出されたキャラクタ画像データに間引き係数に従う間引き処理を施す。
【0006】
加算値を形成する小数部を間引き係数に加算することで、加算値の整数部が示す数値は局所的に変動する。変動のタイミングは、小数部が示す数値に依存する。書き込みアドレス値は、このような変動態様を有する整数部の積算によって求められ、キャラクタ画像データは、求められた書き込みアドレス値に従ってメモリに書き込まれる。読み出しアドレス値は順次更新されるため、メモリから読み出されるキャラクタ画像データは、無意味なデータを含むこととなる。そして、この無意味なデータが、間引き係数に従う間引き処理によって間引かれる。この結果、キャラクタ画像の鮮明な表示が可能となる。
【0007】
請求項2の発明に従うキャラクタ画像処理装置は、請求項1に従属し、間引き処理を施されたキャラクタ画像データを撮影画像データに合成する合成手段をさらに備える。これによって、撮影画像とキャラクタ画像とを同時に表示することができる。
【0008】
請求項3の発明に従うキャラクタ画像処理装置は、請求項1または2に従属し、合成手段によって生成された合成画像データに基づく合成画像を表示する表示手段をさらに備える。
【0009】
請求項4の発明に従うキャラクタ画像処理装置は、請求項1ないし3のいずれかに従属し、メモリはSDRAMであり、読み出し手段は連続する複数のアドレスに一度にアクセスする。これによって、高速アクセスが実現できる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、加算値を形成する小数部を間引き係数に加算することで、加算値の整数部が示す数値は局所的に変動する。変動のタイミングは、小数部が示す数値に依存する。書き込みアドレス値は、このような変動態様を有する整数部の積算によって求められ、キャラクタ画像データは、求められた書き込みアドレス値に従ってメモリに書き込まれる。読み出しアドレス値は順次更新されるため、メモリから読み出されるキャラクタ画像データは、無意味なデータを含むこととなる。そして、この無意味なデータが、間引き係数に従う間引き処理によって間引かれる。この結果、キャラクタ画像の鮮明な表示が可能となる。
【0011】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、撮像装置12を含む。キー入力装置18によってカメラモードが選択されかつ撮影操作が行われると、撮像装置12およびカメラ処理回路14がCPU16によって起動される。撮像装置12は、被写界の光学像に対応する1フレームの生画像信号(電荷)を出力し、カメラ処理回路14は、撮像装置12から出力された生画像信号に基づいてディジタル信号である画像データを作成する。作成された画像データは、I/F回路22を通してファイル形式でメモリカード24に記録される。
【0013】
つまり、カメラモードでは、撮影操作が行われる毎に1フレームの画像データが作成され、作成された画像データを格納する画像ファイルがメモリカード24に記録される。なお、メモリカード24は着脱自在であり、スロット(図示せず)に装着されたときにI/F回路22によってアクセス可能となる。
【0014】
キー入力装置18によって再生モードが選択されると、CPU16は、I/F回路22を通してメモリカード24にアクセスし、メモリカード24に記録された1つの画像ファイルから画像データを所定量ずつ読み出す。メモリカード24から読み出された所定量の画像データは、バス48を通してSDRAM制御回路28に与えられる。SDRAM制御回路28は、所定量の画像データをSDRAM30に書き込む。
【0015】
SDRAM30は、図2に示すように、バンク0〜2を有する。バンク0は画像データの保存領域であり、バンク1はオリジナルOSDデータの保存領域であり、そして、バンク2は出力OSDデータの保存領域である。
【0016】
なお、バス48上での画像データの転送速度は、カメラ処理回路14およびSDRAM制御回路28の各々の処理速度よりも格段に速い。このため、画像データがバス48上で衝突することなく、データ転送処理が破綻することもない。
【0017】
CPU16は、バッファ制御回路36を起動し、バンク0をバッファ制御回路36に割り当てる。バッファ制御回路36は、画像データの読み出しを要求するリクエストを間欠的にSDRAM制御回路28に与える。リクエストには、割り当てられたバンクの識別番号(=0)が含まれる。SDRAM制御回路28は、リクエストが与えられる毎に、画像データを指定バンク(=バンク0)から読み出す。読み出し動作は、ラスタ走査に従う順序で行われる。読み出された画像データは、画像バッファ38に一時的に格納される。画像バッファ38に格納された画像データは、その後、画像合成回路42に向けて出力される。
【0018】
つまり、バンク0に格納された1フレームの画像データは、ラスタ走査に従う順序で画像合成回路42に与えられる。1フレームのラスタ走査に要する時間は1/30秒であり、画像データは1/30秒に1フレームの割合で画像合成回路42に与えられる。
【0019】
ビデオエンコーダ44は、画像合成回路42から出力された画像データに基づいて、NTSC方式に従うコンポジット画像信号を生成する。生成されたコンポジット画像信号は、LCDモニタ46に与えられる。この結果、バンク0に格納された画像データに対応する静止画像が、モニタ画面に表示される。
【0020】
CPU16はまた、フラッシュメモリ26に記録されたオリジナルOSDデータを読み出す。フラッシュメモリ26から読み出されたオリジナルOSDデータは、バス48を通してSDRAM制御回路28に与えられる。SDRAM制御回路28は、オリジナルOSDデータをSDRAM30のバンク1に書き込む。
【0021】
次に、CPU16は、OSDデータ書き込み回路20を起動させる。OSDデータ書き込み回路20は、SDRAM30に格納されたオリジナルOSDデータの読み出しを要求するリクエストを間欠的にSDRAM制御回路28に与える。SDRAM制御回路28は、リクエストが与えられる毎に、オリジナルOSDデータを指定バンク(=1)から読み出す。
【0022】
OSDデータ書き込み回路20は、図3に示すように構成される。SDRAM30から読み出されたオリジナルOSDデータは、バッファ20fに書き込まれる。CPU16は、SDRAM30からのオリジナルOSDデータの読み出し開始時に、開始パルスをスイッチ20aに与え、初期値を端子T1に与え、そして間引き回路40の処理に用いられる間引き係数(=1.4)をレジスタ20bに設定する。
【0023】
開始パルスは、オリジナルOSDデータの読み出し開始時の1クロック期間だけ立ち上がるパルスである。スイッチ20aは、開始パルスがHレベルを示すとき端子T1と接続され、開始パルスがLレベルを示すとき端子T2と接続される。スイッチ20aからの出力値つまり加算値を形成する整数部および小数部はそれぞれ、加算器20dの一方入力端および加算器20cの一方入力端に与えられる。
【0024】
加算器20cは、レジスタ20bに設定された間引き係数を他方入力端から入力し、入力された間引き係数を他方入力端から入力された小数部と加算する。これによって得られた加算値は、スイッチ20aの端子T2に与えられる。
【0025】
加算器20dは、バッファ20gから出力されたアドレス値を他方入力端から入力し、入力されたアドレス値を一方入力端から入力された整数部と加算する。これによって得られた加算値は、バッファ20gにアドレス値として書き込まれる。したがって、アドレス値は、スイッチ20aの出力値を形成する整数部の積算によって得られる。
【0026】
なお、バッファ20fに格納されたオリジナルOSDデータは、バッファ20gからのアドレス値の読み出しと同時に読み出される。アドレス値およびオリジナルOSDデータの読み出しはいずれもバッファ制御回路20eによって実行され、これによってアドレス値およびOSDデータの間で同期が確保される。
【0027】
したがって、スイッチ20aから出力される加算値は図4(A)に示す要領で更新され、この加算値を形成する整数部および小数部はそれぞれ図4(B)および図4(C)に示す要領で更新される。バッファ20gから出力されるアドレス値は図4(D)に示す要領で更新され、バッファ20fから出力されるオリジナルOSDデータは図4(E)に示す要領で更新される。
【0028】
図4(A)によれば、加算値は、最初に“0.0”つまり初期値を示した後、“1.4”→“1.8”→“2.2”→“1.6”→“2.0”の順で循環的に更新される。図4(B)によれば、整数部は、最初に“0”を示した後、“1”→“1”→“2”→“1”→“2”の順で循環的に更新される。図4(C)によれば、小数部は、“0.0”→“0.4”→“0.8”→“0.2”→“0.6”の順で循環的に更新される。
【0029】
図4(B)から分かるように、整数部は、局所的に“1”と異なる数値(=2)を示す。このような局所的な変化のタイミングは、間引き係数が示す数値に依存する。アドレス値はかかる整数部の積算によって求められるため、アドレス値の不連続性は間引き係数に従うこととなる。
【0030】
オリジナルOSDデータは、このようなアドレス値に同期して、バッファ20fから連続的に読み出される。オリジナルOSDデータおよびアドレス値は、バス48を通してOSDRAM制御回路28に与えられる。SDRAM制御回路28は、オリジナルOSDデータをアドレス値に従ってSDRAM30のバンク2に書き込む。オリジナルOSDデータは、図5に示すようにバンク2に配置される。
【0031】
なお、SDRAM制御回路28は、OSDデータ書き込み回路20からのOSDデータをSDRAM30に書き込むときノーマルアクセスモードを採用し、SDRAM30に格納されたOSDデータを読み出すときバーストアクセスモードを採用する。ノーマルアクセスモードでは、データは1回のアクセスで1つのアドレスに書き込まれ、バーストアクセスモードでは、データは1回のアクセスで連続する複数のアドレスに書き込まれる。
【0032】
図5によれば、アドレス値“3”,“6”,“10”および“13”に対応するアドレスに空きが発生する。換言すれば、この空きアドレスにダミーデータ“x”が格納される。このような空きアドレスの発生は、バッファ20gから読み出されるアドレス値の不連続性に起因する。こうして、オリジナルOSDデータが出力用OSDデータに変換される。
【0033】
CPU16は、バッファ制御回路32を起動し、バンク2をバッファ制御回路32に割り当てる。バッファ制御回路32は、OSDデータの読み出しを要求するリクエストを間欠的にSDRAM制御回路28に与える。リクエストには、割り当てられたバンクの識別番号(=2)が含まれる。SDRAM制御回路28は、リクエストが与えられる毎に、OSDデータを指定バンク(=バンク2)から読み出す。読み出し動作は、ラスタ走査に従う順序で行われる。読み出されたOSDデータは、OSDバッファ34に一時的に格納される。OSDバッファ34に格納されたOSDデータは、その後、間引き回路40に向けて出力される。
【0034】
つまり、バンク2に格納された1フレームのOSDデータは、ラスタ走査に従う順序で間引き回路40に与えられる。1フレームのラスタ走査に要する時間は1/30秒であり、OSDデータは1/30秒に1フレームの割合で間引き回路40に与えられる。
【0035】
間引き回路40は、OSDバッファ34から読み出されるOSDデータに間引き係数(=1.4)に従う間引き処理を施す。図6によれば、間引き回路40に入力される前のOSDデータに注目すると、ダミーデータ“x”は先頭から7番目までのデータを一つの周期とする各々の周期の先頭から4番目と7番目に配置される。間引き回路40は、かかるデータの各々の周期の先頭から4番目および7番目のデータを間引く。これによって、ダミーデータを含まないオリジナルOSDデータが形成される。
【0036】
なお、CPU16は、間引き回路40の間引き係数の変更に対して、OSDデータ書き込み回路20に送信する間引き係数を変更することも可能である。
【0037】
画像合成回路42は、画像バッファ38から出力される画像データと間引き回路40から出力されるオリジナルOSDデータとを合成する。ビデオエンコーダ44は、画像合成回路42によって合成された画像データをコンポジット画像信号に変換し、変換されたコンポジット画像信号をLCDモニタ46に与える。この結果、オリジナルOSDデータがモニタ画面に表示される。
【0038】
なお、ディジタルカメラ10では画像データの圧縮は行っていないが、圧縮を行うようにしてもよい。この場合、ディジタルカメラ10には所定の圧縮伸長回路、例えばJPEGコーデックが設けられる。
【0039】
以上の説明から分かるように、加算値を形成する小数部を間引き係数に加算することで、加算値の整数部が示す数値は局所的に変動する。変動のタイミングは、小数部が示す数値に依存する。書き込みアドレス値は、このような変動態様を有する整数部の積算によって求められ、OSDデータは、求められた書き込みアドレス値に従ってSDRAM30に書き込まれる。読み出しアドレス値は順次更新されるため、SDRAM30から読み出されるOSDデータは、ダミーデータを含むこととなる。そして、このダミーデータが、間引き係数に従う間引き処理によって間引かれる。この結果、OSDデータの鮮明な表示が可能となる。
【0040】
なお、この実施例では、ディジタルカメラ10を用いて説明したが、この発明は、ディジタルカメラに限らず、例えばテレビ受信機,録画再生機,ゲーム機,モニタ画面付き撮影/印刷機および通信端末機など、オンスクリーン表示処理の機能を備えたあらゆる機器に適用することができる。
【0041】
また、この実施例では、LCDに静止画像を表示し、この静止画像を更新操作に対応して別の静止画像に更新する動作を説明しているが、静止画像に代えて動画像を適用するようにしてもよい。この場合、ある動画像ファイルから再生された動画像データに基づく動画像が、別の動画像ファイルから再生された動画像データに基づく動画像ファイルによって更新される。
【0042】
さらに、この実施例では、オンスクリーン表示処理についてディジタルカメラ10の再生操作に対応して説明したが、これに限らず、撮影操作もしくは調整操作などにもオンスクリーン表示処理を適用することが可能である。
【0043】
なお、この実施例では、LPFを利用していないため、制御装置内部の回路規模の最適化を図り、回路規模が大きくなりチップ面積が大きくなるという問題点を解消することを実現可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】図1実施例に適用されるSDRAMのマッピング状態の一例を示す図解図である。
【図3】図1実施例の動作の一部を示すブロック図である。
【図4】図3実施例の動作の計算結果を示す図解図である。
【図5】図3実施例に適用されるOSDバッファのマッピング状態の一例を示す図解図である。
【図6】図1実施例に適用される間引き回路の動作の一部を示す図解図である。
【符号の説明】
【0045】
10 … ディジタルカメラ
14 … カメラ処理回路
16 … CPU
20 … OSDデータ書き込み回路
26 … フラッシュメモリ
28 … SDRAM制御回路
30 … SDRAM
32 … バッファ制御
34 … OSDバッファ
40 … 間引き回路
44 … ビデオエンコーダ
46 … LCDモニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加算値を形成する小数部に間引き係数を加算して前記加算値を更新する加算手段、
前記加算値を形成する整数部を積算して書き込みアドレス値を算出する積算手段、
キャラクタ画像データを前記書き込みアドレス値に従ってメモリに書き込む書き込み手段、
前記メモリに格納されたキャラクタ画像データを順次更新される読み出しアドレス値に従って読み出す読み出し手段、および
前記読み出し手段によって読み出されたキャラクタ画像データに前記間引き係数に従う間引き処理を施す間引き手段を備える、キャラクタ画像処理装置。
【請求項2】
前記間引き処理を施されたキャラクタ画像データを撮影画像データに合成する合成手段をさらに備える、請求項1記載のキャラクタ画像処理装置。
【請求項3】
前記合成手段によって生成された合成画像データに基づく合成画像を表示する表示手段をさらに備える、請求項1または2記載のキャラクタ画像処理装置。
【請求項4】
前記メモリはSDRAMであり、前記読み出し手段は連続する複数のアドレスに一度にアクセスする、請求項1ないし3のいずれかに記載のキャラクタ画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−172353(P2006−172353A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367231(P2004−367231)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】