説明

クライアント装置、サーバ装置、リモート接続システムおよびプログラム

【課題】ユーザが携帯のクライアント装置(クライアントコンピュータ)を複数の場所で使用していても、クライアント装置の場所に応じたアプリケーション実行環境の事前生成を可能にする。
【解決手段】リモート接続システムのサーバ装置は、クライアント装置の位置情報を受信し、クライアント装置の位置情報に対応するアプリケーションを位置別アプリケーションテーブルに従って特定し、特定したアプリケーションの実行環境を事前に生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クライアント装置のアプリケーション実行環境を生成するサーバ装置と、サーバ装置で生成されたアプリケーション実行環境を利用するクライアント装置と、サーバ装置とクライアント装置とがリモート接続されたリモート接続システムと、プログラムとに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業等の情報システムにおいて、従業員が使用するコンピュータ(クライアントコンピュータ)に最低限の機能しか搭載させずに、サーバコンピュータ側でアプリケーションソフトやファイルなどの資源を管理するシンクライアントシステムが利用されている。
【0003】
シンクライアントシステムは、SBC(Server Based Computing)とも呼ばれるが、ネットワークを介してサーバとクライアントを接続したシステム構成において、クライアントの使用するアプリケーションソフトウェアをすべてサーバ(SBCサーバ)上に実装し、クライアントは操作画面とその結果を表す画面データだけをサーバから受け取り、クライアントからはマウスとキーストロークの操作情報だけがサーバに送られるようにしている。
【0004】
一般にシンクライアントシステムは、サーバコンピュータと、サーバコンピュータにリモート接続される複数のクライアントコンピュータとにより構成される。サーバコンピュータは、各クライアントコンピュータのアプリケーション実行環境を生成し、クライアントコンピュータは、サーバコンピュータにリモート接続し、サーバコンピュータのアプリケーション実行環境で様々なタスクを実行する。このとき、サーバコンピュータでアプリケーション実行環境を生成して利用可能にするプロセスには時間を要する。
【0005】
特許文献1には、リモート接続要求をしたクライアントコンピュータに、即座に仮想デスクトップ環境を利用させるリモート接続システムについての技術が開示されている。具体的には、管理サーバに、サーバコンピュータに接続するクライアントコンピュータのアプリケーション実行環境(仮想デスクトップ環境)の稼動スケジュール(起動時刻と終了時刻)を登録しておき、管理サーバは、この稼動スケジュールに基づいて各クライアントコンピュータの起動時刻を監視し、クライアントコンピュータの起動時刻前にサーバコンピュータにリモート接続要求を行って仮想デスクトップ環境を予め生成させる。そして、サーバコンピュータは、実際に起動時刻にクライアントコンピュータからリモート接続要求があると、即座に接続し、既に生成されている仮想デスクトップ環境を利用させる。これにより、稼動スケジュールに沿ったクライアントからのリモート接続時には仮想デスクトップ環境が即座に利用可能となる。
【0006】
【特許文献1】特開2006−91954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1におけるリモート接続システムでは、稼働スケジュール(起動時刻、終了時刻)に対応したアプリケーション実行環境の生成を行うことを目的としているため、予め稼動スケジュールが決まっておらずクライアントコンピュータ(携帯端末)をユーザが携帯して場所によってアプリケーションを使い分けるような場合(例えば、通常は自分のオフィス、必要に応じて出先のような場合)、迅速に対応することができないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、ユーザが携帯のクライアント装置(クライアントコンピュータ)を複数の場所で使用していても、クライアント装置の場所に応じたアプリケーション実行環境の事前生成を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、本発明のクライアント装置は、サーバ装置に対する操作指示情報を入力する入力手段と、クライアント装置自身の位置を測位する測位手段と、入力された前記操作指示情報または測位した前記位置の位置情報をサーバ装置に送信する送信手段と、前記位置情報に対応するアプリケーションの実行環境に対応する画面データを前記サーバ装置から受信する受信手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2記載の発明によれば、本発明のサーバ装置は、クライアント装置の位置とアプリケーションとを対応させた位置別アプリケーションテーブルを記憶するテーブル記憶手段と、前記クライアント装置から操作指示情報または前記クライアント装置の位置情報を受信する受信手段と、前記位置情報に対応するアプリケーションを前記位置別アプリケーションテーブルに従って特定する特定手段と、該特定されたアプリケーションの実行環境を生成する生成手段と、前記特定されたアプリケーションを前記操作指示情報に従って実行する実行手段と、前記特定されたアプリケーションを実行した実行結果の画面データを前記クライアント装置に送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3記載の発明によれば、本発明のリモート接続システムは、サーバ装置にクライアント装置がリモート接続され、前記サーバ装置で生成されたアプリケーションの実行環境を前記クライアント装置が利用するネットワークシステムにおいて、前記クライアント装置は、前記サーバ装置に対する操作指示情報を入力する入力手段と、前記クライアント装置自身の位置を測位する測位手段と、入力された前記操作指示情報または測位した前記位置の位置情報を前記サーバ装置に送信する送信手段と、前記位置情報に対応するアプリケーションの実行環境に対応する画面データを前記サーバ装置から受信する受信手段と、を備え、前記サーバ装置は、前記クライアント装置の位置とアプリケーションとを対応させた位置別アプリケーションテーブルを記憶するテーブル記憶手段と、前記クライアント装置から操作指示情報または前記クライアント装置の位置情報を受信する受信手段と、前記位置情報に対応するアプリケーションを前記位置別アプリケーションテーブルに従って特定する特定手段と、該特定されたアプリケーションの実行環境を生成する生成手段と、前記特定されたアプリケーションを前記操作指示情報に従って実行する実行手段と、前記特定されたアプリケーションを実行した実行結果の画面データを前記クライアント装置に送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4記載の発明によれば、本発明のクライアント装置のプログラムは、サーバ装置に対する操作指示情報を入力する入力手段、クライアント装置自身の位置を測位する測位手段、入力された前記操作指示情報または測位した前記位置の位置情報をサーバ装置に送信する送信手段、前記位置情報に対応するアプリケーションの実行環境に対応する画面データを前記サーバ装置から受信する受信手段、として機能させるためのプログラムである。
【0013】
また、請求項5記載の発明によれば、本発明のサーバ装置のプログラムは、クライアント装置の位置とアプリケーションとを対応させた位置別アプリケーションテーブルを記憶するテーブル記憶手段、前記クライアント装置から操作指示情報または前記クライアント装置の位置情報を受信する受信手段、前記位置情報に対応するアプリケーションを前記位置別アプリケーションテーブルに従って特定する特定手段、該特定されたアプリケーションの実行環境を生成する生成手段、前記特定されたアプリケーションを前記操作指示情報に従って実行する実行手段、前記特定されたアプリケーションを実行した実行結果の画面データを前記クライアント装置に送信する送信手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザが携帯用のクライアント装置(クライアントコンピュータ)を複数の場所で使用していても、クライアント装置の場所に応じたアプリケーション実行環境を事前に生成しておくことにより、クライアント装置はサーバ装置に接続するだけでアプリケーション実行環境を即座に利用することができるので、ユーザにとっての利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本実施形態における構成について説明する。
図1に、本発明の実施形態に係るリモート接続システム100の全体構成を示す。リモート接続システム100は、図1に示すように、サーバ装置1、クライアント装置2により構成され、これらはLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワーク3を介して接続される。
【0016】
サーバ装置1は、クライアント装置2が利用するアプリケーションの実行環境(以下、アプリケーション実行環境と呼ぶ。)を生成する装置である。ここで、「アプリケーション実行環境」とは、クライアント装置から送信される入力データ(コマンド等)に従ってサーバ装置1上でアプリケーションプログラムを実行するための環境である。
【0017】
クライアント装置2は、ユーザ(例えば、会社の従業員)が業務で使用するノートPC(Personal Computer)、携帯端末、バーコードリーダ等の端末であり、サーバ装置1で生成されるアプリケーション実行環境を利用する。
【0018】
本実施形態では、一人のユーザが携帯用のクライアント装置2(例えば、ノートPC、携帯端末、バーコードリーダ等)を使用し、場所によって各々のアプリケーションプログラムを使い分けるものとする。なお、一人のユーザが業務上使用する場所の数及びアプリケーションプログラムの種類は特に限定されない。また、1台のサーバ装置1に通信ネットワーク3を介して接続されるクライアント装置2の台数は特に限定されない。
【0019】
図2に、サーバ装置1の主要部構成を示す。サーバ装置1は、通信部104、制御部101、記憶装置102により構成され、各部はバス107を介して接続される。通信部104は、サーバ装置1を通信ネットワーク3に接続するための通信制御を行う。制御部101は、CPU等を備え、記憶装置102に記憶された各種プログラムに従ってサーバ装置1の各部の動作を制御する。
【0020】
記憶装置102は、制御部101により実行される各種プログラム、当該プロプログラムの実行時に使用されるデータ等を記憶している。この記憶装置102は、認証情報記憶部1021、位置別アプリケーションテーブル記憶部1022、アプリケーション記憶部1023、ユーザ別アプリケーション実行環境記憶部1025、クライアントGPS位置記憶部1026、特定位置情報記憶部1027を有する。
【0021】
認証情報記憶部1021は、各ユーザのクライアント装置がサーバ装置1に接続する際の認証情報として、ユーザ別にユーザID及びパスワードのデータを記憶する。位置別アプリケーションテーブル記憶部1022は、クライアント装置の位置に応じて実行するアプリケーションを設定する位置別アプリケーションテーブルを記憶する。アプリケーション記憶部1023は、クライアント装置おいて実行されるアプリケーション(業務アプリケーション、ワードプロセッサ、メーラー、バーコードリーダ等)のデータを記憶する。
【0022】
ユーザ別アプリケーション実行環境記憶部1025は、ユーザ別(ユーザX、ユーザY、…)に、生成されたアプリケーション実行環境のデータを記憶する。クライアントGPS位置記憶部1026は、クライアント装置のGPS(Global Positioning System)受信部により測位された位置情報を記憶する。特定位置情報記憶部1027は、クライアント装置の位置情報により特定された位置別アプリケーションテーブルにおける行位置を示す位置アドレスを記憶する。
【0023】
図3に、クライアント装置2の主要部構成を示す。クライアント装置2は、図3に示すように、通信部204、制御部201、入力部203、表示部205、GPS受信部206、記憶装置202により構成され、各部はバス207を介して接続される。
通信部204は、クライアント装置2を通信ネットワーク3に接続するための通信制御を行う。
【0024】
制御部201は、CPU等を備え、記憶装置202に記憶された各種プログラムに従ってクライアント装置2の各部の動作を制御する。入力部203は、マウス、キーボード、タッチパネル、バーコードリーダ等を備え、これらの操作による操作信号を制御部201に出力する。表示部205は、LCD等のディスプレイを備え、制御部201から入力される制御信号に従って所要の表示処理を行う。
【0025】
GPS受信部206は、GPS衛星からGPS位置情報を受信する。記憶装置202は、制御部201により実行される各種プログラム、当該プロプログラムの実行時に使用されるデータ等を記憶している。この記憶装置202は、クライアント装置2のGPS受信部206が受信した位置情報を記憶するGPS位置記憶部2021と、サーバ装置1から受信した、アプリケーションの実行結果である画面データを記憶する表示内容記憶部2022を有する。
【0026】
次に、本実施形態における動作について説明する。
図4はクライアント装置2がサーバ装置1に接続したときのシーケンス図である。クライアント装置2からサーバ装置1に接続する際、認証を行うためのユーザIDやパスワードをユーザが入力し(403)、クライアント装置2からサーバ装置1に送信する(404)。サーバ装置1では送られてきたユーザIDやパスワードを記憶装置102の認証情報記憶部1021に記憶されている情報と照らし合わせて認証し(405)、その認証結果をクライアント装置2に送信する(406)。
【0027】
認証OKであれば、クライアント装置2はGPS受信部206を用いてGPS衛星から位置データを受信することにより測位を行い、受信した位置データを記憶装置202のGPS位置記憶部2021に記憶する(407)。ただし、GPS受信部206を使っての測位は、この時点ではなく予め行われていてもよいものとする。
【0028】
そして、クライアント装置2は記憶装置202のGPS位置記憶部2021に記憶されているGPS座標をサーバ装置1へ送信する(408)。サーバ装置1は送られてきたGPS座標をクライアントGPS位置記憶部1026に記憶した後、位置別アプリケーションテーブル記憶部1022に記憶された位置別アプリケーションテーブルを参照してクライアントGPS位置記憶部1026に記憶されているGPS位置情報に対するアプリケーション実行環境を特定させる。
【0029】
図5に、位置別アプリケーションテーブルのデータ構成を示す。クライアント装置2の位置別に、位置501、範囲506、場所507、アプリケーション502の各項目を対応付けて記憶する。位置501は、クライアント装置2の基準となる位置を緯度と経度で示し、範囲506は、クライアント装置2の基準となる位置からの半径を示し、場所507は、位置に対応した場所の名称を示し、アプリケーション502は、該当クライアント装置2において実行されるアプリケーションを示す。
【0030】
同一の位置で実行されるアプリケーションが複数ある場合は複数のアプリケーションを設定する。図5の例では503、504、505の3つの位置が設定してあり、505の位置に業務用アプリC、業務用アプリDの2つのアプリケーションが設定してある。
【0031】
クライアント装置2のGPSにより測位し送信されてくる位置座標(緯度、経度)で表される位置情報により場所を特定する際は、場所(建物や敷地等)自体が建物の規模の大小などによりある程度範囲を持ったものであり、GPSにより測位される位置情報には多少の誤差があるため、クライアント装置2のGPS座標(λ1、φ1)と位置501の値(λ2、φ2)との距離を計算し、その距離が閾値Δ(範囲506の値)以下であればその場所に到達しているとみなしてアプリケーション502の実行するアプリケーションを決定する。(この場合、位置501の値の座標を中心とする半径を示す閾値Δの円内を該当範囲としている)。
【0032】
例えば、クライアント装置2のGPS座標が位置501の値(緯度 35度46分27.88秒(35.774411)、経度 139度18分43.92秒(139.3122))から500mの範囲内にあるとすれば、「本社」にいると判断され業務用アプリAが実行するアプリケーションとなる。
【0033】
次に、特定したアプリケーションの実行環境の生成を行う(410)。例えば、「業務用アプリA」が起動されることになる。起動するアプリケーションはアプリケーション記憶部1023に記憶されていて、ユーザ別アプリケーション実行環境記憶部1025にユーザ別アプリケーション別に起動するアプリケーションの実行環境が生成される。このようにしてクライアント装置2の位置に応じたアプリケーションの実行環境を生成すると、サーバ装置1は実行環境が生成されたことを表す画面データをクライアント装置2へ送信する(411)。受信した画面データをクライアント装置2は、表示部205に表示する。
【0034】
起動されたアプリケーションを実行する場合は、まず、クライアント装置2の入力操作(413)により発生するキーイベント等をサーバ装置1へ送信する(414)。サーバ装置1は受信したキーイベント等に対応した処理を実行し(415)、処理の結果となる画面データを作成してクライアント装置2へ送信する(416)。そして、クライアント装置2は受信した画面データを表示部205に表示する(417)。クライアント装置2からセッション切断の要求がサーバ装置1へ送信されてセッションが切断されるまで(418)、413から417のシーケンスが繰り返される。
【0035】
次に、図6のフローチャートを参照して、サーバ装置1への接続時にクライアント装置2において制御部201の制御の下で実行される処理について説明する。
【0036】
まず、GPS受信部206により、GPS衛星からGPS位置情報を受信し、受信したGPS位置情報をGPS位置記憶部2021に記憶した後サーバ装置1へ送信する(ステップS1)。
【0037】
そして、サーバ装置1から画面データの受信を待機する状態となる(ステップS2)。サーバ装置1から画面データが受信されると(ステップS2;YES)、その画面データは表示内容記憶部2022に記憶され、表示部205に表示される(ステップS3)。サーバ装置1から画面データが受信されない場合(ステップS2;NO)は、入力データの発生を待機する状態となる(ステップS4)。
【0038】
ユーザの入力操作により発生した入力データを入力部203で受信すると(ステップS2;YES)、その入力データをサーバ装置1へ送信する(ステップS5)。
【0039】
次に、図7のフローチャートを参照して、クライアント装置2からの接続要求を受けるときにサーバ装置1において制御部101の制御の下で実行される処理について説明する。
【0040】
ユーザXのクライアント装置2からユーザXのユーザID及びパスワードが受信されると、認証情報記憶部1021に記憶されたデータと照合することにより、ユーザ認証処理が行われる(ステップS10)。
【0041】
ステップS10の認証結果がNGである場合(ステップS11;NO)、クライアント装置2にエラーメッセージが送信され、本処理が終了する。一方、ステップS10の認証結果がOKである場合(ステップS11;YES)、認証結果がOKであることを通知するメッセージがクライアント装置2に送信される。
【0042】
次いで、ユーザ別アプリケーション実行環境記憶部1025を参照することにより、ユーザXのクライアント装置2に対応するアプリケーション実行環境が生成済みであるか否かが判定される(ステップS12)。
【0043】
アプリケーション実行環境が生成されていないと判定された場合は(ステップS12;NO)、当該アプリケーション実行環境を生成する処理が行われ(ステップS13)、その生成されたアプリケーション実行環境に対応する画面データがクライアント装置2に送信される(ステップS14)。
【0044】
ステップS13のアプリケーション実行環境生成処理については、後に図8を参照して詳細に説明する。アプリケーション実行環境が生成済みであると判定された場合は(ステップS12;YES)、当該アプリケーション実行環境に対応する画面データがクライアント装置2に送信される(ステップS14)。
【0045】
ステップS14における画面データの送信後、クライアント装置2から入力データが受信された場合(ステップS15;YES)、その入力データがセッション切断を要求するものではない場合は(ステップS16;NO)、その入力データが起動アプリケーションに渡され処理される(ステップS17)。
【0046】
そして、ステップS17におけるアプリケーションの実行結果を表す画面データがクライアント装置2に送信され(ステップS18)、ステップS15に戻り、クライアント装置2からの受信データの待ち状態となる。クライアント装置2からの入力データがセッション切断を要求するものである場合は(ステップS16;YES)、本処理が終了する。
【0047】
次に、図8のフローチャートを参照して、図7のステップS13におけるアプリケーション実行環境生成処理について説明する。
【0048】
まず、クライアントGPS位置記憶部1026に記憶されたGPS位置から、位置別アプリケーションテーブル記憶部に記憶された位置別アプリケーションテーブルを参照することにより、クライアント装置2の位置に対応したアプリケーションを特定する(ステップS121)。
【0049】
次いで、ステップS121で特定したアプリケーションに対するリソース(ユーザ別アプリケーション実行環境記憶部1025の記憶領域等)が取得される(ステップS122)。アプリケーション記憶部1023に記憶されているアプリケーションの中から特定したアプリケーションが起動されることによって、アプリケーション実行環境が生成される。生成されたアプリケーション実行環境のデータは、ユーザ別アプリケーション実行環境記憶部1025に記憶される(ステップS123)。
【0050】
以上のように、本実施形態のリモート接続システム100によれば、ユーザが携帯用のクライアント装置2(クライアントコンピュータ)を複数の場所で使用していても、クライアント装置2の場所に応じたアプリケーション実行環境を事前にサーバ装置1が生成しておくことにより、クライアント装置2はサーバ装置1に接続するだけでアプリケーション実行環境を即座に利用することができるので、ユーザにとっての利便性を向上させることができる。
【0051】
前記実施形態において記載したサーバ装置1、クライアント装置2の処理、すなわち図6乃至8のフローチャートに示す各処理は、何れもコンピュータが読み取り可能なプログラムとして、記憶装置102、記憶装置202に記憶されている。なお、これらのプログラムは、半導体メモリ(ROM、RAM等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)の記録媒体に記憶してもよく、更に、プログラムの一部若しくは全部をサーバ装置1やクライアント装置2に備えられた記録媒体に記憶し、ネットワーク3を介して受信して読み取る構成にしてもよい。
【0052】
なお、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または形状を取ることができる。
【0053】
本実施例ではクライアント装置2の位置を測位するためにGPS衛星から位置データを受信するとしたが、携帯電話等で行われている基地局による位置確認方法のようにGPS衛星を用いない方法で測位するようにしてもよい。
【0054】
本実施例では、GPSの位置情報に対するアプリケーションを特定する際に、GPSの位置情報が円内に含まれるか否かにより特定したが、位置別アプリケーションテーブルの項目データとして位置(中心点の位置)と範囲(半径)ではなく、左上座標と右下座標を持つようにしてその矩形内に含まれるか否かを判定するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係るリモート接続システムの全体構成を示す図。
【図2】本実施形態に係るサーバ装置の主要部構成を示すブロック図。
【図3】本実施形態に係るクライアント装置の主要部構成を示すブロック図。
【図4】クライアント装置とサーバ装置とのシーケンス図。
【図5】サーバ装置の記憶装置に記憶された位置別アプリケーションテーブルのデータ構成を示す図。
【図6】サーバ装置への接続時にクライアント装置において実行される処理を示すフローチャート。
【図7】クライアント装置から接続要求を受けるときにサーバ装置において実行される処理を示すフローチャート。
【図8】図7に示すアプリケーション実行環境生成処理の詳細を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0056】
1 サーバ装置
2 クライアント装置
100 リモート接続システム
101 制御部
102 記憶装置
104 通信部
201 制御部
202 記憶装置
203 入力部
204 通信部
205 表示部
206 GPS受信部
1021 認証情報記憶部
1022 位置別アプリケーションテーブル記憶部
1023 アプリケーション記憶部
1025 ユーザ別アプリケーション実行環境記憶部
2022 表示内容記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ装置に対する操作指示情報を入力する入力手段と、
クライアント装置自身の位置を測位する測位手段と、
入力された前記操作指示情報または測位した前記位置の位置情報をサーバ装置に送信する送信手段と、
前記位置情報に対応するアプリケーションの実行環境に対応する画面データを前記サーバ装置から受信する受信手段と、
を備えることを特徴とするクライアント装置。
【請求項2】
クライアント装置の位置とアプリケーションとを対応させた位置別アプリケーションテーブルを記憶するテーブル記憶手段と、
前記クライアント装置から操作指示情報または前記クライアント装置の位置情報を受信する受信手段と、
前記位置情報に対応するアプリケーションを前記位置別アプリケーションテーブルに従って特定する特定手段と、
該特定されたアプリケーションの実行環境を生成する生成手段と、
前記特定されたアプリケーションを前記操作指示情報に従って実行する実行手段と、
前記特定されたアプリケーションを実行した実行結果の画面データを前記クライアント装置に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項3】
サーバ装置にクライアント装置がリモート接続され、前記サーバ装置で生成されたアプリケーションの実行環境を前記クライアント装置が利用するネットワークシステムにおいて、
前記クライアント装置は、
前記サーバ装置に対する操作指示情報を入力する入力手段と、
前記クライアント装置自身の位置を測位する測位手段と、
入力された前記操作指示情報または測位した前記位置の位置情報を前記サーバ装置に送信する送信手段と、
前記位置情報に対応するアプリケーションの実行環境に対応する画面データを前記サーバ装置から受信する受信手段と、を備え、
前記サーバ装置は、
前記クライアント装置の位置とアプリケーションとを対応させた位置別アプリケーションテーブルを記憶するテーブル記憶手段と、
前記クライアント装置から操作指示情報または前記クライアント装置の位置情報を受信する受信手段と、
前記位置情報に対応するアプリケーションを前記位置別アプリケーションテーブルに従って特定する特定手段と、
該特定されたアプリケーションの実行環境を生成する生成手段と、
前記特定されたアプリケーションを前記操作指示情報に従って実行する実行手段と、
前記特定されたアプリケーションを実行した実行結果の画面データを前記クライアント装置に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とするリモート接続システム。
【請求項4】
クライアント装置のコンピュータを、
サーバ装置に対する操作指示情報を入力する入力手段、
クライアント装置自身の位置を測位する測位手段、
入力された前記操作指示情報または測位した前記位置の位置情報をサーバ装置に送信する送信手段、
前記位置情報に対応するアプリケーションの実行環境に対応する画面データを前記サーバ装置から受信する受信手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項5】
サーバ装置のコンピュータを、
クライアント装置の位置とアプリケーションとを対応させた位置別アプリケーションテーブルを記憶するテーブル記憶手段、
前記クライアント装置から操作指示情報または前記クライアント装置の位置情報を受信する受信手段、
前記位置情報に対応するアプリケーションを前記位置別アプリケーションテーブルに従って特定する特定手段、
該特定されたアプリケーションの実行環境を生成する生成手段、
前記特定されたアプリケーションを前記操作指示情報に従って実行する実行手段、
前記特定されたアプリケーションを実行した実行結果の画面データを前記クライアント装置に送信する送信手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−32073(P2009−32073A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−196113(P2007−196113)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】