説明

クラスター化する流体の流量制御方法及びこれに用いるクラスター化する流体用の流量制御装置

【課題】 圧力式流量制御装置を用いて、真空チャンバ等へ供給するHFガス等のクラスター化する流体を、3〜300SCCM程度の流量範囲について、高精度で流量制御できるようにしたものである。
【解決手段】 オリフィス上流側のガスの圧力P1 とオリフィス下流側のガスの圧力P2 との比P2 /P1 を気体の臨界圧力比以下に保持した状態でオリフィスを流通するガスの流量QをQ=KP1 (但しKは定数)として演算するようにした圧力式流量制御装置を用いたクラスター化する流体の流量制御方法に於いて、前記圧力式流量制御装置を40℃以上の温度に加温するか、或いはクラスター化する流体に希釈ガスを加えて分圧以下にすることにより、分子の会合を解離させ、その後単分状態にしたクラスター化する流体を前記オリフィスを通して流通させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品や原子燃料、化学品、半導体等の製造分野で主として利用されるものであり、流量制御装置を用いて弗化水素ガス(以下HFガスと呼ぶ)やオゾン、水等の流体(以下、クラスター化する流体と呼ぶ)の供給流量を高精度で且つ安定して制御することを可能としたクラスター化する流体の流量制御方法と、これに用いるクラスター化する流体用の流量制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従前から、HFガス等のクラスター化する流体は化学品や半導体等の製造分野で広く利用されて来ている。従って、HFガス等のクラスター化する流体の供給設備では様々な型式の流量制御装置が用いられており、その中でもマスフローコントローラや差圧式流量制御装置等は比較的多く利用されているものである。
【0003】
而して、HFガス等のクラスター化する流体は高密度であること、比熱比が大であること、分子会合の温度及び圧力の依存性が高いこと、分子解離時の吸熱量の温度依存性が大きいこと等の特異な物性を有する物質である。
そのため、酸素ガスや窒素ガスのように理想気体としてボイルシャールの法則が適用できず、その流量制御にも酸素や窒素ガスの流量制御とは異なる多くの問題が存在する。何故なら、分子会合の温度・圧力依存性により、HFガス等のクラスター化する流体の分子量は圧力変動等によって大きく変化するが、分子量Mが変ると、同重量のHFガス等のクラスター化する流体でもそのモル数が変動するからである。
【0004】
また、HFガス等のクラスター化する流体の分子の持つ会合熱が大きいため、供給時の圧力差が大きいほど吸熱効果が大きく現れることになり、吸熱効果が顕著に現れた場合には、蒸気圧が低いために液化現象が生じるという問題がある。
そのため、従前のHFガス等のクラスター化する流体の供給系に於いては、多量の希釈ガス内にHFガス等のクラスター化する流体を混入し、希釈ガスを制御することによってHFガス等のクラスター化する流体の流量制御精度を高めるようにしたり、或いはHFガス等のクラスター化する流体の供給源に加熱装置を設け、高温加熱によりクラスター化を生じ難くした状態下で、しかも比較的高圧力でもってHFガス等のクラスター化する流体を供給するようにしている。
【0005】
しかし、希釈ガスを大量に使用したり、或いは高温加熱したHFガス等のクラスター化する流体を高圧力で供給する場合には、経済性や制御性に多くの問題点があるうえ、半導体製造装置のようにHFガス等のクラスター化する流体の供給対象であるプロセス側が10-2〜102 Torr程度の真空に近い低圧の場合には、従前のマスフローコントローラを用いる流量制御では高精度な流量制御が到底不可能であり、実用上様々な問題が起生している。
【0006】
一方、近年半導体製造装置等の分野では、従前の移動熱量の検出を流量制御の基本とするマスフローコントローラに替えて、圧力式流量制御装置が供給ガスの流量制御に多く用いられている。当該圧力式流量制御装置は、オリフィスを通過する流体が所謂臨界条件下にある場合には、流体流量QをQ=KP1 (但しKはノズルによって決まる定数、P1 はノズル上流側のガス圧力)で求めることができ、ノズル下流側(即ち、ガス供給対象であるプロセス側)の圧力が一般的に真空に近い低圧である半導体製造装置等に於いては、前記臨界条件の保持の点からも好都合だからである。
【0007】
しかし、上記のようにオリフィス上流側の圧力P1 とオリフィス下流側の圧力P2 との比P2 /P1 を約0.5以下に保持した所謂臨界条件下で被制御ガスがオリフィスを流通することを基本としてガスの流量演算を行なう圧力式流量制御装置にあっては、分子の解離時の吸熱によって温度が変動したり或いはオリフィス下流側(プロセス側)の圧力が変動することによりHFガス等のクラスター化する流体の分子会合の度合いが変化し、これによって上記HFガス等のクラスター化する流体の臨界条件が満足されなくなると、HFガス等のクラスター化する流体の高精度な流量制御が基本的に不可能となって、様々な支障を生ずることになる。
【0008】
例えば、同じ圧力式流量制御装置へ同一条件下でN2 ガスを流した時の流量をQN (SCCM)、HFガス等のクラスター化する流体を流した時の流量をQHFとし、両者の比QHF/QN (フローファクタF.F.)を予かじめ実測により求めておけば、N2 ガスによって目盛校正された同じ圧力式流量制御装置へHFガス等のクラスター化する流体を流した時のHFガス等のクラスター化する流体の実流量QHFは、当該圧力式流量制御装置へHFガス等のクラスター化する流体を流した時の読み取り流量値に前記フローファクタ値F.F.を乗ずることにより求めることができる。このように、HFガス等のクラスター化する流体のフローファクタF.F.が常に一定に保持されている場合には、圧力式流量制御装置を用いてHFガス等のクラスター化する流体の流量制御を比較的高精度で行なうことが可能となる。
【0009】
一方、前記各種ガスのフローファクタF.F.は理論式から計算することが可能であり、通常は下記の式により演算することができる。
【数1】

尚、ここでrsはガスの標準状態に於ける密度、κはガスの比熱比、Rはガス定数、Kはガス種に依存しない比例定数である(特開2000−322130号等)。
【0010】
前記理論式から常温に於けるHFガスのフローファクタF.F.を計算すると、F.F.=0.440100となる。
これに対して、後述する図1の如き流量試験装置を用いてHFガスのフローファクタF.F.を実測すると、その値は下記の表1のようになる。
【0011】
【表1】

【0012】
尚、温度は圧力式流量制御装置のボディ部の加熱温度である。
上記フローファクタの値からも明らかなように、HFガスは、圧力、温度条件により結合した分子状態を形成する特有の物性により、理論式より求められるフローファクタF.F.値とは大きく異なり、圧力式流量制御装置では、N2 やO2 、H2 等の通常ガスに対する対応と同じ概念でもって、HFガスの流量制御に適用できないことが判る。
【0013】
尚、上記説明に於いては、圧力式流量制御装置を用いる場合について述べたが、このことは、マスフローコントローラ等の熱式流量制御装置であっても、或いは流量制御弁を用いる流量制御装置であっても同様であり、従前の酸素ガスや窒素ガス等の通常ガスに対する対応と同じ概念でもって、HFガス等のクラスター化する流体の流量制御にこれらを適用することはできない。
【0014】
【特許文献1】特開2000−322130公報
【特許文献2】特開2003−195948公報
【特許文献3】特開2004−5308公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、流量制御装置を用いてHFガス等のクラスター化する流体の流量制御を行なう場合の上述の如き問題、即ち分子会合等による分子量やモル数の変化、解離時の吸熱による温度変化、圧力や温度の変動による分子会合の度合の変化等によって、従前の流量制御装置では、低圧力のチャンバ等へ供給するHFガス等のクラスター化する流体の流量制御を高精度で行なえないと云う問題を解決せんとするものであり、流量制御装置の本体部を約40℃〜約85℃、望ましくは約65℃以上に保持するか、或いはクラスター化する流体が温度だけでなしに圧力にも依存することを利用して、希釈ガスを加えることによってクラスター化する流体を分圧以下にすることにより、HFガス等のクラスター化する流体の会合を分離させ、理論的な単分子状態(又はクラスター分子数の小さな状態)にして流量制御装置を通すことにより、低圧力のチャンバ等へも、HFガス等のクラスター化する流体を高精度で流量制御を行ないつつ供給することが出来るようにした流量制御装置を用いたHFガス等のクラスター化する流体の流量制御方法と、これに用いるHFガス等のクラスター化する流体用の流量制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明者等は、流量制御装置を用いて低圧力の半導体製造装置のプロセスチャンバへ、流量が3〜300SCCMのHFガス等のクラスター化する流体を高精度で流量制御しつつ供給することを具現化するために、先ず圧力式流量制御装置を用い、その本体要部を加温することを着想した。そして、前記着想に基づいて、加温温度と流量制御特性(流量制御精度)との関係を、圧力式流量制御装置の複数の設定流量(75%、60%、45%、30%、15%)について夫々精査した。
【0017】
本発明は、上記各試験結果を基にして創作されたものであり、請求項1の発明は、ガス供給源からのクラスター化する流体を流量制御器により所望の機器・装置へ供給するクラスター化する流体の供給方法に於いて、前記流量制御器を加熱して当該流量制御器を流通する弗化水素分子の会合を解離させ、単分子状態にしたクラスター化する流体を流量制御器により流量制御しつつ供給する構成としたことを発明の基本構成とするものである。
【0018】
請求項2の発明は、流体供給源からのクラスター化する流体を流量制御器により所望の機器・装置へ供給するクラスター化する流体の供給方法に於いて、前記クラスター化する流体を分圧以下に希釈して前記流量制御器を流通するクラスター化する流体の分子の会合を解離させ、単分子状態にしたクラスター化する流体を流量制御器により流量制御しつつ供給する構成としたことを発明の基本構成とするものである。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明に於いて、流量制御器を、流量制御弁と熱式流量制御器と圧力式流量制御器の何れかとしたものである。
【0020】
請求項4の発明は、請求項1の発明に於いて、流量制御器の本体の加熱温度を40℃以上とするようにしたものである。
【0021】
請求項5の発明は、オリフィス上流側のガスの圧力P1 とオリフィス下流側のガスの圧力P2 との比P2 /P1 を気体の臨界圧力比以下に保持した状態でオリフィスを流通するガスの流量QをQ=KP1 (但しKは定数)として演算するようにした圧力式流量制御装置を用いたクラスター化する流体の流量制御方法に於いて、前記圧力式流量制御装置を40℃以上の温度に加温しつつ、クラスター化する流体を前記オリフィスを通して流通させることを発明の基本構成とするものである。
【0022】
請求項6の発明は、請求項5の発明に於いて、圧力式流量制御装置の下流側に接続されたクラスター化する流体の受入れ先きを真空装置とするようにしたものである。
【0023】
請求項7の発明は、請求項5の発明に於いて、圧力式流量制御装置を、窒素ガスを基準として目盛校正をした圧力式流量制御装置とすると共に、圧力式流量制御装置の本体の温度に応じて窒素ガスに対するクラスター化する流体のフローファクタF.F.を適宜に選定し、クラスター化する流体を流通させたときの流量測定値に前記フローファクタF.F.を乗じてクラスター化する流体の流量を得るようにしたものである。
【0024】
請求項8の発明は、請求項6の発明に於いて、圧力式流量制御装置を40℃〜85℃の温度に加温すると共に、圧力式流量制御装置の下流側に接続されたクラスター化する流体を受入れする真空装置を真空チャンバとし、且つその圧力を10-3Torr〜102 Torrとするようにしたものである。
【0025】
請求項9の発明は、請求項6の発明に於いて、圧力式流量制御装置から真空チャンバへ供給するクラスター化する流体の流量制御範囲を3〜300SCCMとするようにしたものである。
【0026】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項9の発明に於いて、クラスター化する流体を弗化水素、水又はオゾンの何れかとするようにしたものである。
【0027】
請求項11の発明は、請求項7の発明に於いて、圧力式流量制御装置の本体の温度が45℃で、流体が弗化水素ガスの時のフローファクタF.F.を1.1665とするようにしたものである。
【0028】
請求項12のクラスター化する流体用の流量制御装置は、流体供給源からのクラスター化する流体を流量制御装置により所望の機器・装置へ供給するクラスター化する流体の流量制御装置に於いて、前記流量制御装置の本体を加熱して当該流量制御装置を流通するクラスター化する流体の会合を解離させ、単分子状態にしたクラスター化する流体を流量制御装置により流量制御する構成としたことを発明の基本構成とするものである。
【0029】
請求項13の発明は、流体供給源からのクラスター化する流体を流量制御器により所望の機器・装置へ供給するクラスター化する流体の流量制御装置に於いて、前記クラスター化する流体を分圧以下に希釈して前記流量制御器を流通するクラスター化する流体の分子の会合を解離させ、単分子状態にしたクラスター化する流体を流量制御装置により流量制御する構成としたことを発明の基本構成とするものである。
【0030】
請求項14の発明は、請求項12又は請求項13の発明に於いて、流量制御装置を、流量制御弁と熱式流量制御装置と圧力式流量制御装置の何れかとしたものである。
【0031】
請求項15の発明は、請求項12の発明に於いて、流量制御装置の本体の加熱温度を40℃以上とするようにしたものである。
【0032】
請求項16の発明は、オリフィス上流側のガスの圧力P1 とオリフィス下流側のガスの圧力P2 との比P2 /P1 を気体の臨界圧力比以下に保持した状態でオリフィスを流通するガスの流量QをQ=KP1 (但しKは定数)として演算するようにした圧力式流量制御装置に於いて、被制御流体をクラスター化する流体とすると共に圧力式流量制御装置に加温装置を設け、当該加温装置により圧力式流量制御装置の本体を40℃以上に加温する構成としたことを発明の基本構成とするものである。
【0033】
請求項17の発明は、請求項16の発明に於いて圧力式流量制御装置を、圧力式流量制御装置の本体の温度に応じて窒素ガスを基準としたクラスター化する流体のフローファクタF.F.を適宜に選定し、当該選定したフローファクタF.F.の値を用いて目盛校正をした圧力式流量制御装置とするようにしたものである。
【0034】
請求項18の発明は、請求項13乃至請求項17の発明に於いて、クラスター化する流体を弗化水素、水又はオゾンの何れかとするようにしたものである。
【0035】
請求項19の発明は、請求項17の発明に於いて、圧力式流量制御装置の本体の温度が45℃で、流体が弗化水素ガスの時のフローファクタF.F.を1.1665とするようにしたものである。
【発明の効果】
【0036】
本発明に於いては、圧力式流量制御装置を40℃以上の温度に加温した状態で被制御ガスであるHFガス等のクラスター化する流体をオリフィスへ流通させるか、又は希釈ガスを加えてHFガス等のクラスター化する流体圧分圧以下にし、流体の分子を単分子化させた状態で被制御ガスであるHFガス等のクラスター化するガスをオリフィスへ流通させるようにしているため、HFガス等のクラスター化する流体の分子会合や解離時の吸熱量がHFガス等のクラスター化する流体の圧力によって影響されなくなり、結果として、圧力式流量制御装置でもってHFガス等のクラスター化する流体の流量を、通常の酸素ガスや窒素ガスの流量制御の場合と同程度の高い精度でもって安定に制御することができる。
【0037】
また、加温温度を40℃〜85℃の間にすれば、温度が相対的に低いため、圧力式流量制御装置を構成する電子機器部品類に対する影響も簡単に回避することができ、圧力式流量制御装置の製造コストの上昇を招くことが無い。
【0038】
更に、HFガス等のクラスター化する流体の供給先であるチャンバの真空度が10-3〜102 Torrのときに、3〜300SCCMの流量範囲に亘ってHFガス等のクラスター化する流体を高精度で流量制御することができ、従前の大量の希釈ガスを利用する場合に比較してランニングコストや設備費の大幅な削減が可能となる。
【0039】
本発明は上述の通り、窒素ガスを基準とするHFガス等のクラスター化する流体のフローファクタF.F.を活用することにより、従前の圧力式流量制御装置でもって容易にHFガス等のクラスター化する流体の高精度な流量制御を行なうことが出来ると云う優れた実用的効用を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の基礎をなすHFガス等のクラスター化する流体に対する圧力式流量制御装置の各種特性を得るための試験装置の全体構成を示すものであり、具体的には当該試験装置を用いて下記の(1)〜(7)の各試験を実施した。
【0041】
(1)圧力式流量制御装置(N2 ガス用)を2台使用して、HFガスを4〜100SCCMの流量で流した時の流量制御特性を確認する。
(2)ビルドアップ用チャンバを加温したときと、加温しないときの流量制御
の状態を確認する。
(3)流量レンジの異なる圧力式流量制御装置(N2 ガス用)について、同一流量のHFガスを流した場合の流量制御誤差を確認する。
(4)HFガスの流量制御時の流量制御の直線性を確認する。(中間設定及びビルドアップ流量測定装置による測定時)。
(5)圧力式流量制御装置(N2 ガス用)の加温温度を変化させた(45℃±2℃)場合の流量制御精度を確認する。
(6)高温用圧力式流量制御装置を用い、その加温温度を高温(85℃)にした場合の流量を確認する。
(7)高温用圧力式流量制御装置を用い、その加温温度を高温(85℃±2℃)に変化させた場合の流量精度を確認する。
【0042】
また、上記(1)〜(7)の各試験結果から、圧力式流量制御装置を用いてHFガスを流量制御する場合の流量測定精度と温度条件との関係を検討し、加温条件の最適範囲を決定する。
【0043】
図1を参照して、1は窒素ガス供給ライン、2はHFガス供給ライン、3は圧力式流量制御装置(供試品)、4はビルドアップ用チャンバ、5は真空ポンプ、6は加熱装置、Pは圧力センサ、Tは温度センサ、V1 〜V6 はバルブであり、圧力式流量制御装置3及びビルドアップ用チャンバ4の部分は加熱装置(加温用ヒータ)6により温調されている。
【0044】
前記窒素ガス供給ライン1へは201kPa abs.のN2 ガスが、またHFガス供給ライン2へはHFガスが夫々供給されている。
更に、圧力センサPにはキャパシタンスマノメータ(定格13.3kPa abs.)が使用されており、温度センサTには測温抵抗体(Pt100)が使用されている。
【0045】
前記供試品である圧力式流量制御装置3には株式会社フジキン製のFCS−4WS−F115A(115SCCMF.S.)、FCS−4WS−F65A(65SCCMF.S.)、FCS−4WS−F20A(20SCCMF.S.)及びFCS−4JR−124−F115A−HT(115SCCMF.S.・高温用)が夫々利用されており、またビルドアップ用チャンバ4には内容積が1000ccのものが、更に真空ポンプ5にはEdwards社製の真空ポンプが使用されている。
【0046】
尚、圧力式流量制御装置3とビルドアップ用チャンバ4と圧力計P及びバルブV4 、V5 等により所謂ビルドアップ流量測定装置Sが形成されている。
また、圧力式流量制御装置3とビルドアップ用チャンバ4は温調器6(理研計器株式会社製CB100)により所定の加温条件温度に温調されており、後述するように各部(合計8点)の温度がシース型K熱電対を用いて測定されている。
【0047】
後述する試験に際しての加温条件は、各圧力式流量制御装置3及びビルドアップ用チャンバ4について、下記の通りとしている。
【0048】
【表2】

【0049】
また、流量等の測定点は各供試品3について5点とし(F20Aのみは6点)、夫々定格設定値の75%、60%、45%、30%、15%、90%(F20Aのみ)の点としている。尚、設定値(%)とは、圧力式流量制御装置3に対する入力信号0−100%、入力電圧信号0−5Vに対する設定である。
【0050】
更に、同一流量点の測定を行なう場合には、各供試品3について48.8SCCM、20.0SCCM及び9.75SCCM(N2 基準時)の3点について、夫々行なっている。
【0051】
尚、前記温度の各測定点は、具体的には表1に記載の通りであり、Aは圧力式流量制御装置本体のリークポート部の温度モニタの表示、Bは圧力式流量制御装置本体のサーミスタ取付部、C点は演算制御部の基板下部、D点は試験室内の室温、E点はビルドアップ用チャンバの温度モニタの表示、F点はビルドアップ用チャンバに設けられている温調器6の表示温度、G点は圧力式流量制御装置に設けられている温調器6の表示温度である。
【0052】
前記(1)〜(8)の各試験は、下記の順序により実施した。
(1)供試品である圧力式流量制御装置3を図1の如き状態に接続する(ビルドアップ流量測定装置Sへ接続する)。
(2)圧力式流量制御装置3及び各種測定機器類はテスト前に1時間以上の暖気運転をしておく。
(3)真空ポンプ5により圧力式流量制御装置3の上流側までの大気成分を真空排気する。
(4)N2 ガスによるサイクルパージを実施して、ガスを置換する。
(5)系内を真空状態にして圧力式流量制御装置3の前後のバルブを閉鎖し、10分間放置して圧力指示出力が上昇しないことを確認する(リークが無いことを確認する)。
(6)次に、圧力式流量制御装置3へ測定ガス(HFガス又はN2 ガス)を流し、ビルドアップ法により流量測定を実施する。測定は3回行ない、その平均値を測定結果とする。尚、ビルドアップ用チャンバ4内の圧力は流量の測定前に10-2Torrの真空度に真空引きされている。
(7)圧力式流量制御装置3の加温は専用ヒータを使用して行なう。
(8)温調時は十分に時間を置き、温度が安定したことを確認した後に測定を開始する。
【0053】
温度測定の結果は下記の表1〜表3の通りである。尚、加温条件(1)は供試器3の温度45℃及びビルドアップ用チャンバは加温なし、及び(2)は供試器3の温度45℃及びビルドアップ用チャンバの温度40℃の場合を夫々示す。
【0054】
[温度測定の結果]
【0055】
【表3】

供試品 F115A
【0056】
【表4】

供試品 F65A
【0057】
【表5】

供試品 F20A
【0058】
表3乃至表5の結果からも明らかなように、G項のFCS温調器6の表示値とB項のサーミスタ部の温度の間に約0.2〜2.2℃程度の差異が見られるので、電子機器部品類の温度管理が厳しい場合には、この点に留意が必要となる。
【0059】
表6は流量測定の結果を示すものであり、同一加温条件下に於いても、N2 ガスとHFガスとでは、各流量設定(75%、60%、45%、30%、15%)共に夫々差異の出ることが判る。また、各測定に於ける測定流量は、3回の測定をした結果を示すものであり、圧力式流量制御装置では測定毎に測定した流量値が変ると云うようなことの無いことが判る。更に、表7は、前記0030項の(3)に記載の試験を行なうために測定した流量を示すものである。
【0060】
【表6】

流量測定結果(供試品F115A)
【0061】
【表7】

同一流量の測定結果(供試品F115A)
【0062】
表8は供試品(圧力式流量制御装置)3をF65Aとした時の流量測定結果を、また、表9は、F65Aの場合の同一流量測定の結果を夫々示すものである。
【0063】
同様に表10は供試品(圧力式流量制御装置)3をF20Aとした場合の流量測定結果を、また、表11はF20Aの場合の同一流量測定の結果である。
【0064】
【表8】

流量測定(供試品F65A)
【0065】
【表9】

同一流量の測定(供試品F65A)
【0066】
【表10】

流量測定(供試品F20A)
【0067】
【表11】

流量測定(供試品F20A)
【0068】
表12は各供試品(圧力式流量制御装置)3についてフローファクタF.F.を流量の実測値から算出したものであり、F.F.=HFガス流量/N2 ガス流量を表わすものである。
【0069】
また、F.F.の平均値は、流量レンジ15〜60%の平均として計算したものである。加温条件(2)の下では、1/100オーダ以上に於いて各流量レンジ(%)の間に差異の出ることが判る。
【0070】
更に、表13〜表15は同一設定流量に対する供試品3相互間の測定誤差を求めたものであり、各供試品3の間で同一流量値を測定しても、機種間で、HFガスの場合には、最大で0.8SCCMの誤差の生ずることが判る。
【0071】
【表12】

F.F.測定結果(加温条件(2))
【0072】
【表13】

同一設定流量比較結果(加温条件(2))
【0073】
【表14】

同一設定流量比較結果(加温条件(2))
【0074】
【表15】

同一設定流量比較結果(加温条件(2))
【0075】
図2の(a)は、供試品F115Aの加温条件(2)の下に於ける流量測定試験データをグラフ化したものであり、同様に図2の(b)は供試品F65Aの、また図2の(c)は供試品F20Aの流量測定試験データをグラフ化したものである。
【0076】
図2から明らかなように、圧力式流量制御装置の場合には、設定流量レンジが100%に近づくほど、N2 ガスの場合よりも測定流量が増加することが判る。
【0077】
表16及び表17は、HFガスの流量測定時に常に前記臨界条件が成立しているかを確認するためにビルドアップ法による流量測定のデータから各圧力区間毎に流量の変化が無いか否かを確認した。何故なら、HFガスの比熱比が通常のガスよりも大きく、臨界圧力比が小さくなる可能性があるためである。
【0078】
より具体的には、補正流量の計算は圧力範囲を30Torr〜90Torrと想定し、圧力間隔を20Torr毎に選定して行なった。
【0079】
表16及び表17の結果からも明らかなように、各圧力範囲に亘って計算流量比には差異が殆んど見られず、その結果ガス比熱の大きなHFガスであっても、当該流量測定実験の全区間に亘って所謂臨界条件が充足された状態下でその流量測定が行なわれていることが判る。
【0080】
【表16】

サンプルデータ
(F115A、HFガス、加温条件(2)、設定信号75%)
【0081】
【表17】

サンプルデータ
(F65A、HFガス、加温条件(2)、設定信号75%)
【0082】
表18乃至21は、供試品(圧力式流量制御装置)3をF115A及びF115A−HTとし、且つ供試品3の加熱温度を45℃±2℃及び85℃±2℃としたときの流量測定結果を示すものである。尚、表18乃至表21の流量測定では、ビルドアップ用チャンバ4側の温度は40℃に固定されている。
【0083】
尚、表18〜表22に於けるΔQは設定温度時と基準温度時(45℃及び85℃)との間の流量誤差を示すものである。
【0084】
また、表22は、供試品3がF115A−HTの場合のフローファクタF.F.を求めたものであり、F.F.(測定値)はHFガス流量/N2 ガス流量として、またF.F.の平均値は設定流量レンジ、15〜60%の平均を示すものである。
【0085】
【表18】

流量測定
(供試品F115A・チャンバ温度:40℃(固定))
【0086】
【表19】

流量測定
(供試品F115A・チャンバ温度:40℃(固定))
【0087】
【表20】

流量測定
(供試品F115A−HT・チャンバ温度:40℃(固定))
【0088】
【表21】

流量測定
(供試品F115A−HT・チャンバ温度:40℃(固定))
【0089】
【表22】

F.F.測定結果(高温用)
【0090】
図3の(a)及び(b)は、前記表18〜表21の測定結果をプロットしたものであり、図3の(a)からも明らかなように、供試品3の加温温度が45℃前後の場合には、HFガスに於いては設定流量レンジが上昇するにつれて流量誤差が大きくなる傾向にある。
【0091】
しかし、供試品3の加温温度が85℃位になれば、設定流量レンジの全範囲に亘って温度差による流量誤差はほぼ零となる。
【0092】
即ち、図3の(a)及び図3(b)の結果から、圧力式流量制御装置を用いたHFガスの流量制御に於いては、圧力式流量制御装置3を40℃〜85℃位の間に加温するのが望ましく、より望ましくは60℃以上である。当該加温によってオリフィス下流側のプロセス側の圧力が10-2〜102 Torr程度である場合にも、3〜300SCCMの流量範囲に亘って実用に耐える高精度なHFガスの流量制御が可能なことが判る。
【0093】
また、図4−(a)、(b)、(c)は、供試品3がF115A、F65A及びF20Aの場合について、供試品(圧力式流量制御装置)3の温度及びビルドアップ用チャンバの温度条件をパラメータとしてその流量の実測値をプロットしたものである。
【0094】
図4の(a)〜(c)からも明らかなように加温条件が(1)及び(2)の場合には、F.F.の直線性が高いことが判る。
【0095】
上記各試験結果から、下記の如き事項が判明した。
(1)即ち、圧力式流量制御装置を適宜の温度に加温することにより、これを用いて3〜100SCCMの流量範囲のHFガスを十分に流量制御できること (表6〜表10)。
(2)圧力式流量制御装置の加温温度は40℃〜85℃の間で可能であり、例えば加温温度が45℃の場合の供試品のシャーシ内基板(電子部品のマウント用基板)の温度は保証温度の50℃以下であり、耐熱仕様でない圧力式流量制御装置であっても十分にHFガスの流量制御に適用できること(表3〜表5)。
(3)流量レンジの異なる二種の供試品に於いて、同一流量の測定を行った場合のHFガスの流量誤差は、最大で0.8SCCMであること(F115A−42.4%、F65A−75%、表13)。
(4)流量測定特性の直線性については、殆んど問題がないこと(図2の(a)〜(c))。
また、実測したフローファクタF.F.は平均値で1.1653となり、どの設定レンジに於いても同等の値となる(表12)。
(5)一定の流量レンジの設定に於ける流量の直線性についても、流量計算に用いるビルドアップの圧力間隔(20Torr)毎に計算を行なった結果、各区間毎の流量直線性誤差は+0.6%〜−0.4%以下であり、直線性の上では特に問題がないこと(表16、表17)。
(6)供試品3の加温温度を45±2℃に設定した場合には、流量の誤差は2.4SCCM以下となる(45〜47℃加温時:流量設定75%)。しかし高温用の供試品に於いて加温温度を85±2℃に設定した場合には、流量誤差は0.1SCCM以下(83〜85℃加温時:流量設定15%)となった(表18〜21)。
【0096】
また、文献調査の結果、HFガスは、76Torrの時には25℃以上で、また760Torrの時には80℃以上で、分子量が20g/molとなること、及びHFの6分子の会合熱が40,800cal/molになることが判明した。従って、HFガスの制御時には、65℃以上(上限75%設定)加温すると、計算式通りに流量制御を行なうことが可能と考えられる。
【0097】
尚、上述した本発明に係る基本思想は、マスフローコントローラ等によるHFガスの流量制御へも適用できることは勿論である。
【0098】
更に、本発明では、圧力式流量制御装置の加熱温度の上限を85℃としているが、85℃以上になるとHFガスの分子会合等の圧力・温度依存性が無くなるからである。
【0099】
上記実施形態に於いては、クラスター化する流体の温度を上昇させることにより流体のクラスター化を防止する場合について述べたが、クラスター化する流体のクラスター化は温度だけでなしに圧力にも依存するものであるため、クラスター化する流体に希釈ガスを加えて分圧以下とすることにより、クラスター化する流体のクラスター化を防止することができる。
【0100】
即ち、図5に示すように希釈ガス(N2 )を混合して流体(HFガス)を希釈し、流体(HFガス)を分圧以下にして複数のガス分子を集合した状態からガス分子が単分子化(クラスター分子数を小さくする)した状態にすることにより、流体の分子がクラスター化するのを抑える。これによって、加熱をすること無しに安定したHFガス等のクラスター化する流体の供給を行うことが可能となる。
【0101】
尚、図5に於いて、2はHFガス等のクラスター化する流体の供給ライン、7は窒素ガス等の希釈ガス供給ライン、8は希釈器、9は圧力式流量制御装置、10はHFガス等のクラスター化する流体の使用機器である。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、医薬品や原子燃料、化学品、半導体等の製造分野で主として利用されるものであり、流量制御装置を用いて弗化水素ガス等のクラスター化する流体の供給流量を制御する分野へ広く適用し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】HFガス等のクラスター化する流体に対する圧力式流量制御装置の各種特性を調査する試験装置の全体構成図である。
【図2】圧力式流量制御装置の流量特性を示すものであり、(a)は供試品がF115Aのとき、(b)は供試品がF65Aのとき、(c)は供試品がF20Aのときの流量特性を夫々示すものである。
【図3】供試品がF115A及びF115A−HT型の場合の、加温温度の変化(45℃±2℃及び85℃±2℃)による流量誤差を示すものである。
【図4】供試品がF115A、F65A及びF20Aの場合に於ける加温条件をパラメータとした測定流量を示す線図である。
【図5】希釈によってHFガス等のクラスター化する流体を分圧以下とするようにしたクラスター化する流体の流量制御方法の説明図である。
【符号の説明】
【0104】
1は窒素ガス供給ライン、2はHFガス等のクラスター化する流体の供給ライン、3は圧力式流量制御装置(供試品)、4はビルドアップ用チャンバ、5は真空ポンプ、6は加温装置、Pは圧力センサ、Tは温度センサ、Sはビルドアップ流量測定装置、7は希釈ガス供給ライン、8は希釈器、9は圧力式流量制御装置(非加熱型)、10はHFガス等のクラスター化する流体の使用機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体供給源からのクラスター化する流体を流量制御器により所望の機器・装置へ供給するクラスター化する流体の供給方法に於いて、前記流量制御器を加熱して当該流量制御器を流通するクラスター化する流体の分子の会合を解離させ、単分子状態にしたクラスター化する流体を流量制御器により流量制御しつつ供給する構成としたことを特徴とするクラスター化する流体の流量制御方法。
【請求項2】
流体供給源からのクラスター化する流体を流量制御器により所望の機器・装置へ供給するクラスター化する流体の供給方法に於いて、前記クラスター化する流体を分圧以下に希釈して前記流量制御器を流通するクラスター化する流体の分子の会合を解離させ、単分子状態にしたクラスター化する流体を流量制御器により流量制御しつつ供給する構成としたことを特徴とするクラスター化する流体の流量制御方法。
【請求項3】
流量制御器を、流量制御弁と熱式流量制御器と圧力式流量制御器の何れかとした請求項1又は請求項2に記載のクラスター化する流体の流量制御方法。
【請求項4】
流量制御器の本体の加熱温度を40℃以上とするようにした請求項1に記載のクラスター化する流体の流量制御方法。
【請求項5】
オリフィス上流側のガスの圧力P1 とオリフィス下流側のガスの圧力P2 との比P2 /P1 を気体の臨界圧力比以下に保持した状態でオリフィスを流通するガスの流量QをQ=KP1 (但しKは定数)として演算するようにした圧力式流量制御装置を用いたクラスター化する流体の流量制御方法に於いて、前記圧力式流量制御装置を40℃以上の温度に加温しつつ、クラスター化する流体を前記オリフィスを通して流通させる構成としたことを特徴とする圧力式流量制御装置を用いたクラスター化する流体の流量制御方法。
【請求項6】
圧力式流量制御装置の下流側に接続されたクラスター化する流体の受入れ先きを真空装置とするようにした請求項5に記載の圧力式流量制御装置を用いたクラスター化する流体の流量制御方法。
【請求項7】
圧力式流量制御装置を、窒素ガスを基準として目盛校正をした圧力式流量制御装置とすると共に、圧力式流量制御装置の本体の温度に応じて窒素ガスに対するクラスター化する流体のフローファクタF.F.を適宜に選定し、クラスター化する流体を流通させたときの流量測定値に前記フローファクタF.F.を乗じてクラスター化する流体の流量を得るようにした請求項5に記載の圧力式流量制御装置を用いたクラスター化する流体の流量制御方法。
【請求項8】
圧力式流量制御装置を40℃〜85℃の温度に加温すると共に、圧力式流量制御装置の下流側に接続されたクラスター化する流体を受入れする真空装置を真空チャンバとし、且つその圧力を10-3Torr〜102 Torrとするようにした請求項6に記載の圧力式流量制御装置を用いたクラスター化する流体の流量制御方法。
【請求項9】
圧力式流量制御装置から真空チャンバへ供給するクラスター化する流体の流量制御範囲を3〜300SCCMとするようにした請求項5に記載の圧力式流量制御装置を用いたクラスター化する流体の流量制御方法。
【請求項10】
クラスター化する流体を弗化水素、水又はオゾンの何れかとするようにした請求項1乃至請求項9に記載のクラスター化する流体の流量制御方法。
【請求項11】
圧力式流量制御装置の本体の温度が45℃で、流体が弗化水素ガスの時のフローファクタF.F.を1.1665とするようにした請求項7に記載の圧力式流量制御装置を用いたクラスター化する流体の流量制御方法。
【請求項12】
流体供給源からのクラスター化する流体を流量制御装置により所望の機器・装置へ供給するクラスター化する流体の流量制御装置に於いて、前記流量制御装置の本体を加熱して当該流量制御装置を流通するクラスター化する流体の分子の会合を解離させ、単分子状態にしたクラスター化する流体を流量制御装置により流量制御する構成としたことを特徴とするクラスター化する流体用の流量制御装置。
【請求項13】
流体供給源からのクラスター化する流体を流量制御器により所望の機器・装置へ供給するクラスター化する流体の流量制御装置に於いて、前記クラスター化する流体を分圧以下に希釈して前記流量制御器を流通するクラスター化する流体の分子の会合を解離させ、単分子状態にしたクラスター化する流体を流量制御装置により流量制御する構成としたことを特徴とするクラスター化する流体用の流量制御装置。
【請求項14】
流量制御装置を、流量制御弁と熱式流量制御装置と圧力式流量制御装置の何れかとした請求項12又は請求項13に記載のクラスター化する流体用の流量制御装置。
【請求項15】
流量制御装置の本体の加熱温度を40℃以上とするようにした請求項12に記載のクラスター化する流体用の流量制御装置。
【請求項16】
オリフィス上流側のガスの圧力P1 とオリフィス下流側のガスの圧力P2 との比P2 /P1 を気体の臨界圧力比以下に保持した状態でオリフィスを流通するガスの流量QをQ=KP1 (但しKは定数)として演算するようにした圧力式流量制御装置に於いて、被制御流体をクラスター化する流体とすると共に圧力式流量制御装置に加温装置を設け、当該加温装置により圧力式流量制御装置の本体を40℃以上に加温する構成としたことを特徴とするクラスター化する流体用の流量制御装置。
【請求項17】
圧力式流量制御装置を、圧力式流量制御装置の本体の温度に応じて窒素ガスを基準としたクラスター化する流体のフローファクタF.F.を選定し、当該選定したフローファクタF.F.の値を用いて目盛校正をした圧力式流量制御装置とするようにした請求項16に記載のクラスター化する流体用の流量制御装置。
【請求項18】
クラスター化する流体を弗化水素、水又はオゾンの何れかとするようにした請求項13乃至請求項17に記載のクラスター化する流体の流量制御装置。
【請求項19】
圧力式流量制御装置の本体の温度が45℃で、流体が弗化水素ガスの時のフローファクタF.F.を1.1665とするようにした請求項17に記載のクラスター化する流体用の流量制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−31498(P2006−31498A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210967(P2004−210967)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(390033857)株式会社フジキン (148)
【Fターム(参考)】