説明

クラッチ部品の製造方法

【課題】変速機の使用環境で発生する高温に耐えるクラッチ又はブレーキ等の変速機部品を提供する。
【解決手段】重量基準でニッケル0.35〜0.55%、モリブデン0.50〜0.85%、残部鉄を含む合金前金属粉と、炭素0.6〜0.90%、銅1.0〜3.0%を含む添加金属粉を合金前金属に混合し混合金属粉を作製し、前記混合金属粉に潤滑剤を加えて潤滑剤含有混合粉を作製し、前記潤滑剤含有混合粉を金型圧密化する工程により金属半加工品を製造し、前記金属半加工品を焼結して、焼結金属半加工品を形成する工程と、焼結金属半加工品を冷却して、冷却金属半加工品を形成する工程とにより構成される粉末冶金操作を含み、冷却金属半加工品の好ましい金属組織は、マルテンサイト50〜80%と、ベイナイト20〜50%と、微細化パーライトとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用クラッチ(連動機)部品又は自動車用変速機部品、より詳細には、対向するクラッチ面と同軸上で回転可能な一対の部材との間を1つ又は2つ以上の爪(支柱、ストラット)により機械的に連結する一方向クラッチと呼ばれる部材に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示される一方向クラッチの駆動部材は、従動部材に係合される。
【0003】
各駆動部材のポケット内に薄い平坦な爪が取り付けられ、爪の長手方向の第1の端部は、駆動部材内の対応する凹部により形成される肩部に確実に係合しかつ当接する。長手方向の反対側に設けられる爪の第2の端部は、ばねの弾性力により従動部材に向かって押圧され付勢されて、従動部材上の相補面に接触する。前記クラッチ部品の材料及び加工に高硬化金属を使用してクラッチ部品が製造される。自動車用変速機のクラッチディスクとして前記材料を使用することができる。現在使用される材料の金属微細組織は、強固でかつ耐磨耗性を有するマルテンサイトほぼ100%である。
【特許文献1】米国特許第6,571,926号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、対象となるクラッチ部品は、非常に多量の熱を発生する摺動環境で作動されるので、クラッチ部品は、破損及び過熱点での部分的破損を受け易い。様々な摩擦材料から作られかつ接触する複数の摩擦板の相互作用により、過熱点が形成される。過熱点領域は、温度815℃(1500°F)又はそれ以上の温度に加熱される。現在使用される材料は、超高硬度を有するが、過熱点温度は、共析変態点、オーステナイトの初晶線等の鋼の臨界温度、即ちオーステナイト化温度を超えることもあるため、過熱点領域の金属は、直ちに未焼戻マルテンサイトに変態又は変化することもある。クラッチ部品のクラッチディスクの表面上に生じる未焼戻マルテンサイト領域は、脆性破壊の起点となり、脆性破壊は、直ちに伝播して、クラッチ部品の最終的な欠陥となる。
【0005】
従って、本発明の目的は、変速機の使用環境でクラッチ又はブレーキに発生する温度に耐えられる改善された自動車部品を提供することである。また、本発明の別の目的は、金型圧密化工程、焼結工程及び急冷工程を含む粉末冶金技術を使用して、クラッチ又はブレーキ等の変速機部品に発生する温度に耐えられる自動車部品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による自動車部品を製造する好適な方法では、より計画的な冷却工程又は急冷工程を要する低焼入性の材料を利用して、耐磨耗性の強固なマルテンサイト硬質組織を形成することができる。好適な製造方法は、金型圧密化工程、焼結工程及びその後の焼入れ工程を含む従来の粉末冶金工程を含み、焼入れ工程では、重量基準でマルテンサイト50〜80%と、ベイナイト20〜50%と、少量の微細化パーライトほぼ10%未満とを含む金属微細組織を生じる冷却速度の環境で焼結材料を急冷する。急冷は、大気中冷却以外の他の急冷法を含んでもよい。1.05〜3.05℃/秒(1.9〜5.5°F/秒)の急冷速度で焼結材料を確実にマルテンサイトに変態させるが、深い焼入を行わないので、自動車部品の動作時に生じる部分的な過熱点により、未焼戻マルテンサイトが形成されない。金属微細組織中に未焼戻マルテンサイトが殆ど形成されないので、部分的高温に起因する破壊起点部位を十分に減少することができる。クラッチディスク等の自動車変速機部品又はクラッチブレーキ部品の動作寿命を大きく延長することができる。また、焼入れを減少する金属微細組織により、完成部品内で亀裂が伝播する金属材料の短所を抑制することができる。
【0007】
本発明の実施の形態による自動車部品の製造方法は、重量基準でニッケル0.35〜0.55%と、モリブデン0.50〜0.85%と、残部鉄とを含む合金前金属粉を準備する工程と、炭素0.60〜0.90%と、銅金属粉1.0〜3.0%とを含む添加金属粉を混合して混合金属粉を作成する工程とを含む。混合金属粉に適当な潤滑剤を加えて、潤滑剤含有混合金属粉を作成する。潤滑剤は、EBS(エチレン・ビス・ステアルアミド)ワックス、ステアリン酸金属塩又は金属粉の金型圧密化の使用に適する他の潤滑剤の何れかである。
【0008】
続いて、通常6154〜10000kg/cm2(40〜65ton/in2)の圧力下で潤滑剤含有混合金属粉を成形金型内で金型圧密化する。その後、窒素と水素との混合気体雰囲気中又は焼結と焼結硬化に適する他の雰囲気中で、圧密化した金属半加工品を焼結する。焼結工程自体は、通常、1090℃(2000°F)以上の温度、詳細には、1090℃(2000°F)〜1290℃(2350°F)の温度により少なくとも10分間実施される。その後、1.05〜3.05℃/秒(1.9〜5.5°F/秒)の速度で焼結温度を減少する急冷工程又は冷却工程により焼結金属半加工品自体を冷却又は急冷し、金属半加工品は、870℃(1600°F)〜1090℃(2000°F)の温度から230℃(450°F)〜260℃(500°F)の温度に低下する。その後、急冷金属半加工品は、175℃(350°F)〜230℃(450°F)の温度で少なくとも1時間焼戻され、急冷金属半加工品が適切に焼戻される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、変速機の使用環境で発生する高温に耐える信頼性の高いクラッチ又はブレーキ等の変速機部品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1〜図5について本発明の実施の形態を以下説明する。本明細書では、数値の上限値と下限値及び上限値と下限値との間の数値を含む用語「乃至」を「〜」で表わす。図1〜図5に示すように、本発明の実施の形態による例示的なクラッチ組立体10は、何れも共通の垂直軸16の周囲で回転可能な駆動部材12と、従動部材14とを備える。例示的なクラッチ組立体10は、従動部材14上の隣り合う駆動部材12間に配置される複数の爪(支柱、ストラット)18を更に備える。従動部材14に対して一方向(第1の方向)に駆動部材12が回転するときのみ、爪18は、駆動部材12を従動部材14に機械的に連結する。この装置は、通常一方向クラッチと呼ばれる。
【0011】
より詳細には、例示的なクラッチ組立体10の駆動部材12は、駆動部材12の回転軸16に対しほぼ直角な方向に延伸する第1の基準面24を形成するクラッチ面22を有する。動力支持用の肩部を有する複数の凹部が駆動部材12の各クラッチ面22に形成され、駆動部材12が一方向に回転するとき、クラッチ面22の各凹部は、所定の爪18の第1の端部に当接し係合する。本発明の実施の形態では、適当な形状に形成される全ての凹部を有する駆動部材12を企図するが、例示的なクラッチ組立体10では、駆動部材12の各凹部は、クラッチ組立体10の単一の爪18を収容するのに適する形状に形成される。図示のクラッチ装置では、爪18は、駆動部材12により支持されて駆動部材12と共に軸16の周囲を回転する。
【0012】
従動部材14は、クラッチ面34を同様に備え、クラッチ面34は、駆動部材12のクラッチ面22に対して接近し、一定距離離間しかつ反対側に配置される。従動部材14のクラッチ面34は、従動部材14の回転軸16に対してほぼ直角に延伸する基準面も含む。従動部材14のクラッチ面34は、駆動部材12の凹部の数より多い複数の凹部38も備える。爪18の第2の端部が凹部38に付勢されると、各従動部材14の凹部38は、所定の爪18の第2の端部を収容する。爪18の下方に配置されるばねにより、爪18は、通常駆動部材12の凹部内に押圧される。各従動部材14の凹部38は、荷重支持用の肩部46を備え、駆動部材12が従動部材14に対して一方向に回転するとき、肩部46は、所定の爪18の第2の端部に係合する。従動部材14は、クラッチディスク摩擦面を備える。クラッチディスク摩擦面は、使用時に激しい加熱を部分的に受ける。
【0013】
本発明のクラッチ部品又は変速機部品は、計画的な冷却工程又は急冷工程により、強固なマルテンサイト地の耐磨耗性金属組織を生ずる低合金鋼の低焼入性材料により形成される。本発明の製造方法では、所期の特性を有するクラッチ部品又は変速機部品が得られる。
【0014】
約言すると、本発明の一実施の形態による自動車部品の製造方法は、重量基準でニッケル0.35〜0.55%、モリブデン0.50〜0.85%及び残部鉄を含む合金前金属粉を準備する工程を含む。その後、炭素0.60〜0.90%と、銅1.0〜3.0%とを含む添加金属粉を合金前金属粉に混合して混合金属粉を作成する。粉末冶金法により適当な潤滑剤(減摩剤)を混合金属粉に加えて、潤滑剤含有混合金属粉を作成する。続いて、通常圧力6154〜10000kg/cm2(40〜65ton/in2)で潤滑剤含有混合金属粉を金型圧密化(金型圧縮)して、金型圧密化金属半加工品を形成する。更に、金型圧密化金属半加工品を焼結して、焼結金属半加工品を形成する。この焼結工程は、温度1090℃(2000°F)以上、詳細には1090℃(2000°F)〜1290℃(2350°F)で通常実施される。本発明の一実施の形態では、前記従動クラッチ部品又は駆動クラッチ部品の何れかである焼結金属半加工品をその後、冷却又は急冷して、冷却された金属半加工品を形成する。急冷工程又は冷却工程は、870℃(1600°F)〜1090℃(2000°F)から230℃(450°F)〜260℃(500°F)に焼結金属半加工品の温度を減少する。1.05〜3.05℃/秒(1.9〜5.5°F/秒)の冷却速度で冷却工程又は急冷工程を実施することが望ましい。その後、温度175℃(350°F)〜230℃(450°F)で少なくとも1時間、冷却又は急冷された金属半加工品を焼戻す。得られる自動車部品は、マルテンサイト50〜80%、ベイナイト20〜50%及び微細化パーライト通常10%未満から成る微細組織を有する。
【0015】
得られる自動車部品の材質は、容易にはマルテンサイトに変態しないので、クラッチ又は変速機の作動中に、自動車部品の部分的な過熱点がマルテンサイト変態を生じない。未焼戻マルテンサイトが殆どないので、得られる細微組織は、50%以下のベイナイトを含み、破壊起点部位が除去されるので、クラッチ部品又は変速機部品の耐用期間を延長することができる。この種のクラッチブレーキ部品又は変速機部品に以前使用した高焼入材料と比較すると、焼入を減少させて、材料の再硬化(焼入)特性を低減し、亀裂の成長と伝播とを更に阻止することができる。
【0016】
本発明を実施する方法の実施例を下記に説明する。
【実施例1】
【0017】
自動車用クラッチ部品を製造する方法では、重量基準でニッケル0.45%と、モリブデン0.65%と、残部鉄とを含む250〜1μm間の粒径を有する合金前金属粉を準備した。重量基準で黒鉛0.7%と、銅1.75%とを含む150〜1μm間の粒径を有する添加金属粉を混合して、混合金属粉を作成した。潤滑剤としてエチレン・ビス・ステアルアミド(EBS)0.5%を加えて、潤滑剤含有混合金属粉を作成した。6923kg/cm2(45ton/in2)の圧力で潤滑剤含有混合金属粉を圧密化した。続いて、温度1121℃(2050°F)で金型圧密化金属半加工品を15分間焼結した。その後、1回の使用につき初期温度1090℃(2000°F)から温度260℃(500°F)に冷却速度3.00℃/秒(5.4°F/秒)で焼結金属半加工品を急冷焼入れした。最後に、温度190℃(380°F)で60分間急冷金属半加工品を焼戻した。得られた材料は、マルテンサイト50〜55%、ベイナイト45〜50%及び微細化パーライト5%未満の金属微細組織を有する。得られた材料のロックウェル硬さは、約HA(Aスケール)40であった。
【実施例2】
【0018】
自動車クラッチ部品を製造する方法では、重量基準でニッケル0.45%と、モリブデン0.65%と、残部鉄とを含む250〜1μm範囲の粒径を有する合金前金属粉を準備した。重量基準で黒鉛0.9%と、銅1.75%とを含む150〜1μm範囲の粒径を有する添加金属粉を混合して、混合金属粉を作成した。潤滑剤としてエチレン・ビス・ステアルアミド0.5%を加えて、潤滑剤含有混合金属粉を作成した。圧力6923kg/cm2(45ton/in2)下で潤滑剤含有混合金属粉を圧密化した。続いて、温度1121℃(2050°F)で15分間金型圧密化金属半加工品を焼結した。その後、1回の使用につき初期温度1090℃(2000°F)から温度260℃(500°F)に冷却速度1.05℃/秒(1.9°F/秒)で焼結金属半加工品を急冷した。最後に、温度190℃(380°F)で60分間急冷金属半加工品を焼戻した。得られた材料は、マルテンサイト60〜65%、ベイナイト35〜40%及び微細化パーライト5%未満の金属微細組織を有する。得られた材料のロックウェル硬さは、約HA50であった。
【実施例3】
【0019】
自動車クラッチ部品を製造する方法では、重量基準でニッケル0.45%と、モリブデン0.65%と、残部鉄とを含む250〜1μm範囲の粒径を有する合金前金属粉を準備した。次に、重量基準で炭素0.9%と、銅1.75%とを含む150〜1μm範囲の粒径を有する添加金属粉を混合して、混合金属粉を作成した。潤滑剤としてエチレン・ビス・ステアルアミド0.5%を加えて、潤滑剤含有混合金属粉を作成した。圧力6923kg/cm2(45ton/in2)で潤滑剤含有混合金属粉を圧密化した。続いて、温度1121℃(2050°F)で金型圧密化金属半加工品を15分間焼結した。その後、1回の使用につき初期温度1090℃(2000°F)から温度260℃(500°F)に冷却速度1.0℃/秒(1.9°F/秒)で焼結金属半加工品を急冷した。最後に、温度190℃(380°F)で急冷金属半加工品を60分間焼戻した。得られた材料は、マルテンサイト80%、ベイナイト20%及び微細化パーライト1%未満の金属微細組織を有する。得られた材料のロックウェル硬さは、約HA58であった。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、自動車用クラッチ部品又は自動車用変速機部品に良好に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態によるクラッチ組立体の斜視図
【図2】本発明の実施の形態によるクラッチ部品のポケット付きクラッチディスクの斜視図
【図3】本発明の実施の形態によるクラッチ部品のポケット付きクラッチディスクの底面図
【図4】本発明の実施の形態によるクラッチ部品の切欠付きクラッチディスクの斜視図
【図5】本発明の実施の形態によるクラッチ部品の切欠付きクラッチディスクの底面図
【符号の説明】
【0022】
(10)・・クラッチ組立体、 (12)・・駆動部材、 (14)・・従動部材、 (16)・・垂直軸、 (18)・・爪、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量基準でニッケル0.35〜0.55%と、モリブデン0.50〜0.85%と、残部鉄とを含む合金前金属粉を準備する工程と、
重量基準で炭素0.60〜0.90%と、銅1.0〜3.0%とを含む添加金属粉を合金前金属粉に混合して、混合金属粉を作成する工程と、
潤滑剤を混合金属粉に加えて、潤滑剤含有混合金属粉を作成する工程と、
潤滑剤含有混合金属粉を金型圧密化して、金型圧密化金属半加工品を形成する工程と、
金型圧密化金属半加工品を焼結して、焼結金属半加工品を形成する工程と、
焼結金属半加工品を冷却して、マルテンサイト50〜80%と、ベイナイト20〜50%と、微細化パーライトとを含む金属組織を有する金属半加工品を形成する工程とを含むことを特徴とする自動車部品の製造方法。
【請求項2】
潤滑剤は、エチレン・ビス・ステアルアミド・ワックス、ステアリン酸金属塩又は金属粉の金型圧密化に適する他の潤滑剤の何れか1つである請求項1に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項3】
初期金属粉は、250〜1μm範囲の粒径を有する請求項1に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項4】
混合金属粉は、150〜1μm範囲の粒径を有する請求項1に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項5】
6154〜10000kg/cm2(40〜65ton/in2)範囲の圧力により金型圧密化を実施する請求項1に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項6】
1090℃(2000°F)を超える温度で焼結工程を実施する請求項1に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項7】
1090℃(2000°F)〜1290℃(2350°F)範囲の温度で焼結工程を実施する請求項1に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項8】
少なくとも10分間焼結工程を実施する請求項6に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項9】
少なくとも10分間焼結工程を実施する請求項7に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項10】
冷却工程により窒素と水素又は生成吸熱性気体の雰囲気中で焼入れを行う請求項1に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項11】
870℃(1600°F)〜1090℃(2000°F)から230℃(450°F)〜260℃(500°F)まで焼結金属半加工品の温度を低下させて冷却工程を行う請求項1に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項12】
1.05〜3.05℃/秒(1.9〜5.5°F/秒)の冷却速度で焼結金属半加工品の冷却工程を実施する請求項1に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項13】
温度175℃(350°F)〜230℃(450°F)で少なくとも1時間冷却金属半加工品を焼戻す請求項1に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項14】
重量基準でニッケル0.35〜0.55%と、モリブデン0.50〜0.85%と、銅1.0〜3.0%と、残部鉄との金属組成を有し、
マルテンサイト50〜80%と、ベイナイト20〜50%と、微細化パーライトとを含む金属組織を有することを特徴とする自動車部品。
【請求項15】
約HRA45のロックウェル硬さを有する請求項14に記載の自動車部品。
【請求項16】
金型圧密化工程、焼結工程及び冷却工程を含む粉末冶金工程により製造する請求項14に記載の自動車部品。
【請求項17】
重量基準でニッケル0.35〜0.55%と、モリブデン0.50〜0.85%と、残部鉄とを含む初期金属粉を準備する工程と、
重量基準で炭素0.60〜0.90%と、銅1.0〜3.0%とを含む添加金属粉を混合して、混合金属粉を作成する工程と、
適当な潤滑剤を混合金属粉に加えて、潤滑剤含有混合金属粉を作成する工程と、
潤滑剤含有混合金属粉を金型圧密化して、金型圧密化金属半加工品を形成する工程と、
金型圧密化金属半加工品を焼結して、焼結金属半加工品を形成する工程と、
焼結金属半加工品を冷却して、マルテンサイト50〜80%と、ベイナイト20〜50%と、微細化パーライトとを含む金属組織を有する金属半加工品を形成する工程とを含むことを特徴とする自動車部品の製造方法。
【請求項18】
潤滑剤は、エチレン・ビス・ステアルアミド・ワックス、ステアリン酸金属塩又は金属粉の金型圧密化に適する他の潤滑剤の何れか1つである請求項17に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項19】
初期金属粉は、250〜1μm範囲の粒径を有する請求項17に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項20】
混合金属粉は、150〜1μm範囲の粒径を有する請求項17に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項21】
6154〜10000kg/cm2(40〜65ton/in2)範囲の圧力により金型圧密化を実施する請求項17に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項22】
1090℃(2000°F)を超える温度で焼結工程を実施する請求項17に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項23】
1090℃(2000°F)〜1290℃(2350°F)範囲の温度で焼結工程を実施する請求項17に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項24】
少なくとも10分間焼結工程を実施する請求項22に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項25】
少なくとも10分間焼結工程を実施する請求項23に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項26】
窒素と水素又は生成吸熱性気体の雰囲気中で急冷して冷却工程を実施する請求項17に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項27】
870℃(1600°F)〜1090℃(2000°F)から230℃(450°F)〜260℃(500°F)まで焼結金属半加工品の温度を低下させて冷却工程を行う請求項17に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項28】
1.05〜3.05℃/秒(1.9〜5.5°F/秒)の冷却速度で焼結金属半加工品の冷却工程を実施する請求項17に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項29】
175℃(350°F)〜230℃(450°F)範囲の温度で少なくとも1時間冷却金属半加工品を焼戻す請求項17に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項30】
重量基準でニッケル0.35〜0.55%と、モリブデン0.50〜0.85%と、残部鉄とを含む初期金属粉を準備する工程と、
重量基準で銅1.0〜3.0%を含む添加金属粉を初期金属粉に混合して、混合金属粉を作成する工程と、
混合金属粉に適当な潤滑剤を加えて、潤滑剤含有混合金属粉を作成する工程と、
潤滑剤含有混合金属粉を金型圧密化して、金型圧密化金属半加工品を形成する工程と、
金型圧密化金属半加工品を焼結して、焼結金属半加工品を形成する工程と、
焼結金属半加工品を冷却して、マルテンサイト50〜80%と、ベイナイト20〜50%と、微細化パーライトとを含む金属組織を有する冷却金属半加工品を形成する工程とを含むことを特徴とする自動車部品の製造方法。
【請求項31】
潤滑剤は、エチレン・ビス・ステアルアミド・ワックス、ステアリン酸金属塩又は金属粉の金型圧密化に適する他の潤滑剤の何れか1つである請求項30に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項32】
初期金属粉は、250〜1μm範囲の粒径を有する請求項30に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項33】
混合金属粉は、150〜1μm範囲の粒径を有する請求項30に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項34】
6154〜10000kg/cm2(40〜65ton/in2)範囲の圧力により金型圧密化を実施する請求項30に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項35】
1090℃(2000°F)を超える温度で焼結工程を実施する請求項30に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項36】
1090℃(2000°F)〜1290℃(2350°F)範囲の温度で焼結工程を実施する請求項30に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項37】
少なくとも10分間焼結工程を実施する請求項35に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項38】
少なくとも10分間焼結工程を実施する請求項36に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項39】
窒素と水素又は生成吸熱性気体の雰囲気中で急冷して冷却工程を実施する請求項30に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項40】
870℃(1600°F)〜1090℃(2000°F)から230℃(450°F)〜260℃(500°F)まで焼結金属半加工品の温度を低下させて冷却工程を行う請求項30に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項41】
1.05〜3.05℃/秒(1.9〜5.5°F/秒)の冷却速度で焼結金属半加工品の冷却工程を実施する請求項30に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項42】
175℃(350°F)〜230℃(450°F)の温度で少なくとも1時間冷却金属半加工品を焼戻す請求項30に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項43】
重量基準でニッケル0.35〜0.55%と、モリブデン0.50〜0.85%と、残部鉄とを含む初期金属粉を準備する工程と、
重量基準で銅1.0〜3.0%を含む添加金属粉を初期金属粉に混合して、混合金属粉を作成する工程と、
適当な潤滑剤を混合金属粉に加えて、潤滑剤含有混合金属粉を作成する工程と、
潤滑剤含有混合金属粉を金型圧密化して、金型圧密化金属半加工品を形成する工程と、
金型圧密化金属半加工品を焼結して、焼結金属半加工品を形成する工程と、
焼結金属半加工品を冷却して、マルテンサイト50〜80%と、ベイナイト20〜50%と、微細化パーライトとを含む金属組織を有する冷却金属半加工品を形成する工程とを含むことを特徴とする自動車部品の製造方法。
【請求項44】
潤滑剤は、エチレン・ビス・ステアルアミド・ワックス、ステアリン酸金属塩又は金属粉の金型圧密化に適する他の潤滑剤の何れか1つである請求項43に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項45】
初期金属粉は、250〜1μm範囲の粒径を有する請求項43に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項46】
混合金属粉は、150〜1μm範囲の粒径を有する請求項43に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項47】
6154〜10000kg/cm2(40〜65ton/in2)範囲の圧力により金型圧密化を実施する請求項43に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項48】
1090℃(2000°F)を超える温度で焼結工程を実施する請求項43に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項49】
1090℃(2000°F)〜1290℃(2350°F)範囲の温度で焼結工程を実施する請求項43に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項50】
少なくとも10分間焼結工程を実施する請求項48に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項51】
少なくとも10分間焼結工程を実施する請求項49に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項52】
窒素と水素又は生成吸熱性気体の雰囲気中で急冷して冷却工程を実施する請求項43に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項53】
870℃(1600°F)〜1090℃(2000°F)から230℃(450°F)〜260℃(500°F)まで焼結金属半加工品の温度を低下させる冷却工程を実施する請求項43に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項54】
1.05〜3.05℃/秒(1.9〜5.5°F/秒)の冷却速度で焼結金属半加工品の冷却工程を実施する請求項43に記載の自動車部品の製造方法。
【請求項55】
175℃(350°F)〜230℃(450°F)の温度で少なくとも1時間冷却金属半加工品を焼戻す請求項43に記載の自動車部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−169469(P2008−169469A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273569(P2007−273569)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(507012308)バージェス・ノートン・マニュファクチャリング・カンパニー・インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】