クランプ
【課題】外径が異なる複数の管体を保持するにあたり、全ての管体を適切なクランプ力で保持できるようにする。
【解決手段】複数の管体を挟み込む一対のクランプ部材1,2からなり、その各クランプ部材1,2が、複数の凹部31,32が形成された弾性体3とこの弾性体3の外側面に固着された補強板4によって構成されたクランプにおいて、全ての管体に対する弾性体の圧縮率が同一となるように弾性体の各部の寸法を設定する。例えば、外径が異なる2本の管体の直径をD1、D2、弾性体3の凹部31,32の曲率半径をR1、R2、弾性体3の合わせ面から補強板4までの距離をL11・・L22とすると、[(D1−2R1)/(L11+L12−2R1)=(D2−2R2)/(L21+L22−2R2)の関係を満たすように弾性体3の各部の寸法を設定する。
【解決手段】複数の管体を挟み込む一対のクランプ部材1,2からなり、その各クランプ部材1,2が、複数の凹部31,32が形成された弾性体3とこの弾性体3の外側面に固着された補強板4によって構成されたクランプにおいて、全ての管体に対する弾性体の圧縮率が同一となるように弾性体の各部の寸法を設定する。例えば、外径が異なる2本の管体の直径をD1、D2、弾性体3の凹部31,32の曲率半径をR1、R2、弾性体3の合わせ面から補強板4までの距離をL11・・L22とすると、[(D1−2R1)/(L11+L12−2R1)=(D2−2R2)/(L21+L22−2R2)の関係を満たすように弾性体3の各部の寸法を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の燃料系統、ブレーキ系統や冷却系統などにおいて流体を流通させる管体(パイプ)を保持するクランプに関し、特に、複数の管体を連結保持して管体自体が受ける振動を防止するのに適したクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のエンジンルーム等には、燃料パイプ、ブレーキパイプや冷却系パイプなどの管体が配管されている。これらの管体は自動車の振動を受けることから、その振動を防止するために、管体をクランプによって保持するという方法が採られている。
【0003】
管体のクランプとしては、従来、クランプ本体とパイプ保持部とが一体成形され、そのパイプ保持部にて燃料パイプなどの管体を挟持する構造の樹脂製のクランプがある。
【0004】
また、複数の管体を挟み込む一対のクランプ部材からなるクランプであって、その各クランプ部材が、複数の凹部を有する弾性体とこの弾性体の外側面に固着された補強板によって構成されており、前記弾性体の各凹部にそれぞれ管体を配置した状態で一対のクランプ部材を合わせることにより、複数の管体を凹部にて嵌着する構造のクランプが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載のクランプによれば、複数の管体を弾性体の凹部で嵌着保持する構造であるので、保持した管体が受ける振動を減衰することができる。
【特許文献1】実公平6−6253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したような弾性体の凹部にて管体を保持する構造のクランプにおいて、同一外径の複数の管体を保持する場合は問題がないが、外径が異なる複数の管体を保持する場合、弾性体の圧縮率や締め代([管体の径]−[凹部の径])などの条件によって管体が変形することがあり、また、防振効果が得られなくなる場合がある。
【0006】
例えば、弾性体の凹部にて保持する構造のクランプを用いて、外径が異なる複数の管体を保持する際に、各管体の締め代が同一であり、その締め代が大径の管体に応じた寸法となっている場合、小径の管体に加わる力が小さくなってクランプ保持が緩み、防振効果が得られなくなる。一方、小径の管体に応じた締め代となっている場合には、大径の管体に加わる力が過大となってしまい、大径の管体が変形するおそれがある。また、弾性体の圧縮具合によっては小径の管体が変形する場合もある。
【0007】
さらに、各管体の締め代が同一であると、経時劣化により弾性体にへたりが生じた場合に、径違いの管体間において拘束力の低下が不均一となるため、大径もしくは小径の管体のクランプ保持が緩んで防振効果が得られなくなる。
【0008】
本発明はそのような問題を解消するためになされたもので、外径が異なる複数の管体を保持するにあたり、全ての管体を適切なクランプ力で保持することが可能であり、これによって管体の変形が生じるおそれがなく、しかも、良好な防振効果を得ることが可能なクランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のクランプは、複数の円形断面の管体を挟み込む一対のクランプ部材を有し、そ
の各クランプ部材が、複数の凹部を有する弾性体とこの弾性体の外側面に固着された補強板とからなり、前記弾性体の各凹部に管体を配置した状態で当該一対のクランプ部材を合わせることにより、複数の管体を前記複数の凹部にて保持する構造のクランプにおいて、前記複数の管体のうち、n(n=正の整数(1,2,3,・・・))番目の管体の直径をDn、n番目の管体を保持する前記凹部の曲率半径をRn、n番目の凹部の管体保持中心を通り前記弾性体の合わせ面に直交する方向における当該弾性体の合わせ面から一対の補強板の各内側表面までの距離をそれぞれLn1,Ln2とすると、前記弾性体の圧縮率が[(D1−2R1)/(L11+L12−2R1)=(D2−2R2)/(L21+L22−2R2)=・・・=(Dn−2Rn)/(Ln1+Ln2−2Rn)]の関係を満たしていることを特徴とする。
【0010】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0011】
まず、本発明は、凹部が形成された弾性体を用いたクランプにおいて、外径が異なる複数の管体を連結保持するにあたり、管体が変形することがなく、しかも弾性体の緩みが発生せずに良好な防振効果を得るための条件を見出したものであり、上記したように、管体の直径をDn、弾性体の凹部の曲率半径Rn、弾性体の合わせ面から補強板までの距離Ln1,Ln2としたとき、[(D1−2R1)/(L11+L12−2R1)=(D2−2R2)/(L21+L22−2R2)=・・・=(Dn−2Rn)/(Ln1+Ln2−2Rn)]の関係を満たすようにすること、つまり、各管体の締め代を同一にするのではなく、径違いの全ての管体について弾性体の圧縮率が同一となるように弾性体の各部の寸法を設定する点に特徴がある。
【0012】
そして、このように径違いの全ての管体に対する弾性体の圧縮率を同一とすることにより、径違いの管体に加わる応力が過大もしくは過小になることがなくなって、全ての管体について適切なクランプ力を得ることができるので、管体が変形することがなくなる。しかも、経時劣化による弾性体のへたりが生じても、その弾性体のへたりによる拘束力の低下が全ての管体において均一となり、クランプ保持が緩むことがなくなる。
【0013】
ここで、本発明のクランプにおいて、前記弾性体の材質は、特に限定されないが、燃料系パイプなどを対象とする場合、強いクランプ力が要求されるので、弾性体としてはクロロプレンゴムなどのゴムを用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の管体を挟み込む一対のクランプ部材からなり、その各クランプ部材が、複数の凹部が形成された弾性体とこの弾性体の外側面に固着された補強板によって構成されたクランプにおいて、外径が異なる複数の管体を保持するにあたり、全ての管体に対する弾性体の圧縮率が同一となるように弾性体の各部の寸法を設定しているので、全ての管体を適切なクランプ力で均一に保持することができ、管体が変形することがなくなる。しかも、経時劣化による弾性体のへたりが生じても拘束力が局部的に低下することがないので、長期間にわたって良好なクランプ状態を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
<実施例1>
図1は本発明のクランプの一例を分解した状態で示す縦断面図、図2はそのクランプの分解斜視図である。図3及び図4はそれぞれ図1のクランプを使用状態で示す正面図及び斜視図である。
【0017】
この例のクランプは、自動車の燃料パイプやブレーキパイプなどのパイプ(管体)を保持するクランプであって、外径が異なる2本のパイプP1,P2を挟持する一対のクランプ部材1,2によって構成されている。各クランプ部材1,2はそれぞれ弾性保持体3と補強板4を備えている。
【0018】
各弾性保持体3,3はクロロプレンゴムの加工品である。これら2つの弾性保持体3,3は互いに対称な形状に加工されており、その各弾性保持体3,3の合わせ面30を互いに突き合わせることにより、全体として略矩形のブロック状の部材となる。各弾性保持体3,3の合わせ面30には、それぞれ、曲率半径が異なる2つの半円筒形状の凹部31,32が互いに平行に形成されており、これら2つの弾性保持体3,3を合わせた状態で、大径と小径の2本のパイプP1,P2を嵌着保持するための円筒形状の穴が形成される。また、各弾性保持体3,3の中央部にはボルト貫通用の貫通穴33が加工されている。
【0019】
各補強板4,4は、鉄板を略コ字形状に折り曲げ加工した部材で、弾性保持体3の外側面に接着剤にて固着されている。各補強板4,4の中央部にはそれぞれボルト貫通用の貫通穴41が加工されている。これら2つの補強板4,4のうち、一方の補強板4(図1において下側に位置するクランプ部材2の補強板4)の外面の中央部に六角ナット5が溶接にて固着されている。なお、補強板4の貫通穴41及び六角ナット5の各中心と、前記した弾性保持体3の貫通穴33の各中心は略一致している。
【0020】
そして、この例においては、弾性保持体3の各凹部31,32の曲率半径が、各パイプP1,P2の半径に対して小さく設定されており、その凹部31,32の曲率半径とパイプP1,P2の半径との差つまり締め代によって各パイプP1,P2に対する拘束力が発生するようになっている。この弾性保持体3の締め代及び圧縮率等については後述する。
【0021】
以上のクランプC1を用いて、外径が異なる2本のパイプP1,P2を連結保持する場合、図1及び図2に示すように、一対のクランプ部材1,2を分解しておき、その一方のクランプ部材2(六角ナット付き)を2本のパイプP1,P2の下方に配置し、もう一方のクランプ部材1を2本のパイプP1,P2の上方に配置する。次に、各クランプ部材1,2の弾性保持体3の各凹部31,32をそれぞれ対応するパイプP1,P2に位置合わせするとともに、一対のクランプ部材1,2を合わせた状態で、補強板4の貫通穴41及び弾性保持体3の貫通穴33に六角ボルト6を上方から挿し込み、その六角ボルト6の先端を六角ナット5にねじ込むことによって一対のクランプ部材1,2を相互に連結する(図3及び図4)、という手順で連結保持を行う。このような連結作業により、各弾性保持体3,3が締め代に相当する量だけ圧縮されて、その弾性保持体3,3の弾性力にて各パイプP1,P2に拘束力が加わって、パイプP1,P2が強いクランプ力で保持される。
【0022】
次に、本発明の特徴部分である弾性保持体の各部の寸法について説明する。
【0023】
この例では、2本のパイプP1,P2を保持する弾性保持体3,3の圧縮率が、大径のパイプP1と小径のパイプP2において同一となるように、弾性保持体3,3の各部の寸法を設定する。
【0024】
具体的には、クランプ保持を行う大径のパイプP1の直径をD1、小径のパイプP2の直径をD2とし、また、図5に示すように、弾性保持体3の大径側の凹部31の曲率半径をR1、小径側の凹部32の曲率半径をR2、大径側の凹部31のパイプ保持中心を通り弾性保持体3の合わせ面30に直交する方向の距離で、弾性保持体3の合わせ面30から各補強板4の内側表面までの距離をL11,L12、同じく小径側の凹部32における距離をL21,L22とすると、下記の圧縮率αの演算式(1)式を満足するように、弾性保持体3,3の各部の寸法を設定する。
【0025】
α=(D1−2R1)/(L11+L12−2R1)=(D2−2R2)/(L21+L22−2R2)・・(1)
なお、演算式(1)の分子の項(D1−2R1)及び(D2−2R2)は、弾性保持体3の締め代である。
【0026】
さらに、この例では2つの弾性保持体3,3が対称形状であるので、L11=L12、L21=L22であり、L11とL12をL1、L21とL22をL2とし、D1=2r1、D2=2r2とすると、上記した圧縮率αの演算式(1)は、
α=(r1−R1)/(L1−R1)=(r2−R2)/(L2−R2)・・(2)
と表すことができ、この演算式(2)を満足するように、弾性保持体3,3の各部の寸法を設定して、弾性保持体3,3の圧縮率が、大径のパイプP1と小径のパイプP2において同一となるようにする。
【0027】
具体的な設定手法を説明すると、まず、弾性保持体3の最適な圧縮率αを試験等により予め決定しておく。次に、大径のパイプP1の締め代(r1−R1)の推奨値から大径側の凹部31の曲率半径R1を決定して、その曲率半径R1及び大径パイプP1の半径r1と予め決定した圧縮率αを用いて上記した演算式(2)にて大径側の距離L1を求める。そして、この例では、大径側の距離L1と小径側の距離L2とが同じ(L1=L2)であるので、α=(r2−R2)/(L1−R2)から変換した演算式[R2=(r2−αL1)/(1−α)]を用いて、小径側の凹部32の曲率半径R2を求めて、小径のパイプP2の締め代(r2−R2)を決定する。
【0028】
なお、以上の手法では、大径のパイプP1の締め代を基にして各部の寸法を求めているが、小径のパイプP2の締め代(推奨値)を基にして各部の寸法を求めるようにしてもよい。
【0029】
また、大径側の距離L1と小径側の距離L2とが異なる構造を採用する場合、各パイプP1,P2の締め代(r1−R1),(r2−R2)の推奨値から、それぞれ、各凹部31,32の曲率半径R1,R2を決定して、それら曲率半径R1,R2及び各パイプP1,P2の半径r1、r2と圧縮率αを用いて上記した演算式(2)にて距離L1,L2を求めるようにしてもよい。
【0030】
そして、以上のような演算・設定によって、大径のパイプP1と小径のパイプP2について弾性保持体3の圧縮率を同一とすることにより、クランプ状態において各パイプP1,P2に加わる応力が過大もしくは過小になることがなくなるので、各パイプP1,P2を適切なクランプ力で保持することができる。しかも、経時劣化による弾性保持体3のへたりが生じても、その弾性保持体3のへたりによる拘束力の低下が各パイプP1,P2において均一となり、クランプ保持が緩むことがなくなる。
【0031】
ここで、以上の例では、2本のパイプP1,P2を保持するクランプについて説明したが、本発明はこれに限られることなく、連結保持するパイプの数は3本以上であってもよい。例えば、図6〜図8に示すように、外径が異なる4本のパイプP1〜P4を連結保持するクランプC2にも適用可能である。
【0032】
この場合、クランプ保持を行う各パイプP1,P2,P3,P4の直径をD1,D2,D3,D4とし、また、図9に示すように、各クランプ部材101,102の弾性保持体103の各凹部131,132,133,134の曲率半径をそれぞれR1,R2,R3,R4、弾性保持体103の合わせ面130から各補強板104の内側表面までの距離をそれぞれL11,L12・・・L41,L42とすると、下記の圧縮率αの演算式(3)
式を満足するように、弾性保持体103,103の各部の寸法を設定する。なお、具体的な設定手法は、上記と同様な手法を採用すればよい。
【0033】
α=(D1−2R1)/(L11+L12−2R1)=(D2−2R2)/(L21+L22−2R2)=(D3−2R3)/(L31+L32−2R3)=(D4−2R4)/(L41+L42−2R4)・・(3)
さらに、この例において、2つの弾性保持体103,103が対称形状である場合、L11=L12、・・・、L41=L42となるので、L11とL12をL1、L21とL22をL2、L31とL32をL3、L41とL42をL4とし、各パイプP1,P2,P3,P4の半径をr1,r2,r3,r4とすると、上記した圧縮率αの演算式(3)は、
α=(r1−R1)/(L1−R1)=(r2−R2)/(L2−R2)=(r3−R3)/(L3−R3)=(r4−R4)/(L4−R4)・・(4)
と表すことができ、この演算式(4)を満足するように、弾性保持体103,103の各部の寸法を設定するようにしてもよい。
【0034】
なお、一対の弾性保持体が対称形状である場合、前記した演算式(2)及び(4)と同様に各部の寸法を定義すると、n本のパイプを保持する場合の一般式は、下記のように表すことができる。
【0035】
α=(r1−R1)/(L1−R1)=(r2−R2)/(L2−R2)=・・・=(rn−Rn)/(Ln−Rn)・・(5)
<実施例2>
図10は本発明のクランプの別の例を分解した状態で示す縦断面図である。図11及び図12はそれぞれ図10のクランプを使用状態で示す正面図及び斜視図である。
【0036】
この例のクランプC3は、前記した図1〜図5の構造において、一対のクランプ部材201,202の弾性保持体213,223及び補強板214,224をそれぞれ非対称の形状とし、その一方の弾性保持体213(図10において上側の弾性保持体)の距離L11(図13参照)を、他方の弾性保持体223(図10において下側の弾性保持体)の距離L12(図13参照)に対して小さくしている点に特徴があり、それ以外の構成は図1〜図5のクランプC1と同じである。
【0037】
このように、一対の弾性保持体213,223を非対称の形状とし、凹部231、232と凹部233,234についても非対称の形状としても、これら2つの弾性保持体213,223を合わせた状態での全体の圧縮率は、各部の寸法を図13に示すように定義すると、大径のパイプP1側の圧縮率は[α=(D1−2R1)/(L11+L12−2R1)]、小径のパイプP2側の圧縮率は[α=(D2−2R2)/(L21+L22−2R2)]と表すことができる。
【0038】
従って、この例の場合においても、圧縮率の演算式[α=(D1−2R1)/(L11+L12−2R1)=(D2−2R2)/(L21+L22−2R2)・・(1)]を満足するように、各弾性保持体213,223の各部の寸法を設定して、弾性保持体213,223の圧縮率が大径のパイプP1と小径のパイプP2において同一となるようにすればよい。
【0039】
なお、以上の各例では、一対のクランプ部材を別体としているが、本発明はこれに限られることなく、一対のクランプ部材をヒンジ等を介して相互に連結した一体化構造とし、それら一対のクランプ部材の開閉操作により複数のパイプを連結保持するようにしてもよい。
【0040】
ここで、本発明は、自動車の燃料パイプやブレーキパイプなどの自動車用パイプを連結保持するクランプに限られることなく、自動車以外に使用される他の各種のパイプを連結保持するクランプにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のクランプは、例えば自動車等の燃料系統、ブレーキ系統や冷却系統などにおいて流体を流通させるパイプの連結保持に用いることができ、特に、外径が異なる複数のパイプを連結保持するのに有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のクランプの一例を分解した状態で示す縦断面図である。
【図2】図1のクランプの分解斜視図である。
【図3】図1のクランプを使用状態で示す正面図である。
【図4】図1のクランプを使用状態で示す斜視図である。
【図5】図1のクランプに用いる弾性保持体の各部の寸法を示す図である。
【図6】本発明のクランプの他の例を分解した状態で示す縦断面図である。
【図7】図6のクランプを使用状態で示す正面図である。
【図8】図6のクランプを使用状態で示す斜視図である。
【図9】図6のクランプに用いる弾性保持体の各部の寸法を示す図である。
【図10】本発明のクランプの別の例を分解した状態で示す縦断面図である。
【図11】図10のクランプを使用状態で示す正面図である。
【図12】図10のクランプを使用状態で示す斜視図である。
【図13】図10のクランプに用いる弾性保持体の各部の寸法を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
C1 クランプ
1,2 クランプ部材
3 弾性保持体(弾性体)
30 弾性保持体の合わせ面
31 凹部(大径側)
32 凹部(小径側)
33 貫通穴
4 補強板
41 貫通穴
5 六角ナット
6 六角ボルト
P1 パイプ(大径)
P2 パイプ(小径)
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の燃料系統、ブレーキ系統や冷却系統などにおいて流体を流通させる管体(パイプ)を保持するクランプに関し、特に、複数の管体を連結保持して管体自体が受ける振動を防止するのに適したクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車のエンジンルーム等には、燃料パイプ、ブレーキパイプや冷却系パイプなどの管体が配管されている。これらの管体は自動車の振動を受けることから、その振動を防止するために、管体をクランプによって保持するという方法が採られている。
【0003】
管体のクランプとしては、従来、クランプ本体とパイプ保持部とが一体成形され、そのパイプ保持部にて燃料パイプなどの管体を挟持する構造の樹脂製のクランプがある。
【0004】
また、複数の管体を挟み込む一対のクランプ部材からなるクランプであって、その各クランプ部材が、複数の凹部を有する弾性体とこの弾性体の外側面に固着された補強板によって構成されており、前記弾性体の各凹部にそれぞれ管体を配置した状態で一対のクランプ部材を合わせることにより、複数の管体を凹部にて嵌着する構造のクランプが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載のクランプによれば、複数の管体を弾性体の凹部で嵌着保持する構造であるので、保持した管体が受ける振動を減衰することができる。
【特許文献1】実公平6−6253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したような弾性体の凹部にて管体を保持する構造のクランプにおいて、同一外径の複数の管体を保持する場合は問題がないが、外径が異なる複数の管体を保持する場合、弾性体の圧縮率や締め代([管体の径]−[凹部の径])などの条件によって管体が変形することがあり、また、防振効果が得られなくなる場合がある。
【0006】
例えば、弾性体の凹部にて保持する構造のクランプを用いて、外径が異なる複数の管体を保持する際に、各管体の締め代が同一であり、その締め代が大径の管体に応じた寸法となっている場合、小径の管体に加わる力が小さくなってクランプ保持が緩み、防振効果が得られなくなる。一方、小径の管体に応じた締め代となっている場合には、大径の管体に加わる力が過大となってしまい、大径の管体が変形するおそれがある。また、弾性体の圧縮具合によっては小径の管体が変形する場合もある。
【0007】
さらに、各管体の締め代が同一であると、経時劣化により弾性体にへたりが生じた場合に、径違いの管体間において拘束力の低下が不均一となるため、大径もしくは小径の管体のクランプ保持が緩んで防振効果が得られなくなる。
【0008】
本発明はそのような問題を解消するためになされたもので、外径が異なる複数の管体を保持するにあたり、全ての管体を適切なクランプ力で保持することが可能であり、これによって管体の変形が生じるおそれがなく、しかも、良好な防振効果を得ることが可能なクランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のクランプは、複数の円形断面の管体を挟み込む一対のクランプ部材を有し、そ
の各クランプ部材が、複数の凹部を有する弾性体とこの弾性体の外側面に固着された補強板とからなり、前記弾性体の各凹部に管体を配置した状態で当該一対のクランプ部材を合わせることにより、複数の管体を前記複数の凹部にて保持する構造のクランプにおいて、前記複数の管体のうち、n(n=正の整数(1,2,3,・・・))番目の管体の直径をDn、n番目の管体を保持する前記凹部の曲率半径をRn、n番目の凹部の管体保持中心を通り前記弾性体の合わせ面に直交する方向における当該弾性体の合わせ面から一対の補強板の各内側表面までの距離をそれぞれLn1,Ln2とすると、前記弾性体の圧縮率が[(D1−2R1)/(L11+L12−2R1)=(D2−2R2)/(L21+L22−2R2)=・・・=(Dn−2Rn)/(Ln1+Ln2−2Rn)]の関係を満たしていることを特徴とする。
【0010】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0011】
まず、本発明は、凹部が形成された弾性体を用いたクランプにおいて、外径が異なる複数の管体を連結保持するにあたり、管体が変形することがなく、しかも弾性体の緩みが発生せずに良好な防振効果を得るための条件を見出したものであり、上記したように、管体の直径をDn、弾性体の凹部の曲率半径Rn、弾性体の合わせ面から補強板までの距離Ln1,Ln2としたとき、[(D1−2R1)/(L11+L12−2R1)=(D2−2R2)/(L21+L22−2R2)=・・・=(Dn−2Rn)/(Ln1+Ln2−2Rn)]の関係を満たすようにすること、つまり、各管体の締め代を同一にするのではなく、径違いの全ての管体について弾性体の圧縮率が同一となるように弾性体の各部の寸法を設定する点に特徴がある。
【0012】
そして、このように径違いの全ての管体に対する弾性体の圧縮率を同一とすることにより、径違いの管体に加わる応力が過大もしくは過小になることがなくなって、全ての管体について適切なクランプ力を得ることができるので、管体が変形することがなくなる。しかも、経時劣化による弾性体のへたりが生じても、その弾性体のへたりによる拘束力の低下が全ての管体において均一となり、クランプ保持が緩むことがなくなる。
【0013】
ここで、本発明のクランプにおいて、前記弾性体の材質は、特に限定されないが、燃料系パイプなどを対象とする場合、強いクランプ力が要求されるので、弾性体としてはクロロプレンゴムなどのゴムを用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の管体を挟み込む一対のクランプ部材からなり、その各クランプ部材が、複数の凹部が形成された弾性体とこの弾性体の外側面に固着された補強板によって構成されたクランプにおいて、外径が異なる複数の管体を保持するにあたり、全ての管体に対する弾性体の圧縮率が同一となるように弾性体の各部の寸法を設定しているので、全ての管体を適切なクランプ力で均一に保持することができ、管体が変形することがなくなる。しかも、経時劣化による弾性体のへたりが生じても拘束力が局部的に低下することがないので、長期間にわたって良好なクランプ状態を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
<実施例1>
図1は本発明のクランプの一例を分解した状態で示す縦断面図、図2はそのクランプの分解斜視図である。図3及び図4はそれぞれ図1のクランプを使用状態で示す正面図及び斜視図である。
【0017】
この例のクランプは、自動車の燃料パイプやブレーキパイプなどのパイプ(管体)を保持するクランプであって、外径が異なる2本のパイプP1,P2を挟持する一対のクランプ部材1,2によって構成されている。各クランプ部材1,2はそれぞれ弾性保持体3と補強板4を備えている。
【0018】
各弾性保持体3,3はクロロプレンゴムの加工品である。これら2つの弾性保持体3,3は互いに対称な形状に加工されており、その各弾性保持体3,3の合わせ面30を互いに突き合わせることにより、全体として略矩形のブロック状の部材となる。各弾性保持体3,3の合わせ面30には、それぞれ、曲率半径が異なる2つの半円筒形状の凹部31,32が互いに平行に形成されており、これら2つの弾性保持体3,3を合わせた状態で、大径と小径の2本のパイプP1,P2を嵌着保持するための円筒形状の穴が形成される。また、各弾性保持体3,3の中央部にはボルト貫通用の貫通穴33が加工されている。
【0019】
各補強板4,4は、鉄板を略コ字形状に折り曲げ加工した部材で、弾性保持体3の外側面に接着剤にて固着されている。各補強板4,4の中央部にはそれぞれボルト貫通用の貫通穴41が加工されている。これら2つの補強板4,4のうち、一方の補強板4(図1において下側に位置するクランプ部材2の補強板4)の外面の中央部に六角ナット5が溶接にて固着されている。なお、補強板4の貫通穴41及び六角ナット5の各中心と、前記した弾性保持体3の貫通穴33の各中心は略一致している。
【0020】
そして、この例においては、弾性保持体3の各凹部31,32の曲率半径が、各パイプP1,P2の半径に対して小さく設定されており、その凹部31,32の曲率半径とパイプP1,P2の半径との差つまり締め代によって各パイプP1,P2に対する拘束力が発生するようになっている。この弾性保持体3の締め代及び圧縮率等については後述する。
【0021】
以上のクランプC1を用いて、外径が異なる2本のパイプP1,P2を連結保持する場合、図1及び図2に示すように、一対のクランプ部材1,2を分解しておき、その一方のクランプ部材2(六角ナット付き)を2本のパイプP1,P2の下方に配置し、もう一方のクランプ部材1を2本のパイプP1,P2の上方に配置する。次に、各クランプ部材1,2の弾性保持体3の各凹部31,32をそれぞれ対応するパイプP1,P2に位置合わせするとともに、一対のクランプ部材1,2を合わせた状態で、補強板4の貫通穴41及び弾性保持体3の貫通穴33に六角ボルト6を上方から挿し込み、その六角ボルト6の先端を六角ナット5にねじ込むことによって一対のクランプ部材1,2を相互に連結する(図3及び図4)、という手順で連結保持を行う。このような連結作業により、各弾性保持体3,3が締め代に相当する量だけ圧縮されて、その弾性保持体3,3の弾性力にて各パイプP1,P2に拘束力が加わって、パイプP1,P2が強いクランプ力で保持される。
【0022】
次に、本発明の特徴部分である弾性保持体の各部の寸法について説明する。
【0023】
この例では、2本のパイプP1,P2を保持する弾性保持体3,3の圧縮率が、大径のパイプP1と小径のパイプP2において同一となるように、弾性保持体3,3の各部の寸法を設定する。
【0024】
具体的には、クランプ保持を行う大径のパイプP1の直径をD1、小径のパイプP2の直径をD2とし、また、図5に示すように、弾性保持体3の大径側の凹部31の曲率半径をR1、小径側の凹部32の曲率半径をR2、大径側の凹部31のパイプ保持中心を通り弾性保持体3の合わせ面30に直交する方向の距離で、弾性保持体3の合わせ面30から各補強板4の内側表面までの距離をL11,L12、同じく小径側の凹部32における距離をL21,L22とすると、下記の圧縮率αの演算式(1)式を満足するように、弾性保持体3,3の各部の寸法を設定する。
【0025】
α=(D1−2R1)/(L11+L12−2R1)=(D2−2R2)/(L21+L22−2R2)・・(1)
なお、演算式(1)の分子の項(D1−2R1)及び(D2−2R2)は、弾性保持体3の締め代である。
【0026】
さらに、この例では2つの弾性保持体3,3が対称形状であるので、L11=L12、L21=L22であり、L11とL12をL1、L21とL22をL2とし、D1=2r1、D2=2r2とすると、上記した圧縮率αの演算式(1)は、
α=(r1−R1)/(L1−R1)=(r2−R2)/(L2−R2)・・(2)
と表すことができ、この演算式(2)を満足するように、弾性保持体3,3の各部の寸法を設定して、弾性保持体3,3の圧縮率が、大径のパイプP1と小径のパイプP2において同一となるようにする。
【0027】
具体的な設定手法を説明すると、まず、弾性保持体3の最適な圧縮率αを試験等により予め決定しておく。次に、大径のパイプP1の締め代(r1−R1)の推奨値から大径側の凹部31の曲率半径R1を決定して、その曲率半径R1及び大径パイプP1の半径r1と予め決定した圧縮率αを用いて上記した演算式(2)にて大径側の距離L1を求める。そして、この例では、大径側の距離L1と小径側の距離L2とが同じ(L1=L2)であるので、α=(r2−R2)/(L1−R2)から変換した演算式[R2=(r2−αL1)/(1−α)]を用いて、小径側の凹部32の曲率半径R2を求めて、小径のパイプP2の締め代(r2−R2)を決定する。
【0028】
なお、以上の手法では、大径のパイプP1の締め代を基にして各部の寸法を求めているが、小径のパイプP2の締め代(推奨値)を基にして各部の寸法を求めるようにしてもよい。
【0029】
また、大径側の距離L1と小径側の距離L2とが異なる構造を採用する場合、各パイプP1,P2の締め代(r1−R1),(r2−R2)の推奨値から、それぞれ、各凹部31,32の曲率半径R1,R2を決定して、それら曲率半径R1,R2及び各パイプP1,P2の半径r1、r2と圧縮率αを用いて上記した演算式(2)にて距離L1,L2を求めるようにしてもよい。
【0030】
そして、以上のような演算・設定によって、大径のパイプP1と小径のパイプP2について弾性保持体3の圧縮率を同一とすることにより、クランプ状態において各パイプP1,P2に加わる応力が過大もしくは過小になることがなくなるので、各パイプP1,P2を適切なクランプ力で保持することができる。しかも、経時劣化による弾性保持体3のへたりが生じても、その弾性保持体3のへたりによる拘束力の低下が各パイプP1,P2において均一となり、クランプ保持が緩むことがなくなる。
【0031】
ここで、以上の例では、2本のパイプP1,P2を保持するクランプについて説明したが、本発明はこれに限られることなく、連結保持するパイプの数は3本以上であってもよい。例えば、図6〜図8に示すように、外径が異なる4本のパイプP1〜P4を連結保持するクランプC2にも適用可能である。
【0032】
この場合、クランプ保持を行う各パイプP1,P2,P3,P4の直径をD1,D2,D3,D4とし、また、図9に示すように、各クランプ部材101,102の弾性保持体103の各凹部131,132,133,134の曲率半径をそれぞれR1,R2,R3,R4、弾性保持体103の合わせ面130から各補強板104の内側表面までの距離をそれぞれL11,L12・・・L41,L42とすると、下記の圧縮率αの演算式(3)
式を満足するように、弾性保持体103,103の各部の寸法を設定する。なお、具体的な設定手法は、上記と同様な手法を採用すればよい。
【0033】
α=(D1−2R1)/(L11+L12−2R1)=(D2−2R2)/(L21+L22−2R2)=(D3−2R3)/(L31+L32−2R3)=(D4−2R4)/(L41+L42−2R4)・・(3)
さらに、この例において、2つの弾性保持体103,103が対称形状である場合、L11=L12、・・・、L41=L42となるので、L11とL12をL1、L21とL22をL2、L31とL32をL3、L41とL42をL4とし、各パイプP1,P2,P3,P4の半径をr1,r2,r3,r4とすると、上記した圧縮率αの演算式(3)は、
α=(r1−R1)/(L1−R1)=(r2−R2)/(L2−R2)=(r3−R3)/(L3−R3)=(r4−R4)/(L4−R4)・・(4)
と表すことができ、この演算式(4)を満足するように、弾性保持体103,103の各部の寸法を設定するようにしてもよい。
【0034】
なお、一対の弾性保持体が対称形状である場合、前記した演算式(2)及び(4)と同様に各部の寸法を定義すると、n本のパイプを保持する場合の一般式は、下記のように表すことができる。
【0035】
α=(r1−R1)/(L1−R1)=(r2−R2)/(L2−R2)=・・・=(rn−Rn)/(Ln−Rn)・・(5)
<実施例2>
図10は本発明のクランプの別の例を分解した状態で示す縦断面図である。図11及び図12はそれぞれ図10のクランプを使用状態で示す正面図及び斜視図である。
【0036】
この例のクランプC3は、前記した図1〜図5の構造において、一対のクランプ部材201,202の弾性保持体213,223及び補強板214,224をそれぞれ非対称の形状とし、その一方の弾性保持体213(図10において上側の弾性保持体)の距離L11(図13参照)を、他方の弾性保持体223(図10において下側の弾性保持体)の距離L12(図13参照)に対して小さくしている点に特徴があり、それ以外の構成は図1〜図5のクランプC1と同じである。
【0037】
このように、一対の弾性保持体213,223を非対称の形状とし、凹部231、232と凹部233,234についても非対称の形状としても、これら2つの弾性保持体213,223を合わせた状態での全体の圧縮率は、各部の寸法を図13に示すように定義すると、大径のパイプP1側の圧縮率は[α=(D1−2R1)/(L11+L12−2R1)]、小径のパイプP2側の圧縮率は[α=(D2−2R2)/(L21+L22−2R2)]と表すことができる。
【0038】
従って、この例の場合においても、圧縮率の演算式[α=(D1−2R1)/(L11+L12−2R1)=(D2−2R2)/(L21+L22−2R2)・・(1)]を満足するように、各弾性保持体213,223の各部の寸法を設定して、弾性保持体213,223の圧縮率が大径のパイプP1と小径のパイプP2において同一となるようにすればよい。
【0039】
なお、以上の各例では、一対のクランプ部材を別体としているが、本発明はこれに限られることなく、一対のクランプ部材をヒンジ等を介して相互に連結した一体化構造とし、それら一対のクランプ部材の開閉操作により複数のパイプを連結保持するようにしてもよい。
【0040】
ここで、本発明は、自動車の燃料パイプやブレーキパイプなどの自動車用パイプを連結保持するクランプに限られることなく、自動車以外に使用される他の各種のパイプを連結保持するクランプにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のクランプは、例えば自動車等の燃料系統、ブレーキ系統や冷却系統などにおいて流体を流通させるパイプの連結保持に用いることができ、特に、外径が異なる複数のパイプを連結保持するのに有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のクランプの一例を分解した状態で示す縦断面図である。
【図2】図1のクランプの分解斜視図である。
【図3】図1のクランプを使用状態で示す正面図である。
【図4】図1のクランプを使用状態で示す斜視図である。
【図5】図1のクランプに用いる弾性保持体の各部の寸法を示す図である。
【図6】本発明のクランプの他の例を分解した状態で示す縦断面図である。
【図7】図6のクランプを使用状態で示す正面図である。
【図8】図6のクランプを使用状態で示す斜視図である。
【図9】図6のクランプに用いる弾性保持体の各部の寸法を示す図である。
【図10】本発明のクランプの別の例を分解した状態で示す縦断面図である。
【図11】図10のクランプを使用状態で示す正面図である。
【図12】図10のクランプを使用状態で示す斜視図である。
【図13】図10のクランプに用いる弾性保持体の各部の寸法を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
C1 クランプ
1,2 クランプ部材
3 弾性保持体(弾性体)
30 弾性保持体の合わせ面
31 凹部(大径側)
32 凹部(小径側)
33 貫通穴
4 補強板
41 貫通穴
5 六角ナット
6 六角ボルト
P1 パイプ(大径)
P2 パイプ(小径)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の円形断面の管体を挟み込む一対のクランプ部材を有し、その各クランプ部材が、複数の凹部を有する弾性体とこの弾性体の外側面に固着された補強板とからなり、前記弾性体の各凹部に管体を配置した状態で当該一対のクランプ部材を合わせることにより、複数の管体を前記複数の凹部にて保持する構造のクランプにおいて、
前記複数の管体のうち、n(n=正の整数)番目の管体の直径をDn、n番目の管体を保持する前記凹部の曲率半径をRn、n番目の凹部の管体保持中心を通り前記弾性体の合わせ面に直交する方向における当該弾性体の合わせ面から一対の補強板の各内側表面までの距離をそれぞれLn1,Ln2とすると、前記弾性体の圧縮率が[(D1−2R1)/(L11+L12−2R1)=(D2−2R2)/(L21+L22−2R2)=・・・=(Dn−2Rn)/(Ln1+Ln2−2Rn)]の関係を満たしていることを特徴とするクランプ。
【請求項2】
前記弾性体がゴムであることを特徴とする請求項1記載のクランプ。
【請求項1】
複数の円形断面の管体を挟み込む一対のクランプ部材を有し、その各クランプ部材が、複数の凹部を有する弾性体とこの弾性体の外側面に固着された補強板とからなり、前記弾性体の各凹部に管体を配置した状態で当該一対のクランプ部材を合わせることにより、複数の管体を前記複数の凹部にて保持する構造のクランプにおいて、
前記複数の管体のうち、n(n=正の整数)番目の管体の直径をDn、n番目の管体を保持する前記凹部の曲率半径をRn、n番目の凹部の管体保持中心を通り前記弾性体の合わせ面に直交する方向における当該弾性体の合わせ面から一対の補強板の各内側表面までの距離をそれぞれLn1,Ln2とすると、前記弾性体の圧縮率が[(D1−2R1)/(L11+L12−2R1)=(D2−2R2)/(L21+L22−2R2)=・・・=(Dn−2Rn)/(Ln1+Ln2−2Rn)]の関係を満たしていることを特徴とするクランプ。
【請求項2】
前記弾性体がゴムであることを特徴とする請求項1記載のクランプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−38040(P2006−38040A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216303(P2004−216303)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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