説明

クリアコート塗料組成物

クリアコート塗料組成物は、ビニルもしくはアクリルポリマー上の官能基と、それぞれの長さに少なくとも2炭素の、少なくとも2つのアルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基によるポリマー主鎖から分離された硬化性官能基を提供する反応物との反応によって製造されたビニル又はアクリルポリマー樹脂を含み、その際該ポリマーは、Foxの方程式により算出された40℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願に関する相互参照
本明細書は、2006年10月5日に提出された米国の特許出願番号11/538,891号の一部継続出願であり、2005年10月7日に提出された米国の仮出願番号60/724,716号に優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般にクリアコート塗料組成物に関する。すなわち、本発明は、自動車塗料の適用において使用するためのクリアコート塗料組成物に関する。
【0003】
発明の背景
自動車塗料組成物は、優れた外観、例えば高光沢を提供すること、かつ環境曝露、並びに掻き傷、擦傷、欠けによる損傷によって与えられた損傷に耐えること、及びガソリンへの曝露による損傷に耐えること(ガソリン耐性)を要求する。環境の規制は、絶えず、減少させた塗料の揮発性有機含量(VOC)を要求する。
【0004】
適切な樹脂系は、塗料においてそれらの特性を得るために使用されなければならない。典型的に、低Tg軟質樹脂は、塗料においてガソリン耐性を得るために使用される。他方で、掻き傷及び擦傷による損傷に耐えるための十分な硬度を有するクリアコートは、一般に高Tgポリマー樹脂を使用し、又は塗料における高い架橋結合密度を使用する。高Tg樹脂含有系は、しばしば溶剤のより高いレベルを必要とし、適切な噴霧粘度とフローを有する塗料を提供し、滑らかな、光沢のある外観を得る。従って、高Tg樹脂の使用は、塗料のVOC含量の増加をもたらし、低いVOCの条件を満たすことを難しくする。優れた硬度を有するそれらの塗料はまた、典型的に、いっそう悪いガソリン耐性も有する。それというのも、樹脂の高い架橋密度又は高Tgは、ガソリンと接触及びガソリンを吸収する場合に、ポリマーを損傷なしに膨潤させるほど十分な順応性を提供しないからである。より低い架橋密度が使用される場合でさえ、例えば金属塗装において、膨潤度は、均一ではなく、かつ気体の吸収は、クリアコート全体にわたってむらがあり、塗装において、局部的な損傷及びむらのある外観をもたらす。本発明は、外観の犠牲なしにガソリン耐性かつ掻き傷及び擦傷の損傷への耐性を証明する、十分な順応性並びに硬度を提供する。
【0005】
本発明の要約
主題発明は、クリアコートが少なくとも1つのベースコート層上に適用される自動車複合塗装を製造するために使用されうる塗料組成物、特にクリアコート塗料組成物を提供する。該クリアコート塗料組成物は、ビニルもしくはアクリルポリマー上の官能基と、それぞれの長さに少なくとも2炭素の、少なくとも2つのアルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基によってポリマー主鎖から分離された硬化性官能基を提供する反応物との反応によって製造されたビニル又はアクリルポリマー樹脂を含み、その際該ポリマーは、Foxの方程式により算出された40℃以上のガラス転移温度(Tg)を有する。硬化性官能基は、塗料組成物の硬化中に反応を受ける基であり、架橋、有利には熱不可逆性架橋を提供する。
【0006】
それら塗料組成物は、高Tg樹脂に順応性を提供し、そのため、それらから得られた硬化された塗装は、ガソリンへの曝露に対して膨潤に適応するための順応性を有し、それは特に優れた掻き傷及び擦傷の耐性に必要とされる硬度を犠牲にすることなく、以下で記述されているようなガソリン浸漬試験を受ける場合に順応性を有する。それら樹脂から配合された塗料組成物も、低いVOC含量を保つ一方で、滑らかな外観のための優れた噴霧適性及びフロー特性を有する。該塗料組成物は、優れた硬度、腐食耐性並びに掻き傷及び擦傷の耐性を有する硬化塗装を提供する。
【0007】
本発明の詳細な説明
クリアコート塗料組成物は、エチレン性不飽和モノマーから誘導される主鎖を含むポリマー樹脂を含有し、その際、主鎖ポリマーの理論的なTgは、Foxの方程式により決定された40℃以上であり、有利には40℃以上92℃以下、及びより有利には50℃以上70℃以下である。該主鎖ポリマーは、それぞれに少なくとも2炭素の、少なくとも2つのアルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基によるポリマー主鎖から分離された硬化性官能基(b)を提供するための反応物と反応する少なくとも1種類の反応性官能基(a)を有する。ある実施態様において、該反応性官能基(a)は、ポリマー主鎖から分離された硬化性官能基(b)と同一である。かかる実施態様において、該反応性官能基(a)の一部は、反応物と反応した後に残存したままでよい。反応性官能基(a)の残存している一部は、塗料組成物の硬化中に架橋のために利用されうる。他の実施態様において、すべての反応性官能基(a)を、残存しないように該反応物と反応させる。硬化性官能基(b)は、元の反応性官能基(a)として、同種の官能基であってよく、又は同種の官能基でなくてよい。ポリマー樹脂は、それぞれに少なくとも2炭素原子の、少なくとも2つの基によってポリマー主鎖から分離されていない硬化性官能基(c)も含んでよい。
【0008】
ビニル又はアクリルポリマー樹脂は、硬化性官能基を有さないモノマー単位の一部、及び次の構造式I:
【化1】

[式中、R1及びR2は、場合により置換されている及び場合により酸素のような内部のヘテロ原子を含み、独立してL1及びL2並びにL2及びF(b)を(別々に)分離している少なくとも2炭素原子を有するアルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基であり;L1及びL2が、それぞれが独立して、エステル基、エーテル基、尿素基及びウレタン基からなる群から選択された架橋基であり;F(b)が、硬化性官能基(b)であり;かつR3が、H又はメチルである]によって示されるモノマー単位の一部を含む。セグメント[L2−R2nにおいて、nは、1以上8以下、有利には1以上3以下である。[L2−R2]セグメントは、それぞれの場合に同様又は異なっていてよい。例えばヒドロキシルエチルメタクリレートが使用される場合に、それは、環状酸無水物と酸無水物の官能基とを反応させ、続いてエポキシ官能化合物、例えばグリシジルネオデカノエートを反応させてよい。そして、ある場合における[L2−R2]セグメントは、環状酸無水物残基であってよく、他にはグリシジルネオデカノエート残基であってよい。硬化性官能基を有さないモノマー単位は、硬化性官能基を含まないあらゆる共重合可能なモノマーをビニル又はアクリルポリマー樹脂中に取り込むことによって提供されてよい。本質的に硬化性官能基を有さない、及び従って本質的に非架橋性のようなモノマー単位は、合計ポリマー配合物量の少なくとも45質量パーセント、及び他の実施態様において少なくとも50質量パーセントを含有する。本質的に非架橋性とは、塗装の硬化中で1質量パーセント以下のあらゆるモノマーの官能性架橋を意味する。非架橋性であるモノマーは、モノマーA’及びA"を含み、その際、A’モノマーは、Foxの方程式により決定された60℃以下のTgを有し、かつ合計ポリマー配合物量に対して、10質量パーセント以下、有利には5質量パーセント以下の量でポリマー配合物中に存在する。それらモノマーの例は、制限されることなく、エチルヘキシルメタクリレート、エチルヘキシルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ブチルアクリレート及びエチルアクリレート並びにそれらの混合物を含む。A"モノマーは、60℃より高いTgを有し、かつ制限されることなく、メチルメタクリレート、スチレン、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、メタクリル酸及びアクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート並びにそれらの混合物を含む。例えば、酸−エポキシ系において、非架橋官能性は、ヒドロキシル官能性であってよい。
【0009】
ビニル又はアクリルポリマーは、反応性官能基(a)を保持するモノマー単位の一部も場合により含んでよく、そして硬化性官能基(b)と同様又は同様でなくてよい。典型的な一実施態様において、かかるモノマー単位は、次の構造式II:
【化2】

[式中、(R1n'において、nは、0又は1であり、かつL1及びR3は、前記で定義され、並びにF(a)は、反応性官能基(a)である]によって示されてよい。架橋基L1は、モノマー単位が、反応性官能基(a)を有するアクリレート又はメタクリレートモノマーの重合から生じるため、エステル基であってよい。一般に、Fbの反応性は、Faの反応性より大きいことが好ましい。Fa及びFbが同様である場合に、これは、立体障害をもたらすことができ、例えば、e−カプロラクトンが、有利には、ヒドロキシルエチルメタクリレート上の第一ヒドロキシル基に結合されうる場合に、ヒドロキシエチルメタクリレート及びヒドロキシプロピルメタクリレートを含有するアクリルコポリマーがe−カプロラクトンと反応することができ、より立体的に障害のある主鎖に近い第二ヒドロキシル基を残す。硬化中、ヒドロキシルエチルメタクリレート上の第一ヒドロキシル基は、優先的に、ヒドロキシルプロピルメタクリレート上の第二ヒドロキシル基よりも反応する。
【0010】
ビニル又はアクリルポリマーはまた、場合により、硬化性官能基(b)と同様又は同様でなくてよい硬化性官能基(c)を有するモノマー単位の一部も含有してよい。典型的な一実施態様において、かかるモノマー単位は、次の構造式III:
【化3】

[式中、R1、L1及びR3は、前記で定義され、かつF(c)が、硬化性官能基(c)である]によって示されてよい。架橋基L1は、該モノマー単位が、硬化性官能基(c)を有するアクリレート又はメタクリレートモノマーの重合から生じるため、エステル基であってよい。
【0011】
反応性官能基(a)を含むモノマーは、市販であり、かつここで提供されるように使用される。かかる反応性官能基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カーボネート基、イソシアネート基、エポキシド基及びアミン基を含有してよい。反応性官能基(a)は、モノマー、例えばヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、(商品名TMIのもとでAmerican Cyanamid Company、Wayne、N.J.から入手できる)、グリシジルメタクリレート、2−カルバメートエチルメタクリレート等によって提供されてよい。
【0012】
架橋基L1及びL2は、エステル基、エーテル基、尿素基及びウレタン基並びにそれらの混合物からなる群から選択されてよく、かつ連鎖延長剤を有するあらゆる上記モノマーの反応によって形成される。連鎖延長剤の例は、イプシロン−カプロラクトンのような環状エステル、ネオデカノートのグリシジルエステルのようなエポキシド、無水マレイン酸及び無水コハク酸のような環状酸無水物、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートのようなジイソシアネート、並びにそれらの混合物を含有する。該連鎖延長反応は、重合前、重合中又は重合後に生じうる。該連鎖延長剤は、少なくともアルキレン基、R1及びR2によって主鎖から架橋基の分離をもたらし、アルキレン基、R1及びR2は、それぞれ長さにおいて少なくとも2炭素原子である。反応から残存している官能基は、硬化性官能基(b)であり、又は必要であれば、重合前、重合中もしくは重合後の硬化性官能基(b)に転化される。この一例は、ヒドロキシル官能物質を提供するヒドロキシエチルメタクリレートとラクトンとの共重合によって提供されるヒドロキシル基(反応性官能基(a)として)の反応、続いて硬化性官能基(b)としてカルバメート基を提供するモノマーのイソホロンジイソシアネートの最初のイソシアネート基の反応、そしてヒドロキシプロピルカルバメートを有する残留イソシアネート基の反応であってよい。このもう一つの例は、ヒドロキシエチルメタクリレートと硬化性官能基(b)としてヒドロキシル基を提供するイプシロン−カプロラクトンの1つ以上の分子との共重合によって提供されるヒドロキシル基の反応を含んでよい。他の例は、イソシアネート官能性モノマー、例えばTMIとイソシアネート反応基と活性水素架橋性官能基の双方を含有する化合物、例えばヒドロキシプロピルカルバメートで半分キャップされたイソホロンジイソシアネートとの共重合によって提供されるイソシアネート基の反応である。ポリエーテル延長ポリオールは、連鎖延長架橋基として使用されてもよい。さらに他の例は、ヒドロキシエチルメタクリレートと硬化性官能基(b)としてカルボキシル基を提供する環状酸無水物、例えば無水コハク酸との共重合によって提供されるヒドロキシル基の反応である。
【0013】
1及びR2は、場合により、例えばハロゲン原子、酸素原子又はアルキル基で置換された、及び場合によりそれぞれ独立して少なくとも2炭素原子の長さである、酸素のような内部ヘテロ原子を含有するアルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基である。R1及びR2は、同一又は異なってよい。硬化性官能基(b)及び任意の硬化性官能基(c)は、硬化性官能基がブロックされる又はブロックされなくてよい場合に、同一又は異なってよく、かつ有利には、活性水素官能基、エポキシド基、カルボキシル基、カーボネート基、カルバメート基、イソシアネート基及び化学線硬化性官能基、並びにそれらの混合物から選択される。ポリマー樹脂の硬化性官能基の合計数の少なくとも約50%は、構造式Iのモノマー単位の一部であり、有利には少なくとも約60%、及びより有利には少なくとも約70%である。すべての硬化性官能基は、構造式Iのモノマー単位の一部であってよく、又はポリマー樹脂は、構造式II及び/又は構造式IIIのモノマー単位の一部である他の硬化性官能基を有してよい。
【0014】
ポリマーは、300〜900当量、及び有利には450〜750当量(硬化性官能基に対して)を有してよい。該ポリマーの質量平均分子量(Mw)は、2000ダルトン〜12000ダルトンであってよく、かついくつかの好ましい実施態様においては、2000ダルトン〜6000ダルトンであってよい。該ポリマーのTgは、Foxの方程式に基づいて、少なくとも50℃である。
【0015】
ビニル又はアクリルポリマーは、膜形成樹脂(ビヒクル)の合計固体量に対して、約20〜約90質量パーセント、及びある実施態様においては、約35〜65質量パーセントの量で使用される。
【0016】
さらに塗料は、少なくとも1つの架橋性樹脂を含み、ビニル又はアクリルポリマー上の硬化性官能基と反応する。好適な架橋剤は、制限されることなく、アミノプラスト樹脂、例えばメラミンホルムアルデヒド樹脂、イソシアネート架橋剤、ブロックトイソシアネート架橋剤、多価酸又は酸無水物架橋剤、ポリエポキシド架橋剤、及びそれらの混合物を含む。
【0017】
架橋性樹脂は、ビヒクルの合計固体量に対して約10〜約40質量パーセントの量で、及びある実施態様においては、ビヒクルの合計固体量に対して10〜35質量パーセントの量で使用される。
【0018】
当業者によって理解されるように、アミノプラスト樹脂は、好適なアミンが尿素又はメラミンである場合に、ホルムアルデヒドとアミンとの反応生成物によって形成される。尿素とメラミンは、好適なアミンであるが、他のアミン、例えばトリアジン、トリアゾール、ジアジン、グアニジン又はグアナミンも、アミノプラスト樹脂を製造するために使用されてよい。さらに、ホルムアルデヒドは、アミノプラスト樹脂を形成するために好適であるが、他のアルデヒド、例えばアセトアルデヒド、クロトンアルデヒド及びベンズアルデヒドもまた、使用されうる。
【0019】
該アミノプラスト樹脂は、メチロール基、アルコキシメチル基又は双方を有するメラミン−ホルムアルデヒド樹脂の群から選択される。好適なアミノプラスト樹脂の例は、制限されることなく、有利には1〜6個の、より有利には1〜4個の炭素原子を有するアルコールを使用して部分的に又は完全にアルキル化されたメラミン樹脂、モノマー又はポリマーメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、例えばヘキサメトキシメチル化メラミン;メチロール尿素及びシロキシ尿素を有する尿素−ホルムアルデヒド樹脂、例えばブチル化尿素ホルムアルデヒド樹脂、アルキル化ベンゾグアニミン、グアニル尿素、グアニジン、ビグアニジン、ポリグアニジン等を含有する。モノマーメラミンホルムアルデヒド樹脂は、特に好適である。
【0020】
必ずしも好適ではないが、主題発明における使用のための代わりの架橋剤は、ポリイソシアネート架橋剤である。最も好適なポリイソシアネート架橋剤は、ジイソシアネートである。該ポリイソシアネート架橋剤は、シクロ脂肪族ポリイソシアネートを含む脂肪族ポリイソシアネート、又は芳香族ポリイソシアネートでありうる。本明細書で使用される用語"ポリイソシアネート"は、分子につき平均して複数のイソシアネート官能基を有するあらゆる化合物を示す。ポリイソシアネートは、例えば、モノマージイソシアネートを含むモノマーポリイソシアネート、モノマーポリイソシアネートのビウレット及びイソシアヌレート、1モルのジオールと2モルのジイソシアネート又は1モルのトリオールと3モルのジイソシアネートとを反応することによって形成された伸長したポリ−官能性イソシアネート等を含有する。脂肪族ポリイソシアネートは、塗料組成物が自動車のトップコート組成物として使用される場合に好適である。有効な例は、制限なく、エチレンジイソシアネート、1,2−ジイソシアナトプロパン、1,3−ジイソシアナトプロパン、1,4−ブチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネートのイソシアヌレート、メチレンビス−4,4’−イソシアネートシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トリフェニルメタン4,4’,4"−トリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート及びメタキシレンジイソシアネートを含む。
【0021】
硬化性塗料組成物は、場合により追加のポリマー樹脂、例えばポリエステル又はポリウレタン樹脂も含んでよい。それら樹脂は、塗料の固体量の合計に対して約0〜約50質量%の量で使用されてよい。
【0022】
硬化性塗料組成物は、1つの添加剤又は添加剤の組み合わせも含んでよい。かかる添加剤は、制限されることなく、溶剤、触媒、ヒンダードアミン系光安定剤(HALs)、紫外線吸収剤(UVAs)、レオロジー調整剤、青味剤、定着剤等を含む。いくつかの上記添加剤の特定の例は、はじけ及び垂れ下り抵抗のような特徴をもたらす溶剤として有機溶剤、例えばn−メチルピロリドン及びオキソ−ヘキシルアセテート、並びにレオロジー調整剤としてのポリブチルアクリレート、ヒュームドシリカ、及びシリコーンを含有する。ある実施態様において、硬化性塗料組成物が、溶剤系クリアコート塗料組成物であることが好適であり、そして最も好適な添加剤は、HALs及びUVAsである。例えば、様々な有機溶剤は、制限されることなく、キシレン及びトルエンのような芳香族溶剤、ブチルアセテート及びアミルアセテートのようなエステル、プロパノール及びイソブタノールのようなアルコール、n−メチルピロリドン、メチルイソブチルケトン及びメチルプロピルケトンのようなケトンを有し、そしてそれは、ポリマーの固形分及び粘度を改質するために含まれうる。触媒、例えばジ−メチルアミノピリジン(DMAP)、パラ−トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、及びジブチルスズジオキシドのような金属触媒が、塗料組成物の硬化応答を高めるために使用されうる。制限されることなく亜リン酸トリ−イソデシルを含む抗酸化剤、及び制限されることなく水酸化ホウ素ナトリウムを含む青味剤も、所望されるように使用されてよい。該添加剤は、ポリマーと架橋剤との組合せを有する塗料組成物中で使用されてよい。
【0023】
一実施態様において、前記塗料は、クリアコート塗料組成物である。該クリアコートは、有利には、自動車塗装のための複合塗装中で使用される。塗料組成物は、金属の下地、例えば裸鋼、リン酸化鋼、亜鉛メッキ鋼又はアルミニウム;及び非金属の下地、例えばプラスチック及び複合材料を含む多くの異なった種類の下地上に適用されうる。該下地は、その上にすでに、硬化されている又は硬化されていない別の塗装層、例えば電着プライマー、プライマーサーフェーサー及び/又はベースコートの層を有するあらゆるそれらの物質であってもよい。
【0024】
製品、例えば車体板等は、本発明において開示されているかかる製品の被覆方法によって被覆されてよい。この方法は、該製品上に上記で記述されている硬化性塗料組成物を適用し、かつ硬化性塗料組成物を硬化して被覆された製品を形成する工程を含む。該塗料組成物は、1つ以上の工程で適用され、典型的に約20〜約100ミクロンの硬化後の膜の厚さを提供しうる。該硬化性塗料組成物は、最も有利には、制限されることなく回転噴霧又は空気噴霧工程を含む当業者に公知の方法による製品上への吹き付け塗装である。硬化性塗料組成物は、架橋剤が、ポリマーの官能基と反応し、硬化性塗料組成物の硬化された膜を有する被覆された製品を形成する場合の温度で、反応又は‘架橋’される。架橋は、100℃〜175℃の範囲の温度で行われてよく、かつ硬化の長さは、通常、約15分〜約60分である。有利には、塗装は、約120℃〜約150℃で約20〜約30分間硬化される。加熱は、赤外炉及び/又は対流炉中で行われうる。
【0025】
一実施態様において、塗料組成物は、自動車の複合カラー−プラス−クリア(color−plus−clear)塗装のクリアコートとして使用される。適用される着色ベースコート組成物は、当業者によく知られているあらゆる多数の種類であってよく、詳細に本明細書で説明する必要はない。ベースコート組成物で有用である当業者に公知のポリマーは、アクリル、ビニル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエステル、アルキド及びポリシロキサンを含む。好適なポリマーはアクリル及びポリウレタンを含む。本発明の好適な一実施態様において、ベースコート組成物は、カルバメート官能性アクリルポリマーも使用する。ベースコートポリマーは熱可塑性であってよいが、しかし有利には、架橋でき、かつ1種類以上の架橋性官能基を含んでよい。このような官能基は、例えば、ヒドロキシ基、イソシアネート基、アミン基、エポキシ基、アクリレート基、ビニル基、シラン基及びアセトアセテート基を含む。それらの官能基は、それらがブロックされず、かつ所望された硬化条件下、一般的に高められた温度での架橋反応に使用できるように覆われる又はブロックされてよい。有用な架橋性官能基は、ヒドロキシル基、エポキシ基、酸基、酸無水物基、シラン基及びアセトアセテート基を含む。好適な架橋性官能基は、ヒドロキシ官能基及びアミノ官能基を含む。
【0026】
ベースコートポリマーは、自己架橋してよく、又はポリマーの官能基と反応性の別個の架橋剤を必要としてよい。ポリマーがヒドロキシ官能基を有する場合に、例えば、該架橋剤は、アミノプラスト樹脂、イソシアネート及びブロックトイソシアネート(イソシアヌレートを含む)、並びに酸又は酸無水物官能性架橋剤であってよい。
【0027】
本発明のクリアコート塗料組成物は、一般的に、産業で広く使用されているようなベースコート塗料組成物の上にウェット−オン−ウェットで適用される。本明細書で記載されている塗料組成物は、有利には、上記に記載されているような塗装層を硬化するような条件にかけられる。
【0028】
すべての前記の化学図が、単に二次元の化学式であること、かつそれらの化学式の構造は、表示とは別であってよいことが理解される。
【0029】
本明細書に呈示された、本発明のアクリルポリマーの形成及び使用を説明する次の実施例は、本発明の説明を意図し、制限されない。
【0030】
実施例
樹脂1の製造(想定)
不活性雰囲気下で140℃に加熱された芳香族溶剤1003.5部に、4時間にわたって、ヒドロキシプロピルメタクリレート306.3部、スチレン235.6部、イソボルニルメタクリレート829.3部、アクリル酸42.4部、ネオデカン酸706.8部、2,3−ジヒドロキシプロピルエステル、2−メチル−2−プロペノエート、e−カプロラクトン235.6部及び50%t−ブチルペルアセテート溶液157.7部の混合物を添加する。そして、芳香族溶剤95.4部を添加し、反応混合物を140℃で90分間保つ。そして、該反応混合物を110℃に下げ、t−ブチルペルエチルヘキサノエート29.4部と芳香族溶剤61.2部との混合物を1時間にわたって添加する。そして、芳香族溶剤81.6部を添加し、反応混合物を110℃で1時間保つ。最終の樹脂は、Tg52℃、及びヒドロキシ当量560g/equを有する。質量平均分子量(Mw)は、4500〜5700ダルトンである。
【0031】
樹脂2の製造
芳香族溶剤1003.5部の溶液を、不活性雰囲気下で140℃に加熱した。そして、アクリル酸42.4部、ヒドロキシエチルメタクリレート435.9部、ヒドロキシプロピルメタクリレート122.5部、スチレン343.4部、シクロヘキシルメタクリレート970.7部、エチルヘキシルメタクリレート23.6部、イソブチルメタクリレート23.6部、e−カプロラクトン(2−オキセパノン)384部、t−ブチルペルアセテート78.9部及び無臭のミネラルスピリット78.9部の混合物を、4時間にわたって一定速度で添加した。そして、芳香族溶剤95.4部を添加し、反応混合物を140℃で30分間保った。そして、該反応混合物を110℃まで冷却し、t−ブチル−ペル−2−エチルヘキサノエート29.4部を45分間にわたって添加した。芳香族溶剤81.6部を添加し、反応混合物を110℃で1時間保った。最終の樹脂は、Tg52℃、ヒドロキシ当量561g/equ及び酸当量3661g/equを有した。
【0032】
比較樹脂3の製造
芳香族溶剤1003.5部の溶液を、不活性雰囲気下で140℃に加熱した。そして、アクリル酸42.4部、ヒドロキシエチルメタクリレート435.9部、ヒドロキシプロピルメタクリレート122.5部、スチレン353.4部、シクロヘキシルメタクリレート235.6部、エチルヘキシルメタクリレート235.6部、イソブチルメタクリレート546.6部及びe−カプロラクトン384部を、4時間にわたって一定速度で添加した。そして芳香族溶剤の95.4部を添加し、反応混合物を140℃で30分間保った。そして該反応混合物を110℃に冷却し、t−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート29.4部の混合物を45分間にわたって添加した。そして芳香族溶剤81.6部を添加し、反応混合物を110℃で1時間保った。最終の樹脂は、Tg32℃、ヒドロキシ当量561g/equ及び酸当量3661g/equを有した。
【0033】
塗料組成物
【表1】

【0034】
ガソリン浸漬試験の説明
クリアコートを、メタリックウォーターベースコート(E211AW106)上に噴霧し、かつ200゜Fで10分間瞬間蒸発する。冷却後、薄板を、クリアコートで被覆し、15分間室温で瞬間蒸発し、かつ25分間285゜Fで焼き付けした。冷却後、薄板を、7時間、90%のレギュラー無鉛ガソリンと10%の試薬等級のエタノールとの混合物中に浸漬させた。
格付け
1=損傷がない
2=わずかな膨れ
3=中位の膨れ
4=激しい膨れ
5=非常に激しい膨れ
【0035】
【表2】

【0036】
本発明は、特定の実施態様の参照をもって本明細書で説明している。しかし、開示された範囲及び主旨から逸脱することなく、変更及び修正が可能であることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)Foxの方程式によって算出された40℃以上92℃以下のTgを有する最初のビニル又はアクリルポリマー樹脂上の反応性官能基と、
(b)それぞれに少なくとも2炭素の、少なくとも2つのアルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基によるポリマー主鎖から分離された硬化性官能基を提供し、その際上記アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基が、場合により置換され、及び場合により内部ヘテロ原子を有する反応物
との反応によって製造されたビニル又はアクリルポリマー樹脂を含有する塗料組成物であって、得られたビニル又はアクリルポリマー樹脂が、40℃以上92℃以下のTgを有する塗料組成物。
【請求項2】
ビニル又はアクリルポリマー樹脂が、実質的に硬化性官能基を有さないモノマー単位の少なくとも45質量パーセントを含む、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
実質的に硬化性官能基を有さない前記モノマー単位が、60℃以下のTgを有するモノマーA’の10質量パーセント以下及び残りが60℃以上のTgを有するモノマーA"からなる、請求項2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
ビニル又はアクリルポリマー樹脂が、(b)の反応物により提供されたもの以外の硬化性官能基を他に有する、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項5】
(b)の反応物によって提供されたもの以外の硬化性官能基が、(b)の反応物によって提供されるものとは異なる官能性である、請求項4に記載の塗料組成物。
【請求項6】
(b)の反応物によって提供されたもの以外の硬化性官能基が、(b)の反応物によって提供されるものと同一の官能性である、請求項4に記載の塗料組成物。
【請求項7】
(b)の反応物によって提供された硬化性官能基が、ビニル又はアクリルポリマー樹脂の硬化性官能基の合計数の少なくとも約50%である、請求項4に記載の塗料組成物。
【請求項8】
塗料組成物が、クリアコート塗料組成物である、請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の塗料組成物の硬化された層を有する被覆製品。
【請求項10】
ベースコート層の上に請求項9に記載の塗料組成物の硬化された層を有する被覆製品。
【請求項11】
ビニル及びアクリルポリマー樹脂を有するクリアコート塗料組成物であって、前記樹脂が、硬化性官能基を有さないモノマー単位の少なくとも45質量%、及び次の構造式I:
【化1】

[式中、R1及びR2が、独立して、場合により置換された及び場合により酸素のような内部ヘテロ原子を有する、2個以上の炭素原子の長さを有するアルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基から選択され;L1及びL2が、独立して、エステル基、エーテル基、尿素基及びウレタン基からなる群から選択され;F(b)が、硬化性官能基であり;かつR3が、H又はメチルであり、そしてセグメント[L2−R2nにおいて、nが1以上8以下である]によって示されるモノマー単位の一部を有するクリアコート塗料組成物。
【請求項12】
硬化性官能基を有さないモノマー単位が、60℃以下のTgを有するモノマーの10質量パーセントまでを含有する、請求項11に記載のクリアコート塗料組成物。
【請求項13】
ビニル又はアクリルポリマー樹脂が、他に、次の構造式II又はIII:
【化2】

[式中、(R1n’において、n’が0又は1であり、L1、及びR3並びにIIIにおけるR1は、前記で定義され、F(a)が、反応性官能基であり、かつF(c)が、硬化性官能基である]によって示されるモノマー単位を含有する、請求項11に記載のクリアコート塗料組成物。
【請求項14】
(c)が、F(b)と同様の種類の官能基である、請求項13に記載のクリアコート塗料組成物。
【請求項15】
ポリマー樹脂の硬化性官能基の合計量の少なくとも約50%が、F(b)基である、請求項13に記載のクリアコート塗料組成物。
【請求項16】
請求項11に記載のクリアコート塗料組成物の硬化された層を含有する被覆製品。
【請求項17】
ベースコート層の上に請求項16に記載のクリアコート塗料組成物の硬化された層を含有する被覆製品。
【請求項18】
少なくとも50℃のTgを有し、かつ独立して、エステル基、エーテル基、尿素基及びウレタン基からなる群から選択された少なくとも2つの架橋基によりポリマー主鎖から分離された硬化性官能基を有するビニル又はアクリルポリマーを含有する、クリアコート塗料組成物。
【請求項19】
それぞれの架橋基が、互いの架橋基から少なくとも2炭素原子により分離される、請求項18に記載のクリアコート塗料組成物。
【請求項20】
ポリマーが、硬化性官能基を有さないモノマー単位の少なくとも45質量%を含む、請求項18に記載のクリアコート塗料組成物。
【請求項21】
硬化性官能基の合計量の少なくとも約50%が、ポリマー主鎖から分離された硬化性官能基である、請求項18に記載のクリアコート塗料組成物。

【公表番号】特表2009−511678(P2009−511678A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534777(P2008−534777)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/039585
【国際公開番号】WO2007/044736
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(591020700)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (53)
【氏名又は名称原語表記】BASF Corporation
【住所又は居所原語表記】100 Campus Drive, Florham Park, New Jersey 07932, USA
【Fターム(参考)】