説明

クリアコート組成物としておよびプライマー組成物として有用なポリトリメチレンエーテルジオールを含有するコーティング組成物

a.イソシアネート部分と反応性である側基を有し、かつ、10〜80℃のガラス転移温度(Tg)を有するアクリルポリマーと、b.500〜5,000のMn(数平均分子量)を有するポリトリメチレンエーテルジオールと、c.有機ポリイソシアネート架橋剤との塗膜形成バインダーを含むコーティング組成物であって、顔料を含有し、周囲温度または高温で硬化し、紙やすりで磨くことができるコーティングを形成し、かつ、トップコート、例えば、着色ベースコートおよびクリアコートまたは顔料入りモノ−コートと組み合わせて使用された場合に自動車およびトラック車体および部品を再仕上げするまたは修理するために有用な耐チップ性多層コーティングを形成し、主として自動車、トラックおよびそれらの部品用の外装クリアコーティング組成物として使用することができるコーティング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング組成物に関し、具体的には、優れた耐チップ性および良好な紙やすり研磨性を有するプライマー、プライマーサーフェーサーまたはプライマーフィラーとして有用なコーティング組成物に関する。また、本発明は、顔料入りベースコートの一面に塗布される外装トップコートとして有用な、優れた外観、屋外耐候性、耐擦り傷および表面損傷性、ならびに特に耐水スポット性を有し、基材への塗布後比較的短い期間で硬い非粘着性仕上げになり、自動車またはトラック車体またはそれらの部品の再仕上げまたは修理で組成物を特に有用にするクリアコーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用の外装仕上げの多くの要件を満たすために、自動車業界は自動車およびトラック車体および部品に多層仕上げを現在使用中である。次の層:(1)基材、典型的には、リン酸塩処理冷延鋼の一面に付けられた電着層、(2)プライマー層、(3)着色層、典型的には顔料入りの、および(4)クリア層がこれらの仕上げの典型的なものである。着色トップコート層が着色層およびクリア層の代わりに使用されてもよい。かかる多層仕上げを修理するまたは再仕上げする時、好適なプライマー、プライマーサーフェーサーもしくはプライマーフィラー・コーティングは、通常、紙やすりで磨かれてそれによって1つまたは複数の層を露出する多層仕上げの一面に塗布されるか、または表面欠陥を充填するために使用されたフィラー材料の一面に塗布される。このプライマー、プライマーサーフェーサーまたはプライマーフィラー、本明細書では以下「プライマー」は多くの要件を有する。それは、基材への接着性を有し、かつ、着色層またはトップコートが接着する表面を提供しなければならない。それは、塗布後適度に短期間で、例えば、塗布後約3時間で容易に紙やすりで磨くことができなければならない。それは、生じた多層仕上げに良好な耐衝撃性、特に、耐石チップ性を提供しなければならない。
【0003】
プライマーが上記特性を示すためには、硬化プライマー層は、低応力条件下で高硬度と組み合わせて低温で高い柔軟性を有するべきである。一般に、高度の柔軟性および耐チップ性を有するソフトプライマーは、それらのゴムのような性質のために不満足な紙やすり研磨性を有し、従って、自動車再仕上げ操作で迅速に処理することができず、それは低下した生産性をもたらす。非常に短い乾燥時間後に容易に紙やすりで磨くことができるプライマーが使用される場合、それは一般に硬く、不満足な柔軟性および耐チップ性を有する。当該問題は、生じた多層仕上げの耐チップ性を向上させるために活性化ベースコートを使用することによって部分的に克服されてきた。しかしながら、これは、限定された「可使時間」を有する別の反応性コーティングの使用で再仕上げ工程をさらに複雑にする。
【0004】
使用することができる幾つかのプライマー組成物が存在する。例えば、バルソッチ(Barsotti)らの米国特許公報(特許文献1)は、自動車およびトラック車体および部品を再仕上げするために有用な溶剤ベースの周囲温度硬化性高固形分ウレタンコーティングの使用を教示している。ハリス(Harris)らの米国特許公報(特許文献2)は、柔軟性および耐石チッピング性を有するコーティングに有用なウレタンおよびアクリル樹脂を含有する粉体コーティング組成物を示し、マクニール(McNeil)らの米国特許公報(特許文献3)はまた、向上した耐チップ性を有するアクリルポリマー、ポリウレタンおよび架橋剤のコーティング組成物を示している。
【0005】
自動車およびトラックの再仕上げにおいてクリアトップコート仕上げが使用される場合、該クリアトップコート仕上げは、塗布後ほんの短期間後に、例えば、塗布後約30分以下で非粘着性状態に乾燥しなければならない。これは、典型的な再仕上げ構築のスプレー区域から、外観を向上させ、小さな欠陥を除去するために、例えばクリアトップコートを軽く紙やすりで磨くおよび/または研磨することなど、追加作業を車両について行うことができる別の区域へと車両が移動することを可能にする。この段階で、クリアトップコートは、この研磨および/または紙やすり磨きを可能にするのに十分なレベルまで硬化しなければならない。
【0006】
本発明の新規組成物は、仕上げ、特に低温で、好ましくは周囲温度で硬化するプライマーおよびクリアコート仕上げを形成するための従来技術を用いて容易に配合することができる。本組成物は、早期硬度と良好な紙やすり研磨性との組合せを有するプライマー組成物を提供する。かかるプライマーがベースコートおよびクリアコートと組み合わせて使用される場合、良好な耐石チップ性を有する多層仕上げが自動車またはトラック車体または部品上に形成される。クリアコート仕上げとして使用される場合、本新規組成物は、比較的短期間で硬い非粘着性仕上げへと硬化し、屋外耐久性および耐候性の必須の物理的性質を有する仕上げを形成する。また、本新規組成物は、再生可能な資源から誘導される成分を含有する。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,221,494号明細書
【特許文献2】米国特許第5,596,043号明細書
【特許文献3】米国特許第6,210,758号明細書
【特許文献4】米国特許第4,659,780号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2002/7043 A1号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2002/10374 A1号明細書
【特許文献7】米国特許第5,686,276号明細書
【特許文献8】米国特許第5,633,362号明細書
【特許文献9】米国特許第5,821,092号明細書
【特許文献10】米国特許第4,591,533号明細書
【特許文献11】米国特許第5,010,140号明細書
【特許文献12】米国特許第5,763,528号明細書
【非特許文献1】J.Polymer Sci.,Polymer Chemistry Ed.28(1985)、449〜444ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
液体コーティング組成物、特に、再生可能な資源から誘導され、かつ、プライマーおよびクリアコートにとって所望の物理的性質を有する成分を含有するプライマー組成物、またはクリアコート組成物を所有していることは非常に望ましいであろう。クリアコートまたはプライマーの形での本発明の新規組成物はこれらの前述の要件を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0009】
a.イソシアネート部分と反応性である側基を有し、かつ、10〜80℃のガラス転移温度(Tg)を有するアクリルポリマーと、
b.500〜5,000のMn(数平均分子量)を有するポリトリメチレンエーテルジオールと、
c.有機ポリイソシアネート架橋剤と
の塗膜形成バインダーを含むコーティング組成物であって、
該コーティング組成物がクリアコーティング組成物または顔料を入れられた場合にプライマー組成物を形成し、両方とも周囲温度または高温で硬化し、生じたクリアコーティングがUV(紫外線)安定剤、消光剤、吸収剤および酸化防止剤で適切に強化された場合に耐候性および耐久性クリア仕上げを形成し、顔料を入れられて紙やすりで磨くことができるプライマーコーティングとして使用された場合およびトップコート、例えば、着色ベースコートおよびクリア−コートまたは顔料入りモノ−コートと組み合わせて使用された場合に耐チップ性の多層コーティングを形成するコーティング組成物。クリアコーティングおよびプライマーコーティングの両方が自動車およびトラック車体およびそれらの部品を再仕上げするまたは修理するために有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の特徴および利点は、次に詳細な説明を読むことで当業者によってより容易に理解されるであろう。明確にするために、別個の実施形態との関連で上および下に記載される本発明のそれら幾つかの特徴はまた単一の実施形態で組み合わせて提供されてもよいことが認識されるべきである。逆に、簡潔にするために、単一実施形態との関連で記載される本発明の様々な特徴はまた別々にまたは任意のサブ組合せで提供されてもよい。加えて、文脈が特に具体的に明記しない限り、単数での言及はまた複数を含んでもよい(例えば、単数形は1つ、または1つまたは複数を意味してもよい)。
【0011】
本出願で明記される様々な範囲での数値の使用は、特にはっきりと明記しない限り、まるで提示された範囲内の最小値および最大値が両方とも単語「約」が前にあるかのように近似値として提示される。このように、提示された範囲の上下への僅かな変化は、範囲内の値と同じ結果を実質的に達成するために用いることができる。また、これらの範囲の開示は、最小値と最大値との間のあらゆる値を含む連続の範囲として意図される。本明細書で参照されるすべての特許、特許出願および刊行物は参照により援用される。
【0012】
本発明の新規コーティング組成物は、好ましくは、イソシアネート部分と反応性である側基を有し、かつ、10〜80℃のガラス転移温度(Tg)を有するアクリルポリマーと、500〜5,000のMn(数平均分子量)を有するポリトリメチレンエーテルジオールと、有機ポリイソシアネート架橋剤との塗膜形成バインダーを含有する溶剤希釈型組成物であり、該組成物は一般に顔料を含有する。本コーティング組成物は、自動車およびトラック車体または部品を再仕上げするまたは修理するために使用されるプライマーとして特に有用であり、塗布後比較的短時間後にそれが十分に硬化して紙やすりで磨くことができるという特有の利点を有する。カラーコートおよびクリアコートまたは顔料入りモノ−コートのトップコートと組み合わせて本組成物は、従来の商業プライマーと比較して改善された耐チップ性を有する仕上げを提供する。
【0013】
本新規コーティング組成物はまたクリアコーティング組成物としても使用することができる。自動車用途向け「クリアコーティング組成物」は、硬化すると透明な仕上げを形成し、70より大きいDOI(画像の明確さ)および70より大きい20°光沢を有する組成物である。これらのクリアコーティングは、光沢のある綿密な外観を自動車またはトラック上の仕上げに提供し、それ故、良好な光沢および画像の明確さを有することが要求される。また、クリア仕上げは、UV吸収剤、消光剤、安定剤および酸化防止剤で適切に強化された場合に耐候性、特に耐UV分解性および耐光酸化性を提供する。
【0014】
用語「バインダー」は、本明細書で用いるところでは、アクリルポリマーと、ポリトリメチレンエーテルジオールと、有機イソシアネートおよび他の反応性オリゴマーおよび/または反応性希釈剤とを含む組成物の塗膜形成成分を意味する。溶剤、顔料、触媒、レオロジー調整剤、酸化防止剤、UV安定剤および吸収剤、均染剤、消泡剤、クレーター形成防止剤、接着促進剤は該用語に含まれない。
【0015】
本組成物のバインダーは(a)プライマーとして使用される場合10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは35〜55重量%のアクリルポリマーと、(b)プライマーとして使用される場合1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは20〜30重量%のポリトリメチレンエーテルジオールと、(c)プライマーとして使用される場合10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%、より好ましくは20〜45重量%の有機ポリイソシアネートとを含有する。すべての重量百分率はコーティング組成物のバインダーの総重量を基準にし、(a)、(b)および(c)の百分率の合計は100%である。好ましくは、本新規組成物は、プライマーとして使用される場合0.8:1.0〜1.5:1.0、好ましくは0.9:1.0〜1.1:1.0、より好ましくは1.01:1.0〜1.1:1.0のNCO:OHのモル比を有する。
【0016】
クリアコートとして使用される場合バインダーは(a)60〜75重量%のアクリルポリマーと、(b)2.5〜9.5重量%のポリトリメチレンエーテルジオールと、(c)22〜31重量%の有機ポリイソシアネートとを含有する。上記のように、すべての重量百分率はコーティング組成物のバインダーの総重量を基準にし、(a)、(b)および(c)の百分率の合計は100%である。NCO:OHのモル比は、典型的には0.6:1.0〜3.0:1.0、好ましくは1.01:1.0より大きいかまたはそれに等しい。
【0017】
本組成物に使用されるアクリルポリマーは約1,000〜100,000の重量平均分子量、10〜80℃のTgを有し、ヒドロキシ、アミノ、アミド、グリシジル、シランおよびカルボキシル基のような、イソシアネート基と反応性である側基を含有する。Tgは測定するかまたはフォックス(Fox)方程式に従って計算することができる。硬化した時バインダーのTgは30℃より高い。これらのアクリルポリマーは、直鎖ポリマー、分枝ポリマー、グラフトポリマー、グラフト・ターポリマーおよびコア・セルポリマーであることができる。
【0018】
好ましくは、アクリルポリマーは5,000〜50.000、より好ましくは10,000〜25,000、さらにより好ましくは14,000〜17,000の重量平均分子量を有する。アクリルポリマーは好ましくは30℃より高く80℃までのTgを有する。バインダーのTgは硬化した時に30℃より高い。典型的に有用なアクリルポリマーは当該技術分野で公知のものであり、次のポリマー:アルキル基に1〜12個の炭素原子を有する直鎖アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートをはじめとする、アルキル基に3〜12個の炭素原子を有する環状または分枝アルキル(メタ)アクリレートであり、該ポリマーはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドを含有することができ、アルキル基に1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキル基に1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアミノアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートのようなアルコキシシリルアルキル(メタ)アクリレートなどのような反応性側基を提供するモノマーを含有することができる。
【0019】
300〜800、好ましくは380〜750、より好ましくは450〜580のヒドロキシ当量(固形分基準で)を有するヒドロキシ官能性アクリルポリマーが好ましく、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと1つまたは複数の前述モノマーとのポリマーが好ましい。ヒドロキシ当量はヒドロキシル基の当量当たりに樹脂のグラムである。次のものが典型的に好ましいアクリルポリマーである:スチレン/メチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン/メチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびスチレン/イソボルニルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/ヒドロキシプロピルメタクリレート/ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート。
【0020】
ヒドロキシル基をアクリルポリマー中へ導入するために使用される好適なヒドロキシル官能性不飽和モノマーは、例えば、第一級または第二級ヒドロキシル基を持ったα,β−オレフィン系不飽和モノカルボン酸のヒドロキシアルキルエステルである。これらは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸および/またはイソクロトン酸のヒドロキシアルキルエスエルを含んでもよい。(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステルが好ましい。第一級ヒドロキシル基を持ったα,β−オレフィン系不飽和モノカルボン酸の好適なヒドロキシアルキルエステルの例は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアミル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートである。第二級ヒドロキシル基を持った好適なヒドロキシアルキルエステルの例は、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートである。
【0021】
追加の有用なヒドロキシ官能性不飽和モノマーは、α,β−不飽和モノカルボン酸と、α位で分枝した飽和モノカルボン酸のグリシジルエステルとの、例えば飽和α−アルキルアルカンモノカルボン酸またはα,α−ジアルキルアルカンモノカルボン酸のグリシジルエステルとの反応生成物である。これらは好ましくは(メタ)アクリル酸と分子当たり7〜13個の炭素原子、特に好ましくは分子当たり9〜11個の炭素原子の飽和α,α−ジアルキルアルカンモノカルボン酸のグリシジルエステルとの反応生成物を含む。これらの反応生成物は、共重合反応の前、その間またはその後に形成されてもよい。
【0022】
さらなる使用できるヒドロキシ官能性不飽和モノマーは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとラクトンとの反応生成物である。使用されてもよいヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、例えば、上述されたものである。好適なラクトンは、例えば、環がまた異なる置換基を含んでもよい、環中に3〜15個の炭素原子を有するものである。好ましいラクトンはγ−ブチロラクトン、デルタ−バレロラクトン、イプシロン−カプロラクトン、β−ヒドロキシ−β−メチル−デルタ−バレロラクトン、ラムダ−ラウロラクトンまたはそれらの混合物である。イプシロン−カプロラクトンが特に好ましい。反応生成物は好ましくは1モルのα,β−不飽和モノカルボン酸のヒドロキシアルキルエステルと1〜5モル、好ましくは平均して2モルのラクトンとから製造されたものを含む。ヒドロキシアルキルエステルのヒドロキシル基は、共重合反応の前、その間またはその後にラクトンで変性されてもよい。
【0023】
カルボキシル基を持ったアクリルポリマーを提供するために使用することができる好適な不飽和モノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸のような、例えば、オレフィン系不飽和モノカルボン酸である。アクリル酸およびメタクリル酸が好ましくは使用される。
【0024】
グリシジル基を持ったアクリルポリマーを提供するために使用することができる好適な不飽和モノマーは、例えば、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロヘキサン、エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ビニルグリシジルエーテルおよびグリシジル(メタ)アクリレートである。グリシジル(メタ)アクリレートが好ましくは使用される。
【0025】
少なくとも1つのオレフィン二重結合は別にして、アクリルポリマーを形成するために用いることができる追加の官能基を含有しないフリーラジカル重合性のオレフィン系不飽和モノマーは、例えば、不飽和カルボン酸と1〜20個の炭素原子の環式アルコールだけでなく分枝または非分枝の脂肪族一価アルコールとのエステルである。考慮されてもよい不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸およびイソクロトン酸である。(メタ)アクリル酸のエステルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルの例はメチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、第三ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレートおよび対応するメタクリレートである。環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの例はシクロヘキシルアクリレート、トリメチルシクロヘキシルアクリレート、4−第三ブチルシクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、および対応するメタクリレートである。
【0026】
追加の官能基を含有しないさらなる有用な不飽和モノマーは、例えば、イソブチルビニルエーテルのようなビニルエーテル、および酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、ビニル芳香族炭化水素、好ましくは分子当たり8〜9個の炭素原子のものである。かかるモノマーの例はスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、2,5−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、ビニルトルエンである。スチレンが好ましくは使用される。
【0027】
小割合のオレフィン系多不飽和モノマーもまた使用されてもよい。これらは、分子当たり少なくとも2つのフリーラジカル重合性二重結合を有するモノマーである。これらの例はジビニルベンゼン、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレートである。
【0028】
ヒドロキシ官能性(メタ)アクリルポリマーは当業者に周知の従来法、例えば、バルク、溶液またはパール重合を用いるフリーラジカル共重合によって、特にフリーラジカル開始剤を用いるフリーラジカル溶液重合によって一般に形成される。
【0029】
アクリロウレタンもまた本発明の新規コーティング組成物を形成するために使用することができる。典型的に有用なアクリロウレタンは、前述のアクリルポリマーを有機ポリイソシアネートと反応させることによって形成される。一般に、生じたアクリロウレタンが上に記載されたような反応基を有する末端アクリル・セグメントを有するように過剰のアクリルポリマーが使用される。これらのアクリロウレタンはヒドロキシル、カルボキシル、アミン、グリシジル、アミド、シランまたはかかる基の混合物のような反応性末端基および/または側基を有することができる。有用な有機ポリイソシアネートは架橋成分として本明細書で下に記載されるが、本発明で有用なアクリロウレタンを形成するために使用することもできる。典型的に有用なアクリロウレタンは、参照により本明細書によって援用される、スタメグナ(Stamegna)らの米国特許公報(特許文献4)に開示されている。
【0030】
アクリルポリマーは(メタ)アクリルアミドを含有することができる。かかるアクリルポリマーの典型的な例は、(メタ)アクリルアミドとアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸および/または前述のエチレン系不飽和重合性モノマーとのポリマーである。
【0031】
本コーティング組成物で使用されるポリトリメチレンエーテルジオールは500〜5,000、好ましくは1,000〜3,000の範囲の数平均分子量(Mn)を有する。ポリトリメチレンエーテルジオールは約−75℃のTg、1.1〜2.1の範囲の多分散性および20〜200の範囲のヒドロキシル価を有する。
【0032】
ポリトリメチレンエーテルジオールは、その両方とも参照により本明細書によって援用される米国特許公報(特許文献5)および米国特許公報(特許文献6)に記載されているように、1,3−プロパンジオールの酸触媒重縮合によって製造される。ポリトリメチレンエーテルジオールはまた、参照によりまた援用される(非特許文献1)に記載されているように、環状エーテル、オキセタンの開環重合によって製造することもできる。1,3−プロパンジオールが低有害性の、非常に安定な、低コストの、商業的に入手可能な材料であり、かつ、石油化学原料または再生可能な資源の使用によって製造することができるので、該ジオールの重縮合がオキセタンの使用より好ましい。
【0033】
好ましくは、再生可能な資源の発酵による生物ルートが1,3−プロパンジオールを得るために用いられる。1つの特に好ましい再生可能な資源は、それが容易に入手可能であり、1,3−プロパンジオールへの高い変換速度を有し、かつ、遺伝子組み換えしてジオールへの収率を向上させることができるのでコーンである。典型的な生物変換法は米国特許公報(特許文献7)、米国特許公報(特許文献8)および米国特許公報(特許文献9)に示されている。米国特許公報(特許文献7)は、単一微生物による発酵可能な炭素源の1,3−プロパンジオールへの生物変換法を教示している。米国特許公報(特許文献8)および米国特許公報(特許文献9)は、ジオール脱水酵素をコードした外来遺伝子を抱いた組み換え型バクテリアによるグリセロールの1,3−プロパンジオールへの生物変換を示している。前述特許は参照により本明細書に援用される。
【0034】
ポリトリメチレンエーテルジオールの共重合体もまた使用することができる。例えば、かかる共重合体は、1,3−プロパンジオールを、エタンジオール、ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールのような別のジオールと共重合させることによって製造される。共重合体の少なくとも50%は1,3−プロパンジオールからでなければならない。
【0035】
高分子量ジオールが1,000〜4,000のMnを有し、低分子量ジオールが150〜500のMnを有する、高および低分子量ポリトリメチレンエーテルジオールのブレンドを使用することができる。ジオールの平均Mnは1,000〜4,000の範囲にあるべきである。また、ジオールは、ポリトリメチレンエーテルジオールの重量を基準にして1〜20重量%の量でポリトリメチレンエーテルトリオールおよび他のより多官能性ポリトリメチレンエーテルポリオールを含有することができる。
【0036】
ポリトリメチレンエーテルジオールと他の脂環式ヒドロキシル含有分枝か線状かどちらかのオリゴマーとのブレンドを使用することができる。かかるオリゴマーは、参照により本明細書によって援用されるバルソッチらの米国特許公報(特許文献1)に開示されている。バインダーの重量を基準にして30重量%までのポリトリメチレンエーテルグリコールを使用することができる。
【0037】
ポリトリメチレンエーテルジオールを含有する本発明の組成物から形成されたコーティングは、高い溶剤放出速度を有し、高い初期硬度を有するコーティングをもたらし、該コーティングは従来のジオール、例えば、ポリエステルジオールから調製されたコーティングと比較して短い時間でその硬化の最終状態に達する。本新規組成物を利用する自動車およびトラック再仕上げ設備は、本新規組成物の生じたコーティングを塗布直後に該設備でさらに加工することができるので、自動車およびトラックならびにそれらの部品を再仕上げするおよび修理する際の生産性を向上させることができる。例えば、比較的短い硬化を有する本新規コーティング組成物のプライマー配合物は、塗布後間もなく紙やすりで磨くことができ、驚くべきことに改善された接着性および耐石チップ性を有する。ポリトリメチレンエーテルジオールを利用しない先行技術組成物では、急速硬化および紙やすり研磨性は不満足な耐チップ性のコーティングをもたらした。これらの先行技術コーティングの耐チップ性を向上させるために、エラストマー型ポリマー材料が典型的には添加されたが、その時紙やすり研磨性は著しく低下した。本発明の新規組成物のケースは、適切に顔料を入れられ、プライマーとして使用される場合にはかかるものではない。
【0038】
クリアコーティング組成物として使用される場合、必要な風化添加剤を含有する本新規組成物は迅速に硬化し、塗布後比較的短時間で硬い仕上げを形成し、研磨するおよび軽く紙やすりで磨くことができる。かかるクリアコーティング組成物は、再仕上げおよび修理設備で向上した生産性を提供する。また、生じたコーティングは、従来のジオールで配合したコーティングと比較して良好な外観および改善された耐水スポット性を維持している。
【0039】
本発明の新規組成物に使用することができる典型的に有用な有機ポリイソシアネート架橋剤には、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートおよびイソシアネート付加物が含まれる。
【0040】
使用することができる脂肪族、脂環式および芳香族ポリイソシアネートの例には、次のものが挙げられる。2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート(「TDI」)、4.4−ジフェニルメタンジイソシアネート(「MDI」)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(「H12MDI」)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート(「TODI」)、1,4−ベンゼンジイソシアネート、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(「NDI」)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(「HDI」)、4,6−キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(「IPDI」);1,2−プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、オメガ−ジプロピルエーテルジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4−メチル−1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチル−ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートのような他の脂肪族または脂環式ジ−、トリ−またはテトラ−イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートおよびイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレートのようなイソシアヌレート構造単位を有するポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのようなジイソシアネートの2分子の付加物、エチレングリコールのようなジオールとヘキサメチレンジイソシアネートとのウレチジオン、イソホロンジイソシアネートとのウレチジオン、3モルのヘキサメチレンジイソシアネートと1モルの水との付加物、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート、三量体およびビウレット、例えば、イソホロンジイソシアネートのアロファネート、三量体およびビウレットおよびヘキサンジイソシアネートのイソシアヌレート。それらの商業的入手可能性のために、MDI、HDI、TDIおよびイソホロンジイソシアネートが好ましい。
【0041】
トリフェニルメタントリイソシアネート、1,3,5−ベンゼントリイソシアネート、2,4,6−トルエントリイソシアネートのような三官能性イソシアネートもまた使用することができる。ローディア・コーポレーション(Rhodia Corporation)からトロネート(Tolonate)(登録商標)HDTとして販売されているヘキサメチレンジイソシアネートの三量体およびイソホロンジイソシアネートの三量体のようなジイソシアネートの三量体もまた好適である。
【0042】
脂肪族ポリイソシアネートとポリオールとの付加物または脂肪族ポリイソシアネートとアミンとの付加物のようなイソシアネート官能性付加物を使用することができる。また、前述のポリイソシアネートの任意のものを、付加物を形成するためにポリオールと共に使用することができる。トリメチロールアルカン、具体的には、トリメチロールプロパンまたはエタンのようなポリオールを、付加物を形成するために使用することができる。
【0043】
本新規組成物は任意選択的にバインダーの重量を基準にして通常0.1〜20重量%の量でアミノ官能性シラン架橋剤または硬化剤を含有し、好ましくは、バインダーの重量を基準にして0.5〜3.5重量%のシランが使用される。典型的に有用なアミノ官能性シランは式
(XnR)aSi−(−OSi)y−(OR1b
(式中、Xは−NH2、−NHR2、およびSHの群から選択され、nは1〜5の整数であり、Rは1〜22個の炭素原子を含有する炭化水素基であり、R1は1〜8個の炭素原子を含有するアルキル基であり、aは少なくとも1であり、yは0〜20であり、bは少なくとも2であり、かつ、R2は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である)を有する。
【0044】
典型的に有用なアミノ官能性シランは、アミノメチルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルフェニルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシシラン、デルタ−アミノブチルトリエトキシシラン、デルタ−アミノブチルエチルジエトキシシランおよびジエチレントリアミノプロピルアミノトリメトキシシランである。シルクェスト(Silquest)(登録商標)A1120として商業的に販売されているN−β(アェミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシシラン、およびシルクェスト(登録商標)A1130として商業的に販売されているジエチレントリアミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。これらのシランの両方ともコネチカット州ダンベリーのオーシ・スペシャルティーズ社(OSi Specialties,Inc.,Danbury,Connecticut)によって販売されている。
【0045】
アミノシラン架橋剤が使用される場合、当該技術分野で周知である第一級、第二級および第三級アミンのような追加のアミノ官能性硬化剤が通常添加される。典型的には、ジエチレントリアミン、およびトリエチレンテトラミンのような第一級アミン基を含有する脂肪族アミンを添加することができる。トリス(ジメチルアミノメチル)−フェノールのような第三級アミンもまた使用することができる。
【0046】
顔料入りプライマー組成物として利用される場合、本新規組成物は、バインダーの重量を基準にして1〜50重量%、好ましくは20〜40重量%のアクリルNAD(非水性分散)樹脂を含有することができる。これらのNAD樹脂は典型的には、20〜100℃のTgの架橋したアクリルコアを有する高分子量樹脂であり、低Tg安定剤セグメントがコアに結合している。かかるNAD樹脂の記載は、アントネリ(Antonelli)らの米国特許公報(特許文献10)、アントネリらの米国特許公報(特許文献11)およびバーソッチ(Barsotti)らの米国特許公報(特許文献12)にある。これらの特許は参照により本明細書によって援用される。NAD樹脂はクリア層の透明度を下げる傾向があるので、クリアコーティング組成物は一般にかかる樹脂を含有しない。
【0047】
典型的には、触媒が硬化時間および温度を低減するために本新規組成物中に使用され、周囲温度でのコーティングの硬化を可能にする。典型的な触媒には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジクロリド、ジブチル錫ジブロミド、トリフェニルボロン、テトライソプロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネート・キレート、ジブチル錫ジオキシド、ジブチル錫ジオクトエート、錫オクトエート、アルミニウムチタネート、アルミニウムキレート、ジルコニウムキレート、沃化エチルトリフェニルホスホニウムおよび他のかかるホスホニウム塩のような炭化水素ホスホニウムハライド、ならびに当業者に公知の他の触媒またはそれらの混合物が含まれる。
【0048】
本新規組成物は典型的には溶剤をベースとし、組成物の重量を基準にして95重量%までの溶剤を含有することができる。典型的には、本新規組成物はすぐにスプレーできる組成物の20〜80重量%、好ましくは50〜80重量%、より好ましくは60〜80重量%の固形分含有率を有する。本新規組成物は、低分子量アクリル樹脂反応性希釈剤を使用することによって100%固形分で配合されてもよい。
【0049】
本新規組成物が典型的なプライマーとして利用される場合、固形分は70〜75重量%であり、すぐにスプレーできるプライマーは典型的には60〜65重量%の固形分レベルを有する。シーラーとして利用される場合、固形分は20〜75重量%である。クリアコートとして使用される場合、クリアコートは典型的には5〜100重量%の広い固形分範囲を有することができるが、好ましくは25〜85重量%、より好ましくは35〜65重量%の範囲で使用される。
【0050】
典型的な有機溶剤の任意のものが本コーティング組成物を形成するために使用されてもよい。かかる溶剤には、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンおよびジイソブチルケトンのようなケトン;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチルのようなエステルならびに上記の任意のものの混合物が含まれる。
【0051】
本発明の新規コーティング組成物の利点は、それが低いVOC(揮発性有機化合物含有率)を有し、334g/l(ガロン当たり2.8ポンド)未満のVOCを有するべく容易に配合することができ、特に現行の政府大気汚染防止規制に適合する240g/l(ガロン当たり2ポンド)未満のVOCに配合することができる。
【0052】
典型的には、本新規組成物が顔料入り組成物として利用される場合、それは1/100〜350/100の顔料対バインダー重量比で顔料を含有する。本組成物がプライマーとして使用される場合、通常のプライマー顔料は150/100〜350/100の顔料対バインダー重量比で使用される。二酸化チタン、リン酸亜鉛、酸化鉄、カーボンブラック、非晶質シリカ、高表面積シリカ、硫酸バリウム、タルク、クロム酸カルシウム、クロム酸ストロンチウム、クロム酸亜鉛、クロム酸マグネシウム、クロム酸バリウムのような耐腐食性のためのクロム酸塩顔料および中空ガラス球が、プライマーで有用であるかかる顔料に典型的なものである。本コーティング組成物がベースコートまたはトップコートコーティング組成物として使用される場合、無機および有機着色顔料、アルミニウムフレークおよびアルミニウム粉末のような金属フレークおよび粉末、被覆雲母フレーク、被覆アルミニウムフレーク着色顔料のような特殊効果顔料が前述の顔料の1つと組み合わせて通常使用されてもよい。
【0053】
外装クリアコーティング組成物として使用される場合、本新規組成物は透明な顔料または硬化したバインダーと同じ屈折率を有する顔料を、0.1/100〜5/100の顔料対バインダー重量比で含有することができる。かかる一顔料はシリカである。
【0054】
本新規コーティング組成物が外装クリアコーティングとしてまたは風化作用および/またはUV光への暴露を受けるコーティングとして使用されることになっている場合、コーティングの耐候性およびUV耐久性は、バインダーの重量を基準にして0.1重量%〜10重量%の量で紫外線安定剤、または紫外線安定剤の組合せを添加することによって改善される。かかる安定剤には、紫外線吸収剤、遮蔽剤、消光剤、および特定のヒンダードアミン光安定剤が含まれる。酸化防止剤もまたバインダーの重量を基準にして0.1重量%〜5重量%の量で添加することができる。
【0055】
有用である典型的な紫外線安定剤には、ベンゾフェノン、トリアゾール、トリアジン、ベンゾエート、ヒンダードアミンおよびそれらの混合物が含まれる。紫外線安定剤の具体例は、その全体開示が参照により本明細書に援用されるアントネリらの米国特許公報(特許文献10)に開示されている。良好な耐久性のために、すべてニューヨーク州タリータウンのチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,New York)から商業的に入手可能な、チヌビン(Tinuvin)(登録商標)328とチヌビン(登録商標)123(ヒンダードアミン光安定剤)とのブレンドが好ましい。
【0056】
典型的に有用な紫外線吸収剤には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−第三アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2[2−ヒドロキシ−3,5−ジ(1,1−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルプロピオナート)−2H−ベンゾトリアゾールと300の重量平均分子量を有するポリエチレンエーテルグリコールとの反応生成物、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−イソオクチルプロピオナート)−2H−ベンゾトリアゾールのようなヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール;2−[4(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシ/トリデシルオキシプロピル)−オキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4(2−ヒドロキシ−3−(2−エチルヘキシル)−オキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−オクチルオキシ−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンのようなヒドロキシフェニルs−トリアジン;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、および2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノンのようなヒドロキシベンゾフェノンUV吸収剤が含まれる。
【0057】
典型的に有用な酸化防止剤には、テトラキス[メチレン(3,5−ジ第三ブチルヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、オクタデシル3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、トリス(2,4−第三ブチルフェニル)ホスファイト、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンおよびベンゼンプロパン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−C7〜C9分枝アルキルエステルが含まれる。典型的に有用なヒドロペルオキシド分解剤には、サンコ(Sanko)(登録商標)HCA(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスフェナントレン−10−オキシド)、トリフェニルホスフェートならびにチバ・スペシャルティ・ケミカルズ製のイルガフォス(Irgafos)(登録商標)TNPP、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製のイルガフォス(登録商標)168、ジーイー・スペシャルティ・ケミカルズ(GE Specialty Chemicals)製のウルトラノックス(Ultranox)(登録商標)626、旭電化製のマーク(Mark)PEP−6、旭電化製のマークHP−10、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製のイルガフォス(登録商標)P−EPQ、アルベマーレ(Albemarle)製のエタノックス(Ethanox)398、ジーイー・スペシャルティ・ケミカルズ製のウェストン(Weston)618、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製のイルガフォス(登録商標)12、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製のイルガフォス(登録商標)38,ジーイー・スペシャルティ・ケミカルズ製のウルトラノックス(登録商標)641およびドーバー・ケミカルズ(Dover Chemicals)製のドーバーホス(Doverphos)(登録商標)S−9228のような他の有機リン化合物が含まれる。
【0058】
典型的に有用なヒンダードアミン光安定剤には、N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−ドデシルスクシンイミド、N−(1−アセチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2−ドデシルスクシンイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−2,6,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール−コハク酸共重合体、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N,N’’’−[1,2−エタンジイルビス[[[4,6−ビス[ブチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]イミノ]−3,1−プロパンジイル]]ビス[N,N’’’−ジブチル−N’,N’’’−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)]、ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)−イミノ]−1,6−ヘキサン−ジイル[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−イミノ]]、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)[3,5−ビス(1,1,−ジメチルエチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]ブチルプロパンジオエート、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ(4,5)デカン−2,4−ジオン、ドデシル/テトラデシル−3−(2,2,4,4−テトラメチル−21−オキソ−7−オキサ−3,20−ジアザルジスピロ(5.1.11.2)ヘンイコサン−20−イル)プロピオナートが含まれる。
【0059】
本コーティング組成物は従来のコーティング添加剤を含有してもよい。かかる添加剤の例は、(メタ)アクリルホモポリマーをベースとする均染剤、高分散シリカまたは高分子尿素化合物のようなレオロジー調整剤、部分架橋したポリカルボン酸またはポリウレタンのような増粘剤、消泡剤、湿潤剤、OH官能性バインダーの架橋反応のための触媒、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ナフテン酸亜鉛のような有機金属塩、およびポリイソシアネートとの架橋反応のための、トリエチルアミンのような第三級アミノ基を含有する化合物である。添加剤は、当業者におなじみの通常の量で使用される。
【0060】
本新規コーティング組成物はまた、湿潤剤、均染剤および流れ調整剤のような他の通常の配合添加剤、例えば、レジフロー(Resiflow)(登録商標)S(ポリブチルアクリレート)、BYK(登録商標)320および325(高分子量ポリアクリレート)、BYK(登録商標)347(ポリエーテル変性シロキサン)ならびに溶融シリカのようなレオロジー調整剤を含有してもよい。
【0061】
成分aに加えて、本発明によるコーティング組成物は、架橋成分cと反応することができる反応性希釈剤としてさらなる反応性低分子量化合物を含有してもよい。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパンおよび1,6−ジヒドロキシヘキサンのような低分子量ポリヒドロキシル化合物が使用されてもよい。
【0062】
架橋剤(成分c)のタイプに依存して、本新規組成物は単一成分または二成分コーティング組成物として配合されてもよい。遊離イソシアネート基を持ったポリイソシアネートが架橋剤として使用される場合、本コーティング組成物は二成分システムであり、すなわち、成分aおよびbは塗布の直前にようやくポリイソシアネート成分と混合されてもよい。例えば、ブロックされたポリイソシアネートおよび/またはアミノ樹脂が架橋剤として使用される場合、本コーティング組成物は単一成分組成物として配合されてもよい。原則として、本コーティング組成物は塗布される前に有機溶剤でスプレー粘度にさらに調整されてもよい。
【0063】
典型的な二成分組成物では、二成分は塗布直前に一緒に混合される。第1成分は、反応性ヒドロキシル基を有するアクリルポリマーのような、反応性側基を有するアクリルポリマーと、ポリトリメチレンエーテルジオールおよび任意の透明な顔料とを含有する。顔料は、ボールミリング、サンドミリング、磨砕機細砕などのような、通常の分散技術を用いて第1成分に分散させることができる。第2成分は、ポリイソシアネート架橋剤のような架橋剤と、任意のアミノ官能性シラン架橋剤および任意の追加のアミン硬化剤および溶剤とを含有する。
【0064】
本発明によるコーティング組成物は、車両および工業コーティングに好適であり、公知の方法、特にスプレー塗布を用いることによって塗布されてもよい。車両コーティングとの関連で、本コーティング組成物は、車両の元のコーティング用および車両および車両部品の修理または再仕上げコーティング用の両方に使用されてもよい。本コーティング組成物は有機ポリイソシアネート架橋剤を含有するので、組成物の硬化は周囲温度で成し遂げることができるが、組成物はまた50〜150℃の高温で強制乾燥することもできる。20℃〜80℃、特に20℃〜60℃の典型的な高められた硬化温度が車両修理または再仕上げコーティングのために用いられる。
【0065】
本コーティング組成物は、吹き付け塗り、静電吹き付け塗り、浸し塗り、刷毛塗り、および流し塗りのような通常の技術によって塗布することができる。典型的には、コーティングは20〜300ミクロン、好ましくは50〜200ミクロン、より好ましくは50〜130ミクロンの乾燥塗膜厚さに塗布される。コーティングは周囲温度で硬化させることができ、硬化時間を短縮するために50〜150℃の高温で強制硬化させることができる。
【0066】
本新規コーティング組成物の硬化したクリア塗膜(顔料を含有しない塗膜)は、優れた弾性および硬度特性を有し、硬化した塗膜のTgは45℃より高く、それは、本組成物に使用されるジオールが−75℃のTgを有するので驚くべきである。理論に拘束されることを望むものではないが、アクリルポリマーがコーティングに硬度を提供し、ポリトリメチレンエーテルジオール・セグメントが改善された柔軟性を提供し、こうして改善された耐チップ性と所望の硬度とをコーティングに提供すると考えられる。
【0067】
本発明のコーティング組成物は、高い優れた柔軟性、基材への良好な接着性を有する仕上げを形成し、塗布後短時間で容易に研磨するまたは紙やすりで磨くことができる。特に、本コーティング組成物は周囲温度で良好な硬化反応性および高温硬化条件で優れた硬化反応性を有する。
【0068】
顔料を入れられ、プライマーへと配合され、硬化された場合に、本組成物は、優れた柔軟性、元の仕上げへの良好な接着性を有する、紙やすりで磨かれてもよい、またはウォッシュプライマー(薄いプリマー層)が元の仕上げの一面に塗布されるプライマー仕上げを形成し、表面欠陥の良好な充填を提供し、塗布および硬化後短時間で容易に紙やすりで磨くことができ、かつ、優れた耐石チップ性を提供する。特に、本コーティング組成物は周囲温度で良好な硬化反応性および高温硬化条件で優れた硬化反応性を有する。
【0069】
本発明は次の実施例でさらに規定される。これらの実施例はあくまで例示のために示されることが理解されるべきである。上の議論およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認することができ、その精神および範囲から逸脱することなく、それを様々な用途および条件に適応させるために本発明の様々な変更および修正を行うことができる。結果として、本発明は下で本明細書に述べられる例示的な実施例によって限定されないが、むしろ、下で本明細書に含まれる特許請求の範囲によって規定される。
【実施例】
【0070】
(実施例で用いられる試験手順)
(乾燥塗膜厚さ)
試験方法米国材料試験協会(ASTM)D4138
【0071】
(ザーン(Zahn)粘度)
ASTM D1084方法Dに従って#1ザーン・カップ(Zahn cup)を用いて測定される。
【0072】
(ペルソー(Persoz)硬度試験)
コーティングの塗膜硬度の変化を、コネチカット州ウォリングフォードのバイク−マリンクロット(Byk−Mallinckrodt,Wallingford,CT)によって供給されるペルソー硬度計モデルNo.5854[ASTM D4366]を用いることによって塗布後の時間に関して測定した。振動の数[ペルソー数と言われる]を記録する。
【0073】
(フィッシャー(Fischer)硬度)
フィッシャースコープ(Fischerscope)(登録商標)硬度計を用いて測定した。[測定値は平方ミリメートル当たりのニュートン単位である。]
【0074】
ポリマーのTg(ガラス転移温度)はASTM D−3418(1988)に従って測定するか、またはフォックス方程式に従って計算する。
【0075】
ポリトリメチレンエーテルジオールの分子量およびヒドロキシル価はASTM E222に従って測定する。
【0076】
アクリルポリマーおよび他のポリマーの分子量MwおよびMnならびに多分散性(Mw/Mn)は、ポリスチレン標準および溶剤としてテトラヒドロフランを用いるGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定する。
【0077】
(水スポット試験)
本試験は、塗膜の硬化でいかにうまく塗膜が早期に架橋するかを測定する。塗膜の水スポット損傷は、塗膜の硬化が完了しておらず、塗膜を湿式紙やすりで磨き得るまたは研磨し得る前にさらなる硬化が必要とされることを示す。次の手順を用いる。
パネルをコーティング組成物でコートし、次に周囲温度条件下か高温条件下かのどちらかでセットした時間硬化させる。パネルを平面上に置き、脱イオン水をピペットで1時間間隔で付ける。直径約1/2インチ(1.27cm)の一滴の水を付け、一定の時間、典型的には60分および120分にわたって蒸発させ、パネル上の水スポットを変形および変色についてチェックする。パネルを脱イオン水で湿らせたチーズクロスで軽く拭き、引き続きパネルをチーズクロスで軽く拭いて乾かす。パネルを、次の格付けを用いて1〜10の尺度で格付けする。
10−最良、スポット発生、歪曲または変色の何の証拠もない。
9−スポット発生はほとんど検出できない。
8−僅かな環が目に見える。
7−非常に僅かな変色から僅かな変色。
6−僅かな光沢の損失または変色。
5−明確な光沢の損失または変色。
4−僅かなエッチングまたは明確な歪曲。
3−コーティングの軽いリフティング、ひどいエッチングまたは変色。
2−コーティングの明確なリフティング。
1−コーティングの溶解。
【0078】
(グラヴェロメーター(Gravelometer))
試験方法ASTM D3170に類似。パネルおよび石を試験前に最低2時間−26℃〜−36℃に保持される冷凍庫中で最低2時間順化させて、90度パネル角度を用いる。1パイントのかかる冷凍石を試験で用いる。さらに、追加情報を提供するために3パイントの室温石を室温で保管したパネル上で用いる。1が最悪であり(非常に深刻なチップ)、9が最良である(ほとんどチップなし)1から9でパネルを格付けする。任意選択的に、最大チップの面積(平方ミリメートル単位)をまたコーティングの性能を評価する際に考慮する。
【0079】
(パーセント破断歪みおよび破断エネルギー)
コンピューター制御およびデータ整理のために修正したおよびISO(国際標準化機構)9001の標準に従って維持したモデル1122インストロン(Instron)電気機械式試験機で得られた。試験サンプル幅は12.7mmであり、厚さは約0.1mmであり、正確な厚さは較正したマイクロメーターで測定した。ゲージ長さは12.7mmであり、試験スピードは5.0mm/分であった。すべての結果を周囲実験室条件下で得た。
【0080】
次の実施例で、すべての部および百分率は特に明記しない限り重量基準である。「Mw」は重量平均分子量を、「Mn」は数平均分子量を意味する。「PBW」は重量部を意味する。
【0081】
(実施例1)
((ポリトリメチレンエーテルジオールAおよびB)の製造)
1,3−プロパンジオール(3.4kg)および濃硫酸(30.4g)を、窒素注入口、機械撹拌機および蒸留ヘッドを備えた5L三つ口丸底フラスコに入れた。窒素ガスを、15分間反応混合物を通してバブルした。窒素雰囲気下で撹拌しながら重合を160℃で実施した。受けフラスコ中に525gの水留出物を集めた後、フラスコを真空ポンプに連結し、圧力をゆっくり1〜5mmHgに下げた。生じた反応生成物の分子量を、NMR末端基分析法を用いて種々の時間間隔でサンプルを分析することによってモニターした。所望の分子量(約2,000)を得た後に重合を停止し、ポリマーを下に記載するように精製した。
【0082】
等容量の水を粗ポリマーに加え、反応混合物を100℃で約6時間還流し、窒素雰囲気下で180rpmの撹拌スピードを用いた。約6時間後に、ヒーターおよび撹拌機を切り、混合物を2相へ分離させた。最上水相をデカンテーションし、ポリトリメチレンエーテルジオール相を蒸留水でもう3回さらに洗浄して硫酸および形成されたオリゴマーのほとんどを抽出した。ポリトリメチレンエーテルジオール中に残った残留酸を過剰の石灰で中和した。ポリトリメチレンエーテルジオールを減圧下に約100℃で2〜3時間乾燥し、次に乾燥ジオールを熱い間にセライト(Celite)(登録商標)濾過助剤でプレコートしたワットマン(Whatman)濾紙を通して濾過した。ポリトリメチレンエーテルジオールを分析し、特性を下の表1にリストする。第2のポリトリメチレンエーテルジオールBを上記のように製造し、特性を表1に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
(プライマー練り顔料組成物A〜Cの調製)
プライマー練り顔料組成物A、B、およびCを、次の成分を混合容器中へ装入することによって調製した。
【0085】
【表2】

【0086】
プライマー練り顔料組成物A、BおよびCの調製で、部分1を混合容器中へ装入し、15分間撹拌した。部分2をプレミックスし、撹拌しながら混合容器にゆっくり加え、30分間撹拌した。部分3をプレミックスし、撹拌しながら混合容器にゆっくり加え、60分間撹拌した。部分4を加えて15分間撹拌し、生じた混合物を3パスについてガラス媒体を用いてトップ・フィード・サンドミルで3パス磨り潰した。プライマー練り顔料組成物Cはポリトリメチレンエーテルジオールを含有しないので、それは比較組成物であると考えられる。
【0087】
生じたプライマー練り顔料A〜Cは次の特性を有する。
【0088】
【表3】

【0089】
活性化プライマー組成物A〜Cを、スプレー塗布直前に次の成分を一緒にブレンドすることによって調製した。
【0090】
【表4】

【0091】
生じた活性化プライマー組成物A〜Cは次の特性を有する。
【0092】
【表5】

【0093】
上で調製した活性化プライマー組成物A〜Cをそれぞれ、約0.3〜0.6ミル(7.5〜15ミクロン)の商業再仕上げウォッシュプライマー(下に記載される)でコートした別個の冷延鋼パネル上へスプレーすることによって塗布し、活性化プライマー組成物を周囲温度で硬化させた。硬化後、プライマー組成物の生じた乾燥塗膜厚さは4〜7ミル(100〜178ミクロン)の範囲にあった。ペルソー硬度およびフィッシャー硬度をパネルのそれぞれについて測定し、下の表2および3に示した。プライマーCパネルは再試験した(プライマーCはポリトリメチレンエーテルジオールを含有しなかった)。
【0094】
【表6】

【0095】
【表7】

【0096】
表2および3の上記データは、ポリトリメチレンエーテルジオールを含有するプライマー組成物AおよびBは硬化すると硬度が上がったが、ポリトリメチレンエーテルジオールを含有しないプライマー組成物Cは硬化しても硬度が顕著には上がらなかったことを示す。ペルソー硬度データを含む表2は、ペルソー硬度がプライマー組成物AおよびBの塗布後3時間から24時間で約2倍になったが、プライマーCについてのペルソー硬度が僅かに上がったに過ぎないことを示す。フィッシャー硬度データを含む表3は、プライマー組成物AおよびBの硬度が18および21日後にプライマー組成物Cのそれのほぼ2倍であることを示す。短時間での類似の硬度値のために、紙やすり研磨性はプライマー組成物A〜Cについて類似であると予期される。
【0097】
上記鋼パネルを下塗りするために用いられる商業再仕上げウォッシュプライマーを、28.43%の総固形分含有率、8.39%のバインダー固形分、239/100の顔料対バインダー重量比、VOC(#/ガロン)5.891および5.42のガロン重量(#/ガロン)を有する組成物を形成するためにバリプライム(Variprime)(登録商標)615S(顔料入り成分)とバリプライム(登録商標)616S(薄め液成分)とを1/1容量比(120gの615S/80gの616Sの重量比)で混合することによって配合する。プライマーのバインダーは、フェノール樹脂/ポリビニルブチラール樹脂/ニトロセルロース樹脂の組合せである。615Sの顔料部分は、総配合組成物を基準にして5.3重量%の量でクロム酸亜鉛顔料を含有する。薄め液(616S)は総配合重量を基準にして2.2重量%の量でリン酸を含有する。615Sおよび616Sは本願特許出願人から入手可能な市販製品である。
【0098】
プライマー組成物A〜Cで下塗りしたパネルのセットを上記のように調製した。パネルを約24℃および50%相対湿度で一晩硬化させ、次に400グリット紙やすりで磨いて約4.0〜4.5ミル(102〜114ミクロン)の塗膜塗り厚を与えた。パネルのそれぞれを、本願特許出願人から入手可能な非活性化ブルー金属ベースコート−クロマベース(ChromaBase)(登録商標)ブルー金属ベースコートN8112K(分散されたアルミニウムフレーク顔料、フタロシアニンブルー顔料およびカーボンブラック顔料を含有するヒドロキシ官能性アクリルポリマー分散系)およびクロマシステムズ・ベースメーカー(Chromasystems Basemaker)7175S(有機溶剤中のアクリル樹脂)−でコートした。N8112Kの1部を7175Sの1部と混合して非活性化ベースコートを形成する。各パネルをクリアトップコート(本願特許出願人から商業的に入手可能なデュポン・クロマクリア(ChromaClear)(登録商標)V−7500S二成分ウレタンクリアコート)でトップコートした。
【0099】
別のパネルをプライマー組成物Cで上記のように調製し、ブルー金属ベースコートをクロマプレミア(ChromaPremir)(登録商標)12305Sイソシアネート活性化剤で活性化した。
【0100】
プライマー組成物A〜Cでコートした、上に記載したように調製したパネルの第2セットを非活性化レッドベースコート−クロマベース(登録商標)レッドベースコートB8713K(モナストラル(Monastral)(登録商標)マジェンタ顔料分散系およびペリンド(Perrindo)(登録商標)レッド分散系を含有するヒドロキシ官能性アクリルポリマー)およびクロマシステムズ・ベースメーカー7175S(有機溶剤中のアクリル樹脂)−でコートした。B8731Kの1部を7175Sの1部と混合した。パネルのそれぞれをクリアトップコート(上に記載)でコートした。
【0101】
別のパネルを、クロマプレミア(登録商標)12305Sイソシアネート活性化剤で活性化したことを除いてプライマー組成物Cで上記のように調製した。
【0102】
上で調製したパネルのセットのそれぞれを、上に記載したようなグラヴェロメーター試験を用いて耐チップ性について試験した。結果を下の表4に示す。
【0103】
【表8】

【0104】
上記データは、ブルー金属ベースコートおよびレッドベースコートの両パネルについて、ポリトリメチレンエーテルジオールを含有するプライマーAおよびBが、ポリトリメチレンエーテルジオールを含有しないプライマーCと比較して室温でおよび低温で高いグラヴェロメーターチップ格付けを有することを示す。両ケースで、プライマーCと組み合わせたブルー金属およびレッド活性化ベースコートは、ポリトリメチレンエーテルジオールを含有するプラーマーAと比較して耐チップ性を顕著に上げなかった。通常、活性化ベースコートは耐チップ性を上げる。プライマーBは、非活性化ベースコートと共に使用したプライマーCと比べて若干の改善を示す。ポリトリメチレンエーテルジオールを含有するプライマーAは、レッドまたはブルー金属のどちらの非活性化ベースコートでも最良の性能を有した。これは、エチレンオキシドオリゴマーと組み合わせてポリトリメチレンエーテルジオールの添加がプライマーCでのエチレンオキシドオリゴマーのみの使用と比較して耐チップ性を向上させることを示す。エチレンオキシドオリゴマーに代わるポリトリメチレンエーテルジオールの使用は最良の性能をもたらす。
【0105】
(実施例2)
次のクリアコーティング組成物D、E、およびFを、次の成分を混合容器中へ装入し、成分を十分に混合することによって調製した。
【0106】
【表9】

【0107】
上で調製したクリアコーティング組成物D〜Fをそれぞれ、電着した鋼パネルの一面にドローダウン・バーで塗布して2ミル(51ミクロン)の乾燥塗膜厚さを与え、生じたクリアコーティング組成物を約24℃の周囲温度で硬化させた。ペルソー硬度およびフィッシャー硬度を、様々な時間にパネルのそれぞれについて測定し、そのデータを下の表5および6に示す。Tg、%破断歪み、および破断エネルギーを、約24℃および50%相対湿度で30日間硬化させた後にクリアコーティング組成物のそれぞれについて測定し、結果を下の表7に示す。
【0108】
【表10】

【0109】
【表11】

【0110】
【表12】

【0111】
クリアコーティング組成物Fは、低Tgアクリルポリマー(Tg20℃)で配合した比較組成物である。クリアコーティング組成物Eは、高Tgアクリルポリマー(Tg68℃)で配合した比較組成物である。クリアコーティング組成物Dは本発明の好ましい組成物であり、同様に同じ高Tgアクリルポリマーで配合した。クリアコーティング組成物Dは、許容される硬度値(ペルソーおよびフィッシャー)を有するが、著しくより高い%破断歪みおよび破断エネルギーを有し、クリアコーティング組成物EおよびFと比較して自動車およびトラックで有用であるより強靱なクリアコーティング組成物に典型的になる。クリアコーティング組成物Dと同じ高Tgアクリルポリマーを使用したがポリトリメチレンエーテルジオールを使用せずにむしろエチレンオキシドオリゴマーを使用したクリアコーティング組成物Eは高硬度を有したが、本発明を代表するクリアコーティング組成物Dと比較して著しく低い%破断歪みおよび破断エネルギーを有した。同様に、低Tgアクリルポリマーおよびエチレンオキシドオリゴマーを使用したクリアコーティング組成物Fは、本発明を代表するクリアコーティング組成物Dと比較して著しく低い%破断歪みおよび破断エネルギーを有した。
【0112】
(実施例3)
次のクリアコーティング組成物G〜Kを、次の成分を混合容器中へ装入し、成分を十分に混合することによって調製した。
【0113】
【表13】

【0114】
上で調製したクリアコーティング組成物G〜Kをそれぞれ、電着した鋼パネル上にドローダウン・バーで塗布した。クリアコーティング組成物を約24℃の周囲温度で硬化させた。クリアコーティング組成物のそれぞれの生じた乾燥塗膜厚さは1.8〜2.2ミル(46〜56ミクロン)の範囲にあった。
【0115】
約24℃および50%相対湿度で30日硬化後のクリア塗膜のそれぞれのゲル分率およびTgを測定し、結果を次の表8に示す。
【0116】
【表14】

【0117】
クリアコーティング塗膜G〜IおよびKのガラス転移温度(Tg)は非常によく似ていた。クリアコーティングJは他のクリアコーティングと比較して比較的低いTgを有した。クリアコーティング塗膜H中の比較的大量の可溶性材料は、この塗膜がクリアコーティングGおよびIと比較して不満足な長期屋外耐久性を有するはずであることを示唆する、クリアコーティングJおよびKはクリアコーティングGおよびIより多い可溶性材料を有し、同様に、クリアコーティングGおよびIほど良好な長期屋外耐久性を持たないと予期される。
【0118】
(実施例4)
(プライマー練り顔料組成物L〜Pの調製)
プライマー練り顔料組成物L〜Pを、次の成分を混合容器中へ装入することによって調製した。
【0119】
【表15】

【0120】
プライマー練り顔料組成物L〜Pの調製で、部分1を混合容器中へ装入し、15分間撹拌した。部分2をプレミックスし、撹拌しながら混合容器にゆっくり加え、30分間撹拌した。部分3をプレミックスし、撹拌しながら混合容器にゆっくり加え、60分間撹拌した。部分4を加えて15分間撹拌し、生じた混合物を3パスについてガラス媒体を用いてトップ・フィード・サンドミルで3パス磨り潰した。プライマー練り顔料組成物M〜Pはポリトリメチレンエーテルジオールを含有しないので、それらは比較組成物であると考えられる。
【0121】
生じたプライマー練り顔料L〜Pは次の特性を有する。
【0122】
【表16】

【0123】
活性化プライマー組成物L〜Pを、スプレー塗布直前に次の成分を一緒にブレンドすることによって調製した。
【0124】
【表17】

【0125】
生じた活性化プライマー組成物L〜Pは次の特性を有する。
【0126】
【表18】

【0127】
上で調製した活性化プライマー組成物L〜Pをそれぞれ、約0.3〜0.6ミル(7.5〜15ミクロン)の商業再仕上げウォッシュプライマー(実施例1に記載)でコートした別個の冷延鋼パネル上へスプレーすることによって塗布し、活性化プライマー組成物を周囲温度で硬化させた。プライマー組成物の生じた乾燥塗膜厚さは4〜7ミル(100〜178ミクロン)の範囲にあった。ペルソー硬度およびフィッシャー硬度をパネルのそれぞれについて測定し、下の表9および10に示した。
【0128】
【表19】

【0129】
【表20】

【0130】
表9の上記データは、プライマー組成物L〜Pが3時間後にほぼ同じペルソー硬度を有するが、プライマーL〜Nが1日後にSジオールを含有するがポリトリメチレンエーテルジオールを含有しないプライマーOおよびPと比較してかなり高いレベルの硬度を有することを示す。表10の上記データは、プライマー組成物L〜Nが1日後にSジオールを含有するがポリトリメチレンエーテルジオールを含有しないプライマー組成物OおよびPと比較して比較的高いフィッシャー硬度を有することを示す。7日後に、Sジオールを含有するプライマー組成物Oは、プライマー組成物L、M、N、およびPと比較して著しく低い硬度値を有した。サンプルPのより高いフィッシャー硬度は、サンプルO中よりはるかに少ない低分子量Sジオールが存在するためである。
【0131】
プライマー組成物L〜Pで下塗りしたパネルのセットを上記のように調製した。パネルを約24℃および50%相対湿度で一晩硬化させ、次に400グリット紙やすりで磨き、生じた塗膜塗り厚は約4.0〜4.5ミル(102〜114ミクロン)であった。パネルのそれぞれを、非活性化レッド金属ベースコート(実施例1に記載)でコートした。各パネルをクリアトップコート(実施例1に記載したデュポン・クロマクリア(登録商標)V−7500S)でトップコートし、硬化させた。
【0132】
上で調製したパネルのそれぞれを、上に記載したようなグラヴェロメーター試験を用いて耐チップ性について試験した。結果を下の表11に示す。
【0133】
【表21】

【0134】
プライマーL(本発明)、プライマーMおよびプライマーNは類似のグラヴェロメーターチップ格付けを有するが、プライマーOおよびPは非常に低い、許容されないグラヴェロメーターチップ格付けを有する。最大チップのサイズもまた考慮事項である。プライマーL(本発明)は、最小サイズ・チップを有し、著しくより大きいチップ・サイズを有したプライマーMおよびNと比較して最良の性能を有すると考えられる。プライマーOおよびPは、グラヴェロメーター格付けが不満足であったので、格付けしなかった。
【0135】
(実施例5)
((ポリトリメチレンエーテルジオールAおよびB)の製造)
1,3−プロパンジオール(3.4kg)および濃硫酸(30.4g)を、窒素注入口、機械撹拌機および蒸留ヘッドを備えた5L三つ口丸底フラスコに入れた。窒素ガスを、15分間反応混合物を通してバブルした。窒素雰囲気下で撹拌しながら重合を160℃で実施した。受けフラスコ中に525gの水留出物を集めた後、フラスコを真空ポンプに連結し、圧力をゆっくり1〜5mmHgに下げた。生じた反応生成物の分子量を、NMR末端基分析法を用いて種々の時間間隔でサンプルを分析することによってモニターした。所望の分子量(約2,000)を得た後に重合を停止し、ポリマーを下に記載するように精製した。
【0136】
等容量の水を粗ポリマーに加え、反応混合物を100℃で約6時間還流し、180rpmの撹拌スピードを窒素雰囲気下で用いた。約6時間後に、ヒーターおよび撹拌機を切り、混合物を2相へ分離させた。最上水相をデカンテーションし、ポリトリメチレンエーテルジオール相を蒸留水でもう3回さらに洗浄して硫酸および形成されたオリゴマーのほとんどを抽出した。ポリトリメチレンエーテルジオール中に残った残留酸を過剰の石灰で中和した。ポリトリメチレンエーテルジオールを減圧下に約100℃で2〜3時間乾燥し、次に乾燥ジオールを熱い間にセライト(登録商標)濾過助剤でプレコートしたワットマン濾紙を通して濾過した。ポリトリメチレンエーテルジオールは1138の当量、2276の数平均分子量(Mn)および49.3のヒドロキシル価を有した。
【0137】
(コンセントレートの調製)
次の成分を一緒にブレンドしてコンセントレートを形成した。
【0138】
【表22】

【0139】
(クリアコーティング組成物1〜4の調製)
クリアコーティング組成物1〜4を、次の成分を一緒にブレンドすることによって調製した。
【0140】
【表23】

【0141】
アクリルポリマー溶液1−11,000のMwおよび69.3℃(計算)のTgを有する、15部スチレン、20部メチルメタクリレート、45部イソブチルメタクリレート、20部ヒドロキシエチルメタクリレートのアクリルポリマーのZ−Z2+1/2のガードナー−ホルツ(Gardner−Holdt)粘度を有する15/85メチルエチルケトン/キシレン中59.6重量%固形分。
【0142】
アクリルポリマー溶液2−8,000のMwおよび79℃(計算)のTgを有する、15部スチレン、20部ヒドロキシエチルメタクリレート、23部イソボルニルメタクリレート、5部メチルメタクリレート、5部2−エチルヘキシルメタクリレートおよび32部イソブチルメタクリレートのアクリルポリマーのU+1/2−Xのガードナー−ホルツ粘度を有する15.4/84.6メチルエチルケトン/キシレン中60.4重量%固形分。
【0143】
アクリルポリマー溶液3−5,000のMwおよび78.2℃(計算)のTgを有する20部スチレン、30部イソボルニルメタクリレート、17.5部2−エチルヘキシルメタクリレート、16.25部ヒドロキシエチルメタクリレートおよび16.25部ヒドロキシプロピルメタクリレートのアクリルポリマーのV−X+1/2のガードナー−ホルツ粘度を有する89.47/10.53キシレン/酢酸ブチル中62.0重量%固形分。
【0144】
クリアコーティング組成物1および2は比較組成物であり、ポリトリメチレンエーテルジオールを含有するクリアコーティング組成物3および4は本発明の新規組成物である。
【0145】
次の4つの活性化クリアコーティング組成物を、上で調製したクリアコーティング組成物を用いて、次の成分を一緒にブレンドすることによって調製した。
【0146】
【表24】

【0147】
上の活性化クリアコーティング組成物のそれぞれを45%固形分含有率に調整し、各組成物についての活性化比は1.3:1NCO:OHであった。コーティング組成物のそれぞれを周囲温度条件下でプリント鋼パネル上へスプレーし、次の表1に示されるような時間下に次の試験(水スポット、ペルソー硬度、およびフィッシャー硬度)にかけた。また、コーティング組成物のそれぞれのザーン粘度も初期、60および90分後に測定し、これらの結果を表1に示す。
【0148】
【表25】

【0149】
上の結果は、ポリトリメチレンエーテルジオールがエチレンオキシドオリゴマーの代わりに使用することができ、耐水スポット性を僅かに改善することができ、スプレー後数日間外観を維持されるようにすることを示す。外観を維持する能力は、ベークしたフィッシャー硬度と7日フィッシャー硬度とのより小さい差によって示唆される。ポリトリメチレンエーテルジオールを含有する新規コーティング3および4は、比較クリア1および2より7日後にそれらの最終状態に近く、それはより速い溶剤放出のためであるかもしれない。それ故、新規コーティング3および4は外観をより良好に維持する。また、これは、ペルソー硬度または早期フィッシャー硬度を犠牲にすることなく達成され、新規コーティング3および4を紙やすりで磨くまたは研磨する能力と、これらの新規コーティングでコートされた部品の取扱いとに悪影響を及ぼさない。
【0150】
(実施例6)
次のクリアコーティング組成物A〜Dを、次の表2に示す成分をブレンドすることによって配合した。
【0151】
【表26】

【0152】
アクリルポリマー溶液4−約6,500のMwおよび55℃の計算Tgを有する15/2/15/23/20/25の比でのスチレン/メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/2−エチルヘキシルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレートのアクリルポリマーのS−Vのガードナー−ホルツ粘度を有する85/15キシレン/メチルエチルケトンの溶剤ブレンドの溶液中60重量%固形分。
【0153】
活性化クリアコーティング組成物は、上で調製したクリアコーティング組成物A〜Dを用いて調製した。下の表3で、活性化A−1は上記クリアコーティング組成物Aで調製した。活性化B−1および活性化B−2はクリアコーティング組成物Bで調製した。活性化C−1および活性化C−2はクリアコーティング組成物Cで調製した。活性化D−1および活性化D−2はクリアコーティング組成物Dで調製した。組成物活性化A−1、活性化B−1、活性化C−1、および活性化D−1では、使用した活性化剤の量は一定量であり、それ故、活性化比は変わった。組成物活性化B−2、活性化C−2、および活性化D−2では、比が一定の1.08:1NCO:OHであった。活性化A−1は実験室製の対照である。V−7500S(実施例1に記載)。
【0154】
【表27】

【0155】
上記の活性化クリアコーティング組成物のそれぞれを、45%固形分含有率に調整し、コーティング組成物のそれぞれを、下塗り鋼パネル上へ周囲温度条件下でスプレーし、次の表4に示すような時間下に次の試験(水スポット、ペルソー硬度、およびフィッシャー硬度)にかけた。
【0156】
【表28】

【0157】
上の結果は、ヒドロキシエステルオリゴマーの代わりにポリトリメチレンエーテルジオールを用いることによってペルソー硬度を維持するまたは短時間で多分上げることができることを示す。4時間ペルソー硬度は、本新規組成物すべてについて2つの対照、活性化A−1およびV7500Sについてよりも高い。2時間での水スポットは、実験サンプルについて対照と同じほど良いかまたはそれより良好である。幾つかは対照より良好である。組成物のすべてについての水スポットは、3時間までは非常に似ており、2時間では何の差もなかった。本発明組成物が非常に低いレベルのポリトリメチレンエーテルジオールを有する場合でさえ、対照の活性化A−1および7500Sと比較して本発明の活性化B−1〜活性化D−2の組成物についてベークしたフィッシャー硬度と7日フィッシャー硬度との間にはるかに小さな差がある。上の結果に基づいて、クリアコーティング組成物でのポリトリメチレンエーテルジオールの使用は良好な外観が維持されるのを可能し、低Tgヒドロキシ官能性オリゴマーと比較してこれらのクリアコートの生産性を向上させるかもしれないと考えられる。改善された耐候性を得るために、追加の安定剤および/または酸化防止剤が組成物に添加されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.イソシアネート部分と反応性である側基を有し、かつ、10〜80℃のガラス転移温度(Tg)を有するアクリルポリマーと、
b.500〜5,000のMn(数平均分子量)を有するポリトリメチレンエーテルジオールと、
c.有機ポリイソシアネート架橋剤と
を含む塗膜形成バインダーを含むことを特徴とするコーティング組成物。
【請求項2】
前記バインダーが
a.前記バインダーの重量を基準にして10〜80重量%のアクリルポリマーと、
b.前記バインダーの重量を基準にして1〜50重量%のポリトリメチレンエーテルジオールと、
c.前記バインダーの重量を基準にして10〜50重量%の有機ポリイソシアネート架橋剤と
を含み、かつ、
a、bおよびcの百分率の合計が100%であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記ポリトリメチレンエーテルジオールがMn1,000〜3,000、約−75℃のTgおよび20〜200のヒドロキシル価を有することを特徴とする請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記ポリトリメチレンエーテルジオールが高および低分子量エーテルジオールのブレンドであり、前記高分子量ジオールが1,000〜4,000のMnを有し、そして前記低分子量ジオールが150〜500のMnを有し、かつ、前記ブレンドの平均Mnが1,000〜3,000であることを特徴とする請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記ポリトリメチレンエーテルジオールが生物変換プロセスによって形成されることを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記ポリトリメチレンエーテルジオールに加えて、分枝または直鎖オリゴマーを含むことを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
前記アクリルポリマーが1,000〜100,000の重量平均分子量および10℃〜80℃のTgを有し、かつ、本質的に、アルキル基に1〜12個の炭素原子を有する直鎖アルキル(メタ)アクリレート、アルキル基に3〜12個の炭素原子を有する環状または分枝アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ならびにアルキル基に1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキル基に1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアミノアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシシリルアルキル(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸よりなる群から選択されるイソシアネートと反応性である基を提供するモノマーの重合物よりなる群から選択されるモノマーの重合物よりなることを特徴とする請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記ポリイソシアネートが脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、三官能性イソシアネートおよびイソシアネート付加物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
前記バインダーが
a.前記バインダーの重量を基準にして35〜55重量%のアクリルポリマーと、
b.前記バインダーの重量を基準にして20〜30重量%のポリトリメチレンエーテルジオールと、
c.前記バインダーの重量を基準にして20〜45重量%の有機ポリイソシアネート架橋剤と
を含み、かつ、
a、bおよびcの百分率の合計が100%であり、そして1/100〜300/100の顔料対バインダー重量比で顔料を含有することを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
前記顔料が二酸化チタン、酸化鉄、シリカ、カーボンブラック、重晶石、酸化亜鉛、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム、リン酸亜鉛、ケイ酸鉛、粘土、タルク、中空ガラス球およびそれらの任意の混合物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
前記アクリルポリマーが本質的に、アルキル基に1〜12個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、およびアルキル基に1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートよりなるモノマーの重合物よりなる群から選択されるモノマーの重合物よりなることを特徴とする請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
前記アクリルポリマーが本質的に、スチレン、エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートおよびヒドロキシエチルメタクリレートよりなることを特徴とする請求項11に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
前記ポリイソシアネートが脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、三官能性イソシアネートおよびイソシアネート付加物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
前記ポリイソシアネートがイソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルトリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、トルエントリイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートの三量体よりなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
前記バインダーの重量を基準にして0.1〜20重量%の式
(XnR)aSi−(−OSi)y−(OR1b
(式中、Xは−NH2、−NHR2、およびSHよりなる群から選択され、nは1〜5の整数であり、Rは1〜22個の炭素原子を含有する炭化水素基であり、R1は1〜8個の炭素原子を含有するアルキル基であり、aは少なくとも1であり、yは0〜20であり、bは少なくとも2であり、かつ、R2は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である)
を有するアミノ官能性シラン架橋剤を含有することを特徴とする請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
前記アミノ官能性シランがN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびジエチレントリアミノプロピルアミノトリメトキシシランよりなる群から選択されることを特徴とする請求項15に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
第一級アミン、第二級アミンおよび第三級アミンよりなる群から選択される少なくとも1つの追加のアミノ官能性化合物を含有することを特徴とする請求項9に記載のコーティング組成物。
【請求項18】
a.イソシアネート部分と反応性である側基を有し、かつ、10〜80℃のガラス転移温度(Tg)を有するアクリルポリマーと、
b.ジオールの重量を基準にして少なくとも50重量%の1,3−プロパンジオールの重合物およびジオールの重量を基準にして50重量%までの他のアルカンジオールの重合物を含む500〜5,000のMn(数平均分子量)を有するポリトリメチレンエーテルジオールの共重合体と、
c.有機ポリイソシアネート架橋剤と
の塗膜形成バインダーを含むことを特徴とするコーティング組成物。
【請求項19】
前記バインダーが
a.前記バインダーの重量を基準にして10〜80重量%のアクリルポリマーであって、イソシアネート部分と反応性である側基を有し、かつ、10〜80℃のガラス転移温度(Tg)を有するアクリルポリマーと、
b.前記バインダーの重量を基準にして1〜50重量%のポリトリメチレンエーテルジオールの共重合体と、
c.前記バインダーの重量を基準にして10〜50重量%の有機ポリイソシアネート架橋剤と
を含み、かつ、
a、bおよびcの百分率の合計が100%であることを特徴とする請求項18に記載のコーティング組成物。
【請求項20】
前記ポリトリメチレンエーテルジオールの共重合体がMn1,000〜3,000、約−75℃のTgおよび20〜200のヒドロキシル価を有することを特徴とする請求項19に記載のコーティング組成物。
【請求項21】
前記ポリトリメチレンエーテルジオールの共重合体が高および低分子量エーテルジオールのブレンドであり、前記高分子量ジオールが1,000〜4,000のMnを有し、そして前記低分子量ジオールが150〜500のMnを有し、かつ、前記ブレンドの平均Mnが1,000〜3,000であることを特徴とする請求項20に記載のコーティング組成物。
【請求項22】
前記アクリルポリマーが5,000〜50,000の重量平均分子量および10℃より大きい80℃までのTgを有し、かつ、本質的に、アルキル基に1〜12個の炭素原子を有する直鎖アルキル(メタ)アクリレート、アルキル基に3〜12個の炭素原子を有する環状または分枝アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ならびにアルキル基に1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アルキル基に1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアミノアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシシリルアルキル(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸よりなる群から選択されるイソシアネートと反応性である基を提供するモノマーの重合物よりなる群から選択されるモノマーの重合物よりなることを特徴とする請求項19に記載のコーティング組成物。
【請求項23】
1/100〜300/100の顔料対バインダー重量比で顔料を含有することを特徴とする請求項19に記載のコーティング組成物。
【請求項24】
本質的に、
a.バインダーの重量を基準にして60〜75重量%のアクリルポリマーと、
b.バインダーの重量を基準にして2.5〜9.5重量%のポリトリメチレンエーテルジオールであって、500〜5,000のMn(数平均分子量)を有するポリトリメチレンエーテルジオールと、
c.バインダーの重量を基準にして22〜31重量%の有機ポリイソシアネート架橋剤と
よりなり、かつ、
a、bおよびcの百分率の合計が100%である
塗膜形成バインダーを含むことを特徴とするクリアコーティング組成物。
【請求項25】
前記ポリトリメチレンエーテルジオールが生物変換プロセスによって形成されることを特徴とする請求項24に記載のコーティング組成物。
【請求項26】
前記アクリルポリマーが本質的に、アルキル基に1〜12個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、イソボルニルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、およびアルキル基に1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートよりなるモノマーの重合物よりなる群から選択されるモノマーの重合物よりなることを特徴とする請求項24に記載のコーティング組成物。
【請求項27】
前記アクリルポリマーが本質的に、スチレン、エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートおよびヒドロキシエチルメタクリレートよりなることを特徴とする請求項26に記載のコーティング組成物。
【請求項28】
前記ポリイソシアネートが脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、三官能性イソシアネートおよびイソシアネート付加物よりなる群から選択されることを特徴とする請求項24に記載のコーティング組成物。
【請求項29】
前記バインダーの重量を基準にして0.1〜10重量%の、紫外線(UV)吸収剤、UV遮蔽剤、UV消光剤、ヒンダードアミン光安定剤の群からのUV安定剤と、任意選択的に前記バインダーの重量を基準にして0.1〜5重量%の酸化防止剤とを含有することを特徴とする請求項24に記載のコーティング組成物。
【請求項30】
請求項1に記載のコーティング組成物の層でコートされた基材を含むことを特徴とする被覆基材。
【請求項31】
前記基材が鋼、アルミニウム、強化プラスチックおよびプラスチックの群から選択されることを特徴とする請求項30に記載の被覆基材。
【請求項32】
成分A イソシアネート部分と反応性である側基を有し、かつ、10〜80℃のガラス転移温度(Tg)を有するアクリルポリマー、および500〜5,000のMn(数平均分子量)を有するポリトリメチレンエーテルジオールと、
成分B 有機ポリイソシアネート架橋剤と
を含み、
成分AとBとが基材への塗布前に一緒に十分に混合されることを特徴とする2成分コーティング組成物。
【請求項33】
請求項1に記載の組成物の第1層を基材に塗布する工程と、前記層を乾燥させる工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
少なくとも1つの追加層が顔料入りカラーコートを含み、かつ任意選択的にクリアコートが塗布されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
自動車車体上の損傷コーティングの再仕上げ方法であって、請求項9に記載の顔料入りコーティング組成物の層を損傷コーティングに塗布する工程と、前記層を少なくとも部分的に硬化させる工程と、次に顔料入りトップコートの第2層または顔料入りベースコートの層およびクリアコートの層を塗布する工程と、前記層のすべてを硬化させて仕上げを形成する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
自動車車体上の損傷コーティングの再仕上げ方法であって、顔料入りコーティング組成物の層を損傷コーティングに塗布する工程と、前記層を少なくとも部分的に硬化させる工程と、次に顔料入りベースコートの第2層および請求項24に記載の組成物のクリアコートの層を塗布する工程と、前記層のすべてを硬化させて仕上げを形成する工程とを含むことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2006−520841(P2006−520841A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507430(P2006−507430)
【出願日】平成16年3月19日(2004.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/008643
【国際公開番号】WO2004/085507
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】