説明

クリーニング装置、並びに、これを備えた画像形成装置及び像担持体ユニット

【課題】ブレードクリーニング方式と静電クリーニング方式とを併用したクリーニング装置に潤滑剤塗布ブラシを用いた潤滑剤供給機構を設ける場合に、クリーニングブラシによるクリーニング性能の低下を抑制する。
【解決手段】中間転写ベルト70の表面をクリーニングするクリーニングブレード101に電圧を印加することで中間転写ベルト表面上のトナーをマイナス極性に帯電させることで、その下流側で静電クリーニングを行うクリーニングブラシ102に静電的に付着するトナーの量を多くしてクリーニング性を向上させる。そして、このクリーニングブラシの下流側に潤滑剤塗布ブラシ104を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に用いられるクリーニング装置、並びに、これを備えた画像形成装置及び像担持体ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トナー像転写後の像担持体(被清掃体)上に残留したトナーを除去するクリーニング手段としては、ゴム製のクリーニングブレードを像担持体表面に当接させてトナーを除去するブレードクリーニング方式のものが知られている。ブレードクリーニング方式では、クリーニングブレードと像担持体表面との密着度が低いと、トナーがすり抜けてしまってクリーニング性が低下しやすい。そのため、これを防止するために、通常、クリーニングブレードは、十分に強い当接圧で像担持体表面に押し付けられる。しかしながら、クリーニングブレードを極端に強い当接圧で像担持体表面に押し付けると、クリーニングブレードのめくれが発生し、スジ状あるいは帯状のクリーニング不良が生じ、安定したクリーニング性能を保ちつづけることが困難である。また、長期的には、像担持体表面の膜削れが増進して像担持体の寿命が短くなり、また、クリーニングブレードの摩耗が増進してクリーニングブレードの寿命も短くなってしまう。
【0003】
また、近年、高画質化の要望が高まり、トナーを小粒径化する傾向にある。さらに、トナー製造コスト低減及び転写率向上の要望から、粉砕(不定形)トナーから重合法による球形トナーを採用する画像形成装置が製品化されている。このような小粒径トナーや球形トナーを用いると、粉砕トナーをクリーニングする場合に比べて、ブレードクリーニング方式では十分なクリーニング性を得ることができない。
【0004】
小粒径トナーや球形トナーでも、当接圧を極端に高くすれば(例えば線圧で100gf/cm以上程度)、ブレードクリーニング方式でもある程度のクリーニング性を得ることが可能である。しかし、上述したとおり、クリーニングブレードのめくれが発生したり、像担持体やクリーニングブレードの寿命が短くなったりするなどの不具合が発生する。特に、感光体(像担持体)の寿命(感光層が当初の1/3程度削れるまでのプリント枚数)については、粉砕トナーに対するクリーニングで一般的に使用される20gf/cm程度の線圧であれば直径30mmの感光体で約100000枚であるところ、100gf/cmの線圧だと約20000枚となる。また、クリーニングブレードの寿命(摩耗によりクリーニング不良が発生するまでのプリント枚数)については、20gf/cm程度の線圧であれば約120000枚であるところ、100gf/cmの線圧だと約20000枚となる。
【0005】
小粒径トナーや球形トナーに対しても良好なクリーニング性が得られ、かつ、像担持体の短寿命化を軽減できるクリーニング方式としては、特許文献1に記載されているような静電クリーニング方式がある。特許文献1の静電クリーニング方式は、感光体表面に接触摺擦するように導電性のクリーニングローラを設け、このクリーニングローラに電圧を印加し、摺擦力と静電気力とで、感光体からトナーを除去するものである。このため、小粒径トナーや球形トナーに対しても良好なクリーニング性が得られる。また、特許文献1に記載のクリーニング装置では、クリーニングローラが感光体と接触する位置に対して感光体表面移動方向上流側に、感光体と接触し、且つ、クリーニングローラとは逆極性の電圧が印加された導電性のクリーニングブレードを備えている。
【0006】
一般に、感光体上の転写残トナーは帯電極性分布がブロードで、その帯電極性は正負両極性が混在した状態にある。トナー帯電極性が正負両極性の混在状態であると、クリーニングローラで一方の極性(通常はトナーの正規帯電極性)に帯電したトナーは除去できても、他方の極性に帯電したトナー(通常は正規帯電極性とは逆極性に帯電した逆帯電トナー)は除去できない。特許文献1に記載のクリーニング装置であれば、転写残トナーはクリーニングブレードが感光体に当接する位置(ブレード当接位置)を通過するときに、クリーニングブレードから電荷の注入を受ける等により、転写残トナーの帯電極性がクリーニングブレードと同極性(通常はトナーの正規帯電極性)に揃えられる。これにより、ブレード当接位置を通過してクリーニングローラが感光体と接触する位置(ローラ接触位置)に到達した転写残トナーは、その帯電極性が一方の極性(クリーニングブレードと同極性)に揃っているので、転写直後は当該極性とは逆極性に帯電していた転写残トナーであっても、クリーニングローラによって静電的に回収することができるようになる。
【0007】
また、静電クリーニング方式では、一般に、多くのトナーを一度に除去することが困難であるため、一度に大量のトナーがローラ接触位置に入力されるとこれをクリーニングしきれず、クリーニング不良となるおそれがある。特許文献1に記載のクリーニング装置によれば、クリーニングローラに対して感光体表面移動方向上流側で、クリーニングブレードによりトナーを堰き止めてトナーを機械的に除去するブレードクリーニング方式を併用している。そのため、一度に大量のトナーがローラ接触位置に入力されても、その大部分をブレード当接位置で堰き止めることができる。これにより、多くのトナーを除去しなければならない状況であっても、一度に大量のトナーがローラ接触位置に入力されることが抑制され、クリーニング不良の発生を抑制できる。
【0008】
また、特許文献2には、感光体表面に接触するようにブラシ部を移動させ、ステアリン酸亜鉛からなる固形潤滑剤から潤滑剤を削り取りながら、これによりブラシ部に付着した潤滑剤を感光体表面へ塗布する潤滑剤塗布ブラシを、クリーニングブレードが配置されたクリーニングケース内に設けたクリーニング装置が開示されている。一般に、潤滑剤は、感光体表面とこれに接触する部材との間の摩擦係数を下げる目的で、感光体表面に対して塗布される。例えば、感光体表面とこれに接触するクリーニングブレードとの間の摩擦係数を下げ、クリーニングブレードのめくれを防止する目的に対しても、潤滑剤を感光体表面に塗布することは有効である。
また、クリーニング装置のクリーニングケース内に潤滑剤塗布ブラシを設けることで、潤滑剤の飛散や潤滑剤塗布ブラシに付着した転写残トナーの飛散などを、クリーニングケースを利用して防止することができる。よって、特許文献2に記載のクリーニング装置によれば、クリーニングケースとは別個にこれらの飛散を防止するためのケースが不要となる結果、感光体周囲の限られたスペースの有効活用が可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般に、トナーは、クリーニングブレードと感光体表面との間に存在することで、これらの間の潤滑機能を発揮する。そのため、上記特許文献1に記載のクリーニング装置では、ブレード当接位置へのトナー入力が少な過ぎると、クリーニングブレードと感光体表面との間の摩擦係数が高まり、クリーニングブレードのめくれが発生したり、感光体やクリーニングブレードの寿命が短くなったりするなどの不具合が発生する。例えば、文字画像などの画像面積率が低い画像を大量に連続プリントする場合などは、ブレード当接位置へのトナー入力が少なく、このような不具合が発生しやすい。そのため、上記特許文献1に記載のクリーニング装置のようにブレードクリーニング方式と静電クリーニング方式とを併用したクリーニング装置において、特許文献2に記載のクリーニング装置のように像担持体表面へ潤滑剤を供給する潤滑剤供給機構を設けることは有効である。
【0010】
ここで、ブレードクリーニング方式と静電クリーニング方式とを併用したクリーニング装置において、潤滑剤塗布ブラシを用いた潤滑剤供給機構を設ける場合に本発明者らが見出した問題点について説明する。
感光体に限らず中間転写ベルト等を含めた像担持体全般において、像担持体周囲のスペースは非常に限られており、像担持体周囲の省スペース化を図ることは重要な課題となっている。この課題に対しては、潤滑剤塗布ブラシをクリーニング装置のケース内に設け、潤滑剤塗布ブラシをクリーニング装置のケースとは別個のケース内に設ける場合に比べて、像担持体周囲の省スペース化を図ることが有効である。そして、像担持体表面に潤滑剤を塗布するために用いる潤滑剤塗布ブラシの構造は、静電クリーニング方式で利用するクリーニングブラシの構造と同様である。この点に着目すれば、図16に示すように、クリーニングブラシ202に固形潤滑剤205を当接させる構成とすることでクリーニングブラシ202を潤滑剤塗布ブラシとして利用し、クリーニングブラシ202で像担持体(図示の例では中間転写ベルト70)の表面上の転写残トナーを静電的に回収しつつ潤滑剤を像担持体表面に塗布するという構成を採用するのが、像担持体周囲の限られたスペースを有効活用する上では更に有効である。
ところが、このような構成を採用すると、クリーニングブラシ202のブラシ部の表面を大量の潤滑剤が覆うことになり、ブラシ部表面にトナーが静電気的に吸着し得る部分がほとんどなくなってしまい、ブラシ部表面にトナーを静電的に吸着させる力が弱まる。これにより、クリーニングブラシ202によるクリーニング性能が落ちてしまうという問題が生じる。
【0011】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、ブレードクリーニング方式と静電クリーニング方式とを併用したクリーニング装置に潤滑剤塗布ブラシを用いた潤滑剤供給機構を設ける場合であっても、クリーニングブラシによるクリーニング性能の低下を抑制することができるクリーニング装置、並びにこれを備えた画像形成装置及び像担持体ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、表面移動する被清掃体表面に当接して該被清掃体表面上のトナーを堰き止めることにより該被清掃体表面をクリーニングするとともに、印加された電圧によって該被清掃体表面上のトナーを所定極性に帯電させる導電性のクリーニングブレードと、該クリーニングブレードの被清掃体表面移動方向下流側で、該被清掃体表面に接触するようにブラシ部を移動させながら、印加された電圧によって該被清掃体表面上の該所定極性に帯電したトナーを静電的に該ブラシ部に付着させることにより、該被清掃体表面をクリーニングするクリーニングブラシと、該クリーニングブレードと該クリーニングブラシとを収容するクリーニングケースとを有するクリーニング装置において、上記クリーニングブラシの被清掃体表面移動方向下流側で、上記被清掃体表面に接触するようにブラシ部を移動させながら、該ブラシ部に付着している潤滑剤を該被清掃体表面へ塗布する潤滑剤塗布ブラシを、上記クリーニングケース内に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のクリーニング装置において、上記クリーニングブラシのブラシ部に対向するように自己の表面を移動させながら、印加された電圧によって該ブラシ部に付着した上記所定極性に帯電したトナーを静電的に自己の表面に付着させることにより、該クリーニングブラシからトナーを回収する回収用回転体と、該回収用回転体の表面に当接して該回収用回転体の表面上のトナーを堰き止めることにより該回収用回転体の表面からトナーを除去する除去ブレードとを有し、上記潤滑剤塗布ブラシのブラシ部が該回収用回転体の表面に接触するように、該潤滑剤塗布ブラシを配置したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、像担持体上に形成されたトナー像を該像担持体上から最終的に記録材上へ転写することで、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、転写後に上記像担持体上に残留した転写残トナーをクリーニングするためのクリーニング装置として、請求項1又は2のクリーニング装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、それぞれ色の異なるトナーを収容した複数の現像装置を備え、上記像担持体1つに対して該複数の現像装置を対向配置させ、該像担持体上の潜像に対して該複数の現像装置によりそれぞれ異なる色のトナーを付着させることにより、該像担持体上にトナー像を形成することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3の画像形成装置において、それぞれ色の異なるトナーを収容した複数の現像装置を備え、上記像担持体は該複数の現像装置と同数備わっており、各像担持体に対して1つずつ現像装置が対向配置され、各像担持体上の潜像に対して各現像装置によりそれぞれ異なる色のトナーを付着させることにより、各像担持体上に各色トナー像を形成し、これらのトナー像を重ね合わせてトナー像を最終的に記録材上に形成することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項4又は5の画像形成装置において、上記像担持体として、フィラーを分散させた材料からなる感光体を用いることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項4乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記像担持体として、充填材で補強された表面層を有する有機感光体を用いることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項4乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記像担持体として、架橋型電荷輸送材料を使用した有機感光体を用いることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項4乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記像担持体として、感光層がアモルファスシリコンからなる感光体を用いることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項3の画像形成装置において、潜像担持体上に形成したトナー像を上記像担持体に転写してから最終的に記録材上に形成することを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、像担持体上に形成されたトナー像を該像担持体上から最終的に記録材上へ転写することで、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、上記記録材を表面に吸着させて搬送する記録材搬送部材を有し、該記録材搬送部材上に付着したトナーをクリーニングするためのクリーニング装置として、請求項1又は2のクリーニング装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項3乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置において、上記トナーとして、形状係数SF1が100以上150以下のものを用いることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、像担持体と、転写後に該像担持体上に残留した転写残トナーをクリーニングするためのクリーニング装置とを一体的に支持し、該像担持体上に形成されたトナー像を該像担持体上から最終的に記録材上へ転写することで該記録材上に画像を形成する画像形成装置に対して着脱自在な像担持体ユニットにおいて、上記クリーニング装置として、請求項1又は2のクリーニング装置を用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、ブレードクリーニング方式と静電クリーニング方式とを併用したクリーニング装置において、潤滑剤塗布ブラシをクリーニングブラシとは別個にクリーニングケース内に配置する。したがって、クリーニングブラシを潤滑剤塗布ブラシとして利用する場合に比べて、クリーニングブラシに付着する潤滑剤の量が少なくなる。その結果、クリーニングブラシに潤滑剤が付着することによるクリーニングブラシのクリーニング性能の低下は抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
【図2】同プリンタに用いられるベルトクリーニング装置の概略構成を示す説明図である。
【図3】同ベルトクリーニング装置のクリーニングブレードの通過前後における転写残トナーの帯電分布を示すグラフである。
【図4】図16に示したベルトクリーニング装置において、固形潤滑剤のクリーニングブラシへの加圧力とクリーニング性との関係を示すグラフである。
【図5】実施形態に係るベルトクリーニング装置において、潤滑剤塗布ブラシの回収ローラへの食い込み量とクリーニング性との関係を示すグラフである。
【図6】同ベルトクリーニング装置において、回収ローラの回転数に対する潤滑剤塗布ブラシの回転数の比率(回転数比)とクリーニング性との関係を示すグラフである。
【図7】変形例に係るベルトクリーニング装置を示す概略構成図である。
【図8】実施形態に係るベルトクリーニング装置のクリーニングブレード通過後における転写残トナーの帯電分布が、クリーニングブレードへの印加電圧の増加に応じて変化することを説明するためのグラフである。
【図9】クリーニングブレードの当接部の動き(スティックスリップ現象)を説明するための説明図である。
【図10】アモルファスシリコン感光体の層構成の説明図である。
【図11】形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図12】形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【図13】像担持体ユニットの概略構成図である。
【図14】1ドラム型のフルカラー画像形成装置の要部構成図である。
【図15】紙搬送ベルトにクリーニング装置を備えた構成の概略構成図である。
【図16】クリーニングブラシを潤滑剤塗布ブラシとして利用したベルトクリーニング装置の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置であるプリンタに適用した一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるプリンタの概略構成図である。
このプリンタは、いわゆる中間転写方式のタンデム型画像形成装置である。このプリンタは、複数の支持ローラ64,65,67,68,69に張架された像担持体としての中間転写体である中間転写ベルト70を備えている。この中間転写ベルト70は、図中時計回り方向に表面移動する。2つの支持ローラ64,65に張架されている中間転写ベルト70における平坦面部分には、4つの潜像担持体としての感光体1Y,1M,1C,1Kが並んで対向配置されている。各感光体1Y,1M,1C,1Kの周囲には、それぞれ、帯電手段としての帯電ローラ3Y,3M,3C,3K、現像手段としての現像装置6Y,6M,6C,6K、除電ランプ2Y,2M,2C,2K、感光体クリーニング装置20Y,20M,20C,20K等が設けられている。また、プリンタは、複数枚の記録材としての記録紙を収納する図示しない給紙カセットを備えている。給紙カセット内の記録紙は、図示しない給紙ローラにより1枚ずつ図示しないレジストローラ対でタイミング調整された後、二次転写ローラ66と中間転写ベルト70との間の二次転写領域に送り出される。
【0016】
このプリンタにおいて画像形成を行う場合、まず、各感光体1Y,1M,1C,1Kを図中反時計方向に回転駆動するとともに、中間転写ベルト70を図中時計回り方向に回転駆動する。そして、各感光体1Y,1M,1C,1Kの表面をそれぞれの帯電ローラ3Y,3M,3C,3Kで一様に帯電した後、各感光体1Y,1M,1C,1Kの表面に対して画像データで変調されたレーザー光4Y,4M,4C,4Kを照射して、各感光体1Y,1M,1C,1Kの表面に各色の静電潜像をそれぞれ形成する。各感光体1Y,1M,1C,1Kの表面上の各色静電潜像に対しては、それぞれ、現像装置6Y,6M,6C,6Kにより各色トナーがそれぞれ付着し、これにより各色トナー像が形成される。各色トナー像は、中間転写ベルト70上に互いに重なり合うように一次転写される。中間転写ベルト70上の各色トナー像は、互いに重なり合った状態で、二次転写ローラ66により二次転写領域に搬送されてきた記録紙上に転写される。このようにしてトナー像が転写された記録紙は、図示しない定着部に搬送され、記録紙を加熱、加圧して、記録紙上のトナー像を記録紙に定着させる。定着後の記録紙は、図示しない排紙トレー上に排出する。転写後の各感光体1の表面に残留した転写残トナーは、感光体クリーニング装置20Y,20M,20C,20Kで除去される。また、被清掃体である中間転写ベルト70の表面に残留した転写残トナーは、ベルトクリーニング装置100で除去される。
【0017】
次に、本発明の特徴部分である、中間転写ベルト70の表面をクリーニングするためのベルトクリーニング装置100の構成について説明する。
図2は、本ベルトクリーニング装置100の概略構成を示す説明図である。
このベルトクリーニング装置100は、中間転写ベルト70の表面に当接して中間転写ベルト表面上のトナーを堰き止めることにより中間転写ベルト表面をクリーニングする導電性のクリーニングブレード101を有する。このクリーニングブレード101の中間転写ベルト表面移動方向下流側には、中間転写ベルト表面に接触するようにブラシ部を移動させながら、ブラシ用電源102aにより印加されたプラス極性の電圧(例えば+300V)によって中間転写ベルト表面上のマイナス極性(正規帯電極性)に帯電したトナーを静電的にブラシ部に付着させることにより中間転写ベルト表面をクリーニングするクリーニングブラシ102が設けられている。本実施形態のクリーニングブラシ102は、中間転写ベルト70の表面移動方向に対してカウンター方向に回転駆動する。
【0018】
クリーニングブレード101とクリーニングブラシ102は、クリーニングケース103に収容されている。クリーニングケース103の中間転写ベルト表面移動方向上流端と下流端には、入口シール103a及び出口シール103bが設けられている。入口シール103aは、中間転写ベルト70上のトナーを掻き取らないように構成されている。具体的には、入口シール103aは、厚さ0.2mmのポリウレタンゴムで形成され、中間転写ベルト70の表面に対する当接角度が11°で、かつ、食い込み量が1mmとなるように、中間転写ベルト70の表面に接触している。
【0019】
ここで、中間転写ベルト70上のトナー帯電分布(q/d分布)は、二次転写領域を通過する前までは、その大部分がマイナス極性(正規帯電極性)に帯電している。しかし、二次転写領域を通過する際にプラス極性の二次転写バイアスを受けることで、図3のクリーニングブレード通過前のトナー帯電分布のように、その一部が正規帯電極性とは逆極性であるプラス極性に帯電してしまう。このままでは、当該一部のトナーについてはクリーニングブラシ102によって静電的に回収できず、クリーニングブラシ102によるクリーニング性が悪化してしまう。なお、本明細書におけるトナー帯電分布は、細川ミクロン製E−スパートアナライザで計測したものであり、縦軸に収集した個数に対する比率をとり、横軸にトナー1個の帯電量をとったものである。今回の収集個数は、転写残トナーが少ないため、500個としている。
【0020】
そこで、本実施形態において、クリーニングブレード101には、中間転写ベルト表面上の逆帯電トナーをマイナス極性に戻すために、ブレード用電源101aによってマイナス極性の電圧(例えば−1200V)が印加されている。これにより、図3のクリーニングブレード通過後のトナー帯電分布のように、逆帯電トナーの大部分を正規帯電極性であるマイナス極性に戻すことができる。その結果、クリーニングブレード101をすり抜けてクリーニングブラシ102のブラシ当接位置に到達する前に逆帯電トナーを正規帯電極性(マイナス極性)に戻すことができ、クリーニングブラシ102によるクリーニング性を向上させることができる。
【0021】
本実施形態において、クリーニングブレード101には、中間転写ベルト表面上のトナーをマイナス極性に帯電させるために、ブレード用電源101aによってマイナス極性の電圧が印加されている。これにより、正規帯電極性(マイナス極性)とは逆極性に帯電したトナーであっても、クリーニングブレード101をすり抜けてクリーニングブラシ102のブラシ当接位置に到達する前にマイナス極性に戻すことができる。よって、クリーニングブラシ102によるクリーニング性を向上させることができる。
【0022】
また、本実施形態において、クリーニングブラシ102の中間転写ベルト表面移動方向下流側には、中間転写ベルト70の表面に接触するようにブラシ部を移動させながら、そのブラシ部に付着している粉体状の潤滑剤を中間転写ベルト表面へ塗布する潤滑剤塗布ブラシ104も、クリーニングブレード101やクリーニングブラシ102と同じクリーニングケース103内に設けられている。この潤滑剤塗布ブラシ104には、バネ105aにより潤滑剤塗布ブラシ104へ押し付けられる向きに例えば4Nで付勢された固形潤滑剤105が当接している。潤滑剤塗布ブラシ104が回転駆動すると、そのブラシ部で固形潤滑剤105を削り取り、これによりブラシ部に粉体状の潤滑剤が付着する。そして、この粉体状の潤滑剤がブラシ部に付着したまま、潤滑剤塗布ブラシ104の回転駆動に伴って潤滑剤塗布ブラシ104と中間転写ベルト70の表面との当接箇所まで搬送されることにより、粉体状の潤滑剤が中間転写ベルト表面に塗布される。
【0023】
また、本実施形態のベルトクリーニング装置100には、クリーニングブラシ102のブラシ部に対向するように自己の表面を移動させながら、回収用電源107aにより印加されたプラス極性の電圧によって、そのブラシ部に付着したマイナス極性に帯電したトナーを静電的に自己の表面に付着させることにより、クリーニングブラシ102からトナーを回収する回収用回転体としての回収ローラ107が設けられている。回収ローラ107に印加する電圧は、クリーニングブラシ102への印加電圧より高い電圧、例えば+700Vとする。この回収ローラ107の表面には、回収ローラ表面上のトナーを堰き止めることにより回収ローラ表面からトナーを除去する除去ブレード108が当接している。この除去ブレード108にも、電源108aによりプラス極性の電圧が印加されており、回収ローラ107の表面に付着したマイナス極性に帯電したトナーを機械的かつ静電的に回収するように構成されている。
【0024】
本実施形態において、回収ローラ107の表面には、潤滑剤塗布ブラシ104のブラシ部も接触している。これにより、クリーニングブラシ102のブラシ部に付着したトナーと、潤滑剤塗布ブラシ104のブラシ部に付着したトナーの両方を、1つの回収ローラ107で回収することができる。
【0025】
次に、ベルトクリーニング装置100について、更に詳細に説明する。
二次転写で記録紙に転写されず中間転写ベルト70上に残った転写残トナーは、中間転写ベルト70の表面移動に伴って搬送され、クリーニングケース103の入口シール103aのシール部を通過し、クリーニングケース内に入り込む。中間転写ベルト70上の転写残トナーの多くは、クリーニングブレード101により機械的に除去されるが、一部はクリーニングブレード101をすり抜けてしまう。特に、小粒径トナーや球形トナーを用いる場合には、クリーニングブレード101をすり抜ける量が多い。なお、クリーニングブレード101で除去されたトナーは、クリーニングケース103内の回収コイル106によってベルトクリーニング装置100の外部へ排出される。
【0026】
クリーニングブレード101をすり抜けた転写残トナーは、次に、クリーニングブラシ102により機械的かつ静電的に中間転写ベルト70の表面から除去される。なお、クリーニングブレード101をすり抜けた転写残トナーの大部分は、クリーニングブレード101に印加されたマイナス極性の電圧により、マイナス極性に統一されている。よって、プラス極性の電圧が印加されたクリーニングブラシ102のブラシ部に対し、効率的にトナーを静電的に付着させることができ、高いクリーニング性を発揮できる。クリーニングブラシ102のブラシ部に付着したトナーは、クリーニングブラシ102の回転駆動に伴って回収ローラ107との接触部に搬送される。そして、この接触部において、クリーニングブラシ102のブラシ部に付着したトナーは、回収ローラ107側へ静電的に移動し、回収ローラ107の表面に付着する。回収ローラ107の表面に付着したトナーは、回収ローラ107の回転駆動に伴って除去ブレード108との接触位置まで搬送される。このとき、回収ローラ107へ接触している回収ローラ用入口シール107bを通過する。この回収ローラ用入口シール107bは、上述した入口シール103aと同様な条件で構成されており、回収ローラ107上のトナーは、回収ローラ用入口シール107bで掻き取られずに、除去ブレード108との接触位置まで搬送される。そして、回収ローラ107の表面に付着したトナーは、この接触位置で、機械的かつ静電的に回収ローラ表面から除去される。除去ブレード108で除去されたトナーは、クリーニングケース103内の回収コイル106によってベルトクリーニング装置100の外部へ排出される。
【0027】
このようにしてクリーニングブレード101及びクリーニングブラシ102によってクリーニングされた中間転写ベルト70の表面に対し、潤滑剤塗布ブラシ104によって潤滑剤が塗布される。中間転写ベルト70に塗布されずに潤滑剤塗布ブラシ104上に残った潤滑剤は、回収ローラ107との接触時に回収ローラ107側へ移動する。回収ローラ107へ移動した潤滑剤は、回収ローラ107と除去ブレード108との接触位置へ搬送され、除去ブレード108で均されて回収ローラ107の表面に均一に付着する。これにより、回収ローラ107の表面と除去ブレード108との間の摩擦係数が下がり、除去ブレード108が捲れてしまうような事態が生じない。
【0028】
本実施形態において、クリーニングブラシ102と中間転写ベルト70との食い込み量は1.5mmとし、クリーニングブラシ102と回収ローラ107との食い込み量は1.5mmとし、潤滑剤塗布ブラシ104と中間転写ベルト70との食い込み量は1.5mmとし、潤滑剤塗布ブラシ104と回収ローラ107との食い込み量は0.5mmとしている。クリーニングブラシ102及び潤滑剤塗布ブラシ104の回収ローラ107への食い込み量の違いは、潤滑剤塗布ブラシ104から回収ローラ107へ移動した潤滑剤が回収ローラ107からクリーニングブラシ102へ移動する量を少なくするために、潤滑剤塗布ブラシ104から回収ローラ107への潤滑剤移動量を少なくするためである。
【0029】
次に、クリーニングブラシ102によるトナーのクリーニングについて、更に詳細に説明する。
中間転写ベルト70上のトナーは、クリーニングブラシ102に印加された電圧と中間転写ベルト70の表面電位との電位差に応じて移動する。クリーニングブラシ102へ移動したトナーは、クリーニングブラシ102の各ブラシ表面に静電気的に付着し、回収ローラ107との接触部へ運ばれる。クリーニングブラシ102のブラシ表面に静電気的に付着したトナーは、回収ローラ107と接触又は近接することにより、クリーニングブラシ102と回収ローラ107との電位差で回収ローラ107側へ移動する。通常、クリーニングブラシ102への入力トナー量が多くなり、ある限界量(実験的には単位面積当り0.5mg)を超えると、クリーニングブラシ102を通過するトナーが多くなり、クリーニング不良が生じる。この理由は、クリーニングブラシ102の各ブラシ表面をトナーが覆ってしまい、トナーが付着していないブラシ表面部分が少なくなるため、中間転写ベルト70からクリーニングブラシ102へトナーが移動しきれずに、クリーニングブラシ102を通過してしまうことに起因する。したがって、クリーニングブラシ102によるクリーニング性を保つためには、中間転写ベルト70の表面に接触するクリーニングブラシ102の各ブラシ表面に、なるべくトナー等の付着物を残さないことが重要となる。
【0030】
中間転写ベルト70からクリーニングブラシ102へのトナーの移動を妨げ得るブラシ表面の付着物は、トナーに限らず、潤滑剤も含まれる。したがって、潤滑剤塗布ブラシ104から回収ローラ107へ移動し、回収ローラ107からクリーニングブラシ102へ移動する潤滑剤の量を少なくすることが望まれる。そのため、本実施形態では、上述したように、潤滑剤塗布ブラシ104と回収ローラ107との食い込み量を少なくし、クリーニングブラシ102への潤滑剤付着量が少なくなるようにしている。
【0031】
図4は、図16に示したベルトクリーニング装置200において、固形潤滑剤205のクリーニングブラシ202への加圧力とクリーニング性との関係を示すグラフである。
このベルトクリーニング装置200は、クリーニングブラシ202に固形潤滑剤205を当接させる構成とすることでクリーニングブラシ202を潤滑剤塗布ブラシとして利用したものである。図4に示すグラフは、クリーニングブラシ202に入力されるトナーの量が約0.06mg/cm2である場合に、固形潤滑剤のクリーニングブラシ202への加圧力を変化させ、クリーニングブラシ202を通過した後の中間転写ベルト70の表面に付着するトナー量に応じた画像濃度(クリーニング残ID)を測定したものである。このグラフから分かるように、クリーニングブラシ202を利用して潤滑剤を中間転写ベルト70へ塗布する場合、クリーニング残IDは、固形潤滑剤205のクリーニングブラシ202への加圧力が2N以上になると、クリーニング残IDが0.01以上となり、クリーニング不良が発生する。
【0032】
本実施形態のベルトクリーニング装置100において、潤滑剤塗布ブラシ104から回収ローラ107への潤滑剤移動量を少なくする方法としては、例えば、潤滑剤塗布ブラシ104の回転数を回収ローラ107の回転数よりも遅くしたり、潤滑剤塗布ブラシ104の植毛密度を少なくしたりする方法が考えられる。具体的には、例えば、潤滑剤塗布ブラシ104の回転数を回収ローラ107の回転数の約1/2とし、潤滑剤塗布ブラシ104の植毛密度をクリーニングブラシ102の約1/2とする。
【0033】
図5は、クリーニングブラシ102に入力されるトナー量が0.06mg/cm2のときの、潤滑剤塗布ブラシ104の回収ローラ107への食い込み量とクリーニング性との関係を示すグラフである。
このグラフは、縦軸にクリーニング残IDをとり、横軸に潤滑剤塗布ブラシ104の回収ローラ107への食い込み量をとったものである。グラフ中の○印は、回収ローラ107の回転数に対する潤滑剤塗布ブラシ104の回転数の比率(回転数比)が1/1である場合を示したものである。一方、グラフ中の×印は、上記回転数比が1/2である場合を示したものである。このグラフから分かるように、上記回転数比が1/1である場合には、潤滑剤塗布ブラシ104の回収ローラ107への食い込み量を0.4mm以下とし、上記回転数比が1/2である場合には、潤滑剤塗布ブラシ104の回収ローラ107への食い込み量を0.8mm以下とすればよい。
【0034】
また、図6は、クリーニングブラシ102に入力されるトナー量が0.06mg/cm2のときの上記回転数比とクリーニング性との関係を示すグラフである。
このグラフは、縦軸にクリーニング残IDをとり、横軸に上記回転数比をとったものである。グラフ中の○印は、潤滑剤塗布ブラシ104の回収ローラ107への食い込み量が1.5mmである場合を示したものである。一方、グラフ中の×印は、上記食い込み量が0.5mmである場合を示したものである。このグラフから分かるように、上記食い込み量が1.5mmである場合には、上記回転数比を1/2以下とし、上記食い込み量が0.5mmである場合には、上記回転数比を1/1以下とすればよい。
【0035】
ここで、潤滑剤塗布ブラシ104から回収ローラ107への潤滑剤移動量に応じた不具合について説明する。
回収ローラ107に当接している除去ブレード108には電圧が印加されているため、回収ローラ表面には放電生成物が付着しやすく、この放電生成物により、回収ローラ107と除去ブレード108との間の摩擦係数が上昇しやすい。そのため、潤滑剤塗布ブラシ104から回収ローラ107への潤滑剤移動量が少なすぎると、除去ブレード108の捲れが生じやすくなる。
これについて実験を行った結果を下記の表1に示す。
【表1】

【0036】
この表1は、潤滑剤塗布ブラシ104の回収ローラ107への食い込み量と、回収ローラ107に当接している除去ブレード108の捲れ状況との関係を示したものである。なお、このときの回収ローラ107に対する潤滑剤塗布ブラシ104の回転数比は1/2である。この表1から分かるように、潤滑剤塗布ブラシ104の回収ローラ107への食い込み量が小さすぎると、潤滑剤塗布ブラシ104から回収ローラ107への潤滑剤移動量が少なすぎて、除去ブレード108の捲れが発生する。
【0037】
逆に、潤滑剤塗布ブラシ104から回収ローラ107への潤滑剤移動量が多すぎる場合、回収ローラ107からクリーニングブラシ102への潤滑剤移動量が多くなる。その結果、上述しようにクリーニングブラシ102のクリーニング性が低下することになる。
【0038】
このように、潤滑剤塗布ブラシ104から回収ローラ107への潤滑剤移動量は、少なすぎても多すぎても不具合を生じさせるので、潤滑剤塗布ブラシ104から回収ローラ107への潤滑剤移動量を適正な量に調整することが望まれる。
本実施形態では、潤滑剤塗布ブラシ104の中間転写ベルト70への食い込み量を1.5mmとし、潤滑剤塗布ブラシ104の回収ローラ107への食い込み量を0.5mmとし、回収ローラ107に対する潤滑剤塗布ブラシ104の回転数比を1/2とし、潤滑剤塗布ブラシ104の植毛密度を5万本/inch2とした。この条件によれば、本実施形態におけるプリンタにおいて、経時的に除去ブレード108の捲れが生じることはなく、クリーニングブラシ102による中間転写ベルト70上のクリーニング性の低下も生じない。
【0039】
図7は、潤滑剤塗布ブラシ104へクリーニングブラシ102と同じ極性の電圧を印加したベルトクリーニング装置の変形例を示す概略構成図である。
なお、ここでは、潤滑剤塗布ブラシ104へ印加する電圧はクリーニングブラシ102への印加電圧と同じものとしている。
通常時は、ベルトクリーニング装置100でクリーニングすべき中間転写ベルト70上のトナーは転写残トナーであるため、その量は比較的少量である。しかし、例えば、ジャム後や、吐き出しモード(画像占有面積の少ない画像を連続でプリントする場合に現像器内トナーの帯電量を一定にする等の目的で、中間転写ベルト70上に横帯ベタ等のトナーを付着させるモード)の際には、大量のトナーがベルトクリーニング装置100に入力される。この場合でも、クリーニングブレード101が新品である初期時であれば、そのほとんどをクリーニングブレード101で除去できるが、経時的にはクリーニングブレード101の摩耗によって、クリーニングブレード101を通過するトナー量が多くなる。クリーニングブレード101を通過するトナー量がおよそ0.5mg/cm2以下であれば、クリーニングブラシ102によって十分にクリーニングできる。しかし、経時において大量のトナーがベルトクリーニング装置100に入力されると、クリーニングブラシ102では十分にクリーニングできない量のトナーがクリーニングブレード101を通過してくる場合がある。この場合、クリーニングブラシ102によって十分にクリーニングできないおそれがあるが、本変形例のように潤滑剤塗布ブラシ104へ電圧を印加して潤滑剤塗布ブラシ104でも静電的なトナーの回収を可能としておくことで、クリーニング不良の発生を抑制できる。
【0040】
なお、潤滑剤塗布ブラシ104の各ブラシ表面は、粉体状の潤滑剤で覆われているが、完全に覆われているわけではないので、少ないトナー量であれば潤滑剤塗布ブラシ104でもクリーニングは可能である。
【0041】
次に、トナーの正規帯電極性と同じ極性の電圧(例えば−1200V)が印加されたクリーニングブレード101をすり抜けるときのトナー帯電極性の変化について説明する。
本実施形態において、クリーニングブレード101の電気抵抗は106〜108Ωcm程度であり、中間転写ベルト70との当接圧が20〜40g/cmとなるように、クリーニングブレード101を中間転写ベルト70に対してカウンター方向から当接するようにしている。クリーニングブレード101をすり抜けるトナーは、中間転写ベルト70とクリーニングブレード101とにより、摩擦帯電、電荷注入、放電等によって、図8に示すように、クリーニングブレード101への印加電圧の増加に応じて、トナーの正規帯電極性(マイナス極性)側にシフトする。
【0042】
一般に、クリーニングブレード101は、図9に示すように、中間転写ベルト70の回転方向に当接状態が変化する、いわゆるスティックスリップ現象が発生する。クリーニングブレード101が図中点線で示す符号Lの状態になったときにトナーすり抜けが発生する。トナーがクリーニングブレード101と中間転写ベルト70との間にはさまれているとき、クリーニングブレード101に印加された電圧でトナーに電流が流れ込み、トナーは印加電圧側の極性に帯電してクリーニングブレード101を通過する。このような状態でトナーの帯電極性が変化するのは、主に放電によるものであると考えられるが、その他にトナーへの電荷注入によるものとも考えられている。
【0043】
転写後の中間転写ベルト70の表面電位は、転写条件によって多少は異なるが、おおよそ−100V〜+100Vの範囲であることが確認されている。したがって、図9に示したクリーニングブレード101への印加電圧が例えば−1200Vであれば、中間転写ベルト70の表面電位が+100Vの場合、その電位差は1300Vとなるため、放電開始電圧以上となり、放電が始まる。そして、中間転写ベルト70とクリーニングブレード101との間で形成される楔部分の入口と出口の微小ギャップ部において放電が生じることにより、トナーは印加電圧と同じ極性に帯電する。その結果、クリーニングブレード101を通過した後のトナー帯電分布(q/d分布)がマイナス極性側にシフトする。
【0044】
このように、クリーニングブレード101を通過するトナーの帯電極性が一方の極性(本実施形態ではトナーの正規帯電極性と同じ極性)に統一されることで、クリーニングブレード101を通過したトナーは、その極性とは逆の極性の電圧が印加されたクリーニングブラシ102により、効率よく、静電的に除去される。なお、経時的には、クリーニングブレード101の入口側の楔部分は、トナーを堰き止める関係でトナーが充填されてしまうので、トナーを帯電させるための放電は主に出口側の楔部分で生じる放電であるものと考えられる。
【0045】
なお、クリーニングブレード101、クリーニングブラシ102、回収ローラ107、除去ブレード108等への印加電圧は、上述した極性とは逆極性であってもよい。
【0046】
次に、回収ローラ107上のトナーのクリーニングについて説明する。
トナーが球形トナーのようにブレードクリーニングが困難なものである場合、回収ローラ107上のトナーを除去することは、感光体や中間転写ベルト70上のトナーを除去する場合と同様に、困難である。ただし、回収ローラ107の表面条件は、クリーニングブラシ102に付着したトナーをクリーニングブラシ102と回収ローラ107との間の電位差によって回収ローラ107側へ静電的に移動させることができさえすれば、感光体や中間転写ベルト70の表面条件よりも制約が少ない。そこで、本実施形態では、回収ローラ107として、その表面をトナーとの摩擦係数が低い材料(フッ素等)でコーティングしたり、金属ローラにトナーとの摩擦係数の低いチューブ(PVDF、PFA等のチューブ)を巻いたりした構成を採用している。このような構成であれば、感光体や中間転写ベルト70上ではブレードクリーニングにより除去することが困難である球形トナー等であっても、十分にブレードクリーニングによる除去が可能となる。
【0047】
本実施形態におけるベルトクリーニング装置100の各種条件の一例を以下に示す。
【0048】
<中間転写ベルト70>
・中間転写ベルト線速:138mm/s
【0049】
<クリーニングブレード101>
・ブレード厚み:2mm
・自由長:7mm
・JIS−A硬度計の測定値:60〜80
・反撥弾性:30%
・電気抵抗:106〜108Ω・cm
・中間転写ベルト70への当接方向:カウンター方向
・当接角度:20°
・当接圧:20g/cm
・印加電圧:−1200V
【0050】
<クリーニングブラシ102>
・クリーニングブラシ材質:導電性ポリエステル、毛足長さ:5mm
・中間転写ベルト70への食い込み量:1.5mm
・クリーニングブラシ線速:138mm/s(中間転写ベルト70と同じ線速)
・クリーニングブラシ軸印加電圧:+300V
・ブラシ原糸抵抗:107Ω・cm、ブラシ植毛密度:10万本/inch2
・ブラシ形態:ブラシ回転方向下流側へ傾斜(斜毛)、直径:15mm
・回転方向:中間転写ベルト70の表面移動方向に対してカウンター方向
・回収ローラ107への食い込み量:1.5mm
【0051】
<潤滑剤塗布ブラシ104>
・潤滑剤塗布ブラシ材質:導電性ポリエステル、毛足長さ:5mm
・中間転写ベルト70への食い込み量:1.5mm
・潤滑剤塗布ブラシ線速:69mm/s(クリーニングブラシ線速の1/2)
・潤滑剤塗布ブラシ軸印加電圧:フロート(上述した変形例の場合は+300V)
・ブラシ原糸抵抗:107Ω・cm、ブラシ植毛密度:5万本/inch2
・ブラシ形態:ブラシ回転方向下流側へ傾斜(斜毛)、直径15mm
・回収ローラ107への食い込み量:0.5mm
【0052】
<回収ローラ107>
・回収ローラ材質:SUS芯金にPVDFチューブ(厚さ100μm)、表層:UVコート層(厚さ5μm:絶縁)
・直径:14mm
・回収ローラ線速:138mm/s
・回収ローラ軸印加電圧:+700V
・回転方向:クリーニングブラシ102の回転方向及び潤滑剤塗布ブラシ104の回転方向に対してカウンター方向
【0053】
<除去ブレード108>
・ブレード厚み:2mm
・自由長:7mm
・JIS−A硬度計の測定値:60〜80
・反撥弾性:30%
・電気抵抗:106〜108Ω・cm
・回収ローラ107への当接方向:カウンター方向
・当接角度:20°
・当接圧:20g/cm
・印加電圧:+1300V
【0054】
<入口シール103a及び回収ローラ用入口シール107b>
・材質:ポリウレタンゴム
・厚さ:0.2mm
・自由長:7mm
・中間転写ベルト又は回収ローラへの当接角度:11°
・中間転写ベルト又は回収ローラへの食い込み量:1mm
【0055】
<出口シール103b>
・材質:ポリウレタンゴム
・厚さ:0.2mm
・自由長:7mm
・中間転写ベルト又は回収ローラへの当接角度:11°
・潤滑剤塗布ブラシ104への食い込み量:1mm
【0056】
回収ローラ107の表面において、除去ブレード108でトナーが掻き落とされるとき、回収ローラ107の表面電位が低下する。その理由はまだ明らかになっていないが、回収ローラ107の表面に付着した電荷を持ったトナーが除去ブレード108で掻き落とされるときに剥離放電が起きて、回収ローラの表面を構成する高抵抗層あるいは絶縁層にマイナス極性の電荷を与えてしまうか、もしくは、トナー付着により回収ローラ107の表面にマイナス極性の電荷を与え、除去ブレード108でトナーを掻き落としても与えた電荷が残ってしまうことが考えている。そこで、本実施形態では、除去ブレード108に対し、回収ローラ107の印加電圧よりも高い電圧を印加してある。
【0057】
また、本実施形態において、中間転写ベルト70としては、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成樹脂又は各種のゴムに、カーボンブラック等の導電剤を適当量含有させたものが用いられ、その体積抵抗率が106〜1014Ω・cmとなるものが使われている。
【0058】
また、弾性を有する中間転写ベルト(以下、必要に応じて「弾性中間転写ベルト」という。)も使用可能である。この場合、導電性弾性層の主基材として、シリコーンゴム、NBR、H−NBR、CR、EPDM、ウレタンゴム等が用いられ、導電性保護層の材料は、摩擦抵抗の低減、電気特性の環境に対する安定性、表面粗さ低減による残留トナークリーニング性能の向上といった目的を達成できるものであれば、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、PVdFなどのフッ素樹脂系ポリマーを、アルコール可溶性ナイロン系、シリコーン樹脂系、シランカプラー、ウレタン樹脂系のエマルジョンや有機溶媒に、溶解・分散した塗料を使用することができる。これら保護層は、上記の塗料をディップコート、スプレーコート、静電塗装、ロールコートなどにより設けることができる。さらに、保護層に表面処理または研磨を施すことにより離型性、導電性、耐磨耗性、表面クリーニング性等を改善することができる。
【0059】
次に、本実施形態のプリンタに用いられる感光体1Y,1M,1C,1Kについて詳しく説明する。
本実施形態で用いる感光体1としては、導電性支持体を50[℃]〜400[℃]に加熱し、この支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりアモルファスシリコン(a−Si)からなる光導電層を有するアモルファスシリコン系感光体(以下、「a−Si系感光体」と称する。)を用いることができる。なかでもプラズマCVD法、すなわち、原料ガスを直流または高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が好適なものとして用いられている。
【0060】
先に述べたa−Si系感光体の層構成は例えば以下のようなものである。図10は、層構成を説明するための模式的構成図である。図10(a)に示すa−Si系感光体500は、支持体501の上にa−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層502が設けられている。図10(b)に示すa−Si系感光体500は、支持体501の上に、a−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層502と、アモルファスシリコン系表面層503とから構成されている。図10(c)に示すa−Si系感光体500は、支持体501の上に、a−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層502と、アモルファスシリコン系表面層503と、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層504とから構成されている。図10(d)に示すa−Si系感光体500は、支持体501の上に、光導電層502が設けられている。光導電層502はa−Si:H,Xからなる電荷発生層505ならびに電荷輸送層506とからなり、その上にアモルファスシリコン系表面層503が設けられている。
【0061】
上述したa−Si系感光体500の支持体501としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体としては、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルム、またはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少なくとも感光層を形成する側の表面を導電処理した支持体も用いることができる。
支持体501の形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または板状、無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望通りの画像形成装置用感光体を形成し得るように適宜決定するが、画像形成装置用感光体としての可撓性が要求される場合には、支持体501としての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、支持体501は製造上、および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10[μm]以上とされる。
【0062】
本実施形態に用いることができるa−Si系感光体500には必要に応じて導電性の支持体501と光導電層502との間に、導電性支持体側からの電荷の注入を阻止する働きのあるアモルファスシリコン系電荷注入阻止層504を設けるのがいっそう効果的である(図10(c))。すなわち、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層504は感光層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、支持体501側より光導電層502側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能が発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層504には伝導性を制御する原子を光導電層502に比べ比較的多く含有させる。
アモルファスシリコン系電荷注入阻止層504の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から好ましくは0.1〜5[μm]、より好ましくは0.3〜4[μm]、最適には0.5〜3[μm]とされるのが望ましい。
【0063】
光導電層502は必要に応じて下引き層上に形成され、光導電層502の層厚は所望の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは1〜100[μm]、より好ましくは20〜50[μm]、最適には23〜45[μm]とされるのが望ましい。
【0064】
電荷輸送層506は、光導電層502を機能分離した場合の電荷を輸送する機能を主として奏する層である。この電荷輸送層506は、その構成要素として少なくともシリコーン原子と炭素原子と弗素原子とを含み、必要であれば水素原子、酸素原子を含むa−SiC(H、F、O)からなり、所望の光導電特性、特に電荷保持特性,電荷発生特性および電荷輸送特性を有する。本発明においては酸素原子を含有することが特に好ましい。
電荷輸送層506の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果などの点から適宜所望にしたがって決定され、電荷輸送層506については、好ましくは5〜50[μm]、より好ましくは10〜40[μm]、最適には20〜30[μm]とされるのが望ましい。
【0065】
電荷発生層505は、光導電層502を機能分離した場合の電荷を発生する機能を主として奏する層である。この電荷発生層505は、構成要素として少なくともシリコン原子を含み、実質的に炭素原子を含まず、必要であれば水素原子を含むa−Si:Hから成り、所望の光導電特性、特に電荷発生特性,電荷輸送特性を有する。
電荷発生層505の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは0.5〜15[μm]、より好ましくは1〜10[μm]、最適には1〜5[μm]とされる。
【0066】
本実施形態に用いるa−Si系感光体500には必要に応じて、上述のようにして支持体501上に形成された光導電層502の上に、更に表面層を設けることができ、アモルファスシリコン系表面層503を形成することが好ましい。このアモルファスシリコン系表面層503は自由表面を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性において本発明の目的を達成するために設けられる。
アモルファスシリコン系表面層503の層厚としては、通常0.01〜3[μm]、好適には0.05〜2[μm]、最適には0.1〜1[μm]とされるのが望ましいものである。層厚が0.01[μm]よりも薄いと感光体を使用中に摩耗等の理由によりアモルファスシリコン系表面層503が失われてしまい、3[μm]を超えると残留電位の増加等の電子写真特性低下がみられる。
【0067】
a−Si系感光体500は、表面硬度が高く、半導体レーザー(770〜800[nm])などの長波長光に高い感度を示し、しかも繰返し使用による劣化もほとんど認められない。このため、高速複写機やレーザービームプリンタ(LBP)などに用いるのに好適な電子写真用感光体である。
【0068】
また、導電性支持体上に感光層を設けこの感光層の上に被覆された表面層にフィラーを含有させ、電荷輸送物質を架橋型電荷輸送材料とした有機感光体を用いても良い。有機感光体の表面層に粒子状物質を含有させ、電荷輸送物質として架橋型電荷輸送材料を用いることで、耐磨耗性を上げることができる。
【0069】
感光体の表面層としては、ビニルフルオライド、ビニリデンフルオライド、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルより選ばれる化合物の重合体もしくは共重合が挙げられる。また、表面層に含有するフィラーとしては、有機フィラーと無機フィラーのどちらを用いても良いが、無機フィラーが特に好ましく用いられる。有機フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機フィラー材料としては、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素等が挙げられる。これらのフィラーは単独で用いても、或いは2種以上を混合して用いても良い。また、分散性を向上させるために、これらのフィラーは表面処理剤で表面処理を行っても良い。
【0070】
導電性支持体としては、アルミニウム、ステンレスなどの金属、紙、プラスチックなどの円筒状シリンダーまたはフィルムが用いられる。これらの支持体の上には、バリアー機能と下引機能をもつ下引層(接着層)を設けることができる。下引層は感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体上の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的被覆に対する保護などのために形成される。下引層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、カゼイン、ポリアミド、共重合ナイロン、ニカワ、ゼラチン、等が知られている。これらはそれぞれに適した溶剤に溶解されて支持体上に塗布される。その膜厚は0.2〜2[μm]程度である。
【0071】
感光層の具体例としては、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造を有するもの、電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する単一の層から成るものなどがある。
【0072】
電荷発生物質としては、ピリリウム、チオピリリウム系染料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アゾ顔料、インジゴ顔料、キナクリドン系顔料、非対称キノシアニン、キノシアニンなどを用いることができる。
【0073】
電荷輸送物質としては、架橋型電荷輸送材料を使用することが好ましい。具体的には、ピレン、N−エチルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−メチル−N−フェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチルフェノチアジン、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチルフェノキサジン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒノ−2−メチルフェニル)−フェニルメタン等のトリアリールメタン系化合物、1,1−ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)ヘプタン、1,1,2,2−テトラキス(4−N,N−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)エタン等のポリアリールアルカン類、およびトリアリールアミン類などを用いることができる。
【0074】
また、最表面に保護層を設け耐摩耗性を向上する目的でフィラーを添加した感光体としてもよい。有機フィラーとしては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機フィラーとしては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。これらのフィラーは単独もしくは2種類以上混合して用いられる。これらフィラーは、保護層用塗工液に適当な分散機を用いることにより分散できる。また、フィラーの平均粒径は、0.5[μm]以下、好ましくは0.2[μm]以下にあることが保護層の透過率の点から好ましい。また、実施形態において保護層中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。
【0075】
次に、本実施形態のプリンタに好適に用いられるトナーについて説明する。
本実施形態においては、形状係数SF−1が100〜150である真円度の高い球形トナーを用いている。トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触状態が点接触になるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーと感光体との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。形状係数SF−1が150を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0076】
図11は、形状係数SF−1を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記(1)式で表される。球状物質(本実施形態ではトナー)を二次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
つまり次式、
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4)・・・(1)
によって定義されるものである。
また、図12は、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−2は、図12に示すように、物質の形状の凹凸の割合を示す数値であり、物質を二次元平面上に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで割って、100/4πを乗じた値で表される。
つまり次式、
SF−2={(PELI)/AREA}×(100/4π)
によって定義されるものである。
なお、本実施形態でのSF−2は、日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い、トナー像を100回無作為にサンプリングし、その画像情報は、インターフェースを介して、ニコレ社製画像解析装置(LUSEX3)に導入して解析を行い、上式より算出したものである。
【0077】
また、図13に示すように、像担持体としての感光体1とクリーニング装置20とを枠体83内に一体に支持し、プリンタ本体に対して着脱自在な像担持体ユニットである像担持体ユニット300としてもよい。なお、図13では、感光体1及びクリーニング装置20のほか、帯電ローラ3及び現像装置6も一体に支持した像担持体ユニットであるが、少なくとも、感光体1及びクリーニング装置20を一体に支持したものであればよい。
【0078】
次に、本発明に係るクリーニング装置をカラー画像形成装置に適用した他の例について、図14を用いて説明する。
【0079】
図14は、本発明に係るベルトクリーニング装置100をいわゆる1ドラム型のフルカラー画像形成装置であるプリンタに適用した例を示す図である。
このプリンタでは、図示しない本体筐体内に、感光体1が収納されている。この感光体1の周囲には、それぞれ、帯電手段としての帯電ローラ3、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の各色に対応した現像装置6C,6M,6Y,6K、中間転写手段としての中間転写部70、クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置100等が設けられている。また、このプリンタは、複数枚の記録材としての記録紙を収納する図示しない給紙カセットを備えている。給紙カセット内の記録紙は、図示しない給紙ローラにより1枚ずつ図示しないレジストローラ対でタイミング調整された後、二次転写部77と中間転写部70との間の二次転写領域に送り出される。
【0080】
図14のプリンタにおいて画像形成を行う場合、まず、感光体1を図中反時計方向に回転駆動するとともに中間転写部70の中間転写ベルト70を図中時計方向に回転駆動する。そして、感光体1の表面を帯電ローラ3で一様に帯電した後、感光体1の表面に対してC用画像データで変調されたレーザー光4を照射して、感光体1の表面にC用静電潜像を形成する。そして、このC用静電潜像を現像装置6CによりCトナーで現像を行う。これにより得られたC用トナー像は、中間転写部70の中間転写ベルト上に一次転写される。その後、感光体1の表面に残留した転写残トナーをベルトクリーニング装置100で除去した後、再び感光体1の表面を帯電ローラ3で一様に帯電する。次に、感光体1の表面に対してM用画像データで変調されたレーザー光4を照射して、感光体1の表面にM用静電潜像を形成する。そして、このM用静電潜像を現像装置6MによりMトナーで現像を行う。これにより得られたM用トナー像は、中間転写部70の中間転写ベルト70上に既に一次転写されているC用トナー像と重なり合うようにして、中間転写ベルト70上に一次転写される。以後、Y及びKについても、同様に中間転写ベルト70上に一次転写する。このようにして互いに重なり合った状態の中間転写ベルト70上の各色トナー像は、二次転写部77により二次転写領域に搬送されてきた記録紙上に転写される。このようにしてトナー像が転写された記録紙は、紙搬送ベルト81によって、図示しない定着部に搬送される。この定着部で、記録紙を加熱、加圧して、記録紙上のトナー像を記録紙に定着させる。定着後の記録紙は、図示しない排紙トレー上に排出する。中間転写ベルト70の表面に残留した転写残トナーは、ベルトクリーニング装置100で除去される。
【0081】
この図14に示した1ドラム型のフルカラー画像形成装置において、中間転写ベルト70の表面に残留した転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段として、ベルトクリーニング装置100を用いることで、球形トナーであっても、中間転写ベルト表面から転写残トナーを良好に除去することができる。また、環境変動によって、転写残トナーのほとんどがプラス極性になったり、マイナス極性となったりしても、良好に転写残トナーを中間転写ベルト70から除去することができる。
【0082】
また、図15に示すように、紙搬送ベルト81に付着したトナーを除去するクリーニング手段として、ベルトクリーニング装置100と同様の構成のクリーニング装置に用いても良い。図15に示すプリンタでは、用紙ジャムが起こると、感光体1上のトナー像が紙搬送ベルト81に転写されてしまい、紙搬送ベルト81が汚れてしまう。また、現像ローラ8内の帯電量の低いトナーやプラスに帯電したトナーが感光体1上の紙間に付着する場合がある。この紙間に付着しているトナーは、紙搬送ベルト81に転写され、紙搬送ベルト81を汚してしまう。紙ジャムなどによって、紙搬送ベルト81に付着したトナーの一部は、転写ローラ15によって電荷が注入されて、極性が反転する。その結果、紙搬送ベルト81に汚れとして転写されたトナーには、プラス極性とマイナス極性とが混在する。しかし、紙搬送ベルト81のクリーニング手段として、上述したベルトクリーニング装置100と同様の構成のクリーニング装置を用いることで、プラス極性とマイナス極性とが混在している紙搬送ベルト81上のトナーを良好に除去することができる。
【0083】
以上、本実施形態に係るプリンタは、像担持体としての中間転写ベルト70上に形成されたトナー像を中間転写ベルト70上から最終的に記録材としての記録紙上へ転写することで、記録紙上に画像を形成する画像形成装置であり、転写後に中間転写ベルト70上に残留した転写残トナーをクリーニングするためのベルトクリーニング装置100として、次の構成を採用している。すなわち、表面移動する被清掃体としての中間転写ベルト70の表面に当接して中間転写ベルト表面上のトナーを堰き止めることにより中間転写ベルト表面をクリーニングするとともに、印加された電圧によって中間転写ベルト表面上のトナーを所定極性(トナーの正規帯電極性と同じマイナス極性)に帯電させる導電性のクリーニングブレード101と、クリーニングブレード101の中間転写ベルト表面移動方向下流側で、中間転写ベルト表面に接触するようにブラシ部を移動させながら、印加された電圧によって中間転写ベルト表面上のマイナス極性に帯電したトナーを静電的にブラシ部に付着させることにより、中間転写ベルト表面をクリーニングするクリーニングブラシ102と、クリーニングブレード101とクリーニングブラシ102とを収容するクリーニングケース103とを有するクリーニング装置において、クリーニングブラシ102の中間転写ベルト表面移動方向下流側で、中間転写ベルト表面に接触するようにブラシ部を移動させながら、ブラシ部に付着している潤滑剤を中間転写ベルト表面へ塗布する潤滑剤塗布ブラシ104を、上記クリーニングケース103内に設けたものである。このように、潤滑剤塗布ブラシ104をクリーニングブラシ102とは別個に同一のクリーニングケース103内に配置することで、図16に示したクリーニング装置のようにクリーニングブラシ202を潤滑剤塗布ブラシとして利用する場合に比べて、クリーニングブラシに付着する潤滑剤の量が少なくなる。その結果、クリーニングブラシに潤滑剤が付着することによるクリーニングブラシのクリーニング性能の低下は抑制される。
特に、本実施形態のベルトクリーニング装置100は、クリーニングブラシ102のブラシ部に対向するように自己の表面を移動させながら、印加された電圧によってブラシ部に付着したマイナス極性に帯電したトナーを静電的に自己の表面に付着させることにより、クリーニングブラシ102からトナーを回収する回収用回転体としての回収ローラ107と、回収ローラ107の表面に当接して回収ローラ表面上のトナーを堰き止めることにより回収ローラ107の表面からトナーを除去する除去ブレード108とを有し、潤滑剤塗布ブラシ104のブラシ部が回収ローラ107の表面に接触するように、潤滑剤塗布ブラシ104を配置している。これにより、潤滑剤塗布ブラシ104の潤滑剤を、中間転写ベルト70だけでなく回収ローラ107の表面にも塗布することができる。これにより、回収ローラ107の表面に当接する除去ブレード108の捲れを、簡易な構成で効果的に抑制することができる。
【0084】
なお、以上の説明では、本発明に係るクリーニング装置について、中間転写ベルト70をクリーニングするベルトクリーニング装置100を例に挙げて説明したが、感光体をクリーニングするクリーニング装置として用いても同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0085】
1Y,1M,1C,1K 感光体
70 中間転写ベルト
100,200 ベルトクリーニング装置
101 クリーニングブレード
101a ブレード用電源
102,202 クリーニングブラシ
102a ブラシ用電源
103 クリーニングケース
103a 入口シール
103b 出口シール
104 潤滑剤塗布ブラシ
105,205 固形潤滑剤
105a バネ
107 回収ローラ
107a 回収用電源
108 除去ブレード
108a 電源
300 像担持体ユニット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特開2002−202702号公報
【特許文献2】特開2005−321833号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面移動する被清掃体表面に当接して該被清掃体表面上のトナーを堰き止めることにより該被清掃体表面をクリーニングするとともに、印加された電圧によって該被清掃体表面上のトナーを所定極性に帯電させる導電性のクリーニングブレードと、
該クリーニングブレードの被清掃体表面移動方向下流側で、該被清掃体表面に接触するようにブラシ部を移動させながら、印加された電圧によって該被清掃体表面上の該所定極性に帯電したトナーを静電的に該ブラシ部に付着させることにより、該被清掃体表面をクリーニングするクリーニングブラシと、
該クリーニングブレードと該クリーニングブラシとを収容するクリーニングケースとを有するクリーニング装置において、
上記クリーニングブラシの被清掃体表面移動方向下流側で、上記被清掃体表面に接触するようにブラシ部を移動させながら、該ブラシ部に付着している潤滑剤を該被清掃体表面へ塗布する潤滑剤塗布ブラシを、上記クリーニングケース内に設けたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
請求項1のクリーニング装置において、
上記クリーニングブラシのブラシ部に対向するように自己の表面を移動させながら、印加された電圧によって該ブラシ部に付着した上記所定極性に帯電したトナーを静電的に自己の表面に付着させることにより、該クリーニングブラシからトナーを回収する回収用回転体と、
該回収用回転体の表面に当接して該回収用回転体の表面上のトナーを堰き止めることにより該回収用回転体の表面からトナーを除去する除去ブレードとを有し、
上記潤滑剤塗布ブラシのブラシ部が該回収用回転体の表面に接触するように、該潤滑剤塗布ブラシを配置したことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項3】
像担持体上に形成されたトナー像を該像担持体上から最終的に記録材上へ転写することで、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
転写後に上記像担持体上に残留した転写残トナーをクリーニングするためのクリーニング装置として、請求項1又は2のクリーニング装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、
それぞれ色の異なるトナーを収容した複数の現像装置を備え、
上記像担持体1つに対して該複数の現像装置を対向配置させ、該像担持体上の潜像に対して該複数の現像装置によりそれぞれ異なる色のトナーを付着させることにより、該像担持体上にトナー像を形成することを特徴とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3の画像形成装置において、
それぞれ色の異なるトナーを収容した複数の現像装置を備え、
上記像担持体は該複数の現像装置と同数備わっており、
各像担持体に対して1つずつ現像装置が対向配置され、各像担持体上の潜像に対して各現像装置によりそれぞれ異なる色のトナーを付着させることにより、各像担持体上に各色トナー像を形成し、これらのトナー像を重ね合わせてトナー像を最終的に記録材上に形成することを特徴とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4又は5の画像形成装置において、
上記像担持体として、フィラーを分散させた材料からなる感光体を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記像担持体として、充填材で補強された表面層を有する有機感光体を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記像担持体として、架橋型電荷輸送材料を使用した有機感光体を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項4乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記像担持体として、感光層がアモルファスシリコンからなる感光体を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項3の画像形成装置において、
潜像担持体上に形成したトナー像を上記像担持体に転写してから最終的に記録材上に形成することを特徴とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
像担持体上に形成されたトナー像を該像担持体上から最終的に記録材上へ転写することで、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
上記記録材を表面に吸着させて搬送する記録材搬送部材を有し、
該記録材搬送部材上に付着したトナーをクリーニングするためのクリーニング装置として、請求項1又は2のクリーニング装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項3乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
上記トナーとして、形状係数SF1が100以上150以下のものを用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
像担持体と、転写後に該像担持体上に残留した転写残トナーをクリーニングするためのクリーニング装置とを一体的に支持し、該像担持体上に形成されたトナー像を該像担持体上から最終的に記録材上へ転写することで該記録材上に画像を形成する画像形成装置に対して着脱自在な像担持体ユニットにおいて、
上記クリーニング装置として、請求項1又は2のクリーニング装置を用いることを特徴とする像担持体ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−160448(P2010−160448A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4063(P2009−4063)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】