説明

グラスラン

【課題】ドアサッシュ側のコーナーピースを車室外側から覆う延出壁部を有するグラスランにおいて、ドアサッシュへの装着に伴ってコーナー型成形部が拡開することによるドアサッシュ周りの美観または見栄えの悪化を少なくとも抑制する。
【解決手段】ドアサッシュ3に装着されていないグラスラン7の自由状態において、延出壁部12を、当該延出壁部12の内周側端縁12aの長手方向で車室内側に向けて凸となるように湾曲させる。グラスラン7をドアサッシュ3へ装着すべく断面略コ字状の型成形部本体14を窄め、コーナー型成形部7cがその側面視角度を増大させるように拡開したときに、延出壁部12がその湾曲を引き伸ばすようにしてコーナーピースに対応する形状に展開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ドアのドアサッシュに装着されてドアガラスを昇降案内しつつ車室内外をシールするグラスランに関し、特に、第1押出成形部と第2押出成形部とを接続するコーナー型成形部に、ドアサッシュ側に設けられたコーナーピースを覆う延出壁部を形成したグラスランに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されているように、自動車用ドアのドアサッシュのうちサッシュ上辺部とサッシュ縦辺部との間に形成されるサッシュコーナー部が鋭角形状に形成される一方で、ドア閉時にそのサッシュコーナー部と近接対峙することになる車体側のドア開口部周縁のコーナー部が、上記サッシュコーナー部よりも小さい曲率で形成されることがある。そして、このような場合、車体側のドア開口部周縁に装着されてドア閉時にドアサッシュとの間をシールするウェザーストリップのうち、上記ドア開口部周縁のコーナー部に相当する部分が、上記サッシュコーナー部に対して非当接状態となってしまう場合がある。
【0003】
そのため、例えば特許文献1に記載の技術では、上記サッシュコーナー部の内周側に、上記ウェザーストリップに対する当接部となる側面視略三角形状のコーナーピースを設けてシール性を確保する一方で、上記ドアサッシュに装着されたグラスランのコーナー型成形部に、当該コーナー型成形部の内周側に延出する延出壁部を形成し、その延出壁部により、上記コーナーピースを車外側から覆い隠すことで見栄えまたは外観品質の向上を図るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−234395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般にグラスランは、断面略コ字状を呈するグラスラン本体の両側壁が開口部側に向かってハの字状に開くように形成されており、その両側壁を窄めつつドアサッシュに装着することで、両側壁の先端にそれぞれ形成されたシールリップ同士がグラスラン本体内で寄せ集められるようになっている。そして、このように両側壁が窄められると、それらの両側壁の先端がグラスランの内周側に変位し、両側壁の先端の周長を維持すべく、コーナー型成形部がその側面視角度を増加させるように拡開することになる。そのため、このコーナー型成形部の拡開を見込んで当該コーナー型成形部の側面視角度を予めサッシュコーナー部の側面視角度よりも小さく設定することがある。
【0006】
しかしながら、このようにコーナー型成形部の側面視角度をサッシュコーナー部の側面視角度よりも予め小さく設定した上で、特許文献1に記載の発明のような延出壁部をコーナー型成形部に形成する場合には、上記グラスランのドアサッシュ装着に伴って上記コーナー型成形部が拡開すると、その拡開方向で上記延出壁部が引張られ、上記延出壁部が上記コーナーピースから離間する方向に立ち上がってしまう虞がある。そして、このように延出壁部が立ち上がると、当該延出壁部と上記コーナーピースとの間に隙間が生じてしまうことになり、美観または見栄えの面で好ましくない。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、上記延出壁部を有するグラスランにおいて、ドアサッシュへの装着に伴って上記コーナー型成形部が拡開することによるドアサッシュ周りの美観または見栄えの悪化を少なくとも抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、ドアサッシュの一辺に装着される第1押出成形部とドアサッシュの他辺に装着される第2押出成形部とが、ドアサッシュの一辺と他辺とのなすサッシュコーナー部の側面視角度よりも小さい角度となるようにコーナー型成形部で一体に連結されているとともに、上記コーナー型成形部は、ドアサッシュに装着される断面略コ字状の型成形部本体と、その型成形部本体のうち両側壁の先端から当該型成形部本体の内部に向けて延出するシールリップと、上記型成形部本体のうち車室内側の側壁の先端から上記コーナー型成形部の内周側に向けて延出し、上記サッシュコーナー部の内周側に設けられたコーナーピースを車室外側から覆う延出壁部と、を備えていて、上記型成形部本体をドアサッシュに装着すべく、上記両シールリップ同士を寄せ集めるように上記型成形部本体を窄めることにより、上記コーナー型成形部がその側面視角度を増大させるように拡開するようになっているグラスランであることを前提としている。その上で、上記ドアサッシュに装着されていない自由状態のときに、上記延出壁部が、当該延出壁部の内周側端縁の長手方向で車室内側に向けて凸となるように湾曲していることを特徴としている。
【0009】
つまり、少なくとも請求項1に記載の発明では、上記延出壁部が、当該延出壁部の内周側端縁の長手方向で車室内側に向けて凸となるように湾曲していることから、上記ドアサッシュへの装着に伴って上記コーナー型成形部が拡開したときに、上記コーナーピースに対応した形状に展開することになる。
【0010】
また、上記コーナー型成形部の拡開に伴う上記延出壁部の展開動作を安定したものとする上では、請求項2に記載の発明のように、上記ドアサッシュに装着されていない自由状態のときに、上記延出壁部が、当該延出壁部の内周側端縁のうち長手方向の中央部を頂部として車室内側に向けて湾曲していることが望ましい。
【0011】
さらに、ドアサッシュへの装着に伴って上記コーナー型成形部が拡開することによるドアサッシュ周りの美観または見栄えの悪化をより確実に抑制する上では、請求項3に記載の発明のように、上記延出壁部の内周側端縁に、車室内側へ向けて延出して上記コーナーピースに上記ドアサッシュの内周側から重合するモールリップが突設されていることが望ましい。この請求項3に記載の発明では、上記延出壁部と上記コーナーピースとの間に万が一若干の隙間が生じたとしても、その隙間を上記モールリップによって外部から隠蔽できるようになる。
【0012】
その上で、ドアサッシュ周りの美観または見栄えをさらに向上させる上では、請求項4に記載の発明のように、上記第1押出成形部および第2押出成形部は、ドアサッシュに装着される断面略コ字状の押出成形部本体と、その押出成形部本体のうち両側壁の先端から当該押出成形部本体の内部に向けて延出するシールリップと、上記押出成形部本体のうち車室内側の側壁の先端から上記押出成形部本体の外側に向けて突出し、上記ドアサッシュのうち内周側の開口端縁を覆うモールリップと、を備えていて、上記第1,第2押出成形部のモールリップ同士が、上記延出壁部のモールリップによって互いに連結されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、上記グラスランのドアサッシュへの装着に伴って上記コーナー型成形部が拡開したときに、上記延出壁部が上記コーナーピースに対応した形状に展開するようになっていることから、上記延出壁部とコーナーピースとの間における隙間の発生を防止し、ドアサッシュ周りの美観または見栄えの悪化を少なくとも抑制することができる。
【0014】
特に、請求項2に記載の発明によれば、上記コーナー型成形部の拡開に伴う上記延出壁部の展開動作が安定したものとなるから、ドアサッシュ周りの美観または見栄えの悪化をさらに効果的に抑制できるようになる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明によれば、上記延出壁部と上記コーナーピースとの間に万が一若干の隙間が生じたとしても、その隙間を上記モールリップによって外部から隠蔽できるようになるから、ドアサッシュ周りの美観または見栄えの悪化をより効果的に抑制できるようになる。
【0016】
その上で、請求項4に記載の発明によれば、上記第1,第2押出成形部のモールリップ同士が、上記延出壁部のモールリップによって連結され、上記第1,第2押出成形部および延出壁部のそれぞれのモールリップが一本の連続したものとして観者から認識されるようになるから、ドアサッシュ周りの美観または見栄えが好ましいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態として自動車のフロントドアを示す側面図。
【図2】図1のA部を拡大して示す側面図
【図3】図2のB−B線に沿った断面図。
【図4】図2におけるドアサッシュを単体で示す斜視図。
【図5】図2におけるグラスランの自由状態を示す図。
【図6】図5に示すグラスランのC矢視図。
【図7】図5に示すグラスランのD−D線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜7は本発明の好適な実施の形態を示す図であって、そのうち図1は自動車のフロントドアを示す側面図、図2は図1のA部を拡大して示す側面図、図3は図2のB−B線に沿った断面図、図4は図2におけるドアサッシュを単体で示す斜視図である。
【0019】
図1に示す自動車のフロントドア1は、ドア本体2との間に窓開口部1aを形成する側面視略アーチ状のドアサッシュ3を有していて、ドア本体2内に収容された図示外のウインドウレギュレータによって駆動される昇降式のドアガラスGによって窓開口部1aが開閉されるようになっている。そして、ドアサッシュ3の内周側には、ドアガラスGを昇降案内しつつそのドアガラスGとドアサッシュ3との間をシールするグラスラン7が装着されている。
【0020】
図2〜4に示すように、ドアサッシュ3はいわゆるロールフォーミングをもって形成されたものであって、グラスラン7を嵌合保持するチャンネル部4と、そのチャンネル部4から車室内側に向けて膨出するように形成された膨出部5と、を備えているとともに、当該ドアサッシュ3の一辺として車体前後方向に延びるサッシュ上辺部3aと当該ドアサッシュ3の他辺として上下方向に延びる車体後方側のサッシュ縦辺部3bとのなすフロントドア1後上部のサッシュコーナー部3cには、当該サッシュコーナー部3cの内隅部を閉塞するコーナーピース6が設けられている。
【0021】
図3,4に示すように、コーナーピース6は、膨出部5側の車内側壁部5aと略面一に設けられた略三角形状の車内側壁部6aと、その車内側壁部6aの車室外側に所定の間隔をもって対向する略三角形状の車外側壁部6bと、車内側壁部6aおよび車外側壁部6bのうちサッシュコーナー部3c内周側の端縁同士を接続する内周側壁部6cと、車内側壁部6aおよび車外側壁部6bのうちサッシュコーナ部3c外周側の端縁同士を連結する外周側壁部6dと、を備えた中空状のものであって、当該コーナーピース6の外周側壁部6dが膨出部5側の内周側壁部5bに重合しつつ、その内周側壁部5bに対して図示しないクリップ等の固定手段によって取付・固定されている。なお、図3の符号6eは、コーナーピース6のうち車内側壁部6aと外周側壁部6dとのなすコーナー部から延出して膨出部5の車内側壁部5aに被さるカバーリップである。また、本実施の形態では、コーナーピース4を図示しない他の内装部材とは別体のものとして形成しているが、コーナーピース4を図示しない他の内装部材と一体に形成してもよいことは言うまでもない。
【0022】
そして、上述したように、ドア閉時には、サッシュ上辺部3aおよびサッシュ縦辺部3bの膨出部5が、図示しない車体側のドア開口部外周縁に装着されたドアウェザーストリップに当接する一方、サッシュコーナー部3cにおいては、コーナーピース6の車内側壁部6aが上記ウェザーストリップに当接することになる。これにより、車室内外がシールされるようになっている。
【0023】
一方、図2に示すように、グラスラン7のうちサッシュ上辺部3aに装着される第1押出成形部としてのグラスラン上辺部7aとサッシュ縦辺部3bに装着される第2押出成形部としてのグラスラン縦辺部7bとは、図示外の金型をもって型成形されたコーナー型成形部7cをもって相互に接続されている。なお、グラスラン上辺部7aとグラスラン縦辺部7bおよびコーナー型成形部7cは、EPDMに代表されるようなゴム材料、または熱可塑性エラストマーであるTPOに代表されるような樹脂材料によっていずれも形成されている。また、図2の符号3dは、グラスラン上辺部7aとコーナー型成形部7cとの接合線であって、図2の符号3eは、グラスラン縦辺部7bとコーナー型成形部7cとの接合線である。
【0024】
グラスラン上辺部5aとグラスラン縦辺部5bは共に押出成形された均一断面形状のもので、その断面形状は若干異なっているものの、車室内側および車室外側の両側壁8a,8bとそれらの両側壁8a,8bの基端部同士を接続する底壁8cとを有する断面略コ字状の押出成形部本体8を中心として構成されている点で共通している。そして、押出成形部本体8は、ドアサッシュ3のチャンネル部4に嵌合しつつ、当該押出成形部本体8の外側面に突出形成された複数の保持リップ11a,11bがチャンネル部4側の段状部4a,4bに弾接または係止されることで、チャンネル部4からの抜け止めが施されている。
【0025】
また、グラスラン上辺部5aおよびグラスラン縦辺部5bは、押出成形部本体8の開口縁、すなわち両側壁8a,8bの先端からグラスラン本体8の内側に向かって延び、ドアガラスGに弾接または圧接することになる車室内側および車室外側のシールリップ9a,9bと、押出成形部本体8の開口縁、すなわち両側壁8a,8bの先端から押出成形部本体8の外側に向かって延び、ドアサッシュ3のうちチャンネル部4の開口端縁に被さる車室内側および車室外側のモールリップ10a,10bと、をそれぞれ備えている。
【0026】
他方、図2のほか図3に示すように、コーナー型成形部7cは、グラスラン上辺部7aとグラスラン縦辺部7bとを滑らかに接続すべく、その長手方向で断面形状が漸次変化するように型成形されたものであって、グラスラン上辺部7aおよびグラスラン縦辺部7bと同様に、車室内側および車室外側の両側壁14a,14bとそれらの両側壁14a,14bの基端部同士を接続する底壁14cとを有する断面略コ字状の型成形部本体14を中心として構成され、その型成形部本体14の開口縁には、当該型成形部本体14の内側に向かって舌片状に突出する車室内側および車室外側のシールリップ15a,15bが一体に形成されている。
【0027】
また、コーナー型成形部7cには、型成形部本体14のうち車室内側の側壁14aの先端から延出し、ドアサッシュ3側のコーナーピース6を車室外側から覆う側面視略三角形状の延出壁部12が形成されている。そして、当該延出壁部12の内周側端縁12aには、車室内側に向かって延出するモールリップ13が形成されている。
【0028】
モールリップ13は、グラスラン上辺部7aおよびグラスラン縦辺部7bのうち車室内側の側壁8aの先端に形成されたモールリップ10a,10a同士を相互に接続しているとともに、コーナーピース6の内周側壁部6cにドアサッシュ3の内周側から重合または弾接している。つまり、延出壁部12とモールリップ13とにより、コーナーピース6のうち車外側壁部6bと内周側壁部6cとのなすコーナー部を覆っている。なお、型成形部本体14のうち車室外側の側壁14bの先端にも当該型成形部本体14の外側に向けて延出するモールリップ16が形成され、このモールリップ16により、グラスラン上辺部7a側およびグラスラン縦辺部7b側のモールリップ10b,10bが相互に接続されている。
【0029】
図5は図2におけるグラスラン7の自由状態を示す図であって、図6は図5のB矢視図である。また、図7は図5のC−C線に沿った断面図である。
【0030】
ここで、グラスラン7は、周知のように、ドアサッシュ3によって拘束されない図5に示す自由状態において、押出成形部本体8の両側壁8a,8bおよび型成形部本体14の両側壁14a,14bがドアサッシュ3側のチャンネル部4よりも先端側に向かってハの字状に大きく開口する形状に予め成形されており、このように成形された押出成形部本体8および型成形部本体14を窄めて両シールリップ9a,9bまたは15a,15b同士を寄せ集めた状態でドアサッシュ3に装着されることになる。そして、特に型成形部本体14を窄めると、当該型成形部本体14の両側壁14a,14bの先端がグラスラン7の内周側に変位することになるから、それら両側壁14a,14bの先端の周長を維持すべく、コーナー型成形部7cがその側面視角度を増加させるように拡開することになる。そのため、コーナー型成形部7cは、ドアサッシュ3装着時における拡開を見込んで当該コーナー型成形部7cの側面視角度θ1(図5参照)がサッシュコーナー部3cの側面視角度θ2(図4参照)よりも小さくなるように予め形成されているとともに、そのコーナー型成形部7cに形成される延出壁部12は、図6,7に示すように、上述したようなコーナー型成形部7cの拡開を許容すべく、内周側端縁12aの長手方向で車室内側へ向けて凸となるように湾曲した形状に予め成形されている。
【0031】
より具体的には、延出壁部12は、当該延出壁部12の内周側端縁12aのうち長手方向の中間部が頂部となるように車室内側へ向けて湾曲していて、その延出壁部12の内周側端縁12aの周長L1(図6参照)が、コーナーピース6のうち車外側壁部6bと内周側壁部6cとのなすコーナー部の周長L2(図4参照)と略同一となるように設定してある。そして、グラスラン7のドアサッシュ3装着時には、コーナー型成形部7cの拡開に伴って延出壁部12の上端縁12bおよび後端縁12cがそれぞれ離間する方向に引っ張られ、延出壁部12がその湾曲を引き伸ばすようにしてコーナーピース6の車外側壁部6bに合致する断面略直線状または平坦な形状に展開することになる。
【0032】
したがって、本実施の形態によれば、内周側端縁12aの長手方向で車室内側へ向けて凸となるように湾曲した形状に延出壁部12を予め形成し、グラスラン7のドアサッシュ3への装着時にその延出壁部12がコーナーピース6の車外側壁部6bに合致する形状に展開するように設定しているため、その延出壁部12とコーナーピース6との間における隙間の発生を防止し、ドアサッシュ周りの美観または見栄えの悪化を少なくとも抑制することができる。
【0033】
その上、グラスラン7のドアサッシュ3への装着時にコーナー型成形部7cの拡開の度合いが万が一見込みよりも小さかったとしても、延出壁部12がコーナーピース6との当接を強める方向に湾曲しているため、その延出壁部12とコーナーピース6との間における隙間の発生を防止することができる。
【0034】
しかも、延出壁部12の内周側端縁12aにモールリップ13が形成されていて、そのモールリップ13がコーナーピース6の内周側壁部6cに弾接するようになっているため、延出壁部12とコーナーピース6との間に万が一隙間が発生したとしても、その隙間を外部から隠蔽することができる。
【0035】
その上、モールリップ13は、グラスラン上辺部7a側およびグラスラン縦辺部7b側のモールリップ10a,10a同士を延出壁部12のモールリップ13で相互に接続しているため、グラスラン上辺部7aとグラスラン縦辺部7bおよび延出壁部12のそれぞれのモールリップ10a,13,10aが一本の連続したものとして観者から認識されるようになるから、ドアサッシュ3周りの美観または見栄えをさらに向上させることができる。
【0036】
また、グラスラン7のドアサッシュ3への装着時に、延出壁部12が突っ張ってコーナー型成形部7cの拡開を阻害するようなことがなく、そのコーナー型成形部7cをサッシュコーナー部3cに無理なく装着できるようになるため、グラスラン7をドアサッシュ3に装着する際の作業性が向上するメリットもある。
【0037】
なお、本実施の形態では、フロントドア1に装着されるグラスラン7に本発明を適用した例を示したが、本発明は自動車のリアドアに装着されるグラスランにも同様に適用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0038】
3…ドアサッシュ
3a…サッシュ上辺部(ドアサッシュの一辺)
3b…サッシュ縦辺部(ドアサッシュの他辺)
3c…サッシュコーナー部
6…コーナーピース
7…グラスラン
7a…グラスラン上辺部(第1押出成形部)
7b…グラスラン縦辺部(第2押出成形部)
7c…コーナー型成形部
8…押出成形部本体
8a…押出成形部本体の車室内側の側壁
8b…押出成形部本体の車室外側の側壁
9a…車室内側のシールリップ
9b…車室外側のシールリップ
10a…第1,第2押出成形部のモールリップ
12…延出壁部
12a…延出壁部の内周側端縁
13…延出壁部のモールリップ
14…型成形部本体
14a…型成形部本体の車室内側の側壁
14b…型成形部本体の車室外側の側壁
15a…車室内側のシールリップ
15b…車室外側のシールリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアサッシュの一辺に装着される第1押出成形部とドアサッシュの他辺に装着される第2押出成形部とが、ドアサッシュの一辺と他辺とのなすサッシュコーナー部の側面視角度よりも小さい角度となるようにコーナー型成形部で一体に連結されているとともに、上記コーナー型成形部は、ドアサッシュに装着される断面略コ字状の型成形部本体と、その型成形部本体のうち両側壁の先端から当該型成形部本体の内部に向けて延出するシールリップと、上記型成形部本体のうち車室内側の側壁の先端から上記コーナー型成形部の内周側に向けて延出し、上記サッシュコーナー部の内周側に設けられたコーナーピースを車室外側から覆う延出壁部と、を備えていて、上記型成形部本体をドアサッシュに装着すべく、上記両シールリップ同士を寄せ集めるように上記型成形部本体を窄めることにより、上記コーナー型成形部がその側面視角度を増大させるように拡開するようになっているグラスランにおいて、
上記ドアサッシュに装着されていない自由状態のときに、上記延出壁部が、当該延出壁部の内周側端縁の長手方向で車室内側に向けて凸となるように湾曲していることを特徴とするグラスラン。
【請求項2】
上記ドアサッシュに装着されていない自由状態のときに、上記延出壁部が、当該延出壁部の内周側端縁のうち長手方向の中央部を頂部として車室内側に向けて湾曲していることを特徴とする請求項1に記載のグラスラン。
【請求項3】
上記延出壁部の内周側端縁に、車室内側へ向けて延出して上記コーナーピースに上記ドアサッシュの内周側から重合するモールリップが突設されていることを特徴とする請求項1または2に記載のグラスラン。
【請求項4】
上記第1押出成形部および第2押出成形部は、ドアサッシュに装着される断面略コ字状の押出成形部本体と、その押出成形部本体のうち両側壁の先端から当該押出成形部本体の内部に向けて延出するシールリップと、上記押出成形部本体のうち車室内側の側壁の先端から上記押出成形部本体の外側に向けて突出し、上記ドアサッシュのうち内周側の開口端縁を覆うモールリップと、を備えていて、上記第1,第2押出成形部のモールリップ同士が、上記延出壁部のモールリップによって互いに連結されていることを特徴とする請求項3に記載のグラスラン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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