説明

グラフェンを利用した有機発光表示装置

【課題】グラフェンを利用した有機発光表示装置を提供する。
【解決手段】基板と、基板上に第1方向に形成された第1配線と、基板上に第2方向に形成された第2配線及び第3配線と、第1及び第2配線と連結されている第1薄膜トランジスタと、第1薄膜トランジスタ及び第3配線と連結されている第2薄膜トランジスタと、第2薄膜トランジスタと連結された有機発光素子と、を備え、第2配線及び第3配線は、グラフェンからなる有機発光表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置に係るものであり、特にソース電極、ドレイン電極及び配線がグラフェンで形成された有機発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置は、視野角、コントラスト、応答速度、消費電力などの側面で特性が優秀であるため、MP3プレーヤーや携帯電話のような個人用の携帯機器からテレビジョンに至るまで応用範囲が拡大している。かかる有機発光表示装置において、装置内部の薄膜トランジスタや配線を透明にすることで、透明な有機発光表示装置を製造しようとする試みがある。
【0003】
特に、配線を不透明な金属で形成すれば、透過度が低下してしまい、透明な有機発光表示装置を製造するのに限界がある。また、解像度が高くなるほど、配線が占める比率が高くなるので、配線を不透明な金属で形成すれば、透過度が急激に低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、外光の透過度が高い有機発光表示装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は、基板と、前記基板上に第1方向に形成された第1配線と、前記基板上に第2方向に形成された第2配線及び第3配線と、前記第1及び第2配線と連結されている第1薄膜トランジスタと、前記第1薄膜トランジスタ及び前記第3配線と連結されている第2薄膜トランジスタと、前記第2薄膜トランジスタと連結された有機発光素子と、を備え;前記第2配線及び第3配線は、グラフェンからなる有機発光表示装置を提供する。
【0006】
また、前記目的を達成するために、本発明は、外光が透過する透過領域、及び前記透過領域に隣接した画素領域に区画された基板と、前記画素領域を通過するように、第1方向に形成された第1配線と、前記画素領域及び前記透過領域を通過するように、第2方向に形成された第2配線及び第3配線と、前記画素領域内に位置し、前記第1及び第2配線と連結されている第1薄膜トランジスタと、前記画素領域内に位置し、前記第1薄膜トランジスタ及び前記第3配線と連結されている第2薄膜トランジスタと、前記第2薄膜トランジスタと連結され、前記画素領域内に位置し、前記第1薄膜トランジスタ及び前記第2薄膜トランジスタを覆うように積層された画素電極と、前記画素電極と対向し、光透過が可能であるように形成され、前記透過領域及び画素領域にわたって位置する対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に介在されて発光する発光部材と、を備え;前記第2配線及び第3配線は、グラフェンからなる有機発光表示装置を提供する。
【0007】
本発明の他の特徴によれば、前記第1薄膜トランジスタは、前記基板上に形成された活性層と、前記活性層と対応する位置に前記活性層と絶縁されて形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うように形成され、前記活性層と連通された開口部を有する絶縁層と、前記絶縁層上に形成され、前記開口部を通じて前記活性層と接するソース電極及びドレイン電極と、を備え;前記ソース電極及び前記ドレイン電極は、前記開口部に埋め込まれる第1部分と、前記絶縁層上に形成される第2部分とを備え、前記第1部分と前記第2部分とは、相異なる物質からなる。
【0008】
本発明の他の特徴によれば、前記第1部分は、Ti,Mo,Al及びCuからなる群から選択された少なくとも一つの金属からなり、前記第2部分は、グラフェンからなる。
【0009】
本発明の他の特徴によれば、前記第1部分は、ITO,IZO,ZnO,In,SnO及びAlZnOからなる群から選択された少なくとも一つの金属酸化物からなり、前記第2部分は、グラフェンからなる。
【0010】
本発明の他の特徴によれば、前記第2部分は、前記第2配線と連結され、前記第2部分と前記第2配線とは同じ物質で形成される。
【0011】
本発明の他の特徴によれば、前記第2薄膜トランジスタは、前記基板上に形成された活性層と、前記活性層と対応する位置に、前記活性層と絶縁されて形成されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うように形成され、前記活性層と連通された開口部を有する絶縁層と、前記絶縁層上に形成され、前記開口部を通じて前記活性層と接するソース電極及びドレイン電極と、を備え;前記ソース電極及び前記ドレイン電極は、前記開口部に埋め込まれる第1部分と、前記絶縁層上に形成される第2部分とを備え、前記第1部分と前記第2部分とは、相異なる物質からなる。
【0012】
本発明の他の特徴によれば、前記第1部分は、Ti,Mo,Al及びCuからなる群から選択された少なくとも一つの金属からなり、前記第2部分は、グラフェンからなる。
【0013】
本発明の他の特徴によれば、前記第1部分は、ITO,IZO,ZnO,In,SnO及びAlZnOからなる群から選択された少なくとも一つの金属酸化物からなり、前記第2部分は、グラフェンからなる。
【0014】
本発明の他の特徴によれば、前記第2部分は、前記第3配線と連結され、前記第2部分と前記第3配線とは同じ物質で形成される。
【0015】
本発明の他の特徴によれば、前記有機発光素子は、前記ドレイン電極と連結される画素電極と、前記画素電極と対向して形成された対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に介在されて発光する発光部材と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ソース電極、ドレイン電極及び配線を、外光の透過度が高いグラフェンを利用して形成するので、外光の透過度が高い透明な有機発光表示装置が得られる。
【0017】
特に、グラフェンは、物理的な特性上、開口部に埋め込まれたソース電極及びドレイン電極の部分には使用し難かった。したがって、従来には、配線をグラフェンにいずれも変更することが不可能であった。しかし、本発明によれば、ソース電極及びドレイン電極を形成する時に、金属または金属酸化物をグラフェンと共に使用することで、配線をいずれもグラフェンに変更することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による有機発光表示装置の等価回路図である。
【図2】図1に示す有機発光表示装置を示す平面図である。
【図3】図2のI−I’線に沿って切断した断面図である。
【図4】図2のII−II’線に沿って切断した断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態による有機発光表示装置を示す概念図である。
【図6】図5に示す本発明の他の実施形態による有機発光表示装置を示す平面図である。
【図7】図6のIII−III’線に沿って切断した断面図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態による透明な有機発光表示装置を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、多様な変換を加え、色々な実施形態を有するところ、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明に詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更物、均等物ないし代替物を含むものと理解されなければならない。本発明を説明するにおいて、関連した公知の技術についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明確にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0020】
第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するのに使われるが、構成要素は、用語により限定されてはならない。用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。
【0021】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使われたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に取り立てて限定しない限り、複数の表現を含む。本出願において、“備える”または“有する”などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものと理解されなければならない。
【0022】
以下、添付された図面を参照して、本発明の望ましい実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による有機発光表示装置の等価回路図である。
【0024】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態による有機発光表示装置は、複数の配線により行列形態に配列された複数の画素を含む。
【0025】
配線は、行方向(第1方向)に配列されて走査信号を伝達する走査線S、列方向(第2方向)に配列されてデータ信号を伝達するデータ線D、列方向(第3方向)に配列されて駆動電圧を伝達する駆動電圧線Vを備える。
【0026】
図1の画素は、スイッチングトランジスタTR1、駆動トランジスタTR2、キャパシタCst及び有機発光素子(OLED)を備える。図1には、画素が二つのトランジスタ及び一つのキャパシタを備えた形態を示したが、これは例示に過ぎず、さらに多くのトランジスタ及びキャパシタが画素に備えられてもよい。
【0027】
スイッチングトランジスタTR1は、ゲート端子、ソース端子及びドレイン端子を備えるが、ゲート端子は、走査線Sに連結され、ソース端子は、データ線Dに連結され、ドレイン端子は、駆動トランジスタTR2に連結される。スイッチングトランジスタTR1は、ゲート端子に印加される走査信号に応答して、データ信号を駆動トランジスタTR2に伝達する。
【0028】
駆動トランジスタTR2は、ゲート端子、ソース端子及びドレイン端子を備えるが、ゲート端子は、スイッチングトランジスタTR1に連結され、ソース端子は、駆動電圧線Vに連結され、ドレイン端子は、有機発光素子(OLED)に連結される。駆動トランジスタTR2は、ゲート端子とドレイン端子との間にかかる電圧によって大きさが変わる出力電流を流す。
【0029】
キャパシタCstは、駆動トランジスタTR2のゲート端子とソース端子との間に連結される。キャパシタCstは、駆動トランジスタTR2のゲート端子に印加されるデータ信号を充電し、スイッチングトランジスタTR1がターンオフされた後にもそれを維持する。
【0030】
有機発光素子(OLED)は、駆動トランジスタTR2のドレイン端子に連結されたアノードと、共通電圧Vssに連結されたカソードとを有する。有機発光素子(OLED)は、駆動トランジスタTR2の出力電流によって強度を異ならせて発光する。
【0031】
図2は、図1に示す有機発光表示装置を示す平面図である。図3は、図2のI−I’線に沿って切断した断面図である。また、図4は、図2のII−II’線に沿って切断した断面図である。
【0032】
図2ないし図4では、説明の便宜上、密封基板及び密封薄膜層などは省略した。また、図2ないし図4では、トップゲート型トランジスタが開示されるが、これは、本発明の説明のための例示であり、本発明の一実施形態がこれに限定されるものではない。
【0033】
図2を参照すれば、基板1上に行方向に走査線Sが形成されている。また、列方向にデータ線D及び駆動電圧線Vが形成されている。スイッチングトランジスタTR1は、走査線Sとデータ線Dとに連結されている。
【0034】
図2に示す形態の有機発光表示装置は、基板1と、前記基板1上に第1方向(行方向)に形成された第1配線である走査線Sと、前記基板1上に第2方向(列方向)に形成された第2配線であるデータ線D及び第3配線である駆動電圧線Vと、前記第1及び第2配線である走査線S及びデータ線Dと連結されている第1薄膜トランジスタであるスイッチングトランジスタTR1と、前記第1薄膜トランジスタであるスイッチングトランジスタTR1及び前記第3配線である駆動電圧線Vと連結されている第2薄膜トランジスタである駆動トランジスタTR2と、前記第2薄膜トランジスタである駆動トランジスタTR2と連結された有機発光素子OLEDと、を備える。
【0035】
図2を参照すれば、スイッチングトランジスタTR1の第1ゲート電極114aは、走査線Sから延びる。また、スイッチングトランジスタTR1の第1ソース電極116aは、データ線Dから延びる。本発明の一実施形態によれば、第1データ線Dは、グラフェンからなる。したがって、スイッチングトランジスタTR1の第1ソース電極116aも、グラフェンからなる。一方、スイッチングトランジスタTR1の第1ソース電極116a及び第1ドレイン電極117aは、開口部Hを通じて第1活性層112aと連結される。したがって、走査線Sに走査信号が印加される場合、データ線Dを通じて入力されるデータ信号が、スイッチングトランジスタTR1の第1ソース電極116aから、スイッチングトランジスタTR1の第1活性層112aを通じて、スイッチングトランジスタTR1の第1ドレイン電極117aに伝達される。本発明の一実施形態によれば、スイッチングトランジスタTR1の第1ソース電極116aのうち、データ線Dと第1活性層112aとを連結するために、開口部Hに埋め込まれた部分はグラフェンではなく、金属または金属酸化物からなり、好ましくはTi,Mo,Al及びCuからなる群から選択された少なくとも一つの金属またはITO,IZO,ZnO,In,SnO及びAlZnOからなる群から選択された少なくとも一つの金属酸化物からなることを特徴とする。一方、第1ドレイン電極117aは、第1ソース電極116aと共に形成するので、第1ソース電極116aと同じ構造からなる。
【0036】
スイッチングトランジスタTR1の第1ドレイン電極117aの延長部117cは、キャパシタCstの第1電極120aと連結される。一方、延長部117cも、開口部Hを通じてキャパシタCstの第1電極120aと連結されるが、この時、開口部Hに埋め込まれる第1ドレイン電極117aの部分は、金属または金属酸化物からなり、好ましくはTi,Mo,Al及びCuからなる群から選択された少なくとも一つの金属またはITO,IZO,ZnO,In,SnO及びAlZnOからなる群から選択された少なくとも一つの金属酸化物からなり、開口部Hに埋め込まれていない第1ドレイン電極117aの部分及び延長部117cは、グラフェンからなる。
【0037】
キャパシタCstの第1電極120aの他端は延びて、駆動トランジスタTR2の第2ゲート電極114bを形成する。キャパシタCstの第2電極120bは、駆動電圧線Vから延びて形成される。本発明の一実施形態によれば、駆動電圧線Vは、グラフェンからなる。したがって、駆動電圧線Vと連結されたキャパシタCstの第2電極120bも、グラフェンからなる。駆動トランジスタTR2については、図4を参照して再び説明する。
【0038】
まず、図3を参照して、第1薄膜トランジスタであるスイッチングトランジスタTR1の断面を説明する。
【0039】
図3に示す断面図によれば、前記第1薄膜トランジスタであるスイッチングトランジスタTR1は、前記基板1上に形成された第1活性層112aと、前記第1活性層112aと対応する位置に前記第1活性層112aと絶縁されて形成された第1ゲート電極114aと、前記第1ゲート電極114aを覆うように形成され、前記第1活性層112aと連通された開口部Hを有する絶縁層である中間層215と、前記絶縁層である中間層215上に形成され、前記開口部Hを通じて前記第1活性層112aと接する第1ソース電極116a及び第1ドレイン電極117aと、を備える。
【0040】
まず、基板1上に、平坦度を改善するために、シリコン酸化物/シリコン窒化物などの無機物でバッファ層211を形成することが好ましい。
【0041】
かかる基板1上に、第1活性層112aが形成される。第1活性層112aは、非晶質シリコン層で形成されるか、または多結晶シリコン層で形成されるか、またはG−I−Z−O層[(In(Ga(ZnO)層](a,b,cは、それぞれa≧0,b≧0,c>0の条件を満足させる実数)のような酸化物半導体層で形成される。第1活性層112aを酸化物半導体で形成する場合、結晶化工程が不要であり、非晶質状態であるので、均一度が良好であるという長所がある。
【0042】
第1活性層112aの上部には、第1ゲート電極114aが形成される。第1ゲート電極114aは、導電性金属で単層あるいは複数層で形成される。第1ゲート電極114aは、隣接層との密着性、積層される表面平坦性、加工性などを考慮して、MoW,Al/Coのような物質で形成されるが、これらに限定されない。
【0043】
第1活性層112aと第1ゲート電極114aとの間には、それらを絶縁させるためのゲート絶縁層213が配置される。一方、第1ゲート電極114a及びゲート絶縁層213の上部には、絶縁層としての中間層215が単一層または複数層として形成される。絶縁層は、酸化シリコン、酸化タンタル、または酸化アルミニウムなどで形成されるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。ゲート絶縁層213及び中間層215は、第1活性層112aと連通された開口部Hを備える。すなわち、中間層215は、第1ゲート電極114a、ゲート絶縁層213を覆うように形成され、第1活性層112aと連通された開口部Hを備える。
【0044】
中間層215の上部には、第1ソース電極116a/ドレイン電極117aが形成される。本発明の一実施形態によれば、第1ソース電極116a/ドレイン電極117aは、第1部分Aと第2部分Bとを備える。
【0045】
第1部分Aは、開口部Hに埋め込まれる部分であり、第1部分Aは、第1活性層112aと第2部分Bとの間に位置して、第1活性層112aと第2部分Bとを電気的に連結させる。第1部分Aは、導電性のある金属及び金属酸化物で形成される。例えば、第1部分Aは、Ti,Mo,Al及びCuからなる群から選択された少なくとも一つの金属からなってもよい。また、第1部分Aは、ITO,IZO,ZnO,In,SnO及びAlZnOからなる群から選択された少なくとも一つの金属酸化物からなってもよい。
【0046】
一方、第2部分Bは、中間層215上に形成される部分であり、第2配線であるデータ線Dと連結され、第2配線と同じ物質で形成される。すなわち、第2部分BはスイッチングトランジスタTR1の第1ソース電極116aの第2部分Bは、データ線Dが延びたものであって、データ線Dと同様にグラフェンで形成される。なお、スイッチングトランジスタTR1の第1ドレイン電極117aは、第1ソース電極116aと共に形成するので、第1ソース電極116aと同じ構造及び物質からなる。
【0047】
グラフェンは、複数個の炭素原子が互いに共有結合により連結されて、多環芳香族分子を形成するものであって、前記共有結合により連結された炭素原子は、基本反復単位として6員環を形成するが、5員環または7員環をさらに含むことも可能である。本発明でいうグラフェンは、シート形態に互いに共有結合された炭素原子(通常、sp2結合)の単一層として見られる。しかし、グラフェンは、多様な構造を有し、かかる構造は、グラフェン内に含まれる5員環または7員環の含量によって変わりうる。また、グラフェンは、前述したような共有結合された炭素原子の単一層からなるが、これに限定されず、共有結合された炭素原子の単一層が複数個互いに積層されて、複数層を形成することも可能である。通常、前記グラフェンの側面の末端部は、水素原子で飽和される。
【0048】
グラフェンは、ITOのような透明な金属酸化物より耐衝撃性、柔軟性などに優れ、高い透明度及び高い電気伝導度を有している特性がある。したがって、有機発光装置の配線及びソース電極/ドレイン電極をグラフェンで形成する場合、高い透明度及び高い電気伝導度の特性が得られるという長所がある。
【0049】
しかし、グラフェンは、共有結合された炭素原子の単一層または複数層からなるので、開口部Hにグラフェンを埋め込む場合、グラフェンの形態を維持せずに損傷されるという問題点がある。すなわち、グラフェンは、シート形態に成形されているので、開口部Hに埋め込まれず、埋め込むとしてもグラフェンが崩れるなど損傷されるという問題がある。かかるグラフェンの物理的特性により、開口部Hに埋め込まれる第1ソース電極116a/ドレイン電極117aの第1部分Aには、グラフェンを使用し難い。したがって、本発明によれば、かかる問題を解決してグラフェンの長所を取るために、スイッチングトランジスタTR1の第1ソース電極116a/ドレイン電極117aの第1部分Aは、金属または金属酸化物で形成し、第1ドレイン電極117aの第2部分B及びデータ線Dと連結される第1ソース電極116aの第2部分Bは、グラフェンで形成して、有機発光表示装置に含まれる配線をグラフェンに変更することが可能になった。
【0050】
一方、第1部分Aは、金属または金属酸化物を、蒸着を通じて開口部Hに埋め込んで形成する。また、第2部分B及び配線D,Vは、グラフェンシートを開口部H及び中間層215上に配置した後、配線D,V及びソース電極116a,116b/ドレイン電極117a,117bの形状によるパターニングを通じて形成する。
【0051】
第1ソース電極116a/ドレイン電極117aの上部には、一つ以上の絶縁層が形成される。例えば、スイッチングトランジスタTR1を保護するパッシベーション層216、及びスイッチングトランジスタTR1の構造物により不均一になった表面を平坦化するための平坦化層217が形成されてもよい。例えば、パッシベーション層216は、シリコン窒化物、シリコン酸化物のような無機物の層で形成され、平坦化層217は、ベンゾシクロブテン(BCB)樹脂またはアクリル樹脂のような有機物の層で形成される。しかし、本発明の一実施形態は、これに限定されない。
【0052】
再び図2を参照すれば、駆動トランジスタTR2の第2ゲート電極114bは、キャパシタCstの第1電極120aの他端と連結される。また、駆動トランジスタTR2の第2ソース電極116bは、駆動電圧線Vから延びる。本発明の一実施形態によれば、駆動電圧線Vは、グラフェンからなる。したがって、駆動トランジスタTR2の第2ソース電極116bも、グラフェンからなる。一方、駆動トランジスタTR2の第2ソース電極116b及び第2ドレイン電極117bは、開口部Hを通じて第2活性層112bと連結される。本発明の一実施形態によれば、駆動トランジスタTR2の第2ソース電極116bのうち、駆動電圧線Vと第2活性層112bとを連結するために、開口部Hに埋め込まれた部分は、グラフェンではなく、金属または金属酸化物からなることを特徴とする。
【0053】
図4を参照して、駆動トランジスタTR2の断面を説明する。
【0054】
図4に示す断面図によれば、前記第2薄膜トランジスタである駆動トランジスタTR2は、前記基板1上に形成された第2活性層112bと、前記第2活性層112bと対応する位置に前記第2活性層112bと絶縁されて形成された第2ゲート電極114bと、前記第2ゲート電極114bを覆うように形成され、前記第2活性層112bと連通された開口部Hを有する絶縁層である中間層215と、前記絶縁層である中間層215上に形成され、前記開口部Hを通じて前記第2活性層112bと接する第2ソース電極116b及び第2ドレイン電極117bと、を備える。
【0055】
ここで、スイッチングトランジスタTR1と同様に、基板1上に、平坦度を改善するために、シリコン酸化物/シリコン窒化物などの無機物でバッファ層211を形成することが好ましい。
【0056】
かかる基板1上に、第2活性層112bが形成される。第2活性層112bは、非晶質シリコン層で形成されるか、または多結晶シリコン層で形成されるか、またはG−I−Z−O層[(In(Ga(ZnO)層](a,b,cは、それぞれa≧0,b≧0,c>0の条件を満足させる実数)のような酸化物半導体層で形成される。
【0057】
第2活性層112bの上部には、第2ゲート電極114bが形成される。第2ゲート電極114bは、導電性の金属で単層あるいは複数層で形成される。
【0058】
第2活性層112bと第2ゲート電極114bとの間には、それらを絶縁させるためのゲート絶縁層213が配置される。一方、第2ゲート電極114b及びゲート絶縁層213の上部には、絶縁層としての中間層215が単一層または複数層として形成される。ゲート絶縁層213及び中間層215は、第2活性層112bと連通された開口部Hを備える。
【0059】
中間層215の上部には、第2ソース電極116b/ドレイン電極117bが形成される。本発明の一実施形態によれば、第2ソース電極116b/ドレイン電極117bは、第1部分Aと第2部分Bとを備える。
【0060】
第1部分Aは、開口部Hに埋め込まれる部分であり、第1部分Aは、第2活性層112bと第2部分Bとの間に位置して、第2活性層112bと第2部分Bとを電気的に連結させる。第1部分Aは、導電性のある金属及び金属酸化物で形成される。例えば、第1部分Aは、Ti,Mo,Al及びCuからなる群から選択された少なくとも一つの金属からなってもよい。また、第1部分Aは、ITO,IZO,ZnO,In,SnO及びAlZnOからなる群から選択された少なくとも一つの金属酸化物からなってもよい。
【0061】
一方、第2部分Bは、中間層215上に形成される部分であり、第3配線である駆動電圧線Vと連結され、第3配線と同じ物質で形成される。すなわち、第2部分Bは駆動トランジスタTR2の第2ソース電極116bの第2部分Bは、駆動電圧線Vが延びたものであって、駆動電圧線Vと同様にグラフェンで形成される。一方、駆動トランジスタTR2の第2ドレイン電極117bは、第2ソース電極116bと共に形成するので、第2ソース電極116bと同じ構造及び物質からなる。
【0062】
前述したように、有機発光装置の配線及びソース電極/ドレイン電極をグラフェンで形成する場合、高い透明度及び高い電気伝導度の特性が得られるという長所がある。
【0063】
しかし、グラフェンは、薄い炭素構造物が積層された構造を有するので、開口部Hにグラフェンを埋め込む場合、グラフェンの形態を維持せずに損傷されるという問題点がある。かかるグラフェンの物理的特性により、開口部Hに埋め込まれる第2ソース電極116b/ドレイン電極117bの第1部分Aには、グラフェンを使用し難い。したがって、本発明によれば、かかる問題を解決してグラフェンの長所を取るために、駆動トランジスタTR2の第2ソース電極116b/ドレイン電極117bの第1部分Aは、金属または金属酸化物で形成し、第2ドレイン電極117bの第2部分B及び駆動電圧線Vと連結される第2ソース電極116bの第2部分Bは、グラフェンで形成して、有機発光表示装置に含まれる配線をグラフェンに変更することが可能になった。
【0064】
第2ソース電極116b/ドレイン電極117bの上部には、一つ以上の絶縁層が形成される。例えば、駆動トランジスタTR2を保護するパッシベーション層216、及び構造物により不均一になった表面を平坦化するための平坦化層217が形成されてもよい。
【0065】
パッシベーション層216及び平坦化層217を形成した後には、その後に形成された画素電極221と、駆動トランジスタTR2の第2ドレイン電極117bとが電気的に連結されるように、第2ドレイン電極117bに対応する位置のパッシベーション層216及び平坦化層217に、ビアホールVHが形成される。
【0066】
次いで、平坦化層217上に有機発光素子(OLED)を形成する。有機発光素子(OLED)は、画素電極221、前記画素電極221と対向して形成された対向電極222、前記画素電極221と前記対向電極222との間に介在されて発光する発光部材223を備える。有機発光素子(OLED)の画素電極221は、ビアホールVHを通じて駆動トランジスタTR2の第2ドレイン電極117bと連結される。
【0067】
画素電極221は、平坦化層217上に形成される。画素電極221を形成した後には、画素電極221の少なくとも一部が画素開口部に露出されるように、画素電極221の少なくとも一部の上部に、画素定義層219が形成される。画素開口部に露出された画素電極221上には、発光部材223が形成される。発光部材223は、有機発光層を備える。発光部材223及び画素電極221上には、対向電極222が形成される。したがって、駆動トランジスタTR2から画素電極221に電圧が印加されて、対向電極222との間に適切な電圧条件が形成されれば、発光部材で発光が起こる。
【0068】
対向電極222の方向に画像を具現する前面発光型構造の場合、画素電極221は、反射型電極として備えられる。また、対向電極222は、光透過型電極として備えられる。この場合、対向電極222は、Ag,Mg,Al,Pt,Pd,Au,Ni,Nd,Ir,Cr,Li,Caなどを薄膜で形成した半透過反射膜を備えるか、またはITO,IZO,ZnOなどの光透過性の金属酸化物を含む。背面発光型構造の場合、対向電極222は、Ag,Mg,Al,Pt,Pd,Au,Ni,Nd,Ir,Cr,Li,Caなどを蒸着して反射機能を有させる。
【0069】
画素電極221をアノード電極として使用する場合、仕事関数(絶対値)が高いITO,IZO,ZnOなどの金属酸化物からなる層を備える。画素電極221をカソード電極として使用する場合には、Ag,Mg,Al,Pt,Pd,Au,Ni,Nd,Ir,Cr,Li,Caなどの仕事関数(絶対値)が低い高導電性の金属を使用する。画素電極221をアノードとする場合、対向電極222はカソードとし、画素電極221をカソードとする場合、対向電極222はアノードとする。
【0070】
前述したように、本発明の一実施形態による有機発光表示装置は、データ線D、駆動電圧線V、それらと連結されるトランジスタのソース電極の第2部分B、トランジスタのドレイン電極の第2部分Bを、外光の透過度が高く、かつ電気伝導度が良好なグラフェンで形成することで、電気伝導度が良好な透明な有機発光表示装置が得られる。
【0071】
図5は、本発明の他の実施形態による有機発光表示装置を示す概念図である。
【0072】
図5を参照すれば、本発明の他の実施形態による有機発光表示装置は、基板1の第1面にディスプレイ部2を備える。図5の有機発光表示装置において、外光は、基板1及びディスプレイ部2を透過して入射される。ディスプレイ部2は、後述するように外光が透過可能な透過領域TAを備えるものであって、図6で見る時、画像が具現される側に位置したユーザーが、基板1の下部の外側のイメージを観察可能であるように備えられる。
【0073】
すなわち、本発明の他の実施形態による有機発光装置は、外光が透過される透過領域TAと、透過領域TAに隣接して配置され、図1の等価回路及び有機発光素子を含む画素領域PAとに区画される。
【0074】
図6は、図5に示す本発明の他の実施形態による有機発光表示装置を示す平面図である。図7は、図6のIII−III’線に沿って切断した断面図である。
【0075】
図6及び図7を参照すれば、図2ないし図4に開示された本発明の一実施形態による有機発光表示装置に比べて、本発明の他の実施形態による有機発光表示装置は、外光が透過されるように備えられた透過領域TAが形成されたところに差がある。また、該透過領域TAに隣接して配置された画素領域PAが配置され、画素電極221は、画素領域PA内に位置する。
【0076】
図6及び図7では、説明の便宜上、密封基板及び密封薄膜層などは省略した。また、図6及び図7では、トップゲート型トランジスタが開示されるが、これは、本発明の説明のための例示であり、本発明の一実施形態がこれに限定されるものではない。また、画素領域PAの構造を説明する時、スイッチングトランジスタTR1、キャパシタCst及び駆動トランジスタTR2の構造及び動作は、図2ないし図4で説明したものと重なるので、詳細な説明は省略する。
【0077】
図6及び図7に示す形態の有機発光表示装置は、外光が透過する透過領域TA、及び前記透過領域TAに隣接した画素領域PAに区画された基板と、前記画素領域PAを通過するように、第1方向(行方向)に形成された第1配線である走査線Sと、前記画素領域PA及び前記透過領域TAを通過するように、第2方向(列方向)に形成された第2配線であるデータ線D及び第3配線である駆動電圧線Vと、前記画素領域PA内に位置し、前記第1及び第2配線である走査線S及びデータ線Dと連結されている第1薄膜トランジスタであるスイッチングトランジスタTR1と、前記画素領域PA内に位置し、前記第1薄膜トランジスタTR1及び前記第3配線である駆動電圧線Vと連結されている第2薄膜トランジスタである駆動トランジスタTR2と、前記第2薄膜トランジスタTR2と連結され、前記画素領域PA内に位置し、前記第1薄膜トランジスタTR1及び前記第2薄膜トランジスタTR2を覆うように積層された画素電極221と、前記画素電極221と対向し、光透過が可能であるように形成され、前記透過領域TA及び画素領域PAにわたって位置する対向電極222と、前記画素電極221と前記対向電極222との間に介在されて発光する発光部材223と、を備える。
【0078】
図6を参照すれば、基板1上に行方向に走査線Sが形成されている。走査線Sは、画素領域PAを通過するように形成される。また、列方向にデータ線D及び駆動電圧線Vが形成されている。データ線D及び駆動電圧線Vは、画素領域PA及び透過領域TAを通過するように形成される。スイッチングトランジスタTR1、キャパシタCst及び駆動トランジスタTR2は、画素領域PA内に位置する。
【0079】
まず、スイッチングトランジスタTR1は、走査線Sとデータ線Dとに連結されている。図6を参照すれば、スイッチングトランジスタTR1の第1ゲート電極114aは、走査線Sから延びる。また、スイッチングトランジスタTR1の第1ソース電極116aは、データ線Dから延びる。本発明の一実施形態によれば、データ線Dは、グラフェンからなる。したがって、スイッチングトランジスタTR1の第1ソース電極116aも、グラフェンからなる。一方、スイッチングトランジスタTR1の第1ソース電極116a及び第1ドレイン電極117aは、開口部Hを通じて第1活性層112aと連結される。本発明の一実施形態によれば、第1ソース電極116aのうち、データ線Dと第1活性層112aとを連結するために、開口部Hに埋め込まれた部分は、グラフェンではなく、金属または金属酸化物からなることを特徴とする。一方、第1ドレイン電極117aは、第1ソース電極116aと共に形成するので、第1ソース電極116aと同じ構造からなる。
【0080】
スイッチングトランジスタTR1の第1ドレイン電極117aの延長部117cは、キャパシタCstの第1電極120aと連結される。一方、延長部117cも、開口部Hを通じてキャパシタCstの第1電極120aと連結されるが、この時、開口部Hに埋め込まれる第1ドレイン電極117aの部分は、金属または金属酸化物からなり、開口部Hに埋め込まれていない第1ドレイン電極117aの部分及び延長部117cは、グラフェンからなる。
【0081】
キャパシタCstの第1電極120aの他端は延びて、駆動トランジスタTR2の第2ゲート電極114bを形成する。キャパシタCstの第2電極120bは、駆動電圧線Vから延びて形成される。本発明の一実施形態によれば、駆動電圧線Vは、グラフェンからなる。したがって、駆動電圧線Vと連結されたキャパシタCstの第2電極120bも、グラフェンからなる。
【0082】
駆動トランジスタTR2の第2ゲート電極114bは、キャパシタCstの第1電極120aの他端と連結される。また、駆動トランジスタTR2の第2ソース電極116bは、駆動電圧線Vから延びる。本発明の一実施形態によれば、駆動電圧線Vは、グラフェンからなる。したがって、第2ソース電極116bも、グラフェンからなる。一方、駆動トランジスタTR2の第2ソース電極116b及び第2ドレイン電極117bは、開口部Hを通じて第2活性層112bと連結される。本発明の一実施形態によれば、第2ソース電極116bのうち、駆動電圧線Vと第2活性層112bとを連結するために、開口部Hに埋め込まれた部分は、グラフェンではなく、金属または金属酸化物からなることを特徴とする。一方、第2ドレイン電極117bは、第2ソース電極116bと共に形成するので、第2ソース電極116bと同じ構造からなる。
【0083】
本発明の一実施形態によれば、透過領域TAを通過するように配置されたデータ線D及び駆動電圧線Vは、透明なグラフェンで形成される。したがって、配線が透過領域TAを通過するように形成されても、透過領域TAの外光透過率を阻害しない。一方、グラフェンで形成されてなく、走査線Sは、透過領域TAを通過せず、画素領域PAを通過するように配置する。このように、本発明の一実施形態は、画像が具現される領域を画素領域PAと透過領域TAとに分け、透過領域TAを通過する配線は、透明なグラフェンで形成することで、透過領域TAの透過率を高めて、画像が具現される領域全体の透過率を従来の透明表示装置に比べて向上させることができる。
【0084】
本発明の一実施形態によれば、画素領域PA内には、駆動トランジスタTR2と連結された画素電極221が備えられ、駆動トランジスタTR2、スイッチングトランジスタTR1、キャパシタCstを始めとする電子素子は、画素電極221により覆われるように画素電極221が重なる。図6に示すように、ユーザーが見る時、画素電極221により前述の電子素子が覆われた状態となり、走査線Sの相当部分も覆われた状態となる。また、透過領域TAを通過する配線は、いずれも透明なグラフェンで形成されるため、ディスプレイの全体の透過率が向上し、ユーザーは、透過領域TAを通じて外部イメージをよく見ることができる。
【0085】
図7は、図6の断面図であって、図3及び図4と重なる要素についての説明は詳細に記述しない。
【0086】
図7を参照すれば、基板1上にバッファ層211が形成され、該バッファ層211上にスイッチングトランジスタTR1、キャパシタCst及び駆動トランジスタTR2が形成される。
【0087】
バッファ層211は、基板1の表面の平坦度を改善し、不純物の浸透を防止する。
【0088】
バッファ層211上に、第1活性層112a及び第2活性層112bが形成される。第1活性層112a及び第2活性層112bの上部には、それぞれ第1ゲート電極114a及び第2ゲート電極114bが形成される。第1ゲート電極114a及び第2ゲート電極114bは、導電性金属で単層あるいは複数層で形成される。
【0089】
活性層112a,112bとゲート電極114a,114bとの間には、それらを絶縁させるためのゲート絶縁層213が配置される。一方、ゲート電極114a,114bとゲート絶縁層213との上部には、絶縁層としての中間層215が単一層または複数層として形成される。ゲート絶縁層213及び中間層215は、活性層112a,112bそれぞれと連通された開口部Hを備える。
【0090】
中間層215の上部には、第1ソース電極116a/ドレイン電極117a及び第2ソース電極116b/ドレイン電極117bが形成される。本発明の一実施形態によれば、第1ソース電極116a/ドレイン電極117a及び第2ソース電極116b/ドレイン電極117bは、それぞれ第1部分Aと第2部分Bとを備える。
【0091】
第1部分Aは、開口部Hに埋め込まれる部分であり、第1部分Aは、活性層112a,112bそれぞれと第2部分Bとの間に位置して、活性層112a,112bそれぞれと第2部分Bとを電気的に連結させる。第1部分Aは、導電性のある金属及び金属酸化物で形成される。例えば、第1部分Aは、Ti,Mo,Al及びCuからなる群から選択された少なくとも一つの金属からなってもよい。また、第1部分Aは、ITO,IZO,ZnO,In,SnO及びAlZnOからなる群から選択された少なくとも一つの金属酸化物からなってもよい。
【0092】
一方、第2部分Bは、中間層215上に形成される部分である。スイッチングトランジスタTR1の第1ソース電極116aの第2部分Bは、データ線Dが延びたものであって、データ線Dと同様にグラフェンで形成される。また、駆動トランジスタTR2の第2ソース電極116bの第2部分Bは、駆動電圧線Vが延びたものであって、駆動電圧線Vと同様にグラフェンで形成される。一方、スイッチングトランジスタTR1の第1ドレイン電極117aは、第1ソース電極116aと共に形成するので、第1ソース電極116aと同じ構造からなる。また、駆動トランジスタTR2の第2ドレイン電極117bも、第2ソース電極116bと共に形成するので、第2ソース電極116bと同じ構造からなる。
【0093】
ソース電極116a,116b/ドレイン電極117a,117bの上部には、パッシベーション層216及び平坦化層217が形成される。パッシベーション層216及び平坦化層217を形成した後には、その後に形成された画素電極221と第2ドレイン電極117bとが電気的に連結されるように、第2ドレイン電極117bに対応する位置のパッシベーション層216及び平坦化層217にビアホールVHが形成される。
【0094】
次いで、平坦化層217上に有機発光素子(OLED)を形成する。有機発光素子(OLED)は、画素電極221、発光部材223及び対向電極222を備える。有機発光素子(OLED)の画素電極221は、ビアホールVHを通じて第2ドレイン電極117bと連結される。
【0095】
画素電極221は、画素領域PA内に位置し、平坦化層217上に形成される。画素電極221を形成した後には、画素電極221の少なくとも一部が画素開口部に露出されるように、画素電極221の少なくとも一部の上部に、画素定義層219が形成される。一方、図示していないが、透過領域TAに位置するパッシベーション層216及び平坦化層217はエッチングされてもよい。これから、透過領域TAの外光透過率が向上して、より透明な有機発光表示装置を製造できる。
【0096】
画素開口部に露出された画素電極221上には、発光部材223が形成される。発光部材223は、有機発光層を備える。発光部材223及び画素電極221上には、対向電極222が形成される。対向電極222は、画素領域PAと透過領域TAとにいずれも形成される。
【0097】
一方、図6及び図7では、パッシベーション層216、ゲート絶縁層213、中間層215、平坦化層217及び画素定義層219を透明な絶縁物質で形成することが望ましい。また、基板1も、透明度の高いものを使用することが望ましい。これから、より透過率が高い有機発光表示装置を製造できる。
【0098】
図8は、本発明の他の実施形態による透明な有機発光表示装置を示すものである。
【0099】
図8を参照すれば、複数個のサブピクセルに対して一つの透過領域TAが形成されている。すなわち、第1画素電極221a、第2画素電極221b及び第3画素電極221cに対応するように、一つの透過領域TAを形成したのである。ここで、第1データラインD1ないし第3データラインD3は、それぞれ第1画素電極221aないし第3画素電極221cに電気的に連結される。そして、第1VddラインV1は、第1画素電極221a及び第2画素電極221bに電気的に連結され、第2VddラインV2は、第3画素電極221cに電気的に連結される。
【0100】
ここで、第1データラインD1ないし第3データラインD3、第1VddラインV1及び第2VddラインV2は、グラフェンで形成されたことを特徴とする。これによって、イメージ歪曲を減らし、透過率の向上を図ることができる。
【0101】
かかる構造の場合、三つ、例えば、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)のサブピクセルに対して一つの大きい透過領域TAを備えているので、透過率をさらに向上させ、光散乱によるイメージ歪曲効果もさらに減らすことができる。
【0102】
本発明は、図面に示した一実施形態を参考にして説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様に変形された及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲のみによって決まらねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、表示装置関連の技術分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0104】
1 基板、
2 ディスプレイ部、
112a 第1活性層、
112b 第2活性層、
114a 第1ゲート電極、
114b 第2ゲート電極、
116a 第1ソース電極、
116b 第2ソース電極、
117a 第1ドレイン電極、
117b 第2ドレイン電極、
117c 延長部、
120a キャパシタの第1電極、
120b キャパシタの第2電極、
211 バッファ層、
213 ゲート絶縁層、
215 中間層、
216 パッシベーション層、
217 平坦化層、
219 画素定義層、
221 画素電極、
221a 第1画素電極、
221b 第2画素電極、
221c 第3画素電極、
222 対向電極、
223 発光部材、
A 第1部分、
B 第2部分、
Cst キャパシタ、
D データ線、
D1 第1データライン、
D2 第2データライン、
D3 第3データライン、
H 開口部、
OLED 有機発光素子、
PA 画素領域、
S 走査線、
TA 透過領域、
TR1 スイッチングトランジスタ、
TR2 駆動トランジスタ、
V 駆動電圧線、
V1 第1Vddライン、
V2 第2Vddライン、
VH ビアホール、
Vss 共通電圧。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に第1方向に形成された第1配線と、
前記基板上に第2方向に形成された第2配線及び第3配線と、
前記第1及び第2配線と連結されている第1薄膜トランジスタと、
前記第1薄膜トランジスタ及び前記第3配線と連結されている第2薄膜トランジスタと、
前記第2薄膜トランジスタと連結された有機発光素子と、を備え;
前記第2配線及び第3配線は、グラフェンからなることを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項2】
外光が透過する透過領域、及び前記透過領域に隣接した画素領域に区画された基板と、
前記画素領域を通過するように、第1方向に形成された第1配線と、
前記画素領域及び前記透過領域を通過するように、第2方向に形成された第2配線及び第3配線と、
前記画素領域内に位置し、前記第1及び第2配線と連結されている第1薄膜トランジスタと、
前記画素領域内に位置し、前記第1薄膜トランジスタ及び前記第3配線と連結されている第2薄膜トランジスタと、
前記第2薄膜トランジスタと連結され、前記画素領域内に位置し、前記第1薄膜トランジスタ及び前記第2薄膜トランジスタを覆うように積層された画素電極と、
前記画素電極と対向し、光透過が可能であるように形成され、前記透過領域及び画素領域にわたって位置する対向電極と、
前記画素電極と前記対向電極との間に介在されて発光する発光部材と、を備え;
前記第2配線及び第3配線は、グラフェンからなることを特徴とする有機発光表示装置。
【請求項3】
前記第1薄膜トランジスタは、
前記基板上に形成された活性層と、
前記活性層と対応する位置に前記活性層と絶縁されて形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極を覆うように形成され、前記活性層と連通された開口部を有する絶縁層と、
前記絶縁層上に形成され、前記開口部を通じて前記活性層と接するソース電極及びドレイン電極と、を備え;
前記ソース電極及び前記ドレイン電極は、前記開口部に埋め込まれる第1部分と、前記絶縁層上に形成される第2部分とを備え、
前記第1部分と前記第2部分とは、相異なる物質からなることを特徴とする請求項1または2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記第1部分は、Ti,Mo,Al及びCuからなる群から選択された少なくとも一つの金属からなり、
前記第2部分は、グラフェンからなることを特徴とする請求項3に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記第1部分は、ITO,IZO,ZnO,In,SnO及びAlZnOからなる群から選択された少なくとも一つの金属酸化物からなり、
前記第2部分は、グラフェンからなることを特徴とする請求項3に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記第2部分は、前記第2配線と連結され、前記第2部分と前記第2配線とは同じ物質で形成されることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記第2薄膜トランジスタは、
前記基板上に形成された活性層と、
前記活性層と対応する位置に前記活性層と絶縁されて形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極を覆うように形成され、前記活性層と連通された開口部を有する絶縁層と、
前記絶縁層上に形成され、前記開口部を通じて前記活性層と接するソース電極及びドレイン電極と、を備え;
前記ソース電極及び前記ドレイン電極は、前記開口部に埋め込まれる第1部分と、前記絶縁層上に形成される第2部分とを備え、
前記第1部分と前記第2部分とは、相異なる物質からなることを特徴とする請求項1または2に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
前記第1部分は、Ti,Mo,Al及びCuからなる群から選択された少なくとも一つの金属からなり、
前記第2部分は、グラフェンからなることを特徴とする請求項7に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
前記第1部分は、ITO,IZO,ZnO,In,SnO及びAlZnOからなる群から選択された少なくとも一つの金属酸化物からなり、
前記第2部分は、グラフェンからなることを特徴とする請求項7に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記第2部分は、前記第3配線と連結され、前記第2部分と前記第3配線とは同じ物質で形成されることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
前記有機発光素子は、前記ドレイン電極と連結される画素電極と、
前記画素電極と対向して形成された対向電極と、
前記画素電極と前記対向電極との間に介在されて発光する発光部材と、を備えることを特徴とする請求項7に記載の有機発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−133360(P2012−133360A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−274991(P2011−274991)
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】