説明

グリッパ

【課題】 本願発明の目的は、小型化を図ることが可能なグリッパを提供することにある。
【解決手段】 本願発明によるグリッパは、駆動源と、上記駆動源により発生される運動を被把持物を把持する為の開閉運動に変換する変換部材と、を具備し、上記変換部材は変位拡大機能をもつ変位拡大部材から構成されているものであり、それによって、大きな変位を出すのに適さない駆動源、例えば、ソレノイド等の使用が可能となり、グリッパの小型化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、産業用ロボットに搭載されてワーク等を選択的に把持するグリッパに係り、特に、その小型化を図ることができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、産業用ロボットを使いこなす上でワークを把持するグリッパは不可欠な装置である。この種のグリッパにはワークを確実に把持するための十分な把持力が要求されると共にその小型化が要求される。つまり、グリッパが小型・軽量であれば産業用ロボットはより高速・俊敏な動作が可能になるからである。
【0003】
そのため、従来のグリッパとしては小型化が非常に容易なエアーシリンダを用いたエアーグリッパが多く用いられていた。しかしながら、高圧エアーを用いるエアーシリンダ等は、コンプレッサによる高圧エアー製造及びそのエアー機器までの配管ロスにより電動機器の10倍の電気が必要であり、地球温暖化対策のCO削減に反することになってしまう。その為、先進企業では工場におけるエアー配管を撤去することが行われている。
【0004】
そして、グリッパにおいても従来のエアーグリッパに代わるものとして電動グリッパが商品化されてきている。ところが、それらの電動グリッパはその小型化が不十分であった。例えば、優れた電動グリッパとして、特許文献1に開示されているものがある。
【0005】
上記特許文献1に開示されている電動グリッパは、回転モータの回転力をカム及び逆V字部材を用いて直進方向に変換して把持力を発生させるものである。
【0006】
又、別の電動グリッパとして、特許文献2に開示されているものがある。
【0007】
上記特許文献2に開示されている電動グリッパは、回転モータの回転力をカム及びリニアガイドを用いて直進方向に変換して把持力を発生させるものである。
【0008】
さらに、別の電動グリッパとして、特許文献3に開示されているものがある。
【0009】
上記特許文献3に開示されている電動グリッパは、回転モータの回転力をウォームギヤとウォームホイールギヤ等を用いて直進方向に変換して把持力を発生させるものである。
尚、特許文献3は本件特許出願人によるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3469249号公報
【特許文献2】特開2005−059118号公報
【特許文献3】特開2006−082141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記従来の構成によると次のような問題があった。すなわち、上記特許文献1、特許文献2、特許文献3に開示されている電動グリッパは、何れも従来のエアーグリッパに代わるものとして優れた特性を備えるものではあるが、その小型化が不十分であるという問題があった。
【0012】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、小型化を図ることが可能なグリッパを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1によるグリッパは、 駆動源と、上記駆動源により発生される運動を被把持物を把持する為の開閉運動に変換する変換部材と、を具備し、上記変換部材は変位拡大機能をもつ変位拡大部材から構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項2によるグリッパは、請求項1記載のグリッパにおいて、上記変換部材は復帰ばね機能を持つ変位拡大部材から構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項3によるグリッパは、請求項1記載のグリッパにおいて、上記変位拡大部材が略線形のばね特性をもつことを特徴とするものである。
又、請求項4によるグリッパは、請求項1記載のグリッパにおいて、上記駆動源としてソレノイドを用いることを特徴とするものである。
又、請求項5によるグリッパは、請求項1記載のグリッパにおいて、上記変位拡大部材が板状ばねであることを特徴とするものである。
又、請求項6によるグリッパは、請求項5記載のグリッパにおいて、上記変位拡大部材として略コ字形状の弾性体を用いていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように本願発明の請求項1によるグリッパによると、駆動源と、上記駆動源により発生される運動を被把持物を把持する為の開閉運動に変換する変換部材と、を具備し、上記変換部材は変位拡大機能をもつ変位拡大部材から構成されているので、大きな変位を出すのに適さない駆動源、例えば、ソレノイド等の使用が可能となり、それによって、グリッパの小型化を図ることができる。
又、請求項2によるグリッパは、請求項1記載のグリッパにおいて、上記変換部材は復帰ばね機能を持つ変位拡大部材から構成されているので、別途復帰用のバネを設ける必要はなく、それによって、グリッパの小型化を図ることができる。
又、請求項3によるグリッパは、請求項1記載のグリッパにおいて、上記変位拡大部材が略線形のばね特性をもつように構成されているので、例えば、駆動源としてソレノイドを使用した場合には、その吸引力をより有効に用いることができ、ソレノイドの消費電力の低減を図ることができ、且つ、グリッパの小型化が可能となる。
又、請求項4によるグリッパは、請求項1記載のグリッパにおいて、上記駆動源としてソレノイドを用いるように構成した場合には、グリッパの小型化に大きく寄与するものである。
又、請求項5によるグリッパは、請求項1記載のグリッパにおいて、上記変位拡大部材が板状ばねである場合には、比較的簡単な構成で所望の効果を得ることができる。
又、請求項6によるグリッパは、請求項5記載のグリッパにおいて、上記変位拡大部材として略コ字形状の弾性体を用いているので、比較的簡単な構成で所望の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図1(a)はグリッパの構成を示す側断面図、図1(b)は図1(a)のb−b矢視図、図1(c)は図1(a)のc−c矢視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、ソレノイド駆動コイルとソレノイド駆動装置用電源装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、直流24Vから直流5Vへの切替時における電圧過渡変動を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、直流24Vから直流5Vへの切替時における電圧過渡変動を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態を示す図で、ばね反力とギャップ量の関係を示す特性図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示す図で、図6(a)はグリッパの構成を示す側断面、図6(b)は図6(a)のb−b矢視図、図6(c)は図6(a)のc−c矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1乃至図5を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。まず、ソレノイドハウジング1があり、このソレノイドハウジング1内には、駆動源としての一対のソレノイド3、3が収溶・配置されている。この実施の形態の場合には、一対のソレノイド3、3を、図1(a)中紙面に直交する方向に並べて配置することにより、図1(a)中上下方向の厚みを薄くした小型グリッパの実現を図っているものである。
【0017】
上記一対のソレノイド3、3の内、図1(a)中手前に配置されているソレノイド3は、コイル5と、このコイル5の内周側に配置されている可動部7とから構成されている。上記可動部7の先端部{図1(a)中右側}はテーパ部7aとなっていて、先細の形状になっている。又、上記可動部7のテーパ部7aに対向する上記ソレノイドハウジング1側には着座部9が設置されている。この着座部9にもテーパ部9aが形成されている。上記可動部7のテーパ部7aと受け部9のテーパ部9aとの間にはギャップ11が形成されている。
又、一対のソレノイド3、3の内、図1(a)中奥側のソレノイド3についても同様の構成をなしており、同一部分かには同一符号を付して示している。
但し、上記一対のソレノイド3、3の向き(可動部7、7の駆動方向)は逆向きとなっている。
【0018】
上記一対のソレノイド3、3の内、図1(a)中手前に配置されているソレノイド3の可動部7の後端{図1(a)中左端}には変位拡大機能を持つコ字形状弾性体(変換部材)13が連結されている。このコ字形状弾性体13は、薄板の材料(例えば、ステンレス鋼やりん青銅、等のばね材料)から構成されている。上記コ字形状弾性体13の一端13aは上記ソレノイドハウジング1に固着されている。又、コ字形状弾性体13の他端13bには把持部材15が固着されている。
又、一対のソレノイド3、3の内、図1(a)中奥側のソレノイド3についても、その可動部7には同様の構成のコ字形状弾性体13と把持部材15が取り付けられている。
【0019】
そして、例えば、図1(a)中手前側に配置されているソレノイド3において、コイル5に電流を流すと、可動部7は、図1(a)中右側に設けられているギャップ11が小さくなる方向に吸引される。それによって、可動部7は図1(a)中右方向に駆動されることになる。
一方、例えば、図1(a)中奥側に配置されているソレノイド3において、コイル5に電流を流すと、可動部7は、図1(a)中左側に設けられているギャップ11が小さくなる方向に吸引される。それによって、可動部7は図1(a)中左向に駆動されることになる。
【0020】
次に、上記ソレノイド(ソレノイドハウジング1、可動部7、コイル5とからなるソレノイド)3を駆動するための電源装置31の構成に関して図2を参照して説明する。上記電源装置31は、図2に示すように、24VDC電源33、5VDC電源35、リレー37、タイマー39、キャパシタ(蓄電器)41から構成されている。上記24VDC電源33については、例えば、図示しないリニアアクチュエータ用の電源から引き回す場合には別途用意する必要はない。又、上記5VDC電源35については、小型でコンパクトなDC/DCコンバータにより作り出している。本実施の形態の場合には、過励磁倍率は、下記の式(I)に示すように、4.8倍である。
24V÷5V=4.8―――(I)
【0021】
そして、励磁コイル5の駆動初期時においては高い電圧(過励磁、この実施の形態の場合には24V)によって勢いよく可動部7を吸引する。これに対して、可動部7が着座部9の近くに来たときには低い電圧(通常励磁、この実施の形態の場合には5V)に切り替えて発熱を抑制するように構成されている。その為、この過励磁電源を用いることによりソレノイド3をより小型化させることができる。
【0022】
上記過励磁と通常励磁の切替は上記リレー37とタイマー39によって行われる。つまり、タイマー39によって過励磁を行う時間を予め設定しておき、その設定時間が経過した時点で上記リレー37を動作させてその接点37aを切り替えるものであり、それによって、過励磁から通常励磁に切り替えるものである。
尚、本実施の形態では上記リレー37として有接点(接点37a)のリレーを使用しているが、それ以外にも無接点のFETリレー等の使用が考えられる。
【0023】
本実施の形態のような有接点のリレー37であっても無接点のFETリレーであってもその切替は高速である。しかしながら、切替時に24Vから5Vへ円滑に移行せず、5V以下に励磁電圧が下がってしまうことが懸念される。その様子を図3を参照して説明する。図3は横軸に時間(ms)をとり縦軸に電圧(V)をとり、過励磁から通常励磁へ切り替える場合の電圧の変化(24Vから5Vへリレー切替時の電圧過渡変動)を示す図である。図3に示すように、切替時に24Vから5Vへ円滑に移行せず、5V以下に励磁電圧が下がってしまっていることがわかる。このような現象が生じた場合には、吸引された可動部7が戻ってしまうことになる。
【0024】
そこで、本実施の形態では、励磁コイル5にキャパシタ(蓄電器)41を並列に接続している。それによって、回路の時定数を上げて24Vから5Vへ円滑に移行させるようにしているものである。その時の電圧変化を図4に示す。図4も横軸に時間(ms)をとり縦軸に電圧(V)をとり、過励磁から通常励磁へ切り替える場合の電圧の変化(24Vから5Vへリレー切替時の電圧過渡変動)を示す図である。図4に示すように、切替時に24Vから5Vへ円滑に移行していて、励磁電圧が5V以下に下がってしまうようなことがないことがわかる。
【0025】
本実施の形態の場合には、既に説明したように、復帰ばね機能を持つ変換部材としてのコ字形状弾性体13、13を用いることにより、変換部材と別に復帰用のばね部品を別途要することのない構成にしているので、グリッパの小型化を可能な構成になっている。又、このコ字形状弾性体13、13は略線形のばね特性を示すものであり、すなわち、変形量が大きければ大きい程その復元力(ばね力)が大きくなるように構成されているので、元の形状にスムーズに戻ることができるものである。
【0026】
又、コ字形状弾性体13、13が変形することにより、駆動源であるソレノイド3、3についてもこれを高効率で用いることができるものである。それを図5を参照して説明する。図5は横軸にギャップ11の量(mm)をとり、縦軸にソレノイド3の吸引力とコ字形状弾性体13のばね反力をとって、両者の関係を示した図である。図5中線図aがソレノイド3の吸引力を示していて、線図bがコ字形状弾性体13のばね反力を示している。
【0027】
図5に示すように、ソレノイド3の駆動力(吸引力)は一定ではなく、ギャップ11が狭くなればなる程急激に増大する。又、略線形のばね特性を備えたコ字形状弾性体13のばね反力もソレノイド3と同様にギャップ11が小さくなると(変形量が大きくなると)大きくなる。したがって、図5に示すように、コ字形状弾性体13の変形が小さい時にはばね反力も小さく、変形に必要とされる駆動力(ソレノイド3の吸引力)も小さくて済む。一方、コ字形状弾性体13の変形が大きくなると、変形に必要とされる駆動力(ソレノイド3吸引力)としても大きなものが必要となる。つまり、略線形のばね特性を備えたコ字形状弾性体13を変換部材として用いることによりソレノイド3の吸引力をより有効に用いることができ、ソレノイド3の消費電力の低減を図ることができ、且つ、小型化が実現可能となる。
【0028】
又、コ字形状弾性体13として板状の弾性体を用いることで、図1(a)中左右方向の剛性は低く、図1(a)中紙面に直交する方向には高い剛性となっている。それによって、図1(a)中左右方向にのみに変形するよう規制することができ、いわゆる弾性案内を構成することができる。そのため従来必要であったリニアガイドを省くことができている。
【0029】
以上の構成を基にその作用・効果を説明する。
まず、図1(a)中紙面に直交する方向に沿って手前側に配置されたソレノイド3において、コイル5に通電すると、可動部7が図1(a)中右方向に移動し、それによって、コ字形状弾性体13のb部を図中右方向へ引っ張る。コ字形状弾性体13はa部を略中心として回転することになり、c部も図1(a)中右方向へ移動する。よって、c部側のコ字形状弾性体13の他端に固着されている把持部材15も図1(a)中右方向へ移動することになる。
【0030】
一方、図1(a)中紙面に直交する方向に沿って奥側に配置されたソレノイド3において、コイル5に通電すると、可動部7が図1(a)中左方向に移動し、それによって、コ字形状弾性体13のb部を図1(a)中左方向へ引っ張る。コ字形状弾性体13はa部を略中心として回転し、c部も図中左側へ移動する。よって、c部側のコ字形状弾性体13の他端に固定されている把持部材15も図1(a)中左方向へ移動することになる。
【0031】
すなわち、一対のソレノイド3、3のコイル5、5に電流を流すことにより、図1(a)中左側の把持部材15は右に、図1(a)中右側の把持部材15は左に動くことになり、その結果、把持部材15、15の間隔が狭くなり、把持部材15、15間に図示しないワークがあれば把持できることになる。
【0032】
又、その際、コ字形状弾性体13、13はa部を略中心として回転するので、梃子の原理により、c部の変位はb部の変位より拡大される。その拡大比は略次の式(II)で示される。
拡大比=La−c/La−b―――(II)
但し、
a−c:a部−c部間距離
a−b:a部−b部間距離
【0033】
又、コ字形状弾性体13、13のc部側の一辺には把持部材15、15が取り付けられているので、把持部材15、15のdポイントにおける拡大比は次の式(III)に示すように大きくすることができる。
拡大比=La−d/La−b―――(II)
但し、
a−d:a部−d部間距離
a−b:a部−b部間距離
【0034】
このように、コ字形状弾性体13、13は変位拡大機能を持つので、大きな変位を出すのに適さないソレノイド3、3であっても使用することができる。すなわち、小型化に有利な駆動源であるソレノイド3、3の適用がより容易になるものである。
又、コ字形状弾性体13、13のa部はコイル5、5に電流を流すことにより、その折り曲げ角度が小さくなる方向へ変形するので、変形させればさせるほど大きな反力を持ち、略線形のばね特性を示す。よって、コイル5、5への通電を止めるとその反力により元の位置に迅速に戻ることになる。
又、この実施の形態に示されているように、復帰ばね機能を持つ変位拡大部材としてのコ字形状弾性体13、13を用いることにより、変位の拡大だけでなく変位拡大部材と別に復帰用のばね部品を不要としグリッパの小型化の実現を可能にしている。
又、この略コ字形状弾性体13、13は略線形のばね特性を示すものであり、よって、変形量が大きければ大きいほどその復元力(ばね力)が大きくなり、その結果、スムーズに元の形状に戻ることができる。
さらに、略線形のばね特性は駆動源であるソレノイド3、3も高効率で用いることができる。
このように、この実施の形態の場合には、ギヤやカム等の複雑な機構を用いていないので小型化が容易であるばかりでなく、ギヤやカム等の摩擦も無く、摩擦ロスによる機械効率低下も少なく、小型化が実現できるばかりでなく、略線形の復帰ばね特性を持つ変位拡大部材や駆動源としてソレノイドを用いることにより、さらに小型化と低消費電力化も実現可能である。
【0035】
次に、図6を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。この第2の実施の形態の場合には、例えば、図6(a)中紙面に直交する方向に沿って手前側に配置されているソレノイド3において、 可動部7の先端が縮径されていて縮径部7bとなっており、この縮径部7bが着座部9を貫通して、ソレノイドハウジング1の外側に突出・配置されている。そして、その突出・配置された部分に拡径部7cが形成されていて、この拡径部7bにコ字形状弾性体13が固着されているものである。
又、図6(a)中紙面に直交する方向に沿って奥側に配置されているソレノイド3においても同様の構成になっており、同一部分には同一符号を付して示している。
【0036】
上記構成によると、図6(a)中紙面に直交する方向に沿った手前側のソレノイド3において、コイル5に電流を流すと、可動部7は、ギャップ11が狭くなる方向、すなわち、図6(a)中左側へ動き、図6(a)中左側に配置されているコ字形状弾性体13を左側に押すことになる。一方、図6(a)中紙面に直交する方向に沿った奥側のソレノイド3においては、コイル5に電流を流すと、可動部7は、ギャップ11が狭くなる方向、すなわち、図6(a)中右側へ動き、図6(a)中右側のコ字形状弾性体13を右側に押す。つまり、コイル5、5に通電することにより把持部材15、15は相互に離間する方向に移動し、その結果、一対の把持部材15、15は開くことになる。
【0037】
逆に、図6(a)中紙面に直交する方向に沿った手前側のソレノイド3において、コイル5への電流を遮断すると、可動部7は、コ字形状弾性体13の弾性復帰力により、ギャップ11が広くなる方向、すなわち、図6(a)中右側へ復帰する。一方、図6(a)中紙面に直交する方向に沿った奥側のソレノイド3においては、コイル5への電流を遮断すると、可動部7は、コ字形状弾性体13の弾性復帰力により、ギャップ11が広くなる方向、すなわち、図6(a)中左側へ復帰する。つまり、コイル5、5への通電を遮断することにより、把持部材15、15は相互に接近する方向に移動し、その結果、一対の把持部材15、15は閉じることになる。
【0038】
この第2の実施の形態においては、各ソレノイド3、3における動作が前記第1の実施の態の場合と逆の動きとなるが、このような実施の形態の場合であっても前記第1の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができる。
【0039】
尚、本願発明は前記第1、第2の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前記第1、第2の実施の形態では、コ字形状弾性体として短冊状の板材を曲げ加工して用いているが、本発明はこの形状に限定されるものではなく、例えば、曲げ部に切欠を付与したり幅を変えたりしてばね反力の調整をしたり、平坦部などの剛性を相対的に上げフラット化したりすることも考えられ、それによって、より良い変位拡大部材の実現が可能になる。
又、前記第1、第2の実施の形態では、ソレノイド可動部先端及びそれに対応するハウジング着座部にテーパを形成しているが、テーパを形成せず平坦にしても、ギャップ量を大きくとることはできないが、実施が可能であることはいうまでもない。
又、前記第1、第2の実施の形態では、ソレノイドを2個用いているが、それらの機能を一体としたダブルソレノイドを用いることも考えられ、それによって、さらなる小型化が可能になる。
又、ワーク形状により3つあるいは4つ以上用いることにより把持をより安定にできる場合もある。
又、駆動源としては、ソレノイドの実施の例を挙げているが、これはあくまで一例であり、他の駆動方式を除外するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、例えば、産業用ロボットに用いるワーク等の把持装置であるグリッパに係り、特に、その小型化を図ることができるように工夫したものに関し、例えば、狭隘な空間に設置された産業用ロボットに好適である。
【符号の説明】
【0041】
1 ソレノイドハウジング
3 ソレノイド
5 コイル
7 可動部
13 コ字形状弾性体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、上記駆動源により発生される運動を被把持物を把持する為の開閉運動に変換する変換部材と、を具備し、
上記変換部材は変位拡大機能を持つ変位拡大部材から構成されていることを特徴とするグリッパ。
【請求項2】
請求項1記載のグリッパにおいて、
上記変換部材は復帰ばね機能を持つ変位拡大部材から構成されていることを特徴とするグリッパ。
【請求項3】
請求項1記載のグリッパにおいて、
上記変位拡大部材が略線形のばね特性を持つことを特徴とするグリッパ。
【請求項4】
請求項1記載のグリッパにおいて、
上記駆動源としてソレノイドを用いることを特徴とするグリッパ。
【請求項5】
請求項1記載のグリッパにおいて、
上記変位拡大部材が板状ばねであることを特徴とするグリッパ。
【請求項6】
請求項5記載のグリッパにおいて、
上記変位拡大部材として略コ字形状の弾性体を用いていることを特徴とするグリッパ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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