説明

グリル脱臭方法及び脱臭機能付きグリル

【課題】オゾンがグリル庫の全域に亘って拡散可能な状態として、グリル庫の内部を良好に脱臭できるグリル脱臭方法及び脱臭機能付きグリルを提供する。
【解決手段】グリル庫1の内部を脱臭するグリル脱臭方法であって、グリル庫1の内部を加熱する加熱工程と、グリル庫1の内部に水蒸気又は水が存在する状態で、グリル庫1の内部にオゾン(O3)を供給するオゾン供給工程とを実行し、グリル庫1の内部の温度の設定により、グリル庫1の内部に供給されたオゾン(O3)をグリル庫1の全域に亘って拡散させる拡散工程を実行して、グリル庫1の全域に亘って拡散されたオゾン(O3)と水蒸気又は水とから、ヒドロキシラジカル(・OH)を生成するヒドロキシラジカル生成工程を実行し、グリル庫1の内部を脱臭する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリル庫の内部を脱臭するグリル脱臭方法、及び脱臭機能付きグリルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のグリルは、グリル庫の内部において、魚等の加熱対象物を載置する焼き網と、当該焼き網の上方に載置された加熱対象物を加熱するバーナ等の加熱手段を備えて構成されている(特許文献1を参照)。
一方、オゾンを用いた脱臭方法及び脱臭装置の一例として、高温・高湿度に保たれた乾燥室の内部にオゾンガスを供給し、当該オゾンと予め乾燥室に存在する水蒸気とを反応させてヒドロキシラジカルを発生させ、当該ヒドロキシラジカルにより乾燥室の内部の臭気成分を分解して脱臭する脱臭機能付き乾燥器が知られている(特許文献2を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−65391号公報
【特許文献2】特開平3−208902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1のグリルでは、魚等の加熱対象物を加熱処理した際、魚等から発生する臭気成分がグリル庫の内壁に付着することがある。これらの臭気成分は、アミン類(トリメチルアミン、ジメチルアミン)、酸類(酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリアン酸)、カルボニル類(アセトアルデヒド、プロパノール、ジメチルアミン)等があり、当該臭気成分は、一旦、グリル庫の内壁にこびり付くと非常に取れ難くいという問題があった。
このような臭気成分を分解する装置及び方法として、上述した特許文献2に開示されているように、オゾンを用いた脱臭方法及び脱臭装置が知られており、当該オゾンを用いた脱臭方法及び脱臭装置をグリルに適用することが考えられる。ここで、実施例を考えると、グリル庫の内部の温度は、その使用後は高温となっており、使用後かなりの時間が経過した後は常温となっていて、比較的熱に弱いオゾンをどの様なタイミングで使用するかという手法は、確立していなかった。特に、オゾンの寿命は、図7に示すように、400℃で0.01秒未満と非常に短いため、グリル庫の内部を瞬時に高温とするバーナ等の加熱手段を用いオゾンを単純に加熱する場合、オゾンがグリル庫の内部の全域に亘って拡散する前に分解し消滅してしまい、効果的な脱臭効果が期待できなかった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、グリル庫に設けられている調理用の加熱手段を用いて、オゾンがグリル庫の全域に亘って拡散可能な状態として、グリル庫の内部を良好に脱臭できるグリル脱臭方法及び脱臭機能付きグリルを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係るグリル庫の内部を脱臭するグリル脱臭方法の特徴構成は、前記グリル庫の内部を加熱する加熱工程と、
前記グリル庫の内部に水蒸気又は水が存在する状態で、前記グリル庫の内部にオゾンを供給するオゾン供給工程とを実行し、
前記グリル庫の内部の温度の設定により、前記グリル庫の内部に供給された前記オゾンを前記グリル庫の全域に亘って拡散させる拡散工程を実行して、前記グリル庫の全域に亘って拡散された前記オゾンと前記水蒸気又は前記水とから、ヒドロキシラジカルを生成するヒドロキシラジカル生成工程を実行し、グリル庫の内部を脱臭する点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、前記加熱工程、オゾン供給工程を実行して、グリル庫の内部の温度の設定により、拡散工程を実行することで、オゾンが拡散する前に分解して消滅することを防止し、オゾンをグリル庫の全域に亘って拡散させることができる。
オゾンがグリル庫の全域に亘って十分に拡散する過程又はその後に、グリル庫の内部の温度の設定により、当該オゾンと予めグリル庫に存在する水蒸気又は水とからヒドロキシラジカルを生成するヒドロキシラジカル生成工程を実行することで、ヒドロキシラジカルをグリル庫の全域に亘って発生させることができる。これにより、ヒドロキシラジカルが、グリル庫の全域に亘って存在する臭気成分を良好に分解できる。
従って、グリル庫に設けられている調理用の加熱手段を用いて、オゾンがグリル庫の内部の全域に亘って拡散可能な状態として、グリル庫の内部を良好に脱臭できるグリル脱臭方法を実現することができる。
【0008】
本発明に係るグリル脱臭方法の更なる特徴構成は、気体状態の前記オゾンが前記拡散工程により拡散されると共に、前記ヒドロキシラジカル生成工程を実行できる温度まで前記グリル庫の内部を加熱する加熱工程を実行した後、
前記オゾン供給工程として、気体状態の前記オゾンを前記グリル庫の内部に噴射する点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、グリル庫の内部の温度を気体状態のオゾンがグリル庫の全域に亘って拡散する温度とする加熱工程を実行した後に、オゾン供給工程において、気体状態のオゾンを前記グリル庫の内部に噴射するので、オゾンが拡散する前に分解して消滅することを抑制し、オゾンをグリル庫の全域に亘って拡散させることができる。この方法では、オゾンは、グリル庫の全域に亘って存在しているため、オゾンから生成されるヒドロキシラジカルも、グリル庫の全域に亘って存在する状態で生成できる。これにより、ヒドロキシラジカルが、グリル庫の全域に存在する臭気成分を良好に分解できる。
【0010】
本発明に係るグリル脱臭方法の更なる特徴構成は、前記オゾン供給工程として、前記オゾンを水に溶解させたオゾン水を前記グリル庫の内部のパンに導いた後に、前記グリル庫の内部を加熱し、
前記拡散工程として、前記オゾン水を蒸発させて前記グリル庫の全域に亘って拡散して、
前記ヒドロキシラジカル生成工程を実行する点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、オゾン供給工程において、オゾンを水に溶解させたオゾン水をグリル庫の内部のパンに導いて、グリル庫の内部を加熱する加熱工程を実行することで、オゾン水を蒸発させてオゾンと水蒸気の混合気体をグリル庫の内部に供給できる。この場合、オゾンは、周囲が水蒸気に覆われて必要以上に加熱されないので、グリル庫の全域に亘って良好に拡散することができる。
グリル庫の内壁は、加熱されて高温となっているため、内壁に近づいたオゾンと水蒸気の混合気体が内壁の近傍で、ヒドロキシラジカルを生成する。当該ヒドロキシラジカルは、グリル庫の内壁の近傍に多量に存在する臭気成分を分解するので、グリル庫が効率良く脱臭される。この結果、グリル庫の全域、特に、多量の臭気成分が存在するグリル庫の内壁の近傍を、良好に脱臭できる。
【0012】
本発明に係るグリル脱臭方法の更なる特徴構成は、前記オゾン供給工程及び前記拡散工程として、前記オゾンを水に溶解させたオゾン水を前記グリル庫の内部にミスト状態で噴霧した後に、前記グリル庫の内部を加熱する加熱工程を実行し前記ヒドロキシラジカル生成工程を実行する、
若しくは、
前記オゾン供給工程及び前記拡散工程として、前記オゾンを水に溶解させたオゾン水を前記グリル庫の内部にミスト状態で噴霧するのと同時に、前記グリル庫の内部を加熱する加熱工程を実行し前記ヒドロキシラジカル生成工程を実行する点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、ミスト状態のオゾン水をグリル庫の内部に供給することができる。この場合、オゾンは、周囲がミスト状態の水に覆われて必要以上に加熱されないので、グリル庫の全域に亘って良好に拡散できる。
また、グリル庫の内壁は、高温となっているため、当該内壁に近づいたミスト状態のオゾン水は、当該オゾン水に含まれるオゾンと水から発生する水蒸気とが高温となって反応し、内壁の近傍においてヒドロキシラジカルを生成する。当該ヒドロキシラジカルは、グリル庫の内壁の近傍に多量に存在する臭気成分を分解するので、グリル庫を効率良く脱臭できる。この結果、グリル庫の全域、特に、多量の臭気成分が存在するグリル庫の内壁の近傍を、良好に脱臭できる。
また、グリル庫の内部を加熱する加熱工程、及びオゾンと水蒸気とを反応させヒドロキシラジカルを生成する工程を、ミスト状態のオゾン水がグリル庫の全域に亘って拡散した後、若しくは、拡散すると同時に実行することで、グリル庫の内部が比較的低温である時に、オゾンをグリル庫の内部へ供給することとなり、オゾンの寿命を延ばすことができる。これにより、オゾンをグリル庫の全域に亘ってより一層良好に拡散できる。
【0014】
本発明に係るグリル脱臭方法の更なる特徴構成は、前記ヒドロキシラジカル生成工程を経て、前記グリル庫の内部を脱臭した後に、前記グリル庫の内部を当該グリル庫の内部に残留する前記オゾンを分解する温度まで再加熱する後処理工程を実行する点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、グリル庫の内部を脱臭した後に、グリル庫の内部にオゾンがなお残留している場合、グリル庫の内部を再加熱することで、残留オゾンを完全に分解することができる。これにより、オゾンがグリル庫の外部に漏れることを防止できる、安全なグリルを提供できる。
【0016】
本発明に係るグリル脱臭方法の更なる特徴構成は、前記加熱工程、前記オゾン供給工程、前記拡散工程、及び前記ヒドロキシラジカル生成工程の前に、前記グリル庫の内部を洗浄する点にある。
【0017】
グリル庫の内部は、使用後に洗浄されることが多いが、洗浄後も微量の臭気成分が残留する場合がある。上記特徴構成によれば、グリル庫の内部を洗浄した後に、加熱工程、オゾン供給工程、拡散工程、及びヒドロキシラジカル生成工程を実行することで、グリル庫の内部をより一層良好に脱臭することができる。
【0018】
上記目的を達成するための本発明に係るグリル庫の内部を脱臭可能な脱臭機能付きグリルの特徴構成は、
前記グリル庫の内部を加熱する加熱手段と、
前記グリル庫の内部に水蒸気又は水が存在する状態で、前記グリル庫の内部にオゾンを供給するオゾン供給手段と、
前記グリル庫の内部の温度を検出する庫内温度測定手段と、
前記加熱手段と前記オゾン供給手段とを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段が、
前記加熱手段を制御して、前記グリル庫の内部を加熱すると共に、
前記オゾン供給手段を制御して、前記庫内温度測定手段の測定結果に基づいて、前記グリル庫の内部に前記オゾンを供給して前記グリル庫の全域に亘って拡散させ、
前記グリル庫の全域に亘って拡散された前記オゾンと前記水蒸気又は水とからヒドロキシラジカルを生成させる点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、制御手段が、加熱手段を制御してグリル庫の内部を加熱し加熱の程度とタイミングを調整すると共に、温度測定手段の測定結果に基づいてオゾン供給手段を制御して、オゾンをグリル庫の内部に供給することで、オゾンが拡散される前に分解して消滅することを抑制し、オゾンをグリル庫の全域に亘って拡散させることができる。
そして、オゾンがグリル庫の全域に亘って十分に拡散した後、温度測定手段の測定結果に基づいて、当該オゾンと予めグリル庫に存在する水蒸気又は水とからヒドロキシラジカルを生成するヒドロキシラジカル生成工程を実行することで、ヒドロキシラジカルをグリル庫の全域に亘って発生させることができる。これにより、ヒドロキシラジカルが、グリル庫の全域に亘って存在する臭気成分を良好に分解できる。
以上から、グリル庫に設けられた調理用の加熱手段を用いて、オゾンがグリル庫の内部の全域に亘って拡散可能な状態として、グリル庫の内部を良好に脱臭できるグリル脱臭方法を実現することができる。
【0020】
上記目的を達成するための本発明に係るグリル庫の内部を脱臭可能な脱臭機能付きグリルの特徴構成は、前記オゾン供給手段が、気体状態の前記オゾンを前記グリル庫の内部へ噴射する噴射部を含み、
前記制御手段が、
前記加熱手段を制御して、前記グリル庫の内部を当該グリル庫の全域に亘って気体状態の前記オゾンが拡散し、前記ヒドロキシラジカルが生成する温度まで加熱した後に、
前記オゾン供給手段を制御して、前記噴射部から気体状態の前記オゾンを前記グリル庫の内部へ噴射する点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、制御手段が加熱手段を制御して、グリル庫の内部を、気体状態のオゾンをグリル庫の全域に亘って拡散する温度にまで加熱した後、制御手段がオゾン供給手段を制御して、気体状態のオゾンをグリル庫の内部へ噴射する。
オゾンが拡散する前に分解して消滅することを抑制し、オゾンをグリル庫の全域に亘って存在させることができる。このように、オゾンは、グリル庫の全域に亘って存在しているため、オゾンから生成されるヒドロキシラジカルも、グリル庫の全域に亘って存在する状態で生成できる。これにより、ヒドロキシラジカルが、グリル庫の全域に存在する臭気成分を良好に分解できる。
【0022】
上記目的を達成するための本発明に係るグリル庫の内部を脱臭可能な脱臭機能付きグリルの特徴構成は、前記オゾン供給手段が、前記オゾンを水に溶解させたオゾン水を前記グリル庫の内部のパンに導くオゾン水導入部を含み、
前記制御手段が、
前記オゾン供給手段を制御して、前記オゾン水導入部により前記オゾン水を前記パンに導いた後に、
前記加熱手段を制御して、前記グリル庫の内部を加熱して、
前記オゾン水を蒸発させて前記グリル庫の全域に亘って拡散させて、前記ヒドロキシラジカルを生成させる点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、制御手段が、オゾン供給手段を制御して、オゾンを水に溶解させたオゾン水をグリル庫の内部のパンに導いた後に、加熱手段を制御して、グリル庫の内部を加熱してオゾン水を蒸発させ、オゾンと水蒸気の混合気体をグリル庫の内部に供給することができる。この場合、オゾンは、周囲が水蒸気に覆われて必要以上に加熱されないので、グリル庫の全域に亘って良好に拡散することができる。
グリル庫の内壁は、内壁に設けられた加熱手段によって加熱されて高温となっているため、内壁に近づいたオゾンと水蒸気の混合気体が内壁の近傍で、ヒドロキシラジカルを生成する。当該ヒドロキシラジカルは、グリル庫の内壁の近傍に多量の存在する臭気成分を分解するので、グリル庫が効率良く脱臭される。この結果、グリル庫の全域、特に、多量の臭気成分が存在するグリル庫の内壁の近傍を、良好に脱臭できる。
【0024】
上記目的を達成するための本発明に係るグリル庫の内部を脱臭可能な脱臭機能付きグリルの特徴構成は、前記オゾン供給手段が、前記オゾンを水に溶解させたオゾン水を前記グリル庫の内部にミスト状態で噴霧する噴霧部を含み、
前記制御手段が、
前記オゾン供給手段を制御して、前記噴霧部からミスト状態の前記オゾン水を前記グリル庫の内部に噴霧して前記グリル庫の全域に亘って拡散させ、
前記加熱手段を制御して、前記グリル庫の内部を加熱して、前記ヒドロキシラジカルを生成させる点にある。
【0025】
上記特徴構成によれば、制御手段が、オゾン供給手段を制御して、オゾンを水に溶解させたオゾン水を噴霧部からミスト状態のオゾン水として、グリル庫の内部に噴霧することができる。この場合、オゾンは、周囲がミスト状態の水に覆われて必要以上に加熱されないので、グリル庫の全域に亘って良好に拡散できる。
また、グリル庫の内壁は、内壁に設けられた加熱手段により高温となっているため、当該内壁に近づいたミスト状態のオゾン水は、オゾンと水蒸気とが高温状態で良好に反応し、内壁の近傍においてヒドロキシラジカルを生成する。当該ヒドロキシラジカルは、グリル庫の内壁の近傍に多量に存在する臭気成分を分解するので、グリル庫を効率良く脱臭できる。この結果、グリル庫の全域、特に、多量の臭気成分が存在するグリル庫の内壁の近傍を、良好に脱臭できる。
【0026】
上記目的を達成するための本発明に係るグリル庫の内部を脱臭可能な脱臭機能付きグリルの特徴構成は、前記制御手段が、
前記ヒドロキシラジカルが生成した後に、前記加熱手段を制御して、前記グリル庫の内部を当該グリル庫の内部に残留する前記オゾンを分解する温度まで再加熱する点にある。
【0027】
上記特徴構成によれば、ヒドロキシラジカルによりグリル庫の内部を脱臭した後に、グリル庫の内部にオゾンがなお残留している場合、グリル庫の内部を再加熱することで、残留オゾンを完全に分解できる。これにより、オゾンがグリルの外部に漏れることを防止できる、安全なグリルを提供できる。
【0028】
上記目的を達成するための本発明に係るグリル庫の内部を脱臭可能な脱臭機能付きグリルの特徴構成は、前記グリル庫が、洗浄された後に内部を脱臭される点にある。
【0029】
グリル庫の内部は、使用後に洗浄されることが多いが、洗浄後も微量の臭気成分が残留する場合がある。上記特徴構成によれば、グリル庫の内部を洗浄した後に、オゾン供給工程、拡散工程、及びヒドロキシラジカル生成工程を実行することで、グリル庫の内部をより一層良好に脱臭することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
まず、図1に基づいて本発明の脱臭機能付きグリル(以下、本装置と略称する。)100の基本構成について、説明する。
本装置100は、図1に示すように、グリル庫1の内部において、グリル庫1の内部を加熱する加熱手段として機能するバーナ5と、魚等の加熱対象物を載置される焼き網3と、魚等の煮汁を受けるパン2を備えて構成されている。
【0031】
上記バーナ5は、グリル庫1の内部の上方に備えられた上方バーナ5aと、グリル庫1の内部の側方に備えられた側方バーナ5bから成り、後述する制御装置30により、加熱量及び加熱タイミングが制御できるように構成されている。
【0032】
上記パン2は、魚等の煮汁を受けられるよう構成されていると共に、後述するオゾン水が供給された場合、内部に当該オゾン水をパン2の外部に漏洩しないよう比較的深底の形状で、グリル庫1の内部の下方に配置されている。
【0033】
グリル庫1は、前端部に開閉扉(図示せず)を設けていると共に、後端部に燃焼排ガス及び燃焼排熱を外部へ導く開口(図示せず)を設けている。上記開閉扉は、上記焼き網3及びパン2を出し入れ可能に構成されていると共に、閉止状態の時には、グリル庫1の内部を外部から完全に密閉するシール材(図示せず)がグリル庫1に当接する形態で設けられている。上記開口は、グリル庫1の内部を外部から完全に遮断する遮断弁(図示せず)が設けられている。上記開閉扉と遮断弁とは、後述する脱臭処理において、グリル庫1の内部を密閉する機能を発揮する。
【0034】
以上が、本装置100の基本構成であるが、以下に本装置100の特徴構成について、図1乃至図6に基づいて説明する。
【0035】
[第1実施形態]
本装置100は、図1に示すように、グリル庫1の内部にオゾン(O3)を供給するオゾン供給手段10と、グリル庫1の内部の温度検出する温度計(図示せず)から成る庫内温度測定手段36と、当該庫内温度測定手段36の測定結果に基づいて、上記バーナ5及びオゾン供給手段10とを制御する制御装置30を備えて構成されている。
【0036】
オゾン供給手段10は、オゾン(O3)を生成するオゾン生成装置11と、生成されたオゾン(O3)をオゾン流通管13を介して圧送するポンプ12と、圧送されたオゾン(O3)を、グリル庫1の内部に水蒸気又は水が存在する状態で、グリル庫1の内部に噴射する噴射部として機能する噴射ノズル14とから構成されている。当該噴射ノズル14は、オゾン(O3)をグリル庫1に偏りなく噴射する形態で配置されており、グリル庫1の内部の側方に好適に配置される。当然、グリル庫1の内部の上方、及び下方に併設するように設けても良い。
【0037】
制御装置30は、オゾン生成装置11及びポンプ12を運転又は停止させるオゾン供給制御手段31と、バーナ5の加熱状態を記憶部33に記憶された目標温度に基づいて制御する庫内温度制御手段32と、当該オゾン供給制御手段31及び庫内温度制御手段32の運転タイミングを記憶部33に記憶された運転タイミング情報に基づいて制御するタイミング制御手段34と、から構成されている。
さらに、制御装置30は、外部入力手段35から使用者が入力したグリル運転情報、及び庫内温度測定手段36の測定結果に基づいて、オゾン供給制御手段31、庫内温度制御手段32、及びタイミング制御手段34による各種制御を実行するように構成されている。
【0038】
次に、第1実施形態に係る本装置100を用いたグリル脱臭方法について説明する。グリル脱臭方法は、グリル庫1の内部にオゾン(O3)を供給するオゾン供給工程を実行し、グリル庫1の内部に供給されたオゾン(O3)をグリル庫1の全域に亘って拡散させる拡散工程を実行して、グリル庫1の内部の温度に基づいて、グリル庫1の内部に拡散されたオゾン(O3)と水蒸気又は水とから、ヒドロキシラジカル(・OH)を生成するヒドロキシラジカル生成工程とを実行するグリル脱臭方法である。ここで、水蒸気又は水は、グリル庫1の内部に元々存在するものが用いられる。例えば、当該水蒸気又は水は、グリル庫1を洗浄した後に、グリル庫1の内部に残留したもの等である。
当該第1実施形態では、グリル庫1の内部を、気体状態のオゾン(O3)を上記拡散工程により拡散できると共に上記ヒドロキシラジカル生成工程を実行できる温度(例えば100℃程度から250℃程度)にまで加熱した後、上記オゾン供給工程として、気体状態のオゾン(O3)をグリル庫1の内部に噴射するように実行される。
【0039】
具体的に、図2のフローチャートに沿って説明する。
まず、制御手段30は、使用者が外部入力手段35に設けられた脱臭処理ボタン(図示せず)を押下することで送られる脱臭処理開始信号を受信する(♯101)。脱臭処理開始信号に基づいて、タイミング制御手段34が、庫内温度制御手段32にバーナ5を運転するよう指示し、庫内温度制御手段32が、バーナ5の運転を開始する(♯102)。庫内温度制御手段32は、庫内温度測定手段36の測定結果に基づいて、第1燃焼状態でグリル庫1の内部を加熱する(♯103:加熱工程)。
【0040】
第1燃焼状態は、グリル庫1の庫内温度(Te1)が、速く目標温度(TeGoal1)に到達し、しばらくの間当該目標温度(TeGoal1)を維持する燃焼状態であることが好ましい。庫内温度制御手段32は、グリル庫1の庫内温度(Te1)が記憶部33に記憶された目標温度(TeGoal1)となるまでバーナ5を第1燃焼状態で運転させる(♯104)。ここで、目標温度(TeGoal1)は、気体状態のオゾン(O3)(以下、オゾンガスと略称する。)が、グリル庫1の全域に亘って拡散する間に、消滅し難い温度(例えば100℃程度から250℃程度)である。庫内温度制御手段32は、グリル庫1の庫内温度(Te1)全体が、略均一の温度となるように、バーナ5を第1燃焼状態で所定の時間だけ運転するよう制御した後、バーナ5の燃焼を終了する(♯105)。
【0041】
バーナ5の燃焼が終了したタイミングで、タイミング制御手段34が、オゾン供給制御手段31にオゾン供給手段11及びポンプ12を運転するよう指示する。オゾン供給制御手段31は、オゾン生成装置11を運転してオゾン(O3)を生成すると共に、生成したオゾン(O3)をポンプ12がオゾン流通管13を介して、グリル庫1へ圧送するように制御する(♯106:オゾン供給工程)。グリル庫1の噴射ノズル14が、オゾンガスをグリル庫1の内部に噴射して、グリル庫1の全域に亘って拡散させる(♯107:拡散工程)。当該拡散工程において、グリル庫1の庫内温度(Te1)は、オゾンガスが消滅しにくい目標温度(TeGoal1)に設定されているため、オゾンガスが、グリル庫1の全域に亘って良好に拡散することとなる。
【0042】
これにより、グリル庫1の内部では、ヒドロキシラジカル(・OH)が、グリル庫1の全域に亘って存在するオゾンガスと水蒸気とから生成され、グリル庫1の全域に亘って存在する状態となる(♯108:ヒドロキシラジカル生成工程)。当該ヒドロキシラジカル(・OH)は、グリル庫1の全域に亘って存在する臭気成分Sを良好に分解する(♯109)。タイミング制御手段34は、オゾン供給工程(♯106)から臭気成分Sを分解する工程(♯109)までの時間である脱臭時間(Ti1)が、記憶部33に保持された目標脱臭時間(TiGoal1)となるまで、オゾン供給制御手段31にオゾン(O3)を供給するよう指示し続ける(♯110)。目標脱臭時間(TiGoal1)は、例えば、グリル庫1の内部の臭気の濃さによって変更することができ、臭気レベルが高い場合ほど長い脱臭時間とし、臭気レベルが低いほど短い脱臭時間とするようなテーブルを記憶部33に予め保持させておくことができる。以上の工程を経て、グリル庫1の脱臭処理が完了する。
【0043】
次に、グリル庫1に残留するオゾン(O3)を脱臭するための後処理工程について説明する。タイミング制御手段34は、脱臭時間(Ti1)が目標脱臭時間(TiGoal1)に到達したタイミングで、庫内温度制御手段32にバーナ5を運転するように指示する(♯111)。庫内温度制御手段32は、バーナ5を第2燃焼状態で燃焼する(♯112)。第2燃焼状態は、グリル庫1に残留するオゾン(O3)を完全に焼却して消滅させることを目的とするため、最大の燃焼量でバーナ5を運転する状態(例えば、庫内温度が350℃程度から800℃程度)であることが好ましい。タイミング制御手段34は、後処理時間(Ti2)が記憶部33に格納された目標後処理時間(TiGoal2)となるまで、庫内温度制御手段32にバーナ5を運転させるよう指示し続ける(♯113)。タイミング制御手段34は、後処理時間(Ti2)が目標後処理時間(TiGoal2)となった時点で、庫内温度制御手段32にバーナ5の運転を停止するように指示して、後処理工程を終了する。ここで、目標後処理時間(TiGoal2)は、グリル庫1の内部のオゾン(O3)が、完全に消滅する時間(例えば、3分程度から5分程度)とすることが望ましい。
【0044】
[第2実施形態]
次に、本装置100の第2実施形態を、図3及び図4に基づいて説明する。尚、第1実施形態と同様の構成のものは、第1実施形態と同じ符号を付すこととし、説明を割愛する。
【0045】
第2実施形態に係る本装置100は、図3に示すように、オゾン供給手段10の具体的装置構成以外は、第1実施形態に係る本装置100と変わるところはない。
第2実施形態に係るオゾン(O3)供給装置10は、オゾン(O3)を生成するオゾン生成装置11と、生成されたオゾン(O3)を圧送するポンプ12と、オゾン(O3)を水に溶解させてオゾン水として、グリル庫1の内部のパン2に導くオゾン水導入管15(オゾン水導入部の一例)から構成されている。
【0046】
詳細は後述するが、本装置100は、制御装置30が、オゾン供給手段10を制御して、オゾン(O3)を水に溶解させたオゾン水をグリル庫1の内部のパン2に導いた後に、バーナ5を制御して、グリル庫1の内部を加熱して、オゾン水を蒸発させてグリル庫の全域に亘って拡散させ、グリル庫1の全域にヒドロキシラジカル(・OH)を生成させるように機能する。
【0047】
以下に、第2実施形態に係る本装置100のグリル脱臭方法を、図4のフローチャートに基づいて説明する。
まず、制御装置30は、使用者が外部入力手段35に設けられた脱臭処理ボタン(図示せず)を押下することにより送られてくる脱臭処理開始信号を受信する(♯201)。脱臭処理開始信号に基づいて、タイミング制御手段34が、オゾン供給制御手段31にオゾン生成装置11及びポンプ12を運転するように指示すると共に、給水Wを供給するように開閉弁16を開状態とするように指示する(♯202:オゾン水供給工程)。オゾン水導入管15において、生成されたオゾン(O3)を給水Wに溶解し、オゾン水を生成する(♯203:オゾン水供給工程)。オゾン水導入管15は、オゾン水をグリル庫1内のパン2に導入する(♯204:オゾン水供給工程)。
【0048】
オゾン水の導入が完了したタイミングで、タイミング制御手段34が、庫内温度制御手段32にバーナ5を運転するように指示し、庫内温度制御手段32が、バーナ5の運転を開始する(♯205)。庫内温度制御手段32は、グリル庫1の庫内温度(Te3)が記憶部33に記憶された目標温度(TeGoal3)以上か、以下かを判定する(♯206)。庫内温度制御手段32は、グリル庫1の庫内温度(Te3)が目標温度(TeGoal3)以下である場合、庫内温度制御手段32にバーナ5を第3燃焼状態で燃焼するよう指示する(♯207:加熱工程)と共に、グリル庫1の庫内温度(Te3)が目標温度(TeGoal3)以上である場合、庫内温度制御手段32にバーナ5を第4燃焼状態で燃焼するよう指示する(♯208:加熱工程)。目標温度(TeGoal3)は、蒸発したオゾン(O3)と水蒸気がグリル庫1の内部に存在している状態で、オゾン(O3)がグリル庫1の全域に亘って拡散する間に消滅し難い温度である。当該目標温度(TeGoal3)は、オゾン(O3)の寿命がグリル庫1の全域に亘って拡散する時間よりも長くなる温度のうち、最も高い温度に設定することが望ましい。
【0049】
ここで、第3燃焼状態とは、庫内温度(Te3)が、パン2に貯留されたオゾン水を蒸発させると共に、蒸発したオゾン(O3)が消滅し難い燃焼状態で、且つ、庫内温度(Te3)が上昇する燃焼状態である。当該第3燃焼状態では、庫内温度制御手段32が、庫内温度(Te3)を上述した目標温度(TeGoal3)に徐々に近づくように、バーナ5を制御する。
一方、第4燃焼状態とは、庫内温度(Te3)がパン2に貯留されたオゾン水を蒸発させると共に、蒸発したオゾン(O3)が消滅し難い燃焼状態で、且つ、庫内温度(Te3)が下降する燃焼状態(例えば、バーナ5の燃焼を停止する状態等)である。当該第4燃焼状態において、庫内温度(Te3)は、上述した目標温度(TeGoal3)を上回っているため、庫内温度制御手段32は、庫内温度(Te3)が目標温度(TeGoal3)以下となる温度に徐々に近づくように、バーナ5を制御する。
【0050】
庫内温度制御手段32が、バーナ5を上述した第3燃焼状態又は第4燃焼状態で燃焼させることで、パン2に導入されたオゾン水を蒸発させ、オゾン(O3)と水蒸気の混合気体をグリル庫1の全域に亘って拡散させる(♯209:拡散工程)。拡散したオゾン(O3)は、オゾン(O3)周囲の水蒸気と反応し、グリル庫1の全域でヒドロキシラジカル(・OH)を生成する(♯210:ヒドロキシラジカル生成工程)。当該ヒドロキシラジカル(・OH)が、グリル庫1の全域に存在する臭気成分Sを分解する(♯211)。
【0051】
タイミング制御手段34は、脱臭時間(Ti3)が記憶部33に格納された目標脱臭時間(TiGoal3)となるタイミングまで、バーナ5を第3燃焼状態又は第4燃焼状態で燃焼し続けさせるよう、庫内温度制御手段32に指示し続ける(♯212)。以上の工程により、グリル庫1の全域が良好に脱臭処理されることとなる。
【0052】
(♯213)及び(♯214)の後処理工程は、第1実施形態で説明したため、説明を割愛する。
【0053】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る本装置100について、図5に基づいて説明する。尚、第2実施形態と同様に、第1実施形態と同様の構成のものは、第1実施形態と同じ符号を付すこととし、説明を割愛する。
【0054】
第3実施形態に係る本装置100は、図5に示すように、オゾン供給手段10の具体的装置構成以外は、第1実施形態に係る本装置100と変わるところはない。
第3実施形態に係るオゾン供給手段10は、オゾン(O3)を生成するオゾン生成装置11と、生成されたオゾン(O3)を圧送するポンプ12と、オゾン(O3)を水に溶解させたオゾン水を、グリル庫1へミスト状態で噴霧する噴霧部17とから構成されている。当該噴霧部17は、オゾン水をグリル庫1に偏りなく噴霧する形態で配置されており、グリル庫1の内部の側方に好適に配置される。当然、グリル庫1の内部の上方、及び下方に併設するように設けても良い。
【0055】
本装置100は、制御装置30が、オゾン供給手段10を制御して、噴霧部17からミスト状態のオゾン水をグリル庫1の内部に噴霧した後、又は、噴霧すると同時に、バーナ5を制御して、グリル庫1の内部を加熱することで、ミスト状態のオゾン水をグリル庫1の全域に亘って拡散させて、オゾン水に含まれるオゾン(O3)と水蒸気又は水からヒドロキシラジカル(・OH)を生成するように機能する。
【0056】
以下に、第3実施形態に係る本装置100のグリルの脱臭方法を、図6のフローチャートに基づいて説明する。
【0057】
まず、制御装置30は、使用者が外部入力手段35に設けられた脱臭処理開始ボタンを押下することにより送られてくる脱臭処理開始信号を受信する(♯301)。当該脱臭信号開始信号に基づいて、タイミング制御手段34が、庫内温度制御手段32にバーナ5を運転するように指示し、庫内温度制御手段32が、バーナ5の運転を開始する(♯302)。庫内温度制御手段32は、グリル庫1の庫内温度(Te4)が記憶部33に記憶された目標温度(TeGoal4)以上か、以下かを判定する(♯303)。庫内温度制御手段32は、グリル庫1の庫内温度(Te4)が目標温度(TeGoal4)以下である場合、庫内温度制御手段32にバーナ5を第5燃焼状態で燃焼するよう指示する(♯304:加熱工程)と共に、グリル庫1の庫内温度(Te4)が目標温度(TeGoal4)以上である場合、庫内温度制御手段32にバーナ5を第6燃焼状態で燃焼するよう指示する(♯305:加熱工程)。目標温度(TeGoal4)は、グリル庫1内に噴霧されたミスト状態のオゾン水に含まれるオゾン(O3)が、グリル庫1の全域に亘って拡散する間に、消滅し難い温度である。当該目標温度(TeGoal4)は、ミスト状態のオゾン水に含まれるオゾン(O3)の寿命が、グリル庫1の全域に亘って拡散する時間よりも長くなるような温度のうち、最も高い温度に設定することが望ましい。
【0058】
ここで、第5燃焼状態とは、庫内温度(Te4)が、グリル庫1内に噴霧されたミスト状態のオゾン水に含まれるオゾン(O3)が消滅し難い燃焼状態であり、且つ、庫内温度(Te4)が上昇する燃焼状態である。当該第3燃焼状態では、庫内温度制御手段32が、庫内温度(Te4)を上述した目標温度(TeGoal4)に徐々に近づくように、バーナ5を制御する。
一方、第6燃焼状態とは、グリル庫1内に噴霧されたミスト状態のオゾン水に含まれるオゾン(O3)が消滅し難い燃焼状態であり、且つ、庫内温度(Te4)が下降する燃焼状態である。当該第4燃焼状態において、庫内温度(Te4)は、上述した目標温度(TeGoal4)を上回っているため、庫内温度制御手段32は、庫内温度(Te4)が目標温度(TeGoal4)以下となる温度に徐々に近づくように、バーナ5を制御する。
【0059】
タイミング制御手段34は、脱臭時間(Ti4)が記憶部33に格納された目標脱臭時間(TiGoal4)となるタイミングまで、庫内温度制御手段32に、バーナ5を第5燃焼状態又は第6燃焼状態で燃焼し続けさせるよう、指示し続ける(♯306)。
【0060】
(♯307)及び(♯308)の後処理工程は、第1実施形態で説明したため、説明を割愛する。
【0061】
次に、(♯302)乃至(♯306)のバーナ5が燃焼されるのと同時又は、燃焼され始めた後に、実行されるオゾン供給工程、拡散工程、及びヒドロキシラジカル生成工程について説明する。(♯301)で外部入力手段35から送られた脱臭処理開始信号に基づいて、タイミング制御手段34が、オゾン供給制御手段31にオゾン生成装置11及びポンプ12を運転するように指示する。さらに、タイミング制御手段34が、オゾン供給制御手段31に、給水Wを供給するように開閉弁16を開状態とするように指示する(♯309:オゾン水供給工程)。オゾン流通管13において、生成されたオゾン(O3)を給水Wに溶解し、オゾン水を生成する(♯310:オゾン水供給工程)。噴霧部17が、生成されたオゾン水をミスト状態として、グリル庫1の内部に噴霧し、グリル庫1の全域に亘って拡散させる(♯311:拡散工程)。
【0062】
拡散したミスト状態のオゾンに含まれるオゾン(O3)は、周囲の水蒸気又は水と反応し、グリル庫1の全域でヒドロキシラジカル(・OH)を生成する(♯312:ヒドロキシラジカル生成工程)。当該ヒドロキシルラジカルが、グリル庫1の全域に存在する臭気成分Sを分解する(♯314)。
【0063】
タイミング制御手段34は、脱臭時間(Ti3)が記憶部33に格納された目標脱臭時間(TiGoal3)となるタイミングまで、上述したオゾン供給工程、拡散工程、加熱工程、及びヒドロキシラジカル生成工程が実行されるように、オゾン供給制御手段31を制御し続ける(♯314)。以上の工程により、グリル庫1の全域が良好に脱臭処理されることとなる。
【0064】
[別実施形態]
(1)
上述した実施形態において、脱臭処理は、脱臭処理ボタン(図示せず)が押下された場合に、スタートすることとしたが、タイミング制御手段34が、庫内温度測定手段36の測定結果に基づいて、グリルの使用が完了している後であることを判断し、自動で実行するように設定することができる。
【0065】
(2)
本願のグリル脱臭方法は、グリル庫1の内部を洗浄してから実施することで、より一層良好な脱臭効果を発揮することができる。
【0066】
(3)
上記第2実施形態及び第3実施形態では、オゾン(O3)を給水Wに溶解して、オゾン水を生成したが、給水Wは、重曹水等のアルカリ水を好適に用いることができる。これにより、オゾンの分解効率を向上させることができる。
【0067】
(4)
上記第3実施形態において、グリル庫1の内部には、ミスト状態のオゾン水が供給されることとしたが、別にスチーム状態のオゾン水を供給してもよい。
【0068】
(5)
上記第3実施形態において、オゾン供給工程及び拡散工程は、加熱工程を実行しヒドロキシラジカル生成工程を実行する前に実行してもよいし、加熱工程を実行しヒドロキシラジカル生成工程を実行するのと同時に実行してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本願発明のグリル脱臭方法及びグリル脱臭装置は、グリル庫に設けられている調理用の加熱手段を用いて、オゾンがグリル庫の全域に亘って拡散可能な状態として、グリル庫の内部を良好に脱臭できるグリル脱臭方法及び脱臭機能付きグリルとして、有効に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施形態に係るグリルの概略構成図
【図2】本発明の題1実施形態に係るグリルのフローチャート
【図3】本発明の題2実施形態に係るグリルの概略構成図
【図4】本発明の第2実施形態に係るグリルのフローチャート
【図5】本発明の題3実施形態に係るグリルの概略構成図
【図6】本発明の題3実施形態に係るグリルのフローチャート
【図7】オゾンの半減期を表す対数グラフ
【符号の説明】
【0071】
1:グリル庫
2:パン
5a,5b:バーナ
11:オゾン生成装置
12:ポンプ
13:オゾン流通管
14:噴射ノズル(噴射部の一例)
15:オゾン水導入管(オゾン水導入部の一例)
17:噴霧部
30:制御装置(制御手段の一例)
31:オゾン供給制御手段
32:庫内温度制御手段
33:記憶部
34:タイミング制御手段
35:外部入力手段
36:庫内温度測定手段
W:給水
S:臭気成分
3:オゾン
・OH:ヒドロキシラジカル
100:脱臭機能付きグリル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリル庫の内部を脱臭するグリル脱臭方法であって、
前記グリル庫の内部を加熱する加熱工程と、
前記グリル庫の内部に水蒸気又は水が存在する状態で、前記グリル庫の内部にオゾンを供給するオゾン供給工程とを実行し、
前記グリル庫の内部の温度の設定により、前記グリル庫の内部に供給された前記オゾンを前記グリル庫の全域に亘って拡散させる拡散工程を実行して、前記グリル庫の全域に亘って拡散された前記オゾンと前記水蒸気又は前記水とから、ヒドロキシラジカルを生成するヒドロキシラジカル生成工程を実行し、グリル庫の内部を脱臭するグリル脱臭方法。
【請求項2】
気体状態の前記オゾンが前記拡散工程により拡散されると共に、前記ヒドロキシラジカル生成工程を実行できる温度まで前記グリル庫の内部を加熱する加熱工程を実行した後、
前記オゾン供給工程として、気体状態の前記オゾンを前記グリル庫の内部に噴射する請求項1に記載のグリル脱臭方法。
【請求項3】
前記オゾン供給工程として、前記オゾンを水に溶解させたオゾン水を前記グリル庫の内部のパンに導いて、前記グリル庫の内部を加熱する加熱工程を実行した後に、
前記拡散工程として、前記オゾン水を蒸発させて前記グリル庫の全域に亘って拡散して、
前記ヒドロキシラジカル生成工程を実行する請求項1に記載のグリル脱臭方法。
【請求項4】
前記オゾン供給工程及び前記拡散工程として、前記オゾンを水に溶解させたオゾン水を前記グリル庫の内部にミスト状態で噴霧した後に、前記グリル庫の内部を加熱する加熱工程を実行し前記ヒドロキシラジカル生成工程を実行する、
若しくは、
前記オゾン供給工程及び前記拡散工程として、前記オゾンを水に溶解させたオゾン水を前記グリル庫の内部にミスト状態で噴霧するのと同時に、前記グリル庫の内部を加熱する加熱工程を実行し前記ヒドロキシラジカル生成工程を実行する請求項1に記載のグリル脱臭方法。
【請求項5】
前記ヒドロキシラジカル生成工程を経て、前記グリル庫の内部を脱臭した後に、当該グリル庫の内部に残留する前記オゾンを分解する温度まで前記グリル庫の内部を再加熱する後処理工程を実行する請求項1乃至4の何れか一項に記載のグリル脱臭方法。
【請求項6】
前記加熱工程、前記オゾン供給工程、前記拡散工程、及び前記ヒドロキシラジカル生成工程の前に、前記グリル庫の内部を洗浄する請求項1乃至5の何れか一項に記載のグリル脱臭方法。
【請求項7】
グリル庫の内部を脱臭可能な脱臭機能付きグリルであって、
前記グリル庫の内部を加熱する加熱手段と、
前記グリル庫の内部に水蒸気又は水が存在する状態で、前記グリル庫の内部にオゾンを供給するオゾン供給手段と、
前記グリル庫の内部の温度を検出する庫内温度測定手段と、
前記加熱手段と前記オゾン供給手段とを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段が、
前記加熱手段を制御して、前記グリル庫の内部を加熱すると共に、
前記オゾン供給手段を制御して、前記庫内温度測定手段の測定結果に基づいて、前記グリル庫の内部に前記オゾンを供給して前記グリル庫の全域に亘って拡散させ、
前記グリル庫の全域に亘って拡散された前記オゾンと前記水蒸気又は水とからヒドロキシラジカルを生成させる脱臭機能付きグリル。
【請求項8】
前記オゾン供給手段が、気体状態の前記オゾンを前記グリル庫の内部へ噴射する噴射部を含み、
前記制御手段が、
前記加熱手段を制御して、当該グリル庫の全域に亘って気体状態の前記オゾンが拡散し、前記ヒドロキシラジカルが生成する温度まで前記グリル庫の内部を加熱した後に、
前記オゾン供給手段を制御して、前記噴射部から気体状態の前記オゾンを前記グリル庫の内部へ噴射する請求項7に記載の脱臭機能付きグリル。
【請求項9】
前記オゾン供給手段が、前記オゾンを水に溶解させたオゾン水を前記グリル庫の内部のパンに導くオゾン水導入部を含み、
前記制御手段が、
前記オゾン供給手段を制御して、前記オゾン水導入部により前記オゾン水を前記パンに導いた後に、
前記加熱手段を制御して、前記グリル庫の内部を加熱して、
前記オゾン水を蒸発させて前記グリル庫の全域に亘って拡散させて、前記ヒドロキシラジカルを生成させる請求項7に記載の脱臭機能付きグリル。
【請求項10】
前記オゾン供給手段が、前記オゾンを水に溶解させたオゾン水を前記グリル庫の内部にミスト状態で噴霧する噴霧部を含み、
前記制御手段が、
前記オゾン供給手段を制御して、前記噴霧部から前記オゾンを前記グリル庫の内部に噴霧して前記グリル庫の全域に亘って拡散させ、
前記加熱手段を制御して、前記グリル庫の内部を加熱して、前記ヒドロキシラジカルを生成させる請求項7に記載の脱臭機能付きグリル。
【請求項11】
前記制御手段が、
前記ヒドロキシラジカルが生成した後に、前記加熱手段を制御して、当該グリル庫の内部に残留する前記オゾンを分解する温度まで前記グリル庫の内部を再加熱する請求項7乃至10に記載の脱臭機能付きグリル。
【請求項12】
前記グリル庫が、洗浄された後に内部を脱臭される請求項7乃至11の何れか一項に記載の脱臭機能付きグリル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−240698(P2009−240698A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93786(P2008−93786)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】