説明

グルコキナーゼ調節剤としてのピリジンカルボン酸誘導体

式(I):


{式中、Aは場合により置換されたフェニルまたは5-若しくは6-インのヘテロアリール環であり;
R1及びR2は水素及びメチルから選択され;
但し、R1及びR2の少なくとも一つはメチルである}の化合物、またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物について記載する。GLK活性化剤としての使用、これらを含む医薬組成物、及びその製造方法についても記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスリン分泌のグルコース閾値を低くする、グルコキナーゼ(GLK)を介して媒介する疾患または症状の処置または予防で有用な、ベンゾイルアミノピリジルカルボン酸の一群に関する。さらに、本化合物は、肝臓のグルコース摂取を増やすことによって血中グルコースを低くすると予測される。かかる化合物は、2型糖尿病及び肥満の処置に有用であろう。本発明は、前記化合物を含む医薬組成物、及びGLKを介して媒介された疾患の化合物の使用による処置法にも関する。
【背景技術】
【0002】
膵臓β細胞と肝臓柔細胞において、主な原形質膜グルコーストランスポーターはGLUT2である。生理学的なグルコース濃度下では、GLUT2が膜を通してグルコースを輸送する速度は、これらの細胞でのグルコース摂取の全体速度を制限する速度ではない。グルコース摂取速度は、グルコキナーゼ(GLK)によって触媒されるグルコースのグルコース-6-リン酸(G-6-P)へのリン酸化速度によって制限される[1]。GLKは、グルコースに関して高い(6-10mM)Kmをもち、G-6-Pの生理学的濃度によっては阻害されない[1]。GLK発現は、数種の組織及び細胞種、主に膵臓β細胞及び肝臓の細胞(肝細胞)によって制限される[1]。これらの細胞において、GLK活性は、グルコース利用の律速因子であるので、グルコース誘導インスリン分泌と肝臓のグリコーゲン合成の程度を制御する。これらのプロセスは、全身のグルコースホメオスタシスの維持に重要であり、いずれも糖尿病の機能不全である[2]。
【0003】
糖尿病の一つのサブタイプ、若者の2型成人発症型糖尿病(MODY-2)では、糖尿病は機能の突然変異のためのGLK損失によって引き起こされる[3,4]。MODY-2患者の高血糖症は、膵臓と肝臓の両方における不完全なグルコース利用に起因する[5]。MODY-2患者の膵臓での不完全なグルコース利用により、グルコースに刺激されたインスリン分泌の閾値が高くなる。逆に言えば、GLKの滅多にない活性化突然変異によりこの閾値が下がると、家族性の高インスリン症となる[6,6a,7]。MODY-2糖尿病で観察された低いGLK活性に加え、肝臓のグルコキナーゼ活性は2型糖尿病でも低い[8]。重要なことは、GLKの全体的または肝臓選択的過剰発現によって、疾病の食事及び遺伝モデルの両方において糖尿病の表現型の進展が予防されたり、または逆転されることである[9-12]。さらにフルクトースを使用する2型糖尿病の緊急処置により、肝臓グルコース利用を刺激することによって耐糖能(glucose tolerance)が改善する[13]。この効果は、以下に記載する機序によって、フルクトースが誘導した肝細胞中の細胞質ゾルGLK活性増加によって媒介されるものと考えられている[13]。
【0004】
肝臓GLK活性は、GLK調節タンパク質(GLKRP)との関連によって阻害される。GLK/GLKRP複合体は、GLKRPへのフルクトース-6-リン酸(F6P)結合によって確立され、フルクトース-1-リン酸(F1P)によるこの糖リン酸の置換によって不安定化される。F1Pは、食事のフルクトース(dietary fructose)のフルクトキナーゼ媒介リン酸化によって生じる。従って、GLK/GLKRP複合体の一体性と肝臓GLK活性は、F6Pが吸収状態の後で高くなるにつれて栄養的に従属的な状態で調節されるのに対し、F1Pは食後状態で優位である。肝細胞と対照的に、膵臓β細胞はGLKRPの非存在下でGLKを発現する。従って、β細胞GLK活性は、もっぱらその基質、グルコースの利用可能性によって調節される。小さな分子は、GLK/GLKRP複合体を介してまたは直接不安定化することによってGLKを活性化する。前者の種類の化合物は、肝臓と膵臓の両方でグルコース利用を活性化すると予測されているのに対し、後者の種類の化合物は、もっぱら肝臓でのみ機能すると予測されている。しかしながら、どちらのプロフィールを持つ化合物も、この疾病が両方の組織における不完全なグルコース利用によって特徴付けられるように、2型糖尿病を処置する際に治療的に有効であると予測される。
【0005】
GLK及びGLKRPとKATPチャネルは、エネルギーバランスの調節と食物摂取の制御とにおいて重要な脳の領域、視床下部のニューロンで発現される[14-18]。これらのニューロンは食欲及び食欲抑制神経ペプチドを発現することが示されており[15,19,20]、周囲のグルコース濃度の変化によって阻害または刺激される視床下部内のグルコース検出ニューロンであると想定されてきた[17,19,21,22]。グルコースレベルの変化を検出するこれらニューロンの能力は、遺伝的及び実験的に誘導させた種々の肥満モデルでは不完全である[23-28]。グルコキナーゼの拮抗阻害剤であるグルコース類似体を脳室内(icv)注入すると、痩せたラットでは食物摂取を刺激する[29,30]。対照的に、グルコースをicv注入すると、食餌が抑制される[31]。従って、GLKの小さな分子活性剤は、GLKの中心性の作用によって食物摂取と重量増を低下させる可能性がある。従って、GLK活性剤は、糖尿病に加えて、肥満等の摂食障害での処置での治療的利用ができるかもしれない。視床下部の作用は、2型糖尿病の処置に関して、グルコースホメオスタシスを正常化させる際に肝臓及び/または膵臓で作用する同一化合物の効果に対して付加的または相乗作用的であろう。かくして、GLK/GLKRP系は、(糖尿病と肥満の両方にとって役に立つ)重要な“糖尿病(Diabesity)”ターゲットとして記載することができる。
【0006】
PCT国際公開第WO00/58293号及び同第WO01/44216号(Roche)では、グルコキナーゼ活性剤として、一連のベンジルカルバモイル化合物が記載されている。かかる化合物がGLKを活性化する機序は、GLK活性がNADH産生に結合するアッセイでかかる化合物の直接効果を測定し、続いて光学的に測定することによって評価する(詳細は、実施例Aで記載のin-vitroアッセイを参照されたい)。本発明の化合物はGLKを直接活性化するか、またはGLKRPとGLKとの相互作用を阻害することによってGLKを活性化することができる。後者の機序は、本化合物が直接刺激した後で予想される深刻な高血糖症状の発現を引き起こさないという点で、GLKの直接的な活性化剤よりも重要な利点を提供する。本発明の多くの化合物は、公知のGLK活性化剤と比較して好ましい選択性を示すことができる。
【0007】
PCT国際公開第WO96/22282号、同第WO96/22293号、同第WO96/22294号、同第WO96/22295号、同第WO97/49707号及び同第WO97/49708号は、本発明で開示した化合物と構造的に似たバソプレッシン剤として有用な化合物の製造で使用する多くの中間体を開示する。PCT国際公開第WO96/41795号及び日本特許JP8143565号(バソプレッシン拮抗作用)、日本特許第JP8301760号(皮膚障害予防)及び欧州特許第EP619116(骨障害:osetopathy)にも、構造的に似た化合物が開示されている。
【0008】
PCT国際公開第WO01/12621号は、cJUN N-末端キナーゼの阻害剤としてのイソキサゾリルピリミジン類及び関連化合物の製造、並びにかかる化合物を含む医薬組成物について記載する。
【0009】
Cushmanら[Bioorg Med Chem Lett(1991年)1(4)巻,211〜14頁]は、ピリジン含有スチルベン類及びアミド類の合成並びに、プロテイン-チロシンキナーゼ阻害剤としての評価について記載する。Rogersら[J.Med.Chem(1981年)24(11)巻,1284〜7頁]は、環式-AMPホスホジエステラーゼの阻害剤としてのメソイオン性(mesoionic)プリノン類似体について記載する。
【0010】
PCT国際公開第WO00/26202号は、制ガン剤として2-アミノ-チアゾール誘導体の製造について記載する。英国特許第GB2331748号は、殺虫剤のチアゾール誘導体の製造について記載する。PCT国際公開第WO96/36619号は、消化管の運動を改善する薬剤としてアミノチアゾール誘導体の製造について記載する。米国特許第US5466715号及び同第US5258407号は、3,4-二置換フェノール免疫賦活剤の製造について記載する。日本特許第JP58069812号は、ベンズアミド誘導体を含有する低血糖薬について記載する。米国特許第US3950351号は、2-ベンズアミド-5-ニトロチアゾール類について記載し、Cavierら[Eur.J.Med.Chem-Chim Ther(1978年)13(6)巻,539〜43頁]は、これらの化合物の生物学的な重要性について議論している。
【0011】
国際特許出願第WO03/015774号は、グルコキナーゼ活性化剤としてベンゾイルアミノ複素環化合物の一群について記載し、国際公開第WO03/000262号は、グルコキナーゼ活性化剤としてビニルフェニル誘導体の一群について記載する。
【発明の開示】
【0012】
国際特許出願第WO03/000267号は、酵素グルコキナーゼ(GLK)の活性化剤であるベンゾイルアミノピリジルカルボン酸の一群について記載する。本出願人は、意外にも、GLK酵素の高い潜在性を保持しつつ、高い水溶性及び低い血漿結合(plasma binding)により、経口投与後、血漿中の薬剤の高いレベルをもつこれらの化合物の小規模に選び出したものを知見した。これによって、GLKを介して媒介される疾患または症状の処置または予防で使用するのに特に好適な化合物群となる。
【0013】
従って、本発明の第一の側面に従って、式(I):
【0014】
【化1】

【0015】
{式中、Aはフェニルまたは5-若しくは6-員のヘテロアリール環であり、ここでAは、不飽和であるか、R3から独立して選択される一つまたは二つの基で置換され;
R1は水素及びメチルから選択され;
R2は水素及びメチルから選択され;
R3はメチル、メトキシ、フルオロ、クロロ及びシアノから選択され;
但しR1及びR2の少なくとも一つはメチルである}の化合物またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物を提供する。
【0016】
式(I)の化合物は、本発明の範囲内に含まれる塩を形成してもよい。医薬的に許容可能な塩が好ましいが、他の塩も、たとえば化合物の単離または精製に有用であるかもしれない。
【0017】
本明細書において「ヘテロアリール」なる用語は、窒素、硫黄及び酸素から選択される少なくとも一つの原子を含む、芳香族単環式5-〜6-員の炭素環を意味する。「ヘテロアリール」環とは、他に記載しない限り、窒素を介する結合が帯電した四級窒素とならない限り、結合した炭素または窒素であってもよい。
【0018】
好ましくは「ヘテロアリール」環は、窒素、硫黄及び酸素から選択される一つのヘテロ原子を含む5-員の芳香族環である。
少なくとも1個のヘテロ原子を含む芳香族単環式5〜6員の環の例としては、チエニル、フラニル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、ピリジル、ピリドニル、ピラジニル、ピリダジニル及びピリミジニル、好ましくはフラニルまたはチエニルが挙げられる。
【0019】
上記定義の式(I)の化合物のあるものは、一つ以上の非対称炭素原子により光学活性またはラセミ形で存在することができ、本発明は、GLKを直接刺激またはGLK/GLKRP相互作用を阻害する特性を示すそのような全ての光学活性またはラセミ形をその定義に含む。光学活性形の合成は、たとえば、光学活性な出発物質からの合成により、またはラセミ形の分割によるなど、公知の有機化学の標準方法によって実施することができる。特定の化合物は、互変形で存在することができ、本発明はGLKを活性化する本発明の化合物の全ての互変形にも関連する。
【0020】
式(I)の好ましい化合物は、以下のいずれかの一つ以上を適用したものである:
(1) R1はメチルであり、好ましくは、以下のものである:
【0021】
【化2】

【0022】
(2) R2は水素である;
(3)Aは、フェニル、フラニル及びチエニルから選択され、好ましくはフェニル及び チエニルである。
【0023】
(4)Aは非置換であるか、またはメチルまたはフルオロにより置換される。
(5)式(I)の3の位置の基は、好ましくは以下のものである:
【0024】
【化3】

【0025】
本発明のさらなる特徴に従って、本発明の化合物の以下の好ましい群を提供する。
(I) 式(Ia):
【0026】
【化4】

【0027】
{式中、R2及びAは、式(I)の化合物における上記定義の通りである}の化合物またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグ。
(II) 式(Ib):
【0028】
【化5】

【0029】
{式中、R2は式(I)の化合物における上記定義の通りである}の化合物またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグ。
(III) 式(Ic):
【0030】
【化6】

【0031】
{式中、A’はヘテロアリールであり、R2は式(I)の化合物における上記定義の通りである}の化合物またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグ。
(IV) 式(Id):
【0032】
【化7】

【0033】
{式中、Aは、式(I)の化合物における上記定義の通りである}の化合物またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグ。
(V) 式(Ie):
【0034】
【化8】

【0035】
{式中、Aはフェニル、チエニル及びフラニルから選択され;
Aは場合により、メチル、メトキシ、クロロまたはフルオロにより置換され;
R1は水素及びメチルから選択され;
R2は水素及びメチルから選択され;
但し、R1及びR2の少なくとも一つはメチルである}の化合物またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグ。
【0036】
本発明のさらなる側面において、実施例のいずれか一つ、またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグを提供する。本発明のさらなる側面において、実施例のいずれか二つ以上、またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグを提供する。
【0037】
本発明の好ましい化合物は、以下のもののいずれか一つ、二つまたはそれ以上である:
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フラン-2-イルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-(2-メトキシフェニル)エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-チエン-2-イルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-(5-クロロチエン-2-イル)エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-チエン-2-イルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-(5-メチルフラン-2-イル)エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-{4-フルオロフェニル}エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(2S)-2-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(2R)-2-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;及び
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-{2-クロロフェニル}エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-{3,5-ジフルオロフェニル}エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-{3-フルオロフェニル}エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-(5-メチルチオフェン-2-イル)エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-{3-メトキシフェニル}エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-{2-メチルフェニル}エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-{4-メトキシフェニル}エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-(5-クロロフラン-2-イル)エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグ。
【0038】
本発明のより好ましい化合物は、以下のいずれか一つである:
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フラン-2-イルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;及び
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-(5-メチルフラン-2-イル)エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]- ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸または、その塩、溶媒和物若しくはプロドラッグ。
【0039】
本発明の化合物は、プロドラッグの形態で投与することができる。プロドラッグとは、体内で分解できて、本発明の化合物を生成することができる生物前駆体(bioprecursor)または医薬的に許容可能な化合物(たとえば本発明の化合物のエステルまたはアミド、特にin-vivo加水分解可能なエステル)である。種々の形態のプロドラッグが当業界で公知である。そのようなプロドラッグ誘導体の例としては、以下のものを参照されたい:
a) Design of Prodrugs、H.Bundgaard編(Elsevier,1985年)及びMethods in Enzymology,42巻,309〜396頁,K.Widderら編(Academic Press,1985年);
b) A Textbook of Drug Design and Development、Krogsgaard-Larsen編;
c) H.Bundgaard,第5章、“Design and Application of Prodrugs”、H.Bundgaard,113〜191頁(1991年);
d) H.Bundgaard,Advanced Drug Delivery Reviews、8巻、1〜38頁(1992年);
e) H.Bundgaardら、Journal of Pharmaceutical Sciences、77巻、285頁(1988年);及び
f) N.Kakeyaら、Chem Pharm Bull、32巻、692頁(1984年)。上記引用文献の内容は、本明細書中、参照として含まれる。
【0040】
プロドラッグの例は以下の通りである:カルボキシまたはヒドロキシ基を含有する本発明のin-vivo加水分解可能なエステルは、たとえば、人または動物の体内で加水分解して親酸またはアルコールを生成する医薬的に許容可能なエステルである。カルボキシに関する好適な医薬的に許容可能なエステル類としては、C1〜C6アルコキシメチルエステル類、たとえばメトキシメチル、C1〜C6アルカノイルオキシメチルエステル類、たとえばピバロイルオキシメチル、フタリジルエステル類、C3〜C8シクロアルコキシカルボニルオキシC1〜C6アルキルエステル類、たとえば1-シクロヘキシルカルボニルオキシエチル、1,3-ジオキソレン-2-オニルメチルエステル類、たとえば5-メチル-1,3-ジオキソレン-2-オニルメチル;及びC1〜C6アルコキシカルボニルオキシエチルエステル類がある。
【0041】
ヒドロキシ基を含有する本発明の化合物のin-vivo加水分解可能なエステルとしては、無機エステル類、たとえばリン酸塩エステル類(ホスホロアミド環式エステル類を含む)及びα-アシルオキシアルキルエーテル類及び、エステル崩壊のin-vivo加水分解の結果として(単数または複数の)親ヒドロキシ基となる関連する化合物がある。α-アシルオキシアルキルエーテル類の例としては、アセトキシメトキシ及び2,2-ジメチルプロピオニルオキシ-メトキシが挙げられる。ヒドロキシに関するin-vivo加水分解可能なエステル形成基の選択としては、アルカノイル、ベンゾイル、フェニルアセチル及び置換ベンゾイル、及びフェニルアセチル、アルコキシカルボニル(アルキルカルボネートエステルを与えるため)、ジアルキルカルバモイル及びN-(ジアルキルアミノエチル)-N-アルキルカルバモイル(カルバメートを与えるため)、ジアルキルアミノアセチル及びカルボキシアセチルが挙げられる。
【0042】
本発明の化合物の好適な医薬的に許容可能な塩は、たとえば、十分に塩基性である本発明の化合物の酸付加塩、たとえば無機または有機酸、たとえば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸またはマレイン酸等との酸付加塩である。さらに、十分に酸性である本発明のベンゾオキサジノン誘導体の好適な医薬的に許容可能な塩は、たとえばアルカリ金属塩、たとえばナトリウムまたはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、たとえばカルシウムまたはマグネシウム塩、アンモニウム塩または、生理的に許容可能なカチオンを提供する有機塩基との塩、たとえばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリンまたはトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミンとの塩である。
【0043】
本発明のさらなる特徴は、医薬的に許容可能な希釈剤またはキャリヤと共に上記定義の如き式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)または(Ie)の化合物またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグを含む医薬組成物である。
【0044】
本発明のもう一つの態様により、薬剤として使用するための上記定義の如き式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)または(Ie)の化合物を提供する。
さらに本発明に従って、GLKを媒介した疾病、特に2型糖尿病を処置するための薬剤の製造で使用するための式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)または(Ie)の化合物を提供する。
【0045】
本化合物は、このようにして使用するための医薬組成物として好適に製剤化される。
本発明のもう一つの側面に従って、GLK媒介疾患、特に糖尿病を処置するための方法であって、かかる処置の必要な哺乳類に式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)または(Ie)の化合物、またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグの有効量を投与することによる前記方法を提供する。
【0046】
本発明の化合物または組成物によって処置することができる具体的な疾患としては、低血糖症(hypoglycaemia)の重篤な危険性(1型への可能性)のない2型糖尿病、高コレステロール血症、肥満、インスリン抵抗性、代謝性症候群X、及び耐糖能異常が挙げられる。
【0047】
上記の如く、このGLK/GLKRP系は、(糖尿病と肥満の両方のためになる)潜在的な「肥満」ターゲットとして記載することができる。従って、本発明のもう一つの側面に従って、糖尿病及び肥満の併用処置または予防で使用するための薬剤の製造における、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)または(Ie)の化合物、またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグの使用を提供する。
【0048】
本発明のもう一つの側面に従って、肥満の処置または予防で使用する薬剤の製造における、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)または(Ie)の化合物、またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグの使用を提供する。
【0049】
本発明のさらなる側面に従って、肥満及び糖尿病の併用処置方法であって、かかる処置の必要な哺乳類に式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)または(Ie)の化合物、またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグの有効量を投与することを含む、前記方法を提供する。
【0050】
本発明のさらなる側面に従って、肥満の処置方法であって、かかる処置の必要なほ乳類に、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、または(Ie)の化合物、またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグの有効量を投与することを含む、前記方法を提供する。
【0051】
本発明の組成物は、経口利用(たとえば錠剤、トローチ、ハード若しくはソフトカプセル、水性若しくは油性懸濁液、エマルション、分散可能な粉末または顆粒、シロップまたはエリキシルとして)、局所利用(たとえばクリーム、軟膏、ゲルまたは油性溶液若しくは懸濁液)、吸入による投与(たとえば微粉末または液体エーロゾル)、吸入による投与(たとえば、微粉末)、あるいは非経口投与(たとえば、静脈、皮下、筋肉内または筋肉内投薬用の滅菌水性若しくは油性溶液、または直腸投薬用坐薬として)に適した形態にすることができる。
【0052】
本発明の組成物は、当業界で公知の慣用の医薬賦形剤を使用する慣用法により得ることができる。従って、経口利用を目的とする組成物は、たとえば一種以上の着色剤、甘味料、フレーバー剤及び/または防腐剤を含むことができる。
【0053】
錠剤を製剤するための適当な医薬的に許容可能な賦形剤としては、たとえば不活性希釈剤、たとえばラクトース、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウムまたは炭酸カルシウム;造粒剤及び崩壊剤、たとえばコーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、たとえばスターチ;潤滑剤、たとえばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク;防腐剤、たとえばエチルまたはプロピルp-ヒドロキシベンゾエート;及び酸化防止剤、たとえばアスコルビン酸が挙げられる。錠剤配合物は、いずれの場合においても当業界で公知のコーティング剤及び手順を使用してコーティングしてまたは、コーティングしないで胃腸管の中でのその崩壊性、及び続く活性成分の吸収性を変性させたり、あるいはその安定性及び/または外観を改良したりすることができる。
【0054】
経口利用用の組成物は、活性成分を不活性希釈剤、たとえば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリンと混合するハードゼラチンカプセル、あるいは活性成分を水または油、たとえばピーナッツ油、液体パラフィン若しくはオリーブ油と混合するソフトゼラチンカプセルの形態であってもよい。
【0055】
水性懸濁液は、通常、一種以上の懸濁化剤、たとえばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、及びアカシアゴム;分散剤または湿潤剤、たとえばレシチンまたは、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(たとえばポリオキシエチレンステアレート)、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪アルコールとの縮合生成物、たとえばヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと、脂肪酸とヘキシトールとから誘導した部分エステルとの縮合生成物、たとえばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪アルコールとの縮合生成物、たとえばヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと、脂肪酸とヘキシトールとから誘導した部分エステル類との縮合生成物、たとえばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、またはエチレンオキシドと、脂肪酸とヘキシトール無水物とから誘導した部分エステルとの縮合生成物、たとえばポリエチレンソルビタンモノオレエートと一緒に微粉状の活性成分を含むことができる。水性懸濁液は、一種以上の防腐剤(たとえばエチル若しくはプロピルp-ヒドロキシベンゾエート);酸化防止剤(たとえばアスコルビン酸);着色剤、フレーバー化剤及び/または甘味料(たとえば蔗糖、サッカリンまたはアスパルテーム)も含むことができる。
【0056】
油性懸濁液は、植物油(たとえば落花生油、オリーブ油、ごま油またはココヤシ油)中、または鉱物油(たとえば液体パラフィン)中に活性成分を懸濁させることによって製造することができる。この油性懸濁液は、増粘剤(たとえば蜜蝋、ハードパラフィンまたはセチルアルコール)も含むことができる。上記の如き甘味料及びフレーバー化剤を添加して口当たりの良い経口製剤を提供することができる。これらの組成物は、酸化防止剤(たとえばアスコルビン酸)を添加して貯蔵することができる。
【0057】
水を添加することによって水性懸濁液の製造に好適な分散可能な粉末または顆粒は、通常、分散剤または湿潤剤、懸濁剤と一種以上の防腐剤と一緒に本活性成分を含む。好適な分散剤または湿潤剤及び懸濁剤としては、既に上記したものが挙げられる。追加の賦形剤、たとえば甘味料、フレーバー化剤及び着色剤も配合することができる。
【0058】
本発明の医薬組成物は、水中油形エマルションの形態であってもよい。この油性相は植物油(たとえばオリーブ油若しくは落花生油)、または鉱物油(たとえば液体パラフィン)あるいはこれらの任意のものの混合物であってもよい。好適な乳化剤は、たとえば、天然ゴム(たとえばアカシアガム若しくはトラガカントゴム)、天然リン脂質(たとえば大豆、レシチン)、脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導したエステル類または部分エステル類(たとえばソルビタンモノオレエート類)及び前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(たとえばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)であってもよい。このエマルションは甘味料、フレーバー化剤及び防腐剤を含んでいてもよい。
【0059】
シロップ及びエリキシルは、甘味料(たとえばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、アスパルテームまたは蔗糖)と一緒に配合することができ、緩和薬、防腐剤、フレーバー化剤及び/または着色剤も含むことができる。
【0060】
本医薬組成物は、滅菌の注射可能な水性または油性懸濁液の形態であることもでき、これは上記の一種以上の好適な分散剤または湿潤剤及び懸濁剤を使用して公知方法に従って配合することができる。滅菌の注射用製剤は、たとえば1,3-ブタンジオール中の溶液などの非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌の注射可能な溶液または懸濁液であってもよい。
【0061】
吸入により投与するための組成物は、微粉末化固体を含有するエーロゾルまたは液滴として活性成分を分散させるように準備した慣用の加圧エーロゾルの形態であってもよい。慣用のエーロゾル噴射剤(たとえば揮発性フッ素化炭化水素類または炭化水素類)を使用し、このエーロゾル装置は、計量した活性成分を分配するように都合良く配置される。
【0062】
製剤に関する詳細な情報に関しては、Comprehensive Medicinal Chemistry、第5巻、25.2章(Corwin Hansch;Chairman of Editorial Board)、Pergamon Press、1990年を参照されたい。
【0063】
一回分の剤形を製造するために一種以上の賦形剤と混合する本活性成分の量は、特定の投与経路及び処置すべき受容者に依存して必然的に変動する。たとえば、ヒトへの経口投与用の製剤は、通常、たとえば、全組成物の重量の約5〜約98パーセントを変動し得る好適且つ慣用量の賦形剤と一緒にコンパウンディングした活性剤0.5mg〜2gを含む。単位剤形は、通常、活性成分約1mg〜約500mgを含む。投与経路及び用量レジメの詳細な情報に関しては、Comprehensive Medicinal Chemistry、第5巻、25.3章(Corwin Hansch;Chairman of Editorial Board)、Pergamon Press、1990年を参照されたい。
【0064】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)または(Ie)の化合物の治療目的または予防目的に関する投薬量のサイズは、薬剤の公知の原理に従って、症状の性質及び重篤度、動物または患者の年齢及び性別並びに投与経路に依存して当然のことながら変動する。
【0065】
治療目的または予防目的で式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)または(Ie)の化合物を使用する際、通常、投与量を分割しなければならないとすると、体重1kg当たり0.5mg〜75mgの範囲で一日の投与量となるように投与する。通常、非経口経路を使用する場合、低用量を投与する。従って、たとえば静脈内投与の場合、たとえば0.5mg〜30mg/体重kgの範囲の用量を、通常、使用する。同様に、吸入投与の場合、たとえば0.5mg〜25mg/体重kgの範囲の用量を使用する。しかしながら、経口投与が好ましい。
【0066】
本明細書中で記載するGLK活性の上昇は、単独の治療として適用することができ、または、本発明の対象に加えて、一種以上の他の物質及び/または処置を含んでもよい。かかる結合処置は、それぞれの処置成分の同時、逐次または別個の投与によって実施してもよい。同時処置は、一種類の錠剤または別個の錠剤で実施してもよい。たとえば、糖尿病化学療法としては、以下の主なカテゴリーの処置が挙げられる。
【0067】
1)インスリン及びインスリン類似体;
2)スルホニルウレアを含むインスリン分泌促進薬(たとえば、グリベクラミド:glibenclamide、グリピジド;glipizide)及び食事のグルコース調節剤(prandial glucose regulators)(たとえばレパグリニド:repaglinide、ナテグリニド:nateglinide);
3)インクレチン作用を促進する薬剤(たとえば、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、及びGLP-1アゴニスト);
4)PPARガンマアゴニストを含むインスリン感受性増強薬(たとえば、ピオグリタゾン:pioglitazone及びロシグリタゾン:rosiglitazone)並びに、混合PPARアルファ及びガンマ活性をもつ薬剤;
5)肝臓のグルコースバランスを調節する薬剤(たとえばメトホルミン、フルクトース1,6-ビスホスファターゼ阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グリコーゲンシンターゼキナーゼ阻害剤);
6)腸からのグルコースの吸収を抑制するように設計された薬剤(たとえばアカボース:acarbose);
7)腎臓によるグリコーゲンの再吸収を阻害する薬剤(SGLT阻害剤);
8)長期の高血糖症の合併症を処置するように設計された薬剤(たとえばアルドースレダクターゼ阻害剤);
9)抗肥満薬(たとえばシブトラミン:sibutramine及びオルリスタット:orlistat);
10)抗高コレステロール血症薬、たとえばHMG-CoAレダクターゼ阻害剤(スタチン類:statins;PPARαアゴニスト(フィブレート:fibrates、たとえばゲムフィブロジル);胆汁酸封鎖剤(コレスチラミン:cholestyramine);コレステロール吸収阻害剤(植物ステロイド、合成阻害剤);胆汁酸吸収阻害剤(IBATi)及びニコチン酸及び類似体(ナイアシン:niacin及び徐放性製剤);
11)抗高血圧薬、たとえばβ遮断薬(たとえばアテノロール:atenolol、インデラル:inderal);ACE阻害剤(たとえばリシノプリル:lisinopril);カルシウム拮抗薬(たとえば、ニフェヂピン:nifedipine);アンギオテンシンレセプター拮抗薬(たとえば、カンデサタン:candesartan)、α拮抗薬及び利尿薬(たとえばフロセミド:furosemide、ベンズチアジド:benzthiazide);
12)止血調節薬(haemostasis modulators)たとえば血小板凝集阻止薬、線維素溶解及び抗血小板物質の活性剤;トロンビン拮抗薬;因子Xa阻害剤;因子VIIa阻害剤):抗血小板物質薬(antiplatelet agents)(たとえばアスピリン、クロピドグレル:clopidogrel);血液凝固阻止薬(ヘパリン及び低分子量類似体、ヒルジン:hirudin)及びワルファリン;並びに
13)グルカゴンの作用を拮抗する薬剤;並びに
14)抗炎症薬、たとえば非ステロイド系抗炎症薬(たとえばアスピリン)及びステロイド系抗炎症薬(たとえばコルチゾン)。
【0068】
本発明のもう一つの側面に従って、本発明は、以下に説明する実施例における目標生成物として個々の化合物並びにその塩、溶媒和物及びプロドラッグを提供する。
本発明の化合物またはその塩は、かかる化合物または構造的に関連する化合物の製造に適用可能であることが公知の任意の方法により製造することができる。官能基は慣用法を使用して保護及び脱保護することができる。保護基の例としては、たとえばアミノ酸及びカルボン酸保護基(並びに形成及び最後の脱保護の手段)がある(T.W.Greene及びP.G.M. Wuts、“Protective Groups in Organic Synthesis”,第二版、John Wiley &Sons、New York、1991年を参照されたい)。
【0069】
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)または(Ie)の化合物の合成方法は、本発明のさらなる特徴として提供される。かくして、本発明のさらなる特徴に従って、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)または(Ie)の化合物の製造方法であって:
(a)式(IIIa)の酸またはその活性化誘導体と、式(IIIb):
【0070】
【化9】

【0071】
{式中、P1はHまたは保護基であり、たとえばC1-4アルキル(好ましくはメチルまたはエチル)である}の化合物との反応;または
(b)式(IIIc):
【0072】
【化10】

【0073】
{式中、P1は保護基である}の化合物の脱保護;または
(c)式(IIId)の化合物と式(IIIe):
【0074】
【化11】

【0075】
{式中、X1は離脱基であり、且つX2はヒドロキシル基であるか、X1はヒドロキシル基であり、且つX2は離脱基であり、ここでP1は保護基である}の化合物との反応;または
(d)式(IIIf)の化合物と式(IIIg):
【0076】
【化12】

【0077】
{式中、X3は離脱基であり、且つX4はヒドロキシル基であるか、X3はヒドロキシル基であり、且つX4は離脱基である}の化合物との反応;または
(e)式(IIIh)の化合物と式(IIIi):
【0078】
【化13】

【0079】
{式中、X5は離脱基であり、ここでP1はHまたは保護基であり、たとえばC1-4アルキル(好ましくはメチルまたはエチル)である}の化合物との反応を含み、その後必要により、
i)式(I)の化合物を式(I)のもう一つの化合物に転換する;
ii)全ての保護基を除去する;
iii)その塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物を形成する、各段階を含む前記方法を提供する。
【0080】
方法a)〜e)の好適な離脱基は当業者には公知であり、たとえば活性化ヒドロキシ離脱基(たとえばメシレート及びトシレート基)並びにハロ離脱基、たとえばフルオロ、クロロまたはブロモが挙げられる。
【0081】
式(IIIa)〜(IIIi)の化合物は市販されているか、当業界で公知及び/または本明細書中の実施例例示のごとき任意の慣用法にて製造することができる。通常、全てのアリール-Oまたはアルキル-O結合は、場合により好適な塩基の存在下、求核置換または金属触媒化工程によって形成できると考えられよう。
【0082】
上記反応の具体的な反応条件は、以下の通りである。
方法a):アミドを形成するためのアミノ基とカルボン酸とのカップリング反応は、当業界で公知である。たとえば
(i)室温で、DCM、クロロホルムまたはDMFなどの好適な溶媒中、DMAPの存在下、EDACで実施するカルボジイミドカップリング反応などの、好適なカップリング反応を使用する;または
(ii)塩化メチレンなどの好適な溶媒の存在下、塩化オキサリルとの反応により、カルボン酸を酸クロリドへ活性化させる反応。この酸クロリドは、次いで、0℃〜室温で、トリエチルアミンまたはピリジンなどの塩基の存在下、クロロホルムまたはDCM等の好適な溶媒中で、式(IIIb)の化合物と反応させることができる。
【0083】
方法b)脱保護反応は当業界で公知である。P1の例としては、C1-6アルキル及びベンジルが挙げられる。P1がC1-6アルキルであるとき、この反応は、THF/水などの好適な溶媒中、水酸化ナトリウムの存在下で実施することができる。
【0084】
方法c)式(IIId)及び(IIIe)の化合物は、場合により炭素上に担持させたパラジウムまたはヨウ化銅などの金属触媒を使用して、0〜100℃の温度で、水素化ナトリウムまたはカリウムtert-ブトキシドなどの塩基と、DMFまたはTHFなどの好適な溶媒中で一緒に反応させることができる。
【0085】
あるいは、式(IIId)及び(IIIe)の化合物は、トリフェニルホスフィンなどの好適なホスフィン、及びジエチルアゾジカルボキシレートなどのアゾジカルボキシレートと、THFまたはDCMなどの好適な溶媒中で一緒に反応させることができる。
【0086】
方法d)式(IIIf)と式(IIIg)の化合物の反応は、上記方法c)に記載の如き反応条件を使用して実施することができる。
方法e)式(IIIh)の化合物と式(IIIi)の化合物との反応は、DMFなどの極性溶媒、またはTHFなどの非極性溶媒中、場合により炭素上に担持させたパラジウムまたはヨウ化銅などの金属触媒を使用して、0〜100℃の温度で、水素化ナトリウムまたはカリウムtert-ブトキシドなどの強塩基と実施することができる。
【0087】
この製造方法の間、この分子内の官能基のために保護基を使用すると都合がよい。保護基は、文献で公知または、当該保護基の除去に関して適当なものと当業者に公知の任意の好都合な方法によって除去することができ、そのような方法は、分子の他の場所の基への障害を最小としつつ、その保護基を除去するように選択される。
【0088】
保護基の具体例は、便宜上、以下に記載する。「低級」とは、それに結合する基が1〜4個の炭素原子を持つことを表す。これらの例は完全ではないことは理解されよう。保護基の除去に関する具体例が以下に与えられる場合にも同様に、これらは完全ではない。具体的に記載されていない脱保護の方法及び保護基の使用ももちろん、本発明の範囲内である。
【0089】
カルボキシ保護基は、エステル形成性脂肪族若しくは芳香族脂肪族アルコールの残基またはエステル形成性シラノール(前記アルコールまたはシラノールは、好ましくは1〜20個の炭素原子を含む)の残基であってもよい。カルボキシ保護基の例としては、直鎖または分岐鎖(1〜12C)アルキル基(たとえばイソプロピル、t-ブチル);低級アルコキシ低級アルキル基(たとえば、メトキシメチル、エトキシメチル、イソブトキシメチル);低級脂肪族アシルオキシ低級アルキル基(たとえばアセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル);低級アルコキシカルボニルオキシ低級アルキル基(たとえば1-メトキシカルボニルオキシエチル、1-エトキシカルボニルオキシエチル);アリール低級アルキル基(たとえばp-メトキシベンジル、o-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、ベンズヒドリル及びフタリジル);トリ(低級アルキル)シリル基(たとえばトリメチルシリル及びt-ブチルジメチルシリル);トリ(低級アルキル)シリル低級アルキル基(たとえばトリメチルシリルエチル);及び(2〜6C)アルケニル基(たとえばアリル及びビニルエチル)が挙げられる。
【0090】
カルボキシル保護基の除去に関して特に好適な方法としては、たとえば酸-、金属-または酵素的-触媒化加水分解が挙げられる。
ヒドロキシ保護基の例としては、低級アルケニル基(たとえばアリル);低級アルカノイル基(たとえばアセチル);低級アルコキシカルボニル基(たとえばt-ブトキシカルボニル);低級アルケニルオキシカルボニル基(たとえばアリルオキシカルボニル);アリール低級アルコキシカルボニル基(たとえばベンゾイルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、o-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル);トリ低級アルキル/アリールシリル基(たとえばトリメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル);アリール低級アルキル基(たとえばベンジル)基;及びトリアリール低級アルキル基(たとえばトリフェニルメチル)が挙げられる。
【0091】
アミノ保護基の例としては、ホルミル、アラルキル基(たとえばベンジル及び置換ベンジル、たとえばp-メトキシベンジル、ニトロベンジル及び2,4-ジメトキシベンジル及びトリフェニルメチル);ジ-p-アニシルメチル及びフリルメチル基;低級アルコキシカルボニル(たとえばt-ブトキシカルボニル);低級アルケニルオキシカルボニル(たとえばアリルオキシカルボニル);アリール低級アルコキシカルボニル基(たとえばベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、o-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル;トリアルキルシリル(たとえばトリメチルシリル及びt-ブチルジメチルシリル);アルキリデン(たとえばメチリデン);ベンジリデン並びに置換ベンジリデン基が挙げられる。
【0092】
ヒドロキシ及びアミノ保護基の除去の好適な方法としては、たとえば酸-、塩基-若しくは酵素的-触媒化加水分解、またはo-ニトロベンジルオキシカルボニルなどの基に関しては光分解的に、またはシリル基に関してはフッ化物イオンなどが挙げられる。
【0093】
アミド基の保護基の例としては、アラルコキシメチル(たとえばベンジルオキシメチル及び置換ベンジルオキシメチル);アルコキシメチル(たとえばメトキシメチル及びトリメチルシリルエトキシメチル);トリアルキル/アリールシリル(たとえばトリメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル);トリアルキル/アリールシリルオキシメチル(たとえばt-ブチルジメチルシリルオキシメチル、t-ブチルジフェニルシリルオキシメチル);4-アルコキシフェニル(たとえば4-メトキシフェニル);2,4-ジ(アルコキシ)フェニル(たとえば2,4-ジメトキシフェニル);4-アルコキシベンジル(たとえば4-メトキシベンジル);2,4-ジ(アルコキシ)ベンジル(たとえば2,4-ジ(メトキシ)ベンジル);及びアルク-1-ケニル(たとえばアリル、ブト-1-エニル並びに置換ビニル、たとえば2-フェニルビニル)が挙げられる。
【0094】
アラルコキシメチル基は、適当なアラルコキシメチルクロリドとアミド基とを反応させることによりアミド基上に導入し、接触水素化によって除去することができる。アルコキシメチル、トリアルキル/アリールシリル及びトリアルキル/シリルオキシメチル基は、適当なクロリドとアミドとを反応させて導入し、酸で、シリル含有基の場合にはフッ化物イオンで除去することができる。このアルコキシフェニル及びアルコキシベンジル基は、適当なハロゲン化物とのアリール形成またはアルキル化によって好都合に導入され、硝酸セリウムアンモニウムとの酸化により除去する。最終的に、アルク-1-エニル基は、適当なアルデヒドとアミドとの反応により導入し、酸により除去することができる。
【実施例】
【0095】
以下の実施例は、説明の目的のためであって、本出願の範囲を限定するものではない。それぞれ例示した化合物は、本発明の特別且つ別個の態様を示すものである。以下の非限定的な実施例において、他に記載しない限り、以下の如きである:
(i)蒸発は真空下でロータリーエバポレーターにより実施し、仕上げ手順は、濾過により乾燥剤などの固体残渣を除去した後で実施した。
【0096】
(ii)操作は室温、すなわち18〜25°Cの範囲及び不活性ガス、たとえばアルゴンまたは窒素雰囲気下で実施した。
(iii)収率は、説明のだめだけに提供するものであって、必ずしも達成し得る最大ではない。
【0097】
(iv)式(I)の最終生成物の構造は、核(通常プロトン)磁気共鳴(NMR)及びマススペクトル法で確認した。プロトン磁気共鳴化学シフト値は、デルタスケールで測定し、ピーク多重度は、以下に示す:s、一重線;d、二重線;t、三重線;m、多重線;br、ブロード;q、四重線;quin、五重線。
【0098】
(v)中間体については通常、十分にキャラクタリゼーションせず、純度は薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、赤外(IR)またはNMR分析により評価した。
【0099】
(vi)Isoluteシリカカートリッジは、Flashmaster2システム(Argonaut Technologies,Inc.,Hengoed,Mid Glamorgan,Wales、イギリスCF82 8AU)を使用して溶離した、IST(International Sorbent Technology,Hengoed,Mid Glamorgan,Wales、イギリス、CF82 7RJ)製の予め充填したシリカカートリッジ(1g〜70g)を指す。
【0100】
(vii)Biotageカートリッジは、Biotage UK Ltd(Hertford,Herts,UK)のバイオテージ(biotage)ポンプ及びフラクションコネクタシステムを使用して溶離した、予め充填したシリカカートリッジ(40g〜400g)を指す。
【0101】
(viii)セライトは珪藻土を指す。
以下の略号を使用する:DCM=ジクロロメタン;DEAD=ジエチルジアゾカルボキシレート;DIAD=ジ-i-プロピルアゾジカルボキシレート;DMSO=ジメチルスルホキシド;DMF=ジメチルホルムアミド;EDAC=1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩;HPMC=ヒドロキシプロピルメチルセルロース;LCMS=液体クロマトグラフィー/マススペクトル分析;RT=室温;及びTHF=テトラヒドロフラン。
【0102】
実施例1
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸
【0103】
【化14】

【0104】
THF中のメチル6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボキシレート(180mg,0.376mmol)の溶液に、蒸留水(1.0ml)と水酸化ナトリウム溶液(1Mの0.95ml,0.95mmol,〜2.5当量)を添加した。メタノール(2滴)を添加して溶解性を高め、この混合物を周囲温度で2時間撹拌した。この反応混合物を塩酸溶液(1Mの1ml)で中和し、THFを真空下で除去した。さらに水を添加して、得られた固体を濾別し、さらに蒸留水で洗浄した。部分的に乾燥した後、固体をアセトニトリル(2ml)中で懸濁させて、約1時間撹拌した。固体を濾過し、さらにアセトニトリルで洗浄すると、無色固体状の6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸が得られた。
1H-NMR(d6-DMSO):1.25(2d,6H),2.85-3.05(m,2H),3.35(s,3H),3.5(m,2H),4.75(m,1H),4.85(m,1H),6.65(s,1H),7.2(m,3H),7.3(m,4H),8.3(s,2H),8.9(s,1H),11.15(s,1H),13.2(br s,1H);
m/z 465(M+H)+,463(M+H),100%LC-MS。
【0105】
実施例1の調製用の中間体は以下のスキームに従って製造した。
【0106】
【化15】

【0107】
メチル6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボキシレート
【0108】
【化16】

【0109】
乾燥THF(20ml)中のメチル6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-ヒドロキシ-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボキシレート(1.0g,2.46mmol)、(R)-1-メトキシ-2-プロパノール(0.34ml,3.47mmol,1.4当量)及びポリマーに担持させたトリフェニルホスフィン(約3mmol/g,2.5g,約3当量)の撹拌懸濁液に、アルゴン下でジ-tert-ブチルアゾジカルボキシレート(DTAD,1.13g,4.9mmol,2当量)を添加し、この反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。有機溶媒の大部分を真空下で除去し、酢酸エチルを残渣に添加した。懸濁液をセライトを通して濾過し、さらに酢酸エチルで洗浄した。この溶媒を真空下で除去し、残渣をクロマトグラフィー(40gのBiotageシリカカートリッジ(酢酸エチルを10%〜20%に上昇させて含むヘキサンで溶離)にかけると、無色ガム状のメチル6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボキシレート(740mg)が得られた。
1H-NMR(d6-DMSO):1.2(2d,6H),2.9-3.0(m,2H),3.3(s,3H),3.45(m,2H),3.85(s,3H),4.7(m,1H),4.8(m,1H),6.65(s,1H),7.2(m,3H),7.3(m,4H),8.3(s,2H),8.9(s,1H),11.1(br s,1H);
m/z 479(M+H)+,477(M-H)
【0110】
メチル6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-ヒドロキシ-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボキシレート
【0111】
【化17】

【0112】
THF:メタノール混合物(1:1で300ml)中のメチル6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-ベンジルオキシ-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボキシレート(6g,12.1mmol)の溶液に、炭素上に担持させたパラジウム触媒(10%重量/重量を600mg)を添加し、得られた懸濁液を水素雰囲気下、周囲温度で一晩撹拌した。触媒を濾別し、続けてメタノールとTHFで洗浄し、濾液を蒸発させると、無色固体状のメチル6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-ヒドロキシ-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボキシレート(5g)が得られた。
1H-NMR(d6-DMSO):1.25(d,3H),2.8-3.0(m,2H),3.9(s,3H),4.75(m,1H),6.55(s,1H),6.95(s,1H),7.1(s,1H),7.2(m,1H),7.3(m,4H),8.35(m,2H),8.9(s,1H),9.7(br s,1H),11.05,(s,1H);
m/z 407(M+H)+,405(M-H),97%LC-MS。
【0113】
メチル6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-ベンジルオキシ-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボキシレート
【0114】
【化18】

【0115】
DCM(150ml)中の3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-ベンジルオキシ-安息香酸(10g,27.6mmol)の溶液をアルゴン下で、DCM(50ml)中の塩化オキサリル(6.0ml,69.2mmol,2.5当量)の撹拌溶液に添加した。触媒量のDMFを添加し、得られた溶液を5時間撹拌した。この溶液を真空下で蒸発させ、さらにDCMと共に一度共沸させ、残渣を高真空下で乾燥させると、酸クロリドが得られ、これをキャラクタリゼーションすることなく使用した。
【0116】
上記からの酸クロリド(約27.6mmol)をTHFに溶解し、ピリジン(25ml)を含むTHF(75ml)中のメチル6-アミノニコチネート(6.3g,41mmol,1.5当量)の撹拌溶液にアルゴン下で添加した。この反応混合物を一晩撹拌し、溶媒の大部分を真空下で除去した。残渣を酢酸エチル(300ml)中に取り出し、この懸濁液を水(2回)、1Mクエン酸(2回、洗液が酸性になるまで)及び塩水の順で洗浄した。得られた溶液を乾燥(MgSO4)し、蒸発させると、薄茶色ガム状の粗な生成物が得られた(約13g)。これをクロマトグラフィー(200gのBiotageシリカカートリッジ、酢酸エチルを10%から15%に増やして含むヘキサンで溶離)にかけると、無色泡状のメチル6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-ベンジルオキシ-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボキシレート(6.6g)が得られた。
1H-NMR(d6-DMSO):1.1(d,3H),2.8-3.05(m,2H),3.85(s,3H),4.8(m,1H),5.2(s,2H),6.75(s,1H),7.1-7.5(m,12H),8.35(s,2H),8.9(s,1H),11.10,(br s,1H)。スペクトルは、酢酸エチルによるシグナルも含んでいた(約25mol%);
m/z 497(M+H)+
【0117】
3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-ベンジルオキシ-安息香酸
【0118】
【化19】

【0119】
THFとメタノール(1:1の200ml)中のメチル3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ)]-5-ベンジルオキシ-安息香酸(12.5g,33.2mmol)の溶液を、蒸留水(100ml)中の水酸化ナトリウム(4g,100mmol,3当量)の溶液で処理し、この反応混合物を一晩撹拌した。得られた溶液をクエン酸溶液(1Mの110ml)で酸性化し、有機溶媒の大部分を真空下で除去した。残渣を水(約100ml)で希釈し、酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。この抽出物を混合し、水及び塩水で順に洗浄し、乾燥(MgSO4)し、蒸発させると、無色固体状の3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-ベンジルオキシ-安息香酸(10.5g)が得られた。
1H-NMR(d6-DMSO):1.2(d,3H),2.8-3.0(m,2H),4.7(m,1H),5.15(s,2H),6.8(m,1H),7.0(m,1H),7.1(m,1H),7.15-7.5(m,10H);
m/z 363(M+H)+,361(M-H)
【0120】
メチル3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-ベンジルオキシ-ベンゾエート
【0121】
【化20】

【0122】
THF中のメチル3-ヒドロキシ-5-ベンジルオキシ-安息香酸(10.3g,40mmol)の溶液に、トリフェニルホスフィン(15.7g,60mmol,1.5当量)及び(R)-1-フェニル-プロパン-2-オールを添加した。この撹拌溶液をアルゴンのブランケットに入れ、氷浴中で冷却した。ジエチルアゾジカルボキシレートの溶液(DEAD,トルエン中40%溶液26ml,60mmol,1.5当量)を、内部温度を10℃未満に保持しながら滴下添加した。添加後、溶液を一晩撹拌して、放置して周囲温度に温めた。
【0123】
溶媒の大部分を真空下で除去し、残渣をヘキサン/酢酸エチル混合物(1:1の150ml)に溶解し、この溶液を周囲温度に一晩放置して、得られた不溶性物質を濾別した。濾液を蒸発させて、残渣をクロマトグラフィー(400gのBiotageシリカカートリッジ、酢酸エチル10%容積/容積を含むヘキサンで溶離)にかけると、薄い金色油状のメチル3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-ベンジルオキシ-ベンゾエート(12.5g)が得られた。
1H-NMR(d6-DMSO):1.2(d,3H),2.8-3.0(m,2H),3.85(s,3H),4.75(m,1H),5.15(s,2H),6.85(m,1H),7.05(m,1H),7.1(m,1H),7.2-7.5(m,10H)。
【0124】
メチル3-ヒドロキシ-5-ベンジルオキシベンゾエート
【0125】
【化21】

【0126】
DMF(6リットル)中のメチル3,5ジヒドロキシベンゾエート(1000g,5.95mol)の溶液に、炭酸カリウム(1240g,9mol)を添加し、この懸濁液をアルゴン下、周囲温度で撹拌した。これに、臭化ベンジル(1440g,8.42mol,1.42当量)を1時間かけてゆっくりと添加すると、やや発熱した。この反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。次いでこれを塩化アンモニウム溶液(5リットル)続いて水(35リットル)で注意深くクエンチした。この水性懸濁液をDCM(3リットルを1回、5リットルを2回)で抽出した。混合した抽出物を水(10リットル)で洗浄し、MgSO4上で乾燥した。この溶液を真空下で蒸発させ、粗な生成物を3バッチでクロマトグラフィー(フラッシュカラム、3×2kgシリカ,10%DCMを含むヘキサン〜100%DCM〜酢酸エチル50%を含むDCMからなる勾配液で溶離)にかけて出発物質を除去した。粗な溶出液を再び175gバッチで再びクロマトグラフィー(Amicon HPLC,5kg順相シリカ、酢酸エチル20%容積/容積を含むイソヘキサンで溶離)にかけると、非常に薄い金色油状のメチル3-ヒドロキシ-5-ベンジルオキシ-ベンゾエート(325g)が得られた。
1H-NMR(d6-DMSO):3.8(s,3H),5.1(s,2H),6.65(m,1H),7.0(m,1H),7.05(m,1H),7.3-7.5(m,5H),9.85(br s,1H)。
【0127】
実施例2
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フラン-2-イルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸
【0128】
【化22】

【0129】
実施例2は、実施例1の調製と似た方法を使用して、対応するエステル、メチル6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フラン-2-イルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボキシレートから製造した。
1H-NMRδ(d6-DMSO):1.22(d,3H),1.27(d,3H),2.96(m,2H),3.26(s,3H),3.46(m,2H),4.70(m,1H),4.82(m,1H),6.19(d,1H),6.34(m,1H),6.65(s,1H),7.18(s,2H),7.52(m,1H),8.28(s,2H),8.85(s,1H),11.10(bs,1H),COOHは見られない。
(M+H)+455。
【0130】
実施例2と同様の方法を使用して、好適なキラルアルコールを使用して実施例2.1〜2.15も製造した。
【0131】
【化23】

【0132】
【化24】

【0133】
実施例2の中間体は、以下のスキームに従って製造した。
【0134】
【化25】

【0135】
メチル6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フラン-2-イルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボキシレート
【0136】
【化26】

【0137】
乾燥THF(20ml)中のメチル6-[3-ヒドロキシ-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ]-3-ピリジンカルボキシレート(900mg,2.5mmol)、(1R)-1-メチル-2-フラン-2-イルエタノール(441mg,3.5mmol,1.4当量)及びトリフェニルホスフィン(982mg,1.5当量)の撹拌溶液を氷浴中で冷却し、THF(2.5ml)中のジ-iso-プロピルアゾジカルボキシレート(DIAD,714μl,3.75mmol,1.5当量)の溶液を滴下添加した。この反応混合物を一晩、周囲温度で撹拌し、有機溶媒の大部分を真空下で除去し、残渣をクロマトグラフィー(70gのIsoluteシリカカートリッジ、0%〜50%へ酢酸エチルを増やして含むヘキサンで溶離)にかけると、無色ガム状のメチル6-{[3(1S)-(1-メチル-2-フラニルエトキシ)]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボキシレート(527mg)が得られた。
1H-NMR(d6-DMSO):1.22(d,3H),1.29(d,3H),2.91(dd,1H),3.02(dd,1H),3.27(s,3H),3.46(m,2H),3.85(s,3H),4.75(m,2H),6.19(m,1H),6.35(m,1H),6.66(m,1H),7.17(m,2H),7.52(m,1H),8.31(d,2H),8.90(s,1H),11.78(bs,1H);このNMRは、N,N'ジ-iso-プロピルカルボニルヒドラジンによるシグナルも含んでいた。
m/z 469(M+H)+;86%、LC/MS。
【0138】
実施例2.1〜2.15の製造に関する好適なエステルも製造した。
【0139】
【化27】

【0140】
【化28】

【0141】
上記エステルの合成に必要なアルコールは、市販されているか(実施例2.7及び2.8)または、以下に記載の方法A若しくは方法Bを使用して製造した。
方法A:(1R)-1-メチル-2-フラン-2-イルエタノール
【0142】
【化29】

【0143】
(全ての操作はアルゴン下で実施した)2-ブロモフラン(3.65g,24.75mmol)をTHF(10ml)に溶解し、マグネシウム削りクズ(0.7g,28.75mmol,1.16当量)と触媒量のヨウ素を添加し、この混合物を反応が開始するまで激しく撹拌するか注意深く温めた。次いでマグネシウムが殆ど消費されるまで、温度を約60℃に保持した。次いでこの混合物を−20℃に冷却し、ヨウ化銅(0.109g,0.575mmol)、続いて−25〜−20℃に温度を保持しながら、THF(15ml)中の(R)-1,2-エポキシプロパン(1.11g,19.17mmol)の溶液を滴下添加した。添加後、この反応混合物をさらに2時間撹拌して、周囲温度に放置して温め、塩化アンモニウム飽和溶液(20ml)で処理し、酢酸エチルで抽出した(2×75ml)。次いで有機相を塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、還元すると茶色の流動性の液体となった。これをクロマトグラフィー(50gのIsoluteシリカカートリッジ、酢酸エチルを5%から20%または30%に増加させて含むヘキサンで溶離)にかけると、薄黄色の移動性油状の(1R)-1-メチル-2-フラン-2-イルエタノール(2.03g,65%)が得られた。
1H-NMR:δ(d6-DMSO):1.03(d,3H),2.56(dd,1H),2.72(dd,1H),3.84(m,1H),4.61(d,1H),6.08(m,1H),6.32(m,1H),7.45(s,1H)。
【0144】
方法B:(1R)-1-メチル-2-(5-メチルチオフェン)-2-イルエタノール
【0145】
【化30】

【0146】
乾燥THF(25mL)中のジイソプロピルアミン(2.4ml;17.05mmol)の溶液を−78℃で、ヘキサン中のn-ブチルリチウム(1.6Mの10.7ml)で滴下添加して処理し、この反応混合物を−78℃で30分間撹拌した。次いでこの混合物をTHF(25ml)中の2-メチルチオフェン(1.5ml,15.5mmol)の溶液を含むフラスコにカニューレを介して導入し、この反応物を−78℃で1時間撹拌しておいた。次いでこの混合物を−30℃でに放置して温め、ここでヨウ化銅(I)(1.48g;7.75mmol)を添加し、−30℃で20分間保持してから、(R)-1,2-エポキシ-プロパン(1.1ml;17.05mmol)を添加した。添加後、この反応混合物をさらに2時間撹拌して、放置して周囲温度に温め、塩化アンモニウム飽和溶液(20ml)で処理し、酢酸エチル(2×75ml)で抽出した。次いでこの有機相を塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過して真空下で濃縮すると、赤/橙色の残渣が得られた。これをクロマトグラフィー(酢酸エチルを10%〜30%に増加させて含むヘキサンで溶離)にかけると、黄色/橙色の移動性油状の(1R)-1-メチル-2-(5-メチルチオフェン)-2-イルエタノール(870mg;36%)が得られた。
1H-NMR(d6-DMSO):1.0(d,3H),2.35(s,3H),2.7(m,2H),3.7(m,1H),4.6(d,1H),6.6(m,2H)。
【0147】
以下のキラルアルコール類は、記載の方法Aまたは方法Bを使用して同様の方法で製造した。
【0148】
【化31】

【0149】
【化32】

【0150】
メチル6-[3-ヒドロキシ-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ]-3-ピリジンカルボキシレート
【0151】
【化33】

【0152】
THF(85ml)中のメチル6-[3-ベンジルオキシ-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ]-3-ピリジンカルボキシレート(17g,0.038mol)の撹拌溶液に、メタノール(85ml)を添加した。炭素上に担持させたパラジウム触媒(10%重量/重量の1.7g)をアルゴン雰囲気下で添加し、得られた懸濁液を周囲温度で、水素雰囲気中、一晩撹拌した。セライトを通して触媒を濾別除去し、THFで洗浄し、濾液を蒸発させると薄茶色固体が得られた。これをエーテルですりつぶすと、メチル6-[3-ヒドロキシ-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ]-3-ピリジンカルボキシレート(9.8g)が得られた。
1H-NMR(d6-DMSO):1.25(d,3H),3.3(s,3H),3.45(m,2H),3.85(s,3H),4.65(m,1H),6.55(m,1H),6.95(m,1H),7.1(m,1H),8.3(m,2H),8.9(m,1H),11.0,(s,1H);
m/z 361(M+H)+,359(M-H)-
【0153】
メチル6-[3-ベンジルオキシ-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ]-3-ピリジンカルボキシレート
【0154】
【化34】

【0155】
DMF(1ml)を含むDCM(250ml)中の3-ベンジルオキシ-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-安息香酸(24g,75.9mmol)の溶液に、塩化オキサリル(12.4ml,151.7mmol,2.0当量)をアルゴン下で滴下添加し、得られた溶液を4時間撹拌した。次いでこの溶液を真空下で蒸発させ、さらにDCM(3×100ml)で共沸させ、残渣を高真空下で乾燥すると酸クロリドが得られ、これをキャラクタリゼーションすることなく使用した。
【0156】
上記の酸クロリド(約75.9mmol)をTHF(100ml)に溶解し、アルゴン下で、THF(100ml)とピリジン(100ml)との混合物中のメチル6-アミノニコチネート(13.9g,91.1mmol,1.2当量)の溶液に添加した。この反応混合物を一晩撹拌し、次いで溶媒を殆ど真空化で除去した。残渣を酢酸エチル(250ml)に取り出し、懸濁液を1Mクエン酸(洗液が酸性になるまで、2回)次いで塩水の順で洗浄した。得られた溶液を乾燥(MgSO4)し、蒸発させると茶色ガム状の粗な生成物(約40g)が得られた。これをクロマトグラフィー(400gのBiotageシリカカートリッジ、酢酸エチル20%容積/容積を含むヘキサンで溶離)にかけると、薄茶色固体状のメチル6-[3-ベンジルオキシ-5-[(1S)-2-メキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ]-3-ピリジンカルボキシレート(17.05g)が得られた。
1H-NMR(d6-DMSO):1.21(d,3H),3.47(m,2H),3.86(s,3H),3.72(m,1H),5.16(s,2H),6.78(t,1H),7.23(s,1H),7.29(s,1H),7.31-7.49(m,5H),8.32(s,2H),8.90(app t,1H),11.15(s,1H)。
m/z 451.47(M+H)+,449.48(M-H)
【0157】
3-ベンジルオキシ-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-安息香酸
【0158】
【化35】

【0159】
THFとメタノール(1:1の232ml)中のメチル3-ベンジルオキシ-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾエート(先の反応からの粗な生成物,77.4mmol)の溶液を、水酸化ナトリウム溶液(2Mの116ml,232mmol,3当量)で処理し、反応混合物を周囲温度で4時間撹拌した。得られた溶液を水(250ml)で希釈し、有機溶媒の大部分を真空下で除去した。得られた懸濁液をジエチルエーテル(3×200ml)で洗浄し、洗液を廃棄した。得られた水溶液を2M HCl溶液でpH4に酸性化し、酢酸エチル(2×200ml)で抽出した。抽出物を混合し、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、蒸発させると、薄黄色油状の3-ベンジルオキシ-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-安息香酸(24.5g)が得られ、これを静置すると固化した。
1H-NMR(d6-DMSO):1.20(d,3H),3.46(m,2H),4.64(m,1H),5.15(s,2H),6.83(app t,1H),7.06(s,1H),7.13(s,1H),7.30-7.49(m,5H),12.67(s br,1H)。
【0160】
メチル3-ベンジルオキシ-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾエート
【0161】
【化36】

【0162】
THF中のメチル3-ベンジルオキシ-5-ヒドロキシ-ベンゾエート(20g,77.4mmol)の溶液に、ポリマーに担持させたトリフェニルホスフィン(3mmol/g充填量の51.7g,155mmol,2.0当量)と(R)-1-メトキシ-プロパン-2-オール(10ml,102mmol,1.3当量)を添加した。撹拌した溶液をアルゴンブランケットに入れ、氷浴中で冷却した。ジ-イソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD,22.8ml,116mmol,1.5当量)をシリンジから10分かけて滴下添加した。添加後、この溶液を20分間撹拌し、次いで濾過し、残渣をTHF(500ml)で洗浄した。濾液と洗液を混合し、蒸発させると、粗なメチル3-ベンジルオキシ-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾエートが得られ、これをさらに精製することなく次段階で使用した。
1H-NMR(d6-DMSO):3.26(s,3H),3.44(m,2H),3.82(s,3H),4.63(m,1H),5.14(s,2H),6.85(s,1H),7.05(s,1H),7.11(s,1H),7.30-7.47(m,5H)。スペクトルは、少量のN,N'ジ(イソプロピルオキシカルボニルヒドラジン)と一致するシグナルも含んでいた。
【0163】
メチル3-ベンジルオキシ-5-ヒドロキシ-ベンゾエート
これは、実施例1の中間体に記載の如く製造した。
実施例3
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-(5-クロロ-フラン-2-イル)エトキシ)]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸
【0164】
【化37】

【0165】
四塩化炭素(10ml)中のメチル6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フラン-2-イルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボキシレート(1000mg,2.14mmol)、N-クロロスクシンイミド(428mg,3.20mmol,1.5当量)の溶液を、70℃で5.5時間撹拌した。ジクロロエタン(50ml)を添加し、得られた混合物を水(2×25ml)、塩水(1×25ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。反応をLCMSでモニターし、65%生成物が表示されたら仕上げた。濾過した溶液を還元すると、粗な赤い油状のメチル6-{3-[(1S)-1-メチル-2-(5-クロロフラン-2-イルエトキシ)]-5-[(1S)-2-メトキシ-1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボキシレート(1030mg)が得られた。この油状物をTHF(25ml)、蒸留水(6.0ml)及び水酸化ナトリウム溶液(1Mの6ml,6mmol,約3.0当量)に溶解した。メタノール(1.25ml)を添加して溶解性を高め、この混合物を周囲温度で4時間撹拌した。この反応混合物を塩酸溶液(1Mの6ml)で中和し、THFを真空化で除去した。さらに水を添加し、得られた固体を濾別し、さらに蒸留水で洗浄した。最終精製は、0.1%蟻酸を含む水中の5〜100%アセトニトリルで溶離する分取LC-MS(Phenonemex LUNA 10μm,C18カラム、流速25ml/分)により白色固体(176mg)が得られた。1H-NMR(d6-DMSO):1.21(d,3H),1.27(d,3H),2.93(t,2H),3.27(s,3H),3.44(m,2H),4.71(m,1H),4.80(m,1H),6.27(m,1H),6.32(m,1H),6.65(m,1H),7.16(m,2H),8.18(d,2H),8.86(m,1H),11.50(bs,1H),COOHは見られなかった。(M+H)+ 489/491。
【0166】
生物学的
試験
式(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)または(Ie)の化合物の生物学的効果を以下のようにして試験することができる。
【0167】
(1) GLKの酵素活性は、GLK、ATP及びグルコースをインキュベートすることによって測定することができる。生成物の形成速度は、G-6-Pデヒドロゲナーゼ、NADP/NADPH系へのアッセイのカップリングにより、及び340nmにおける光学密度の経時での線形増加を測定する(Matschinskyら、1993年)ことによって決定することができる。化合物によるGLKの活性化は、Brocklehurstら(Diabetes、2004年、53巻、535-541ページ)に記載のGLKRPの存在下または非存在下でこのアッセイを使用して評価することができる。
【0168】
(2) GLKとGLKRPとの間の結合作用を測定するためのGLK/GLKRP結合アッセイ。この方法を使用して、GLKとGLKRPとの間の相互作用を調節することによってGLKを調節する化合物を同定することができる。GLKRP及びGLKを場合により試験化合物の存在下、阻害濃度のF-6-Pと共にインキュベートし、GLKとGLKRPとの間の相互作用量を測定する。F-6-Pを置換するか、なんらかの方法でGLK/GLKRP相互作用を減少させる化合物は、形成したGLK/GLKRP複合体の量の減少によって検出されよう。F-6-P結合を促進するか、何らかの方法でGLK/GLKRP相互作用を増加させる化合物は、形成したGLK/GLKRP複合体の量の増加によって検出できよう。そのような具体的な例を以下に記載する。
【0169】
GLK/GLKRPシンチレーション近接アッセイ(scintillation proximity assay)
組換えヒトGLK及びGLKRPを使用して、PCT国際公開第WO01/20327号(この内容は、本明細書中、参照として含まれる)に記載の如く、「混合及び測定(mix and measure)96ウエルSPA(シンチレーション近接アッセイ)を確立した。GLK(ビオチニル化)及びGLKRPを、放射線同位体で標識化した[3H]F-6-P(Amersham Custom Synthesis、TRQ8689)の阻害濃度の存在下でストレプトアビジン結合SPAビーズ(Amersham)と共にインキュベートすると、シグナルが得られた。F-6-Pを置換するか、何らかの方法でGLK/GLKRP結合相互作用を乱す化合物は、このシグナルを消失させるだろう。
【0170】
結合アッセイは、室温で2時間実施した。この反応混合物は、50mM Tris-HCl(pH7.5)、2mM ATP、5mM MgCl2、0.5mM DTT、組換えビオチニル化GLK( 0.1mg)、組換えGLKRP(0.1mg)、0.05mCi[3H]F-6-P(Amersham)を含み、終容積100mlとなった。インキュベーション後、GLK/GLKRP複合体形成の内容物は、0.1mg/ウエルのアビジン結合SPAビーズ(Amersham)を添加して測定し、Packard TopCount NXTでシンチーレーションカウントした。
【0171】
(3) GLKRPとF-6-Pとの間の結合相互作用を測定するためのF-6-P/GLKRP結合アッセイ。この方法を使用して、化合物の作用の機序におけるさらなる情報を提供した。GLK/GLKRP結合アッセイで証明された化合物は、F-6-Pを置換するか、何らかの方法でGLK/GLKRP相互作用を変えることによって、GLKとGLKRPの相互作用を調節することができる。たとえば、蛋白質−蛋白質相互作用は通常、多重結合部位による相互作用によって起きることが知られている。かくして、GLKとGLKRPとの間の相互作用を調節する化合物は、種々の結合部位の一つ以上に結合することによって作用することが可能である。
【0172】
このF-6-P/GLKRP結合アッセイは、GLKRPのその結合部位をF-6-Pで置換することによって、GLKとGLKRPの相互作用を調節する化合物だけを同定する。
GLKRPは、GLKの非存在下、試験化合物と阻害濃度のF-6-Pと一緒にインキュベートし、F-6-PとGLKRPとの間の相互作用量を測定する。F-6-Pの結合をGLKRPに置き換える化合物は、形成したGLKRP/F-6-P錯体の量における変化によって検出することができる。そのような結合アッセイの具体例を以下に記載する。
【0173】
F-6-P/GLKRPシンチレーション近接アッセイ
組換えヒトGLKRPを使用して、PCT国際公開第WO01/20327号(この内容は、本明細書中、参照として含まれる)に記載の如く、「混合及び測定(mix and measure)96ウエルSPA(シンチレーション近接アッセイ)を確立した。FLAGタグ化GLKRPを、放射線標識した阻害濃度の[3H]F-6-Pの存在下で、蛋白質Aコーティング化SPAビーズ(Amersham)と抗-FLAG抗体と共にインキュベートした。シグナルが発生する。F-6-Pを置換する化合物のシグナルが消失するだろう。このアッセイとGLK/GLKRP結合アッセイとの組み合わせによって、観察者は、F-6-Pを置換することによってGLK/GLKRP結合相互作用を乱す化合物を同定できる。
【0174】
結合アッセイを室温で2時間実施した。この反応混合物は、50mM Tris-HCl(pH7.5)、2mM ATP、5mM MgCl2、0.5mM DTT、組換えFLAGタグ化GLKRP(0.1mg)、抗-Flag M2抗体(0.2mg)(IBI Kodak)、0.05mCi [3H]F-6-P(Amersham)を含んでおり、終容積は100mlとした。インキュベーション後、F-6-P/GLKRP錯体形成の量は、0.1mg/ウエルの蛋白質A結合SPAビーズ(Amersham)を添加して測定し、Packard TopCount NXTでシンチレーションカウントした。
【0175】
組換えGLK及びGLKRPの産生
mRNAの製造
ヒト肝臓全mRNAは、Sambrook J、Fritsch EF及びManiatis T(1989年)に記載の如く、4Mグアニジンイソチオシアネート、2.5mMクエン酸塩、0.5%のSarkosyl、100mMのb-メルカプトエタノール中でのポリトロンホモジェナイゼーション(polytron homogenisation)、続いて135,000g(最大)で、5.7MのCsCl、25mMの酢酸ナトリウムで遠心分離して製造した。
【0176】
Poly A+mRNAは、FastTrack(商標)mRNA単離キット(Invitrogen)を使用して直接製造した。
GLK及びGLKRP cDNA配列のPCR増幅
ヒトGLK及びGLKRP cDNAは、Sambrook、Fritsch及びManiatis(1989年)に記載の確立した方法を使用して、ヒト肝臓mRNAからPCRにより得た。PCRプライマーは、Tanizawaら(1991年)及びBonthron,D.Tら(1994年)(後に、Warner,J.P.が訂正、1995年)に示されているGLK及びGLKRP cDNA配列に従って設計した。
【0177】
Bluescript IIベクターにおけるクローニング
GLK及びGLKRP cDNAは、バクテリオファージT3及びT7プロモーター配列が側面についた(flank)、多重の特徴的な制限部位を含むポリリンカーDNAフラグメントを保持するcolEI-ベースのレプリコン;複製の繊維状ファージ始点及びアンピシリン薬剤耐性マーカー遺伝子を含む、Yanisch-Perron Cら(1985年)により使用されたものと似た組換えクローニングベクター系を、pBluescript II(Shortら、1998年)を使用してE.coliでクローニングした。
【0178】
形質転換
E.Coli形質転換は、通常、エレクトロポレーションによって実施した。株DH5aまたはBL21(DE3)の400ml培養物をL-ブロス中で、OD600で0.5まで成長させ、2,000gで遠心分離して収穫した。細胞を氷冷脱イオン水で二回洗浄し、10%グリセロール1ml中に再懸濁させて、−70℃でアリコートにして貯蔵した。連結反応混合物は、ミリポアVシリーズ(商標)膜(孔径0.0025mm)を使用して脱塩した。細胞40mlを連結反応混合物またはプラスミドDNA1mlと共に、0.2cmエレクトロポレーションキュベット中、氷上で10分間インキュベートし、次いでGene Pulser(商標)装置(BioRad)を使用し、0.5kVcm-1、250mFでパルスをかけた。形質転換物は、テトラサイクリン(10mg/ml)またはアンピシリン(100mg/ml)を補充したL-寒天上で選択した。
【0179】
発現
GLKは、E.coli BL21細胞中、ベクターpTB375NBSEから発現させ、N-末端メチオニンの直ぐ隣に6-Hisタグを含む組換え蛋白質を産生した。あるいは、もう一つの好適なベクターは、pET21(+)DNA、Novagen、カタログ番号697703である。この6-Hisタグを使用して、ニッケル−ニトリロ三酢酸アガロース(Quiagenより購入、カタログ番号30250)を充填したカラムで組み替え蛋白質を精製した。
【0180】
GLKRPは、E.coli BL21細胞中でベクターpFLAG CTC(IBI Kodak)から発現し、C-末端FLAGタグを含む組換え蛋白質を産生する。この蛋白質を最初にDEAEセファロースイオン交換により、続いてSigma-Aldrich(カタログ番号A1205)から購入したM2-抗-FLAG免疫親和性(immunoafinity)カラム上で最終精製用にFLAGを使用して精製した。
【0181】
GLKのビオチニル化
GLKは、Sigma-Aldrich(カタログ番号B2643)から購入したビオチンアミドカプロエートN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(ビオチン-NHS)と反応させてビオチニル化した。手短に言えば、ターゲット蛋白質(GLK)の遊離アミノ基を、安定なアミド結合を形成する所定のモル比でビオチン-NHSと反応させて、共有結合ビオチンを含む生成物を得る。過剰の、結合していないビオチン-NHSは、透析によって生成物から除去する。具体的には、GLK7.5mgを、25mM HEPES、pH7.3、0.15M KCl、1mMジチオスレイトール、1mM EDTA、1mM MgCl2(緩衝液A)4mL中にビオチン-NHS0.31mgを添加した。この反応混合物を、ビオチン-NHS22mgをさらに含む緩衝液A100mLに対して透析した。4時間後、過剰量のビオチン-NHSを、緩衝液Aに対して長時間透析することによって除去した。
【0182】
ラットに経口投与した後の血漿レベルと血漿蛋白質結合の測定
ラットへの化合物の投与と血漿のサンプリング
遊星型ボールミルにより粉砕した化合物(Planetary Milled compounds)[15分、500rpm、5つのジルコンボール、Puluerisette 7 Mill(Glen Creston Ltd,Stanmore,Middlesex、イギリス)]を、0.5%HPMC Tweenに懸濁し、経口強制飼養により0.3〜10mg/kgの用量で、5ml/kgで高脂肪食(High Fat Fed;Research Diets,D12451,14日間自由給餌)のメスAlderley Park ZuckerまたはAlderley Park Wistarラットに与えた。
【0183】
血漿サンプルは、意識下での血液サンプリングまたは末期血液サンプリングによって得た。それは以下の通りである。
意識下での血液サンプリング(conscious blood sampling:化合物レベル及び血液化学用)−静脈血サンプルは、600μlのStarstedt Multivette(EDTA)と22G針を必要な時間点で用いて、尾の静脈から採取した。サンプルを氷上に保持し、抜き取ってから15〜30分以内に3000rpmで10分間遠心分離した。血漿を吸引し−20℃で貯蔵した。
【0184】
化合物レベルまたは血液化学用の末期血液サンプリング−実験の最後に、動物をCO2/O2に暴露することによって安楽死させた。血液サンプルは、心臓穿刺により採取した。サンプルを氷上に保持し、抜き取って15〜30分以内に3000rpmで10分間遠心分離した。血漿を吸引し、−20℃で貯蔵した。
【0185】
ラット血漿における化合物レベルの測定
ラット血漿25μlを、96ウェル蛋白質沈降プレート(Varian inc.Palo Alto,California,アメリカ合衆国)に加えた。それぞれのウエルに、1μg/mlの(3-イソプロポキシ-5-ベンジルオキシ-ベンゾイル)アミノピリジン3-カルボン酸を含むアセトニトリル500μlを添加して内部標準として作用させ、血漿蛋白質を沈降させた。次いで血漿/溶媒混合物を真空下で沈降プレートを通して吸引し、溶離液を集めた。この溶離液を遠心性エバポレーターを使用して蒸発乾涸させ、メタノール:水:蟻酸(60:40:0.1)200μl中に再構築した。
【0186】
次いでこの再構築したサンプルを、タンデムマススペクトル検出器を備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC-MS-MS)を使用して分析した。HPLCは、Phenomenex Prodigy C8、50×4.6、5μmカラム(Phenomenex,Macclesfield,イギリス)を使用して、注射液容量10μlを使用して流速1ml/分で、以下の勾配溶離液プロフィールを使用して、実施した:移動相A:水中0.1%蟻酸;移動相B:メタノール中0.1%蟻酸;移動相勾配:0分、50%A;0.5分、5%A;2.5分、5%A;2.6分、50%A;3.0分、50%A。
【0187】
質量分析は、Applied Biosystems API3000 Mass spectrometer(Applied Biosystems,Foster City,California,アメリカ合衆国)を使用して実施した。サンプルをかける前に、質量分析器を試験化合物の構造に対して最適化した。
【0188】
試験サンプルの濃度は、試験サンプルのピーク高さ対内部標準のピーク高さの比から決定した。試験サンプルの濃度は、上記の如く処理した、内部標準として(3-イソプロポキシ-5-ベンジルキシ-ベンゾイル)アミノピリジン3-カルボン酸を使用して、ラット血漿のサンプルに添加した試験サンプルの公知濃度を使用して製造した濃度に対する比に関する標準曲線を参照して計算した。
【0189】
化合物の血漿蛋白質結合の測定
化合物の血漿蛋白質結合は、平衡透析法(W.Lindnerら,J.Chromatography,1996年,677巻,1-28ページ)を使用して測定した。化合物は、血漿及び等張リン塩緩衝液(pH7.4)(透析セルそれぞれに1ml)と共に、37℃で18時間、20μM濃度で透析した。Spectrum(登録商標)20-セル平衡透析機を、テフロン(登録商標)(Teflon)、セミ-マイクロ透析セルとSpectra/Por(登録商標)2膜ディスク(分子量遮断12〜14000ダルトン、47mm,PerBio Science UK Ltd,Tattenhall,Cheshire)と共に使用した。血漿と緩衝液サンプルを以下の透析から取り出し、HPLCUV/MS(UV及び質量分析検出器を備えた高速液体クロマトグラフィー)を使用して分析すると、血漿中の%遊離レベルが得られた。
【0190】
本発明の化合物は、約150nM未満のEC50でグルコキナーゼを活性化し、血漿中の遊離比は約0.05%〜約1%であり、ピーク血液レベル(結合及び遊離の両方を含む)はラット体重1キログラム当たり化合物1mgの標準化用量に関して約1μM〜約10μMであった。
【0191】
たとえば、実施例2.1は以下の値である。
【0192】
【化38】

【0193】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の化合物またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物であって、式中、
Aはフェニルまたは5-若しくは6-員のヘテロアリール環であり、ここでAは、不飽和であるか、R3から独立して選択される一つまたは二つの基で置換され;
R1は水素及びメチルから選択され;
R2は水素及びメチルから選択され;
R3はメチル、メトキシ、フルオロ、クロロ及びシアノから選択され;
但しR1及びR2の少なくとも一つはメチルである。
【請求項2】
式中、R1がメチルである、請求項1に記載の化合物またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物。
【請求項3】
式(Ia):
【化2】

{式中、A及びR2は請求項1に定義の通りである}の化合物である、請求項1または2に記載の式(I)の化合物、またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物。
【請求項4】
式(Ib):
【化3】

の化合物である、請求項3に記載の式(Ia)の化合物、またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物。
【請求項5】
式(Ic):
【化4】

{式中、A’はヘテロアリールである}の化合物である、請求項3に記載の式(Ia)の化合物、またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物。
【請求項6】
式中、R2が水素である、請求項1〜5のいずれか1つに定義の式(I)、(Ia)、(Ib)または(Ic)の化合物、またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物。
【請求項7】
式(Ie):
【化5】

{式中、Aはフェニル、チエニル及びフラニルから選択され;
Aは場合によりメチル、メトキシ、クロロまたはフルオロにより置換され;
R1は水素及びメチルから選択され;
R2は水素及びメチルから選択され;
但し、R1及びR2の少なくとも一つはメチルである}の化合物である、請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物。
【請求項8】
以下のものから選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物:
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-フラン-2-イルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-(2-メトキシフェニル)エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-チエン-2-イルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-(5-クロロチエン-2-イル)エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-チエン-3-イルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-(5-メチルフラン-2-イル)エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-{4-フルオロフェニル}エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(2S)-2-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(2R)-2-メチル-2-フェニルエトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;及び
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-{2-クロロフェニル}エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-{3,5-ジフルオロフェニル}エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-{3-フルオロフェニル}エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-(5-メチルチオフェン-2-イル)エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-{3-メトキシフェニル}エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-{2-メチルフェニル}エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-{4-メトキシフェニル}エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸;
6-{3-[(1S)-1-メチル-2-(5-クロロフラン-2-イル)エトキシ]-5-[(1S)-2-メトキシ1-メチルエトキシ]-ベンゾイルアミノ}-3-ピリジンカルボン酸。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグを、医薬的に許容可能な希釈剤またはキャリヤと一緒に含む、医薬組成物。
【請求項10】
薬剤として使用するための、請求項1〜8のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグ。
【請求項11】
特に2型糖尿病でGLKを介して媒介された疾患の処置用薬剤の製造で使用するための、請求項1〜8のいずれか一つに記載の式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグ。
【請求項12】
GLK媒介疾患、特に糖尿病の処置の必要な哺乳類に、請求項1〜8のいずれか一つに記載の式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグの有効量を投与することによる、GLK媒介疾患、特に糖尿病の処置法。
【請求項13】
糖尿病及び肥満の併用処置または予防で使用する薬剤の製造における、請求項1〜8のいずれか一つに記載の式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグの使用。
【請求項14】
肥満の処置または予防で使用する薬剤の製造における、請求項1〜8のいずれか一つに記載の式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグの使用。
【請求項15】
肥満及び糖尿病の併用処置の必要な哺乳類に、請求項1〜8のいずれか一つに記載の式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグの有効量を投与することによる、肥満及び糖尿病の併用処置法。
【請求項16】
肥満の処置の必要な哺乳類に、請求項1〜8のいずれか一つに記載の式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物若しくはプロドラッグの有効量を投与することによる、肥満の処置方法。
【請求項17】
請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物の製造方法であって、
(a)式(IIIa)の酸またはその活性化誘導体と、式(IIIb):
【化6】

{式中、P1はHまたは保護基である}の化合物との反応;または
(b)式(IIIc):
【化7】

{式中、P1は保護基である}の化合物の脱保護;または
(c)式(IIId)の化合物と式(IIIe):
【化8】

{式中、X1は離脱基であり、且つX2はヒドロキシル基であるか、X1はヒドロキシル基であり、且つX2は離脱基であり、ここでP1は保護基である}の化合物との反応;または
(d)式(IIIf)の化合物と式(IIIg):
【化9】

{式中、X3は離脱基であり、且つX4はヒドロキシル基であるか、X3はヒドロキシル基であり、且つX4は離脱基である}の化合物との反応;または
(e)式(IIIh)の化合物と式(IIIi):
【化10】

{式中、X5は離脱基であり、ここでP1はHまたは保護基である}の化合物との反応を含み、その後必要により、
i)式(I)の化合物を式(I)のもう一つの化合物に転換する;
ii)全ての保護基を除去する;
iii)その塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物を形成する、各段階を含む前記方法。

【公表番号】特表2007−509917(P2007−509917A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537425(P2006−537425)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004579
【国際公開番号】WO2005/044801
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】