説明

ケーシング用成型部品及びその金型

【課題】型による成形が容易なケーシング用成型部品および成形に使用する成形型を提供する。
【解決手段】筒1101の少なくとも一方の端部の周縁部に、筒の軸方向に伸びる複数の突起部1103を備えており、複数の突起部が筒の内側に折り曲げられた状態で、他の部品1001を筒の内側に嵌め合せるように構成されたケーシング用成型部品1100とすることで、成形される際に型を引き抜くことができないアンダーカットを有しないため、型を使用した成形によって簡単に製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーシング用成型部品及びその金型に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、一つの面に開口部を備え、その開口部に他の部品を嵌め合せることによって、該他の部品のケーシングとして使用される部品が使用されている (たとえば、特許文献1) 。
【0003】
図13は、他の部品4001のケーシングとして使用される、ケーシング用部品4100の構成の一例を示す図である。図13に示すように、他の部品4001と係合するようにケーシング用部品4100の開口部の周囲の少なくとも一部には、ケーシング用部品4100の内側に突出した部分4103が備わる。
【0004】
このような形状のケーシング用部品4100を、型を使用した成型によって製造する場合に、ケーシング用部品4100の内部の空洞部は、型を引き抜くことができないアンダーカット部と呼ばれる部分である。したがって、このような形状のケーシング用部品4100を、型を使用した成型によって簡単に製造することはできなかった。すなわち、他の部品と係合するようにケーシング用部品の開口部の周囲の少なくとも一部に、ケーシング用部品の内側に突出した部分を備えたケーシング用部品であって、型を使用した成型によって簡単に製造することのできるケーシング用成型部品は開発されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−123875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、他の部品と係合するようにケーシング用部品の開口部の周囲の少なくとも一部に、ケーシング用部品の内側に突出した部分を備えたケーシング用部品であって、型を使用した成型によって簡単に製造することのできるケーシング用成型部品に対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様による筒状のケーシング用成型部品は、筒の少なくとも一方の端部の周縁部に、該筒の軸方向に伸びる複数の突起部を備えており、該複数の突起部が該筒の内側に折り曲げられた状態で、他の部品を該筒の内側に嵌め合せるように構成されている。
【0008】
本態様による筒状のケーシング用成型部品は、筒の少なくとも一方の端部の周縁部に、該筒の軸方向に伸びる複数の突起部を備えている。本発明による筒状のケーシング用成型部品は、成型される際には、アンダーカット部を有しないので、型を使用した成型によって簡単に製造することができる。
【0009】
本発明の一実施形態によるケーシング用成型部品は、前記複数の突起部の折り曲げられる部分の肉厚が、他の部分の肉厚よりも薄くなるように構成されている。
【0010】
本実施形態によれば、前記複数の突起部の折り曲げられる部分の肉厚が、他の部分の肉厚よりも薄くなるように構成されているので、前記複数の突起部を前記筒の内側に容易に折り曲げることができる。
【0011】
本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品においては、複数の突起部の折り曲げられる部分の肉厚が、0.05mmから0.5mmの範囲である。
【0012】
折り曲げられる部分の肉厚が、0.05mmより小さいと、部品の強度が不足し、また、成型の際に材料が充填しにくいという問題が生じる。折り曲げられる部分の肉厚が、0.5mmより大きいと、突起部を折り曲げる際に大きな形状歪みが生じ、また、複数の突起部を筒の内側に曲げる際の作業性が低下する。複数の突起部の折り曲げられる部分の肉厚が、0.05mmから0.5mmの範囲であれば、部本の強度が十分であり、かつ、複数の突起部を筒の内側に曲げる際の作業性も維持される。
【0013】
本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品においては、前記複数の突起部の肉厚が、折り曲げられる部分からの距離にしたがって増加する。
【0014】
本実施形態によれば、突起部の肉厚が、折り曲げられる部分からの距離にしたがって増加するように構成されているので、筒部の軸方向に垂直な断面において、筒部の内側へ折り曲げられた突起部に内接する円の径は、折り曲げられた部分である筒部の端部からの距離にしたがって、すなわち、筒部の奥へ進むにしたがって小さくなる。このような構成により、ケーシング用成型部品の、筒部の内側へ折り曲げられた突起部に他の部品を嵌め合せるのが容易になる。
【0015】
本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品においては、前記筒の軸方向に垂直な断面において、前記筒の内側へ折り曲げられた前記複数の突起部の少なくとも2個に内接する円の径は、前記一方の端部からの距離にしたがって減少する。
【0016】
本実施形態によれば、筒部の軸方向に垂直な断面において、筒部の内側へ折り曲げられた突起部に内接する円の径は、折り曲げられた部分である筒部の端部からの距離にしたがって、すなわち、筒部の奥へ進むにしたがって小さくなる。このような構成により、ケーシング用成型部品の、筒部の内側へ折り曲げられた突起部に他の部品を嵌め合せるのが容易になる。
【0017】
本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品は、前記筒の内側に折り曲げられた突起部と係合する、切り欠き部を備えている。
【0018】
本実施形態によれば、筒の内側に折り曲げられた突起部が切り欠き部と係合し固定されるので、突起部に他の部品を嵌め合せるのが容易になる。
【0019】
本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品においては、前記筒の軸方向に垂直な断面が長方形であり、前記複数の突起部が、該長方形の各辺に一つずつ配置されている。
【0020】
本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品においては、前記筒の軸方向に垂直な断面が円形であり、前記複数の突起部が、円周の3箇所以上に配置されている。
【0021】
本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品においては、前記複数の突起部が、円周上に置いて、円の中心に対して回転非対称に配置されている。
【0022】
本実施形態によれば、筒部の内側へ折り曲げられた突起部に他の部品を嵌め合せる際に、正しい向きに(正しい位置関係で)嵌め合せることができる。
【0023】
本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品においては、前記複数の突起部が、前記筒の径方向に凸または凹の形状を備えている。
【0024】
本実施形態によれば、ケーシング用成型部品と嵌め合せる他の部品に凹または凸の形状を設け、突起部の凸または凹の形状と噛み合わせれば、他の部品のケーシング用成型部品へのより安定した嵌め合せを実現することができる。
【0025】
本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品は、プラスチックからなる。
【0026】
本実施形態によれば、プラスチックの射出成形によって簡単に製造することのできるケーシング用成型部品が得られる。
【0027】
本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品においては、前記プラスチックがポリエチレンまたはポリプロピレンのいずれかである。
【0028】
本実施形態によれば、プラスチックがポリエチレンまたはポリプロピレンのいずれかであり柔らかいので、複数の突起部を筒の内側に曲げるのが容易である。
【0029】
本発明の他の実施形態において、前記筒の他方の端部にレンズが成型され、外部からの光が該レンズを通して前記他の部品に到達するように構成されている。
【0030】
本実施形態によれば、レンズ及びセンサの位置調整が容易なレンズ及びセンサの組み立て部品が得られる。
【0031】
本発明の第2の態様によるケーシング用成型部品の金型は、筒状のケーシング用成型部品であって、筒の少なくとも一方の端部の周縁部に、該筒の軸方向に伸びる複数の突起部を備えており、該複数の突起部が該筒の内側に折り曲げられた状態で、他の部品を該筒の内側に嵌め合せるように構成され、該複数の突起部の折り曲げられる部分の肉厚が、他の部分の肉厚よりも薄くなるように構成されたケーシング用成型部品の金型である。本態様による金型は、該筒の内側に対応する第1の金型部分と、該筒の該一方の端部と反対側の端部側部分の外側に対応する第2の金型部分と、該筒の該一方の端部側部分の外側に対応する第3の金型部分とを含み、第2の金型部分と第3の金型部分との境界が、該折り曲げられる部分よりも該一方の端部側に位置するように構成されている。
【0032】
本態様によれば、金型からケーシング用成型部品を取り出す際に、第1の金型部分を筒の開放された端部側に引き出してから、第2の金型部分と第3の金型部分を分離して、ケーシング用成型部品を取り出すと、ケーシング用成型部品の突起部は、筒の内側に折り曲げられる。したがって、突起部を筒の内側に折り曲げる手間が省ける。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態によるケーシング用成型部品の構成を示す図である。
【図2】本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品の構成を示す図である。
【図3】本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品の構成を示す図である。
【図4】本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品の構成を示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品の構成を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品の構成を示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品の構成を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品の構成を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態によるケーシング用成型部品とセンサとを嵌め合せて基板上に配置した状態を示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品とセンサとを嵌め合せて基板上に配置した状態を示す図である。
【図11】本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品とセンサとを嵌め合せて基板上に配置した状態を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態によるケーシング用成型部品を成形するための金型の構造を示す図である。
【図13】他の部品のケーシングとして使用される、ケーシング用部品の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明の一実施形態によるケーシング用成型部品1100の構成を示す図である。ここで、成型部品とは、型を使用した成型によって形成される部品をいう。本実施形態及び以下に記載される実施形態のケーシング用成形部品はプラスチックから形成され、特に、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの柔らかい材料から形成されるのが好ましい。ケーシング用成型部品1100は、筒部1101と突起部1103とを含む。図1(a)は、突起部1103を折り曲げていない状態のケーシング用成型部品1100を示す図である。図1(b)は、突起部1103を筒部1101の内側へ折り曲げた状態のケーシング用成型部品1100を示す図である。図1(c)は、突起部1103を筒部1101の内側へ折り曲げた状態で、他の部品1001を内側へ折り曲げた突起部1103に嵌め合せたケーシング用成型部品1100を示す図である。図1(a)に示すように、ケーシング用成型部品1100の、筒部1101と突起部1103との間の折り曲げられる部分1105は、折り曲げやすいように他の部分よりも肉厚が薄くなっている。突起部1103は、筒部1101の一方の端部の周上に複数個設置される。
【0035】
図1(a)に示したケーシング用成型部品1100は、アンダーカット部を含まないので、型を使用した成型によって製造することができる。図1(a)に示したケーシング用成型部品1100は、図1(c)に示すように、突起部1103を筒部1101の内側へ折り曲げた状態で、他の部品1001を内側へ折り曲げた突起部1103に嵌め合せて、該他の部品1001のケーシングとして機能することができる。
【0036】
図2(a)は、本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品1200の構成を示す図である。ケーシング用成型部品1200は、筒部1201と突起部1203とを含む。ケーシング用成型部品1200の、筒部1201と突起部1203との間の折り曲げられる部分1205は、折り曲げやすいように他の部分よりも肉厚が薄くなっている。また、突起部1203の肉厚は、折り曲げられる部分1205からの距離にしたがって増加するように構成されている。突起部1203は、筒部1201の一方の端部の周上に複数個設置される。図2(a)に、突起部1203が筒部1201の内側へ折り曲げた状態を二点鎖線で示す。上述のように、突起部1203の肉厚は、折り曲げられる部分1205からの距離にしたがって増加するように構成されているので、筒部1201の軸方向に垂直な断面において、筒部1201の内側へ折り曲げられた突起部1203に内接する円の径は、折り曲げられた部分である筒部1201の端部からの距離にしたがって、すなわち、筒部1201の奥へ進むにしたがって小さくなる。このような構成により、ケーシング用成型部品1200の、筒部1201の内側へ折り曲げられた突起部1203に他の部品を嵌め合せるのが容易になる。
【0037】
図2(b)は、本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品1300の構成を示す図である。ケーシング用成型部品1300は、筒部1301と突起部1303とを含む。ケーシング用成型部品1300の、筒部1301と突起部1303との間の折り曲げられる部分1305は、折り曲げやすいように他の部分よりも肉厚が薄くなっている。また、突起部1303の肉厚は、折り曲げられる部分1305からの距離にしたがって増加するように構成されている。突起部1303は、筒部1301の一方の端部の周上に複数個設置される。図2(b)に、突起部1303が筒部1301の内側へ折り曲げられた状態を二点鎖線で示す。上述のように、突起部1303の肉厚は、折り曲げられる部分1305からの距離にしたがって増加するように構成されているので、筒部1301の軸方向に垂直な断面において、筒部1301の内側へ折り曲げられた突起部1303に内接する円の径は、折り曲げられた部分である筒部1301の端部からの距離にしたがって、すなわち、筒部1301の奥へ進むにしたがって小さくなる。このような構成により、ケーシング用成型部品1300の、筒部1301の内側へ折り曲げられた突起部1303に他の部品を嵌め合せるのが容易になる。本実施形態によるケーシング用成型部品1300は、筒部1301の外周の、折り曲げられる部分1305の近傍にリブを備えている。
【0038】
図3(a)は、本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品1400の構成を示す図である。ケーシング用成型部品1400は、筒部1401と突起部1403とを含む。ケーシング用成型部品1400の、筒部1401と突起部1403との間の折り曲げられる部分1405は、折り曲げやすいように他の部分よりも肉厚が薄くなっている。突起部1403は、筒部1401の一方の端部の周上に複数個設置される。図3(a)に、突起部1403が筒部1401の内側へ折り曲げた状態を二点鎖線で示す。筒部1401及び突起部1403は、突起部1403が筒部1401の内側へ折り曲げられた状態で筒部1401の軸方向に垂直な断面において、筒部1401の内側へ折り曲げられた突起部1403に内接する円の径が、折り曲げられた部分である筒部1401の端部からの距離にしたがって、すなわち、筒部1401の奥へ進むにしたがって小さくなるように形成されている。このような構成により、ケーシング用成型部品1400の、筒部1401の内側へ折り曲げられた突起部1403に他の部品を嵌め合せるのが容易になる。
【0039】
図3(b)は、本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品1500の構成を示す図である。ケーシング用成型部品1500は、筒部1501と突起部1503とを含む。ケーシング用成型部品1500の、筒部1501と突起部1503との間の折り曲げられる部分1505は、折り曲げやすいように他の部分よりも肉厚が薄くなっている。突起部1503は、筒部1501の一方の端部の周上に複数個設置される。図3(b)に、突起部1503が筒部1501の内側へ折り曲げた状態を二点鎖線で示す。筒部1501及び突起部1503は、突起部1503が筒部1501の内側へ折り曲げられた状態で筒部1501の軸方向に垂直な断面において、筒部1501の内側へ折り曲げられた突起部1503に内接する円の径が、折り曲げられた部分である筒部1501の端部からの距離にしたがって、すなわち、筒部1501の奥へ進むにしたがって小さくなるように形成されている。このような構成により、ケーシング用成型部品1500の、筒部1501の内側へ折り曲げられた突起部1503に他の部品を嵌め合せるのが容易になる。本実施形態によるケーシング用成型部品1500は、筒部1501の外周の、折り曲げられる部分1505の近傍にリブ1507を備えている。
【0040】
図4(a)は、本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品1600の構成を示す図である。ケーシング用成型部品1600は、筒部1601と突起部1603とを含む。ケーシング用成型部品1600の、筒部1601と突起部1603との間の折り曲げられる部分1605は、折り曲げやすいように他の部分よりも肉厚が薄くなっている。突起部1603は、筒部1601の一方の端部の周上に複数個設置される。図4(a)に、突起部1603が筒部1601の内側へ折り曲げた状態を二点鎖線で示す。筒部1601及び突起部1603は、突起部1603が筒部1601の内側へ折り曲げられた状態で、筒部1601の内側に形成された切り欠き部1609で固定されている。このような構成により、ケーシング用成型部品1600の、筒部1601の内側へ折り曲げられた突起部1603に他の部品を嵌め合せるのが容易になる。
【0041】
図4(b)は、本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品1700の構成を示す図である。ケーシング用成型部品1700は、筒部1701と突起部1703とを含む。ケーシング用成型部品1700の、筒部1701と突起部1703との間の折り曲げられる部分1705は、折り曲げやすいように他の部分よりも肉厚が薄くなっている。突起部1703は、筒部1701の一方の端部の周上に複数個設置される。図4(b)に、突起部1703が筒部1701の内側へ折り曲げた状態を二点鎖線で示す。筒部1701及び突起部1703は、突起部1703が筒部1701の内側へ折り曲げられた状態で、筒部1701の内側に形成された切り欠き部1709で固定されている。このような構成により、ケーシング用成型部品1700の、筒部1701の内側へ折り曲げられた突起部1703に他の部品を嵌め合せるのが容易になる。本実施形態によるケーシング用成型部品1700は、筒部1701の外周の、折り曲げられる部分1705の近傍にリブ1707を備えている。
【0042】
図5は、本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品1800の構成を示す図である。ケーシング用成型部品1800は、筒部1801と突起部1803A、1803B、1803C及び1803Dとを含む。本実施形態によるケーシング用成型部品1800の筒部1801の軸方向に垂直な断面は、長方形であり、筒部1801の端部の該長方形の各辺に相当する部分に突起部1803A、1803B、1803C及び1803Dが設けられている。
【0043】
図6は、本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品1900の構成を示す図である。ケーシング用成型部品1900は、筒部1901と突起部1903A、1903B、及び1903Cとを含む。本実施形態によるケーシング用成型部品1900の筒部1901の軸方向に垂直な断面は、円形であり、筒部1901の端部の該円形の円周上の等間隔、すなわち、120°の角度で隔てられた3箇所に突起部1903A、1903B、及び1903Cが設けられている。
【0044】
本実施形態において、突起部1903A、1903B、及び1903Cは、筒部1901の端部において、筒部1901の軸に対して回転対称に配置されている。本実施形態の変形形態として、複数個の突起部を、筒部の端部において、筒部の軸に対して回転非対称に配置してもよい。このような変形形態においては、筒部の内側へ折り曲げられた突起部に他の部品を嵌め合せる際に、正しい向きに(正しい位置関係で)嵌め合せることができる。
【0045】
図7は、本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品2000の構成を示す図である。ケーシング用成型部品2000は、筒部2001と突起部2003A及び2003Bとを含む。本実施形態によるケーシング用成型部品2000の筒部2001の軸方向に垂直な断面は、長方形であり、筒部2001の端部の該長方形の対向する一組の2辺に相当する位置に突起部2003A及び2003Bが設けられている。突起部2003A及び2003Bは、それぞれ筒部2001の該長方形の辺に垂直な方向に凹の形状20031A及び20031Bを備えている。ケーシング用成型部品2000と嵌め合せる他の部品に2個の凸の形状を設け、突起部2003A及び2003Bの凹の形状20031A及び20031Bと噛み合わせれば、当該他の部品のケーシング用成型部品2000へのより安定した嵌め合せを実現することができる。代替的に、突起部2003A及び2003Bにおいて、筒部2001の該長方形の辺に垂直な方向に凸の形状を設け、ケーシング用成型部品と嵌め合せる他の部品に凹の形状を設けて嵌め合せるようにしてもよい。
【0046】
図8は、本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品2100の構成を示す図である。ケーシング用成型部品2100は、筒部2101と突起部2103A、2103B、及び2103Cとを含む。本実施形態によるケーシング用成型部品2100の筒部2101の軸方向に垂直な断面は、円形であり、筒部2101の端部の該円形の円周上の等間隔、すなわち、120°の角度で隔てられた3箇所に突起部2103A、2103B、及び2103Cが設けられている。突起部2103A、2103B、及び2103Cは、それぞれ筒部2101の径方向に凹の形状21031A、21031B、及び21031Cを備えている。ケーシング用成型部品2100と嵌め合せる他の部品に3個の凸の形状を設け、突起部2103A、2103B、及び2103Cの凹の形状21031A、21031B、及び21031Cと噛み合わせれば、当該他の部品のケーシング用成型部品2100へのより安定した嵌め合せを実現することができる。代替的に、突起部2103A、2103B、及び2103Cにおいて、筒部2101の径方向に凸の形状を設け、ケーシング用成型部品と嵌め合せる他の部品に凹の形状を設けて嵌め合せるようにしてもよい。
【0047】
図9は、本発明の一実施形態によるケーシング用成型部品2200とセンサ2001とを嵌め合せて基板2003上に配置した状態を示す図である。ケーシング用成型部品2200の上部は、レンズ2211からなり、レンズ2211を通った光がセンサ2001に集光されるように構成されている。本実施形態において、レンズ2211とセンサ2001との間の距離は、筒部2201の端部及びセンサ2001の底面が基板2003の面に接するように配置することによって定められる。本実施形態によれば、レンズ及びセンサの位置調整が容易なレンズ及びセンサの組み立て部品が得られる。
【0048】
図10は、本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品3100とセンサ2001とを嵌め合せて基板2003上に配置した状態を示す図である。ケーシング用成型部品3100の上部は、レンズ3111からなり、レンズ3111を通った光がセンサ2001に集光されるように構成されている。本実施形態において、レンズ3111とセンサ2001との間の距離は、センサ2001の底面が基板2003の面に接し、筒部3101の内側に折り曲げられた状態の突起部3103の切欠き部がセンサの上部の面に接するように配置することによって定められる。本実施形態によれば、レンズ及びセンサの位置調整が容易なレンズ及びセンサの組み立て部品が得られる。
【0049】
図11は、本発明の他の実施形態によるケーシング用成型部品2200とセンサ3001とを嵌め合せて基板2003上に配置した状態を示す図である。ケーシング用成型部品2200の上部は、レンズ2211からなり、レンズ2211を通った光がセンサ3001に集光されるように構成されている。本実施形態において、センサ3001にフック30011を設け、フック30011が筒部2201の内側に折り曲げられた状態の突起部2203に係合するように構成されている。本実施形態において、レンズ2211とセンサ3001との間の距離は、センサ3001のフック30011の位置によって定められる。本実施形態によれば、レンズ及びセンサの位置調整が容易なレンズ及びセンサの組み立て部品が得られる。
【0050】
図12は、本発明の一実施形態によるケーシング用成型部品900を成形するための金型の構造を示す図である。ケーシング用成型部品900の金型部分は、筒の内側に対応する金型部分801と、筒のふさがれた端部側部分の外側に対応する金型部分803と、筒の開放された端部側部分の外側に対応する金型部分805とから構成される。図12において、金型部分803と金型部分805との境界をパーティングライン850によって示した。パーティングライン850は、ケーシング用成型部品900の折り曲げられる部分905よりも、筒のふさがれた端部の側に位置する。上記のように構成されているので、金型からケーシング用成型部品を取り出す際に、金型部分801を筒の開放された端部側に引き出してから、金型部分803と金型部分805を分離して、ケーシング用成型部品900を取り出すと、ケーシング用成型部品900の突起部903は、筒の内側に折り曲げられる。
【符号の説明】
【0051】
1100,1200,1300,1400,1500,1600,1700,1800,1900,2100,2200,3100・・・ケーシング用成型部品
1101,1201,1301,1401,1501,1601,1701,1801,1901,2101,2201,3101・・・筒部
1103,1203,1303,1403,1503,1603A,1603B,1603C,1603D,1703A,1703B,1703C,1803A,1803B,1803C,1903A,1903B,2103,2203,3103・・・突起部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のケーシング用成型部品であって、筒の少なくとも一方の端部の周縁部に、該筒の軸方向に伸びる複数の突起部を備えており、該複数の突起部が該筒の内側に折り曲げられた状態で、他の部品を該筒の内側に嵌め合せるように構成されたケーシング用成型部品。
【請求項2】
前記複数の突起部の折り曲げられる部分の肉厚が、他の部分の肉厚よりも薄くなるように構成された請求項1に記載のケーシング用成型部品。
【請求項3】
前記複数の突起部の折り曲げられる部分の肉厚が、0.05mmから0.5mmの範囲である請求項1または2に記載のケーシング用成型部品。
【請求項4】
前記複数の突起部の肉厚が、折り曲げられる部分からの距離にしたがって増加する請求項1から3のいずれかに記載のケーシング用成型部品。
【請求項5】
前記筒の軸方向に垂直な断面において、前記筒の内側へ折り曲げられた前記複数の突起部の少なくとも2個に内接する円の径は、前記一方の端部からの距離にしたがって減少する請求項1から4のいずれかに記載のケーシング用成型部品。
【請求項6】
前記筒の内側に折り曲げられた突起部と係合する、切り欠き部を備えた請求項1から5のいずれかに記載のケーシング用成型部品。
【請求項7】
前記筒の軸方向に垂直な断面が長方形であり、前記複数の突起部が、該長方形の各辺に一つずつ配置された請求項1から6のいずれかに記載のケーシング用成型部品。
【請求項8】
前記筒の軸方向に垂直な断面が円形であり、前記複数の突起部が、円周の3箇所以上に配置された請求項1から6のいずれかに記載のケーシング用成型部品。
【請求項9】
前記複数の突起部が、円周上に置いて、円の中心に対して回転非対称に配置された請求項8に記載のケーシング用成型部品。
【請求項10】
前記複数の突起部が、前記筒の径方向に凸または凹の形状を備えた請求項1から9のいずれかに記載のケーシング用成型部品。
【請求項11】
プラスチックからなる請求項1から10のいずれかに記載のケーシング用成型部品。
【請求項12】
前記プラスチックがポリエチレンまたはポリプロピレンのいずれかである請求項11に記載のケーシング用成型部品。
【請求項13】
前記筒の他方の端部にレンズが成型され、外部からの光が該レンズを通して前記他の部品に到達するように構成された請求項1から12のいずれかに記載のケーシング用成型部品。
【請求項14】
筒状のケーシング用成型部品であって、筒の少なくとも一方の端部の周縁部に、該筒の軸方向に伸びる複数の突起部を備えており、該複数の突起部が該筒の内側に折り曲げられた状態で、他の部品を該筒の内側に嵌め合せるように構成され、該複数の突起部の折り曲げられる部分の肉厚が、他の部分の肉厚よりも薄くなるように構成されたケーシング用成型部品の金型であって、
該筒の内側に対応する第1の金型部分と、該筒の該一方の端部と反対側の端部側部分の外側に対応する第2の金型部分と、該筒の該一方の端部側部分の外側に対応する第3の金型部分とを含み、第2の金型部分と第3の金型部分との境界が、該折り曲げられる部分よりも該一方の端部側に位置するように構成されたケーシング用成型部品の金型。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−129372(P2012−129372A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279940(P2010−279940)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【特許番号】特許第4742332号(P4742332)
【特許公報発行日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(597073645)ナルックス株式会社 (38)
【Fターム(参考)】