説明

ケース反転装置

【課題】上部コンベヤ4から下部コンベヤ10へケースCを落下させて反転させる反転装置1で、各種サイズのケースCが安定して反転できるようにする。
【解決手段】上方のチェーンコンベヤ4の下流端から下方のベルトコンベヤ10の上流端10aにケースCを落下させて反転させる。落下するケースCが180度回転して安定した姿勢で着地するようにケースCのサイズに応じて、ベルトコンベヤ10の上流端10aの高さを高さ変更手段16によって変更する。また、チェーンコンベヤ4の下流端に、開口部を下向きにして搬送されてきたケースCの後方側壁面の内側に係合してケースCの回転を促す係合部材22を設ける。この係合部材22もケースCの搬送方向に進退動させて突出量を変更することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤによって搬送されているケースを反転させるケース反転装置に係り、例えば、洗浄されて下向きで搬送されているケースをコンベヤから落下させて上向きに反転させるケース反転装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上方のコンベヤで搬送されてきたケース等のワークを、そのコンベヤの下流端から落下させて反転させ、下方に配置されたコンベヤに受け渡して次の工程に送るようにしたワーク反転装置が従来から用いられている。このようなワーク反転装置の最も基本的な構成として、上方のコンベヤで搬送されてきたワークを、このコンベヤの下流端から直接下方のコンベヤ上に落下させて反転させるものが知られている。
【0003】
上方のコンベヤから下方のコンベヤに直接落下させて反転させる構成では、ワークの種類が異なると、ワークの重心の位置が違うため、反転量(ワークの回転角度)が変化してしまう。そのため、落下高さが高すぎる場合にはワークが回転しすぎて一回転してしまうことがあったり、落下高さが足りない場合には、反転できないこともあり、安定した反転ができないという問題があった。
【0004】
また、上方のコンベヤと下方のコンベヤとの間に、別の反転させる機構を設けたワーク反転装置も従来から提案されている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。特許文献1に記載された発明では、上部コンベアと下部コンベアの中間に、水平な回転軸によって回転自在に支承された回転機が設けられている。この回転機は互いに平行に配置された2枚の円板間に複数枚の支持体を、前記回転軸に対して放射状に設けた構成を有している。
【0005】
また、特許文献2に記載された発明は、「コンベアの搬送方向後端部に回転軸を設け、該回転軸にはアームを固定し、該アームは下端にストッパを持った傾動板を固定し、該傾動板は、上端部を引っ張りばねを介してコンベヤ本体と連結するとともに、コンベアの下方に設けたステーに横架すべくした支軸を固定してなる」構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭61−95718号
【特許文献2】実開平7−15636号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された発明では、ワークが上部コンベアの最終端を通り過ぎると、その前面側を下方にして落下し、この落下方向で待ち受けている回転機の支持板によって前記前面が支持され、これと同時に支持板がワークの自重で回転し、ワークが反転され下部コンベアに受け渡される。この特許文献1の構成では、上部コンベアと下部コンベアの間に大型の回転機を設置しなければならず、しかも、ワークのサイズが異なる場合には、この回転機の位置を変更しなければワークを安定して反転させることができないという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載された発明では、正立状態でコンベヤによって搬送されてきたワークは、アームに沿って傾動板に落下し、傾動板のストッパで止まる。このときストッパに当たったショックで傾動板が起立し、引っ張りばねの付勢により傾動板が直ちに引き戻されるためワークの上方がその反動で押されてケースが反転するようになっている。この特許文献2の構成でも、ワークのサイズが変更になった場合には、傾動板等を交換しなければ安定した反転を行うことはできないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上部コンベヤによって搬送されてきた開口部を有するケースを、前記上部コンベヤの下流端から下部コンベヤに自由落下させて反転させるケース反転装置であって、前記下部コンベヤをその下流側を支点として回転自在に支持し、この支点を中心にして前記下部コンベヤの上流端側を昇降させて上部コンベヤからのケースの落下高さを変更する変更手段を備え、前記ケースの形状に応じて、前記変更手段でケースの落下高さを変更し、ケースの反転量を制御することを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項2に記載した発明は、前記請求項1に記載した発明において、前記上部コンベヤでは前記ケースの開口部を下向きにして搬送するようになっており、上部コンベヤの下流端に、このコンベヤから落下するケースの後部側内面に係合する係合部材を設け、落下するケースの回転を促すことを特徴とするものである。
【0011】
さらに、請求項3に記載した発明は、前記請求項2に記載した発明において、
前記係合部材の、前記上部コンベヤの下流端からの突出量を変更する係合部材変更手段を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明のケース反転装置は、ケースのサイズに応じて、上部コンベヤから下部コンベヤへのケースの落下する高さを変更できるようにしたので、ケースを確実に反転させ、安定した受け渡しを行うことができるという利点がある。また、上部コンベヤの下流端に、開口部を下に向けて搬送されてきたケースの内面側に係合する係合部材を設けたので、落下しつつ反転するケースの回転を促進することができるという効果がある。さらに、この係合部材の、上部コンベヤの下流端からの突出量を変更させる変更手段を設けたので、ケースのサイズに応じて最適な反転量を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の一実施例に係るケース反転装置を備えたケース洗浄装置の全体の構成を示す側面図である。(実施例1)
【図2】図2は前記ケース反転装置の下部コンベヤの平面図である。
【図3】図3(a)〜(c)はそれぞれケースのサイズに応じた使用状態を示す側面図である。
【図4】図4(a)、(b)は上部コンベヤの下流端に設けられた係合部材を示す平面図および側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ケースを搬送する上部コンベヤの下流端の下方に、上部コンベヤから落下して反転するケースを受け取って搬送する下部コンベヤが配置されている。上部コンベヤの下流端と下部コンベヤの上流端との高低差によってケースの回転量が違うので、ケースのサイズ等に応じて前記高低差を変更する変更手段を設けることにより、ケースを確実に反転させ、安定した受け渡しを行うという目的を達成する。また、上部コンベヤの下流端に、このコンベヤの搬送方向を向けて突出させた係合部材を設け、下向きで搬送されて下流端から落下するケースの内面に係合させるようにしたことにより、一層確実に反転させることができるという目的を達成する。
【実施例1】
【0015】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1に示すように、この実施例に係るケース反転装置1は、ワークとしてのケースC(図3参照)あるいは折り畳み式のコンテナ等を洗浄し水切り等を行うケース洗浄装置2の下流端に設けられている。ケース洗浄装置2は、上流側に洗浄部2Aが設けられ、その下流側に、リンス部2Bおよび水切り部2Cが設けられている。なお、この水切り部2Cの下流側に乾燥部を設けてもよい。
【0016】
このケース洗浄装置2の上流端(図1の左端)から下流端に亘ってチェーンコンベヤ4が設置されており、このチェーンコンベヤ4によって搬送されているケースCに洗浄液を噴射して洗浄を行い、リンスをした後水切りを行う。この実施例に係るケース洗浄装置2で洗浄されるケースCは、合成樹脂等から成る直方体の箱でありその上面に開口部が形成されている。このケースCは、開口部を下向きにして前記チェーンコンベヤ4上に載せられて搬送される。ケース洗浄装置2でケースCの外面および内面の洗浄を行うため、上方に配置された洗浄ノズル6から洗浄液が噴射されるとともに、下方に配置された洗浄ノズル8から、チェーンコンベヤ4の両チェーン間を通って上方へ向けて洗浄液が噴射されて内外面の洗浄が行われる。
【0017】
前記ケース洗浄装置2内に設置されているチェーンコンベヤ4の下流端から、洗浄、リンスおよび水切りが行われたケースCが落下する。このケースCが落下する位置に、傾斜して配置されたベルトコンベヤ10の上流端10aが配置されている。この実施例では、ベルトコンベヤ10の下流端10bが支点軸12に支持されており、この支点軸12を中心にして上流端10a側を昇降させて、ケースCが落下する位置の高さを変更できるようになっている。この実施例では、図2に示すように、作業者14が高さ変更手段16のハンドル16aの操作をすることにより、ベルトコンベヤ10の上流端10aの高さを手動で変更するようにしている。なお、この実施例では、上流端10aの高さを変えるとともにベルトコンベヤ10の傾斜も変更するようになっているが、このような構成に限るものではなく、平行な状態のままベルトコンベヤ10全体の高さを変更するようにしてもよい。また、変更手段16の駆動は人力に限らず、エアシリンダやモータ等の公知の手段を用いてもよい。
【0018】
ベルトコンベヤ10の上流部の、上方のチェーンコンベヤ4からケースCが落下してくる位置と、この落下位置よりもやや下流側に、それぞれ光電センサ18、20が設けられている(図2参照)。これらの光電センサ18、20は、ベルトコンベヤ10による搬送中のトラブル等を検出するために設けられているもので、上方のチェーンコンベヤ4から落下してきたケースCを第1の光電センサ18が検出した後、下流側の第2光電センサ20が検出しなかった場合には、搬送途中でトラブルが発生したと判断して、装置を停止させる。ケースCが搬送経路に詰まっていた場合には、人手もしくはリジェクト装置でリジェクトした後、運転を再開する。
【0019】
ケース洗浄装置2内に配置されたチェーンコンベヤ4の下流端に、落下していくケースCの反転を促すための係合部材22が設けられている(図4(a)、(b)参照)。この係合部材22は、ケース洗浄装置2の前端(下流端)側のフレーム24にL字状のブラケット26を介して取り付けられており、チェーンコンベヤ4の両側チェーンとの干渉を避けるため、チェーンコンベヤ4の両スプロケット4a、4bの間に配置されている。また、この係合部材22は、チェーンコンベヤ4から落下していくケースCの搬送方向後方側の壁面の内側に係合するようになっており、この係合部材22の幅がケースCの開口部の内側の幅よりも小さくなっている。
【0020】
前記L字状ブラケット26の水平部26aに、チェーンコンベヤ4の搬送方向を向いた長溝26bが形成され、この長溝26bの範囲内で、係合部材22をチェーンコンベヤ4の搬送方向に向かって進退動できるようになっている。レバー28の操作によってブラケット26に係合部材22を締結するようになっており、異なるサイズのケースCを反転させる場合には、レバー28を回して締結を緩めて係合部材22を移動させ、再びレバー28の操作により締結してその位置に固定する。
【0021】
チェーンコンベヤ4によって搬送されてきたケースCは、開口部を下向きにしており、ケースCの搬送方向前方側の壁面がこの係合部材22の先端を通過すると、ケースCの前方側が急激に落下して回転を開始する。その後、ケースCの前進とともに回転を続け、最終的には、係合部材22の先端に、ケースCの後部側壁面の内側が係合した状態になった後反転(180度回転)して、ケースCは開口部を上に向けた状態で下方のベルトコンベヤ10上に落下する。従って、係合部材22は、ケースCの回転を促すとともに、ケースCの落下姿勢を整え、落下時の位置ずれを防ぐという機能も有している。落下してくるケースCを受けるコンベヤはベルトコンベヤ10であり、ケースCの落下の衝撃をベルトによって吸収し、ケースCにダメージを与えないようになっている。なお、この実施例では、上方に配置されているケース洗浄装置2のチェーンコンベヤ4が請求項1に記載された上部コンベヤを、そして、下方に配置されているベルトコンベヤ10が下部コンベヤをそれぞれ構成している。
【0022】
前記構成に係るケース反転装置1を備えたケース洗浄装置2の作動について説明する。洗浄されるケースCまたは折り畳みコンテナは、このケース洗浄装置2の入口側(図1の左側)から供給され、開口部を下に向けた状態でチェーンコンベヤ4によって搬送される。まず、洗浄部2Aを通過しつつ上方に設置された洗浄ノズル6とチェーンコンベヤ4の下方に配置された洗浄ノズル8によって、ケースCの外面側と内面側に洗浄液が噴射されて洗浄される。その後、リンス部2Bで洗浄液を洗い流した後、水切り部2Cで水切りが行われる。
【0023】
洗浄、リンスおよび水切りが行われたケースCは、ケース洗浄装置2の出口に到達する。チェーンコンベヤ4はこの出口付近が下流端になっており、ケースCはその前方壁面がチェーンから外れて、中央の係合部材22上に載って前進する。前述のようにケースCは開口部を下にして搬送されているので、ケースCの前方壁面が係合部材22の先端を通過すると、前面側が急激に落下して回転を開始する。その後、ケースCの後方側はチェーンに押されて前進し、前面側が下方へ向かって回転をし、最終的に後方側壁面の内側が係合部材22に係合した状態になった後、反転して裏返しの状態、つまり、180度回転して開口部を上に向けた状態になる。反転して落下してきたケースCを受け取る下方のベルトコンベヤ10は、ケースCが180度回転して開口部を上に向けて落下するように、その上流端10aの高さを調節してあり、しかも、係合部材22のチェーンコンベヤ4からの突出量も、安定した反転が行われるように調節してあるので、最適な量の回転をすることにより安定した反転動作を行うことができる。
【0024】
洗浄されるケースCの長さや深さ等が変更になった場合には、そのサイズに応じて下部コンベヤ(ベルトコンベヤ10)の上流部(上部コンベヤであるチェーンコンベヤ4からケースCが落下する位置)の高さを変更する。例えば、図3(a)に示すようにケースCのサイズが小さいときには、ベルトコンベヤ10のケース落下位置を上昇させて、チェーンコンベヤ4の下流端に接近させる。また、ケースCのサイズが大きい場合には(図3(b)、(c)参照)、ベルトコンベヤ10の上流端10aを下降させて、チェーンコンベヤ4の下流端からの距離を大きくする。また、ケースCのサイズに応じて、チェーンコンベヤ4の下流端に設けられている係合部材22の、チェーンコンベヤ4の下流端からの突出量も調節する。
【符号の説明】
【0025】
C ケース
1 ケース反転装置
4 上部コンベヤ(チェーンコンベヤ)
10 下部コンベヤ(ベルトコンベヤ)
16 変更手段
22 係合部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部コンベヤによって搬送されてきた開口部を有するケースを、前記上部コンベヤの下流端から下部コンベヤに自由落下させて反転させるケース反転装置であって、
前記下部コンベヤをその下流側を支点として回転自在に支持し、この支点を中心にして前記下部コンベヤの上流端側を昇降させて上部コンベヤからのケースの落下高さを変更する変更手段を備え、
前記ケースの形状に応じて、前記変更手段でケースの落下高さを変更し、ケースの反転量を制御することを特徴とするケース反転装置。
【請求項2】
前記上部コンベヤでは前記ケースの開口部を下向きにして搬送するようになっており、上部コンベヤの下流端に、このコンベヤから落下するケースの後部側内面に係合する係合部材を設け、落下するケースの回転を促すことを特徴とする請求項1に記載のケース反転装置。
【請求項3】
前記係合部材の、前記上部コンベヤの下流端からの突出量を変更する係合部材変更手段を設けたことを特徴とする請求項2に記載のケース反転装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−256027(P2011−256027A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133355(P2010−133355)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(393028357)シブヤマシナリー株式会社 (77)
【Fターム(参考)】