説明

ケース

【課題】ケースと一体の把持部を用いて破損や変形を防止することができるケースを提供する。
【解決手段】側壁11で囲まれた収納室と、側壁11から延出した把持部3とを備え、把持部3は、収納室の一部を包み込むように湾曲可能であり、把持部3は、前記湾曲により側壁11を覆う湾曲部3aを形成できる。このことにより、ケース1を段ボール箱30に収納して輸送する際に、段ボール箱30が振動した場合や、段ボール箱30に外力が加わった場合に、湾曲部3aが弾性変形し、振動や外力が直接ケース1の本体部に加わることを防止することができる。すなわち、湾曲部3aが緩衝材の役割を果たし、ケース1の破損や変形を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケースに関し、特にテープカートリッジを収納するケースに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータデータ等を記録する記録メディアとして、テープカートリッジが知られている。テープカートリッジは、記録テープを巻き込んだリールを本体ケース内に収納したものである。テープカートリッジを保管、運搬する際には、複数のテープカートリッジを樹脂製のケースに収納し、このケースを段ボールに梱包することが行われている(例えば下記特許文献1、2参照)。
【0003】
図21に、ケースを段ボール箱に収納した状態の一例の断面図を示している。段ボール箱110内にケース100を収納している。ケース100は、下ケース101と上ケース102とを組み合わせたものである。ケース100の外周部をフランジ103及びフランジ104が囲んでいる。
【0004】
この構成では、ケース100内のテープカートリッジの破損は防止できるが、ケース100に破損や変形が生じる場合があった。特に、フランジ103及びフランジ104のコーナ部に破損や変形が生じ易かった。
【0005】
これは、図21に示したように、平板状のフランジ103及びフランジ104と、段ボール箱110の側板111の内周面とが近接しており、これらが輸送時の振動により、繰り返し擦れ合うためである。
【0006】
ケース100は、保管、運搬時に用いるだけでなく、段ボール箱110から取り出した後においても、テープカートリッジの保管用のケースとして用いる場合が多い。このため、ケース100の破損や変形は、外観の見栄えが悪くなり問題になっていた。
【0007】
このようなケースの破損・変形を防止するために、例えば特許文献3には、ケースと段ボール箱の内壁面との間に、緩衝パッドを介在させることが提案されている。
【特許文献1】特開2007−197075号公報
【特許文献2】特開2007−204084号公報
【特許文献3】特開2007−197081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3に提案されている構成では、ケースに加わる衝撃や振動が緩和され、ケースの破損を防止することができる。しかしながら、緩衝パッドの追加により、梱包時の作業負担が増し、コスト増になり、廃棄物も増加させてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、前記のような従来の問題を解決するものであり、ケースと一体の把持部を用いて破損や変形を防止することができるケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の段ボール箱は、側壁で囲まれた収納室と、前記側壁から延出した把持部とを備え、前記把持部は、前記収納室の一部を包み込むように湾曲可能であり、前記把持部は、前記湾曲により前記側壁を覆う湾曲部を形成できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ケースと一体の把持部を用いて破損や変形を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明によれば、ケースを段ボール箱に収納して輸送する際に、段ボール箱が振動した場合や、段ボール箱に外力が加わった場合に、湾曲部が弾性変形し、振動や外力が直接ケースの本体部に加わることを防止することができる。すなわち、湾曲部が緩衝材の役割を果たし、ケースの破損や変形を防止することができる。
【0013】
前記本発明のケースにおいては、前記収納室は、上ケースと下ケースとを重ねあわせて形成しており、前記上ケース及び前記下ケースは、前記把持部を備えていることが好ましい。この構成によれば、上下の各ケースの成形が容易になり、上下ケースを重ねることにより、収納物全体を包み込むことができる。
【0014】
また、前記上ケース及び前記下ケースの前記把持部に、凸部と前記凸部の内側に形成した貫通孔とを設けており、前記上ケース及び前記下ケースの前記把持部のうち、一方の前記把持部の凸部と、他方の前記把持部の前記貫通孔とが嵌合することが好ましい。この構成によれば、把持部同士を容易に結合することができる。
【0015】
また、前記上ケース及び前記下ケースの前記把持部に、内側が凹部の凸部を設けており、前記上ケース及び前記下ケースの前記把持部のうち、一方の前記把持部の凸部と、他方の前記把持部の前記凹部とが嵌合することが好ましい。この構成によれば、把持部同士を容易に結合することができる。
【0016】
また、前記凸部は、前記上ケース及び前記下ケースの前記各把持部に、複数設けていることが好ましい。この構成によれば、把持部同士の結合がより確実になる。
【0017】
また、前記把持部は、対向する一対の前記側壁から延出していることが好ましい。この構成によれば、収納部の両側に湾曲部を容易に形成することができる。
【0018】
また、前記側壁は4辺で構成しており、前記把持部は前記4辺の各側壁から延出していることが好ましい。この構成によれば、ケースの破損や変形の防止がより確実になる。
【0019】
また、前記把持部は、延出方向の異なる一対の把持部を含んでおり、前記一対の把持部には、貫通孔を形成した把持部があり、前記一対の把持部は、一方の前記把持部の前記貫通孔に、他方の前記把持部を通過させて接続できることが好ましい。この構成によれば、把持部同士を容易に接続することができる。
【0020】
また、前記把持部は、延出方向の異なる一対の把持部を含んでおり、前記各把持部に幅広部を設けており、前記一対の把持部は、一方の前記把持部の上側に、他方の前記把持部の幅広部を重ねて接続できることが好ましい。この構成によれば、把持部同士を容易に接続することができる。
【0021】
また、前記把持部は、延出方向の異なる一対の把持部を含んでおり、前記一対の把持部は、幅広部を設けた把持部と、環状部を設けた把持部とであり、前記一対の把持部は、一方の前記把持部の前記環状部に、他方の前記把持部の前記幅広部を通過させて接続できることが好ましい。この構成によれば、把持部同士を容易に接続することができる。
【0022】
また、前記収納室は、複数のテープカートリッジを収納する空間であることが好ましい。
【0023】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る下ケース1aの斜視図を示している。本図では、下ケース1aのみを図示しているが、下ケース1aと、下ケース1aと同一構成の上ケース1b(図2)とを組み合わせて、ケース1(図3)を構成する。
【0025】
ケース1aは収納室2と把持部3とを備えている。収納室2は底部4と側壁5とで囲まれた空間を形成している。収納室2内は、所定ピッチで配置した凸状のリブ6で区画されている。
【0026】
ケース1aは、例えば板厚1−2mm程度の熱可塑性樹脂の薄板を真空成形し、収納室2と把持部3とを一体に成形したものである。把持部3は、収納室2から延出させ薄板状に形成している。熱可塑性樹脂としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)が挙げられる。
【0027】
把持部3は、収納室2側に比べ幅を狭くした帯状部7を形成している。帯状部7の端部には、帯状部7に比べ幅を広げた幅広部8を設けている。幅広部8には、筒状の凸部9を形成しており、凸部9の内側は貫通孔10になっている。左右の凸部9は、突出方向が逆になっている。
【0028】
図2は、ケースにテープカートリッジ15を収納する様子を示す斜視図である。テープカートリッジ15の収納には、下ケース1aと上ケース1bとを用いる。説明の便宜上、名称及び符合は区別しているが、上ケース1bは下ケース1aと同一構成である。
【0029】
図2では、下ケース1aの収納室2の隣接するリブ6(図1)間に、テープカートリッジ15を搭載している。この状態では、テープカートリッジ15の下部は、隣接するリブ6間に係合していることになる。テープカートリッジ15は、記録テープを巻き込んだリールを本体ケース内に収納したものである。
【0030】
図2の状態において、下ケース1aに上ケース1bを重ね合わせる。この際、上ケース1bのリブ6(図1)間に、テープカートリッジ15の上部が係合することになる。
【0031】
図3は、下ケース1aに上ケース1bを重ね合わせた状態を示す斜視図である。図3の状態では、凸部9と貫通孔10とが嵌合している。この嵌合の様子を図4に示している。図4(a)は、図3のAA線における断面図であり、図4(b)は、図3のBB線における断面図である。図4(a)、(b)に示したように、一方の凸部9の内側の貫通孔10に、他方の凸部9の外周面が嵌合している。このことにより、下ケース1aと上ケース1bとを、把持部3の端部で結合している。
【0032】
ここで、図3、4のような嵌合において、把持部3の端部同士の結合が外れるのを防止するには、一方の貫通孔10に他方の凸部9を圧入していることが好ましい。図4(a)に、凸部9の挿入前の状態を2点鎖線で示している。嵌合させる2つの凸部9を同じ大きさにしておけば、挿入される側の貫通孔10の内径D1に比べ、挿入する側の凸部9の外形D2は大きくなる。この場合は、挿入される側の貫通孔10に挿入する側の凸部9を圧入することができる。
【0033】
図5(a)は、図3の状態から把持部3を湾曲させた状態を示している。図5(b)は、図5(a)の把持部3の先端部を断面状態で図示したものである。図5(a)の状態から、さらに貫通孔10に凸部9を嵌合させることになる。具体的には、図5(b)において、一方の凸部9の内側の貫通孔10に、他方の凸部9を挿入する。この場合、貫通孔10の内径D3より凸部9の外径D4が大きいので、貫通孔10に凸部9を圧入することができる。
【0034】
図6は、貫通孔10に凸部9を嵌合させた後、図5(a)における把持部3の湾曲部3aのケース1の側壁11からの出代が小さくなるように、把持部3を折り畳んだ状態を示している。
【0035】
この状態では、把持部3は、収納室の一部を包み込むように湾曲している。そして、把持部3は、湾曲によりケース1の側壁11を覆う湾曲部3aを形成している。
【0036】
本実施の形態は、把持部3の湾曲部3aを利用してケース1の破損や変形を防止するようにしている。このことについては、後に図8を用いて説明する。
【0037】
図7は、ケース1を段ボール箱30に収納する様子を示す斜視図である。図7の状態では、段ボール箱30は、一対の内フラップ31及び一対の外フラップ32が開いた状態であり、段ボール箱30の開口部からケース1を収納することが可能である。
【0038】
図8は、段ボール箱30にケース1を収納した状態を示す断面図である。この状態では、図7に示した段ボール箱30の開口部は、一対の内フラップ31及び一対の外フラップ32を内側に折り曲げることにより閉塞している。
【0039】
ケース1の側壁11と、段ボール箱30の内壁面30aとの間には、把持部3で形成した湾曲部3aが介在している。湾曲部3aとケース1の側壁11との間に、空間を形成している。このため、湾曲部3aはケース1の側壁11側に弾性変形する余地がある。この構成によれば、輸送時に段ボール箱30が振動した場合や、段ボール箱30に外力が加わった場合に、湾曲部3aが弾性変形し、振動や外力が直接ケース1の本体部に加わることを防止することができる。すなわち、湾曲部3aが緩衝材の役割を果たし、ケース1の破損や変形を防止することができる。
【0040】
また、図7では、ケース11の側壁から延出したフランジ部12が形成されている。しかしながら、把持部3を湾曲させたことにより、フランジ部12には角部が形成されていない。このことも、ケース1の破損や変形の防止に有利になる。
【0041】
以下、実施の形態1−7について説明するが、これらの各実施の形態においても、湾曲部3aの形成によりケース1の破損や変形を防止できることは、実施の形態1と同様である。
【0042】
(実施の形態2)
図9は、実施の形態2に係るケースの斜視図を示している。本図の構成は、把持部3の両端部の構成を除き、実施の形態1の図3と同じ構成である。把持部3の両端の幅広部8において、一方の把持部3の凸部20と、他方の把持部3における凸部20の内側の凹部とを嵌合させている。
【0043】
図9の凸部20は、図3の凸部9に比べ小径である。幅広部8においては、貫通孔21を形成している。図3の構成とは異なり、貫通孔21を囲む凸部はなく、貫通孔21同士は嵌合させていない。
【0044】
図10(a)は、図9のCC線における断面図であり、図10(b)は、図9のDD線における断面図である。凸部20の内周面は凹部になっており、この凹部と、他方の凸部20の外周面とが嵌合している。このことにより、下ケース1aと上ケース1bとを、把持部3の端部で結合している。
【0045】
ここで、図10のような嵌合において、把持部3の端部同士の結合が外れるのを防止するには、一方の凸部20の内側の凹部に、他方の凸部20を圧入していることが好ましい。実施の形態1において、図4(a)を用いて説明したように、嵌合させる2つの凸部20を同じ大きさにしておけば、一方の凸部20の内側の凹部に、他方の凸部20を圧入することができる。
【0046】
図11(a)は、図9の状態から把持部3を湾曲させた状態を示している。図11(b)は、図11(a)の把持部3の先端部を断面状態で図示したものである。図11の状態から、一方の凸部20の内側の凹部と、他方の凸部20とを嵌合させることになる。具体的には、図11(b)において、一方の凸部20の内側の凹部に、他方の凸部20を挿入する。この場合、凸部20の内径D5より凸部9の外径D6が大きいので、凸部20の内側の凹部に、他方の凸部20を圧入することができる。以後、ケース1を段ボール箱に梱包するまでの工程は、実施の形態1と同様である。
【0047】
なお、図9では、把持部3に幅広部8を形成しているが、貫通孔21を省くとともに、幅広部8の延出部を省いた構成であってもよい。
【0048】
(実施の形態3)
図12は、実施の形態3に係るケースの斜視図を示している。実施の形態3は、実施の形態2と比べると、把持部3の帯状部分7にも凹凸の嵌合部分(a、b部)を追加している点が異なっている。幅広部8における凹凸の嵌合は、図9、10に示した構成と同じである。
【0049】
図12の状態から、把持部3同士をさらに嵌合させることになる。図13に把持部3同士を嵌合させる前の状態の拡大図を示している。c部の帯状部7における凹凸の嵌合は、c部の幅広部8における凹凸の嵌合と同じである。c部における2箇所の凹凸の嵌合を断面状態で図示すれば、図10(a)と同じになる。
【0050】
d部の帯状部7における凹凸の嵌合は、d部の幅広部8における凹凸の嵌合と同じである。d部における2箇所の凹凸の嵌合を断面状態で図示すれば、図10(b)と同じになる。
【0051】
図13のc、d部において、幅広部8の凸部20と、帯状部分7における凸部22の内側の凹部とを嵌合させる。これらの嵌合の直前における状態は、図11(b)と同様である。
【0052】
図14は、把持部3同士の接続が完了した状態におけるケース1の平面図である。この状態では、把持部3を折り畳んだ弛み部分が無いので、把持部3をつかんだケース1の持ち上げや、持ち運びが容易になる。
【0053】
なお、図12−14では、把持部3に幅広部8を形成しているが、実施の形態2と同様に、貫通孔21を省くとともに、幅広部8の延出部を省いた構成であってもよい。
【0054】
また、各把持部3における凹凸の嵌合は、2箇所の例で説明したが、3箇所以上としてもよい。
【0055】
(実施の形態4)
図15は、実施の形態4に係るケース1の斜視図を示している。実施の形態4は、ケース1の構成は、実施の形態1と同じである。実施の形態4は、把持部3同士の接続方法が、実施の形態1と異なっている。
【0056】
上下ケース1a、1bを組み合わせた状態は、実施の形態1の図3と同じである。図15は、図3の状態から把持部3を湾曲させた状態を示している。図15において、図15の矢印で示したように、一方の幅広部8における貫通孔10に、他方の幅広部8を通過させる。
【0057】
図16は、把持部3同士の接続が完了した状態の斜視図を示している。本図の状態では、実施の形態3と同様に、把持部3を折り畳んだ弛み部分が無いので、把持部3をつかんだケースの持ち上げや、持ち運びが容易になる。
【0058】
なお、貫通孔10は、実施の形態2、3の貫通孔21のように、周囲に凸部を形成していない貫通孔であってもよい。この構成は、図15の状態では、積層した幅広部8同士は結合されていないことになるが、図16の最終状態では、把持部3は安定して束ねられていることになる。
【0059】
また、図15では2つの幅広部8の双方に貫通孔10を形成しているが、一方の幅広部8は貫通孔10の無い構成とし、貫通孔10に貫通孔10の無い幅広部8を通過させるようにしてもよい。
【0060】
(実施の形態5)
図17は、実施の形態5に係るケースの平面図を示している。実施の形態4は、把持部3の構成は、実施の形態1と同じである。実施の形態5は、把持部3同士の接続方法が、実施の形態1と異なっている。
【0061】
実施の形態5においては、上下ケースを組み合わせた状態は、実施の形態1の図3と同様である。ただし、実施の形態5では、両側の把持部3は幅広部8の位置をずらして配置している。このため、図3の状態から把持部3を湾曲させて、把持部3同士の接続が完了した図17の状態においては、2つの幅広部8は配置位置がずれている。
【0062】
このことにより、図17に示したように、一方の把持部3の上側に、他方の把持部3の幅広部8を重ねることができる。この接続によれば、一方の把持部3の浮き上がりを、他方の把持部3の幅広部8により抑えることができる。
【0063】
なお、把持部3の構成は、実施の形態1と同じ例で説明したが、幅広部8があればよく、実施の形態2−3の構成でもよい。
【0064】
(実施の形態6)
図18は、実施の形態6に係るケースの平面図を示している。本実施の形態においては、ケース1の4つの側壁のすべてから把持部3を延出させている。本実施の形態は、実施の形態1と比べると、把持部3の数や把持部3の先端部の形状が異なるが、基本的な構成は実施の形態1と同様である。
【0065】
4つの把持部3のうち、3つの把持部3には、先端に幅広部8を設けている。残りの1つの把持部には、把持部3の先端に環状部25を形成している。図18の破線は、環状部25を設けた把持部3の湾曲前の状態を示している。
【0066】
図18の状態では、環状部25に3つの把持部3の各幅広部8を通過させて、4つの把持部3を接続している。この構成によれば、幅広部8の環状部25からの外れは、幅広部8が環状部25に引っ掛かることにより防止することができる。
【0067】
幅広部8の形状は、把持部3の位置、環状部25の形状を考慮して、環状部25からの外れを防止できるよう適宜決定すればよい。例えば、図18の把持部3のうち2つは、幅広部8は帯状部7からの延出寸法は、左右同一ではなく、一方を長くしている。
【0068】
なお、図18の例ではケース1の4つの側壁のすべてから把持部3を延出させているが、対向する2つの側壁から把持部3を延出させた構成でもよい。この場合は、一方の把持部3に幅広部8を形成し、他方の把持部3に環状部25を設けることになる。
【0069】
(実施の形態7)
図19は、実施の形態7に係るケースの平面図を示している。本実施の形態においても、図18に示した実施の形態7の構成と同様に、ケース1の4つの側壁のすべてから把持部3を延出させている。
【0070】
本実施の形態は、実施の形態1と比べると、把持部3の数や把持部3の先端部の形状が異なるが、基本的な構成は実施の形態1と同様である。
【0071】
図19の破線は、把持部3の1つについて、湾曲前の状態を示している。把持部3の先端には凸部27を設けており、一方の凸部27の内側の凹部と、他方の凸部27とを嵌合させている。破線で示した把持部3の凸部27における断面形状は、図10(a)と同様である。
【0072】
他の3つの把持部3についても同様の構成であり、把持部3を湾曲させる前は、凸部は図10(a)に示したように、下に凸になっている。図19のように把持部3がケース1を覆うように湾曲させた状態では、4つの把持部3においては、各凸部27は上に凸になっている。凸部27の内側は凹部になっているので、凸部27を他の把持部3における凸部の内側の凹部に嵌合させることができる。
【0073】
図20は、図19のEE線における断面図を示している。説明の便宜上、図20は、すべての凸部27の嵌合が完了する前の状態を示している。図20の上側の図は、図19の4つの把持部3のうち、2つの把持部3が重なりあっている状態を示している。図20の下側の図においても同様である。
【0074】
凸部27の嵌合の完了時においては、図20の上側部分と下側部分とが嵌合することになる。
【0075】
なお、前記各実施の形態では、上下ケースが同一構成の例で説明したが、ケースの側壁に把持部を湾曲させた湾曲部を形成できればよく、上下ケースは異なる構成としてもよい。
【0076】
また、前記各実施の形態では、把持部3は収納室を覆うように湾曲するので、把持部3が収納物の固定を兼ねるようにして、ケースを上下ケースの組み合わせではなく、単体とした構成でもよい。
【0077】
また、前記各実施の形態では、把持部3は、収納室から少なくとも2方向に延出させた例で説明したが、延出方向は1方向とし、把持部3が一対の2面の側壁を覆うように延出長さを長くした構成でもよい。
【0078】
また、上下ケースの把持部3の結合は、把持部と一体に形成した凹凸等を利用した構成で説明したが、把持部3の結合に把持部3とは別個の結合手段を用いてもよい。また、上下ケースの把持部3を結合した後において、異なる延出方向の把持部3同士の接続に、把持部3とは別個の接続手段を用いてもよい。
【0079】
また、前記実施の形態1−5では、把持部3は対向する2辺の側壁から延出させた例で説明したが、4辺の側壁から延出させてもよい。
【0080】
また、前記各実施の形態では、ケースはテープカートリッジを収納するケースの例で説明したが、前記各実施の形態のケースは、ケースの破損や変形を防止することができるので、収納物はテープカートリッジに限るものではない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上のように、本発明によれば、ケースと一体の把持部を用いて破損や変形を防止することができるので、本発明は例えばテープカートリッジを収納するケースとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施の形態に係る下ケース1aの斜視図。
【図2】本発明の一実施の形態に係るケースにテープカートリッジを収納する様子を示す斜視図。
【図3】本発明の一実施の形態に係る下ケース1aに上ケース1bを重ね合わせた状態を示す斜視図。
【図4】(a)図は図3のAA線における断面図、(b)図は図3のBB線における断面図。
【図5】(a)図は図3の状態から把持部3を湾曲させた状態を示す側面図、(b)図は、(a)図の把持部3の先端部を断面状態で図示した図。
【図6】本発明の一実施の形態に係る把持部3を折り畳んだ状態を示す側面図。
【図7】本発明の一実施の形態に係るケース1を段ボール箱30に収納する様子を示す斜視図。
【図8】本発明の一実施の形態に係るケース1を段ボール箱30に収納した状態を示す断面図。
【図9】本発明の一実施の形態に係るケースの斜視図。
【図10】(a)図は図9のCC線における断面図、(b)図は図9のDD線における断面図。
【図11】(a)図は図9の状態から把持部3を湾曲させた状態を示す図、(b)図は図11(a)の把持部3の先端部を断面状態で図示した図。
【図12】本発明の一実施の形態に係るケースの斜視図。
【図13】図12において、把持部3同士を嵌合させる前の状態の拡大図。
【図14】本発明の一実施の形態に係る把持部3同士の接続が完了した状態におけるケース1の平面図。
【図15】本発明の一実施の形態に係るケース1の斜視図。
【図16】本発明の一実施の形態に係る把持部3同士の接続が完了した状態の斜視図。
【図17】本発明の一実施の形態に係るケースの平面図。
【図18】本発明の一実施の形態に係るケースの平面図。
【図19】本発明の一実施の形態に係るケースの平面図。
【図20】図19のEE線における断面図。
【図21】従来のケースを段ボール箱に収納した状態の一例を示す断面図。
【符号の説明】
【0083】
1 ケース
1a 下ケース
1b 上ケース
2 収納室
3 把持部
3a 湾曲部
5,11 側壁
8 幅広部
9,20,22,27 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁で囲まれた収納室と、
前記側壁から延出した把持部とを備え、
前記把持部は、前記収納室の一部を包み込むように湾曲可能であり、
前記把持部は、前記湾曲により前記側壁を覆う湾曲部を形成できることを特徴とするケース。
【請求項2】
前記収納室は、上ケースと下ケースとを重ねあわせて形成しており、前記上ケース及び前記下ケースは、前記把持部を備えている請求項1に記載のケース。
【請求項3】
前記上ケース及び前記下ケースの前記把持部に、凸部と前記凸部の内側に形成した貫通孔とを設けており、前記上ケース及び前記下ケースの前記把持部のうち、一方の前記把持部の凸部と、他方の前記把持部の前記貫通孔とが嵌合する請求項2に記載のケース。
【請求項4】
前記上ケース及び前記下ケースの前記把持部に、内側が凹部の凸部を設けており、前記上ケース及び前記下ケースの前記把持部のうち、一方の前記把持部の凸部と、他方の前記把持部の前記凹部とが嵌合する請求項2に記載のケース。
【請求項5】
前記凸部は、前記上ケース及び前記下ケースの前記各把持部に、複数設けている請求項4に記載のケース。
【請求項6】
前記把持部は、対向する一対の前記側壁から延出している請求項1から5のいずれかに記載のケース。
【請求項7】
前記側壁は4辺で構成しており、前記把持部は前記4辺の各側壁から延出している請求項1から5のいずれかに記載のケース。
【請求項8】
前記把持部は、延出方向の異なる一対の把持部を含んでおり、前記一対の把持部には、貫通孔を形成した把持部があり、前記一対の把持部は、一方の前記把持部の前記貫通孔に、他方の前記把持部を通過させて接続できる請求項1から5のいずれかに記載のケース。
【請求項9】
前記把持部は、延出方向の異なる一対の把持部を含んでおり、前記各把持部に幅広部を設けており、前記一対の把持部は、一方の前記把持部の上側に、他方の前記把持部の幅広部を重ねて接続できる請求項1から5のいずれかに記載のケース。
【請求項10】
前記把持部は、延出方向の異なる一対の把持部を含んでおり、前記一対の把持部は、幅広部を設けた把持部と、環状部を設けた把持部とであり、前記一対の把持部は、一方の前記把持部の前記環状部に、他方の前記把持部の前記幅広部を通過させて接続できる請求項1から5のいずれかに記載のケース。
【請求項11】
前記収納室は、複数のテープカートリッジを収納する空間である請求項1から10のいずれかに記載のケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−52809(P2010−52809A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222206(P2008−222206)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】