説明

ケーブル配線システム及びケーブル配線施工方法

【課題】 本発明は、集合住宅のように多数の居室を有する場合にも容易に施工でき、施工後に新たなケーブルを容易に配線しうるケーブル配線システム及びケーブル配線施工方法を提供する。
【解決手段】 外線が接続されている、処理装置と分配装置からなる集合制御装置と、建築物室内に設置されている情報コンセントが、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと追加配線用鞘管よりなる結束ケーブル又は多連接ケーブルにより接続されており、該結束ケーブル又は多連接ケーブルは建築物の躯体に所定間隔に固定されていることを特徴とするケーブル配線システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般住宅、集合住宅等の建築物に通信用ケーブルや放送用ケーブルを設置するケーブル配線システム及びケーブル配線施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭や集合住宅においては、外線として引き込まれた1回線の電話回線等を分配器に接続し、分配器によりデジタルやアナログの内線、インターネット等に分配し、各居室に設置されているモジュラージャック等の情報コンセントにケーブルで配線接続していた。
【0003】
最近、情報技術の進歩と共にケーブルの本数や種類が増加してきており、ケーブルを整理よくコンパクトに施工するために、複数のケーブルを一体化した多連接ケーブルが研究されている。例えば、複数本のケーブルが連接されている扁平な多連接ケーブルにおいて、隣接するケーブル同士を連接しているブリッジの幅が、多連接ケーブルを結束したときに、同一円周上に上記複数本のケーブルの中心がほぼ位置できる幅とされていることを特徴とする多連接ケーブルが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−330621号公報
【0004】
近年、ブロードバンドの普及、テレビ放送のデジタル化や多様化等情報技術の進歩がすさまじく、通信用ケーブルや放送用ケーブルを施工した後、短期間のうちに新たな通信用ケーブルや放送用ケーブルを施工する必要性が発生することが度々あるが、上記多連接ケーブルでは新たな配線を追加することはできず、新たな通信用ケーブルや放送用ケーブルを施工する必要があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記欠点に鑑み、集合住宅のように多数の居室を有する場合にも容易に施工でき、施工後に新たなケーブルを容易に配線しうるケーブル配線システム及びケーブル配線施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のケーブル配線システムは、外線が接続されている、処理装置と分配装置からなる集合制御装置と、建築物室内に設置されている情報コンセントが、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと追加配線用鞘管よりなる結束ケーブル又は多連接ケーブルにより接続されており、該結束ケーブル又は多連接ケーブルは建築物の躯体に所定間隔に固定されていることを特徴とする。
【0007】
上記集合制御装置は、処理装置と分配装置からなり、外線から送られてきた情報を処理し分配して、各通信用ケーブルや放送用ケーブルに送る機能を有するものであれば特に限定されず、従来公知の任意の集合制御装置が使用可能である。
【0008】
通信ケーブルの処理装置としてはルーター、分配装置としてはハブが挙げられ、放送ケーブルの処理装置としてはブースター、分配装置としては分配器が挙げられる。電話回線においては処理装置と分配装置が一緒になったものとして交換装置が挙げられる。
【0009】
上記情報コンセントとは、モジュラージャック等が取り付けられたコンセント、テレビのアンテナ接続用コンセント等情報を接続しうるコンセントであり、従来公知の任意の情
報コンセントが使用可能である。
【0010】
上記追加配線用鞘管は、ケーブル配線システムを構築した後、必要に応じて、光ファイバーケーブル、テレビフィーダーケーブル、テレビ同軸ケーブル、LANケーブル等のケーブルを追加配線するためのものであり、通信用ケーブルや放送用ケーブルと共に設置するので形状保持性と可撓性を合わせて有する管体が好ましく、例えば、軟質塩化ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、ゴム等の樹脂管体が好ましい。
【0011】
又、追加配線用鞘管の内径は、必要に応じて、光ファイバーケーブル、テレビフィーダーケーブル、テレビ同軸ケーブル、LANケーブル等のケーブルを追加配線するので、7〜16mmが好ましい。
【0012】
上記結束ケーブルは、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと追加配線用鞘管を結束したケーブルであり、通信用ケーブルと放送用ケーブルは、通信用ケーブル又は放送用ケーブルが1本又は複数本であってもよいし、両者が併用されてもよい。
【0013】
上記結束方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、紐、金属線、粘着テープ等で結束する方法、バンドクリップ、テーピングクリップ等で結束する方法等が挙げられる。
【0014】
上記多連接ケーブルは、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと追加配線用鞘管を連接したケーブルであり、通信用ケーブルと放送用ケーブルは、通信用ケーブル又は放送用ケーブルが1本又は複数本であってもよいし、両者が併用されてもよい。
【0015】
多連接ケーブルを用いると、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと追加配線用鞘管が一体化されているため、施工が簡便になるばかりでなく、ある程度の剛性を確保できるため、追加のケーブルを追加施工しやすくなる。また、建築物の駆体への固定が行いやすくなる。
【0016】
上記連接方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよいが、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと、内径が7〜16mmの追加配線用鞘管が樹脂チューブで被覆され、両者の樹脂チューブの側面同士が柔軟な長尺樹脂シートにより長さ方向にブリッジ連結されて形成されている多連接ケーブルが好ましい。
【0017】
上記樹脂チューブは、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと、追加配線用鞘管を被覆するチューブであるから、柔軟な樹脂で形成されるのが好ましく、例えば、軟質塩化ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、ゴム等の樹脂が挙げられる。
【0018】
又、樹脂チューブは、その側面同士が柔軟な長尺樹脂シートにより長さ方向にブリッジ連結されているので、長尺樹脂シートを屈曲することにより、扁平状態、丸まった状態等に変形して配線することができ、多連接ケーブルを配線するスペースの形状に合わせて配線することができる。
【0019】
長尺樹脂シートを構成する樹脂としては、例えば、軟質塩化ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、ゴム等の樹脂が挙げられ、長尺樹脂シートは樹脂チューブの側面同士を連結するのであるから、樹脂チューブを構成する樹脂と同じ樹脂が好ましい。
【0020】
更に、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと追加配線用鞘管は、柔軟な長尺樹脂シートにより星状にブリッジ連結され、長尺樹脂シートの幅は5〜15mmであるのが好ましい。
【0021】
こうすることにより、通信用ケーブル、放送用ケーブル及び追加配線用鞘管に追加配線されたケーブルを一定間隔離して配線することができ、ケーブル間の信号漏れなどによる相互干渉がないように配線することができる。
【0022】
又、多連接ケーブルは、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと追加配線用鞘管の内、外形の最も大きいものの周囲に長尺樹脂シートを屈曲することにより、他の外形の小さいものが外形の最も大きいものの一投影面内に収まるのが好ましい。
【0023】
一投影面内に収まるとは、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと追加配線用鞘管の内、外形の小さいものを長尺樹脂シートを屈曲することにより外形の大きいものに押し付けた際に、外形の大きいものの幅の中に他のすべての外形の小さいものが収まることを意味する。
【0024】
図3(イ)及び(ロ)は追加配線用鞘管の一投影面内に通信用ケーブル及び放送用ケーブルが収まった状態を示す模式図である。図中1は追加配線用鞘管であり、放送用ケーブル2及び通信用ケーブル3が長尺樹脂シートを屈曲することにより追加配線用鞘管1の一投影面内に収められている。
【0025】
上記多連接ケーブルは、長尺樹脂シートを屈曲することにより外形の大きいものの幅以内に他の全ての外形の小さいものを収納することができ、幅の狭い隙間に施工できる、集合制御装置への多連接ケーブルの導入開口部を小さくできるので、集合制御装置の厚みを薄くできる、多連接ケーブルを最大外径方向が上下になるように施工することにより、多連接ケーブルの撓みを抑えることができる、多連接ケーブルを最大外径方向と直角方向に曲げることにより、多連接ケーブルを曲げRを最小にして曲げることができる等の効果がある。
【0026】
上記多連接ケーブルの強度は、長さ150mmの多連接ケーブルの一端部を固定し、他端部に100gの錘を吊り下げた際に、垂下距離が30〜90mmであるのが好ましい。
【0027】
上記試験による垂下距離が30mmより小さくなると、硬くなりすぎて建築物に配線施工する際に多連接ケーブルを取り回しするのが困難になり、90mmより大きくなると、柔らかくなりすぎて、建築物に固定した際に撓みが発生する、余長部分で急な曲がりが発生する、新たなケーブルを鞘管内に施工する際に通線しにくい等の欠点が発生するので、30〜90mmが好ましい。
【0028】
上記結束ケーブル又は多連接ケーブルは建築物の躯体に所定間隔に固定され、集合制御装置と情報コンセントを接続しているが、結束ケーブル又は多連接ケーブルを建築物の躯体に固定した際に、結束ケーブル又は多連接ケーブルが自重により垂れ下がり変形しないように1〜3m間隔で固定されているのが好ましい。
【0029】
又、複数階の建築物におけるケーブル配線配線システムでは、建築物が偶数階建の場合は、結束ケーブル又は多連接ケーブルと情報コンセントの接続が、奇数階の部屋には部屋の天井から配線され、偶数階の部屋には部屋の床下から配線されているのが好ましく、建築物が奇数階建の場合は、結束ケーブル又は多連接ケーブルと情報コンセントの接続が、奇数階の部屋には部屋の天井から配線され、偶数階の部屋及び最上階の部屋には部屋の床下から配線されているのが好ましい。
【0030】
こうすることにより、1階と2階以上の各部屋への配線ルートが単純になり、且つ、両階への配線距離が略同一になるので施工性が優れている。
【0031】
又、集合住宅等に配線する場合、集合住宅等は簡易耐火構造又は耐火構造である場合が多く、界壁部分の貫通孔の数はできるだけ少ないほうが好ましいが、上記ケーブル配線配線システムでは2階の上下部屋合わせて一箇所でよく施工性が優れている。
【0032】
上記ケーブル配線システムにおいては、外線から入力された情報が集合制御装置で処理され分配され、結束ケーブル又は多連接ケーブルにより室内に設置されている情報コンセントに接続され、情報コンセントから必要な情報を容易に取り出すことができる。
【0033】
又、結束ケーブル又は多連接ケーブルは、天井裏等に施工した場合にも梁等の建築物の躯体に一定間隔に固定されており、且つ、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと追加配線用鞘管が一体化されており、機械的強度があり、撓みが少ないので、多連接ケーブルは撓み少なく躯体に固定されている。従って、新たなケーブルを鞘管内に配線するに際に、鞘管の壁面とケーブルとの摩擦力によって鞘管を破壊したり、ケーブルを損傷することがなく配線することができる。
【0034】
請求項7記載のケーブル配線施工方法は、外線が接続されている集合制御装置に、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと追加配線用鞘管よりなる結束ケーブル又は多連接ケーブルの一端を接続すると共に、該結束ケーブル又は多連接ケーブルを建築物の躯体に所定間隔に固定し、他端を建築物室内に設置されている情報コンセントに接続することを特徴とする。
【0035】
上記多連接ケーブルは、前述の通り、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと、内径が7〜16mmの追加配線用鞘管が樹脂チューブで被覆され、両者の樹脂チューブの側面同士が柔軟な長尺樹脂シートにより長さ方向にブリッジ連結されて形成されているのが好ましい。
【0036】
上記多連接ケーブルは長尺樹脂シートを屈曲することにより、扁平状態、丸まった状態等に変形して配線することができるので、ケーブルを配線するスペースの形状に合わせて配線することができる。
【0037】
又、内径が7〜16mmの追加配線用鞘管が一体化されているので、必要に応じて、光ファイバーケーブル、テレビフィーダーケーブル、テレビ同軸ケーブル、LANケーブル等のケーブルを追加配線することができる。尚、追加配線用鞘管内に予め呼び線を挿通しておけば、ケーブルの追加配線をより容易にすることができる。
【0038】
又、前述の通り、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと追加配線用鞘管は、柔軟な長尺樹脂シートにより星状にブリッジ連結され、長尺樹脂シートの幅は5〜15mmであるのが好ましい。
【0039】
上記多連接ケーブルは、通信用ケーブル、放送用ケーブル及び追加配線用鞘管に追加配線されたケーブルを一定間隔離して配線することができ、ケーブル間の信号漏れなどによる相互干渉がないように配線することができる。
【0040】
又、前述の通り、多連接ケーブルは、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと追加配線用鞘管の内、外形の最も大きいものの周囲に長尺樹脂シートを屈曲することにより、他の外形の小さいものが外形の最も大きいものの一投影面内に収まるのが好ましい。
【0041】
更に、上記多連接ケーブルの強度は、長さ150mmの多連接ケーブルの一端部を固定し、他端部に100gの錘を吊り下げた際に、垂下距離が30〜90mmであるのが好ましい。
【0042】
上記結束ケーブル又は多連接ケーブルを建築物の躯体に固定する方法は、従来公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、梁、壁等の建築物の躯体に釘を打ちつけ、釘に結束ケーブル又は多連接ケーブルを針金、紐等で結束する方法、U字釘で梁、壁等の建築物の躯体に結束ケーブル又は多連接ケーブルを打ち付ける方法等が挙げられる。
【0043】
固定間隔は適宜決定されればよいが、結束ケーブル又は多連接ケーブルは通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと、追加配線用鞘管が一体化されているので比較的機械的強度があり、自重で撓みにくいので、1mの間隔では撓みが発生しないが、3m以上になると撓み易くなるので1〜3m間隔が好ましい。
【0044】
上記ケーブル配線施工方法は、多種多様なケーブルを室内に設置されている情報コンセントに容易に分配配線することができ、又、追加のケーブルも容易に配線することができる。
【0045】
又、結束ケーブル又は多連接ケーブルは、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと追加配線用鞘管が一体化されているので、機械的強度があり、撓みが少なく、天井裏等に施工する場合にも梁等の建築物の躯体に所定間隔に固定することにより、結束ケーブル又は多連接ケーブルを撓み少なく施工することができる。従って、新たなケーブルを鞘管内に配線するに際に、鞘管の壁面とケーブルとの摩擦力によって鞘管を破壊したり、ケーブルを損傷することがなく容易に配線することができる。
【0046】
又、多連接ケーブルを情報コンセントに接続する際に、情報コンセント付近で多連接ケーブルの通信用ケーブル、放送用ケーブル又は追加配線用鞘管を分断し、通信用ケーブル、放送用ケーブル又は追加配線用鞘管をそれぞれ所定の情報コンセントに接続するのが好ましい。尚、通信用ケーブル、放送用ケーブル及び追加配線用鞘管が前記長尺樹脂シートによりブリッジ連結されている場合は、長尺樹脂シートを引き裂いて分断すればよい。
【0047】
こうすることにより、多連接ケーブルにより一度に全てのケーブルが配線施工することができ、所定の位置にある所定の情報コンセントに使用状態に応じて自在に接続することができる。
【0048】
又、結束ケーブルの場合は結束を解いて、通信用ケーブル、放送用ケーブル又は追加配線用鞘管を自由にし、所定の情報コンセントに接続することができる。
【0049】
上記建築物は集合住宅であり、各部屋に配線するのが好ましく、こうすることにより、集合住宅における先行的情報配線が可能である。
【0050】
特に、小規模賃貸集合住宅における情報配線は電話線を各部屋に配線するのみであることが多く、例えば、ブロードバンド環境を構築するにはxDLSサービス又はかく部屋へ直接光ファイバーを外壁等から引き込むしか方法はなかったが、こうすることにより、通信・ 放送配線が容易に構築でき、且つ、追加配線する際にも、建築物の外観や内装を損なうことなく施工が可能である。
【発明の効果】
【0051】
本発明のケーブル配線システムの構成は上述の通りであるから、外線から入力された情
報が集合制御装置で処理され分配され、結束ケーブル又は多連接ケーブルにより室内に設置されている情報コンセントに接続され、情報コンセントから必要な情報を容易に取り出すことができる。
【0052】
又、結束ケーブル又は多連接ケーブルは、天井裏等に施工した場合にも梁等の建築物の躯体に一定間隔に固定されており、且つ、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと追加配線用鞘管が一体化されており、機械的強度があり、撓みが少ないので、多連接ケーブルは撓み少なく躯体に固定されている。従って、新たなケーブルを鞘管内に配線するに際に、鞘管の壁面とケーブルとの摩擦力によって鞘管を破壊したり、ケーブルを損傷することがなく配線することができる。
【0053】
本発明のケーブル配線施工方法の構成は上述の通りであるから、多種多様なケーブルを室内に設置されている情報コンセントに容易に分配配線することができ、追加のケーブルも容易に配線することができる。
【0054】
又、結束ケーブル又は多連接ケーブルは、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと追加配線用鞘管が一体化されているので、機械的強度があり、撓みが少なく、天井裏等に施工する場合にも梁等の建築物の躯体に所定間隔に固定することにより、結束ケーブル又は多連接ケーブルを撓み少なく施工することができる。従って、新たなケーブルを鞘管内に配線するに際に、鞘管の壁面とケーブルとの摩擦力によって鞘管を破壊したり、ケーブルを損傷することがなく容易に配線することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、本発明の実施態様を図面を参照して説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
【0056】
図1は多連接ケーブルの一例を示す断面図である。図中1は軟質塩化ビニル樹脂よりなる、内径が14mmの鞘管であり、2は放送用ケーブルであり、3は通信用ケーブルである。鞘管1は軟質塩化ビニル樹脂よりなる樹脂チューブ4により被覆され、放送用ケーブル2は軟質塩化ビニル樹脂よりなる樹脂チューブ4aにより被覆され、通信用ケーブル3は軟質塩化ビニル樹脂よりなる樹脂チューブ4bにより被覆されている。
【0057】
樹脂チューブ4と樹脂チューブ4aは、軟質塩化ビニル樹脂よりなり、幅が10mmの柔軟な長尺樹脂シート5により、長さ方向にブリッジ連結され、樹脂チューブ4と樹脂チューブ4bは、軟質塩化ビニル樹脂よりなり、幅が10mmの柔軟な長尺樹脂シート5aにより、長さ方向にブリッジ連結されて多連接ケーブルが形成されている。
【0058】
図2は多連接ケーブルの異なる例を示す断面図である。図中1aは軟質塩化ビニル樹脂よりなる、内径が12mmの鞘管であり、2aは放送用ケーブルであり、3aは通信用ケーブルであり、6は同軸ケーブルである。
【0059】
鞘管1aは軟質塩化ビニル樹脂よりなる樹脂チューブ4cにより被覆され、放送用ケーブル2aは軟質塩化ビニル樹脂よりなる樹脂チューブ4dにより被覆され、通信用ケーブル3aは軟質塩化ビニル樹脂よりなる樹脂チューブ4eにより被覆され、同軸ケーブル6は軟質塩化ビニル樹脂よりなる樹脂チューブ4fにより被覆されている。
【0060】
樹脂チューブ4cと樹脂チューブ4d、樹脂チューブ4cと樹脂チューブ4e及び樹脂チューブ4cと樹脂チューブ4fは、軟質塩化ビニル樹脂よりなり、幅が12mmの柔軟な長尺樹脂シート5b、5c及び5dにより、星状に方向にブリッジ連結され、多連接ケーブルが形成されている。
【0061】
図4は本発明のケーブル配線システムの一例を示す説明図であり、図5は一階の部屋に天井から配線した多連接ケーブルの先端部の長尺樹脂シートを引き裂いて情報コンセントに接続した状態を示す説明図である。
【0062】
図中7は3階建の集合住宅であり、集合住宅の一階壁に、処理装置と分配装置からなる集合制御装置8が設置され、各部屋には情報コンセント9、9・・が設置されている。集合制御装置8には、集合住宅7の外から通信・放送用外線10が接続されている。
【0063】
集合制御装置8には複数の多連接ケーブル11、11・・が丸めた状態で接続されており、1階の部屋の情報コンセント9には1階の天井を経由し、多連接ケーブル11の先端部付近の長尺樹脂シートを引き裂かれ、通信用ケーブル3b及び鞘管1bと放送用ケーブル2bがそれぞれ情報コンセント9、9に接続されている。
【0064】
又、2階以上の部屋の情報コンセント9には、各部屋の床下を経由して多連接ケーブル11が接続されている。尚、多連接ケーブル11は2m間隔でU字釘12,12により梁に固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】多連接ケーブルの一例を示す断面図である。
【図2】多連接ケーブルの異なる例を示す断面図である。
【図3】追加配線用鞘管の一投影面内に通信用ケーブル及び放送用ケーブルが収まった状態を示す模式図である。
【図4】本発明のケーブル配線システムの一例を示す説明図である。
【図5】一階の部屋に天井から配線した多連接ケーブルの先端部の長尺樹脂シートを引き裂いて情報コンセントに接続した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0066】
1、1a、1b 鞘管
2、2a、2b 放送用ケーブル
3、3a、3b 通信用ケーブル
4、4a、4b、4c、4d、4e、4f 樹脂チューブ
5、5a、5b、5c、5d 柔軟な長尺樹脂シート
6 同軸ケーブル
7 集合住宅
8 集合制御装置
9 情報コンセント
10 通信・放送用外線
11 多連接ケーブル
12 U字釘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外線が接続されている、処理装置と分配装置からなる集合制御装置と、建築物室内に設置されている情報コンセントが、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと追加配線用鞘管よりなる結束ケーブル又は多連接ケーブルにより接続されており、該結束ケーブル又は多連接ケーブルは建築物の躯体に所定間隔に固定されていることを特徴とするケーブル配線システム。
【請求項2】
多連接ケーブルは、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと、内径が7〜16mmの追加配線用鞘管が樹脂チューブで被覆され、両者の樹脂チューブの側面同士が柔軟な長尺樹脂シートにより長さ方向にブリッジ連結されて形成されていることを特徴とする請求項1記載のケーブル配線システム。
【請求項3】
通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと追加配線用鞘管は、柔軟な長尺樹脂シートにより星状にブリッジ連結され、長尺樹脂シートの幅は5〜15mmであることを特徴とする請求項1又は2記載のケーブル配線システム。
【請求項4】
多連接ケーブルは、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと追加配線用鞘管の内、外形の最も大きいものの周囲に長尺樹脂シートを屈曲することにより、他の外形の小さいものが外形の最も大きいものの一投影面内に収まることを特徴とする請求項1、2又は3記載のケーブル配線システム。
【請求項5】
長さ150mmの多連接ケーブルの一端部を固定し、他端部に100gの錘を吊り下げた際に、垂下距離が30〜90mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のケーブル配線システム。
【請求項6】
結束ケーブル又は多連接ケーブルと情報コンセントの接続が、建築物が偶数階建の場合、奇数階の部屋には部屋の天井から配線され、偶数階の部屋には部屋の床下から配線されており、建築物が奇数階建の場合、奇数階の部屋には部屋の天井から配線され、偶数階の部屋及び最上階の部屋には部屋の床下から配線されていることを特徴とする請求項16のいずれか1項記載のケーブル配線配線システム。
【請求項7】
外線が接続されている、処理装置と分配装置からなる集合制御装置に、通信用ケーブル及び/又は放送用ケーブルと、追加配線用鞘管よりなる結束ケーブル又は多連接ケーブルの一端を接続すると共に、該結束ケーブル又は多連接ケーブルを建築物の躯体に所定間隔に固定し、他端を建築物室内に設置されている情報コンセントに接続することを特徴とするケーブル配線施工方法。
【請求項8】
多連接ケーブルを情報コンセントに接続する際に、通信用ケーブル、放送用ケーブル又は追加配線用鞘管を分断し、所定の情報コンセントに接続することを特徴とする請求項7記載のケーブル配線施工方法。
【請求項9】
建築物が集合住宅であり、各部屋に配線することを特徴とする請求項7又は8記載のケーブル配線施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−49245(P2006−49245A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232411(P2004−232411)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】