説明

ゲル状粘着シート

【課題】 床材、カーペットや玄関マットのような敷物等を敷いた際に美観を損ねること及び破損することなく、該敷物等のズレ又は捲り上りを防止する。
【解決手段】 織布、編物、不織布、紙、樹脂フィルム又は金属フィルムからなる芯材12に、網目状又は蜂の巣状に貫通する多数の孔を形成し、該芯材を薄手のウレタンゲル13のゲル状物質に埋設してなる。水洗浄すれば再利用可能なウレタンゲル13を薄手に構成して芯材12を埋設したことにより、強度、利用効率の向上を図るとともに、玄関マットのような敷物等の美観を損ねない利用が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材、カーペット或いは玄関マット等のような敷物のズレ又は捲り上り等を防止するためのゲル状粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震対策として、家具や家電製品の転倒防止を目的としたウレタンゲルからなる粘着シートが市販されている。該粘着シートは、防振性や衝撃吸収性に優れたウレタンゲルの自己粘着性を利用して、床面と家具や家電製品の底面との間隙に貼着し、家具や家電製品の転倒を防止するものである。また、従来、玄関マットのような敷物のズレ又は捲り上り等を防止するための薄手の接着シートが市販されている。
【0003】
さらに、シート状の接着剤としては、エポキシ樹脂系の接着剤で形成されたシート状のマトリックスに厚み方向に貫通する多数の孔をもつシート状で鋼系の網状体が埋設されてなるシート状接着剤が提供されている。(特許文献1)。
【特許文献1】特開平5−295334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来市販されている耐震用のウレタンゲルからなる粘着シートは、その厚みが5mm程度と比較的厚く形成されているために、玄関マットのような敷物の下に敷くと敷物の一部分だけが盛り上がって美観を損ねるという問題点があり、一方で、厚みが3mm程度と比較的薄く形成された粘着シートも市販されてはいるが、ウレタンゲルは軟質で伸びやすく、床等から剥す際や厚み方向に加力した際には容易に破損してしまうという問題点があった。また、床面が絨毯やフロアマット等であった場合には、絨毯等に織り込まれた無数の糸に該粘着シートを密着させることができず、該無数の糸が床面と粘着シートとの貼着を緩衝するために、該粘着シートで玄関マットのような敷物を固定することはできなかった。
【0005】
また、薄手の接着シートを用いて玄関マットのような敷物を床面に固定した場合には、該敷物が接着シートの厚みにより盛り上がって美観を損ねることなく該敷物のズレ又は捲り上りを防止することは可能ではあるが、該接着シートを剥がす際には床面の塗料等が剥げたり、接着剤の一部が床面に残存したり等、床面を損傷してしまい、また、一度床面から剥がした接着シートは、接着剤が硬化して再利用することができないという問題点があった。
【0006】
さらに、特許文献1に記載の技術では、時間経過とともに硬化するエポキシ系樹脂からなる接着剤を使用しているために、一度接着してしまうと再利用することはできず、マット業者がレンタルマットを交換する際や主婦が掃除等する際に玄関マット等の敷物を頻繁に動かす点を鑑みれば、玄関マット等の敷物のズレ又は捲り上りを防止するために該シート状接着剤を利用することは実用的でないという問題点があった。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成した。すなわち、本発明に係る請求項1に記載のゲル状粘着シートは、織布、編物、不織布、紙、樹脂フィルム又は金属フィルムからなる芯材に、網目状又は蜂の巣状に貫通する多数の孔を形成し、該芯材を薄手のウレタンゲル、シリコーンゲル、スチレン系ゲル又はオレフィン系ゲルのゲル状物質に埋設してなることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る請求項2に記載のゲル状粘着シートは、織布、編物、不織布、紙、樹脂フィルム又は金属フィルムからなる芯材の一方の表面に、一端をキノコ状の突起部として形成した係合素子の他端を芯材の表面に対して垂直方向に多数固着し、他方の表面に、薄手のウレタンゲル、シリコーンゲル、スチレン系ゲル又はオレフィン系ゲルのゲル状物質を着設してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る請求項1に記載のゲル状粘着シートによれば、ゲル状物質を約1.0mmの厚みで薄手に構成した場合であっても、芯材をゲル状物質に埋設させたことにより、ゲル状粘着シートの強度を保持することができ、玄関マットのような敷物等を敷いた際に美観を損ねることなく、且つ破損することなく、該敷物等のズレ又は捲り上りを防止することができる。さらに、水洗浄すれば何度でも再利用することができる。
【0010】
また、本発明に係る請求項2に記載のゲル状粘着シートによれば、床面が絨毯やフロアマット等であっても、玄関マットのような敷物等を敷いた際に美観を損ねることなく、且つ破損することなく、該敷物等のズレ又は捲り上りを防止することができる。さらに、水洗浄すれば何度でも再利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明を具体的に説明する。図1は、本発明に係る第1実施例のゲル状粘着シート11の構成を示す平面図である。ゲル状粘着シート11は、蜂の巣状に貫通する多数の孔が形成されている芯材12が、自己粘着性を有する薄手シート状の透明又は半透明のウレタンゲル13に埋設されて構成される。
【0012】
芯材12の素材としては、織布、編物、不織布、紙、樹脂フィルム又は金属フィルム等が挙げられるが、本願発明の目的を達成するにおいては、一定の素材に限定されるものではなく、ゲル状粘着シート11の強度を保持させるシート状のものであれば何でもよい。
【0013】
芯材12の表面に形成された蜂の巣状に貫通する多数の孔は、芯材12を埋設する薄手のウレタンゲル13が芯材12により分断されずに一体的に形成されるために構成され、人が敷物上を踏み込んだ時に床面と敷物との間隙でゲル状粘着シート11に摩擦力が働く際、ゲル状粘着シート11を床面等の粘着対象から剥がす際又はゲル状粘着シート11を利用後に洗浄する際に、芯材12と薄手のウレタンゲル13とが剥離するのを防止する。ここで、芯材12が薄手のウレタンゲル13に埋設された状態を図2及び図3を用いて説明する。
【0014】
図2は、ゲル状粘着シート11のA−A断面拡大図であり、図3は、ゲル状粘着シート11の拡大斜視図である。図2に表示したように、芯材12は、ウレタンゲル13の厚み方向の可及的中央に埋設されており、また、ウレタンゲル13は、芯材12に設けられた多数の孔を貫通して芯材12により分断されることなく一体的に形成されている。
【0015】
さらに、図3に表示したように、芯材12は、ウレタンゲル13の厚み方向の可及的中央に、且つウレタンゲル13の表面に対して平行方向で埋設されている。これは、芯材12に設けられた多数の孔により薄手のウレタンゲル13の表面に凹凸状のムラが形成されるのを回避するためであり、このように、薄手のウレタンゲル13の表面を凹凸のない平坦面に形成することで、床面や敷物等への密着率の向上を図り、玄関マットのような敷物等のズレ又は捲り上がりを最大限に防止する。
【0016】
以上のように、薄手のウレタンゲル13に芯材12を埋設させたことにより、ゲル状粘着シート11の厚みを1.0mm程度に薄手に形成することができ、破損することなく利用することができる。また、ゲル状粘着シート11の厚みを1.0mm程度に薄手に形成したことにより、玄関マットのような敷物等が盛り上がらずに美観を損ねることなくゲル状粘着シート11を利用することができる。
【0017】
具体的には、図示しないが、ゲル状粘着シート11は、フローリング等の平坦な床面と玄関マット等の敷物との間隙に貼着させて利用する。例えば、縦10cm×横10cmの大きさに切断された厚み1.0mmのゲル状粘着シート11を使用して玄関マットを固定する場合には、まず、玄関マットを裏返し状態にし、その四隅に該ゲル状粘着シート11を貼着する。その後、玄関マットを表向き状態にすると同時に、玄関マットと玄関床面との間隙にゲル状粘着シート11を挟着させるように玄関床面の適切な箇所に玄関マットを貼着させて固定する。
【0018】
この時、玄関マットはゲル状粘着シート11の厚みのために外観上何ら盛り上がることはなく、玄関マットの美観を損ねることはない。また、薄手のウレタンゲル13に芯材12を埋設させたことにより、ゲル状粘着シート11の強度が保持されることで、破損することもない。さらに、ゲル状粘着シート11は、水洗浄すれば何度でも再利用が可能であり、強度の向上と相俟って利用効率の向上を図ることができる。
【0019】
また、該ゲル状粘着シート11は、玄関マットのような敷物のズレ防止に利用できるのみにあらず、POPやポスター等の掲示物の掲示や壁紙の貼付に利用することもできる(図示せず)。例えば、ポスターを壁面に掲示するに際しては、壁面の所定位置に該ゲル状粘着シートの一方の面を貼付した後、該ゲル状粘着シートの他方の面上にポスターを押え付けることで掲示することができる。その他POPやポスター等の掲示物及び壁紙についても同様の方法で貼付することができる。該ゲル状粘着シートは、画鋲のように壁面に穴を開けたり接着シートのように剥がす際壁面の塗料を剥がしたり等、壁面に傷を付けることなくポスター等の掲示物や壁紙を貼付することができ、接着シートとは異なり水洗浄すれば何度でも利用することができので、強度の向上と相俟って利用効率の向上を図ることができる。
【0020】
図4は、本発明に係る第2の実施例のゲル状粘着シート21を示す底面斜視図である。ゲル状粘着シート21は、芯材22、薄手のウレタンゲル23及び係合素子24から構成される。芯材22は、織布、編物、不織布、紙、樹脂フィルム又は金属フィルムの少なくとも1つの素材で構成されるが、ここでは係合素子24を縫着させる観点から布製の芯材22を構成する。また、係合素子24は、可撓性に優れた合成樹脂で構成される。
【0021】
係合素子24は、一端が膨らんだキノコ型の棒状体であり、他端を芯材22に対して垂直方向に芯材22の一方の表面に縫着させる。ここで、図4に示した拡大図は、棒状体の両端がキノコ型に膨らんだものを曲成し、係合素子24をU字状に構成した状態を示すものである。係合素子24は、芯材22の表面から垂直方向に突起していればよいが、このようにU字状に構成することで、単なる棒状体を表面に固着するよりも芯材22への縫着が容易になるとともに、縫着後に係合素子24が垂直方向へ突起する状態を維持し、且つ芯材22から容易く離脱するのを防止する。
【0022】
図5は、ゲル状粘着シート21の構成を示す平面図であって、シート状のウレタンゲル23が、1.0mm程度の均一な厚みの薄板状に形成され、芯材22の他方の表面に溶着により着設されている。芯材21に着設されたウレタンゲル23は、1.0mm程度の薄さで形成されてはいるが、芯材21の他方の表面に溶着されることで、破損することなく強度を保持することができる。芯材21の他方の表面に表れている斑点は、透明又は半透明のウレタンゲル23越しに現れる下記図6で説明する係合素子24の縫い目である。
【0023】
図6は、ゲル状粘着シート21の構成を示す底面図であり、上記U字状の係合素子24が一定の間隔で多数縫着され、芯材22の一方の表面全体にキノコ型の突起物が形成されている。また、図7は、ゲル状粘着シート21のB−B断面拡大図である。係合素子24は、夫々U字状に曲成された棒状体の中心と中心を挟む2点の3点で芯材22と縫合されており、棒状体のキノコ型に形成された両端が、夫々基材面から垂直方向に突起して構成される。係合素子24は、該棒状体の3点で芯材22に縫着されることにより、芯材22の表面から垂直方向への突起状態が維持され、且つ芯材22からの容易な離脱が防止される。
【0024】
芯材22の一方の表面全体に縫着された係合素子24は、該係合素子24に形成されたキノコ型の多数の突起部が、無数の糸が織り込まれた絨毯やフロアマット等の床面に係合し、ゲル状粘着シート21が該床面上で摺動不能に固定される。図8は、該ゲル状粘着シート21の長手方向の側面図であって、係合素子24が絨毯やフロアマット等の無数の糸が織り込まれた床面に係合する状態を示す図である。ゲル状粘着シート21は、ゲル状粘着シート21の係合素子24が突起した面が、絨毯やフロアマット等の床面に係合しており、もう一方のウレタンゲル23が着設された面が玄関マット等の底面に貼着して、玄関マット等の敷物と絨毯やフロアマット等の床面との間隙に挟着される。
【0025】
図9は、該ゲル状粘着シート21の長手方向の側面図であって、係合素子24が絨毯やフロアマット等の無数の糸が織り込まれた底面に係合する状態を示す図である。ゲル状粘着シート21は、ゲル状粘着シート21の係合素子24の突起した面が、絨毯やフロアマット等の底面に係合しており、もう一方のウレタンゲル23が着設された面がフローリング等の平坦な床面に貼着して、絨毯やフロアマット等とフローリング等の平坦な床面との間隙に挟着される。
【0026】
以上のように、芯材22に薄膜状のウレタンゲル23を構成することにより、ゲル状粘着シート21のウレタンゲルと基材との厚みが1.0mm程度の薄さであってもゲル状粘着シート21を破損せずに利用することができ、また、その薄さにより玄関マット等は外観上何ら盛り上がることなく、玄関マットのような敷物等の美観を損ねずにゲル状粘着シート21を利用することができる。また、芯材22に係合素子24を設けたことにより、床面が絨毯やフロアマット等であっても、ゲル状粘着シート21を床面に固定することができる。さらに、該ゲル状粘着シート21は、シート状のウレタンゲル23を水洗浄すれば何度でも再利用可能であり、上記実施例のゲル状粘着シート11と同様に利用効率が良い。
【0027】
上記実施例では、ゲル状物質としてウレタンゲル13、23を使用したが、シリコーンゲル、スチレン系ゲル又はオレフィン系ゲルを使用してもよい。ただ、シリコーンゲルは現在ウレタンゲル13、23よりも高価であるために、費用効率の観点からすれば、ゲル状物質としてウレタンゲル23を使用することが好ましい。
【0028】
また、上記第一の実施例では、蜂の巣状に多数の孔が形成された芯材12を用いたが、例えば、網目状、格子状、ガーゼ状又は蜘蛛の巣状の基材12を使用してもよく、ウレタンゲル13が基材12を貫通して一体的に形成できるものであればどのような孔の構成であってもよい。
【0029】
また、上記第二の実施例では、係合素子24を芯材22の一方の表面に縫着させたが、接着剤等を利用して固着させてもよい。また、係合素子24が芯材22の表面から垂直方向に突起する高さは、絨毯やフロアマット等の糸の高さに応じた変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
上記実施例では、床材、カーペット或いは玄関マット等の敷物を固定するために利用したが、例えば、観葉植物の鉢植え、置時計、ウォーターサーバ又はパソコン等のような置物、装飾品、備品を固定するために利用することもでき、軽量な装飾品等であれば壁面に貼付することもできる。また、ポスター、POP等の掲示物や壁紙を壁面へと貼付する際に該ゲル状粘着シート11を利用したが、ガラスやタイル等に貼付することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1の実施例のゲル状粘着シートの構成を示す平面図である。
【図2】ゲル状粘着シートのA−A断面拡大図である。
【図3】ゲル状粘着シートの拡大斜視図である。
【図4】第2の実施例のゲル状粘着シートの構成を示す底面斜視図である。
【図5】ゲル状粘着シートの構成を示す平面図である。
【図6】ゲル状粘着シートの構成を示す底面図である。
【図7】ゲル状粘着シートのB−B断面拡大図である。
【図8】ゲル状粘着シートの長手方向の側面図である。
【図9】ゲル状粘着シートの長手方向の側面図である。
【符号の説明】
【0032】
11、21 ゲル状粘着シート
12、22 芯材
13、23 ウレタンゲル
24 係合素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
織布、編物、不織布、紙、樹脂フィルム又は金属フィルムからなる芯材に、網目状又は蜂の巣状に貫通する多数の孔を形成し、該芯材を薄手のウレタンゲル、シリコーンゲル、スチレン系ゲル又はオレフィン系ゲルのゲル状物質に埋設してなることを特徴とするゲル状粘着シート。
【請求項2】
織布、編物、不織布、紙、樹脂フィルム又は金属フィルムからなる芯材の一方の表面に、一端をキノコ状の突起部として形成した係合素子の他端を芯材の表面に対して垂直方向に多数固着し、他方の表面に、薄手のウレタンゲル、シリコーンゲル、スチレン系ゲル又はオレフィン系ゲルのゲル状物質を着設してなることを特徴とするゲル状粘着シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−270082(P2009−270082A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226079(P2008−226079)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(506066571)株式会社日本シーアールシー (2)
【Fターム(参考)】