説明

ゲージ

【課題】 トップリンクの長さを所定長さとするのに迅速且つ正確に行えるように考慮する。
【解決手段】 一端側に、トップリンクの一方の取付点に係合する第1の係合部を備え、他端側に、トップリンクの他方の取付点に係合する第2の係合部を設けたゲージを提供する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】長さ調整自在な部材の第1、第2の部位(被測定部)間の長さを所定長さにするのに使用される(長さ測定用)ゲージに関し、例えば、トラクタに作業機を装着するための三点リンク機構のトップリンクの長さを規定の寸法にするのに使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、トラクタに作業機を装着するのに、一般的に、上部のトップリンクと下部の左右一対のロワーリンクとからなる三点リンク機構を介して装着される。前記トップリンクの長さ(トラクタ側取付点と作業機側取付点との長さ(距離))は、装着する作業機によって異なり、また、同じ作業機を装着する場合でもトラクタの機種によって異なるので、トップリンクは伸縮自在に構成されていて、長さ調整自在とされている。
【0003】このトップリンクの長さを適当に調整して、該トップリンクの長さが規定の寸法よりも短すぎたり、長すぎたりすると、作業機の性能が充分に発揮されない、動力伝達系統において騒音が発生する、トラクタのPTO軸と作業機のPIC軸とを連動連結するジョイントの不等速や過負荷等を引き起こしてジョイントや作業機が損傷する、等の現象が発生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来にあっては、トップリンクの長さを所定長さにするのに、メジャーによって測ることによって行っているが、手間がかかり面倒でもある。また、取扱説明書や銘板にトップリンク長さはトラクタ側取付点と作業機側取付点との中心間距離であることを表示しているが、圃場や納屋等でトップリンク長さを調整する場合、トップリンクの一端側端部と他端側端部との間の距離であると勘違いして、トップリンクの長さ方向の端部間の長さを、取扱説明書等で表示されたトップリンク長さにすることがある。
【0005】そこで、本発明は前記問題点に鑑みて、トップリンク等の長さ調整自在な部材の長さを迅速且つ正確に所定長さにすることのできるゲージを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明が前記目的を達成するために講じた技術的手段は、長さ調整自在な第1、第2の部位間の長さを所定長さにするのに使用されるゲージであって、第1の部位に係合する第1の係合部と、第2の部位に係合する第2の係合部とを有することを特徴とする。また、第1、第2の係合部は、少なくとも一方が複数設けられていてもよい。また、第1の部位はトップリンクの一端側であり、第2の部位はトップリンクの他端側であってもよい。
【0007】また、トラクタに作業機を装着するための三点リンク機構の作業機側端部に設けられる連結枠に、着脱自在に取り付け可能とされていてもよい。また、第1、第2の係合部間で屈曲自在とすることにより、使用状態から不使用状態へと折り畳み可能に構成されていてもよい。また、不使用状態から使用状態へと伸展させたときに、使用状態で位置決めされるようにストッパを設けてもよい。また、第1、第2の係合部の、少なくとも一方からの距離を表示する目盛りが設けられていてもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図3において、1はトラクタで、その車体2の背面上部にトップリンクブラケット3が設けられていると共に、該トップリンクブラケット3の下方には、車体2の背面からPTO軸4が後方に突出している。また、車体2の後部上面側には油圧シリンダを有する作業機昇降装置5が搭載され、車体2の後下部左右両側には左右方向のロワーリンクピン6が設けられている。
【0009】また、トラクタ1の車体2の後部には、三点リンク機構8が装着されている。この三点リンク機構8は、上部の1本のトップリンク9と、下部の左右一対のロワーリンク10とから主構成されている。トップリンク9は、正逆ネジによるターンバックル機構によって、長さ方向に伸縮自在とされていて、長さ調整自在とされている。また、トップリンク9の両端には球面継手11が備えられ、前側の球面継手11はトップリンクブラケット3に前側取付ピン12を介して左右方向の軸心回りに回動可能に枢支連結されており、この前側取付ピン12による取付部分がトップリンク9のトラクタ1側の取付点とされている。
【0010】左右ロワーリンク10の前端側は、前記ロワーリンクピン6に左右方向の軸心回りに回動可能に枢支連結されている。この左右のロワーリンク10の中途部は作業機昇降装置5のリフトアーム13とリフトロッド14を介して連結されており、作業機昇降装置5によって、ロワーリンク10が上下揺動(昇降)自在となっている。三点リンク機構8の後端すなわち、トップリンク9と左右一対のロワーリンク10の後端には、ロータリ耕耘機で例示する作業機16を連結する連結枠17が連結されており、この連結枠17は、図示する特殊三点リンク仕様の作業機16と図示省略の標準三点リンク仕様の作業機との2種のカテゴリーの作業機を1つの連結枠17によって連結できるように構成されている。
【0011】前記作業機16は、図3及び図8に示すように、PIC軸18を前方突出状に設けたギヤケース19から左右両側にサポートアーム20を突設すると共に、左サポートアーム20の外端に伝動ケース21を固定し、且つ右サポートアーム20の外端にサイドフレーム22を固定してなる機枠23を備え、伝動ケース21とサイドフレーム22との下部間には爪軸24が回転自在に支持され、この爪軸24には多数の耕耘爪25が取り付けられている。前記ギヤケース19上には、トップマスト26が固定されており、このトップマスト26の前側上端側には、左右方向の上連結ピン27が設けられ、左右各サポートアーム20には連結ブラケット28が固定され、左右各連結ブラケット28には左右方向の下連結ピン29が設けられている。
【0012】図4及び図5に示すように、前記連結枠17は、角パイプ(丸パイプ又はフラットバー等であってもよい)で正面視山形状に折曲形成された主枠31を備え、この主枠31の左右側部の上下方向中途部は主枠31と同一の材料で構成された補強部材32で連結されている。主枠31の上部左右方向中央部には上部連結体33が固定され、主枠31の左右下端部には下部連結体34が設けられ、補強部材32の左右方向中途部と左右の下部連結体34との間には正面視略L字形の支持板35が設けられている。
【0013】上部連結体33は左右一対の板材33aによって構成され、その板材33aの前側上部間には、図7R>7にも示すように、前記トップリンク9の後側の球面継手11が挿入されると共に、左右の板材33a及び球面継手11に頭付きの後側取付ピン36を左右方向に貫通することにより、トップリンク9の後部が連結枠17に左右方向の軸心回りに回動可能に枢支連結されている。この後側取付ピン36による取付部分がトップリンク9の作業機16側の取付点とされている。
【0014】なお、トップリンク9の前側の球面継手11も前記と略同様の構成でトップリンクブラケット3に連結されている。また、上部連結体33の後部側には、上方開放状の凹部から成り作業機16の上連結ピン27が係合(嵌合)する上連結部37、38が上下一対形成されている。左右各下部連結体34の前部には左右方向外側方に突出状のロワーリンクピン39が設けられ、このロワーリンクピン39にロワーリンク10の後端側が左右方向の軸心回りに回動可能に枢支連結されている。
【0015】また、左右各下部連結体34の後部には、後方開放状の凹部から成り作業機16の下連結ピン29が係合(嵌合)する下連結部40が形成されている。また、下部連結体34には、横軸41を介してロック部材42が左右方向の軸心回りに回動自在に支持されている。このロック部材42は下連結部40に係合した下連結ピン29と係合可能であり、係合することにより下連結部40から下連結ピン29が離脱するのを阻止し、また、下連結ピン29を下連結部40から離脱させるときには解除手段によって係合部分が下方に揺動操作可能である。
【0016】また、ロック部材42はバネによって下連結ピン29に係合する方向に付勢されているが、下連結ピン29が下連結部40に係合するときには下連結ピン29に押圧されることで係合部分が下方に逃げて該係合を阻害しない。連結枠17の左右の支持板35間には、トラクタ1のPTO軸4と作業機16のPIC軸18とを連動連結するジョイント軸43の後端側のヨーク44を軸心回りに回転自在に保持する保持具45が設けられている。ジョイント軸43は中途部が伸縮自在軸となっていると共に、前後にフック式継手から成る自在継手が備えられており、後端側のヨーク44がPIC軸18に嵌合連結される。なお、このジョイント軸43のPTO軸4に連結される側には2組のフック式継手から成る等角(等速)自在継手が備えられることがある。
【0017】保持具45は左右の支持板35に固定のガイド体46に支持されている。ガイド体46の左右方向内側には逆J字形の溝47が形成され、この溝47の上端47aまたは下端47bに、保持具45の左右両側に設けた軸48が嵌合することで保持具45が左右方向の軸心回りに揺動自在に支持されている。また、ガイド体46には上下一対のストッパ部49a,49bが形成されており、保持具45にはストッパ部49a,49bに係合する位置決め部材50が設けられており、軸48を溝47の上端47aに嵌合させたときには位置決め部材50を上側のストッパ部49aに係合させ、軸48を溝47の下端47bに嵌合させたときには位置決め部材50を下側のストッパ部49bに係合させることで、ヨーク44に対してPIC軸18を受け入れ可能な状態に保持具45を保持可能とされている。
【0018】前記構成のものにあっては、特殊三点リンク仕様の作業機16をトラクタ1に装着する場合には、保持具45の軸48をガイド体46の溝下端47bに嵌合させると共に、位置決め部材50を下側のストッパ部49bに係合させ、この状態で、三点リンク機構8を上昇させて、下側の上連結部38に上連結ピン27を係合させることで、作業機16を吊り上げると、作業機16は上連結ピン27回りにトラクタ1に接近し、下連結ピン29が下連結部40に係合すると共に、PIC軸18がヨーク44に連結されるようになっている。
【0019】また、標準三点リンク仕様の作業機をトラクタ1に装着する場合には、保持具45の軸48をガイド体46の溝上端47aに嵌合させると共に、位置決め部材50を上側のストッパ部49abに係合させ、上側の上連結部37に上連結ピン27を係合させることで、作業機を吊り上げる。また、標準三点リンク仕様の作業機をトラクタ1に装着する場合、連結枠17は、特殊三点リンク仕様の作業機16を連結する場合に対して、状態を起こす、すなわち、トップリンク9を伸長させて長くするという調整がなされる。
【0020】そして、特殊三点リンク仕様の作業機16を連結するとき又は標準三点リンク仕様の作業機をトラクタ1に装着するときのトップリンク9の長さは規定によって定まっている。前記連結枠17には、トップリンク9の長さを所定長さにするのに使用されるゲージ52が装備されている。このゲージ52を連結枠17に常備させておくことにより、メジャーがなくてトップリンク9の長さが適当な長さにマッチングされるという事態を回避できる。
【0021】このゲージ52は、図1、図2に示すように、金属等の帯板材によって長尺に形成されており、本実施の形態では、略同じ長さの第1、第2の構成体52A,52Bからなり、ゲージ52は、これら第1、第2の構成体52A,52Bの一端側同士が重ね合わされて、板厚方向の軸心回りに回動自在に連結されて屈曲自在とされていて、図1に示す直線状の使用状態と、第1の構成体52Aが第2の構成体52B上に相対的に重ね合わされる不使用状態(収納状態)とに折り畳み自在とされている。
【0022】なお、このようにゲージ52を折り畳み自在とすることで収納上便利であるが、折り畳み自在とされなくてもよい(すなわち、1つの板材によってゲージを形成してもよい)。また、ゲージ52は、3分割以上に分割してもよい。さらに、ゲージ52は長さ方向伸縮自在に構成してもよい。図2及び図6に示すように、第2の構成体52B一端側には、絞り加工等によって板厚方向に突出するように形成された略円筒状の支持部53が形成され、この支持部53が第1の構成体52Aの一端側に貫通形成された挿通孔54に、軸心回りに回動自在に挿通されると共に、支持部53の端部から径方向外方に抜止縁部55が延出されることで、第1、第2の構成体52A,52Bが相互に回動自在に連結されている。
【0023】また、第2の構成体52Bの一端側には、長手方向に直交する方向の縁部から長さ方向所定範囲で板厚方向に延出されたストッパ56が設けられている。ゲージ52が使用状態で、ストッパ56に第1の構成体52Aの一端側の長手方向に直交する方向の縁部が接当することで、第2の構成体52Bに対する第1の構成体52Aの一方側(図1の矢示C方向)への回動が規制されるようになっており、これによってゲージ52が使用状態に位置決めされるようになっている。
【0024】また、ゲージ52を不使用状態に折り畳んだ場合には、ストッパ56に第1の構成体52Aの一端側の長手方向に直交する方向の縁部が接当することで、第2の構成体52Bに対する第1の構成体52Aの他方側(図2の矢示D方向)への回動が規制されるようになっており、これによってゲージ52が不使用状態に位置決めされるようになっている。第1の構成体52Aの他端側には、トップリンク9の前端側の前側取付ピン12(第1の部位)に係合(嵌合)する第1の係合部57A,57B,57Cが複数(図例では3つ)形成され、第2の構成体52Bの他端側には、トップリンク9の後端側の後側取付ピン36(第2の部位)に係合(嵌合)する第2の係合部58が1つ形成されている。
【0025】したがって、第1の係合部57A,57B,57Cのいずれかがトップリンク9の前側取付ピン12に係合し、第2の係合部58がトップリンク9の後側取付ピン36に係合するように、トップリンク9の長さを調整することにより、トップリンク9が所定長さに、迅速且つ正確に調整されるようになっている。なお、前記第1の係合部57A,57B,57Cが複数設けられているのは、同じ作業機16を連結する場合でも、連結されるトラクタ1の機種によってトップリンク9の規定長さが異なるからであり、このゲージ52は複数の機種のトラクタ1に使用できるようになっている。したがって、トラクタ1の機種ごとにゲージ52を作るのであれば、第1の係合部は1つでよい。
【0026】また、前記第1、第2の係合部57A,57B,57C,58を換言すると、ゲージ52には、基準位置(第2の係合部)と、複数の測定位置(第1の係合部)とが設けられているといえる。また、各第1の係合部57A,57B,57Cの近傍には、ゲージ52が使用されるトラクタ1の機種を表示した表示部59A,59B,59Cが設けられており、間違いが起こらないようになっている。前記第1、第2の係合部57A,57B,57C,58は、本実施の形態では、ゲージ長手方向に長い長円状に形成された板厚方向に貫通する挿通孔で構成されており、使用状態における第1の係合部57A,57B,57Cと第2の係合部58との中心間距離が規定のトップリンク9長さの寸法に形成されている。
【0027】また、ゲージ52を不使用状態に折り畳んだときには、一番外側の第1の係合部57Aと第2の係合部58とが一致するようになっている。また、図7に示すように、第1、第2の係合部57A,57B,57C,58の短径は取付ピン36,12の外径よりも若干径小に形成されていて、取付ピン36,12の先端の面取り部36a,12aに、第1、第2の係合部57A,57B,57C,58が嵌合するように形成されている。なお、第1、第2の係合部57A,57B,57C,58の短径を取付ピン36,12の外径よりも大きく形成してもよい。
【0028】前記構成のゲージ52にあっては、該ゲージ52を使用状態としてトップリンク9に沿わせ、前側取付ピン12の中心と第1の係合部57A,57B,57Cの中心とを一致させると共に、後側取付ピン36の中心と第2の係合部58の中心とを一致させることにより、トップリンク9の長さを規定の長さに一致させることができるようになっている。また、トップリンク9の長さを規定長さとするのに、前側取付ピン12の中心と第2の係合部58の中心とを一致させると共に、後側取付ピン36の中心と第1の係合部57A,57B,57Cの中心とを一致させるようにしてもよい。この場合、後側取付ピン36が第1の部位となり、前側取付ピン12が第2の部位となる。
【0029】また、本実施の形態では、第1の係合部57A,57B,57Cと第2の係合部58との中心間の距離は、特殊三点リンク仕様の作業機16をトラクタ1に装着する場合のトップリンク9のトラクタ側取付点と作業機側取付点との中心間の長さに設定されている。したがって、例えば、標準三点リンク仕様の作業機を取り付けた状態から、特殊三点リンク仕様の作業機16に付け替えるときに、迅速且つ正確にトップリンク9の長さを規定長さに変更することができる。
【0030】なお、前記第1、第2の係合部57A,57B,57C,58は円形孔で構成してもよいが、長円に形成されているのは、トップリンク9の長さは±5mmの許容差があり、この許容差の範囲でトップリンク9長さを調整する場合(例えば、作業機16のギヤケース19内等でギヤ音が発生するときには、トップリンク9の長さを伸縮させる)があり、第1、第2の係合部57A,57B,57C,58に取付ピン12,36が係合する範囲でトップリンク9を伸縮させても、トップリンク9の長さは使用許容範囲となるようになっている。
【0031】なお、第1の係合部57A,57B,57Cと第2の係合部58との中心間の距離は、標準三点リンク仕様(又は他のカテゴリー)の作業機をトラクタ1に装着する場合のトップリンク9のトラクタ側取付点と作業機側取付点との中心間の長さに設定されていてもよく、また、第2の係合部58を、複数のカテゴリーの作業機(特殊三点リンク仕様の作業機、標準三点リンク仕様の作業機等)に対応させて、複数形成してもよい。さらに、特殊三点リンク仕様の作業機用と、標準三点リンク仕様の作業機用等の複数のゲージを用意するようにしてもよい。
【0032】また、第1の構成体52Aの他端側には、目盛り60がゲージ長手方向に沿って設けられている。この目盛り60で表示される数値は、第2の係合部58の中心からのゲージ長手方向の距離を示している。したがって、第2の係合部58を後側取付ピン36(または前側取付ピン12)に係合させ、前側取付ピン12(または後側取付ピン36)の中心を、設定したい寸法のトップリンク長さに対応する目盛り60の位置に合わせることで、トップリンク9の長さを所望の寸法とすることができるようになっている。
【0033】これにより、例えば、一番内側の第1の係合部57Cを使用するトラクタ1で、特殊三点リンク仕様の作業機16から標準三点リンク仕様の作業機に付け替える場合、ロータリ耕耘機以外の作業機を取り付ける場合であってトップリンク9を伸縮させて作業機の姿勢(連結枠17の姿勢)を変更する必要のある場合等、に便利である。また、一番外側又は真ん中の第1の係合部57A,57Bを使用するトラクタ1で、標準三点リンク仕様の作業機に付け替える場合にも目安にはなる。
【0034】図4及び図5に示すように、連結枠17の補強部材32の上面側には、左右一対のゲージ保持部材61が設けられており、ゲージ52を不使用状態に折り畳んだ状態で、このゲージ保持部材61の一方に支持部53の内周孔53aを嵌合させ、ゲージ保持部材61の他方に一番外側の第1の係合部57A及び第2の係合部58を嵌合させることにより、ゲージ52が連結枠17に着脱自在に取り付けられるようになっている。ゲージ保持部材61はゴム等の弾性部材から平面視略円形状の筒状に形成され、図6に示すように、補強部材32に溶接用によって固定された固定ピン62に取付固定されている。
【0035】このゲージ保持部材61は、上部側が下部側よりも径小とされた段付き状に形成され、上部側が、支持部53の内周孔53a、一番外側の第1の係合部57A及び第2の係合部58が外嵌される嵌合部61aとされている。この嵌合部61aの外周面は、上端から上下方向中途部に向かうにしたがって径方向外方に移行する傾斜面とされると共に、上下方向中途部から下端に向かうにしたがって径方向内方に移行する傾斜面とされている。そして、嵌合部61aの外周面の上下方向中途部は、支持部53の内周孔53a、一番外側の第1の係合部57A及び第2の係合部58の短径よりも若干径大に形成されていて、支持部53、一番外側の第1の係合部57A及び第2の係合部58の抜け止めが図られている。
【0036】なお、ゲージ52を取り外すときには、嵌合部61aの外周面の上下方向中途部が弾性変形することで、嵌合部61aから支持部53と、一番外側の第1の係合部57A及び第2の係合部58が抜脱される。図8R>8及び図9に示すように、前記作業機16には、爪軸24に草等が巻き付くのを防止する草巻付防止体70が設けられている。この草巻付防止体70は爪軸24に沿って且つ爪軸24と径方向に間隔をおいて配置されるワイヤ67を有し、このワイヤ67の一端側にはボルト68及びナットを介して連結部材69がワイヤ長さ方向に位置調整自在に設けられ、ワイヤ67の他端側には連結部材70が直接設けられており、ワイヤ67には被覆材71が略全長に亘って外嵌されている。
【0037】連結部材69,70はU字金具で形成されており、その二股部分にはピン74を介して取付ステー72が枢着されており、この取付ステー72には、挿通孔75が形成され、この挿通孔75に耕耘爪25の基部を挿通した後、該耕耘爪25の基部を、爪軸24に溶接固定した爪取付ブラケット76に取り付けることで、草巻付防止体70が爪軸24に取り付けられるように構成されている。前記ピン74は、頭付きのかしめ材で構成され、ピン74を連結部材69,70及び取付ステー72に貫通させた後、ピン74の先端側をかしめて抜止部74aを形成することで、取付ステー72が連結部材69,70に取り付けられている。
【0038】この取付ステー72の連結部材69,70への取り付けを、頭付きピンを両者に挿通し、割ピンによって頭付きピンの抜け止めをすることにより行うようにしたものにあっては、組み付けが煩雑で、部品点数が多くコスト高であり、ピンの抜け止めの信頼性が低いといった問題があるが、前記構成のものでは、そのような問題が解消できる。図10は、ゲージ52の他の例を示しており、第1の構成体52Aの他端側に延長構成体(第3の構成体)52Cの一端側を連結したものであり、この延長構成体52Cの一端側と第1の構成体52Aの他端側とは、第1の構成体52Aの一端側と第2の構成体52Bの一端側との連結構造と同じ構造で構成されていて、延長構成体52Cが第1の構成体52A上に重ね合わされる不使用状態に折り畳み自在とされている。
【0039】この延長構成体52Cと第1の構成体52Aとの連結部分の支持部の内周孔が第1の係合部57Aとされており、延長構成体52Cの他端側には、不使用状態に折り畳んだ状態で支持部53の内周孔53aに一致する孔80が形成されている。そして、この延長構成体52Cには、延長構成体52Cと第1の構成体52Aとが直線状の使用状態とされた状態で、前記目盛り60に続く目盛り(図示省略)が形成され、前述したゲージ52よりも、さらに長い寸法のトップリンク長さが測れるようになっている。
【0040】なお、第1の構成体52Aの他端側を長さ方向に延長し、この延長部分に前記延長構成体52Cを連結してもよい。図11は他のゲージ52の形態を示しており、第1の係合部57A,57B,57C及び第2の係合部58をU字形の切り欠きで構成し、取付ピン12,36に径方向から係合できるようにしたものである。図12及び図13は、トップリンク9の他の形式のものを示したものであり、このトップリンク9は、外面に雄ネジ部82aを有するネジ軸82と、該ネジ軸82が螺合される雌ネジ部83aを有する筒体83とを備えて長さ方向に伸縮自在に構成されていて、トップリンク9の長さが調整自在とされたものである。
【0041】このトップリンク9のネジ軸82の外面には、長さ方向に亘る平坦面84が径方向対称位置に形成され、この平坦面84にはトップリンク長さ方向に目盛り85が設けられている。このトップリンク9にあっては、筒体83のネジ軸82挿入側の端面83bがトップリンク長さ測定位置とされており、該端面83bに一致する目盛り85の数値がトップリンク9の取付点12,13間の長さLとされている。なお、前記目盛り85は、平坦面84上に刻印されるか、又は平坦面84上に貼られるラベルに印刷等される。また、平坦面84は2面形成されているが、一面だけであってもよい。また、球面継手11の固定部分86,87をネジ軸82又は筒体83に対して軸心回りに相対回転自在に構成しておくのがよい。
【0042】図14及び図15のものもトップリンク9の他の形式のものを示したものであり、このトップリンク9は、内周面に雌ネジ部90aを有する筒体90の両端から、外周面に雄ネジ部91a,92aを有するネジ軸91,92を螺合して主構成されたものであり、前記雄ネジ部91a,92aの一方は右ネジとされ、他方は左ネジとされていて、筒体90を回転させることにより、伸縮自在とされている。このトップリンク9にあっても、ネジ軸91,92に、平坦面93が形成され、この平坦面93に、図15に示すように、目盛り94が設けられており、筒体90のネジ軸91,92挿入側の端面90b,90cがトップリンク長さ測定位置とされており、該端面90b,90cに一致する目盛り94の数値がトップリンク9の取付点12,13から端面90b,90cまでの距離A,Bとされている。
【0043】したがって、このトップリンク9にあっては、トップリンク9の取付点間の長さLは、筒体90の長さをlとすると、l+A+Bであり、それが筒体90の外面に表示されている(図14(b)参照)。なお、本発明は前記実施の形態に限定されることはなく、トップリンク以外の長さ調整自在な部材の長さを所定長さとするのに採用してもよい。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、長さ調整自在な第1、第2の部位間の長さを所定長さにするのに使用されるゲージであって、第1の部位に係合する第1の係合部と、第2の部位に係合する第2の係合部とを有することにより、第1、第2の部位間の長さを迅速且つ正確に所定長さとすることができる。また、第1、第2の係合部は、少なくとも一方が複数設けられていることにより、第1、第2の部位の長さを複数の長さに調整でき、例えば、トップリンクの長さを調整するのに使用する場合にあっては、複数の機種のトラクタに対応したトップリンク長さの調整、あるいは、複数のカテゴリーの作業機に対応したトップリンク長さの調整ができる。
【0045】また、トラクタに作業機を装着するための三点リンク機構の作業機側端部に設けられる連結枠に、ゲージを着脱自在に取り付け可能とすることにより、ゲージ等がなくてトップリンクの長さを適当にマッチングするという事態を回避できる。また、第1、第2の係合部間で屈曲自在とすることにより、使用状態から不使用状態へと折り畳み可能に構成することにより、不使用時の収納に便利である。また、不使用状態から使用状態へと伸展させたときに、使用状態で位置決めされるようにストッパを設けることにより、正確且つ迅速に使用状態とすることができる。
【0046】また、第1、第2の係合部の、少なくとも一方からの距離を表示する目盛りを設けることにより、多様な長さ調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゲージの正面図である。
【図2】屈曲させた状態のゲージの正面図である。
【図3】トラクタ三点リンク機構、作業機の側面図である。
【図4】連結枠の側面一部断面図である。
【図5】連結枠の正面図である。
【図6】ゲージ保持部材の断面図である。
【図7】トップリンクの取付部分の断面図である。
【図8】作業機の背面図である。
【図9】草巻き付き防止体の一部断面をした正面及び平面を示す図である。
【図10】他のゲージを示す正面図である。
【図11】他のゲージを示す正面図である。
【図12】他のトップリンクの構造を示す側面断面図である。
【図13】図12のE−E線矢示断面図である。
【図14】他のトップリンクの構造を示す側面断面図と筒体の側面図である。
【図15】ネジ軸の側面拡大図である。
【符号の説明】
1 トラクタ
8 三点リンク機構
9 トップリンク
12 前側取付ピン(第1の部位又は第2の部位)
36 後側取付ピン(第2の部位又は第1の部位)
16 作業機
17 連結枠
52 ゲージ
56 ストッパ
57A 第1の係合部
57B 第1の係合部
57C 第1の係合部
58 第2の係合部
60 目盛り

【特許請求の範囲】
【請求項1】 長さ調整自在な第1、第2の部位間の長さを所定長さにするのに使用されるゲージであって、第1の部位に係合する第1の係合部と、第2の部位に係合する第2の係合部とを有することを特徴とするゲージ。
【請求項2】 第1、第2の係合部は、少なくとも一方が複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のゲージ。
【請求項3】 第1の部位はトップリンクの一端側であり、第2の部位はトップリンクの他端側であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲージ。
【請求項4】 トラクタに作業機を装着するための三点リンク機構の作業機側端部に設けられる連結枠に、着脱自在に取り付け可能とされていることを特徴とする請求項3に記載のゲージ。
【請求項5】 第1、第2の係合部間で屈曲自在とすることにより、使用状態から不使用状態へと折り畳み可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゲージ。
【請求項6】 不使用状態から使用状態へと伸展させたときに、使用状態で位置決めされるようにストッパを設けたことを特徴とする請求項5に記載のゲージ。
【請求項7】 第1、第2の係合部の、少なくとも一方からの距離を表示する目盛りが設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のゲージ。

【図1】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図8】
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【図13】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2000−329501(P2000−329501A)
【公開日】平成12年11月30日(2000.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−135905
【出願日】平成11年5月17日(1999.5.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】