説明

ゲートウェイ装置におけるトラヒック制御方法、トラヒック制御システム、トラヒック管理装置及びプログラム

【課題】複数の網と相互接続するネットワークシステムにおけるトラヒックを制御する方法を提供する。
【解決手段】本発明のトラヒック制御方法は、ゲートウェイ装置11を介して複数の網における異なる信号方式の信号の相互接続を実現するネットワークシステムにおけるトラフィックを、トラヒック管理装置10により監視して制御する方法である。トラヒック管理装置10は、1つ以上のゲートウェイ装置から、単位時間あたりのゲートウェイ装置11における各網ごとの受信信号数及びゲートウェイ装置11における負荷状態の情報を収集し、収集した受信信号数及び負荷状態の情報からゲートウェイ装置11における全体負荷量を算出し、各網ごとに制御されるべきトラヒックの制御信号量の規制信号を生成し、制御信号量の規制信号をゲートウェイ装置11に隣接する交換機又はサーバに送出し、継続的に受信信号数及び負荷状態の情報を収集して、制御信号量の更新又は解除を交換機又はサーバに指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のネットワークを跨るゲートウェイ装置におけるトラヒック制御方法、トラヒック制御システム、トラヒック管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトラヒック制御方法は、SIP(Session Initiation Protocol)サーバ上で、各SIPサーバが属するホームネットワーク内を流れる呼制御信号のみをトラヒック管理していた(例えば、特許文献1参照)。具体的には、単位時間当たりの呼密度が一定数に達した場合、SIPサーバが属するホームネットワークに収容されるIP(Internet protocol)端末からの発信を抑制するように制御していた。
【0003】
図6は、従来のトラヒック制御システムの構成例を示しており、複数のネットワークを跨るゲートウェイ装置におけるネットワークシステム全体の概略が示されている。図6に示すように、トラヒック管理装置100は、IP電話などのIP端末12−1,12−2からの呼制御信号、即ちSIPメッセージに基づくトラヒックを、IP網A(17−1)内のSIPサーバ21a,21b,21c上で管理する。これは、各SIPサーバ21a,21b,21cによって、IP端末12−1,12−2から発信された、ゲートウェイ(GW)装置11に向かうSIP信号19−1を、トラヒック管理装置100からの情報に基づいて抑制することに寄与する。即ち、従来のトラヒック制御方法は、SIPサーバ21a,21b,21cが属するホームネットワーク上を流れるSIPメッセージのみを抑制制御の対象とするものである。
【0004】
一方で、SIPサーバ21a,21b,21cが属するIP網A(17−1)のGW装置11は、ネットワークシステム全体として、IP網B(17−2)、公衆電話網18−1,18−3、及び携帯電話網18−2,18−4など、1つ以上の他の網が相互接続されて構成される。このようなネットワークシステムにおいて、GW装置11は、ISUP(Integrated Services Digital Network User Part)信号20−1,20−2とSIP信号19−1,19−2,19−3との間でプロトコル変換し、相互接続を実現する。
【0005】
【特許文献1】特開2004−088666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、従来では、IP電話で輻輳を回避するためにSIPメッセージのみのトラヒックを監視し、制御するSIPサーバに通知して、当該SIPサーバが属するネットワーク内で適切なトラヒック分配を行うように制御を行っていた。
【0007】
しかしながら、SIPサーバが属するネットワーク上を流れるSIPメッセージのみをトラヒックの制御対象とするだけでは、他の網(例えば、公衆電話網、携帯電話網、他のIP網など)から大量に流入してくるパケット(又は信号)を、SIPサーバ自身が属するネットワークの入口で制御することはできない。このため、1つ以上の他の網が相互接続されてゲートウェイ(GW)装置におけるネットワークシステムが構成されると、GW装置への負担は、事実上極めて増大するという問題が生じている。
【0008】
そこで、本発明の目的は、1つ以上の他の網と相互接続時、例えば公衆電話網、携帯電話網、他のIP網との相互接続点における効果的なトラヒック制御を実現する、ゲートウェイ装置におけるトラヒック制御方法、トラヒック制御システム、トラヒック管理装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による第1の態様のトラヒック制御システムは、複数のネットワークを跨るゲートウェイ(GW)装置におけるネットワークシステム(以下、単にネットワークシステムとも称する)に関連付けられたトラヒック管理装置を備える。GW装置は、SIPサーバから送出されるSIP信号(例えば、INVITEメッセージ)と、他網の交換機等から送出されるISUP信号(例えば、共通線信号方式におけるイニシャルアドレスメッセージ)とを検知してカウントし、それぞれの信号数に応じた重み付けを施し、トラヒック制御を行う。例えば、IP電話での不定期、且つ大量のSIP信号による輻輳及び異なる網との接続点におけるGW装置の処理負荷を適切に判断し、トラヒック管理装置に通知を行い、トラヒック管理装置は、隣接又は発側のサーバ又は交換機に規制をかけるようにする。
【0010】
本発明による第2の態様のトラヒック制御システムは、ネットワークシステムにて、該ネットワークシステムにおける全信号のトラヒックを監視する、一体のトラヒック管理装置を備える。該トラヒック管理装置は、ISUP信号及びSIP信号の双方の信号数にそれぞれ重み付けを行い、ネットワークシステムにかかる負荷量(即ち、GW装置の全体負荷量)を算出し、この算出値に基づき隣接又は発側のサーバ又は交換機(以下、隣接又は発側システムと称する)向けの制御信号量を生成し、該制御信号量を各隣接又は発側システムに送出する。隣接又は発側システムは、該制御信号量に基づいてゲートウェイ装置に向かう発信を制御し、トラヒック制御を行う。重み付けは、SIP:ISUP=n:m(n,mは任意の数)として予め定めておくようにする。さらに、信号種別(オーディオ信号、ビデオ信号等の種別等)により重み付けを行うようにするのが好適である。本発明による第2の態様のトラヒック制御システムによれば、ネットワークシステムの処理量に応じた重み付けを行い、固定的ではなく動的にトラヒック量、信号種別に応じた制御が異なるプロトコルを制御対象とすることにより、ネットワーク境界の制御を実施しているGW装置に対する負荷軽減を図ることができる。
【0011】
本発明による第3の態様のトラヒック制御システムは、該ネットワークシステムにおける網別のトラヒックを監視する、複数のトラヒック管理装置を更に備える。複数のトラヒック管理装置を分散設置してトラヒック制御を可能にするため、該ネットワークシステムにおける全信号のトラヒック管理を第1トラヒック管理装置で実施し、他のトラヒック管理装置の各々における各網のトラヒック量に応じた適切な制御量を算出し、分散設置している他のトラヒック管理装置の各々に適切な制御量のみを表す制御指示信号を送信する。即ち、GW装置の状況を他の網(他事業者の網)のトラヒック管理装置にそのまま伝えることなく、制御情報のみを送受信する。例えば、PSTN、VoIPと異なる網と連携してトラヒック制御を行う場合、複数のトラヒック管理装置での連携制御を実現し、各トラヒック管理装置間の情報のやり取りは、所定の制御指示信号のみを用い、トラヒック情報やサーバの負荷情報は用いないようにする。このように共通の制御指示信号のみを用いるようにすることで、例えば他の事業者がGW装置の状況を独自に判断して制御するようなことがないようにして、安定したトラヒック制御を実現する。
【0012】
即ち、本発明によるトラヒック制御方法は、1つ以上のゲートウェイ装置を介して複数の網における異なる信号方式の信号の相互接続を実現するネットワークシステムにて、トラヒックを制御するトラヒック制御方法であって、前記ネットワークシステムは、前記ゲートウェイ装置と相互通信するトラヒック管理装置を備え、前記トラヒック管理装置の処理手順は、前記ゲートウェイ装置から、単位時間あたりの前記ゲートウェイ装置における各網ごとの受信信号数及び前記ゲートウェイ装置における負荷状態の情報を収集するステップと、前記収集した受信信号数及び負荷状態の情報から前記ゲートウェイ装置における全体負荷量を算出し、各網ごとに制御されるべきトラヒックの制御信号量の規制信号を生成するステップと、前記制御信号量の規制信号を前記ゲートウェイ装置に隣接する交換機又はサーバに送出するステップと、継続的に前記受信信号数及び負荷状態の情報を収集して、前記制御信号量の更新又は解除を前記交換機又はサーバに指示するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明によるトラヒック制御方法において、前記制御信号量は、前記ゲートウェイ装置における負荷状態を考慮した各網ごとの受信信号数に対する予め定めた比率の加重配分で定められることを特徴とする。
【0014】
また、本発明によるトラヒック制御方法において、前記トラヒック管理装置が収集する情報は、受信信号の信号種別の情報を含み、前記制御信号量の加重配分は、前記信号種別毎に定められることを特徴とする。
【0015】
また、本発明によるトラヒック制御方法において、前記トラヒック管理装置は、各網ごとに専用化された複数のトラヒック管理装置からなり、複数のトラヒック管理装置のうちの1つは、前記ゲートウェイ装置から、単位時間当たりの前記ゲートウェイ装置における各網ごとの受信信号数及び前記ゲートウェイ装置における各網ごとの負荷状態の情報を収集し、前記算出した制御信号量を交換機又はサーバに送出する代わりに、該制御信号量に対応する情報のみ記述した所定の制御指示信号を他のトラヒック管理装置に送出し、当該他のトラヒック管理装置は、前記算出した制御信号量に対応するトラヒック制御を前記制御指示信号に基づいて前記交換機又はサーバに指示することを特徴とする。
【0016】
また、本発明によるトラヒック制御方法において、前記トラヒック管理装置の処理手順は、前記ゲートウェイ装置における各網ごとの受信信号数に応じたトラヒック制御を前記ゲートウェイ装置に指示するステップを更に含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明によるトラヒック制御方法において、前記トラヒック管理装置は、前記ゲートウェイ装置における全体負荷量を算出した結果、特定の網のみのトラヒック制御を選定する場合にも、前記ゲートウェイ装置に指示するトラヒック制御として、前記ゲートウェイ装置における全体負荷量に対する加重配分を施して指示することを特徴とする。
【0018】
更に、本発明によるトラヒック制御システムは、1つ以上のゲートウェイ装置を介して複数の網における異なる信号方式の信号の相互接続を実現するネットワークシステムにて、トラヒックを制御するトラヒック制御システムであって、前記ネットワークシステムは、前記ゲートウェイ装置と相互通信するトラヒック管理装置を備え、前記トラヒック管理装置は、前記ゲートウェイ装置から、単位時間あたりの前記ゲートウェイ装置における各網ごとの受信信号数及び前記ゲートウェイ装置における負荷状態の情報を収集する手段と、前記収集した受信信号数及び負荷状態の情報から、各網ごとに制御されるべきトラヒックの制御信号量を算出する手段と、前記収集した受信信号数及び負荷状態の情報から前記ゲートウェイ装置における全体負荷量を算出し、各網ごとに制御されるべきトラヒックの制御信号量の規制信号を生成する手段と、前記制御信号量の規制信号を前記ゲートウェイ装置に隣接する交換機又はサーバに送出する手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
更に、本発明によるトラヒック管理装置は、1つ以上のゲートウェイ装置を介して複数の網における異なる信号方式の信号の相互接続を実現するネットワークシステムのトラヒックを管理するトラヒック管理装置であって、前記ネットワークシステムは、前記ゲートウェイ装置と相互通信するトラヒック管理装置を備え、前記ゲートウェイ装置から、単位時間あたりの前記ゲートウェイ装置における各網ごとの受信信号数及び前記ゲートウェイ装置における負荷状態の情報を収集する手段と、前記収集した受信信号数及び負荷状態の情報から前記ゲートウェイ装置における全体負荷量を算出し、各網ごとに制御されるべきトラヒックの制御信号量の規制信号を生成する手段と、前記制御信号量の規制信号を前記ゲートウェイ装置に隣接する交換機又はサーバに送出する手段と、継続的に前記受信信号数及び負荷状態の情報を収集して、前記制御信号量の更新又は解除を前記交換機又はサーバに指示する手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
更に、本発明によるトラヒック制御プログラムは、本発明のトラヒック管理装置として構成するコンピュータに、前記ゲートウェイ装置から、単位時間あたりの前記ゲートウェイ装置における各網ごとの受信信号数及び前記ゲートウェイ装置における負荷状態の情報を収集するステップと、前記収集した受信信号数及び負荷状態の情報から前記ゲートウェイ装置における全体負荷量を算出し、各網ごとに制御されるべきトラヒックの制御信号量の規制信号を生成するステップと、前記制御信号量の規制信号を前記ゲートウェイ装置に隣接する交換機又はサーバに送出するステップと、継続的に前記受信信号数及び負荷状態の情報を収集して、前記制御信号量の更新又は解除を前記交換機又はサーバに指示するステップとを実行させるためのプログラムとして特徴づけられる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、トラヒック管理装置がGW装置から入力信号数及びGW装置の負荷状態の情報を収集し、ネットワークシステム全体にトラヒック制御及び規制指示を行うことによって、異なるネットワーク間に跨った通信においても網全体で安定的な運用を得ることができ、結果的にユーザの利用満足度が向上する。
【0022】
また、自動制御により輻輳時の状態を早期に沈静化させることができる。また、優先的に疎通させたい信号と規制したい信号とを振り分け制御を行うことにも応用することができ、特定のサービスのみエンド・ツー・エンドで規制し、又は優先的に接続することが可能となり、災害時の緊急通信では特に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明による実施例1のトラヒック制御システムを説明する。尚、各図において、同様な構成要素には同一の参照番号を付して説明する。
【0024】
(実施例1)
実施例1のトラヒック制御システムは、音声通信を確立するためのIP電話によるネットワークサービスを実現するネットワークシステムのトラヒックを制御する。実施例1のトラヒック制御システムは、他の網(例えば、異なる事業者網間等)、異なる信号方式とのインタワーク等の相互接続を実現するゲートウェイ(GW)装置と、GW装置から信号数及びGW装置の負荷状態の収集を行い、ネットワーク全体に制御及び規制指示を行うトラヒック管理装置とを備える。
【0025】
図1に、本発明による一実施例のトラヒック制御システムの構成例を示す。図1には、複数のネットワークを跨るゲートウェイ装置におけるネットワークシステム全体の概略が示されており、前述した図6のネットワークシステムと対比可能である。図1に示すように、ゲートウェイ(GW)装置11は、IP網A(17−1)、IP網B(17−2)、電話機13−1,13−2をそれぞれ収容する公衆電話網18−1,18−3、及び携帯電話機14−1,14−2をそれぞれ収容する携帯電話網18−2,18−4など、2つ以上の網の間で信号をインターワークし、相互接続を実現する。
【0026】
具体的には、GW装置11は、ISUP信号とSIP信号との間でプロトコル変換又は相互接続を実施するため、好適にはMegacoプロトコルを用いて、IP網そのものを電話の中継交換機として働かせることができる。また、GW装置11は、各IP網における各サーバからGW装置11に流入又は流出する、単位時間あたりのSIP信号19−1,19−2,19−3の信号数の測定及び保持する機能と、保持したSIP信号の信号数の情報をトラヒック管理装置10に送信する機能と、IGS15−1,15−2からGW装置11への流入又は流出する、単位時間あたりのISUP信号20−1,20−2の信号数の測定及び保持する機能と、保持したISUP信号20−1,20−2の信号数の情報をトラヒック管理装置10に送信する機能とを有する。
【0027】
また、トラヒック管理装置10は、GW装置11から、単位時間あたりのゲートウェイ装置11における各網ごとの受信信号数及びGW装置11における負荷状態の情報(各網の信号量及び/又はCPU使用率又はメモリ使用率などのパラメータ化した情報を含む)を収集する手段と、収集した受信信号数及び負荷状態の情報(信号種別の情報を含めることができる)から、各網ごとに制御されるべきトラヒックの制御信号量を算出する手段と、収集した受信信号数及び負荷状態の情報からGW装置11における全体負荷量を算出し、各網ごとに制御されるべきトラヒックの制御信号量の規制信号を生成する手段と、制御信号量の規制信号をGW装置11に隣接する交換機又はサーバに送出する手段とを備える。実施例1のトラヒック制御システムにより、トラヒック及びサーバの処理状態に応じたネットワーク全体での制御を実施することにより安定した品質制御を実現する。従って、トラヒック管理装置10は、GW装置11から、各網の信号量及び/又はCPU使用率又はメモリ使用率などのパラメータ化した情報を取得して、ネットワークシステムの運転状況を把握することができ、これらのパラメータからトラヒックを総合的に判断した上で、隣接又は発側のサーバ又は交換機毎への規制信号を生成することができる。尚、本実施例において、1つのGW装置11を用いたネットワークシステムとして説明するが、複数のGW装置を用いて構成することができることは云うまでもない。この場合には、トラヒック管理装置10は、1つのGW装置を用いた場合と同様に、他のGW装置の全部、又は一部における負荷状態を管理するように構成することができる。
【0028】
SIPサーバ(例えば、SIPサーバ21a,21b,21c)は、ユーザのIP端末12−1,12−2を収容し、IP網(例えば、IP網A(17−1))内の接続制御を行うサーバである。
【0029】
IGS(Interconnection Gateway Switch)15−1,15−2は、他事業者の網と接続する関門交換機である。
【0030】
HTTPサーバ22−1、メールサーバ22−2、及びVoD(Video on Demand)サーバ22−3は、種々のサービスの提供に用いるサービスサーバであり、例えばIP端末12−2との間でドメインコントローラによる接続(DC接続)を確立し、例えばIP網A(17−1)内で、SIP信号を送受信する。
【0031】
前述したように、トラヒック管理装置10は、GW装置11からの受信信号数及びGW装置11の負荷状態を含む情報の収集を行い、ネットワークシステム全体におけるトラヒックを管理し、隣接又は発側のサーバ又は交換機に規制指示を行う装置である。GW装置11は、SIPサーバから送出されるSIP信号(例えば、INVITEメッセージ)と、他網の交換機等から送出されるISUP信号(例えば、共通線信号方式におけるイニシャルアドレスメッセージ)とを単位時間当たりで検知してカウントし、トラヒック管理装置10に通知を行う。この通知には、各網の信号量及び/又はCPU使用率又はメモリ使用率など、それぞれパラメータ化した情報とすることができる。トラヒック管理装置10は、それぞれの信号数に応じた重み付けを施し、隣接又は発側のサーバ又は交換機毎の規制信号を生成し、該規制信号を隣接又は発側のサーバ又は交換機に送出する。隣接又は発側のサーバ又は交換機は、該規制信号に基づいてトラヒック制御を行う。
【0032】
このように、トラヒック管理装置10は、IP電話での不定期、且つ大量のSIP信号による輻輳及び異なる網との接続点(GW装置11)の負荷状態を適切に判断し、隣接又は発側のサーバ又は交換機に規制をかけることができる。
【0033】
以下、図1に示すネットワークシステム例において、IP網では呼制御プロトコルを用いて音声通信を確立し、音声データをIPパケットとして他の網と送受信する音声通信を可能としたサービスが提供されているとする。このようなサービスを行うのに安定した通信を確保することが必要となるが、実施例1のトラヒック制御システムの動作は、以下の処理フローの説明により明らかになる。
【0034】
以下、実施例1のトラヒック制御システムの処理フローを説明する。
【0035】
(処理フロー)
概略的な処理フローを説明するに、GW装置11は、IP網A(17−1)、公衆電話網(18−1〜18−4)、IP網B(17−2)のそれぞれからの入力信号を収集して、トラヒック管理装置10に送出する。トラヒック管理装置10は、GW装置11に入ってくる単位時間当たりの総信号量及びGW装置11の負荷量を把握し、各々の網ごとの信号量に応じた加重配分を行い、各配分量に基づき各網ごとの規制信号を生成し、各規制信号を各網ごとのサーバ又は交換機に送出する。各網ごとのサーバ又は交換機は、この規制信号に基づいてトラヒック流量制御を実施する。このとき、各網ごとのサーバ又は交換機は、トラヒック量、信号種別(オーディオ信号、ビデオ信号等の種別等)に応じて通すか否かを選択することが可能である。尚、信号種別に応じてトラヒック制御を実施するために、規制期間における固定的な接続規制を行うようにして実施するのが好適である。尚、SIP信号に対しては、既知の方法で容易に信号種別を判断することができる。従って、トラヒック管理装置10は、GW装置11から処理負荷の情報とともに信号種別の情報を取得し、負荷状態及び信号種別に応じて制御信号量を決定し、各網ごとの規制信号を生成することもできる。
【0036】
以下、より詳細に実施例1のトラヒック制御システムの具体的な処理フローを説明する。
【0037】
まず、GW装置11は、トラヒック及びシステムの定常監視を行う(ステップS1a,S1b,S1c)。次に、GW装置11は、単位時間当たりで、或る特定時刻における各網に対する自己のCC使用率(各サーバのCPU使用率でもよい)等の負荷状態パラメータ、及び単位時間当たりの受信信号数を測定し、分析する(ステップS2a,S2b,S2c)。以下、呼の接続要求信号であるSIP信号におけるINVITEメッセージと、ISUP信号におけるアドレスメッセージとして機能するIAM(Initial Address Message)の各受信信号とを、制御対象信号として検出して着目する(ステップS3a,S3b,S3c)。尚、INVITEメッセージ及びIAMを例として説明するが、収集する受信信号は、これらのメッセージ信号に限定する必要はない。
【0038】
次に、GW装置11は、各網における受信信号数を測定した結果、各網ごとの負荷状態パラメータに基づいてGW装置11にかかる負荷量が所定の閾値を超えるか否かを判定し、所定の閾値を超える網における受信信号数及び負荷量を含む情報を、トラヒック管理装置10に通知する(ステップS4)。
【0039】
次に、トラヒック管理装置10は、通知された受信信号数及び負荷量を含む情報から、GW装置11にかかる全ネットワークシステムにおける全体負荷量を算出する。次に、トラヒック管理装置10は、各網のサーバごとのISUP信号及びSIP信号の双方における受信した信号数に重み付けを行い、GW装置11にかかる全体負荷量から各網ごとの制御信号量を算出する(ステップS5)。
【0040】
この重み付けは、各信号処理にかかるGW装置11での処理量に応じたSIP信号とISUP信号との間の比率として、例えばSIP信号:ISUP信号=n:m(n,mは、任意の数)となるようにして、トラヒック管理装置10は、GW装置11にかかる全体負荷量を算出する。尚、1:1であれば重み付け処理を省略し、そのまま合算してもかまわない。また、トラヒック管理装置10は、GW装置11から取得した情報の受信信号ごとの信号種別、例えばSIP信号又はISUP信号内にある音声接続要求(オーディオ信号)又は映像接続要求(ビデオ信号)といった種別を読み取り、必要に応じて重み付けの処理に追加することもできる。
【0041】
次に、トラヒック管理装置10は、算出した全体負荷量に基づいて所定の閾値以上であるか否かを判断し、トラヒック制御の要否を決定する。トラヒック管理装置10は、全体負荷量が所定の閾値以上となる故にトラヒック制御が必要であると判断する場合には、GW装置11に接続される隣接又は発側のシステム(例えば、サーバ又は交換機)に分配し、それぞれの網からGW装置11に流入制御すべき信号量としての制御信号量を算出し、トラヒック量の制御指示として、制御信号量を割り当てた規制信号を生成し、隣接又は発側のシステム(例えば、サーバ又は交換機)に送出する(ステップS6,S7a,S7b,S7c)。
【0042】
例えば、トラヒック管理装置10は、GW装置11から通知された受信信号数が或る閾値を超え、トラヒック制御が必要であると決定した場合、GW装置11の負荷を軽減させるようにGW装置11に接続される隣接又は発側システム(例えば、サーバ又は交換機)からGW装置11に向かうトラヒック量を分配する。例えば、分配の例として、隣接又は発側のシステム(各サーバ又は交換機の処理能力に応じて)に予め定められた割合で、GW装置11に接続されるSIPサーバ:SIPサーバ=α:β(α,βは任意の数)となるように規制信号を生成する。
【0043】
尚、トラヒック管理装置10は、トラヒック制御が不要であると判断する場合には、GW装置11から受信信号数の通知を受けても各サーバ又は交換機に対して制御指示を行わない。
【0044】
次に、制御指示としての制御信号量を受信した各々の隣接又は発側システム(例えば、サーバ又は交換機)は、信号種別毎にトラヒック量を分配してトラヒック制御を行う(ステップS8a,S8b,S8c)。即ち、GW装置11に接続される隣接又は発側システム(例えば、サーバ又は交換機)は、受信した制御信号量の規制信号に基づき、制御すべきトラヒック量の分配を信号種別に応じて行い、トラヒック制御を実施する。
【0045】
尚、トラヒック管理装置10は、継続的にGW装置11からの情報を受信してネットワークシステム全体におけるトラヒックを監視しており、前述したステップS5〜S7a,S7b,S7cの処理に基づいて制御信号量の調整を行い、既に制御指示した各々の隣接又は発側システム(例えば、サーバ又は交換機)に対しては制御信号量の更新又は解除の指示信号を送信する。
【0046】
具体的には、トラヒック管理装置10は、継続的にGW装置11から通知される受信信号数及び負荷量を含む情報(受信信号数のみ情報か、負荷量のみの情報か、又はその双方の情報)を基に、GW装置11に接続される隣接又は発側システム(例えば、サーバ又は交換機)に対し、制御信号量の更新又は解除の要否を判定し、判定に基づき新たな制御信号量又は規制解除を決定し、決定した制御信号量又は規制解除に基づく指示信号を隣接又は発側システム(例えば、サーバ又は交換機)に送出する。
【0047】
例えば、トラヒック管理装置10は、GW装置11から通知された受信信号数及び負荷量が所定の閾値以下となる場合、即ちGW装置11に向かうトラヒック量が所定の閾値以下となった場合、規制の解除を実施しても問題ないと判断し、GW装置11に接続される隣接又は発側システム(例えば、サーバ又は交換機)に規制解除の制御指示を行う。
【0048】
GW装置11に接続される各々の隣接又は発側システム(例えば、サーバ又は交換機)は、新たに指示された制御信号量を受信する場合には、更新された制御信号量に基づきトラヒック量の制御を実施する。
【0049】
或いは又、GW装置11に接続される各々の隣接又は発側システム(例えば、サーバ又は交換機)は、新たに指示された規制解除の情報を受信する場合には、トラヒック制御の規制解除を実施する。
【0050】
トラヒック管理装置10は、GW装置11に接続される各々の隣接又は発側システム(例えば、サーバ又は交換機)にトラヒック規制の解除指示を行うと、定常の監視状態に移行する。
【0051】
これにより、実施例1のトラヒック制御システムは、異なるネットワーク間に跨った通信においても網全体で安定的な運用を行うことができる。
【0052】
次に、本発明による実施例2のトラヒック制御システムを説明する。
【0053】
(実施例2)
実施例2のトラヒック制御システムは、音声通信を確立するためのIP電話によるネットワークサービスを実現するネットワークシステムのトラヒックを制御する。実施例2のトラヒック制御システムは、図3に示すように、他の網(例えば、異なる事業者網間等)、及び異なる信号方式とのインタワーク等の相互接続を実現するゲートウェイ(GW)装置11と、GW装置11から信号数及びGW装置11の負荷状態の収集を行い、ネットワーク全体に規制指示を行うとともに、IP網A専用にトラヒック制御する第1トラヒック管理装置30−1と、公衆電話網専用にトラヒック制御する第2トラヒック管理装置30−2と、携帯電話網専用にトラヒック制御する第3トラヒック管理装置30−3と、他のIP網B専用にトラヒック制御する第4トラヒック管理装置30−4とを備え、第1トラヒック管理装置30−1は、他のトラヒック管理装置との間で所定の制御指示信号の送受信を行うことにより、ネットワークシステム全体のトラヒックを制御する。
【0054】
即ち、1台のトラヒック管理装置がネットワークシステム全体のトラヒックを管理する実施例1のトラヒック制御システムと比較して、実施例2のトラヒック制御システムは、IP網、公衆電話網、携帯電話網ごとに機能する複数のトラヒック管理装置を構成させている点で相違する。実施例2の各トラヒック管理装置が用いる制御指示信号の例を、図5に示す。図5に示すように、各トラヒック管理装置が用いる制御指示信号は、事業者コード、制御対象装置名、制御対象詳細部及び制御量からなる各パラメータを含む。尚、説明の都合上、各トラヒック管理装置は、各々が個別の装置として説明するが、1つのトラヒック装置内で、機能別に分けて構成することもできる。
【0055】
実施例2のトラヒック制御システムであれば、制御指示信号の受信側となる第2〜第4トラヒック管理装置30−2,30−3,30−4は、受信した制御指示信号に基づき各トラヒック管理装置に接続されている隣接又は発側システム(例えば、サーバ又は交換機)に制御指示を実施して、効率的にトラヒック管理を行うことができる。尚、第1トラヒック管理装置30−1は、自身が管理するトラヒック情報やGW装置11の負荷情報、又はGW装置11におけるトラヒックの情報を、第2〜第4トラヒック管理装置30−2,30−3,30−4に送信することはないため、例えば他の事業者がこの制御指示信号を用いてGW装置11の状況を独自に判断して制御するようなことがない。
【0056】
一方、第1トラヒック管理装置30−1が、全ての綱を網羅したトラヒック管理を行う必要がない場合、GW装置11を含む特定のIP網のみ(例えば、IP網A(17−1)のみ)でのトラヒック管理を行うこともできる。この場合には、第1トラヒック管理装置30−1は、他のトラヒック管理装置との連携を行うことなく、単独での制御を実施することができる。
【0057】
以下、より詳細に実施例2のトラヒック制御システムの具体的な処理フローを説明する。
【0058】
尚、図3に示すように、第1トラヒック管理装置30−1は、IP網A(17−1)のトラヒックを管理し、実施例1のトラヒック管理装置10と同様に、GW装置11に入ってくる単位時間当たりの総信号量及び負荷量を把握する。第2〜第4トラヒック管理装置30−2,30−3,30−4は、公衆電話網制御機能部、携帯電話網制御機能部、IP網B制御機能部としてそれぞれ分散して機能し、第1トラヒック管理装置30−1と連携して動作する。以下、このような構成例として説明するが、更に多数の網機能部としてもよい。この場合においても、各機能部同士で制御指示信号の送受信を行うが、このときもGW装置11自体のトラヒック情報及び負荷情報は送信しない。
【0059】
実施例2のステップS5以前の処理は、実施例1と同一であり、説明を省略する。
【0060】
ステップS6aで、第1トラヒック管理装置30−1は、実施例1と同様に、算出した全体負荷量が所定の閾値以上であるか否かを判断し、トラヒック制御の要否を決定する。第1トラヒック管理装置30−1は、トラヒック制御が必要であると判断する場合には、GW装置11に接続される隣接又は発側のシステム(例えば、サーバ又は交換機)に分配し、それぞれの網からGW装置11に流入制御すべき信号量として、トラヒック量の制御指示としての制御信号量を各網ごとに割り当てる。
【0061】
第1トラヒック管理装置30−1は、この制御指示の際に、例えば第4トラヒック管理装置(IP網B制御機能部)に対してはトラヒック制御しないとするような、各網に対する配分を行うことができる。
【0062】
この場合、第1トラヒック管理装置30−1(IP網A制御機能部)は、制御指示信号を第2トラヒック管理装置30−2(公衆電話網制御機能部)に送出する。このように、各トラヒック管理装置は、自己が管理する網のトラヒックを該制御指示信号に基づいて制御する(実施例2のステップ7b,7c)。ただし、本例において、第1トラヒック管理装置30−1は、IP網Aのトラヒック管理を受け持つことに留意する(実施例2のステップS7a)。
【0063】
第2トラヒック管理装置30−2(公衆電話網制御機能部)は、制御指示信号を受信し、分析した値を用いて公衆電話網に属する交換機(例えば、IGS15−1)に対してGW装置11向けのトラヒック制御の制御指示を行う。尚、第1トラヒック管理装置30−1は、トラヒック制御が不要と決定した場合には、GW装置11から情報を受信しても、他のトラヒック管理装置に対して制御指示を行わない。
【0064】
ステップS8a,S8b,S8c以降の処理は、実施例1と同様であるが、例えば、第1トラヒック管理装置30−1は、分配する制御対象システムが、公衆電話網内の交換機であると決定した場合について代表的に説明する。
【0065】
公衆電話網に属する交換機は、第2トラヒック管理装置30−2(公衆電話綱制御機能部)からの制御指示信号に基づきトラヒック量の制御を実施する(実施例2のステップS8b)。
【0066】
次に、第1トラヒック管理装置30−1(IP網A制御機能部)は、GW装置11の情報に基づくネットワークシステムの継続監視から、制御信号量の調整を行い、既に制御指示した第2トラヒック管理装置30−2(公衆電話網制御機能部)に対しては制御信号量の更新又は解除の指示を行うための制御指示信号を送出する。この制御指示信号に応じて、第2トラヒック管理装置30−2(公衆電話網制御機能部)は、公衆電話網に属する交換機に対して、GW装置11に向かうトラヒック量の制御信号量の更新の指示を行う。
【0067】
これにより、公衆電話網に属する交換機は、GW装置11に向かうトラヒック量の制御信号量の更新を行うことができる。
【0068】
例えば、第1トラヒック管理装置30−1は、GW装置11から通知された受信信号数及び負荷量が所定の閾値以下となる場合、即ちGW装置11に向かうトラヒック量が所定の閾値以下となった場合、規制の解除を実施しても問題ないと判断し、第2トラヒック管理装置30−2(公衆電話網制御機能部)に規制解除の制御指示信号を送出する。これに応じて、第2トラヒック管理装置30−2(公衆電話網制御機能部)は、公衆電話網に属する交換機に規制解除の指示を行う。これに応じて、公衆電話網に属する交換機は、GW装置11に対する規制状態を解除する。
【0069】
第1トラヒック管理装置30−1は、GW装置11に接続される各々の他のトラヒック管理装置にトラヒック規制の解除指示を行うと、定常の監視状態に移行する。
【0070】
これにより、実施例2のトラヒック制御システムは、異なるネットワーク間に跨った通信においても網全体で安定的なサービスを提供することができる。
【0071】
次に、本発明による実施例3のトラヒック制御システムを説明する。
【0072】
(実施例3)
実施例3のトラヒック制御システムは、実施例1又は2のトラヒック制御システムと同一の構成で実現することができ、その詳細な説明は省略する。実施例3では、GW装置11における網ごとの着信に応じたトラヒック制御を実現する。以下の説明では、発明の理解を助けるために、実施例1における処理フローと対比して再び図2を参照して説明する。
【0073】
実施例3の処理フローのうち、実施例1のステップS5以前の処理と同一であり、説明を省略する。
【0074】
トラヒック管理装置10は、実施例1と同様に、算出した全体負荷量が所定の閾値以上であるか否かを判断し、トラヒック制御の要否を決定し、トラヒック制御が必要であると判断する場合には、GW装置11に接続される隣接又は発側のシステム(例えば、サーバ又は交換機)に分配し、それぞれの網からGW装置11に流入制御すべき信号量として、トラヒック量の制御指示としての制御信号量を割り当てて隣接又は発側のシステム(例えば、サーバ又は交換機)に送出する(ステップS6,S7a,S7b,S7c)。トラヒック管理装置10は、実施例1と同様に、トラヒック制御が不要であると判断する場合には、GW装置11から受信信号数の通知を受けても各サーバに対して制御指示を行わない。
【0075】
ただし、実施例3では、トラヒック管理装置10がGW装置11と単独のIP網(例えば、IP網A(17−1))でのトラヒック制御となった場合に、GW装置11に対してもトラヒックの制御指示を行う。具体的には、トラヒック管理装置10は、GW装置11に対する制御指示として、単位時間当たりのSIP信号の信号数とISUP信号の信号数との合計値を算出し、この合計値が所定の閾値以上である場合に、例えばIP網A(17−1)からGW装置11に対しての着信のみのトラヒック制御か、例えば公衆電話網18−1からの着信のみのトラヒック制御か、又はその双方の着信比率AA:BB(AA,BBは任意の数)とする着信のトラヒック制御を行うように、制御指示する。
【0076】
この制御指示を受け取ったGW装置11は、接続要求信号(例えば、SIP信号におけるINVITEメッセージ)を破棄するか、又は該接続要求信号に対する切断信号又は接続拒否信号を、発呼したサーバ等に送信することにより、GW装置11自身の処理負荷を軽減するように動作する。
【0077】
その他の処理は、実施例1における処理をGW装置11にも適用する。
【0078】
例えば、トラヒック管理装置10は、GW装置11におけるトラヒック量を継続的に監視し、GW装置11におけるトラヒック量を再調整し、前回指示したGW装置11でのトラヒック制御量の更新を実施する。
【0079】
一方で、トラヒック管理装置10からGW装置11に規制解除を指示することもできる。例えば、トラヒック管理装置10は、GW装置11から通知された受信信号数及び負荷量が所定の閾値以下となる場合、規制の解除を実施しても問題ないと判断し、GW装置11に規制解除の制御指示を行う。
【0080】
トラヒック管理装置10は、GW装置11にトラヒック規制の解除指示を行うと、定常の監視状態に移行する。
【0081】
これにより、実施例3のトラヒック制御システムは、GW装置及び隣接又は発側システム(例えば、サーバ又は交換機)におけるトラヒックを管理するため、より効果的に異なるネットワーク間に跨った通信においても網全体で安定的にサービスを提供することができる。
【0082】
前述した各実施例において、トラヒック管理装置は、コンピュータにより実現することができる。トラヒック管理装置として構成するコンピュータは、前述した各処理を実現させるために、中央演算処理装置(CPU)と、少なくとも1つのメモリとを備える。
【0083】
更に、トラヒック管理装置として構成するコンピュータを機能させるために、メモリの所定の領域にCPUで実行させるためのプログラムを格納することができる。また、前述した各処理を実現させるために必要とされるデータを、メモリに一時的、又は恒久的に格納することもできる。このようなメモリは、コンピュータ内部のROM、RAM又はハードディスクなどで構成させることができ、或いは又、外部記憶装置(例えば、外付けハードディスク)を用いて構成させることもできる。
【0084】
上述の実施例については代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変形及び置換することができることは当業者に明らかである。例えば、トラヒック管理装置をGW装置内に組み込むように構成することもできる。また、トラヒック制御システムの実施例において、トラヒック制御方法、トラヒック管理装置、又はトラヒック制御プログラムとしても特徴付けることができることは云うまでもない。従って、本発明は、上述の実施例によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、ゲートウェイ装置の負担を極めて低減させることができ、複数のネットワークに跨るゲートウェイ装置を用いたネットワークシステムに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明による実施例1のトラヒック制御システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明による実施例1のトラヒック制御システムにおける処理フローを示す図である。
【図3】本発明による実施例2のトラヒック制御システムの構成例を示す図である。
【図4】本発明による実施例2のトラヒック制御システムにおける処理フローを示す図である。
【図5】本発明による実施例2のトラヒック制御システムに用いられる制御指示信号の一例を示す図である。
【図6】従来のトラヒック制御システムの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
10 トラヒック管理装置
11 ゲートウェイ(GW)装置
12−1,12−2 IP端末
13−1,13−2 電話機
14−1,14−2 携帯電話機
15−1,15−2 IGS
17−1 IP網A
17−2 IP網B
18−1,18−3 公衆電話網
18−2,18−4 携帯電話網
19−1,19−2,19−3 SIP信号
20−1,20−2 ISUP信号
21a,21b,21c SIPサーバ
22−1 HTTPサーバ
22−2 メールサーバ
22−3 VoDサーバ
30−1 第1トラヒック管理装置
30−2 第2トラヒック管理装置
30−3 第3トラヒック管理装置
30−4 第4トラヒック管理装置
100 トラヒック管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のゲートウェイ装置を介して複数の網における異なる信号方式の信号の相互接続を実現するネットワークシステムにて、トラヒックを制御するトラヒック制御方法であって、
前記ネットワークシステムは、前記ゲートウェイ装置と相互通信するトラヒック管理装置を備え、
前記トラヒック管理装置の処理手順は、
前記ゲートウェイ装置から、単位時間あたりの前記ゲートウェイ装置における各網ごとの受信信号数及び前記ゲートウェイ装置における負荷状態の情報を収集するステップと、
前記収集した受信信号数及び負荷状態の情報から前記ゲートウェイ装置における全体負荷量を算出し、各網ごとに制御されるべきトラヒックの制御信号量の規制信号を生成するステップと、
前記制御信号量の規制信号を前記ゲートウェイ装置に隣接する交換機又はサーバに送出するステップと、
継続的に前記受信信号数及び負荷状態の情報を収集して、前記制御信号量の更新又は解除を前記交換機又はサーバに指示するステップと、
を含むことを特徴とする、トラヒック制御方法。
【請求項2】
前記制御信号量は、前記ゲートウェイ装置における負荷状態を考慮した各網ごとの受信信号数に対する予め定めた比率の加重配分で定められることを特徴とする、請求項1に記載のトラヒック制御方法。
【請求項3】
前記トラヒック管理装置が収集する情報は、受信信号の信号種別の情報を含み、
前記制御信号量の加重配分は、前記信号種別毎に定められることを特徴とする、請求項2に記載のトラヒック制御方法。
【請求項4】
前記トラヒック管理装置は、各網ごとに専用化された複数のトラヒック管理装置からなり、複数のトラヒック管理装置のうちの1つは、前記ゲートウェイ装置から、単位時間当たりの前記ゲートウェイ装置における各網ごとの受信信号数及び前記ゲートウェイ装置における各網ごとの負荷状態の情報を収集し、前記算出した制御信号量を交換機又はサーバに送出する代わりに、該制御信号量に対応する情報のみ記述した所定の制御指示信号を他のトラヒック管理装置に送出し、当該他のトラヒック管理装置は、前記算出した制御信号量に対応するトラヒック制御を前記制御指示信号に基づいて前記交換機又はサーバに指示することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のトラヒック制御方法。
【請求項5】
前記トラヒック管理装置の処理手順は、前記ゲートウェイ装置における各網ごとの受信信号数に応じたトラヒック制御を前記ゲートウェイ装置に指示するステップを更に含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のトラヒック制御方法。
【請求項6】
前記トラヒック管理装置は、前記ゲートウェイ装置における全体負荷量を算出した結果、特定の網のみのトラヒック制御を選定する場合にも、前記ゲートウェイ装置に指示するトラヒック制御として、前記ゲートウェイ装置における全体負荷量に対する加重配分を施して指示することを特徴とする、請求項5に記載のトラヒック制御方法。
【請求項7】
1つ以上のゲートウェイ装置を介して複数の網における異なる信号方式の信号の相互接続を実現するネットワークシステムにて、トラヒックを制御するトラヒック制御システムであって、
前記ネットワークシステムは、前記ゲートウェイ装置と相互通信するトラヒック管理装置を備え、
前記トラヒック管理装置は、
前記ゲートウェイ装置から、単位時間あたりの前記ゲートウェイ装置における各網ごとの受信信号数及び前記ゲートウェイ装置における負荷状態の情報を収集する手段と、
前記収集した受信信号数及び負荷状態の情報から、各網ごとに制御されるべきトラヒックの制御信号量を算出する手段と、
前記収集した受信信号数及び負荷状態の情報から前記ゲートウェイ装置における全体負荷量を算出し、各網ごとに制御されるべきトラヒックの制御信号量の規制信号を生成する手段と、
前記制御信号量の規制信号を前記ゲートウェイ装置に隣接する交換機又はサーバに送出する手段と、
を備えることを特徴とする、トラヒック制御システム。
【請求項8】
1つ以上のゲートウェイ装置を介して複数の網における異なる信号方式の信号の相互接続を実現するネットワークシステムのトラヒックを管理するトラヒック管理装置であって、
前記ネットワークシステムは、前記ゲートウェイ装置と相互通信するトラヒック管理装置を備え、
前記ゲートウェイ装置から、単位時間あたりの前記ゲートウェイ装置における各網ごとの受信信号数及び前記ゲートウェイ装置における負荷状態の情報を収集する手段と、
前記収集した受信信号数及び負荷状態の情報から前記ゲートウェイ装置における全体負荷量を算出し、各網ごとに制御されるべきトラヒックの制御信号量の規制信号を生成する手段と、
前記制御信号量の規制信号を前記ゲートウェイ装置に隣接する交換機又はサーバに送出する手段と、
継続的に前記受信信号数及び負荷状態の情報を収集して、前記制御信号量の更新又は解除を前記交換機又はサーバに指示する手段と、
を備えることを特徴とする、トラヒック管理装置。
【請求項9】
請求項8に記載のトラヒック管理装置として構成するコンピュータに、
前記ゲートウェイ装置から、単位時間あたりの前記ゲートウェイ装置における各網ごとの受信信号数及び前記ゲートウェイ装置における負荷状態の情報を収集するステップと、
前記収集した受信信号数及び負荷状態の情報から前記ゲートウェイ装置における全体負荷量を算出し、各網ごとに制御されるべきトラヒックの制御信号量の規制信号を生成するステップと、
前記制御信号量の規制信号を前記ゲートウェイ装置に隣接する交換機又はサーバに送出するステップと、
継続的に前記受信信号数及び負荷状態の情報を収集して、前記制御信号量の更新又は解除を前記交換機又はサーバに指示するステップと、
を実行させるためのトラヒック制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−232264(P2009−232264A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76467(P2008−76467)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】