説明

ゲートシステム、及びゲート制御方法

【課題】ゲートが通過許可状態から通過不許可状態に遷移する時間に、不正入退出者がゲートを開け、通過してしまう。
【解決手段】通過者の到来を検出する第1の検出手段と、通過者が、予め定められた通過を許可される者か通過を許可されない者かを識別する認証手段と、ゲートの状態を識別し、ゲート状態識別信号を出力する第1の識別手段と、認証手段で行う識別結果と第1の検出手段の検出結果とを用いて、ゲートの通過許可状態と通過不許可状態を制御するゲート制御手段とを備え、ゲート制御手段は、更に、第1の識別手段からゲート状態識別信号を受け、第1の検出手段の検出結果とゲート状態識別信号とから、通過を許可された者以外の者の通過を報知する手段を有することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入退管理を行なうゲートシステム及びその制御方法に関する。詳しくは、ゲートシステムに付加する共連れを防止する機能に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、個人情報の取扱いや建物や部屋への入退に関するセキュリティの向上が非常に重要視されてきている。その一例としては、IDカードやバイオメトリックス認証を用い、建物や部屋のゲート(門、扉)の通過を許可する者と通過を許可しない者とを識別(認証)して、ゲートの開状態と閉状態とを制御し、所望の者の通過のみを図っている。
【0003】
しかしながら、上記周知であるゲートシステムでは、一度ゲートの開閉が許可されたならば、通過を許可された者と共に複数人の出入りが可能である。これは、所謂共連れ問題としてゲートシステムの設置者が重要視する問題であり、当該問題の解決を図るため、様々な発明が成され、また、技術が開示されている。
【0004】
関連する技術としては、例えば特許文献1ないし3が挙げられる。
【0005】
特許文献1には、壁面にIDカードリーダ(認証手段)と床面に複数の圧力センサを配設し、認証手段で認証する者以外に周囲に人間がいないときのみ制御部が認証する入退出管理装置が開示されている。また、不正入退出者が検出された場合に警報等に報知を行なう技術も開示されている。
【0006】
特許文献2には、個人識別手段(認証手段)と、荷物の重量を測定する手段と、認証する個人と荷物の合計重量を測定する手段とを備えた出入管理システムであって、別々に測定した荷物の重量と認証する個人の体重とを計算し、不整合が無ければ通過できる出入管理システムが開示されている。
【0007】
特許文献3には、管理ゲートを通過する者の体重を入口と出口とでセンサで測定し、測定結果を制御部で処理することで、通過者が一人であるかどうかを判別する入退出管理システムが開示されている。また、特許文献3には、赤外線センサを用いて通過者を検知し、制御部の処理に用いる技術も開示され、更に、コンピュータに管理情報を通知する技術も開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2006−195881号公報
【特許文献2】特開平11−213197号公報
【特許文献3】特開平9−305815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記関連技術の様に、様々な観点から共連れ問題の解決を試みているが、未だ解決したとは言い難い現状である。
【0010】
そこで、新たな観点から共連れ問題の解決を図る。既存のゲートシステムには、引戸型やスライド型、フラッパー型、シャッター型など複数の種類があり、これらのゲートシステムでは、IDカード等によって認証した者が通過した直後は未だゲートが通過許可状態(開状態等)である。多くのゲートシステムでは、急ぎ通過不許可状態(閉状態等)に遷移する様に設計されているが、安全面や構造上、コスト上の問題から、若干の時間を置いて通過不許可状態に遷移している。多くの不正入退出者は、このゲートの状態遷移に要する若干の時間を利用し、ゲートの通過を行なっている。
【0011】
具体的な例としては、引戸型のゲートシステムでは、正規の入退室者が認証して扉(ゲート)を開けた状態(通過許可状態)から、入退室者が通過後に、扉が閉まった状態(通過不許可状態)に遷移するまでに数秒の時間が掛かる。これは、ドアクローザによって入退出者の挟み込みを防止する為であるが、この数秒の時間を利用し、不正入退出者は扉を開けて不正入室を行なっている。
【0012】
また、スライド型のゲートシステムにおいても引戸型のゲートシステムと同様であり、自動的に閉まる扉には挟み込み防止センサが設けられ、挟み込み防止を図っているが為に、不正入室者が再度扉を開けることが可能である。
【0013】
また、フラッパー型も同様であり、正規の通過者通過後、通過許可状態から通過不許可状態に遷移するまでに、不正通過者が通過を試みている。尚、フラッパー型は応答速度や通過率、安全面を考慮している為、フラッパーに接触しても通過可能である時間が長く、不正通過者は少々フラッパーに接触しても強引に通過している。
【0014】
本発明の目的は、上記課題に鑑みて成されたものであり、ゲートが通過許可状態から通過不許可状態に遷移する時間に、不正入退出者を検知するゲートシステム及びゲート制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のゲートシステムは、通過者に対して選択的に通過の許可を与えるゲートシステムにおいて、前記通過者の到来を検出する第1の検出手段と、前記通過者が、予め定められた通過を許可される者か通過を許可されない者かを識別する認証手段と、前記ゲートの状態を識別し、ゲート状態識別信号を出力する第1の識別手段と、前記認証手段で行う識別結果と前記第1の検出手段の検出結果とを用いて、前記ゲートの通過許可状態と通過不許可状態を制御するゲート制御手段と、を備え、前記ゲート制御手段は、更に、前記第1の識別手段から前記ゲート状態識別信号を受け、前記第1の検出手段の検出結果と前記ゲート状態識別信号とから、通過を許可された者以外の者の通過を報知する手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ゲートが通過許可状態から通過不許可状態に遷移する時間に、不正入退出者を検知するゲートシステム及びゲート制御方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の第1の実施の一形態を図1ないし図5に基づいて説明する。
【0018】
図1は、実施の一形態のゲートシステム100を示す概略図である。図2は、実施の一形態の開状態のゲートシステム100を示す概略図である。図3は、実施の一形態のゲートシステム100を示す機能ブロック図である。
【0019】
ゲートシステム100は、概ね壁面900に設けられたゲート110と、ゲート110の近傍に設置された認証装置120と、遠隔地に設けられた制御部130と、ゲート110の入口近傍に設置された認証者検出センサ150と、ゲート110の状態を検知可能に設置されたゲート状態識別センサ160とで構成されている。
【0020】
ゲート110は、一般的な引戸型の構造をしたドアであって、制御部130からの開錠信号を受信し動作する電気錠(図示せず)が設けられている。ゲート110が閉状態(通過不許可状態)の場合は、電気錠から突起が突出し、壁面900の窪みに嵌まることによって、ゲート110が開かない。ゲート110が開状態(通過許可状態)の場合は、電気錠の突起が突出せずに、ゲート110が開動自在になり、通行者などが開くことが可能になり、通行可能になる。
【0021】
認証装置120は、認証カード121(ICカードや磁気カードなど)やバイオメトリックス認証や暗証番号の一つ若しくはその組み合わせによって、通過を許可する者と通過を許可しない者とを識別する認証を行なう。認証は、認証カード121に記録された情報と、認証装置120の記憶部(ROM、RAM)に予め登録された情報を比較して行なうものが一般的である。また、認証装置120は読取り機能のみとし、制御部130で認証することとしても良い。
【0022】
制御部130は、遠隔地に設けられ、認証装置120や各種センサ(150、160等)、ゲート110の電気錠等と電気的に接続されている。制御部130は、認証装置120や各種センサからの電気信号を受け、情報処理又は論理処理、リレー処理等を行い、電気錠に開錠信号や報知装置140(図示せず)に報知信号を送信する。開錠信号は電気錠の駆動電力を兼ねているモノが多く、概ねDC24Vである。報知信号は、報知先の報知装置140の種類によって定まり、ブザーやランプの点灯(点滅)、管理パソコンへの通知等を行なう。尚、制御部130の設置場所は、遠隔地でなくともゲート110の近傍でも良いし、認証装置120の内部に設けても良い。
【0023】
認証者検出センサ150は、認証装置120と共働し、認証を受ける者の到来を検出するセンサである。認証者検出センサ150は、床面に圧力センサを設け、認証者を検出する構成を取る事ができる。また、上方等から赤外線センサを使用し認証者を検出する構成を取る事ができる。認証者検出センサ150は、認証者が概ねゲート110の入口近傍エリアに居ることを検出する。尚、認証者検出センサ150の検出エリアは、認証者一人のみが入る程度のエリアであることが望ましい。例えば、半径30cm程度の半円形状の検出エリアが挙げられる。
【0024】
ゲート状態識別センサ160は、ゲート110の状態を識別するセンサである。ここで、ゲートの状態とは、ゲート110(電気錠)の開閉状態や、開閉の方向、角度、開閉の角速度等であって、ゲート通過者がゲート110に与える影響を指す。尚、開閉状態や、開閉の方向、角度、開閉の角速度等は、一般的なエンコーダ等の光学センサやトーションバーやヒズミゲージ(トルクメータ)を使用した力学センサ、ポテンショメータ、ジャイロ等によって又は各センサの組み合わせによって検出可能である。
【0025】
ゲート状態識別センサ160は、各種センサが識別するゲート110の状態を、ゲート状態識別信号として制御部130に送信する。尚、制御部130がゲート状態識別信号を取得する様にしても良い。制御部130とゲート状態識別センサ160とは、使用するセンサに合わせた構成とすれば良く、センサの種類によっては、インターフェイス回路やADコンバータ、DAコンバータ等を含むモノとする。
【0026】
このような構成において、実施の一形態のゲートシステム100は、ゲート110が通過許可状態から通過不許可状態に遷移する時間に、不正入退出者を検知することが可能となる。
【0027】
次に、ゲートシステム100の動作を説明する。
【0028】
図4は、ゲートシステム100の概略的な動作を示すフローチャートである。
【0029】
ゲートシステム100は、認証装置120に記録されている情報と認証カード121の情報とを比較すると共に、認証者検出センサ150の検出値を取得し、認証処理を行う(ステップS401)。認証者検出センサ150が認証者を一人と検出し、認証カード121の情報が認証装置120に記録されていた場合には、次ステップに進み、それ以外の場合は、認証しない。尚、認証しない場合には、音声や文字等で認証者に認証不可理由を通知することが望ましい。また、上記処理は、制御部130が行ってもよい。
【0030】
制御部130は、認証装置120が認証した場合に、ゲート110のロックを解除する。具体的には、開錠信号を電気錠に流す(ステップS402)。
【0031】
制御部130は、ゲート状態識別センサ160や認証者検出センサ150等の出力を取得し、ゲート110の状態を監視し、特に不正入退出に関する異常を検出する(ステップS403)。尚、異常の検出の詳細は後述する。
【0032】
制御部130は、ゲートが閉じるまでに異常が無い場合は、ゲート110をロック(ステップS404)し、異常がある場合は、報知処理を行う(ステップS405)。
【0033】
制御部130がステップS403で行う異常の検出は、例えば次の様に行なう。
【0034】
認証を受けた者(通過を許可された者)が通過するときのゲート110の正常な動作は、(1)通過を許可された者によってゲート110が空けられる。(2)通過を許可された者がゲートシステム100を通過する。(3)ゲート110が自動的に閉まる。
【0035】
一方、通過を許可された者の後に不正入退室者が通過するときのゲート110の動作は、(1)通過を許可された者によってゲート110が開けられる。(2)通過を許可された者がゲートシステム100を通過する。(3)ゲート110が自動的に閉まりかける。(4)不正入退室者によってゲート110が再度開けられる。(5)不正入退室者がゲートシステム100を通過する。(6)ゲート110が自動的に閉まる。
【0036】
前記した(4)の動作を検出した場合、即ち、通過を許可された者以外の者がゲート110を再度開けた場合(影響を与えた場合)に異常(不正入退出者)と判別し、報知処理を行う。具体的な動作例を図5に示す。
【0037】
図5は、ステップS403で行なわれる異常の検出の動作を示すフローチャートである。
【0038】
制御部130がゲート状態識別センサ160を用いて、電気錠の開閉状況、ゲート110の角度、開閉方向及び開閉の角速度を識別し、(1)通過を許可された者によってゲート110が空けられたことを検出する(ステップS501)。尚、検出方法の一つとしては、ドアノブの状況や、ゲート110の角度を測定し、一定値(人が通れる程度)以上開けば、ゲート110が空けられたこととすれば良い。
【0039】
(2)制御部130が、認証者検出センサ150を用いて、通過を許可された者が通過することを検出する(ステップS502)。尚、検出方法の一つとしては、床面に設けられた圧力センサを使用する場合は、圧力センサの検出値が無負荷状態の値となることで、通過したと判別しても良いし、赤外線センサを使用した場合には、複数台の赤外線センサを用いて、検知中の者の移動を判別すれば良い。
【0040】
(3)制御部130がゲート状態識別センサ160を用いて、ゲート110が閉まりかけることを検出する(ステップS503)。尚、検出方法の一つとしては、ゲート110の角度が閉じる方向に縮小することを判別しても良いし、加速度センサで加速度を検出し、予め記録されたゲート110の閉じる方向への加速度と比較することで、自動的に閉じてきていることを判別しても良い。
【0041】
(4)制御部130がゲート状態識別センサ160を用いて、不正入退室者によってゲート110が再度開けられたことを検出する(ステップS504)。尚、検出方法の一つとしては、ゲート110が閉状態(ロック状態)になる前に、ゲート110の角度が再度開く方向に稼働することを検出すれば良い。また、ゲート110が閉じ始めてから閉状態になる前に停止した場合も、ゲート110が再度開けられた場合と同様に検出しても良い。またこのときに、認証者検出センサ150を同時的に判別手段として用いれば、更に精度良く不正入出者を検出できる。
【0042】
このようにして、制御部130が不正入出者を判別した場合に報知処理を行う。尚、報知処理は、各種センサの検出値等を考慮し、ブザーやランプの点灯を行なうだけでなく、不正入出者に認証処理を行うことを促す様にしたり、警備部門に通報したりすることが望ましい。
【0043】
本発明の第2の実施の一形態を図6に基づいて説明する。
【0044】
図6は、第2の実施の一形態のゲートシステム100bを示す概略図である。ゲートシステム100bは、ゲートシステム100に非認証者検出センサ151を加えた構成である。
【0045】
非認証者検出センサ151は、認証者検出センサ150の付近に設置され、認証者以外の者が不正入出できる位置に居ないことを検出するセンサである。非認証者検出センサ151は、認証者検出センサ150と同様に圧力センサや赤外線センサを用いる構成とすれば良い。非認証者検出センサ151の検出エリアは、ゲート110に対して半円状に設けられることが望ましく、その距離は、ゲート110の閉まる時間を勘案して定めることが望ましい。また、ゲート110の設置場所等によって適時形状を変えることが望ましい。
【0046】
このような構成において、第2の実施の一形態のゲートシステム100bは、ゲート110が通過許可状態から通過不許可状態に遷移する時間に、不正入退出者を検知することが更に精度良く可能となる。
【0047】
次に、ゲートシステム100bの非認証者検出センサ151が及ぼす動作と効果を説明する。図4のフローチャートを用いて説明すると、非認証者検出センサ151を設けることによって、認証装置120を用いて行なう認証許可(ステップS401)を精度良く行なえ、また、異常動作の検出(ステップS403)を精度良く行なえる。
【0048】
具体的には、ステップS401の認証許可は、認証者検出センサ150が認証者を一人と検出し、非認証者検出センサ151が認証者以外の者が居ないことを検出し、認証カード121の情報が認証装置120に記録されていた場合に認証許可を行なうこととすれば良い。尚、認証者以外の者がその場で立ち止まる(停止)したことを検出して、認証許可の条件としても良い。
【0049】
ステップS403の異常動作の検出は、ゲート110が認証された者に開かれてから閉じるまでに、不正入出を試みようとゲート110に近づく者(不正入出者)を非認証者検出センサ151で検出可能になり、ゲート110に近づく者が居た場合には、報知処理を行うことが可能となる。即ち、認証された者以外が、ゲート110が開いた状態から閉じた状態になるまでの時間に、ゲート110に近づくことができない様にできる。
【0050】
本発明の第3の実施の一形態を図7に基づいて説明する。
【0051】
図7は、第3の実施の一形態のゲートシステム100cを示す概略図である。ゲートシステム100cは、ゲートシステム100bの非認証者検出センサ151を、非認証者検出センサ151bとし、ゲート110の向こう側まで拡張した構成である。
【0052】
非認証者検出センサ151bは、認証者検出センサ151が認証者が居る側に認証者以外の者が居ないことを検出するのに対し、ゲート110の向こう側にも認証者以外の者が居ないことを検出可能となる。
【0053】
このようにすれば、非認証者検出センサ151bを設けることによって、認証装置120を用いて行なう認証許可(ステップS401)を更に精度良く行なえ、また、異常動作の検出(ステップS403)を更に精度良く行なえる。
【0054】
非認証者検出センサ151bによって、ゲート110の向こう側を検出することで、向こう側から不正入出を試みる者が居る場合に、ゲート110の認証許可(通行許可)を与えず、不正入出を防止できる。また、ステップS403の異常動作の検出も同様であり、向こう側から不正入出を試みる者がゲート110に近づくことを検出可能として、ゲート110に近づく者が居た場合には、報知処理を行うことが可能となる。
【0055】
本発明の第4の実施の一形態を図8に基づいて説明する。
【0056】
図8は、第4の実施の一形態のゲートシステム100dを示す概略図である。ゲートシステム100dは、ゲートシステム100bに検出センサ152を加えた構成である。
【0057】
検出センサ152は、認証者検出センサ151bと同様に、ゲート110の向こう側に人が居ないことを検出するセンサである。認証者検出センサ151bと異なり、ゲート110を境に独立してセンサを設けることによって、更に精度良く認証許可及び異常動作の検出が行なえる。
【0058】
具体的には、ゲート110の向こう側から不正入出を試みる者が居る場合に、認証許可を与えないが、認証側に認証者以外の者が居ても認証許可を与えるようにできる。これは、認証者が認知できる位置にいる者は、不正入出者ではないと考えることができるからである。それに対して、ゲート110の向こう側に居る者は、認証者が認知できないからである。ゲート110が透明であったり、窓があったりした場合には、認証者の位置からの視野を考慮して検出センサ152を設けても良い。
【0059】
ステップS403の異常動作の検出も同様であり、認証者側から近づく者と向こう側から近づく者とで、報知処理に差を付けることが可能となる。例えば、認証者以外の者が、認証エリア内に入るのみでは報知せずに、ゲート110の開閉等の行為を行なった場合に報知する様にしても良い。
【0060】
また、検出センサ152を用いて、認証者がゲート110を通過したことを検出すれば、更に、精度良く不正入手者を識別でき、報知できる。これは、図5のステップS502の動作を精度良く識別できるためである。
【0061】
本発明の第5の実施の一形態を図9に基づいて説明する。
【0062】
図9は、第5の実施の一形態のゲートシステム100eを示す概略図である。ゲートシステム100eは、ゲートシステム100cにゲート通過検出センサ161を加えた構成である。尚、ゲート通過検出センサ161は、ゲートシステム100c以外の構成に加えても良い。
【0063】
ゲート通過検出センサ161は、ゲート110の通過者を識別するセンサである。赤外線センサ等で構成すれば良い。また、通過者の通過方向を識別できれば尚良い。
【0064】
このゲート通過検出センサ161を設けることによって、認証者がゲート110を通過したことを識別すれば、図5のステップS502の動作を精度良く識別できるため、異常動作の検出の精度も向上する。また、通過者の通過方向を識別すれば、識別したゲート110の通過方向によって、不正入出者を識別することができ、報知処理を行えることが可能となる。
【0065】
次に第1の実施の一形態の施工例を示し、発明を明瞭にする。
【0066】
図10は、第1の実施の一形態の施工例1を示す概略図である。図11は、第1の実施の一形態の施工例2を示す概略図である。
【0067】
施工例1は、認証者検出センサ150として床面に圧力センサを設置し、ゲート状態識別センサ160として左側壁面のゲート110の蝶番側上方に光学センサと力学センサとを設置し、各種センサは制御部130(図示しない)と電気的に接続されている。また右側壁面には認証装置120と報知装置140が設置され、制御部130と電気的に接続されている。報知装置140は、光と音響によって、ゲートシステム100の状態や警告等を報知する。
【0068】
ゲート状態識別センサ160は、ゲート110の開口角度や開閉の方向、角速度を検出する。尚、ゲート110の開閉状態は、制御部130からの開錠信号を用いて判別しても良いし、ドアノブの回転を検出しても良い。
【0069】
施工例2は、認証者検出センサ150として床面に圧力センサを設置し、ゲート状態識別センサ160として床面ゲート下方に接触型センサを設置し、各種センサは制御部130(図示しない)と電気的に接続されている。また右側壁面には認証装置120と報知装置140が設置され、制御部130と電気的に接続されている。尚、図11に示した接触型センサは、トラックボールを使用し、ゲート110の開閉の方向及び角速度を検出し、算術によって開口角度を判別する。
【0070】
ゲート状態識別センサ160は、施工例2の接触型センサに換え、エンコーダを用いても同様の設置位置でゲート110の状態を識別できる。ゲート状態識別センサ160の設置位置は蝶番付近でも良く、ゲート110の状態を識別できればそれで良く、特に限定は無い。また、ゲート状態識別センサ160は、一つのセンサである必要はなく、複数のセンサを用いて、ゲート110の状態を識別する手段としても良い。
【0071】
本発明の第6の実施の一形態を図12に基づいて説明する。
【0072】
図12は、第6の実施の一形態のゲートシステム200を示す概略図である。ゲートシステム200は、スライド型のゲートシステムである。
【0073】
ゲートシステム200は、ゲート210の開閉がスライド式である事の他は、第1の実施の一形態と同様である。また、スライド式のゲートシステムには一般的に自動的に開閉し、挟み込みを防止する為に、挟み込み防止センサ280が設けられている。
【0074】
ゲート状態識別センサ260は、ゲート状態識別センサ160と同様に、各種センサを用いて、ゲート210の状態を識別し、ゲート状態識別信号を制御部130に送信する。
【0075】
ゲート状態識別センサ260は、ゲート210が自動的に開閉するスライド式の為、ゲート状態識別センサ160の様に開閉角度や角速度を検出しなくても良く、ゲート210の開閉方向(スライド方向)、速度等を検出し、ゲート210が正常に開閉しているか判別できれば良い。また、挟み込み防止センサ280をゲート状態の識別手段として用いても良い。
【0076】
この場合は、認証者が通過後に、挟み込み防止センサ280に反応があった場合に、当該反応を不正入出を試みる者として、判別し、報知すれば良い。
【0077】
本発明の第7の実施の一形態を図13に基づいて説明する。
【0078】
図13は、第7の実施の一形態のゲートシステム300を示す概略図である。ゲートシステム300は、フラッパー型のゲートシステムである。
【0079】
ゲートシステム300は、壁面に設置せずに門柱910間にゲート310(フラッパー)を設け、オープン形式で設置される。尚、制御部130の処理方法等は、第1の実施の一形態と同様である。
【0080】
ゲート状態識別センサ360は、左側門柱に内蔵され、ゲート310の状態を、ゲート状態識別信号として制御部130に送信する。尚、検出する状態は、ゲート310に加わる外圧や位置、稼働方向である。
【0081】
ゲート310が正常に開閉しない場合に、不正入出を試みる者が通過しようとしていることとして、判別すればよい。また、ゲート310に加わる圧力を検出することで、不正入出を試みた者が、通過したか戻ったかを判別しても良い。フラッパー型ゲートシステムが一般的に有している赤外線センサ(通過センサ)と合わせて用いれば、尚効果的である。
【0082】
尚、上記ゲートシステム100、200、300は、説明を明瞭にする為に、認証装置120を片側のみに設置しているが、認証装置120を両側に設置しても同様の効果が得られる。この場合には、両側に各種検出センサを設け、その機能を兼ねる様に設定すれば良い。
【0083】
また、ゲート状態識別センサ160、260、360は、一箇所にまとめて設置する必要は無く、複数個所に分散設置しても良い。また、別のセンサの検出値を用いてゲート状態識別センサ160、260、360の代用や補助として、ゲート状態を識別する手段として用いても良い。これらのセンサ類を複合的に用いることで、精度良く、ゲートが通過許可状態から通過不許可状態に遷移する時間に、不正入退出者を検知することが可能となる。
【0084】
また、実施の一形態の制御部を情報処理装置を用いて構成すれば、各種センサの出力値を制御部で取得し、検出値毎にフラグを設け記憶部に記録し、当該フラグを制御部で処理し、報知処理すれば良い。
【0085】
上記したゲートシステムは、駆け込んで来る様な者や陰に隠れている者など、認証者が認知できない不正入出者に対して特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】実施の一形態のゲートシステムを示す概略図である。
【図2】実施の一形態の開状態のゲートシステムを示す概略図である。
【図3】実施の一形態のゲートシステムを示す機能ブロック図である。
【図4】ゲートシステムの概略的な動作を示すフローチャートである。
【図5】異常の検出の動作を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の一形態のゲートシステムを示す概略図である。
【図7】第3の実施の一形態のゲートシステムを示す概略図である。
【図8】第4の実施の一形態のゲートシステムを示す概略図である。
【図9】第5の実施の一形態のゲートシステムを示す概略図である。
【図10】第1の実施の一形態の施工例1を示す概略図である。
【図11】第1の実施の一形態の施工例2を示す概略図である。
【図12】第6の実施の一形態のゲートシステムを示す概略図である。
【図13】第7の実施の一形態のゲートシステムを示す概略図である。
【符号の説明】
【0087】
100 ゲートシステム
110 ゲート
120 認証装置(認証手段)
121 認証カード
130 制御部(ゲート制御手段)
140 報知装置
150 認証者検出センサ(第1の検出手段)
151 非認証者検出センサ
152 検出センサ
160 ゲート状態識別センサ(第1の識別手段)
161 ゲート通過識別センサ
900 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通過者に対して選択的に通過の許可を与えるゲートシステムにおいて、
前記通過者の到来を検出する第1の検出手段と、
前記通過者が、予め定められた通過を許可される者か通過を許可されない者かを識別する認証手段と、
前記ゲートの状態を識別し、ゲート状態識別信号を出力する第1の識別手段と、
前記認証手段で行う識別結果と前記第1の検出手段の検出結果とを用いて、前記ゲートの通過許可状態と通過不許可状態を制御するゲート制御手段と、
を備え、
前記ゲート制御手段は、更に、
前記第1の識別手段から前記ゲート状態識別信号を受け、前記第1の検出手段の検出結果と前記ゲート状態識別信号とから、通過を許可された者以外の者の通過を報知する手段を有することを特徴とするゲートシステム。
【請求項2】
更に、前記ゲート制御手段で通過を許可される者以外の者が、前記ゲートの付近に居ないことを検出する第2の検出手段を備えることを特徴とする請求項1記載のゲートシステム。
【請求項3】
更に、前記ゲートの通過者を識別する第2の識別手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のゲートシステム。
【請求項4】
前記ゲート制御手段の前記通過を許可された者以外の者の通過を報知する手段は、
前記ゲートが通過可能状態から通過不能状態に遷移するときに、前記ゲートを再度通過可能状態に変位することを判別して報知することを特徴とする請求項1ないし3の何れか一記載のゲートシステム。
【請求項5】
ゲートの開状態と閉状態とを制御し、通過者に対して選択的に通過の許可を与えるゲートシステムにおいて、
前記通過者の特定エリアへの到来を検出する第1の検出手段と、
前記通過者が、予め登録された通過許可者か否かを識別する認証手段と、
前記ゲートの開閉状態を識別し、ゲート状態識別信号を出力する第1の識別手段と、
前記認証手段で行う識別結果と前記第1の検出手段の検出結果とを用いて、前記ゲートの電気錠を制御するゲート制御手段と、
を備え、
前記ゲート制御手段は、更に、
前記第1の識別手段から前記ゲート状態識別信号を受け、通過を許可した者以外の者が前記ゲートの開閉状態に与える影響を前記ゲート状態識別信号から判別し報知する手段を有することを特徴とするゲートシステム。
【請求項6】
更に、前記ゲート制御手段で通過を許可する者以外の者が、前記ゲートの付近に居ないことを検出する第2の検出手段を備えることを特徴とする請求項1記載のゲートシステム。
【請求項7】
更に、前記ゲートの通過者を検出する第2の識別手段を備えることを特徴とする請求項5又は6記載のゲートシステム。
【請求項8】
前記ゲート制御手段は、
前記ゲートが開状態から閉状態に遷移するときに、前記ゲートが再度開状態に変位することを判別することを特徴とする請求項5ないし7の何れか一記載のゲートシステム。
【請求項9】
前記ゲート制御手段は、
前記ゲートが開状態から閉状態に遷移するときに、前記ゲートが停止状態になることを判別することを特徴とする請求項5ないし7の何れか一記載のゲートシステム。
【請求項10】
前記第1の検出手段の検出エリアは、前記ゲートの面方向に対して半円状に設定され、
前記第2の検出手段の検出エリアは、前記第1の検出手段を覆う様に半円状に設定されることを特徴とする請求項5ないし9の何れか一記載のゲートシステム。
【請求項11】
前記第1の識別手段は、トラックボールを用い前記ゲートの開閉状態を識別することを特徴とする請求項5ないし10の何れか一記載のゲートシステム。
【請求項12】
前記ゲートシステムは、引戸型のゲートシステムであることを特徴とする請求項5ないし11の何れか一記載のゲートシステム。
【請求項13】
前記ゲートシステムは、スライド型のゲートシステムであることを特徴とする請求項5ないし11の何れか一記載のゲートシステム。
【請求項14】
前記ゲートシステムは、フラッパー型のゲートシステムであることを特徴とする請求項5ないし11の何れか一記載のゲートシステム。
【請求項15】
ゲートの開状態と閉状態とを制御し、通過者に対して選択的に通過の許可を与えるゲートシステムに使用されるゲート制御方法であって、
前記ゲートシステムは、
前記通過者の特定エリアへの到来を検出する第1の検出手段と、
前記通過者が、予め登録された通過許可者か否かを識別する認証手段と、
前記ゲートの状態を識別し、ゲート状態識別信号を出力する第1の識別手段と、
前記認証手段で行う認識結果と前記第1の検出手段の検出結果とを用いて、ゲートの開状態と閉状態を制御するゲート制御手段と、
を備え、
前記ゲート制御手段は、
前記認証手段が出力する識別結果が正当であって、前記第1の検出手段の検出結果が得られたときに、前記ゲートの開閉を制御し、
前記第1の識別手段からの前記ゲート状態識別信号を用い、通行を許可する者以外の者が前記ゲートの開閉状態に与える影響を識別し、前記影響を判別して報知することを特徴とするゲート制御方法。
【請求項16】
前記ゲートシステムは、更に、前記ゲート制御手段で通過を許可される者以外の者が、前記ゲートの付近に居ないことを検出する第2の検出手段を備え、
前記ゲート制御手段は、
前記第1の識別手段と前記第1の検出手段と前記第2の検出手段とで、前記ゲートの状態に与える影響を識別し、
前記影響を判別して報知することを特徴とする請求項15記載のゲート制御方法。
【請求項17】
前記ゲートシステムは、更に、前記ゲートの通過者を識別する第2に識別手段を備え、
前記ゲート制御手段は、
前記第2に識別手段で通過を許可された者が前記ゲートの通過後に、前記第1の識別手段を用いて前記ゲートの状態の影響を識別し、
前記影響を判別して報知することを特徴とする請求項15又は16に記載のゲート制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−99059(P2009−99059A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271735(P2007−271735)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(306029774)NECビッグローブ株式会社 (115)
【Fターム(参考)】