説明

ゲート装置

【課題】
磁性体とRFIDタグの両方を検知するゲートの1つのアンテナから一定時間毎に交互に磁性体を検知するための交番磁界とRFIDタグの情報を検知するための起動信号を発信し、ゲートを通過する人が携帯するRFIDタグの情報と、物体に付与された磁性体の各検知結果に基づきゲート通過の可否を制御するゲート装置を提供する。
【解決手段】
交番磁界の印加による磁性体の磁化反転により該磁性体から発生された信号を受信して該磁性体を検知する磁性体検知手段と、磁界の印加により無線識別子から発信される識別情報を検知する識別情報検知手段と、交番磁界および磁界を磁性体および無線識別子に交互に与える励磁巻線と、識別情報を記憶する記憶手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性体とRFIDタグの両方を検知するゲート装置に関し、特に、1つのアンテナから一定時間毎に交互に磁性体を検知するための交番磁界とRFIDタグの情報を検知するための起動信号を発信し、ゲートを通過する人が携帯するRFIDタグの情報と、物体に付与された磁性体の各検知結果に基づきゲート通過の可否を制御するゲート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触で検知する検知素子と、その検知装置の技術としてICチップを備えたICカードと、そのリーダ/ライタが普及しており、特にRFID(=Radio Frequency IDentification)の非接触型ICカードが広く利用されている。
【0003】
非接触型ICカードに記憶された情報は、非接触型ICカードとリーダ/ライタとがそれぞれ備えるループアンテナを介して情報の信号を送受信し、リーダ/ライタにより非接触型ICカードの情報が読み取られる。
【0004】
リーダ/ライタは、非接触型ICカードがリーダ/ライタから数cmないし数十cm離れた位置にあっても非接触型ICカードの情報を読み取ることができ、また、非接触型ICカードが汚れや静電気等に強いことから入退室管理、工場の生産管理、物流の管理等の様々な分野で広く利用されている。
【0005】
例えば特許文献1には、製品番号等の識別情報を記憶したRFIDの非接触型ICタグと、非接触型ICカードから印刷データを読み取るリーダ/ライタとをそれぞれ印刷装置に設け、印刷装置の製造時または出荷時に印刷装置が備える非接触型ICタグから印刷装置の識別情報を読み取って印刷装置を管理し、印刷装置の使用時には他の非接触型ICカードに記録された印刷データを印刷装置が備えるリーダ/ライタで読み取って印刷を行うように構成された印刷装置の小型化とコスト削減及び誤作動防止を実現するためのRFID装置が提案されている。
【0006】
上記特許文献1の提案は、RFIDの非接触型ICタグのアンテナおよびリーダ/ライタのアンテナとを1つのアンテナで共用し、共用アンテナを電源供給の有無に応じてRFIDの非接触型ICタグまたはリーダ/ライタに切替え接続するように構成したものである。
【0007】
このように構成することでアンテナがRFIDの非接触型ICタグとリーダ/ライタとにそれぞれ独立に設けられている場合と比べて装置の大型化とコスト上昇が抑えられ、自装置のリーダ/ライタで自装置が備える非接触型ICタグから識別情報を印刷データとして読み取る誤作動の原因となることを防止することができる。
【0008】
また、RFIDを用いたタグとして例えば特許文献2には、タグ状態情報を磁気的に格納するように構成されたRFIDタグが提案されている。
【0009】
上記特許文献2に提案されるRFIDタグは、近接位置にある静電励磁機から励磁信号を静電気的に受信して格納タグ情報に基づく読取信号を生成し、近接位置にある読取機に静電気的に送信するアンテナ素子と、近接位置にある磁気読取機によって読み取られるタグ状態情報を磁気的に格納する共通電極を備える構成とし、RFIDタグの情報を静電気的にのみ読み取る装置と、タグ状態情報を磁気的にのみ読み取る装置との両方の利点を活用するように構成されたものである。
【特許文献1】特開2005−148820号公報
【特許文献2】特開2001−525970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2には、磁性体を励磁して磁化反転させる交番磁界を発生するアンテナと、RFIDタグを起動する起動信号を発信するアンテナとを1つのアンテナで共用し、当該アンテナから一定時間毎に交互に交番磁界と起動信号を発信して磁性体とRFIDタグの情報を検知する構成は提案されていない。
【0011】
そこで、本発明は、磁性体とRFIDタグの両方を検知するゲートの1つのアンテナから一定時間毎に交互に磁性体を検知するための交番磁界とRFIDタグの情報を検知するための起動信号を発信し、ゲートを通過する人が携帯するRFIDタグの情報と、物体に付与された磁性体の各検知結果に基づきゲート通過の可否を制御するゲート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、交番磁界の印加による磁性体の磁化反転により該磁性体から発生された信号を受信して該磁性体を検知する磁性体検知手段と、磁界の印加により無線識別子から発信される識別情報を検知する識別情報検知手段と、前記交番磁界および前記磁界を前記磁性体および前記無線識別子に交互に与える励磁巻線と、前記識別情報を記憶する記憶手段とを具備するゲート装置。
【0013】
また、請求項2の発明は、磁性体に磁化反転を起こさせて該磁性体から磁化反転信号を発生させる第1の周波数の信号を発振する第1の発振器と、無線識別子が受信可能な第2の周波数の信号を発信する第2の発振器と、前記第1の発振器の出力および前記第2の発振器の出力が前記無線識別子を起動する所定の情報に対応して切り替えられて加えられ、磁性体に磁化反転を起こさせるとともに、前記無線識別子を起動する情報を含む磁界を発生する励磁巻線と、前記励磁巻線から発生される磁界により磁化反転した該磁性体から発生された磁化反転信号を受信して該磁性体を検知する磁性体検知手段と、前記励磁巻線から発生される磁界により起動された無線識別子から発信される識別情報を検知する識別情報検知手段と、前記識別情報を記憶する記憶手段とを具備するゲート装置。
【0014】
また、請求項3の発明は、磁性体に磁化反転を起こさせて該磁性体から磁化反転信号を発生させる周波数の第1の位相の信号を発振する第1の発振器と、前記第1の発振器から発振される信号と位相が異なる第2の位相の信号を発振する第2の発振器と、前記第1の発振器の出力および前記第2の発振器の出力が無線識別子を起動する所定の情報に対応して切り替えられて加えられ、磁性体に磁化反転を起こさせるとともに、前記無線識別子を起動する情報を含む磁界を発生する励磁巻線と、前記励磁巻線から発生される磁界により磁化反転した該磁性体から発生された磁化反転信号を受信して該磁性体を検知する磁性体検知手段と、前記励磁巻線から発生される磁界により起動された無線識別子から発信される識別情報を検知する識別情報検知手段と、前記識別情報を記憶する記憶手段とを具備するゲート装置。
【0015】
また、請求項4の発明は、磁性体に磁化反転を起こさせて該磁性体から磁化反転信号を発生させかつ無線識別子が受信可能な第1の周波数の信号を発振する第1の発振器と、前記第1の発振器の出力が前記無線識別子を起動する所定の情報に対応して切り替えられて加えられ、磁性体に磁化反転を起こさせるとともに、前記無線識別子を起動する情報を含む磁界を発生する励磁巻線と、前記励磁巻線から発生される磁界により磁化反転した該磁性体から発生された磁化反転信号を受信して該磁性体を検知する磁性体検知手段と、前記励磁巻線から発生される磁界により起動された無線識別子から発信される識別情報を検知する識別情報検知手段と、前記識別情報を記憶する記憶手段とを具備するゲート装置。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の発明において、前記識別情報に対応して前記磁性体を付与した物体を携帯するユーザの通過を規制する規制情報を記憶する記憶手段を更に具備し、前記識別情報検知手段で検知した前記識別情報に対応して、前記磁性体が付与された物体を携帯したユーザの通過を禁止するゲート装置。
【0017】
また、請求項6の発明は、請求項1乃至4の発明において、前記識別情報に対応して前記磁性体を付与した物体を携帯するユーザの通過を規制する規制情報を記憶する記憶手段を更に具備し、前記識別情報検知手段で検知した前記識別情報に対応して、前記磁性体が付与された物体を携帯しないユーザの通過を禁止するゲート装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明のゲート装置によれば、磁性体を励磁するコイルアンテナと、RFIDタグに励磁信号を送信するコイルアンテナとを共用し、RFIDタグに記録された情報と磁性体の有無の情報とを1つの装置で検知できるので各検知装置を個別に製作する場合のコストと比べて低コスト化が図れる。
【0019】
また、1つのゲートでRFIDタグに記録された情報と磁性体の有無の情報とが検知できるので各検知装置を個別に備えるゲートを設置する場合と比べてゲートの設置面積を小さくすることができる。
【0020】
また、ユーザが携帯するRFIDタグの識別情報と媒体に付与された磁性体の有無の情報とをそれぞれ切替え検知し、それぞれの検知結果に基づきユーザの入退出または媒体の持ち出し可否の制御が行われるのでユーザの入退出管理、媒体管理のセキュリティーがより向上するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係わるゲート装置の一実施例について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係わるゲート装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
図1に示すように、ゲート装置1は、ある企業の文書管理室9(図2参照)の各出入口に設置された検知ゲート10(破線で囲まれた部分)と、検知ゲート10を制御するゲートコントローラ32とで構成されている。
【0024】
検知ゲート10は、社員6が携帯するRFIDタグ7の識別情報と、当該社員6が文書管理室9から持出そうとしているまたは文書管理室9へ持ち込もうとしている文書50に付与された磁性ワイヤー8を非接触で検知するためのコイルアンテナである励磁コイル15及び検知コイル16が埋め込まれたアンテナ支持体11aと、アンテナ支持体11aと同様に構成され、アンテナ支持体11aと対向して配置されたアンテナ支持体11b(図2参照)とがアンテナ支持体11aとアンテナ支持体11bとの間を社員6が通過できるように離間されて配置されている。
【0025】
また、検知ゲート10の出入口の両側には、扉開閉装置12a、12bが配置されており、ゲートコントローラ32の指令信号に基づき扉開閉装置12a、12bが検知ゲート10の出入口側に配置された扉13(図2参照)の開閉制御を行うように構成されている。
【0026】
励磁コイル15は、ゲートコントローラ32が備える後述する検知部30のRFIDリーダ/ライタ301や磁性体検知装置302と一定時間毎に交互に切替え接続され、検知コイル16は、励磁コイル15が磁性体検知装置302と接続されるタイミングと同期して一定時間毎に磁性体検知装置302と接続される。
【0027】
励磁コイル15がRFIDリーダ/ライタ301と接続された場合は、RFIDリーダ/ライタ301の制御により所定周波数(例えば13.5Mhz)の交番磁界が励磁コイル15から発信され、検知ゲート10内に社員6が進入している場合は、社員6が携帯するRFIDタグ7が励磁コイル15から発信された交番磁界により誘導起電力を得て起動し、RFIDタグ7に予め記録された識別情報の信号がRFIDタグ7から発信されるので、その信号をRFIDリーダ/ライタ301が励磁コイル15を介して受信し、信号処理してRFIDタグ7の識別情報を検知する。
【0028】
また、励磁コイル15及び検知コイル16が磁性体検知装置302と接続された場合は、磁性体検知装置302の制御により所定周波数(例えば800hz)の交番磁界が励磁コイル15から発信され、検知ゲート10内に文書50を持った社員6が進入している場合は、文書50に付与された磁性ワイヤー8が励磁コイル15から発信された交番磁界を受けて磁化反転し、その際に急峻な磁気パルスを発するので、その信号を磁性体検知装置302が検知コイル16を介して受信し、信号処理して磁性ワイヤー8の有無を検知する。
【0029】
検知コイル16は、文書50に付与された磁性ワイヤー8が磁化反転時に発する磁気パルスを受信するためのコイルアンテナであり、励磁コイル15から発信される交番磁界の電磁誘導により検知コイル16内を流れる誘導電流の影響を抑えるために8の字型の形状に形成されている。
【0030】
また、アンテナ支持体11aとアンテナ支持体11bには、図示せぬ赤外線センサーの送受信装置が設置されており、検知ゲート10内を人が進入すると、赤外線センサーが人を検知し、ゲートコントローラ32に通知するように構成されている。
【0031】
ゲートコントローラ32は、検知部30と判断制御部31とで構成されており、検知部30は、低周波スイッチ300と、RFIDリーダ/ライタ301と、磁性体検知装置302を備えている。
【0032】
低周波スイッチ300は、励磁コイル15とRFIDリーダ/ライタ301との接続または励磁コイル15及び検知コイル16と磁性体検知装置302との接続を時分割(例えば0.1hz間隔)で交互に切替え接続する。
【0033】
具体的には、低周波スイッチ300は、ベースバンド信号の値によって変化するスイッチであり、ベースバンド信号の値により励磁コイル15をRFIDリーダ/ライタ301の後述するインピーダンス整合部3010を介して送受信部(RFID用)3011に接続するまたは励磁コイル15及び検知コイル16を磁性体検知装置302の送受信部(磁性体用)3021に接続するように切替えて接続する。
【0034】
なお、本実施例では、励磁コイル15をRFIDリーダ/ライタ301と磁性体検知装置302とに切替え接続するまたは検知コイル16を磁性体検知装置302に切替え接続するスイッチとして低周波スイッチ300を用いた例を示してあるが、低周波スイッチ300に限定されるものではなく、サイリスター等を用いてもよく、励磁コイル15とRFIDリーダ/ライタ301との接続または励磁コイル15及び検知コイル16と磁性体検知装置302との接続が時分割で交互に切替え接続できるように構成されていれば何れのスイッチでもよい。
【0035】
RFIDリーダ/ライタ301は、インピーダンス整合部3010と、送受信部(RFID用)3011と、制御部(RFID用)3012とを備えている。
【0036】
インピーダンス整合部3010は、磁性体検知装置302のコイルアンテナとして用いられている励磁コイル15がRFIDリーダ/ライタ301のコイルアンテナとして共用できるようにインピーダンスのマッチングを行う。
【0037】
送受信部(RFID用)3011は、検知ゲート10内のRFIDタグの識別情報を読み書きするための所定周波数の交番磁界を励磁コイル15を介して発信し、RFIDタグから発信されるRFIDタグに記録された社員6の識別情報の信号を励磁コイル15を介して受信する。
【0038】
なお、励磁コイル15は、送受信部(RFID用)3011内の図示せぬ送信回路と受信回路とに周期的に切替え接続され、励磁コイル15を介してRFIDリーダ/ライタ301とRFIDタグ7とで信号の送受信が送受信部(RFID用)3011により行われる。
【0039】
制御部(RFID用)3012は、送受信部(RFID用)3011を制御し、RFIDリーダ/ライタ301とRFIDタグ7との間で送受信される信号に基づきRFIDタグ7の識別情報を読み書きする制御を行うとともにRFIDリーダ/ライタ301全体を統括制御する。
【0040】
磁性体検知装置302は、送受信部(磁性体用)3021と、制御部(磁性体用)3022とを備えている。
【0041】
送受信部(磁性体用)3021は、励磁コイル15を介して検知ゲート10内の文書50に付与された磁性ワイヤー8を磁化反転させるための所定周波数の交番磁界を発信し、交番磁界を受けて磁化反転した磁性ワイヤー8が発する急峻な磁気パルスを検知コイル16を介して受信する。
【0042】
制御部(磁性体用)3022は、送受信部(磁性体用)3021を制御し、検知コイル16で受信された磁気パルスの検出信号に基づき検知ゲート10内の磁性ワイヤー8の有無を検知するとともに磁性体検知装置302全体を統括制御する。
【0043】
判断制御部31は、通過許可判断装置311と、記憶部312を備えており、通過許可判断装置311は、RFIDリーダ/ライタ301で読み取られて通知されるRFIDタグの識別情報と、磁性体検知装置302で検知されて通知される磁性ワイヤー8の有無の検知情報に基づき検知ゲート10の扉13の開閉の判断と、判断結果に応じた扉13の開閉制御を行う。
【0044】
記憶部312は、検知ゲート10の扉13の開閉の判断基準となる扉開閉判断情報や検知ゲート10を制御するために必要な各種データや処理プログラムを記憶保持する。
【0045】
また、検知ゲート10を通過した社員6が携帯するRFIDタグ7の識別情報を記憶保持する。
【0046】
扉開閉判断情報は、例えば文書管理室9からの文書50の持ち出しの許可または不許可の情報と、RFIDタグの識別情報とが対応付けされた一覧情報であり、通過許可判断装置311は、磁性体検知装置302で磁性ワイヤー8が検知された場合、RFIDリーダ/ライタ301で読み取られたRFIDタグの識別情報が文書50の持ち出しが許可された識別情報であるかを扉開閉判断情報を参照して判断する。
【0047】
なお、低周波スイッチ300による励磁コイル15とRFIDリーダ/ライタ301との接続と、励磁コイル15及び検知コイル16と磁性体検知装置302との接続の切替えは、社員6が各検知ゲート通過中に社員6が携帯するRFIDタグと、文書50に付与された磁性ワイヤー8との検知が複数回交互に切替え検知できるだけの十分な回数だけ切替え接続されるように構成されている。
【0048】
図2は、ゲート装置1が適用された文書管理室9の全体構成の一例を示す構成図である。
【0049】
図2に示すように、ある企業の文書管理室9の各出入口には、検知ゲート10(破線で囲まれた部分)と、検知ゲート20(破線で囲まれた部分)と、検知ゲート10を制御するゲートコントローラ32と、検知ゲート20を制御するゲートコントローラ33と、各ゲートコントローラから出力される各検知ゲート通過社員6の入退出情報を記憶保持し、入退出情報に基づく各種処理と、その結果を出力する管理装置40とで構成されている。
【0050】
なお、検知ゲート20は、検知ゲート10と同様に構成され、ゲートコントローラ33は、ゲートコントローラ32と同様に構成されている。
【0051】
文書管理室9には、重要文書や技術文書等の文書50の媒体が保管されており、これらの文書50が文書管理室9からの持出しが許可された社員6以外の者によって持ち出されることを防止するために、文書管理室9で保管されている全ての文書50には大バルクハウゼン効果を起こす磁性ワイヤー8が予め付与されている。
【0052】
また、当該企業の社員6には、社員6を識別するための識別情報が記録されたRFIDタグ7を携帯させている。
【0053】
文書管理室9に保管された文書50は、当該企業の社員6であれば誰でも閲覧できるが、社員6が文書50を文書管理室9から持ち出そうとした場合は、当該社員6が文書管理室9から退室の際に通過する検知ゲート10または検知ゲート20で文書50に付与された磁性ワイヤー8と、当該社員6が携帯するRFIDタグ7の識別情報とが検知され、当該社員6が携帯するRFIDタグ7の識別情報が文書管理室9からの文書50の持ち出しが許可された識別情報でなければ当該社員6が通過中の検知ゲートの扉13を閉じて当該社員6の文書管理室9からの退出を禁止するように構成されている。
【0054】
このように構成された文書管理室9の各検知ゲートを通過する社員6のRFIDタグ7の識別情報と、当該社員6が持出そうとしている文書50の検知動作について図3及び図4を参照して説明する。
【0055】
図3は、社員6が携帯するRFIDタグ7の構成の一例と、RFIDタグ7に記録された社員6の識別情報を検知ゲート10及びゲートコントローラ32により読み取る動作を示す説明図である。
【0056】
図3に示すように、RFIDタグ7には、変調回路73、信号処理ユニット74等を含むICチップ72と、コイルアンテナ71とが内蔵されている。
【0057】
ゲートコントローラ32の検知部30の低周波スイッチ300の切替え制御により励磁コイル15とRFIDリーダ/ライタ301とが接続されると、RFIDリーダ/ライタ301の制御に基づき所定周波数の交番磁界が励磁コイル15から発信され、励磁コイル15の近傍(例えば検知ゲート10内)に存在するRFIDタグ7が励磁コイル15から発信される交番磁界をコイルアンテナ71を介して受信する。
【0058】
RFIDタグ7のコイルアンテナ71で交番磁界が受信されると、共振作用によりコイルアンテナ71に誘導起電力が生じ、この誘導起電力により変調回路73や信号処理ユニット74等を含むICチップ72が起動し、ICチップ72に予め記録された社員6の識別情報の信号がコイルアンテナ71から送信される。
【0059】
RFIDタグ7から送信された識別情報の信号は、励磁コイル15で受信され、励磁コイル15と接続されたRFIDリーダ/ライタ301が励磁コイル15で受信され信号を信号処理してRFIDタグ7の識別情報を読み取り、判断制御部31の通過許可判断装置311へ出力する。
【0060】
具体的には、RFIDタグ7から送信された識別情報の信号は、励磁コイル15と接続されたRFIDリーダ/ライタ301のインピーダンス整合部3010(図1参照)を介して送受信部(RFID用)3011(図1参照)で受信され、制御部(RFID用)3012(図1参照)が送受信部(RFID用)3011で受信された信号を信号処理してRFIDタグ7の識別情報を読み取り、判断制御部31の通過許可判断装置311へ出力する。
【0061】
次に、文書50に付与された磁性ワイヤー8を検知ゲート10及びゲートコントローラ32により検知する動作について説明する。
【0062】
図4は、磁性ワイヤー8が付与された文書50の構成の一例と、文書50に付与された磁性ワイヤー8を検知ゲート10及びゲートコントローラ32により検知する動作を示す説明図である。
【0063】
図4に示すように、文書50には大バルクハウゼン効果を起こす磁性ワイヤー8が付与されており、ゲートコントローラ32の検知部30の低周波スイッチ300の切替え制御により励磁コイル15及び検知コイル16と磁性体検知装置302とが接続されると、磁性体検知装置302の制御に基づき所定周波数の交番磁界が励磁コイル15から発信され、励磁コイル15の近傍(例えば検知ゲート10内)に存在する文書50の磁性ワイヤー8が励磁コイル15から発信された交番磁界を受けて磁化反転し、その際に急峻な磁気パルスを発する。
【0064】
磁性ワイヤー8から発せられた磁気パルスは、検知コイル16で受信され、検知コイル16と接続された磁性体検知装置302が検知コイル16で受信され信号を信号処理して磁性ワイヤー8の存在有無を検知し、その検知結果を判断制御部31の通過許可判断装置311へ出力する。
【0065】
具体的には、文書50に付与された磁性ワイヤー8が磁化反転して発した磁気パルスは、検知コイル16と接続された磁性体検知装置302の送受信部(磁性体用)3021(図1参照)で受信され、制御部(磁性体用)3022(図1参照)が送受信部(磁性体用)3021で受信された信号を信号処理して磁性ワイヤー8の存在有無を検知し、その検知結果を判断制御部31の通過許可判断装置311へ出力する。
【0066】
次に、判断制御部31の通過許可判断装置311が検知部30のRFIDリーダ/ライタ301で読み取られて通知されるRFIDタグの識別情報と、磁性体検知装置302で検知されて通知される磁性ワイヤー8の有無の検知情報に基づき検知ゲート10の扉13の開閉の判断と、判断結果に応じた扉13の開閉制御の制御動作について説明する。
【0067】
通過許可判断装置311は、磁性体検知装置302から通知される磁性ワイヤー8の存在有無を検知結果に基づき磁性ワイヤー8の存在が検知された旨の通知を受信した場合は、RFIDリーダ/ライタ301から通知されたRFIDタグの識別情報が文書管理室9からの文書50の持ち出しが許可された識別情報であるか否かを判断し、文書50の持ち出しが許可されていない識別情報であると判断した場合には、扉開閉装置12a及び扉開閉装置12bに対して検知ゲート10の扉13を閉とする制御を行わせ、社員6の検知ゲート通過を禁止する。
【0068】
また、文書50の持ち出しが許可された識別情報であると判断した場合には、扉開閉装置12a及び扉開閉装置12bに対して検知ゲート10の扉13を開とする制御を行わせ、社員6の検知ゲート通過を許可する。
【0069】
なお、検知ゲート20及び検知ゲート20を制御するゲートコントローラ33による社員6が携帯するRFIDタグ7の識別情報の読み取り動作と、文書50に付与された磁性ワイヤー8の検知動作も前述した検知ゲート10及びゲートコントローラ32の動作と同様であるので説明は省略する。
【0070】
このように文書管理室9の各出入口に設置された各検知ゲート及び各ゲートコントローラは、励磁コイル15をRFIDリーダ/ライタ301と磁性体検知装置302とに時分割で交互に切替え接続し、励磁コイル15からRFIDリーダ/ライタ301や磁性体検知装置302の制御に基づく所定周波数の交番磁界を発信して各検知ゲート内に存在するRFIDタグ7の識別情報と、磁性ワイヤー8が付与された文書50とを1つの検知ゲート及び当該検知ゲートを制御するゲートコントローラで行うように構成されている。
【0071】
なお、図3及び図4に示すRFIDタグ7の大きさと、文書50及び磁性ワイヤー8の大きさと、検知ゲート10及びゲートコントローラ32の大きさとの対応関係は、図中の大きさに対応するものではない。
【0072】
ゲート装置1が適用された文書管理室9から許可された社員6以外の者により文書50が持ち出されることを防止する動作について図5の流れ図を参照して説明する。
【0073】
社員6が文書管理室9へ入退室する場合は、文書管理室9の各出入口に設置された検知ゲート10または検知ゲート20を通過する必要があり(図2参照)、社員6が検知ゲート10または検知ゲート20内に進入すると、図5に示すように、各検知ゲートに設置された図示せぬ赤外線センサーが人の通過を検知する(ステップS501でYES)。
【0074】
赤外線センサーでの検知は、例えば、当該赤外線センサーが配置された検知ゲートとそのゲートコントローラの電源をオンにするためのものであり、検知ゲートとそのゲートコントローラは、通常では電源がオフ状態に設定されて消費電力を節約するように構成されている。
【0075】
検知ゲートと、そのゲートコントローラの電源がオンにされると、前述したように、例えば検知ゲート10の励磁コイル15は、ゲートコントローラ32のRFIDリーダ/ライタ301と磁性体検知装置302とに一定時間毎に交互に接続され、励磁コイル15からはRFIDリーダ/ライタ301の制御に基づくRFIDタグの識別情報を読み書きするための交番磁界と、磁性体検知装置302の制御に基づく文書50に付与された磁性ワイヤー8を検知するための交番磁界が一定時間毎に交互に送信される。
【0076】
また、社員6は、社員6の識別情報が記録されたRFIDタグを携帯しており、社員6が文書管理室9へ入室または文書管理室9から退室するために、例えば検知ゲート10内に進入すると、社員6は、検知ゲート10を制御するゲートコントローラ32のRFIDリーダ/ライタ301の制御に基づく所定周波数(例えば13.5Mhz)の交番磁界と、磁性体検知装置302の制御に基づく所定周波数(例えば800hz)の交番磁界とを一定時間毎に交互に受けることとなる。
【0077】
したがって、RFIDリーダ/ライタ301の制御に基づく所定周波数(例えば13.5Mhz)の交番磁界が励磁コイル15から発信されている場合は、この交番磁界を社員6が携帯するRFIDタグが受信し、RFIDタグに記録された識別情報がRFIDタグから送信される。
【0078】
RFIDリーダ/ライタ301は、RFIDタグから送信された識別情報の信号を励磁コイル15を介して受信し、所定の信号処理を施すことでRFIDタグに記録された識別情報を読み取り、読み取った識別情報を通過許可判断装置311へ通知する(ステップS502)。
【0079】
ステップS502において、RFIDリーダ/ライタ301によるRFIDタグの識別情報の読み取り後(ステップS503でYES)、一定時間が経過すると、低周波スイッチ300の切替え制御により励磁コイル15と検知コイル16が磁性体検知装置302と接続され、磁性体検知装置302の制御に基づく所定周波数(例えば800hz)の交番磁界が励磁コイル15から発信されるが、検知ゲート10通過中の社員6が文書50を持っていない場合であれば文書50に付与された磁性ワイヤー8も検知されないので(ステップS508、ステップS509でNO)、当該社員6が通過中の検知ゲートの扉13を開状態のままに制御して当該社員6の検知ゲート通過を許可し、RFIDリーダ/ライタ301で読み取られたRFIDタグの識別情報が通過許可判断装置311から管理装置40へ通知され、動作制御を終了する。
【0080】
また、ステップS502において、社員6がRFIDタグを不携帯もしくは社員6が携帯するRFIDタグの識別情報が何らかの原因で正常に読み取れなかった場合(ステップS503でNO)、その旨を通過許可判断装置311へ通知して当該社員6が通過中の検知ゲート10の扉13を閉とし、当該社員6の検知ゲート通過を禁止する(ステップS504)。
【0081】
また、当該社員6に対してRFIDタグを検知ゲート10の励磁コイル15近傍にかざしてRFIDタグの再読取りを行わせる指示を行い、RFIDタグの識別情報の再読み取りを行う(ステップS505)。
【0082】
なお、当該社員6に対するRFIDタグの再読取り指示は、検知ゲート10に設置された図示せぬ警報発生装置によるブザー音を出力して当該社員6にRFIDタグの読み取りエラーを通知するか、または音声によりRFIDタグを検知ゲート10のアンテナ支持体11aまたはアンテナ支持体11bの近傍にかざすように指示する。
【0083】
ステップS505において、RFIDタグの識別情報を再読み取り後(ステップS506でYES)、RFIDタグの識別情報が正常に読み取られた旨を通過許可判断装置311へ通知して閉とした検知ゲートの扉13を開とし(ステップS507)、検知ゲート10通過中の社員6が文書50を持っていない場合であれば文書50に付与された磁性ワイヤー8も検知されないので(ステップS508、ステップS509でNO)、当該社員6が通過中の検知ゲート10の扉13を開状態のままに制御して当該社員6の検知ゲート10通過を許可し、RFIDリーダ/ライタ301で読み取られたRFIDタグの識別情報が通過許可判断装置311から管理装置40へ通知され、動作制御を終了する。
【0084】
また、ステップS502において、RFIDタグの識別情報を読み取り後(ステップS503でYES)、一定時間が経過すると励磁コイル15及び検知コイル16と磁性体検知装置302とが接続され、磁性体検知装置302の制御に基づく所定周波数(例えば800hz)の交番磁界が励磁コイル15から発信されるので検知ゲート通過中の社員6が文書50を持っている場合であれば文書50に付与された磁性ワイヤー8が励磁コイル15から発信される交番磁界を受けて磁化反転し、その際に磁性ワイヤー8から発せられる磁気パルスが検知コイル16を介して磁性体検知装置302で検出される(ステップS508、ステップS509でYES)。
【0085】
ステップS502またはステップS505においてRFIDリーダ/ライタ301で読み取られたRFIDタグの識別情報と、ステップS508において磁性体検知装置302で検知された磁性ワイヤー8の有無の検知情報は、通過許可判断装置311へ通知される。
【0086】
通過許可判断装置311は、磁性体検知装置302から磁性ワイヤー8が検知された旨の通知を受けた場合は(ステップS509でYES)、RFIDリーダ/ライタ301から通知されたRFIDタグの識別情報に基づき当該社員6が文書50の持ち出しを許可された社員6であるか否かを判断する(ステップS510)。
【0087】
なお、例えば検知ゲート10を制御するゲートコントローラ32の記憶部312には、前述したように文書管理室9からの文書50の持ち出しの許可または不許可の情報とRFIDタグの識別情報とが対応付けされた一覧情報(扉開閉判断情報)が記憶保持されており、通過許可判断装置311は、RFIDリーダ/ライタ301で読み取られたRFIDタグの識別情報が文書50の持ち出しを許可する識別情報であるかを扉開閉判断情報を参照して判断する。
【0088】
ステップS510において、通過許可判断装置311がRFIDリーダ/ライタ301で読み取られたRFIDタグの識別情報が文書50の持ち出しを不許可とする識別情報であると判断した場合は(ステップS511でNO)、文書持ち出し禁止処理を行い、文書50が不正に持ち出されることを防止する(ステップS512)。
【0089】
文書持ち出し禁止処理は、具体的には、当該社員6が通過中の検知ゲートの扉13を閉じて当該社員6の検知ゲート通過を禁止するとともに図示せぬ警報発生装置によるブザー音または音声により文書50の持ち出し不可を当該社員6へ通知する。
【0090】
また、ステップS511において、通過許可判断装置311がRFIDリーダ/ライタ301で読み取ったRFIDタグの識別情報が文書50の持ち出しを許可とする識別情報であると判断した場合は(ステップS511でYES)、当該社員6が通過中の検知ゲートの扉13を開状態のままに制御して当該社員6の検知ゲート通過を許可し、RFIDリーダ/ライタ301で読み取られたRFIDタグの識別情報と文書50が持出された旨の情報とが通過許可判断装置311から管理装置40へ通知され、動作制御を終了する。
【0091】
このようにゲート装置1は、磁性体(磁性ワイヤー8)を磁化反転させる交番磁界を発信するコイルアンテナ(励磁コイル15)と、RFIDタグ起動する起動信号を含む交番磁界(例えば13.5Mhzの交番磁界)を発信するコイルアンテナ(励磁コイル15)とを1つのコイルアンテナ(励磁コイル15)で共用し、RFIDタグに記録された識別情報と磁性体の有無の検知とを1つの検知ゲート及び当該検知ゲートを制御するゲートコントローラで行うのでRFIDタグの識別情報を検知する検知ゲート及び当該検知ゲートを制御するゲートコントローラと、磁性体を検知する検知ゲート及び当該検知ゲートを制御するゲートコントローラを個別に製作して設置する場合と比べて低コスト化と、省スペース化が図れる。
【0092】
これまでの説明では、励磁コイル15とRFIDリーダ/ライタ301との接続と、励磁コイル15及び検知コイル16と磁性体検知装置302との接続とを一定時間毎に交互に切替え接続し、RFIDリーダ/ライタ301と磁性体検知装置302とのそれぞれの制御に基づき周波数の異なる交番磁界を励磁コイル15から発信し、各検知ゲート内に存在するRFIDタグ7の識別情報の検知と、磁性ワイヤー8の検知とを1つの検知ゲート及び検知ゲートを制御するゲートコントローラで行う例を示したが、RFIDタグ7の識別情報を検知する場合にも磁性ワイヤー8検知のために励磁コイル15から発信する交番磁界の周波数を搬送波として利用し、RFIDタグ7との情報を送受信するメッセージ信号の部分を周波数偏移変調してRFIDリーダ/ライタ301がRFIDタグ7の識別情報を読み取れるような構成としてもよい。
【0093】
この場合は、励磁コイル15とRFIDリーダ/ライタ301との接続と、励磁コイル15及び検知コイル16と磁性体検知装置302との接続とをRFIDタグ7を起動する所定の情報に対応して切替え接続し、励磁コイル15からRFIDタグ7を起動する所定の情報に対応して切替え接続されたタイミングで磁性体検知装置302の制御に基づく前述の所定周波数(例えば400hz〜2Khz範囲内の何れかの周波数)の交番磁界、RFIDリーダ/ライタ301の制御に基づく前述の所定周波数(例えば13.5Mhzの周波数)の交番磁界を発信させる。
【0094】
各検知ゲート内に存在する磁性ワイヤー8の検知は、励磁コイル15及び検知コイル16と磁性体検知装置302とが接続されている時に行われる。
【0095】
また、各検知ゲート内に存在するRFIDタグ7の識別情報の検知は、励磁コイル15から発信された磁性体検知装置302の制御に基づく前述の所定周波数(例えば400hz〜2Khz範囲内の何れかの周波数)の交番磁界によりRFIDタグ7に誘導起電力を得させ、励磁コイル15とRFIDリーダ/ライタ301とが切替え接続されている時に、誘導起電力を得たRFIDタグ7が発信するRFIDタグ7に記録された情報信号を励磁コイル15を介してRFIDリーダ/ライタ301で受信し、信号処理してRFIDタグ7の識別情報を読み取るような構成とする。
【0096】
なお、磁性体検知装置302の制御に基づき870hzの搬送波をRFIDタグ7に送信した場合、この磁界の強さは約10〜20ガウス程度であり、RFIDタグ7がRFIDリーダ/ライタ301と情報の信号を送受信するための十分な起電力が得られることが実験的に確認できた。
【0097】
また、前述の周波数偏移変調による磁性ワイヤー8の検知とRFIDタグ7の識別情報の検知との他に位相変調により磁性ワイヤー8の検知とRFIDタグ7の識別情報の検知とを行うような構成としてもよい。
【0098】
この場合は、1つの送受信部により磁性ワイヤー8を検知する場合とRFIDタグ7の識別情報を読み取る場合とで同一の所定周波数(例えば400hz〜2Khz範囲内の何れかの周波数)の交番磁界を励磁コイル15を介して発信し、RFIDタグ7の識別情報を読み取る場合には、RFIDタグ7の識別情報の信号を位相変化として受信する構成とする。
【0099】
このように構成した場合は、RFIDリーダ/ライタ301及びRFIDタグ7の利用帯域を磁性ワイヤー8検知用の所定周波数(例えば400hz〜2Khz範囲内の何れかの周波数)帯域とし、RFIDタグ7も位相変調可能な構成とする。
【0100】
このような構成とすることで励磁コイル15からは所定周波数(例えば400hz〜2Khz範囲内の何れかの周波数)の交番磁界を切替え発信することなく連続して発信でき、RFIDタグ7の識別情報の送受信が低周波で行えるので情報の送受信に必要な起電力を小さく抑えることができる。
【0101】
なお、磁性体検知装置302で磁性ワイヤー8を検知する場合の励磁コイル15及び検知コイル16の位相は、同期をとるようにしてもしなくてもよい。
【0102】
また、検知ゲートのアンテナ支持体11aとアンテナ支持体11bとの両側に励磁コイル15が埋め込まれ、前述のRFIDリーダ/ライタ301と磁性体検知装置302とを一定時間毎に交互に励磁コイル15に切替え接続し、各装置の制御に基づき周波数の異なる交番磁界を励磁コイル15から発信して磁性ワイヤー8とRFIDタグ7の識別情報とを検知する場合や、周波数変調による磁性ワイヤー8とRFIDタグ7の識別情報とを検知する場合及び位相変調による磁性ワイヤー8とRFIDタグ7の識別情報とを検知する場合には両側の励磁コイル15の位相の同期を図り、磁界の向きが一方から他方に向かうような構成とする。
【0103】
また、検知ゲートのアンテナ支持体11aとアンテナ支持体11bとの両側に励磁コイル15が埋め込まれている場合は、一定時間毎にアンテナ支持体11aとアンテナ支持体11bとに埋め込まれた各励磁コイル15から交互に交番磁気を発信させるような構成としてもよい。
【0104】
また、磁性体検知装置302からは前述の磁性ワイヤー8を励磁させる所定周波数(例えば400hz〜2Khz範囲内の何れかの周波数)の交番磁界の送信は行わず、専ら磁性ワイヤー8が磁化反転して発する磁気パルスの受信及び検知のみを行い、RFIDリーダ/ライタ301から磁性ワイヤー8を励磁させる所定周波数(例えば400hz〜2Khz範囲内の何れかの周波数)の交番磁界を発生させる構成としてもよい。
【0105】
この場合は、図6に示すゲート装置2のように、励磁コイル15とRFIDリーダ/ライタ341とを常時接続し、また、検知コイル16と磁性体検知装置342とを常時接続させ、前述の磁性ワイヤー8を励磁させる所定周波数(例えば400hz〜2Khz範囲内の何れかの周波数)の交番磁界をRFIDリーダ/ライタ341から発信させる。
【0106】
即ち、磁性体検知装置342では交番磁界の送信は行わずに磁性ワイヤー8が磁化反転時に発する磁気パルスの受信及び検知のみを行い、RFIDリーダ・ライタ341でRFIDリーダ・ライタ341の搬送波として磁性ワイヤー8を励磁させる周波数を用い、RFIDタグ7の識別情報の信号は、搬送波を振幅変調させて送信するように構成する。
【0107】
従って、RFIDタグ7は、RFIDタグ7自身でバンドパスフィルターの役目を行うため、RFIDリーダ・ライタ341からのRFIDタグ7に対する識別情報の送信要求の信号が受信でき、また、磁性ワイヤー8も同時に励磁され、且つRFIDタグ7から送信される識別情報がRFIDリーダ・ライタ341で読み取られ、磁性ワイヤー8が発する磁気パルスが磁性体検知装置342で検知される。
【0108】
このように構成することで、磁性ワイヤー8を検知するためのコイルアンテナと、RFIDタグ7の識別情報を検知するコイルアンテナとを1つの励磁コイル15で共用し、磁性ワイヤー8の検知と、RFIDタグ7の識別情報の検知とが最も簡単な構成で実現できる。
【0109】
なお、図6に示すゲート装置2は、ゲート装置1(図1参照)のRFIDリーダ/ライタ301が磁性ワイヤー8を励磁させる所定周波数(例えば400hz〜2Khz範囲内の何れかの周波数)の交番磁界を発生させるように構成されたRFIDリーダ/ライタ341と置換えられ、また、ゲート装置1の磁性体検知装置302が磁性ワイヤー8の磁化反転により発生する磁気パルスの受信及び検知のみを行うように構成された磁性体検知装置342と置換えられ、励磁コイル15とRFIDリーダ/ライタ341とを常時接続し、検知コイル16と磁性体検知装置342とを常時接続させた他は、ゲート装置1と同様に構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、磁性体の検知と、RFIDタグの情報の読み書きを行う装置及びその検知結果と情報の読み書きを応用する技術に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明に係わるゲート装置1の構成の一例を示すブロック図
【図2】ゲート装置1が適用された文書管理室9の全体構成の一例を示す構成図
【図3】RFIDタグ7の構成の一例と、RFIDタグ7の識別情報を読み取る動作を示す説明図
【図4】磁性ワイヤー8が付与された文書50の構成の一例と、磁性ワイヤー8を検知する動作を示す説明図
【図5】文書管理室9から許可された社員6以外の者により文書50が持ち出されることを防止するゲート装置1の動作を示す流れ図
【図6】ゲート装置1とは他のゲート装置2の構成の一例を示すブロック図
【符号の説明】
【0112】
1、2 ゲート装置
6 社員
7 RFIDタグ
8 磁性ワイヤー
9 文書管理室
10、20 検知ゲート
11a、11b アンテナ支持体
12a、12b 扉開閉装置
13 扉
30、34 検知部
31 判断制御部
32、33、35 ゲートコントローラ
40 管理装置
50 文書
71 コイルアンテナ
72 ICチップ
73 変調回路
74 信号処理ユニット
300 低周波スイッチ
301、341 RFIDリーダ/ライタ
302、342 磁性体検知装置
311 通過許可判断装置
312 記憶部
3010 インピーダンス整合部
3011、3411 送受信部(RFID用)
3012、3412 制御部(RFID用)
3021 送受信部(磁性体用)
3421 受信部(磁性体用)
3022、3422 制御部(磁性体用)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交番磁界の印加による磁性体の磁化反転により該磁性体から発生された信号を受信して該磁性体を検知する磁性体検知手段と、
磁界の印加により無線識別子から発信される識別情報を検知する識別情報検知手段と、 前記交番磁界および前記磁界を前記磁性体および前記無線識別子に交互に与える励磁巻線と、
前記識別情報を記憶する記憶手段と
を具備するゲート装置。
【請求項2】
磁性体に磁化反転を起こさせて該磁性体から磁化反転信号を発生させる第1の周波数の信号を発振する第1の発振器と、
無線識別子が受信可能な第2の周波数の信号を発信する第2の発振器と、
前記第1の発振器の出力および前記第2の発振器の出力が前記無線識別子を起動する所定の情報に対応して切り替えられて加えられ、磁性体に磁化反転を起こさせるとともに、前記無線識別子を起動する情報を含む磁界を発生する励磁巻線と、
前記励磁巻線から発生される磁界により磁化反転した該磁性体から発生された磁化反転信号を受信して該磁性体を検知する磁性体検知手段と、
前記励磁巻線から発生される磁界により起動された無線識別子から発信される識別情報を検知する識別情報検知手段と、
前記識別情報を記憶する記憶手段と
を具備するゲート装置。
【請求項3】
磁性体に磁化反転を起こさせて該磁性体から磁化反転信号を発生させる周波数の第1の位相の信号を発振する第1の発振器と、
前記第1の発振器から発振される信号と位相が異なる第2の位相の信号を発振する第2の発振器と、
前記第1の発振器の出力および前記第2の発振器の出力が無線識別子を起動する所定の情報に対応して切り替えられて加えられ、磁性体に磁化反転を起こさせるとともに、前記無線識別子を起動する情報を含む磁界を発生する励磁巻線と、
前記励磁巻線から発生される磁界により磁化反転した該磁性体から発生された磁化反転信号を受信して該磁性体を検知する磁性体検知手段と、
前記励磁巻線から発生される磁界により起動された無線識別子から発信される識別情報を検知する識別情報検知手段と、
前記識別情報を記憶する記憶手段と
を具備するゲート装置。
【請求項4】
磁性体に磁化反転を起こさせて該磁性体から磁化反転信号を発生させかつ無線識別子が受信可能な第1の周波数の信号を発振する第1の発振器と、
前記第1の発振器の出力が前記無線識別子を起動する所定の情報に対応して切り替えられて加えられ、磁性体に磁化反転を起こさせるとともに、前記無線識別子を起動する情報を含む磁界を発生する励磁巻線と、
前記励磁巻線から発生される磁界により磁化反転した該磁性体から発生された磁化反転信号を受信して該磁性体を検知する磁性体検知手段と、
前記励磁巻線から発生される磁界により起動された無線識別子から発信される識別情報を検知する識別情報検知手段と、
前記識別情報を記憶する記憶手段と
を具備するゲート装置。
【請求項5】
前記識別情報に対応して前記磁性体を付与した物体を携帯するユーザの通過を規制する規制情報を記憶する記憶手段を更に具備し、
前記識別情報検知手段で検知した前記識別情報に対応して、前記磁性体が付与された物体を携帯したユーザの通過を禁止する請求項1乃至4記載のゲート装置。
【請求項6】
前記識別情報に対応して前記磁性体を付与した物体を携帯するユーザの通過を規制する規制情報を記憶する記憶手段を更に具備し、
前記識別情報検知手段で検知した前記識別情報に対応して、前記磁性体が付与された物体を携帯しないユーザの通過を禁止する請求項1乃至4記載のゲート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−97340(P2008−97340A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−278671(P2006−278671)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】