説明

ゲーム装置及びプログラム

【課題】 競争対象の勝率データを用いてオッズを算出する場合に、競争レースで予め決められた2位以下の規定順位までに入る競争対象のうちの一部の競争対象を予想する投票法におけるオッズ幅を広げることである。
【解決手段】 本ゲーム装置においては、実際の競馬の場合と同様に、下記の数式(2)によりオッズを算出する。一般に、投票対象である2つ(P=2)の馬に係るワイドオッズは、3位までに入る他の馬の勝率データが小さいほど高くなる。数式(2)におけるDとして、実際の競馬と同様に下記の数式(3)から算出される負馬の勝率D’をそのまま用いた場合、ワイドオッズ幅が狭くなってしまう。そこで、本ゲーム装置では、数式(2)におけるDとして、上記他の馬の勝率データの変動量に対する数式(3)のD’の変化率よりも、その勝率データの変動量に対する変化率が大きくなる関数式により算出される数値Dを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の競争対象が互いに順位を競い合う競争レースを実行するとともに、その競争レースでどの競争対象が勝つかを予想する予想ゲームを実行するゲーム装置及びこのゲーム装置に設けられるコンピュータを機能させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のゲーム装置としては、例えば競馬ゲーム装置が広く知られている(例えば特許文献1)。一般に、競馬ゲーム装置では、プレイヤーは、複数の競走馬キャラクタ(競争対象)が互いに順位を競い合う擬似的なレースでどの競走馬キャラクタが勝馬になるかを、実際の競馬と同様の投票法に従って予想する。実際の競馬における投票法は、競馬法という法律により定められており、その種類には、単勝式、複勝式、連勝単式、連勝複式の4種がある。更に、連勝単式の中には、馬番号二連勝単式(馬単)や、馬番号三連勝単式(3連単)などの種類がある。また、連勝複式の中には、枠番号二連勝複式(枠連)、馬番号二連勝複式(馬連)、馬番号三連勝複式(3連複)、拡大馬番号二連勝複式(ワイド)などの種類がある。これらの投票法における払戻金は、いずれの投票法についても、次のように算出される。すなわち、勝馬投票の的中者に対し、当該競走に対する勝馬投票券の売得金(勝馬投票券の発売金額から競馬法第12条の規定により返還すべき金額を控除したもの。)の額を各勝馬投票法に区分した金額について、下記の数式(6)によって算出した金額tから下記の数式(7)によって算出した金額sを控除した残額を、当該勝馬に対する各勝馬投票券に按分した金額を、払戻金として算出する。そして、各投票法におけるオッズhは、この払戻金に基づいて、下記の数式(8)から算出することができる。
(w+d/p)×(1−r)=t ・・・(6)
ただし、wは当該勝馬に対する勝馬投票券の総券面金額(勝馬の投票金額)であり、dは出走した馬であつて勝馬以外のものに対する勝馬投票券の総券面金額(負馬の投票金額)であり、pは勝馬の数であり、rは競馬法第9条(同法第22条において準用する場合を含む。)の規定により、農林水産大臣が定める率である。
(t−w)×0.1 =s ・・・(7)
h=(t−s)/w ・・・(8)
【0003】
競馬ゲーム装置において使用するオッズを、実際の競馬と同様の算出方法により算出する場合、実際の競馬における算出式で使用する勝馬の投票金額w及び負馬の投票金額dを、勝馬にベットしたゲーム価値量及び負馬にベットしたゲーム価値量に置き換えればよい。しかし、競馬ゲーム装置においては、プレイヤーによる投票数が実際の競馬に比べて遙かに少ないため、上記のように置き換えた算出方法によりオッズを計算しても、実際の競馬とはかけ離れたオッズになってしまう。
【0004】
【特許文献1】特開2002−210228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように投票数が少なくても実際の競馬に近いオッズを設定し得る算出方法として、実際の競馬における算出式で使用する勝馬及び負馬の投票金額w,dに代えて、競馬ゲーム装置で行われるレースの着順決定抽選に用いる勝率データに基づいて得られる勝馬及び負馬の勝率を用いる方法が考えられる。
この方法について具体的に説明すると、競馬ゲーム装置においては、レースに出走する各競走馬キャラクタに対応する能力値データ等から、競走馬キャラクタごとに、そのレースで1位になる確率(勝率)を算出する。レースに出走する全競走馬キャラクタの勝率データの総和は1となる。そして、レースの着順を決定する場合、各競走馬キャラクタの勝率データを各競走馬キャラクタの抽選確率データとして用い、まず、そのレースで1位になる競走馬キャラクタを抽選して決定する。次に、下記の数式(9)に基づいて残りの競走馬キャラクタの勝率データを修正し、その修正勝率データX’を残りの競走馬キャラクタの抽選確率データとして用い、そのレースで2位になる競走馬キャラクタを抽選して決定する。以降、順次最下位まで決定する。
X’=X/(1−Y) ・・・(9)
ただし、Xは算出対象となる各競争馬キャラクタの勝率データであり、Yは既に順位が決定した競争馬キャラクタの勝率データの総和である。
【0006】
オッズを算出する際、実際の競馬では、上述したように、競馬法第9条(同法第22条において準用する場合を含む。)の規定により農林水産大臣が定める率rを用いるが、競馬ゲーム機では不要なため省略できる。また、上記数式(7)は、全払戻金の中から、不的中分の投票券の金額の10%を控除するための式であり、これも競馬ゲーム機では省略することができる。したがって、実際の競馬における算出式で使用する勝馬及び負馬の金額w,dに代えて、各競走馬キャラクタの勝率データから算出される勝馬の勝率Wと負馬の勝率D’を用いると、競馬ゲーム装置におけるオッズH’を算出する数式は、下記の数式(10)のようになる。
H’=(W+D’/P)/W ・・・(10)
ただし、Wは勝馬の勝率であり、D’は負馬の勝率であり、Pは勝馬の数である。
【0007】
上記数式(10)からオッズを算出する場合の具体例について説明する。なお、以下の具体例は、レースに出走する競走馬キャラクタの数が8つであり、各競走馬キャラクタの勝率データが下記の表1に示すものであるとする。ただし、下記の表1は、勝率データをパーセント表示したものである。
【表1】

【0008】
単勝オッズについて、馬番号1の単勝オッズを算出する場合、勝馬の勝率Wは5%であり、負馬の勝率D’は、1から勝馬の勝率を引いた値すなわち(1−W)となるので95%である。また、勝馬の数Pは1である。したがって、馬番号1の単勝オッズは20倍となる。他の競走馬キャラクタについての単勝オッズも同様にして算出することができ、馬番号2から順に、10倍、20倍、5倍、6.7倍、20倍、10倍、3.4倍となる。
【0009】
また、馬連オッズについては、馬番号1と馬番号2の馬連オッズを算出する場合、勝馬の勝率Wは、馬番号1が1位で馬番号2が2位になる確率と、馬番号2が1位で馬番号1が2位になる確率との和である。馬番号1が1位で馬番号2が2位になる確率は、5%×(10%/95%)=0.53%であり、馬番号2が1位で馬番号1が2位になる確率は10%×(5%/90%)=0.56%であるので、W=1.08%となる。また、負馬の勝率D’は(1−W)となので98.9%であり、勝馬の数Pは2である。したがって、馬番号1と馬番号2の馬連オッズは46.8倍となる。他の馬連オッズについても同様にして算出することができる。全馬連オッズの表を、下記の表2に示す。
【表2】

【0010】
ところが、本発明者は、上記数式(10)によるオッズ算出方法であっても、3着(規定順位)までに入る1つの馬番号を予想する複勝及び3着(規定順位)までに入る2つの馬番号の組合せを予想するワイドのオッズについては、実際の競馬におけるオッズから離れたものとなってしまうという問題を確認した。具体的に説明すると、実際の競馬では、例えば一番人気の競走馬の複勝でも、おおよそ1.5〜10という程度のオッズ幅をもつ。しかし、上記数式(10)によるオッズ算出方法により算出する場合、上記表1の例において一番人気の馬番号8の複勝でも、1.54〜2.5というオッズ幅にしかならない。
なお、複勝やワイドに限らず、レースで予め決められた2位以下の規定順位までに入る競争対象のうちの一部の競争対象を予想する投票法に係るオッズについても同様である。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、競争対象の勝率データを用いてオッズを算出する場合に、競争レースで予め決められた2位以下の規定順位までに入る競争対象のうちの一部の競争対象を予想する投票法におけるオッズ幅を広げることができるゲーム装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の競争対象が互いに順位を競い合う競争レースを進行するとともに、該競争レースで予め決められた2位以下の規定順位までに入る競争対象のうちの一部の競争対象をプレイヤーが予想する予想ゲームを進行するゲーム進行手段と、上記複数の競争対象ごとに、その競争対象が上記競争レースで1位になる確率を示す勝率データをそれぞれ記憶する勝率データ記憶手段と、上記勝率データ記憶手段に記憶された各競争対象の勝率データに基づいて上記ゲーム進行手段が進行する競争レースで1位になる競争対象を抽選により決定するとともに、残りの競争対象の中から、下記の数式(1)から得られる該残りの競争対象の修正勝率データX’を用いて、少なくとも上記規定順位までの競争対象を抽選により順次決定する順位決定手段と、プレイヤーの操作を受け付ける操作受付手段と、上記操作受付手段が受け付けたプレイヤー操作に応じて、上記一部の競争対象と同数の競争対象を選択し、かつ、その選択した選択競争対象にベットするゲーム価値量を決定するベット決定手段と、上記ベット決定手段が決定したゲーム価値量分のゲーム価値を上記プレイヤーから受け取るゲーム価値受取手段と、上記ベット決定手段が選択し得る全ての選択競争対象の各々について、その選択競争対象と他の競争対象との組合せの全てに係るオッズHを、下記の数式(2)から算出するオッズ算出手段と、上記順位決定手段が決定した上記規定順位までの競争対象の中に上記選択競争対象が含まれている場合、該選択競争対象にベットされたゲーム価値量に、上記オッズ算出手段が算出した該選択競争対象と該規定順位までに入った他の競争対象との組合せに係るオッズHを乗じて得た量のゲーム価値を、上記プレイヤーへ払い出すゲーム価値払出手段とを有するゲーム装置であって、上記オッズ算出手段は、算出対象のオッズHに係る上記他の競争対象の勝率データの変動量に対する下記の数式(3)のD’の変化率よりも、該勝率データの変動量に対する変化率が大きくなる関数式により算出される数値を、下記の数式(2)中のDとして用いることを特徴とするものである。
X’=X/(1−Y) ・・・(1)
ただし、Xは算出対象となる各競争対象の勝率データであり、Yは既に順位が決定した競争対象の勝率データの総和である。
H=(W+D/P)/W ・・・(2)
ただし、Wは算出対象のオッズHに係る選択競争対象が上記規定順位のうちの上位部分に入る確率であり、Pは上記順位決定手段により上記規定順位までの順位が決定したときに上記ゲーム価値払出手段による払出対象となる選択競争対象の数である。
D’=1−Z’ ・・・(3)
ただし、Z’は、算出対象のオッズHに係る競争対象の組合せを構成する競争対象のうち、上記一部の競争対象と同数の競争対象が上記規定順位のうちの上位部分に入る全ての確率の総和である。
【0013】
ここで、本請求項1において用いている語句の説明をする。
「ゲーム価値」とは、ベットを行うプレイヤーからゲーム装置へ受け渡され、かつ、予想ゲームの結果に応じてゲーム装置からプレイヤーへ払い出される、メダル等の有体物あるいは電子データ等の無体物である。
「選択競争対象」とは、プレイヤー操作に応じて選択される競争対象であって、規定順位までに入る1つの競争対象を選択するという予想ゲーム(以下、「具体例1の予想ゲーム」という。)であれば該1つの競争対象を意味し、規定順位までに入る2つの競争対象を選択するという予想ゲーム(以下、「具体例2の予想ゲーム」という。)であれば該2つの競争対象からなる組合せを意味する。
「ベット決定手段が選択し得る全ての選択競争対象」とは、例えば、上記具体例1の予想ゲームの場合には当該競争レースに参加する競争対象の全てとなり、上記具体例2の予想ゲームの場合には当該競争レースに参加する全競争対象中の2つの競争対象からなる組合せの全てとなる。
「その選択競争対象と他の競争対象との組合せの全て」とは、例えば、上記規定順位が3位である場合、上記具体例1の予想ゲームにおいては算出対象であるオッズに係る1つの選択競争対象と当該競争レースに参加する他の競争対象中の2つの競争対象とからなる組合せの全てとなり、上記具体例2の予想ゲームにおいては、算出対象であるオッズに係る2つの選択競争対象と当該競争レースに参加する他の競争対象中の1つの競争対象とからなる組合せの全てとなる。
「規定順位のうちの上位部分」とは、上記一部の競争対象の数に相当する順位以上の順位部分を意味し、例えば、上記具体例1の予想ゲームの場合は1位となり、上記具体例2の予想ゲームの場合は2位となる。
「算出対象のオッズHに係る選択競争対象が上記規定順位のうちの上位部分に入る確率」とは、例えば、上記具体例1の予想ゲームにおいて規定順位が3位である場合、算出対象であるオッズに係る1つの選択競争対象が順位決定手段の抽選によって1位になる確率、すなわち、その競争対象の勝率となる。また、例えば、上記具体例2の予想ゲームにおいて規定順位が3位である場合、算出対象であるオッズに係る2つの選択競争対象が順位決定手段の抽選によって1位、2位になる確率と2位、1位になる確率との和となる。
したがって、オッズ算出手段が算出するオッズの数は、例えば、当該競争レースに参加する競争対象の数が8つであって、上記具体例1の予想ゲームにおいて規定順位が3位である場合には56個である。なお、この場合、ある選択競争対象に係るオッズの幅の最低値は、その選択競争対象と他の競争対象のうち勝率データが最も高い2つの競争対象との組合せに係るオッズの値となる。一方、そのオッズ幅の最高値は、その選択競争対象と他の競争対象のうち勝率データが最も低い2つの競争対象との組合せに係るオッズの値となる。また、例えば、当該競争レースに参加する競争対象の数が8つであって、上記具体例2の予想ゲームにおいて規定順位が3位である場合、オッズ算出手段が算出するオッズの数は168個である。そして、この場合、ある選択競争対象に係るオッズの幅の最低値は、その選択競争対象と他の競争対象のうち勝率データが最も高い1つの競争対象との組合せに係るオッズの値となり、そのオッズ幅の最高値は、その選択競争対象と他の競争対象のうち勝率データが最も低い1つの競争対象との組合せに係るオッズの値となる。
「上記順位決定手段により上記規定順位までの順位が決定したときに上記ゲーム価値払出手段による払出対象となる選択競争対象の数」であるPは、実際の競馬における勝馬の数と同様の意味であり、上記規定順位が3位である場合、上記具体例1の予想ゲームでは選択競争対象が1位、2位及び3位のいずれであっても上記ゲーム価値払出手段による払出対象となるのでP=3となり、上記具体例1の予想ゲームでは選択競争対象が1位と2位の組合せ、1位と3位の組合せ及び2位と3位の組合せのいずれであっても上記ゲーム価値払出手段による払出対象となるのでP=3となる。
「算出対象のオッズHに係る競争対象の組合せ」とは、例えば、各競争対象に番号を付けたとき、上記具体例1の予想ゲームでは、1番の競争対象が選択競争対象であるオッズのうち他の競争対象が2番と3番の競争対象であるオッズを算出する場合には、1番、2番及び3番の競争対象の組合せとなる。同様に、上記具体例2の予想ゲームでは、1番と2番の競争対象が選択競争対象であるオッズのうち他の競争対象が3番の競争対象であるオッズを算出する場合には、1番、2番及び3番の競争対象の組合せとなる。
「算出対象のオッズHに係る競争対象の組合せを構成する競争対象のうち、上記一部の競争対象と同数の競争対象が上記規定順位のうちの上位部分に入る各確率」とは、例えば、各競争対象に番号を付けたとき、上記具体例1の予想ゲームでは、1番の競争対象が選択競争対象であるオッズのうち他の競争対象が2番と3番の競争対象であるオッズを算出する場合には、1番、2番及び3番の競争対象のそれぞれが1位になる確率、すなわち、1番、2番及び3番の競争対象の各々の勝率である。同様に、上記具体例2の予想ゲームでは、1番と2番の競争対象が選択競争対象であるオッズのうち他の競争対象が3番の競争対象であるオッズを算出する場合には、1番と2番がともに2位までに入る確率、1番と3番がともに2位までに入る確率、及び、2番と3番がともに2位までに入る確率である。
「算出対象のオッズHに係る上記他の競争対象の勝率データの変動量」とは、例えば、各競争対象に番号を付けたとき、上記具体例1の予想ゲームでは、1番の競争対象が選択競争対象であるオッズのうち他の競争対象が2番と3番の競争対象であるオッズを算出する場合には、2番及び3番の競争対象の勝率データの変動量である。同様に、上記具体例2の予想ゲームでは、1番と2番の競争対象が選択競争対象であるオッズのうち他の競争対象が3番の競争対象であるオッズを算出する場合には、3番の競争対象の勝率データの変動量である。上述した各変動量は、いずれも0よりも大きく1よりも小さい値をとることになる。
【0014】
本請求項1のゲーム装置においては、競争レースで予め決められた2位以下の規定順位までに入る競争対象のうちの一部の競争対象をプレイヤーが予想して選択し、当該競争レースでその選択競争対象が規定順位までに入ったら、プレイヤーは、その選択競争対象と規定順位までに入った他の競争対象との組合せに係るオッズに応じた量のゲーム価値の払い出しを受けることができる。
そして、本ゲーム装置においては、上記数式(2)によりオッズを算出する。ある選択競争対象に係るオッズを算出する場合、上記規定順位までに入る他の競争対象の勝率データが小さいほど高くなり、上記規定順位までに入る他の競争対象の勝率データが大きいほど低くなる。これは、負馬(負け競争対象)の勝率D’として、上記数式(3)から算出されるD’を用いている上記数式(10)によるオッズ算出方法でも同様である。しかし、このオッズ算出方法では、上記他の競争対象の勝率データの変化が上記オッズの変化に与える影響が小さいため、当該選択競争対象のオッズ幅が狭かった。
本ゲーム装置では、上記数式(2)における負け競争対象の勝率D’に代えて、算出対象のオッズHに係る選択競争対象以外の他の競争対象の勝率データの変動量に対する上記数式(3)のD’の変化率よりも、その勝率データの変動量に対する変化率が大きくなる関数式により算出される数値Dを用いる。よって、上記他の競争対象の勝率データの変化が上記オッズの変化に与える影響が大きくなり、当該選択競争対象のオッズ幅を広げることができる。
【0015】
また、請求項2の発明は、請求項1のゲーム装置において、上記規定順位は3位以下であり、上記一部の競争対象の数は2つ以上であることを特徴とするものである。
このゲーム装置においては、上記具体例2の場合のような実際の競馬等におけるワイド等の投票法に対応する本ゲーム装置の投票法について、そのオッズ幅を広げることができる。
【0016】
また、請求項3の発明は、請求項2のゲーム装置において、上記関数式は、下記の数式(4)であることを特徴とするものである。
D=1−Z ・・・(4)
ただし、Zは、算出対象のオッズHに係る競争対象の組合せを構成する競争対象のうち、算出対象のオッズHに係る選択競争対象が上記規定順位のうちの上位部分に入る確率と、算出対象のオッズHに係る他の競争対象の勝率データとの和である。
このゲーム装置においては、上記具体例2の場合のような実際の競馬等におけるワイド等の投票法に対応する本ゲーム装置の投票法について、そのオッズ幅を簡単な計算式により広げることができる。
【0017】
また、請求項4の発明は、請求項1、2又は3のゲーム装置において、上記オッズ算出手段は、上記数式(2)に代えて、下記の数式(5)を用いてオッズを算出することを特徴とするものである。
H=PO×(W+D/P)/W ・・・(5)
ただし、POは設定ペイアウト率である。
このゲーム装置においては、本ゲーム装置でプレイする各プレイヤーから受け取るゲーム価値量の総和に対する、本ゲーム装置でプレイする各プレイヤーへ払い出すゲーム価値量の総和の比率(実質ペイアウト率)を、長期的に上記設定ペイアウト率POへ近づけることが可能となる。
【0018】
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4のゲーム装置に設けられるコンピュータを機能させるためのプログラムであって、上記ゲーム進行手段、上記順位決定手段、上記ベット決定手段、上記ゲーム価値受取手段、上記オッズ算出手段及び上記ゲーム価値払出手段として、上記コンピュータを機能させることを特徴とするものである。
このプログラムは、請求項1、2、3又は4のゲーム装置に設けられるコンピュータにより実行されることにより、そのコンピュータを上述した請求項1、2、3又は4のゲーム装置の上記ゲーム進行手段、上記順位決定手段、上記ベット決定手段、上記ゲーム価値受取手段、上記オッズ算出手段及び上記ゲーム価値払出手段として機能させることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上、請求項1乃至5の発明によれば、競争対象の勝率データを用いてオッズを算出する場合に、競争レースで予め決められた2位以下の規定順位までに入る競争対象のうちの一部の競争対象を予想する投票法におけるオッズ幅を広げることができるという優れた効果がある。
特に、請求項2の発明によれば、実際の競馬におけるワイドのような投票法のオッズ幅を広げることができるという優れた効果が奏される。
また、請求項3の発明によれば、簡単な計算式によりオッズ幅を広げることができるという優れた効果が奏される。
また、請求項4の発明によれば、実質ペイアウト率を、長期的に設定ペイアウト率POへ近づけることが可能となるという優れた効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を、複数の競争馬キャラクタ(競争対象)が互いに順位を競い合う競馬レース(競争レース)で、プレイヤーが勝馬を予想する競馬ゲームを実行する業務用のゲーム装置(以下、「アーケードゲーム機」という。)に適用した一実施形態について説明する。
【0021】
図2は、本実施形態に係るアーケードゲーム機1の一例を示す外観図である。
このアーケードゲーム機1は、中央部分に設けられたフィールド2と、このフィールド2を取り囲むように設けられた複数のステーション10とを備えている。フィールド2には、出馬ゲート3を備える競馬場の馬場4が設けられ、この馬場4内で複数の図示しない模型馬が走行することで競馬レースが展開される。また、このフィールド2の周囲には、レースの実況や歓声等を流す複数のスピーカー5が配置されている。また、フィールド2の上方には、ゲーム名称等を表示するための表示部6やフィールド2を照明する照明装置7が配置されている。これら表示部6及び照明装置7は、支持柱8により支持されている。
【0022】
上記ステーション10には、ゲームの進行に応じたゲーム画面を表示するディスプレイ11と、このディスプレイ11の表示面に重ね合わされたタッチパネル12とが設けられている。プレイヤーがゲーム画面の指示に従いディスプレイ11に表示されたゲーム画面の所定位置に触ると、タッチパネル12によりその位置が検出され、アーケードゲーム機1においてプレイヤーの操作内容が認識される。また、ステーション10には、プレイヤーによりゲーム価値であるメダルが投入されるメダル投入部13、プレイヤーに対してメダルが払い出されるメダル払出口14および磁気カードを挿入するための磁気カード差込口15が設けられている。
【0023】
上記アーケードゲーム機1において、プレイヤーは、競争馬キャラクタの馬主としてゲームに参加することができる。具体的には、プレイヤーは、複数用意された競争馬キャラクタの中から好きな競争馬キャラクタを選択し、その競争馬キャラクタを所定枚数のメダルを支払って取得することができる。取得した競争馬キャラクタの名前は、予めアーケードゲーム機本体内に記録された中から選択した名前と、プレイヤーの入力したプレイヤー名(例えばプレイヤーの氏名)とを組み合わせることにより作成するようにしてもよい。そして、プレイヤーは、取得した競争馬キャラクタの能力を高めるべく調教を行い、その競争馬キャラクタを育成することができる。また、育成した競走馬キャラクタを自分の希望するレースに出走させることができる。尚、上記アーケードゲーム機1では、プレイヤーが馬主としてゲームに参加する場合のゲームの継続性を確保するため、プレイヤーに配布される磁気カードを用いることで、別の日にゲームの続きを再開することができる。
【0024】
図3は、上記アーケードゲーム機1の動作を統合的に制御するためのメイン制御部のハードウェア構成を示す制御ブロック図である。
図4は、上記ステーション10ごとに設けられたステーション制御部のハードウェア構成を示す制御ブロック図である。
フィールド2側に配置されるメイン制御部100は、図3に示すように、メイン制御装置101と、フィールド2における模型馬の走行等を制御するためのフィールド制御装置102と、上記照明装置7を制御する照明制御装置103と、上記スピーカー5で流す歓声や実況等の音を制御する音響制御装置104と、プレイヤーごとの各種データを記録するためのSRAM105およびフラッシュメモリ106と、ゲームに必要なプログラムおよび各種データベースが格納されたROM107とを備える。上記メイン制御装置101は、フィールド制御装置102、照明制御装置103、音響制御装置104、SRAM105、フラッシュメモり106およびROM107に、それぞれ接続されている。ROM107には、馬主としてプレイするプレイヤーにより選択される予め多種類用意された馬名データとその音声データ、各馬に関する各種データ、レースの日程等のデータベースが格納されている。
【0025】
各ステーション10に設けられているステーション制御部200は、図4に示すように、ステーション制御装置201と、メダルの払い出し等を管理するメダル管理装置202と、プレイヤーの各種データを一時的に記録するRAM203と、磁気カード差込口15に差し込まれた磁気カードの磁気情報を読み取る磁気情報読取装置204と、磁気カードにIDコード等の各種情報を書き込むための磁気情報書込装置205とを備える。上記ステーション制御装置201は、メダル管理装置202、RAM203、磁気情報読取装置204及び磁気情報書込装置205に、それぞれ接続されている。また、このステーション制御装置201は、ステーション10に設けられた、図2に示すディスプレイ11及びタッチパネル12、メダル投入部13を介して投入されたメダルを検出する図示しないメダル投入センサ、磁気カード差込口15に差し込まれた磁気カードを駆動するための図示しない磁気カード駆動装置等にも、それぞれ接続されている。
また、各ステーション10側のステーション制御装置201は、図3及び図4に示すように、フィールド2側のメイン制御装置101に接続されており、これらの間で必要な通信が可能となっている。
【0026】
図5(a)は、プレイヤーごとに記録、管理されるプレイヤーデータのデータ構造の一例を示す説明図である。このプレイヤーデータは、プレイヤーごとに割当てられるIDコード、そのプレイヤーに関する個人情報、そのプレイヤーの持ち馬に関する持ち馬情報、そのプレイヤーが最後にゲームを行った日を特定するための最終プレイ日情報、データの更新を記録する書換情報、磁気カードの改窒防止等を目的とするチェックコード等が含まれている。また、このプレイヤーデータには、そのプレイヤーのゲーム履歴情報のほか、ゲーム進行に関係のない画面レイアウト等の情報も含まれている。上記IDコードは、1人のプレイヤーに対して1つだけ割当てられる番号であり、他のプレイヤーデータとIDが重複しないように設定される。尚、上記個人情報、上記持ち馬情報及び上記最終プレイ日情報は、中断されたゲームの継続性を確保するためのゲーム履歴情報として用いられる。このプレイヤーデータは、図3に示したSRAM105又はフラッシュメモリ106に保存される。
【0027】
上記個人情報には、プレイヤー名、総プレイ回数などのプレイヤー個人に関する情報が含まれている。この個人情報は、プレイヤー名を持ち馬の冠名として用いるようにゲーム内容に反映されるデータとして使用されたり、顧客管理データとして利用されたりする。
上記持ち馬情報には、持ち馬ごとに、持ち馬の名前を特定するための馬名コード、成長の仕方の特徴を示す成長力ーブを特定される馬タイプ情報、性別、年齢、出走回数、スピード、スタミナ、コンディション、獲得賞金累積額、過去のレースごとの戦績(例えば1着、2着、3着あるいは着外)等が含まれている。馬名コードは、上記ROM107に格納された馬名データのデータベース内の各馬名データと関連付けられており、この馬名コードに基づき、馬名データを読み出してゲームに使用する。
【0028】
図5(b)は、プレイヤーがプレイを中断するときに、上記磁気カードに書き込まれる書込データのデータ構造の一例を示す説明図である。この書込データには、上記プレイヤーデータの中の一部が記録される。具体的には、上記IDコード及び上記チェックコードと、ゲーム進行に関係のない画面レイアウト等の情報が記録される。
【0029】
馬主としてプレイするプレイヤーは、ゲームを再開しようとする場合、任意のステーション10で上記磁気カードを挿入する。これにより、その磁気カードに記録されたチェックコードを読み込んで、これに書き込まれている情報が正常なものであるか否かを判断した後、その磁気カードに記録されたIDコードを読み込む。そして、このIDコードに対応するプレイヤーデータを、図3に示すSRAM105又はフラッシュメモリ106から読み出す。読み出されたプレイヤーデータは、上記ステーション10における図4に示したRAM203に読み込まれ、所定の処理に利用される。これにより、プレイヤーは、磁気カードを用いることで、何時でもゲームの続きを再開することができ、自分が育成した競走馬キャラクタを継続的に使用してゲームを楽しむことができる。
【0030】
また、上記アーケードゲーム機1においては、所定のサイクルに従って実際の中央競馬と同一名称のレースが順次開催される。1年分のレースとして約60のレースが用意されており、レースごとに、メダルをベットのための時間すなわちゲーム上における投票券(馬券)を購入するための時間、模型馬によりレースが行われる時間、レース結果を表示するための時間が確保される。プレイヤーは、レースごとに勝ち馬を予想し、自由に馬券を購入することができる。この馬券の購入は、メダルをベットすることにより行い、購入した馬券がレースの結果と一致していれば、メダルのベット数とオッズに応じた枚数のメダルが配当として払い出される。上記アーケードゲーム機1では、投票法の種類として、単勝、馬連、馬単、ワイドの4種類が用意されており、プレイヤーは、いずれかの投票法を用いて、勝ち馬となる競争馬キャラクタを予想し、その競争馬キャラクタにベットする。
【0031】
以下、本発明の特徴部分である、各レースで3位(規定順位)までに入る競争馬キャラクタのうちの2つの競争馬キャラクタをプレイヤーが予想するいわゆるワイドのオッズ算出について説明する。なお、以下の説明では、レースに出走する競走馬キャラクタの数が8つである場合を例に挙げるが、その数は8つに限られない。
図1は、本実施形態におけるアーケードゲーム機1の主要部の構成を示す機能ブロック図である。
本実施形態に係るアーケードゲーム機1は、ゲーム進行手段、勝率データ記憶手段、順位決定手段、操作受付手段、ベット決定手段、ゲーム価値受取手段、オッズ算出手段及びゲーム価値払出手段を有している。
【0032】
上記ゲーム進行手段は、出走する8つの競争馬キャラクタが互いに順位を競い合う上述した各レースを進行し、また、各レースで3位までに入る競争馬キャラクタのうちの2つの競争馬キャラクタをプレイヤーが予想する予想ゲームを進行するものである。このゲーム進行手段は、主に、上記メイン制御部により構成される。
【0033】
上記勝率データ記憶手段は、出走する8つの競争馬キャラクタごとに、その競争馬キャラクタが各レースで1位になる確率を示す勝率データをそれぞれ記憶している。各競走馬キャラクタの勝率データは、レースに出走する他の競走馬キャラクタの能力値等のパラメータによって変動するものであり、同じ競争馬キャラクタであってもレースごとに勝率データは異なってくる。この勝率データ記憶手段は、主に、上記メイン制御部のSRAM105又はフラッシュメモリ106により構成される。勝率データに影響するパラメータとしては、その競争馬キャラクタのスピード、スタミナ、コンディション、年齢のほか、馬場の状態、騎手、天候など、様々なものを用いることができ、どのようなパラメータを用いるかは適宜設定される。本実施形態では、上記ゲーム進行手段が上記予想レースの進行を開始する前に、メイン制御装置101が当該レースに出走する8つの競走馬キャラクタが決定し、各競走馬キャラクタについて各種パラメータを考慮して勝率データを算出する。そして、算出した勝率データを、各競走馬キャラクタの勝率データとして、SRAM105又はフラッシュメモリ106に保存する。
なお、以下の説明では、各競走馬キャラクタの勝率データは上記表1に示すものであるとする。
【0034】
上記順位決定手段は、上記勝率データ記憶手段に記憶された各競走馬キャラクタの勝率データに基づいて上記ゲーム進行手段が進行するレースで1位になる競走馬キャラクタを抽選により決定するとともに、残りの競走馬キャラクタの中から、下記の数式(1)から得られる該残りの競走馬キャラクタの修正勝率データX’を用いて、最下位までの競走馬キャラクタを抽選により順次決定する。
X’=X/(1−Y) ・・・(1)
ただし、Xは算出対象となる各競走馬キャラクタの勝率データであり、Yは既に順位が決定した競走馬キャラクタの勝率データの総和である。
具体的には、まず、各競走馬キャラクタの勝率データを各競走馬キャラクタの抽選確率データとした抽選テーブルを生成する。この抽選テーブルは、メイン制御装置101で生成可能な全乱数を、各競走馬キャラクタの勝率データの比率に従って按分し、各競走馬キャラクタに対応付けたものである。そして、メイン制御装置101は、1位になる競走馬キャラクタを決定すべく1つの乱数を生成し、その生成した乱数と上記抽選テーブルとを比較し、当該乱数に対応した競走馬キャラクタを特定する。これにより、上記ゲーム進行手段は、この競走馬キャラクタが1位になるようにレースを進行することになる。
次に、メイン制御装置101は、1位に決定された競走馬キャラクタの勝率データと、残りの競走馬キャラクタの各勝率データの各々とを上記数式(1)に代入し、当該残りの競走馬キャラクタの修正勝率データX1’〜X7’をそれぞれ算出する。仮に1位に決定された競走馬キャラクタが馬番号1であった場合、残りの馬番号2〜8の競走馬キャラクタの修正勝率データX1’〜X7’は、およそ、10.5%、5.3%、21.1%、15.8%、5.3%、10.5%、31.6%となる。そして、算出された各修正勝率データX1’〜X7’をそれらの競走馬キャラクタの抽選確率データとした新たな抽選テーブルを生成する。その後、メイン制御装置101は、2位になる競走馬キャラクタを決定すべく1つの乱数を生成し、その生成した乱数と上記新たな抽選テーブルとを比較し、当該乱数に対応した競走馬キャラクタを特定する。これにより、上記ゲーム進行手段は、この競走馬キャラクタが2位になるようにレースを進行することになる。
以下、同様にして、最終順位までの競走馬キャラクタを決定する。
【0035】
上記操作受付手段は、プレイヤーのベット操作を受け付けるためのものであり、主に、上記タッチパネル12、ステーション制御装置201及びメイン制御装置101により構成される。プレイヤーがベット操作するに当たり、ステーション10のディスプレイ11には、後述するオッズ算出手段が算出したオッズのオッズ表や、プレイヤーがベットする2つの競走馬キャラクタを選択してそのベット対象にベットするメダル枚数を入力するための操作ボタン画像等が表示される。プレイヤーは、そのディスプレイ11の表示内容に従ってタッチパネル12を操作し、ベット操作を行う。
【0036】
上記ベット決定手段は、上記操作受付手段が受け付けたプレイヤー操作(ベット操作)に応じて、2つの競走馬キャラクタを選択し、かつ、その選択した2つの競走馬キャラクタ(選択競走対象)にベットするメダル枚数(ゲーム価値量)を決定する。このベット決定手段は、主に、ステーション制御装置201及びメイン制御装置101から構成される。具体的には、プレイヤーが行ったベット操作の内容を示す操作データは、ステーション10のタッチパネル12からステーション制御装置201を介してメイン制御装置101に送られる。メイン制御装置101は、その操作データに基づいて、2つの競走馬キャラクタを選択し、かつ、その選択した2つの競走馬キャラクタに対してベットするメダル枚数を決定する。このようなプレイヤーのベット内容は、プレイヤーごとにSRAM105およびフラッシュメモリ106に記憶される。
【0037】
上記ゲーム価値受取手段は、上記ベット決定手段が決定したメダル枚数分のメダルを、そのベット操作を行ったプレイヤーから受け取るためのものである。具体的には、プレイヤーは、ステーション10のメダル投入部13に投入されたメダルは、その枚数がカウントされて、メダルデータとして上記メダル管理装置202により管理される。このメダル管理装置202は、プレイヤーとアーケードゲーム機1との間でやりとりされるメダルを管理するものである。プレイヤーからメダルを受け取る場合、メダル管理装置202がその受け取るメダル枚数分だけ、そのプレイヤーのメダルデータのカウント値を減少させる処理を行う。したがって、本実施形態において、上記ゲーム価値受取手段は、主に、ステーション制御装置201、メダル管理装置202により構成される。
【0038】
上記ゲーム価値払出手段は、上記順位決定手段が決定した3位までの競走馬キャラクタの中にプレイヤーが選択した2つの競走馬キャラクタが含まれている場合、これに対してベットされたメダル枚数に、後述するオッズ算出手段が算出した当該2つの競走馬キャラクタと3位までに入った他の競走馬キャラクタとの組合せに係るオッズを乗じて得た枚数のメダルを、そのプレイヤーへ払い出す。具体的には、メダル管理装置202が、その払い出すメダル枚数分だけ、そのプレイヤーのメダルデータのカウント値を増加させる処理を行う。したがって、本実施形態において、上記ゲーム価値払出手段は、主に、ステーション制御装置201、メダル管理装置202により構成される。なお、ここではワイドに係る投票法でベットしているので、例えば、仮に、1位が馬番号1であり2位が馬番号4であり3位が馬番号2であると上記順位決定手段が決定したとした場合、馬番号で1−2、1−4、2−4を選択したプレイヤーに、そのオッズに応じた枚数のメダルが払い出される。
【0039】
上記オッズ算出手段は、上記ベット決定手段が選択し得る2つの競走馬キャラクタからなる選択対象群(選択競争対象)の各々について、その選択対象群と他の競走馬キャラクタとの組合せの全てに係るオッズHを、下記の数式(2)から算出する。ただし、本実施形態では、算出対象のオッズHに係る上記他の競走馬キャラクタの勝率データの変動量に対する下記の数式(3)のD’の変化率よりも、その勝率データの変動量に対する変化率が大きくなる関数式により算出される数値を、下記の数式(2)中のDとして用いる。具体的には、この関係式として、下記の数式(4)を用いる。
H=(W+D/P)/W ・・・(2)
D’=1−Z’ ・・・(3)
D=1−Z ・・・(4)
【0040】
ここで、上記Wは、算出対象のオッズHに係る選択対象群の2つの競走馬キャラクタが2位までに入る確率であり、以下、勝馬の勝率という。この勝馬の勝率は、例えば馬番号で1−2に係るワイドオッズHを算出する場合、その馬番号1と馬番号2の競走馬キャラクタ(勝馬)が上記順位決定手段により1位と2位及び2位と1位に決定される確率を意味する。したがって、馬番号で1−2に係るワイドオッズHを算出する場合における勝馬の勝率Wは、上記表2に示した1−2の馬連勝率(1.08%)となる。
また、上記Pは、上記ゲーム価値払出手段による払出対象となる組合せの数であり、以下、勝馬の数という。ここでは、ワイドのオッズを算出するので、勝馬の数Pは、上述したように常に3である。
以上より、馬番号で1−2に係るワイドオッズH1-2-Qを算出する場合、3位までに入る他の競走馬キャラクタの馬番号をQとすると、上記数式(2)は、下記の数式(2’)に書き換えることができる。ただし、D1-2-Qは、3位までに入る他の競走馬キャラクタの馬番号がQであるときに、下記の数式(4)から算出される値である。
【0041】
1-2-Q=(1.08%+D1-2-Q/3)/1.08% ・・・(2’)
【0042】
また、上記Z’は、算出対象のオッズHに係る競走馬キャラクタの組合せを構成する競走馬キャラクタのうち、2つの競走馬キャラクタが2位までに入る全ての確率の総和である。例えば、仮に、馬番号で1−2に係るワイドオッズのうち、3位までに入る他の競走馬キャラクタが馬番号4である場合のワイドオッズH1-2-4が算出対象である場合、そのオッズH1-2-4に係る競走馬キャラクタの組合せは1−2−4であり、この組合せを構成する競走馬キャラクタは馬番号1、馬番号2及び馬番号4となる。そして、これらの競走馬キャラクタのうちの2つの競走馬キャラクタが2位までに入る全ての確率は、1−2の馬連勝率(1.08%)と、1−4の馬連勝率(2.30%)、2−4の馬連勝率(4.72%)であるので、その総和は6.10%であり、これがZ’となる。
このZ’を用いて上記数式(3)により得られるD’は負け馬の勝率であり、ワイドオッズH1-2-4が算出対象である上記の場合には、D’=93.9%となる。
以上より、馬番号で1−2に係るワイドオッズH1-2-Qを算出する場合、3位までに入る他の競走馬キャラクタの馬番号をQとすると、上記数式(3)は、下記の数式(3’)に書き換えることができる。ただし、Wm-nは、馬番号mと馬番号nの馬連勝率である。
1-2-Q’=1−(W1-2+W1-Q+W2-Q) ・・・(3')
【0043】
上記数式(3)により得られる負馬の勝率D’を、上記数式(2)のDに代入してワイドオッズHを算出すると、上述したように、ワイドオッズHのオッズ幅が狭くなってしまう。そこで、本実施形態では、上記数式(2)のDとして、上記数式(4)から得られる値Dを用いる。
この値Dを算出するために用いるZは、算出対象のオッズHに係る競走馬キャラクタの組合せを構成する競走馬キャラクタのうち、算出対象のオッズHに係る選択対象群の2つの競走馬キャラクタが2位までに入る確率と、他の競走馬キャラクタの勝率データとの和である。すなわち、馬番号で1−2に係るワイドオッズのうち、3位までに入る他の競走馬キャラクタが馬番号4である場合のワイドオッズH1-2-4が算出対象である場合、選択対象群の2つの競走馬キャラクタである馬番号1と馬番号2の競走馬キャラクタが2位までに入る確率は、1.08%であり、他の競争対象である馬番号4の競走馬キャラクタの勝率が20%であるので、Z=21.08%となる。
以上より、馬番号で1−2に係るワイドオッズH1-2-Qを算出する場合、3位までに入る他の競走馬キャラクタの馬番号をQとすると、上記数式(4)は、下記の数式(4’)に書き換えることができる。ただし、WQは、馬番号Qの競走馬キャラクタの勝率データである。
1-2-Q=1−(W1-2+WQ) ・・・(4')
【0044】
次に、上記数式(2)のDとして、上記数式(3)のD’を用いた場合と、本実施形態に係る上記数式(4)のDを用いた場合とを比較する。
前者において、馬番号で1−2に係るワイドオッズH1-2-Qを算出する場合、そのオッズ幅の最高値は、他の競走馬キャラクタの馬番号Qが、馬番号1と馬番号2以外の競走馬キャラクタのうち勝率データが最も低い競走馬キャラクタである場合、すなわち、馬番号Qが馬番号3又は馬番号6の場合である。この場合のワイドオッズH1-2-3又はH1-2-6は、上記数式(3)と上記数式(2)とから、31.0となる。一方、最低値は、他の競走馬キャラクタの馬番号Qが、馬番号1と馬番号2以外の競走馬キャラクタのうち勝率データが最も高い競走馬キャラクタである場合、すなわち、馬番号Qが馬番号8の場合である。この場合のワイドオッズH1-2-8は、上記数式(3)と上記数式(2)とから、28.7となる。したがって、馬番号で1−2に係るワイドオッズH1-2-Qの幅は、28.7〜31.0となる。
これに対し、後者において、馬番号で1−2に係るワイドオッズH1-2-Qを算出する場合、そのオッズ幅の最高値となるワイドオッズH1-2-3又はH1-2-6は、上記数式(4)と上記数式(2)とから、18.0となる。一方、最低値となるワイドオッズH1-2-8は、上記数式(4)と上記数式(2)とから、13.6となる。したがって、馬番号で1−2に係るワイドオッズH1-2-Qの幅は、13.6〜18.0となる。
【0045】
このように、上記数式(2)のDとして、上記数式(4)から得られるDを用いた場合、上記数式(3)から得られるD’を用いた場合に比べて、ワイドオッズHの幅が広がる。この結果は、上記1−2に係るワイドオッズH1-2-Qに限らず、どのワイドオッズについても同様である。
【0046】
以上、本実施形態のように上記数式(2)のDとして上記数式(4)から得られるDを用いれば、上記数式(3)から得られるD’を用いる場合に比べて、他の競走馬キャラクタ(馬番号Q)の勝率データによる影響が大きくなる。その結果、ワイドオッズのオッズ幅を広げることができ、実際の競馬におけるワイドオッズに近いオッズ幅を設定できる。
【0047】
なお、本実施形態では、上記数式(2)のDとして、上記数式(4)から得られるDを用いる場合について説明したが、算出対象のオッズHに係る他の競走馬キャラクタ(馬番号Q)の勝率データの変動量に対する上記数式(3)のD’の変化率よりも、その勝率データの変動量に対する変化率が大きくなる関数式により算出される数値であればよい。例えば、上記数式(2’)のD1-2-Qとして、下記の数式(11’)から得られるD1-2-Q"を用いても、同様に、上記数式(3’)から得られるD1-2-Q’を用いる場合に比べて他の競走馬キャラクタ(馬番号Q)の勝率データによる影響が大きくなり、馬番号で1−2に係るワイドオッズのオッズ幅を広げることができる。この結果は、どのワイドオッズについても同様である。
1-2-Q’=1−{W1-2+E×(W1-Q+W2-Q)} ・・・(11’)
ただし、Eは1より大きい数である。
【0048】
また、本実施形態のアーケードゲーム機1は、ゲームセンタに設置されるメダルゲーム機であり、メダル払出枚数に対するメダル受取枚数の比率(実質ペイアウト率)を所望のペイアウト率(例えば90%程度)にコントロールできることが望ましい。例えば、上記数式(2)に代えて下記の数式(5)を用いれば、実質ペイアウト率を、長期的にみて設定ペイアウト率POへ近づけることが可能となり、ペイアウト率のコントロールが可能となる。
H=PO×(W+D/P)/W ・・・(5)
【0049】
また、本実施形態では、本発明をアーケードゲーム機1に適用した場合について説明したが、本発明は、家庭用ゲーム機などの他のゲーム装置に対しても適用することが可能である。例えば、家庭用ゲーム機に適用する場合、当該家庭用ゲーム機のコンピュータを、上記ゲーム進行手段、上記順位決定手段、上記ベット決定手段、上記ゲーム価値受取手段、上記オッズ算出手段及び上記ゲーム価値払出手段として機能させるプログラムを、通信ネットワークを介して配信したり、記録媒体に記録して配布したりするなどして、プレイヤーに提供することができる。なお、この場合、ゲーム価値は、当該ゲームにおいてベットに使用する仮想の通貨に係る電子データとなる。
【0050】
また、本実施形態では、ワイドによる勝馬予想を例に挙げたが、複数の競走馬キャラクタが互いに順位を競い合うレースで予め決められた2位以下の規定順位までに入る競走馬キャラクタのうちの一部の競走馬キャラクタを予想するものであればよく、例えば実際の競馬における複勝であってもよいし、実際の競馬にはないゲーム独自の投票法であってもよい。
また、本実施形態では、競馬レースの勝馬を予想する予想ゲームを例に挙げたが、他の競争レースについても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施形態に係るアーケードゲーム機の主要部の構成を示す機能ブロック図。
【図2】同アーケードゲーム機を示す外観図。
【図3】同アーケードゲーム機のメイン制御部のハードウェア構成を示す制御ブロック図。
【図4】同アーケードゲーム機のステーション制御部のハードウェア構成を示す制御ブロック図。
【図5】(a)はプレイヤーデータのデータ構造を示す説明図。(b)は磁気カードに書き込まれる書込データのデータ構造を示す説明図。
【符号の説明】
【0052】
1 アーケードゲーム機
10 ステーション
11 ディスプレイ
12 タッチパネル
13 メダル投入部
14 メダル払出口
15 磁気カード差込口
100 メイン制御部
101 メイン制御装置
105 SRAM
106 フラッシュメモリ
107 ROM
200 ステーション制御部
201 ステーション制御装置
202 メダル管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の競争対象が互いに順位を競い合う競争レースを進行するとともに、該競争レースで予め決められた2位以下の規定順位までに入る競争対象のうちの一部の競争対象をプレイヤーが予想する予想ゲームを進行するゲーム進行手段と、
上記複数の競争対象ごとに、その競争対象が上記競争レースで1位になる確率を示す勝率データをそれぞれ記憶する勝率データ記憶手段と、
上記勝率データ記憶手段に記憶された各競争対象の勝率データに基づいて上記ゲーム進行手段が進行する競争レースで1位になる競争対象を抽選により決定するとともに、残りの競争対象の中から、下記の数式(1)から得られる該残りの競争対象の修正勝率データX’を用いて、少なくとも上記規定順位までの競争対象を抽選により順次決定する順位決定手段と、
プレイヤーの操作を受け付ける操作受付手段と、
上記操作受付手段が受け付けたプレイヤー操作に応じて、上記一部の競争対象と同数の競争対象を選択し、かつ、その選択した選択競争対象にベットするゲーム価値量を決定するベット決定手段と、
上記ベット決定手段が決定したゲーム価値量分のゲーム価値を上記プレイヤーから受け取るゲーム価値受取手段と、
上記ベット決定手段が選択し得る全ての選択競争対象の各々について、その選択競争対象と他の競争対象との組合せの全てに係るオッズHを、下記の数式(2)から算出するオッズ算出手段と、
上記順位決定手段が決定した上記規定順位までの競争対象の中に上記選択競争対象が含まれている場合、該選択競争対象にベットされたゲーム価値量に、上記オッズ算出手段が算出した該選択競争対象と該規定順位までに入った他の競争対象との組合せに係るオッズHを乗じて得た量のゲーム価値を、上記プレイヤーへ払い出すゲーム価値払出手段とを有するゲーム装置であって、
上記オッズ算出手段は、算出対象のオッズHに係る上記他の競争対象の勝率データの変動量に対する下記の数式(3)のD’の変化率よりも、該勝率データの変動量に対する変化率が大きくなる関数式により算出される数値を、下記の数式(2)中のDとして用いることを特徴とするゲーム装置。
X’=X/(1−Y) ・・・(1)
ただし、Xは算出対象となる各競争対象の勝率データであり、Yは既に順位が決定した競争対象の勝率データの総和である。
H=(W+D/P)/W ・・・(2)
ただし、Wは算出対象のオッズHに係る選択競争対象が上記規定順位のうちの上位部分に入る確率であり、Pは上記順位決定手段により上記規定順位までの順位が決定したときに上記ゲーム価値払出手段による払出対象となる選択競争対象の数である。
D’=1−Z’ ・・・(3)
ただし、Z’は、算出対象のオッズHに係る競争対象の組合せを構成する競争対象のうち、上記一部の競争対象と同数の競争対象が上記規定順位のうちの上位部分に入る全ての確率の総和である。
【請求項2】
請求項1のゲーム装置において、
上記規定順位は3位以下であり、上記一部の競争対象の数は2つ以上であることを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
請求項2のゲーム装置において、
上記関数式は、下記の数式(4)であることを特徴とするゲーム装置。
D=1−Z ・・・(4)
ただし、Zは、算出対象のオッズHに係る競争対象の組合せを構成する競争対象のうち、算出対象のオッズHに係る選択競争対象が上記規定順位のうちの上位部分に入る確率と、算出対象のオッズHに係る他の競争対象の勝率データとの和である。
【請求項4】
請求項1、2又は3のゲーム装置において、
上記オッズ算出手段は、上記数式(2)に代えて、下記の数式(5)を用いてオッズを算出することを特徴とするゲーム装置。
H=PO×(W+D/P)/W ・・・(5)
ただし、POは設定ペイアウト率である。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4のゲーム装置に設けられるコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
上記ゲーム進行手段、上記順位決定手段、上記ベット決定手段、上記ゲーム価値受取手段、上記オッズ算出手段及び上記ゲーム価値払出手段として、上記コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−198156(P2006−198156A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−12845(P2005−12845)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】