説明

コアシステム負荷評価システム

【課題】コアシステムに対して、Cプレーン/Uプレーンを総合的に評価する負荷環境を安価に構築すること。
【解決手段】本発明のコアシステム負荷評価システムは、複数の拠点にそれぞれ配置された複数の評価システムを有する。前記複数の評価システムの各々は、フェムトセル基地局と、前記フェムトセル基地局を介して実通話を行う端末と、前記端末の発信動作および着信動作を制御する端末制御システムと、を含み、前記複数の評価システムのうちの1つは、さらに、前記複数の評価システムの各々の前記フェムトセル基地局とインターネット網を介して接続されるコアシステムと、前記複数の評価システムの各々の前記端末制御システムをインターネット網を介して遠隔操作する端末制御統合システムと、前記複数の評価システムの各々の前記フェムトセル基地局をインターネット網を介して遠隔操作するフェムトセル制御システムと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアシステムに対して、負荷環境を構築して評価を行うコアシステム負荷評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コアシステムに対して、負荷環境を構築して評価を行うコアシステム負荷評価システムの例について、図3を参照して説明する。なお、図3においては、評価対象のコアシステムAがコアノードA1〜A3から構成されている。
【0003】
図3に示すように、関連するコアシステム負荷評価システムにおいては、シミュレータD1〜DN(Nは1以上の自然数)をコアシステムAに接続し、コアシステムAに対し、シミュレータD1〜DNにより負荷環境を構築して評価を実施する。なお、基地局を評価する際に、シミュレータを使用する例については特許文献1に開示されている。
【0004】
また、端末が接続された基地局E1〜EM(Mは1以上の自然数)をコアシステムAに接続し、コアシステムAに対し、実端末により負荷環境を構築して評価を実施する。
【0005】
なお、図3において、(X(Xは1以上の自然数)×M)個の端末E11〜EMXは、基地局E1〜EMのいずれかに接続され、接続された基地局を介して実通話を行う。また、端末制御システムE0は、(X×M)個の端末E11〜EMXに接続され、端末E11〜EMXの発信動作および着信動作を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−48159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図3に示した関連するコアシステム負荷評価システムにおいては、次のような課題がある。
【0008】
第1の課題は、シミュレータにより負荷環境を構築する場合、シミュレータによってはC(Control)プレーンの負荷だけしか掛けられないため、Cプレーン/U(User)プレーンを総合的に評価できないということである。
【0009】
第2の課題は、シミュレータによりCプレーン/Uプレーンの負荷環境を構築する場合、シミュレータの台数が多くなったり、開発コストが高くなったりするため、安価な負荷環境を構築できないということである。
【0010】
第3の課題は、実基地局に接続された実端末により負荷環境を構築する場合、実基地局を配置するために大きなシールドルームを準備する必要があるため、安価な負荷環境を構築できないということである。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上述した課題を解決し、コアシステムに対して、Cプレーン/Uプレーンを総合的に評価する負荷環境を安価に構築することができるコアシステム負荷評価システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のコアシステム負荷評価システムは、
複数の拠点にそれぞれ配置された複数の評価システムを有し、
前記複数の評価システムの各々は、
フェムトセル基地局と、
前記フェムトセル基地局を介して実通話を行う端末と、
前記端末の発信動作および着信動作を制御する端末制御システムと、を含み、
前記複数の評価システムのうちの1つは、さらに、
前記複数の評価システムの各々の前記フェムトセル基地局とインターネット網を介して接続されるコアシステムと、
前記複数の評価システムの各々の前記端末制御システムをインターネット網を介して遠隔操作する端末制御統合システムと、
前記複数の評価システムの各々の前記フェムトセル基地局をインターネット網を介して遠隔操作するフェムトセル制御システムと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コアシステムに対して、Cプレーン/Uプレーンを総合的に評価する負荷環境を安価に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態のコアシステム負荷評価システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示した端末制御システムの構成を示す図である。
【図3】関連するコアシステム負荷評価システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
(1)実施形態の構成
図1は、本実施形態のコアシステム負荷評価システムの構成を示す図である。なお、図1において、評価対象のコアシステムAは図3と同様である。ただし、コアシステムAを構成するコアノードの個数は、3個に限定されず、コアシステムAに応じて変化する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態のコアシステム負荷評価システムは、小規模なシールドルームを持つY(Yは2以上の自然数)個の拠点にそれぞれ設置されたY個の評価システム1〜Yから構成されている。
【0017】
評価システム1は、評価対象のコアシステムAと、コアシステムAとインターネット網を介して接続され、端末のエンド−エンドの実通話を可能とするアクセスポイントとして動作するフェムトセル基地局11〜1M(Mは1以上の自然数)と、フェムトセル基地局11〜1Mのいずれかと同軸ケーブルや無線を介して接続され、接続されたフェムトセル基地局を介して実通話を行う(X(Xは1以上の自然数)×M)個の端末111〜1MXと、端末111〜1MXとシリアル回線を介して接続され、接続された端末の発信動作および着信動作を制御する端末制御システム10と、を有している。
【0018】
評価システム2は、コアシステムAとインターネット網を介して接続され、端末のエンド−エンドの実通話を可能とするアクセスポイントとして動作するフェムトセル基地局21〜2Mと、フェムトセル基地局21〜2Mのいずれかと同軸ケーブルや無線を介して接続され、接続されたフェムトセル基地局を介して実通話を行う(X×M)個の端末211〜2MXと、端末211〜2MXとシリアル回線を介して接続され、接続された端末の発信動作および着信動作を制御する端末制御システム20と、を有している。
【0019】
評価システムYは、コアシステムAとインターネット網を介して接続され、端末のエンド−エンドの実通話を可能とするアクセスポイントとして動作するフェムトセル基地局Y1〜YMと、フェムトセル基地局Y1〜YMのいずれかと同軸ケーブルや無線を介して接続され、接続されたフェムトセル基地局を介して実通話を行う(X×M)個の端末Y11〜YMXと、端末Y11〜YMXとシリアル回線を介して接続され、接続された端末の発信動作および着信動作を制御する端末制御システムY0と、を有している。
【0020】
さらに、評価システム1は、評価システム1〜Yの各々の端末制御システムをインターネット網を介して遠隔操作する端末制御統合システムBと、評価システム1〜Yの各々のフェムトセル基地局をインターネット網を介して遠隔操作するフェムトセル制御システムCと、を有している。
【0021】
図2は、図1に示した端末制御システム10の構成を示す図である。なお、端末制御システム20〜Y0も、端末制御システム10と同様の構成であるとする。
【0022】
図2に示すように、端末制御システム10は、音声データ送信部101と、音声データ受信部102と、メモリ103と、音声−文字変換部104と、を有している。
【0023】
メモリ103は、端末から送信する送信音声データを保存し、音声データ送信部101は、メモリ103上の送信音声データを端末のマイク/イヤホン端子へ入力する。これにより、呼接続中の端末間で音声データが送受信される。
【0024】
音声データ受信部102は、端末にて受信された受信音声データを、端末のマイク/イヤホン端子から入力し、メモリ103に保存させる。
【0025】
音声−文字変換部104は、メモリ103上の送信音声データおよび受信音声データを、それぞれ送信音声文字データおよび受信音声文字データに文字変換し、メモリ103に保存させる。これにより、送信音声データと受信音声データとをテキスト文章として比較することが可能となる。
【0026】
なお、端末制御システム10内の上記の構成要素は、端末制御統合システムBにより遠隔操作された指示にしたがって上記の動作を行う。
(2)実施形態の動作
以下、本実施形態のコアシステム負荷評価システムの動作について説明する。
【0027】
コアシステムAと評価システム1〜Yの各々のフェムトセル基地局とはインターネット網を介して接続されているが、IPSec(Security Architecture for Internet Protocol)によるセキュアな回線接続が可能となっている。
【0028】
評価システム1のフェムトセル制御システムCは、評価システム1〜Yの各々のフェムトセル基地局をインターネット網を介して遠隔操作して、プログラムのダウンロード、パラメータの設定、リセット、統計情報やアラーム情報の入手等を実行させる。
【0029】
評価システム1の端末制御統合システムBは、評価システム1〜Yの各々の端末制御システムをインターネット網を介して遠隔操作して、評価システム1〜Yの各々の端末の発信動作および着信動作を制御する。
(3)実施形態の効果
上述したように本実施形態においては、フェムトセル基地局と端末とからなる評価システム1〜Yを各拠点に設置し、フェムトセル制御システムCと端末制御統合システムBにより各拠点のフェムトセル基地局と端末制御システムを遠隔操作する。
【0030】
このように、小型のフェムトセル基地局に接続された実端末により負荷環境を構築するため、大きなシールドルームは必要がない。また、実端末により負荷環境を構築するため、Cプレーン/Uプレーンを評価することができ、シミュレータを設ける必要がない。また、フェムトセル基地局自体も安価である。
【0031】
よって、コアシステムAに対して、Cプレーン/Uプレーンを総合的に評価する負荷環境を安価に構築することができる。
【0032】
例えば、フェムトセル制御システムCがフェムトセル基地局をリセットすることにより、対向ノードの障害発生時のコアシステムAの評価を行うことも可能である。
【0033】
また、図3に示した、関連するコアシステム負荷評価システムの場合、評価システムを設置する拠点は1箇所であった。そのため、一般のインターネット網と接続されるフェムトセル基地局は、通信経路が同じになり易く、インターネット網を介した端末間での音声通信に対する音声品質評価などを実施することはできなかった。
【0034】
これに対して、本実施形態においては、評価システムを複数の拠点に設置するため、例えば、海外拠点と国内拠点など、別拠点に存在する端末間での音声通信に対する音声品質評価を実施することができる。
【0035】
よって、コアシステムAだけでなく、インターネット網を含めた通信システム全体としての評価を実施することができる。
【0036】
例えば、端末制御統合システムBが、各拠点の端末に対し、共通の送信音声データを入力し、各端末における送信音声文字データと受信音声文字データとをテキスト文章として比較する。これにより、別拠点に存在する端末間での音声通信に対する簡易的な音声品質評価を実施することができる。
【符号の説明】
【0037】
1〜Y 評価システム
10〜Y0 端末制御システム
11〜1M,21〜2M,Y1〜YM フェムトセル基地局
111〜1MX,211〜2MX,Y11〜YMX 端末
A コアシステム
A1〜A3 コアノード
B 端末制御統合システム
C フェムトセル制御システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の拠点にそれぞれ配置された複数の評価システムを有し、
前記複数の評価システムの各々は、
フェムトセル基地局と、
前記フェムトセル基地局を介して実通話を行う端末と、
前記端末の発信動作および着信動作を制御する端末制御システムと、を含み、
前記複数の評価システムのうちの1つは、さらに、
前記複数の評価システムの各々の前記フェムトセル基地局とインターネット網を介して接続されるコアシステムと、
前記複数の評価システムの各々の前記端末制御システムをインターネット網を介して遠隔操作する端末制御統合システムと、
前記複数の評価システムの各々の前記フェムトセル基地局をインターネット網を介して遠隔操作するフェムトセル制御システムと、を含む、コアシステム負荷評価システム。
【請求項2】
前記端末制御システムは、
前記端末から送信される送信音声データを保存するメモリと、
前記メモリ上の送信音声データを前記端末に入力する音声データ送信部と、
前記端末で受信された受信音声データを前記端末から入力し、前記メモリに保存させる音声データ受信部と、
前記送信音声データおよび前記受信音声データを、それぞれ送信音声文字データおよび受信音声文字データに文字変換し、前記メモリに保存させる変換部と、を有する、請求項1に記載のコアシステム負荷評価システム。
【請求項3】
前記端末制御統合システムは、
前記複数の評価システムの各々の前記端末制御システムを遠隔操作して、前記複数の評価システムの各々の前記端末に対し、共通の送信音声データを入力し、
前記複数の評価システムの各々の前記端末における送信音声文字データと受信音声文字データとを比較する、請求項2に記載のコアシステム負荷評価システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−231285(P2012−231285A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98135(P2011−98135)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】