説明

コイル形熱交換器と、このコイル形熱交換器を備えている空調装置

本発明により、大き過ぎず、頑丈で、軽量で、製造が容易で、かなり多種の空調装置への設置が容易な、冷媒流体と熱交換流体が熱交換できる熱交換器を提供する。
【課題】空調回路を循環している超臨界流体と、第2回路を循環している熱交換流体との間の熱交換の最大化と、前記流体の圧力損失の最小化と、熱交換器の外形の最小化に、可能な限りの折り合いをつける。
【解決手段】超臨界流体が空調回路内を循環し、第2回路内を熱交換流体が循環する空調装置の、前記両回路に“合同”で設置されている、本発明の熱交換器は、渦巻形の扁平チューブから成る連続コイルを収容している本体を備えている熱交換器であり、互いに面している2つの連続コイルは、コイル間の隙間により分離されている。このコイル間の隙間(12)は、互いに面している2つの連続コイル間に、0.5〜5mm間の間隔Dで伸長している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の加熱、換気、及び/又は空調ユニットと協働する空調回路の分野に関する。本発明の主題は、2次回路と結合されている空調装置を形成しているコイル形熱交換器である。本発明の他の主題は、このような空調装置である。
【背景技術】
【0002】
通常、自動車は、車室内空気の温度を変化させるために、加熱、換気、及び/又は空調ユニットを備えている。温度変化は、少なくとも1つの空気流を車室内に供給することにより行われる。このユニットは、前記空気流を案内して、この空気流の熱交換を行う手段、例えば、前記空気流を冷却する蒸発器を収容している、主にプラスチック製のハウジングから成っている。
【0003】
このため、このユニットは、蒸発器と、少なくとも1つの圧縮機、ガスクーラー、内部熱交換器、膨張弁、及び、アキュムレータを備えている空調回路と協働しており、前述のすべての機器に、R744として知られている、一酸化炭素の超臨界流体のような冷媒流体が循環している。
【0004】
この冷媒流体は、圧縮機からガスクーラーへ、その後順次、内部熱交換器の“高圧”回路、膨張弁、蒸発器、アキュムレータ、内部熱交換器の“低圧”回路へ循環し、最終的に圧縮機に戻る。
【0005】
この圧縮機は、ガス状の冷媒流体を吸入して圧縮し、高圧にする。ガスクーラーは、比較的一定の圧力のもとで、圧縮された冷媒流体を冷却し、周囲に放熱する。膨張弁は、ガスクーラーから来た冷媒流体の圧力を低下させ、少なくともその一部を液化させる。蒸発器は、膨張弁から来た液状の冷媒流体を、蒸発器を通過する空気流から吸熱し、比較的一定の圧力のもとで、ガス状に変化させる。その後、蒸発した冷媒流体は、圧縮機に吸入される。
【0006】
そのため、空調回路は、圧縮機から空調回路内の冷媒流体の流動方向に沿って、膨張弁に至る“高圧”回路と、膨張弁から圧縮機に至る“低圧”回路とを備えている。
【0007】
また、空調回路は、空調回路内を循環している冷媒流体と、第2回路内を循環している熱交換流体とを熱交換させる熱交換器を備えている。この熱交換器は、空調回路と第2回路の一部をなしている。この空調回路と第2回路とで、空調装置が形成されている。
【0008】
特許文献1には、2つの扁平チューブを互いに結合して、1つのコイルの内側に、もう1つのコイルが入れ子にされている渦巻形コイルの熱交換器が開示されている。冷媒流体が、一つの扁平チューブ内を循環し、熱交換流体は、他の扁平チューブ内を循環する。各扁平チューブ内を循環する流体は、互いに対向流になっている。
【0009】
この熱交換器の使用上の第1の欠点は、かさ張っていて大きいことである。またこのタイプの熱交換器は、重いという欠点を有する。更に、この熱交換器は製造が複雑である。即ち、扁平チューブを互いの組み立てるための工程が非常に長く、扁平チューブを損傷しやすいため、最終的には、熱交換器の作動に影響を与えることとなる。
【0010】
また、このような熱交換器を備えている空調装置は、一方の、及び/又は、双方の流体の大きな圧力損失を被りやすく、この圧力損失を最小にする必要がある。最後に、この空調装置の伝熱能力、特に、熱出力、熱効率、及び、流体力を、改善する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2007/136379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の第1の目的は、大き過ぎず、頑丈で、軽量で、製造が容易で、多種多様の空調装置への設置が容易な、冷媒流体と熱交換流体とが流動する熱交換器を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、冷媒流体と熱交換流体との間の熱交換が、“並流”、“対向流”、及び“横流”のいずれかにより行われるようにした熱交換器を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、前記流体の一方、又は双方の圧力損失を最小にした熱交換器を提供することである。
【0015】
本発明の最後の目的は、空調回路と第2回路を備え、前記両回路に前記熱交換器が「一体的に」に設置されており、超臨界流体が空調回路内を循環し、第2回路内を熱交換流体が循環する空調装置の、前記流体間の熱交換の最大化と、前記流体の一方、及び/又は、他方の循環に影響を与えやすい圧力損失の最小化と、熱交換器の外形の最小化とを、可能な限り達成することである。前述の「一体感に」とは、本発明の熱交換器が、空調回路と第2回路との間の交差部に設置されていることを意味している。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の熱交換器は、連続コイル状の扁平チューブを収容したシェルを備えている熱交換器である。互いに面している2つの連結コイルは、隙間をもって分離されている。この隣り合っている2つの連続コイル間の間隔(D)は、0.5〜5mmである。
【0017】
好ましい分離間隔Dは、2mm以上である。
【0018】
この熱交換器によると、熱交換流体FCに影響を及ぼす可能性のある圧力低下を小とし、かつ冷媒流体FRと熱交換流体FCとの間の熱交換を大とすることができる。
【0019】
扁平チューブは、多数の通路を備え、各通路は、扁平チューブの中心端部が設けられている中心ロッドと、扁平チューブの外周端部が設けられている外周ロッドとの間にあるのが好ましい。
【0020】
各通路は、扁平チューブの渦巻きの中心軸△’を備えている熱交換器の径方向の面P’に、孔(A1,A2)を備え、その面積は、0.2〜0.5mm2であるのが好ましい。
【0021】
各通路は、前記径方向の面P’に、1.6〜1.9mmの周長Pe1、Pe2を備えているのが好ましい。
【0022】
各通路の径は、0.4〜0.9mmであるのが好ましい。
【0023】
通路の数は、例えば、75〜85である。
【0024】
扁平チューブは、その渦巻きの中心軸△’と平行に、扁平チューブの2つの対向端部B1、B2間に、75〜80mmの高さHを有している。
【0025】
この熱交換器は、例えば、次の特徴を備えている。
−扁平チューブの数は、81である。
−扁平チューブの高さHは、77.3mmである。
−扁平チューブの展開長さは、1400mmである。
−各通路は、長さlが1mmで、幅Lが0.7mmの長方形の孔A1を備えている。
−各通路の流体の直径は、0.86である。
【0026】
更に、この熱交換器は、例えば、次の特徴を備えている。
−扁平チューブは、77の通路を備えている。
−扁平チューブの高さは、77.3mmである。
−扁平チューブの展開長さは、1400mmである。
−各通路の流体的直径d'は0.6mmである。
【0027】
最後に、この熱交換器は、例えば、次の特徴を備えている。
−扁平チューブは、77の通路を備えている。
−扁平チューブの高さHは、77.3mmである。
−扁平チューブの展開長さは、695mmである。
−各通路は、直径d'が0.6mmの円形の孔A2を備えている。
−各通路の流体直径は、0.6mmである。
【0028】
本体は、スリーブ状に形成されており、このスリーブの第1端部を第1端板が閉止し、スリーブの第2端部を第2端板が閉止していることが好ましい。
【0029】
このスリーブは、全体として円筒状で、第1端板と第2端板のそれぞれ平面P1、P2とほぼ直交する軸線△に沿って伸長していることが好ましい。
【0030】
端板は、例えば、入れ子固定、クリップ、締結、又は接着により、スリーブに取り付けられている。
【0031】
本体には、入口孔と出口孔が設けられていることが好ましい。
【0032】
入口孔と出口孔は、第1端板に設けられていることが好ましい。
【0033】
他の例として、入口孔と出口孔を、スリーブ状とすることもある。
【0034】
他の例として、入口孔と出口孔を、第2端板に設けることもある。
【0035】
入口孔と出口孔を、第1端板の中心部に設けると有利である。
【0036】
中心ロッドは、その第1端部に開口している通路と連通している空洞を備え、外周ロッドは、その第1端部で開口している通路と連通している孔を備えていると有利である。
【0037】
中心ロッドの第1端部に、吸入孔、又は吐出孔のいずれかが設けられており、外周ロッドの第1先端部に他方の孔が備えられているのが好ましい。
【0038】
第1端部と第1先端部は、例えば、同一の端板から突出している。
【0039】
他の例として、第1端部は、端板の1つから突出し、第2端部は他の端板から突出している。
【0040】
第2端部を有する中心ロッドと、第2先端部を有する外周ロッドとともに、第2端部と第2先端部が、本体の構成要素部分である中心円筒部と外周円筒部内に固定されているのが好ましい。
【0041】
第1端板に設けてある孔は、三日月形をしており、部分的に中心円筒部をカバーしているのが好ましい。
【0042】
第1端板に設けられている孔に、外周円筒部の先端に固定されている湾曲パイプが設けられている。
【0043】
扁平チューブは、押し出し成形により、熱伝導材料から製造されている。
【0044】
本体の部材であるシェルは、プラスチック製である。
【0045】
本発明の空調装置は、空調回路と第2回路を備え、少なくとも1つの熱交換器が共用で設けられている空調装置である。
【0046】
この熱交換器は、空調回路と第2回路に、複数が直列に設けられていることが好ましい。
【0047】
この空調回路の第1循環方向S1に、超臨界流体FRが循環していると有利である。
【0048】
第2回路の第2循環方向S2に、水とグリコールの混合物から成る熱交換流体FCが循環していると有利である。
【0049】
熱交換器内で、前記第1循環方向S1は、例えば、第2循環方向S2と同方向である。
【0050】
熱交換器内で、前記第1循環方向S1は、例えば、第2循環方向S2と対向方向である。
【0051】
熱交換器内で、前記第1循環方向S1は、例えば前記第2循環方向S2と直角方向である。
【0052】
扁平チューブが空調回路を形成している一方で、チューブ間の隙間が第2回路を形成していると有利である。
【0053】
前記熱交換器は、例えば空調回路の“低圧”回路に配置される。
【0054】
前記熱交換器は、例えば空調回路の“高圧”回路に配置される。
【発明の効果】
【0055】
この熱交換器によると、熱交換流体FCに影響しやすい圧力損失の低下と、冷媒流体FRと熱交換流体FC間の熱交換の最大化との折り合いが計られる。
【0056】
添付図面を参照して、幾つかの実施例についての詳細な説明を読むことにより、本発明を、より良く理解しうると思う。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の熱交換器を備えている空調装置の部分概略図である。
【図1a】本発明の熱交換器を備えている空調装置の部分概略図である。
【図2】図1の空調装置の代替実施例を示す概略図である。
【図3】図1の空調装置の代替実施例を示す概略図である。
【図4】本発明の熱交換器の第1実施例の径方向の断面図である。
【図4a】図4の熱交換器の詳細図である。
【図5】熱交換器のコイル間の隙間である分離距離Dの関数としての、図1〜図4の熱交換器の熱出力Pthを表しているグラフである。
【図6】分離距離Dの関数としての、図1〜図4の熱交換器の熱効率Eを表しているグラフである。
【図7】分離距離Dの関数としての、図1〜図4の熱交換器内を循環している冷媒に影響しやすい圧力損失Pcを表しているグラフである。
【図8】分離距離Dの関数としての、図1〜図4の熱交換器の流体動力Phを表しているグラフである。
【図9】図1〜図4に示す熱交換器の斜視図である。
【図10】図2の熱交換器の構成部品である扁平チューブの1つのコイルの断面図である。
【図11】図3の熱交換器を構成している扁平チューブの1つのコイルの断面図である。
【図12a】図1〜図4の熱交換器内を循環している冷媒と熱交換流体の相対的な循環方向の実施例を示す。
【図12b】図1〜図4の熱交換器内を循環している冷媒と熱交換流体の相対的な循環方向の実施例を示す。
【図12c】図1〜図4の熱交換器内を循環している冷媒と熱交換流体の相対的な循環方向の実施例を示す。
【図13】図1〜図4の熱交換器の部分斜視図を示す。
【図14】図1〜図4と、図13の熱交換器の第1実施例の軸方向の断面図である。
【図15】図1〜図4と、図13の熱交換器の第2実施例の軸方向の断面図である。
【図16】図1〜図4と、図14〜図15の熱交換器の一実施例の軸方向の断面図である。
【図17】図13と図14の熱交換器の、図1の空調装置との個々の接続方法を示している斜視図である。
【図18】図13と図14の熱交換器の、図1の空調装置との個々の接続方法を示している斜視図である。
【図19】図13と図14の熱交換器の、図1の空調装置との個々の接続方法を示している斜視図である。
【図20】図13と図14の熱交換器の、図1の空調装置との個々の接続方法を示している斜視図である。
【図21】図1〜図4と図14〜図15の熱交換器の斜視図である。
【図22】図21の熱交換器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0058】
自動車は、車室内空気の温度を変化させるために、加熱、換気、及び/又は空調ユニットを備えている。温度変化は、少なくとも1つの空気流Fを車室内に供給することにより行われている。主にプラスチック製のハウジングから成るユニットが、車両のインストルメントパネルの下方に配置されている。このハウジングは、車室内に供給される前の空気流Fを案内するように設計されている。
【0059】
このユニットは、空気流Fを、冷却、及び/又は加熱するために、空気流Fの熱処理用の手段を備えている。図1〜図3に示すように、この装置は、好ましくは、例えば、R744と称せられている一酸化炭素のような超臨界冷媒の冷媒流体FRが循環している空調回路2を備えている空調装置1と協働している。空調回路2は、冷媒流体FRと、第2回路4内を循環している熱交換流体FCとの間の熱交換を可能にするように設計されている、少なくとも1つの熱交換器を備えている。この熱交換流体FCは、水とグリコールの混合物から成っていることが好ましい。
【0060】
この熱交換器3は、空調回路2と第2回路4の交差点に配置されている構成要素であり、冷媒流体FRと熱交換流体FCが、熱交換器3内の別々の回路内を通過する。この熱交換器3は、空気とは熱交換せず、即ち、熱交換器3を空気流が通過しないということに注意を要する。
【0061】
この熱交換器3は、その内部の冷媒流体FR循環用の第1通路7を通じて、吐出孔6と連通している吸入孔5を備えている。前記第1通路7に沿って、冷媒流体FRは、空調回路2内を第1循環方向S1に循環する。また、この熱交換器3は、その熱交換流体FC循環用の第2通路10を通じて、出口孔9と連通している入口孔8を備えている。前記第2通路10に沿って、熱交換流体FCは、第2回路4内を第2循環方向S2に循環している。前記第1通路7と第2通路10は、冷媒流体FRと熱交換流体FCとの間で熱交換できるように配置されている。
【0062】
図1aに示すように、空調装置1は、空調回路2と第2回路4に直列に接続されている2つの熱交換器3を備えている。各熱交換器3の第1通路7は、順次前後に配置されているので、冷媒流体は、両方の熱交換器の第1通路7を順次循環する。第2通路10においても同様である。第1熱交換器3の吐出孔6は、第2熱交換器3の吸入孔5と連通しており、第2熱交換器3の出口孔9は、第1熱交換器3の入口孔8と連通している
【0063】
図2と図3に示すように、空調回路2は、更に、圧縮機100、ガスクーラー101、内部熱交換器102、および膨張弁103を備えている。この構成により、空調回路2は、空調回路2内の冷媒流体FRの第1循環方向S1方向に、圧縮機100の出口から膨張弁103の入口に至る“高圧”回路106と、膨張弁103の出口から圧縮機100の入口に至る“低圧”回路107を備えている。
【0064】
図2に示すように、熱交換器3は、空調回路2の“低圧”回路107上に配置されている。この熱交換器3は、空調回路2内の冷媒流体FRの第1循環方向であるS1の方向に、膨張弁103の出口と内部熱交換器102の入口との間に配置されている。この配置により、熱交換器3は、熱交換流体FCに冷熱エネルギーを与えるという意味では、熱的に、蒸発器のような働きをしている。また、空気/熱交換流体クーラー120が第2回路4に配置されており、その機能は、熱交換流体により運ばれてきた冷熱エネルギーを、車室の空調のために車室内に流入する空気Fに伝達することである。
【0065】
図3に示すように、熱交換器3は、空調回路2の“高圧”回路106に配置されている。この熱交換器3は、空調回路2内の冷媒流体FRの循環方向S1方向に、圧縮機100の出口と内部熱交換器102の入口との間に配置されている。この配置により、熱交換器3は、熱交換流体FCに熱を与えて、循環している冷媒流体FRを冷却できるという意味では、熱的に、ガスクーラーのような働きをしている。第2回路4は、外気と熱交換することにより、熱交換流体FCを冷却するために、車両の前面に配置されている熱交換流体/空気クーラー121を備えている。
【0066】
図4に示すように、前記第1通路7は、扁平チューブから成り、渦巻き状に巻かれて、連続コイル11とされている。好ましくは、同心コイルである。前記第2通路10は、扁平チューブ7が巻き付けられた2つの連続コイル11間の隙間の少なくとも一部に形成されている。
【0067】
本発明によると、コイル間の隙間12、すなわち2つの連続コイル11間の間隔Dは、0.5〜5mmである。
【0068】
この間隔距離Dは、互いに対面位置にある2つの連続コイル11間で測定されたもので、互いに対向している2つの連続コイル11間の間隔に等しい。
【0069】
詳しく言うと、間隔Dは、互いに対向している第1コイル11aの外壁109の外面108と、第2コイル11bの内壁111の内面110との間を測定したものである。コイルの壁の外面は、コイルの壁の内面よりも、扁平チューブ7の渦巻形の中心軸△'から離れている。
【0070】
少なくとも一部が第2循環通路10を形成しているコイル間の隙間12は、第1コイル11aから第2コイル11bに、より詳細には、第1コイル11aの外壁109から、第2コイル11bの内壁111に、熱交換流体FCを導く他の壁部を備える事無く、伸長している。そのため、コイル11の壁部109,111が、同時に、冷媒流体FRと熱交換流体FCを循環させている。従って、コイルの1つの面が、流体FR、FCの内の1つと接触しており、同じコイルの他の面が、流体FR、FCの他方と接触している。
【0071】
この構成により、冷媒流体FRと熱交換流体FCとの間で交換されている熱出力Pthを最大にすることができる。この熱出力Pthは、高温流体(即ち、図2の空調装置1の熱交換流体FCと、図3の空調装置1の冷媒流体FR)から、低温流体(即ち、図2の空調装置1の冷媒流体FRと、図3の空調装置1の熱交換流体FC)に供給されているエネルギーに相当している。図5において、熱出力Pthは、間隔Dが0.5mmから5mmに変化するとき、出力Pth1からPth2に直線的に減少している。詳しく言うと、5mmの間隔Dに対して、Pth2/Pth1の比は、40%であり、3mmの間隔Dに対して、Pth3/Pth1の比は、25%である。
【0072】
また、この構成により、熱交換器3の熱効率Eも、図6に示すように、間隔Dが0.5mmから5mmに変化するにつれて、E1からE2に減少している。
【0073】
この2つの間隔Dの間、すなわち5mmの間隔Dに対して、E2/E1の比は、40%であり、3mmの間隔Dに対して、E3/E1の比は、25%である。
【0074】
冷媒流体FRが、扁平チューブに、入口温度TERで流入し、出口温度TSRで吐出し、熱交換流体FCが、コイル間の隙間12に、入口温度TECで流入し、コイル間の隙間12から、出口温度TSCで吐出するとき、図2の空調装置1の熱交換流体FCの熱効率Eは、次式のようになる。
E=(TEC−TSC)/(TEC−TER)
【0075】
冷媒流体FRの熱効率Eは、次式のようになる。
E=(TSR−TER)/(TEC−TER)
【0076】
図3の空調装置1の熱交換流体FCの熱効率Eは、次式のようになる。
E=(TSC−TEC)/(TER−TEC)
【0077】
一方、冷媒流体FRの熱効率Eは、次式のようになる。
E=(TER−TSR)/(TER−TEC)
【0078】
この構成により、冷媒流体FRと熱交換流体FCに影響しやすい圧力損失Pcは、図7に示すように、間隔Dが0.5mmから2mmに変化するにつれて、圧力損失Pc1から圧力損失Pc2に直線的に減少し、その後、間隔Dが2mmから5mmに変化しても、圧力損失Pc2は安定している。特に、圧力損失Pc2は、圧力損失Pc1よりも10倍低いことが分かった。
【0079】
最後に、この条件により、熱交換器3の流体力は、図8に示すように、間隔Dが0.5mmから2mmに変化するにつれて、流体力Ph1から流体力Ph2に直線的に減少し、その後、間隔Dが2mmから5mmに変化しても、流体動力Ph2に安定している。特に、流体動力Ph2は、流体動力Ph1よりも10倍低いことが発見された。
【0080】
流体力Phは、冷媒流体FRの体積流量率の積として定義付けられており、扁平チューブ7に流入する冷媒流体FRの流入圧力と、扁平チューブ7から流出する冷媒流体FRの出口圧力との圧力差を調節している。
【0081】
0.5mmから5mm、好ましくは2mmの間隔Dをもって、コイル間の隙間12を定めることが、本発明の発明者が提案する着想であり、これにより、熱交換器3の熱出力Pth、効率E、圧力損失Pc、流体動力Phを適切に定めることができる。最後に、間隔Dを賢明に選択することにより、熱交換器3、最終的には空調装置1の熱的機能を正確に制御することができる。間隔Dを2mm以上とすることにより、圧力損失Pcの最小化と、熱出力Pth、効率E、流体力Ph、および、熱交換器の外形の最大化との間の折り合いを計ることができる。
【0082】
この選択は任意ではあるが、計算により、熱交換器3の熱出力Pth、効率E、圧力損失Pc、流体力Phを決定することができる。
【0083】
更に、この熱交換器3は、低コスト、組立容易、軽量であって、同時に頑丈で、大き過ぎず、しかも製造が容易である。
【0084】
図4と図9に示すように、扁平チューブ7は、スリーブ14から成るシェル13の内部に収容されており、スリーブ14の端部15,16は、それぞれ、第1端板17と第2端板18により閉止されている。従って、シェル13は、外部に対して密閉されている。そのため、扁平チューブ7は、シェル13に満たされている熱交換流体FCに浸かっている。扁平チューブ7が、熱交換流体FCに浸かっているので、熱交換流体FCと冷媒流体FRとの間の熱交換は容易である。扁平チューブ7の連結コイル11間の熱交換流体FCの循環は、扁平チューブ7の渦巻形の連結コイル11により直接的に案内されており、従って、前記流体FCとFR間の熱交換は容易であり、熱交換器3、及び/又は、空調装置1の伝熱性能は改良されている。
【0085】
シェル13は、扁平チューブ7をシェル13内の所定位置に保持する多数のリブ119を備えている。前記リブ119は、扁平チューブ7の渦巻形の最外部のコイル11と接触している。このリブ119が形成されていることにより、熱交換器3の剛性と頑丈さは良好となり、シェル13と最外部のコイル11との間の熱交換流体FCの循環を妨げないような形状となっている。
【0086】
スリーブ14は、全体的に円筒状であり、第1端板17と第2端板18の各平面部P1とP2とほぼ直交する軸線△に沿って伸びている。この第1端板17と第2端板18は、スリーブ14の端部15と16に、互いに固定されているか、又は留め具、或いは、接着のような任意の技法により取り付けられている。
【0087】
扁平チューブ7は、例えば、アルミニウムのような、熱伝導材で機械的に強固な材料を、押出しにより製造されており、大気圧よりも高圧の冷媒流体FRの循環に耐えることができるようになっている。本発明の熱交換器3は、例えば、20〜120バールの圧力の冷媒流体の循環に安全に耐えることができるように設計される。
【0088】
特に、図2に示す熱交換器3は、空調回路2の“低圧”回路107に配置されており、冷媒流体FRが、20〜50バールの圧力で循環できるようになっている。
【0089】
更に、図3の熱交換器3は、空調回路2の“高圧”回路106に配置されており、冷媒流体FRが、80〜120バールの圧力で循環できるようになっている。
【0090】
シェル13自体は、軽量のプラスチックで形成されており、大気圧で、熱交換流体FCの循環を案内するのに充分に強固となっている。この構成により、熱交換器3の大きさは、最小限となっている。
【0091】
図10は、空調回路2の“低圧”回路107に配置されている扁平チューブ7の断面図であり、扁平チューブ7が、多数の、好ましくは81個の通路112を備えていることを示している。2つの隣接している通路112は、0.25mmの間隔eをもって離れている。この通路112は、互いに平行な個々の平坦面Pに、前記伸長軸△に対して直角に形成されている。扁平チューブ7は、その一端部B1から、反対側の端部B2の伸長軸△と平行に測定された高さHを有し、その値は、75〜80mm、好ましくは77mm、更に、好ましくは、77.3mmである。更に、扁平チューブ7の展開長さ、即ち、扁平チューブ7が渦巻状に巻かれていないときの長さは、1400mmである。最後に、この扁平チューブ7は、冷媒流体FR用の通路断面積A1の4倍を、通路断面積A1の周長Pelで除算した結果で定められる流体直径dを有し、この流体直径dは、0.8〜0.9、好ましくは0.86である。この冷媒流体FR用の断面A1は長方形である。前記断面A1の、前記平面Pと平行に測定された長さlは1mmであり、前記平面Pと直角に測定された幅Lは0.7mmである。
【0092】
図11は、空調回路2の“高圧”回路106に配置されている扁平チューブ7の断面図であり、扁平チューブ7が、多数の、好ましくは77個の通路112を有していることを示している。2つの隣接している通路112は、0.4mmの一定の間隔eをもって離れている。この通路112は、互いに平行な個々の平坦面Pに、前記伸長軸△に対して直角に形成されている。扁平チューブ7は、その一端部B1から、反対側の端部B2の伸長軸△に平行に測定された高さHを有し、この値は、75〜80mm、好ましくは77mmであり、更に、好ましくは77.3mmである。更に、扁平チューブ7の展開長さ、即ち、扁平チューブ7が渦巻形に巻かれていないときの長さは、種々の実施例に応じて、1400mm、又は695mmである。最後に、この扁平チューブ7は、冷媒流体FR用の通路断面積A2の4倍を、通路断面積A2の濡れ周長Pe2で除算して定められている直径dを有し、この直径dは、0.4〜0.65mm、好ましくは0.6mmである。この冷媒流体FR用の通路断面A2は円形である。前記断面A2の直径d'は、0.6mmである。
【0093】
更に、熱交換流体FC用の入口孔8と出口孔9の、シェル13に対する位置決めと、熱交換器3の空調回路2と第2回路4への配置要領により、熱交換器3は、冷媒流体FRと熱交換流体FCとの間の熱交換を、図12a〜図12cに、それぞれ示されている“並流”、“対向流”、および“横流”の態様で行うことのできるという特徴を備えている。これは、この熱交換器3が、同一の扁平チューブ7に基づいて、かつ、低コストのシェル13の互換性に基づいて、さらに、空調回路2と第2回路4への熱交換器3の配置方法の選択に基づいて、種々の作動をなしうる可能性を有していることを意味している。
【0094】
図12aにおいて、熱交換器3内の前記循環方向S1とS2は、双方ともに、時計回り方向である。図示しない代替実施例において、熱交換器3内の循環方向S1とS2を、双方ともに、反時計回りの回転方向とすることである。この2つの代替実施例において、前記循環方向S1とS2は、“平行”で、かつ同一方向である。この熱交換器3は、“並流”と呼ばれる。
【0095】
図12bにおいて、前記循環方向S1は、時計回りの方向であるのに対して、前記循環方向S2は、反時計回りの方向である。図示しない、実施例においては、前記循環方向S1は、反時計回りの方向であるのに対して、前記循環方向S2は、時計回りの方向である。この2つの実施例において、前記循環方向S1とS2は、“平行”であるが、対向している。この熱交換器3は、“対向流”と呼ばれる。
【0096】
図12cにおいて、前記循環方向S1は、時計回りの方向であり、前記循環方向S2は、図12cの平面の前方向から後方向へ向いており、図12cの平面に対して垂直である。図示していない、別の実施例において、前記循環方向S2は、図12cの平面の後方から前方へ向いている。最後に、図示していない、別の実施例において、前記循環方向S1は、反時計回り方向であるのに対して、前記循環方向S2は、図12cの平面の前方向から後方向へ向いているか、或いは、図12cの平面の後方向から前方向へ向いており、図12cの平面に対して垂直である。この熱交換器3は、“横流”と呼ばれている。
【0097】
図13において、扁平チューブ7は、その渦巻形の中心端21と外周端22の間を伸長しており、この中心端21は、扁平チューブ7の渦巻形の中心に位置し、外周端22は、前記渦巻形の外縁に位置している。中心端21は、第1軸△1に沿って伸長している中心ロッド23を備えており、外周端22は、第2軸△2に沿って伸長している外周ロッド24を備えている。この第1軸△1、第2軸△2、および、スリーブ14の伸長軸△は、互いに平行であり、かつチューブ7の渦巻形の中心軸△'も平行である。前記の伸長軸△と中心軸△'は、平行であるか、同一であることが好ましい。
【0098】
別の実施例において、外周ロッド24は、熱交換流体FCが外周ロッド24を横切ることを防ぐために、スリーブ14の内側に形成されている止め具31に支えられている。この外周ロッド24が支えられている止め具31は、入口孔8の上流に形成されているので、熱交換流体FCが熱交換器3内に流入し、前記第1循環方向S1に循環することを容易にしており、熱交換器3内に、より均一に循環させることができる。
【0099】
再び、図14〜図16を参照すると、中心ロッド23は、その第1端部26に開口している空洞25を備えている。同様に、外周ロッド24は、その第1先端部29に開口している孔28を備えている。この空洞25と孔28は、互いに、前記通路112と接続されている。別々の実施例において、空洞25は吸入孔5と連通し、孔28は吐出孔5と連通しているか、或いは、空洞25が吐出孔5と連通し、孔28は吸入孔5と連通している。
【0100】
図14において、中心ロッド23の第1端部26と、外周ロッド24の第1先端部29は、第2端板18を貫通してシェル13から突出しているので、空調回路2と接続することができる。中心ロッド23と外周ロッド24は、それぞれ、第1端板17内に形成されている円筒部33,32内に固定されている第2端部27と第2先端部30を備えている。
【0101】
図15において、中心ロッド23の第1端部26は、第1端板17を貫通してシェル13から突出しており、外周ロッド24の第1先端部29は、第2端板18を貫通してシェル13から突出しているので、空調回路2と接続することができる。中心ロッド23の第2端部27は、第2端板18内に形成されている中心円筒部33内に固定されており、外周ロッド24の第2先端部30は、第1端板17内に形成されている外周円筒部32内に固定されている。
【0102】
図14と図15において、熱交換器3は、図12aと図12bにそれぞれ図示してあるような、“並流”又は“対向流”とされている。
【0103】
図16において、第1端板17は、熱交換流体FC用の出口孔9を備えており、第2端板18は、熱交換流体FC用の入口孔8を備えている。この構成による熱交換器3は、“横流”型である。扁平チューブ7は、図14又は図15に示すように配置されており、入口孔8と出口孔9は、図16に示すように、異なる端板18,17に形成されているので、熱交換流体FCが、第2端板18から第1端板17の、第2循環方向S2に、熱交換器3通過し、図12cに示すように、どの点においても、扁平チューブ7を通る冷媒流体FRの第1循環方向S1に対して直交している。
【0104】
この構成により、熱交換流体FCに影響を与えやすい圧力損失Pcを最小にできる。
【0105】
図14と図15において、第1スペーサー部品113が、扁平チューブ7の端部B1と第1端板17との間に設けられ、かつ第2スペーサー部品114が、扁平チューブ7の端部B2と第2端板18との間に設けられている。
【0106】
図14に示すように、第1スペーサー部品113は、扁平チューブ7の端部B1と、第1端板17に形成されている円筒部32,33との間に設けられ、第2スペーサー部品114は、扁平チューブ7の端部B2と、第2端板18と一体化している2つの基本スリーブ115,116との間に設けられている。
【0107】
更に、図15において、第1スペーサー部品113は、扁平チューブ7の端部B1と、第1端板17に形成されている外周円筒部32と基本中心スリーブ115との間に設けられている。第2スペーサー部品114は、扁平チューブ7の端部B2と、第2端板18に形成されている中心円筒部33と、基本外周スリーブ116との間に設けられている。
【0108】
この構成の目的は、扁平チューブ7、端板17,18、および、スリーブ14を、互いに組み立てることが容易な点にある。第1スペーサー部品113、及び/又は、第2スペーサー部品114は、例えば、十字形をなしている。
【0109】
図17の第1実施例によると、外周ロッド24は、吸入孔5を備え、中心ロッド23は、吐出孔6を備えている。スリーブ14は、入口孔8を備え、第1端板17は、出口孔9を備えている。この出口孔9は、第1端板17の中心部19に位置している。前記中心部19は、図21により、良く見ることができる。この構成では、熱交換器3は、図12aに示されている“並流”である。冷媒流体FRと、熱交換流体FCは、ともに、熱交換器3の外周から中心に向かって循環する。
【0110】
図18の第2実施例において、外周ロッド24は、吸入孔5を備え、中心ロッド23は、吐出孔6を備えている。スリーブ14は、出口孔9を備え、第1端板17は、入口孔8を備えている。この入口孔8は、第1端板17の中心部19に位置している。この構成は、熱交換器3が、図12bに示されている“対向流”である。冷媒流体FRは、熱交換器3の外周から中心に向かって循環し、熱交換流体FCは、熱交換器3の中心から外周に向かって循環する。
【0111】
図19の第3実施例においては、外周ロッド24は、吐出孔5を備え、中心ロッド23は、吸入孔6を備えている。スリーブ14は、入口孔8を備え、第1端板17は、出口孔9を備えている。この出口孔9は、第1端板17の中心部19に位置している。この構成の熱交換器3は、図12bに示されている“対向流”である。冷媒流体FRは、熱交換器3の中心から外周に向かって循環し、熱交換流体FCは、熱交換器3の外周から中心に向かって循環する。
【0112】
図20の第4実施例においては、外周ロッド24は、吐出孔5を備え、中心ロッド23は、吸入孔6を備えている。スリーブ14は、出口孔9を備え、第1端板17は、入口孔8を備えている。この入口孔8は、第1端板17の中心部19に位置している。この構成は、熱交換器3が、図12aに示されている“並流”である。冷媒流体FRと、熱交換流体FCは、双方ともに、熱交換器3の中心から外周に向かって循環する。
【0113】
図21と図22において、第1端板17に設けられている孔8,9は、三日月形をしており、部分的に中心円筒部33をカバーしている。この構成により、前記孔8,9と中心円筒部33は、第1端板17の中心部19に、互いに合同するように配置されている。
【0114】
第1端板17に設けられている孔8,9は、外周円筒部32の1つの先端部118に取り付けられている湾曲パイプ117を備えている。この目的は、湾曲パイプ117と第1端板17との機械的結合を最適化し、第1端板17の頑丈さを改良することである。
【符号の説明】
【0115】
1 空調装置
2 空調回路
3 熱交換器
4 第2回路
5 吸入孔
6 吐出孔
7 第1通路
7 扁平チューブ
8 入口孔
9 出口孔
10 第2通路
11 コイル
12 コイル間の隙間
13 シェル
14 スリーブ
15 端部
16 端部
17 第1端板
18 第2端板
19 中心部
23 中心ロッド
24 外周ロッド
25 空洞
26 第1端部
27 第2端部
28 孔
29 第1先端部
30 第2先端部
32 外周円筒部
33 中心円筒部
100 圧縮機
101 ガスクーラー
102 内部熱交換器
103 膨張弁
106 高圧回路
107 低圧回路
108 外面
109 外壁
110 内面
111 内壁
112 通路
113 第1スペーサー部品
114 第2スペーサー部品
115 基本中心スリーブ
116 基本外周スリーブ
117 湾曲パイプ
118 先端部
119 リブ
120 空気/熱交換流体クーラー
121 熱交換流体/空気クーラー
A1、A2 孔
d、d' 直径
D 間隔
e 間隔
E 熱効率
F 空気
FC 熱交換流体
FR 冷媒流体
H 高さ
l 長さ
L 幅
P 平面
P1 平面部
P2 平面部
Pc 圧力損失
Pe1 周長
Pe2 周長
Ph 流体力
Pth 熱出力
S1 第1循環方向
S2 第2循環方向
TER 入口温度
TSR 出口温度
TEC 入口温度
TSC 出口温度
△’ 扁平チューブの渦巻きの中心軸
△ 軸線
△1 第1軸
△2 第2軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器(3)が、扁平チューブ(7)を渦巻状に巻いた連続コイル(11,11a,11b)を収容している本体(13)を備えており、互いに面している2つの連続コイル(11,11a,11b)が、コイル間の隙間(12)により分離されており、前記コイル間の隙間(12)が、0.5〜5mmの間隔Dで、2つの連続コイル(11,11a,11b)間を伸長していることを特徴とする熱交換器(3)。
【請求項2】
間隔Dが2mm以上であることを特徴とする請求項1記載の熱交換器(3)。
【請求項3】
扁平チューブ(7)が、多数の通路(112)を備えており、各通路(112)は、扁平チューブ(7)の中心端部(21)を備えている中心ロッドと、扁平チューブ(7)の外周端部(22)を備えている外周ロッド(24)との間を伸長していることを特徴とする請求項1若しくは2に記載の熱交換器(3)。
【請求項4】
各通路(112)は、渦巻状の扁平チューブ(7)の中心軸△'を有する熱交換器(3)の径方向の平面P'に、0.2〜0.5mm2の穴部(A1,A2)を備えていることを特徴とする請求項3記載の熱交換器(3)。
【請求項5】
各通路(112)は、前記径方向の平面P'に、1.6〜1.9mmの濡れ周長Pe1,Pe2を備えていることを特徴とする請求項4記載の熱交換器(3)。
【請求項6】
各通路(112)は、0.4〜0.9mmの流体直径を備えていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の熱交換器(3)。
【請求項7】
前記通路(112)の数は、75〜85であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の熱交換器(3)。
【請求項8】
扁平チューブ7は、扁平チューブ7の渦巻形の中心軸△'と平行に、扁平チューブ7の2つの対向している端部B1,B2間の、75〜80mmの高さHを備えていることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の熱交換器(3)。
【請求項9】
熱交換器(3)が下記の特徴を備えていることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の熱交換器(3)。
扁平チューブ(7)は、81個の通路(112)を備えている。
扁平チューブ(7)は、77.3mmの高さHを備えている。
扁平チューブ(7)は、1400mmの展開長さを備えている。
各通路(112)は、長さlが1mmで、幅Lが0.7mmの長方形の穴部A1を備えている。
各通路(112)は、0.86の流体直径dを備えている。
【請求項10】
熱交換器(3)が下記の特徴を備えていることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の熱交換器(3)。
扁平チューブ(7)は、77個の通路(112)を備えている。
扁平チューブ(7)は、77.3mmの高さHを備えている。
扁平チューブ(7)は、1400mmの展開長さを備えている。
各通路(112)は、直径d'が0.6mmの円形の穴部A2を備えている。
各通路(112)は、0.6の流体直径dを備えている。
【請求項11】
熱交換器(3)が下記の特徴を備えていることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の熱交換器(3)。
扁平チューブ(7)は、77個の通路(112)を備えている。
扁平チューブ(7)は、77.3mmの高さHを備えている。
扁平チューブ(7)は、695mmの展開長さを備えている。
各通路(112)は、直径d'が0.6mmの円形の穴部A2を備えている。
各通路(112)は、0.6の流体直径dを備えている。
【請求項12】
本体(13)は、スリーブ(14)状に形成されており、このスリーブ(14)の第1端部(15)を第1端板(17)が閉止し、スリーブ(14)の第2端部(16)を第2端板(18)が閉止していることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱交換器(3)。
【請求項13】
前記スリーブ(14)は、全体が円筒状で、第1端板(17)と第2端板(18)のそれぞれの面P1とP2に、実質上直角な全体伸長軸△に沿って伸長していることを特徴とする請求項12記載の熱交換器(3)。
【請求項14】
本体(13)が、入口孔(8)と出口孔(9)を備えていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の熱交換器(3)。
【請求項15】
入口孔(8)と出口孔(9)が第1端板(17)に設けられていることを特徴とする請求項14記載の熱交換器(3)。
【請求項16】
入口孔(8)と出口孔(9)がスリーブ(14)に設けられていることを特徴とする請求項15記載の熱交換器(3)。
【請求項17】
中心ロッド(23)は、中心ロッド(23)の第1端部(26)に開口している通路(112)と連通している空洞(25)を備えており、外周ロッド(24)は、外周ロッド(24)の第1先端部(29)で開口している通路(112)と連通している孔(28)を備えていることを特徴とする請求項3〜16のいずれか1項に記載の熱交換器(3)。
【請求項18】
第1端部(26)、そして/又は、第1先端部(29)は、同一の端板(17,18)から突出していることを特徴とする請求項17記載の熱交換器(3)。
【請求項19】
第2端部(27)を有する中心ロッド(23)と、第2先端部(30)を有する外周ロッド(24)とともに、第2端部(27)と、第2先端部(30)が、前記本体(13)の構成要素部分である中心円筒部(33)と外周円筒部(32)内に固定されていることを特徴とする請求項17〜18のいずれか1項に記載の熱交換器(3)。
【請求項20】
空調回路(2)と第2回路(4)を備え、少なくとも1つの熱交換器(3)が、前記両回路(2,4)に合同で配置されていることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の空調装置(1)。
【請求項21】
空調回路(2)と第2回路(4)に、複数の熱交換器が配置されていることを特徴とする請求項20に記載の空調装置(1)。
【請求項22】
空調回路(2)の第1循環方向S1に、超臨界流体FRが循環していることを特徴とする請求項20〜21のいずれか1項に記載の空調装置(1)。
【請求項23】
第2回路(4)の第2循環方向S2に、水とグリコールの混合物から成る熱交換流体FCが循環していることを特徴とする請求項20〜22のいずれか1項に記載の空調装置(1)。
【請求項24】
熱交換器(3)内の前記第1循環方向S1は、第2循環方向S2と同方向であることを特徴とする請求項22〜23のいずれか1項に記載の空調装置(1)。
【請求項25】
熱交換器(3)内の前記第1循環方向S1は、第2循環方向S2と対向方向であることを特徴とする請求項22〜23のいずれか1項に記載の空調装置(1)。
【請求項26】
熱交換器(3)内の前記第1循環方向S1は、第2循環方向S2と直角方向であることを特徴とする請求項22〜23のいずれか1項に記載の空調装置(1)。
【請求項27】
扁平チューブ(7)が空調回路(2)を形成している一方で、チューブ間の隙間(12)が第2回路(4)を形成していることを特徴とする請求項22〜26のいずれか1項に記載の空調装置(1)。
【請求項28】
空調回路(2)の“低圧”回路(107)に配置されていることを特徴とする請求項1〜9と請求項12〜19のいずれかに記載の熱交換器(3)を備えていることを特徴とする請求項20〜27のいずれか1項に記載の空調装置(1)。
【請求項29】
空調回路(2)の“高圧”回路(106)に配置されていることを特徴とする請求項1〜8と請求項10〜19のいずれかに記載の熱交換器(3)を備えていることを特徴とする請求項20〜27のいずれか1項に記載の空調装置(1)。

【図1】
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【図1bis】
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【図2】
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【図3】
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【図4−4bis】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2012−510600(P2012−510600A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538020(P2011−538020)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国際出願番号】PCT/FR2009/001360
【国際公開番号】WO2010/063897
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(505113632)ヴァレオ システム テルミク (81)
【Fターム(参考)】