説明

コエンザイムQ10およびミネラル類を含有する食品並びにその製造方法

【課題】コエンザイムQ10とミネラル類としてマグネシウムやカルシウムが共存しているにもかかわらず、コエンザイムQ10が安定であり、コエンザイムQ10とマグネシウムやカルシウムを同時に効率よく摂取することができる食品を提供すること。
【解決手段】コエンザイムQ10とマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物とを含有する食品において、該コエンザイムQ10と該マグネシウムおよび/またはカルシウム含有物とが、互いに接触しにくい形態で、例えばコエンザイムQ1 0 とマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物の少なくとも一方が別個に加工された造粒物またはマイクロカプセル封入物の形態で配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コエンザイムQ10とミネラル類としてマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物を含有する食品に関する。詳細には、コエンザイムQ10とミネラル類としてマグネシウムおよび/またはカルシウムとが高濃度で共存している食品にもかかわらず、コエンザイムQ10の安定性が改善されたコエンザイムQ10含有食品に関する。
【背景技術】
【0002】
コエンザイムQ10は、ユビデカレノンまたは補酵素Q10として知られる高等動物に存在する補酵素Qの1種(分子式C59904 、分子量863. 36)である。コエンザイムQ10は、補酵素として生物活性をもつだけでなく、酸素利用効率を改善させる作用を有するビタミン様作用物質として知られている。このため、コエンザイムQ10は、鬱血組織に作用するほか、生体膜の安定化や抗酸化などの作用を有すると考えられ、臨床的には狭心症、心不全、虚血性心疾患、筋ジストロフィーの症状改善に薬理効果が認められている。また、基礎治療施行中の軽度および中等度の鬱血精神不全症状の治療薬として、また本態性高血圧症、歯周病疾患、制癌剤や向精神薬の副作用予防などにも有効であると報告されている。このようにコエンザイムQ10は高い生理活性を有し、且つ生体内に存在する安全性の高い物質である。
【0003】
しかし、コエンザイムQ10は、融点の低い親油性粉末でありエーテルなどでは高い溶解性を示すが、水に難溶性である。このため、コエンザイムQ10は水に難溶性のために、経口投与における吸収性が非常に低いという問題がある。また、コエンザイムQ10は不安定であり、塩基性物質や光などによって分解してヒドロキノン体やユビクロメノールなどを生成するという問題がある。例えば、塩基性アミノ酸や水溶性ビタミン類とコエンザイムQ10とを共存させると、コエンザイムQ10が非常に不安定となる。これらの成分は、食品、飲料、医薬品および飼料に通常配合されている添加物であるため、コエンザイムQ10の利用が制限されている。
このようなコエンザイムQ10の不安定化の問題を解決するため、本出願人は、コエンザイムQ10の製剤中に有機酸を添加すること(特許文献1を参照)、コエンザイムQ10含有組成物中に鉄塩を添加・配合すること(特許文献2を参照)を提案した。
【0004】
一方、マグネシウムは、カルシウムと共に骨を構成するだけでなく、筋肉や脳、神経にも含まれ、筋肉の刺激感受性を高めたり、各種酵素反応に関与するなど、非常に重要な役割を果たしていることが知られている。近年、マグネシウムは、カルシウム、亜鉛、鉄などと同様に、摂取不足が指摘されており、各種飲食品や健康食品(サプリメント)に配合されることが多い。カルシウムは、マグネシウムと共に骨を構成するための重要な栄養素である。
【0005】
【特許文献1】特開2004−242508号公報
【特許文献2】特許第3618336号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、ミネラル類としてマグネシウムやカルシウムをコエンザイムQ10と共存させると、コエンザイムQ10が非常に不安定になることを発見した。通常は、例えば食品の形態が粉末や顆粒、タブレットなどの固形食品であれば、各成分は比較的安定であると考えられているが、マグネシウムやカルシウムによるコエンザイムQ10の不安定化の問題は、固形食品であっても解消せず、これまでコエンザイムQ10の安定化に寄与することが知られている成分では十分な効果が得られなかった。
【0007】
従って、本発明の課題は、コエンザイムQ10とミネラル類としてマグネシウムやカルシウムが高濃度で共存しているにもかかわらず、コエンザイムQ10が安定であり、コエンザイムQ10とマグネシウムやカルシウムを同時に効率よく摂取することができる食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、コエンザイムQ10とマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物とを含有する食品において、該コエンザイムQ10と該マグネシウムおよび/またはカルシウム含有物とが、互いに接触しにくい形態で配合されていることを特徴とする食品(請求項1に係る発明)を提供することにより、上記課題を解決したものである。
【0009】
ここで、コエンザイムQ10とマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物とが「互いに接触しにくい形態」とは、コエンザイムQ10とマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物とを含有する食品において、通常コエンザイムQ10とマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物とが配合されている状態、即ち両者が粉末状で単に混合されている状態と比べて、両者が直接接触しないか或いは接触する割合が少ない状態をいう。
【0010】
また、本発明は、本発明のコエンザイムQ10含有食品の好ましい実施形態として、上記の互いに接触しにくい形態が、上記コエンザイムQ10と上記マグネシウムおよび/またはカルシウム含有物の少なくとも一方が、より好ましくは両方が、別個に加工された造粒物またはマイクロカプセル封入物の形態である、コエンザイムQ10含有食品(請求項2に係る発明)を提供するものである。
本発明は、上記のように構成することで、喫食あたりの十分な量のコエンザイムQ10を配合すると同時に、コエンザイムQ10100質量部に対し、マグネシウムおよび/またはカルシウム含量が10〜2800質量部の範囲となる量のマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物を共存させたコエンザイムQ10含有食品(請求項3に係る発明)を提供することができる。
【0011】
本発明はまた、上記の本発明のコエンザイムQ10含有食品の好ましい製造方法として、コエンザイムQ10とマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物の少なくとも一方を別個に造粒またはマイクロカプセル封入した後、該コエンザイムQ10と該マグネシウムおよび/またはカルシウム含有物とを配合することを特徴とするコエンザイムQ10含有食品の製造方法(請求項4に係る発明)を提供するものである。
なお、本発明における食品とは、人が摂取する食品、およびその製造のための食品素材のみならず、家畜・ペット用飼料(家畜用飼料、ペットフード)およびその製造のための飼料用素材を包含する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コエンザイムQ10とこれを不安定化するマグネシウムやカルシウムが高濃度で共存しているにもかかわらず、コエンザイムQ10が安定であり、且つコエンザイムQ10とマグネシウムやカルシウムを同時に摂取可能な食品が提供される。コエンザイムQ10とマグネシウムおよび/またはカルシウムを含有する食品において、コエンザイムQ10としてコエンザイムQ10水溶化組成物を用いると、その優れたバイオアベイラビリティー(吸収性・生体利用率など)が奏される反面、マグネシウムやカルシウムの影響をより強く受け、コエンザイムQ10がより不安定化されるが、本発明の食品では、コエンザイムQ10の安定性を保持しながら、コエンザイムQ10とマグネシウムおよび/またはカルシウムの必要量を同時に摂取することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明で用いられるコエンザイムQ1 0 は、原末でもよいが、良好な吸収性のためにコエンザイムQ10の乳化物、例えば乳化処理・水溶化処理を施したコエンザイムQ10水溶化組成物が好ましく、さらにこれを固形化した固形組成物がより好ましい。
上記コエンザイムQ10水溶化組成物は、例えば特許第3549197号明細書および特開2004−242508号公報に記載されるコエンザイムQ10水溶化粉末が挙げられる。このコエンザイムQ10水溶化粉末は、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸の存在下、アラビアガム、寒天、水溶性コーンファイバー、デンプン、ゼラチン、キサンタンガム、カゼイン、デキストリン、カルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドンからなる群から選択される1つ以上の水溶性物質にコエンザイムQ10を分散・乳化し、次いで固形化して得られるものである。このコエンザイムQ10水溶化粉末は、コエンザイムQ10水溶化粉末(日清ファルマ製、「アクアQ10P5」)として、市販されている。さらに、上記コエンザイムQ10水溶化組成物としては、コエンザイムQ10を、グリセリンや糖アルコールなどの多価アルコール、アラビアガム、水溶性コーンファイバー、オクテニルコハク酸澱粉などの加工デンプンを含むデンプン類、ゼラチン、キサンタンガム、カゼインなどの水溶性物質を含有する水性液体中で分散・乳化し、次いでこれを固形化して得られるコエンザイムQ10含有組成物が挙げられる。
これらのコエンザイムQ10水溶化粉末およびコエンザイムQ10含有組成物は、水性液体に分散・溶解した場合には分散粒子の平均粒径が5μm以下、好ましくは1μm以下であり、服用後速やかに、且つ効率よく吸収される。
これらのコエンザイムQ10水溶化粉末およびコエンザイムQ10含有組成物を用いる場合、乾燥前に常法、例えばスプレークール法によりゼラチン、プルランまたはその他の植物ガム類を用いてマイクロカプセル化することができる。また、乾燥したものを公知の造粒法により造粒してもよい。
【0014】
さらに、上記コエンザイムQ10水溶化組成物としては、コエンザイムQ10を乳化剤、分散剤もしくは界面活性剤などにより水性溶液中に分散・乳化させたコエンザイムQ10水溶化組成物を用いることができる。このようなコエンザイムQ10水溶化組成物としては、以下のものを挙げることができる;
・特開2004−196781号公報に記載される、特定の2種の界面活性剤を用いて水中油型エマルジョンを形成させることにより得られるコエンザイムQ10水溶化組成物、具体的にはコエンザイムQ10、平均重合度10のポリグリセリンとステアリン酸、オレイン酸またはリノール酸とのモノエステル、平均重合度3〜6のポリグリセリンとステアリン酸、オレイン酸またはリノール酸とのモノ、ジ、トリまたはペンタエステルおよび水からなり、かつ平均粒子径が110nm以下であるコエンザイムQ10水溶化組成物;
・特開2005−047851号公報に記載されるコエンザイムQ10水溶化組成物、具体的にはC6 〜C14中鎖脂肪酸トリグリセライドおよびプロピレングリコールとC6 〜C18脂肪酸モノまたはジエステルを用いてコエンザイムQ10を乳化して得られる、コエンザイムQ10水溶化組成物;および
・特開2003−238396号公報に記載されるコエンザイムQ10水溶化組成物、具体的にはコエンザイムQ10をショ糖酢酸イソ酪酸エステルなどの中鎖脂肪酸エステルに溶解し、次いでこの溶液と多価アルコールに乳化剤を溶解した溶液とを混合した後、乳化処理して得られる、コエンザイムQ10水溶化組成物。
これらのコエンザイムQ10水溶化組成物は市販されており、例えば日清ファルマ株式会社製のアクアQ10L10などを好ましく用いることができる。これらの水溶化組成物中のコエンザイムQ10の分散粒子の平均粒径は、5μm以下、好ましくは1μm以下であり、服用後には速やかに、且つ効率よく吸収される。これらのコエンザイムQ10水溶化組成物は液状であるため、常法、例えばスプレークール法などによりゼラチン、プルランまたはその他の植物ガム類を用いてマイクロカプセル化して用いることが好ましい。
【0015】
また、上記コエンザイムQ10水溶化組成物を賦形剤に吸着または担持させることにより、固形化、例えば粉末化することができる。ここで賦形剤は、上記コエンザイムQ10水溶化組成物を吸着または担持しうる経口摂取可能な賦形剤であればいずれのものも使用可能であるが、例えば粉末乳糖、微結晶セルロース、α−,β−,γ−サイクロデキストリン、糖(単糖類、少糖類、多糖類など、デンプン、デキストリン、酵素分解デキストリンを含む)、微粒二酸化珪素、糖アルコールなどが挙げられる。
【0016】
本発明においては、コエンザイムQ10の原末、例えば結晶の微粉砕物を用いることもできる。この場合は、コエンザイムQ10の原末に賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤などを添加・配合し、常法に従って造粒するのが好ましい。この他、コエンザイムQ10を植物性油、動物性油などの非親水性有機溶媒に溶解し、常法に従ってマイクロカプセル封入したものを用いてもよい。
【0017】
本発明の食品中のコエンザイムQ10含量は、食品の形態、所望すべき摂取量に応じて適宜決められるが、本発明の食品が錠剤、タブレット、カプセル、顆粒、チュアブル錠、錠菓などの固形食品の場合には、一般的には0.01〜80質量%の範囲であり、好ましくは0.5〜30質量%、例えば5質量%程度である。本発明の食品がドリンク剤、スープ類や飲料用の固形組成物の場合には、コエンザイムQ10含量は0.0001〜10質量%の範囲であり、好ましくは0.01〜5質量%程度である。なお、コエンザイムQ10の1日当たりの摂取量は、年齢、体重や健康状態により異なるが、成人は通常5〜300mg、好ましくは10〜100mgであり、この範囲の所望の摂取量になるように、本発明の食品中のコエンザイムQ10含量を適宜調節することが好ましい。
【0018】
本発明で用いるマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物は、マグネシウムとカルシウムの少なくとも1つを含有するものであればいずれでもよい。マグネシウム含有物には、マグネシウム塩、その誘導体、岩塩や海水もしくはこれらから得られるニガリなどの粗精製物、酵母抽出物または天然抽出物などがあり、具体的には、例えば炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、燐酸マグネシウム、ドロマイトなどが挙げられる。カルシウム含有物には、カルシウム塩、その誘導体、岩塩や海水もしくはこれらから得られるニガリなどの粗精製物、酵母抽出物または天然抽出物などがあり、具体的には、例えばクエン酸カルシウム、ホタテカルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、乳清カルシウム、ドロマイトなどが挙げられる。マグネシウムおよびカルシウムを配合することを所望する場合には、マグネシウムとカルシウムの両方を含有するものを用いるか、あるいは上記のマグネシウム含有物とカルシウム含有物の両方を配合する。
本発明の食品中のマグネシウムおよび/またはカルシウム含量は、食品の形態、所望すべき摂取量に応じて適宜決められるが、本発明の食品が固形食品の場合には、一般的には1〜65質量%の範囲である。ただし、マグネシウム含量は、本発明の食品中のコエンザイムQ10100質量部に対し、10〜2800質量部の範囲になるように調整することが好ましく、より好ましくは50〜1800質量部の範囲になるように調整する。該マグネシウム含量の最適量は栄養機能食品の栄養素の配合量を目安とするのが望ましい。またカルシウム含量は、本発明の食品中のコエンザイムQ10100質量部に対し、10〜2800質量部の範囲になるように調整することが好ましく、より好ましくは100〜1800質量部の範囲になるように調整する。なお、マグネシウムとカルシウムの両方を含有させる場合、マグネシウムおよびカルシウム含量は、本発明の食品中のコエンザイムQ10100質量部に対し、10〜2800質量部の範囲になるように調整することが好ましく、より好ましくは50〜1800質量部の範囲になるように調整する。
【0019】
上記コエンザイムQ10あるいは上記マグネシウムおよび/またはカルシウム含有物を造粒物に加工する方法としては、コエンザイムQ10あるいはマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物の固形組成物の押し出し造粒法、コエンザイムQ10あるいはマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物の液状組成物を、上昇気流により流動化した賦形剤の流動層中に噴霧して、次いで乾燥させる流動層造粒法、賦形剤の少なくとも一部が攪拌翼などにより攪拌された賦形剤の層に、コエンザイムQ10あるいはマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物の液状組成物を滴下または噴霧などの方法により添加する攪拌造粒法などが例示される。また、コエンザイムQ10あるいはマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物の少なくとも一方の液状組成物を噴霧乾燥法により水分を除去し、得られた乾燥粉末を賦形剤と物理的に混合し、所望により造粒して、顆粒状の水溶性組成物を調製する方法でもよい。これら造粒法において、添加物として通常用いる原料、例えば結晶セルロース、還元麦芽糖、コーンスターチ、澱粉、デキストリン、乳糖、ソルビトール、微粒二酸化ケイ素、ショ糖エステル、動植物油脂などの通常用いる添加物を用いて造粒をすることができる。
上記造粒物は、平均粒径が100〜10メッシュであることが好ましく、より好ましくは80〜12メッシュである。
【0020】
また、上記コエンザイムQ10あるいは上記マグネシウムおよび/またはカルシウム含有物の少なくとも一方をマイクロカプセル封入物に加工するには、被膜剤としてゼラチン、カラギナン、プルラン、アラビアゴム末、澱粉、澱粉加水分解物、カゼインナトリウム、加水分解ゼラチン、加工澱粉、グアーガム、デキストリン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースおよび大豆多糖類などを用い、常法によりマイクロカプセル化すればよい。また、コエンザイムQ10あるいはマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物の液状組成物をスプレークール法によりマイクロカプセル封入してもよい。
上記マイクロカプセル封入物の大きさは、100〜8メッシュであることが好ましく、より好ましくは100〜12メッシュである。
【0021】
このように加工して互いに接触しにくい形態としたコエンザイムQ10とマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物を、他の食品素材や原料に添加・配合することにより、本発明の食品を製造することができる。本発明の食品が例えば錠剤、カプセル、顆粒、チュアブル錠、錠菓などの固形食品の場合には、各種結合剤、主に水溶性結合剤を用いることが好ましい。該結合剤の具体例としては、アラビアゴム末、澱粉、澱粉加水分解物、パインファイバー、カゼイン、カゼインナトリウム、加水分解ゼラチン、加工澱粉、寒天、グアーガム、ゼラチン、デキストリン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、プルランなどの他、シロップ、アルギン酸ナトリウム、大豆多糖類などを挙げることができる。
また、当該コエンザイムQ10とマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物は、各種食品の製造前の原料・素材に、または食品の製造中もしくは製造後に添加・配合してもよい。さらに、当該コエンザイムQ10とマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物は、両者を予め混合してから食品に添加してもよく、別個または同時に食品に添加してもよい。
【0022】
本発明の食品には、さらに脂溶性ビタミン類、水溶性ビタミン類、各種ミネラル類、その他の食品原料、栄養素または栄養食品素材を添加・配合してもよい。
上記脂溶性ビタミン類としては、ビタミンE、βカロチンなどが挙げられる。本発明の食品中の上記脂溶性ビタミン類の配合量は、飲食品の形態、配合するビタミンの種類と所望すべき摂取量に応じて適宜決められる。
【0023】
上記水溶性ビタミン類としては、例えばビタミンB群およびビタミンCから選択される1種以上であり、ビタミンB群には、ビタミンB1 各種誘導体(例えば、チアミンまたはその塩、チアミンジスルフィド、フルスルチアミンまたはその塩、ジセチアミン、ビスブチチアミン、ビスベンチアミン、ベンフォチアミン、チアミンモノフォスフェートジスルフィド、シコチアミン、オクトチアミン、プロスルチアミンなど)、ビタミンB2 、ビタミンB6 、ビタミンB12、ビタミンB13、さらにビオチン、パントテン酸、ニコチン酸、葉酸などの各種ビタミンB複合体などが含まれ、これらを2種類以上を同時に配合してもよい。
【0024】
本発明の食品中の上記水溶性ビタミン類の配合量は、食品の形態、配合するビタミンの種類と所望すべき摂取量に応じて適宜決められるが、粉剤や顆粒剤などの場合には、一般的には0.001〜30質量%の範囲であり、好ましくは0.01〜10質量%、例えば1質量%程度である。これら水溶性ビタミン類、さらに脂溶性ビタミン類の配合量は、第7次改定日本人の栄養所要量(第1出版社発行)に記載の80歳の男子生活活軌強度Iに記載の摂取量(目標摂取量)に従って決定することができる。
【0025】
上記ミネラル類としては、鉄、亜鉛、リン、カリウム、銅、ヨウ素、マンガン、セレン、クロムおよびモリブデンなどが含まれる。具体的には、亜鉛酵母、鉄酵母、硫酸第一鉄、ビール酵母銅、ピロリン酸鉄などが挙げられ、これらのうち2種類以上を適宜選択して同時に配合してもよい。
【0026】
上記その他の食品原料は、目的とする食品の種類や形態などによって適宜選択されるものであり、例えば、タンパク質、糖質、食物繊維、有機酸などの酸味料、乳化剤、安定剤、フレーバーの他、固形剤に慣用される賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、アルコール、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤などを剤型に応じて適宜用いることができる。また、乳化剤は、天然高分子や、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、レシチン、ショ糖脂肪酸エステルなどを用いても構わない。
【0027】
上記タンパク質としては、例えば、カゼインまたはカゼインナトリウム、カゼインカルシウムなどのカゼイン塩、鶏卵タンパク質、乳タンパク質、肉タンパク質などの動物性タンパク質、大豆タンパク質などの植物性タンパク質、大豆ペプチドなどのペプチド、ゼラチンなどが挙げられる。また、これらのタンパク質の分解物やアミノ酸を使用してもよい。これらのタンパク質は1種のみを用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0028】
上記糖質としては、例えば、マルトデキストリン、デキストリン、粉飴、ブドウ糖、果糖などの単糖類、マルトース、乳糖などの二糖類、グラニュー糖、オリゴ糖などが挙げられる。これらの糖質は1種のみを用いてもよく、2種以上併用してもよい。
上記食物繊維としては、例えば、セルロース、リグニン、レジスタントスターチ、ポリデキストロース、オリゴ糖、グアガム酵素分解物などの難消化性の多糖類などが挙げられる。これらの食物繊維は1種のみを用いてもよく、2種以上併用してもよい。また、天然高分子化合物なども用いてもよい。
【0029】
また、上記その他の栄養素または栄養食品素材としては、例えば、ガルシニアエキス、ジアシルグリセロール、カプサイシン、βグルカン、γ−アミノ酪酸、アミノ酸類、アガリクス茸エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、DHA、EPA、システイン、システインペプチド、グルタミンペプチド、大豆イソフラボン、ウコン、マカ、ニンジン、α−リポ酸、酵母などのミネラル含有物、青汁、酢、コラーゲン、レシチン、カルニチン、ローヤルゼリー、プロポリス、グルコサミン、メシマコブ菌糸体、コンドロイチン硫酸、塩化ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、液糖、果汁などの呈味成分、コーヒー風味、抹茶風味、ミルク風味などが挙げられる。
【0030】
さらに、賦形剤を適宜選択することにより、得られる固形製剤の機能性・特性を変化させることができる。例えば賦形剤としてソルビトール、デキストリンおよび/またはマンニトールを用いると、水溶性組成物またはこれを含有する食品の水易溶性をさらに高めることができる。また、乳糖、コーンスターチ、ソルビトールおよび/または結晶セルロースを用いると、塑性変形能を有した直接打錠可能な食品素材、飼料用素材が得られる。
【0031】
本発明の食品は、錠剤、チュアブル錠、発泡錠、カプセル、顆粒、粉末剤などの固形食品の形態で提供することができ、そのまま固形食品または固形栄養食品として或いは医薬品または医薬部外品として摂取することができる。カプセル、特にハードカプセルの場合には、ゼラチン、澱粉、カラギナン、プルランなどの動植物由来の原料で製造したカプセルを用いることもでき、錠剤、タブレット、錠菓および顆粒は、周知の方法でコーティングしてもよい。また、本発明の食品は、摂取時に水または湯に溶解乃至分散させて摂取することができる「スープ類や各種飲料用の固形組成物粉」とすることができる。
【0032】
本発明において家畜・ペット用飼料(家畜用飼料、ペットフード)を製造する場合、上述の食品において用いられる各種添加剤の他に、通常、家畜・ペット用飼料に用いられている各種原料、素材および添加物を適宜用いることができる。上記家畜・ペット用飼料は、前述のように加工して互いに接触しにくい形態としたコエンザイムQ10とマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物を、該飼料の製造前の原料・素材に、または飼料の製造中もしくは製造後に添加・配合することにより調製することができる。また、当該コエンザイムQ10とマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物は、両者を予め混合してから飼料に添加してもよく、別個または同時に飼料に添加してもよい。
【0033】
本発明の食品(家畜・ペット用飼料を含む)は、コエンザイムQ10をマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物と共存させているにもかかわらずコエンザイムQ10が安定であり、問題とされているコエンザイムQ10の低吸収性も改善され、コエンザイムQ10とマグネシウムおよび/またはカルシウムを含む各種ミネラル類を効率よく摂取することができる。従って、本発明の食品によれば、何時でもどこでも手軽に確実にコエンザイムQ10とマグネシウムおよび/またはカルシウムを含む各種ミネラルを摂取可能であり、また、本発明の食品は、特にコエンザイムQ10として水溶化組成物を用いた場合、食品などとして加工しやすく、また高齢者や嚥下困難者でも摂取が容易である。
【実施例】
【0034】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
[製造例1] コエンザイムQ10水溶化組成物の製造
(1)アラビアゴム(伊那寒天製)90gを精製水1100gに加え、約60℃まで加温する。これにコエンザイムQ10(日清ファルマ製)30gとリンゴ酸(昭和化工製)15gを添加して混合し、さらに高圧ホモジナイザー(処理圧力750kg/cm2 ,3回)を通過させ、微細且つ均一なエマルジョンを得た。
得られたエマルジョン中のコエンザイムQ10含有分散乳化粒子の粒径をレーザー回折・散乱法式粒度分布測定装置(MICROTRAC FRA ;日機装製)を用いて測定したところ、50%粒径は0. 64μm であった。次いで、得られたエマルジョンにデキストリン(三和デンプン製)200gおよび乳糖(DMV製)265gを用いて流動層で粉末化して、橙黄色の粉末〜顆粒状のコエンザイムQ10水溶化組成物を得た。
【0036】
[製造例2] コエンザイムQ10粉末組成物の製造

オクテニルコハク酸デンプンナトリウム(松谷化学工業製)800g、デキストリン(松谷化学工業製)300gおよびグリセリン100gを精製水4000gに加え、約60℃まで加温する。これにコエンザイムQ10(日清ファルマ製)800gを添加して混合し、さらに高圧ホモジナイザー(処理圧力700kg/cm2 ,3回)を通過させ、微細且つ均一なエマルジョンを得た。

得られたエマルジョン中のコエンザイムQ10含有分散乳化粒子の粒径を製造例1と同様に測定したところ、50%粒径は0. 31μmであった。次いで、得られたエマルジョンを噴霧乾燥装置を用いて乾燥して、橙色のコエンザイムQ10粉末組成物を得た。
【0037】
[実施例1]
製造例2で得られたコエンザイムQ10粉末組成物120g、ビタミンB1(DSM製)5g、ビタミンB2(三菱化学フーズ製)5g、ビタミンE(理研ビタミン製)10g、アビセル101(旭化成F製)320gおよびパインファイバー(松谷化学工業製)140gを混合し、流動層で澱粉(松谷化学工業製)をバインダーとして30分噴霧し、コエンザイムQ10含有造粒物(平均粒径42メッシュ)を得た。
これとは別個に、亜鉛酵母(オリエンタル工業製)110g、ホタテカルシウム(協和発酵製)1050g、炭酸マグネシウム(富田製薬製)650g、ピロリン酸第二鉄(富田製薬製)120g、アビセル101 280gおよびパインファイバー100gを混合し、流動層で澱粉(松谷化学工業製)をバインダーとして30分噴霧し、マグネシウムおよびカルシウム含有造粒物(平均粒径60メッシュ)を得た。
上記コエンザイムQ10含有造粒物600g、上記マグネシウムおよびカルシウム含有造粒物2310g並びにショ糖エステル90gを均一に混合して、「コエンザイムQ10、マグネシウムおよびカルシウム含有粉末組成物」を得た。該粉末組成物を用いて常法に従って打錠して、1粒あたり500mgの錠剤を製造した。
【0038】
[実施例2]
実施例1で得られた「コエンザイムQ10、マグネシウムおよびカルシウム含有粉末組成物」を0号カプセルに1カプセルあたり300mg充填し、ハードカプセルを製造した。
【0039】
[実施例3]
実施例1で得られた「コエンザイムQ10、マグネシウムおよびカルシウム含有粉末組成物」を用いてスティック包装を行い、1包あたり600mg充填して、スティック包装顆粒を製造した。
【0040】
[実施例4]
製造例2で得られたコエンザイムQ10粉末組成物120g、ビタミンB1(DSM製)5g、ビタミンB2(三菱化学フーズ製)5g、ビタミンE(理研ビタミン製)10g、アビセル101 320gおよびパインファイバー140gを混合し、流動層で澱粉(松谷化学工業製)をバインダーとして30分噴霧し、コエンザイムQ10含有造粒物(平均粒径60メッシュ)を得た。
これとは別個に、ホタテカルシウム(協和発酵製)1100g、炭酸マグネシウム(富田製薬製)600g、アビセル101 410gおよびパインファイバー200gを混合し、流動層で澱粉(松谷化学工業製)をバインダーとして30分噴霧し、マグネシウムおよびカルシウム含有造粒物(平均粒径80メッシュ)を得た。
上記コエンザイムQ10含有造粒物600g、上記マグネシウムおよびカルシウム含有造粒物2310g並びにショ糖エステル90gを均一に混合して、「コエンザイムQ10、マグネシウムおよびカルシウム含有粉末組成物」を得た。該粉末組成物を用いて常法に従って打錠して、1粒あたり500mgの錠剤を製造した。
【0041】
[実施例5]
製造例2で得られたコエンザイムQ10粉末組成物120g、アビセル101 340gおよびパインファイバー140gを混合し、流動層で澱粉(松谷化学工業製)をバインダーとして30分噴霧し、コエンザイムQ10含有造粒物(平均粒径42メッシュ)を得た。
これとは別個に、ホタテカルシウム(協和発酵製)1100g、燐酸マグネシウム(富田製薬製)600g、アビセル101 410gおよびパインファイバー200gを混合し、流動層で澱粉(松谷化学工業製)をバインダーとして40分噴霧し、マグネシウムおよびカルシウム含有造粒物(平均粒径64メッシュ)を得た。
上記コエンザイムQ10含有造粒物600g、上記マグネシウムおよびカルシウム含有造粒物2310g並びにショ糖エステル90gを均一に混合して、「コエンザイムQ10、マグネシウムおよびカルシウム含有粉末組成物」を得た。該粉末組成物を用いて常法に従って打錠して、1粒あたり500mgの錠剤を製造した。
【0042】
[実施例6]
製造例2で得られたコエンザイムQ10粉末組成物120g、アビセル101 340gおよびパインファイバー140gを混合し、流動層で澱粉(松谷化学工業製)をバインダーとして30分噴霧し、コエンザイムQ10含有造粒物(平均粒径48メッシュ)を得た。
これとは別個に、ホタテカルシウム(協和発酵製)1100g、硫酸マグネシウム(富田製薬製)600g、アビセル410gおよびパインファイバー200gを混合し、流動層で澱粉(松谷化学工業製)をバインダーとして30分噴霧し、マグネシウムおよびカルシウム含有造粒物(平均粒径68メッシュ)を得た。
上記コエンザイムQ10含有造粒物600g、上記マグネシウムおよびカルシウム含有造粒物2310g並びにショ糖エステル90gを均一に混合して、「コエンザイムQ10、マグネシウムおよびカルシウム含有粉末組成物」を得た。該粉末組成物を用いて常法に従って打錠して、1粒あたり500mgの錠剤を製造した。
【0043】
[実施例7]
製造例2で得られたコエンザイムQ10粉末組成物100g、ビタミンB1(DSM製)1g、ビタミンB2(三菱化学フーズ製)1g、ビタミンE(理研ビタミン製)1g、アビセル101 52gおよびパインファイバー45gを混合し、流動層で澱粉(松谷化学工業製)をバインダーとして30分噴霧し、コエンザイムQ10含有造粒物(平均粒径82メッシュ)を得た。
これとは別個に、ゼラチン(新田ゼラチン製)100gに水を加え約50℃で加熱溶解し、その液に亜鉛酵母(オリエンタル工業製)11g、ホタテカルシウム(協和発酵製)105g、炭酸マグネシウム(富田製薬製)65gおよびピロリン酸第二鉄(富田製薬製)12gを加え十分攪拌した。これを流動層乾燥機(フロイント産業製)を用い25℃以下の乾燥条件下でスプレーを行い、その後乾燥させて、マグネシウムおよびカルシウム含有マイクロカプセルを得た。
上記コエンザイムQ10含有造粒物200g並びに上記マグネシウムおよびカルシウム含有マイクロカプセル293gを混合し、これにアビセル101 128gおよびパインファイバー20gを混合し、さらにショ糖エステル25gを添加し、均一に混合して、「コエンザイムQ10、マグネシウムおよびカルシウム含有粉末組成物」を得た。該粉末組成物を用いて常法に従って打錠して、1粒あたり500mgの錠剤を製造した。
【0044】
[比較例1]
製造例2で得られたコエンザイムQ10粉末組成物120g、ビタミンB1(DSM製)5g、ビタミンB2(三菱化学フーズ製)5g、ビタミンE(理研ビタミン製)10g、アビセル101 600g、パインファイバー240g、亜鉛酵母(オリエンタル工業製)110g、ホタテカルシウム(協和発酵製)1050g、炭酸マグネシウム(富田製薬製)650g、ピロリン酸第二鉄(富田製薬製)120gを全て混合し、流動層で澱粉(松谷化学工業製)をバインダーとして30分噴霧し、「コエンザイムQ10、マグネシウムおよびカルシウムを含有する造粒物」を得た。
この造粒物2910gに、ショ糖エステル90gを添加して、均一に混合して、打錠末を得た。該打錠末を用いて常法に従って打錠して、1粒あたり500mgの錠剤を製造した。
【0045】
[比較例2]
コエンザイムQ10 6g、ビタミンB1(DSM製) 5g、ビタミンB2(三菱化学フーズ製) 5g、ビタミンE(理研ビタミン製)10g、アビセル101 600g、乳糖114g、パインファイバー240g、亜鉛酵母(オリエンタル工業製)110g、ホタテカルシウム(協和発酵製)1050g、炭酸マグネシウム(富田製薬製)650g、ピロリン酸第二鉄(富田製薬製)120gを全て混合し、流動層で澱粉(松谷化学工業製)をバインダーとして30分噴霧し、「コエンザイムQ10、マグネシウムおよびカルシウムを含有する造粒物」を得た。
この造粒物2910gに、ショ糖エステル90gを添加して、均一に混合して、打錠末を得た。該打錠末を用いて常法に従って打錠して、1粒あたり500mgの錠剤を製造した。
【0046】
[比較例3]
製造例2で得られたコエンザイムQ10粉末組成物120g、ビタミンB1(DSM製)5g、ビタミンB2(三菱化学フーズ製)5g、ビタミンE(理研ビタミン製)10g、アビセル101 1650g、パインファイバー240g、亜鉛酵母(オリエンタル工業製)110g、炭酸マグネシウム(富田製薬製)650g、ピロリン酸第二鉄(富田製薬製)120gを全て混合し、流動層で澱粉(松谷化学工業製)をバインダーとして30分噴霧し、「コエンザイムQ10およびマグネシウムを含有する造粒物」を得た。
この造粒物1860gに、アビセル101 1050gおよびショ糖エステル90gを添加して、均一に混合して、打錠末を得た。該打錠末を用いて常法に従って打錠して、1粒あたり500mgの錠剤を製造した。
【0047】
[比較例4]
製造例2で得られたコエンザイムQ10粉末組成物120g、ビタミンB1(DSM製)5g、ビタミンB2(三菱化学フーズ製)5g、ビタミンE(理研ビタミン製)10g、アビセル101 1250g、パインファイバー240g、亜鉛酵母(オリエンタル工業製)110g、ホタテカルシウム(協和発酵製)1050g、ピロリン酸第二鉄(富田製薬製)120gを全て混合し、流動層で澱粉(松谷化学工業製)をバインダーとして30分噴霧し、「コエンザイムQ10およびカルシウムを含有する造粒物」を得た。
この造粒物2910gに、ショ糖エステル90gを添加して、均一に混合して、打錠末を得た。該打錠末を用いて常法に従って打錠して、1粒あたり500mgの錠剤を製造した。
【0048】
[試験例1] 安定性試験
実施例1、4、5および6並びに比較例1〜4の錠剤(タブレット食品)を用いて、コエンザイムQ10の安定性試験を行った。具体的には、40℃にて1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月保存後の錠剤中のコエンザイムQ10量を下記の条件にて測定し、開始時のコエンザイムQ10量を100%としたコエンザイムQ10の残存率(%)を算出した。
保存条件;40℃,75%RH保存(ガラス瓶)
測定条件;測定はHPLCを用い下記の条件で行った。
カラム:ODS−5 4. 6mm*150mm
移動相:メタノール:エタノール(65:35)
流速:1ml/min
温度:35℃
検出器:紫外分光光度計 275nm
注入量:5μL
【0049】
その結果、比較例1〜4の錠剤では、コエンザイムQ10の残存率が著しく低下するのに対して、実施例1、4、5および6の錠剤では、コエンザイムQ10の残存率がほとんど低下しないか、低下してもごく僅かであった。これらのことから、本発明の食品では、コエンザイムQ10の保存安定性が極めて良好であることが確認された。得られた結果を表1に示す。
【0050】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コエンザイムQ10とマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物とを含有する食品において、該コエンザイムQ10と該マグネシウムおよび/またはカルシウム含有物とが、互いに接触しにくい形態で配合されていることを特徴とする食品。
【請求項2】
上記コエンザイムQ10と上記マグネシウムおよび/またはカルシウム含有物の少なくとも一方が別個に加工された造粒物またはマイクロカプセル封入物である、請求項1記載の食品。
【請求項3】
上記マグネシウムおよび/またはカルシウム含有物の配合量が、コエンザイムQ10100質量部に対し、上記マグネシウムおよび/またはカルシウム含有物中のマグネシウムおよび/またはカルシウム含量が10〜2800質量部の範囲となる量である、請求項1または2記載の食品。
【請求項4】
コエンザイムQ1 0とマグネシウムおよび/またはカルシウム含有物の少なくとも一方を別個に造粒またはマイクロカプセル封入した後、該コエンザイムQ10と該マグネシウムおよび/またはカルシウム含有物とを配合することを特徴とするコエンザイムQ10含有食品の製造方法。

【公開番号】特開2006−320311(P2006−320311A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321010(P2005−321010)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(301049744)日清ファルマ株式会社 (61)
【Fターム(参考)】