コジェネレーションシステム並びにその運転計画作成方法および運転計画作成装置
【課題】好適な運転計画を少ない計算量で立てる。
【解決手段】発電装置と、排熱を回収して蓄熱する蓄熱装置とを備えるコジェネレーションシステムの運転計画作成装置に、未来の電力使用量予測値および未来の熱使用量予測値を記憶する予測量記憶部51と、時間帯ごとの発電量を表す遺伝子からなる個体で表されるように発電装置を運転したときのエネルギー削減量を電力使用量予測値および熱使用量予測値に基づいて求める適応度算出部52と、個体の群である第1世代を生成する個体群生成部53と、少なくとも一部の遺伝子が電力使用量予測値に対応する負荷追従個体を生成する負荷追従個体生成部54と、前世代の個体の群から新世代の個体の群を遺伝的アルゴリズムでエネルギー削減量が大きくなるように生成する交配部55と、最後の世代の個体群のうちエネルギー削減量が最も大きい個体を運転計画とする運転計画作成部56と、を備える。
【解決手段】発電装置と、排熱を回収して蓄熱する蓄熱装置とを備えるコジェネレーションシステムの運転計画作成装置に、未来の電力使用量予測値および未来の熱使用量予測値を記憶する予測量記憶部51と、時間帯ごとの発電量を表す遺伝子からなる個体で表されるように発電装置を運転したときのエネルギー削減量を電力使用量予測値および熱使用量予測値に基づいて求める適応度算出部52と、個体の群である第1世代を生成する個体群生成部53と、少なくとも一部の遺伝子が電力使用量予測値に対応する負荷追従個体を生成する負荷追従個体生成部54と、前世代の個体の群から新世代の個体の群を遺伝的アルゴリズムでエネルギー削減量が大きくなるように生成する交配部55と、最後の世代の個体群のうちエネルギー削減量が最も大きい個体を運転計画とする運転計画作成部56と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用燃料電池システムなどのコジェネレーションシステム並びにその運転計画作成方法および運転計画作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用燃料電池システムは、都市ガスやLPガス等を用いた発電を行いながら、排熱を回収して湯を作るコジェネレーションシステムである。燃料電池システムを設置した家庭では、電力を商用電力系統のみから、湯は給湯ボイラーのみから供給されている家庭に比べ、一次エネルギーの消費量を削減する省エネ効果が期待できる。
【0003】
一般的な家庭用燃料電池システムでは、都市ガスやLPガスなどの燃料が燃料制御手段によって流量を制御されながら燃料電池ユニットに供給される。この燃料は、改質手段によって水素リッチな改質ガスに処理され、燃料電池本体に供給される。燃料電池本体は、この改質ガスと周辺の空気によって発電する。燃料電池本体で発電された直流電気は、インバータによって交流電気に変換され、商用電力系統とあわせて設置家庭の電力負荷に供給される。
【0004】
発電の際に燃料電池本体で発生した熱は、燃料電池冷却水と熱交換手段を介して貯湯ユニット中の貯湯タンクに蓄熱され、設置家庭には貯湯タンクに貯めた湯が供給される。また、燃料電池本体の排ガスや改質手段の排ガスからも熱回収される。
【0005】
運転計画設定手段は、設置家庭に適した燃料電池システムの運転計画を立てる。出力制御手段は、運転計画設定手段によって立てられた運転計画に従って、燃料電池の出力を制御する。具体的には、燃料制御手段の出力を変化させ、燃料流量などを制御している。燃料電池ユニットから供給する電力が、設置家庭の電力負荷を超えると、商用電力系統に逆潮流される。この逆潮流を回避するために、出力制御手段は、運転計画に従った出力制御を行いながらも、インバータからの出力電力が電力負荷を超えようとしたときは、運転計画以下の出力に制御する。
【0006】
家庭用燃料電池システムの運用においては、運転計画決定手段で立てる運転計画が省エネ効果に大きな影響を与える。たとえば、湯の使用量の多い家庭において発電量が過少である場合、十分な電力や湯を家庭に供給できず、高い省エネ効果が得られないことは自明である。一方で、発電量を増加させて湯の回収量の増加を図っても、システムの発電容量による制約や逆潮流回避のための制約がある。仮に高出力で多くの熱回収ができたとしても、熱回収量が過多になると、貯湯タンク内に湯が余る状態が長く続き、放熱量の増加やラジエータ作動が起こるため、省エネ性が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−318824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
家庭用燃料電池システムで高い省エネ性を実現するためには、設置家庭における湯の使用量に対して湯切れ・湯余りを発生させないことが重要である。このため、運転計画設定手段において設置家庭の電気・湯の使用パターンを考慮した、最適な運転計画を立てることが不可欠である。
【0009】
しかし、実際に最適な運転計画を見つけることは、電力・湯の使用パターンやシステム効率など多数の計算条件のもと、無数に存在する運転計画から最適解を見出すことに等しい。このため、非常に複雑な最適化問題を解く必要がある。そこで、特許文献1には、複雑な最適化問題を解くのに有効な遺伝的アルゴリズムを発展させた、確率モデル遺伝的アルゴリズムを用いて運転計画を立てる方法が開示されている。しかし、特許文献1に記載された確率モデル遺伝的アルゴリズムにおいては、最適化のための計算量が非常に多く、実際の燃料電池ユニット内で計算を実行するのは困難である。
【0010】
そこで、本発明は、コジェネレーションシステムの好適な運転計画を少ない計算量で立てられるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明は、コジェネレーションシステムにおいて、電力負荷に電力を供給する発電装置と、前記発電装置の排熱を回収して蓄熱して熱負荷に供給する蓄熱装置と、前記電力負荷の未来の電力使用量予測値および前記熱負荷の未来の熱使用量予測値を記憶する予測量記憶部と、時間帯ごとの前記発電装置の発電量を表す遺伝子からなる個体で表されるように前記発電装置を運転したときの適応度を前記電力使用量予測値および前記熱使用量予測値に基づいて求める適応度算出部と、前記個体の群である第1世代を生成する個体群生成部と、少なくとも一部の前記遺伝子が前記電力使用量予測値に対応する負荷追従個体をいずれかの世代に強制的に生成する負荷追従個体生成部と、前世代の前記個体の群から新世代の前記個体の群を遺伝的アルゴリズムで生成する交配部と、最後の世代までに生成されたいずれかの個体に基づいて運転計画を定める運転計画作成部と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、電力負荷に電力を供給する発電装置と、前記発電装置の排熱を回収して蓄熱して熱負荷に供給する蓄熱装置と、を備えるコジェネレーションシステムの運転計画作成方法において、前記電力負荷の未来の電力使用量予測値および前記熱負荷の未来の熱使用量予測値を記憶する予測量記憶工程と、時間帯ごとの前記発電装置の発電量を表す遺伝子からなる個体で表されるように前記発電装置を運転したときの適応度を前記電力使用量予測値および前記熱使用量予測値に基づいて求める適応度算出工程と、前記個体の群である第1世代を生成する個体群生成工程と、少なくとも一部の前記遺伝子が前記電力使用量予測値に対応する負荷追従個体をいずれかの世代に強制的に生成する負荷追従個体生成工程と、前世代の前記個体の群から新世代の前記個体の群を遺伝的アルゴリズムで生成する交配工程と、最後の世代までに生成されたいずれかの個体に基づいて運転計画を定める運転計画作成工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、電力負荷に電力を供給する発電装置と、前記発電装置の排熱を回収して蓄熱して熱負荷に供給する蓄熱装置と、を備えるコジェネレーションシステムの運転計画作成装置において、前記電力負荷の未来の電力使用量予測値および前記熱負荷の未来の熱使用量予測値を記憶する予測量記憶部と、時間帯ごとの前記発電装置の発電量を表す遺伝子からなる個体で表されるように前記発電装置を運転したときの適応度を前記電力使用量予測値および前記熱使用量予測値に基づいて求める適応度算出部と、前記個体の群である第1世代を生成する個体群生成部と、少なくとも一部の前記遺伝子が前記電力使用量予測値に対応する負荷追従個体をいずれかの世代に強制的に生成する負荷追従個体生成部と、前世代の前記個体の群から新世代の前記個体の群を遺伝的アルゴリズムで生成する交配部と、最後の世代までに生成されたいずれかの個体に基づいて運転計画を定める運転計画作成部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コジェネレーションシステムの好適な運転計画を少ない計算量で立てられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る家庭用燃料電池システムの第1の実施の形態におけるブロック図である。
【図2】本発明に係る家庭用燃料電池システムの第1の実施の形態における運転計画作成装置のブロック図である。
【図3】本発明に係る家庭用燃料電池システムの第1の実施の形態における運転計画作成方法のフローチャートである。
【図4】本発明に係る家庭用燃料電池システムの第1の実施の形態における第1世代の遺伝子を示す表である。
【図5】本発明に係る家庭用燃料電池システムの第1の実施の形態で運転計画を作成した場合の世代ごとの適応度の最高値を示すグラフである。
【図6】負荷追従個体を生成しないで運転計画を作成した場合の世代ごとの適応度の最高値を示すグラフである。
【図7】本発明に係る家庭用燃料電池システムの第2の実施の形態における運転計画作成方法のフローチャートである。
【図8】本発明に係る家庭用燃料電池システムの第2の実施の形態における電力使用予測量、運転計画遺伝子および貯湯タンク蓄熱予測量の時間変化の例を示すグラフである。
【図9】遺伝子が全てゼロの個体を入れない場合の電力使用予測量、運転計画遺伝子および貯湯タンク蓄熱予測量の時間変化の例を示すグラフである。
【図10】本発明に係る家庭用燃料電池システムの第3の実施の形態における運転計画作成方法のフローチャートである。
【図11】本発明に係る家庭用燃料電池システムの第3の実施の形態で運転計画を作成した場合の世代ごとの適応度の最高値を示すグラフである。
【図12】過去の運転計画に対応する個体を用いないで運転計画を作成した場合の世代ごとの適応度の最高値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る燃料電池発電システムの実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明に係る家庭用燃料電池システムの第1の実施の形態におけるブロック図である。
【0018】
本実施の形態の家庭用燃料電池システムは、燃料電池ユニット31と、貯湯タンク19とを有している。燃料電池ユニット31は、燃料電池発電装置32と、出力制御装置15と、熱交換器18と、運転計画作成装置17とを有している。燃料電池発電装置32は、燃料制御器11と、改質器12と、燃料電池本体13と、インバータ14とを有している。
【0019】
燃料制御器11には、外部の燃料供給源から延びる燃料供給配管21が接続されている。燃料制御器11と改質器12との間、および、改質器12と燃料電池本体13との間は配管で接続されている。また、熱交換器18の高温側と燃料電池本体13との間には、冷却媒体を循環させる冷却配管23が設けられている。熱交換器18の低温側と貯湯タンク19との間には、水を循環させる加熱配管24が設けられている。
【0020】
燃料電池本体13とインバータ14の直流入力側は電気的に接続されている。インバータ14の交流出力側は、商用電力系統22および電力負荷16に接続されている。電力負荷16とは、たとえば家庭内に設置された冷蔵庫などである。また、貯湯タンク19の液相は、家庭内に設置された風呂などの給湯負荷20と配管で接続されている。
【0021】
運転計画作成装置17には、給湯負荷20から湯使用量情報41、および、電力負荷16から電力使用量情報42が伝達される。電力使用量情報42は、出力制御装置15にも伝達される。インバータ14の出力電力量情報43は、出力制御装置15に伝達される。運転計画作成装置17から出力制御装置15には、運転計画44が伝達される。出力制御装置15は、燃料制御器11などを制御する。
【0022】
都市ガスやLPガスなどの燃料は、燃料制御器11によって流量を制御されながら燃料電池ユニット31に供給される。この燃料は、改質器12によって水素リッチな改質ガスに処理され、燃料電池本体13に供給される。燃料電池本体13は、この改質ガスと周辺の空気によって発電する。燃料電池本体13で発電された直流電気は、インバータ14により交流電気に変換され、商用電力系統22から供給される電気とともに設置家庭の電力負荷16に供給される。
【0023】
発電の際に燃料電池本体13で発生した熱は、冷却配管23を流れる燃料電池冷却水と熱交換器18とを介して、貯湯タンク19に蓄熱される。貯湯タンク19に貯えられた湯は、設置家庭の給湯負荷20に供給される。なお、貯湯タンク19内の水には、燃料電池本体13の排ガスや改質器12の排ガスからも熱回収されていてもよい。
【0024】
運転計画作成装置17は、設置家庭に適した燃料電池システムの運転計画を立てる。運転計画とは、インバータから出力する時間帯ごとの発電量である。出力制御装置15は、運転計画作成装置17によって立てられた運転計画に従って、燃料電池の出力を制御する。具体的には、燃料制御器11を制御して、改質器12に供給される燃料流量などを制御する。燃料電池ユニット31が供給する電力が、設置家庭の電力負荷を超えると、商用電力系統22に逆潮流される。この逆潮流を回避するために、出力制御手段15は、運転計画に従った出力制御を行いながらも、インバータ14からの出力電力が電力負荷16を超えようとしたときは、運転計画以下の出力に制御する。
【0025】
図2は、本実施の形態における運転計画作成装置のブロック図である。図3は、本実施の形態における運転計画作成方法のフローチャートである。
【0026】
運転計画作成装置17は、予測量記憶部51と、適応度算出部52と、個体群生成部53と、付加追従個体生成部54と、交配部55と、運転計画作成部56と、を有している。運転計画作成方法は、未来の湯使用量および電力使用量の予測(S1)、および、その予測量を用いた運転計画の決定(S2〜S8)に、大きく分けることができる。本実施の形態は、家庭用のコジェネレーションシステムを対象としているため、湯使用量が熱使用量に等しい。工程S2〜工程S8は、遺伝的アルゴリズムを用いて運転計画の最適解を見つける工程である。
【0027】
ここで運転計画の最適解とは、その運転計画の省エネルギーに対する適応度が最も高い解である。運転計画の適応度として、たとえばエネルギー削減量を指標として用いる。エネルギー削減量は、電力使用量予測値を外部の電力供給源が供給する場合のエネルギー使用量と、熱使用量予測値を外部の熱供給源が供給する場合のエネルギー使用量との和を基準とする。外部の電力供給源とは、たとえば商用電力系統22である。外部の熱供給源とは、たとえば燃料供給配管21から都市ガスなどを供給されて湯を沸かし、供給する給湯器である。
【0028】
エネルギー削減量は、適応度算出部52が算出する。このエネルギー削減量は、次式で表される。
【0029】
エネルギー削減量=ST/EF+SE/EE−CF
ここで、STは湯供給量、EFは給湯器効率、SEは電力供給量、EEは発電所発電効率、CFは燃料消費量である。
【0030】
まず、工程S1では、予測量記憶部51に、電力負荷の未来の電力使用量予測値および熱負荷の未来の熱使用量予測値が記憶される。電力使用量予測値および熱使用量予測値は、たとえば運転計画作成装置17が過去の湯使用量および電力使用量に基づいて予測する。あるいは、電力使用量予測値および熱使用量予測値は、外部から与えられてもよい。
【0031】
次に、個体群生成部53は、第1世代の個体の群を生成する(S2,S3)。ここで個体とは、遺伝子の集合体である。遺伝子は、時間帯ごとの燃料電池発電装置32の発電量を表す数値である。工程S2では、付加追従個体生成部54が負荷追従個体を生成し、工程S2では残りの第1世代の個体を生成する。負荷追従個体とは、少なくとも一部の遺伝子が電力使用量予測値に対応する個体である。残りの個体は、たとえば乱数の集合体で生成される。
【0032】
図4は、本実施の形態における第1世代の遺伝子を示す表である。この表で、第1世代の遺伝子は、運転計画遺伝子として示されている。また、この表には、時間帯ごとの湯使用予測量、電力使用予測量、燃料消費予測量、貯湯タンク蓄熱予測量、湯供給予測量、電力供給予測量をあわせて示している。
【0033】
図4における湯使用予測量とは、設置家庭で消費する湯の使用量の予測値であり、家庭用燃料電池システムの排熱を回収した熱によって供給された湯だけでなく、別途ボイラーなどで沸かした湯を使う場合も含む。また、図4における電力使用予測量とは、設置家庭で消費する電力使用量の予測値であり、燃料電池発電装置32で供給した電力だけでなく、商用電力系統22から供給される電力を使う場合も含む。燃料消費予測量とは、運転計画遺伝子に沿って発電するために燃料供給配管21から供給される燃料の量をエネルギーの単位で表したものである。貯湯タンク蓄熱予測量は、運転計画遺伝子に沿って発電し、湯使用予測量に従って設置家庭で湯が使用された場合の貯湯タンクに貯えられる湯量をエネルギーの単位で表したものである。湯供給予測量および電力供給予測量とは、運転計画遺伝子に沿って発電した場合に、この家庭用燃料電池システムが供給する湯および電力の供給量である。
【0034】
図4に示すとおり、本実施の形態では、負荷追従個体として、電力使用予測量そのものの値を遺伝子とする個体を用いる。ただし、電力使用予測量が、燃料電池発電装置32の最低出力(ここでは250Wとする)から最大出力(ここでは700Wとする)の範囲を逸脱する場合には、その最低出力または最大出力を遺伝子とする。
【0035】
第n世代のi番目の個体をpn,i={g1,g2, …,gm}として表すこととする。ここで、gjは時間帯ごとの発電量を示す遺伝子、mは遺伝子の個数すなわち運転計画に対応する運転期間に対応する時間帯の数である。時間帯はたとえば1時間ごとで、72時間分の運転計画を作成するものとする。各世代の個体の数は、たとえば50とする。第1世代の個体群は、たとえば以下の通りとなる。
【0036】
p1,1 = {618,605,615,700,・・・・,700,700,700,700}
p1,2 = {497,368,700,574,・・・・,254,543,354,266}
p1,3 = {633,567,297,404,・・・・,365,487,667,354}
:
p1,50 = {560,463,654,365,・・・・,265,451,654,354}
この第1世代の個体のうち、p1,1が負荷追従個体である。p1,2ないしp1,50の各遺伝子は、たとえば最低出力から最大出力の範囲内の乱数で与えられる。
【0037】
次に、これらの個体群に対して交叉(S3)および突然変異(S4)の操作を加える。交叉の操作としては、2点交叉を適用し、20対の親の個体から20の子孫を生成する。突然変異は3%の確率で発生するものとし、突然変異の操作ではランダムに選択される2点間の遺伝子を家庭用燃料電池システムの最低出力から最大出力の範囲の乱数に置き換える。
【0038】
その後、このようにして生成されたそれぞれの個体および第1世代の個体について、適応度算出部が適応度を算出する(S5)。次に、これらの個体を、適応度が高い50の個体のみを残すエリート選択によって淘汰し、第2世代の個体群を生成する(S6)。交叉(S3)、突然変異(S4)およびエリート選択(S6)で、新世代の個体群を遺伝的アルゴリズムで生成する操作は、世代数をチェックしながら(S7)、所定の世代数に達するまで繰り返される。所定の世代数に達したら、運転計画作成部55は、最後の世代までに生成されたいずれかの個体に基づいて運転計画を定める。運転計画作成部56は、たとえば最後の世代の個体群のうち適応度すなわちエネルギー削減量が最も大きい個体を運転計画とする。
【0039】
遺伝的アルゴリズムを適用する場合、計算の始めには、第1世代の個体を作る必要がある。一般的には、遺伝的アルゴリズムを用いる場合、第1世代の遺伝子に、乱数を組み込むことが多い。しかし、この方法を燃料電池の運転計画最適化に適用しようとすると、運転計画の立て方は無数にあるため、非常に多い世代数まで計算しないと、充分な適応度を持つ個体が得られない。しかし、燃料電池システムの運転では、湯余りを起こさない限り、電力負荷に追従するとエネルギー削減量が高くなりやすい。したがって、求めようとする運転計画の最適解は、この近傍に存在する可能性が高い。
【0040】
図5は、本実施の形態で運転計画を作成した場合の世代ごとの適応度の最高値を示すグラフである。図6は、負荷追従個体を生成しないで運転計画を作成した場合の世代ごとの適応度の最高値を示すグラフである。
【0041】
図5に示すとおり、電力負荷に追従する個体を第1世代に入れた本実施の形態では、図6に示した負荷追従個体を入れない場合の結果に比べて、適応度の高い個体を早期に作成されることがわかる。これは、負荷追従個体を第一世代の親として、湯余りを防止するような子孫に淘汰されていったためである。
【0042】
このように、第1世代の個体の一つに対し、電力負荷に追従するような発電出力を遺伝子に持たせることで、同じ繰返し計算数でも適応度の高い個体を作成することができる。これにより、繰返し計算数を、すなわち、少ない計算量で、好適な運転計画を得ることができる。
【0043】
本実施の形態では、完全に電力使用量予測値に追従させる個体を第1世代に作ったが、電力使用量予測値と一部が異なるものであってもよい。たとえば電力系統への逆潮流を発生させにくくするために、電力使用量予測値からマージンを引いた出力の個体を用いてもよい。また、本実施の形態では、当該個体を第1世代に作ったが、他の世代に作っても実質的な効果は変わらないため、当該個体を都合に応じて他の世代に作ってもよい。また、交叉と淘汰には二点交叉とエリート選択を用いているが、一点交叉やルーレット選択を用いてもよい。適応度にはエネルギー削減量を適用したが、実質的にエネルギー削減量に対応するCO2削減量や光熱費低減量などを適応度としてもよい。
【0044】
[第2の実施の形態]
図7は、本発明に係る家庭用燃料電池システムの第2の実施の形態における運転計画作成方法のフローチャートである。
【0045】
本実施の形態では、第1の実施の形態に、遺伝子が全てゼロの個体を強制的に追加する工程(S9)を次世代の遺伝子操作に入る前に追加したものである。遺伝子がゼロとは、燃料電池発電装置32が発電を停止した状態を示す。すなわち、次のように表される遺伝子が全てゼロの個体とは、まったく発電を行わない運転計画を示している。
【0046】
p1,51 = {0,0,0,0,・・・・,0,0,0,0}
湯の使用量が少ない家庭では、低出力で燃料電池発電装置32の連続運転を続けても貯湯タンク19に貯えられた湯が余ることがある。さらに、通常の燃料電池発電システムでは、低出力での発電は発電効率や排熱回収効率も低下するため、高い省エネ性を得られない傾向にある。したがって、このような設置家庭においては、低出力で長時間運転するのではなく、燃料電池システムの運転をやめ、必要なときに再起動する方が高い省エネ性が得られやすい。
【0047】
本実施の形態で運転停止は、遺伝子にゼロを入れて表現されている。しかし、このゼロを突然変異の応用で散発的に入れると、1時間の停止後、再起動するような情報を持つ個体が形成される。このような個体では、燃料電池システムの起動・停止ロスの影響を受け、高い適応度が得られない場合がある。
【0048】
遺伝子が全てゼロの個体と交叉して形成された子孫は、遺伝子中の一部が、連続した0の配列となっている。これにより、ある時間だけ停止する運転計画の個体が形成され、湯の使用量の少ないときには、この個体の適応度が高くなり、次の世代に淘汰されずに残りやすい。
【0049】
図8は、本実施の形態における電力使用予測量、運転計画遺伝子および貯湯タンク蓄熱予測量の時間変化の例を示すグラフである。図9は、遺伝子が全てゼロの個体を入れない場合の電力使用予測量、運転計画遺伝子および貯湯タンク蓄熱予測量の時間変化の例を示すグラフである。図8および図9は、いずれも第100世代で最も適応度が高い個体の運転計画をプロットした図である。
【0050】
図8から、遺伝子が全てゼロの個体を各世代に強制的に作成するだけで、運転を停止する運転計画を立てることがでることがわかる。また図8で示す場合の適応度は37.4で、図9で示す場合の適応度である14.4に対して高くなっている。すなわち、遺伝子が全てゼロの個体を各世代に強制的に作成するだけで、湯の使用量が少ない場合でも、より適応度が高い運転計画を作成することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、遺伝子が全てゼロの個体を、全ての世代で強制的に生成しているが、1世代おきなど、飛び飛びの世代に生成してもよい。あるいは、一部の連続した遺伝子がゼロの個体を生成してもよい。
【0052】
[第3の実施の形態]
図10は、本発明に係る家庭用燃料電池システムの第3の実施の形態における運転計画作成方法のフローチャートである。
【0053】
本実施の形態では、第1の実施の形態に、先運転計画踏襲個体を生成する工程(S10)を追加したものである。先運転計画踏襲個体とは、過去の運転計画に対応する個体である。
【0054】
本実施の形態では、たとえば1時間ごとの燃料電池発電装置32の発電量を運転計画として作成していて、その運転計画を1時間ごとに見直しているとする。この場合、前回の運転計画はその時点で立てようとしている運転計画としても適応度が高いと考えられる。そこで、今回の運転計画の作成に用いる第1世代の個体に、先の運転計画を踏襲した個体を含める。
【0055】
たとえば、毎時間第n世代まで計算を行っていて、1時間前の計算における第n世代で、最も高い適応度を持った個体は、次のpn,iであったとする。
【0056】
pn,i = {P1, P2, P3, P4,・・・・, P69, P70, P71, P72}
この場合、この個体pn,iを利用し、燃料電池発電装置32の最低出力と最高出力との間の乱数Rを用いて、新しく運転計画を立てようとする第一世代に、次の個体を含める。
【0057】
p1,2 = {P2, P3, P4, P5,・・・・, P70, P71, P72, R}
残りの第1世代の個体は、燃料電池発電装置32の最低出力と最高出力との間の乱数を遺伝子とする。
【0058】
この個体p1,2は、一時間前の繰返し計算で適応度の高い個体として淘汰されたものであるから、その時点で立てようとしている運転計画においても、十分な適応度を持つ可能性が高い。したがって、少ない繰返し計算数でも、適応度の高い個体を形成しやすい。
【0059】
図11は、本実施の形態で運転計画を作成した場合の世代ごとの適応度の最高値を示すグラフである。図12は、過去の運転計画に対応する個体を用いないで運転計画を作成した場合の世代ごとの適応度の最高値を示すグラフである。
【0060】
図11および図12から、1時間前の運転計画に対応した個体を利用すると、繰返し計算数が少なくても、適応度の高い個体が形成されることがわかる。このように、本実施の形態では、1時間前の最終世代において最も適応度の高かった個体の遺伝子を、第1世代の個体作成に利用することにより、繰返し計算数を低減しながら適応度の高い個体を形成することができる。
【0061】
また、ここでは、1時間前の最高適応度の個体を利用したが、1週間前の同時間の計算結果をそのまま適用するなどして利用してもよい。
【0062】
[他の実施の形態]
上述の各実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれらに限定されない。たとえば、上述の各実施の形態では、家庭用燃料電池発電システムを例として説明したが、発電装置と、その発電装置の排熱を回収して利用する蓄熱装置とを備えたコジェネレーションシステムであれば、どのようなシステムにも適用できる。個体の遺伝子を、貯湯タンクの蓄熱量として最適化し、その目標蓄熱量から燃料電池の出力を逆算してもよい。
【0063】
また、各実施の形態の特徴を組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0064】
11…燃料制御器、12…改質器、13…燃料電池本体、14…インバータ、15…出力制御装置、16…電力負荷、17…運転計画作成装置、18…熱交換器、19…貯湯タンク、20…給湯負荷、21…燃料供給配管、22…商用電力系統、23…冷却配管、24…加熱配管、31…燃料電池ユニット、32…燃料電池発電装置、41…湯使用量情報、42…電力使用量情報、43…出力電力量情報、44…運転計画、51…予測量記憶部、52…適応度算出部、53…個体群生成部、54…付加追従個体生成部、55…交配部、56…運転計画作成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用燃料電池システムなどのコジェネレーションシステム並びにその運転計画作成方法および運転計画作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用燃料電池システムは、都市ガスやLPガス等を用いた発電を行いながら、排熱を回収して湯を作るコジェネレーションシステムである。燃料電池システムを設置した家庭では、電力を商用電力系統のみから、湯は給湯ボイラーのみから供給されている家庭に比べ、一次エネルギーの消費量を削減する省エネ効果が期待できる。
【0003】
一般的な家庭用燃料電池システムでは、都市ガスやLPガスなどの燃料が燃料制御手段によって流量を制御されながら燃料電池ユニットに供給される。この燃料は、改質手段によって水素リッチな改質ガスに処理され、燃料電池本体に供給される。燃料電池本体は、この改質ガスと周辺の空気によって発電する。燃料電池本体で発電された直流電気は、インバータによって交流電気に変換され、商用電力系統とあわせて設置家庭の電力負荷に供給される。
【0004】
発電の際に燃料電池本体で発生した熱は、燃料電池冷却水と熱交換手段を介して貯湯ユニット中の貯湯タンクに蓄熱され、設置家庭には貯湯タンクに貯めた湯が供給される。また、燃料電池本体の排ガスや改質手段の排ガスからも熱回収される。
【0005】
運転計画設定手段は、設置家庭に適した燃料電池システムの運転計画を立てる。出力制御手段は、運転計画設定手段によって立てられた運転計画に従って、燃料電池の出力を制御する。具体的には、燃料制御手段の出力を変化させ、燃料流量などを制御している。燃料電池ユニットから供給する電力が、設置家庭の電力負荷を超えると、商用電力系統に逆潮流される。この逆潮流を回避するために、出力制御手段は、運転計画に従った出力制御を行いながらも、インバータからの出力電力が電力負荷を超えようとしたときは、運転計画以下の出力に制御する。
【0006】
家庭用燃料電池システムの運用においては、運転計画決定手段で立てる運転計画が省エネ効果に大きな影響を与える。たとえば、湯の使用量の多い家庭において発電量が過少である場合、十分な電力や湯を家庭に供給できず、高い省エネ効果が得られないことは自明である。一方で、発電量を増加させて湯の回収量の増加を図っても、システムの発電容量による制約や逆潮流回避のための制約がある。仮に高出力で多くの熱回収ができたとしても、熱回収量が過多になると、貯湯タンク内に湯が余る状態が長く続き、放熱量の増加やラジエータ作動が起こるため、省エネ性が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−318824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
家庭用燃料電池システムで高い省エネ性を実現するためには、設置家庭における湯の使用量に対して湯切れ・湯余りを発生させないことが重要である。このため、運転計画設定手段において設置家庭の電気・湯の使用パターンを考慮した、最適な運転計画を立てることが不可欠である。
【0009】
しかし、実際に最適な運転計画を見つけることは、電力・湯の使用パターンやシステム効率など多数の計算条件のもと、無数に存在する運転計画から最適解を見出すことに等しい。このため、非常に複雑な最適化問題を解く必要がある。そこで、特許文献1には、複雑な最適化問題を解くのに有効な遺伝的アルゴリズムを発展させた、確率モデル遺伝的アルゴリズムを用いて運転計画を立てる方法が開示されている。しかし、特許文献1に記載された確率モデル遺伝的アルゴリズムにおいては、最適化のための計算量が非常に多く、実際の燃料電池ユニット内で計算を実行するのは困難である。
【0010】
そこで、本発明は、コジェネレーションシステムの好適な運転計画を少ない計算量で立てられるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明は、コジェネレーションシステムにおいて、電力負荷に電力を供給する発電装置と、前記発電装置の排熱を回収して蓄熱して熱負荷に供給する蓄熱装置と、前記電力負荷の未来の電力使用量予測値および前記熱負荷の未来の熱使用量予測値を記憶する予測量記憶部と、時間帯ごとの前記発電装置の発電量を表す遺伝子からなる個体で表されるように前記発電装置を運転したときの適応度を前記電力使用量予測値および前記熱使用量予測値に基づいて求める適応度算出部と、前記個体の群である第1世代を生成する個体群生成部と、少なくとも一部の前記遺伝子が前記電力使用量予測値に対応する負荷追従個体をいずれかの世代に強制的に生成する負荷追従個体生成部と、前世代の前記個体の群から新世代の前記個体の群を遺伝的アルゴリズムで生成する交配部と、最後の世代までに生成されたいずれかの個体に基づいて運転計画を定める運転計画作成部と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、電力負荷に電力を供給する発電装置と、前記発電装置の排熱を回収して蓄熱して熱負荷に供給する蓄熱装置と、を備えるコジェネレーションシステムの運転計画作成方法において、前記電力負荷の未来の電力使用量予測値および前記熱負荷の未来の熱使用量予測値を記憶する予測量記憶工程と、時間帯ごとの前記発電装置の発電量を表す遺伝子からなる個体で表されるように前記発電装置を運転したときの適応度を前記電力使用量予測値および前記熱使用量予測値に基づいて求める適応度算出工程と、前記個体の群である第1世代を生成する個体群生成工程と、少なくとも一部の前記遺伝子が前記電力使用量予測値に対応する負荷追従個体をいずれかの世代に強制的に生成する負荷追従個体生成工程と、前世代の前記個体の群から新世代の前記個体の群を遺伝的アルゴリズムで生成する交配工程と、最後の世代までに生成されたいずれかの個体に基づいて運転計画を定める運転計画作成工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、電力負荷に電力を供給する発電装置と、前記発電装置の排熱を回収して蓄熱して熱負荷に供給する蓄熱装置と、を備えるコジェネレーションシステムの運転計画作成装置において、前記電力負荷の未来の電力使用量予測値および前記熱負荷の未来の熱使用量予測値を記憶する予測量記憶部と、時間帯ごとの前記発電装置の発電量を表す遺伝子からなる個体で表されるように前記発電装置を運転したときの適応度を前記電力使用量予測値および前記熱使用量予測値に基づいて求める適応度算出部と、前記個体の群である第1世代を生成する個体群生成部と、少なくとも一部の前記遺伝子が前記電力使用量予測値に対応する負荷追従個体をいずれかの世代に強制的に生成する負荷追従個体生成部と、前世代の前記個体の群から新世代の前記個体の群を遺伝的アルゴリズムで生成する交配部と、最後の世代までに生成されたいずれかの個体に基づいて運転計画を定める運転計画作成部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コジェネレーションシステムの好適な運転計画を少ない計算量で立てられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る家庭用燃料電池システムの第1の実施の形態におけるブロック図である。
【図2】本発明に係る家庭用燃料電池システムの第1の実施の形態における運転計画作成装置のブロック図である。
【図3】本発明に係る家庭用燃料電池システムの第1の実施の形態における運転計画作成方法のフローチャートである。
【図4】本発明に係る家庭用燃料電池システムの第1の実施の形態における第1世代の遺伝子を示す表である。
【図5】本発明に係る家庭用燃料電池システムの第1の実施の形態で運転計画を作成した場合の世代ごとの適応度の最高値を示すグラフである。
【図6】負荷追従個体を生成しないで運転計画を作成した場合の世代ごとの適応度の最高値を示すグラフである。
【図7】本発明に係る家庭用燃料電池システムの第2の実施の形態における運転計画作成方法のフローチャートである。
【図8】本発明に係る家庭用燃料電池システムの第2の実施の形態における電力使用予測量、運転計画遺伝子および貯湯タンク蓄熱予測量の時間変化の例を示すグラフである。
【図9】遺伝子が全てゼロの個体を入れない場合の電力使用予測量、運転計画遺伝子および貯湯タンク蓄熱予測量の時間変化の例を示すグラフである。
【図10】本発明に係る家庭用燃料電池システムの第3の実施の形態における運転計画作成方法のフローチャートである。
【図11】本発明に係る家庭用燃料電池システムの第3の実施の形態で運転計画を作成した場合の世代ごとの適応度の最高値を示すグラフである。
【図12】過去の運転計画に対応する個体を用いないで運転計画を作成した場合の世代ごとの適応度の最高値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る燃料電池発電システムの実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明に係る家庭用燃料電池システムの第1の実施の形態におけるブロック図である。
【0018】
本実施の形態の家庭用燃料電池システムは、燃料電池ユニット31と、貯湯タンク19とを有している。燃料電池ユニット31は、燃料電池発電装置32と、出力制御装置15と、熱交換器18と、運転計画作成装置17とを有している。燃料電池発電装置32は、燃料制御器11と、改質器12と、燃料電池本体13と、インバータ14とを有している。
【0019】
燃料制御器11には、外部の燃料供給源から延びる燃料供給配管21が接続されている。燃料制御器11と改質器12との間、および、改質器12と燃料電池本体13との間は配管で接続されている。また、熱交換器18の高温側と燃料電池本体13との間には、冷却媒体を循環させる冷却配管23が設けられている。熱交換器18の低温側と貯湯タンク19との間には、水を循環させる加熱配管24が設けられている。
【0020】
燃料電池本体13とインバータ14の直流入力側は電気的に接続されている。インバータ14の交流出力側は、商用電力系統22および電力負荷16に接続されている。電力負荷16とは、たとえば家庭内に設置された冷蔵庫などである。また、貯湯タンク19の液相は、家庭内に設置された風呂などの給湯負荷20と配管で接続されている。
【0021】
運転計画作成装置17には、給湯負荷20から湯使用量情報41、および、電力負荷16から電力使用量情報42が伝達される。電力使用量情報42は、出力制御装置15にも伝達される。インバータ14の出力電力量情報43は、出力制御装置15に伝達される。運転計画作成装置17から出力制御装置15には、運転計画44が伝達される。出力制御装置15は、燃料制御器11などを制御する。
【0022】
都市ガスやLPガスなどの燃料は、燃料制御器11によって流量を制御されながら燃料電池ユニット31に供給される。この燃料は、改質器12によって水素リッチな改質ガスに処理され、燃料電池本体13に供給される。燃料電池本体13は、この改質ガスと周辺の空気によって発電する。燃料電池本体13で発電された直流電気は、インバータ14により交流電気に変換され、商用電力系統22から供給される電気とともに設置家庭の電力負荷16に供給される。
【0023】
発電の際に燃料電池本体13で発生した熱は、冷却配管23を流れる燃料電池冷却水と熱交換器18とを介して、貯湯タンク19に蓄熱される。貯湯タンク19に貯えられた湯は、設置家庭の給湯負荷20に供給される。なお、貯湯タンク19内の水には、燃料電池本体13の排ガスや改質器12の排ガスからも熱回収されていてもよい。
【0024】
運転計画作成装置17は、設置家庭に適した燃料電池システムの運転計画を立てる。運転計画とは、インバータから出力する時間帯ごとの発電量である。出力制御装置15は、運転計画作成装置17によって立てられた運転計画に従って、燃料電池の出力を制御する。具体的には、燃料制御器11を制御して、改質器12に供給される燃料流量などを制御する。燃料電池ユニット31が供給する電力が、設置家庭の電力負荷を超えると、商用電力系統22に逆潮流される。この逆潮流を回避するために、出力制御手段15は、運転計画に従った出力制御を行いながらも、インバータ14からの出力電力が電力負荷16を超えようとしたときは、運転計画以下の出力に制御する。
【0025】
図2は、本実施の形態における運転計画作成装置のブロック図である。図3は、本実施の形態における運転計画作成方法のフローチャートである。
【0026】
運転計画作成装置17は、予測量記憶部51と、適応度算出部52と、個体群生成部53と、付加追従個体生成部54と、交配部55と、運転計画作成部56と、を有している。運転計画作成方法は、未来の湯使用量および電力使用量の予測(S1)、および、その予測量を用いた運転計画の決定(S2〜S8)に、大きく分けることができる。本実施の形態は、家庭用のコジェネレーションシステムを対象としているため、湯使用量が熱使用量に等しい。工程S2〜工程S8は、遺伝的アルゴリズムを用いて運転計画の最適解を見つける工程である。
【0027】
ここで運転計画の最適解とは、その運転計画の省エネルギーに対する適応度が最も高い解である。運転計画の適応度として、たとえばエネルギー削減量を指標として用いる。エネルギー削減量は、電力使用量予測値を外部の電力供給源が供給する場合のエネルギー使用量と、熱使用量予測値を外部の熱供給源が供給する場合のエネルギー使用量との和を基準とする。外部の電力供給源とは、たとえば商用電力系統22である。外部の熱供給源とは、たとえば燃料供給配管21から都市ガスなどを供給されて湯を沸かし、供給する給湯器である。
【0028】
エネルギー削減量は、適応度算出部52が算出する。このエネルギー削減量は、次式で表される。
【0029】
エネルギー削減量=ST/EF+SE/EE−CF
ここで、STは湯供給量、EFは給湯器効率、SEは電力供給量、EEは発電所発電効率、CFは燃料消費量である。
【0030】
まず、工程S1では、予測量記憶部51に、電力負荷の未来の電力使用量予測値および熱負荷の未来の熱使用量予測値が記憶される。電力使用量予測値および熱使用量予測値は、たとえば運転計画作成装置17が過去の湯使用量および電力使用量に基づいて予測する。あるいは、電力使用量予測値および熱使用量予測値は、外部から与えられてもよい。
【0031】
次に、個体群生成部53は、第1世代の個体の群を生成する(S2,S3)。ここで個体とは、遺伝子の集合体である。遺伝子は、時間帯ごとの燃料電池発電装置32の発電量を表す数値である。工程S2では、付加追従個体生成部54が負荷追従個体を生成し、工程S2では残りの第1世代の個体を生成する。負荷追従個体とは、少なくとも一部の遺伝子が電力使用量予測値に対応する個体である。残りの個体は、たとえば乱数の集合体で生成される。
【0032】
図4は、本実施の形態における第1世代の遺伝子を示す表である。この表で、第1世代の遺伝子は、運転計画遺伝子として示されている。また、この表には、時間帯ごとの湯使用予測量、電力使用予測量、燃料消費予測量、貯湯タンク蓄熱予測量、湯供給予測量、電力供給予測量をあわせて示している。
【0033】
図4における湯使用予測量とは、設置家庭で消費する湯の使用量の予測値であり、家庭用燃料電池システムの排熱を回収した熱によって供給された湯だけでなく、別途ボイラーなどで沸かした湯を使う場合も含む。また、図4における電力使用予測量とは、設置家庭で消費する電力使用量の予測値であり、燃料電池発電装置32で供給した電力だけでなく、商用電力系統22から供給される電力を使う場合も含む。燃料消費予測量とは、運転計画遺伝子に沿って発電するために燃料供給配管21から供給される燃料の量をエネルギーの単位で表したものである。貯湯タンク蓄熱予測量は、運転計画遺伝子に沿って発電し、湯使用予測量に従って設置家庭で湯が使用された場合の貯湯タンクに貯えられる湯量をエネルギーの単位で表したものである。湯供給予測量および電力供給予測量とは、運転計画遺伝子に沿って発電した場合に、この家庭用燃料電池システムが供給する湯および電力の供給量である。
【0034】
図4に示すとおり、本実施の形態では、負荷追従個体として、電力使用予測量そのものの値を遺伝子とする個体を用いる。ただし、電力使用予測量が、燃料電池発電装置32の最低出力(ここでは250Wとする)から最大出力(ここでは700Wとする)の範囲を逸脱する場合には、その最低出力または最大出力を遺伝子とする。
【0035】
第n世代のi番目の個体をpn,i={g1,g2, …,gm}として表すこととする。ここで、gjは時間帯ごとの発電量を示す遺伝子、mは遺伝子の個数すなわち運転計画に対応する運転期間に対応する時間帯の数である。時間帯はたとえば1時間ごとで、72時間分の運転計画を作成するものとする。各世代の個体の数は、たとえば50とする。第1世代の個体群は、たとえば以下の通りとなる。
【0036】
p1,1 = {618,605,615,700,・・・・,700,700,700,700}
p1,2 = {497,368,700,574,・・・・,254,543,354,266}
p1,3 = {633,567,297,404,・・・・,365,487,667,354}
:
p1,50 = {560,463,654,365,・・・・,265,451,654,354}
この第1世代の個体のうち、p1,1が負荷追従個体である。p1,2ないしp1,50の各遺伝子は、たとえば最低出力から最大出力の範囲内の乱数で与えられる。
【0037】
次に、これらの個体群に対して交叉(S3)および突然変異(S4)の操作を加える。交叉の操作としては、2点交叉を適用し、20対の親の個体から20の子孫を生成する。突然変異は3%の確率で発生するものとし、突然変異の操作ではランダムに選択される2点間の遺伝子を家庭用燃料電池システムの最低出力から最大出力の範囲の乱数に置き換える。
【0038】
その後、このようにして生成されたそれぞれの個体および第1世代の個体について、適応度算出部が適応度を算出する(S5)。次に、これらの個体を、適応度が高い50の個体のみを残すエリート選択によって淘汰し、第2世代の個体群を生成する(S6)。交叉(S3)、突然変異(S4)およびエリート選択(S6)で、新世代の個体群を遺伝的アルゴリズムで生成する操作は、世代数をチェックしながら(S7)、所定の世代数に達するまで繰り返される。所定の世代数に達したら、運転計画作成部55は、最後の世代までに生成されたいずれかの個体に基づいて運転計画を定める。運転計画作成部56は、たとえば最後の世代の個体群のうち適応度すなわちエネルギー削減量が最も大きい個体を運転計画とする。
【0039】
遺伝的アルゴリズムを適用する場合、計算の始めには、第1世代の個体を作る必要がある。一般的には、遺伝的アルゴリズムを用いる場合、第1世代の遺伝子に、乱数を組み込むことが多い。しかし、この方法を燃料電池の運転計画最適化に適用しようとすると、運転計画の立て方は無数にあるため、非常に多い世代数まで計算しないと、充分な適応度を持つ個体が得られない。しかし、燃料電池システムの運転では、湯余りを起こさない限り、電力負荷に追従するとエネルギー削減量が高くなりやすい。したがって、求めようとする運転計画の最適解は、この近傍に存在する可能性が高い。
【0040】
図5は、本実施の形態で運転計画を作成した場合の世代ごとの適応度の最高値を示すグラフである。図6は、負荷追従個体を生成しないで運転計画を作成した場合の世代ごとの適応度の最高値を示すグラフである。
【0041】
図5に示すとおり、電力負荷に追従する個体を第1世代に入れた本実施の形態では、図6に示した負荷追従個体を入れない場合の結果に比べて、適応度の高い個体を早期に作成されることがわかる。これは、負荷追従個体を第一世代の親として、湯余りを防止するような子孫に淘汰されていったためである。
【0042】
このように、第1世代の個体の一つに対し、電力負荷に追従するような発電出力を遺伝子に持たせることで、同じ繰返し計算数でも適応度の高い個体を作成することができる。これにより、繰返し計算数を、すなわち、少ない計算量で、好適な運転計画を得ることができる。
【0043】
本実施の形態では、完全に電力使用量予測値に追従させる個体を第1世代に作ったが、電力使用量予測値と一部が異なるものであってもよい。たとえば電力系統への逆潮流を発生させにくくするために、電力使用量予測値からマージンを引いた出力の個体を用いてもよい。また、本実施の形態では、当該個体を第1世代に作ったが、他の世代に作っても実質的な効果は変わらないため、当該個体を都合に応じて他の世代に作ってもよい。また、交叉と淘汰には二点交叉とエリート選択を用いているが、一点交叉やルーレット選択を用いてもよい。適応度にはエネルギー削減量を適用したが、実質的にエネルギー削減量に対応するCO2削減量や光熱費低減量などを適応度としてもよい。
【0044】
[第2の実施の形態]
図7は、本発明に係る家庭用燃料電池システムの第2の実施の形態における運転計画作成方法のフローチャートである。
【0045】
本実施の形態では、第1の実施の形態に、遺伝子が全てゼロの個体を強制的に追加する工程(S9)を次世代の遺伝子操作に入る前に追加したものである。遺伝子がゼロとは、燃料電池発電装置32が発電を停止した状態を示す。すなわち、次のように表される遺伝子が全てゼロの個体とは、まったく発電を行わない運転計画を示している。
【0046】
p1,51 = {0,0,0,0,・・・・,0,0,0,0}
湯の使用量が少ない家庭では、低出力で燃料電池発電装置32の連続運転を続けても貯湯タンク19に貯えられた湯が余ることがある。さらに、通常の燃料電池発電システムでは、低出力での発電は発電効率や排熱回収効率も低下するため、高い省エネ性を得られない傾向にある。したがって、このような設置家庭においては、低出力で長時間運転するのではなく、燃料電池システムの運転をやめ、必要なときに再起動する方が高い省エネ性が得られやすい。
【0047】
本実施の形態で運転停止は、遺伝子にゼロを入れて表現されている。しかし、このゼロを突然変異の応用で散発的に入れると、1時間の停止後、再起動するような情報を持つ個体が形成される。このような個体では、燃料電池システムの起動・停止ロスの影響を受け、高い適応度が得られない場合がある。
【0048】
遺伝子が全てゼロの個体と交叉して形成された子孫は、遺伝子中の一部が、連続した0の配列となっている。これにより、ある時間だけ停止する運転計画の個体が形成され、湯の使用量の少ないときには、この個体の適応度が高くなり、次の世代に淘汰されずに残りやすい。
【0049】
図8は、本実施の形態における電力使用予測量、運転計画遺伝子および貯湯タンク蓄熱予測量の時間変化の例を示すグラフである。図9は、遺伝子が全てゼロの個体を入れない場合の電力使用予測量、運転計画遺伝子および貯湯タンク蓄熱予測量の時間変化の例を示すグラフである。図8および図9は、いずれも第100世代で最も適応度が高い個体の運転計画をプロットした図である。
【0050】
図8から、遺伝子が全てゼロの個体を各世代に強制的に作成するだけで、運転を停止する運転計画を立てることがでることがわかる。また図8で示す場合の適応度は37.4で、図9で示す場合の適応度である14.4に対して高くなっている。すなわち、遺伝子が全てゼロの個体を各世代に強制的に作成するだけで、湯の使用量が少ない場合でも、より適応度が高い運転計画を作成することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、遺伝子が全てゼロの個体を、全ての世代で強制的に生成しているが、1世代おきなど、飛び飛びの世代に生成してもよい。あるいは、一部の連続した遺伝子がゼロの個体を生成してもよい。
【0052】
[第3の実施の形態]
図10は、本発明に係る家庭用燃料電池システムの第3の実施の形態における運転計画作成方法のフローチャートである。
【0053】
本実施の形態では、第1の実施の形態に、先運転計画踏襲個体を生成する工程(S10)を追加したものである。先運転計画踏襲個体とは、過去の運転計画に対応する個体である。
【0054】
本実施の形態では、たとえば1時間ごとの燃料電池発電装置32の発電量を運転計画として作成していて、その運転計画を1時間ごとに見直しているとする。この場合、前回の運転計画はその時点で立てようとしている運転計画としても適応度が高いと考えられる。そこで、今回の運転計画の作成に用いる第1世代の個体に、先の運転計画を踏襲した個体を含める。
【0055】
たとえば、毎時間第n世代まで計算を行っていて、1時間前の計算における第n世代で、最も高い適応度を持った個体は、次のpn,iであったとする。
【0056】
pn,i = {P1, P2, P3, P4,・・・・, P69, P70, P71, P72}
この場合、この個体pn,iを利用し、燃料電池発電装置32の最低出力と最高出力との間の乱数Rを用いて、新しく運転計画を立てようとする第一世代に、次の個体を含める。
【0057】
p1,2 = {P2, P3, P4, P5,・・・・, P70, P71, P72, R}
残りの第1世代の個体は、燃料電池発電装置32の最低出力と最高出力との間の乱数を遺伝子とする。
【0058】
この個体p1,2は、一時間前の繰返し計算で適応度の高い個体として淘汰されたものであるから、その時点で立てようとしている運転計画においても、十分な適応度を持つ可能性が高い。したがって、少ない繰返し計算数でも、適応度の高い個体を形成しやすい。
【0059】
図11は、本実施の形態で運転計画を作成した場合の世代ごとの適応度の最高値を示すグラフである。図12は、過去の運転計画に対応する個体を用いないで運転計画を作成した場合の世代ごとの適応度の最高値を示すグラフである。
【0060】
図11および図12から、1時間前の運転計画に対応した個体を利用すると、繰返し計算数が少なくても、適応度の高い個体が形成されることがわかる。このように、本実施の形態では、1時間前の最終世代において最も適応度の高かった個体の遺伝子を、第1世代の個体作成に利用することにより、繰返し計算数を低減しながら適応度の高い個体を形成することができる。
【0061】
また、ここでは、1時間前の最高適応度の個体を利用したが、1週間前の同時間の計算結果をそのまま適用するなどして利用してもよい。
【0062】
[他の実施の形態]
上述の各実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれらに限定されない。たとえば、上述の各実施の形態では、家庭用燃料電池発電システムを例として説明したが、発電装置と、その発電装置の排熱を回収して利用する蓄熱装置とを備えたコジェネレーションシステムであれば、どのようなシステムにも適用できる。個体の遺伝子を、貯湯タンクの蓄熱量として最適化し、その目標蓄熱量から燃料電池の出力を逆算してもよい。
【0063】
また、各実施の形態の特徴を組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0064】
11…燃料制御器、12…改質器、13…燃料電池本体、14…インバータ、15…出力制御装置、16…電力負荷、17…運転計画作成装置、18…熱交換器、19…貯湯タンク、20…給湯負荷、21…燃料供給配管、22…商用電力系統、23…冷却配管、24…加熱配管、31…燃料電池ユニット、32…燃料電池発電装置、41…湯使用量情報、42…電力使用量情報、43…出力電力量情報、44…運転計画、51…予測量記憶部、52…適応度算出部、53…個体群生成部、54…付加追従個体生成部、55…交配部、56…運転計画作成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力負荷に電力を供給する発電装置と、
前記発電装置の排熱を回収して蓄熱して熱負荷に供給する蓄熱装置と、
前記電力負荷の未来の電力使用量予測値および前記熱負荷の未来の熱使用量予測値を記憶する予測量記憶部と、
時間帯ごとの前記発電装置の発電量を表す遺伝子からなる個体で表されるように前記発電装置を運転したときの適応度を前記電力使用量予測値および前記熱使用量予測値に基づいて求める適応度算出部と、
前記個体の群である第1世代を生成する個体群生成部と、
少なくとも一部の前記遺伝子が前記電力使用量予測値に対応する負荷追従個体をいずれかの世代に強制的に生成する負荷追従個体生成部と、
前世代の前記個体の群から新世代の前記個体の群を遺伝的アルゴリズムで生成する交配部と、
最後の世代までに生成されたいずれかの個体に基づいて運転計画を定める運転計画作成部と、
を有することを特徴とするコジェネレーションシステム。
【請求項2】
前記個体群生成部は、少なくとも一部の前記遺伝子が前記発電装置の発電停止を表す発電停止個体をいずれかの世代に生成することを特徴とする請求項1に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項3】
前記個体群生成部は、過去の前記運転計画に対応する先運転計画踏襲個体をいずれかの世代に生成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項4】
前記先運転計画踏襲個体は、対応する前記運転計画に含まれる前記遺伝子のうち今回作成する前記運転計画の最初の時間帯より前の前記遺伝子を削除して残りを順次繰り上げた前記遺伝子を含むことを特徴とする請求項3に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項5】
電力負荷に電力を供給する発電装置と、前記発電装置の排熱を回収して蓄熱して熱負荷に供給する蓄熱装置と、を備えるコジェネレーションシステムの運転計画作成方法において、
前記電力負荷の未来の電力使用量予測値および前記熱負荷の未来の熱使用量予測値を記憶する予測量記憶工程と、
時間帯ごとの前記発電装置の発電量を表す遺伝子からなる個体で表されるように前記発電装置を運転したときの適応度を前記電力使用量予測値および前記熱使用量予測値に基づいて求める適応度算出工程と、
前記個体の群である第1世代を生成する個体群生成工程と、
少なくとも一部の前記遺伝子が前記電力使用量予測値に対応する負荷追従個体をいずれかの世代に強制的に生成する負荷追従個体生成工程と、
前世代の前記個体の群から新世代の前記個体の群を遺伝的アルゴリズムで生成する交配工程と、
最後の世代までに生成されたいずれかの個体に基づいて運転計画を定める運転計画作成工程と、
を有することを特徴とする運転計画作成方法。
【請求項6】
電力負荷に電力を供給する発電装置と、前記発電装置の排熱を回収して蓄熱して熱負荷に供給する蓄熱装置と、を備えるコジェネレーションシステムの運転計画作成装置において、
前記電力負荷の未来の電力使用量予測値および前記熱負荷の未来の熱使用量予測値を記憶する予測量記憶部と、
時間帯ごとの前記発電装置の発電量を表す遺伝子からなる個体で表されるように前記発電装置を運転したときの適応度を前記電力使用量予測値および前記熱使用量予測値に基づいて求める適応度算出部と、
前記個体の群である第1世代を生成する個体群生成部と、
少なくとも一部の前記遺伝子が前記電力使用量予測値に対応する負荷追従個体をいずれかの世代に強制的に生成する負荷追従個体生成部と、
前世代の前記個体の群から新世代の前記個体の群を遺伝的アルゴリズムで生成する交配部と、
最後の世代までに生成されたいずれかの個体に基づいて運転計画を定める運転計画作成部と、
を有することを特徴とする運転計画作成装置。
【請求項1】
電力負荷に電力を供給する発電装置と、
前記発電装置の排熱を回収して蓄熱して熱負荷に供給する蓄熱装置と、
前記電力負荷の未来の電力使用量予測値および前記熱負荷の未来の熱使用量予測値を記憶する予測量記憶部と、
時間帯ごとの前記発電装置の発電量を表す遺伝子からなる個体で表されるように前記発電装置を運転したときの適応度を前記電力使用量予測値および前記熱使用量予測値に基づいて求める適応度算出部と、
前記個体の群である第1世代を生成する個体群生成部と、
少なくとも一部の前記遺伝子が前記電力使用量予測値に対応する負荷追従個体をいずれかの世代に強制的に生成する負荷追従個体生成部と、
前世代の前記個体の群から新世代の前記個体の群を遺伝的アルゴリズムで生成する交配部と、
最後の世代までに生成されたいずれかの個体に基づいて運転計画を定める運転計画作成部と、
を有することを特徴とするコジェネレーションシステム。
【請求項2】
前記個体群生成部は、少なくとも一部の前記遺伝子が前記発電装置の発電停止を表す発電停止個体をいずれかの世代に生成することを特徴とする請求項1に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項3】
前記個体群生成部は、過去の前記運転計画に対応する先運転計画踏襲個体をいずれかの世代に生成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項4】
前記先運転計画踏襲個体は、対応する前記運転計画に含まれる前記遺伝子のうち今回作成する前記運転計画の最初の時間帯より前の前記遺伝子を削除して残りを順次繰り上げた前記遺伝子を含むことを特徴とする請求項3に記載のコジェネレーションシステム。
【請求項5】
電力負荷に電力を供給する発電装置と、前記発電装置の排熱を回収して蓄熱して熱負荷に供給する蓄熱装置と、を備えるコジェネレーションシステムの運転計画作成方法において、
前記電力負荷の未来の電力使用量予測値および前記熱負荷の未来の熱使用量予測値を記憶する予測量記憶工程と、
時間帯ごとの前記発電装置の発電量を表す遺伝子からなる個体で表されるように前記発電装置を運転したときの適応度を前記電力使用量予測値および前記熱使用量予測値に基づいて求める適応度算出工程と、
前記個体の群である第1世代を生成する個体群生成工程と、
少なくとも一部の前記遺伝子が前記電力使用量予測値に対応する負荷追従個体をいずれかの世代に強制的に生成する負荷追従個体生成工程と、
前世代の前記個体の群から新世代の前記個体の群を遺伝的アルゴリズムで生成する交配工程と、
最後の世代までに生成されたいずれかの個体に基づいて運転計画を定める運転計画作成工程と、
を有することを特徴とする運転計画作成方法。
【請求項6】
電力負荷に電力を供給する発電装置と、前記発電装置の排熱を回収して蓄熱して熱負荷に供給する蓄熱装置と、を備えるコジェネレーションシステムの運転計画作成装置において、
前記電力負荷の未来の電力使用量予測値および前記熱負荷の未来の熱使用量予測値を記憶する予測量記憶部と、
時間帯ごとの前記発電装置の発電量を表す遺伝子からなる個体で表されるように前記発電装置を運転したときの適応度を前記電力使用量予測値および前記熱使用量予測値に基づいて求める適応度算出部と、
前記個体の群である第1世代を生成する個体群生成部と、
少なくとも一部の前記遺伝子が前記電力使用量予測値に対応する負荷追従個体をいずれかの世代に強制的に生成する負荷追従個体生成部と、
前世代の前記個体の群から新世代の前記個体の群を遺伝的アルゴリズムで生成する交配部と、
最後の世代までに生成されたいずれかの個体に基づいて運転計画を定める運転計画作成部と、
を有することを特徴とする運転計画作成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−182073(P2010−182073A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24778(P2009−24778)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(301060299)東芝燃料電池システム株式会社 (358)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(301060299)東芝燃料電池システム株式会社 (358)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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