説明

コネクタおよびコネクタアセンブリ

【課題】薄型且つコンパクトで、ケース内に収納された基板等の端子部と、導体に電気的に接続された端子とを接続し、ケースの先端部を嵌合して固定することができるコネクタおよびコネクタアセンブリを提供する。
【解決手段】基板と電気的に接続される接続部を備え、複数個並列配置した端子が、接続部が向かい合うように垂直方向に上下に配置される端子部と、一方の端部の外周部に設けられて、基板を収納する上ケースおよび下ケースのそれぞれの先端部が嵌合され、固定されるケース固定部と、基板の一部が装着される基板受け入れ空洞部と、他方の端部に設けられて、基板受け入れ空洞部を挟み、端子が相互に向かいあって装着される、端子受け入れ空洞部とを備えたコネクタハウジング部とを備え、基板受け入れ空洞部に装着された基板に、端子受け入れ空洞部に装着された端子部の対応する端子の接続部が、上下から挟むようにして電気的に接続されるコネクタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、装着された基板等の一部を上下から挟み込むように保持して、基板と導体に接続された端子とが電気的に接続される電気コネクタ、特に基板等を収納するケースの端部を固定するコネクタフード部を備えた電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
基板と導体に接続された端子とが電気的に接続される電気コネクタは、例えば、上壁と下壁の間を水平方向に設けられた1つの中間壁と、垂直方向に設けられた複数の隔壁とによって縦横に仕切られて、格子状に仕切られた複数の端子受け入れ空洞部が2段以上に形成されている。格子状に仕切られた複数の端子受け入れ空洞部のそれぞれに、導体に電気的に接続された端子が収納される。
【0003】
電気コネクタにおいては、一方の端部に端子受け入れ空洞部が設けられ、個々の端子受け入れ空洞部の他方の端部(前端)に、相手側端子が挿入されるための小さな受け入れ口を備えている(特開平11−204185号公報参照)。
【0004】
更に、電気コネクタの他の形態として、基板が電気的に接続されるカードエッジターミナルが、用いられている。例えば、カードエッジターミナルは、電気的配線を圧着する圧着部と、基板を挟持する挟持部と、圧着部および挟持部とを接続するボックス部を備えている。圧着部は、電気的配線の導体部を圧着する部分と、電気的配線の皮膜部を圧着する部分とを備えている。挟持部は、基板の表裏面の電源パターンに付勢するとともに電気的に接続を行うバネ部分、バネ部分の付勢を受けた基板を支持する固定部を有している。これにより、基板がカードエッジターミナルの挟持部に嵌挿された場合、バネ部分が電源パターンと電気的に接続されることにより、電源パターンと圧着された電気的配線とが電気的に接続される(特開2006−164757号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−204185号公報
【特許文献2】特開2006−164757号公報
【特許文献3】特開平10−322855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開平11−204185号公報に開示された電気コネクタにおいては、上述したように、一方の端部に端子受け入れ空洞部が設けられ、個々の端子受け入れ空洞部の他方の端部(前端)に、相手側端子が挿入されるための小さな受け入れ口を備えている。従って、基板等の端子部への接続には対応することができない。特開2006−164757号公報に開示されたコネクタは、基板等の端子部への接続に適しているが、コネクタハウジングに設けられた貫通孔に個々のカードエッジターミナルが装着される。即ち、個々のカードエッジターミナルが基板を挟み込む部材を備えている。従って、基板等の端子部の両面に電気的に接続するためには、もう一段の貫通孔およびカードエッジターミナルが必要であり、コネクタハウジングのサイズが大きくなってしまう。
また、コネクタ嵌合壁が上下分割されたハウジング構造において、コネクタ挿入時に上下に分割されたケースが互いに離反する方向に開いてしまう問題がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、薄型且つコンパクトで、ケース内に収納された基板等の端子部と、導体に電気的に接続された端子とを接続し、ケースの先端部を嵌合して固定することができるコネクタおよびコネクタアセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する為に、基板等を収納する上下に分割されたケース(筐体)の先端部にコネクタハウジング部との嵌合部としての先端部を設け、コネクタハウジング部の外周部に先端部が装着される環状の空洞部を形成するコネクタフード部を一体的に設けると、コネクタハウジング部にケースの先端部が固定され、基板とハウジングに装着される端子とが、端子が基板を挟み込むようにして、電気的に接続され、薄型且つコンパクトなコネクタおよびコネクタアセンブリが得られる。
【0009】
更に、コネクタフード部の内側にリブ部を設け、ケースの先端部にリブ部に対応する溝部を設けると、リブ部および溝部によって、ケースの先端部とコネクタフード部の嵌合が容易に行われる。更に、コネクタフード部およびケースの先端部にロック機能を備えることによって、コネクタフード部へのケース先端部の固定を確実に行うことができる。
更に、リブ部および溝部に対応する凸形状部、凹形状部を備えることによって、コネクタフード部へのケース先端部の嵌合の位置決めを容易に行うことができる。
また、コネクタ挿入時に、上下ケースのコネク嵌合部をコネクタフード部が覆うように設けられる事によって、上下ケースのコネクタ嵌合壁が離反方向に開くのを防止する事が出来る。
【0010】
この発明のコネクタの第1の態様は、基板と電気的に接続される接続部を先端部に備え、水平方向に複数個並列配置した端子が、前記接続部が向かい合うように垂直方向に上下に配置される端子部と、
一方の端部の外周部に設けられて、前記基板を収納する上ケースおよび下ケースのそれぞれの先端部が嵌合され、固定されるケース固定部と、前記一方の端部の概ね中央部に設けられて、基板の一部が装着される基板受け入れ空洞部と、他方の端部に設けられて、前記基板受け入れ空洞部を挟み、前記端子が相互に向かいあって上下に装着される、複数の端子受け入れ空洞部とを備えたコネクタハウジング部とを備え、
前記基板受け入れ空洞部に装着された前記基板に、前記端子受け入れ空洞部に装着された前記端子部の対応する前記端子の前記接続部が、上下から挟むようにして電気的に接続されるコネクタである。
【0011】
この発明のコネクタの第2の態様は、前記ケース固定部が、コネクタハウジング部の外周部に、一体的に形成されたコネクタフード部からなっており、上下に分割された上ケースおよび下ケースのそれぞれの先端部が嵌合される、環状のケース受け入れ空洞部を形成しているコネクタである。
【0012】
この発明のコネクタの第3の態様は、前記上ケースの先端部および前記コネクタフード部の対応する部位に、嵌合された前記上下ケースの先端部を固定するロック機構を備えているコネクタである。
【0013】
この発明のコネクタの第4の態様は、前記ロック機構が、前記上ケースの先端部に設けられた突起部、および、前記コネクタフード部に設けられた窪み部からなっており、前記上下ケースの先端部を前記環状のケース受入部に挿入することによって、前記突起部と前記窪み部が噛み合うコネクタである。
【0014】
この発明のコネクタの第5の態様は、前記コネクタフードの内側の面に、前記端子受け入れ空洞部の長手方向に沿って設けられた少なくとも1つのリブ部と、前記上下ケースの先端部に形成された、前記リブ部に対応する形状の溝部とを備え、前記上下ケースの先端部の前記ケース受入部への嵌合を誘導するコネクタである。
【0015】
この発明のコネクタの第6の態様は、前記リブ部の一部に形成された位置決め用の凸形状部と、前記溝部の底面に形成された、前記凸形状部に対応する形状の凹形状部を備えているコネクタである。
【0016】
この発明のコネクタの第7の態様は、前記上下ケースの先端部に形成された溝部の端部、および、前記リブ部の端部にそれぞれテーパー部を備えているコネクタである。
【0017】
この発明のコネクタの第8の態様は、前記端子の前記接続部が突起状接続部を備え、前記突起状接続部が弾性接触部を備えて、前記基板を挟みこんでいるコネクタである。
【0018】
この発明のコネクタの第9の態様は、前記環状のケース受入部を形成する前記コネクタフード部の厚さが、前記基板側の端部から漸次厚くなっており、前記上ケースおよび下ケースの前記先端部の厚さが、前記コネクタフード部に対応して、先端に向かって漸次薄くなっているコネクタである。
【0019】
この発明のコネクタアセンブリの第1の態様は、基板と、
前記基板を収納する、上下に分割された上ケースおよび下ケースであって、ケース本体部とコネクタハウジング部との嵌合部を形成する先端部とを備えたケースと、
前記基板と電気的に接続される接続部を先端部に備え、水平方向に複数個並列配置した端子が、前記接続部が向かい合うように垂直方向に上下に配置される端子部と、
一方の端部の外周部に設けられて、前記上ケースおよび下ケースのそれぞれの先端部が嵌合され、固定されるケース固定部と、前記一方の端部の概ね中央部に設けられて、基板の一部が装着される基板受け入れ空洞部と、他方の端部に設けられて、前記基板受け入れ空洞部を挟み、前記端子が相互に向かいあって上下に装着される、複数の端子受け入れ空洞部とを備えたコネクタハウジング部とを備え、
前記ケースの先端部が前記ケース固定部に固定され、前記基板受け入れ空洞部に装着された前記基板に、前記端子受け入れ空洞部に装着された前記端子部の対応する前記端子の前記接続部が、上下から挟むようにして電気的に接続されるコネクタアセンブリである。
【発明の効果】
【0020】
この発明によると、基板等を収納する上下に分割されたケース(筐体)の先端部にコネクタハウジング部との嵌合部としての先端部を設け、コネクタハウジング部の外周部に先端部が装着される環状の空洞部を形成するコネクタフード部を一体的に設けるので、コネクタハウジング部にケースの先端部が固定され、基板とハウジングに装着される端子とが、端子が基板を挟み込むようにして、電気的に接続されて、薄型且つコンパクトなコネクタおよびコネクタアセンブリが得られる。
また、コネクタ挿入時に、上下ケースのコネク嵌合部をコネクタフード部が覆うように設けられる事によって、上下ケースのコネクタ嵌合壁が離反方向に開くのを防止する事が出来る。
【0021】
コネクタフード部の内側にリブ部を設け、ケースの先端部にリブ部に対応する溝部を設けると、リブ部および溝部によって、ケースの先端部とコネクタフード部の嵌合が容易に行われる。更に、コネクタフード部およびケースの先端部にロック機能を備えることによって、コネクタフード部へのケース先端部の固定を確実に行うことができる。
リブ部および溝部に対応する凸形状部、凹形状部を備えることによって、コネクタフード部へのケース先端部の嵌合の位置決めを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、この発明のコネクタおよびコネクタアセンブリの分解斜視図である。
【図2】図2は、端子部4の端子17を説明する斜視図である。
【図3】図3は、コネクタアセンブリの平面図である。
【図4】図4は、コネクタアセンブリの側面図である。
【図5】図5は、図4に示すD−D線に沿った断面図である。
【図6】図6は、図3におけるA−A線に沿った断面図である。
【図7】図7は、図6における円で囲んだ部分Eの拡大図である。
【図8】図8は、図3におけるB−B線に沿った断面図である。
【図9】図9は、図3におけるC−C線に沿った断面図である。
【図10】図10は、図9に示す楕円で囲んだ部分Fの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明のコネクタおよびコネクタアセンブリを、図面を参照しながら説明する。
この発明のコネクタの1つの態様は、基板と電気的に接続される端子部と、基板を収納する上ケースおよび下ケースの先端部が嵌合され固定されるケース固定部を有するコネクタハウジング部とを備えている。端子部は、基板と電気的に接続される突起状接続部を先端部に備え、水平方向に複数個並列配置した端子を備え、突起状接続部が向かい合うように垂直方向に上下に配置されている。
【0024】
コネクタハウジング部は、一方の端部の外周部に設けられて、前記基板を収納する上ケースおよび下ケースのそれぞれの先端部が嵌合され、固定されるケース固定部と、前記一方の端部の概ね中央部に設けられて、基板の一部が装着される基板受け入れ空洞部と、他方の端部に設けられて、前記基板受け入れ空洞部を挟み、前記端子が相互に向かいあって上下に装着される、複数の端子受け入れ空洞部とを備えている。この発明の1つの態様においては、コネクタは、基板を収納する上ケースおよび下ケースの先端部を嵌合し固定するコネクタフード部を有し、基板受け入れ空洞部に装着された基板を、端子受け入れ空洞部に装着された端子群の対応する端子の突起状接続部が、上下から挟むように電気的に接続している。
【0025】
図1は、この発明のコネクタおよびコネクタアセンブリの分解斜視図である。図1に示すように、基板5を収納するケースは、対称的に2分割された上ケース6および下ケース9からなっている。上ケース6は上ケース本体7と先端部8を備えている。下ケース9は下ケース本体10と先端部11を備えている。上ケース6および下ケース9を、対応する面で合わせると、上ケース6の先端部8および下ケース9の先端部11は、概ね環状の突出した部分となり、後述するコネクタハウジング部との間の嵌合部を形成する。
【0026】
上ケース6の先端部8および下ケース9の先端部11には、それぞれ少なくとも1本の溝部12が形成されている。更に、上ケース6の先端部8の上表面の中央部には、先端部に向かって下方に傾斜した上面を備えた突起部14が一体的に形成されている。図1に示す態様では、上ケース6の先端部8には2本の溝部12が形成され、その間に突起部14が形成され、下ケース9の先端部11には3本の溝部13が形成されている。
【0027】
図1に示すように、端子部4は、基板5と電気的に接続される接続部を先端部に備え、水平方向に複数個並列配置した端子17が、上述した接続部が向かい合うように垂直方向に上下に配置されている。
コネクタハウジング部2は、一方の端部の外周部に設けられて、基板5を収納する上ケース6および下ケース9のそれぞれの先端部8.11が嵌合され、固定されるケース固定部と、一方の端部の概ね中央部に設けられて、基板5の一部が装着される基板受け入れ空洞部と、他方の端部に設けられて、基板受け入れ空洞部を挟み、端子17が相互に向かいあって上下に装着される、複数の端子受け入れ空洞部16とを備えている。
【0028】
図2は、端子部4の端子17を説明する斜視図である。図2に示すように、一方の端部(即ち、後端部)に導体の例えば被覆部を機械的にかしめて固定する導体固定部29、および、かしめて導体と電気的に接続する導体接続部20を備えている。端子17は、他方の端部(即ち、先端部)に相手側端子である基板5と電気的に接続する突起状接続部26を備えている。
【0029】
突起状接続部26は、対応する他の端子17の突起状接続部26と共に基板5を挟み込み弾性接触部(例えば、ばね)によってその固定状態を保持している。更に、端子17は、概ね中央部の一方の側にコネクタハウジング部3への挿入ガイド用のスタビライザ部27、他方の側にボックス部28を備えている。
【0030】
上述した端子17が、上述した突起状接続部26を同一側に備えた状態で、水平方向に複数個並列に配置される。このように複数個並列に配置された端子17が、端子17の突起状接続部26が相互に向かい合うように垂直方向に上下に配置されて、端子部4を形成する。
【0031】
図3は、コネクタアセンブリの平面図である。図4は、コネクタアセンブリの側面図である。図3および図4に示すように、上ケース6および下ケース9の対応する面が合わさって、上ケース6の先端部8および下ケース9の先端部11が、コネクタハウジング部3の外周部に形成されたコネクタフード部18に嵌合され、固定されている。
【0032】
図3に示すように、ロック機構を形成するコネクタハウジング部3のコネクタフード部18に形成された窪み部15には、上ケース6の先端部8に形成された突起部14が噛み合って、コネクタフード部18に上ケース6および下ケース9が固定されている。このように上ケース6、下ケース9がコネクタハウジング部3に固定されて、容易に脱落することはない。
【0033】
図1に示すように、コネクタハウジング部3においては、図2を参照して説明した端子17が収納される端子受け入れ空洞部16−1、16−2が、コネクタハウジング部3の長軸方向に沿って概ねコネクタハウジング部3の全長にわたって形成されている。即ち、上側の端子17が収納される端子受け入れ空洞部16−1には、端子17の突起状接続部26が下方を向いた状態で収納される。下側の端子17が収納される端子受け入れ空洞部16−2には、端子17の突起状接続部26が上方を向いた状態で収納される。
【0034】
図1に示すように、端子受け入れ空洞部16−1、16−2は、断面概ね矩形で、端子17の横断面に概ね対応した形状をしている。端子受け入れ空洞部16−1の上壁面には、端子17の挿入をガイドするスタビライザ部27に対応した凹部が形成されて、端子受け入れ空洞部16−2の底面には、端子17の挿入をガイドするスタビライザ部27に対応した凹部が形成されている。このように、端子受け入れ空洞部16−1、16−2は、端子17、17が、それぞれの突起状接続部26が相互に向かい合って垂直方向に上下に配置されるように形成されている。
【0035】
図5は、図4に示すD−D線に沿った断面図である。図5に示すように、コネクタハウジング部3の外周部にコネクタフード部18が一体的に形成されている。コネクタフード部18は、対称的に2分割された上ケース6および下ケース9のそれぞれの先端部8、11が嵌合される、環状のケース受け入れ空洞部21を形成している。環状のケース受け入れ空洞部21は、上ケース6の先端部8および下ケース9の先端部11によって形成される概ね環状の突出した嵌合部と対応した大きさおよび形状を有している。
【0036】
コネクタハウジング部3は、図1を参照して説明したように、端子17が収納される端子受け入れ空洞部16−1、16−2が、垂直方向に上下に配置されている。このように端子受け入れ空洞部16−1、16−2を備えたコネクタハウジング部3とコネクタフード部18によって囲まれた空洞部が環状のケース受け入れ空洞部21を形成している。
【0037】
コネクタフード部18の内側には、図1を参照して説明した溝部12、13に対応した大きさおよび形状のリブ部19、20が形成されている。即ち、コネクタフード部18の内側に一体的に形成されたリブ部19、20が、上ケース6の先端部8に形成された溝部12、下ケース9の先端部11に形成された溝部13とそれぞれ嵌合している。従って、このように形成された溝部12、13およびリブ部19、20によって、上ケース6および下ケース9の先端部8、11は、コネクタフード部18内に誘導され、固定される。
【0038】
図6は、図3におけるA−A線に沿った断面図である。図6に示すように、コネクタハウジング部3の端子17側と反対側に位置する基板5側の端部には、相手側の端子である基板5の端子部23が装着される基板受け入れ空洞部22を備えている。このように形成された基板受け入れ空洞部22には、基板5の端子部23が装着される。同時に、上ケース6および下ケース9の対応する面が合わされて、上ケース6の先端部8および下ケース9の先端部11が環状の突出した嵌合部を形成し、コネクタハウジング部3の外周部に設けられたコネクタフード部18によって形成される環状のケース受入部21に嵌合される。図6に示すように、2分割された上ケース6および下ケース9の先端部8、11および基板5がそれぞれコネクタハウジング部3に嵌合され、固定される。
【0039】
図7は、図6における円で囲んだ部分Eの拡大図である。図7に示すように、コネクタフード部18の内面に形成されたリブ部20の基部(図中、右側)近傍に位置決め用の凸形状部31が形成され、上ケース6および/または下ケース9の先端部11に形成された溝部13の底面に、凸形状部31に対応する形状の凹形状部32を備えている。このように、リブ部および溝部の対応する位置に凸形状部31および凹形状部32を設けることによって、上下ケース6、9の先端部8、11とコネクタフード部18の嵌合の位置決めを容易に行うことができる。
【0040】
更に、図7に示すように、上下ケース6、9の先端部にテーパー部33が設けられ、コネクタフード部18の内側に形成されるリブ部20の先端部にテーパー部34が設けられている。このように、上下ケースの先端部にテーパー部33を設け、リブ部20の先端部にテーパー部34を設けることによって、上下ケース6、9の先端部8、11の進行方向をコネクタフード部18の方向に一致させ、それ以外の方向への応力の分散を抑制して、上下ケース6、9の先端部8、11とコネクタフード部18の嵌合を容易にすることができる。
なお、図示しないが、環状のケース受入部を形成するコネクタフード部18の厚さが、基板5側の端部から漸次厚くなり、上ケース6および下ケース9の先端部8、11の厚さが、コネクタフード部18に対応して、先端に向かって漸次薄くなっていてもよい。このように厚さを変化させることによって、装着を容易にすることができる。
【0041】
図8は、図3におけるB−B線に沿った断面図である。図8に示すように、上ケース6の先端部8に形成された突起部14がコネクタハウジング部3のコネクタフード部18に形成された窪み部15に噛み合ってロック機能が果たされる。このように、上ケース6の先端部8に形成された突起部14およびコネクタハウジング部3のコネクタフード部18に形成された窪み部15によってロックされるので、上下ケース6、9がコネクタハウジング部3に固定され、容易に離脱することはない。
【0042】
図9は、図3におけるC−C線に沿った断面図である。図9に示すように、コネクタハウジング部3の基板受け入れ空洞部22には、上ケース6および下ケース9に収納された基板5が装着され、基板5の端子部23と端子17とが電気的に接続される。図10は、図9に示す楕円で囲んだ部分Fの拡大図である。図10に示すように、コネクタハウジング部3に形成された端子受け入れ空洞部16−1、16−2には、それぞれの突起状接続部26が相互に向かい合うように端子17が配置される。突起状接続部26は、コネクタハウジング部3に設けられた基板受け入れ空洞部22に装着された基板5の端子部23を挟むように固定して電気的に接続される。
【0043】
この発明によると、薄型且つコンパクトで、ケース内に収納された基板等の端子部と、導体に電気的に接続された端子とを接続し、ケースの先端部を嵌合して固定することができるコネクタおよびコネクタアセンブリを提供することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 コネクタアセンブリ
2 コネクタ
3 コネクタハウジング部
4 端子部
5 基板
6 上ケース
7 上ケース本体
8 先端部
9 下ケース
10 下ケース本体
11 先端部
12 溝部
13 溝部
14 突起部
15 窪み部
16 端子受け入れ空洞部
17 端子
18 コネクタフード部
19、20 リブ部
22 基板受け入れ空洞部
23 端子部
26 突起状接続部
27 スタビライザ部
28 ボックス部
29 導体固定部
31 凸形状部
32 凹形状部
33、34 テーパー部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と電気的に接続される接続部を先端部に備え、水平方向に複数個並列配置した端子が、前記接続部が向かい合うように垂直方向に上下に配置される端子部と、
一方の端部の外周部に設けられて、前記基板を収納する上ケースおよび下ケースのそれぞれの先端部が嵌合され、固定されるケース固定部と、前記一方の端部の概ね中央部に設けられて、基板の一部が装着される基板受け入れ空洞部と、他方の端部に設けられて、前記基板受け入れ空洞部を挟み、前記端子が相互に向かいあって上下に装着される、複数の端子受け入れ空洞部とを備えたコネクタハウジング部とを備え、
前記基板受け入れ空洞部に装着された前記基板に、前記端子受け入れ空洞部に装着された前記端子部の対応する前記端子の前記接続部が、上下から挟むようにして電気的に接続されるコネクタ。
【請求項2】
前記ケース固定部が、コネクタハウジング部の外周部に、一体的に形成されたコネクタフード部からなっており、上下に分割された上ケースおよび下ケースのそれぞれの先端部が嵌合される、環状のケース受け入れ空洞部を形成している、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記上ケースの先端部および前記コネクタフード部の対応する部位に、嵌合された前記上下ケースの先端部を固定するロック機構を備えている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ロック機構が、前記上ケースの先端部に設けられた突起部、および、前記コネクタフード部に設けられた窪み部からなっており、前記上下ケースの先端部を前記環状のケース受入部に挿入することによって、前記突起部と前記窪み部が噛み合う、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記コネクタフードの内側の面に、前記端子受け入れ空洞部の長手方向に沿って設けられた少なくとも1つのリブ部と、前記上下ケースの先端部に形成された、前記リブ部に対応する形状の溝部とを備え、前記上下ケースの先端部の前記ケース受入部への嵌合を誘導する、請求項2から4の何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記リブ部の一部に形成された位置決め用の凸形状部と、前記溝部の底面に形成された前記凸形状部に対応する形状の凹形状部を備えている、請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記上下ケースの先端部に形成された溝部の端部、および、前記リブ部の端部にそれぞれテーパー部を備えている、請求項5または6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記端子の前記接続部が突起状接続部を備え、前記突起状接続部が弾性接触部を備えて、前記基板を挟みこんでいる、請求項1から7の何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記環状のケース受入部を形成する前記コネクタフード部の厚さが、前記基板側の端部から漸次厚くなっており、前記上ケースおよび下ケースの前記先端部の厚さが、前記コネクタフード部に対応して、先端に向かって漸次薄くなっている、請求項2から8の何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項10】
基板と、
前記基板を収納する、上下に分割された上ケースおよび下ケースであって、ケース本体部とコネクタハウジング部との嵌合部を形成する先端部とを備えたケースと、
前記基板と電気的に接続される接続部を先端部に備え、水平方向に複数個並列配置した端子が、前記接続部が向かい合うように垂直方向に上下に配置される端子部と、
一方の端部の外周部に設けられて、前記上ケースおよび下ケースのそれぞれの先端部が嵌合され、固定されるケース固定部と、前記一方の端部の概ね中央部に設けられて、基板の一部が装着される基板受け入れ空洞部と、他方の端部に設けられて、前記基板受け入れ空洞部を挟み、前記端子が相互に向かいあって上下に装着される、複数の端子受け入れ空洞部とを備えたコネクタハウジング部とを備え、
前記ケースの先端部が前記ケース固定部に固定され、前記基板受け入れ空洞部に装着された前記基板に、前記端子受け入れ空洞部に装着された前記端子部の対応する前記端子の前記接続部が、上下から挟むようにして電気的に接続されるコネクタアセンブリ。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−238372(P2010−238372A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81800(P2009−81800)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】