コネクタカバー
【課題】コネクタハウジングから導出する電線外径や数量が変わっても、電線外径や数量に相応した断面積の電線曲げ空間を前記コネクタハウジングの後方に確保することができ、前記電線曲げ空間の過不足によって電線や端子金具が傷付くことを防止することができるコネクタカバーを提供すること。
【解決手段】コネクタハウジング20の後端21に取り付けられて電線40の導出方向を規制するコネクタカバー1であって、コネクタハウジング20の後端21に固定されるハウジング固定部材210と、ハウジング固定部材210における電線挿通方向に沿って移動可能にハウジング固定部材210の後端に結合されて、電線挿通方向への移動によって拡縮可能な電線曲げ空間230をハウジング固定部材210との間に画成する電線案内部材220と、を備える。
【解決手段】コネクタハウジング20の後端21に取り付けられて電線40の導出方向を規制するコネクタカバー1であって、コネクタハウジング20の後端21に固定されるハウジング固定部材210と、ハウジング固定部材210における電線挿通方向に沿って移動可能にハウジング固定部材210の後端に結合されて、電線挿通方向への移動によって拡縮可能な電線曲げ空間230をハウジング固定部材210との間に画成する電線案内部材220と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタハウジングの後端に取り付けられて、コネクタハウジングの後端から導出される電線の導出方向を規制するコネクタカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
図18及び図19は、下記特許文献1に開示されたコネクタカバーを示している。
このコネクタカバー100は、コネクタハウジング110の後端111に取り付けられて、コネクタハウジング110の後端から導出される電線の導出方向を規制する。
【0003】
コネクタハウジング110は、収容する端子金具に接続された電線が、後端111から矢印X1で示す方向に導出する。コネクタハウジング110の後端111の両外側面には、カバー案内リブ112と、カバー係止部113と、が備えられている。
【0004】
カバー案内リブ112は、後端111に対するコネクタカバー100の嵌合装着方向(図18の矢印X1方向とは、逆方向)に沿って延在するリブ状に、後端111の側面に形成されている。このカバー案内リブ112は、コネクタカバー100を後端111に嵌合装着する際に、コネクタカバー100を嵌合方向に誘導する。
【0005】
カバー係止部113は、後端111に対するコネクタカバー100の嵌合装着が完了したときにコネクタカバー100と係合して、コネクタカバー100を固定する。
【0006】
コネクタカバー100は、コネクタハウジング110の後端に固定されるハウジング固定部101と、ハウジング固定部101の後端に一体形成された電線案内部102と、を備えている。
【0007】
ハウジング固定部101は、コネクタハウジング110の後端111から導出する電線を収容する筒状又は樋状を成している。このハウジング固定部101は、コネクタハウジング110の後端111の両側面に被さる両側壁部101aに、リブ係合溝103と、ハウジング係合部104と、を備えている。
【0008】
リブ係合溝103は、カバー案内リブ112が挿入されることで、コネクタハウジング110に対するコネクタカバー100の嵌合装着時におけるコネクタカバー100の移動方向を規制する。
【0009】
ハウジング係合部104は、コネクタカバー100がコネクタハウジング110に対して正規の嵌合完了位置に到達したときに、カバー係止部113と係合することでコネクタカバー100をコネクタハウジング110の後端111に固定する突起である。
【0010】
コネクタハウジング110の後端111に嵌合装着されるハウジング固定部101には、端子押し込み突片106が、装備されている。
【0011】
端子押し込み突片106は、コネクタカバー100のコネクタハウジング110への嵌合に伴ってコネクタハウジング110の端子挿入孔に挿入されて、前記端子挿入孔内の中途挿入状態の端子金具を正規の挿入完了位置に押し込む。
【0012】
電線案内部102は、図18及び図19に示すように、ハウジング固定部101の後方を覆って、コネクタカバー100のコネクタハウジング110への嵌合方向と直交する一方側(図18では、矢印Y1に示す下方)に延出している。この電線案内部102は、コネクタハウジング110の後端から導出する電線を下方に屈曲させて導出させる電線曲げ空間をコネクタハウジング110の後端との間に画成する。即ち、電線案内部102は、コネクタハウジング110からの電線の導出方向を、図18の矢印Y1方向に規制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2000−348810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、特許文献1のコネクタカバー100は、コネクタハウジング110の後端との間に画成する電線曲げ空間の大きさを変化させることができない。
【0015】
そのため、コネクタハウジング110から導出する電線が、規定よりも電線外径が大きかったり、電線の数量が多い場合には、電線曲げ空間の大きさが不足気味となり、電線相互が強く擦れたり、電線が電線案内部102に強く衝突して、電線や端子金具が傷付くおそれがあった。
【0016】
また、規定よりも電線外径が小さかったり、あるいは電線の数量が少ない場合には、電線曲げ空間の大きさが過剰気味となり、電線曲げ空間内の電線に対するコネクタカバー100内の電線の揺れを抑止する性能が低下し、外部から電線に加わる振動や張力によって、電線相互が強く衝突したり、あるいは擦れたりして、電線や端子金具が傷付くおそれがあった。
【0017】
即ち、特許文献1のコネクタカバー100の場合、電線外径や数量が規定より増減すると、電線曲げ空間の過不足によって電線や端子金具が傷付くおそれがあった。
【0018】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、コネクタハウジングから導出する電線外径や数量が変わっても、電線外径や数量に相応した断面積の電線曲げ空間を前記コネクタハウジングの後方に確保することができ、前記電線曲げ空間の過不足によって電線や端子金具が傷付くことを防止することができるコネクタカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)コネクタハウジングの後端に取り付けられて、前記コネクタハウジングの後端から導出される電線の導出方向を規制するコネクタカバーであって、
前記コネクタハウジングの後端に固定されると共に、前記コネクタハウジングの後端から導出される電線が挿通する略筒状構造のハウジング固定部材と、
前記ハウジング固定部材とは別体に形成され、前記ハウジング固定部材における電線挿通方向に沿って移動可能に前記ハウジング固定部材の後端に結合されて、前記電線挿通方向とは異なる所定方向に電線を屈曲させて導出させる電線曲げ空間を前記ハウジング固定部材との間に画成すると共に、前記電線挿通方向への移動操作により前記電線曲げ空間を拡縮可能な電線案内部材と、
を備えたことを特徴とするコネクタカバー。
【0020】
(2)前記電線案内部材を、前記電線挿通方向に沿って移動可能に前記ハウジング固定部材の後端に結合する手段として、
前記電線挿通方向に所定の間隔を開けて前記ハウジング固定部材の後端側の側面上に配列された複数の案内部材係止手段と、
前記電線案内部材を前記ハウジング固定部材の後端に嵌合装着する際に前記ハウジング固定部材の後端側の側面上の前記電線挿通方向に沿って移動して、前記複数の案内部材係止手段の内の一つに係合可能に前記電線案内部材に設けられ、係合する前記案内部材係止手段を変更することで、前記ハウジング固定部材に対する前記電線案内部材の固定位置を変える固定部材係合手段と、
を備えることを特徴とする上記(1)に記載のコネクタカバー。
【0021】
上記(1)の構成によれば、コネクタハウジングの後端に固定されるハウジング固定部材に対して、電線案内部材を移動操作することによって、コネクタカバーがコネクタハウジングの後端側に画成する電線曲げ空間を拡縮することができる。
【0022】
従って、コネクタハウジングから導出する電線外径や数量が変わっても、電線案内部材の移動操作によって、電線外径や数量に相応した断面積の電線曲げ空間を前記コネクタハウジングの後方に確保することができ、電線曲げ空間の過不足によって電線や端子金具が傷付くことを防止することができる。
【0023】
上記(2)の構成によれば、電線案内部材を電線挿通方向に沿って移動可能にハウジング固定部材の後端に結合する手段は、ハウジング固定部材上に配列された複数の案内部材係止手段と、電線案内部材に設けられた固定部材係合手段と、から構成されていて、電線案内部材をハウジング固定部材の後端に嵌合装着する際に、固定部材係合手段が係合する案内部材係止手段を選択することで、簡単に電線曲げ空間の断面積を調整することができ、電線外径や電線本数の変化に簡単に対応することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によるコネクタカバーによれば、コネクタハウジングの後端に固定されるハウジング固定部材に対して、電線案内部材を移動操作することによって、コネクタカバーがコネクタハウジングの後端側に画成する電線曲げ空間を拡縮することができる。
【0025】
従って、コネクタハウジングから導出する電線外径や数量が変わっても、電線案内部材の移動操作によって、電線外径や数量に相応した断面積の電線曲げ空間を前記コネクタハウジングの後方に確保することができ、電線曲げ空間の過不足によって電線や端子金具が傷付くことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るコネクタカバーが取り付けられるカバー付きコネクタの一実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1のコネクタハウジングに収容される端子金具の斜視図である。
【図3】一実施形態のコネクタカバーの分解斜視図である。
【図4】図3に示したハウジング固定部材のA矢視図である。
【図5】図1に示したコネクタカバーのB矢視図である。
【図6】図5のC−C断面図である。
【図7】図6のD部の拡大図である。
【図8】図1のコネクタハウジングに対してコネクタカバーの嵌合装着が完了した状態の斜視図である。
【図9】図8のE矢視図である。
【図10】図9のF−F断面図である。
【図11】図9のG−G断面図である。
【図12】図11のH部の拡大図である。
【図13】図9のI−I断面図である。
【図14】図13のJ部の拡大図である。
【図15】コネクタハウジングに収容される電線が、図10に示した場合よりも細径に変更された場合における電線案内部材の取り付け状態を示す縦断面図である。
【図16】図15のK−K断面図である。
【図17】図16のL部の拡大図である。
【図18】従来のコネクタカバーを備えたカバー付きコネクタの組立前の状態の側面図である。
【図19】図18に示したカバー付きコネクタの組立後の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るコネクタカバーの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1〜図17は本発明に係るコネクタカバーが取り付けられるカバー付きコネクタの一実施形態を示したもので、図1は一実施形態のカバー付きコネクタの分解斜視図、図2は図1のコネクタハウジングに収容される端子金具の斜視図、図3は一実施形態のコネクタカバーの分解斜視図、図4は図3に示したハウジング固定部材のA矢視図、図5は図1に示したコネクタカバーのB矢視図、図6は図5のC−C断面図、図7は図6のD部の拡大図、図8は図1のコネクタハウジングに対してコネクタカバーの嵌合装着が完了した状態の斜視図、図9は図8のE矢視図、図10は図9のF−F断面図、図11は図9のG−G断面図、図12は図11のH部の拡大図、図13は図9のI−I断面図、図14は図13のJ部の拡大図、図15はコネクタハウジングに収容される電線が、図10に示した場合よりも細径に変更された場合における電線案内部材の取り付け状態を示す縦断面図、図16は図15のK−K断面図、図17は図16のL部の拡大図である。
【0029】
この一実施形態のコネクタカバー1は、コネクタハウジング20の後端21に取り付けられて、コネクタハウジング20の後端21から導出される電線40の導出方向を規制する。
【0030】
コネクタカバー1が取り付けられるコネクタハウジング20は、複数個の端子収容孔22が、後端21から前端に向かって、貫通形成されている。端子収容孔22には、図2に示すように電線40の端部に圧着接続された端子金具30が、挿入装着される。端子収容孔22内には、図10に示すように、ランス23が設けられている。ランス23は、規定の嵌合完了位置まで挿入された端子金具30を係止して、端子金具30を抜け止めする。
【0031】
コネクタカバー1は、収容する端子金具30に接続された電線40が、図1に示すように、後端21から矢印Y2で示す方向に導出する。矢印Y2の方向は、端子収容孔22の貫通方向と直交する垂直上方に向かう方向である。コネクタカバー1の後端21の両外側面には、カバー案内リブ25と、カバー係止部26と、が備えられている。
【0032】
カバー案内リブ25は、後端21に対するコネクタカバー1の嵌合装着方向(図1の矢印X2方向)に沿って延在するリブ状に、後端21の側面に形成されている。このカバー案内リブ25は、コネクタカバー100を後端21に嵌合装着する際に、コネクタカバー100を嵌合方向に誘導する。
【0033】
カバー係止部26は、後端21に対するコネクタカバー1の嵌合装着が完了したときにコネクタカバー1と係合して、コネクタカバー1を固定する。
【0034】
本実施形態のコネクタカバー1は、図3に示すように、コネクタハウジング20の後端21に固定されるハウジング固定部材210と、ハウジング固定部材210の後端211に取り付けられる電線案内部材220と、を備えている。
【0035】
ハウジング固定部材210は、コネクタハウジング20の後端21から導出する電線が方向を変えずに挿通する略筒状構造を成している。図3及び図10における矢印X3は、ハウジング固定部材210における電線挿通方向を示している。
【0036】
本実施形態のハウジング固定部材210は、図1及び図3に示すように、その前端側に、端子押し込み突片214と、リブ係合溝215と、ハウジング係合部216と、を備えている。
【0037】
端子押し込み突片214は、ハウジング固定部材210のコネクタハウジング110への嵌合に伴って、コネクタカバー1の端子収容孔22に挿入されて、端子収容孔22内の中途挿入状態の端子金具30を正規の挿入完了位置に押し込む。
【0038】
上記のリブ係合溝215とハウジング係合部216は、コネクタハウジング20の後端21の両側面に被さる前端側の両側壁部217に、形成されている。
【0039】
リブ係合溝215は、カバー案内リブ25が挿入されることで、コネクタハウジング20に対するハウジング固定部材210の嵌合装着時におけるハウジング固定部材210の移動方向を嵌合方向に規制する。
【0040】
ハウジング係合部216は、図11及び図12に示すように、ハウジング固定部材210がコネクタハウジング20に対して正規の嵌合完了位置に到達したときに、カバー係止部26と係合することで、ハウジング固定部材210をコネクタハウジング20の後端21に固定する突起である。
【0041】
電線案内部材220は、ハウジング固定部材210とは別体に形成された部材である。
この電線案内部材220は、図6に示すように、ハウジング固定部材210の後端211に結合されて、後端211との間に、電線曲げ空間230を画成する。電線曲げ空間230は、ハウジング固定部材210における電線挿通方向とは異なる所定方向に電線40を屈曲させて導出させる空間である。本実施形態の場合、電線曲げ空間230は、図10に示すように、ハウジング固定部材210における電線挿通方向(図10の矢印X3方向である)と直交する垂直上方(図10の矢印Y3方向である)に、電線40を導出する。
【0042】
本実施形態の電線案内部材220は、ハウジング固定部材210における電線挿通方向に沿って移動可能にハウジング固定部材210の後端に結合される。
【0043】
本実施形態では、電線案内部材220をハウジング固定部材210における電線挿通方向に沿って移動可能にハウジング固定部材210の後端に結合する手段として、複数の案内部材係止手段240と、固定部材係合手段241と、を備えている。
【0044】
案内部材係止手段240は、本実施形態の場合、係止突起である。複数の案内部材係止手段240は、図4〜図7に示すように、ハウジング固定部材210の後端211側の側面上に、電線挿通方向に所定の間隔を開けて配列されている。
【0045】
また、本実施形態の場合、複数の案内部材係止手段240は、図4に示すように、後端211の各側面に、上部列L1と、下部列L2の上下2列に配列されている。上部列L1及び下部列L2は、互いに平行な列である。
【0046】
固定部材係合手段241は、図3に示すように、複数の案内部材係止手段240が並ぶ上部列L1及び下部列L2に対応するように、電線案内部材220の各側縁に2個設けられている。固定部材係合手段241は、電線案内部材220の側縁から延出する弾性片241aの先端に、案内部材係止手段240と係合可能な凸部241bを突設した構造である。
【0047】
弾性片241aは、ハウジング固定部材210における電線挿通方向に沿って電線案内部材220の側縁からハウジング固定部材210側に突出している。
【0048】
本実施形態の固定部材係合手段241は、電線案内部材220をハウジング固定部材210の後端に嵌合装着する際にハウジング固定部材210の後端側の側面上の電線挿通方向に沿って移動して、複数の案内部材係止手段240の内の一つに係合可能に電線案内部材220に設けられている。本実施形態のコネクタカバー1では、固定部材係合手段241が係合する案内部材係止手段240を変更することで、ハウジング固定部材210に対する電線案内部材220の固定位置を変えることができる。
【0049】
本実施形態のコネクタカバー1の場合、ハウジング固定部材210に対する電線案内部材220の固定位置を変えることで、ハウジング固定部材210と電線案内部材220との間の電線曲げ空間230が拡縮される。
【0050】
図10〜図14は、コネクタハウジング20から導出する電線40の外径や数量が基準よりも大きい場合における電線案内部材220の取り付け状態を示したものである。この場合、電線案内部材220は、図13及び図14に示すように、固定部材係合手段241を、ハウジング固定部材210上の一番手前(電線案内部材220に近い側)の案内部材係止手段240に係合させることで、基準よりも大きな横断面積の電線曲げ空間230を得ている。そのため、電線40の外径や数量が基準よりも大きくても、電線案内部材220との当接によって電線40に過大な押圧荷重や曲げ荷重等が作用することがなく、電線曲げ空間230として、各電線40の曲げに必要十分な容積を確保することができている。
【0051】
図15〜図17は、コネクタハウジング20から導出する電線40の外径や数量が基準よりも小さい場合における電線案内部材220の取り付け状態を示したものである。この場合、電線案内部材220は、図16及び図17に示すように、固定部材係合手段241を、ハウジング固定部材210上の一番奥(電線案内部材220から遠い側)の案内部材係止手段240に係合させることで、基準よりも小さな横断面積の電線曲げ空間230を得ている。そのため、電線40の外径や数量が基準よりも小さくても、電線40の周囲に余分な空間が発生することがなく、電線曲げ空間230として、各電線40の曲げに必要十分な容積を確保することができている。
【0052】
以上に説明した一実施形態のコネクタカバー1の構成によれば、コネクタハウジング20の後端に固定されるハウジング固定部材210に対して、電線案内部材220を移動操作することによって、コネクタカバー1がコネクタハウジング20の後端側に画成する電線曲げ空間230を拡縮することができる。
【0053】
従って、コネクタハウジング20から導出する電線外径や数量が変わっても、電線案内部材220の移動操作によって、電線外径や数量に相応した断面積の電線曲げ空間230を前記コネクタハウジング20の後方に確保することができ、電線曲げ空間230の過不足によって電線40や端子金具が傷付くことを防止することができる。
【0054】
また、以上に説明した一実施形態のコネクタカバー1の構成によれば、電線案内部材220を電線挿通方向に沿って移動可能にハウジング固定部材210の後端に結合する手段は、ハウジング固定部材210上に配列された複数の案内部材係止手段240と、電線案内部材220に設けられた固定部材係合手段241と、から構成されていて、電線案内部材220をハウジング固定部材210の後端に嵌合装着する際に、固定部材係合手段241が係合する案内部材係止手段240を選択することで、簡単に電線曲げ空間230の断面積を調整することができ、電線外径や電線40本数の変化に簡単に対応することができる。
【0055】
更に、以上に説明した一実施形態のコネクタカバー1の構成によれば、複数の案内部材係止手段240は、図4に示したように、ハウジング固定部材210の両側面において、上下方向に離間した上部列L1及び下部列L2の2列に配置している。そして、これらの案内部材係止手段240に係合する固定部材係合手段241も、電線案内部材220の両側縁において、上下に離間した2箇所に配置している。
【0056】
即ち、案内部材係止手段240と固定部材係合手段241との係合が、ハウジング固定部材210の両側面上の上下に離間した2箇所で行われるため、電線案内部材220を強固にハウジング固定部材210へ固定することができ、電線案内部材220による電線40の導出方向の規制を安定させることができる。
【0057】
なお、本発明のコネクタカバーは、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜、変形、改良等が可能である。
【0058】
例えば、ハウジング固定部材210における電線挿通方向に間隔を開けて配列する案内部材係止手段240の数量は、前述の実施形態に限るものではなく、2以上の任意の数量に設定することができる。
【0059】
また、電線案内部材をハウジング固定部材における電線挿通方向に沿って移動可能にハウジング固定部材の後端に結合する手段の具体的な構造は、前述の実施形態の構造に限らない。例えば、ねじによる送り機構によって電線案内部材とハウジング固定部材との間隔を調整可能にしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 コネクタカバー
20 コネクタハウジング
21 後端
40 電線
210 ハウジング固定部材
211 後端
220 電線案内部材
230 電線曲げ空間
240 案内部材係止手段
241 固定部材係合手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタハウジングの後端に取り付けられて、コネクタハウジングの後端から導出される電線の導出方向を規制するコネクタカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
図18及び図19は、下記特許文献1に開示されたコネクタカバーを示している。
このコネクタカバー100は、コネクタハウジング110の後端111に取り付けられて、コネクタハウジング110の後端から導出される電線の導出方向を規制する。
【0003】
コネクタハウジング110は、収容する端子金具に接続された電線が、後端111から矢印X1で示す方向に導出する。コネクタハウジング110の後端111の両外側面には、カバー案内リブ112と、カバー係止部113と、が備えられている。
【0004】
カバー案内リブ112は、後端111に対するコネクタカバー100の嵌合装着方向(図18の矢印X1方向とは、逆方向)に沿って延在するリブ状に、後端111の側面に形成されている。このカバー案内リブ112は、コネクタカバー100を後端111に嵌合装着する際に、コネクタカバー100を嵌合方向に誘導する。
【0005】
カバー係止部113は、後端111に対するコネクタカバー100の嵌合装着が完了したときにコネクタカバー100と係合して、コネクタカバー100を固定する。
【0006】
コネクタカバー100は、コネクタハウジング110の後端に固定されるハウジング固定部101と、ハウジング固定部101の後端に一体形成された電線案内部102と、を備えている。
【0007】
ハウジング固定部101は、コネクタハウジング110の後端111から導出する電線を収容する筒状又は樋状を成している。このハウジング固定部101は、コネクタハウジング110の後端111の両側面に被さる両側壁部101aに、リブ係合溝103と、ハウジング係合部104と、を備えている。
【0008】
リブ係合溝103は、カバー案内リブ112が挿入されることで、コネクタハウジング110に対するコネクタカバー100の嵌合装着時におけるコネクタカバー100の移動方向を規制する。
【0009】
ハウジング係合部104は、コネクタカバー100がコネクタハウジング110に対して正規の嵌合完了位置に到達したときに、カバー係止部113と係合することでコネクタカバー100をコネクタハウジング110の後端111に固定する突起である。
【0010】
コネクタハウジング110の後端111に嵌合装着されるハウジング固定部101には、端子押し込み突片106が、装備されている。
【0011】
端子押し込み突片106は、コネクタカバー100のコネクタハウジング110への嵌合に伴ってコネクタハウジング110の端子挿入孔に挿入されて、前記端子挿入孔内の中途挿入状態の端子金具を正規の挿入完了位置に押し込む。
【0012】
電線案内部102は、図18及び図19に示すように、ハウジング固定部101の後方を覆って、コネクタカバー100のコネクタハウジング110への嵌合方向と直交する一方側(図18では、矢印Y1に示す下方)に延出している。この電線案内部102は、コネクタハウジング110の後端から導出する電線を下方に屈曲させて導出させる電線曲げ空間をコネクタハウジング110の後端との間に画成する。即ち、電線案内部102は、コネクタハウジング110からの電線の導出方向を、図18の矢印Y1方向に規制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2000−348810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、特許文献1のコネクタカバー100は、コネクタハウジング110の後端との間に画成する電線曲げ空間の大きさを変化させることができない。
【0015】
そのため、コネクタハウジング110から導出する電線が、規定よりも電線外径が大きかったり、電線の数量が多い場合には、電線曲げ空間の大きさが不足気味となり、電線相互が強く擦れたり、電線が電線案内部102に強く衝突して、電線や端子金具が傷付くおそれがあった。
【0016】
また、規定よりも電線外径が小さかったり、あるいは電線の数量が少ない場合には、電線曲げ空間の大きさが過剰気味となり、電線曲げ空間内の電線に対するコネクタカバー100内の電線の揺れを抑止する性能が低下し、外部から電線に加わる振動や張力によって、電線相互が強く衝突したり、あるいは擦れたりして、電線や端子金具が傷付くおそれがあった。
【0017】
即ち、特許文献1のコネクタカバー100の場合、電線外径や数量が規定より増減すると、電線曲げ空間の過不足によって電線や端子金具が傷付くおそれがあった。
【0018】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、コネクタハウジングから導出する電線外径や数量が変わっても、電線外径や数量に相応した断面積の電線曲げ空間を前記コネクタハウジングの後方に確保することができ、前記電線曲げ空間の過不足によって電線や端子金具が傷付くことを防止することができるコネクタカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)コネクタハウジングの後端に取り付けられて、前記コネクタハウジングの後端から導出される電線の導出方向を規制するコネクタカバーであって、
前記コネクタハウジングの後端に固定されると共に、前記コネクタハウジングの後端から導出される電線が挿通する略筒状構造のハウジング固定部材と、
前記ハウジング固定部材とは別体に形成され、前記ハウジング固定部材における電線挿通方向に沿って移動可能に前記ハウジング固定部材の後端に結合されて、前記電線挿通方向とは異なる所定方向に電線を屈曲させて導出させる電線曲げ空間を前記ハウジング固定部材との間に画成すると共に、前記電線挿通方向への移動操作により前記電線曲げ空間を拡縮可能な電線案内部材と、
を備えたことを特徴とするコネクタカバー。
【0020】
(2)前記電線案内部材を、前記電線挿通方向に沿って移動可能に前記ハウジング固定部材の後端に結合する手段として、
前記電線挿通方向に所定の間隔を開けて前記ハウジング固定部材の後端側の側面上に配列された複数の案内部材係止手段と、
前記電線案内部材を前記ハウジング固定部材の後端に嵌合装着する際に前記ハウジング固定部材の後端側の側面上の前記電線挿通方向に沿って移動して、前記複数の案内部材係止手段の内の一つに係合可能に前記電線案内部材に設けられ、係合する前記案内部材係止手段を変更することで、前記ハウジング固定部材に対する前記電線案内部材の固定位置を変える固定部材係合手段と、
を備えることを特徴とする上記(1)に記載のコネクタカバー。
【0021】
上記(1)の構成によれば、コネクタハウジングの後端に固定されるハウジング固定部材に対して、電線案内部材を移動操作することによって、コネクタカバーがコネクタハウジングの後端側に画成する電線曲げ空間を拡縮することができる。
【0022】
従って、コネクタハウジングから導出する電線外径や数量が変わっても、電線案内部材の移動操作によって、電線外径や数量に相応した断面積の電線曲げ空間を前記コネクタハウジングの後方に確保することができ、電線曲げ空間の過不足によって電線や端子金具が傷付くことを防止することができる。
【0023】
上記(2)の構成によれば、電線案内部材を電線挿通方向に沿って移動可能にハウジング固定部材の後端に結合する手段は、ハウジング固定部材上に配列された複数の案内部材係止手段と、電線案内部材に設けられた固定部材係合手段と、から構成されていて、電線案内部材をハウジング固定部材の後端に嵌合装着する際に、固定部材係合手段が係合する案内部材係止手段を選択することで、簡単に電線曲げ空間の断面積を調整することができ、電線外径や電線本数の変化に簡単に対応することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によるコネクタカバーによれば、コネクタハウジングの後端に固定されるハウジング固定部材に対して、電線案内部材を移動操作することによって、コネクタカバーがコネクタハウジングの後端側に画成する電線曲げ空間を拡縮することができる。
【0025】
従って、コネクタハウジングから導出する電線外径や数量が変わっても、電線案内部材の移動操作によって、電線外径や数量に相応した断面積の電線曲げ空間を前記コネクタハウジングの後方に確保することができ、電線曲げ空間の過不足によって電線や端子金具が傷付くことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るコネクタカバーが取り付けられるカバー付きコネクタの一実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1のコネクタハウジングに収容される端子金具の斜視図である。
【図3】一実施形態のコネクタカバーの分解斜視図である。
【図4】図3に示したハウジング固定部材のA矢視図である。
【図5】図1に示したコネクタカバーのB矢視図である。
【図6】図5のC−C断面図である。
【図7】図6のD部の拡大図である。
【図8】図1のコネクタハウジングに対してコネクタカバーの嵌合装着が完了した状態の斜視図である。
【図9】図8のE矢視図である。
【図10】図9のF−F断面図である。
【図11】図9のG−G断面図である。
【図12】図11のH部の拡大図である。
【図13】図9のI−I断面図である。
【図14】図13のJ部の拡大図である。
【図15】コネクタハウジングに収容される電線が、図10に示した場合よりも細径に変更された場合における電線案内部材の取り付け状態を示す縦断面図である。
【図16】図15のK−K断面図である。
【図17】図16のL部の拡大図である。
【図18】従来のコネクタカバーを備えたカバー付きコネクタの組立前の状態の側面図である。
【図19】図18に示したカバー付きコネクタの組立後の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るコネクタカバーの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1〜図17は本発明に係るコネクタカバーが取り付けられるカバー付きコネクタの一実施形態を示したもので、図1は一実施形態のカバー付きコネクタの分解斜視図、図2は図1のコネクタハウジングに収容される端子金具の斜視図、図3は一実施形態のコネクタカバーの分解斜視図、図4は図3に示したハウジング固定部材のA矢視図、図5は図1に示したコネクタカバーのB矢視図、図6は図5のC−C断面図、図7は図6のD部の拡大図、図8は図1のコネクタハウジングに対してコネクタカバーの嵌合装着が完了した状態の斜視図、図9は図8のE矢視図、図10は図9のF−F断面図、図11は図9のG−G断面図、図12は図11のH部の拡大図、図13は図9のI−I断面図、図14は図13のJ部の拡大図、図15はコネクタハウジングに収容される電線が、図10に示した場合よりも細径に変更された場合における電線案内部材の取り付け状態を示す縦断面図、図16は図15のK−K断面図、図17は図16のL部の拡大図である。
【0029】
この一実施形態のコネクタカバー1は、コネクタハウジング20の後端21に取り付けられて、コネクタハウジング20の後端21から導出される電線40の導出方向を規制する。
【0030】
コネクタカバー1が取り付けられるコネクタハウジング20は、複数個の端子収容孔22が、後端21から前端に向かって、貫通形成されている。端子収容孔22には、図2に示すように電線40の端部に圧着接続された端子金具30が、挿入装着される。端子収容孔22内には、図10に示すように、ランス23が設けられている。ランス23は、規定の嵌合完了位置まで挿入された端子金具30を係止して、端子金具30を抜け止めする。
【0031】
コネクタカバー1は、収容する端子金具30に接続された電線40が、図1に示すように、後端21から矢印Y2で示す方向に導出する。矢印Y2の方向は、端子収容孔22の貫通方向と直交する垂直上方に向かう方向である。コネクタカバー1の後端21の両外側面には、カバー案内リブ25と、カバー係止部26と、が備えられている。
【0032】
カバー案内リブ25は、後端21に対するコネクタカバー1の嵌合装着方向(図1の矢印X2方向)に沿って延在するリブ状に、後端21の側面に形成されている。このカバー案内リブ25は、コネクタカバー100を後端21に嵌合装着する際に、コネクタカバー100を嵌合方向に誘導する。
【0033】
カバー係止部26は、後端21に対するコネクタカバー1の嵌合装着が完了したときにコネクタカバー1と係合して、コネクタカバー1を固定する。
【0034】
本実施形態のコネクタカバー1は、図3に示すように、コネクタハウジング20の後端21に固定されるハウジング固定部材210と、ハウジング固定部材210の後端211に取り付けられる電線案内部材220と、を備えている。
【0035】
ハウジング固定部材210は、コネクタハウジング20の後端21から導出する電線が方向を変えずに挿通する略筒状構造を成している。図3及び図10における矢印X3は、ハウジング固定部材210における電線挿通方向を示している。
【0036】
本実施形態のハウジング固定部材210は、図1及び図3に示すように、その前端側に、端子押し込み突片214と、リブ係合溝215と、ハウジング係合部216と、を備えている。
【0037】
端子押し込み突片214は、ハウジング固定部材210のコネクタハウジング110への嵌合に伴って、コネクタカバー1の端子収容孔22に挿入されて、端子収容孔22内の中途挿入状態の端子金具30を正規の挿入完了位置に押し込む。
【0038】
上記のリブ係合溝215とハウジング係合部216は、コネクタハウジング20の後端21の両側面に被さる前端側の両側壁部217に、形成されている。
【0039】
リブ係合溝215は、カバー案内リブ25が挿入されることで、コネクタハウジング20に対するハウジング固定部材210の嵌合装着時におけるハウジング固定部材210の移動方向を嵌合方向に規制する。
【0040】
ハウジング係合部216は、図11及び図12に示すように、ハウジング固定部材210がコネクタハウジング20に対して正規の嵌合完了位置に到達したときに、カバー係止部26と係合することで、ハウジング固定部材210をコネクタハウジング20の後端21に固定する突起である。
【0041】
電線案内部材220は、ハウジング固定部材210とは別体に形成された部材である。
この電線案内部材220は、図6に示すように、ハウジング固定部材210の後端211に結合されて、後端211との間に、電線曲げ空間230を画成する。電線曲げ空間230は、ハウジング固定部材210における電線挿通方向とは異なる所定方向に電線40を屈曲させて導出させる空間である。本実施形態の場合、電線曲げ空間230は、図10に示すように、ハウジング固定部材210における電線挿通方向(図10の矢印X3方向である)と直交する垂直上方(図10の矢印Y3方向である)に、電線40を導出する。
【0042】
本実施形態の電線案内部材220は、ハウジング固定部材210における電線挿通方向に沿って移動可能にハウジング固定部材210の後端に結合される。
【0043】
本実施形態では、電線案内部材220をハウジング固定部材210における電線挿通方向に沿って移動可能にハウジング固定部材210の後端に結合する手段として、複数の案内部材係止手段240と、固定部材係合手段241と、を備えている。
【0044】
案内部材係止手段240は、本実施形態の場合、係止突起である。複数の案内部材係止手段240は、図4〜図7に示すように、ハウジング固定部材210の後端211側の側面上に、電線挿通方向に所定の間隔を開けて配列されている。
【0045】
また、本実施形態の場合、複数の案内部材係止手段240は、図4に示すように、後端211の各側面に、上部列L1と、下部列L2の上下2列に配列されている。上部列L1及び下部列L2は、互いに平行な列である。
【0046】
固定部材係合手段241は、図3に示すように、複数の案内部材係止手段240が並ぶ上部列L1及び下部列L2に対応するように、電線案内部材220の各側縁に2個設けられている。固定部材係合手段241は、電線案内部材220の側縁から延出する弾性片241aの先端に、案内部材係止手段240と係合可能な凸部241bを突設した構造である。
【0047】
弾性片241aは、ハウジング固定部材210における電線挿通方向に沿って電線案内部材220の側縁からハウジング固定部材210側に突出している。
【0048】
本実施形態の固定部材係合手段241は、電線案内部材220をハウジング固定部材210の後端に嵌合装着する際にハウジング固定部材210の後端側の側面上の電線挿通方向に沿って移動して、複数の案内部材係止手段240の内の一つに係合可能に電線案内部材220に設けられている。本実施形態のコネクタカバー1では、固定部材係合手段241が係合する案内部材係止手段240を変更することで、ハウジング固定部材210に対する電線案内部材220の固定位置を変えることができる。
【0049】
本実施形態のコネクタカバー1の場合、ハウジング固定部材210に対する電線案内部材220の固定位置を変えることで、ハウジング固定部材210と電線案内部材220との間の電線曲げ空間230が拡縮される。
【0050】
図10〜図14は、コネクタハウジング20から導出する電線40の外径や数量が基準よりも大きい場合における電線案内部材220の取り付け状態を示したものである。この場合、電線案内部材220は、図13及び図14に示すように、固定部材係合手段241を、ハウジング固定部材210上の一番手前(電線案内部材220に近い側)の案内部材係止手段240に係合させることで、基準よりも大きな横断面積の電線曲げ空間230を得ている。そのため、電線40の外径や数量が基準よりも大きくても、電線案内部材220との当接によって電線40に過大な押圧荷重や曲げ荷重等が作用することがなく、電線曲げ空間230として、各電線40の曲げに必要十分な容積を確保することができている。
【0051】
図15〜図17は、コネクタハウジング20から導出する電線40の外径や数量が基準よりも小さい場合における電線案内部材220の取り付け状態を示したものである。この場合、電線案内部材220は、図16及び図17に示すように、固定部材係合手段241を、ハウジング固定部材210上の一番奥(電線案内部材220から遠い側)の案内部材係止手段240に係合させることで、基準よりも小さな横断面積の電線曲げ空間230を得ている。そのため、電線40の外径や数量が基準よりも小さくても、電線40の周囲に余分な空間が発生することがなく、電線曲げ空間230として、各電線40の曲げに必要十分な容積を確保することができている。
【0052】
以上に説明した一実施形態のコネクタカバー1の構成によれば、コネクタハウジング20の後端に固定されるハウジング固定部材210に対して、電線案内部材220を移動操作することによって、コネクタカバー1がコネクタハウジング20の後端側に画成する電線曲げ空間230を拡縮することができる。
【0053】
従って、コネクタハウジング20から導出する電線外径や数量が変わっても、電線案内部材220の移動操作によって、電線外径や数量に相応した断面積の電線曲げ空間230を前記コネクタハウジング20の後方に確保することができ、電線曲げ空間230の過不足によって電線40や端子金具が傷付くことを防止することができる。
【0054】
また、以上に説明した一実施形態のコネクタカバー1の構成によれば、電線案内部材220を電線挿通方向に沿って移動可能にハウジング固定部材210の後端に結合する手段は、ハウジング固定部材210上に配列された複数の案内部材係止手段240と、電線案内部材220に設けられた固定部材係合手段241と、から構成されていて、電線案内部材220をハウジング固定部材210の後端に嵌合装着する際に、固定部材係合手段241が係合する案内部材係止手段240を選択することで、簡単に電線曲げ空間230の断面積を調整することができ、電線外径や電線40本数の変化に簡単に対応することができる。
【0055】
更に、以上に説明した一実施形態のコネクタカバー1の構成によれば、複数の案内部材係止手段240は、図4に示したように、ハウジング固定部材210の両側面において、上下方向に離間した上部列L1及び下部列L2の2列に配置している。そして、これらの案内部材係止手段240に係合する固定部材係合手段241も、電線案内部材220の両側縁において、上下に離間した2箇所に配置している。
【0056】
即ち、案内部材係止手段240と固定部材係合手段241との係合が、ハウジング固定部材210の両側面上の上下に離間した2箇所で行われるため、電線案内部材220を強固にハウジング固定部材210へ固定することができ、電線案内部材220による電線40の導出方向の規制を安定させることができる。
【0057】
なお、本発明のコネクタカバーは、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜、変形、改良等が可能である。
【0058】
例えば、ハウジング固定部材210における電線挿通方向に間隔を開けて配列する案内部材係止手段240の数量は、前述の実施形態に限るものではなく、2以上の任意の数量に設定することができる。
【0059】
また、電線案内部材をハウジング固定部材における電線挿通方向に沿って移動可能にハウジング固定部材の後端に結合する手段の具体的な構造は、前述の実施形態の構造に限らない。例えば、ねじによる送り機構によって電線案内部材とハウジング固定部材との間隔を調整可能にしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 コネクタカバー
20 コネクタハウジング
21 後端
40 電線
210 ハウジング固定部材
211 後端
220 電線案内部材
230 電線曲げ空間
240 案内部材係止手段
241 固定部材係合手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタハウジングの後端に取り付けられて、前記コネクタハウジングの後端から導出される電線の導出方向を規制するコネクタカバーであって、
前記コネクタハウジングの後端に固定されると共に、前記コネクタハウジングの後端から導出される電線が挿通する略筒状構造のハウジング固定部材と、
前記ハウジング固定部材とは別体に形成され、前記ハウジング固定部材における電線挿通方向に沿って移動可能に前記ハウジング固定部材の後端に結合されて、前記電線挿通方向とは異なる所定方向に電線を屈曲させて導出させる電線曲げ空間を前記ハウジング固定部材との間に画成すると共に、前記電線挿通方向への移動操作により前記電線曲げ空間を拡縮可能な電線案内部材と、
を備えたことを特徴とするコネクタカバー。
【請求項2】
前記電線案内部材を、前記電線挿通方向に沿って移動可能に前記ハウジング固定部材の後端に結合する手段として、
前記電線挿通方向に所定の間隔を開けて前記ハウジング固定部材の後端側の側面上に配列された複数の案内部材係止手段と、
前記電線案内部材を前記ハウジング固定部材の後端に嵌合装着する際に前記ハウジング固定部材の後端側の側面上の前記電線挿通方向に沿って移動して、前記複数の案内部材係止手段の内の一つに係合可能に前記電線案内部材に設けられ、係合する前記案内部材係止手段を変更することで、前記ハウジング固定部材に対する前記電線案内部材の固定位置を変える固定部材係合手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のコネクタカバー。
【請求項1】
コネクタハウジングの後端に取り付けられて、前記コネクタハウジングの後端から導出される電線の導出方向を規制するコネクタカバーであって、
前記コネクタハウジングの後端に固定されると共に、前記コネクタハウジングの後端から導出される電線が挿通する略筒状構造のハウジング固定部材と、
前記ハウジング固定部材とは別体に形成され、前記ハウジング固定部材における電線挿通方向に沿って移動可能に前記ハウジング固定部材の後端に結合されて、前記電線挿通方向とは異なる所定方向に電線を屈曲させて導出させる電線曲げ空間を前記ハウジング固定部材との間に画成すると共に、前記電線挿通方向への移動操作により前記電線曲げ空間を拡縮可能な電線案内部材と、
を備えたことを特徴とするコネクタカバー。
【請求項2】
前記電線案内部材を、前記電線挿通方向に沿って移動可能に前記ハウジング固定部材の後端に結合する手段として、
前記電線挿通方向に所定の間隔を開けて前記ハウジング固定部材の後端側の側面上に配列された複数の案内部材係止手段と、
前記電線案内部材を前記ハウジング固定部材の後端に嵌合装着する際に前記ハウジング固定部材の後端側の側面上の前記電線挿通方向に沿って移動して、前記複数の案内部材係止手段の内の一つに係合可能に前記電線案内部材に設けられ、係合する前記案内部材係止手段を変更することで、前記ハウジング固定部材に対する前記電線案内部材の固定位置を変える固定部材係合手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のコネクタカバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−110025(P2013−110025A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255341(P2011−255341)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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