説明

コネクタ保持構造、表示装置及びテレビ受像装置

【課題】部品点数を増加することなく中継用のコネクタを固定することができるとともに、該コネクタを比較的狭いスペースであっても簡易に固定することができるコネクタ保持構造、表示装置及びテレビ受像装置を提供する。
【解決手段】中継用のコネクタ2に接続されている2本の導線1,1の長手方向に離隔して対向する複数のリブ4,4を樹脂成形品3に一体に形成し、リブ4,4の夫々に、コネクタ2の外面に接触して該コネクタ2を保持する保持部42,42を設け、嵌め込み操作でコネクタ2を保持することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2本の導線同士を接続するコネクタを、前記導線が配線される樹脂成形品で保持するコネクタ保持構造、該コネクタ保持構造を備える液晶表示装置、プラズマ表示装置、SEDディスプレイ、ELディスプレイ等の表示装置及びテレビ受像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビジョン等の表示装置は、前側に映像表示面を有する表示部の後側に、電源回路基板、信号処理回路基板、複数の操作スイッチを集約した操作回路基板、表示ランプ及びリモートコントロール用受光素子等を集約した表示回路基板、スピーカ等の多くの電子部品が配されている。これら電子部品のうち、電源回路基板等の回路基板は前記表示部の後中央側に配され、スピーカは前記表示部の周縁側に配されており、該スピーカ及び信号処理回路基板に接続される導線は比較的長くなるため、一端がスピーカに接続されている導線の他端と、一端が信号処理回路基板に接続されている導線の他端とが中継用のコネクタに接続されており、また、導線の中間又はコネクタが、前記表示部の周縁部、後側を被覆するキャビネット等に固定されている。
【0003】
導線の固定は、コネクタ側の端部を粘着テープで固定されており、また、コネクタの固定は、該コネクタを包持するホルダで固定されている。また、導線の固定は、特許文献1,2に記載されているように、樹脂成形品と一体に形成されたリブに嵌入溝を設け、該嵌入溝に導線の中間を嵌入することにより係止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−350851号公報
【特許文献2】特開2010−238776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶テレビジョン等の表示装置において、スピーカは比較的大容量の電力が必要なため、スピーカ用の導線は、他の導線に比べて太径に形成されており、該導線に接続される中継用のコネクタも、他のコネクタに比べて大形に形成されている。
【0006】
しかしながら、近年の液晶テレビジョン等の表示装置は益々狭額縁化、及び薄型化される傾向にあり、これに伴って表示部の周縁周りに配されるスピーカ用の太径の導線の配線スペース及び中継用の大形のコネクタの配置スペースも狭くなるため、この狭いスペースに導線を固定、コネクタを固定することは困難を来すことになり、改善策が要望されていた。
【0007】
また、粘着テープで導線を固定する構造にあっては、コネクタ自体が固定されないため、スピーカの動作時にコネクタが微振動し易いことになる。また、コネクタ自体をホルダで固定する構造にあっては、部品点数が増加するとともに、ホルダの取付スペースを確保することが困難となり、ホルダによるコネクタの固定が困難になる。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は部品点数を増加することなく中継用のコネクタを固定することができるとともに、該コネクタを比較的狭いスペースであっても簡易に固定することができるコネクタ保持構造、表示装置及びテレビ受像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコネクタ保持構造は、2本の導線同士を接続するコネクタを、前記導線が配線される樹脂成形品で保持する保持構造において、前記樹脂成形品は、前記導線の長手方向に離隔して対向する複数のリブを有し、該リブの夫々は、前記コネクタの外面に接触して該コネクタを保持する保持部を有することを特徴とする。
【0010】
この発明にあっては、樹脂成形品に複数のリブがあり、リブの夫々に保持部があるため、リブ夫々の保持部の間にコネクタを嵌め込むことにより、該コネクタの外面が、リブ夫々の保持部に接触し、コネクタを安定性よく、しかも強く保持することができる。従って、専用のコネクタ固定用部品が必要でなく、部品点数を増加することなく、嵌め込み操作を行なうことによりコネクタを簡易に保持し、固定することができる。また、比較的大形の中継用のコネクタは、外面部分のバラツキが大きいのであるが、このバラツキが大きいコネクタを安定性よく強く保持することができる。また、コネクタのリブに対する位置を導線の長手方向へずらせることができるため、コネクタに接続される導線の長さにバラツキがあり、コネクタの配置箇所が一定でない場合においてもコネクタを安定性よく強く保持することができる。
【0011】
また、本発明に係るコネクタ保持構造は、前記リブは、前記コネクタが嵌入されるリブ横断方向の嵌入溝を有し、該嵌入溝の対向している部分で前記コネクタを保持している構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、コネクタを把持する指が、導線の長手方向に離隔して対向するリブの間に挿入されるため、複数のリブを備えるに拘らずコネクタを把持した指だけでコネクタをリブに保持し、固定することができ、コネクタの固定作業性を高めることができる。しかも、嵌入溝はリブの頂部側だけにあり、リブの剛性を高めることができるため、比較的大形のコネクタを安定性よく強く保持し、固定することができる。
【0012】
また、本発明に係るコネクタ保持構造は、前記リブの夫々は、前記導線の長手方向と交差する方向の二つの位置に配してあるリブ分体により形成されており、該リブ分体の夫々は、前記二つの位置の間で対向する部分で前記コネクタを保持しており、前記導線の長手方向へ離隔するリブ分体の基部同士が連結リブにより連結されている構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、導線の長手方向と交差する方向の二つの位置に導線の長手方向に離隔して設けられているリブ分体は、基部同士が連結リブにより連結されているため、リブ分体夫々の剛性を高めることができ、比較的大形のコネクタを安定性よく強く保持し、固定することができる。
【0013】
また、本発明に係るコネクタ保持構造は、前記リブは三つの位置に配してあり、両側のリブは、該両側のリブの頂部が前記コネクタ側へ屈曲しており、中間のリブは、両側のリブに対して前記導線の長手方向と交差する側へ偏位している構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、三つの位置のリブでコネクタを保持することができるとともに、導線の長手方向と交差する側へコネクタが抜け出るのを両側のリブにて防止することができるため、コネクタ保持構造が組込まれている表示装置が搬送される際に表示装置が振動したり、落下してコネクタに衝撃が加わる場合においても、コネクタの保持状態を維持することが可能である。
【0014】
また、本発明に係るコネクタ保持構造は、前記両側のリブ及び前記中間のリブの一方は可撓性を有する構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、可撓性を有するリブによりコネクタを他のリブ側へ押圧し、コネクタの保持力を高めることができるため、比較的大形のコネクタを安定性よく強く保持し、固定することができるとともに、コネクタ保持構造が組込まれている表示装置が搬送される際に表示装置が振動したり、落下してコネクタに衝撃が加わる場合においても、コネクタの保持状態をより一層維持することができる。また、三つの位置のリブのいずれかを撓ませ、リブ間の間隔を広くした状態でコネクタをリブの対向する部分間に挿入し、保持することができるため、コネクタの固定作業性を高めることができる。
【0015】
また、本発明に係るコネクタ保持構造は、前記樹脂成形品は、スリットにより可撓になっている可撓片を有し、該可撓片に前記中間のリブを配してある構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、中間のリブの頂部にコネクタの一部を当接させて嵌め込み方向へ押圧することにより、可撓片とともに中間のリブを撓ませ該コネクタをリブ夫々の対向する部分間に嵌め込むことができるため、コネクタを把持する片手で該コネクタをリブに保持し、固定することができ、コネクタの固定作業性をより一層高めることができる。しかも、比較的大形のコネクタの外面部分にバラツキがあっても、コネクタをガタツキなく安定性よく強く保持し、固定することができる。
【0016】
また、本発明に係るコネクタ保持構造は、前記可撓片に、前記コネクタの外面に当接して前記可撓片を撓ませるための凸部を設けてある構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、リブ夫々の対向する部分間に嵌め込まれたコネクタが、可撓片の凸部に当接し、可撓片が撓んだ後、該可撓片の弾性復元力によりコネクタを、両側のリブの頂部に加えることができ、両側のリブの頂部と、中間のリブと、可撓片の凸部との3点でコネクタを保持し、固定力を高めることができるため、比較的大形のコネクタの外面部分にバラツキがあっても、コネクタをより一層強く固定することができ、コネクタのガタツキを防止することができるとともに、樹脂成形品に微振動が加わるような場合でも、コネクタの微振動を防止することができる。
【0017】
また、本発明に係るコネクタ保持構造は、2本の導線同士を接続するコネクタを、前記導線が配線される樹脂成形品で保持する保持構造において、前記樹脂成形品は、前記導線の長手方向と交差する方向に離隔して対向する二つのリブを有し、該リブの夫々は、前記コネクタの外面に接触して該コネクタを挟持するための挟持片を有することを特徴とする。
【0018】
この発明にあっては、樹脂成形品に二つのリブがあり、リブの夫々に挟持片があるため、二つのリブの挟持片同士の間にコネクタを嵌め込むことにより、該コネクタの外面が、二つのリブ夫々の挟持片に接触し、コネクタを安定性よく、しかも強く保持することができる。従って、専用のコネクタ固定用部品が必要でなく、部品点数を増加することなく、嵌め込み操作を行なうことによりコネクタを簡易に保持し、固定することができる。また、比較的大形の中継用のコネクタは、外面部分のバラツキが大きいのであるが、このバラツキが大きいコネクタを安定性よく強く保持することができる。また、コネクタのリブに対する位置を導線の長手方向へずらせることができるため、コネクタに接続される導線の長さにバラツキがあり、コネクタの配置箇所が一定でない場合においてもコネクタを安定性よく強く保持することができる。
【0019】
また、本発明に係るコネクタ保持構造は、前記リブの夫々は、頂部に、前記コネクタの前記リブの高さ方向の一側に係止する係止爪を有し、高さ方向の中央部に、前記コネクタの前記リブの高さ方向の他側に当接する当接部を有し、前記リブの基部同士の間に空隙を設けてある構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、二つのリブの挟持片同士の間、及び係止爪と当接部との間にコネクタを嵌め込むことにより、コネクタが、導線の長手方向と交差する方向、及び、リブの高さ方向に脱落することが抑制される。このため、コネクタを更に安定性よく強く保持することができる。このとき、コネクタはリブの頂部とリブの高さ方向の中央部との間に位置するため、リブの基部同士の間に設けられた空隙を有効利用することができる。
【0020】
また、本発明に係る表示装置は、一側に表示面を有する表示部と、該表示部の他側を被覆するキャビネットと、該キャビネット内に配され、導線が接続されている電子部品と、前記導線の中途に介在されている中継用のコネクタを保持する前述のコネクタ保持構造とを備えることを特徴とする。
この発明にあっては、スピーカ等の電子部品に接続されている導線が配線される樹脂成形品に、導線の長手方向に離隔して対向する複数のリブがあり、コネクタの外面に接触してコネクタを保持する保持部がリブ夫々にあるため、リブ夫々の保持部の間にコネクタを嵌め込むことにより、該コネクタの外面が、リブ夫々の保持部に接触し、コネクタを安定性よく強く保持することができる。従って、専用のコネクタ固定用部品が必要でなく、部品点数を増加することなく、嵌め込み操作を行なうことによりコネクタを簡易に保持し、固定することができるとともに、外面部分のバラツキが大きい中継用のコネクタを安定性よく強く保持することができる。また、コネクタに接続される導線の長さにバラツキがあり、コネクタの配置箇所が一定でない場合においてもコネクタを安定性よく強く保持することができる。
【0021】
また、本発明に係る表示装置は、前記コネクタは、前記リブと対向する側の外面に、前記リブに対する位置を決めるための凸部を設けてある構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、リブ夫々の保持部の間にコネクタが嵌め込まれる際、該コネクタの外面に設けられている凸部を目視することにより、リブ夫々に対するコネクタの位置を知見することができるため、コネクタを適正箇所に迅速に保持し、固定することができ、組立て作業性を高めることができる。
【0022】
また、本発明に係る表示装置は、請求項2から9のいずれか一つに記載のコネクタ保持構造に保持されているコネクタと、前記リブを有する面との間に、導線が挿通されている構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、コネクタ保持構造に保持されているコネクタと、リブを有する面との間に導線を挿通することによって、導線が、導線の長手方向と交差する方向、及び、リブの高さ方向に移動することが抑制される。即ち、コネクタ保持構造は、導線を固定する導線固定部を兼ねることができる。この結果、コネクタ保持構造とは別体の導線固定部を設ける必要がなくなる。
【0023】
また、本発明に係るテレビ受像装置は、テレビ放送信号を受信する受信部を備え、該受信部がテレビ放送信号を受信して前記表示部の表示面にテレビ画像を表示する前述の表示装置を含むことを特徴とする。
この発明にあっては、テレビ放送信号を受信して前記表示部の表示面にテレビ画像を表示することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、導線の長手方向に離隔して対向する複数のリブが樹脂成形品にあり、リブの夫々に、コネクタの外面に接触して該コネクタを保持する保持部があるため、リブ夫々の保持部の間にコネクタを嵌め込むことにより、該コネクタを安定性よく保持することができ、しかも、専用のコネクタ固定用部品が必要でなく、部品点数を増加することなく、コネクタを簡易に保持し、固定することができる。
【0025】
また、本発明によれば、導線の長手方向と交差する方向に離隔して対向する二つのリブが樹脂成形品にあり、リブの夫々に、コネクタの外面に接触して該コネクタを挟持するための挟持片があるため、リブの挟持片同士の間にコネクタを嵌め込むことにより、該コネクタを安定性よく保持することができ、しかも、専用のコネクタ固定用部品が必要でなく、部品点数を増加することなく、コネクタを簡易に保持し、固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】テレビ受像装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図2】液晶表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明に係るコネクタ保持構造の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明に係るコネクタ保持構造が保持するコネクタの構成を示す斜視図である。
【図5】本発明に係るコネクタ保持構造にコネクタが保持されている状態の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る表示装置の構成を示す一部を省略した縦断側面図である。
【図7】本発明に係る表示装置の構成を示す一部を省略した背面図である。
【図8】本発明に係る表示装置の前キャビネットの構成を示す背面側の斜視図である。
【図9】コネクタ保持構造の他の構成を示す斜視図である。
【図10】コネクタ保持構造にコネクタが保持されている状態を示す斜視図である。
【図11】コネクタ保持構造の他の構成を示す斜視図である。
【図12】コネクタ保持構造にコネクタが保持されている状態の断面図である。
【図13】表示装置の構成を示す一部を省略した背面図である。
【図14】コネクタ保持構造が装着され、スピーカが支持される支持板の構成を示す斜視図である。
【図15】支持板のコネクタ保持構造にコネクタが保持されている状態の斜視図である。
【図16】コネクタ保持構造の他の構成を示す斜視図である。
【図17】コネクタ保持構造の他の構成を示す平面図である。
【図18】コネクタ保持構造にコネクタとケーブルとが保持されている状態の構成を示す斜視図である。
【図19】コネクタ保持構造にコネクタとケーブルとが保持されている状態の構成を示す平面図である。
【図20】コネクタ保持構造にコネクタとケーブルとが保持されている状態の構成を示す正面図である。
【図21】コネクタ保持構造にコネクタとケーブルとが保持されている状態の他の構成を示す正面図である。
【図22】コネクタ保持構造にコネクタとケーブルとが保持されている状態の他の構成を示す正面図である。
【図23】コネクタ保持構造にコネクタとケーブルとが保持されている状態の他の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。説明は、前側に表示面を有し、略直方体をなす液晶表示パネルを備える薄型の表示機器に導線保持構造が設けられている表示装置を例として説明する。表示装置はバックライト部を含む液晶表示装置を搭載し、テレビ放送信号を受信する受信部を備え、該受信部がテレビ放送信号を受信してテレビ画像を前記液晶表示パネルに表示するテレビ受像装置を含む。図1はテレビ受像装置の概略構成を示す分解斜視図、図2は液晶表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。
【0028】
テレビ受像装置は、液晶表示装置Bと、該液晶表示装置Bを挾むようにして収容する枠体C及びカバーDと、電源Eと、チューナFと、スタンドGとを備えて構成される。液晶表示装置Bは、全体として横長の方形(矩形状)をなし、縦置き状態で枠体C及びカバーD内に収容されている。この液晶表示装置Bは、図2に示すように、液晶表示パネルHと、外部光源であるバックライト部Jとを備え、液晶表示パネルH及びバックライト部Jなどが枠状のベゼルなどの挾持枠体K,Lにより一体的に挾持され、パネルモジュールを構成するようになっている。
【0029】
実施の形態1
図3は本発明に係るコネクタ保持構造の構成を示す斜視図、図4はコネクタ保持構造が保持するコネクタの構成を示す斜視図、図5はコネクタ保持構造にコネクタが保持されている状態の構成を示す斜視図である。
【0030】
図3〜図5に示すコネクタ保持構造Aは、2本の導線1,1同士を接続するコネクタ2を、導線1,1と対向する樹脂成形品3に保持するものであり、樹脂成形品3には、導線1の長手方向に離隔して対向する二つのリブ4,4が設けられている。コネクタ2に接続される導線1は、図4、図5に示すように夫々2本である他、夫々1本又は3本以上も含まれる。
【0031】
コネクタ2は、一端に導線1が接続されているプラグ21と、一端に導線1が接続され、プラグ21に嵌入されているレセプタクル22とを有し、全体が略直方体に形成されている。プラグ21及びレセプタクル22の一方には抜止凸部があり、他方には該抜止凸部に係止される抜止凹部がある。
【0032】
リブ4,4は基端から頂面に亘って漸次小幅となる略台形をなし、リブ横断方向が導線1の長手方向となるように対向配置されており、リブ4,4の幅方向中央部に、頂面から基端側へ窪むリブ横断方向の嵌入溝41が設けられている。リブ4,4の嵌入溝41の両側面が、コネクタ2の両側面に接触してコネクタ2を保持する保持部42,42である。嵌入溝41の保持部42,42間の寸法は、コネクタ2の両側面間の寸法よりも僅かに短くなっており、コネクタ2の両側面との間に、比較的小さい接触抵抗が加わるようになしてある。嵌入溝41の底面で、保持部42,42と離隔した中央部には、嵌入溝41の深さ方向へ窪む凹所43が設けられ、底面の保持部42,42側にだけ、コネクタ2の下面に当接する当接部44,44が設けられている。
【0033】
嵌入溝41の保持部42,42は、リブ4の全高に亘って他の部分よりも若干厚肉に形成され、保持部42,42が変形し難いようになしてある。
【0034】
リブ4,4は、プラグ21の外面と、レセプタクル22の外面とに接触する寸法で離隔し、一方のリブ4の保持部42,42がプラグ21の両側面に接触し、他方のリブ4の保持部42,42がレセプタクル22の両側面に接触するようになしてある。
【0035】
コネクタ2の長手方向中間で、嵌入溝41に嵌入保持された際にリブ4,4の間となる箇所には凸部23が設けられている。この凸部23は、コネクタ2がリブ4,4の嵌入溝41,41に嵌入保持される際の位置決め用であり、凸部23がリブ4,4間に位置するようにしてコネクタ2がリブ4,4の嵌入溝41,41に嵌入される。
【0036】
以上のように成形されたリブ4,4を備えるコネクタ保持構造Aは、液晶テレビジョン等の薄型の表示装置に装着される。
【0037】
図6は本発明に係る表示装置の構成を示す一部を省略した縦断側面図、図7は表示装置の構成を示す一部を省略した背面図、図8は前キャビネット15の構成を示す背面側の斜視図である。
【0038】
図6〜図8に示した薄型の表示装置は、前側にパネル部11を有し、後側に該パネル部11へ光を照射する光源部12を有し、略直方体をなす表示部10と、該表示部10の後側に配されている信号処理回路基板13及び電源回路基板14と、表示部10の周縁部前側及び周縁部を隠蔽する樹脂製の前キャビネット15と、該前キャビネット15の後側下部に装着されている高音用のスピーカ16a,16aと、該スピーカ16a,16aに接続されている導線1,1及び該導線1,1を中継する中継用のコネクタ2と、表示部10の周縁部から後側を被覆する樹脂製の後キャビネット17と、表示部10の後側に装着されている低音用のスピーカ16bとを備える液晶テレビジョンである。
【0039】
パネル部11は、前側に表示面を有し略直方体をなすパネル11a、及び該パネル11aの後側に配された拡散板等の光学シート11bを備える。光源部12は、光学シート11bの後側に配され、該光学シート11b側へ光を照射する発光ダイオード等の光源12aと、該光源12aを収容して支持するケース体12bとを備える。
【0040】
ケース体12bは略直方体をなし、後面の一側部には信号処理回路基板13が取付けられており、後面における下部の横方向中央部で、低音用のスピーカ16bと対向する位置には、パネル部11の駆動及び制御を行なう制御回路基板18が取付けられている。
【0041】
信号処理回路基板13はパネル部11に表示する映像信号を処理させるもので、略四角形をなし、複数の電子部品及び端子が実装されている。電源回路基板14は、信号処理回路基板13、光源及び制御回路基板18等の部品に電圧を供給するもので、複数の電子部品及び端子が実装されている。
【0042】
前キャビネット15は、パネル部11の周縁部前面に対向する環板部15a及びパネル部11の周縁に対向する角枠部15bを有し、環板部15aの下部両側に高音用のスピーカ16a,16aが装着されている。また、環板部15aの一側部に、複数の操作スイッチを集約した操作回路基板19が装着されている。前キャビネット15は樹脂成形品3を構成する。
【0043】
信号処理回路基板13と電源回路基板14、信号処理回路基板13と制御回路基板18、信号処理回路基板13と光源用の回路基板、電源回路基板14と制御回路基板18、信号処理回路基板13と高音用のスピーカ16a,16a、信号処理回路基板13と低音用のスピーカ16b、信号処理回路基板13と操作回路基板19とは夫々導線により接続されている。導線は、断面丸形等、太さ及び断面形状が異なる。
【0044】
高音用のスピーカ16a,16aは、信号処理回路基板13の端子位置から比較的離隔した箇所に配され、比較的長い導線が必要であるため、スピーカ16a,16aに接続される導線1と、信号処理回路基板13に接続される導線1とが中継用のコネクタ2により接続されている。
【0045】
後キャビネット17は深皿形をなし、該後キャビネット17及び前キャビネット15がケース体12bの周縁部にビス等の雄螺子により取付けられている。
【0046】
以上のように構成された表示装置は、前キャビネット15における環板部15aの下部の高音用のスピーカ16a,16a間2箇所にコネクタ保持構造Aを構成するリブ4,4が一体に形成されている。
【0047】
リブ4,4は、導線1の長手方向に離隔して対向並置されており、リブ4,4夫々に、コネクタ2の両側面に接触する保持部42,42を有する嵌入溝41が設けられているため、該嵌入溝41へコネクタ2を嵌入することにより、該コネクタ2を対向する部分間で簡易に保持することができる。導線1の長手方向に離隔しているリブ4,4は、コネクタ2の離隔した2箇所を保持するため、コネクタ2を安定性よく保持することができ、表示装置が搬送される際の振動、落下等によってコネクタ2の保持が外れるのをなくすることができる。また、コネクタ2には、保持部42,42が接触する側面に凸部23が設けられているため、コネクタ2が嵌入溝41に嵌入保持される際、凸部23がリブ4,4間に位置するようにしてコネクタ2を嵌入溝41に嵌入することにより、コネクタ2の適正位置を容易に、且つ迅速に保持し、固定することができる。また、凸部23は、主として組立て時における位置決め用であるが、組込み後においては、表示装置が搬送される際の振動、落下等によってコネクタ2が導線1の長手方向へ移動するのを規制することができる。即ち、コネクタ2が導線1の長手方向へ若干移動したとき、凸部23がリブ4,4の一方に当接し、コネクタ2の移動が規制される。
【0048】
実施の形態2
図9はコネクタ保持構造Aの他の構成を示す斜視図、図10はコネクタ保持構造Aにコネクタ2が保持されている状態を示す斜視図である。このコネクタ保持構造Aは、信号処理回路基板13と高音用のスピーカ16a,16aとに接続される導線1の長手方向と直交する方向の二つの位置の夫々に、導線1の長手方向に離隔して三つのリブ5,5,5を配し、該リブ5,5,5夫々の対向する内面に、コネクタ2の両側面に接触してコネクタ2を保持する保持部51,51,51を設けたものである。
【0049】
導線1の長手方向に離隔して配された三つのリブ5,5,5は、導線1の長手方向と直交する方向の二つの位置に配してあるリブ分体5a,5aにより形成されており、該リブ分体5a,5aの夫々が、前記二つの位置の間で対向する保持部51,51でコネクタ2を保持している。導線の長手方向へ離隔するリブ分体5a,5a,5aの基部同士は連結リブ52,52により一体に連結されている。リブ分体5a,5a,5aの夫々の基部内側には、コネクタ2の底面に当接して、コネクタ2を受止める受止部53が設けられている。
【0050】
導線1の長手方向に離隔する三つのリブ5,5,5のうち、両側のリブ5,5のリブ分体5a,5aは、コネクタ2の長手方向両端部の側面に接触し、中間のリブ5のリブ分体5a,5aは、コネクタ2の長手方向中央部の側面に接触するようになしてある。コネクタ2において、レセプタクル22の長さはプラグ21の長さよりも長いため、中間のリブ5のリブ分体5a,5aはレセプタクル22のプラグ側端部に接触する。
【0051】
この構成にあっては、略直方体をなすコネクタ2の長手方向3箇所にリブ5,5,5の保持部51が接触し、長手方向の3箇所をリブ5,5,5にて保持することができるため、他のコネクタに比べて大形に形成されているスピーカ導線用コネクタの保持力を高めることができるとともに、コネクタ2の安定性を高めることができ、保持状態をより一層維持することができる。
【0052】
実施の形態2のコネクタ保持構造は、実施の形態1と同様、高音用のスピーカ16a,16a及び低音用のスピーカ16bを備える前述した表示装置に装着されるため、表示装置の説明を省略する。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0053】
実施の形態3
図11はコネクタ保持構造Aの他の構成を示す斜視図、図12はコネクタ保持構造Aにコネクタ2が保持されている状態の断面図である。このコネクタ保持構造Aは、信号処理回路基板13と低音用のスピーカ16bとに接続される導線1の長手方向に離隔して対向する三つのリブ6,6,7を、リブ横断方向が導線1の長手方向と直交するように並置し、中間のリブ7を両側のリブ6,6に対して導線1の長手方向と直交する側へ偏位させ、中間のリブ7を可撓とし、両側のリブ6,6を、その頂部がコネクタ2側へ屈曲する断面略L字形に形成し、リブ6,6,7夫々の対向する部分間にコネクタ2を嵌め込むことにより、該コネクタ2を保持し、固定することができるように構成したものである。
【0054】
リブ6,6,7の夫々は樹脂成形品3の一縁部に該樹脂成形品3と一体に形成されている。両側のリブ6,6は樹脂成形品3の一縁から若干離隔した箇所に配してあり、リブ6,6の頂部内側が、コネクタ2の上面に接触してコネクタ2を保持するための保持部61,61である。保持部61,61はリブ頂面に向けて若干外方へ傾斜し、中間のリブ7側からコネクタ2を嵌め込み易いようになしてある。
【0055】
中間のリブ7は、板形状の樹脂成形品3に形成される可撓片31の先端部に、該可撓片31と一体に略I字形に形成されており、該リブ7の内側が、コネクタ2の一側面に接触してコネクタ2を保持するための保持部71である。
【0056】
樹脂成形品3は、一縁から両側のリブ6,6間に亘って二つのスリット32,32が設けられ、該スリット32,32間に、略矩形の可撓片31が形成されている。可撓片31の先端よりも若干基端側に中間のリブ7が設けられ、可撓片31の先端に指掛部33が設けられ、該指掛部33に指を掛けて押圧することにより可撓片31を介して中間のリブ7を撓ませることができるようになしてある。可撓片31のリブ7よりも基端側には、コネクタ2の下面に当接して可撓片31を撓ませるための凸部34が一体に形成されている。凸部34は、リブ6,6の頂面よりも若干リブ7側に配され、凸部34と、リブ6,6の保持部61,61と、リブ7の保持部71との3点でコネクタ2を保持することができるようになしてある。
【0057】
この構成にあっては、両側のリブ6,6が断面略L字形をなし、中間のリブ7が導線1の長手方向と直交する側へ偏位し、且つ可撓片31にて可撓になっているため、中間のリブ7を撓ませることにより、リブ6,6,7夫々の間にコネクタ2を嵌め込むことができる。この嵌め込みにより、コネクタ2の下面が、可撓片31の凸部34に当接し、該凸部34が押圧され、可撓片31が撓み、可撓片31の弾性復元力によりコネクタ2がリブ6,6の保持部61,61に押圧されるとともに、中間のリブ7がコネクタ2をリブ6,6の基部へ押圧し、凸部34と、リブ6,6の保持部61,61と、リブ7の保持部71との3点でコネクタ2を強く保持することができ、コネクタ2の固定力を高めることができ、しかも、比較的大形のコネクタの外面部分にバラツキがあっても、コネクタ2をより一層強く固定することができ、コネクタのガタツキを防止することができる。また、樹脂成形品3に微振動が加わるような場合でも、コネクタ2の微振動を防止することができる。
【0058】
保持されたコネクタ2は、嵌め込み方向と反対側への移動が、リブ6,6の保持部61,61にて阻止されるため、表示装置が搬送される際の振動、落下等によってコネクタ2の保持が外れるのをなくすることができる。
【0059】
コネクタ2が嵌め込まれる際には、可撓片31の先端に設けられている指掛部33を指で押圧することにより、中間のリブ7を簡易に撓ませることができ、コネクタ2を簡易に、且つ迅速に嵌め込むことができる。また、コネクタ2を取外す際にも、指掛部33を指で押圧することにより、中間のリブ7を簡易に撓ませることができ、コネクタ2を簡易に、且つ迅速に取外すことができる。
【0060】
実施の形態3のコネクタ保持構造Aは、実施の形態1と同様、高音用のスピーカ16a,16a及び低音用のスピーカ16bを備える前述した表示装置に装着される。実施の形態3のコネクタ保持構造Aは、信号処理回路基板13と低音用のスピーカ16bとに接続される導線1の中継用のコネクタ2を保持する。
【0061】
前述の表示装置の表示部10の後側に配される光源部12におけるケース体12bの後面に合成樹脂製の支持板20が取付けられ、該支持板20に、低音用のスピーカ16b及びコネクタ保持構造Aが装着されている。支持板20は樹脂成形品3を構成する。
【0062】
図13は表示装置の構成を示す一部を省略した背面図、図14はコネクタ保持構造が装着され、スピーカが支持される支持板の構成を示す斜視図、図15は支持板のコネクタ保持構造にコネクタが保持されている状態の斜視図である。
支持板20は略四角形をなし、上側二つの隅部と、下側二つの隅部よりも中央側との4箇所に筒形のボス20aが突設され、下側二つの隅部に筒形の第2のボス20bが突設され、一側縁部にコネクタ保持構造Aが装着されている。また、上縁部、他側縁部及び下縁部の3箇所に取付孔20cが開設されている。
【0063】
支持板20は、取付孔20cに挿入される雄螺子によりケース体12bの下側の両側部に取付けられる。低音用のスピーカ16bはボス20aに螺入される雄螺子により支持板20の夫々に取付けられる。支持板20の下側二つのボス20bには後キャビネット17の下部が雄螺子により取付けられる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0064】
尚、以上説明した実施の形態3では、樹脂成形品3が可撓片31を有し、該可撓片31と一体のリブ7を可撓片31により可撓にしたが、その他、可撓片31をなくし、中間のリブ7自体を可撓に形成してもよいし、また、両側のリブ6,6を可撓に形成してもよく、いずれかのリブ6,7が可撓であればよい。
【0065】
また、以上説明した実施の形態3では、可撓のリブ7を有する構成としたが、その他、リブ7は必ずしも可撓でなくてもよい。この場合、リブ6,6の夫々を断面略I字形とし、夫々のリブ6,6,7の内側に、コネクタの外面に接触してコネクタを保持する保持部を設け、リブ6,6,7の夫々の間にコネクタ2を嵌め込むことができる構成としてもよい。
【0066】
実施の形態4
図16及び図17はコネクタ保持構造Aの他の構成を示す斜視図及び平面図である。図18、図19、及び図20は、コネクタ保持構造Aにコネクタ2とケーブル9,9,…とが保持されている状態の構成を示す斜視図、平面図、及び正面図である。図18及び図19は図16及び図17に対応する。
ここで、ケーブル9,9,…とは、コネクタ2に接続されている導線1,1とは異なる複数本の導線である。
本実施の形態におけるコネクタ保持構造Aは、実施の形態1〜3に示すコネクタ保持構造Aとは異なる構成を有しているが、これらと同様にコネクタ2を保持する機能を有している。
【0067】
更に、本実施の形態におけるコネクタ保持構造Aは、ケーブル9,9,…を固定する。ただし、コネクタ保持構造Aにケーブル9,9,…が1本も固定されていなくても、コネクタ保持構造Aのコネクタ2を保持する機能が阻害されることはない。一方、コネクタ保持構造Aにコネクタ2が保持されていない場合、コネクタ保持構造Aでケーブル9,9,…を固定することはできない。なお、コネクタ保持構造Aで固定すべきケーブル9は1本でもよい。
以下では、実施の形態1〜3との差異について説明し、その他、実施の形態1〜3に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0068】
まず、本実施の形態におけるコネクタ保持構造Aの構成を説明する。
図16〜図20に示すコネクタ保持構造Aは、2本の導線1,1同士を接続するコネクタ2を、導線1,1と対向する樹脂成形品3に保持するものである。樹脂成形品3には、導線1の長手方向と直交する方向に離隔して対向する二つのリブ8,8が設けられている。前キャビネット15は、樹脂成形品3を構成する。
【0069】
以下では、樹脂成形品3のリブ8,8を有する面を、リブ形成面30という。また、リブ8の高さ方向(即ちリブ8の突設方向)、導線1の長手方向、及び、導線1の長手方向と直交する方向(更に詳細には、導線1の長手方向と直交し、且つ、リブ形成面30に沿う方向)を、上下方向、前後方向、及び左右方向という。
各リブ8は、前後方向に沿う矩形板状のリブ本体80を有する。以下では、リブ本体80,80の互いに対向する面(又は離反する面)を対向面(又は離反面)という。
【0070】
リブ本体80の、頂部から上下方向中央部までは、コネクタ2を挟持するための挟持片81である。挟持片81は、可撓性を有する。挟持片81,81における対向面は、後述するようにコネクタ2の外面(具体的には左右両面)に接触する。
リブ本体80の頂部には、後述するようにコネクタ2に係止する係止爪82が突設されている。係止爪82の突設位置は、リブ本体80の対向面における前後方向中央部である。係止爪82は、リブ本体80の頂部側から基部側に亘って漸次突設量が増大するようテーパ面を有する。
【0071】
リブ本体80の上下方向中央部には、後述するようにコネクタ2に当接する当接部83,83が突設されている。当接部83,83の突設位置は、リブ本体80の対向面における前後方向両端部である。
リブ本体80の離反面の、上下方向中央部から基部に亘って、リブ本体80を補強する補強部85が突設されている。補強部85は、挟持片81における離反面には設けられていない。故に、補強部85が挟持片81の可撓性を損なうことはない。
【0072】
リブ本体80,80の対向面同士、延いては、挟持片81,81における対向面同士は、挟持すべきコネクタ2の寸法に等しいか、又は、僅かに短くなるよう、左右方向に適長離隔している。この結果、挟持片81,81における対向面間でコネクタ2を容易且つ強く挟持することができる。
係止爪82,82同士は、挟持すべきコネクタ2の寸法よりも短くなるよう、左右方向に適長離隔している。この結果、挟持片81,81が互いに離反する方向に撓んだときに、係止爪82,82間をコネクタ2が容易に通過可能になり、且つ、挟持片81,81が撓んでいないときに、係止爪82,82間をコネクタ2が通過不能になる。
【0073】
一方のリブ本体80に設けられている当接部83,83と他方のリブ本体80に設けられている当接部83,83とは、左右方向に適長離隔している。この離隔距離と、リブ形成面30から各当接部83までの高さとは、コネクタ保持構造Aで固定すべきケーブル9,9,…の本数及び外径に応じて設計される。
各リブ本体80の係止爪82と当接部83とは、上下方向に適長離隔している。この結果、係止爪82と当接部83,83との間に保持されたコネクタ2が上下方向に無用に動揺することが抑制される。
【0074】
コネクタ保持構造Aで保持すべきコネクタ2の寸法にバラつきがある場合、コネクタ保持構造Aの設計者は、コネクタ保持構造Aの各部の寸法を、複数個のコネクタ2,2,…の寸法の代表値(例えば平均値又は最頻値等)に応じて設計すればよい。
【0075】
次に、本実施の形態におけるコネクタ保持構造Aによるコネクタ2の保持について説明する。
コネクタ2は、コネクタ2の底面(即ち、導線1の長手方向に沿い、且つ、凸部23が設けられていない2面の内の一方)をリブ形成面30に対面させた姿勢で、リブ本体80,80の頂部側から基部側へ向けて、リブ本体80,80間に挿入される。このとき、リブ本体80,80の前後方向一端面に沿ってコネクタ2の凸部23,23を摺動させれば、コネクタ2は前後方向に容易に位置決めされる。
【0076】
リブ本体80,80間に挿入されるコネクタ2が係止爪82,82のテーパ面に当接すると、コネクタ2は、係止爪82,82のテーパ面に摺動しつつ更にリブ本体80,80の基部側へ移動する。このとき、コネクタ2から係止爪82,82へ、挟持片81,81間を押し広げる方向の外力が印加されるため、挟持片81,81が互いに離反する方向に撓む。挟持片81,81の撓みに伴って、係止爪82,82同士は更に離れる。
【0077】
リブ本体80,80間に挿入されるコネクタ2の底面が4つの当接部83,…,83に当接すると、コネクタ2の移動が終了する。このとき、コネクタ2は係止爪82,82よりも基部側に位置するため、コネクタ2から係止爪82,82への外力が失われる。従って、挟持片81,81の弾性復元力によって、挟持片81,81の形状が撓んでいた状態から復元する。これに伴い、挟持片81,81における対向面がコネクタ2の左右両面に接触した状態で、挟持片81,81がコネクタ2を挟持する。また、係止爪82,82が、コネクタ2の天面に係止する。
【0078】
コネクタ保持構造Aに保持されたコネクタ2の左右方向の動揺は、挟持片81,81によって規制される。また、コネクタ2の上下方向の動揺は、係止爪82,82と当接部83,…,83とによって規制される。コネクタ2の前後方向の動揺は、コネクタ2とリブ本体80との摩擦抵抗によって抑制される。
コネクタ2の前後方向の位置は、凸部23,23がリブ本体80,80間に位置しない範囲で、調節することができる。
【0079】
以上のように、リブ8,8は互いに適長離隔されている。しかも、樹脂成形品3のリブ本体80,80間には、コネクタ保持構造A以外のものは設けられていない。故に、コネクタ保持構造Aでコネクタ2を保持しても、リブ本体80,80の基部同士の間には、空隙84が存在する。
【0080】
次に、本実施の形態におけるコネクタ保持構造Aによるケーブル9,9,…の固定について説明する。
まず、コネクタ保持構造Aでコネクタ2を保持する前に、リブ本体80,80間に、ケーブル9,9,…の中途が挿入される。このとき、最も簡便な挿入手順は、リブ本体80,80の頂部側から基部側へ向けて、ケーブル9,9,…の中途を挿入することである。
次いで、前述したような手順で、コネクタ保持構造Aにコネクタ2が保持される。この結果、コネクタ保持構造Aに保持されているコネクタ2と、リブ形成面30との間、即ち、空隙84に、ケーブル9,9,…が挿通される。
【0081】
空隙84に挿通されたケーブル9,9,…の左右方向の動揺は、挟持片81,81によって規制される。また、ケーブル9,9,…の上下方向の動揺は、コネクタ2とリブ形成面30とによって規制される。仮に、リブ本体80,80の基部側から頂部側へ向けて、ケーブル9,9,…を空隙84から抜脱させるような大きな外力が働いたとしても、係止爪82,82に係止されているコネクタ2がコネクタ保持構造Aから脱落することはないため、ケーブル9,9,…の抜脱は阻止される。
【0082】
なお、コネクタ保持構造Aによるケーブル9,9,…の固定は、コネクタ保持構造Aによるコネクタ2の保持の前に行なう手順に限定されるものではない。例えば、コネクタ保持構造Aにコネクタ2が保持されたあとで、空隙84に対して前後方向にケーブル9,9,…を挿通させる手順でもよい。
【0083】
従来、ケーブル9,9,…は、特許文献1,2に記載されているようなリブで固定されている。このため、ケーブル9,9,…に、リブと間の摩擦抵抗力よりも大きな外力が働けば、ケーブル9,9,…がリブから脱落する虞がある。
また、コネクタ2は、コネクタを包持するホルダで、ケーブル9,9,…とは別に固定されている。
【0084】
一方、コネクタ保持構造Aでケーブル9,9,…を固定すれば、特許文献1,2に記載されているようなリブが不要になる分、樹脂成形品3の材料を削減し、また、樹脂成形品3を小型軽量化することができる。樹脂成形品3の小型軽量化は、表示装置の狭額縁化、薄型化、及び軽量化に寄与し得る。更に、樹脂成形品3にコネクタ保持構造Aと特許文献1,2に記載されているようなリブとを一体形成するような金型よりも、樹脂成形品3にコネクタ保持構造Aを一体形成するような金型の方が、金型製造費が削減される。
【0085】
また、コネクタ2の固定位置とケーブル9,9,…の固定位置とを一箇所に集中させることができるため、これらが分散している場合に比べて、作業効率を向上させることができる。
更に、ケーブル9,9,…がコネクタ保持構造Aから脱落することが防止される。
【0086】
実施の形態5
図21はコネクタ保持構造Aにコネクタ2とケーブル9,9,…とが保持されている状態の他の構成を示す正面図である。
図21に示すコネクタ保持構造Aは、実施の形態1のコネクタ保持構造Aである。実施の形態1のコネクタ保持構造Aでも、このコネクタ保持構造Aに保持されているコネクタ2と、リブ形成面30との間にケーブル9,9,…を挿通することによって、コネクタ保持構造Aでケーブル9,9,…を固定することができる。
【0087】
何故ならば、実施の形態1のコネクタ保持構造Aには、凹所43が設けられているからである。ケーブル9,9,…は、具体的には、コネクタ2の底面と凹所43の内面とに囲繞された空間に挿通される。
なお、ケーブル9,9,…に印加された外力によってコネクタ2及びケーブル9,9,…がコネクタ保持構造Aから脱落することを防止するために、各リブ4の保持部42,42の頂部に、コネクタ2の天面に係止する係止爪を設けることが望ましい。
【0088】
実施の形態6
図22はコネクタ保持構造Aにコネクタ2とケーブル9,9,…とが保持されている状態の他の構成を示す正面図である。
図22に示すコネクタ保持構造Aは、実施の形態2のコネクタ保持構造Aである。実施の形態2のコネクタ保持構造Aでも、このコネクタ保持構造Aに保持されているコネクタ2と、リブ形成面30との間にケーブル9,9,…を挿通することによって、コネクタ保持構造Aでケーブル9,9,…を固定することができる。
【0089】
何故ならば、実施の形態2のコネクタ保持構造Aにおいては、受止部53,53,…がコネクタ2の底面に当接して、コネクタ2を受止めるため、コネクタ保持構造Aに保持されたコネクタ2の底面とリブ形成面30との間に空隙が存在するからである。
なお、ケーブル9,9,…に印加された外力によってコネクタ2及びケーブル9,9,…がコネクタ保持構造Aから脱落することを防止するために、各リブ分体5aの保持部51の頂部に、コネクタ2の天面に係止する係止爪を設けることが望ましい。
【0090】
実施の形態7
図23はコネクタ保持構造Aにコネクタ2とケーブル9,9,…とが保持されている状態の他の構成を示す正面図である。
図23に示すコネクタ保持構造Aは、実施の形態3のコネクタ保持構造Aである。実施の形態3のコネクタ保持構造Aでも、このコネクタ保持構造Aに保持されているコネクタ2と、リブ形成面30との間にケーブル9,9,…を挿通することによって、コネクタ保持構造Aでケーブル9,9,…を固定することができる。
【0091】
何故ならば、実施の形態3のコネクタ保持構造Aにおいては、凸部34がコネクタ2の底面に当接するため、コネクタ保持構造Aに保持されたコネクタ2の底面とリブ形成面30との間に空隙が存在するからである。
しかも、リブ6,6の保持部61,61が、ケーブル9,9,…に印加された外力によってコネクタ2及びケーブル9,9,…がコネクタ保持構造Aから脱落することを防止することができる。故に、実施の形態6,7のように、コネクタ保持構造Aに係止爪を追加する必要がない。
【0092】
なお、以上説明した実施の形態では、前キャビネット15がコネクタ保持構造Aのリブ4,5,8の何れかを有し、スピーカ16bを支持する支持板20がコネクタ保持構造Aのリブ6,6,7を有する構成としたが、その他、コネクタ保持構造Aのリブは後キャビネット17が備える構成としてもよく、コネクタ保持構造Aを備える樹脂成形品3はキャビネットに制限されない。
【0093】
また、本発明に係るコネクタ保持構造Aのリブは、板形状、柱形状であってもよく、その形状は特に制限されない。
【0094】
また、本発明に係る表示装置は液晶テレビジョン等の液晶表示装置である他、プラズマ表示装置、ELディスプレイ等の表示装置であってもよい。
【0095】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、本発明の効果がある限りにおいて、コネクタ保持構造A、液晶表示装置B、又はテレビ受像装置に、実施の形態1〜7に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 導線
2 コネクタ
23 凸部
3 樹脂成形品
30 リブ形成面(リブを有する面)
31 可撓片
32 スリット
34 凸部
4 リブ
41 嵌入溝
42 保持部
5,6,7,8 リブ
51,61,71 保持部
81 挟持片
82 係止爪
83 当接部
84 空隙
9 ケーブル(導線)
10 表示部
15 前キャビネット(樹脂成形品)
16a,16b スピーカ
20 支持板(樹脂成形品)
A コネクタ保持構造
B 液晶表示装置(表示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の導線同士を接続するコネクタを、前記導線が配線される樹脂成形品で保持する保持構造において、
前記樹脂成形品は、前記導線の長手方向に離隔して対向する複数のリブを有し、該リブの夫々は、前記コネクタの外面に接触して該コネクタを保持する保持部を有することを特徴とするコネクタ保持構造。
【請求項2】
前記リブは、前記コネクタが嵌入されるリブ横断方向の嵌入溝を有し、該嵌入溝の対向している部分で前記コネクタを保持している請求項1記載のコネクタ保持構造。
【請求項3】
前記リブの夫々は、前記導線の長手方向と交差する方向の二つの位置に配してあるリブ分体により形成されており、該リブ分体の夫々は、前記二つの位置の間で対向する部分で前記コネクタを保持しており、前記導線の長手方向へ離隔するリブ分体の基部同士が連結リブにより連結されている請求項1記載のコネクタ保持構造。
【請求項4】
前記リブは三つの位置に配してあり、両側のリブは、該両側のリブの頂部が前記コネクタ側へ屈曲しており、中間のリブは、両側のリブに対して前記導線の長手方向と交差する側へ偏位している請求項1記載のコネクタ保持構造。
【請求項5】
前記両側のリブ及び前記中間のリブの一方は可撓性を有する請求項4記載のコネクタ保持構造。
【請求項6】
前記樹脂成形品は、スリットにより可撓になっている可撓片を有し、該可撓片に前記中間のリブを配してある請求項4記載のコネクタ保持構造。
【請求項7】
前記可撓片に、前記コネクタの外面に当接して前記可撓片を撓ませるための凸部を設けてある請求項6記載のコネクタ保持構造。
【請求項8】
2本の導線同士を接続するコネクタを、前記導線が配線される樹脂成形品で保持する保持構造において、
前記樹脂成形品は、前記導線の長手方向と交差する方向に離隔して対向する二つのリブを有し、該リブの夫々は、前記コネクタの外面に接触して該コネクタを挟持するための挟持片を有することを特徴とするコネクタ保持構造。
【請求項9】
前記リブの夫々は、
頂部に、前記コネクタの前記リブの高さ方向の一側に係止する係止爪を有し、
高さ方向の中央部に、前記コネクタの前記リブの高さ方向の他側に当接する当接部を有し、
前記リブの基部同士の間に空隙を設けてある請求項8に記載のコネクタ保持構造。
【請求項10】
一側に表示面を有する表示部と、該表示部の他側を被覆するキャビネットと、該キャビネット内に配され、導線が接続されている電子部品と、前記導線の中途に介在されている中継用のコネクタを保持する請求項1から9のいずれか一つに記載のコネクタ保持構造とを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
前記コネクタは、前記リブと対向する側の外面に、前記リブに対する位置を決めるための凸部を設けてある請求項10記載の表示装置。
【請求項12】
請求項2から9のいずれか一つに記載のコネクタ保持構造に保持されているコネクタと、前記リブを有する面との間に、導線が挿通されている請求項10又は11記載の表示装置。
【請求項13】
テレビ放送信号を受信する受信部を備え、該受信部がテレビ放送信号を受信して前記表示部の表示面にテレビ画像を表示する請求項10から12のいずれか一つに記載の表示装置を含むことを特徴とするテレビ受像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−238570(P2012−238570A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−14557(P2012−14557)
【出願日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】