説明

コネクタ

【課題】 コンタクトの破損の虞が少ないコネクタを提供する。
【解決手段】 第1プリント配線板8側へ開口する第1収容部317と、第2プリント配線板9側へ開口する第2収容部318とをハウジング31に設ける。第1、第2収容部317,318を貫いて2つのプリント配線板8,9の対向方向Dへ延びる第1信号コンタクト32をハウジング31に設ける。プリント配線板8,9によってそれらの対向方向Dへ圧縮される第1、第2弾性部材33,34を一部が突出するように第1、第2収容部317,318に収容する。第1プリント配線板8に接触するとともに、第1弾性部材33が圧縮されたときに第1信号コンタクト32に接触する第2信号コンタクト34を第1弾性部材33に設ける。第2プリント配線板9に接触するとともに、第2弾性部材34が圧縮されたときに第1信号コンタクト32に接触する第3信号コンタクト36を第2弾性部材34に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコネクタに関し、特に相対する2つの接続対象物の間に配置され、それらを接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、相対する2つの接続対象物の間に配置され、それらを接続するコネクタとして、エラストマー本体とフィルムコンタクタ基体とからなるエラストマー電気コネクタが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
エラストマー本体はシリコンゴム等のエラストマで形成され、円筒状中央部分とベース部分とを有する。円筒状中央部分の断面形状はほぼ菱形である。ベース部分は円筒状であり、円筒状中央部分の両端にそれぞれ形成されている。ベース部分の軸方向は円筒状中央部分の断面形状の長い方の対角線と平行である。ベース部分には支持スリーブが挿入される。支持スリーブはエラストマよりも固い材料で形成されている。円筒状中央部分の寸法(2つの接続対象物の対向方向の寸法)はベース部分の寸法(2つの接続対象物の対向方向の寸法)よりも大きい。
【0004】
フィルムコンタクタ基体は、誘電ポリマーフィルムと、この誘電ポリマーフィルムの一面に互いに平行に複数配置された導電線とを有する。フィルムコンタクタ基体はエラストマー本体の円筒状中央部分に巻き付けられる。フィルムコンタクタ基体を円筒状中央部分に巻き付けた状態のとき、導電線は誘電ポリマーフィルムの外側面上にあり、円筒状中央部分の周方向に沿って延びている。
【0005】
このエラストマー電気コネクタを用いて2つの印刷回路板を接続するには、まず、相対向する2つの印刷回路板の間にエラストマー電気コネクタを配置するとともに、2つの印刷回路板にそれぞれ形成されたボルト挿通孔に支持スリーブを対向させる。
【0006】
次に、この状態でボルト挿通孔及び支持スリーブにボルトを挿入すると、エラストマー本体の円筒状中央部分が2つの印刷回路板によって挟まれる。
【0007】
最後に、ボルトの先端にナットを嵌め、このナットをねじ込むと、円筒状中央部分の両端部が圧縮され、2つの印刷回路板の間隔が狭まり、2つの印刷回路板が支持スリーブに突き当たる。これにより、2つの印刷回路板とエラストマー電気コネクタとが結合されるとともに、圧縮された円筒状中央部分の弾力によって導電線が印刷回路板のパッドに押し付けられる。この結果、導電線によって2つの印刷回路板が電気的に接続される。
【特許文献1】特開昭61−284078号公報(第4頁左下欄第10行〜16行、第4頁右下欄第18行〜第5頁左上欄第3行、第5頁左上欄第16行〜19行、図1、図11参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように上述のコネクタでは、円筒状中央部分の両端部を圧縮して導電線を印刷回路板のパッドに接触させるので、導電線の一部(円筒状中央部分の両端部に位置する部分)に集中的に荷重が加わり、強いストレスが生じる。
【0009】
このため、コンタクトとして機能する導電線が断線する虞があった。
【0010】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題はコンタクトの破損の虞が少ないコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するため請求項1の発明のコネクタは、相対する2つの接続対象物の間に配置され、それらを接続するコネクタにおいて、前記2つの接続対象物のうちの一方の接続対象物側へ開口する第1収容部と、前記2つの接続対象物のうちの他方の接続対象物側へ開口する第2収容部とを有するハウジングと、前記ハウジングに設けられ、前記第1、第2収容部を貫いて前記2つの接続対象物の対向方向へ延びる第1コンタクトと、一部が前記開口から突出するように前記第1、第2収容部に収容され、前記2つの接続対象物によってそれらの対向方向へ圧縮される第1、第2弾性部材と、前記第1弾性部材に設けられ、前記2つの接続対象物のうちの一方の接続対象物に接触するとともに、前記第1弾性部材が圧縮されたときに前記第1コンタクトに接触する第2コンタクトと、前記第2弾性部材に設けられ、前記2つの接続対象物のうちの他方の接続対象物に接触するとともに、前記第2弾性部材が圧縮されたときに前記第1コンタクトに接触する第3コンタクトとを備えている。
【0012】
上述のようにハウジングに第1コンタクトが設けられ、第1収容部に収容された第1弾性部材に第2コンタクトが設けられ、第2第収容部に収容された第2弾性部材に第3コンタクトが設けられているので、第1、第2弾性部材が圧縮されると、それに伴って第2、第3コンタクトは移動する。このため、第1、第2弾性部材を圧縮する圧縮力が第2コンタクト、第3コンタクトに殆ど作用しない。したがって、従来のコネクタのように導電線の一部に圧縮荷重が集中することが無くなり、破損しにくくなる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1記載のコネクタにおいて、前記ハウジングに設けられた前記一方の接続対象物側へ開口する第1受容部と前記他方の接続対象物側へ開口する第2受容部とにそれぞれ嵌合する第1、第2の嵌合ハウジングと、前記第1、第2の嵌合ハウジングにそれぞれ保持される第4、第5のコンタクトと、前記ハウジングに保持され、前記第4、第5のコンタクトに連結可能な第6のコンタクトとを備えていることを特徴とする。
【0014】
第1、第2の嵌合ハウジングと第1、第2凹部とをそれぞれ嵌合させると、第4、第5のコンタクトと第6のコンタクトとが連結される。その結果、2つの接続対象物同士を機械的にも接続することができる。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2記載のコネクタにおいて、前記第4、第5、第6のコンタクトがそれぞれほぼプレート状であることを特徴とする。
【0016】
上述のように第4、第5、第6のコンタクトがそれぞれほぼプレート状であるので、コネクタの嵌合方向の寸法を調節しやすい。
【0017】
請求項4の発明は、請求項2又は3記載のコネクタにおいて、前記第6のコンタクトが一対のほぼプレート状の導電性ばね材で構成され、この第6のコンタクトによって前記第4、第5のコンタクトの接触部が挟持されることを特徴とする。
【0018】
上述のように第6のコンタクトが一対のほぼプレート状の導電性ばね材で構成され、この第6のコンタクトによって第4、第5のコンタクトの接触部が挟持されるので、第4、第5のコンタクトと第6のコンタクトとの間に結合力がより一層強くなる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように請求項1の発明のコネクタによれば、コンタクトが破損する虞を少なくすることができる。
【0020】
請求項2の発明のコネクタによれば、接続対象物同士を機械的に接続する専用の接続手段が不要となる。
【0021】
請求項3の発明のコネクタによれば、コネクタの嵌合方向の寸法を調節しやすい。
【0022】
請求項4の発明のコネクタにれば、より一層強く接続対象物同士を結合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1はこの発明の第1実施形態に係るコネクタの使用状態の斜視図、図2はレセプタクルコネクタの分解斜視図、図3は図2に示すレセプタクルコネクタの組立途中の斜視図、図4は図2に示すレセプタクルコネクタの完成状態の斜視図、図5は第1プラグコネクタの分解斜視図、図6は第1プラグコネクタの完成状態の斜視図、図7は第2プラグコネクタの分解斜視図、図8は第2プラグコネクタの完成状態の斜視図、図9は図1のIX−IX線に沿う断面図である。
【0025】
図1に示すように、このコネクタはレセプタクルコネクタ3と第1プラグコネクタ5と第2プラグコネクタ6とで構成される。このコネクタは相対する第1プリント配線板(接続対象物)8と第2プリント配線板(プリント配線板)9との間に配置され、それらを電気的、機械的に接続する。
【0026】
図2に示すように、レセプタクルコネクタ3は、1つのレセプタクル側ハウジング(ハウジング)31と複数の第1信号コンタクト(第1コンタクト)32と1対の第1弾性部材33と1対の第2弾性部材34と複数の第2信号コンタクト(第2コンタクト)35と複数の第3信号コンタクト(第3コンタクト)36と2つのレセプタクル側グランドプレート(第6コンタクト)37とを有する。
【0027】
レセプタクル側ハウジング31は角筒部310と第1隔壁311と第2隔壁312と第3隔壁313(図9参照)とを有する。角筒部310は4つの側壁310a,310b,310c,310dで構成されている。側壁310a,310cの上部及び下部にはそれぞれ切欠き310e,310fが形成されている。切欠き310e,310fは第1隔壁311と第2隔壁312との間に位置する。レセプタクル側ハウジング31の材料としては、LCP(液晶ポリマー)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等が適する。
【0028】
図9に示すように、第1及び第2隔壁311,312は角筒部31の内部を仕切る。第1隔壁311と第2隔壁312との間には第1受容部315及び第2受容部316が形成されている。第1受容部315の開口とプリント配線板8とは対向している。第2受容部316の開口とプリント配線板9とは相対している。第1及び第2受容部315,316はプリント配線板8,9の対向方向Dに沿って並んでいる。第1隔壁311と側壁310bとの間、第2隔壁312と側壁310dとの間には、それぞれ第1収容部317及び第2収容部318が形成されている。第1収容部317の開口とプリント配線板8とは相対している。第2収容部318の開口とプリント配線板9とは相対している。第1及び第2収容部317,318は対向方向Dに沿って並んでいる。
【0029】
第3隔壁313は角筒部310の対向方向Dの中間に位置し、第1及び第2隔壁311,312と直交する。第3隔壁313によって第1及び第2受容部315,316並びに第1及び第2収容部317,318がそれぞれ2つに仕切られている。
【0030】
第1隔壁311の側壁310bと対向する面には複数のコンタクト保持溝311a(図2参照)が形成され、同様に第2隔壁312の側壁310dと対向する面にも複数のコンタクト保持溝312a(図2参照)が形成されている。
【0031】
第1信号コンタクト32は直線的に延び、ほぼ帯状であり、導電性を有する金属板を打ち抜いて形成されている。第1信号コンタクト32はコンタクト保持溝311a,312aに圧入されている。
【0032】
図2に示すように、第1弾性部材33はほぼブロック状であり、例えばシリコンゴム等のエラストマで形成されている。第1弾性部材33の上部には複数の凹部33aが等間隔で形成されている。1対の第1弾性部材33,33はそれぞれ第1収容部317,317に収容される。第1弾性部材33の高さ寸法(対向方向Dの長さ)は第1収容部317の深さ寸法(対向方向Dの寸法)よりも大きい。したがって、第1収容部317に収容された第1弾性部材33の上部は第1収容部317から突出する(図4参照)。
【0033】
第2弾性部材34はほぼブロック状であり、例えばシリコンゴム等のエラストマで形成されている。第2弾性部材34の下部には複数の凹部34aが等間隔で形成されている。1対の第2弾性部材34,34はそれぞれ第2収容部318,318に収容される。第2弾性部材34の高さ寸法(対向方向Dの長さ)は第2収容部318の深さ寸法(対向方向Dの長さ)よりも大きい。したがって、第2収容部318に収容された第2弾性部材34の下部は第2収容部318から突出する。
【0034】
第2信号コンタクト35は導電性を有する金属で形成され、ブロック状である。第2信号コンタクト35は接着剤によって、図3に示すように、凹部33aに固定されている。
【0035】
第3信号コンタクト36は導電性を有する金属で形成され、ブロック状である。第3信号コンタクト36は接着剤によって、図3に示すように、凹部34aに固定されている。
【0036】
図9に示すように、1対のレセプタクル側グランドプレート37の中間部はモールドイン成形によってレセプタクル側ハウジングの第3隔壁313の中央部に固定されている。レセプタクル側グランドプレート37は導電性及び弾性を有する金属板で形成されている。レセプタクル側グランドプレート37の上端部及び下端部は少しだけ反り返り、それ以外の部分はわずかに湾曲している。これにより1対のレセプタクル側グランドプレート37は後述する第1及び第2プラグ側グランドプレート52,62を挟持できるようになっている。
【0037】
図5、6に示すように、第1プラグコネクタ5は第1プラグ側ハウジング(第1嵌合ハウジング)51と第1プラグ側グランドプレート(第4コンタクト)52とを備える。
【0038】
第1プラグ側ハウジング51はほぼ筐体状であり、側壁51a,51b,51c,51dと底板51eとを有する。第1プラグ側ハウジング51の材料としては、LCP(液晶ポリマー)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等が適する。
【0039】
側壁51a,51cには凸部51fが形成されている。凸部51fはレセプタクル側ハウジング31の切欠き310e(図4参照)に嵌合する。
【0040】
底板51eには溝51gが形成されている。溝51gは底板51eの長手方向に沿って延びている。また、底板51eには凹部51hが形成されている。凹部51hは底板51eの長手方向に沿って延び、溝51gに通じている。
【0041】
第1プラグ側グランドプレート52は導電性を有する金属板で形成され、プレート本体52aと半田付け部52bとを有する。プレート本体52aは溝51gに圧入される。半田付け部52bはプレート本体52aの一辺に等間隔で形成されている。半田付け部52bは交互に反対方向へ折り曲げられている。半田付け部52bは第1プラグ側ハウジング51の凹部51hに収容される。
【0042】
第1プラグコネクタ5は半田付け部52bを第1プリント配線板8のグランドパターン(図示せず)に半田付けすることによって第1プリント配線板8に実装される。
【0043】
図7、8に示すように、第2プラグコネクタ6は第2プラグ側ハウジング(第2嵌合ハウジング)61と第2プラグ側グランドプレート(第5コンタクト)62とを備える。第2プラグコネクタ6は第1プラグコネクタ5と同様の構成である。
【0044】
第2プラグ側ハウジング61はほぼ筐体状であり、側壁61a,61b,61c,61dと底板61e(図9参照)とを有する。第2プラグ側ハウジング51の材料としては、LCP(液晶ポリマー)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等が適する。
【0045】
側壁61a,61cには凸部61fが形成されている。凸部61fはレセプタクル側ハウジング31の切欠き310f(図4参照)に嵌合する。
【0046】
底板61eには溝61g(図9参照)が形成されている。溝61gは底板61eの長手方向に沿って延びている。また、底板61eには凹部61h(図9参照)が形成されている。凹部51hは底板61eの長手方向に沿って延び、溝61gに通じている。
【0047】
第2プラグ側グランドプレート62は導電性を有する金属板で形成され、プレート本体62aと半田付け部62bとを有する。プレート本体62aは溝61gに圧入される。半田付け部62bはプレート本体62aの一辺に等間隔で形成されている。半田付け部62bは交互に反対方向へ折り曲げられている。半田付け部62bは第2プラグ側ハウジング61の凹部61hに収容される。
【0048】
第2プラグコネクタ6は半田付け部62bを第2プリント配線板9のグランドパターン(図示せず)に半田付けすることによって第2プリント配線板9に実装される。
【0049】
次に、このコネクタの接続作業について説明する。
【0050】
まず、第1プリント配線板8と第2プリント配線板9との間にレセプタクルコネクタ3を配置する。
【0051】
次に、第1及び第2プラグコネクタ5,6の第1及び第2プラグ側グランドプレート52,62をそれぞれ1対のレセプタクル側グランドプレート37の間に挿入するとともに第1及び第2プラグコネクタ5,6の凸部51f,61fをそれぞれレセプタクルコネクタ3の切欠き310e,310fに嵌合させる。
【0052】
この状態で、第1及び第2プリント配線板8,9の導体パターン(図示せず)がそれぞれレセプタクルコネクタ3の第2及び第3の信号コンタクト35,36に接触するまで第1及び第2プラグコネクタ5,6をレセプタクルコネクタ3に対して押し込む。
【0053】
第1及び第2プリント配線板8,9の導体パターンがそれぞれレセプタクルコネクタ3の第2及び第3の信号コンタクト35,36に接触したら、次はレセプタクルコネクタ3の第1及び第2弾性部材33,34の弾性力に抗して第1及び第2プラグコネクタ5,5´をレセプタクルコネクタ3に対して更に押し込む。
【0054】
その結果、第1及び第2弾性部材33,34が対向方向Dで圧縮され、それに伴い第1及び第2弾性部材33,34が対向方向Dと直交する方向へ広がり、第2及び第3信号コンタクト35,36がそれぞれ第1信号コンタクト33に接触し、第1、第2及び第3信号コンタクト32,34,35を通じて第1プリント配線板8と第2プリント配線板9とが電気的に接続される。
【0055】
第1及び第2弾性部材33,34が対向方向Dで圧縮されるとき、第2及び第3信号コンタクト35,36は対向方向Dへ移動できるので、第1及び第2弾性部材33,34に加わる圧縮力は第2及び第3信号コンタクト35,36に殆ど作用しない。
【0056】
第1プリント配線板8と第2プリント配線板9とが電気的に接続された状態は、レセプタクル側グランドプレート37と第1及び第2プラグ側グランドプレート52,62との間の摩擦力によって維持される。
【0057】
第1プリント配線板8と第2プリント配線板9との電気的な接続を解くには、レセプタクル側グランドプレート37と第1及び第2プラグ側グランドプレート52,62との間の摩擦力に抗して第1及び第2プラグコネクタ5,6をレセプタクルコネクタ3から離脱させればよい。
【0058】
この実施形態によれば、第1及び第2弾性部材33,34に加わる圧縮力は第2及び第3信号コンタクト35,36に殆ど作用しないので、第1及び第2プリント配線板8,9の接続作業によって導電線等を含むコンタクトが破損する虞が極めて少ない。
【0059】
また、第1及び第2プラグコネクタ5,6をレセプタクルコネクタ3に嵌合させるだけで第1及び第2プリント配線板8,9の接続状態を維持することができるので、専用の機械的接続手段が不要になる。
【0060】
更に、レセプタクル側グランドプレート37、第1プラグ側グランドプレート52及び第2プラグ側グランドプレート62がそれぞれほぼプレート状であるので、コネクタの嵌合方向の寸法を調節しやすい。
【0061】
また、レセプタクル側グランドプレート37、第1プラグ側グランドプレート52及び第2プラグ側グランドプレート62を採用したので、これらのプレート37,52,62の両側に位置する第1、第2及び第3信号コンタクト32,35,36間のクロストークを低減でき、かつ、コンタクトの形状が単純であるので、インピーダンスの調整が容易であり、高周波用コネクタとして有効である。
【0062】
なお、第1実施形態では、第1収容部317と第2収容部318とが第3隔壁313によって仕切られているが、必ずしもこのようにする必要は無く、第1収容部317と第2収容部318とが繋がっていても構わない。
【0063】
また、第1実施形態では、第1受容部315と第2受容部316とが第3隔壁313によって仕切られているが、必ずしもこのようにする必要は無く、第1受容部315と第2受容部316とが繋がっていても構わない。
【0064】
なお、第1実施形態では、第1弾性部材33と第2弾性部材34とが別体であるが、第1弾性部材33と第2弾性部材34とが繋がっていても構わない。
【0065】
また、第1実施形態では、第1信号コンタクト32を導電性を有する金属板から形成し、レセプタクル側ハウジング31のコンタクト保持溝311a,312aに圧入しているが、これに限られず、スパッタリング、蒸着、メッキ等により、レセプタクル側ハウジング31に直接第1信号コンタクトを形成してもよい。
【0066】
第1弾性部材33の角部にそれぞれ導電膜からなる第2信号コンタクトを形成してもよい。第1信号コンタクト32はコンタクト保持溝311a,312aに圧入されている。
【0067】
なお、第1実施形態では、第1及び第2弾性部材33,34の凹部33a,34aにブロック状の第2、第3信号コンタクト35,36を固定したが、第2、第3信号コンタクト35,36はこれに限られず、スパッタリング、蒸着、メッキ等により、第1弾性部材33の角部にそれぞれ導電膜からなる第2信号コンタクトを形成してもよい(第3信号コンタクトも同様)。
【0068】
また、第1実施形態では第1、第2及び第3コンタクトは第1、第2及び第3信号コンタクト32,35,36であるが、第1、第2及び第3コンタクトは信号コンタクトに限られず、グランドコンタクト等であってもよい。
【0069】
なお、第1実施形態では、第1及び第2プリント配線板8,9の接続状態を維持する結合手段として1対のレセプタクル側グランドプレートと2つのプラグ側グランドプレート52,52とで構成したが、結合手段はこれに限られず、例えば、第1及び第2プラグコネクタにそれぞれ1対のプラグ側グランドプレートを設け、この1対のプラグ側グランドプレートによって挟まれる1つのレセプタクル側グランドプレートをレセプタクルコネクタに設けてもよいし、また、十分な摩擦力を得られるのであれば、レセプタクルコネクタに設けられた1つのレセプタクル側グランドプレートに第1及び第2プラグコネクタにそれぞれ設けられた1つのプラグ側グコネクタを接触させるようにしてもよい。更に、結合手段として、ボルト、ナットを用いてもよい。また、レセプタクル側ハウジング31と第1及び第2プラグ側ハウジング51,61とにそれぞれ互いに係合する係合部(例えば、凸部と凹部)を設け、これを結合手段としてもよい。更に、レセプタクル側グランドプレート37と第1及第2プラグ側グランドプレート52,62とにそれぞれ互いに係合する係合部を設け、これを結合手段としてもよい。
【0070】
また、第1実施形態のコネクタはレセプタクルコネクタ3と第1プラグコネクタ5と第2プラグコネクタ6とで構成されているが、この発明のコネクタは必ずしも複数のコネクタで構成する必要は無く、2つの接続対象物の間に挟まれる1つのコネクタ(例えばレセプタクルコネクタ3だけ)で構成してもよい。
【0071】
なお、第1実施形態のコネクタは2つのプリント配線板8,9の接続用コネクタであるが、この発明のコネクタを例えば、半導体装置とプリント配線板とを接続するためのコネクタとしても、半導体装置同士の接続用コネクタとしても用いることができ、接続対象物はプリント配線板に限られない。
【0072】
図10はこの発明の変形例に係る第1プラグコネクタの分解斜視図、図11は図10に示す第1プラグコネクタの完成状態の斜視図、図12はこの発明の変形例に係る第2プラグコネクタの分解斜視図、図13は図12に示す第2プラグコネクタの完成状態の斜視図である。
【0073】
上述の実施形態の第1及び第2プラグコネクタ5,6に代えて、図11,13の変形例の第1及び第2プラグコネクタ205,206を用いてもよい。
【0074】
上述の実施形態の第1及び第2プラグコネクタ5,6と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、相違部分についてだけ説明する。
【0075】
図10,11に示すように、第1プラグコネクタ205では、1つの第1プラグ側グランドプレート52に代えて複数の第1プラグ側グランドピン(第4コンタクト)252が第1プラグ側ハウジング251に設けられている。このため、第1プラグ側ハウジング251の底板251eには複数のプラグ側グランドピン252を保持する複数の孔251gが形成されている。第1プラグ側グランドピン252はピン本体252aと半田付け部252bとを有する。
【0076】
図12,13に示すように、第2プラグコネクタ206では、1つの第2プラグ側グランドプレート62に代えて複数の第2プラグ側グランドピン(第5コンタクト)262が第2プラグ側ハウジング261に設けられている。このため、第2プラグ側ハウジング261の底板261eには複数のプラグ側グランドピン262を保持する複数の孔261gが形成されている。第2プラグ側グランドピン262はピン本体262aと半田付け部262bとを有する。
【0077】
この変形例のコネクタは第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0078】
他の変形例としては、1つのレセプタクル側グランドプレート37の代わりに複数のレセプタクル側グランドピンをレセプタクル側ハウジング31に設け、第1及び第2プラグ側ハウジングにそれぞれ1対のプラグ側グランドプレートを設けたもの等が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態に係るコネクタの使用状態の斜視図である。
【図2】図2はレセプタクルコネクタの分解斜視図である。
【図3】図3は図2に示すレセプタクルコネクタの組立途中の斜視図である。
【図4】図4は図2に示すレセプタクルコネクタの完成状態の斜視図である。
【図5】図5は第1プラグコネクタの分解斜視図である。
【図6】図6は第1プラグコネクタの完成状態の斜視図である。
【図7】図7は第2プラグコネクタの分解斜視図である。
【図8】図8は第2プラグコネクタの完成状態の斜視図である。
【図9】図9は図1のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】図10はこの発明の変形例に係る第1プラグコネクタの分解斜視図である。
【図11】図11は図10に示す第1プラグコネクタの完成状態の斜視図である。
【図12】図12はこの発明の変形例に係る第2プラグコネクタの分解斜視図である。
【図13】図13は図12に示す第2プラグコネクタの完成状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0080】
3 レセプタクルコネクタ
31 レセプタクル側ハウジング(ハウジング)
315 第1受容部
316 第2受容部
32 第1信号コンタクト(第1コンタクト)
33 第1弾性部材
34 第2弾性部材
35 第2信号コンタクト(第2コンタクト)
36 第3信号コンタクト(第3コンタクト)
37 レセプタクル側グランドプレート(第6コンタクト)
5,205 第1プラグコネクタ
51,251 第1プラグ側ハウジング(第1嵌合ハウジング)
52 第1プラグ側グランドプレート(第4コンタクト)
252 第1プラグ側グランドピン(第4コンタクト)
6,261 第2プラグコネクタ
61,261 第2プラグ側ハウジング(第2嵌合ハウジング)
62 第2プラグ側グランドプレート(第5コンタクト)
262 第2プラグ側グランドピン(第5コンタクト)
8 第1プリント配線板(接続対象物)
9 第2プリント配線板(接続対象物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対する2つの接続対象物の間に配置され、それらを接続するコネクタにおいて、
前記2つの接続対象物のうちの一方の接続対象物側へ開口する第1収容部と、前記2つの接続対象物のうちの他方の接続対象物側へ開口する第2収容部とを有するハウジングと、
前記ハウジングに設けられ、前記第1、第2収容部を貫いて前記2つの接続対象物の対向方向へ延びる第1コンタクトと、
一部が前記開口から突出するように前記第1、第2収容部に収容され、前記2つの接続対象物によってそれらの対向方向へ圧縮される第1、第2弾性部材と、
前記第1弾性部材に設けられ、前記2つの接続対象物のうちの一方の接続対象物に接触するとともに、前記第1弾性部材が圧縮されたときに前記第1コンタクトに接触する第2コンタクトと、
前記第2弾性部材に設けられ、前記2つの接続対象物のうちの他方の接続対象物に接触するとともに、前記第2弾性部材が圧縮されたときに前記第1コンタクトに接触する第3コンタクトと
を備えていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングに設けられた前記一方の接続対象物側へ開口する第1受容部と前記他方の接続対象物側へ開口する第2受容部とにそれぞれ嵌合する第1、第2の嵌合ハウジングと、
前記第1、第2の嵌合ハウジングにそれぞれ保持される第4、第5のコンタクトと、
前記ハウジングに保持され、前記第4、第5のコンタクトに連結可能な第6のコンタクトと
を備えていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第4、第5、第6のコンタクトがそれぞれほぼプレート状であることを特徴とする請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第6のコンタクトが一対のほぼプレート状の導電性ばね材で構成され、この第6のコンタクトによって前記第4、第5のコンタクトの接触部が挟持されることを特徴とする請求項2又は3記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−40686(P2006−40686A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218395(P2004−218395)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】