説明

コネクタ

【課題】バックプレーンとドータボードとが夫々の端が例えば直交する位置関係で接続される場所に適用されるライトアングル型のコネクタにおいて、伝送特性の改善を図ることを課題とする。
【解決手段】矩形状の板片を直角に曲げた形状であって大きさが少しずつ異なる4つのコンタクトモジュール42−1〜42−4が重なるように並んだ状態で、合成樹脂製のハウジング50の内部に組み込んである構成である。接続側面47では、同じコンタクトモジュール42のメスコンタクト部45がドータボード側コネクタ40の幅方向(Y方向)に一列に整列している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコネクタに係り、特に、サーバ等の通信機器においてバックプレーンにドータボードを電気的に接続するのに使用される高速伝送対応のコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
通信機器等の内部には、バックプレーンと、この端の箇所に直角にドータボードが複数平行に並んで配置してあり、複数のドータボードがバックプレーンを介して相互に接続された構造がある。以下、この構造を「プリント回路基板組み合わせ体」という。
【0003】
バックプレーンはその端の箇所にバックプレーン側コネクタが実装してあり、ドータボードもその端のの箇所にドータボード側コネクタが実装してあり、ドータボード側コネクタがバックプレーン側コネクタに接続されて、ドータボードがバックプレーンに接続してある。
【0004】
また、近年、信号の伝送速度が高速になってきており、信号伝送の方式としてノイズの影響を受け難い平衡伝送が多く採用されており、上記のコネクタもこれに対応可能である構成となっている。即ち、平衡伝送は、一つの信号について、基準レベルに対してレベルの大きさが等しいプラス側の信号とマイナス側の信号とよりなるペア信号を伝送する方式である。
【0005】
図1はプリント回路基板組み合わせ体1に適用される従来のコネクタ装置10を概略的に示す。図2はプリント回路基板組み合わせ体1に適用された状態のコネクタ装置10を概略的に示す。
【0006】
図1を参照するに、2はバックプレーンであり、3はドータボードであり、共にプリント回路基板である。バックプレーン2はX−Y面に位置しており、ドータボード3はX−Z面に位置している。
【0007】
本願明細書において、同じ部材の間の識別は枝番号で行っている。複数の同じ部材のうちの特定の部材を指し示さない場合には、枝番号を付さない符号を使用して説明する。
【0008】
11はバックプレーン側コネクタであり、21はドータボード側コネクタであり、共にライトアングル型である。バックプレーン側コネクタ11とドータボード側コネクタ21とが合わさって、コネクタ装置10を構成する。図1はバックプレーン側コネクタ11とドータボード側コネクタ21とを、接続される向きで示す。Y方向はバックプレーン側コネクタ11の高さ方向、ドータボード側コネクタ21の幅方向である。Z方向はバックプレーン側コネクタ11の幅方向、ドータボード側コネクタ21の高さ方向である。高さ方向とは、ボード上に実装した場合にボードの面から上方への方向であり、幅方向とは、ボード上に実装した場合にボードの端面に沿う方向である。
【0009】
バックプレーン側コネクタ11は、4つコンタクトモジュール12−1〜12−4がシールド板(図示せず)と交互に並んだ状態でハウジング(図示せず)内に組み込んである構造である。各コンタクトモジュール12−1〜12−4は、平面状であり、合成樹脂製の本体13に、共に直角に曲っている4つの伝送路部材14−1−1〜14−1−4が並んで固定してあり、一端側にオスコンタクト部15を有し、基部となる反対側にターミナル部材16を有する構成である。17は接続側面であり、オスコンタクト部15がマトリクス状に並んでいる。同じコンタクトモジュールについてみると、オスコンタクト部15はY方向、即ち、バックプレーン側コネクタ11の高さ方向に整列している。なお、バックプレーン側コネクタ11の更に詳細な構成については後述する。
【0010】
ドータボード側コネクタ21は、バックプレーン側コネクタ11に対応する構造であり、複数のコンタクトモジュール22がシールド板(図示せず)と交互に並んだ状態でハウジング(図示せず)内に組み込んである構造である。各コンタクトモジュール22は、平面状であり、合成樹脂製の本体23に、共に直角に曲っている4つの伝送路部材24−1−1〜24−1−4が並んで固定してあり、一端側にメスコンタクト部材25を有し、基部となる反対側にターミナル部材26を有する構成である。27は接続側面であり、メスコンタクト部材25がマトリクス状に並んでいる。同じコンタクトモジュールについてみると、メスコンタクト部材25はZ方向に整列している。
【0011】
図2に示すように、バックプレーン側コネクタ11は、ターミナル部材16を固定されてバックプレーン2上に実装してあり、接続側面17がバックプレーン2の端に臨んでいる。ドータボード側コネクタ21は、ターミナル部材16を固定されてバックプレーン2上に実装してあり、接続側面27がドータボード3の端に臨んでいる。
【0012】
ドータボード3は、ドータボード側コネクタ21の接続側面27をバックプレーン側コネクタ11の接続側面17に突き合わされ、メスコンタクト部材25を対応するオスコンタクト部15に接続されて、バックプレーン側コネクタ11と接続してある。
【0013】
コネクタ装置10についてみると、バックプレーン側コネクタ11のコンタクトモジュール12はX−Y面にあり、ドータボード側コネクタ21のコンタクトモジュール22はX−Y面にあり、バックプレーン側コネクタ11のコンタクトモジュール12とドータボード側コネクタ21のコンタクトモジュール22とは直交する位置関係にある。即ち、バックプレーン側コネクタ11の個々のコンタクトモジュール12はドータボード側コネクタ21の全部のコンタクトモジュール22と交差している。ドータボード側コネクタ21の個々のコンタクトモジュール22はバックプレーン側コネクタ11の全部のコンタクトモジュール12と交差している。
【特許文献1】特表2005−522012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ここで、ペア信号がバックプレーン2からコネクタ装置10を経てドータボード3に伝送されるときの、コネクタ装置10内における経路は、以下のようになる。
【0015】
図2に概略的に示すように、バックプレーン2側からドータボード3に向かうペア信号S1a,S1bは、バックプレーン側コネクタ11の同じコンタクトモジュール12−1内の対をなす隣り合う伝送路部材14−1−1と14−1−2を伝送され、伝送路部材14−1−1の信号S1aは、ドータボード側コネクタ21のコンタクトモジュール22−1の伝送路部材24−1−1に移って伝送され、伝送路部材14−1−2の信号S1bは、別のコンタクトモジュール22−2の伝送路部材24−2−1に移って伝送される。
【0016】
バックプレーン側コネクタ11の同じコンタクトモジュール12−1内の別の対をなす伝送路部材14−1−3と14−1−4を伝送される別のペア信号S2a,S2bは、ドータボード側コネクタ21内のコンタクトモジュール22−3、22−4とに分かれて移って伝送される。
【0017】
このように、バックプレーン側コネクタ11の同じコンタクトモジュール12内の別の対をなす伝送路部材を伝送されてきたペア信号は、ドータボード側コネクタ21に移るときに別々のコンタクトモジュールに分離されて、異なるコンタクトモジュールの伝送路部材を伝送される。
【0018】
ここで、ペア信号は、波形が密に関連するものであり、この関連性を維持していることが信号の伝送特性を高く維持する上で重要である。例えば、一の信号の伝送路の距離と別の信号の伝送路の距離との差異は、関連性を損ねる原因である。よって、ペア信号は、コンタクトモジュール内の対をなす隣り合う伝送路部材を伝送されるべきものである。
【0019】
ペア信号の伝送路がコネクタ装置10内で別々のコンタクトモジュールの伝送路に分離されると、例えば、ペア信号を構成する個々の信号の伝送路の距離に差異が出てきて、信号の伝送特性が悪くなる虞れがあった。
【0020】
また、将来的に信号の伝送速度が高速となると、相対的に上記の内容が無視できない問題となってくる。
【0021】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、複数の伝送路を有し且つ端にコンタクトが複数並んでいる構成のコンタクトモジュールが、複数、ハウジング内に並んで設けてあり、接続される側の面に前記コンタクトが露出しているコネクタであって、
前記の個々のコンタクトモジュールの前記端の複数のコンタクトが、前記コネクタの幅方向に整列している構成である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、例えばバックプレーンとドータボードとが夫々の端が直交する位置関係で接続される場所に適用して、ペア信号が二つのコンタクトモジュールに分離しないで伝送されるようにすることが出来、即ち、一つのコンタクトモジュールからのペア信号を別の一つのコンタクトモジュールに乗せて移すことが出来、信号の伝送特性を改善することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0025】
図3は本発明の実施例1になるコネクタ装置30を概略的に示す。図4は回路基板組み合わせ体1Aに適用された状態のコネクタ装置30を概略的に示す。各図中、図1及び図2に示す構成の部分と対応する部分には同一符号を付す。
【0026】
コネクタ装置30は、従来のコネクタ装置1とは、ドータボード側コネクタ40が相違する構成である。
【0027】
コネクタ装置30は、バックプレーン側コネクタ11と、ドータボード側コネクタ40とよりなる。
【0028】
ドータボード側コネクタ40は、ライトアングル型である。図3及び図4は、バックプレーン側コネクタ11とドータボード側コネクタ40とを、接続される向きで示す。Y方向はバックプレーン側コネクタ11の高さ方向、ドータボード側コネクタ40の幅方向である。Z方向はバックプレーン側コネクタ11の幅方向、ドータボード側コネクタ40の高さ方向である。高さ方向とは、ボード上に実装した場合にボードの面から上方への方向であり、幅方向とは、ボード上に実装した場合にボードの端面に沿う方向である。
【0029】
プリント回路基板組み合わせ体1Aは、バックプレーン2と、ドータボード3と、コネクタ装置30とよりなる。バックプレーン2とドータボード3とは、ドータボード3の一つの端縁3X2がバックプレーン2の一つの端縁2X1と直交する配置となっている。
[バックプレーン側コネクタ11の構造]
図5はバックプレーン側コネクタ11を分解して示す。
【0030】
図3及び図5に示すように、コンタクトモジュール12は、絶縁材料製の板状の本体13の片面に、直角に曲っている4つの伝送路部材(パターン)14が並んで形成してあり、一端側にオスコンタクト部15を有し、基部となる反対側にターミナル部材16を有し、本体13の反対側の面に板状のシールド部材17が設けてある構成である。
【0031】
ハウジング18は、合成樹脂製の成形部品であり、4つのスリット19が並んで形成してある。
【0032】
コンタクトモジュール12が、各スリット19に嵌合されて、並んだ状態で、ハウジング18内に組み込んである。
【0033】
その他の部分の構成は、図1において説明した構成と同じである。
【0034】
同じコンタクトモジュールについてみると、コンタクトとしてのオスコンタクト部15はY方向、即ち、バックプレーン側コネクタ11の高さ方向に整列している。別々のコンタクトモジュールについてみると、個々のコンタクトモジュールについてオスコンタクト部15が一列に整列して形成してある線が、バックプレーン側コネクタ11の幅方向に平行に並んでいる。
[ドータボード側コネクタ40の構造]
図6はドータボード側コネクタ40をY1側からみて分解して示す。図7はドータボード側コネクタ40をY2側からみて分解して示す。
【0035】
図3、図6、図7に示すように、ドータボード側コネクタ40は、コンタクトモジュール42−1〜42−4が、カバー55が付いているハウジング50内に組み込まれている構造である。
【0036】
コンタクトモジュール42−1は、本体43と、4つの伝送路部材(パターン)44−1−1〜44−1−4と、コンタクトとしてのメスコンタクト部材45−1〜45−4と、ターミナル部材46−1〜46−4と、シールド部材47とを有する。
【0037】
本体43は、細長形状の薄板片の長手方向がを略L字形状に曲がっている形状の絶縁材料製の板状の部材である。
【0038】
伝送路部材(パターン)44−1−1〜44−1−4は、本体43の内側の面に、X2方向の端43X2からZ2方向の端43Z2までの間に、平行に並んで形成してある。
【0039】
メスコンタクト部材45−1〜45−4は、本体43のX2方向の端43X2に、対応する伝送路部材(パターン)44−1−1〜44−1−4と電気的に接続された状態で固定してあり、この端43X2に沿ってY方向に並んでいる。
【0040】
ターミナル部材46−1〜46−4は、本体43のZ2方向の端43Z2に、対応する伝送路部材(パターン)44−1−1〜44−1−4と電気的に接続された状態で固定してあり、この端43Z2よりZ2方向に突き出ており、端43Z2に沿ってY方向に並んでいる。
【0041】
シールド部材47は、本体43と同様に略L字形状に曲がっている形状の板状の部材であり、本体43の外側の面に設けてあり、本体43の外側の全面を覆っている。
【0042】
コンタクトモジュール42−2は、コンタクトモジュール42−1よりサイズが少し大きく、構成は前記のコンタクトモジュール42−1と同じである。
【0043】
コンタクトモジュール42−3は、コンタクトモジュール42−2よりサイズが少し大きく、構成は前記のコンタクトモジュール42−1と同じである。
【0044】
コンタクトモジュール42−4は、コンタクトモジュール42−3よりサイズが少し大きく、構成は前記のコンタクトモジュール42−1と同じである。
【0045】
コンタクトモジュール42−1〜42−4は、サイズが少しずつ大きくなっており、コンタクトモジュール42−1が最も下側に位置し、この上に、コンタクトモジュール42−2が端を一致させてコンタクトモジュール42−1を丁度に覆って重なり、この上に、コンタクトモジュール42−3が端を一致させてコンタクトモジュール42−2を丁度に覆おおって重なり、この上に、コンタクトモジュール42−4が端を一致させてコンタクトモジュール42−3を丁度に覆って重なるようになっている。即ち、コンタクトモジュール42−1〜42−4は、端が一致した状態で重なり合うようにサイズが少しずつ相違している。
【0046】
ハウジング50は、合成樹脂製の成形部品であり、図7及び図6に示すように、コンタクトモジュール42−1〜42−4に対応した大きさであって、L字形状の4つのスリット51−1〜51−4が並んで形成してある。
【0047】
カバー55は、合成樹脂製の成形部品であり、ハウジング50の片面を覆う大きさの四角形状の板片である。
【0048】
ドータボード側コネクタ40は、上記のコンタクトモジュール42−1〜42−4が、ハウジング50の対応するスリット51−1〜51−4内に組み込まれており、カバー55によって蓋をされている構造である。コンタクトモジュール42−1〜42−4は夫々独立してスリット51−1〜51−4内に収まっている。
【0049】
図3に併せて示すように、57は接続側面であり、Y−Z面に位置し、メスコンタクト部材45がマトリクス状に並んでいる。58は実装側面であり、X−Y面に位置し、ターミナル部材46がマトリクス状に並んでいる。接続側面57と実装側面58とは直交する位置関係にある。
【0050】
接続側面57を見ると、同じコンタクトモジュール42のメスコンタクト部材45がY方向、即ち、ドータボード側コネクタ40の幅方向に一列に整列しており、この列がZ方向(高さ方向)に4列平行に並んでいる構成である。ここで、同じコンタクトモジュール42のメスコンタクト部材45が整列している方向は、バックプレーン側コネクタ11の同じコンタクトモジュール12のオスコンタクト部15が整列している方向と同じである。
【0051】
実装側面58を見ると、同じコンタクトモジュール42のターミナル部材46がY方向に一列に整列しており、この列がX方向に4列平行に並んでいる構成である。
[バックプレーン側コネクタ11とドータボード側コネクタ40との接続及びペア信号の伝送経路]
図4に示すように、バックプレーン側コネクタ11は、ターミナル部材16(図3参照)を固定されてバックプレーン2上に実装してあり、接続側面17がバックプレーン2の端に臨んでいる。ドータボード側コネクタ40は、ターミナル部材46(図3参照)を固定されてバックプレーン2上に実装してあり、接続側面57がドータボード3の端に臨んでいる。
【0052】
ドータボード3は、ドータボード側コネクタ40の接続側面47をバックプレーン側コネクタ11の接続側面17に突き合わされ、メスコンタクト部材45が対応するオスコンタクト部15と接触して接続されて、バックプレーン側コネクタ11と接続してある。
【0053】
ここで、コンタクトモジュール42とコンタクトモジュール12との関係についてみると、ドータボード側コネクタ40の同じコンタクトモジュール42の端に整列しているメスコンタクト部材45は、バックプレーン側コネクタ11の同じコンタクトモジュール12の端に整列しているオスコンタクト部15と接続されている。
【0054】
これによって、ペア信号がバックプレーン2からコネクタ装置30を経てドータボード3に伝送されるときの、コネクタ装置10内における信号の伝送経路は、以下に記載するようになる。
【0055】
図4に概略的に示すように、バックプレーン2側からドータボード3に向かうペア信号S1a,S1bは、バックプレーン側コネクタ11の同じコンタクトモジュール12−1内の対をなす隣り合う伝送路部材14−1−1と14−1−2を伝送され、伝送路部材14−1−1の信号S1aは、ドータボード側コネクタ40のコンタクトモジュール42−1の伝送路部材44−1−1に移って伝送され、伝送路部材14−1−2の信号S1bは、同じコンタクトモジュール42−1の伝送路部材44−1−2に移って伝送される。伝送路部材44−1−1、44−1−2は対をなす。
【0056】
バックプレーン側コネクタ11の同じコンタクトモジュール12−1内の別の対をなす伝送路部材14−1−3と14−1−4を伝送される別のペア信号S2a,S2bは、ドータボード側コネクタ21内の上記と同じコンタクトモジュール42−1の別の対をなす伝送路部材44−1−3、44−1−4に移って伝送される。
【0057】
このように、バックプレーン側コネクタ11の同じコンタクトモジュール12−1内の全部の対をなす伝送路部材を伝送されてきた全部のペア信号は、ドータボード側コネクタ40の同じコンタクトモジュール42−1に移ってこのコンタクトモジュール42−1内を伝送される。
【0058】
同じく、バックプレーン側コネクタ11のコンタクトモジュール12−2内を伝送されてきたペア信号は、ドータボード側コネクタ40の同じコンタクトモジュール42−2に移ってこのコンタクトモジュール42−2内を伝送される。コンタクトモジュール12−3内を伝送されてきたペア信号は、ドータボード側コネクタ40の同じコンタクトモジュール42−3に移ってこのコンタクトモジュール42−3内を伝送される。コンタクトモジュール12−3内を伝送されてきたペア信号は、ドータボード側コネクタ40の同じコンタクトモジュール42−4に移ってこのコンタクトモジュール42−4内を伝送される。
【0059】
このように、バックプレーン側コネクタ11の各コンタクトモジュール12−1〜12−4内を伝送されてきたペア信号は、分離されずに、夫々コンタクトモジュール42−1〜42−4に移ってこのコンタクトモジュール42−1〜42−4内を伝送される。このため、個々のペア信号は、コンタクトモジュール42−1〜42−4に移った後も、同じコンタクトモジュール42の隣接する伝送路部材44を伝送される。同じコンタクトモジュール42の隣接する伝送路部材44の長さは正確に同じである。よって、個々のペア信号がコンタクトモジュール42を伝送される間に、一の信号の波形と別の信号の波形とにズレが発生することが避けられ、一の信号と別の信号との関連性は良好に維持される。これによって、コネクタ装置30内の伝送経路における信号の伝送特性が従来に比べて改善される。
【0060】
なお、上記実施例とは異なり、バックプレーン側コネクタ11をドータボード3に実装し、ドータボード側コネクタ40をバックプレーン2に実装してもよい。
【実施例2】
【0061】
図8は本発明の実施例2になる回路基板組み合わせ体1B、コネクタ装置30B、及びドータボード側コネクタ40Bを示す。
【0062】
プリント回路基板組み合わせ体1Bは、バックプレーン2と、ドータボード3と、コネクタ装置30Bとよりなる。バックプレーン2とドータボード3とは、ドータボード3の一つの端縁3X2がバックプレーン2の一つの端縁2X1に鈍角αで交差する配置となっている。
【0063】
コネクタ装置30Bは、前記のバックプレーン側コネクタ11と、図9(A)乃至(C)に示すドータボード側コネクタ40Bとを有する。
【0064】
このドータボード側コネクタ40Bは、図3、図6、図7に示す前記のドータボード側コネクタ40とは、大略、接続側面57Bが、四角の形状を維持したまま、前記のドータボード側コネクタ40の接続側面57に対して、図9(B)中、反時計方向に角度βだけ回動された状態にある構成が相違している。
【0065】
コンタクトモジュール42Bは、長手方向がを略L字形状に曲がっており、且つ、符号42Baで示すように、X2の端の近傍部が少し捻られた形状を有している。
【0066】
コンタクトモジュール42BのX2の端の複数のメスコンタクト部材45は、接続側面57Bの形状である四角形のZ2側の辺57BZ2と平行に並んでおり、且つ、コネクタ装置30Bの幅方向の線L1に対して鋭角の角度β傾斜した方向の線L2に沿って並んでいる。
【0067】
ドータボード3のバックプレーン2に対する配置を直交する配置からずれた位置関係とする場合に、上記のドータボード側コネクタ40Bが使用される。
【実施例3】
【0068】
図10は本発明の実施例3になるケーブルコネクタ60を示す。ケーブルコネクタ60は、ケーブル61の端に、前記のドータボード側コネクタ40と略同じ構造のコネクタ62を備えている。ケーブル61内の各電線の端とコネクタ62内のコンタクトモジュール63の伝送路部材64の端とが接続してある。
[変形例]
コンタクトモジュール42−1〜42−4は略L字形状であればよく、図11に示すように、FCP(フレキシブルプリント基板)の片を利用して形成することが可能である。図11に示すコンタクトモジュール70は、FCPのベース71がベースであり、配線パターン72が伝送路部材である構成である。
【0069】
このコンタクトモジュール70は、曲がりに加えて捻られている図9に示すコンタクトモジュール42Bに適している。
【0070】
また、前記のコンタクトモジュール42は、メスコンタクト部と伝送路部とターミナル部とを一体に有する細長い部材を、合成樹脂にインサート成形し、片面にシールド部材を設けた構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】従来のコネクタ装置を示す図である。
【図2】回路基板組み合わせ体に適用された状態の図1のコネクタ装置を示す図である。
【図3】本発明の実施例1になるコネクタ装置を示す図である。
【図4】回路基板組み合わせ体に適用された状態の図3コネクタ装置を示す図である。
【図5】バックプレーン側コネクタの分解斜視図である。
【図6】ドータボード側コネクタをY1側からみて分解して示す斜視図である。
【図7】ドータボード側コネクタをY2側からみて分解して示す斜視図である。
【図8】本発明の実施例2になるコネクタ装置を示す図である。
【図9】図8中のドータボード側コネクタを示す図である。
【図10】本発明の実施例3になるケーブルコネクタを示す図である。
【図11】コンタクトモジュールの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1A,1B プリント回路基板組み合わせ体
2 バックプレーン
3 ドータボード
11 バックプレーン側コネクタ
30 コネクタ装置
40 ドータボード側コネクタ
42−1〜42−4 コンタクトモジュール42−1〜42−4
43 ベース部材
44−1−1〜44−1−4 伝送路部材
45 メスコンタクト部材
46 ターミナル部材
47 シールド部材
50 ハウジング
57 接続側面
58 実装側面
60 ケーブルコネクタ
70 コンタクトモジュール
71 FCPのベース
72 配線パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の伝送路を有し且つ端にコンタクトが複数並んでいる構成のコンタクトモジュールが、複数、ハウジング内に並んで設けてあり、接続される側の面に前記コンタクトが露出しているコネクタであって、
前記の個々のコンタクトモジュールの前記端の複数のコンタクトが、前記コネクタの幅方向に整列している、コネクタ。
【請求項2】
複数の伝送路を有し且つ端にコンタクトが複数並んでいる構成のコンタクトモジュールが、複数、ハウジング内に並んで設けてあり、接続される側の面に前記コンタクトが露出しているコネクタであって、
前記個々のコンタクトモジュールの上記端の複数のコンタクトが、前記コネクタの幅方向の線に対して鋭角の角度傾斜した線に沿って整列している、コネクタ。
【請求項3】
前記の複数のコンタクトモジュールは、細長形状の板が略L字形状に曲がっており、且つ、端が一致した状態で重なり合うようにサイズが異なっている複数のコンタクトモジュールである、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記の複数のコンタクトモジュールは、細長形状の板が略L字形状に曲がっており、且つ、上記端の近傍部が捻られており、且つ、端が一致した状態で重なり合うようにサイズが異なっている複数のコンタクトモジュールである、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
複数の伝送路を有し且つ端にコンタクトが複数並んでいる構成のコンタクトモジュールが、複数、ハウジング内に並んで設けてあり、接続される側の面に前記コンタクトが露出しており、且つ、前記個々のコンタクトモジュールの前記端の複数のコンタクトが後記の第1のコネクタの高さ方向に整列している第1のコネクタと、
請求項1乃至4のうち何れか一項に記載のコネクタと、を有するコネクタ装置。
【請求項6】
請求項5に記載の第1のコネクタが実装してある第1のプリント回路基板と、
請求項1乃至4のうち何れか一項に記載のコネクタが実装してある第2のプリント回路基板と、を有し、
前記第1のプリント回路基板に実装してある前記第1のコネクタと前記第2のプリント回路基板に実装してある前記のコネクタとが接続してある、プリント回路基板組み合わせ体。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れか一項にコネクタを、ケーブルの端に有する、ケーブルコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−218119(P2009−218119A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61688(P2008−61688)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】