説明

コネクタ

【課題】コネクタに対して電気的な嵌合検知機構を構築するに当たり、コネクタの低背化と製造コストの低減とを図る。
【解決手段】雌ハウジング20に設けられたロックアーム30の変位空間35には、雄ハウジング10に雌ハウジング20に向けて進入可能に設けられた接点用端子16と接触して検知回路を閉じることにより両ハウジング10,20が正規嵌合したことを電気的に検知する検知端子40が、ロックアーム30の弾性変位方向と交差する方向の弾性変位可能に設けられる。ロックアーム30には、同ロックアーム30の弾性変位に伴い検知端子40と係合して同検知端子40を接点用端子16の進入路Lから離間する方向に弾性変位させ、ロックアーム30が復元変位した際には検知端子40との係合が外れて同検知端子40が接点用端子16の進入路Lに復元変位することを許容する作動部50が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な嵌合検知機能を備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種のコネクタとして、下記特許文献1に記載されたものが知られている。このものは、対をなすハウジングの一方に、両ハウジングを嵌合状態にロックするロックアームが弾性的な揺動可能に設けられるとともに、このロックアームの下面側に、ハウジングに固定される基板の後縁から弾性検知片を前方に折り返した形状であって、相手のハウジングに突設された接点用端子が接触可能な検知端子が装着された構造である。そして、両ハウジングはロックアームを弾性変位させつつ嵌合され、この間、検知端子の弾性検知片が、弾性変位したロックアームの下面で押されて下方に弾性撓みさせられることにより、相手の接点用端子が進入するも接触することが回避され、そののち両ハウジングが正規に嵌合されると、ロックアームが復元変位して相手のハウジングに設けられた被ロック部に係止することで嵌合状態にロックされるとともに、ロックアームが復元変位することに伴い検知端子の弾性検知片が上方に復動して進入した相手の接点用端子と接触し、検知回路が閉じられることで両ハウジングが正規嵌合したことが電気的に検知されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−117045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のものでは、検知端子が、ロックアームの下面側において、同ロックアームの変位方向と同方向に弾性変位する構造であるため、ロックアームの下面側には、ロックアームの変位空間に検知端子の変位空間を重ねて設定する必要があり、それだけハウジングの背が高くなりすなわち低背化の妨げとなる。また、検知端子は、金属板の打ち抜きから曲げを経る複雑な工程で製造する必要があり、コスト高に繋がるという問題があり、さらなる改良が切望されていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、コネクタに対して電気的な嵌合検知機構を構築するに当たり、コネクタの低背化と製造コストの低減とを図るところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のコネクタは、互いに嵌合される一対のハウジングが設けられ、一方のハウジングには、他方のハウジングとの嵌合過程では弾性変位し、前記他方のハウジングと正規嵌合した際には復元変位して前記他方のハウジングに設けられた被ロック部に係止することにより前記両ハウジングを正規嵌合状態にロックするロックアームが設けられ、このロックアームの変位空間には、前記他方のハウジングに前記一方のハウジングに向けて進入可能に設けられた接点用端子と接触して検知回路を閉じることにより前記両ハウジングが正規嵌合したことを電気的に検知する検知端子が、前記ロックアームの弾性変位方向と交差する方向の弾性変位可能に設けられるとともに、前記ロックアームには、同ロックアームの弾性変位に伴い前記検知端子と係合して同検知端子を前記接点用端子の進入路から離間する方向に弾性変位させ、前記ロックアームが復元変位した際には前記検知端子との係合が外れて同検知端子が前記接点用端子の進入路に復元変位することを許容する作動部が設けられているところに特徴を有する。
【0006】
上記構成によれば、両ハウジングはロックアームを弾性変位させつつ嵌合され、この間、検知端子は、変位したロックアームの作動部で押されて同ロックアームの変位方向とは交差する方向に弾性変位して、相手の接点用端子の進入路から逃げ、そののち両ハウジングが正規に嵌合されると、ロックアームが復元変位して相手のハウジングに設けられた被ロック部に係止することで嵌合状態にロックされるとともに、ロックアームが復元変位することに伴い検知端子が元位置に復元変位して、進入路に沿って進入した相手の接点用端子と接触し、検知回路が閉じられることで両ハウジングが正規嵌合したことが電気的に検知される。
【0007】
検知回路における可動接点を構成する検知端子が、ロックアームの変位空間内において、同ロックアームの変位方向とは交差する方向に弾性変位可能となっているから、例えば検知端子がロックアームと同じ方向に弾性変位するものと比べると、ロックアームの変位空間に加えて同じ方向に検知端子の変位空間を設ける必要がなく、端的にはロックアームの変位空間内で検知端子の変位空間を賄うことができ、それだけハウジングの背が高くなることが回避でき、すなわちハウジングの低背化を図ることができる。また、検知端子は、素材から打ち抜くだけで曲げ加工を施すことなく形成でき、検知端子自体を安価に製造でき、ひいてはコネクタの製造コストの低減に寄与することができる。
【0008】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記接点用端子は一対が間隔を開けて並んで配されているとともに、前記検知端子は、前記各接点用端子と接触可能な一対の弾性検知片の基端同士が接続部で接続された略U字形に形成され、この検知端子の前記接続部が前記ロックアームの支点部に対して固定されることにより前記両弾性接触片が弾性的な開閉可能に支持されており、前記ロックアームの両側縁には、同ロックアームの弾性変位に伴い前記検知端子の各弾性検知片とそれぞれ係合して両弾性検知片を閉じる方向に弾性変位させるカム面が設けられている。
【0009】
両ハウジングはロックアームを弾性変位させつつ嵌合され、この間、検知端子の両弾性検知片が、変位したロックアームに設けられた各カム面で押されて同ロックアームの変位方向とは交差する方向において閉じるように弾性変位して、相手の一対の接点用端子の各進入路から逃げ、そののち両ハウジングが正規に嵌合されると、ロックアームが復元変位して両ハウジングが嵌合状態にロックされるとともに、ロックアームが復元変位することに伴い検知端子の両弾性検知片が開くように復元変位し、進入路に沿って進入した相手の一対の接点用端子とそれぞれ接触し、検知回路が閉じられることで両ハウジングが正規嵌合したことが電気的に検知される。
【0010】
検知端子の両弾性検知片が、ロックアームの変位空間内において、同ロックアームの変位方向とは交差する方向において開閉するように弾性変位可能となっているから、検知端子の変位空間がロックアームの変位空間内で賄われ、それだけハウジングの低背化を図ることができる。また、検知端子は、一対の弾性検知片の基端同士を接続部で接続した略U字形に形成されているから、素材となる金属板から打ち抜きのみによって形成でき、検知端子自体ひいてはコネクタの製造コストの低減に寄与し得る。
【0011】
(2)前記ロックアームは、基端部を支点として先端側が揺動変位可能な片持ち状に形成されており、前記検知端子の前記接続部の外面に圧入部が突設されている一方、前記ロックアームの基端部に、前記検知端子の前記圧入部が圧入される取付孔が形成されている。
検知端子は、圧入部を取付孔に圧入することによって、ロックアームの変位空間内において、同ロックアームの変位方向とは交差する方向における開閉変位可能に支持される。簡単な取付構造で以て、検知端子を正規位置に配することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コネクタに対して電気的な嵌合検知機構を構築するに当たり、コネクタの低背化と製造コストの低減とを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る雄雌のコネクタの嵌合初期状態における背面図
【図2】雄雌のコネクタの嵌合前の状態における図1のII−II線で切断した縦断面図
【図3】嵌合初期の状態の同縦断面図
【図4】嵌合途中の状態の同縦断面図
【図5】正規嵌合した状態の同縦断面図
【図6】図3のVI−VI線断面図
【図7】図4のVII−VII線断面図
【図8】図5のVIII−VIII線断面図
【図9】雄雌のコネクタの嵌合前の状態におけるロックアームと検知端子の係合形態を示す斜視図
【図10】嵌合初期の状態における同斜視図
【図11】正規嵌合した状態における同斜視図
【図12】雄雌のコネクタの嵌合初期の状態におけるロックアームと検知端子の係合形態を示す拡大断面図
【図13】嵌合途中の状態における同拡大断面図
【図14】正規嵌合した状態における同拡大断面図
【図15】検知端子の斜視図
【図16】同平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図16に基づいて説明する。
本実施形態のコネクタはエアバッグ用コネクタを例示しており、図2に示すように、互いに嵌合可能な雄雌一対のコネクタM,Fを備えて構成されている。以下では、各コネクタM,Fについて、嵌合面側を前方として説明する。
【0015】
雄コネクタMは機器用コネクタであって、合成樹脂製の雄ハウジング10が機器の側壁から一体的に形成されている。雄ハウジング10は、図1にも示すように、正面視で横長の長方形をなすフード状に形成されており、同雄ハウジング10の奥壁11A、詳細には横幅方向の中央の上部位置を除いた残りの全領域から、複数本のタブ状をなす雄端子12が縦横に整列して突出されている。
【0016】
雌コネクタFは、ワイヤハーネスの端末に接続されるハーネス用コネクタであって、合成樹脂製の雌ハウジング20を有している。この雌ハウジング20はブロック状をなし、ほぼ前半部分が上記した雄ハウジング10内に嵌合可能となっている。雌ハウジング20内には、雌端子25を収容する複数のキャビティ21が、上記した雄コネクタMに装着された雄端子12と整合した配列で形成されている。
【0017】
雌端子25は、雄端子12が挿入接続される角筒部26を有し、後部側に設けられたバレル27が電線wの端末にかしめ圧着されて固定されている。このように電線wの端末に接続された雌端子25が、雌ハウジング20の対応するキャビティ21に後方から挿入され、キャビティ21の前壁22に当たる等の正規位置まで挿入されると、キャビティ21の底面に設けられたランス24が弾性的に係止して抜け止めされるようになっている。なお雌端子25は、図示しないリテーナにより二重係止されてキャビティ21内に収容される。キャビティ21の前壁22には、相手の雄端子12が進入可能な端子挿入口23が開口されている。
【0018】
雄コネクタMと雌コネクタFとの間には、両コネクタM,Fを正規嵌合状態にロックするロック機構が備えられている。雌ハウジング20の上面における幅方向の中央部には、ロックアーム30が設けられている。ロックアーム30は、図2に示すように、雌ハウジング20の前縁に隆起して設けられた支点部31の上面から、後方に片持ち状に延出した形態で形成され、支点部31を中心として操作部32の設けられた延出端側が上下方向に弾性変位となっており、したがってロックアーム30の下面と雌ハウジング20の上面との間に、ロックアーム30の弾性変位を許容する変位空間35が確保されている。ロックアーム30の上面における長さ方向の略中央部には、ロック部33が突出形成されている。ロック部33は、後面側が切り立った係止面34A、前面側が円弧状のガイド面34Bとされている。
【0019】
一方、雄ハウジング10の上壁11B、より詳細には、上壁11Bの前縁下面における幅方向の中央部には、上記したロックアーム30に設けられたロック部33に係止する被ロック部13が形成されている。被ロック部13は、後面側が切り立った係止面14A、前面側が傾斜したガイド面14Bとされている。
【0020】
雌ハウジング20が雄ハウジング10内に嵌合されると、ロックアーム30のロック部33が被ロック部13に当たり(図3参照)、さらに押し込まれると、ガイド面34B,14B同士の係合を介してロック部33が被ロック部13に乗り上げて、ロックアーム30が下方に向けて弾性変位しつつ押し込まれ(図4参照)、雌ハウジング20が雄ハウジング10の奥壁11Aに当たる正規位置まで押し込まれると、ロック部33が被ロック部13を通過することでロックアーム30が上方に復元変位し、ロック部33の係止面34Aが被ロック部13の後面の係止面14Aに係止されることで、両ハウジング10,20が嵌合状態にロックされるようになっている(図5参照)。
この間に雄ハウジング10側の雄端子12が、雌ハウジング20の対応するキャビティ21の端子挿入口23から進入し、同キャビティ21内に収容された雌端子25の角筒部26内に挿入され、対応する雄端子12と雌端子25とが正規に接続されるようになっている。
【0021】
さて、雄コネクタMと雌コネクタFとの間には、両コネクタM,Fが正規嵌合したことを電気的に検知する嵌合検知機構が設けられている。
雄ハウジング10の奥壁11Aにおける横幅方向の中央の上部位置からは、タブ状をなす左右一対の接点用端子16が、所定間隔を開けて互いに平行姿勢で突設されている。より詳細には、両接点用端子16は、ロックアーム30の支点部31の上端寄りの位置に対応する高さ位置において、同ロックアーム30の幅よりも少し広い間隔を開けて突設されている。また、接点用端子16は、上記した雄端子12よりも突出長さが大きく、図2に示すように、被ロック部13の少し手前の位置まで突出している。
なお、雄コネクタMが設けられた機器側には、上記した一対の接点用端子16を固定接点とした検知回路が構成されている。
【0022】
一方の雌コネクタFには、可動接点となる検知端子40が装着されている。この検知端子40は、導電性に優れた金属板を打ち抜くことで形成されており、図15及び図16に示すように、互いに平行に配された一対の角棒状をなす弾性検知片41の基端同士が略円弧状をなす接続部42で接続された平面略U字形に形成されている。各弾性検知片41の先端には、直角に外側を向いた接触部43が形成されているとともに、接続部42の外面における長さ方向の中央部には、角形の圧入部44が突出形成されている。
検知端子40は、両弾性検知片41の先端側が弾性的に開閉可能となっている。この検知端子40は、自然状態では、両弾性検知片41の外面同士の間隔が、上記したロックアーム30の幅よりも少し大きく、また、両接触部43の外端面同士の間隔が、雄ハウジング10側の一対の接点用端子16の内面同士の間隔よりも少し大きく設定されている。
【0023】
ロックアーム30の支点部31の後面における同ロックアーム30の基端側の下面よりも所定寸法下方の高さ位置には、検知端子40の接続部42に突設された圧入部44を圧入可能な角孔からなる取付孔37が穿設されている。
検知端子40は、両弾性検知片41の先端が後方を向いた水平姿勢を取った上で、圧入部44が取付孔37に圧入されることによって取り付けられている。これにより検知端子40は、ロックアーム30の変位空間35における前側の領域において、自然状態のロックアーム30の基端側の下面より所定寸法下方の高さ位置、言い換えると相手の一対の接点用端子16の突設された高さ位置で、水平姿勢を取って配されている。詳細には、検知端子40の両弾性検知片41の先端の接触部43は、前後方向では、図2に示すように、ロックアーム30のロック部33の位置から少し後方に達する位置まで延出しており、また、左右方向では、図6に示すように、相手の接点用端子16の進入路Lに臨んでいる。このように取り付けられた検知端子40は、既述したように、両弾性検知片41の先端が弾性的に開閉変位するようになっている。
【0024】
ロックアーム30の基端部における左右の側縁には、検知端子40の両弾性検知片41を開閉作動させる作動部50が一体形成されている。この作動部50は、前後方向に長い厚板状をなし、下端部が山形に尖った楔形の断面形状をなし、下部側がロックアーム30の下面よりも下方に突出した形態で形成されている。
詳細には、ロックアーム30が自然状態にあるときには、図6に示すように、作動部50の全長が、検知端子40の弾性検知片41の基端寄りのほぼ全長に亘る領域に対応している。作動部50の尖端51は、図12に示すように、検知端子40の直上まで突出しており、かつ同尖端51は、左右方向については、各弾性検知片41の外面の直ぐ外側に位置している。各作動部50における傾斜面53Aから垂直面53Bに至る内面が、カム面52となっている。
【0025】
続いて、本実施形態の作用を説明する。
図2に示すように、雌ハウジング20におけるロックアーム30の下面側に検知端子40を取り付けたのち、同雌ハウジング20のキャビティ21に、電線wの端末に固定された雌端子25が収容されることで雌コネクタFが組み付けられる。このように組み付けられた雌コネクタFが同図の矢線に示すように、相手の雄コネクタMに対して嵌合される。
【0026】
雌ハウジング20が雄ハウジング10内に嵌合されると、図3に示すように、ロックアーム30のロック部33が、雄ハウジング10の上壁11Bに形成された被ロック部13に当たって一旦停止される。この間に、同図に示すように、雄端子12の先端が、端子挿入口23を通して雌ハウジング20の対応するキャビティ21内に進入し、同キャビティ21に収容された雌端子25の角筒部26の先端部内に臨んでいる。一対の接点用端子16は、図10に示すように、ロックアーム30の支点部31の両側を通って進出したのち、図6に示すように、それぞれの先端が、ロックアーム30に設けられた左右の作動部50における前端部の直ぐ外側の位置に進出している。
【0027】
この状態から雌ハウジング20をさらに押し込むと、図4に示すように、ロック部33が被ロック部13に乗り上げて、ロックアーム30が下方に弾性変位しつつ押し込まれる。このロックアーム30の変位に伴って作動部50が下方に移動し、図7及び図13に示すように、各作動部50の内面に形成されたカム面52が、検知端子40の各弾性検知片41の外面に当たり、詳細にはカム面52のうち傾斜面53Aが当たることで両弾性検知片41が閉じるように弾性変位し、引き続いて垂直面53Bが当たることで両弾性検知片41が閉じた状態に保持される。その結果、両弾性検知片41の接触部43が、接点用端子16の進入路Lの内側に逃げた状態となる。したがって接点用端子16がさらに進出しても、弾性検知片41の接触部43と干渉することはない。
【0028】
雌ハウジング20がさらに押し込まれ、図5に示すように、雄ハウジング10の奥壁11Aに当たる正規位置まで押し込まれると、ロック部33が被ロック部13を越えることで、ロックアーム30が上方に復元変位し、ロック部33が被ロック部13の後面に係止されることで、両ハウジング10,20が嵌合状態にロックされる。この間に雄端子12が、対応する雌端子25の角筒部26内に深く進入し、対応する雄端子12と雌端子25とが正規に接続される。
【0029】
ロックアーム30の上方への復元変位に伴い作動部50が元位置まで上方に移動し、これにより、図8及び図14に示すように、作動部50のカム面52が検知端子40の両弾性検知片41の外面の上方に逃げるために、両弾性検知片41は元位置に向けて開き変位する。この間に、一対の接点用端子16は、それぞれ両弾性検知片41の接触部43の外側の位置まで進入しているから、開き変位した各弾性検知片41の接触部43が、対応する接点用端子16の先端部の内面に弾性的に押し付けられて接触される。これにより検知回路が閉じられることになって、雄雌のハウジング10,20すなわち雄雌のコネクタM,Fが正規嵌合したことが電気的に検知される。
【0030】
この実施形態によれば、検知回路における可動接点を構成する検知端子40が、ロックアーム30の変位空間35内において、同ロックアーム30の変位方向とは交差する左右方向に開閉変位可能となっているから、例えば検知端子がロックアーム30と同じく上下方向に弾性変位するものと比べると、ロックアーム30の変位空間35に加えて同じ上下方向に検知端子の変位空間を設ける必要がなく、端的にはロックアーム30の変位空間35内で検知端子40の変位空間を賄うことができ、それだけ雌ハウジング20の背が高くなることが回避でき、すなわち雌ハウジング20の低背化を図ることができる。また、検知端子40は、一対の弾性検知片41の基端同士を接続部42で接続した略U字形に形成されているから、素材となる金属板から打ち抜きのみによって形成でき、検知端子40自体ひいては雌コネクタFの製造コストの低減に寄与し得る。
【0031】
さらに、検知端子40は、接続部42に突設した圧入部44を、ロックアーム30の支点部31に設けた取付孔37に圧入することによって、ロックアーム30の変位空間35内において、同ロックアーム30の変位方向とは交差する左右方向における開閉変位可能に支持される。すなわち、簡単な取付構造で以て、検知端子40を正規位置に配することができる。
【0032】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)検知回路の回路構成によっては、接点用端子が1本のみであって同1本の接点用端子を検知端子に接触させることで、検知回路を閉じるような構造とすることも可能である。
(2)上記実施形態では、弾性変位可能なロックアームが片持ち状に形成されている場合を例示したが、ロックアームは両持ち状であってもよい。
(3)上記実施形態では、雄コネクタが機器に直結形成された機器側コネクタである場合を例示したが、同雄コネクタは、ワイヤハーネスの端末に接続されるハーネス用コネクタであってもよい。
【符号の説明】
【0033】
M…雄コネクタ
F…雌コネクタ
10…雄ハウジング
13…被ロック部
16…接点用端子
20…雌ハウジング
30…ロックアーム
31…支点部(ロックアーム30の基端部)
33…ロック部
35…(ロックアーム30の)変位空間
37…取付孔
40…検知端子
41…弾性検知片
42…接続部
43…接触部
44…圧入部
50…作動部
52…カム面
L…進入路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに嵌合される一対のハウジングが設けられ、
一方のハウジングには、他方のハウジングとの嵌合過程では弾性変位し、前記他方のハウジングと正規嵌合した際には復元変位して前記他方のハウジングに設けられた被ロック部に係止することにより前記両ハウジングを正規嵌合状態にロックするロックアームが設けられ、
このロックアームの変位空間には、前記他方のハウジングに前記一方のハウジングに向けて進入可能に設けられた接点用端子と接触して検知回路を閉じることにより前記両ハウジングが正規嵌合したことを電気的に検知する検知端子が、前記ロックアームの弾性変位方向と交差する方向の弾性変位可能に設けられるとともに、
前記ロックアームには、同ロックアームの弾性変位に伴い前記検知端子と係合して同検知端子を前記接点用端子の進入路から離間する方向に弾性変位させ、前記ロックアームが復元変位した際には前記検知端子との係合が外れて同検知端子が前記接点用端子の進入路に復元変位することを許容する作動部が設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記接点用端子は一対が間隔を開けて並んで配されているとともに、
前記検知端子は、前記各接点用端子と接触可能な一対の弾性検知片の基端同士が接続部で接続された略U字形に形成され、この検知端子の前記接続部が前記ロックアームの支点部に対して固定されることにより前記両弾性接触片が弾性的な開閉可能に支持されており、
前記ロックアームの両側縁には、同ロックアームの弾性変位に伴い前記検知端子の各弾性検知片とそれぞれ係合して両弾性検知片を閉じる方向に弾性変位させるカム面が設けられていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ロックアームは、基端部を支点として先端側が揺動変位可能な片持ち状に形成されており、前記検知端子の前記接続部の外面に圧入部が突設されている一方、前記ロックアームの基端部に、前記検知端子の前記圧入部が圧入される取付孔が形成されていることを特徴とする請求項2記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−16389(P2013−16389A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149162(P2011−149162)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】