説明

コネクタ

【課題】フラットケーブルの導体数に関わらず嵌合保持力の向上を図ると共にフラットケーブルの半嵌合を防止することができるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、フラットケーブル2の端末が挿入されるハウジング8と、ハウジング8に収容された端子金具と、互いの間にフラットケーブル2の帯幅方向Y1を位置付けてハウジング8にロックするロック部を備えている。ロック部は、ハウジング8に保持される保持部と、フラットケーブル2の帯幅方向の端部に設けられた係止凹部6に挿入して係止する係止突起24aが設けられた係止板24と、保持板と係止板24とを連結しかつ弾性変形することで係止板24をフラットケーブル2の厚さ方向Y3に変位させる弾性連結部と、が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに係り、特に、平角状の導体と前記導体を互いの間に挟む一対の帯状の被覆部とを備えたフラットケーブルの端末が挿入されるハウジングと、前記フラットケーブルの前記導体に接続される前記ハウジングに収容された端子金具と、を備えたコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、種々の電子機器が搭載される。前記自動車は、前記電子機器にバッテリなどの電源から電力や制御装置からの制御信号などを伝えるためにワイヤハーネスを配索している。前述したワイヤハーネスは、電線と、コネクタなどを備えている。コネクタは、絶縁性の合成樹脂で形成されたハウジングと、該ハウジング内に収容されるとともに前記電線の端末に取り付けられた端子金具と、を備えている。
【0003】
前述した自動車は、ユーザなどからより多機能であることが求められている。このため、前述した自動車は、搭載される電子機器が増加する傾向である。このため、勿論、前述したワイヤハーネスの電線が増加して、該ワイヤハーネスの質量や体積が増加する傾向である。
【0004】
このため、ワイヤハーネスは、小型軽量化を図るために、前述した電線としてFFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)やFPC(フレキシブル・プリント・サーキット)などのフラットケーブルを用いることが提案されている。このフラットケーブルは、平角状の導体と、この導体を互いの間に挟む一対の絶縁シートと、を備えて、扁平な帯状に形成されている。
【0005】
そして、このフラットケーブルの端末に嵌合されるコネクタとして、例えば特許文献1に示されたものが提案されている(特許文献1)。このコネクタは、開口部に複数のコンタクト(=端子金具)が所定ピッチで並列して収容されているハウジングと、開口部を開閉するように設けられ、コンタクト上に配置されるフラットケーブルをコンタクトに押圧する加圧部材と、を備えている。
【0006】
上述したコネクタのフラットケーブルとの嵌合保持は、コンタクト及び加圧部材で行われる。しかしながら、コンタクトの数、即ちフラットケーブルの導体数が多ければ、上述したコンタクト及び加圧部材による嵌合保持で十分であるが、コンタクトの数が少ない場合、保持力が不足する、という問題があった。また、上述したコネクタでは、フラットケーブルを挿入した際に正規嵌合位置に配置されているかを検知することが難しく、加圧部材係止後に接触不良が発生する恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−100370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、フラットケーブルの導体数に関わらず嵌合保持力の向上を図ると共にフラットケーブルの半嵌合を防止することができるコネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するための請求項1記載の発明は、平角状の導体と前記導体を互いの間に挟む一対の帯状の被覆部とを備えたフラットケーブルの端末が挿入されるハウジングと、前記フラットケーブルの前記導体に接続される前記ハウジングに収容された端子金具と、を備えたコネクタにおいて、記ハウジングに取り付けられ、互いの間に前記フラットケーブルの帯幅方向を位置付けてロックする一対のロック部をさらに備え、前記一対のロック部には各々、前記ハウジングに保持される保持部と、前記フラットケーブルの厚さ方向に突出し、前記フラットケーブルの帯幅方向の端部に設けられた係止凹部又は係止凸部に係止する係止突起が設けられた係止部と、前記保持部と前記係止部とを連結しかつ弾性変形することで前記係止部を前記厚さ方向に変位させる弾性連結部と、が設けられたことを特徴とするコネクタに存する。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記ハウジングには、前記係止部の前記係止突起が設けられた面に向かって凸となり、前記弾性連結部が弾性変形していない状態で前記係止部に当接する当接部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタに存する。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記一対のロック部が各々、前記弾性連結部から前記ハウジングの外側に向かって延在した操作部をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタに存する。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記弾性連結部が、平板状に設けられ、前記弾性連結部には、前記保持部において前記フラットケーブルの挿入方向手前側の端部から前記挿入方向奥側に向けて折り曲げられた第1折曲部と、前記第1折曲部から前記挿入方向奥側に向けて延在する第1平板部と、前記第1平板部の前記挿入方向奥側の端部から前記挿入方向手前に向けて折り曲げられた第2折曲部と、前記第2折曲部から前記挿入方向手前側に向けて延在し、前記係止部に連結された第2平板部と、が設けられ、前記第1平板部の前記第1折曲部側かつ前記帯幅方向のフラットケーブル側の隅には第1切欠部が設けられ、前記第2平板部において前記第1平板部の前記第1折曲部側の端部と前記厚さ方向に対向する部分には第2切欠部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載のコネクタに存する。
【0013】
請求項5記載の発明は、前記ハウジングにおいて前記フラットケーブルの厚さ方向の少なくとも一方を覆うシールド板をさらに備え、前記一対のロック部は、前記シールド板の前記帯幅方向両端部に一体に構成されていることを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載のコネクタに存する。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、フラットケーブルがコネクタのハウジング内に進入すると、フラットケーブルにより係止部の係止突起が押されて、弾性連結部が変形し係止部が係止突起の突出方向と反対側に変位する。フラットケーブルに設けた係止凹部又は係止凸部に係止突起が位置すると、弾性連結部が復元して係止部に設けた係止突起が係止凹部又は係止凸部に係止される。従って、係止突起と係止凹部又は係止凸部との係止によりフラットケーブルの導体数に関わらず嵌合保持力を向上させることができる。しかも、フラットケーブルの係止凹部又は係止凸部と係止突起とが係止する位置、即ち正規嵌合状態に達したときに、弾性連結部が復元して突出方向と反対側に変位していた係止部が元の位置に戻るので、正規嵌合位置に達したとき手ごたえを感じるため、フラットケーブルの半嵌合を防止することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、弾性連結部が復元して係止部に設けた係止突起が係止凹部又は係止凸部に係止されると同時に係止部が当接部に当たって音がなるため、より確実に、正規嵌合位置に達したことを確認できる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、操作部を操作することで、係止部の係止突起とフラットケーブルの係止凹部又は係止凸部との位置を容易に変更することができるので、係止部の係止突起とフラットケーブルの係止凹部又は係止凸部との係止解除を容易に行うことができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、第2平板部において第1平板部の第1折曲部側の端部と厚さ方向に対向する部分には第2切欠部が設けられているので、係止部の係止突起とフラットケーブルの係止凹部又は係止凸部との係止を解除するために、係止部を係止突起の突出方向と反対側に変位させたときに第2平板部と第1平板部の挿入方向手前側の端部とが干渉することなく、係止部をより大きく変位させることができるので、確実に解除することができる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、部品点数の増加を防止できるので、コストの高騰を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のコネクタの斜視図である。
【図2】図1に示されたコネクタにフラットケーブルを嵌合した状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示されたコネクタを分解して示す斜視図である。
【図4】図2に示すフラットケーブルの斜視図である。
【図5】図2のI−I線断面図である。
【図6】図2のII−II線断面図である。
【図7】(A)及び(B)はそれぞれ図3に示す下側シールドシェルの天面図及び正面図である。
【図8】(A)は図7のIII−III線断面図であり、(B)は図7のIV−IV線断面図である。
【図9】(A)及び(B)は図7(A)及び(B)に示す下側シールドシェルを構成するロック部の部分拡大図である。
【図10】(A)は図8(B)のV−V線断面図であり、(B)は図8(B)のVI−VI線断面図である。
【図11】(A)は図3に示す下側シールドシェルを構成するロック部の部分拡大図であり、(B)は(A)のA矢印図である。
【図12】(A)〜(B)は図1に示すコネクタのハウジング内にフラットケーブルを挿入する様子を説明するための説明図である。
【図13】(A)は図12(A)のVII−VII線断面図であり、(B)は図12(B)のVIII−VIII線断面図であり、(C)は図12(C)のIX−IX線断面図である。
【図14】他の実施形態におけるフラットケーブルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のコネクタについて図1〜図11を参照して説明する。図1などに示すコネクタ1は、図4に示すフラットケーブル2の端部が挿入され、その端部に嵌合する。フラットケーブル2は、図4などに示すように、互いに間隔を空けて平行な複数の平角状の導体3と、これら複数の導体3を挟む被覆部としての一対の帯状の絶縁シート4、5と、を備えて扁平な帯状に形成されている。
【0021】
一対の絶縁シート4、5は、絶縁性の合成樹脂からなり薄い帯状に形成されて柔軟性を有している。絶縁シート4、5は、図4に示すように、互いの間に導体3を挟んで被覆している。この絶縁シート4、5は、複数の導体3を電気的に絶縁している。
【0022】
このフラットケーブル2の端部においては、一対の絶縁シート4、5の一方である絶縁シート4が除去されている。これにより、図4に示すように、フラットケーブル2端末の導体3が露出される。また、上記絶縁シート5には、フラットケーブル2の帯幅方向Y1に対向する一対の端面にそれぞれ係止凹部6が設けられている。この係止凹部6は、略矩形状に設けられ、導体3の露出部を挟むように設けられている。
【0023】
上記コネクタ1は、図示しない基板上に搭載され、フラットケーブル2を基板上の配線と接続する。コネクタ1は、図3などに示すように、複数の端子金具7と、これら複数の端子金具7を収容すると共にフラットケーブル2の端部が挿入される絶縁性のハウジング8と、このハウジング8を覆う金属で構成された上側シールドシェル9及び下側シールドシェル10と、を備えている。
【0024】
上記端子金具7は、棒状の金属で略L字状に構成されている。端子金具7は、図3及び図5に示すように、ハウジング8に設けた図示しない収容溝に収容される保持部11と、保持部11の一端から斜めに下垂して設けられた導体3と接触する接触部12と、保持部11の他端から略垂直に下垂して設けられた接続部13と、から構成されている。
【0025】
上記接続部13は、ハウジング8においてフラットケーブル2の挿入方向Y2奥側から外部に突出して設けられ、図示しない基板上に接続される。フラットケーブル2の端部をハウジング8内に挿入すると、図5に示すように、露出された導体3とハウジング8内に保持された端子金具7の接触部12とが接触し、導体3と端子金具7とが接続される。
【0026】
ハウジング8は、図3に示すように、絶縁性の合成樹脂で構成されており、帯幅方向Y1に長い天井壁14と、天井壁14の帯幅方向Y1両端から下垂して設けられた一対の側壁15と、天井壁14とフラットケーブル2の厚さ方向Y3に対向する底壁16と、天井壁14と底壁16とを連結する図示しない連結壁と、を備えている。
【0027】
上記ハウジング8の天井壁14の内面には、上述した端子金具7の保持部11の一部を収容して保持する図示しない複数の収容溝がフラットケーブル2の挿入方向Y2に延在して設けられているとともに、帯幅方向Y1に並んで設けられている。また、図3及び図5に示すように、天井壁14には、互いの間に端子金具7を位置付ける挿入方向Y2に沿ったリブ17が帯幅方向Y1に複数並べて設けられている。このリブ17によって、複数の端子金具7が互いに絶縁された状態で、帯幅方向Y1に並べて配置されている。
【0028】
一対の側壁15は、互いの間にフラットケーブル2の帯幅方向Y1を位置付ける。上記底壁16は、天井壁14よりも帯幅方向Y1が短く設けられていて、底壁16の帯幅方向Y1両端と側壁15とは離間して設けられている。この底壁16と天井壁14との間には、フラットケーブル2の厚さ方向Y3が位置付けられている。
【0029】
上記図示しない連結壁は、天井壁14及び底壁16の挿入方向Y2の奥側の端部間を連結している。この連結壁には、上記端子金具7の接続部13をハウジング8外に突出させるための穴が複数設けられている。
【0030】
上記上側シールドシェル9は、板金に折り曲げ加工などが施されることで得られる。即ち、上側シールドシェル9は、金属で構成されている。上側シールドシェル9は、図3などに示すように、ハウジング8の天井壁14の外面に重ねられる天井板18と、天井板18から下垂して設けられたハウジング8に取り付けるための取付板19と、天井板18から下垂して設けられた2つのアース回路接続板20と、を一体に備えている。
【0031】
上記取付板19は、図3に示すように、天井板18の帯幅方向Y1両端部において、挿入方向Y2両端から下垂されている。この取付板19には、係止孔19aが設けられている。ハウジング8の側壁15に設けられた係止凸部15aをこの係止孔19aに挿入すると互いに係止して、上側シールドシェル9がハウジング8に取り付けられる。
【0032】
上記アース回路接続板20は、図3などに示すように、天井板18の帯幅方向Y1の両端から基板に向かって即ち上側シールドシェル9の外側に向かって延在している。このアース回路接続板20は、上記基板のアース回路と接続した導体パターンなどに半田などを用いたろう付けによって取り付けられる。また、上記アース回路接続板20には、係止凸部20aが設けられている。ハウジング8の側壁15に設けられた係止凹部15bにこの係止凸部20aが挿入すると互いに係止して、上側シールドシェル9がハウジング8に取り付けられる。
【0033】
上記下側シールドシェル10は、板金に折り曲げ加工などが施されることで得られる。即ち、下側シールドシェル10は、金属で構成されている。下側シールドシェル10は、図3及び図7などに示すように、ハウジング8の底壁16の内面に重ねられるシールド板としての底板21と、底板21の帯幅方向Y1両端に設けられ、フラットケーブル2をロックするための一対のロック部22と、を備えている。
【0034】
上記一対のロック部22は、それぞれ下側シールドシェル10を構成していることで、ハウジング8とは別体に構成している。一対のロック部22は各々、図9及び図11などに示すように、ハウジング8に保持され、ハウジング8に対して動かない保持部としての保持部23と、フラットケーブル2に設けられた係止凹部6に挿入して係止する係止突起24aが設けられた係止部としての係止板24と、保持部23と係止板24とを連結しかつ弾性変形することで係止板24をフラットケーブル2の厚さ方向Y3に変位させる弾性連結部としての弾性連結板25と、弾性連結板25からハウジング8の外側に向かって延在した操作部26と、を備えている。
【0035】
上記保持部23は、図6、図9及び図11などに示すように、底板21の帯幅方向Y1両端から斜めに下垂して折り曲げられ、さらにハウジング8の側壁15の下面に沿って保持されるように折り曲げて形成された第1保持板部23aと、第1保持板部23aの帯幅方向Y1端部から垂直に折り曲げて形成され、ハウジング8の側壁15の外面に沿って保持された第2保持板部23bと、第2保持板部23bの端部から内側に折り曲げられて形成され、ハウジング8の天井壁14の外面に沿って保持された第3保持板部23cと、を備えている。
【0036】
上記係止板24は、図6、図9及び図11などに示すように、弾性連結板25の後述する第2平板部25dから帯幅方向Y1のフラットケーブル2側に突出するように設けられている。係止板24は、図6に示すように、第2平板部25dの帯幅方向Y1のフラットケーブル2側を第1保持板部23aに向けて下垂するように折り曲げ、さらに第1保持板部23aと平行になるように折り曲げられている。この係止板24の帯幅方向Y1のフラットケーブル2側の端部には挿入方向Y2に沿った係止突起24aが設けられている。
【0037】
係止突起24aは、図11(A)に示すように、係止板24から厚さ方向Y3の絶縁シート4側(即ち上側)に向かって凸に設けられている。そして、係止突起24aは、挿入方向Y2奥側に向かうに従って高くなるテーパが設けられている。
【0038】
また、図6に示すように、ハウジング8の天井壁14には、係止板24の係止突起24aが設けられた面に向かって凸となり、後述する弾性連結板25が弾性変形していない状態で係止板24に当接する当接部27が設けられている。
【0039】
また、図9及び図11に示すように、底板21及び第1保持板部23aには、係止板24と厚さ方向Y3に対向する部分に貫通孔28が設けられている。上記係止突起24aは、弾性連結板25が弾性変形していない状態で、この貫通孔28から底板21よりも上側に突出している。
【0040】
上記弾性連結板25は、図8及び図11などに示すように、第1保持板部23aにおいてフラットケーブル2の挿入方向Y2手前側の端部から挿入方向Y2奥側に向けて折り曲げられた第1折曲部25aと、第1折曲部25aから挿入方向Y2奥側に向けて延在する第1平板部25bと、第1平板部25bの挿入方向Y2奥側の端部から挿入方向Y2手前に向けて折り曲げられた第2折曲部25cと、第2折曲部25cから挿入方向Y2手前側に向けて延在し、係止板24に連結された第2平板部25dと、が設けられている。
【0041】
図10(A)に示すように、上記第1平板部25bの第1折曲部25a側かつ帯幅方向Y1のフラットケーブル2側の隅には第1切欠部25b1が設けられている。また、図9及び図10(B)に示すように、第2平板部25dにおいて図9中の点線で囲んだ第1平板部25bの第1折曲部25a側の端部と厚さ方向Y3に対向する部分には第2切欠部25d1が設けられている。
【0042】
次に、上述したコネクタ1の組み立て手順について説明する。まず、インサート成形などにより端子金具7をハウジング8に保持させる。次に、ハウジング8に下側シールドシェル10を取り付ける。このとき、下側シールドシェル10をハウジング8の挿入方向Y2手前側に位置付ける。そして、下側シールドシェル10を挿入方向Y2奥側に動かしてハウジング8に近づけて取り付ける。次に、ハウジング8に上側シールドシェル9を取り付ける。このとき、上側シールドシェル9をハウジング8の天井壁14側に位置付けて天井壁14に向かって動かしてハウジング8に近づけて取り付ける。
【0043】
次に、上述したコネクタ1に対するフラットケーブル2の取付手順を図12及び図13を参照して説明する。同図に示すように、フラットケーブル2の端部をコネクタ1に挿入する。図13(A)に示すように、フラットケーブル2は、下側シールドシェル10の底板21に沿って進入する。
【0044】
さらにフラットケーブル2を進入させると図13(B)に示すように、フラットケーブル2の端面が下側シールドシェル10の底板21に設けた貫通孔28から突出する係止突起24aに当接して、弾性連結板25を弾性変形させて係止板24を押し下げる。さらにフラットケーブル2を進入させ、フラットケーブル2に設けた係止凹部6が係止突起24aに達すると、図13(C)に示すように、弾性連結板25が復元して、係止板24が元の位置に戻り、係止突起24aと係止する。復元したとき、図6に示すように、係止板24がハウジング8に設けた当接部27に当接して音が出る。
【0045】
係止を解除させたいときは逆に操作部26を下側に押して係止突起24aを下側に変位させる。この状態でフラットケーブル2を挿入方向Y2手前側に引っ張ると、フラットケーブル2がハウジング8から抜ける。
【0046】
上述した実施形態によれば、コネクタ1は、ハウジング8に取り付けられ、互いの間にフラットケーブル2の帯幅方向Y1を位置付けてロックする一対のロック部22を備えている。この一対のロック部22には各々、ハウジング8に保持される保持部23と、フラットケーブル2に設けられた係止凹部6に挿入して係止する係止突起24aが設けられた係止板24と、保持部23と係止板24とを連結しかつ弾性変形することで係止板24をフラットケーブル2の厚さ方向Y3に変位させる弾性連結板25と、が設けらている。これにより、上述したように、係止突起24aと係止凹部6との係止によりフラットケーブル2の導体3の数に関わらず嵌合保持力を向上させることができる。しかも、フラットケーブル2の係止凹部6に係止突起24aを挿入させる位置、即ち正規嵌合状態に達したときに、弾性連結板25が復元して下側に変位していた係止板24が元の位置に戻るので、正規嵌合位置に達したとき手ごたえを感じるため、フラットケーブル2の半嵌合を防止することができる。
【0047】
また、上述した実施形態によれば、ハウジング8には、係止板24の係止突起24aが設けらた面に向かって凸となり、弾性連結板25が弾性変形していない状態で係止板24に当接する当接部27が設けられている。これにより、弾性連結板25が復元して係止板24に設けた係止突起24aが係止凹部6に挿入されると同時に係止板24が当接部27に当たって音がなるため、より確実に、正規嵌合位置に達したことを確認できる。
【0048】
また、上述した実施形態によれば、一対のロック部22が各々、弾性連結板25からハウジング8の外側に向かって延在した操作部26を備えている。これにより、操作部26を操作することで、係止板24の係止突起24aとフラットケーブル2の係止凹部6との位置を容易に変更することができるので、係止板24の係止突起24aとフラットケーブル2の係止凹部6との係止解除を容易に行うことができる。
【0049】
また、上述した実施形態によれば、弾性連結板25において第1平板部25bの第1折曲部25a側かつ帯幅方向Y1のフラットケーブル2側の隅には第1切欠部25b1が設けられ、第2平板部25dにおいて第1平板部25bの第1折曲部25a側の端部と厚さ方向Y3に対応する部分には第2切欠部25d1が設けられている。これら第1切欠部25d1及び第2切欠部25d2が設けられていない場合、ハウジング8の厚さ方向Y3が非常に薄い場合、図8(B)中に示す距離Lを十分に取れずに、係止板24を十分に変位できず、係止解除できない恐れがある。
【0050】
しかしながら、第1切欠部25d1及び第2切欠部25d2を設けることにより、係止板24の係止突起24aとフラットケーブル2の係止凹部6との係止を解除するために、係止板24を係止突起24aの突出方向(即ち下側)に変位させたときに第2平板部25dと第1平板部25bの第1折曲部25a側とが干渉することなく、係止板24をより大きく変位させることができるので、確実に解除することができる。また、干渉を防止しようとしても第2折曲部25cの幅を十分な大きさにすることができ、応力分布を適正化することができる。
【0051】
また、上述した実施形態によれば、一対のロック部22は、下側シールドシェル10の底板21の帯幅方向Y1両端部に一体に構成されている。これにより、ロック部22と下側シールドシェル10とを別々に設ける必要はなく、部品点数の増加を防止できるので、コストの高騰を防止できる。
【0052】
なお、上述した実施形態によれば、絶縁シール4、5に係止凹部6を設けていたいが本発明はこれに限ったものではない。例えば、板状の部材の上にフラットケーブル2の端末を重ねて、その板状の部材に係止凹部6を設けても良い。
【0053】
また、上述した実施形態によれば、一対のロック部22は下側シールドシェル10に設けることにより一体に設けていたが、本発明はこれに限ったものではない。下側シールドシェル10の底板21に連結して設けずに、一対のロック部22を互いに別体に設けても良い。また、一対のロック部22を上側シールドシェル9に一体に設けても良いし、上側シールドシェル9及び下側シールドシェル10の両者に一体に設けてもよい。
【0054】
なお、上述した実施形態によれば、フラットケーブル2の帯幅方向Y1に対向する一対の端面にはそれぞれ係止凹部6が設けられていたが、本発明はこれに限ったものではない。係止凹部6の代わり図14に示すように係止凸部29を設けて、係止突起24aと係止させるようにしてもよい。
【0055】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 コネクタ
2 フラットケーブル
3 導体
4 絶縁シート(被覆部)
5 絶縁シート(被覆部)
7 端子金具
8 ハウジング
21 底板(シールド板)
22 ロック部
23 保持部
24 係止板
24a 係止突起
25 弾性連結板
25a 第1折曲部
25b 第1平板部
25b1 第1切欠部
25c 第2折曲部
25d 第2平板部
25d1 第2切欠部
26 操作部
29 係止凸部
Y1 帯幅方向
Y3 厚さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平角状の導体と前記導体を互いの間に挟む一対の帯状の被覆部とを備えたフラットケーブルの端末が挿入されるハウジングと、前記フラットケーブルの前記導体に接続される前記ハウジングに収容された端子金具と、を備えたコネクタにおいて、
前記ハウジングに取り付けられ、互いの間に前記フラットケーブルの帯幅方向を位置付けてロックする一対のロック部をさらに備え、
前記一対のロック部には各々、前記ハウジングに保持される保持部と、前記フラットケーブルの厚さ方向に突出し、前記フラットケーブルの帯幅方向の端部に設けられた係止凹部又は係止凸部に係止する係止突起が設けられた係止部と、前記保持部と前記係止部とを連結しかつ弾性変形することで前記係止部を前記厚さ方向に変位させる弾性連結部と、が設けられた
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングには、前記係止部の前記係止突起が設けられた面に向かって凸となり、前記弾性連結部が弾性変形していない状態で前記係止部に当接する当接部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記一対のロック部が各々、前記弾性連結部から前記ハウジングの外側に向かって延在した操作部をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記弾性連結部が、平板状に設けられ、
前記弾性連結部には、前記保持部において前記フラットケーブルの挿入方向手前側の端部から前記挿入方向奥側に向けて折り曲げられた第1折曲部と、前記第1折曲部から前記挿入方向奥側に向けて延在する第1平板部と、前記第1平板部の前記挿入方向奥側の端部から前記挿入方向手前に向けて折り曲げられた第2折曲部と、前記第2折曲部から前記挿入方向手前側に向けて延在し、前記係止部に連結された第2平板部と、が設けられ、
前記第1平板部の前記第1折曲部側かつ前記帯幅方向のフラットケーブル側の隅には第1切欠部が設けられ、
前記第2平板部において前記第1平板部の前記第1折曲部側の端部と前記厚さ方向に対向する部分には第2切欠部が設けられている
ことを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングにおいて前記フラットケーブルの厚さ方向の少なくとも一方を覆うシールド板をさらに備え、
前記一対のロック部は、前記シールド板の前記帯幅方向両端部に一体に構成されている
ことを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−4392(P2013−4392A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136030(P2011−136030)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】