説明

コロイド材料およびそれを用いた低誘電率溶媒の有無の判定方法

【課題】 任意の低誘電率溶媒の存在有無を容易に判定するに好ましく材料設計され、再利用可能なコロイド材料、および、その判定方法を提供すること
【解決手段】 低誘電率溶媒の有無を判定するためのコロイド材料は、低誘電率溶媒に対して耐溶媒性を有し、周期的に配列された粒子と、粒子間の間隙を埋める高分子材料とを含む。粒子は、シリカ、チタニア、および、これらの複合酸化物からなる群から選択され、粒子の径は、69nm〜276nmの範囲であり、粒子の屈折率と、高分子材料の屈折率との差が、±0.02以上の範囲であり、高分子材料の屈折率は、1.4〜1.7の範囲であり、低誘電率溶媒の溶解度パラメータと、高分子材料の溶解度パラメータとの差が、±1.5未満の範囲である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低誘電率溶媒の有無を判定するコロイド材料、および、それを用いた判定方法に関する。より詳細には、本発明は、低誘電率溶媒の有無を構造色変化によって判定可能なコロイド材料、および、それを用いた判定方法に関する。なお、本明細書では、「低誘電率溶媒」とは、20以下の誘電率を有する溶媒を指す。
【背景技術】
【0002】
ホルムアルデヒド、キシレン、トルエン等の低誘電率溶媒は、「シックハウス症候群」の原因物質として社会問題になっている。このような低誘電率溶媒は、化学系の実験室、製造工場、塗装現場、新築住宅の建材等で使用されており、低誘電率溶媒を簡便に検知することが健康被害からの保護および環境汚染の防止において重要である。
【0003】
近年、これらの低誘電率溶媒を簡便に検出する技術の開発が進められている。ホルムアルデヒドを検知する検知紙が開発されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
特許文献1は、4−アミノ−4−フェニル−3−エン−2−オンと緩衝液とを含む発色液を基材に含侵させ、これを検知紙とする技術を開示している。これによれば、4−アミノ−4−フェニル−3−エン−2−オンとホルムアルデヒドとの反応によりルチジン体が生成する。ルチジン体は、特異な吸収波長を有するので、その吸光度を検出することによってホルムアルデヒドを検知することができる。
【0005】
また、コロイド結晶の周期構造が変化することによって、コロイド結晶の構造色が変化する技術がある(例えば、非特許文献1を参照。)。
【0006】
非特許文献1に記載のコロイド結晶は、周期的に配列したポリスチレン粒子を含む。これら粒子間にはシリコーンが位置する。ポリスチレン粒子は、反射光が可視光領域の波長を有するように配列されている。これにより、コロイド結晶は、例えば、緑色の構造色を示す。このようなコロイド結晶を特定の溶媒と接触させると、シリコーンは、その溶媒によって膨潤し、ポリスチレン粒子の周期を変化させる。その結果、コロイド結晶の構造色は、溶媒の接触前後で変化し得、これによって溶媒を特定することができる。
【0007】
【特許文献1】特開2003−207498号公報
【非特許文献1】不動寺 浩、材料の科学と工学、Vol.41,No.4,pp193−198,2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、検知したい対象の溶媒に応じて発色液を変化させる必要があるため、労力を要し、簡便でない。発色強度が弱く、吸光度の測定において誤差が生じ、検知の精度が低い。また、このような試験紙は、再利用できないので、ユーザにとってコストパフォーマンスが悪い。したがって、複数種類の溶媒に対応し、再利用可能な検知技術が、望ましい。
【0009】
一方、非特許文献1に記載の技術は、検知したい対象の溶媒によっては、粒子が溶媒に溶解してしまい、構造色を発しなくなる場合がある。
【0010】
図11は、従来技術によるコロイド結晶のデジタルカメラ写真Aと、電子顕微鏡写真B〜Dとを示す図である。
図11Aは、コロイド結晶にキシレンを滴下し、その後、キシレンを蒸発させたコロイド結晶のデジタルカメラ写真を示す。図11Aの領域1100は、キシレンが滴下された領域であり、構造色を示さない。図11Aの領域1110は、キシレンが滴下されなかった領域であり、コロイド結晶本来の緑色の構造色を示す。このことは、キシレンの滴下・蒸発によって、コロイド結晶の構造色が脱色したことを示している。すなわち、キシレンの滴下・蒸発によって、コロイド結晶中の粒子の周期的配列が消失しており、粒子がキシレンに溶解してしまったことが原因である。
【0011】
図11Bは、領域1110の電子顕微鏡写真(SEM像)であり、明瞭な周期配列(周期構造)を示す。図11Cは、領域1100と領域1110との境界近傍のSEM像であり、SEM像の上部から下部に向かうにしたがって粒子の周期配列が乱れ、最終的には周期配列がなくなっている様子を示す。図11Dは、領域1100のSEM像であり、周期配列は見られない。
このことからも、ポリスチレン粒子がキシレンに溶解し、コロイド結晶の周期配列を消失したことが分かる。したがって、複数種類の溶媒に対応したコロイド結晶が望ましい。
【0012】
以上より、本発明の目的は、任意の低誘電率溶媒の存在有無を容易に判定するに好ましく材料設計され、再利用可能なコロイド材料、および、その判定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による低誘電率溶媒の有無を判定するためのコロイド材料は、前記低誘電率溶媒に対して耐溶媒性を有し、周期的に配列された粒子と、前記粒子間の間隙を埋める高分子材料とを含み、前記粒子は、シリカ、チタニア、および、これらの複合酸化物からなる群から選択され、前記粒子の径は、69nm〜276nmの範囲であり、前記粒子の屈折率と、前記高分子材料の屈折率との差が、±0.02以上の範囲であり、前記高分子材料の屈折率は、1.4〜1.7の範囲であり、前記低誘電率溶媒の溶解度パラメータと、前記高分子材料の溶解度パラメータとの差が、±1.5未満の範囲であり、これにより上記目的を達成する。
【0014】
前記粒子の平均粒径に対する標準偏差の割合は、10%以下の範囲であり得る。
【0015】
前記粒子は、色素を含み得る。
【0016】
前記粒子の表面は、有機材料または無機材料で処理され得る。
【0017】
前記高分子材料は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、および、ウレタン樹脂からなる群から選択され得る。
【0018】
前記低誘電率溶媒は、ホルムアルデヒド、キシレン、トルエン、ベンゼン、および、クロロホルムからなる群から選択され得る。
【0019】
本発明による低誘電率溶媒の有無を判定する方法は、前記低誘電率溶媒に対して耐溶媒性を有し、周期的に配列された粒子と、前記粒子間の間隙を埋める高分子材料とを含むコロイド材料を、被検溶液と接触させるステップであって、前記粒子は、シリカ、チタニア、および、これらの複合酸化物からなる群から選択され、前記粒子の径は、69nm〜276nmの範囲であり、前記粒子の屈折率と、前記高分子材料の屈折率との差が、±0.02以上の範囲であり、前記高分子材料の屈折率は、1.4〜1.7の範囲であり、前記低誘電率溶媒の溶解度パラメータと、前記高分子材料の溶解度パラメータとの差が、±1.5未満の範囲である、ステップと、前記接触させたコロイド材料の構造色を検出するステップと、前記検出するステップの検出結果を用いて、低誘電率溶媒の有無を判定するステップであって、前記検出結果が構造色変化無しを示す場合、前記被検溶液は低誘電率溶媒でないと判定され、前記検出結果が構造色変化有りを示す場合、前記被検溶液は低誘電率溶媒であると判定する、ステップとを包含し、これにより上記目的を達成する。
【0020】
前記粒子の平均粒径に対する標準偏差の割合は、10%以下の範囲であり得る。
【0021】
前記粒子は、色素を含み得る。
【0022】
前記粒子の表面は、有機材料または無機材料で処理され得る。
【0023】
前記高分子材料は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、および、ウレタン樹脂からなる群から選択され得る。
【0024】
前記低誘電率溶媒は、ホルムアルデヒド、キシレン、トルエン、ベンゼン、および、クロロホルムからなる群から選択され得る。
【0025】
前記粒子は、第1の面間隔を有するように周期的に配列しており、前記検出するステップは、前記接触されたコロイド材料に光を照射するステップと、前記接触されたコロイド材料中の前記粒子で反射された反射光を受光するステップであって、前記第1の面間隔を有する前記粒子で反射された第1の反射光を受光するか、または、前記第1の面間隔から変化した第2の面間隔を有する前記粒子で反射された第2の反射光を受光する、ステップとをさらに包含し得る。
【0026】
前記判定するステップは、前記第1の反射光を受光した場合、前記構造色変化無しとなり、前記第2の反射光を受光した場合、前記構造色変化有りとなり得る。
【0027】
前記検出するステップは、光スペクトルメータ、光学顕微鏡、デジタルカメラ、CCDカメラ、または、これらの組み合わせを用い得る。
【発明の効果】
【0028】
本発明のコロイド材料によれば、シリカ、チタニア、および、これらの複合酸化物からなる群から選択された、69nm〜276nmの範囲の耐溶媒性の粒径を有する粒子が周期的に配列されているので、ブラッグ回折の反射光のピークは、可視光領域に現れる。これにより、粒子が構成するコロイド結晶の構造色を目視によって検出できる。また、粒子は、耐溶媒性であるため、低誘電率溶媒に溶解することはない。
【0029】
粒子と高分子材料との屈折率差が±0.02以上の範囲となり、かつ、高分子材料の屈折率が1.4〜1.7の範囲となるように設定されるので、目視によって(少なくとも分光光度計等の装置を用いて)、コロイド材料の構造色の発色を検出することができる。
【0030】
低誘電率溶媒と高分子材料との溶解度パラメータの差が±1.5未満となるように設定されるので、高分子材料に浸透する被検溶液によって生じる膨潤現象は、被検溶液が低誘電率溶媒の場合に顕著となる。それによって、構造色の変化として低誘電率溶媒の有無を判定することができる。
【0031】
本明細書では、用語「コロイド結晶」とは、粒子が周期的に配列された状態を指し、用語「コロイド材料」とは、周期的に配列された粒子の間隙に高分子材料が充填された状態を指すことに留意されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明によるコロイド材料の模式図である。
本発明によるコロイド材料100は、低誘電率溶媒に対して耐溶媒性を示し、周期的に配列された粒子110と、粒子間の間隙を埋める高分子材料120とを含む。コロイド材料100は、基板130上に位置していてもよい。
【0033】
粒子110は、図1の初期状態に示されるように、面間隔が第1の面間隔D1となるように周期的に配列されている。この第1の面間隔D1は、ブラッグ反射の条件を満たす光を反射する。コロイド材料100が、低誘電率溶媒と接触すると、粒子110は、図1の膨潤状態に示されるように、その面間隔を第1の面間隔D1から第2の面間隔D2(D1≠D2)まで変化させる。第2の面間隔D2もまた、ブラッグ反射条件を満たす光を反射する。低誘電率溶媒との接触による、粒子110の面間隔の変化が、構造色の変化を引き起こし、低誘電率溶媒の存在有無を示唆することができる。本明細書では、「周期的に配列される」とは、ブラッグ反射の条件を満たして粒子が配列されていることを意図することに留意されたい。
【0034】
粒子110は、耐溶媒性に優れ、熱、応力によって変形しない酸化物が望ましい。粒子110は、シリカ、チタニア、および、これらの複合酸化物からなる群から選択される。これらの材料は、低誘電率溶媒に対して耐溶媒性を示し、熱および応力によって変化しない。シリカ、および、チタニアは、それぞれ、シリカアルコキシドおよびチタンアルコキシドの加水分解によって製造され得る。これらの材料のうち、特に、シリカは、合成オパールとして工業化が実現されており、入手が容易である。これらの材料の屈折率は、1.45〜2.9の範囲である。粒子110の粒径は、69nm〜276nmの範囲である(条件A)。この範囲であれば、粒子110でブラッグ回折された反射光の波長は、可視光領域を有するので、粒子110によって構成されるコロイド結晶の構造色の発色を目視にて確認できる。
【0035】
粒子110の平均粒径に対する標準偏差の割合は、好ましくは、10%以下である。この範囲であれば、粒子110は単分散であるので、容易にコロイド結晶を形成し得るので、構造色を発し得る。
【0036】
粒子110は、その内部に色素を含んでいてもよい。粒子110は、その表面を有機材料または無機材料によって処理されていてもよい。黒色またはこれに類似するダーク色の色素を含むか、または、これらの色の表面処理が望ましい。これによって、粒子110は色づけられるので、構造色のコントラストがより明確になり、低誘電率溶媒の判定が容易になり得る。特に、黒色またはダーク色の場合、不要な光を吸収するため、構造色のコントラストがより明確になり得る。
【0037】
高分子材料120の屈折率は、1.4〜1.7の範囲である(条件B)。また、粒子110の屈折率と、高分子材料120の屈折率との差が、±0.02以上となるように粒子110および高分子材料120は選択される(条件C)。これにより、目視によって、または、任意の光学装置を用いて、コロイド材料100の構造色の発色を確認できる。好ましくは、粒子110の屈折率と、高分子材料120の屈折率との差は、±0.05以上となるように粒子110および高分子材料120は選択される。これによって、構造色の発色を確実に目視によって確認できるので、複雑な装置等を用いることなく、簡便であり得る。
【0038】
さらに、高分子材料120の溶解度パラメータと、コロイド材料100によって判定される低誘電率溶媒の溶解度パラメータとの差は、±1.5以内となるように、高分子材料120は選択される(条件D)。後述するように、コロイド材料100による低誘電率溶媒の有無の判定では、高分子材料120の膨潤現象を利用する。上記条件Dを満たすことにより、膨潤現象が顕著となり、コロイド材料100の構造色変化として低誘電率溶媒の有無を判定することができる。
【0039】
高分子材料120は、好ましくは、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、および、ウレタン樹脂からなる群から選択される。これらの材料であれば、ホルムアルデヒド、キシレン、トルエン、ベンゼン、および、クロロホルムの低誘電率溶媒に対して上記条件B〜Dを満たし得る。当然のことながら、コロイド材料100は、粒子110および高分子材料120が劣化しない限り、再現性よく低誘電率溶媒の有無を判定するに利用可能である。
【0040】
本願発明者らによれば、低誘電率溶媒の有無を判定するに好ましいコロイド材料の条件A〜Dを創意工夫によって見出した。これらは、いずれの条件が欠如していても、本願の効果を奏することはできない。このような条件を見出したことによって、材料設計に有利であり得、ユーザの用途に応じた設計も可能である。
【0041】
なお、本発明では、入手が比較的容易とされるシリカ、チタニアおよびこれらの複合酸化物を粒子110の材料として固定した場合の、低誘電率溶媒の有無の判定に好ましいコロイド材料100の材料設計を行っている。以降では、上記条件A〜条件Dについて詳述し、本発明の原理を説明する。当業者であれば、本発明の原理を理解し、粒子110の材料を変更し、コロイド材料100を適宜設計することができる。
【0042】
(条件A)
始めに、本発明では、コロイド材料100の構造色の変化を検出することによって、低誘電率溶媒の有無を判定する。したがって、コロイド材料100が構造色を発するためには、コロイド材料100中の粒子110によって構成されるコロイド結晶がブラッグ回折条件を満たす必要がある。
図2は、チタニアおよびシリカのブラッグ回折波長の粒径依存性を示す図である。
コロイド結晶のブラッグ回折は、式(1)
λ=2n×d …(1)
に従って起こる。ここで、λは、ブラッグ回折の反射光の波長(nm)であり、nは、粒子110(図1)の屈折率であり、dは、粒子110の平均粒径(nm)である。チタニア(ルチル)およびシリカの屈折率は、それぞれ、2.9および1.45であり、これらを式(1)に代入すると、図2に示すようなプロファイルが得られる。
【0043】
反射光の波長が可視光領域(400nm〜800nm)であれば、目視にて、粒子110からなるコロイド結晶の構造色の発色を確認できる。したがって、反射光が上記可視光領域となるようにするには、粒子110は、図2のドットで示す領域を満たす必要がある。より具体的には、粒子110の粒径は、69nm〜276nmの範囲であれば、コロイド結晶の構造色を目視にて確認できる。このようにして、上記条件Aが導かれる。
【0044】
(条件BおよびC)
次に、粒子110と高分子材料120(図1)との屈折率によっては、コロイド結晶、すなわち、コロイド材料100全体としての構造色が発色しない場合がある。このようなことを避けるために、粒子110と高分子材料120とを選択するための条件BおよびCを求める。
【0045】
図3は、屈折率の粒子材料の組成依存性を示す図である。
本発明では、屈折率1.4〜1.7の範囲を有する高分子材料120を適用する(条件B)。これにより、例えば、低屈折率高分子材料として知られるフッ素を有する高分子材料(屈折率n≒1.4)から高屈折率高分子材料として知られる硫黄基や芳香環を有する高分子材料(屈折率n≒1.7)にわたって広範囲の材料を用いた設計が可能となる。
【0046】
一方、シリカ、チタニアおよびこれらの複合酸化物の屈折率は、組成に応じて1.45から2.9まで変化し得る。この範囲は、条件Bの高分子材料120の屈折率の範囲を含み得る、特に、粒子110と高分子材料120との屈折率差がないか、または、小さい場合、構造色の発色が確認できないことが知られている。構造色の発色を確認するためには、粒子110と高分子材料120との屈折率差は、条件Cである、少なくとも±0.02以上必要である。好ましくは、屈折率差は、±0.05以上であり、これによって、目視によって構造色の発色を確認できる。
【0047】
以上の条件BおよびCを満たす高分子材料120の範囲は、図3のドットにて示される。
【0048】
(条件D)
次に、高分子材料120と低誘電率溶媒との関係を説明する。上述したように、コロイド材料100による低誘電率溶媒の有無の判定では、高分子材料120の膨潤現象を利用する。したがって、より高精度に低誘電率溶媒の有無を判定するためには、低誘電率溶媒に対して高分子材料120の膨潤現象が顕著に生じる必要がある。
【0049】
膨潤現象は、高分子材料120に溶媒が浸透することによって生じる。膨潤の熱力学は、フロリーの混合の自由エネルギー変化と、ヒルデブランドの溶解度パラメータとを用いた次式(2)〜(4)によって表される。
ΔGm=ΔHm−TΔS …(2)
=V{(ΔE1V/V11/2−(ΔE2V/V21/22φ1φ2−TΔS…(3)
=V{δ1−δ22φ1φ2−TΔS …(4)
ここで、ΔGmは自由エネルギー変化であり、ΔHmは系のエンタルピー変化であり、Tは系の温度であり、Sは系のエントロピー変化である。ΔE1Vは、高分子材料120の蒸発エネルギー変化であり、Vは、高分子材料120および溶媒の全体積であり、V1は高分子材料120の体積であり、ΔE2Vは、溶媒の蒸発エネルギー変化であり、V2は溶媒の体積であり、φ1およびφ2は、それぞれ、高分子材料120および溶媒の体積分率である。δ1およびδ2は、それぞれ、高分子材料120および溶媒の溶解度パラメータである。
【0050】
この溶解度パラメータと、自由エネルギーとの関係を図4に示す。
図4は、自由エネルギーの高分子材料と低誘電率溶媒との溶解度パラメータ依存性を示す図である。
熱力学の分野においては、−ΔGmが大きいほどエネルギーが安定であることが知られている。すなわち、−ΔGmは、ΔHm=0のとき、もっとも大きな値をとり、膨潤現象がもっとも強くなる。式(4)から理解されるように、δ1=δ2においてΔHm=0を満たし、−ΔGmは最大となる。これが、図4のピーク(δ1−δ2=0)に相当する。
【0051】
本願発明者らは、膨潤現象による構造色の発色を確認するために、高分子材料120の溶解度パラメータと溶媒の溶解度パラメータとの関係が重要であり、その具体的な条件を創意工夫によって見出した。
高分子材料と溶媒との膨潤の程度を溶解度パラメータについて調べた結果、膨潤可能範囲のピーク幅が約3(MPa1/2)であった(例えば、Ian Manners, Macromol. Chem. Phys., 202, 1768, 2001)。このような結果を用いると、所定の低誘電率溶媒に対して図4の矢印にて示されるピーク幅を有するためには、所定の低誘電率溶媒の溶解度パラメータδ2に対して、高分子材料120の溶解度パラメータδ1が−1.5<(δ1−δ2)(MPa1/2)<+1.5を満たすように、高分子材料120を選択すればよい(条件D)。このように、高分子分野における知見を、コロイド結晶分野の構造色の発色に取り入れることは、容易に相当し得ないことを当業者なら理解する。
【0052】
以上、条件A〜Dについて説明してきたが、上述したように、いずれの条件が欠如しても本願の効果は為し得ない。
【0053】
次に、図1に示すコロイド材料を用いて、低誘電率溶媒の有無を判定するステップをそれぞれ説明する。
図5は、本発明による低誘電率溶媒の有無を判定するステップを示す図である。
【0054】
ステップS510:コロイド材料100(図1)を被検溶液と接触させる。接触は、例えば、被検溶液にコロイド材料100を浸漬させてもよいし、コロイド材料100に被検溶液を滴下してもよい。ここで、被検溶液と接触する前のコロイド材料100の構造色を検出しておくことが望ましい。
【0055】
ステップS520:コロイド材料100の構造色を検出する。なお、検出される構造色とは、コロイド材料100の色情報、面間隔、分光スペクトル等の構造色に関連する任意のデータであり得る。
【0056】
ステップS530:検出された構造色を用いて低誘電率溶媒の有無を判定する。検出された構造色が接触前の構造色と同じ場合には、構造色変化無し、とみなされる。この場合、被検溶液は低誘電率溶媒でないと判定され、低誘電率溶媒無し、とみなされる。一方、検出された構造色が接触前の構造色と異なる場合には、構造色変化有り、とみなされる。この場合、被検溶液は低誘電率溶媒であると判定され、低誘電率溶媒有り、とみなされる。
【0057】
ステップS520およびS530は、目視によって行ってもよいし、分光スペクトルメータ等の装置を用いて行ってもよい。次に、ステップS520およびS530において、装置を用いて判定する例について説明する。
【0058】
図6は、本発明による、コロイド材料を用いて、低誘電率溶媒の有無を判定する装置を示す図である。
装置600は、コロイド材料100に光を照射する光学系610と、コロイド材料100中の粒子110で反射された反射光を受光する受光手段640とを含む。
【0059】
光学系610は、光源620とファイバープローブ等の光ファイバ630とをさらに含む。光源620は、白色光を発する。光ファイバ630は、光源620からの光をコロイド材料100に入射させるように機能する。この際、好ましくは、光ファイバ630からの光は、コロイド材料100の表面に対して直角となるように入射される。これによって、検出強度が向上し得る。
【0060】
受光手段640は、例えば、反射型分光スペクトルメータ等の分光スペクトルメータ、光学顕微鏡、デジタルカメラ、CCDカメラ、または、これらの組み合わせで有り得る。受光手段640は、粒子110で反射された反射光を、光ファイバ630を介して受光する。具体的には、受光手段640は、第1の面間隔D1(図1)を有する粒子110で反射された反射光を受光するか、または、第1の面間隔D1から変化した第2の面間隔D2(図1)を有する粒子110で反射された反射光を受光するかのいずれかである。
【0061】
受光手段640が分光スペクトルメータである場合、受光された反射光をスペクトルデータとして可視化することができる。受光手段640がデジタルカメラである場合、測定範囲を画像データとして可視化することができる。
【0062】
装置600は、また、光学系610および受光手段640の動作を制御する制御部650をさらに備えてもよい。
【0063】
制御部650は、受光手段640で得られたデータ(構造色に関連するデータ)を格納する格納部660、および、格納部660に格納されたデータを用いて計算を行う算出部670を含み得る。
【0064】
格納部660は、例えば、メモリであり得る。格納部660は、得られたデータに加えて、予め、被検溶液に接触させる前のコロイド材料100の構造色に関連するデータ(例えば、スペクトルデータ、第1の面間隔D1等)を格納し得る。
【0065】
算出部670は、例えば、中央演算処理装置(CPU)であり得る。算出部670は、格納部660に格納されたデータに基づいて、被検溶液が低誘電率溶媒であるか否かを判定する。制御部650は、ディスプレイ等の表示手段をさらに有していてもよく、算出部670の判定結果を可視化してもよい。
【0066】
装置600は、コロイド材料100に対して光学系610からの光を相対的に移動させる移動手段(図示せず)をさらに備えてもよい。これによって、大面積にわたって低誘電率溶媒の有無の判定を行うことができる。この場合も、移動手段の動作は、制御部650によって制御され得る。
【0067】
このような装置600を用いたステップS520およびS530の動作を説明する。
制御部650は、光学系610が、コロイド材料100の所定の場所(すなわち、被検溶液との接触領域)に向けて光を出射するように制御する。光源620が発した光は、光ファイバ630を介してコロイド材料100に入射される。粒子110で反射した反射光は、再度、光ファイバ630を介して受光手段640によって受光される。受光手段640は、得られたデータ(構造色に関連するデータ)を格納部660に送信する(ステップS520)。
【0068】
制御部650は、算出部670が、格納部660に格納されたデータに基づいて、被検溶液が低誘電率溶媒であるか否かを判定するように制御する。ここでは、算出部670は、得られたデータと、予め格納されたデータ(例えば、被検溶液と接触する前のコロイド材料100に関するデータ)とを比較する。比較結果が一致する(すなわち、第1の面間隔D1を有する粒子110で反射された光を受光する)場合には、被検溶液は低誘電率溶媒ではないと判定し、比較結果が一致しない(すなわち、第2の面間隔D2を有する粒子110で反射された光を受光する)場合には、被検溶液は低誘電率溶媒であると判定する(ステップS530)。なお、算出部670が、ディスプレイに得られたデータと、予め格納されたデータとを同時に表示し、目視にて比較を行ってもよい。
【0069】
このように、装置600を用いれば、コントラストが小さい場合であっても、高精度かつ定量的に低誘電率溶媒の有無の判定を行うことができる。
【0070】
次に、具体的な実施例を述べるが、本発明はこれらに限定されないことに留意されたい。
【実施例1】
【0071】
粒子110(図1)としてシリカ(SiO2)粒子(シーホスターKE−W20、日本触媒)、および、高分子材料120(図1)として紫外線硬化型変性アクリルエラストマー(ワールドロックXVL−90A0、協立化学産業)を含むコロイド材料100(図1)を基板130(図1)としてSi基板上に作製した。コロイド材料は、Fudouzi, J. Colloid and Int. Sci., 275, 277−283, 2004に記載の手順によって作製された。このようにして得られたコロイド材料100において、シリカ粒子は、Si基板上に立方最密充填で(111)面配向していた。なお、変性アクリルエラストマーは、アクリル樹脂の一種であり、窒素ガス雰囲気中で波長365nmの紫外線を照射することによって、重合・硬化された。ここで、用いたシリカ粒子、変性アクリルエラストマー、および、キシレンの種々の物性を表1に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
このようにして得られたコロイド材料100を用いて、低誘電率溶媒としてキシレンの検出を行った。コロイド材料100をキシレンと接触させて、その構造色の変化を観察した。コロイド材料100のキシレンとの接触は、コロイド材料100をキシレンに浸漬させることによって行った。構造色の観察は、目視およびデジタルカメラを用い、キシレンとの接触前、キシレンとの接触直後、キシレンの蒸発後に行った。また、キシレンの蒸発後、走査型電子顕微鏡 JSM−6700F(JEOL、Japan)を用いて、コロイド材料100中の粒子110の結晶状態を確認した。観察は、加速電圧10kVであった。以上の結果を図7に示す。
【0074】
図7は、本発明のコロイド材料のキシレンによる構造色変化を示すデジタルカメラ写真と、電子顕微鏡写真とを示す図である。
図7Aは、コロイド材料100をキシレンと接触させる前(すなわち、コロイド材料100の作製直後)のデジタルカメラ写真を示す。コロイド材料100が、緑色の構造色を示すことを目視にて確認した。
図7Bは、コロイド材料100をキシレンと接触させた直後のデジタルカメラ写真を示す。コロイド材料100の構造色が、図7Aで見られた赤色から緑色に変化したことを目視にて確認した。このような構造色の変化から、コロイド材料100を用いて、低誘電率溶媒の有無を判定できることが示された。
図7Cは、コロイド材料100をキシレンと接触させ、その後、コロイド材料100内部に浸透したキシレンを蒸発させた後のデジタルカメラ写真を示す。コロイド材料100の構造色は、図7Aで見られた赤色を示すことを目視にて確認した。
図7Dは、図7Cにおけるコロイド材料100の表面の電子顕微鏡写真を示す。表面は、粒子110が規則的に配列しており、キシレンの浸透によって周期構造が破壊されていない様子を示した。
図7Eは、図7Cにおけるコロイド材料100の断面の電子顕微鏡写真を示す。断面においても、図7Dと同様に、粒子110が規則的に配列している様子を示した。
【0075】
図7C〜図7Eの結果から、本発明によるコロイド材料100は、粒子110がキシレンに溶解しないので、内部に浸透したキシレンの蒸発後も、粒子110の周期配列は維持されることが分かった。このことは、本発明によるコロイド材料100が、再現性よくキシレンの検出に用いることができることを示唆している。
【実施例2】
【0076】
図6に示すような分光システムを用いて、定量的なキシレンの検出を行った。コロイド材料100は、実施例1で作製した試料を用いた。コロイド材料100にキシレンを滴下し、目視およびデジタルカメラによる観察を行った。ついで、滴下された領域と、滴下されていない領域とにおける分光スペクトルを測定した。
【0077】
図8は、本発明によるコロイド材料のデジタルカメラ写真と分光スペクトルとを示す図である。
図8Aは、コロイド材料100にキシレン液滴を滴下した直後のデジタルカメラ写真である。領域800は、キシレンが滴下されていない領域(初期部)、領域810は、キシレンが滴下された領域(膨潤部)を示す。領域800は、図7Aで示した緑色の構造色を示し、領域810は、図7Bで示した赤色の構造色を示した。次に、領域800および810それぞれの分光スペクトルを測定した。
図8Bのスペクトル820および830は、それぞれ、領域800および810における分光スペクトルを示す。初期部におけるスペクトル820は、約520nmにピークを示し、膨潤部におけるスペクトル830は、約650nmにピークを示した。キシレンによって、高分子材料120(実施例2では変性アクリルエラストマー)が膨潤し、ブラッグ回折波長が約130nmレッドシフトしたことが分かった。
【0078】
本実施例では、目視にても明瞭に構造色の変化を検知できたが、分光システムを用いれば、目視にて検知できない構造色の変化であっても容易に検出することができ、高精度に低誘電率溶媒の有無を判定することができる。
【0079】
次いで、コロイド材料100のキシレンの検出速度について調べた。図8Bで得られた、初期部を示す波長520nm、および、膨潤部を示す波長650nmにおける検出光強度の経時変化を測定した。測定開始から25秒経過したとき、コロイド材料100にキシレンを滴下した。
図9は、コロイド材料における検出光強度の経時変化を示す図である。
波長1は、初期部を示す波長520nmの光の強度の経時変化を示し、波長2は、膨潤部を示す波長650nmの光の強度の経時変化を示す。波長1の光強度は、キシレンが滴下されるまでの間(すなわち、測定開始から25秒までの間)、所定の値を有し、キシレン滴下後、約1秒以内で0になった。その後、測定開始から75秒後(すなわち、内部に浸透したキシレンの蒸発開始後)に、緩やかに光強度が増加し始めた。一方、波長2の光強度は、キシレンが滴下されるまでの間、0であり、キシレン滴下後、数秒(約2秒)で所定の値まで増加した。その後、コロイド材料100内に浸透したキシレンの蒸発が開始する75秒まで、所定の値が維持された。75秒後、緩やかに光強度は低下し、再度0になった。
【0080】
本発明によれば、低誘電率溶媒の有無を1秒程度で判定できることが示された。このような判定速度は、従来のリトマス試験紙等実用化されている簡易型検査法に対して遜色のない短時間の判定速度である。1秒程度の短時間で判定できるため、検査時に対象溶媒に暴露される時間が秒単位と短くなり、測定者の健康に与える影響を小さくできる。
【0081】
次いで、コロイド材料100の再利用可能性について調べた。コロイド材料100にキシレンを滴下し、乾燥後、再度滴下する工程を10回以上行った。その都度、分光スペクトルを測定し、ブラッグ回折する波長のピーク位置の変化を調べた。
【0082】
図10は、ピーク位置の測定回数依存性を示す図である。
図が複雑になるのを防ぐため、3回分の測定結果のみを示す。図からわかるように、測定回数にかかわらず、乾燥(すなわち初期部)および膨潤におけるそれぞれのピーク位置に変化はなかった。このことから、本発明によるコロイド材料100は、再利用可能であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上説明してきたように、本発明によれば、任意の低誘電率溶媒の存在有無を容易に判定するに好ましく材料設計され、再利用可能なコロイド材料が提供される。本発明によるコロイド材料を用いれば、複雑な装置を用いることなく、目視にて瞬時に低誘電率溶媒の存在有無を判定できるので、有利であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明によるコロイド材料の模式図
【図2】チタニアおよびシリカのブラッグ回折波長の粒径依存性を示す図
【図3】屈折率の粒子材料の組成依存性を示す図
【図4】自由エネルギーの高分子材料と低誘電率溶媒との溶解度パラメータ依存性を示す図
【図5】本発明による低誘電率溶媒の有無を判定するステップを示す図
【図6】本発明による、コロイド材料を用いて、低誘電率溶媒の有無を判定する装置を示す図
【図7】本発明のコロイド材料のキシレンによる構造色変化を示すデジタルカメラ写真と、電子顕微鏡写真とを示す図
【図8】本発明によるコロイド材料のデジタルカメラ写真と分光スペクトルとを示す図
【図9】コロイド材料における検出光強度の経時変化を示す図
【図10】ピーク位置の測定回数依存性を示す図
【図11】従来技術によるコロイド結晶のデジタルカメラ写真Aと、電子顕微鏡写真B〜Dとを示す図
【符号の説明】
【0085】
100 コロイド材料
110 粒子
120 高分子材料
130 基板
600 装置
610 光学系
630 光ファイバ
650 制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
低誘電率溶媒の有無を判定するためのコロイド材料であって、
前記低誘電率溶媒に対して耐溶媒性を有し、周期的に配列された粒子と、
前記粒子間の間隙を埋める高分子材料と
を含み、
前記粒子は、シリカ、チタニア、および、これらの複合酸化物からなる群から選択され、
前記粒子の径は、69nm〜276nmの範囲であり、
前記粒子の屈折率と、前記高分子材料の屈折率との差が、±0.02以上の範囲であり、
前記高分子材料の屈折率は、1.4〜1.7の範囲であり、
前記低誘電率溶媒の溶解度パラメータと、前記高分子材料の溶解度パラメータとの差が、±1.5未満の範囲である、コロイド材料。
【請求項2】
前記粒子の平均粒径に対する標準偏差の割合は、10%以下の範囲である、請求項1に記載するコロイド材料。
【請求項3】
前記粒子は、色素を含む、請求項1に記載するコロイド材料。
【請求項4】
前記粒子の表面は、有機材料または無機材料で処理されている、請求項1に記載するコロイド材料。
【請求項5】
前記高分子材料は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、および、ウレタン樹脂からなる群から選択される、請求項1に記載するコロイド材料。
【請求項6】
前記低誘電率溶媒は、ホルムアルデヒド、キシレン、トルエン、ベンゼン、および、クロロホルムからなる群から選択される、請求項1に記載するコロイド材料。
【請求項7】
低誘電率溶媒の有無を判定する方法であって、
前記低誘電率溶媒に対して耐溶媒性を有し、周期的に配列された粒子と、前記粒子間の間隙を埋める高分子材料とを含むコロイド材料を、被検溶液と接触させるステップであって、前記粒子は、シリカ、チタニア、および、これらの複合酸化物からなる群から選択され、前記粒子の径は、69nm〜276nmの範囲であり、前記粒子の屈折率と、前記高分子材料の屈折率との差が、±0.02以上の範囲であり、前記高分子材料の屈折率は、1.4〜1.7の範囲であり、前記低誘電率溶媒の溶解度パラメータと、前記高分子材料の溶解度パラメータとの差が、±1.5未満の範囲である、ステップと、
前記接触させたコロイド材料の構造色を検出するステップと、
前記検出するステップの検出結果を用いて、低誘電率溶媒の有無を判定するステップであって、前記検出結果が構造色変化無しを示す場合、前記被検溶液は低誘電率溶媒でないと判定され、前記検出結果が構造色変化有りを示す場合、前記被検溶液は低誘電率溶媒であると判定する、ステップと
を包含する、方法。
【請求項8】
前記粒子の平均粒径に対する標準偏差の割合は、10%以下の範囲である、請求項7に記載する方法。
【請求項9】
前記粒子は、色素を含む、請求項7に記載する方法。
【請求項10】
前記粒子の表面は、有機材料または無機材料で処理されている、請求項7に記載する方法。
【請求項11】
前記高分子材料は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、および、ウレタン樹脂からなる群から選択される、請求項7に記載する方法。
【請求項12】
前記低誘電率溶媒は、ホルムアルデヒド、キシレン、トルエン、ベンゼン、および、クロロホルムからなる群から選択される、請求項7に記載する方法。
【請求項13】
前記粒子は、第1の面間隔を有するように周期的に配列しており、
前記検出するステップは、
前記接触されたコロイド材料に光を照射するステップと、
前記接触されたコロイド材料中の前記粒子で反射された反射光を受光するステップであって、前記第1の面間隔を有する前記粒子で反射された第1の反射光を受光するか、または、前記第1の面間隔から変化した第2の面間隔を有する前記粒子で反射された第2の反射光を受光する、ステップと
をさらに包含する、請求項7に記載する方法。
【請求項14】
前記判定するステップは、前記第1の反射光を受光した場合、前記構造色変化無しとなり、前記第2の反射光を受光した場合、前記構造色変化有りとなる、請求項13に記載する方法。
【請求項15】
前記検出するステップは、光スペクトルメータ、光学顕微鏡、デジタルカメラ、CCDカメラ、または、これらの組み合わせを用いる、請求項7に記載する方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−51944(P2007−51944A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237548(P2005−237548)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【出願人】(000162434)協立化学産業株式会社 (73)
【Fターム(参考)】