説明

コンクリート型枠の納め構造及びその施工法

【課題】型枠パネルの調整部に受け材及び調整材を取り付けてコンクリート型枠を構築することができるコンクリート型枠の納め構造及びその施工法を提供する。
【解決手段】コンクリート面を形成する表面部11、連結部12を有する型枠パネル1と、調整部に位置させる受け材2と、それに固着する調整材3と、からなり、連結部12は、長手方向へ一定間隔で孔122を備え、受け材2は、連結部12の外側に、調整材3を固定する支持部22と、連結部12に沿う取付部21とを有し、型枠パネルの孔122に対応する取付孔211が形成され、コンクリート型枠1の調整部(調整領域)において、隣接する連結部12,12に、それぞれの孔122,211を介して受け材2を取り付けると共に、隣接する支持部22,22間に型枠パネル1の表面部11と連続状になる調整材3を固着することによりコンクリート型枠を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型枠パネルの調整部に容易に受け材及び調整材を取り付けてコンクリート型枠を構築することができるコンクリート型枠の納め構造及びその施工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土木建築工事において、コンクリート型枠を構築する場合には、木製パネル、樹脂製パネル、鋼製パネル等のどのような材質のものを使用しても、標準品(標準サイズ)のみで構築するのは困難である。
即ちこの種の型枠パネル(特にシステム化された木質以外のパネル)は、異なるサイズパネルを用意したり、部分的に製作の容易な木製パネル(少なくとも合板の裏面側周縁に桟木を組み立てたパネル)を用いて構築されているが、前者にあっては数種類のパネルを作製する必要があるため部材管理の手間やコスト上昇は避けられず、後者にあって、異なる材質のパネルの連結に手間がかかるものであった。また、どのように綿密に計算しても、複数の型枠パネルを連続させることでの構築するため、誤差(連結部分に生ずる誤差)が全て調整部(納め部分)に集約し、隙間が生じたり、納まらずに木製パネルを作り直すこともあった。
【0003】
一方で廃材を削減するため、再利用が可能なFRP等の合成樹脂を型枠パネルとして用いることが採用されているが、合成樹脂等のパネルと前記木製パネルを組み立てるにはその取付方法が面倒であり、一度使用した桟木等はリサイクルが難しく、ほとんどが使い捨てという現状がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の従来の手法にて作製する木製パネルは、作製が面倒なばかりか、再利用が困難であるため、作業手間及びコストの両面で無駄が多い方法であった。また、隣接する型枠パネルとの間に隙間等が生じている場合には、コンクリート漏れを防止するシーリング加工も必要となることがあった。
【0005】
そこで、本発明は、前述のような問題を解消でき、型枠パネルの調整部に容易に受け材及び調整材を取り付けてコンクリート型枠を構築することができるコンクリート型枠の納め構造及びその施工法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、少なくともコンクリート面を形成する表面部、該表面部から裏面側へ延出する連結部を有する型枠パネルと、調整部(調整領域)に位置させる受け材と、該受け材に固着する調整材と、からなり、前記型枠パネルの連結部は、側縁に沿って連続し、長手方向へ一定間隔で孔を備え、前記受け材は、前記型枠パネルの連結部の外側に、調整材を固定する支持部と、連結部に沿う取付部とを有し、該取付部には前記型枠パネルの孔に対応する取付孔が形成され、コンクリート型枠の調整部において、隣接する型枠パネルの連結部に、それぞれの孔を介して受け材を取り付けると共に、隣接する支持部間に型枠パネルの表面部と連続状になる調整材を固着することによりコンクリート型枠を構成することを特徴とするコンクリート型枠の納め構造に関するものである。
【0007】
また、本発明は、前記コンクリートの納め構造において、型枠パネルと受け材は、型枠パネルと受け材の孔に挿入可能な突状部と、型枠パネルの連結部と受け材の取付部を挟持する挟持部とを備える連結部材を用いて連結されることを特徴とするコンクリート型枠の納め構造をも提案する。
さらに、受け材の取付部は、少なくとも連結部材が位置する箇所が型枠パネルの連結部端部と略同一厚からなることを特徴とするコンクリート型枠の納め構造をも提案する。
【0008】
さらに、本発明は、少なくともコンクリート面を形成する表面部、該表面部から裏面側へ延出する連結部を有する型枠パネル同士を並列状に連結すると共に、調整部(調整領域)における隣接する型枠パネルの連結部の外側にそれぞれ受け材を、取付孔を型枠パネルの孔に連通させて取り付ける第1の工程と、この状態で受け材の支持部間に型枠パネルの表面部と連続状になる調整材を固着することにより第2の工程と、からなることを特徴とするコンクリート型枠の納め構造の施工法も提案するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコンクリート型枠の納め構造は、調整部(調整領域)において、隣接する型枠パネルの連結部に、それぞれの孔を介して受け材を取り付け、隣接する支持部間に型枠パネルの表面部と連続状になる調整材を固着するだけで容易にコンクリート型枠を構築できるものである。
したがって、隣接する支持部間の寸法に裁断した調整材を用意して表面側からビス等にて容易に固着すればよいので、基本的にどのような寸法の納め幅にも容易に対応ずることができる。
【0010】
また、型枠パネルと受け材は、型枠パネルと受け材の孔に挿入可能な突状部と、型枠パネルの連結部と受け材の取付部を挟持する挟持部とを備える連結部材を用いて連結する場合には容易に一体化することができる。
しかも更に受け材の取付部を、少なくとも連結部材が位置する箇所が型枠パネルの連結部端部と略同一厚からなる場合には、パネル同士の連結に用いる連結部材をパネルと受け材の連結に用いることができ、調整部の受け材の取付施工も、一般部の施工(連結)と同様に行うことができ、施工手間を削減でき、部材コストも削減できる。
【0011】
さらに、本発明のコンクリート型枠の納め構造の施工法は、前述の従来技術のように木製パネルを必要とすることがなく、またコンクリート漏れも心配ないので、余計なシーリング作業等も不要であり、施工作業も容易であり、部材コストも低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)本発明のコンクリート型枠の納め構造(第1実施例)を施工する一例を示し、調整部に隣接する型枠パネルを配置した状態を示す拡大断面図、(b)型枠パネルの連結部に受け材を沿わせた状態を示す拡大断面図、(c)受け材を連結部材にて連結部に取り付けた状態を示す拡大断面図、(d)連結部の外側に調整材を固定した状態を示す拡大断面図、(e)用いた連結部材の斜視図、(f)用いた受け材の斜視図である。
【図2】(a)第1実施例における型枠パネルを連結したコンクリート型枠の一般部を示す斜視図、(b)型枠パネルの調整部を示す斜視図である。
【図3】(a)第1実施例における受け材を型枠パネルに取り付けた状態を示す斜視図、(b)調整材を固定した状態を示す斜視図である。
【図4】(a)別の態様(第2実施例)の受け材を取り付けた状態を示す断面図、(b)その側面図、(c)その斜視図、(d)別の態様(第3実施例)の受け材を取り付けた状態を示す断面図、(e)その側面図、(f)別の態様(第4実施例)の受け材を取り付けた状態を示す断面図、(g)その側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のコンクリート型枠の納め構造は、型枠パネルと、受け材と、調整材と、からなり、コンクリート型枠の調整部(調整領域)において、隣接する型枠パネルの連結部に、それぞれの孔を介して受け材を取り付けると共に、隣接する支持部間に型枠パネルの表面部と連続状になる調整材を固着することによりコンクリート型枠を構成する。
【0014】
前記型枠パネルは、少なくともコンクリート面を形成する表面部と、該表面部から裏面側へ延出する連結部とを有し、後述する図示実施例のように面板状の表面部の片面に少なくとも左右の端部に裏面側へ延出する側板状の連結部を備え、該連結部は、側縁に沿って連続するものであり、長手方向に一定間隔の孔を備える構成である。
この型枠パネルは、後述する図示実施例のように縦長に形成されることが多く、表面部も連結部も縦長に形成されることが多い。また、後述する図示実施例のように両連結部間の空間を分割するように且つ前記連結部と平行状に仕切板を設けてもよく、その仕切板も一枚に限らず複数を設けるようにしてもよい。
なお、表面部の上下の端部には、前記連結部や前記仕切板と同様に垂直状に立ち上がる上連結部及び下連結部を設けて箱状の型枠パネルとしてもよい。
【0015】
また、前記型枠パネルの連結部は、表面部から先端(裏面側端縁)まで同一厚であってもよいし、先端を厚肉に形成してもよいし、或いは表面部と略平行状に延在するフランジを有するように形成してもよい。前記先端を厚肉に形成した場合や表面部と略平行状にフランジを形成した場合には、連結部自体の強度が向上し、型枠パネル全体としての強度も向上する。
【0016】
このような構成を有する型枠パネルは、特にその材質を特定するものではなく、例えばFRP等の合成樹脂の成形品でもよいし、アルミの押出成形品でもよく、鋼板、又はプレキャストコンクリート板、或いはそれらの複合製品でもよい。
【0017】
前記受け材は、パネルに沿って連続するものでも、ピース材を一定間隔で取り付けるものでもよく、前記型枠パネルの連結部の外側に、調整材を固定する支持部と、連結部に沿う取付部とを有する。前記支持部は、ビス等にて後述する調整材が固定されるものであればよく、取付部は前記型枠パネルの連結部に沿って取り付けられるものであればよく、これらの支持部と取付部とが形成される構成であれば、特にその形状については限定するものではない。例えば後述する図示実施例(第2実施例)のように厚肉の板状としてもよいし、或いは図示実施例(第1実施例)のように略L字状の成形体としてもよい。厚肉の板状の場合には、厚み方向の端面が支持部であり、平板状面が取付部となり、略L字状の成形体の場合には、フランジ状の横片部分が支持部であり、縦片部分が取付部となる。また、前記取付部には、前記型枠パネルの孔に対応する取付孔を有する構成である。
なお、この受け材は、前記型枠パネルの連結部に取り付けられるものであるが、その取付手段は特に限定するものではなく、例えば型枠パネルの孔と取付孔とを連通させた状態でボルトナットで留め付けてもよいし、後述するフック状の連結部材で取り付けるようにしてもよい。
【0018】
前記調整材は、前記受け材の支持部に固定するものであり、具体的にはビス等にて固定する。また、この調整材は、隣接する支持部間に固定されるものであり、支持部間の寸法に応じた(裁断した)調整材を用いて固定する。この調整材としては、任意の寸法に裁断できるものであれば、特に材質を限定するものではなく、FRP等の合成樹脂板でも、木板、鋼板、又はプレキャストコンクリート板、或いはそれらの複合調整材でもよい。
【0019】
本発明の納め構造は、調整部以外の一般部については特に限定するものではないが、一般部に用いるクリップ状の連結部材を用いて前記受け材を前記型枠パネルの連結部に取り付けるようにしてもよい。この場合、一般部の施工(連結)に際して受け材を取り付けることができ、施工手間を削減することができるという利点がある。
【0020】
前述のように前記型枠パネルの連結部に、それぞれの孔を介して受け材を取り付ける連結部材としては、後述する図示実施例にて用いたような型枠パネルと受け材の孔に挿入可能な突状部と、隣接する型枠パネルの連結部と受け材の取付部を挟持する挟持部と、を有する構成が望ましい。
前記突状部は、型枠パネルと受け材の孔に側方から挿入されるものであって、前記挟持部は、型枠パネルの連結部と受け材の取付部とを挟持するものである。
このような構成を有する連結部材は、特にその材質を特定するものではなく、例えばFRP等の合成樹脂の成形品でもよいし、アルミの押出成形品でもよく、鋼材やパイプ状材を変形して成形したものでもよい。
【0021】
本発明のコンクリート型枠の納め構造の施工法は、前記構成の型枠パネル、受け材、調整材を用いるものであって、以下の第1〜第2の工程を含むものである。
第1の工程;型枠パネル同士を並列状に連結すると共に調整部における隣接する型枠パネルの連結部の外側にそれぞれの孔を介して受け材を取り付ける。
第2の工程;この状態で受け材の支持部間に型枠パネルの表面部と連続状になる調整材を固着することによりコンクリート型枠を構成する。
【0022】
まず、第1の工程では、隣り合う型枠パネルの連結部同士が対向するように型枠パネルを並列状に連結する。その際、受け材は、予め端部に配置される型枠パネルに取り付けてあってもよいし、並列状に連結した後に、端部に配置された型枠パネルに受け材を取り付けるものであってもよい。
【0023】
次に、第2の工程では、この状態で受け材の支持部間に型枠パネルの表面部と連続状になる調整材を固着する。具体的には固着以前に、調整材の幅を支持部間の寸法に裁断して用いる。これによって、コンクリート型枠が構成される。
【0024】
このように施工された本発明のコンクリート型枠の納め構造は、調整部(調整領域)において、隣接する型枠パネルの連結部に、それぞれの孔を介して受け材を取り付け、隣接する受け材(の支持部)間に型枠パネルの表面部と連続状になる調整材を固着するだけで容易にコンクリート型枠を構築できる。したがって、隣接する支持部間の寸法に裁断した調整材を用意して表面側からビス等にて容易に固着すればよいので、基本的にどのような寸法の納め幅にも容易に対応できる。
【実施例1】
【0025】
本発明のコンクリート型枠の納め構造は、図1(d)、図3(b)に示す第1実施例のように型枠パネル1と、受け材2と、調整材3と、からなり、コンクリート型枠1の調整部(調整領域)において、隣接する型枠パネル1,1の連結部12,12に、それぞれの孔122,211を介して受け材2を取り付けると共に、隣接する支持部22,22間に型枠パネル1の表面部11と連続状になる調整材3を固着することによりコンクリート型枠を構成するものである。
【0026】
図示実施例の型枠パネル1は、図2及び図3に示すように縦長の表面部11の片面に、左右の端部から裏面側へ垂直状に連結部12,12が延出し、これら連結部12,12間の空間を3分割するように二枚の仕切板13,13が連結部12,12と平行状に設けられ、各連結部12には、一定間隔の孔122が長さ方向に6箇所形成されている。なお、図示しないが、二枚の仕切り板13,13の略中央の表面部11には、セパレータ等のコンクリート型枠間の間隔を保持する部材が突出するための貫通孔が予め形成されている。
また、連結部12,12の先端121,121は、内側(仕切板13側)に向かって厚肉に形成され、仕切板13,13の先端131,131は、外側(連結部12側)に向かって厚肉に形成されている。
【0027】
図2(a)には、前記型枠パネル1を横方向に4枚並列させたコンクリート型枠の一般部の状態を示しているが、図面の表面部11の奥側がコンクリートの打設空間になる。この打設空間には、セパレータと称される間隔保持部材が配設され、その外側にはフォームタイと称されるボルト材を配した状態でコンクリートを打設するものである。
そして、前記二枚の仕切り板13,13の略中央の表面部11には、予め図示しない貫通孔が形成されているので、該貫通孔に前記フォームタイと称されるボルト材を挿通させてコンクリート型枠として用いるものである。
【0028】
この一般部における型枠パネル1,1同士を連結するのに用いられるフック状の連結部材4は、図2(a),(b)に示すように調整部において受け材2を型枠パネル1の連結部12に取り付けることにも用いられている。
この連結部材4は、図1(e)に示すように略対向状に設けられる長腕部4aと短腕部4bとそれらを繋ぐ胴部41とからなる。前記長腕部4aと短腕部4bとは、その取付完了状態において型枠パネル1の連結部12に対して略平行状に延在(延出)し、更に長腕部4aは上方へ折曲状に延在する形状であり、前記胴部41は、矩形状断面を有する四角柱状である。
前記突状部42は、前記長腕部4aの先端に内側へ突出するように設けられ、前記型枠パネル1の連結部12に設けられた孔122より僅かに小径に形成されている。
また、前記挟持部43は、対向ずる前記長腕部4aと前記短腕部4bにて形成され、それぞれの内側面、すなわち挟持面431a,431bは曲面状に形成されている。
【0029】
前記受け材2は、前記型枠パネル1の連結部12の外側に、調整材3を固定する支持部22と、連結部12に沿う取付部21とを有する構成であり、この第1実施例では図1(g)に示すように略L字状の成形体である。図示実施例では支持部22は、フランジ状の横片部分であり、取付部21は、取付孔211が形成された縦片部分である。また、取付部21の裏面側の端縁を折り返して当接支持片212を設けている。
この受け材2は、前記型枠パネル1の連結部12に取り付けられるものであり、前記型枠パネル1の孔122と取付孔211が連通するように沿わせた状態で、この第1実施例では前記構成のフック状の連結部材4で取り付ける。
【0030】
前記調整材3は、前記受け材2の支持部22に固定するものであり、具体的にはビス等にて固定する。
この調整材3は、隣接する支持部22,22間に固定するものであり、調整部において隣接する前記型枠パネル1,1の連結部12,12に前記受け材2,2を取り付けた状態で形成される隙間寸法(=支持部22,22間の寸法)に応じ、幅を調整した調整材3を用いて固定すればよい。
【0031】
続いて前記型枠パネル1、受け材2、調整材3を用いてコンクリート型枠の納め構造を施工する手順を説明する。
第1の工程として、前記構成の型枠パネル1を前記連結部材4によって図2(a)に示すように並列状に連結して一般部を施工する。具体的には、型枠パネル1,1を並列(図面では4枚)させて隣り合う型枠パネル1,1の連結部12,12の孔122,122同士が連通するように突き合わせ、この状態で前記フック状の連結部材4を臨ませ、一方の連結部12の裏面側から長腕部4aを臨ませ、その先端に設けた突状部42を孔122,122に側方から挿入(枢着)する。この時、短腕部4bは、連結部12の先端121よりも裏面側に位置しているため、前記長腕部4aの突状部42の挿通を阻害しない。このように長腕部4aの先端(突状部42)を孔122,122に枢着させた状態で孔122を支点(回動中心)として長腕部4aを回動させ、短腕部4bが他方側の連結部12の先端121を包持するように位置させる。すなわちこれらの長腕部4aと短腕部4bとで形成される挟持部43にて一方側及び他方側の連結部12,12を重合状に挟持することになる。
なお、前述のように連結部12,12を挟む挟持面431a,431bは曲面状に形成されているため、スムーズに挟持部43にて連結部12,12を挟持できる。
【0032】
この第1実施例では、調整部において隣接する型枠パネル1,1の連結部12,12の外側にそれぞれ受け材2,2を取り付ける操作も図2(b)に示すように前述の一般部に用いた連結部材4を用いて行うので、その操作も前述の施工とほぼ同様に行うことができ、極めて容易に行うことができる。
即ち型枠パネル1の連結部12の孔122と取付孔211が連通するように前記受け材2の取付部21を沿わせ、この状態で前記フック状の連結部材4を臨ませ、連結部12の裏面側から長腕部4aを臨ませ、孔122に側方から突状部42を挿入(枢着)させた状態で孔122を支点(回動中心)として長腕部4aを回動させ、短腕部4bが受け材2の取付部21の先端(当接支持片212)を包持するように位置させる。すなわちこれらの長腕部4aと短腕部4bとで形成される挟持部43にて連結部12と取付部21とを重合状に挟持することになる。
なお、この受け材2は、予め端部(調整部)に配置される型枠パネル1の連結部12に取り付けてもよい(その後に型枠パネル1,1同士を連結する)し、並列状に連結した後に、端部(調整部)に配置された型枠パネル1,1に受け材2,2を取り付けてもよい。
【0033】
次に、第2の工程では、図3(a),(b)に示すように取り付けられた受け材2,2の支持部22,22間に型枠パネル1の表面部11と連続状になる調整材3を固着する。これによって、コンクリート型枠が構成される。
詳しくは、前記第1の工程により、調整部において隣接する前記型枠パネル1,1の連結部12,12に前記受け材2,2を取り付けた状態では、使用した型枠パネル1自体の誤差やこれらの型枠パネル1,1同士の連結部分に生ずる誤差等が集約されるため、形成される隙間寸法(=支持部22,22間の寸法)は計算通りとならないことが多い。そのため、受け材2,2の支持部22,22間の寸法を実測し、その実測寸法に応じて調整材3の幅を調整(加工)し、ビス等にて固定する。
【0034】
このように施工された本発明のコンクリート型枠の納め構造は、調整部において、隣接する型枠パネル1,1の連結部12,12に、それぞれ受け材2,2を取り付け、隣接する支持部22,22間に型枠パネル1の表面部11と連続状になる調整材3を固着するだけで容易にコンクリート型枠を構築できるものである。
したがって、隣接する支持部22,22間の寸法に裁断した調整材3を用意して表面側からビス等にて容易に固着すればよいので、基本的にどのような寸法の納め幅にも容易に対応ずることができる。
【0035】
また、この第1実施例では、型枠パネル1と受け材2が、型枠パネル1と受け材2の孔122,211に挿入可能な突状部42と、型枠パネル1の連結部12と受け材2の取付部21を挟持する挟持部43とを備える連結部材4を用いて連結されるので、容易に一体化することができる。
しかも、この実施例では、受け材2の取付部21は、連結部材4が位置する箇所が型枠パネル1の連結部12端部と略同一厚からなるので、パネル1,1同士の連結に用いる連結部材4を型枠パネル1と受け材2の連結にも用いることができ、調整部の受け材2の取付施工も、一般部の施工(連結)と同様に行うことができ、施工手間を削減でき、部材コストも削減できる。
【0036】
図4(a)〜(c)に示す第2実施例では、受け材2Aとして厚肉の板状材(一定厚みの角材)を用い、型枠パネル1の連結部12にボルト4x、ナット4yにて取り付ける態様である。
この受け材2Aでは、連結部12に沿わせる取付部21aは平板状面であり、調整材3を固定する支持部22aは厚み方向の端面である。前記取付部21aには、前記型枠パネル1の孔122に対応する取付孔が形成され、該取付孔が型枠パネル1の孔122と連通するように沿わせ、容易に一体化することができる点では第1実施例と共通するが、該孔122には前述のようにボルト4xを挿通し、ナット4yにて留め付けている。
【0037】
図4(d),(e)に示す第3実施例では、受け材2Bとして厚肉の板状材(略一定厚みの角材)を用いる構成であるが、前記第1実施例と同様にフック状の連結部材4を用いて前記型枠パネル1の連結部12に取り付ける態様である。
この受け材2Bでは、連結部12に沿わせる取付部21bは略平板状面であり、調整材3を固定する支持部22bは厚み方向の端面である点では前記第2実施例と共通するが、連結部材4の回動を可能とする薄肉部分23が設けられている点で異なる。なお、連結部材4による取付は、前記第1実施例と同様であり、連結部材4が位置する箇所が型枠パネル1の連結部12端部と略同一厚からなるので、前記フック状の連結部材4を用いることができ、施工手間を削減でき、部材コストも削減できる。
【0038】
図4(f),(g)に示す第3実施例では、受け材2Cとして略L字状に成形した板状材を用いる構成であり、前記第2実施例における薄肉部分23の範囲を長さ方向に拡大した構成と見なすでき、前記第1実施例と同様にフック状の連結部材4を用いて前記型枠パネル1の連結部12に取り付ける態様である。
この受け材2Cでは、連結部12に沿わせる取付部21cは縦片部分であり、調整材3を固定する支持部22cはフランジ状の横片部分である点で前記第1実施例と共通し、連結部材4による取付も前記第1実施例と同様に行うことができ、施工手間を削減でき、部材コストも削減できる。
【符号の説明】
【0039】
1 型枠パネル
11 表面部
12 連結部
121 先端
122 孔
2 受け材
21 取付部
211 取付孔
22 支持部
3 調整材
4 連結部材
4x ボルト
4y ナット
4a 長腕部
4b 短腕部
41 胴部
42 突状部
43 挟持部
431a,431b 挟持面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともコンクリート面を形成する表面部、該表面部から裏面側へ延出する連結部を有する型枠パネルと、調整部に位置させる受け材と、該受け材に固着する調整材と、からなり、
前記型枠パネルの連結部は、側縁に沿って連続し、長手方向へ一定間隔で孔を備え、
前記受け材は、前記型枠パネルの連結部の外側に、調整材を固定する支持部と、連結部に沿う取付部とを有し、該取付部には前記型枠パネルの孔に対応する取付孔が形成され、
コンクリート型枠の調整部において、隣接する型枠パネルの連結部に、それぞれの孔を介して受け材を取り付けると共に、隣接する支持部間に型枠パネルの表面部と連続状になる調整材を固着することによりコンクリート型枠を構成することを特徴とするコンクリート型枠の納め構造。
【請求項2】
型枠パネルと受け材は、型枠パネルと受け材の孔に挿入可能な突状部と、型枠パネルの連結部と受け材の取付部を挟持する挟持部とを備える連結部材を用いて連結されることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート型枠の納め構造。
【請求項3】
受け材の取付部は、少なくとも連結部材が位置する箇所が型枠パネルの連結部端部と略同一厚からなることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート型枠の納め構造。
【請求項4】
少なくともコンクリート面を形成する表面部、該表面部から裏面側へ延出する連結部を有する型枠パネル同士を並列状に連結すると共に、調整部における隣接する型枠パネルの連結部の外側にそれぞれ受け材を、取付孔を型枠パネルの孔に連通させて取り付ける第1の工程と、この状態で受け材の支持部間に型枠パネルの表面部と連続状になる調整材を固着することにより第2の工程と、からなることを特徴とするコンクリート型枠の納め構造の施工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−225077(P2012−225077A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94697(P2011−94697)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フォームタイ
【出願人】(000253400)舩木商事有限会社 (16)
【Fターム(参考)】