説明

コンクリート型枠締付装置。

【課題】型枠組立解体作業において、型枠およびネジコーン12と通コーン13を残置した状態で前記セパレータ9を抜取ることと、前記コーンの除去作業を容易にすることと、バタ材締付軸部A型6aのナット8締め過ぎによる型枠せき板2の変形を防止することにある。
【解決手段】対向する型枠間を支持するセパレータ9を鞘管14で保護し、コンクリート打設固化後、対向する両側の型枠せき板2およびネジコーン12と通コーン13を残置した状態で前記セパレータ9を抜取ることで、型枠せき板2は固化したコンクリートから分離するため脱型が容易になる、また、ネジコーン12と通コーン13はセパレータ9が除去されていることで脱離性が良くなり除去作業が省略化する、さらに、バタ材締付部の軸体A型6aにストッパー金具16を挟着したことで型枠せき板2の変形を防止することになり、品質性、安全性、効率性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート型枠の組立てに用いるコンクリート型枠締付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物である壁体の施工時におけるコンクリートの打設に際しては、構造物の骨格として補強材となる鉄筋の配筋が完了したのち、その両側にコンクリート型枠(以下、単に型枠と言うことがある。)をそれぞれ連設し、対向するコンクリート型枠間の所要間隔を維持するようにセパレータ部材を配置するとともに、前記セパレータ部材により対向するコンクリート型枠の隔間を支持し、さらに、コンクリート型枠の背面を支持する横バタ材を配置固定する。このようにして構築されたコンクリート型枠間にコンクリートを供給する(流し込む)ことによりコンクリート構造物の施工が行われる。
【0003】
前述する横バタ材については、外径が48.6mmの丸鋼管(以下、単に単管と言うこともある。)または角鋼管等をフォームタイ(登録商標)等のバタ材締付金具の上下に横バタ材を配置し、バタ材受け座具を介してクサビを打圧することで応力の均衡を保ち安定を支持する方法が一般的に採用されている。
【0004】
この様にコンクリート型枠(せき板にバタ材を固定)が木質系である場合、例えば、特開2005−61126号公報の図2に一例を示すところ、ネジ杆あるいは単にセパレータと言う軸部が丸鋼のセパレータ部材が使用され、鉄筋の配筋を挟んで対向して配置されるコンクリート型枠のせき板にそれぞれ所要ピッチでドリルによって穿孔したセパ孔を設け、該セパ孔に、両端ネジを形成してなるセパレータに螺止固定するコーン(略円錐台形状の合成樹脂に雌ネジと雄ネジを形成した軸ネジが嵌着。)の軸ネジがそれぞれせき板から延出るように嵌挿し、隣接するコンクリート型枠を釘あるいは連結金具等により連結した後、バタ材締付金具であるフォームタイ(登録商標)等を前記ネジに螺止固定し、さらに、該フォームタイにコンクリート打設時にコンクリート型枠に作用するコンクリートの荷重を支持するバタ材を上下に配置固定し、前記フォームタイ(登録商標)等の本体である軸部をクサビ形状のテーパーピンで締付け、コンクリート型枠の構築が行われている。
【0005】
また、ネジ杆あるいは単にセパレータと言う軸部が丸鋼のセパレータ部材が使用され、鉄筋の配筋を挟んで対向して配置されるコンクリート型枠のせき板にそれぞれ所要ピッチでドリルによって穿孔したセパ孔を設けたコンクリート型枠を連設し、隣接するコンクリート型枠を釘あるいは挟着金具等により連結した後、前記セパ孔にコーンが螺止固定された前記コーンの雄ネジをセパ孔から延出るように差込み、その雄ネジにバタ材締付金具(フォームタイ(登録商標)等)を前記ネジに螺止固定し、さらに、バタ材締付金具にコンクリート打設時にコンクリート型枠に作用するコンクリートの荷重を支持する横バタ材を前記バタ材締付金具の上下に配置固定し、前記バタ材締付金具に具備するナットまたはクサビにより締付固定するコンクリート型枠の締付方法が一般的に採用されている。
この方法については、長くて重い下部横バタ材を持ち上げた状態でバタ材受け座具を嵌め込みながらクサビを差込み打圧し、押圧固定することになり、一人での作業が困難なことと、解体時に下部横バタ材の取扱いについては落下防止のため十分な注意が必要となる。(例えば、図11参照。)
【0006】
さらに、対向するコンクリート型枠せき板間を支持する軸部が丸鋼のセパレータに、該セパレータの両端部のネジ部を残すように所定の長さを有する金属製の挿着管を差込み固着してなる軸体の、前記挿着管の一方がコーンカップ(略円錐台形状の合成樹脂にセパレータが貫通する孔を形成。)の末口部に当接する当接部とし、他方の小口を円に対して両側の一部を削除することにより前記軸体の断面が略長孔形状となる掛止部を設けた該軸体と、その軸体の掛止部に嵌合する掛止部を有するバタ受け金具により、対向する両側のコンクリート型枠の一方のせき板に軸体を保護する鞘管とコーンカップが嵌挿された軸体のネジ部を、前記コンクリート型枠せき板に設けられたセパ孔に差込み、バタ受け金具を介してバタ材締付金具を螺止固定し、そして、他方のコンクリート型枠せき板に設けられたセパ孔に、バタ受け金具を掛止する掛止部を前記セパ孔に差込み、該セパ孔から延出る前記掛止部にバタ受け金具を掛止し、前記掛止部から延出るセパレータのネジにバタ材締付金具を螺止固定してなる型枠、その型枠を連設した型枠に横バタ材を配置固定することで型枠が構築される、その構築された型枠のコンクリート打設固化後の型枠解体作業において、最初に螺止固定したバタ材締付金具を解除するネジ外し作業において、セパレータの空転が防止されることでコンクリート型枠とコーンカップを残置した状態で軸体が固着されたセパレータを抜取ることで、型枠せき板の分離性が良くなるコンクリート型枠締付金具が開発されている。(例えば、特公4323563号公報参照。)
【0007】
セパレータからの透水(侵入水)を防ぐ止水栓の受口にあって、合成樹脂を略円錐台形状に形成し、内部に接続ネジを形成した軸ネジを固定するコーンが一般的に使用されている。前記コーンはセパレータ両端部の雄ネジに螺止固定され前記コーンの雄ネジを型枠せき板に設けられたセパ孔に差込み、前記セパ孔から延出る前記コーンの雄ネジにバタ材締付金具を螺止固定する方法が多用されている。
この方法では型枠解体作業において、セパレータのネジが型枠せき板のセパ孔に絡み付き型枠解体作業を困難にすることと、型枠せき板の損傷が激しくなる問題がある。
【0008】
また、別のコーンの形態にあって、雌ネジと雌ネジで形成した軸ネジを嵌着するコーンにセパレータ両端部に形成された雄ネジを前記コーンの雌ネジに螺止固定し、バタ材締付金具の雄ネジを型枠せき板のセパ孔に差込み、前記コーンの雌ネジと螺止固定する形態のコーンもあるが、この形態のコーンは対峙する返し型枠の組立作業において、相手側の型枠に固定されたセパレータに螺着するコーンの、前記コーンの雌ネジにまとを合わせて前記バタ材締付金具の雄ネジを型枠せき板のセパ孔に差込み、雌ネジと雄ネジの螺合作業に手間がかかる難点がある。
【0009】
バタ材締付金具のネジ締過ぎ防止具にあって、バタ材締付軸部である締付用ネジ杆のナットを強く締め過ぎることで型枠せき板が前記ナット側に引き込まれ、板にめり込んでしまい、型枠せき板間の距離が他の場所と異なるため、せき板が波状に変形することがある、これを補うためナット締付けによるナットの移動を、締付用ネジ杆のナットが螺合するネジ部にカシメ等の突起を形成し、ナットの移動を規定の位置で止めるバタ材締付金具が提案されている。(例えば、特許文献6参照)
【0010】
また、バタ材締付金具のネジ締過ぎ防止具にあって、バタ材締付金具のネジ締過ぎによる型枠せき板が波状に変形することを防止するため、横バタ材(外バタ材)を押圧するバタ材締付軸部である締付用ネジ杆のナットの移動を規制するため、型枠せき板と横バタ材との間隔を規定する金具、すなわち、型枠せき板と横バタ材に挟着されて縦バタ材による空間を一定に保持する略直方体のせき板変形防止用スペーサ、詳しくは、バタ材締付軸部である締付用ネジ杆の頭部先端に形成された鍔部と横バタ材に当接させて型枠せき板と横バタ材との間を適正に支持する略直方体のせき板変形防止用スペーサが提案されている。(例えば、特許文献7参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−211488号公報
【特許文献2】特開2008−255760号公報
【特許文献3】特開2009−185533号公報
【特許文献4】特開2010−24640号公報
【特許文献5】特開2005―61124号公報
【特許文献6】特開2005―61126号公報
【特許文献7】特開2005−171662号公報
【特許文献8】特公4323563号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】マルイの建設パーツ総合カタログNO.9・丸井産業株式会社発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述の諸点に鑑み、対向するコンクリート型枠間にコンクリートを流し込みコンクリート固化後の作業において、従来の工法では、セパレータの両端部に螺止固着するコーン(Pコンと言うことがある。)の軸ネジに、コンクリート型枠を介してバタ材締付金具の軸体を螺止固定し、その軸体の上下にバタ材を配置し、ボルトあるいはクサビを用いて締付固定し、コンクリート固化後にバタ材とバタ材締付金具を取外し、セパレータの両端部に接続されたコーンを残置した状態でコンクリート型枠の解体を実施する、そのため、コンクリート型枠せき板(コンパネ等。)のセパ孔にコーンの軸ネジが絡み、コンクリート型枠解体作業が困難となる。
そこで、セパレータ(9)右方先端の雄ネジ(10a)にネジコーン(12)を螺止固定し、前記螺止固定したネジコーン(12)から延出るセパレータ(9)の雄ネジ(10a)を、前記型枠(1a)のせき板(2)に設けられたセパレータ(9)が貫通するセパ孔(2a)に差込み、バタ受け金具(18)を介して前記セパレータ(9)の雄ネジ(10a)に軸体A型(6a)または軸体B型(6b)を螺止固定し、螺止固定されたセパレータ(9)に鞘管(14)を介して通コーン(13)を嵌挿し、そして、前記通コーン(13)から延出るセパレータ(9)の雄ネジ(10b)に、対峙する相手側の型枠(1b)のせき板(2)に設けられたセパ孔(2a)を合わせ嵌め込み、前記セパ孔(2a)から延出るセパレータ(9)の雄ネジ(10b)にバタ受け金具(18)を介して軸体A型(6a)または軸体B型6bを螺止固定することで型枠解体時において、対向する型枠および一対のコーンを残置した状態でセパレータ(9)を抜取るようにする。
【0014】
また、バタ材締付作業において、前記軸体A型(6a)のナット(8)締め過ぎによる型枠せき板(2)が波状に変形する、その変形を防止するためストッパー金具(16)を前記軸体A型(6a)に挟着する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
図1、図2参照によるバタ材締付金具A型(5a)またはバタ材締付金具B型(5b)を使用するコンクリート型枠締付装置にあって、丸鋼軸部の両端部に雄ネジを設けたセパレータ(9)左方端雄ネジ(10a)の先端にボックスレンチ等を掛止する一辺以上の水平部または多角形を有する掛止部(11)を設けたセパレータ(9)と、
コンクリートの躯体を貫通するセパレータ(9)の抜取り跡の孔に止水栓を嵌着するための止水栓受口を形成するネジコーン(12)および通コーン(13)と、
前記セパレータ(9)を保護するように嵌挿される所定の長さを有する鞘管(14)と、
前記セパレータ(9)のネジに螺止固定し、型枠の背部を支持する横バタ材(4)をナット(8)により締付固定する軸体A型(6a)と、
前記セパレータ(9)のネジに螺止固定し、型枠の背部を支持する横バタ材(4)をクサビ(8b)による押圧固定する軸体B型(6b)と、
前記軸体A型(6a)または軸体B型(6b)に挟着する前記ナット(8)またはクサビの移動を規制するストッパー金具(16)と、
前記セパレータ(9)に嵌挿される一対のバタ受け金具(18)等を備え、
そして、前記セパレータ(9)右方雄ネジ(10a)にネジコーン(12)を螺止固定し、その螺止固定したネジコーン(12)から延出るセパレータ(9)の雄ネジ(10a)を型枠せき板(2)に設けられたセパレータ(9)が貫通するセパ孔(2a)に差込み、バタ受け金具(18)を介して軸体A型(6a)または軸体B型(6b)を螺止固定する、この作業を繰返し複数の型枠(1a)を連設する、
そして、前記ネジコーン(12)が螺止固定されたセパレータ(9)の後退部に鞘管(14)を介して通コーン(13)を嵌挿し、前記通コーン(13)から延出るセパレータ(9)の雄ネジ(10b)と、せき板(2)に設けられたセパ孔(2a)を合わせて、前記せき板(2)を嵌め込み、前記セパ孔(2a)から延出るセパレータ(9)の雄ネジ(10b)にバタ受け金具(18)を介して軸体A型(6a)または軸体B型(6b)を螺止固定する、この作業を繰返し複数の型枠(1b)を連設する、
そして、対向する両側の型枠背面を支持する横バタ材(4)を軸体A型(6a)の上下に配置し、前記バタ材締付軸部A型(6a)に具備するナット(8)を締付け、座金(15)を介して横バタ材(4)を締付固定することで一体の型枠が構築する。
もって、セパレータ(9)右方雄ネジ(10a)にネジコーン(12)を螺止固定することでセパレータ(9)のネジ回し作業において、該セパレータ(9)の空転を防止することになり、緩和(ネジ外し)が容易になる、つまり、後から螺止固定したバタ材締付金具A型(5a)を解除し、横バタ材(4)を取外し、セパレータ(9)に設けられたスパナを掛止する掛止部(11)にスパナあるいはボックスレンチ等を掛止または嵌着し、対向する両側の型枠およびネジコーン(12)と 通コーン(13)を残置した状態でセパレータ(9)の抜取りを可能にする。
【0016】
また、 図2参照によるコンクリート型枠締付装置は、対向する両側の型枠背部を支持する横バタ材(4)を軸体B型(6b)により横バタ材(4)をクサビ(8b)により押圧固定する形態であり、前記軸体B型(6b)は、横バタ材(4)の背部にクサビ(8b)を差込むスリット状の透孔(15b)を形成してなり、もって、前記透孔(15b)にクサビ(8b)を差込み、横バタ材(4)を押圧固定することで軸体B型(6b)の上下に配置する横バタ材(4)の下の横バタ材(4)が無くても下の横バタ材(4)を載置するバタ受け金具(18)の水平部(18b)がクサビ(8b)の先端部を支持することで下の横バタ材(4)を省略することができる。
【0017】
前記ネジコーン(12)は、略楕円球を二つ切にした外観が略ヘルメット形状の塊状とし、前記二つ切にした切口面にネジ座金(12b)を嵌める略凹状の嵌着部を形成する、そして、胴体の一部分を僅か変形させ、コンクリート躯体に対して回転を阻止する形状にし、コンクリートに接する部分は全て曲面状に仕上げる、そして、円軸心にセパレータ(9)が貫通する貫通孔(12a)を形成し、前記ネジコーン(12)の切口面に形成した嵌着部に、ネジ座金(12b)を嵌着固定する。詳しくは、前記ネジコーン(12)の切口面に形成した嵌着部に、セパレータ(9)の雄ネジ(10a)が螺合するネジ座金(12b)を嵌着固定する。
もって、前記ネジ座金(12b)が固着するネジコーン(12)を螺止固定したセパレータ(9)を型枠せき板(2)のセパ孔(2a)に差込み、軸体A型(6a)を螺止固定することで前記セパレータ(9)は型枠せき板(2)に対して安定的に固定する、また、コンクリート打設固化後、前記セパレータ(9)のネジ回し作業において、該セパレータ(9)の空転を防止することになり、緩和(ネジ外し)を容易にすることとなり、対向する両側の型枠およびネジコーン(12)と通コーン(13)を残置した状態で前記セパレータ(9)を抜取ることでコンクリートと型枠の分離性が良くなり型枠解体作業の効率が良くなる。
【0018】
通コーン(13)は、前記ネジコーン(12)と同様に略楕円球を二つ切にした外観が略ヘルメット形状の塊状とし、コンクリートに接する部分は全て曲面状に仕上げる、そして、記二つ切にした切口面の円軸心にセパレータ(9)が貫通する貫通孔(13a)を形成する、もって、
コンクリートに接する部分は全て曲面状に仕上げることで、型枠解体後の通コーン(13)および前記ネジコーン(12)も同様に脱離性が良くなる。
【0019】
前記バタ材締付金具A型(5a)のバタ材(4)締付防止用のストッパー金具(16)にあって、所定の長さを有する金属板を略U字形状に屈曲形成したU型部材(17)の、該U型部材(17)の両端の縁部に突起(17a)を形成した前記U型部材(17)を軸体A型(6a)に挟着する、すなわち、軸体A型(6a)の頭部(7a)に形成された鍔(7)と横バタ材(4)を押圧する座金(15)に前記U型部材(17)の小口が当接することで軸体A型(6a)のナット(8)の移動を制限する、換言すればナット(8)の移動を規定する位置で止めることを特徴とする。
また、その前記U型部材(17)は必須のものでなく取外しを容易にするため、弾力性による挟着力を利用して脱着自在を可能にする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のコンクリート型枠締付装置にあって、対向する型枠間を支持するセパレータ(9)の右方端部にネジコーン(12)を螺止固定し、左方端部に通コーン(13)を嵌挿した、前記セパレータ(9)を塩ビ管等の鞘管(14)で保護し、コンクリート打設固化後、対向する両側の型枠およびネジコーン(12)と通コーン(13)を残置した状態で前記セパレータ(9)を抜取ることを可能にしたことで、固化後のコンクリートと型枠せき板(2)の分離性が良くなる、そのため、型枠解体作業において、前記型枠せき板(2)の損傷が少なくなり、また、型枠解体作業の効率が良くなる。
【0021】
また、軸体A型(6a)のナット(8)締め過ぎにより横バタ材(4)側に引き寄せられ、型枠せき板(2)が波状に変形することを防止するストッパー金具(16)を軸体A型(6a)の軸部に挟着することで前記軸体A型(6a)のナット(8)の移動を規定するため、型枠せき板(2)が波状に変形することを防止する。
【0022】
さらに、セパレータ(9)に螺止固定するネジコーン(12)とセパレータ(9)に嵌挿する通コーン(13)にあって、コンクリート躯体に接する部分は全て曲面状に仕上げたことと、セパレータ(9)が除去されているため、前記ネジコーン(12)および通コーン(13)の除去作業が省略的になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は本発明にかかるコンクリート型枠締付装置の構成を示した断正面図である。
【図2】図2は本発明にかかるバタ材締付軸部にクサビを使用する一例である。
【図3】図3は図1に示すネジコーンの断正面拡大図である。
【図4】図4は図3に示すネジコーンの右側面図である。
【図5】図5は図3に示すネジコーンのA−A線断面図である。
【図6】図6は図1に示す通コーンの断正面拡大図である。
【図7】図7はバタ材締付金具のネジ締過ぎによるせき板の変形状態を示す説明図である。
【図8】図8は本発明にかかるストッパー金具の使用状態を示す断平面図である。
【図9】図9は図8のB−B線断面拡大図である。
【図10】図10は図8に示すストッパー金具の平面図である。
【図11】図11は従来工法のコンクリート型枠締付装置の構成を示した断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、対向する型枠間を支持するセパレータ9にネジコーン12が螺止固定された前記セパレータ9に鞘管14および通コーン13を嵌挿した支持材と、
前記セパレータ9のネジに螺止固定し、型枠の背部を支持する横バタ材4を締付固定する軸体A型6aと、
軸体A型6aに挟着してナット8の移動を規制するストッパー金具16と、
下部の横バタ材4を載置する略L字形状のバタ受け金具18等の構成を示す断正面図である。
【0025】
図2は、図1の構成とほぼ同等であり、異なる点は図1に示す軸体A型6aによる横バタ材4をナット8で締付固定する方法に対して、図2に示す軸体B型6bにより、型枠の背部を支持する横バタ材4をクサビ8bで押圧固定する点にある。
【実施例】
【0026】
以下、図1〜図10を参照し、本発明のコンクリート型枠締付装置の実施状態について詳しく説明する。
【0027】
図1、図2に示す型枠1aは右側の型枠を示し型枠1bは左側の型枠を示し、両方とも同じ形状であり、前記型枠1aおよび型枠1bの形状はコンパネ(ラワン合板)あるいは樹脂合板等のせき板2にセパレータ9が貫通するセパ孔2aを設けた前記せき板2に桟木等の縦バタ材3を固定したパネルタイプの製品を示す。
ただし、前記載の製品に限定するものでなく、型枠および縦バタ材3または横バタ材4の材質、形状等は、多種あることを理解されたい。
また、せき板2に直接配置した縦バタ材3または横バタ材4を前記軸体A型6aまたは軸体B型6bにより締付固定することも可能である。
また、バタ材締付金具A型5aは軸体A型6aとストッパー金具16により、バタ材締付金具B型5bは軸体A型6bとストッパー金具16により構成される。
【0028】
図1または図2によるコンクリート型枠締付装置にあって、
対向する型枠間を支持するセパレータ部材、詳しくは、丸鋼軸部の両端部に雄ネジを設けたセパレータ9左方端部の雄ネジ10b先端にボックスレンチ等を掛止する一辺以上の水平部または多角形を有する掛止部11を設けたセパレータ9と、
前記セパレータの右方端部に螺止固定するネジコーン12および左方端部に挿通するコーン13および前記セパレータ9を保護するように嵌挿する所定の長さを有する鞘管14と、
前記セパレータ9の両端ネジ部に掛止される、垂直部に掛止口18aを有し下部水平部に横バタ材4を載置する略L字形状のバタ受け金具18と、
所定の長さを有す丸鋼の先端頭部7a先端に鍔7を設け、前記鍔7の円軸心にセパレータ9の雄ネジと螺合する雌ネジを形成し、その後退部に、型枠の背部に取り付く横バタ材4を押圧する座金15を介して横バタ材4を押圧するためのナット8と螺合する雄ネジを形成し、その雄ネジにナット8を螺着し、末端部はナット8の外れ防止の圧搾突起7bを形成してなる軸体A型6aと、
所定の長さを有す丸鋼の先端頭部7a先端に鍔7を設け、前記鍔7の円軸心にセパレータ9の雄ネジと螺合する雌ネジを形成し、その後退部に、型枠の背部に取り付く横バタ材4を押圧するクサビを差込む透孔15b形成し、その後部末端で前記クサビの背部を形成してなる軸体B型6bと、
前記、軸体A型6aまたは軸体B型6bの軸部に挟着し、型枠1せき板2の変形防止用のストッパー金具16等を備え、
【0029】
そして、前記セパレータ9右方先端の雄ネジ10aにネジコーン12を螺止固定し、前記螺止固定したネジコーン12から延出るセパレータ9の雄ネジ10aを型枠1aのせき板2に設けられたセパレータ9が貫通するセパ孔2aに差込み、そのセパ孔2aから延出す前期雄ネジ10aにバタ受け金具18を介して軸体A型6aを螺止固定することで前記セパレータ9は型枠せき板2に対して固定する、この作業を繰返し複数の型枠1aを連設する。
【0030】
そして、前記型枠せき板2に対して固定された前記セパレータ9に鞘管14を嵌挿し、その後部に通コーン13を嵌挿し、前記通コーン13から延出るセパレータ9の雄ネジ10bを、型枠1bのせき板2に設けられたセパレータ9が貫通するセパ孔2aに差込み、前記セパ孔2aから延出るセパレータ9の雄ネジ10bにバタ受け金具18を介して軸体A型6aを螺止固定する、この作業を繰返し複数の型枠1bを連設する。
【0031】
そして、前記連設した両側の型枠にあって、対向する両側の型枠背面を支持する横バタ材4を軸体6aの上下に配置し、前記軸体A型6aのナット8を締付け、座金15を介して横バタ材4を押圧固定することで一体の型枠が構築する。
【0032】
前記組立てが完了した型枠のコンクリート打設固化後の型枠解体作業にあって、後から螺止固定した型枠1b側のバタ材締付金具A型5aを解除し、横バタ材4を取外し、セパレータ9に設けられたスパナを掛止する掛止部11にスパナあるいはボックスレンチ等を掛止し、該セパレータ9を回して抜取る。
【0033】
すなわち、前記セパレータ9のネジ回し作業において、セパレータ9の右方端の雄ネジ10aに螺止固定されたネジ座金12bを、コンクリートに包囲されたネジコーン12がネジ座金12bの回転を阻止することで前記セパレータ9の空転を防止することになり、緩和(ネジ外し)が容易になることで、対向する両側の型枠およびネジコーン12と通コーン13を残置した状態でセパレータ9を抜取る。
もって、型枠せき板2のセパ孔2aに絡むセパレータ9の雄ネジが除去されることで、
固化後のコンクリートと型枠せき板2の分離性が良くなり型枠解体作業において、型枠の損傷が少なくなる、また、安全で効率良く作業ができる。
【0034】
図2に示す軸体B型6bは、図1に示す軸体A型6aに具備するナット8を回転させて横バタ材4を締付固定する方法を、図2に示すように軸体B型6bに設けられたスリット状の透孔15bに前記クサビ8bを差込み、打圧することで横バタ材4を押圧固定する。
もって、下の横バタ材4が無くても下の横バタ材4を載置するバタ受け金具18の水平部18bがクサビ8bの先端部を支持する、詳しくは、上の横バタ材4と前記バタ受け金具18の水平部18bによりクサビ8bの先端部を支持し、応力の均衡を保持することで、下の横バタ材4を省略することができる。
【0035】
図3に示すネジコーン12は、略楕円球を二つ切にした外観が略ヘルメット形状の塊状とし、コンクリートに接する部分は全て曲面状に仕上げる、前記二つ切にした切口面にネジ座金12bを嵌着する略凹状の嵌着部を形成する、そして、胴体の一部分を図5に示すように僅か楕円状に変形させ、コンクリート躯体に対して回転を阻止する形状にし、コンクリートに接する部分は全て曲面状に仕上げる、そして、円軸心にセパレータ9が貫通する貫通孔12aを形成し、前記ネジコーン12の切口面に形成した嵌着部に、ネジ座金12bを嵌着固定する、詳しくは、前記ネジコーン12の切口面に形成した嵌着部に、セパレータ9の雄ネジ10aに螺合するネジ座金12bを嵌着固定する。
もって、前記ネジ座金12bが固着したネジコーン12をセパレータ9の雄ネジ10aに螺止固定し、前記ネジコーン12から延出る雄ネジ10aに型枠せき板2を介して軸体A型6aを螺止固定することで前記セパレータ9を安定的に固定し、かつ、セパレータ9のネジ回し作業において、前記セパレータ9の空転を防止することになる。
【0036】
図4に示す通コーン13は、前記ネジコーン12と同様に外観が略ヘルメット形状の塊状とし、円軸心にセパレータ9が貫通する貫通孔12aまたは貫通孔13aを形成してなり、ネジコーン12と同様にコンクリートに接する部分は全て曲面状に仕上げることで脱離性を良くする。
もって、型枠解体後の通コーン13およびネジコーン12も同様に除去作業が省略的になる。
【0037】
図8に示すストッパー金具16には、所定の長さを有する金属板を略U字形状に屈曲形成したU型部材17を軸体A型6aに嵌め込み、前記U型部材17両端の縁部に略半円形状の突起17aをプレス形成し、前記U型部材17の弾力性による挟着力を利用してストッパー金具16の脱着自在を可能にする、すなわち、バタ材締付軸部A型6aの頭部7aに形成された鍔7と横バタ材4を押圧する座金15に前記U型部材17両端部の小口が当接することで軸体A型6aに螺止固定するナット8の移動を制限する、換言すればナット8の移動を規定の位置で止める。
前記ストッパー金具16は、型枠せき板2が軟質の場合に効果的であり、状況によって使い分けることが望ましい、換言すれば、不要であれば取外すことが望ましい。
【0038】
もって、軸体A型6aに具備するナット8を回転させて横バタ材4を締め過ぎることによって型枠せき板2が、図7に示すように横バタ材4に引寄せられて型枠せき板2が波状に変形することを防止する。また、型枠1b側の横バタ材4を締め過ぎることによって対向する型枠せき板2の間隔が狭くなり、形成するコンクリート躯体の壁厚みが薄くなることを防止する。
【産業上の利用可能性】
【0039】
対向する両側の型枠およびネジコーン12と通コーン13を残置した状態で前記セパレータ9を抜取ることを可能にしたことで、固化後のコンクリートと型枠せき板2の分離性が良くなり型枠解体作業において、型枠の損傷が少なくなり、品質性、安全性、効率性が向上する。
【符号の説明】
【0040】
1a 型枠
1b 型枠
2 せき板
2a セパ孔
3 縦バタ材
4 横バタ材
5a バタ材締付金具A型
5b バタ材締付金具B型
6a 軸体A型
6b 軸体B型
7 鍔
7a 頭部
7b 突起
8 ナット
8b クサビ
9 セパレータ
10a 雄ネジ
10b 雄ネジ
11 掛止部
12 ネジコーン
12a 貫通孔
12b ネジ座金
13 通コーン
13a 貫通孔
14 鞘管
15 座金
15b 透孔
16 ストッパー金具
17 U型部材
17a 突起
18 バタ受け金具
18a 掛止口
18b 水平部
19 バタ材締付金具C型
20 軸体C型
20a バタ材受け座具
20b クサビ
20c くさり
21 セパレータ
22 コーン
22a 軸ネジ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向するコンクリート型枠せき板(2)間を支持する、丸鋼軸部の両端部に雄ネジを設けたセパレータ(9)左方端部の雄ネジ(10b)先端にボックスレンチ等を掛止する一辺以上の水平部または多角形を有する掛止部(11)を設けたセパレータ(9)と、
前記セパレータ(9)がコンクリート躯体を貫通する抜取り跡に、該抜取り跡を止水する止水栓を嵌着するための止水栓受口を形成するネジコーン(12)および通コーン(13)と、
前記セパレータ(9)を嵌挿して保護する所定の長さを有する鞘管(14)と、
対向するコンクリート型枠の背部を支持する横バタ材(4を)をナット(8)により締付固定する軸体A型(6a)および前記軸体A型(6a)に挟着する前記ナット(8)の移動を規制するストッパー金具(16)と、
対向するコンクリート型枠の背部を支持する横バタ材(4を)をクサビ(8b)により押圧固定する軸体B型(6b)および前記軸体B型(6b)に挟着する前記クサビ(8b)の移動を規制するストッパー金具(16)と、
前記セパレータ(9)のネジ部に掛止される略L字形状の垂直部に掛止口(18a)を有し、下部水平部に横バタ材(4)を載置する一対のバタ受け金具(18)を備え、
そして、前記セパレータ(9)右方先端の雄ネジ(10a)にネジコーン(12)を螺止固定し、前記螺止固定したネジコーン(12)から延出るセパレータ(9)の雄ネジ(10a)を、前記型枠(1a)のせき板(2)に設けられたセパレータ(9)が貫通するセパ孔(2a)に差
込み、バタ受け金具(18)を介して前記セパレータ(9)の雄ネジ(10a)に軸体A型(6a)を螺止固定することで、前記セパレータ(9)は型枠せき板(2)に対して安定的に固定する、その作業を繰返し複数の型枠(1a)を連設し、そして、前記型枠せき板(2)に対して固定された前記セパレータ(9)に鞘管(14)を介して通コーン(13)を嵌挿し、前記通コーン(13)から延出るセパレータ(9)の雄ネジ(10b)と、型枠せき板(2)に設けられたセパレータ(9)が貫通するセパ孔(2a)に合わせて型枠(1b)を嵌め込み、前記セパ孔(2a)から延出るセパレータ(9)の雄ネジ(10b)にバタ受け金具(18)を介して、軸体A型(6a)または軸体B型(6b)を螺止固定する、この作業を繰返し複数の型枠(1b)を連設し、対向する両側の型枠背部に横バタ材(4)を配置し、前記軸体A型(6a)に具備するナット(8)を回転させて締付け固定する、または、前記軸体B型(6b)に形成されたスリット状の透孔(15b)にクサビ(8b)を差込み、打圧して横バタ材(4)を押圧固定する。
もって、対向する型枠間を支持するセパレータ(9)を塩ビ管等の鞘管(14)で保護し、コンクリート打設固化後、対向する両側の型枠およびネジコーン(12)と通コーン(13)を残置した状態で前記セパレータ(9)を抜取ることを可能にしたことを主な特徴とするコンクリート型枠締付装置。
【請求項2】
前記ネジコーン(12)は、略楕円球を二つ切にした外観が略ヘルメット形状の塊状とし、前記二つ切にした切口面にネジ座金(12b)を嵌着する略凹状の嵌着部を形成する、そして、胴体の一部分を僅か楕円状に変形させ、固化したコンクリートに対して回転を阻止する形状にし、前記ネジコーン(12)の円軸心にセパレータ(9)が貫通する貫通孔(12a)を成形し、前記ネジコーン(12)の切口面に設けた嵌着部にネジ座金(12b)を嵌着固定し、コンクリートに接する部分は全て曲面状に仕上げる、すなわち、前記ネジ座金(12b)が固着したネジコーン(12)をセパレータ(9)の雄ネジ(10a)に螺止固定し、前記ネジコーン(12)から延出る雄ネジ(10a)に型枠せき板(2)に設けられたセパ孔(2a)に差込み、前記セパ孔(2a)から延出るセパレータ9の雄ネジ(10a)に軸体A型(6a)を螺止固定することで前記セパレータ(9)は型枠せき板(2)に固定する。
もって、コンクリート打設固化後のセパレータ(9)のネジ回し作業において、前記ネジコーン(12)は固化したコンクリートに包囲されることで供回りを防止し、前記セパレータ(9)の空転を防止する、また、前記ネジコーン(12)のコンクリートに接する部分を全て曲面状に仕上げたことで脱離性を良くしたことを特徴とする請求項1記載のコンクリート型枠締付装置。
【請求項3】
前記ストッパー金具(16)は、所定の長さを有する金属板を略U字形状に屈曲形成したU型部材(17)を軸体A型(6a)または軸体B型(6b)に嵌め込み、U型部材(17)の両縁部に略半円形状の突起(17a)をプレス形成してなる前記U型部材(17)の、該U型部材(17)両縁部の弾力性による挟着力を利用してストッパー金具(16)の脱着自在を可能にする。
もって、軸体A型(6a)の頭部(7a)に形成された鍔(7)と横バタ材(4)を押圧する座金(15)に前記U型部材(17)両端の小口が当接することで軸体A型(6a)のナット(8)の移動を規定することを特徴とする請求項1記載のコンクリート型枠締付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−220002(P2011−220002A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90732(P2010−90732)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(303031697)
【Fターム(参考)】