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コンクリート改質用ヒドロゲルシート及びそれを用いたコンクリート改質方法
説明

コンクリート改質用ヒドロゲルシート及びそれを用いたコンクリート改質方法

【課題】コンクリートに効率よく電解質溶液を供給しうるコンクリート改質用ヒドロゲルシート、及び、それを用いた、コンクリート成形体に大きな損傷を与えることなく、簡易な方法で、コンクリート成形体内部に電解質溶液を供給することができ、該電解質溶液の機能によりコンクリート内部を改質しうるコンクリート改質方法を提供する。
【解決手段】水溶性有機高分子と水膨潤性粘土鉱物とからなる三次元網目構造を有するゲルシートに、イオン濃度0.1mol/kg−HO以上15mol/kg−HO以下の電解質溶液を乾燥ゲルシート重量に対して2倍〜100倍保持させてなるコンクリート改質用ヒドロゲルシート10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート成形体の改質に用いるヒドロゲルシート及びそれを用いたコンクリート改質方法に関し、コンクリート構造物やコンクリート成形体において、中性化したコンクリート内部をアルカリ化して回復させるために好適に用いられるアルカリ水溶液の保持性に優れたヒドロゲルシート及びそれを用いた簡易なコンクリート改質方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート成形体を構成するコンクリートは、通常はアルカリ性を維持しており、内部に配置された鉄筋、鉄骨等の鋼材の酸化反応が抑制されるために錆が発生せず、強度が長期間維持される。しかしながら、経時により、空気中の二酸化炭素の浸透によりアルカリ性が低下し、アルカリ性の低下に伴う成形体の劣化が懸念されている。
近年、省エネルギー、或いは、安全性維持の観点から、コンクリート構造物の長寿命化或いは耐震性、耐久性の維持を目的とした技術が種々提案されている。詳細には、コンクリート構造物の中に配置されている鉄筋、鉄骨等の鋼材の防錆性を長期的かつ効果的に維持することを目的として、既存の構造物に適用する方法が望まれている。
現在、一般に行われる方法としては、表面が中性化したコンクリート構造物の表面コンクリートの一部を剥離し、露出した鋼材表面をアルカリ処理し、その後、新たなコンクリートで補修する方法が挙げられるが、これらは、コンクリート成形体の一部を、鉄筋に達する深さまで剥離するなど、工数がかかるという問題があった。
【0003】
これに対し、コンクリート表面にアルカリ電解質の保持層と外部電極を設け、構造物内に存在する鋼材に到達する深さの孔を形成し、そこに導電体を挿入して鋼材に接触させることで鋼材自体を電極として通電し、電気浸透原理を利用してアルカリ剤を鉄筋の近傍まで浸透させ、鉄筋の酸化を抑制する方法(例えば、特許文献1参照。)や、当該方法において、アルカリ剤や温度条件を制御して処理効率を向上させる方法(例えば、特許文献2〜4参照。)が提案されている。この方法においても、コンクリート成形体自体に孔を形成しなければならず、成形体を破壊する必要があり、工数がかかるという問題があった。
また、成形体を破壊しない方法として、コンクリート成形体の所定領域を耐アルカリ性シートで被覆、固定化し、固定化されたシート内部にアルカリ剤を注入してコンクリート表面に浸透させる方法が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。しかしながら、コンクリート成形体は細骨材、粗骨材を含有しており、成形体内部に存在する空隙が極めて小さいために、数nm〜数十nmという微細な空隙を有するコンクリート成形体へアルカリ剤を浸透させるのは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−148061号公報
【特許文献2】特開平6−24871号公報
【特許文献3】特開平8−91958号公報
【特許文献4】特開平7−291767号公報
【特許文献5】特開平11−79868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記問題点を考慮してなされた本発明の目的は、コンクリートに効率よく電解質溶液を供給しうるコンクリート改質用ヒドロゲルシートを提供することにある。
また、本発明のさらなる目的は、コンクリート成形体に大きな損傷を与えることなく、簡易な方法で、コンクリート成形体内部に電解質溶液を供給することができ、該電解質溶液の機能によりコンクリート内部の中性化を抑制し、或いは、中性化したコンクリートをアルカリ化することができ、コンクリートの中性化に起因する鋼材の劣化やそれに伴うコンクリート成形体の強度低下を抑制しうるコンクリート改質方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ミクロな三次元架橋構造を有し、力学的強靱性及び柔軟性に優れ、且つ電解質溶液の保持性及び除放性に優れたヒドロゲルシートを用いることで、上記目的を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明のコンクリート改質用ヒドロゲルシートは、水溶性有機高分子と水膨潤性粘土鉱物とからなる三次元網目構造を有するゲルシートに、イオン濃度0.1〜15mol/kg−HOの電解質溶液を乾燥ゲルシート重量に対して2〜100倍含んでなるヒドロゲルシートである。
なお、前記ヒドロゲルシートは、その引っ張り試験により測定した引っ張り強度が10kPa以上1000kPa以下であり、破断伸びが100%以上2000%以下であり、且つ、圧縮試験に供して、80%まで歪を与えたときにヒドロゲルシートが破壊しないことにより、実用に適する強度と柔軟性を達成できるため、このような物性を有するものが好ましい。
また、前記電解質溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び、水酸化リチウムから選択される1種以上のアルカリ剤を、イオン濃度0.1mol/kg−HO以上15mol/kg−HO以下の範囲で含むアルカリ性溶液であることが好ましい態様である。
このようなヒドロゲルシートは、支持体に積層される、或いは、ゲルシートの内部に液透過性の補強シートを含むなど、補強材を備える態様をとることもできる。
【0007】
また、本発明の請求項5に係るコンクリート改質方法は、水溶性有機高分子と水膨潤性粘土鉱物とからなる三次元網目構造を有するゲルシートに、イオン濃度0.1mol/kg−HO以上15mol/kg−HO以下の電解質溶液を乾燥ゲルシート重量に対して2倍〜100倍含んでなるヒドロゲルシートを得る工程と、コンクリート成形体の表面に、該ヒドロゲルシートを密着させる工程と、を有することを特徴とする。
なお、本発明のコンクリート改質方法において、前記ヒドロゲルシートを密着させる工程に先立ち、前記コンクリート成形体の表面を乾燥させる工程を行うことが、電解質溶液の浸透性を向上させる観点から好ましい。
さらに、前記ヒドロゲルシートを密着させる工程の後に、ヒドロゲルシートを水不透過性シートで被覆する工程を有することが電解質溶液の保持性の観点から好ましい。
この改質方法において、ヒドロゲルシートが保持する電解質溶液が減少した場合、所望により、前記ゲルシートに電解質溶液、電解質成分及び水から選択される少なくとも1種を供給する工程を行うことができる。
【0008】
本発明のコンクリート改質用ヒドロゲルシートは、水溶性有機高分子と水膨潤性粘土鉱物とからなる三次元網目構造を有するゲルシートを用いることで、該三次元網目構造に電解質溶液を安定に保持することができる。また、電解質溶液を適量保持したヒドロゲルシートは、適度な強度、柔軟性及び表面タック性を有するために、コンクリート成形体表面に適用することで、シートの形状を安定に維持しつつ、成形体表面の形状に追随し、且つ接着剤を用いることなく形成体表面との良好な密着性を達成するため、コンクリート成形体表面から長時間にわたり電解質溶液をコンクリートに供給することができる。
また、このようなコンクリート改質用ヒドロゲルシートを用いることで、コンクリート成形体に損傷を与えることなく、電解質溶液、特に、中性化の抑制に有効なpH11以上であるような、鋼材の酸化を抑制しうるアルカリ性の溶液を、長期間にわたりコンクリート成形体表面から供給することができるために、中性化したコンクリートのアルカリ性向上、或いは、経時的な中性化の抑制といったコンクリートの改質を簡易に実施することが可能である。
なお、本発明の処理方法が適用されるコンクリート成形体は、水、セメント、混和材料、骨材を含有するコンクリート組成物を硬化して得られるものであれば特に制限はなく、ビルなどの建築物、ダムや橋脚などの土木構造物、コンクリート製の隔壁、ベンチ、オブジェなどのいずれをも包含するものである。
【0009】
本発明によれば、モルタル、コンクリート中のセメント水和物の炭酸化反応により中性化が進行するコンクリート成形体内部のアルカリ性を、成形体を損傷することなく簡易な方法で回復させることができるため、既存の建造物などに定期的に処理することで、コンクリート中のアルカリ性の環境が維持される。従って、内部に存在する鋼材の腐食による強度低下が効果的に抑制され、コンクリート成形体の耐久性を向上させることができる。さらに、非破壊で改質が可能であるため、歴史的建造物などのコンクリート成形体の改質にも好適に使用しうる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コンクリートに効率よく電解質溶液を供給しうるコンクリート改質用ヒドロゲルシートを提供することができる。
また、本発明のコンクリート改質用ヒドロゲルシートを用いることで、コンクリート成形体に大きな損傷を与えることなく、簡易な方法で、コンクリート成形体内部に電解質溶液を供給することができ、該電解質溶液の機能によりコンクリート内部の中性化を抑制し、或いは、中性化したコンクリートをアルカリ化することができ、コンクリートの中性化に起因する鋼材の劣化やそれに伴うコンクリート成形体の強度低下を抑制しうるコンクリート改質方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のコンクリート改質用ヒドロゲルシートであって、ゲルシート内に補強材を有するものの一態様を示す概略斜視図である。
【図2】本発明のコンクリート改質用ヒドロゲルシートであって、補強材として支持体シートを有するものの一態様を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
<コンクリート改質用ヒドロゲルシート>
本発明のコンクリート改質用ヒドロゲルシートは、水溶性有機高分子と水膨潤性粘土鉱物とからなる三次元網目構造を有するゲルシートに、イオン濃度0.1〜15mol/kg−HOの電解質溶液を乾燥ゲルシート重量に対して2倍〜100倍含浸させてなることを特徴とする。
本発明のヒドロゲルシートの形成に有用なゲルシート(乾燥ゲルシート)は、水溶性有機高分子と水膨潤性粘土鉱物とが複合して形成された三次元網目構造を有し、該三次元網目構造中に液状成分を安定して保持しうる有機無機複合体シートであり、液状成分としての電解質溶液の保持性に優れる。
【0013】
〔ゲルシート〕
本発明に係る電解質成分を含むヒドロゲルシートは、水媒体中で水膨潤性粘土鉱物と水溶性有機高分子を構成する原料モノマーとを重合させた後、電解質成分を含ませる方法、もしくは、水膨潤性粘土鉱物と水溶性有機高分子を構成する原料モノマーとを、保持させようとする液状成分である電解質溶液との共存下、重合させる方法などにより製造することができる。
このようなゲルシートは、例えば、特開2002−53629公報に記載の有機・無機複合ヒドロゲルをシート状に成形したものが挙げられ、ここに記載の有機・無機複合ヒドロゲルのシート状成形体を本発明に好適に使用することが可能である。また、前記ヒドロゲルシートを乾燥させた乾燥体(本発明でいう乾燥ゲルシート)を予め成形しておき、該乾燥ゲルシートに所望の電解質溶液を含浸させ、保持させることで本発明のヒドロゲルシートを得ることもできる。
【0014】
ゲルシートを構成する水溶性有機高分子は、水に溶解或いは膨潤する性質の有機高分子であって、原料モノマー1種のみからなる単独重合体であっても、2種以上のモノマーからなる共重合体であってもよい。なお、かかる水溶性や水膨潤性は特定の高分子濃度、温度、圧力条件や他の添加成分共存下などで達成されるものであってもよい。
【0015】
水溶性有機高分子は後述する水膨潤性粘土鉱物と相互作用を有するものが好ましく、例えば、水膨潤性粘土鉱物と水素結合、イオン結合、配位結合、共有結合等を形成できる官能基を有するものが好ましい。
このような官能基としては、具体的には、アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などが挙げられ、これらの官能基を1種以上有する有機高分子が好ましく挙げられる。また、機能性を有する有機高分子が特に好ましく、例えば、水溶液中でのポリマー物性、例えば、親水性と疎水性などが、LCST(下限臨界共溶温度、Lower Critical Solution Temperature)前後のわずかな温度変化により大きく変化する特性をもつ機能性有機高分子などが好ましく挙げられる。
【0016】
ゲルシート形成に用いうる水溶性有機高分子の具体例として、アクリルアミド、N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸誘導体の中から選択される一つ又は複数を重合して得られる水溶性有機高分子が挙げられる。また上記モノマーとその他の有機モノマーとをあわせて用いることも、均一な有機・無機複合ヒドロゲルが形成される限りにおいて可能である。
かかる水溶性有機高分子としては、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(N−メチルアクリルアミド)、ポリ(N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(N−メチルメタクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルメタクリルアミド)、
【0017】
ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N−アクリロイルピロリディン)、ポリ(N−アクリロイルピペリディン)、ポリ(N−アクリロイルメチルホモピペラディン)、ポリ(N−アクリロイルメチルピペラディン)、ポリ((メタ)アクリル酸)、ポリ((メタ)アクリル酸)エステル等が例示される。
【0018】
このような水溶性有機高分子は、水のみならず、水及び水と混和する有機溶媒の混合溶媒にも、溶解あるいは膨潤するものであってもよい。
ここで、水と混和する有機溶媒としては、水と混和する、即ち、水と混合することで均一相を形成する溶媒が挙げられ、これらの水と混和する有機溶媒としては、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどの極性溶媒が例示され、これらの1種又は2種以上と水との混合溶媒を用いることができる。このような混合溶媒における水と有機溶媒との混合溶媒は、ヒドロゲルシートの調製に、水に換えて使用することができるが、両者の混合割合は、後述する水膨潤性粘土が均一分散出来る範囲で任意に選択できる。
【0019】
ゲルシートの調製に用いられる水膨潤性粘土鉱物とは、粘土鉱物のうち水に膨潤し均一分散可能なものであり、特に好ましくは水中で分子状(単一層)又はそれに近いレベルで均一分散可能な層状粘土鉱物が挙げられる。
本発明に用いうる水膨潤性粘土鉱物としては、例えば、水膨潤性スメクタイトや水膨潤性雲母などが用いられ、具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。
水膨潤性粘土鉱物は、ゲルシートの製造適性の観点からは、前記水溶性有機高分子の原料モノマーが溶解している溶液中において、微細、且つ、均一に分散していることが必要であり、特に上記溶液中において、粘土鉱物の沈殿が生じる、或いは、目視で確認できる程度の、即ち、溶液が濁った状態となるような、粘土鉱物の凝集体が生じることなく、微細な粒子、即ち、1〜10層程度のナノメーターレベルの厚みの状態で均一に分散している状態であることが好ましく、特に好ましくは1又は2層程度の厚みで分散しているものである。
【0020】
本発明のヒドロゲルシートは、液状成分として後述する電解質溶液を保持する。ゲルシート製造時における水溶性有機高分子と水膨潤性粘土鉱物の含有量は、目的や使用する原料により適宜調整され、必ずしも限定されないが、電解質溶液としてアルカリ性水溶液を安定に保持するという観点からは、水膨潤性粘土鉱物濃度が1×10−2mol/L−HO、〜30×10−2mol/L−HO、水溶性有機高分子濃度が0.5mol/L−HO、〜5mol/L−HOの範囲であるヒドロゲルを用いることが好ましい。
また、ヒドロゲルシートをコンクリート成形体に密着させる際に好適な柔軟性や接着性などをヒドロゲルシートに付与するという観点からは、例えば、水膨潤性粘土鉱物濃度が1×10−2mol/L−HO、〜15×10−2mol/L−HO、水溶性有機高分子濃度が0.5mol/L−HO〜3mol/L−HOのヒドロゲルを用いることが好ましい。
【0021】
前記条件で調整したゲルシートは、イオン濃度0.1mol/kg−HO〜15mol/kg−HOの電解質溶液を、乾燥ゲルシートの質量に対して2倍〜100倍の範囲で安定して保持できるため、本発明に有用である。
【0022】
また、保持できる電解質溶液の濃度を向上させるという観点からは、例えば、カルボン酸基のナトリウム塩やスルホン酸基のナトリウム塩などの、酸基や酸基の塩構造を含むイオン性基を前記した水溶性有機高分子中に3モル%以上80モル%以下の割合で含ませることが有効である。
【0023】
〔電解質溶液〕
ヒドロゲルシートに含まれる電解質溶液は、コンクリートの改質目的により、電解質成分の種類、或いは、電解質溶液の濃度は適否選択されるが、本発明においては、イオン濃度は、pHが11以上のアルカリ性を示すように0.1mol/kg−HO〜15mol/kg−HOとすることが、コンクリートへの持続的な電解質供給の観点から好ましく、0.5mol/kg−HO〜10mol/kg−HOの範囲であることがより好ましい。
電解質成分の種類は特に限定しないが、炭酸化・中性化が進んだコンクリートのアルカリ性の回復、或いは、中性化の抑制を目的とする場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び、水酸化リチウムから選択される1種以上のアルカリ剤を含有し、該アルカリ剤のアルカリ性水溶液中のイオン濃度が0.1mol/kg−HO〜15mol/kg−HOであるアルカリ性水溶液を用いることが好ましい。アルカリ性水溶液中のアルカリ剤の濃度は0.5mol/kg−HO〜10mol/kg−HOの範囲であることがより好ましい。
また、コンクリート内部の鉄筋の防錆を目的とする場合は、電解質成分として、亜硝酸塩(例えば、亜硝酸リチウムなど)を用いることができる。
これらコンクリート改質材料としての電解質成分は、通常、電解質溶液として、水溶液の状態でヒドロゲルに含有させて用いるが、液状成分として水や電解質材料を均一に溶解しうる有機溶媒を含有するヒドロゲルに、固体の電解質成分、例えば、固体状の水酸化ナトリウムなど、をそのまま内包させて用いてもよい。後者の場合には、電解質成分がヒドロゲルシートに内包される液状成分に徐々に溶解して、ゲルシート表面からコンクリート成形体に浸透するものと推定される。
【0024】
このとき、電解質成分のコンクリートへの浸透性を向上させる助剤を加えることによって、その浸透深さを向上させることができる。助剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ジアルキルスルホコハク酸などが挙げられる。
【0025】
本発明に係るヒドロゲルシートは、水溶性有機高分子と、水膨潤性粘土鉱物とが複合化して形成された三次元網目の中に、液状成分である電解質溶液が包含され、安定に保持されている有機・無機複合体である。このようなヒドロゲルシートは、水溶性有機高分子と水膨潤性粘土鉱物とが、包含されるべき液状成分中において分子レベルで複合化することで、両者が架橋構造を形成して得られる三次元架橋構造中に液状成分を含んで形成される。
【0026】
このようにして得られた液状成分を保持した有機・無機複合体からなるヒドロゲルシートは、液状成分として電解質溶液を保持したものを本発明のコンクリート改質用ヒドロゲルシートとすることもできるが、水などの液状成分を含有するヒドロゲルシートを作製し、それを乾燥体として保存し、使用時に電解質溶液を含浸、保持させたものも、本発明のヒドロゲルシートとして好ましく使用しうる。ゲルシートの乾燥体は、三次元架橋構造中における液状成分が失われた状態であるが、この三次元架橋構造を維持しているため、電解質溶液に含浸し、膨潤させることで、その架橋構造内にこれらの液状成分が吸収され、安定に包含する機能を有する。
【0027】
本発明のヒドロゲルシートには、電解質溶液が、乾燥状態のゲルシートの質量に対して、2倍以上100倍以下の量で含まれることが効果の観点から好ましく、より好ましくは、5倍以上50倍以下である。
本発明のヒドロゲルシートの厚みは特に制限はないが、取り扱い性が良好である点、及び、電解質を有効な含有量で保持しうるという観点から、1mm以上100mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは、3mm以上50mm以下である。
【0028】
本発明におけるヒドロゲルシートは、コンクリート成形体に密着させて使用するために、実用に耐える強度と形状追従性を達成するための柔軟性を有することが好ましく、具体的には、ヒドロゲルシートの引っ張り試験により測定した引っ張り強度が10kPa以上1000kPa以下であることが好ましく、より好ましくは、30kPa以上300kPa以下である。また、柔軟性については、引っ張り破断伸びが100%以上2000%以下、より好ましくは200%以上1500%以下であることが好ましい。
さらに、前記ヒドロゲルシートを圧縮試験に供した場合、80%まで歪を与えたときに破壊しないことが好ましい。
ここで、引っ張り試験は、厚さ5mmのゲルシートを10mm×70mmに切断して測定試料とし、24℃60%RHの環境下、引っ張り試験装置(株式会社島津製作所製、卓上型万能試験機AGS−H)に装着し、評点間距離=30mm、引っ張り速度=100mm/分の条件で測定した値である。
また、圧縮試験としては、10×10×10mmに切り出したゲルを試料とし、24℃60%RHの環境下、引っ張り試験装置(株式会社島津製作所製、卓上型万能試験機AGS−H)に装着し、圧縮速度10mm/分の条件で80%まで歪みを与えて、ゲルの破壊の有無を目視で確認することで行う。ゲルの破壊は、歪を与えたゲルシートを観察し、除荷後にゲルが分断されるか若しくは形状が回復しないことが認められたものを「破壊」と、また、除荷後もゲルが均一な外観を維持しており、形状が回復することが認められるものを「破壊せず」と判断する。
【0029】
この条件を満たすものであれば、広い面積を被覆する場合などにおいても、使用中にシートの破断や亀裂の発生などが生じることなく、また、密着性低下も少ない。
なお、単体では上記好ましい強度と柔軟性を有しないものであっても、後述するようなヒドロゲルシートと一体になった補強材を併用することで必要な強度を達成してもよい。
【0030】
本発明のヒドロゲルシートは、強度向上の観点から、補強材を有するものであってもよい。補強材としては、必要な強度とを柔軟性を有するものであれば特に制限はなく、合成樹脂フィルム、合成繊維や天然繊維から構成される織布、不織布、繊維塊状体、或いは、短繊維、長繊維などの繊維類が挙げられる。
樹脂フィルムは目的に応じて液不透過性のフィルムでもよく、開口部を有する多孔質フィルムやメッシュ状シートであってもよい。また、前記樹脂フィルムや不織布等のシート状補強材のみならず、長繊維等の繊維自体をそのままゲルシート内に分散させて補強材としてもよい。耐久性の観点からは、ヒドロゲルシートに含まれる電解質溶液に対する耐性を有する素材からなるものが好ましい。例えば、電解質溶液としてアルカリ性水溶液を用いる場合、不織布としては、バインダーで繊維間を固定したものよりも、繊維を絡ませたり、繊維の一部を融着させたりして形成された不織布が耐アルカリ性の観点から好ましい。不織布は耐アルカリ性の繊維を含んで構成されるものが好ましく、耐アルカリ性の繊維としては、アクリル、ナイロン(商品名:ポリアミド)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
【0031】
補強材の使用態様としては、例えば、2枚のゲルシート間にメッシュ状シートや不織布などを介在させて密着することにより、ヒドロゲルシートの内部に補強材を有する高強度のヒドロゲルシートを得る態様が挙げられる。
図1は、ヒドロゲルシート10の内部に補強材12を有するコンクリート改質用ヒドロゲルシートの一態様を示す斜視図である。
ヒドロゲルシートの内部に挿入される補強材としては特に制限はないが、電解質溶液の使用効率の観点からは液透過性のシートが好ましく、メッシュ状シートや不織布などが挙げられる。シートの材料としては、耐アルカリ性と耐久性を満たすものであれば特に制限はないが、アクリル、ポリアミド、ポリオレフィン等から選択される繊維から構成されるものが好適である。
【0032】
また、例えば、電解質溶液不透過性のシートを支持体として、その表面にヒドロゲルシートを積層することで、支持体に起因して引っ張り強度が著しく向上し、また、支持体シートが保護層となって、ヒドロゲルシートをコンクリート成形体に密着させて使用したばあい、背面(コンクリート成形体と接着しない側)からの電解質溶液の蒸発による損失を抑制することができる。図2は、支持体シート14を補強材として有し、その表面にヒドロゲルシート10が積層されたコンクリート改質用ヒドロゲルシートの一態様を示す斜視図である。
補強材としては、支持体の如き使用態様の場合には、柔軟で液不透過性のシートが好ましく、なかでも、耐アルカリ性に優れるポリオレフィン製のシートが好ましい。支持体シートの厚みは、強度と柔軟性のバランスの観点から、10μm〜300μm程度であることが好ましい。
【0033】
本発明のコンクリート改質用ヒドロゲルシートは、コンクリート成形体の表面に密着させて使用するが、ヒドロゲルシートの製造に際しては、ヒドロゲルを合成時にシート状に成形してもよく、また、合成したヒドロゲルを所定の厚みのシート状にスライスして成形してもよく、合成したヒドロゲルを粉砕後、圧縮してシート状に成形してもよい。
ヒドロゲルの成分によっては、シートをスライスにより成形することにより、スライスにより形成された面が、成形面に比較して密着性が高い性状を示す場合があり、このような性状を示すヒドロゲルシートを用いる場合には、スライスした切断面をコンクリート成形体の表面に密着するように用いることが電解質溶液浸透性の観点から好ましい。
【0034】
このようなヒドロゲルシートは、ヒドロゲル内に存在する三次元架橋構造が電解質溶液を保持するが、コンクリート成形体の表面の微細な空隙に密着させて使用することで、密着面から電解質溶液がコンクリート成形体に徐々に浸透し、コンクリート成形体内部を電解質溶液により効果的に改質することができる。例えば、電解質溶液としてアルカリ性水溶液を用いることで、コンクリート成形体内部の中性化の抑制、中性化したコンクリートのアルカリ性回復などを行うことができる。
【0035】
<コンクリート改質方法>
次に、本発明のコンクリート改質用ヒドロゲルシートを用いた、本発明のコンクリート改質方法について説明する。
本発明のコンクリート改質方法は、水溶性有機高分子と水膨潤性粘土鉱物とからなる三次元網目構造を有するゲルシートに、イオン濃度0.1mol/kg−HO〜15mol/kg−HOの電解質溶液を乾燥ゲル重量に対して2倍〜100倍含んでなるヒドロゲルシートを得る工程(ヒドロゲルシート準備工程)と、コンクリート成形体の表面に、該ヒドロゲルシートを密着させる工程(ヒドロゲルシート密着工程)と、を有することを特徴とする。
【0036】
〔ヒドロゲルシート準備工程〕
ここで用いられるヒドロゲルシートは、前記本発明のコンクリート改質用ヒドロゲルシートであり、ヒドロゲルシートを得る工程は、記述のヒドロゲルシートの製造方法と同様である。
記述の、水溶性有機高分子と水膨潤性粘土鉱物とからなる三次元網目構造を有するゲルシートに電解質溶液を含浸させて所定量を保持させることで、本発明に係るヒドロゲルシートが得られる。
ここで用いる電解質溶液は、コンクリート改質処理の目的に応じて適宜選択される。
また、ヒドロゲルシートの作製に際しては、ゲルの形成に際して用いる原料の液状成分として電解質溶液自体を用いることで、一工程で、電解質溶液を乾燥ゲルシート重量に対して2〜100倍含むヒドロゲルシートを得ることもでき、この工程も本発明における「ヒドロゲルシートを得る工程」に包含されるものとする。
また、水などの液状成分を含有する既存のヒドロゲルシートを用い、該ヒドロゲルシートに記述のように固体状の電解質材料を含有させる工程も、本発明におけるヒドロゲルシート準備工程に包含される。
【0037】
〔ヒドロゲルシート密着工程〕
本工程では、電解質溶液を所定量含むヒドロゲルシートを、改質を行うコンクリート成形体表面に密着させる。ヒドロゲルシートは柔軟で形状追随性に優れることから、平面ではないコンクリート成形体にも好適に使用しうる。さらに、ヒドロゲルシートをコンクリート成形体表面に適用して押しつけることで、ヒドロゲルシートがコンクリート成形体表面の微細な凹凸に追随して密着し、ヒドロゲルシート内に含まれる電解質溶液が、コンクリート成形体の微細な空隙に毛管現象などにより徐々に浸透する。
ヒドロゲルシート内に保持される電解質溶液は、ゲルシートの三次元網目構造内に保持されて圧縮などにより液状成分としてしみ出すことはないが、コンクリート成形体表面に密着させることで、前記の如くミクロな多孔質体であるコンクリート成形体の空隙内に、ヒドロゲルシートとコンクリート成形体内部に電解質溶液の濃度勾配があり、且つ、毛管現象が阻害されない限り、長期間にわたり徐々に浸透し、コンクリート成形体内部の改質が達成される。
【0038】
ヒドロゲルシート密着工程において、ヒドロゲルシートをコンクリート成形体表面に安定に密着させ、これを固定化する方法としては、公知の方法を任意に使用することができる。具体的には、例えば、型枠を用いて固定化する方法、水不透過性シートで被覆して該水不透過性シートとともにコンクリート成形体表面に粘着テープなどで固定化する方法、ビス止めする方法などが挙げられる。
本発明の改質方法に使用するヒドロゲルシートとして、記述の水不透過性の支持体上にヒドロゲルシートを積層したものを用いる場合には、背面からの電解質溶液の損失がなく、好ましい。また、ヒドロゲルシート内部に補強材を有するものも、強度の観点から好ましく用いることができる。
特に、コンクリート改質として、中性化の抑制や中性化したコンクリートの回復のために、電解質溶液として高濃度のアルカリ剤を含むアルカリ性水溶液を用いる場合でも、本発明のヒドロゲルシートが電解質溶液を安定的に保持しうるために、アルカリ性水溶液の流出の懸念が無く、環境上、或いは、安全上も好ましい。
【0039】
〔コンクリート成形体の表面を乾燥させる工程〕
前記の如く、ヒドロゲルシートをコンクリート成形体表面に密着させることで、接触面からコンクリート成形体の微細な空隙に電解質溶液が浸透してコンクリート内部の改質が行われるため、電解質溶液の毛管現象による浸透性を向上させる観点からは、空隙に水分が存在する湿潤状態よりも、コンクリート成形体は乾燥状態の方が好ましい。そのような観点から、前記ヒドロゲルシート密着工程に先立ち、まず、改質しようとするコンクリート成形体の表面を乾燥させる工程を行うことが好ましい。
例えば、屋外におけるコンクリート構造物に雨がかかってぬれている場合、或いは、表面を洗浄したため洗浄液により湿潤状態となっている場合などには、乾燥工程を実施することが望ましい。
乾燥条件や乾燥手段にはとくに制限はなく、サイズの比較的小さい成形体であれば、乾燥装置内に配置して乾燥することができる。また、建造物などの場合には、表面に熱風を当てて乾燥させる、表面近傍に赤外線ヒーターを配置するなど、公知の方法で乾燥すればよい。乾燥条件には限定はないが、100℃を超える温度条件では、コンクリート組織を劣化させる恐れがあるため、自然乾燥、常温(25℃前後)の風を吹き付ける、40〜880℃の範囲の熱風で乾燥させるなど、乾燥温度条件は100℃未満、好ましくは、90℃以下とすることが望ましい。
乾燥工程を行う際には、コンクリート成形体の改質において予め検知した処理が必要な深さ、即ち、中性化しているコンクリート深さまで乾燥することが望ましい。
【0040】
〔ヒドロゲルシートを水不透過性層で被覆する工程〕
ヒドロゲルシートに含まれる電解質溶液の損失を抑制するために、ヒドロゲルシート密着工程の後、ヒドロゲルシートの背面(コンクリート成形体と密着しない側の表面)を水不透過層で被覆して、水分の背面からの蒸発を防止することが好ましい。また、電解質溶液としてアルカリ性水溶液を用いる場合には、水不透過性層により外側からのアルカリ性水溶液との接触が抑制され、安全性の観点からも好ましい。
ここで用いられる水不透過性層による被覆方法としては、水不透過性シートで被覆する方法、疎水性基を有する高分子層を形成することでヒドロゲルシートを被覆する方法などを挙げることができる。
水不透過性シートは、配置場所に適した耐候性と強度を有するものを適宜選択すればよく、例えば、ポリエチレン製の厚み50μm程度の樹脂シート、金属箔、厚さ1mm程度の木製板などを用いることができる。これらは単層でもよく、水不透過性向上の目的で異なる材料を積層した多層構造のシートであってもよい。本実施形態における水不透過性シートは、必ずしも疎水性シートである必要はなく、木材のように素材自体が親水性であるもの、多孔質で水蒸気浸透性であるものであっても、シートの厚みや層構成により全体として必要な水不透過性を達成していれば、本発明に使用しうる。
また、疎水性基を有する高分子層を形成するために用いられる疎水性基を有する高分子としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられ、このような高分子層による被覆方法としては、これらの高分子材料でヒドロゲルシートをコーティングする方法、予め形成した高分子層をヒドロゲルシートの片面にラミネートする方法などをとることができる。
【0041】
本発明のコンクリート改質用ヒドロゲルシートをコンクリート成形体表面に密着させることで、ヒドロゲルシートが保持する電解質溶液がコンクリート成形体内部に徐々に浸透してコンクリートの改質が行われる。ヒドロゲルシートを長期間にわたって密着させることでコンクリート成形体内部の深部に至るまで電解質溶液が浸透し、改質が行われるが、ヒドロゲルシート密着工程を実施した後、経時によりヒドロゲルシート内に保持される電解質溶液が減少する。このとき、新たなヒドロゲルシートに張り換えて効果を向上させることができるが、ヒドロゲルシートをコンクリート成形体表面に密着させたまま、ヒドロゲルシートに電解質溶液、電解質材料及び水から選択される少なくとも1種を供給することで効果を向上させることもできる。
【0042】
〔ヒドロゲルシートに電解質溶液、電解質成分及び水から選択される少なくとも1種を供給する工程〕
本工程では、コンクリート成形体表面に密着したヒドロゲルシートに電解質溶液、電解質材料及び水から選択される少なくとも1種を供給する。電解質溶液または水の供給は、ヒドロゲルシートに液状の電解質溶液または水を注入したり、これらをヒドロゲルシートに滴下したりすることで実施できる。
電解質溶液または水供給のタイミングは任意であり、コンクリート改質が行われる環境(温湿度、風量)を考慮して、電解質溶液または水の減少に対応するように、定期的に間隔をおいて規定量を供給してもよく、適量(例えば、100ml/m・日〜5l/m・日)の電解質溶液を連続的に供給してもよく、或いは、目視による観察でヒドロゲルシート中の電解質溶液が減少し、シートの厚みが薄くなったり、外観が変化したりした場合に、電解質溶液または水を供給してもよい。
電解質材料を固形状態で供給する場合には、同様に、所定の間隔をおいてゲルシート内に固形の電解質材料を挿入する、或いは、ヒドロゲルシートの外観の変化が生じた場合に固形の電解質材料を挿入する等の方法で行うことができる。後者の場合、溶媒となる液状成分、例えば、水なども同時に供給することが好ましい。
このように電解質溶液や電解質材料を補充することで、1回のヒドロゲルシート密着工程を行うことで、長期間にわたり効果的なコンクリートの改質を行うことができる。
【0043】
なお、本発明のコンクリート改質方法において、コンクリート成形体内部コンクリート成形体へのアルカリ性水溶液などの電解質溶液の浸透速度は、コンクリート成形体と同じ組成物のコンクリート組成物を調製した試験片により、浸透実験を行い、試験片を切断してフェノールフタレインによる呈色反応を行って浸透深さを測定し、接触時間の平方根で除することで算出することができる。このような実験により予め浸透速度を測定し、同様のコンクリート組成物からなる成形体への必要な接触時間を予想することができる。
また、現場施工の場合には、コンクリート成形体からコアを採取し、表面の呈色反応を行うか、ドリルを用いて所定の深さの小孔を形成し、発生した粉の呈色反応から、所定の深さまでアルカリ化が進行したかを確認することもできる。
【0044】
前記コンクリート成形体としては、水、セメント、混和材料、骨材、化学混和剤よりなるコンクリート組成物を硬化させて形成されたものであれば特に制限はなく、各種処方のコンクリート組成物からなる各種の成形体に適用することができる。
【0045】
本発明において成形体の素材であるコンクリート組成物に用いられるセメントとしては特に制限はなく、形成されるセメント系成型体の用途に応じて、各種セメント類の中から、適宜選択することができる。セメントとして、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、などが使用できる。
前記混和材料としては特に制限はなく形成されるセメント系成型体の用途に応じて、各種セメント、コンクリート用混和材料から適宜種類、使用量を選択できる。混和材料としては、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフュームなどが一般的に使用できる。
また、骨材の種類や量は特に制限はなく、形成される成型体の用途に応じて、骨材の種類及び配合割合を適宜選択することができる。
【0046】
本発明の方法を適用しうるコンクリート成形体には、通常コンクリート成形体に配合されている各種添加剤、例えば減水剤、空気連行剤、消泡剤などを、適宜配合することができる。
前記コンクリート成形体を形成するコンクリート組成物における水とセメントの重量比は、形成されるコンクリート成形体の用途に応じて適宜選択することができるが、水と結合材の重量比は40%以上75%以下が好ましく、より好ましくは50%以上70%以下である。
【0047】
本発明の方法を適用しうるコンクリート成形体は、前記コンクリート組成物を混練し、成型、硬化して得ることができる。大きさや形状は任意であるが、アルカリ化による強度維持効果の観点からは、その内部に補強材、構造材など種々の目的で鉄筋、鉄骨などの鋼材を配置した成形体に適用して本発明の効果が著しいといえる。
このような成形体としては、ビルや橋脚などの大型構造物のみならず、プレストレス化されたコンクリート成形体であり、PC鋼材で構成された枠体により補強されている化粧ボードなどのコンクリート成形体も包含される。
【0048】
本発明のコンクリート改質方法は、前記構成としたため、簡単な方法により、コンクリート成形体を破損することなくその内部に電解質溶液を浸透させることで改質、特に、アルカリ化することができる。このため、大型の構築物や歴史的建造物などへも大がかりな装置を必要とせず適用することができ、コンクリート内部の中性化による鉄筋腐食に起因する強度低下を効果的に抑制することができるためその応用範囲は広い。
【0049】
本発明のコンクリート改質用ヒドロゲルシートを用いてさらにコンクリート内部まで再アルカリ化の領域を拡大させるため、本発明のヒドロゲルシートの表面または内部に電極を設け、構造物内に存在する鋼材に到達する深さの孔を形成し、そこに導電体を挿入して鋼材に接触させることで鋼材自体を電極として通電し、電気浸透原理を利用してアルカリ剤を鉄筋の近傍まで浸透させ、鉄筋の酸化を抑制する方法をとることができる。このとき、ゲルシート内に補強材を用いる場合は、この補強材に導電性のものを用いることにより、補強材自体を電極として使用することができる。
このように、本発明のヒドロゲルシートは、コンクリート成形体へそのまま貼付するのみならず、様々な使用態様において電解質の供給源として適用することもできる。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に制限されるものではない。
(実験例:コンクリート組成物の配合)
普通ポルトランドセメントと水、砂、砕石(骨材)を含有するセメント組成物であって、水/セメント組成物比(W/C 比)が70%のコンクリート組成物を調製した。
【0051】
[使用材料]
セメント:普通ポルトランドセメント(三菱マテリアル社製)、密度3.16g/cm
水:水道水
細骨材1:茨城県鹿島郡神栖町陸砂、表乾密度2.62g/cm、吸水率2.27%、
粗粒率2.53
細骨材2:中国福建省福州市川砂、表乾密度2.59g/cm、吸水率1.60%、
粗粒率3.56
混合比率(質量比) 細骨材1:細骨材2=80:20
粗骨材:栃木県下都賀郡岩舟町砕石2005、表乾密度2.66g/cm
吸水率0.76%、 粗粒率6.52
AE減水剤 標準形(I種)
【0052】
[コンクリート組成物の配合]
表1にコンクリート組成物の配合を示す。表中で使用した各材料の詳細は上記の通りである。下記コンクリート組成物における水/結合材比は70.0%、細骨材率は、50.6%である。
(注):下記表1中、混和剤の添加量は内割り置換に付き、水に含めている。
【0053】
【表1】

【0054】
[コンクリート組成物による成形体の調製]
前記表1に記載のコンクリート組成物を用いて、前記の、水、セメント、細骨材、粗骨材を所定量ミキサ(強制2軸練ミキサ、容量3m)に投入し、20秒間練り混ぜた。この際,練りあがったコンクリートの空気量が一定の値(4.5容量%)と成るよう、混和剤(AE減水剤)を適量添加し調整した。
このコンクリート組成物により、幅10cm、長さ40cm、厚さ10cmのコンクリート成形体を形成した。
【0055】
[コンクリート成形体の前中性化処理]
前記コンクリート成形体について、前中性化を図るため、二酸化炭素濃度5.0%のチャンバー内に静置し、切断面のフェノールフタレインによる呈色反応により、表面からの中性化深さが約30mmに達するまで中性化の促進を実施した。
【0056】
(実施例1〜3)
〔ヒドロゲルシートの調製〕
水膨潤性粘土鉱物として、[Mg5.34Li0.66Si20(OH)]Na0.66+の組成を有する水膨潤性合成ヘクトライト(商標:ラポナイトXLG、ロックウッド株式会社(英国)製)を100℃で2時間真空乾燥して用いた。
水溶性有機高分子を形成しうる有機水溶性モノマーとして、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)を使用した。DMAAはシリカゲルカラムをDMAA100mlに対して80mlの容積で用いて重合禁止剤を取り除いてから使用した。
重合開始剤は、ペルオキソ二硫酸カリウム(KPS)をKPS/水=0.192/10(g/g)の割合で、純水で希釈し、水溶液を調製して使用した。触媒は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をそのまま使用した。水はイオン交換水を蒸留した純水を用いた。水は全て高純度窒素を予め3時間以上バブリングさせ含有酸素を除去してから使用した。
内部を窒素置換した内径100mm、高さ150mmの平底ガラス容器に、純水678.4gと、ラポナイトXLG30.5g、DMAA79.2gからなる無色透明の水溶液を調製した。次いで、TMEDA500μlおよびKPS水溶液42.4gを攪拌して加え、無色透明溶液を得た。
この溶液の一部を、300mm×400mm×5mmのガラス容器に移した後密栓をし、20℃で24時間静置して重合を行った。なお、これらの溶液調製から重合までの操作は全て酸素を遮断した雰囲気下で行った。24時間後にガラス容器内に弾力性、強靱性のある透明・均一な円柱状ゲルが生成しており、容器から取り出した。ゲル中には粘土鉱物などによる不均一又は不透明な凝集は何ら観測されなかった。セイコー電子工業株式会社社製、TG−DTA220を用いて、空気流通下、10℃/分で800℃まで昇温して測定した水分率、有機高分子量、粘土鉱物量により、得られたゲルはいずれも反応溶液と同じ組成からなる有機・無機複合ヒドロゲルであることがわかった。モノマーの重合収率は共に99.9%以上であった。
【0057】
〔ヒドロケルシートの評価〕
1.引っ張り強度,引っ張り破断伸び
ヒドロゲルシートを10mm×70×5mmに切断して測定試料とし、24℃60%RHの環境下、引っ張り試験装置(株式会社島津製作所製、卓上型万能試験機AGS−H)に装着し、評点間距離=30mm、引っ張り速度=100mm/分の条件で測定したところ、引っ張り強度が100kPa、引っ張り破断伸びが1500%であった。
【0058】
2.圧縮試験
ヒドロゲルシートを10mm×10mm×5mmに切断したものを2枚重ねて10mm×10mm×10mmの試料とし、24℃60%RHの環境下、引っ張り試験装置(株式会社島津製作所製、卓上型万能試験機AGS−H)に装着し、圧縮速度10mm/分の条件で80%まで歪みを与えて、ヒドロゲルシートの破壊の有無を目視で確認した。
その結果、実施例1〜実施例3に用いられる前記ゲルシートはいずれも破壊は認められなかった。
これらの測定結果を表2に示す。
【0059】
〔電解質保持ヒドロゲルシートの調製〕
このようにして得られたヒドロゲルシートを100mm×400mmに切り出したものを2枚重ねて、間にヒドロゲル300部に対して29部の水酸化リチウムを入れて外周を縫合し、実施例1に用いるヒドロゲルシートを得た。また、ヒドロゲル300部に対して48部の水酸化ナトリウムを入れて外周を縫合し、実施例2及び実施例3に用いるヒドロゲルシートを得た。いずれも、4.6mol/kgの電解質を保持したヒドロゲルシートである。
【0060】
3.含液率
ヒドロゲルシートにおける含液率〔ヒドロゲルシートに含まれる電解質溶液の占める割合〕を、下記式により算出した。結果を表2に示す。
なお、ここで、ヒドロゲルシート中に含まれる電解質溶液質量は、実施例1〜3の如く、水分を含んだヒドロゲルシートに電解質成分を固体状で挟んだものについては、水分を含んだヒドロゲルシートと電解質成分との合計質量からヒドロゲルシートの乾燥質量を除することで求めた値であり、後述する実施例4〜10の如く、電解質溶液を含浸させて用いるものについては、含浸後のヒドロゲルシートの質量からヒドロゲルシートの乾燥質量を除することで求めた値である。
また、〔ヒドロゲルシート中に含まれる電解質溶液質量〕は、電解質溶液質量を含浸させたヒドロゲルシートの質量を測定し、その後、80℃の熱風乾燥機で15時間乾燥させて水分を除去し、乾燥したヒドロゲルシートの質量(ヒドロゲルシートの乾燥質量〕を測定し、差分を算出することで求めた値である。
(式)含液率=〔ヒドロゲルシート中に含まれる電解質溶液質量〕/〔ヒドロゲルシートの乾燥質量〕
【0061】
〔コンクリートの前処理〕
前記コンクリート成形体を水に15分間浸漬して吸水させて改質に使用した(実施例1、2)。実施例3では前記コンクリート成形体を吸水させずにそのまま使用した。
〔コンクリートの改質性評価〕
試験面が垂直となるように設置したコンクリート成形体の表面に、前記のようにして得られた実施例1〜3に用いるヒドロゲルシートをそれぞれ密着させて、表面をポリエステルシートで被覆し、粘着テープで固定して測定時期まで静置した。
4週経過後、成形体を切断して切断面に1質量%濃度のフェノールフタレイン溶液を吹き付け、呈色反応を確認したところ、実施例1、2、3でそれぞれ深さ5.3mm、14.9mm、16.4mmまでアルカリ性の領域が形成されていた。
【0062】
(実施例4〜10、比較例3、4)
〔電解質保持ヒドロゲルシートの調製〕
実施例1と同様にして調製したヒドロゲルシートを50℃に設定した熱風乾燥機に15時間入れてヒドロゲルシートの乾燥体を得た。このヒドロゲルシート乾燥体1部を50部の下記表2に記載した濃度の電解質成分を含む電解質水溶液に浸漬し、表2記載の含液率となったところで浸漬を止め、電解質水溶液を含有するヒドロゲルシートを得た。
〔ヒドロゲルシートの評価〕
実施例1と同様にして電解質水溶液を含有するヒドロゲルシートの引っ張り試験、圧縮試験及び含液率の測定を行った。結果を下記表2に示す。
【0063】
〔コンクリートの前処理〕
実施例7では、前記コンクリート成形体を水に15分間浸漬して吸水させて改質に使用した。実施例6,10では、前記コンクリート成形体を80℃に設定した熱風乾燥機に3日間入れ、乾燥したものを使用した。実施例4、5、8、10、比較例3、4では前記コンクリート成形体をそのまま使用した。
〔コンクリートの改質性評価〕
これらのヒドロゲルシートを使用して実施例1〜3と同様にしてコンクリートの改質を行い、コンクリート成形体における浸透性を評価した。結果を下記表2に示す。
【0064】
(実施例11)
〔電解質保持ヒドロゲルシートの調製〕
実施例1と同様にして調製したヒドロゲルシートを50℃に設定した熱風乾燥機に15時間入れてヒドロゲルシートの乾燥体を得た。このヒドロゲルシート乾燥体1部を50部の電解質濃度1.5mol/kg−HO水溶液に浸漬し、同含液率となったところで浸漬を止め、電解質水溶液を含有するヒドロゲルシートAを得た。また、これとは別にヒドロゲルシート乾燥体1部を50部の電解質濃度8mol/kg−HO水溶液に浸漬し、同含液率となったところで浸漬を止め、電解質水溶液を含有するヒドロゲルシートBを得た。
〔ヒドロゲルシートの評価〕
実施例1と同様にして電解質水溶液を含有するヒドロゲルシートA及びBの引っ張り試験、圧縮試験及び含液率の測定を行った。結果を下記表2に示す。
【0065】
〔コンクリートの前処理〕
実施例11では、前記コンクリート成形体を80℃に設定した熱風乾燥機に3日間入れ、乾燥したものを使用した。
〔コンクリートの改質性評価〕
試験面が垂直となるように設置したコンクリート成形体の表面に、最初の2週間は、前記のようにして得られたヒドロゲルシートAをそれぞれ密着させて、表面をポリエステルシートで被覆し、粘着テープで固定して静置した。2週間目にヒドロゲルシートAを除去し、ヒドロゲルシートBに貼り替えて、表面をポリエステルシートで被覆し、粘着テープで固定して測定時期まで静置した。
4週経過後、成形体を切断して切断面に1質量%濃度のフェノールフタレイン溶液を吹き付け、呈色反応を確認したところ、22.0mmまでアルカリ性の領域が形成されていた。
【0066】
(比較例1)
実施例4で用いたアルカリ性水溶液を、試験面が垂直となるように設置した前処理をしないコンクリート成形体の表面に直接塗布することで適用し、同様に評価した。
その結果、アルカリ性水溶液がコンクリート成形体表面に保持されず、従ってコンクリート内部へはほとんど浸透することが無かったため、実施例1と同様に測定した再アルカリ化の領域深さは、1mm以下であった。
【0067】
(比較例2)
実施例4で用いたヒドロゲルシート乾燥体に換えて、親水化処理した不織布(ED−17,170g/m、日本バイリーン株式会社製)を用い、実施例4と同様のアルカリ性水溶液をそれぞれ表1に記載の量で不織布に含浸させて、試験面が垂直となるように設置した前処理をしないコンクリート成形体表面に接触させた他は実施例4と同様にしてコンクリート成形体の改質を行い、同様に評価した。
アルカリ性水溶液をコンクリート成形体に接触させる際、アルカリ性水溶液が滴り落ちるため、アルカリ性水溶液を保持できなかった。また、コンクリート成形体への粘着性がないため、コンクリート成形体への固定が難しく、コンクリート成形体と不織布との間に隙間ができてしまった。更に、ビス止めを行ったが、隙間ができてコンクリート成形体への十分な密着は得られなかった。このため、アルカリ性水溶液のコンクリート成形体への接触による浸透は不十分となった。結果として、再アルカリ化の領域深さは、1mm以下であった。
【0068】
(比較例5,6)
試験面が垂直となるように設置したコンクリート成形体の表面に、コンクリート成形体に接する面が解放されたアクリル製の容器を、コンクリート成形体表面に不陸調整用のゴムを介して押し付けて固定した。このアクリル製の容器に、実施例4で用いたアルカリ性水溶液を封入して、該溶液を直接コンクリート面に接するように配置させて含浸させ、実施例1〜3と同様に評価した。
比較例5では、前記コンクリート成形体を何らの前処理を行うことなく、そのまま使用し、比較例6では、前記コンクリート成形体を80℃に設定した熱風乾燥機に3日間入れ、乾燥したものを使用した。
試験開始後、アルカリ性水溶液が徐々に不陸調整用のゴムの部分から漏れ、3日後にはアクリル容器内に封入したアルカリ性水溶液は失われた。実施例1と同様に測定した再アルカリ化の領域深さは、3mm以下であった。
【0069】
(比較例7)
〔ヒドロゲルシートの調製〕
実施例1ヒドロゲルシートの調製方法において用いた水膨潤性粘土鉱物に代えて、有機架橋剤(N,N−メチレンビスアクリルアミド)を、DMAAの1モル%用いた他は、実施例1と同様にして、有機架橋型高分子ヒドロゲル(表2中には、「有機架橋型ヒドロゲル」と記載)を調製した。
〔電解質保持ヒドロゲルシートの調製〕
得られた有機架橋型高分子ヒドロゲルに、実施例4と同様にして電解質水溶液を含浸させて比較例7の電解質保持ヒドロゲルシートを得た。
〔ヒドロゲルシートの評価〕
実施例1と同様にして電解質水溶液を含有するヒドロゲルシートの引っ張り試験、圧縮試験及び含液率の測定を行った。ただし、引っ張り試験においては、測定試料を試験機に装着する際に試料が破壊してしまい、測定値が得られなかった。結果を下記表2に示す。
【0070】
〔コンクリートの前処理〕
比較例7では、前記コンクリート成形体を、前処理を行うことなくそのまま使用した。
〔コンクリートの改質性評価〕
上記有機架橋型ヒドロゲルシートを使用してなる電解質保持ヒドロゲルシートを用いて、実施例1〜3と同様にしてコンクリートの改質を行おうとしたが、ゲルシートが破損してコンクリート成形体の表面に貼り付け不能であった。
【0071】
【表2】

【0072】
表2に記載のように、本発明のコンクリート改質用ヒドロゲルシートを用いたコンクリート改質方法によれば、コンクリート成形体内部に効率よく電解質溶液が浸透し、比較例に対し、コンクリート成形体の内部に至るまで改質が行われていることが確認された。なお、実施例11に明らかなように、ヒドロゲルシートに含まれる電解質溶液は経時的に減少するため、ヒドロゲルシートの張り替えを行うことで、効果が一層向上することがわかる。
また、比較例3及び4の結果より、本発明に係るヒドロゲルを用いた場合であっても、ヒドロゲルシートに保持される電解質成分の含有量が少ない場合(比較例3)や、電解質溶液の保持量が少ない場合(比較例4)には、いずれも、所望のアルカリ浸透性が得られず、本発明の効果を奏さないことがわかる。また、比較例7では、水膨潤性粘土鉱物に代えて、有機架橋剤を用いて調製された有機架橋型高分子ヒドロゲルを用いたが、実用上十分な強度が得らなかった。
【符号の説明】
【0073】
10 ヒドロゲルシート
12 内部補強材
14 支持体シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性有機高分子と水膨潤性粘土鉱物とからなる三次元網目構造を有するゲルシートに、イオン濃度0.1mol/kg−HO以上15mol/kg−HO以下の電解質溶液を乾燥ゲルシート重量に対して2倍〜100倍保持させてなるコンクリート改質用ヒドロゲルシート。
【請求項2】
前記ヒドロゲルシートの引っ張り試験により測定した引っ張り強度が10kPa以上1000kPa以下、破断伸びが100%以上2000%以下であり、且つ、前記ヒドロゲルシートを圧縮試験に供した場合、80%まで歪を与えたときに破壊しない請求項1記載のヒドロゲルシート。
【請求項3】
前記電解質溶液が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び、水酸化リチウムから選択される1種以上のアルカリ剤を、イオン濃度0.1mol/kg−HO以上15mol/kg−HO以下の範囲で含むアルカリ性溶液である請求項1または請求項2に記載のヒドロゲルシート。
【請求項4】
補強材を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のヒドロゲルシート。
【請求項5】
水溶性有機高分子と水膨潤性粘土鉱物とからなる三次元網目構造を有するゲルシートに、イオン濃度0.1mol/kg−HO以上15mol/kg−HO以下の電解質溶液を乾燥ゲルシート重量に対して2〜100倍保持させてなるヒドロゲルシートを得る工程と、コンクリート成形体の表面に、該ヒドロゲルシートを密着させる工程と、を有するコンクリート改質方法。
【請求項6】
前記ヒドロゲルシートを密着させる工程に先立ち、前記コンクリート成形体の表面を乾燥させる工程を有する請求項5に記載のコンクリート改質方法。
【請求項7】
前記ヒドロゲルシートを密着させる工程の後に、ヒドロゲルシートを水不透過性シートで被覆する工程を有する請求項5または請求項6に記載のコンクリート改質方法。
【請求項8】
さらに、前記ヒドロゲルシートに電解質溶液、電解質原料及び水のうち、少なくとも1種を供給する工程を有する請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のコンクリート改質方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−11934(P2011−11934A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156082(P2009−156082)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【出願人】(000173751)財団法人川村理化学研究所 (206)
【Fターム(参考)】