コンクリート部材の補強方法
【課題】既存のコンクリート部材を補強するための緊張材の端部に、緊張力を導入するためのジャッキを装着するスペースを必要とすることなく、上記緊張材の緊張力によってコンクリート部材にプレストレスを導入し、補強する。
【解決手段】緊張力を導入した緊張材16が両端部に定着され、緊張材16から作用する反力によって軸線方向に圧縮力が導入された付加部材10を製作し、付加部材10の両端部を橋脚(補強しようとするコンクリート部材)1に固着する。付加部材10の橋脚(補強しようとするコンクリート部材)1に固着された位置間で、付加部材の10圧縮力が導入された部分の一部、つまり抜き取り部材13と挟持部材14を除去して両端部間の圧縮力の伝達を遮断する。これにより、緊張材16の反力を橋脚(補強しようとするコンクリート部材)1に作用させ、プレストレスを導入する。
【解決手段】緊張力を導入した緊張材16が両端部に定着され、緊張材16から作用する反力によって軸線方向に圧縮力が導入された付加部材10を製作し、付加部材10の両端部を橋脚(補強しようとするコンクリート部材)1に固着する。付加部材10の橋脚(補強しようとするコンクリート部材)1に固着された位置間で、付加部材の10圧縮力が導入された部分の一部、つまり抜き取り部材13と挟持部材14を除去して両端部間の圧縮力の伝達を遮断する。これにより、緊張材16の反力を橋脚(補強しようとするコンクリート部材)1に作用させ、プレストレスを導入する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存のコンクリート構造物の一部にプレストレスを導入して補強する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物は、荷重の増加や基準の見直し等によって補強が必要になることがある。コンクリート構造物を構成するコンクリート部材を補強する方法の一つとして、例えば特許文献1に記載されているように、プレストレスを部分的に導入して曲げモーメント等による引張応力を低減する方法が知られている。既存のコンクリート部材に対して、プレストレスを導入するための緊張材は、コンクリート部材中に配置することは難しいことが多く、コンクリート部材の表面に沿って配置される。そして、コンクリート部材の表面から突出するように定着ブロックを設け、この定着ブロックに反力を作用させて緊張材に緊張力を導入し、この定着ブロックに定着する。これにより、間隔を開けて設けられた2つの定着ブロック間にプレストレスが導入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−183755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、既存のコンクリート部材に定着ブロックを設け、これらの間に張架した緊張材にジャッキを用いて緊張力を導入することが難しい場合がある。つまり、コンクリート部材に近接して他の構造物があったり、コンクリート部材が支持する上部構造物があったりして空間的な余裕が無く、緊張材の端部にジャッキを装着することができない場合が生じ得る。
【0005】
上記特許文献1に記載の技術では、コンクリート部材外に配置した緊張材の端部にはジャッキを装着するスペースが無く、補強しようとするコンクリート部材に連続して設けられた構造物に緊張材の挿通孔を設け、この構造物にも緊張材を貫通させている。そして、隣接する構造物を貫通した位置でジャッキを装着し、緊張材に緊張力を導入するものとしている。このように既存の構造物に緊張材を貫通させる挿通孔を設けるには多くの作業を必要とし、費用も嵩む。
【0006】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、既存のコンクリート部材を補強するための緊張材の端部に、緊張力を導入するためのジャッキを装着するスペースを必要とすることなく、コンクリート部材にプレストレスを導入することができるコンクリート部材の補強方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 緊張力を導入した緊張材が両端部に定着され、該緊張材から作用する反力によって軸線方向に圧縮力が導入された付加部材を製作し、 該付加部材の両端部を補強しようとするコンクリート部材に固着し、 前記付加部材の前記コンクリート部材に固着された位置間で、該付加部材の前記圧縮力が導入された部分の一部を除去して前記両端部間の圧縮力の伝達を遮断し、前記緊張材の反力を前記コンクリート部材に作用させることを特徴とするコンクリート部材の補強方法を提供する。
【0008】
このコンクリート部材の補強方法では、付加部材の両端部に定着されている緊張材の反力が、該付加部材の一部が除去されることによって、補強しようとするコンクリート部材に作用する。これによって、付加部材の両端部が固着されている位置間のコンクリート部材にプレストレスが導入され、引張応力の発生が抑制される。
また、付加部材には工場又は製作ヤード等で製作したときにプレストレスが導入されており、コンクリート部材を補強する位置では付加部材をコンクリート部材に固着して、その後に付加部材の一部を除去する作業でコンクリート部材にプレストレスを導入することができる。したがって、現場において緊張材に緊張力を導入する必要はなく、緊張材の両端部にジャッキを装着するスペースを必要としない。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のコンクリート部材の補強方法において、 前記付加部材は、抜き取り部材と、該抜き取り部材を両側から挟み込む2つの挟持部材とを備え、前記緊張材の反力は、前記抜き取り部材及び前記挟持部材を介して両端部間で伝達されるものとし、 前記抜き取り部材と2つの前記挟持部材との接触面の少なくとも一方は、前記緊張材の軸線と垂直な面に対して傾斜し、厚さが変化しており、 前記付加部材の圧縮力が導入された部分の一部を除去する工程は、前記抜き取り部材を傾斜する前記接触面で滑らせて抜き取るものとする。
【0010】
このコンクリート部材の補強方法では、付加部材の一部を構成している抜き取り部材を容易に抜き取り、緊張された緊張材の反力を付加部材から補強しようとするコンクリート部材に作用させて、コンクリート部材にプレストレスを導入することができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のコンクリート部材の補強方法において、 前記抜き取り部材と前記挟持部材とには、前記緊張材の軸線とほぼ垂直な方向にネジ穴を形成しておき、 前記付加部材の両端部を前記コンクリート部材に固着するまでは、前記ネジ穴に螺合されたボルトによって、前記抜き取り部材と前記挟持部材とにわたって当接された連結部材を締め付けて、該抜き取り部材と該挟持部材とを互いに固定しておき、 前記抜き取り部材を抜き取る工程は、前記抜き取り部材のネジ穴に螺合された前記ボルトを回転させるともに、前記連結部材を介して前記挟持部材に反力を作用させ、前記抜き取り部材を前記挟持部材間から抜き取るものとする。
【0012】
このコンクリート部材の補強方法では、付加部材に含まれている抜き取り部材を簡単な工具のみによって容易に抜き取り、緊張材の緊張力によってコンクリート部材にプレストレスを導入することができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載のコンクリート部材の補強方法において、 前記付加部材は、周面に螺状が設けられて前記緊張材の軸線方向に配置された複数のロッドと、これに螺合される雌ねじ部材とを有し、前記緊張材の反力は、前記ロッドと前記雌ねじ部材とを介して両端部間で伝達されるものとし、 前記付加部材の前記圧縮力が導入された部分の一部を除去する工程は、前記ロッド又は前記雌ねじ部材を該ロッドの軸線回りに回転させ、前記ロッドと前記雌ねじ部材とによって圧縮力を伝達する長さを短縮して該ロッドと該雌ねじ部材とを除去するものとする。
【0014】
このコンクリート部材の補強方法では、上記ロッド又は上記雌ねじ部材の回転によって該ロッドと雌ねじ部材とで圧縮力を伝達する長さが短縮される。したがって、緊張された緊張材による付加部材の圧縮力を簡単な操作で開放し、補強しようとするコンクリート部材に圧縮力を作用させることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、予めプレストレスが導入された付加部材を使用することによって、補強を行う現場で緊張材を緊張する作業が不要となり、緊張材に緊張力を導入するためのジャッキを緊張材に装着するスペースがない場合においても、コンクリート部材の補強が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るコンクリート部材の補強方法によって補強することができるコンクリート橋脚及びこれによって支持される橋桁を示す概略断面図である。
【図2】図1に示す橋脚の補強に用いられる付加部材の側面図及び平面図である。
【図3】本発明の一実施形態であって、図1に示す橋脚を補強する工程を示す概略図である。
【図4】本発明の一実施形態であって、図1に示す橋脚を補強する工程を示す概略図である。
【図5】本発明の一実施形態であって、図1に示す橋脚を補強する工程を示す概略図である。
【図6】図4に示す工程で、付加部材に用いられている抜き取り部材を抜き取る手順を示す概略図である。
【図7】図2に示す付加部材で用いることができる抜き取り部材及び挟持部材の例を示す概略断面図である。
【図8】本発明に係るコンクリート部材の補強方法において使用することができる付加部材の他の例を示す側面図及び平面図である。
【図9】本発明に係るコンクリート部材の補強方法において使用することができる付加部材の他の例を示す側面図及び平面図である。
【図10】本発明に係るコンクリート部材の補強方法において使用することができる付加部材の他の例を示す側面図及び平面図である。
【図11】本発明に係るコンクリート部材の補強方法で、補強しようとするコンクリート部材に付加部材を固着する方法の例を示す概略断面図である。
【図12】本発明に係るコンクリート部材の補強方法で、補強しようとするコンクリート部材に付加部材を固着する方法の例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るコンクリート部材の補強方法によって補強することができるコンクリート橋脚及びこれによって支持される橋桁を示す概略断面図である。また、図2は、この橋脚の補強に用いられる付加部材の側面図及び平面図である、
この橋脚1はコンクリートで形成され、支柱2の頭部から両側に張り出した桁支持部3を備えている。そして、橋桁4は2つの主桁5を有するものであり、上記桁支持部3上に支承6を介して支持されている。この橋脚1の桁支持部3には、支柱2上で大きな負の曲げモーメントが生じ、上縁付近で引張応力が生じるおそれがある。特に、橋桁4上に設けられる高欄や地覆(図示しない)の改修等で荷重が増加した場合や、設計時の想定以上に大きな活荷重が作用する場合等には、桁支持部3の上縁付近にひびわれ7が生じ易く、この部分を補強する必要が生じる。
このような橋脚1に対して、桁支持部3の上面であって、2つの主桁5間に、予めプレストレスが導入された付加部材10を固着し、この付加部材10の一部を除去して桁支持部3の上縁付近にプレストレスを導入している。
【0018】
上記付加部材10は、図1に示す2つの主桁5の対向する側面間の距離Lよりやや短い長さを有し、断面が横に長い矩形となったコンクリート部材であり、両端部付近では下方に増厚されて、橋脚1との固定部11となっている。このため橋脚1の上面に載置されたときには2つの固定部間12は、橋脚1の上面と間隔をあけて支持されるものである。この付加部材10のコンクリートは中央部で両側に分断されており、これらの間に、鋼からなる抜き取り部材13と、この抜き取り部材13を両側から挟む挟持部材14とが介挿されている。つまり、中央部で分断された一方のコンクリート部分15a、一方の挟持部材14a、抜き取り部材13、他方の挟持部材14b、他方のコンクリート部分15bの順で軸線方向に連続するように配列されている。そして、これらの軸線方向に緊張材16が配置され、プレストレスが導入されている。
【0019】
プレストレスを導入するための緊張材16には鋼棒、鋼線、鋼より線、合成樹脂繊維を用いたロッド等が用いられ、コンクリート部分15の断面の両側部に埋め込まれたシース内にそれぞれ挿通される。そして中央部の抜き取り部材13及び挟持部材14が介挿されている部分では、これら部材の両側部で露出するように配置される。これらの緊張材16に緊張力を導入し、付加部材10の両端部に定着して付加部材10の軸線方向に圧縮応力つまりプレストレスを導入している。
【0020】
上記抜き取り部材13は、付加部材10の軸線を横切る2つの面つまり挟持部材14a,14bと対向して圧縮応力が作用する面は、軸線に対して傾斜している。これらの面は傾斜した状態で平坦な面となっており、抜き取り部材13の厚さが上方で厚く、下方に近づくに従って厚さが減少するものとなっている。一方、挟持部材14a,14bも抜き取り部材13と同様に鋼からなるものであり、抜き取り部材13と対向する面が、抜き取り部材13の面に対応し、軸線に対して傾斜している。なお、上記挟持部材14のコンクリート部分15と接触する面は、軸線方向の圧縮力が伝達されるものであれば、付加部材10の軸線と垂直であっても良いし、多少傾斜するものであっても良い。
【0021】
上記抜き取り部材13と挟持部材14との接触面は、この接触面に沿った方向に相互間の滑動が生じ易いように平滑に仕上げられている。また、いずれか一方の面にフッ素樹脂等の被覆層を設けて摩擦係数を低減したものであってもよい。一方、図7に示すように、抜き取り部材13と挟持部材14とのいずれか一方の面に突出部13aを設け、互いの接触面積を小さくして作用する摩擦力を低減することもできる。
【0022】
上記抜き取り部材13と挟持部材14とのそれぞれには上面に鉛直方向のネジ穴が穿設されている。そして、鋼からなる連結部材17が抜き取り部材13と2つの挟持部材14a,14bの上面に当接されている。この連結部材17の上記ネジ穴と対応する位置には貫通孔が形成されており、これらの貫通孔に挿通し、上記ネジ穴にねじ込まれたボルト18を締め付けることによって連結部材17が抜き取り部材13と2つの挟持部材14a,14bとのいずれとも固着され、これらの抜き取り部材13と挟持部材14a,14bとを連結している。これにより、付加部材10の軸線方向にプレストレスが導入された後、該付加部材10が橋脚1上の所定の位置に固着されるまでに、抜き取り部材13が抜け出さないように拘束するものとなっている。
【0023】
上記付加部材10の両端付近の固定部11及び固定部間12のコンクリート部分には、鉛直方向に貫通孔19,20が設けられている。固定部11に設けられた貫通孔19にはアンカー部材(図2には表示しない)が挿通され、橋脚1の上面から下方に穿設されたアンカー穴に突き入れられる。そして、貫通孔19内及びアンカー穴内にモルタル等の充填材を充填し、硬化させることによって付加部材10の固定部11を橋脚1に固着するものとなっている。
【0024】
次の、上記付加部材10を用いて橋脚1を補強する工程を、図3から図5までに基づいて説明する。
補強しようとするコンクリート部材つまり橋脚1の上面には、図3(a)に示すように、付加部材10の貫通孔19,20と対応する位置に、鉛直方向のアンカー穴21,22を穿設する。
【0025】
上記アンカー穴21,22が穿設されると、図3(b)に示すように橋脚1の上面であって2つの主桁5間に付加部材10を載置し、付加部材10の貫通孔19,20と、橋脚1に設けられたアンカー穴21,22の位置を対応させる。そして、図4(a)に示すように、付加部材10の端部付近つまり固定部11に設けられた貫通孔19及びこれらの貫通孔19の下方に設けられたアンカー穴21内に上方から鋼からなるアンカーバー23を挿入する。そして、上記貫通孔19及びアンカー穴21内にモルタル24を充填し、硬化させる。これによって付加部材10の両端付近が橋脚1に固着される。
【0026】
その後、図4(b)に示すように、付加部材10の抜き取り部材13を抜き取り、挟持部材14も取り外す。上記抜き取り部材13を抜き取る工程は、例えば図6に示すように行うことができる。
まず、抜き取り部材13及び挟持部材14にねじ込まれているボルト18を緩め、図6(a)に示すように連結部材17を抜き取り部材13及び挟持部材14の上面から上方に引き上げる。そして、図6(b)に示すように挟持部材14の上面と連結部材17との間に介挿部材25を差し入れる。介挿部材25は金属片、木片等、連結部材17と挟持部材14との間隔を保持することができるものであればよい。このように連結部材17と挟持部材14との間隔が保持された状態で、図6(c)に示すように抜き取り部材13にねじ込まれているボルト18aを締め付ける方向に回転させる。これによりボルト18aは抜き取り部材13に設けられているねじ穴にねじ込まれて行くが、ボルト18aの頭部は介挿部材25を介して挟持部材14と間隔をあけて保持された連結部材17によって下方への移動が拘束される。このためボルト18aをねじ込むことによって抜き取り部材13は上方へ牽引され、挟持部材14の間から抜け出す。抜き取り部材13が上方に移動すると、挟持部材14との対向面が傾斜しているので、挟持部材14と抜き取り部材13との間が離隔され、圧縮力の伝達が遮断される。これにより、図4(b)に示す矢印のように緊張材16の反力は付加部材10の固定部11から橋脚1に伝達され、付加部材10の両端部から伝達される力によって橋脚1の上面付近にプレストレスが導入される。
【0027】
上記のように抜き取り部材13を抜き取り、挟持部材14も撤去した後、図5に示すように抜き取り部材13及び挟持部材14を取り除いた後の空間、付加部材10のコンクリート部分15と橋脚1の上面との間、及び付加部材10の固定部間12に設けられた貫通孔20と橋脚1に設けられたアンカー穴22内に無収縮コンクリート又は無収縮モルタルを打設する。このようにして、付加部材10と橋脚1とを一体に固着し、補強を完了する。
【0028】
このように橋脚1の上面にプレストレスを導入して補強する方法では、現場で緊張材16に緊張力を導入する必要がないので、付加部材10の端面は主桁5の側面と近接した位置に設定することができる。したがって、主桁5間のスペースを有効に利用して付加部材10を取り付け、広い範囲にプレストレスを導入することができる。
【0029】
上記実施の形態では、付加部材として2つに分割されたコンクリート部分15a,15bの間に一つの抜き取り部材13と二つの挟持部材14とを介挿するものであったが、図8に示すように、2つの挟持部材74と隣接する部分に鋼部材75を介挿することもできる。これらの鋼部材75は、例えば上記抜き取り部材73又は挟持部材74と同形状とすることができる。このように鋼部材75を介挿することにより、付加部材70の固定部71間における広い範囲で抜き取り部材73、挟持部材74及び鋼部材75を抜き取ることができ、次のような効果が得られる。
付加部材70にプレストレスを導入する方式としてプレテンション方式を採用したときには、固定部71及びこれにつづくコンクリート部分で緊張材76とコンクリートとが付着しており、上記抜き取り部材73等を抜き取った範囲が小さいと、この範囲における緊張材76の伸び量が小さくなっている。このため、付加部材70の固定部71間を縮小する変形が生じると固定部71間の緊張力が顕著に低下する虞がある。これに対し、広い範囲で抜き取り部材73等が抜き取られると、この範囲における緊張材76の伸び量が大きくなっており、固定部71間の距離が縮小されても橋脚つまりコンクリート部材には有効にプレストレスを導入することができる。
なお、付加部材70にプレストレスを導入する方式としてポストテンション方式を採用したときであっても、グラウト等によって緊張材と付加部材のコンクリートとが付着したものでは同様の効果が得られる。一方、挟持部材74に隣接して配置した鋼部材75は、抜き取り部材73又は挟持部材74と同形状のものに限定されるものではなく、挟持部材74の鋼部材75との接触面を緊張材76の軸線と直角にし、鋼部材75は厚さが均一な板状の部材とすることもできる。
【0030】
また、付加部材は、図9に示すようにコンクリートの固定部31と挟持部材34との間に形鋼をトラス状に組み立てた鋼枠体32を用いることができる。
このような付加部材70,30を用いたときにも、同様に補強しようとするコンクリート部材1に固定部71,31を固着し、抜き取り部材73,33を抜き取ることによって橋脚1(コンクリート部材)にプレストレスを導入することができる。
なお、上記のように一部に鋼部材75又は鋼枠体32を用いた付加部材70,30によって橋脚1にプレストレスを導入したときには、鋼部材75、鋼枠体32、抜き取り部材73,33及び挟持部材74,34を除去し、除去後のスペースのすべてにコンクリート又はモルタルを打設しても良いが、付加部材70,30の両端付近の固定部71,31間では補強の完了後に緊張材76,36が露出して張架されるものでもよい。なお、緊張材76,36が補強の完了後にも露出されるときには、緊張材として合成樹脂等によって被覆された緊張材又はアラミド繊維等を用いた合成樹脂製の緊張材等、腐食の生じない緊張材を用いるのが望ましい。
【0031】
以上に説明した実施の形態においては、補強しようとするコンクリート部材に固着した付加部材10,30,70の一部を除去する工程は、傾斜面を有する鋼製の抜き取り部材13,33,73を抜き取るものであったが、これ以外の方法を採用するものであっても良い。例えば、図10に示すように、螺状が設けられた複数のロッド43と、これに螺合される雌ねじ部材44とによって軸線方向の長さが伸縮する伸縮装置46を付加部材40に組み込んだものを用いることができる。この付加部材40を補強するコンクリート部材に固着した後、上記ロッド43と雌ねじ部材44とを含む伸縮装置46の長さを短縮して、緊張材47の緊張力を補強しようとするコンクリート部材に作用させる。
図10に示す付加部材40は、両端部がコンクリートからなる固定部41となっており、2つの固定部41,41の間に鋼枠体42と、伸縮装置46とが配列され、これらを連結するように緊張材47が配置されている。そして、緊張材47は緊張力が導入された状態で両端が固定部41,41に定着されており、反力がコンクリートの2つの固定部41,41から圧縮力として鋼枠体42及び伸縮装置46に作用している。
【0032】
上記伸縮装置46は、周面に雄ねじが形成された4本のロッド43と、これらのロッド43の一端に装着され、ロッド43の軸力を鋼枠体42又はコンクリート部分に伝達するともに、ロッド43との軸線方向の相対変位が拘束された状態でロッド43の軸線回りの回転を許容する端部材45と、上記ロッドの他端に装着され、雄ねじにねじり合わされた雌ねじ部材44と、を備えるものである。したがって、ロッド43を軸線回りに回転させることにより、雌ねじ部材44に対するロッドのねじ込み長が変動するものであり、付加部材40の固定部41をコンクリート部材に固着した後にロッド43を回転し、伸縮装置46を短縮してコンクリートの固定部41,41間から取り外すことができる。
【0033】
また、緊張材47によって大きな軸線方向の力が作用することによって上記伸縮装置46のロッド43を回転することが難しいときには、伸縮装置46の両側の部材間、図10に示す付加部材40ではコンクリートの固定部41と鋼枠体42との間に油圧ジャッキ48を介挿し、これを作動してロッド43に負荷されている軸線方向の圧縮力を軽減した状態で回転させることもできる。
【0034】
この他、付加部材として機械的なジャッキを介挿するもの、油圧ジャッキであって、油圧室内の圧力を維持したまま輸送等が可能なジャッキ等を介挿するものであっても良い。
【0035】
一方、補強するコンクリート部材に付加部材を固着するアンカー部材として、上記実施の形態では鋼からなるアンカーバー23を用いたが、この他に図11(a)に示すように鋼管の内側に高強度モルタルを充填したアンカー部材51を付加部材10の貫通孔19及びアンカー穴21に挿入し、貫通孔19及びアンカー穴21内の上記アンカー部材51の周囲にモルタル52を充填しても良い。また、図11(b)に示すようにアンカー部材として複数の鉄筋53を用いても良い。一方、図11(c)に示すように鋼棒54を用いて緊張力を導入するものであっても良い。この構造では、付加部材10の貫通孔19と対応する位置に設けたアンカー穴として、貫通孔19とほぼ同じ径の大口径穴61aと、この大口径穴の底部からさらに穿設された小口径穴61bとを設ける。小口径穴61bには鋼棒54の先端部を挿入し、グラウト材を充填して固着する。大口径穴61a内及び付加部材の貫通孔19内では上記鋼棒54はシースで被覆し、このシースで被覆された鋼棒54を埋め込むようにモルタル55を充填する。そして、モルタルの硬化後、鋼棒54に緊張力を導入し、定着具56によって貫通孔19内のモルタル55に定着する。これによりモルタル55には圧縮力が導入されて強化されるととともに、貫通孔19内のモルタル55とともに付加部材10の固定部11がコンクリート部材1に押し付けられ、固定される。
【0036】
図12(a)に示す構造は、付加部材10の貫通孔19からコンクリート部材1のアンカー穴21に連続して繊維補強高強度モルタル57を充填するものである。また、図12(b)に示すようにモルタル58内に螺旋状に曲げ加工した鉄筋59を埋め込むものであっても良い。
【0037】
また、上記実施の形態の付加部材は、ポストテンション方式によってプレストレスを導入しているが、プレテンション方式つまり、予め緊張された状態の緊張材を埋め込むようにコンクリートを打設して付加部材を製作することもできる。
さらに、本発明に係るコンクリート部材の補強方法は、以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、様々の形態で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1:橋脚(補強しようとするコンクリート部材)、 2:支柱、 3:桁支持部、 4:橋桁、 5:主桁、 6:支承、 7:ひびわれ,
10:付加部材、 11:付加部材の固定部、 12:付加部材の固定部間、 13:抜き取り部材、 14:挟持部材、 15:付加部材のコンクリート部分、 16:緊張材、 17:連結部材、 18:ボルト、 19:固定部に設けられた貫通孔、 20:固定部間に設けられた貫通孔、 21:アンカー穴、 22:アンカー穴、 23:アンカーバー(アンカー部材)、 24:モルタル、 25:介挿部材、
30:付加部材、 31:固定部、 32:鋼枠体、 33:抜き取り部材、 34:挟持部材、 36:緊張材、
40:付加部材、 41:固定部、 42:鋼枠体、 43:ロッド、 44:雌ねじ部材、 45:端部材、 46:伸縮装置、 47:緊張材、 48:油圧ジャッキ、
51:アンカー部材、 52:モルタル、 53:鉄筋、 54:鋼棒、 55:モルタル、 56:定着具、 57:繊維補強高強度モルタル、 58:モルタル、 59:螺旋状鉄筋、
61a:大口径穴、 61b:小口径穴
70:付加部材、 71:固定部、 73:抜き取り部材、 74:挟持部材、 75:鋼部材、 76:緊張材
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存のコンクリート構造物の一部にプレストレスを導入して補強する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物は、荷重の増加や基準の見直し等によって補強が必要になることがある。コンクリート構造物を構成するコンクリート部材を補強する方法の一つとして、例えば特許文献1に記載されているように、プレストレスを部分的に導入して曲げモーメント等による引張応力を低減する方法が知られている。既存のコンクリート部材に対して、プレストレスを導入するための緊張材は、コンクリート部材中に配置することは難しいことが多く、コンクリート部材の表面に沿って配置される。そして、コンクリート部材の表面から突出するように定着ブロックを設け、この定着ブロックに反力を作用させて緊張材に緊張力を導入し、この定着ブロックに定着する。これにより、間隔を開けて設けられた2つの定着ブロック間にプレストレスが導入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−183755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、既存のコンクリート部材に定着ブロックを設け、これらの間に張架した緊張材にジャッキを用いて緊張力を導入することが難しい場合がある。つまり、コンクリート部材に近接して他の構造物があったり、コンクリート部材が支持する上部構造物があったりして空間的な余裕が無く、緊張材の端部にジャッキを装着することができない場合が生じ得る。
【0005】
上記特許文献1に記載の技術では、コンクリート部材外に配置した緊張材の端部にはジャッキを装着するスペースが無く、補強しようとするコンクリート部材に連続して設けられた構造物に緊張材の挿通孔を設け、この構造物にも緊張材を貫通させている。そして、隣接する構造物を貫通した位置でジャッキを装着し、緊張材に緊張力を導入するものとしている。このように既存の構造物に緊張材を貫通させる挿通孔を設けるには多くの作業を必要とし、費用も嵩む。
【0006】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、既存のコンクリート部材を補強するための緊張材の端部に、緊張力を導入するためのジャッキを装着するスペースを必要とすることなく、コンクリート部材にプレストレスを導入することができるコンクリート部材の補強方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 緊張力を導入した緊張材が両端部に定着され、該緊張材から作用する反力によって軸線方向に圧縮力が導入された付加部材を製作し、 該付加部材の両端部を補強しようとするコンクリート部材に固着し、 前記付加部材の前記コンクリート部材に固着された位置間で、該付加部材の前記圧縮力が導入された部分の一部を除去して前記両端部間の圧縮力の伝達を遮断し、前記緊張材の反力を前記コンクリート部材に作用させることを特徴とするコンクリート部材の補強方法を提供する。
【0008】
このコンクリート部材の補強方法では、付加部材の両端部に定着されている緊張材の反力が、該付加部材の一部が除去されることによって、補強しようとするコンクリート部材に作用する。これによって、付加部材の両端部が固着されている位置間のコンクリート部材にプレストレスが導入され、引張応力の発生が抑制される。
また、付加部材には工場又は製作ヤード等で製作したときにプレストレスが導入されており、コンクリート部材を補強する位置では付加部材をコンクリート部材に固着して、その後に付加部材の一部を除去する作業でコンクリート部材にプレストレスを導入することができる。したがって、現場において緊張材に緊張力を導入する必要はなく、緊張材の両端部にジャッキを装着するスペースを必要としない。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のコンクリート部材の補強方法において、 前記付加部材は、抜き取り部材と、該抜き取り部材を両側から挟み込む2つの挟持部材とを備え、前記緊張材の反力は、前記抜き取り部材及び前記挟持部材を介して両端部間で伝達されるものとし、 前記抜き取り部材と2つの前記挟持部材との接触面の少なくとも一方は、前記緊張材の軸線と垂直な面に対して傾斜し、厚さが変化しており、 前記付加部材の圧縮力が導入された部分の一部を除去する工程は、前記抜き取り部材を傾斜する前記接触面で滑らせて抜き取るものとする。
【0010】
このコンクリート部材の補強方法では、付加部材の一部を構成している抜き取り部材を容易に抜き取り、緊張された緊張材の反力を付加部材から補強しようとするコンクリート部材に作用させて、コンクリート部材にプレストレスを導入することができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のコンクリート部材の補強方法において、 前記抜き取り部材と前記挟持部材とには、前記緊張材の軸線とほぼ垂直な方向にネジ穴を形成しておき、 前記付加部材の両端部を前記コンクリート部材に固着するまでは、前記ネジ穴に螺合されたボルトによって、前記抜き取り部材と前記挟持部材とにわたって当接された連結部材を締め付けて、該抜き取り部材と該挟持部材とを互いに固定しておき、 前記抜き取り部材を抜き取る工程は、前記抜き取り部材のネジ穴に螺合された前記ボルトを回転させるともに、前記連結部材を介して前記挟持部材に反力を作用させ、前記抜き取り部材を前記挟持部材間から抜き取るものとする。
【0012】
このコンクリート部材の補強方法では、付加部材に含まれている抜き取り部材を簡単な工具のみによって容易に抜き取り、緊張材の緊張力によってコンクリート部材にプレストレスを導入することができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載のコンクリート部材の補強方法において、 前記付加部材は、周面に螺状が設けられて前記緊張材の軸線方向に配置された複数のロッドと、これに螺合される雌ねじ部材とを有し、前記緊張材の反力は、前記ロッドと前記雌ねじ部材とを介して両端部間で伝達されるものとし、 前記付加部材の前記圧縮力が導入された部分の一部を除去する工程は、前記ロッド又は前記雌ねじ部材を該ロッドの軸線回りに回転させ、前記ロッドと前記雌ねじ部材とによって圧縮力を伝達する長さを短縮して該ロッドと該雌ねじ部材とを除去するものとする。
【0014】
このコンクリート部材の補強方法では、上記ロッド又は上記雌ねじ部材の回転によって該ロッドと雌ねじ部材とで圧縮力を伝達する長さが短縮される。したがって、緊張された緊張材による付加部材の圧縮力を簡単な操作で開放し、補強しようとするコンクリート部材に圧縮力を作用させることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、予めプレストレスが導入された付加部材を使用することによって、補強を行う現場で緊張材を緊張する作業が不要となり、緊張材に緊張力を導入するためのジャッキを緊張材に装着するスペースがない場合においても、コンクリート部材の補強が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るコンクリート部材の補強方法によって補強することができるコンクリート橋脚及びこれによって支持される橋桁を示す概略断面図である。
【図2】図1に示す橋脚の補強に用いられる付加部材の側面図及び平面図である。
【図3】本発明の一実施形態であって、図1に示す橋脚を補強する工程を示す概略図である。
【図4】本発明の一実施形態であって、図1に示す橋脚を補強する工程を示す概略図である。
【図5】本発明の一実施形態であって、図1に示す橋脚を補強する工程を示す概略図である。
【図6】図4に示す工程で、付加部材に用いられている抜き取り部材を抜き取る手順を示す概略図である。
【図7】図2に示す付加部材で用いることができる抜き取り部材及び挟持部材の例を示す概略断面図である。
【図8】本発明に係るコンクリート部材の補強方法において使用することができる付加部材の他の例を示す側面図及び平面図である。
【図9】本発明に係るコンクリート部材の補強方法において使用することができる付加部材の他の例を示す側面図及び平面図である。
【図10】本発明に係るコンクリート部材の補強方法において使用することができる付加部材の他の例を示す側面図及び平面図である。
【図11】本発明に係るコンクリート部材の補強方法で、補強しようとするコンクリート部材に付加部材を固着する方法の例を示す概略断面図である。
【図12】本発明に係るコンクリート部材の補強方法で、補強しようとするコンクリート部材に付加部材を固着する方法の例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るコンクリート部材の補強方法によって補強することができるコンクリート橋脚及びこれによって支持される橋桁を示す概略断面図である。また、図2は、この橋脚の補強に用いられる付加部材の側面図及び平面図である、
この橋脚1はコンクリートで形成され、支柱2の頭部から両側に張り出した桁支持部3を備えている。そして、橋桁4は2つの主桁5を有するものであり、上記桁支持部3上に支承6を介して支持されている。この橋脚1の桁支持部3には、支柱2上で大きな負の曲げモーメントが生じ、上縁付近で引張応力が生じるおそれがある。特に、橋桁4上に設けられる高欄や地覆(図示しない)の改修等で荷重が増加した場合や、設計時の想定以上に大きな活荷重が作用する場合等には、桁支持部3の上縁付近にひびわれ7が生じ易く、この部分を補強する必要が生じる。
このような橋脚1に対して、桁支持部3の上面であって、2つの主桁5間に、予めプレストレスが導入された付加部材10を固着し、この付加部材10の一部を除去して桁支持部3の上縁付近にプレストレスを導入している。
【0018】
上記付加部材10は、図1に示す2つの主桁5の対向する側面間の距離Lよりやや短い長さを有し、断面が横に長い矩形となったコンクリート部材であり、両端部付近では下方に増厚されて、橋脚1との固定部11となっている。このため橋脚1の上面に載置されたときには2つの固定部間12は、橋脚1の上面と間隔をあけて支持されるものである。この付加部材10のコンクリートは中央部で両側に分断されており、これらの間に、鋼からなる抜き取り部材13と、この抜き取り部材13を両側から挟む挟持部材14とが介挿されている。つまり、中央部で分断された一方のコンクリート部分15a、一方の挟持部材14a、抜き取り部材13、他方の挟持部材14b、他方のコンクリート部分15bの順で軸線方向に連続するように配列されている。そして、これらの軸線方向に緊張材16が配置され、プレストレスが導入されている。
【0019】
プレストレスを導入するための緊張材16には鋼棒、鋼線、鋼より線、合成樹脂繊維を用いたロッド等が用いられ、コンクリート部分15の断面の両側部に埋め込まれたシース内にそれぞれ挿通される。そして中央部の抜き取り部材13及び挟持部材14が介挿されている部分では、これら部材の両側部で露出するように配置される。これらの緊張材16に緊張力を導入し、付加部材10の両端部に定着して付加部材10の軸線方向に圧縮応力つまりプレストレスを導入している。
【0020】
上記抜き取り部材13は、付加部材10の軸線を横切る2つの面つまり挟持部材14a,14bと対向して圧縮応力が作用する面は、軸線に対して傾斜している。これらの面は傾斜した状態で平坦な面となっており、抜き取り部材13の厚さが上方で厚く、下方に近づくに従って厚さが減少するものとなっている。一方、挟持部材14a,14bも抜き取り部材13と同様に鋼からなるものであり、抜き取り部材13と対向する面が、抜き取り部材13の面に対応し、軸線に対して傾斜している。なお、上記挟持部材14のコンクリート部分15と接触する面は、軸線方向の圧縮力が伝達されるものであれば、付加部材10の軸線と垂直であっても良いし、多少傾斜するものであっても良い。
【0021】
上記抜き取り部材13と挟持部材14との接触面は、この接触面に沿った方向に相互間の滑動が生じ易いように平滑に仕上げられている。また、いずれか一方の面にフッ素樹脂等の被覆層を設けて摩擦係数を低減したものであってもよい。一方、図7に示すように、抜き取り部材13と挟持部材14とのいずれか一方の面に突出部13aを設け、互いの接触面積を小さくして作用する摩擦力を低減することもできる。
【0022】
上記抜き取り部材13と挟持部材14とのそれぞれには上面に鉛直方向のネジ穴が穿設されている。そして、鋼からなる連結部材17が抜き取り部材13と2つの挟持部材14a,14bの上面に当接されている。この連結部材17の上記ネジ穴と対応する位置には貫通孔が形成されており、これらの貫通孔に挿通し、上記ネジ穴にねじ込まれたボルト18を締め付けることによって連結部材17が抜き取り部材13と2つの挟持部材14a,14bとのいずれとも固着され、これらの抜き取り部材13と挟持部材14a,14bとを連結している。これにより、付加部材10の軸線方向にプレストレスが導入された後、該付加部材10が橋脚1上の所定の位置に固着されるまでに、抜き取り部材13が抜け出さないように拘束するものとなっている。
【0023】
上記付加部材10の両端付近の固定部11及び固定部間12のコンクリート部分には、鉛直方向に貫通孔19,20が設けられている。固定部11に設けられた貫通孔19にはアンカー部材(図2には表示しない)が挿通され、橋脚1の上面から下方に穿設されたアンカー穴に突き入れられる。そして、貫通孔19内及びアンカー穴内にモルタル等の充填材を充填し、硬化させることによって付加部材10の固定部11を橋脚1に固着するものとなっている。
【0024】
次の、上記付加部材10を用いて橋脚1を補強する工程を、図3から図5までに基づいて説明する。
補強しようとするコンクリート部材つまり橋脚1の上面には、図3(a)に示すように、付加部材10の貫通孔19,20と対応する位置に、鉛直方向のアンカー穴21,22を穿設する。
【0025】
上記アンカー穴21,22が穿設されると、図3(b)に示すように橋脚1の上面であって2つの主桁5間に付加部材10を載置し、付加部材10の貫通孔19,20と、橋脚1に設けられたアンカー穴21,22の位置を対応させる。そして、図4(a)に示すように、付加部材10の端部付近つまり固定部11に設けられた貫通孔19及びこれらの貫通孔19の下方に設けられたアンカー穴21内に上方から鋼からなるアンカーバー23を挿入する。そして、上記貫通孔19及びアンカー穴21内にモルタル24を充填し、硬化させる。これによって付加部材10の両端付近が橋脚1に固着される。
【0026】
その後、図4(b)に示すように、付加部材10の抜き取り部材13を抜き取り、挟持部材14も取り外す。上記抜き取り部材13を抜き取る工程は、例えば図6に示すように行うことができる。
まず、抜き取り部材13及び挟持部材14にねじ込まれているボルト18を緩め、図6(a)に示すように連結部材17を抜き取り部材13及び挟持部材14の上面から上方に引き上げる。そして、図6(b)に示すように挟持部材14の上面と連結部材17との間に介挿部材25を差し入れる。介挿部材25は金属片、木片等、連結部材17と挟持部材14との間隔を保持することができるものであればよい。このように連結部材17と挟持部材14との間隔が保持された状態で、図6(c)に示すように抜き取り部材13にねじ込まれているボルト18aを締め付ける方向に回転させる。これによりボルト18aは抜き取り部材13に設けられているねじ穴にねじ込まれて行くが、ボルト18aの頭部は介挿部材25を介して挟持部材14と間隔をあけて保持された連結部材17によって下方への移動が拘束される。このためボルト18aをねじ込むことによって抜き取り部材13は上方へ牽引され、挟持部材14の間から抜け出す。抜き取り部材13が上方に移動すると、挟持部材14との対向面が傾斜しているので、挟持部材14と抜き取り部材13との間が離隔され、圧縮力の伝達が遮断される。これにより、図4(b)に示す矢印のように緊張材16の反力は付加部材10の固定部11から橋脚1に伝達され、付加部材10の両端部から伝達される力によって橋脚1の上面付近にプレストレスが導入される。
【0027】
上記のように抜き取り部材13を抜き取り、挟持部材14も撤去した後、図5に示すように抜き取り部材13及び挟持部材14を取り除いた後の空間、付加部材10のコンクリート部分15と橋脚1の上面との間、及び付加部材10の固定部間12に設けられた貫通孔20と橋脚1に設けられたアンカー穴22内に無収縮コンクリート又は無収縮モルタルを打設する。このようにして、付加部材10と橋脚1とを一体に固着し、補強を完了する。
【0028】
このように橋脚1の上面にプレストレスを導入して補強する方法では、現場で緊張材16に緊張力を導入する必要がないので、付加部材10の端面は主桁5の側面と近接した位置に設定することができる。したがって、主桁5間のスペースを有効に利用して付加部材10を取り付け、広い範囲にプレストレスを導入することができる。
【0029】
上記実施の形態では、付加部材として2つに分割されたコンクリート部分15a,15bの間に一つの抜き取り部材13と二つの挟持部材14とを介挿するものであったが、図8に示すように、2つの挟持部材74と隣接する部分に鋼部材75を介挿することもできる。これらの鋼部材75は、例えば上記抜き取り部材73又は挟持部材74と同形状とすることができる。このように鋼部材75を介挿することにより、付加部材70の固定部71間における広い範囲で抜き取り部材73、挟持部材74及び鋼部材75を抜き取ることができ、次のような効果が得られる。
付加部材70にプレストレスを導入する方式としてプレテンション方式を採用したときには、固定部71及びこれにつづくコンクリート部分で緊張材76とコンクリートとが付着しており、上記抜き取り部材73等を抜き取った範囲が小さいと、この範囲における緊張材76の伸び量が小さくなっている。このため、付加部材70の固定部71間を縮小する変形が生じると固定部71間の緊張力が顕著に低下する虞がある。これに対し、広い範囲で抜き取り部材73等が抜き取られると、この範囲における緊張材76の伸び量が大きくなっており、固定部71間の距離が縮小されても橋脚つまりコンクリート部材には有効にプレストレスを導入することができる。
なお、付加部材70にプレストレスを導入する方式としてポストテンション方式を採用したときであっても、グラウト等によって緊張材と付加部材のコンクリートとが付着したものでは同様の効果が得られる。一方、挟持部材74に隣接して配置した鋼部材75は、抜き取り部材73又は挟持部材74と同形状のものに限定されるものではなく、挟持部材74の鋼部材75との接触面を緊張材76の軸線と直角にし、鋼部材75は厚さが均一な板状の部材とすることもできる。
【0030】
また、付加部材は、図9に示すようにコンクリートの固定部31と挟持部材34との間に形鋼をトラス状に組み立てた鋼枠体32を用いることができる。
このような付加部材70,30を用いたときにも、同様に補強しようとするコンクリート部材1に固定部71,31を固着し、抜き取り部材73,33を抜き取ることによって橋脚1(コンクリート部材)にプレストレスを導入することができる。
なお、上記のように一部に鋼部材75又は鋼枠体32を用いた付加部材70,30によって橋脚1にプレストレスを導入したときには、鋼部材75、鋼枠体32、抜き取り部材73,33及び挟持部材74,34を除去し、除去後のスペースのすべてにコンクリート又はモルタルを打設しても良いが、付加部材70,30の両端付近の固定部71,31間では補強の完了後に緊張材76,36が露出して張架されるものでもよい。なお、緊張材76,36が補強の完了後にも露出されるときには、緊張材として合成樹脂等によって被覆された緊張材又はアラミド繊維等を用いた合成樹脂製の緊張材等、腐食の生じない緊張材を用いるのが望ましい。
【0031】
以上に説明した実施の形態においては、補強しようとするコンクリート部材に固着した付加部材10,30,70の一部を除去する工程は、傾斜面を有する鋼製の抜き取り部材13,33,73を抜き取るものであったが、これ以外の方法を採用するものであっても良い。例えば、図10に示すように、螺状が設けられた複数のロッド43と、これに螺合される雌ねじ部材44とによって軸線方向の長さが伸縮する伸縮装置46を付加部材40に組み込んだものを用いることができる。この付加部材40を補強するコンクリート部材に固着した後、上記ロッド43と雌ねじ部材44とを含む伸縮装置46の長さを短縮して、緊張材47の緊張力を補強しようとするコンクリート部材に作用させる。
図10に示す付加部材40は、両端部がコンクリートからなる固定部41となっており、2つの固定部41,41の間に鋼枠体42と、伸縮装置46とが配列され、これらを連結するように緊張材47が配置されている。そして、緊張材47は緊張力が導入された状態で両端が固定部41,41に定着されており、反力がコンクリートの2つの固定部41,41から圧縮力として鋼枠体42及び伸縮装置46に作用している。
【0032】
上記伸縮装置46は、周面に雄ねじが形成された4本のロッド43と、これらのロッド43の一端に装着され、ロッド43の軸力を鋼枠体42又はコンクリート部分に伝達するともに、ロッド43との軸線方向の相対変位が拘束された状態でロッド43の軸線回りの回転を許容する端部材45と、上記ロッドの他端に装着され、雄ねじにねじり合わされた雌ねじ部材44と、を備えるものである。したがって、ロッド43を軸線回りに回転させることにより、雌ねじ部材44に対するロッドのねじ込み長が変動するものであり、付加部材40の固定部41をコンクリート部材に固着した後にロッド43を回転し、伸縮装置46を短縮してコンクリートの固定部41,41間から取り外すことができる。
【0033】
また、緊張材47によって大きな軸線方向の力が作用することによって上記伸縮装置46のロッド43を回転することが難しいときには、伸縮装置46の両側の部材間、図10に示す付加部材40ではコンクリートの固定部41と鋼枠体42との間に油圧ジャッキ48を介挿し、これを作動してロッド43に負荷されている軸線方向の圧縮力を軽減した状態で回転させることもできる。
【0034】
この他、付加部材として機械的なジャッキを介挿するもの、油圧ジャッキであって、油圧室内の圧力を維持したまま輸送等が可能なジャッキ等を介挿するものであっても良い。
【0035】
一方、補強するコンクリート部材に付加部材を固着するアンカー部材として、上記実施の形態では鋼からなるアンカーバー23を用いたが、この他に図11(a)に示すように鋼管の内側に高強度モルタルを充填したアンカー部材51を付加部材10の貫通孔19及びアンカー穴21に挿入し、貫通孔19及びアンカー穴21内の上記アンカー部材51の周囲にモルタル52を充填しても良い。また、図11(b)に示すようにアンカー部材として複数の鉄筋53を用いても良い。一方、図11(c)に示すように鋼棒54を用いて緊張力を導入するものであっても良い。この構造では、付加部材10の貫通孔19と対応する位置に設けたアンカー穴として、貫通孔19とほぼ同じ径の大口径穴61aと、この大口径穴の底部からさらに穿設された小口径穴61bとを設ける。小口径穴61bには鋼棒54の先端部を挿入し、グラウト材を充填して固着する。大口径穴61a内及び付加部材の貫通孔19内では上記鋼棒54はシースで被覆し、このシースで被覆された鋼棒54を埋め込むようにモルタル55を充填する。そして、モルタルの硬化後、鋼棒54に緊張力を導入し、定着具56によって貫通孔19内のモルタル55に定着する。これによりモルタル55には圧縮力が導入されて強化されるととともに、貫通孔19内のモルタル55とともに付加部材10の固定部11がコンクリート部材1に押し付けられ、固定される。
【0036】
図12(a)に示す構造は、付加部材10の貫通孔19からコンクリート部材1のアンカー穴21に連続して繊維補強高強度モルタル57を充填するものである。また、図12(b)に示すようにモルタル58内に螺旋状に曲げ加工した鉄筋59を埋め込むものであっても良い。
【0037】
また、上記実施の形態の付加部材は、ポストテンション方式によってプレストレスを導入しているが、プレテンション方式つまり、予め緊張された状態の緊張材を埋め込むようにコンクリートを打設して付加部材を製作することもできる。
さらに、本発明に係るコンクリート部材の補強方法は、以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、様々の形態で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1:橋脚(補強しようとするコンクリート部材)、 2:支柱、 3:桁支持部、 4:橋桁、 5:主桁、 6:支承、 7:ひびわれ,
10:付加部材、 11:付加部材の固定部、 12:付加部材の固定部間、 13:抜き取り部材、 14:挟持部材、 15:付加部材のコンクリート部分、 16:緊張材、 17:連結部材、 18:ボルト、 19:固定部に設けられた貫通孔、 20:固定部間に設けられた貫通孔、 21:アンカー穴、 22:アンカー穴、 23:アンカーバー(アンカー部材)、 24:モルタル、 25:介挿部材、
30:付加部材、 31:固定部、 32:鋼枠体、 33:抜き取り部材、 34:挟持部材、 36:緊張材、
40:付加部材、 41:固定部、 42:鋼枠体、 43:ロッド、 44:雌ねじ部材、 45:端部材、 46:伸縮装置、 47:緊張材、 48:油圧ジャッキ、
51:アンカー部材、 52:モルタル、 53:鉄筋、 54:鋼棒、 55:モルタル、 56:定着具、 57:繊維補強高強度モルタル、 58:モルタル、 59:螺旋状鉄筋、
61a:大口径穴、 61b:小口径穴
70:付加部材、 71:固定部、 73:抜き取り部材、 74:挟持部材、 75:鋼部材、 76:緊張材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊張力を導入した緊張材が両端部に定着され、該緊張材から作用する反力によって軸線方向に圧縮力が導入された付加部材を製作し、
該付加部材の両端部を補強しようとするコンクリート部材に固着し、
前記付加部材の前記コンクリート部材に固着された位置間で、該付加部材の前記圧縮力が導入された部分の一部を除去して前記両端部間の圧縮力の伝達を遮断し、前記緊張材の反力を前記コンクリート部材に作用させることを特徴とするコンクリート部材の補強方法。
【請求項2】
前記付加部材は、抜き取り部材と、該抜き取り部材を両側から挟み込む2つの挟持部材とを備え、前記緊張材の反力は、前記抜き取り部材及び前記挟持部材を介して両端部間で伝達されるものとし、
前記抜き取り部材と2つの前記挟持部材との接触面の少なくとも一方は、前記緊張材の軸線と垂直な面に対して傾斜し、厚さが変化しており、
前記付加部材の圧縮力が導入された部分の一部を除去する工程は、前記抜き取り部材を傾斜する前記接触面で滑らせて抜き取ることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート部材の補強方法。
【請求項3】
前記抜き取り部材と前記挟持部材とには、前記緊張材の軸線とほぼ垂直な方向にネジ穴を形成しておき、
前記付加部材の両端部を前記コンクリート部材に固着するまでは、前記ネジ穴に螺合されたボルトによって、前記抜き取り部材と前記挟持部材とにわたって当接された連結部材を締め付けて、該抜き取り部材と該挟持部材とを互いに固定しておき、
前記抜き取り部材を抜き取る工程は、前記抜き取り部材のネジ穴に螺合された前記ボルトを回転させるともに、前記連結部材を介して前記挟持部材に反力を作用させ、前記抜き取り部材を前記挟持部材間から抜き取ることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート部材の補強方法。
【請求項4】
前記付加部材は、周面に螺状が設けられて前記緊張材の軸線方向に配置された複数のロッドと、これに螺合される雌ねじ部材とを有し、前記緊張材の反力は、前記ロッドと前記雌ねじ部材とを介して両端部間で伝達されるものとし、
前記付加部材の前記圧縮力が導入された部分の一部を除去する工程は、前記ロッド又は前記雌ねじ部材を該ロッドの軸線回りに回転させ、前記ロッドと前記雌ねじ部材とによって圧縮力を伝達する長さを短縮して該ロッドと該雌ねじ部材とを除去するものであることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート部材の補強方法。
【請求項1】
緊張力を導入した緊張材が両端部に定着され、該緊張材から作用する反力によって軸線方向に圧縮力が導入された付加部材を製作し、
該付加部材の両端部を補強しようとするコンクリート部材に固着し、
前記付加部材の前記コンクリート部材に固着された位置間で、該付加部材の前記圧縮力が導入された部分の一部を除去して前記両端部間の圧縮力の伝達を遮断し、前記緊張材の反力を前記コンクリート部材に作用させることを特徴とするコンクリート部材の補強方法。
【請求項2】
前記付加部材は、抜き取り部材と、該抜き取り部材を両側から挟み込む2つの挟持部材とを備え、前記緊張材の反力は、前記抜き取り部材及び前記挟持部材を介して両端部間で伝達されるものとし、
前記抜き取り部材と2つの前記挟持部材との接触面の少なくとも一方は、前記緊張材の軸線と垂直な面に対して傾斜し、厚さが変化しており、
前記付加部材の圧縮力が導入された部分の一部を除去する工程は、前記抜き取り部材を傾斜する前記接触面で滑らせて抜き取ることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート部材の補強方法。
【請求項3】
前記抜き取り部材と前記挟持部材とには、前記緊張材の軸線とほぼ垂直な方向にネジ穴を形成しておき、
前記付加部材の両端部を前記コンクリート部材に固着するまでは、前記ネジ穴に螺合されたボルトによって、前記抜き取り部材と前記挟持部材とにわたって当接された連結部材を締め付けて、該抜き取り部材と該挟持部材とを互いに固定しておき、
前記抜き取り部材を抜き取る工程は、前記抜き取り部材のネジ穴に螺合された前記ボルトを回転させるともに、前記連結部材を介して前記挟持部材に反力を作用させ、前記抜き取り部材を前記挟持部材間から抜き取ることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート部材の補強方法。
【請求項4】
前記付加部材は、周面に螺状が設けられて前記緊張材の軸線方向に配置された複数のロッドと、これに螺合される雌ねじ部材とを有し、前記緊張材の反力は、前記ロッドと前記雌ねじ部材とを介して両端部間で伝達されるものとし、
前記付加部材の前記圧縮力が導入された部分の一部を除去する工程は、前記ロッド又は前記雌ねじ部材を該ロッドの軸線回りに回転させ、前記ロッドと前記雌ねじ部材とによって圧縮力を伝達する長さを短縮して該ロッドと該雌ねじ部材とを除去するものであることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート部材の補強方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−237144(P2012−237144A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107042(P2011−107042)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000174943)三井住友建設株式会社 (346)
【Fターム(参考)】
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