説明

コンソールリッドの開閉構造及びコンソールボックス

【課題】コンソールリッドの開閉の操作性や後部座席の居住性を損なうことなく、ボックス本体の収納能力を向上しうるコンソールリッドの開閉構造及びコンソールボックスを提供すること。
【解決手段】開口部11bを有する収納凹部11aを備えたボックス本体11に、運転者の肘掛となるコンソールリッド12が当該開口部11bを開閉するように配設されている。コンソールリッド12の開閉構造は、コンソールリッド12を、前方向にスライド移動させることで開口部11bを閉塞する閉塞位置Aに変位させるとともに、後方向にスライド移動させることで開口部11bを開放する第1開放位置B1に変位させ、且つ、この開口部11bをさらに大きく開放させるべく、当該コンソールリッド12を第1開放位置B1から後方向にスライド移動させると同時に回転移動させることで、第2開放位置B2に変位させるコンソールリッド移動手段13を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンソールリッドの開閉構造及びコンソールボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、四輪自動車等の車両において、運転席の側部であって、該車両の中央部に設けられるコンソールボックスには、車両のフロアパネルに取り付けられ、被収納物を収納するボックス本体と、該ボックス本体に設けられ、被収納物を出し入れするための開口部と、該開口部を開閉するようにボックス本体にヒンジ部材を介して回動可能に軸支されたコンソールリッドとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなコンソールボックスでは、開口部の面積は、それを閉塞するコンソールリッドの大きさによって制約されることから、ボックス本体の収納能力を高めるには、コンソールリッドを大きくする必要がある。
【特許文献1】特開2007−145250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、コンソールリッドを大きくすると、通常、コンソールリッドは運転者の肘掛としても用いられることから、その開閉時の回動半径が増大することになり、運転席後部への張り出し量が増える場合があるために後部座席の居住性が悪化するとともに、開閉操作時に上腕を大きく揚げる必要が生じ、コンソールリッド自体の開閉の操作性も低下する。
【0005】
このような事情を背景として、ボックス本体の収納能力のさらなる向上とともに、特に高齢の運転者に配慮し、運転席に着座した状態でのスムーズな開閉操作が強く要求されている現状では、コンソールボックスの設計はますます困難となりつつある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、コンソールリッドの開閉の操作性や後部座席の居住性を損なうことなく、ボックス本体の収納能力を向上しうるコンソールリッドの開閉構造及びコンソールボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、開口部を有する収納凹部を備えたボックス本体に、運転者の肘掛となるコンソールリッドが前記開口部を開閉するように配設されたコンソールリッドの開閉構造であって、前記コンソールリッドを、前方向にスライド移動させることで前記開口部を閉塞する閉塞位置に変位させるとともに、後方向にスライド移動させることで前記開口部を開放する第1開放位置に変位させ、且つ、前記開口部をさらに大きく開放させるべく、当該コンソールリッドを前記第1開放位置から後方向にスライド移動させると同時に回転移動させることで、第2開放位置に変位させるコンソールリッド移動手段が設けられていること、を要旨とする。
【0008】
同構成によれば、コンソールボックス(ボックス本体)の全長を長くすることなく、コンソールリッドを車両の後部座席側に張り出さない位置から回転移動を開始するように設定することが簡単に行えるようになり、これによりコンソールリッドの車両の後方向への回転移動及びスライド移動に伴い、ボックス本体の開口部を徐々に大きく開放させつつ、同コンソールリッドの後部座席への張り出し量を極力少なくすることができる。この結果、後部座席の居住性を損なうことなく、開口部の面積及びボックス本体の収納凹部の容量をできる限り大きく確保することが可能となる。また、これにより、コンソールリッドの大きさ・形状等のデザイン設計上の自由度が高められるようにもなる。しかも、この構成により、コンソールリッドを水平状態から後方に大きく傾斜させることなく開口部を十分に開放させることが可能となる。この結果、運転者(操作者)は、コンソールリッドを開放操作する際に、上腕を大きく揚げることなく当該開放操作を行うことが可能となるので、例えば、高齢者であっても、運転席に着座した状態でのスムーズな開閉操作が行えるようになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコンソールリッドの開閉構造において、前記開口部には、前記コンソールリッドが閉塞位置にあるときに開放される開口拡張部が拡張付加されるとともに、前記ボックス本体には、前記開口拡張部を開閉するサブリッドが回動可能に軸支されており、前記サブリッドは、前記コンソールリッドの回転移動に伴い、当該コンソールリッドとの連結に用いられる連結手段を介して回動され、前記開口拡張部を開放するように構成されていること、を要旨とする。
【0010】
同構成によれば、コンソールリッドが閉塞位置にあるときに開放される開口拡張部を開口部に拡張付加することで、ボックス本体の収納凹部の容量をさらに大きく確保できるとともに、該開口拡張部は、コンソールリッドの開閉動作と協働してサブリッドによって開閉されるので、コンソールリッド及びサブリッドの開閉操作及び収納物の出し入れの利便性が確保されており、しかも、ボックス本体の美観が損なわれることもない。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のコンソールリッドの開閉構造において、前記連結手段は、前記コンソールリッドに設けられた被係合部材と、前記サブリッドに設けられ、前記被係合部材に対して所定の移動軌跡に沿って摺動自在に係合する係合部材と、該係合部材を前記所定の移動軌跡上にて節度感を付与しつつ位置決め固定させる節度機構とを備えていること、を要旨とする。
【0012】
同構成によれば、サブリッドは、コンソールリッドに設けられた被係合部材に所定の移動軌跡に沿って摺動自在に係合する係合部材を有する連結手段の節度機構によって、当該コンソールリッドとともに所定の移動軌跡上の任意の位置にて確実に位置決め固定させることが可能となる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のコンソールリッドの開閉構造において、前記コンソールリッド移動手段は、前記コンソールリッドに対して相対回転可能に連結されるとともに、該コンソールリッドの回転移動に伴い、円弧状の移動軌跡に沿って移動する移動部材、前記コンソールリッドの前方側及び後方側にそれぞれ設けられた第1被案内部及び第2被案内部、並びに、前記ボックス本体に設けられ、前記第1被案内部及び前記第2被案内部をそれぞれ案内する第1案内部及び第2案内部を備え、前記移動部材は、前記コンソールリッドがスライド移動と同時に回転移動するときには、当該コンソールリッドに対して前記第1被案内部にて相対回転可能に連結されるとともに該第1案内部内を前記円弧状の移動軌跡に沿って移動する一方、前記コンソールリッドが前後方向にスライド移動と同時に回転移動する状態から前後方向にスライド移動のみする状態にその移動状態が変更される時点で、当該コンソールリッドとの連結が解除されるように構成されていること、を要旨とする。
【0014】
同構成によれば、コンソールリッドがボックス本体によって前後左右4点で回転移動及びスライド移動可能に支持されるようになり、その支持状態が安定化される。さらに、コンソールリッドの回転移動時には、当該コンソールリッドはリンクアームを介してボックス本体に連結されるとともに、コンソールリッドがスライド移動のみする時には、当該連結が解除されるので、ボックス本体に対する相対移動が円滑に行われるようにもなる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のコンソールリッドの開閉構造において、前記移動部材は、前記コンソールリッドを前方向及び後方向に付勢するとともに当該移動部材が前記円弧状の移動軌跡に沿って移動する途中に当該付勢方向が転換されるターンオーバースプリングを介して、前記ボックス本体に対して弾性的に連結されていること、を要旨とする。
【0016】
同構成によれば、コンソールリッドの回転移動に対して、該コンソールリッドに連結された移動部材が円弧状の移動軌跡に沿って移動する途中に付勢力の付勢方向が転換されるターンオーバースプリングのみによってアシスト力を簡単且つ確実に付与することができる。これにより、コンソールリッドの開閉操作をアシストする手段にモータ等の高価な電子部品を必要とせず、しかも、アシスト力は当該ターンオーバースプリングのみで得られるので、部品点数の削減に寄与するようにもなる。さらに、請求項4の構成と組み合わせることにより、ターンオーバースプリングによる前方向への付勢力により、コンソールリッドを開口部を完全に閉塞する方向(閉塞位置に変位する方向)にスライド移動させるアシスト力を得ることもできるので、軽い操作力でコンソールリッドの閉塞操作を確実に行えるようにもなる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、開口部を有する収納凹部を備えたボックス本体と、運転者の肘掛となるとともに、前記開口部を閉塞及び開放するように配設されたコンソールリッドとを備えたコンソールボックスであって、前記コンソールリッドを、前方向にスライド移動させることで前記開口部を閉塞する閉塞位置に変位させるとともに、後方向にスライド移動させることで前記開口部を開放する第1開放位置に変位させ、且つ、前記開口部をさらに大きく開放させるべく、当該コンソールリッドを前記第1開放位置から後方向にスライド移動させると同時に回転移動させることで、第2開放位置に変位させるコンソールリッド移動手段をさらに備え、前記開口部には、前記コンソールリッドが閉塞位置にあるときに開放される開口拡張部が拡張形成されており、前記ボックス本体には、前記コンソールリッドに対して、連結手段を介して相対変位可能に連結されるとともに、当該コンソールリッドの前記コンソールリッド移動手段による回転移動に伴って前記開口拡張部を開閉するサブリッドが回動可能に軸支されていること、を要旨とする。
【0018】
同構成によれば、コンソールリッドを車両の後部座席側に張り出さない位置から回転移動を開始するように設定することが容易に行えるようになり、これによりコンソールリッドの車両の後方向への回転移動及びスライド移動に伴い、ボックス本体の開口部を徐々に大きく開放させつつ、後部座席への張り出し量を極力少なくすることができる。この結果、後部座席の居住性を損なうことなく、開口部の面積及びボックス本体の容量をできる限り大きく確保することが可能となる。さらに、開口部にコンソールリッドが閉塞位置にあるときに開放される開口拡張部を拡張付加することで、ボックス本体の容量をさらに大きく確保できるとともに、該開口拡張部は、連結手段によりコンソールリッドの開閉動作と協働してサブリッドによって開閉されるので、ボックス本体の美観が損なわれることもない。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コンソールリッドの開閉の操作性や後部座席の居住性を損なうことなく、ボックス本体の収納能力を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。
図1(a)に示すように、四輪自動車である車両の車室内において、その前方にはインストルメントパネル2が設けられている。このインストルメントパネル2の中央部から車両の後方(後部座席)側へ延びるように、車室内のフロアパネル3上であって、運転席と助手席との間に、シフトレバー4が配設されたセンターコンソール5が配置されている。そして、該センターコンソール5の後部であって、後部座席の手前には、コンソールボックス1が配設されている。該コンソールボックス1は、運転席の運転者が着座状態で被収納物を出し入れ可能とされている。
【0021】
図1(b)に示すように、コンソールボックス1は、略矩形箱状をなすボックス本体11と、該ボックス本体11を開閉可能に配置されるとともに、運転者の肘掛となるコンソールリッド12とを備えている。
【0022】
図2及び図3に示すように、ボックス本体11には、有底四角箱状をなす収納凹部11aが内装されている。この収納凹部11aには、上端周縁部で開口する開口部11bが形成されている。また、前記コンソールリッド12は、下方に開口する有天平板箱状をなすように形成されており、前記開口部11bを開閉するように配設されている。そして、ボックス本体11は、コンソールリッド12が開放されることで、この開口部11bを介して収納凹部11a内へ道路地図や室内清掃具等の被収納物を収納及び取り出し可能となっている。
【0023】
また、図2及び図3に示すように、前記コンソールボックス1(コンソールリッド12の開閉構造)には、前記コンソールリッド12を、前方向にスライド移動させることで開口部11bを閉塞する閉塞位置Aに変位させるとともに、後方向にスライド移動させることで開口部11bを開放する第1開放位置B1に変位させ、且つ、開口部11bをさらに大きく開放させるべく、当該コンソールリッド12を第1開放位置B1から後方向に回転移動させると同時にスライド移動させることで、第2開放位置B2に変位させるコンソールリッド移動手段13が設けられている。
【0024】
前記コンソールリッド移動手段13は、移動部材としての左右(車両幅方向に)一対の円弧状のリンクアーム14(図4参照)、コンソールリッド12の前方側及び後方側縁部に各々略逆三角形状に垂下するように設けられた左右一対の第1被案内部12a及び第2被案内部12bを備えている。
【0025】
同コンソールリッド移動手段13は、図4に示すように、当該コンソールリッド12の第1被案内部12a及び第2被案内部12bを摺動自在に係合させることで同コンソールリッド12を前後方向に案内すべく、ボックス本体11の左右側壁11Aの両内面側に、前後方向に延びるように且つ対向するように凹設された左右一対の第1案内レール11c及び第2案内レール11dをさらに備えている。ここで、各第2案内レール11dは、車両の前方側で直線状に形成された直線状部分11eと、後方側で下方に開く円弧状に形成された円弧状部分11fとからなる。
【0026】
詳しくは、図2及び図3に示すように、各第1被案内部12a及び第2被案内部12bには、それぞれ、コンソールリッド12から左右方向(車幅方向)に向けて前方係合凸部12c、及び、後方係合凸部12dが凸設されており、各第1被案内部12a及び第2被案内部12bは、前方係合凸部12c及び後方係合凸部12dにて、各々第1案内レール11c及び第2案内レール11dと摺動自在に係合している。
【0027】
また、図2〜図4に示すように、前記左右側壁11Aには突設部11tが後方斜め上方に向けて突設されている。そして、各側壁11Aの前記突設部11tを含む領域には、前下方から後上方に向けて傾斜して延びる円弧状の移動軌跡Rに沿うように、且つ、前記第1案内レール11cの後方端部にその中央部にて連通するように、円弧状の案内溝11rが透設されている。そして、前記各リンクアーム14は、この案内溝11r内に摺動自在に嵌め込まれ、後述するようにコンソールリッド12に対して相対回転可能に連結されることで、同コンソールリッド12の回転移動に伴って同案内溝11r内を往復移動するようにされている。
【0028】
図4に示すように、左右一対のリンクアーム14は、各リンクアーム14が移動軌跡R(案内溝11r)に沿って移動する途中に当該付勢方向が転換される左右一対のターンオーバースプリングTs(コイル部分の中心O)を介して、ボックス本体11に対して弾性的に連結されている。
【0029】
詳しくは、図4及び図5に示すように、各ターンオーバースプリングTsの一端Tsはボックス本体11の側壁11Aの略中央位置に軸支されるとともに、その他端Tsはリンクアーム14の下端部に軸支されている。そして、リンクアーム14は、当該両端Ts,Tsが拡幅するように作用する各ターンオーバースプリングTsの付勢力(弾発力)F,−F〜F´´,−F´´(図5参照)によって、前記円弧状の案内溝11r(移動軌跡R)に沿う時計廻り方向又は反時計廻り方向に付勢されている。
【0030】
即ち、図5に示すように、各リンクアーム14は、その下端部14aが、前記案内溝11rの下端部位αに位置する状態(リンクアーム14が案内溝11rの下端に突き当たり停止した状態)と、その上端部14bが、案内溝11rの上端部位γに位置する状態(リンクアーム14が案内溝11rの上端に突き当たり停止した状態)との間を、その移動範囲を規制されつつ往復動するようにされている。各リンクアーム14は、その下端部14aが前記下端部位αに位置する状態では、その上端部14bは、前記第1案内レール11cと案内溝11rの境界点Pに位置するようになる。また、各リンクアーム14は、その上端部14bが前記上端部位γに位置する状態では、その下端部14aは、前記境界点Pよりやや後方(上方)寄りの案内溝11rの中間部位α´に位置するようになる。
【0031】
なお、各リンクアーム14の上端部14bの内面側には、前方向に開くように、第1被案内部12aの前方係合凸部12cと係合する係合凹部14Aが設けられている。そして、同係合凹部14Aは、前記境界点Pにて第1案内レール11cに連通するようにされている。
【0032】
一方、各ターンオーバースプリングTsは、リンクアーム14の下端部14aが案内溝11rの中間部位βに位置する時において、各リンクアーム14を付勢する方向を、コンソールリッド12が後方向に付勢される方向と、前方向に付勢される方向とを転換するように配設されている。なお、この中間部位βにおいては、ターンオーバースプリングTsの付勢力F´,−F´は、ほぼ正確に、移動軌跡R(案内溝11r)の法線方向(回転半径方向)に作用するので、この中間部位βは、ターンオーバースプリングTsの中立位置に対応する。
【0033】
つまり、図5に示すように、各リンクアーム14は、案内溝11r内を下端から上端に向けて時計廻りに移動するに伴い、その下端部14aが前記下端部位αから中間部位βに変位するまでは、同ターンオーバースプリングTsによる前方斜め下方の付勢力F1(=F・cosθ)に抗して移動する一方、同下端部14aが前記中間部位βから中間部位α´に変位するまでは、ターンオーバースプリングTsによる後方斜め上方の付勢力F2(=F´´・cosφ)によって付勢されて移動することになる。また、各リンクアーム14は、案内溝11r内を上端から下端に向けて反時計廻りに移動するに伴い、その下端部14aが前記中間部位α´から中間部位βに変位するまでは、同ターンオーバースプリングTsによる後方斜め上方の付勢力F2(=F・cosφ)に抗して移動する一方、同下端部14aが前記中間部位βから下端部位αに変位するまでは、ターンオーバースプリングTsによる前方斜め下方の付勢力F1(=F・cosθ)に付勢されて移動することになる。
【0034】
図2、図3及び図5に示すように、各リンクアーム14は、コンソールリッド12がスライド移動のみするときには、当該コンソールリッド12の第1被案内部12aに相対回転可能に連結されない。また、各リンクアーム14は、コンソールリッド12がスライド移動と同時に回転移動するときには、当該コンソールリッド12の第1被案内部12aに相対回転可能に連結されるとともに、案内溝11rを移動軌跡Rに沿って移動する。
【0035】
即ち、前記コンソールリッド12は、図2に示すように、閉塞位置Aと第1開放位置B1との間において前後方向にスライド移動のみするときには、リンクアーム14とは連結されない。このとき、同コンソールリッド12は、リンクアーム14を介してターンオーバースプリングTsによって付勢されることなく、各前方係合凸部12c及び後方係合凸部12dを、第1案内レール11c及び第2案内レール11dの直線状部分11eに摺動自在に係合させている。
【0036】
また、同コンソールリッド12は、図3に示すように、第1開放位置B1と第2開放位置B2との間において時計廻り及び反時計廻りに回転移動するときには、第1被案内部12aの前方係合凸部12cを、リンクアーム14の係合凹部14Aに対してボックス本体11の内側から相対回転可能に係合させている。
【0037】
そして、同コンソールリッド12は、案内溝11r内に保持されたリンクアーム14を介して、ターンオーバースプリングTsによって前方向、或いは、後方向に付勢されながら、さらに第2被案内部12bの後方係合凸部12dを、第2案内レール11dの円弧状部分11fに摺動自在に係合させることで、円弧状の移動軌跡Rに沿って滑らかに回転移動及びスライド移動する。このように、コンソールリッド12は、回転移動するときには前後方向へのスライド移動も同時に行なうようになっている。
【0038】
なお、本実施形態によれば、図2及び図3に示すように、コンソールリッド12は、開口部11bを開放する途中(各リンクアーム14の下端部14aが前記中間部位βに位置するとき)において、スライド移動のみする状態から回転移動とスライド移動を同時に行う状態に移行するので、コンソールボックス1の全長を長くすることなく、車両の後部座席側に張り出さない位置から回転移動を開始するように設定することが簡単に行えるようになる。これは、コンソールリッド12が回転移動とスライド移動を同時に行うことで、上方から見た当該コンソールリッド12の移動投影面積を小さくすることができるためである。
【0039】
このような作用効果を効果的とする為、コンソールリッド12は、閉塞位置Aと第1開放位置B1との間をスライド移動するときの前後方向の移動距離(mm)が、第1開放位置B1と第2開放位置B2との間を回転移動及びスライド移動するときの前後方向の移動距離(mm)に対して50%〜80%、好ましくは、50%〜70%の範囲に設定することが望ましい。即ち、80%を越えると、車両の後部座席側に張り出さない位置から回転移動を開始するように設定することが困難となり、50%未満であると、開口部11bの開口面積を十分に確保することが困難となる。
【0040】
またこの構成により、コンソールリッド12を水平状態から大きく傾斜させることなく開口部11bを大きく開放させることが可能となるので、運転者(操作者)は、コンソールリッド12を開放操作する際に、上腕を大きく揚げることなく当該開放操作を行うことが可能となる。このため、例えば、高齢者であっても、運転席に着座した状態でのスムーズな開閉操作が行えるようになる。
【0041】
また、図2、図3及び図5に示すように、各リンクアーム14は、コンソールリッド12が前後方向にスライド移動と同時に回転移動する状態から前後方向にスライド移動のみする状態にその移動状態が変更される時点で、当該コンソールリッド12との前記連結が解除されるように構成されている。
【0042】
即ち、図5に示すように、コンソールリッド12を第2開放位置B2から第1開放位置B1に回転移動させると、各リンクアーム14は、ターンオーバースプリングTsの付勢力に抗しつつ、案内溝11rに沿って反時計廻りに移動し、その係合凹部14Aが、第1案内レール11cに連通する。すると、第1被案内部12aの前方係合凸部12cと、当該係合凹部14Aとの係合が解除され、当該第1被案内部12aは、第1案内レール11cに移動するとともに、第2被案内部12bの後方係合凸部12dは、第2案内レール11dの円弧状部分11fから直線状部分11eに移動する。その後、コンソールリッド12は、コンソールリッド12の回転移動の慣性力によって、開口部11bを徐々に閉塞するように動作する。
【0043】
本実施形態においては、図6(a)及び図6(b)に示すように、前記ボックス本体11の収納凹部11aの開口部11bには、コンソールリッド12が閉塞位置にあるときに開放される開口拡張部11kが拡張付加されているとともに、同ボックス本体11には、当該開口拡張部11kを開閉するサブリッド15が回動可能に軸支されている(図2及び図3参照)。
【0044】
詳しくは、該サブリッド15には、平板状の本体15Aの両側縁から下方に垂下するように左右一対の隠蔽板15aが設けられており、該隠蔽板15aの後方端部には、左右一対の貫通孔15bが貫通形成されている。そして、同サブリッド15は、ボックス本体11において前記開口部11bの後方位置で上方に向けて突設された左右一対の突出枢支部11mと前記貫通孔15bとに、ボックス本体11の隠蔽板15aを貫通する左右一対の枢支ピンP1が挿通され、これにより当該ボックス本体11に回動可能に軸支されている。
【0045】
本実施形態において、前記サブリッド15は、コンソールリッド12の回転移動に伴い、同コンソールリッド12との連結に用いられる連結手段16を介して回動され、前記開口拡張部11kを開閉するように構成されている。
【0046】
図5に示すように、前記連結手段16は、コンソールリッド12に固設されたベース部材12Bに設けた複数対の節度凹部12tを有する案内凹部12gと、サブリッド15に設けられ、案内凹部12gに対して移動軌跡Cに沿って摺動自在に係合するとともに、各左右一対の節度凹部12tと節度ピン15pが係合することによって節度感を伴いつつ位置決め固定される枢支具15B(枢支凸部15c)とによって構成されている。なお、本実施形態では、節度機構は、当該節度ピン15pと複数対の節度凹部12tとによって構成されている。
【0047】
そして、図3を参照して、サブリッド15は、運転者(操作者)によってコンソールリッド12が把持され、回転移動及びスライド移動されるに伴い、当該連結手段16を介して回動され、前記開口拡張部11kを開閉するようになっている。
【0048】
詳しくは、コンソールリッド12の天板下面12fには、被係合部材としての長尺のベース部材12Bが前後方向に延びるように一体的に固設されている。そして、該ベース部材12Bの側部から下方に垂下するように左右一対の側板12Aが設けられ、該側板12Aの両内面には、予め設定した所定の移動軌跡Cに沿うように且つ対向するように左右一対の案内凹部12g(図2及び図3参照)が凹設されている。
【0049】
図2及び図3を参照して、各案内凹部12gは、その前端位置12gから中間位置12gまでは上方に開いた円弧状部分12rとされるとともに、該中間位置12gから後端位置12gまでは前後方向に延びる直線状部分12sとされている。そして、各案内凹部12g内には、所定間隔にて複数対の節度凹部12tが整列状態で凹設されている。
【0050】
また、図6(b)に示すように、前記サブリッド15の前方部位には、枢支具(ブラケット)15Bが着設されており、該枢支具15Bに上方に凸設された左右一対の枢支凸部15cには、係合部材としての左右一対の節度ピン15pが図示しないばね部材を介して車幅方向に向けて出没自在に装着されている。
【0051】
そして、該サブリッド15は、節度ピン15pを、一対の案内凹部12gの間に摺動自在に跨設させるとともに、各節度凹部12tに節度感を伴って係脱自在に係合させることで、コンソールリッド12に連結された状態で、前記案内凹部12g内を前記移動軌跡Cに沿って当該コンソールリッド12に対して相対変位し(サブリッド15自身は前後方向にスライド移動しない)、開口拡張部11kを開閉するようになっている。
【0052】
なお、前述したように、各案内凹部12gが上方に開いた円弧状部分12rを備えているのは、コンソールリッド12が、サブリッド15によって、いわば移動範囲を規制されつつ回転移動する際に、円弧状部分12rにおいてコンソールリッド12を上方に持ち上げることにより、当該サブリッド15への接触を回避してスムーズな開閉操作を実現するためである。
【0053】
また、本実施形態では、コンソールリッド12は、サブリッド15、及び、連結手段16における前記節度機構を用いて、前記所定の移動軌跡C上の任意の位置(節度凹部12t)においてボックス本体11に対して確実に位置決め固定させることが可能となっている。
【0054】
即ち、コンソールリッド12は、この連結手段16により、前記閉塞位置A、第1開放位置B1、第2開放位置B2において、節度ピン15pと、当該各位置に対応する節度凹部12tによって係止固定することができるようになっている。
【0055】
なお、本実施形態では、図6(a)に示すように、コンソールリッド12の前端面には、プッシュボタン12pが装着されている(図2及び図3参照)。このプッシュボタン12pは、コンソールリッド12を閉塞位置Aにスライド移動させることで、当該コンソールリッド12に出没自在に設けたロックピンをボックス本体11に凹設したロック穴に係合させて自動的にロック状態とし、同コンソールリッド12を当該閉塞位置Aに保持する従来周知の構成のロック機構に設けられたものである。そして、このプッシュボタン12pをコンソールリッド12の内部へ向けて押し込むことにより、前記ロック状態が解除されるとともに、当該コンソールリッド12の前記閉塞位置Aからの移動規制(閉塞位置Aにおける固定)が解除されるようになっている。
【0056】
このプッシュボタン12pの操作によってコンソールリッド12の移動規制を解除する場合、プッシュボタン12pを押圧する方向は後方向であり、コンソールリッド12を閉塞位置Aから第1開放位置B1に移動させる場合のスライド移動方向と一致する。よって、プッシュボタン12pを押圧するための操作力を利用して、コンソールリッド12をスライド移動させることも可能となっている。なお、この操作力は、ターンオーバースプリングTsに基づく抵抗力(図5の付勢力F1)を解消するに足りるものとなる。
【0057】
本実施形態のコンソールボックス1は、以上のように構成されており、以下その開閉操作方法について具体的に説明する。
図7に示す状態において、コンソールリッド12は、ボックス本体11の開口部11bを完全に閉塞した閉塞位置Aに位置している。
【0058】
この状態では、図2を参照して、コンソールリッド12の各第1被案内部12a及び第2被案内部12bは、それぞれ、第1案内レール11cの前方端部11c1及び第2案内レール11dの前方端部11d1に位置する。さらに、サブリッド15に設けられた節度ピン15pは、案内凹部12gの後方端部に位置する節度凹部12tに係止されており、コンソールリッド12は、当該節度機構によって閉塞位置Aにて位置決め固定されている。また、このとき、コンソールリッド12は、前記ロック機構によって同閉塞位置Aにてロック状態とされている。なおこのとき、図5を参照して、リンクアーム14は、コンソールリッド12と連結されることなく、ターンオーバースプリングTsによって反時計廻りに付勢され、案内溝11r内の下端にて安定に保持されている。そして、各リンクアーム14の係合凹部14Aは、第1案内レール11cと連通している。また、この状態では、ボックス本体11の開口拡張部11kは、サブリッド15によって閉塞されている。
【0059】
そして、上記図7に示す状態から図8に示す状態にコンソールリッド12を開放操作すべく、プッシュボタン12pを後方向に押圧すると、前記ロック状態が解除され、同コンソールリッド12は、前記閉塞位置Aから、開口部11bの前方領域を開放する第1開放位置B1にスライド移動する。
【0060】
これに伴い、図2を参照して、コンソールリッド12の各第1被案内部12aは、第1案内レール11cの後方端部(境界点P)まで移動すると、案内溝11rの下端に保持されている各リンクアーム14の係合凹部14Aに係合するようになる(図5参照)。そして、コンソールリッド12とリンクアーム14とが連結されるとともに、コンソールリッド12の各第2被案内部12bは、第2案内レール11dの直線状部分11eの後方端部に位置する。さらに、サブリッド15に設けられた節度ピン15pは、案内凹部12gの中間位置12g2における節度凹部12tに係止され、コンソールリッド12は、当該節度機構によって第1開放位置B1にて位置決め固定される。また、この状態では、ボックス本体11の開口拡張部11kは、依然としてサブリッド15によって閉塞されている。
【0061】
さらに、上記図8に示す状態から図9に示す状態にコンソールリッド12を上方に引き上げつつ開放操作すると、同コンソールリッド12は、開口部11bがさらに大きく開放されるように上方に回転移動及びスライド移動し、前記第1開放位置B1から、開口部11bの後方領域まで開放した第2開放位置B2に変位するようになる。このとき、コンソールリッド12は、各リンクアーム14の下端部14aが案内溝11rの中間部位βに到達するまでは、ターンオーバースプリングTsによる付勢力F1(図5参照)に抗して移動する一方、中間部位βを過ぎた後は、ターンオーバースプリングTsによる付勢力F2(図5参照)に付勢されて移動することになる。このため、操作者はコンソールリッド12の開放操作の途中でやや抵抗感を感じる操作感覚から、軽い操作感覚となる変化を覚えるようになる。
【0062】
この状態では、図3及び図5を参照して、コンソールリッド12の各第1被案内部12aの前方係合凸部12cは、リンクアーム14の係合凹部14Aに係合された状態で案内溝11rの上端部位γに位置するとともに、コンソールリッド12の各第2被案内部12bは、第2案内レール11dの後方端部に位置する。さらに、サブリッド15に設けられた節度ピン15pは、案内凹部12gの前端位置12g1における節度凹部12tに係止され、コンソールリッド12は、当該節度機構によって第1開放位置B1にて位置決め固定される。
【0063】
このように、コンソールリッド12が第1開放位置B1から第2開放位置B2となるように開放操作されるとき、図3及び図5を参照して、各リンクアーム14は、コンソールリッド12の回転移動及びスライド移動に伴って、コンソールリッド12の各第1被案内部12aに係合された状態で、案内溝11r内を後方斜め上部に移動するとともに、ターンオーバースプリングTsによって時計廻りに付勢され、同案内溝11rの上端に安定に保持されるようになる。またこれに伴い、開口拡張部11kは、サブリッド15によって次第に大きく開放されるようになる。
【0064】
一方、上記図9に示す状態から図8に示す状態にコンソールリッド12を下方に押し下げつつ閉塞操作すると、同コンソールリッド12は、開口部11bが閉塞されるように下方に回転移動及びスライド移動し、前記第2開放位置B2から第1開放位置B1に変位するようになる。このとき、コンソールリッド12は、各リンクアーム14の下端部14aが案内溝11rの中間部位βに到達するまでは、ターンオーバースプリングTsによる付勢力F2(図5参照)に抗して移動する一方、中間部位βを過ぎた後は、ターンオーバースプリングTsによる付勢力F1(図5参照)に付勢されて移動することになる。このため、操作者はコンソールリッド12の閉塞操作の途中でやや抵抗感を感じる操作感覚から、軽い操作感覚になる変化を覚えるようになる。
【0065】
また、これに伴い、ボックス本体11の開口拡張部11kは、サブリッド15によって次第に閉塞され、コンソールリッド12が第1開放位置B1に到達した時点でサブリッド15によって完全に閉塞されるようになる。
【0066】
さらに、上記図8に示す状態から図7に示す状態にコンソールリッド12を前方にスライド移動させ、閉塞操作を行うと、同コンソールリッド12は、前記第1開放位置B1から、閉塞位置Aにスライド移動し、前記ロック機構によって同閉塞位置Aにおいて自動的にロック状態となる。
【0067】
このとき、図2を参照して、コンソールリッド12の各第1被案内部12aは、第1案内レール11cの後方端部(境界点P)において、案内溝11rの下端に保持されている各リンクアーム14の係合凹部14Aからの係合が解除される(図5参照)。このように、コンソールリッド12は、リンクアーム14との連結が解除され、当該リンクアーム14を介してターンオーバースプリングTsから付勢力を付与されることなく、自身の回転移動の慣性力によって、開口部11bを徐々に閉塞するように前方に滑らかにスライド移動する。
【0068】
またこのとき、ボックス本体11の開口拡張部11kは、サブリッド15によって完全に閉塞された状態のままとなっている。
このように、図3を参照して、このコンソールリッド12の開閉操作に伴う回転移動及びスライド移動、及び、リンクアーム14の案内溝11r内における往復動に同期するように、サブリッド15が前記連結手段16を介して当該コンソールリッド12とともにボックス本体11に対して回動し、開口部11bに付加された開口拡張部11kが開閉されるようになる。
【0069】
本実施形態のコンソールボックス1(コンソールリッド12の開閉構造)によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)コンソールリッド12を、開口部11bを開放する途中において、スライド移動のみする状態から回転移動とスライド移動を同時に行う状態に移行させるようにしているので、コンソールボックス1(ボックス本体11)の全長を長くすることなく、コンソールリッド12を車両の後部座席側に張り出さない位置から回転移動を開始するように設定することが簡単に行えるようになる。そしてこれにより、コンソールリッド12の車両の後方向への回転移動及びスライド移動に伴い、ボックス本体11の開口部11bを徐々に大きく開放させつつ、同コンソールリッド12の後部座席への張り出し量を極力少なくすることができる。この結果、後部座席の居住性を損なうことなく、開口部11bの面積及びボックス本体11の収納凹部11aの容量をできる限り大きく確保することが可能となる。また、これにより、コンソールリッド12の大きさ・形状等のデザイン設計上の自由度が高められるようにもなる。しかも、この構成により、コンソールリッド12を水平状態から後方に大きく傾斜させることなく開口部11bを十分に開放させることが可能となる。この結果、運転者(操作者)は、コンソールリッド12を開放操作する際に、上腕を大きく揚げることなく当該開放操作を行うことが可能となるので、例えば、高齢者であっても、運転席に着座した状態でのスムーズな開閉操作が行えるようになる。
【0070】
(2)コンソールリッド12が閉塞位置Aにあるときに開放される開口拡張部11kを開口部11bに拡張付加することで、ボックス本体11の収納凹部11aの容量をさらに大きく確保できるとともに、該開口拡張部11kは、コンソールリッド12の開閉動作と協働してサブリッド15によって開閉されるので、コンソールリッド12及びサブリッド15の開閉操作及び収納物の出し入れの利便性が確保されており、しかも、ボックス本体11の美観が損なわれることもない。
【0071】
(3)サブリッド15は、コンソールリッド12に設けられた長尺のベース部材12Bに所定の移動軌跡Cに沿って摺動自在に係合する節度ピン15pを有する連結手段16の節度機構によって、当該コンソールリッド12とともに所定の移動軌跡C上の任意の位置(節度凹部12t)で確実に位置決め固定させることが可能となる。
【0072】
(4)コンソールリッド12がボックス本体11によって前後左右4点(前方係合凸部12c及び後方係合凸部12d)で回転移動及びスライド移動可能に支持されるようになり、その支持状態が安定化される。さらに、コンソールリッド12の回転移動時には、当該コンソールリッド12はターンオーバースプリングTsによって付勢力が付与されたリンクアーム14を介してボックス本体11に弾性的に連結されるとともに、コンソールリッド12がスライド移動のみする時には、当該連結が解除されるので、コンソールリッド12は、回転移動時にはターンオーバースプリングTsの付勢力を有効に利用しつつ、ボックス本体11に対して円滑に相対移動することができるようになる。
【0073】
(5)コンソールリッド12の回転移動に対して、該コンソールリッド12に連結されたリンクアーム14が円弧状の移動軌跡Rに沿って移動する途中に付勢力の付勢方向が転換される左右一対のターンオーバースプリングTsのみによってアシスト力を簡単且つ確実に付与することができる。これにより、コンソールリッド12の開閉操作をアシストする手段にモータ等の高価な電子部品を必要とせず、しかも、アシスト力は当該ターンオーバースプリングTsのみで得られるので、部品点数の削減に寄与するようにもなる。さらに、ターンオーバースプリングTsによる前方向への付勢力により、コンソールリッド12を開口部11bを完全に閉塞する方向(閉塞位置Aに変位する方向)にスライド移動させるアシスト力を得ることもできるので、軽い操作力でコンソールリッド12の閉塞操作を確実に行えるようにもなる。
【0074】
尚、上記実施形態は以下のように変形してもよい。
・上記実施形態では、開口拡張部11kを開閉するサブリッド15は、ボックス本体11に回動可能に軸支するように構成した。しかしこれに限られず、同サブリッド15は、開口拡張部11kを開閉する際に、ボックス本体11に対してスライド移動可能に配設することもできる。
【0075】
・上記実施形態では、コンソールリッド12は、第1開放位置B1からさらに大きく開口部11bを開閉する際に、時計廻りに回転移動するように構成した。しかしこれに限られず、反時計廻りに回転移動するように構成することも可能である。これによっても上記実施形態同様、コンソールリッド12を車両の後部座席側に張り出さない位置から回転移動を開始するように設定することが容易に行えるようになる。
【0076】
・上記実施形態では、コンソールリッド移動手段は、コンソールリッド12側に設けた第1被案内部12a及び第2被案内部12bと、これらに摺動自在に係合させるべくボックス本体11側に設けた左右一対の第1案内レール11c及び第2案内レール11dとによって構成した。しかしこれに限られず、同コンソールリッド移動手段は、ボックス本体11側に設けた第1被案内部及び第2被案内部と、これらに摺動自在に係合させるべく、コンソールリッド12側の左右両側に設けた左右一対の第1案内レール及び第2案内レールとによって構成することも可能である。
【0077】
・上記実施形態では、連結手段16は、コンソールリッド12に固設されたベース部材12Bに設けられた複数対の節度凹部12tと、サブリッド15に設けられ、案内凹部12gに対して移動軌跡Cに沿って摺動自在に係合するとともに、各左右一対の節度凹部12tと節度ピン15pが係合することによって節度感を伴いつつ位置決め固定される枢支具15Bとによって構成した。しかしこれに限られず、同連結手段16は、サブリッド15に複数対の節度凹部を設けるとともに、該各左右一対の節度凹部に対して移動軌跡Cに沿って摺動自在に係合する左右一対の節度ピンをコンソールリッド12に設けることによって構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】(a)は車両室内のコンソール及びその近傍を示す斜視図、(b)は、コンソールボックス及びその開閉状態を簡単に示す斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係るコンソールリッドによるボックス本体の収納凹部(開口部)の開閉動作(閉塞位置と第1開放位置との間の開閉操作)を示す図。
【図3】本発明の実施形態に係るコンソールリッドによるボックス本体の収納凹部(開口部)の開閉動作(第1開放位置と第2開放位置との間の開閉操作)を示す図。
【図4】本発明の実施形態に係るコンソールボックスのボックス本体の収納凹部、並びに、ボックス本体に対するターンオーバースプリング及びリンクアームの取り付け状態を示す斜視図。
【図5】本発明の実施形態に係るターンオーバースプリング及びリンクアームの動作を詳細に示す図。
【図6】(a)は本発明の実施形態に係るコンソールボックスの斜視分解図、(b)はサブリッドの組立完成図。
【図7】本発明の実施形態に係るコンソールリッドがボックス本体に対して閉塞位置にある状態を示す斜視図。
【図8】本発明の実施形態に係るコンソールリッドがボックス本体に対して第1開放位置にある状態を示す斜視図。
【図9】本発明の実施形態に係るコンソールリッドがボックス本体に対して第2開放位置にある状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0079】
1…コンソールボックス、11…ボックス本体、11b…開口部、11k…開口拡張部、12…コンソールリッド、13…コンソールリッド移動手段、A…閉塞位置、B1…第1開放位置、B2…第2開放位置、R…円弧状の移動軌跡、C…所定の移動軌跡。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する収納凹部を備えたボックス本体に、運転者の肘掛となるコンソールリッドが前記開口部を開閉するように配設されたコンソールリッドの開閉構造であって、
前記コンソールリッドを、前方向にスライド移動させることで前記開口部を閉塞する閉塞位置に変位させるとともに、後方向にスライド移動させることで前記開口部を開放する第1開放位置に変位させ、且つ、前記開口部をさらに大きく開放させるべく、当該コンソールリッドを前記第1開放位置から後方向にスライド移動させると同時に回転移動させることで、第2開放位置に変位させるコンソールリッド移動手段が設けられていることを特徴とするコンソールリッドの開閉構造。
【請求項2】
請求項1に記載のコンソールリッドの開閉構造において、
前記開口部には、前記コンソールリッドが閉塞位置にあるときに開放される開口拡張部が拡張付加されるとともに、前記ボックス本体には、前記開口拡張部を開閉するサブリッドが回動可能に軸支されており、
前記サブリッドは、前記コンソールリッドの回転移動に伴い、当該コンソールリッドとの連結に用いられる連結手段を介して回動され、前記開口拡張部を開放するように構成されていることを特徴とするコンソールリッドの開閉構造。
【請求項3】
請求項2に記載のコンソールリッドの開閉構造において、
前記連結手段は、前記コンソールリッドに設けられた被係合部材と、前記サブリッドに設けられ、前記被係合部材に対して所定の移動軌跡に沿って摺動自在に係合する係合部材と、該係合部材を前記所定の移動軌跡上にて節度感を付与しつつ位置決め固定させる節度機構とを備えていることを特徴とするコンソールリッドの開閉構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のコンソールリッドの開閉構造において、
前記コンソールリッド移動手段は、前記コンソールリッドに対して相対回転可能に連結されるとともに、該コンソールリッドの回転移動に伴い、円弧状の移動軌跡に沿って移動する移動部材、前記コンソールリッドの前方側及び後方側にそれぞれ設けられた第1被案内部及び第2被案内部、並びに、前記ボックス本体に設けられ、前記第1被案内部及び前記第2被案内部をそれぞれ案内する第1案内部及び第2案内部を備え、
前記移動部材は、前記コンソールリッドがスライド移動と同時に回転移動するときには、当該コンソールリッドに対して前記第1被案内部にて相対回転可能に連結されるとともに該第1案内部内を前記円弧状の移動軌跡に沿って移動する一方、前記コンソールリッドが前後方向にスライド移動と同時に回転移動する状態から前後方向にスライド移動のみする状態にその移動状態が変更される時点で、当該コンソールリッドとの連結が解除されるように構成されていることを特徴とするコンソールリッドの開閉構造。
【請求項5】
請求項4に記載のコンソールリッドの開閉構造において、
前記移動部材は、前記コンソールリッドを前方向及び後方向に付勢するとともに当該移動部材が前記円弧状の移動軌跡に沿って移動する途中に当該付勢方向が転換されるターンオーバースプリングを介して、前記ボックス本体に対して弾性的に連結されていることを特徴とするコンソールリッドの開閉構造。
【請求項6】
開口部を有する収納凹部を備えたボックス本体と、運転者の肘掛となるとともに、前記開口部を閉塞及び開放するように配設されたコンソールリッドとを備えたコンソールボックスであって、
前記コンソールリッドを、前方向にスライド移動させることで前記開口部を閉塞する閉塞位置に変位させるとともに、後方向にスライド移動させることで前記開口部を開放する第1開放位置に変位させ、且つ、前記開口部をさらに大きく開放させるべく、当該コンソールリッドを前記第1開放位置から後方向にスライド移動させると同時に回転移動させることで、第2開放位置に変位させるコンソールリッド移動手段をさらに備え、
前記開口部には、前記コンソールリッドが閉塞位置にあるときに開放される開口拡張部が拡張形成されており、
前記ボックス本体には、前記コンソールリッドに対して、連結手段を介して相対変位可能に連結されるとともに、当該コンソールリッドの前記コンソールリッド移動手段による回転移動に伴って前記開口拡張部を開閉するサブリッドが回動可能に軸支されていることを特徴とするコンソールボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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