説明

コンテナを検査する方法と装置

コンテナの移動の間にコンテナを検査する方法は、スプレッダーバーを介してクレーンをコンテナに接続するステップと、コンテナの検査ポートにプローブが係合するようにさせるステップと、コンテナを検査するステップと、を含む。前記プローブはイメージングプローブ、カメラ、あるいはコンテナの中身を検査するための別の装置としうる。プローブは遮蔽され、プローブあるいはその遮蔽体は、引き込み式のポートシールのばね弾圧されたマウントを外すに十分な力で検査ポートへ進入しうる。検査ポートはコンテナの側壁に位置させてもよい。プローブによる発見に基づいてコンテナは更に別の検査によって識別されてもよい。コンテナを検査する装置、検査のためにコンテナを適合させる方法、およびコンテナの検査を促進するためにコンテナに適合しうる装置も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連特許出願の相互参照)
本特許出願は、2007年3月9日に出願され、現在出願中の米国仮特許出願第60/905,825号、および2006年12月14日出願され、現在出願中の米国仮特許出願第60/874,728号の優先権を主張するものである。これらの米国特許出願第60/905,825号および同第60/874,728号の内容は参照することによりその全体を本明細書に取り込む。
【0002】
本特許出願はコンテナの検査に関し、詳しくはクレーンのスプレッダーバー(spreader bar)に装着されたプローブによってコンテナを検査する方法および装置、更にはプローブを進入させるような形態とされたコンテナにおける開口に関するものである。
【背景技術】
【0003】
2002年のコンテナ安全保障構想(Container Security Initiative)に関連した2002年の海事保安法(Maritime Transportation Security Act)は米国の港湾に入港するコンテナに入れられた貨物は爆発装置および原子力装置(nuclear device)に関連して潜在的に危険性のある貨物について選別されることを要求している。
【0004】
現在、毎年960万個以上の海上輸送コンテナが300箇所以上の米国の海港に到来している。これらのコンテナの中5%以下がその中身を選別されている。疑わしい貨物を入れたコンテナ、積荷目録、原産地などのみが検査されている。2007年1月から発効して、米国の港に入港する全てのコンテナが選別されることが要求されている。
【0005】
これらの構想の結果、各種のX線装置あるいは化学的な匂い探知装置を利用した、貨物の選別を可能とする数種の技術が開発されてきた。数種の技術が利用可能である一方、検査工程を全て網羅し、かつそれに対する完璧な解決方法を提供すると証明された装置は何らない。現在の選別装置の全てはX線像あるいは化学的分析を提供するが、危険性のある中身をより正確に評価し、かつ識別することのできるコンテナの貨物の実際の画像を提供していない。更に、視野が優れており、かつごみや塵がコンテナに入ることができないようにされている本明細書における開示のように、検査のために側部からコンテナに進入していくものは現在の選別装置では何もない。
【0006】
現在の選別装置は永久的な施設であるか、あるいは積み下ろし作業の間、意図的に船舶に近接した区域内に位置される可動装置のいずれかである。これらの装置の主要な欠点はコスト的に高価であることであり、積み下ろし過程において結果的に遅れが出ることである。一隻の船舶の積み下ろしに4基ものクレーンが使用されることは稀ではない。使用されるクレーンの基数によるが、7,500TEUのコンテナ船から一時間当たり約350個のコンテナを積み下ろし、10−12時間で当該船舶の積み下ろしを完全に行うことが可能である。しかしながら、X線装置における現状の技術ではX線装置は一時間当たり最大90個の選別が可能であり、かつ匂い探知装置についても同様の遅れが発生し、危険性のある貨物を識別するに十分な大きさのサンプルを取得するのに長時間を要する。この結果、装置(units)の選別待ちの膨大な滞貨が生じ、倉庫行きの、あるいは港湾ターミナルを出発する装置(units)の移動工程(movement process)を大きく阻害する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,936,820号公報
【特許文献2】米国特許出願第2006/0226998号公開公報
【0008】
貨物コンテナの検査に対して多数の技術が開発されてきた。例えば、米国特許第6,936,820号公報はクレーンによって持ち上げられている従来の貨物コンテナを検査する貨物コンテナ検査装置を開示している。同様に、米国特許出願第2006/0226998号公開公報(U.S.Patent Application No.2006/0226998)は隠蔽された安全上の脅威(security threat)を検出するシステム、方法および装置を指向している。しかしながら、現在の技術によって提起されている懸念を払拭しながらコンテナに収容された貨物を検査する方法と装置に対する必要性が残存している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主題は貨物を可視検査し、かつそのコンテナの側部から貨物を検査する以下に述べる方法と装置を教示することによって前述の懸念事に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主題はコンテナの移動の間にコンテナを検査する方法に関するものである。本方法は、スプレッダーバーを介しクレーンをコンテナに接続するステップと、コンテナにある検査ポートを介してイメージングプローブがコンテナへ入るようにさせるステップと、コンテナの中身を形像する(imaging)ステップと、を含む。イメージングプローブはカメラ、赤外線カメラ、超音波撮像装置(ultrasonic imager)、音波撮像装置(sonic imager)、あるいはその他いずれかのタイプ部のイメージングプローブでよい。イメージングプローブあるいは別の要素は引き込み式のポートシール(retractable port seal)のばね弾圧されたマウントを外すに十分な力で検査ポートへ進入しうる。本方法は、更に検査をするためにコンテナを識別するステップを含みうる。本発明はまた、コンテナの中身を照らすステップも含みうる。
【0011】
本発明の主題の他の局面は、スプレッダーバーを介してクレーンをコンテナに接続するステップと、コンテナの側部に配置した検査ポートを介してコンテナにプローブが入るようにするステップと、コンテナを検査するステップと、を含む、コンテナの移動中(during transfer)にコンテナを検査する方法に関するものである。プローブはカメラ、化学的試料採集器(chemical sampler)、X線プローブ、匂い探知器(sniffer)、ガンマ線検出器、音波試料採集器(sonic sampler)、超音波プローブ、赤外線カメラ、超音波撮像装置、音波撮像装置、あるいはその他のいずれかのタイプのプローブでもよい。プローブあるいはその他の要素は引き込み式のポートシールのばね弾圧されたマウントを外すに十分な力で検査ポートに進入しうる。本方法は、更なる検査を行うためにコンテナを識別するステップを含みうる。本方法は、コンテナの中身を照らすステップを含みうる。
【0012】
本発明の主題はコンテナの移動中の検査にコンテナを適合させる方法にも関するものである。本方法は、コンテナの側壁に開口を形成するステップと、側壁に前記開口においてばね弾圧されたマウントを取り付けるステップと、ばね弾圧されたマウントに引き込み式のポートシールを取り付けるステップと、を含む。前記開口は、ドリル加工、フライス加工、切断、レーザ切断、アーク切断、鋸引き、せん断あるいは穿孔作業によって形成してもよい。ばね弾圧されたマウントは直接ボルト締め、リベット止め、マウントブロックを介してのボルト締め、および(または)各種の溶接によって取り付けてもよい。
【0013】
本発明の主題は更にコンテナの移動の間(during transit)にコンテナを検査する装置に関するものである。本装置はクレーンのスプレッダーバーに枢着された配置アーム(deployment arm)と、該配置アームに取り付けられたイメージングプローブを含む。配置アームはベースを介してスプレッダーバーに取り付けてもよい。本装置は配置アームおよびベースに、あるいは配置アームおよびイメージングプローブに接続された駆動装置であって、引き込み式のポートシールのばね弾圧されたマウントを外すに十分な力を提供する形態とされた駆動装置を含みうる。イメージングプローブはカメラ、赤外線カメラ、超音波撮像装置、音波撮像装置、あるいはその他いずれかのタイプのイメージングプローブでよい。本装置は前記イメージングプローブのための保護カバーであって、引き込み式のポートシールのばね弾圧されたマウントを外すと引き込み可能である保護カバーを含みうる。
【0014】
本発明の主題はまた、輸送中にコンテナの検査を促進する装置にも関するものである。本装置は、コンテナの側壁にその開口において取り付けられるばね弾圧されたマウントと、該ばね弾圧されたマウントに取り付けられた引き込み式のポートシールを含む。本装置は、前記の引き込み式のポートシールの外面に取り付けられた接触プレートであって、プローブを整合させる印を含む接触プレートを含みうる。本装置は、前記開口に取り付けられ、かつそれを囲繞するシールリングを含みうる。本装置は、前記のばね弾圧されたマウントと壁との間に取り付けられ、前記壁に取り付けるためのボルトを受け入れる形状とされた取り付けブロックを含みうる。本装置は、十分な力で衝撃を受けなければ引き込み式のポートシールをコンテナの側壁と係合した状態に保つように構成されたばねを含みうる。ばね弾圧されたマウントは引き込み式のポートシールに取り付けらればね弾圧された円筒形ヒンジを含み得る。本装置は、前記と同じ壁あるいは異なる壁における第二の開口においてコンテナに取り付けられた第二のばね弾圧されたマウントと、第二のばね弾圧されたマウントに取り付けられた第二の引き込み式のポートシールを含みうる。
【0015】
更に、本発明の主題はコンテナの移動中にコンテナを検査する装置に関するものである。本装置はクレーンのスプレッダーバーに取り付けられたベースと、該ベースに枢着された配置アームと、該配置アームに取り付けられたプローブと、コンテナの壁にその開口において取り付けられたばね弾圧されたマウントと、該ばね弾圧されたマウントに取り付けられた引き込み式のポートシールと、十分な力で衝撃を加えられなければ前記の引き込み式のポートシールをコンテナの壁と係合した状態を保つように構成されたばねとを含む。前記プローブはイメージングプローブでよい。ばね弾圧されたマウントはコンテナの側壁に取り付けてもよい。
【0016】
本発明の主題はまた、コンテナの移動中に行われる検査を受けるように予め設計されたコンテナに関するものである。該コンテナは、開口を有する少なくとも1個の側壁と、該側壁にその開口において取り付けられたばね弾圧されたマウントと、該ばね弾圧されたマウントに取り付けられた引き込み式のポートシールを含む。
【0017】
本発明の主題は更に、コンテナの移動の間にコンテナを検査するシステムであって、コンテナを形像する手段(means for imaging)と、引き込み式のポートシールのばね弾圧されたマウントを外すに十分な力でコンテナの検査ポートに前記形像手段(imaging means)を係合させる手段とを含むシステムに関するものである。
【0018】
本発明の主題はまた、コンテナを検査に適合させるシステムであって、コンテナの側壁に開口を形成する手段と、ばね弾圧されたマウントを前記側壁に前記開口において取り付ける手段と、引き込み式のポートシールをばね弾圧されたマウントに取り付ける手段とを含むシステムに関するものである。
【0019】
一般的に、プローブ装置、特に、例えばカメラやその他のデジタル装置のようなイメージングプローブをクレーンのスプレッダーバーに装着させ、コンテナの中へ進入させるという提案された概念は結果的に他のカメラ装置よりもコスト効果的な検査手段をもたらし、かつ数々の明らかな利点を提供する。非限定的な例として、いずれの装置も実施するときの主要な検討事項はコンテナを積み下ろすときに経験する遅れのことである。コンテナの処理量は積み下ろし過程の間絶えずモニターされる。関節運動アーム上でプレッダーバーにプローブを装着させることにより、プローブは、コンテナが船倉から持ち上げられ、障害物を越えると直ちに適所まで旋回させることができる。クレーンが装置(unit)を降下させるにつれてコンテナが検査される。理想的には、装置が地上に到達し、かつ(または)トレーラ上に置かれる時までに検査は完了可能であり、遅れは排除できる。尤も前述した方法により、より長時間の検査も実行することができる。
【0020】
頂部、底部あるいは隅部も考えられるが、好ましくはコンテナの側部に検査ポートを装着するという概念は二重の目的に役立ち、かつそれ自体の明白な利点を提供する。プローブがコンテナの内部に入りうるようにすることによってより正確な読み取りを可能とし、かつ操作者がコンテナの中身をX線像でなくリアルに見ることができるようにする。更に、もしもコンテナが疑わしい貨物の読み取りを示すとすれば、検査ポートにアクセスでき、それによって当該装置(unit)を開放するとか、また検査担当者を危険に陥れることなくその他のプローブあるいはその他の装置を当該装置(unit)に挿入して更に細部検査ができるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】プローブがコンテナと係合していない場合の、本発明の開示による、移動中にコンテナを検査する装置の一実施例を示す。
【図2】プローブがコンテナと係合している場合の、図1に示す実施例を示す。
【図3】2個のプローブがスプレッダーバーに配置され、1個のプローブがコンテナと係合している場合の本発明の開示による、移動中にコンテナを検査する装置の別の実施例を示す。
【図4】図1に示す実施例の側面図で、輸送中にコンテナの検査を促進する装置を示す。
【図5】図2に示す実施例の側面図で、輸送中にコンテナの検査を促進する装置を示す。
【図6】図1に示す実施例の検査ポートおよび関連の装置の詳細図である。
【図7】図2に示す実施例の検査ポートおよび関連の装置の詳細図である。
【図8A】図1に示す実施例の引き込み式のポートシールの詳細図である。
【図8B】図1に示す実施例の引き込み式のポートシールの詳細図である。
【図8C】図1に示す実施例の引き込み式のポートシールの詳細図である。
【図9】図8Bに示す係合プレートとのプローブの係合状態を示す。
【図10A】本発明の開示による、移動中にコンテナを検査する装置の別の実施例と、輸送中にコンテナの検査を促進する装置の別の実施例を示す。
【図10B】本発明の開示による、移動中にコンテナを検査する装置の別の実施例と、輸送中にコンテナの検査を促進する装置の別の実施例を示す。
【図11】本発明の開示による、コンテナの移動中に該コンテナを検査する方法のフローチャートである。
【図12】本発明の開示による、検査にコンテナを適合させる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1および図2は移動中にコンテナを検査する装置の一実施例を示す。図1および図2は検査ポート120が設けられているコンテナ128を示す。図1においては、プローブ108が検査ポート120から外れている状態で示され、図2においては、プローブ108はポート120と係合している状態で示されている。
【0023】
図1および図2を参照すれば、スプレッダーバー104は船積みの間コンテナの積み込みや積み下ろしをするために使用されるクレーンの既知の構成要素である。図1および図2に示されているスプレッダーバー104の特定の形状は非限定的な例としてのみ提供されたものであり、いずれの既知のスプレッダーバーあるいはその均等物を本明細書に開示の方法に使用すべく修正あるいは製造することができる。スプレッダーバー104の新規な修正が図1に示されており、そこでは配置アーム112がベース116を介してスプレッダーバー104に取り付けられており、プローブ108が前記配置アーム112に取り付けられている。配置アーム112は各種の方法によってスプレッダーバーに取り付けることができる。図示のように、ベース116は枢動可能な取り付け機構を提供しており、それによってアーム112は下方へ回転可能に作動されプローブ108が海上輸送コンテナ(shipping container)128にある検査ポート120と係合できるようにしうる。図示のように、アーム112は、非限定的な例として電磁コイルあるいはステッピングモータでよい駆動装置132によって作動され、該作動装置は、図2において係合したプローブ108のアーム112によって示されているように、前記アーム112を枢動して検査ポートと整合するように作用する。しかしながら、これは単に取り付けおよび作動の一形態であって、その他のものも使用しうる。非限定的な例として、ベース116は任意のものであり、配置アーム112はスプレッダーバー104に直接取り付けてもよい。別の非限定的な例として、配置アームは枢動可能に取り付けて作動させる必要はなく、代わりに(例えば油圧あるいは重力的手段によって)垂直方向に作動させてもよく、あるいは全く移動しなくてもよく、検査ポート120を介して海上輸送コンテナ128を検査する位置に常にあるようにしてもよい。別の例として、ベース116は検査ポート120との整合を促進するためにスプレッダーバー104に移動可能に取り付けてもよい。実際に、プローブ108、アーム112、ベース116およびマウント132のいずれかの組み合せを動かしてプローブ108を検査ポート120に整合してもよい。
【0024】
代替的な局面において、プローブ108は、コンテナの中身の像(images)を捉えかつこれらの像を操作者あるいは検査機械へ転送することが可能であるイメージングプローブとしてここでは示されている。この局面において、プローブ108は標準的なデジタルカメラ、赤外線カメラ、超音波カメラあるいは音波撮像装置でもよい。プローブ108はコンテナの内部および中身を照らすために発光体(light)、レーザあるいはLEDを含みうる。
【0025】
イメージングプローブを検査ポートにおいて使用することは化学的プローブの使用を考慮していた従来のシステムと比較して明らかな利点を提供する。イメージングプローブは検査ポートを介して貨物の検査を人間が容易にできるようにする。イメージングプローブは化学的な痕跡を抑制あるいは隠蔽するために使用しうる、貨物に存在する構造や機構を識別することができる。また、イメージングプローブは疑わしい領域を「ズーム」することが可能で、化学的な匂い探知器よりも疑わしい領域の情報をより多く提供する。しかしながら、プローブ108は必ずしもカメラである必要はなく、例えば以下列挙する非限定的な例のようなその他の各種のイメージングプローブであるか、あるいはそれらを含んでもよい。すなわち、コンテナの外部から実行したX線よりも大きな解像力と精度でコンテナ内部からX線を実行しうるX線プローブ、および(または)コンテナの内部あるいは中身を形像するために音波を使用することができる超音波あるいは音波プローブである。更に、前記プローブ108はイメージングプローブ(尤もそれは有利ではあるが)に限定されるのではなく、また微量の危険な化学薬品、あるいは危険な装置あるいは合成物の化学的徴候を識別することのできる化学的試料採集器(sampler)、爆薬の化学的徴候を識別しうる匂い探知器、核化合物あるいは核兵器の放射線徴候を識別することができるガンマ線検出器、あるいは分析のためにコンテナの内部からの音声を記録することができる音波試料採集器でもよい。プローブはまた、例えば電磁パルスを発生させ、あるいは中身を照らすようなコンテナの中身に対する行為を必要に応じて実行することができる。プローブ108による発見に基づいて、曳航、航路変更あるいはその他いずれかの指図方法を介して更に詳細な、あるいはその他の検査を行うべく当該コンテナを指定すればよい。
【0026】
別の局面において、検査ポート120はスプレッダーバー104におけるプローブ108の位置に対応した箇所においてコンテナの側壁に設けられている。検査ポート120をコンテナの側部に位置させることは従来技術ではこれまで見られなかった重要な利点を提供する。それによって、たとえ検査ポートがプローブのサイズに適応するようにつくる必要があるとしても、検査ポート120を開放したときに塵、ごみ、水分あるいは異物がコンテナ中へ落ちるのを阻止することができる。しかしながら、このことは単に一局面であって、一般的に検査ポートは必要に応じてコンテナの頂部、底部あるいは隅部に位置させてもよいことに注目すべきである。
【0027】
図3を参照すれば、何個かの検査ポート120をコンテナ328の様々な位置に配置してもよく、あるいは何個かのプローブをスプレッダーバー104に沿って配置してもよいことが注目される。例えば図3は、2個のプローブ108,308と2個のアーム112,312をスプレッダーバー104の両端に装着して位置させていることを示している。これらの2個のプローブ108,308はコンテナの検査に同時に、あるいは独立して使用することができる。同様に、この局面において、コンテナ328は2個の検査ポート120,320を有しており、それらの一方あるいは双方をコンテナ328の検査に使用しうる。多数のポートを備えたコンテナおよび(または)多数のプローブを備えたスプレッダーバーを使用することによって従来技術においてはこれまで未知であった明らかな利点を提供する。多数のポートあるいはプローブを備えることによって、コンテナはスプレッダーバーでのこれらの整合とは無関係に検査することができる。多数のプローブおよびポートを使用することによって、たとえコンテナが反転していたとしても、あるいは障害物が一方のプローブが検査ポートと整合するように移動するのを阻止する場合でもコンテナの検査ができるようにする。また、説明をし易くするために2個のプローブおよび2個のポートのみを例示しているが、1個のプローブおよびポート、あるいはコンテナの同じ側、両側あるいはコンテナの接続している側において2個以上のプローブおよび2個のポートを使用してもよい。検査ポートは貨物の上方でコンテナの上側の隅部に設置された状態で示されているが、それはこの位置がコンテナの中身を遮られることなくはっきりと見ることができるからであるが、コンテナの下側の隅部および(または)中央領域を含むその他の位置を選択してもよい。
【0028】
さて、図1および図2の実施例を側面図で示し、コンテナ128の検査ポート120を極めて詳細に見ることができる図4から図7までを参照する。ここでは同じ要素は同じ参照番号を付しており、コンテナの外壁の小さい部分のみが切開されていることが判る。検査ポート120はばね弾圧されたマウント140に取り付けられた引き込み式のポートシール136によってシールされている。ポート120のマウント140は(図示のように)コンテナの内側に、あるいはコンテナの外側に取り付けうることを注目すべきである。また、マウントは好適実施例においては、検査ポート120が開放されたとき塵、ごみ、水分あるいは異物がコンテナ中へ落下するのを阻止するという有利な理由からコンテナの側部において示されているが、一方検査を促進するのに必要であればマウント140はコンテナの別の位置に位置させてもよいことに注目すべきである。また、「ばね弾圧された(spring−loaded)」という用語はばねを備えたマウントを指し、あるいは代替的にその他の方法でばねのような力を提供するものであって、油圧作動のマウントを含みうるマウントや、シールがその他の方法で適所に保持されているマウントを指すことに注目すべきである。
【0029】
図4においては、プローブ108はポート120から外れた状態で示され、一方図5においては、プローブ108は係合した状態で示されている。任意に支持アーム112および駆動装置132によって係合すると、プローブ108は引き込み式のポートシール136のばね弾圧されたマウント140を外すに十分な力を加える。しかしながら、これは単に一実施例であり、他の実施例においてはプローブ108からの力を利用することなくばね弾圧されたマウント140を外すために油圧による、あるいはその他の方法で独立して引き込み式のポートシール136を作動させうること、あるいはマウントを外すためにプローブ108を使用する代わりに別の装置をプローブに付属させ、マウント140を外しうることが考えられる。
【0030】
検査ポート120と輸送中にコンテナの検査を促進する付属装置を図6および図7を参照して以下詳細に説明する。図6において、プローブ108は検査ポート120から外された状態で示されているが、図7において、プローブ108は検査ポート120中へ進入したものとして示されている。従って、図6においては、配置アーム112は直立状態で示されており、一方図7においては、配置アーム112は旋回し、今や下方に向いた状態で示されている。ここでも任意のベース116が示されており、駆動装置132、支持アーム112、プローブ108および(または)その他の要素が引き込み式のポートシール136のばね弾圧されたマウント140を外すに十分な力を提供するために使用されうる。ばね弾圧されたマウント140はばね弾圧された円筒形ヒンジ636を備えたものとして示されているが、その他のマウントも使用可能であり、ばねはヒンジと一体にする必要はない。ゴム、プラスチック、金属あるいはその他の材料でよい引き込み式のポートシール136およびシールリング632はコンテナの中身が逃避しないように、かつ塵および水分のような外部の要素が入ってこないようにコンテナの壁600を十分シールすることができる。ばね弾圧された円筒形ヒンジ636または別のばねあるいは油圧力提供装置が、十分な力で衝撃を受けなければ引き込み式のポートシールをコンテナの壁との係合状態に保つために使用しうる。
【0031】
引き込み式のポートシール136が図8A,図8Bおよび図8Cの三様の図面から詳細に示されている。ばね弾圧された円筒形ヒンジ636は、ステンレス鋼あるいはその他のいずれかの適当な材料からつくればよく、かつボルトによってコンテナの壁600に接続されている取り付けブロック804に装着されている。しかしながら、これは単なる例であり、直接にボルト締めするとかリベット止めとか、あるいは各種の溶接を含むその他多くの取り付け機構を使用することができる。これは限定的な取り付け例の列挙であり、その他の取り付け機構も使用しうる。一般に、高温作業あるいは溶接作業を必要とせず、中断されるのが最小で、安全で、迅速で、かつ適用し易く実行しうる取り付け機構を使用することが有利である。
【0032】
詳細に示されているように、ポートシール812とシールリング632とが一緒になって中身が逃げないとか、塵および水分のような外部の要素が入ってこないようにコンテナの壁600を十分にシールする。図8Cに示されているように、引き込み式のポートシール812は、ステンレス鋼あるいはいずれかのその他の適当な材料から形成しうるステンレス製の裏当てプレート(backing plate)808を含みうる。ポートシール812とプローブ接触プレート816とは前記裏当てプレート808の外面に取り付けられている。図示のように、プローブ接触プレート816はプローブを裏当てプレート808と係合するときにプローブを整合させるための照準(cross hair)のような印を含みうる。尤も、これらの印は単に最初にコンテナの壁に取り付ける際に裏当てプレート808を整合させるためにも使用してもよい。
【0033】
図9はプローブ108と図8Bに示す係合プレートとの係合状態を示している。ここでもシールリング632が見られうる。シールリングはリング632とプローブ108との間に空隙を備えたものとして示されているが、その他の設計では、プローブ108が入るときでさえもコンテナが有効に気密状態に留まるように、係合プローブの円筒形の直径と等しい開口を有効に形成するシールリングを含みうることに注目すべきである。
【0034】
図10Aと図10Bとは開示された方法および装置による更に別の有用な特徴を示す。図10Aに示されているように、プローブ108にはコンテナ128の開口と係合していない場合は保護カバー1004が設けられている。このように、保護カバー1004はそれによってプローブ108を保護し、一方引き込み式のポートシール136のばね弾圧されたマウント140を外すに十分な力を提供する。図10Bに示されているように、(ここでは係合している)プローブ108は保護カバー1004の端部を越えて延長しており、今やその形像作業およびその他の検査作業を実行することができる。保護カバー1004はシール136と係合し、ばね弾圧されたマウント140を変形させることなく外すに十分な、非限定的な例としては鋼およびプラスチックを含むいずれかの頑丈な材料からつくりうる。
【0035】
図11にフローチャートが示されているように、前述した装置はコンテナの移動の間にコンテナを検査する方法において使用しうる。本方法はクレーンをコンテナに接続すること(ステップ1100)と、プローブをコンテナの検査ポートに係合させること(ステップ1104)によって達成される。検査ポートに係合させる場合、プローブあるいはその遮蔽体(shield)は接続ポートを開放させるに十分な力を提供し(ステップ1108)、あるいは前記ポートはプローブからの力を加えることなくその他の方法で開放してもよい。次いで、コンテナは検査され(ステップ1112)、もしもプローブが危険性のある、および(または)不許可の貨物の存在の合理的な可能性を検出したとすれば、コンテナには別の検査を行うように提案しうる(ステップ1116)。
【0036】
前述したように、コンテナ128は検査ポート120を配置させた状態で示されている。コンテナ128は特別製のコンテナとしうる。尤も、コンテナ128は先に製作しておいて、その後検査ポート120やその下に位置するシール装置を含めるように後で適合させるのがより一般的である。従って、図12は前述したように検査のためにコンテナを適合する方法のフローチャートを示す。この適合は、例えばドリル加工、フライス加工、切断、レーザ切断、アーク切断、鋸切り、せん断、あるいは穿孔加工のような方法によってコンテナの壁に開口を形成する(ステップ1200)ことによって達成しうる。次いで、ばね弾圧されたマウントやシール装置は、例えば直接ボルト締め、リベット止め、取り付けブロックを介するボルト締め、あるいは各種形態の溶接のような方法によって前記開口に取り付けうる(ステップ1204)。最後に、引き込み式のポートシールは、例えば前述したステンレス鋼の取り付けブロックおよび裏当てプレートを使用することによって、あるいは前述した取り付け方法のいずれかによって、ばね弾圧されたマウントに取り付けてもよい(ステップ1208)。これらは全て取り付け方法の単なる例であって、ねじ、リベット止め、およびボルト締めの好適な低衝撃方法を含むその他の方法は当該技術分野の専門家には明らかであろう。代替的に、製作の間に前述の例示したことに従って検査のための設計を予め施したコンテナを提供することも可能であり、製作の時点で開口、ばね弾圧されたマウントおよびそれに取り付けた引き込み式のポートシールを有するように設計してもよい。そのようなコンテナは図1から図10に示されるコンテナとほぼ同様である。
【0037】
ある局面についての前述の説明は当該技術分野の専門家が本発明のものをつくるとか、あるいは本発明を利用できるようにするために提供したものである。これらの局面に対する種々の修正が当該技術分野の専門家には直ちに明らかであり、本明細書において定義した一般的な原理は本発明の精神あるいは範囲から逸脱することなくその他の局面に対しても適用可能である。例えば、1個以上の構成要素を再配置したり、および(または)組み合わせし直したりでき、あるいは別の要素を追加することができる。また、前記方法のステップはどのような順序で実行してもよく、例えば非限定的な例として、ステップ1204はステップ1208の前、あるいは後で実行してもよい。このように、本発明の主題は本明細書において図示した局面に限定されるのではなくて、本明細書において開示された原理や新規な特徴と首尾一貫した最広義の範囲と調和するべき意図のものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナの移動中に該コンテナを検査する方法において、
スプレッダーバーを介してクレーンを前記コンテナに接続するステップと、
検査ポートを介してイメージングプローブを前記コンテナ中へ進入させるステップと、
コンテナの中身を形像するステップと、
を含むことを特徴とするコンテナを検査する方法。
【請求項2】
前記イメージングプローブが、カメラ、赤外線カメラ、超音波撮像装置、音波撮像装置、およびそれらの組合せから構成されるグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンテナへ前記イメージングプローブを進入させる前記ステップが、引き込み式のポートシールのばね弾圧されたマウントを外すに十分な力で前記検査ポートへ進入させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
更なる検査をするために前記コンテナを識別するステップを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記コンテナの中身を照らすステップを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
コンテナの移動の間に該コンテナを検査する方法において、
スプレッダーバーを介してクレーンを前記コンテナに接続するステップと、
前記コンテナの側部に配置された検査ポートを介してプローブを前記コンテナに進入させるステップと、
前記コンテナを検査するステップと、
を含むことを特徴とするコンテナを検査する方法。
【請求項7】
前記プローブが、カメラ、化学的試料採集器、X線プローブ、匂い探知器、ガンマ線検出器、音波試料採集器、超音波プローブ、赤外線カメラ、超音波撮像装置、音波撮像装置、およびそれらの組み合わせから構成されるグループから選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
コンテナの移動の間に行われる検査のために前記コンテナを適合させる方法において、
前記コンテナの側壁に開口を形成するステップと、
前記側壁に前記開口においてばね弾圧されたマウントを取り付けるステップと、
前記のばね弾圧されたマウントに引き込み式のポートシールを取り付けるステップと、
を含むことを特徴とするコンテナを検査のために適合させる方法。
【請求項9】
前記開口が、ドリル加工、フライス加工、切断、レーザ切断、アーク切断、鋸切り、せん断、穿孔およびそれらの組み合わせから構成されるグループから選択された方法によって形成されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記のばね弾圧されたマウントが、直接ボルト止め、リベット止め、取り付けブロックを介してのボルト止め、溶接、およびそれらの組み合わせから構成されるグループから選択された方法によって取り付けられることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
コンテナの移動の間に前記コンテナを検査する装置において、
クレーンのスプレッダーバーに枢着された配置アームと、
前記配置アームに取り付けられたイメージングプローブと、を
含むことを特徴とするコンテナを検査する装置。
【請求項12】
前記配置アームがベースを介して前記スプレッダーバーに取り付けられることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記配置アームと前記ベースとに接続され、引き込み式のポートシールのばね弾圧されたマウントを外すに十分な力を提供するように構成された駆動装置を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記配置アームと前記イメージングプローブに接続され、引き込み式のポートシールのばね弾圧されたマウントを外すに十分な力を提供するように構成された駆動装置を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記イメージングプローブの保護カバーであって、引き込み式のポートシールのばね弾圧されたマウントを外した後で引き込み可能である保護カバーを更に含むことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項16】
輸送の間にコンテナの検査を促進する装置であって、
前記コンテナの側壁にその開口において取り付けられたばね弾圧されたマウントと、前記のばね弾圧されたマウントに取り付けられた引き込み式のポートシールと、を含むことを特徴とするコンテナの検査を促進する装置。
【請求項17】
前記の引き込み式のポートシールの外面に取り付けられた接触プレートであって、プローブの整合のための印を含む接触プレートを更に含むことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記開口に取り付けられ、かつそれを囲繞しているシールリングを更に含むことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記のばね弾圧されたマウントと前記側壁の間に取り付けられ、かつ前記側壁に取り付けるためのボルトを受け入れるような形態とされた取り付けブロックを更に含むことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項20】
十分な力で衝撃を受けるまで前記の引き込み可能なポートシールを前記側壁と係合した状態に保つように構成されたばねを更に含むことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項21】
前記のばね弾圧されたマウントが前記の引き込み式のポートシールに取り付けられたばね弾圧された円筒状のヒンジを含むことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項22】
前記コンテナに第二の開口において取り付けられた第二のばね弾圧されたマウントと、前記第二のばね弾圧されたマウントに取り付けられた第二の引き込み式のポートシールと、を更に含むことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項23】
コンテナの移動の間に行われる検査のために予め設計されたコンテナであって、
開口を有する少なくとも1個の側壁と、
前記側壁に前記開口において取り付けられたばね弾圧されたマウントと、
前記のばね弾圧されたマウントに取り付けられた引き込み式のポートシールと、を含むことを特徴とする検査のために予め設計されたコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−513871(P2010−513871A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541468(P2009−541468)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/085866
【国際公開番号】WO2008/130450
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(509166696)
【Fターム(参考)】