説明

コンテンツ処理装置、コンテンツ処理システム、方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】動画コンテンツの不正な視聴を防止するコンテンツ処理装置、コンテンツ処理システム、方法、プログラムおよび記録媒体を提供すること。
【解決手段】本発明によれば、オリジナルのコンテンツデータに阻害画像を付加した動画データと、動画データを補完する補完データとを生成し、これらのデータを統合してコンテンツデータを生成するコンテンツ処理装置が提供される。また、本発明によれば、コンテンツデータを再生する際に、阻害画像を付加した動画データと補完データとを合成し、これらのデータとを合成して得られた動画データを再生するコンテンツ処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルコンテンツの処理技術に関し、より詳細には、デジタルコンテンツの不正視聴を防止するコンテンツ処理装置、コンテンツ処理システム、方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンなどに代表される高機能携帯電話やタブレット型PCなどの普及に伴い、様々なシーンで映画やアニメ、ライブ映像、PV等の種々のデジタルコンテンツを手軽に視聴することが可能となっている。
【0003】
通常、これらのデジタルコンテンツには著作権が発生しているが、その著作者の許諾を得ずにコンテンツデータが不正に複製または配信されており、利用者の犯罪意識の希薄化と相まって、デジタルコンテンツの不正な視聴が横行している。このため、デジタルコンテンツの不正視聴を防止して、著作者の権利を守ることが社会的な急務となっている。
【0004】
この点につき、デジタルコンテンツの不正視聴を防止する技術として、例えば、特許文献1は、動画コンテンツの原画像に対し、電子透かしによって当該動画コンテンツの著作権情報を埋め込むとともに、著作権情報の埋め込み有無を示すデータを埋め込み、当該埋め込み有無を示すデータの検出結果に応じて著作権情報を検出する装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−278861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1が開示する装置は、動画コンテンツに埋め込まれた視認不能な電子透かしを使用して違法コピーであるか否かを検出するものの、動画コンテンツ自体の視聴は可能であり、不正にコピーされた動画コンテンツであっても内容を視聴できてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記課題を解決するものであり、動画コンテンツの不正な視聴を防止するコンテンツ処理装置、コンテンツ処理システム、方法、プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明によれば、オリジナルのコンテンツデータに阻害画像を付加した動画データと、動画データを補完する補完データとを生成し、これらのデータを統合してコンテンツデータを生成するコンテンツ処理装置が提供される。また、本発明によれば、コンテンツデータを再生する際に、阻害画像を付加した動画データと補完データとを合成し、これらのデータを合成して得られた動画データを再生するコンテンツ処理装置が提供される。
【0009】
本発明によれば、オリジナルのコンテンツデータに阻害画像を付加した動画データと、動画データを補完する補完データとを生成し、これらのデータを統合してコンテンツデータを生成するコンテンツ処理システム、方法、プログラムおよび記録媒体が提供される。また、コンテンツデータを再生する際に、阻害画像を付加した動画データと補完データとを合成し、これらのデータを合成して得られた動画データを再生するコンテンツ処理システム、方法、プログラムおよび記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上述した構成要件を採用することにより、被補完動画データに阻害画像が付加されているため、不正なユーザが被補完動画データを視聴しようとした場合でも、視認性の低い動画データしか閲覧することができず、動画コンテンツの不正視聴を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンテンツ処理装置の機能構成を示す図。
【図2】本発明の別の実施形態に係るコンテンツ処理装置の機能構成を示す図。
【図3】本発明が採用するデジタルコンテンツの不正視聴を防止する方法を示す概念図。
【図4】図1に示す実施形態のコンテンツ処理装置が実行する処理を示すフローチャート。
【図5】図2に示す実施形態のコンテンツ処理装置が実行する処理を示すフローチャート。
【図6】本発明の一実施形態が使用する被補完動画データと補完データとの対応関係を示す図。
【図7】本発明の他の実施形態が使用する被補完動画データと補完データとの対応関係を示す図。
【図8】本発明の他の実施形態に係るコンテンツ処理システムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について実施形態をもって説明するが、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ処理装置の機能構成を示す図である。コンテンツ処理装置100は、コンテンツデータを生成可能なコンテンツ処理装置であり、動画提供サーバなどの装置である。
【0014】
コンテンツ処理装置100は、CPUまたはMPU等のプロセッサを搭載し、Windows(登録商標)シリーズ、Mac(登録商標)OSシリーズ、UNIX(登録商標)またはLINUX(登録商標)などのOSの管理下で、アセンブラ、C、C++、JAVA(登録商標)、JAVASCRIPT(登録商標)、PERL、RUBY、PYTHONなどのプログラム言語で記述された本発明のプログラムを実行する。
【0015】
コンテンツ処理装置100は、プログラムを実行するための実行空間を提供するRAM、プログラムやデータなどを持続的に保持するためのハードディスク装置やフラッシュメモリなどを含んでおり、本実施形態の各機能手段をプログラムの実行により、当該コンテンツ処理装置上に実現する。
【0016】
また、コンテンツ処理装置100が有する各機能手段は、上述したプログラミング言語などで記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、本発明のプログラムは、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、マスクROM、書き換え可能ROM、フラッシュメモリなどの装置が読み取り可能な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が読み取り可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
【0017】
コンテンツ処理装置100は、分割部110と、生成部112と、ビデオエンコーダ114と、オーディオエンコーダ116と、統合部118とを含んで構成される。
【0018】
分割部110は、オリジナルのコンテンツデータ(以下、「オリジナルコンテンツデータ」とする。)102を動画データおよび音声データに分割する機能手段である。分割部110は、逆マルチプレクサまたは当該機能を有するソフトウェアによって実現することができる。本実施形態のオリジナルコンテンツデータ102には動画データおよび音声データが含まれており、分割部110は、オリジナルコンテンツデータ102を動画データおよび音声データに分割し、生成部112およびオーディオエンコーダ116に供給する。
【0019】
コンテンツ処理装置100が処理するオリジナルコンテンツデータ102のファイル形式は、複数の動画データを格納可能なファイル形式、例えば、MPEG−4 AVCやH264、MPEG−2 PS/TS、MOV、AVI(Audio Video Interleave)、WMV(Windows(登録商標) Media Video)等でもよく、その他の任意のファイル形式でもよい。
【0020】
生成部112は、オリジナルコンテンツデータ102の動画データから阻害画像が付加された動画データ(以下、「被補完動画データ」とする。)と、被補完動画データを補完する補完データとを生成する機能手段である。阻害画像とは、オリジナルコンテンツデータ102の動画データの視認性を低下させる画像であり、様々な形態の画像を阻害画像として採用することができる。生成部112は、オリジナルコンテンツデータ102の動画データに対し、阻害画像を重畳合成することによって被補完動画データを生成する。
【0021】
補完データとは、被補完動画データに重畳合成することによってオリジナルコンテンツデータ102の動画データと同一の動画データを形成可能なデータである。生成部112は、オリジナルコンテンツデータ102の動画データを構成する画像フレームの領域のうち阻害画像が付加された部分を含む画像領域を補完データとして生成する。
【0022】
生成部112は、オリジナルコンテンツデータ102の動画データを構成する各フレームの同一の位置に阻害画像を重畳合成して被補完動画データを生成することができる。また、生成部112は、オリジナルコンテンツデータ102の動画データを構成する各フレームの任意の位置に阻害画像を重畳合成して被補完動画データを生成することができる。この場合、生成部112は、ランダム関数を用いて阻害画像を重畳合成する座標位置をランダムに決定し、その座標位置をコンテンツデータ104のメタデータとすることができる。
【0023】
ビデオエンコーダ114は、被補完動画データおよび補完データを所定のファイル形式に変換する機能手段である。ビデオエンコーダ114は、生成部112が生成した被補完動画データおよび補完データを複数の動画データを格納可能なファイル形式(例えば、MPEG−4 AVCやH264等)に変換し、統合部118に供給する。他の実施形態では、ビデオエンコーダ114は、被補完動画データおよび補完データをさらに圧縮および/または暗号化してもよい。
【0024】
本実施形態では、ビデオエンコーダ114としてASIC等の半導体装置によって実装可能なビデオデコーダを採用するが、他の実施形態では、プログラムモジュールとしてビデオエンコーダ114を実装してもよい。
【0025】
オーディオエンコーダ116は、オリジナルコンテンツデータ102に含まれる音声データを所定のファイル形式に変換する機能手段である。オーディオエンコーダ116は、オリジナルコンテンツデータ102の音声データを複数の動画データを格納可能なファイル形式(例えば、MPEG−4 AVCやH264等)に変換し、統合部118に供給する。なお、オリジナルコンテンツデータ102の音声データが既に上記ファイル形式で構成されている場合には、オーディオエンコーダ116は音声データを変換しない。他の実施形態では、オーディオエンコーダ116は、上記ファイル形式に変換した音声データをさらに圧縮および/または暗号化してもよい。
【0026】
統合部118は、被補完動画データ、補完データおよび音声データを統合する機能手段である。統合部118は、被補完動画データ、補完データおよび音声データを合成し、複数の動画データを格納可能なファイル形式(例えば、MPEG−4 AVCやH264、MPEG−2 PS/TS、MOV、AVI(Audio Video Interleave)、WMV(Windows(登録商標) Media Video)等)のコンテンツデータ104を生成する。
【0027】
上述したように、コンテンツデータ104に含まれる被補完動画データには阻害画像が付加されているため、不正なユーザが、当該コンテンツデータから被補完動画データのみを抽出しても、視認性の低い動画データしか閲覧することができず、デジタルコンテンツの不正視聴を防止することができる。
【0028】
図1に示す実施形態では、1のファイルで構成されるオリジナルコンテンツデータをオリジナル動画データおよび音声データに分割して処理するが、他の実施形態では、オリジナル動画データおよび音声データを別々のファイルで構成することもできる。この場合、コンテンツ処理装置100は、動画データおよび音声データを分割することなく、生成部112がオリジナル動画データから被補完動画データおよび補完データを生成し、ビデオエンコーダ114がこれらのデータを処理すると共に、オーディオエンコーダ116が音声データを処理する。なお、分割部110は省略することができる。
【0029】
図2は、本発明の別の実施形態に係るコンテンツ処理装置の機能構成を示す図である。以下、図2を参照して、動画データを再生するコンテンツ処理装置200について説明する。
【0030】
コンテンツ処理装置200は、コンテンツデータを再生可能なコンテンツ処理装置であり、例えば、iPhone(登録商標)やGALAXY S(登録商標)等の種々のスマートフォン、タブレット型PCやノートブック型PC、デスクトップ型PC等の各種PC、PlayStation(登録商標)やNINTENDO DS(登録商標)等の様々なゲーム機器などの装置である。
【0031】
コンテンツ処理装置200は、コンテンツ処理装置100と同様に、CPUまたはMPU等のプロセッサを搭載し、ITRON、Windows(登録商標)シリーズ、Windows(登録商標)Phone、Mac(登録商標)OSシリーズ、iOS、Symbian(登録商標)OS、UNIX(登録商標)またはLINUX(登録商標)、Android(登録商標)などのOSの管理下で、アセンブラ、C、C++、JAVA(登録商標)、JAVASCRIPT(登録商標)、PERL、RUBY、PYTHONなどのプログラム言語で記述された本発明のプログラムを実行する。
【0032】
また、コンテンツ処理装置200は、WEBページを閲覧可能な種々のウェブブラウザ上で動作するJAVA(登録商標)やJAVASCRIPT(登録商標)、FLASH(登録商標)、HTML5(HyperText Markup Language 5)等のプログラム言語で記述された本発明のプログラムを実行することもできる。
【0033】
コンテンツ処理装置200は、プログラムを実行するための実行空間を提供するRAM、プログラムやデータなどを持続的に保持するためのハードディスク装置やフラッシュメモリなどを含んでおり、本実施形態の各機能手段をプログラムの実行により、当該コンテンツ処理装置上に実現する。
【0034】
また、コンテンツ処理装置200が有する各機能手段は、上述したプログラミング言語などで記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、本発明のプログラムは、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、マスクROM、書き換え可能ROM、フラッシュメモリなどの装置が読み取り可能な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が読み取り可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
【0035】
コンテンツ処理装置200は、分割部230と、ビデオデコーダ232と、オーディオデコーダ234と、合成部236と、再生部238とを含んで構成される。
【0036】
分割部230は、コンテンツデータ104を動画データおよび音声データに分割する機能手段である。コンテンツデータ104には、被補完動画データと、補完データと、音声データとが含まれている。分割部230は、コンテンツデータ104を被補完動画データ、補完データおよび音声データに分割し、被補完動画データおよび補完データをビデオデコーダ232に供給し、音声データをオーディオデコーダ234に供給する。本実施形態では、分割部230として逆マルチプレクサを採用することができる。
【0037】
ビデオデコーダ232は、被補完動画データおよび補完データをメモリに展開する機能手段である。ビデオデコーダ232は、分割部230から被補完動画データおよび補完データを受信すると、被補完動画データおよび補完データをフレーム毎にRAMやレジスタ等のメモリに順次展開する。他の実施形態では、ビデオデコーダ232が、圧縮された被補完動画データおよび補完データを伸張してメモリに展開するように構成してもよく、また、被補完動画データおよび補完データを暗号化しておき、ビデオデコーダ232がこれらのデータを復号してメモリに展開するように構成してもよい。
【0038】
本実施形態では、ビデオデコーダ232としてASIC等の半導体装置によって実装可能なビデオデコーダを採用するが、他の実施形態では、プログラムモジュールとしてビデオデコーダ232を実装してもよい。
【0039】
オーディオデコーダ234は、音声データをメモリに展開する機能手段である。オーディオデコーダ234は、上述したファイル形式の音声データをRAMやレジスタ等のメモリに展開する。他の実施形態では、オーディオデコーダ234が、圧縮された音声データを伸張してメモリに展開するように構成してもよく、また、圧縮された音声データを暗号化しておき、オーディオデコーダ234がこれらのデータを復号してメモリに展開するように構成してもよい。
【0040】
本実施形態では、オーディオデコーダ234としてASIC等の半導体装置によって実装可能なオーディオデコーダを採用するが、他の実施形態では、プログラムモジュールとしてオーディオデコーダ234を実装してもよい。
【0041】
合成部236は、被補完動画データおよび補完データを合成する機能手段である。合成部236は、ビデオデコーダ232がメモリに展開した被補完動画データの1のフレームを構成する各画素の色指定情報(例えば、RGB値等)を、当該メモリ内の別のデータ領域(以下、「合成領域」とする。)に保存する。そして、合成部236は、ビデオデコーダ232がメモリに展開した被補完動画データのフレームに対応する補完データを合成領域に上書き保存する。
【0042】
本実施形態では、被補完動画データおよび補完データのフレームレート数は同一であり、ビデオデコーダ232は、被補完動画データおよび補完データをフレーム単位で順次メモリに展開する。上記合成領域は、そのアドレス毎に動画フレームの各画素の色指定情報を格納する位置が既定されており、合成部236は、被補完動画データの画素の色指定情報が格納された合成領域のうちコンテンツデータ104のメタデータが指定するアドレス領域に、当該被補完動画データに対応する補完データの各画素の色指定情報を上書きする。これにより、阻害画像を含む被補完動画データに補完データが重畳合成され、オリジナルの動画データと同一の動画データがメモリに展開される。
【0043】
被補完動画データの阻害画像の位置が全フレームで一定である実施形態では、合成部236は、当該阻害画像の色指定情報が格納されている合成領域内の既定のデータ領域に、当該被補完動画データに対応する補完データの各画素の色指定情報を展開する。
【0044】
被補完動画データの阻害画像の位置がフレーム毎に変動する実施形態では、合成部236は、当該阻害画像の色指定情報が格納されている合成領域内の所定のデータ領域に、当該被補完動画データに対応する補完データの各画素の色指定情報を展開する。この場合、合成部236は、コンテンツデータ104のメタデータである重畳画像の座標位置から補完データの色指定情報を展開すべきメモリ上の位置を指定する情報(例えば、メモリの基点アドレスからのオフセット値等)を算出し、その指定情報を使用して、補完データの色指定情報を展開すべき合成領域内の所定のデータ領域を判断することができる。
【0045】
本実施形態では、合成部236は、図6に示すように、時系列に連続する被補完動画データ610の各フレーム(被補完動画フレーム_01〜被補完動画フレーム_05等)と、補完データ620の各フレーム(補完フレーム_01〜補完フレーム_05等)とを順次合成する。他の実施形態では、図7に示すように、時間的に前後するように各補完フレームを入れ替えて補完データ720を構成することができ、合成部236が、被補完動画データ710のフレームと、これに対応する補完データ720のフレームとを合成するようにしてもよい。
【0046】
図7に示す実施形態では、2つの補完フレームを時間的に前後して入れ替えるため、合成部236は、2フレーム分の被補完動画データの各画素の色指定情報を合成領域に展開し、当該被補完動画データの各フレームに対応する補完フレームの各画素の色指定情報を当該合成領域に展開することにより、動画データを合成することができる。他の実施形態では、3以上の補完フレームを相互に入れ替えてもよい。なお、キーフレームを用いて補完データを生成する実施形態では、同一のキーフレームから生成される補完データの各フレームを並び替えて、補完データを構成することができる。
【0047】
合成部236は、被補完動画データおよび補完データの全フレームについて、上述した合成処理を実行する。
【0048】
再生部238は、動画データおよび音声データを再生する機能手段である。再生部238は、メモリに展開された合成済みの動画データおよび音声データを順次読み出し、コンテンツ処理装置200の表示画面(図示せず)に動画を表示すると共に、スピーカー(図示せず)から音声データを出力する。
【0049】
図3は、本発明が採用するデジタルコンテンツの不正視聴を防止する方法を示す概念図である。本実施形態では、オリジナルの動画データ310に阻害画像312を付加することにより、被補完動画データ320が生成される。また、被補完動画データ320の阻害画像322によって閲覧できない画像領域を補完する補完データ324がオリジナルの動画データ310から生成される。本実施形態の補完データ324の解像度は、被補完動画データ320の解像度よりも小さいものとする。コンテンツ処理装置100は、被補完動画データ320と補完データ324とを合成して、オリジナルの動画データ310と同一の動画データ330を生成する。
【0050】
図3に示す実施形態では、阻害画像として円形のマークを採用するが、阻害画像の形状はこれに限定するものではなく、阻害画像を多角形や楕円形等の任意の形状とすることができると共に、任意の模様や色彩の阻害画像を採用することができる。また、本実施形態では、阻害画像は同一の画像であるが、他の実施形態では、同一の画像ではなくフレーム毎に異なる阻害画像を使用してもよい。
【0051】
本発明では、コンテンツデータが著作権で保護されていることを示す文言や記号を阻害画像に付加することが好適である。これにより、本発明が採用するコンテンツデータから被補完動画データを抽出して不正に複製・配信された場合でも、動画データを視聴しようとする利用者に対して、それが不正視聴であることを認識させて犯罪意識を喚起させることができ、デジタルコンテンツの不正視聴の抑止に寄与することができる。
【0052】
図4は、図1に示す実施形態のコンテンツ処理装置が実行する処理を示すフローチャートである。図4の処理は、ステップS400から開始し、ステップS401でコンテンツ処理装置100の分割部110が、オリジナルコンテンツデータ102を動画データおよび音声データに分割する。
【0053】
本実施形態では、オリジナルコンテンツデータ102は、コンテンツ処理装置100が備える記憶装置やコンテンツ処理装置100に接続可能な外部記憶装置等のコンテンツ処理装置100がアクセス可能な記憶装置に保存されており、分割部110は、これらの記憶装置からオリジナルコンテンツデータ102を取得することができる。他の実施形態では、オリジナルコンテンツデータ102を提供するサーバからネットワークを介してオリジナルコンテンツデータ102を取得してもよい。
【0054】
ステップS402では、生成部112が、オリジナルコンテンツデータ102の動画データから被補完動画データおよび補完データを生成する。ステップS403では、ビデオエンコーダ114が被補完動画データおよび補完データを所定のファイル形式に変換すると共に、オーディオエンコーダ116が音声データを所定のファイル形式に変換する。ステップS404では、統合部118が、被補完動画データ、補完データおよび音声データを含む所定のファイル形式のコンテンツデータ104を生成し、ステップS405で処理が終了する。
【0055】
図5は、図2に示す実施形態のコンテンツ処理装置が実行する処理を示すフローチャートである。図5の処理は、ステップS500から開始し、ステップS501でコンテンツ処理装置200の分割部230がコンテンツデータ104を被補完動画データ、補完データおよび音声データに分割する。
【0056】
本実施形態では、コンテンツデータ104は、コンテンツ処理装置200が備える記憶装置やコンテンツ処理装置200に接続可能な外部記憶装置等のコンテンツ処理装置200がアクセス可能な記憶装置に保存されており、分割部230は、これらの記憶装置からコンテンツデータ104を取得することができる。他の実施形態では、コンテンツデータ104を提供するサーバからネットワークを介してコンテンツデータ104を取得してもよい。
【0057】
ステップS502では、ビデオデコーダ232が、被補完動画データおよび補完データをメモリに展開すると共に、オーディオデコーダ234が、音声データをメモリに展開する。ステップS503では、合成部236が、被補完動画データおよび補完データを合成する。ステップS504では、再生部238が、合成した被補完動画データおよび補完データを音声データと共に再生し、ステップS505で処理が終了する。
【0058】
図8は、本発明の別の実施形態に係るコンテンツ処理システムを示す図である。以下、図8を参照して、コンテンツ処理システム80について説明する。
【0059】
コンテンツ処理システム80は、コンテンツデータを提供するコンテンツ処理装置800と、コンテンツデータを再生するコンテンツ処理装置806とを含んで構成される。なお、コンテンツ処理装置806は、コンテンツ処理装置200と同様の構成を有するため、以下、相違点を中心に説明する。
【0060】
コンテンツ処理装置800は、インターネット等の広域ネットワークやLAN等の狭域ネットワークを介してコンテンツデータを提供するサーバ等の装置であり、分割部810と、生成部812と、ビデオエンコーダ814と、オーディオエンコーダ816と、統合部818と、送信部820とを含んで構成される。
【0061】
分割部810、生成部812、ビデオエンコーダ814、オーディオエンコーダ816および統合部818は、それぞれコンテンツ処理装置100の分割部110、生成部112、ビデオエンコーダ114、オーディオエンコーダ116および統合部118と同一の機能を有する。
【0062】
送信部820は、ネットワークを介してコンテンツ処理装置806にコンテンツデータ804を送信する機能手段である。送信部820は、被補完動画データ、補完データおよび音声データを含むコンテンツデータ804をコンテンツ処理装置806に送信する。
【0063】
コンテンツ処理装置806は、受信部840を備えており、受信部840がコンテンツ処理装置800からコンテンツデータ804を受信する。そして、コンテンツ処理装置806は、上述したコンテンツ処理装置100と同様に、コンテンツデータ804に含まれる被補完動画データおよび補完データを合成し、音声データと共に再生する。
【0064】
本実施形態では、コンテンツ処理装置800は、コンテンツデータ804をストリーミング配信によって提供することができ、また、ダウンロードによって提供することもできる。
【0065】
これまで本実施形態につき説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、当該実施形態の構成要件の変更や削除、他の実施形態の構成要件、例えば、オリジナルの音声データを加工して、その完全な再生を阻害する構成要件を追加するなど、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0066】
100…コンテンツ処理装置、102…オリジナルコンテンツデータ、104…コンテンツデータ、110…分割部、112…生成部、114…ビデオエンコーダ、116…オーディオエンコーダ、118…統合部、200…コンテンツ処理装置、230…分割部、232…ビデオデコーダ、234…オーディオデコーダ、236…合成部、238…再生部、80…コンテンツ処理システム、800…コンテンツ処理装置、802…オリジナルコンテンツデータ、804…コンテンツデータ、806…コンテンツ処理装置、810…分割部、812…生成部、814…ビデオエンコーダ、816…オーディオエンコーダ、818…統合部、820…送信部、830…分割部、832…ビデオデコーダ、834…オーディオデコーダ、836…合成部、838…再生部、840…受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画データを含むコンテンツデータを処理するコンテンツ処理装置であって、
オリジナルのコンテンツデータに阻害画像を付加した動画データと、前記動画データを補完する補完データとを生成する生成手段と、
前記動画データおよび前記補完データを統合して、前記動画データおよび前記補完データを含むコンテンツデータを生成する統合手段と
を含む、コンテンツ処理装置。
【請求項2】
動画データを含むコンテンツデータを処理するコンテンツ処理装置であって、
オリジナルのコンテンツデータに阻害画像を付加した動画データと、前記動画データを補完する補完データとを含むコンテンツデータを再生する際に、前記動画データと前記補完データとを合成する合成手段と、
前記動画データと前記補完データとを合成して得られた動画データを再生する再生手段と
を含む、コンテンツ処理装置。
【請求項3】
前記阻害画像の付加される位置が一定である、請求項1または2に記載のコンテンツ処理装置。
【請求項4】
前記阻害画像は、前記オリジナルのコンテンツデータを構成するフレーム毎に任意の位置に付加される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンテンツ処理装置。
【請求項5】
前記阻害画像を付加した動画データおよび前記補完データは時系列に形成されており、
前記合成手段は、
前記阻害画像を付加した動画データの各フレームと、これに対応する補完データのフレームとを順次合成する、請求項2〜4のいずれか1項に記載のコンテンツ処理装置。
【請求項6】
前記阻害画像を付加した動画データは時系列に形成され、前記補完データは時間的に前後して形成されており、
前記合成手段は、
前記阻害画像を付加した動画データの各フレームと、これに対応する補完データのフレームとを合成する、請求項2〜4のいずれか1項に記載のコンテンツ処理装置。
【請求項7】
前記阻害画像は、前記コンテンツデータが著作権で保護されていることを示す、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンテンツ処理装置。
【請求項8】
動画データを含むコンテンツデータを処理するコンテンツ処理装置が実行する方法であって、
オリジナルのコンテンツデータに阻害画像を付加して動画データを生成するステップと、
前記オリジナルのコンテンツデータから前記動画データを補完する補完データを生成するステップと、
前記動画データおよび前記補完データを統合して、前記動画データおよび前記補完データを含むコンテンツデータを生成するステップと
を含む、方法。
【請求項9】
動画データを含むコンテンツデータを処理するコンテンツ処理装置が実行する方法であって、
前記方法は、前記コンテンツ処理装置が、
オリジナルのコンテンツデータに阻害画像を付加した動画データと、前記動画データを補完する補完データとを含むコンテンツデータを再生する際に、前記動画データと前記補完データとを合成するステップと、
前記動画データと前記補完データとを合成して得られた動画データを再生するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
前記阻害画像の付加される位置が一定である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記阻害画像は、前記オリジナルのコンテンツデータを構成するフレーム毎に任意の位置に付加される、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記阻害画像を付加した動画データおよび前記補完データは時系列に形成されており、
前記合成するステップは、
前記阻害画像を付加した動画データの各フレームと、これに対応する補完データのフレームとを順次合成するステップを含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記阻害画像を付加した動画データは時系列に形成され、前記補完データは時間的に前後して形成されており、
前記合成するステップは、
前記阻害画像を付加した動画データの各フレームと、これに対応する補完データのフレームとを合成するステップを含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記阻害画像は、前記コンテンツデータが著作権で保護されていることを示す、請求項8〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
動画データを含むコンテンツデータを処理するコンテンツ処理装置に対して、請求項8〜14のいずれか1項に記載のステップを実行させるための装置実行可能なプログラム。
【請求項16】
請求項15に記載されたプログラムを記録したコンピュータ可読な記録媒体。
【請求項17】
動画データを含むコンテンツデータを処理するコンテンツ処理システムであって、前記コンテンツ処理システムは、前記コンテンツデータを提供するコンテンツ提供装置と、前記コンテンツデータを再生するコンテンツ再生装置とを含み、
前記コンテンツ提供装置は、
オリジナルのコンテンツデータに阻害画像を付加した動画データと、前記動画データを補完する補完データとを生成する生成手段と、
前記動画データおよび前記補完データを統合して、前記動画データおよび前記補完データを含むコンテンツデータを生成する統合手段とを含み、
前記コンテンツ再生装置は、
前記動画データおよび前記補完データを含むコンテンツデータを再生する際に、前記動画データと前記補完データとを合成する合成手段と、
前記動画データと前記補完データとを合成して得られた動画データを再生する再生手段と
を含む、コンテンツ処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−77947(P2013−77947A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216208(P2011−216208)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(304012596)株式会社CRI・ミドルウェア (8)
【Fターム(参考)】