説明

コンテンツ提示方法およびコンテンツ提示装置

【課題】より効果的なコンテンツの提示を行うことができるようにする。
【解決手段】光ディスク1には、コンテンツ情報として映像データを記録し、しかも、その映像データには、メタデータとして位置情報を付加する。コンテンツ再生装置10の映像表示位置計算部35では、そのメタデータの位置情報から、映像表示装置60の表示画面上における映像表示位置を計算する。その計算結果の表示位置情報によって、映像表示装置60の表示画面上の映像5が表示される位置を、表示画面の上下方向に変化させる。これによって、映像5の表示位置が高いときには、ユーザ9は見上げる姿勢となり、無意識の快感情が誘導される。音楽を出力する場合に、ユーザの生体状態を誘導する色光を発光表示させ、または、英単語を表示する場合に、その英単語の重要度に応じて背景色を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、映像を表示し、音楽を出力するなど、映像や音楽などのコンテンツをユーザに対して提示する方法および装置に関する。
【0002】
なお、コンテンツとは、人が五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)によって感知できる内容であり、コンテンツ情報とは、そのコンテンツをデジタルデータやアナログ信号によって表現したもので、映像情報、文字情報、音楽情報、その他の音声情報、などである。映像には、動画、静止画、グラフィックス、アニメーションなどを含む。
【背景技術】
【0003】
映像や音楽などの様々なコンテンツが、光ディスクの配布やネットワーク配信など、様々な形態で提供されるようになっている。また、映像の表示や音楽の出力など、コンテンツの提示についても、様々なことが考えられている。
【0004】
例えば、特許文献1(特開2000−173783号公報)には、画像表示装置に表示される画像を鑑賞する者が存在する鑑賞空間の照明を、表示される画像から仮想される仮想画像空間の照明印象にほぼ一致させるように、表示される画像に連動させて制御することが示されている。
【0005】
コンテンツの製作提供に当たっては、コンテンツ製作者やコンテンツ提供者は、一定の意図のもとに、ユーザ(鑑賞者)が満足し、好感を抱くように、コンテンツを製作提供する。
【0006】
上に挙げた先行技術文献は、以下のとおりである。
【特許文献1】特開2000−173783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、コンテンツ製作者やコンテンツ提供者が、一定の意図のもとに、ユーザが満足し、好感を抱くように、コンテンツを製作提供しても、実際上、製作者や提供者の意図がユーザに十分に伝わらず、ユーザが、あまり満足せず、好感を持たないことも多い。
【0008】
そこで、この発明は、より効果的なコンテンツの提示を行うことができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のコンテンツ提示方法は、コンテンツ情報によってコンテンツを提示するとともに、誘導用情報によってユーザの生体状態を誘導するための提示を行うことを特徴とする。
【0010】
音楽や映像などのコンテンツを提示するとき、コンテンツのリアリティを高め、ユーザの感情移入を高めるなど、より効果的な提示を行うために、従来は、コンテンツ自体の内容や、音楽情報のサンプリング周波数や映像情報のサンプリング周波数または画素数などの、コンテンツ情報の品質または属性のみに焦点が当てられ、コンテンツの受け手であるユーザ側の観点は無視されている。
【0011】
これに対して、自然や風景を見たときや、他の人と接したときの感情や印象は、見る者や接する者の、そのときの生体状態(心理状態や生理状態)に影響されることが知られている。例えば、グランドキャニオンの前に立ったときの感動は、グランドキャニオンの物理的属性だけによるものではなく、高いところから見たことによる無意識の生理的な反応である心拍数の上昇の影響も大きい。
【0012】
この発明は、この点に着目して、上述したように、コンテンツ情報によってコンテンツを提示するとともに、誘導用情報によってユーザの生体状態を誘導するための提示を行うものである。
【0013】
この方法によると、誘導用情報による誘導用提示によって、ユーザの生理状態や心理状態が、コンテンツ製作者やコンテンツ提供者の意図した方向に誘導され、変化する。それによって、コンテンツの提示が効果的になり、コンテンツ製作者やコンテンツ提供者の意図がユーザに十分に伝わって、ユーザの好感度や満足度が上昇する。
【発明の効果】
【0014】
上述したように、この発明によれば、より効果的なコンテンツの提示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
〔1.第1の実施形態:図1〜図3〕
(1−1.装置および方法の概要:図1)
図1は、この発明のコンテンツ提示装置およびコンテンツ提示方法の第1の例を示し、光ディスクからコンテンツとして音楽を再生し、出力するとともに、誘導用提示として、ユーザの生理状態を誘導するような色光を表示する場合である。
【0016】
具体的に、光ディスク1は、音楽情報としてデジタル音楽データを記録し、しかも、その音楽データには、メタデータ(データについて記述したデータ)として、後述のように、誘導用情報としての色情報または感性情報を多重化したものである。
【0017】
この例のコンテンツ再生装置10では、光ディスク1が、スピンドルモータ11によって回転駆動され、光ピックアップ12によって光ディスク1から、上記の音楽データとメタデータの多重化された信号が読み取られる。
【0018】
光ピックアップ12の読み取り出力は、RFアンプ13に供給され、RFアンプ13から、トラッキングエラー信号およびフォーカスエラー信号が得られる。そのトラッキングエラー信号およびフォーカスエラー信号は、サーボコントローラ14に供給され、光ピックアップ12のトラッキングおよびフォーカスが制御される。
【0019】
さらに、RFアンプ13の出力信号は、復調回路15で復調され、エラー訂正されて、復調回路15から、光ディスク1の読み取りアドレスの情報、コンテンツ情報としての音楽データ、および誘導用情報としてのメタデータが、それぞれ分離されて得られる。
【0020】
そのアドレス情報は、システムコントローラ41に取り込まれ、サーボコントローラ14による光ディスク1のアドレッシングに用いられる。
【0021】
音楽データは、音声処理部21で、圧縮されているものについては伸長されるなど、必要な処理がされた後、D/Aコンバータ22でアナログ音声信号に変換されて、スピーカ23に供給され、スピーカ23から音楽が出力される。
【0022】
一方、メタデータは、情報処理部31で、後述のように処理されて、情報処理部31から、赤、緑、青の色データが得られ、それぞれの色データが、D/Aコンバータ32R,32G,32Bでアナログ色信号に変換されて、光源33R,33G,33Bに供給される。
【0023】
光源33R,33G,33Bは、それぞれ、赤、緑、青の光を発光するランプやLED(発光ダイオード)で、入力信号(駆動信号)レベルに応じて発光量が変化するものである。
【0024】
なお、光源33R,33G,33Bとして、それぞれバックライトと色フィルタ付き液晶素子からなる、赤、緑、青の色を表示する表示素子を用いることもでき、その場合には、D/Aコンバータ32R,32G,32Bの出力信号によって、それぞれの表示素子の液晶の光透過率が制御されるように構成する。
【0025】
この例では、以上のような光源33R,33G,33Bによる赤、緑、青の色光の発光表示を誘導用提示とするものである。
【0026】
さらに、この例では、ユーザ9に対して生体センサ51が設けられ、その生体センサ51から得られる生体情報が、A/Dコンバータ52でデジタルデータに変換されて、システムコントローラ41に取り込まれる。
【0027】
生体センサ51によって測定する生体情報は、音楽鑑賞中のユーザ9の、呼吸、心拍、脈拍、血圧、脳波、筋電位、体表面温度、皮膚発汗、皮膚抵抗、瞳孔径、体動(身体の動き)などである。
【0028】
この例では、システムコントローラ41において、その生体情報のデータから、ユーザ9の快不快度などを推測し、その推測結果に応じて、メタデータに基づく光源33R,33G,33Bによる赤、緑、青の色光の発光表示を調整する。
【0029】
システムコントローラ41は、コンテンツ再生装置10の各部を制御するもので、図では省略したが、CPU、各種プログラムおよび各種データが書き込まれたROM、およびプログラムやデータが展開されるRAMを含むものとして構成される。
【0030】
(1−2.メタデータによる発光表示の第1の例:図2)
図1の例で、コンテンツ情報としての音楽データに付加する、誘導用情報としてのメタデータは、一例として、図2に示すように、タイムコードに色情報を付加したものとする。
【0031】
色情報は、(R0,G0,B0),(R1,G1,B1),(R2,G2,B2)‥‥で示すように、赤、緑、青の情報からなるもので、(1.0,0.0,0.0)であれば赤、(0.0,1.0,0.0)であれば緑、(0.0,0.0,1.0)であれば青、(1.0,1.0,0.0)であればイエロー、(0.0,1.0,1.0)であればシアン、(1.0,0.0,1.0)であればマゼンタである。
【0032】
したがって、この例では、誘導用提示として、光源33R,33G,33Bから、それぞれのタイムコードT0,T1,T2‥‥の時点で、それぞれの色情報(R0,G0,B0),(R1,G1,B1),(R2,G2,B2)‥‥の値に応じた光量で、赤、緑、青の色光が発光表示される。
【0033】
(1−3.メタデータによる誘導用提示の第2の例:図3)
図1の例で、コンテンツ情報としての音楽データに付加する、誘導用情報としてのメタデータは、他の例として、図3(A)に示すように、タイムコードに感性情報を付加したものとし、情報処理部31で、その感性情報を、図3(B)に示すような、あらかじめ用意された対応テーブルによって、色情報に変換する。
【0034】
感性情報は、迫力、明暗、情緒などの感性を、1.0から0.0までの、0.1刻みの値として示したものであり、対応テーブルは、感性情報と、これに対する補間用色情報との対応関係を示したものであり、その補間用色情報は、感性情報の値が1.0のときの色情報と、感性情報の値が0.0のときの色情報とを記述したものであり、出力色情報は、この補間用色情報の2つの色情報から、線形補間によって計算される。
【0035】
例えば、迫力が1.0の場合は、出力色情報が(1.0,0.0,0.0)とされて、赤が表示され、迫力が0.0の場合は、出力色情報が(0.0,1.0,1.0)とされて、シアンが表示され、明暗が1.0の場合は、出力色情報が(0.0,1.0,0.0)とされて、緑が表示され、明暗が0.0の場合は、出力色情報が(0.0,0.0,1.0)とされて、青が表示され、情緒が1.0の場合は、出力色情報が(0.5,0.0,1.0)とされて、赤と青が0.5:1.0の比率で加法混色された色が表示され、情緒が0.0の場合は、出力色情報が(0.0,0.0,0.0)とされて、光源33R,33G,33Bの出力光が全てゼロとされる。
【0036】
具体的に、タイムコードT0の時点では、感性情報の値として(迫力:0.8)が得られるので、出力色情報は、(1.0,0.0,0.0)×0.8+(0.0,1.0,1.0)×0.2=(0.8,0.2,0.2)となる。
【0037】
(1−4.生体情報に基づく調整)
上述した例では、さらに、ユーザ9の生体情報に基づいて、誘導用情報としてのメタデータに基づく光源33R,33G,33Bによる赤、緑、青の色光の発光表示が調整される。
【0038】
具体的に、生体情報のデータから、ユーザ9の快不快度などが推測され、その推測結果が、あらかじめ設定された目標範囲内にないときには、目標範囲内に入るように、情報処理部31の出力の色データが調整される。
【0039】
〔2.第2の実施形態:図4〜図6〕
(2−1.装置および方法の概要:図4)
図4は、この発明のコンテンツ提示装置およびコンテンツ提示方法の第2の例を示し、光ディスクからコンテンツとして映像を再生し、表示するとともに、誘導用提示として、ユーザの行動を誘導するように映像表示位置を変化させる場合である。
【0040】
具体的に、光ディスク1は、映像情報としてデジタル映像データを記録し、しかも、その映像データには、メタデータとして、後述のように、誘導用情報としての位置情報を多重化したものである。
【0041】
この例のコンテンツ再生装置10では、光ディスク1が、スピンドルモータ11によって回転駆動され、光ピックアップ12によって光ディスク1から、上記の映像データとメタデータの多重化された信号が読み取られる。
【0042】
光ピックアップ12の読み取り出力は、RFアンプ13に供給され、RFアンプ13から、トラッキングエラー信号およびフォーカスエラー信号が得られる。そのトラッキングエラー信号およびフォーカスエラー信号は、サーボコントローラ14に供給され、光ピックアップ12のトラッキングおよびフォーカスが制御される。
【0043】
さらに、RFアンプ13の出力信号は、復調回路15で復調され、エラー訂正されて、復調回路15から、光ディスク1の読み取りアドレスの情報、コンテンツ情報としての映像データ、および誘導用情報としてのメタデータが、それぞれ分離されて得られる。
【0044】
そのアドレス情報は、システムコントローラ41に取り込まれ、サーボコントローラ14による光ディスク1のアドレッシングに用いられる。
【0045】
映像データは、映像処理部25で、圧縮されているものについては伸長されるなど、必要な処理がされた後、デジタルデータのまま、またはアナログ映像信号に変換されて、映像表示装置60に供給され、映像表示装置60の表示画面上に映像5が表示される。
【0046】
なお、この例は、映像表示装置60のLCD(液晶ディスプレイ)などのディスプレイ上に映像5が表示される場合であるが、後述のように、映像表示装置を投射型プロジェクタとして、スクリーン上に映像が投射表示されるようにしてもよい。
【0047】
一方、メタデータは、映像表示位置計算部35に供給され、映像表示位置計算部35において、後述のように、メタデータの位置情報から、映像表示装置60の表示画面上における映像表示位置が計算される。
【0048】
その計算結果の表示位置情報は、システムコントローラ41に取り込まれ、システムコントローラ41から映像表示装置60に、映像表示位置を変更制御する信号として供給される。
【0049】
さらに、この例でも、ユーザ9に対して生体センサ51が設けられ、その生体センサ51から得られる生体情報が、A/Dコンバータ52でデジタルデータに変換されて、システムコントローラ41に取り込まれる。
【0050】
生体センサ51によって測定する生体情報は、図1の例で上述したようなもので、この例では、システムコントローラ41において、その生体情報のデータから、ユーザ9の興奮度などを推測し、その推測結果に応じて、メタデータに基づく映像表示位置の変更制御を調整する。
【0051】
システムコントローラ41は、コンテンツ再生装置10の各部を制御するもので、図1の例と同様に構成される。
【0052】
(2−2.メタデータによる映像表示位置の変更制御の一例:図5および図6)
図4の例で、コンテンツ情報としての映像データに付加する、誘導用情報としてのメタデータは、一例として、図5に示すように、タイムコードに表示位置情報を付加したものとする。
【0053】
表示位置情報は、図6に示すように、映像表示装置60の表示画面61上に、その上下方向に0.0を中心に1.0から−1.0までの位置を設定した場合の、映像5が表示されるべき領域の上下方向の中心位置を示すもので、すなわち、表示位置情報が0.0のときには、中心位置の領域Acに映像が表示され、表示位置情報が1.0のときには、最高位置の領域Apに映像が表示され、表示位置情報が−0.1のときには、最低位置の領域Amに映像が表示される。
【0054】
したがって、タイムコードT0の時点では、表示位置情報が0.0であるので、図6に示すように中心位置に映像5が表示され、タイムコードT1の時点では、表示位置情報が−0.5であるので、中心位置と最高位置の丁度中間の位置に映像5が表示され、タイムコードT2の時点では、表示位置情報が0.8であるので、最高位置に近い位置に映像5が表示されることになる。
【0055】
そして、人は見上げる姿勢で物を見るとき無意識の快感情が誘発されるので、タイムコードT0の時点では、ユーザは見上げる姿勢となり、無意識の快感情が誘発されるようになる。この誘導は、直接には行動を誘導するものであるが、最終的には心理を誘導するものである。
【0056】
(メタデータによる映像表示位置の変更制御の他の例)
映像データに付加するメタデータは、被写体を撮影した場所の位置をGPS(Global Positioning System)によって測定して得られた位置情報(緯度、経度、標高の情報)とすることもできる。
【0057】
この場合には、映像表示位置計算部35で、そのメタデータであるGPS位置情報の高さ成分(標高情報)を正規化し、−1.0から+1.0までの範囲のデータにマッピングして、上述した表示位置情報とすればよい。
【0058】
また、映像データに付加するメタデータは、被写体を撮影した際に得られたカメラ情報とすることもできる。
【0059】
この場合には、映像表示位置計算部35で、そのメタデータであるカメラ情報の方向ベクトル中のピッチ成分を正規化し、−1.0から+1.0までの範囲のデータにマッピングして、上述した表示位置情報とすればよい。
【0060】
上述した例は、映像表示装置60の表示画面61内で映像表示位置を変更する場合であるが、上述したように映像表示装置を投射型プロジェクタとして、スクリーン上に映像を投射表示する場合には、上記のような表示位置情報によってプロジェクタを上下に首振りさせて、スクリーン上の映像表示位置を変化させてもよい。
【0061】
(2−4.生体情報に基づく調整)
上述したの例では、さらに、ユーザ9の生体情報に基づいて、誘導用情報としてのメタデータに基づく映像表示位置の変更制御が調整される。
【0062】
具体的に、生体情報のデータから、ユーザ9の興奮度などが推測され、その推測結果が、あらかじめ設定された目標範囲内にないときには、目標範囲内に入るように、映像表示位置が調整される。
【0063】
〔第3の実施形態:図7および図8〕
図1〜図3に示した第1の実施形態は、コンテンツ情報が音楽情報で、コンテンツとして音楽を出力する場合であり、図4〜図6に示した第2の実施形態は、コンテンツ情報が映像情報で、コンテンツとして映像を表示する場合であるが、この発明は、コンテンツ情報が文字情報(テキスト情報)で、コンテンツとして英単語などの文字列を表示する場合などにも適用することができる。
【0064】
図7に、その一例を示す。この例は、電子辞書装置70において、その表示部71の表示画面72上に英単語73を表示する場合である。
【0065】
辞書メモリに格納される、それぞれの英単語データには、図8(A)に示すように、メタデータとし、それぞれの英単語の重要度を、1.0から0.0までの、0.1刻みの値として付加する。重要度1.0は、重要度が最も高く、重要度0.0は、重要度が最も低い。
【0066】
ユーザが、キー操作部74での操作によって、表示画面72上に、“patent”などの、ある英単語を呼び出す際には、電子辞書装置70の、図7で省略したが、図1の情報処理部31や図4の映像表示位置計算部35に対応する背景色計算部において、当該の英単語の重要度から、表示画面72上に英単語73の背景として表示される色が計算される。
【0067】
具体的に、背景色は、重要度が1.0のときには、(1.0,0.0,0.0)で表されるように赤とされ、重要度が0.0のときには、(0.0,0.0,1.0)で表されるように青とされ、重要度が0.9以下、0.1以上のときには、データ(1.0,0.0,0.0),(0.0,0.0,1.0)から、線形補間によって計算された色とされる。
【0068】
したがって、ある英単語の重要度が0.9の場合には、図8(B)に示すように、背景色は、(1.0,0.0,0.0)×0.9+(0.0,0.0,1.0)×0.1=(0.9,0.0,0.1)で表される色(赤に若干、青が加法混色された色)となる。
【0069】
色は人の覚醒度(arousal)を変化させ、赤は最も覚醒度を高める。そして、人は覚醒度が高いと記憶が促進されるので、この例では、重要度が高い英単語ほど、ユーザの覚醒度が高くなり、記憶が促進されるように誘導される。この誘導は、生理誘導の一種である。
【0070】
〔4.他の実施形態〕
(4−1.コンテンツ情報の取得)
上述した各実施形態は、光ディスクや内蔵メモリなどの記録媒体に記録されているコンテンツ情報によってコンテンツを再生提示する場合であるが、この発明は、ネットワーク配信や放送などによって送信されたコンテンツ情報を受信してコンテンツを再生提示する場合にも、同様に適用することができる。
【0071】
(4−2.誘導用提示の提示タイミング)
上述した各実施形態は、コンテンツ情報によるコンテンツ提示と同時に、誘導用情報によって誘導用提示を行う場合であるが、コンテンツ情報によるコンテンツ提示の直前または直後に、誘導用情報によって誘導用提示を行うこともできる。例えば、コンテンツ提示が比較的短い時間に渡るような場合には、その直前に誘導用提示を行うことによって、コンテンツ提示中のユーザの生体状態を誘導することができる。
【0072】
(4−3.その他)
ユーザに提示するコンテンツは、上述したように人が五感によって感知できる内容であれば、音楽、映像、または文字列に限らず、振動などでもよい。誘導用提示も、ユーザの生体状態を誘導できるものであれば、色光の発光表示、映像表示位置の変更、背景色の変更に限らない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1の実施形態を示す図である。
【図2】第1の実施形態における発光表示の第1の例を示す図である。
【図3】第1の実施形態における発光表示の第2の例を示す図である。
【図4】第2の実施形態を示す図である。
【図5】第2の実施形態におけるメタデータの一例を示す図である。
【図6】第2の実施形態における映像表示位置の変更制御の一例を示す図である。
【図7】第3の実施形態を示す図である。
【図8】第3の実施形態におけるメタデータおよび背景色を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
主要部については図中に全て記述したので、ここでは省略する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツ情報によってコンテンツを提示するとともに、誘導用情報によってユーザの生体状態を誘導するための提示を行うことを特徴とするコンテンツ提示方法。
【請求項2】
請求項1のコンテンツ提示方法において、
前記コンテンツ情報は、音楽情報であり、前記誘導用情報は、その音楽情報に付加された色情報であり、前記誘導用提示は、その色情報で示される色光を発光表示させることであるコンテンツ提示方法。
【請求項3】
請求項1のコンテンツ提示方法において、
前記コンテンツ情報は、映像情報であり、前記誘導用情報は、その映像情報に付加された位置情報であり、前記誘導用提示は、その位置情報に応じて、前記映像情報によって表示される映像の表示位置を変化させることであるコンテンツ提示方法。
【請求項4】
請求項1のコンテンツ提示方法において、
前記コンテンツ情報は、文字情報であり、前記誘導用情報は、その文字情報に付加された、その文字情報で示される文字列の重要度を示す情報であり、前記誘導用提示は、その重要度情報を色情報に変換して、その重要度に応じて、前記文字情報によって表示される文字列の背景色を変化させることであるコンテンツ提示方法。
【請求項5】
請求項1のコンテンツ提示方法において、
前記誘導用提示は前記コンテンツ提示と同時に行うことを特徴とするコンテンツ提示方法。
【請求項6】
請求項1のコンテンツ提示方法において、
前記誘導用提示は前記コンテンツ提示の直前または直後に行うことを特徴とするコンテンツ提示方法。
【請求項7】
請求項1のコンテンツ提示方法において、
前記誘導用情報は前記コンテンツ情報から計算することを特徴とするコンテンツ提示方法。
【請求項8】
記録媒体から、これに記録されたコンテンツ情報を読み出し、または外部から送信されたコンテンツ情報を受信するコンテンツ情報取得手段と、
このコンテンツ情報取得手段によって取得されたコンテンツ情報によってコンテンツを提示するコンテンツ提示手段と、
誘導用情報によってユーザの生体状態を誘導させるための提示を行う誘導用提示手段と、
を備えることを特徴とするコンテンツ提示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−3969(P2006−3969A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176959(P2004−176959)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】