コンテンツ配信システム、コンテンツ提供媒体製造方法、コンテンツ取得装置、コンテンツ取得方法
【課題】ユーザーが高速ネットワーク環境を備えていなくともストレスなく音楽や映像等のコンテンツの配信を受けることができるようにし、また配信やコンテンツ利用に関してのユーザーの手間を軽減する。
【解決手段】
ダウンロードデータとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリ1を有するコンテンツ提供媒体(3,4)と、コンテンツ提供媒体に設けられたホログラムメモリからコンテンツデータを読み出して取得するダウンロード装置50とによりコンテンツダウンロードシステムを構成する。ホログラムメモリにより大容量のコンテンツをポスターや書籍等に貼付して提供できるようにし、そのホログラムメモリからコンテンツデータをダウンロードすることで、高速通信回線やシステム上の手間をなくす。
【解決手段】
ダウンロードデータとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリ1を有するコンテンツ提供媒体(3,4)と、コンテンツ提供媒体に設けられたホログラムメモリからコンテンツデータを読み出して取得するダウンロード装置50とによりコンテンツダウンロードシステムを構成する。ホログラムメモリにより大容量のコンテンツをポスターや書籍等に貼付して提供できるようにし、そのホログラムメモリからコンテンツデータをダウンロードすることで、高速通信回線やシステム上の手間をなくす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンテンツデータのダウンロードシステム、及び該システムを構成するコンテンツ提供媒体の製造方法、さらにはダウンロード装置、ダウンロード方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2002−91431号公報
【0003】
一般にユーザーが好みの音楽コンテンツ、映像コンテンツなどを入手するためには、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、MD(Mini Disc)などの各種パッケージメディアを購入することが行われる。
さらに近年では、EMD(Electronic Music Distribution)と呼ばれる電子音楽配信が実用化されており、ユーザーがインターネット等のネットワーク環境を通じて所望のコンテンツをダウンロードすることで入手できるようにもされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EMDにより、ユーザーがわざわざ店舗まで行かなくとも音楽コンテンツ等を購入できたり、また好みの1曲のみを購入できるなど、利便性が高まっているが、EMDには高速ネットワーク環境を有することが適しており、誰しもがその利便性を容易に享受できるわけではない。
例えば圧縮された音楽コンテンツでも、64kbpsで演奏時間が5分の音楽コンテンツであると、ダウンロードするデータ量は2.4MBになる。これを64kbpsのモデムを用いてもダウンロード転送には5分かかることになり、ADSLや光ファイバーなどの高速回線環境を持たないユーザーには非常に手間がかかると感じられる現状がある。
また、パーソナルコンピュータ経由でのダウンロードとなるため、当然ながら、EMDを利用する際にはパーソナルコンピュータを立ち上げなければならない上に、ウェブサイト上で自分の好みの曲があるかどうかを探す必要がある。
つまりポスターや雑誌の広告のように簡単にユーザーの目に入る状況にはなく、積極的に自分から探しにいくという行為が必要であった。例えばポスターや書籍等に音楽コンテンツ等の紹介があり、ユーザーがそれを見て音楽コンテンツ等を入手したい思っても、即座に容易に音楽コンテンツ等を入手できるものではない。
また音楽コンテンツ等は、携帯用プレーヤ等のAV機器で再生したいという要望が高いが、パーソナルコンピュータでダウンロードした場合、そのコンテンツを携帯用プレーヤ等に移動させなければならず、その点でも手間がかかる。
【0005】
一方、近年QRコードに代表されるような二次元バーコードが普及しており、書籍等に印刷された二次元バーコードを光学的なリーダ装置や、リーダー機能を備えた携帯電話機で読み取ることで、各種情報を入手できるようにされている(例えば特許文献1参照)。
ところが二次元バーコードの容量は数百バイト程度であり、配信として十分な品質の音楽や映像のコンテンツを記録することはできない。
現状、二次元バーコードを利用した音楽配信を行おうとすれば、例えば二次元バーコードに配信ウェブサイトのURL等のアドレス情報を記録しておく。ユーザーは二次元バーコードから読み取ったURLにアクセスすることで、所望の音楽を、携帯電話やパーソナルコンピュータ等でダウンロードすることになる。この場合、ウェブサイトを探すという手間は省けるが、結局大容量のコンテンツデータ自体をネットワーク通信を介してダウンロードすることになる。従ってユーザーにストレスを感じさせないためには、高速な通信環境が不可欠となるという点は解消されない。
もちろん音楽データ等を二次元バーコードとして記録することはできるが、容量的な問題から、かなり短い時間のみ(例えば楽曲の一部分のみ)であったり、低音質なものとならざるを得ず、例えば音楽や映像のコンテンツ自体の配信サービスを二次元バーコードのみで成立させることは困難である。
【0006】
このような現状に対して本発明は、ユーザーが高速ネットワーク環境を備えていなくともストレスなく音楽や映像等のコンテンツの配信を受けることができるようにすること、及び配信やコンテンツ利用に関してのユーザーの手間を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンテンツダウンロードシステムは、ダウンロードデータとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体と、上記コンテンツ提供媒体に設けられた上記ホログラムメモリから上記コンテンツデータを読み出して取得するダウンロード装置とを備えて成る。
またさらに、課金処理等の所定の条件に応じて、上記ダウンロード装置により取得した上記コンテンツデータの使用を許可する使用管理装置を備える。
また、上記コンテンツ提供媒体に設けられた上記ホログラムメモリには、上記コンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリに記録された状態で、人の視覚による認識が可能な画像データが記録されているようにもする。この場合、上記ダウンロード装置は、上記コンテンツデータと上記画像データが記録された上記ホログラムメモリに対するデータ読み出しの際に、上記コンテンツデータのみを取得する。
【0008】
本発明のコンテンツ提供媒体製造方法は、コンテンツデータをホログラムマスターデータに変換するデータ変換ステップと、上記ホログラムマスターデータを用いてマスター記録媒体を製造するマスター生成ステップと、上記マスター記録媒体からホログラムメモリを複製し、該ホログラムメモリを所定のコンテンツ提供媒体に具備させる提供媒体生成ステップとを備える。
また上記データ変換ステップでは、圧縮処理や暗号化処理を施したコンテンツデータを、上記ホログラムマスターデータに変換する。
また、上記データ変換ステップでは、ダウンロード対象としてのコンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリ上での視認対象となる画像データを、上記ホログラムマスターデータに変換する。
上記コンテンツ提供媒体は例えば紙媒体である。
【0009】
本発明のダウンロード装置は、ダウンロードデータとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体から上記コンテンツデータをダウンロードするダウンロード装置として、上記コンテンツ提供媒体上の上記ホログラムメモリに対して読み出し参照光を出力する参照光出力手段と、上記参照光出力手段により上記ホログラムメモリに読み出し参照光を与えた状態で上記ホログラムメモリに記録されたデータによる再生像を検出する検出手段と、上記検出手段で検出された再生像から上記コンテンツデータとしてのデータ列を再生する再生処理手段とを備える。
また、二次記録媒体に対する記録手段を備え、上記再生処理手段で再生した上記コンテンツデータを、上記記録手段により上記二次記録媒体に記録する。
また、コンテンツデータを再生出力する再生出力手段を備え、上記二次記録媒体に記録された上記コンテンツデータを、上記再生出力手段で再生出力する。
また、コンテンツデータを外部機器に送信する送信手段を備え、上記再生処理手段で再生した上記コンテンツデータを、上記送信手段により外部機器に送信する。
ここで、上記再生出力手段による上記コンテンツデータの再生出力や、上記送信手段による上記コンテンツデータの送信は、入力される使用許可情報に応じて実行されるようにしてもよい。
また、暗号化されたコンテンツデータに対する暗号解読処理を行う暗号解読手段を備える。上記暗号解読手段による暗号解読処理は、入力される使用許可情報を用いて実行されるようにもする。
【0010】
本発明のダウンロード方法は、ダウンロードデータとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体から上記コンテンツデータをダウンロードするダウンロード方法として、上記コンテンツ提供媒体上の上記ホログラムメモリに対して読み出し参照光を与えた状態で、上記ホログラムメモリに記録されたデータの再生像を検出する検出ステップと、上記検出ステップで検出された再生像から上記コンテンツデータとしてのデータ列を再生する再生処理ステップとを備える。
【0011】
即ち本発明では、コンテンツ提供媒体にホログラムメモリを貼付又は印刷等により具備させる。コンテンツ提供媒体とは、例えばポスターや書籍等の紙媒体が考えられるが、もちろん紙以外の物品でもよい。例えば材質や物品種類にかかわらず、ホログラムメモリを貼付等により具備するようにしたあらゆる物品、商品は本発明でいうコンテンツ提供媒体となり得る。
そしてコンテンツ提供媒体上のホログラムメモリには、コンテンツデータが記録される。コンテンツデータは有償又は無償でユーザーに提供するダウンロード対象としての各種データであり、音楽や音声等のオーディオデータ、映画やビデオクリップ等の映像データ、静止画データ、小説その他のテキストデータ、コンピュータプログラムやアプリケーションデータなど、多様なデータが想定される。
ホログラムメモリは、記録密度を飛躍的に向上させ、著しい大容量化が可能であることが知られている。従来、ホログラムメモリは、3次元画像等の視認画像の再生などに用いられていたが、視認画像だけでなく、各種データを記録する大容量の記録媒体としても有用である。ホログラムメモリを用いれば、配信サービスとしてのコンテンツデータとして十分な容量のデータ記録が可能である。
そしてダウンロード装置としては、いわゆるホログラムリーダーとして構成することで、ホログラムメモリに記録されたコンテンツデータを、ネットワーク通信等を介することなく、直接取り込むことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ダウンロード装置によって、コンテンツ提供媒体に備えられたホログラムメモリから直接コンテンツデータをダウンロードすることができる。つまり高速なネットワーク環境やパーソナルコンピュータシステムを備える必要はなく、ユーザーはダウンロード装置を所持することで手軽にコンテンツデータを入手できるという効果がある。
またコンテンツ提供媒体としてポスターや書籍等の紙媒体を用い、そのコンテンツ提供媒体にホログラムメモリが備えられていることで、ユーザーはポスター等でのコンテンツデータの紹介を見かけたときに、そのコンテンツデータを欲しいと思えば、即座にダウンロードして入手できる。つまりユーザーにとっては、自然に目にとまった機会にコンテンツデータを入手でき、後からわざわざ店舗やインターネットウェブサイトで探すという手間がかからない。またコンテンツデータの提供者側でも、ユーザーに提供できる機会、又は購入してもらえる機会が増えることで有用なものとなる。
【0013】
また、ホログラムメモリには、コンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリに記録された状態で、人の視覚による認識が可能な画像データが記録されているようにもすれば、ホログラムメモリ及びホログラムメモリを備えたコンテンツ提供媒体の視覚効果、デザイン効果を向上させることができる。またこのようなホログラムメモリに対しては、ダウンロード装置は、データ読み出しの際にコンテンツデータのみを取得すれば装置動作として適切となる。
【0014】
ダウンロード装置において再生出力手段を備えるようにすれば、ダウンロードして二次記録媒体に記録したコンテンツデータを、そのダウンロード装置自体で出力させることができ、例えばダウンロードした音楽コンテンツ等を非常に手軽に楽しむことができる。
またダウンロード装置において送信手段を備えるようにすれば、ダウンロードしたコンテンツデータを外部機器に転送して、そのコンテンツデータを外部機器で利用できる。
またコンテンツデータの暗号化や、使用許可情報に基づく暗号解読、再生出力許可、送信許可が行われるようにすれば、例えば有料でコンテンツダウンロードシステムとして適切な処理が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を次の順序で説明する。
[1.ダウンロードシステム構成]
[2.コンテンツ提供媒体製造システム]
[3.ホログラム再生装置(ダウンロード装置)構成]
[4.ダウンロードされるコンテンツデータ]
[5.コンテンツデータの記録態様]
[6.ダウンロードコンテンツの使用許可]
[7.コンテンツデータと視認画像データの混在記録]
[8.変形例]
【0016】
[1.ダウンロードシステム構成]
実施の形態として、音楽コンテンツを有料又は無料でユーザーがダウンロードできるダウンロードシステムを例に挙げる。
図1にダウンロードシステムの構成例を示す。
コンテンツ提供媒体製造システム2は、ホログラムメモリ3を備えたコンテンツ提供媒体を製造する。このコンテンツ提供媒体製造システム2は具体的には、例えばコンテンツホルダーとしての音楽レーベルや音楽出版社、メモリ製造者、マスタリング業者、複製業者、印刷業者等が関与して、コンテンツ提供媒体を製造することになる。
【0017】
図1ではコンテンツ提供媒体の例としてポスター3、書籍4、パッケージメディア5を挙げている。
例えばコンテンツ提供媒体製造システム2では、アーティストのポスターに、そのアーティストの楽曲を記録したホログラムメモリ1を貼付又は印刷形成したコンテンツ提供媒体としてのポスター3を製造する。
またコンテンツ提供媒体製造システム2は、表紙、裏表紙、或いはページ内等にホログラムメモリ1を備えた書籍3を製造する。
さらにコンテンツ提供媒体製造システム2は、CDやDVDのようなパッケージメディアとして、ホログラムメモリ1を用いたパッケージメディア5を製造する。
もちろんこれらは一例であり、コンテンツ提供媒体製造システム2が製造するコンテンツ提供媒体は、音楽コンテンツ等のコンテンツデータを記録したホログラムメモリ1を備えたあらゆる製品が想定できる。
【0018】
図1のダウンロードシステムにおいて、ユーザー機器7は、ユーザーがコンテンツデータのダウンロードや使用に用いる機器を示している。
ユーザーサイドでは、少なくともホログラム再生装置50を用意することが必要となる。ユーザーはホログラム再生装置50に、コンテンツ提供媒体に設けられたホログラムメモリ1に対する読出スキャンを実行させ、ホログラムメモリ1に記録されているコンテンツデータを読み出す。即ちダウンロードする。
例えば店頭などでポスター3を見た際、或いは書籍4を購入したときなど、ホログラムメモリ1の部分にホログラム再生装置50を対向させ、ダウンロードを指示する操作を行うことで、ホログラム再生装置50はホログラムメモリ1からの再生像を取り込み、その再生像からオーディオデータ等のコンテンツデータをデコードして取得する。ホログラム再生装置50によるホログラムメモリ1に対する読出スキャンは接触方式、非接触方式のいずれもが考えられる。
【0019】
ホログラム再生装置50は、取り込んだコンテンツデータを内部の二次記録メディアに記録し、例えば再生させることでユーザーに音楽等を提供できるようにしてもよいし、通信機能により外部機器100にコンテンツデータを転送して、外部機器100において使用できるようにしてもよい。外部機器100としては、ユーザーが使用できるパーソナルコンピュータ、携帯電話機、AV(Audio-Visual)装置などが想定される。
【0020】
コンテンツ使用管理システム6は、例えばコンテンツデータのダウンロードを有料とする場合や、無料ではあっても一定の使用資格を有するユーザーにのみコンテンツデータを提供したい場合など、ホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータの使用に何らかの制限を与えたい場合に機能するシステムである。
例えば有料のコンテンツデータについては、暗号化を施すか、又は使用制限フラグ等を付加してホログラムメモリ1に記録しておき、このようなコンテンツデータをホログラム再生装置50がダウンロードしても、そのままでは再生できないようにする。この場合、ホログラム再生装置50側からはコンテンツ使用要求情報をコンテンツ使用管理システム6に送信する。コンテンツ使用要求情報とは、例えばコンテンツデータに与えられているコンテンツIDやユーザーID、機器IDを含むものである。
【0021】
コンテンツ使用管理システム6は、コンテンツ使用要求情報を受信したら、そのユーザーに対する課金処理や、使用資格判別処理等を行い、それらの結果コンテンツ使用を許容する場合は、ユーザーに対してコンテンツ使用許可情報を送信する。コンテンツ使用許可情報には、例えば暗号解読キーや、使用制限フラグを無効化する情報等が含まれるようにすることで、そのコンテンツ使用許可情報を受け取ったユーザーは、ホログラム再生装置50によって取り込んだコンテンツデータについて通常の使用が可能となる。例えばホログラム再生装置50において再生出力させたり、外部機器100に送信することが可能となるようにする。
【0022】
このように、図1のコンテンツダウンロードシステムでは、一般に流通するポスター3や書籍4等をコンテンツ提供媒体とし、ホログラムメモリ1に記録されたコンテンツデータをユーザーがホログラム再生装置50によってダウンロードできるものである。またそのシステムにおいて有料のダウンロードサービスとすることも可能である。
【0023】
QRコードのような二次元バーコードを使って音声情報や短い楽曲を専用再生装置、あるいは携帯電話に転送するものはすでに存在しているが、二次元バーコードでは記録できる容量が数百バイト程度であり、音楽等のコンテンツデータをユーザーに提供する媒体としては不十分である。例えばCDやDVD等のパッケージメディア、或いはEMDで提供されるコンテンツデータと同等の品質や長さのコンテンツデータのダウンロードシステムを構築することはできない。
これに対してホログラムメモリ1は扱えるため情報量が格段と大きく、高品質な音楽コンテンツなどを記録するのに十分な容量を持つことができる。例えば数M〜数10MBのデータ量をホログラムメモリ1に記録することは困難でなく、さらには1GB程度も可能とされている。
【0024】
昨今の音楽データの圧縮技術では64kbps程度のレートでMD並み(ATRAC1の圧縮方式での138kbps)の音質が確保できる。また、コーデックとしてATRAC3plusを想定し、256kbpsであればCD並みの音質が確保できる。
例えば64kbpsのレートで5分の音楽コンテンツを圧縮すると、データの容量としては2.4MBにすることができる。256kbpsではその4倍で9.6MBになる。
これらの容量はADSLや光ファイバーによる高速なデータ通信手段を使えば、短時間に転送可能であるが、電話回線などによる通信では数分レベルが必要となり非常に不便である。
一方、ホログラムメモリ1には、この程度の容量のコンテンツデータは十分に記録可能であるため、本例のダウンロードシステムでは、高速な通信手段を用いなくとも、ホログラム再生装置50によって音楽コンテンツ等をダウンロードできることになる。
【0025】
さらに本例では、安価なホログラムシートを作成し、ポスター3や雑誌等の書籍4などに掲載することで、ユーザーがよく目にする位置にコンテンツそのものを配布することができる。つまりユーザーは、ポスター3等を見たときにコンテンツデータを入手したいと思えば、所持するホログラム再生装置50によって即座に入手でき、複雑なシステム環境や手間を必要としない。
ダウンロードしたコンテンツデータそのものは、その場でホログラム再生装置50で再生させたり、外部機器100に転送してユーザーが使用できる。
【0026】
つまり本例のダウンロードシステムによっては、コンテンツデータの提供者側は、安価なホログラムメモリ1を複製し、ポスター3等のコンテンツ提供媒体に掲載することによってコンテンツデータを大量に頒布し、ユーザーが目にするチャンスを増やすことでコンテンツ購入を広げることができる。
ユーザー側も、雑誌、ポスターなどに貼り付けられたシート状のホログラムメモリ1をホログラム再生装置50でスキャンさせることでコンテンツを簡単にダウンロードでき、再生等の使用することが可能となる。
【0027】
また広告用途などにも好適である。例えば従来の広告は紙面の制約から多くの内容記載できなかったが、商品説明のデータ、映像、音声などコンテンツデータとしてをホログラムメモリ1に記録しておけば、非常に多くの情報をユーザーに伝えることが可能となる。
【0028】
[2.コンテンツ提供媒体製造システム]
図1に示したコンテンツ提供媒体製造システム2によるコンテンツ提供媒体の製造方法及び製造されるコンテンツ提供媒体について、図2〜図7で説明する。
【0029】
コンテンツデータを記録したホログラムメモリ1を備えるコンテンツ提供媒体を製造する工程は、大別して図2に示すデータ変換ステップS1と、マスター生成ステップS2と、提供媒体生成ステップS3に分けられる。
データ変換ステップS1では、コンテンツデータとしてのオーディオデータ等を、ホログラムメモリ1に記録するマスターデータに変換する。
マスター生成ステップS2では、マスターデータを記録したホログラムマスターメディア91を生成する。
提供媒体生成ステップS3では、ホログラムマスターメディア91からシート状のホログラムメモリ1を複製する。そしてシート状のホログラムメモリ1を書籍4やポスター3などに貼り付けてコンテンツ提供媒体とする。なお、ホログラムメモリ1を貼付するのではなく、書籍等に直接印刷形成するなどの手法も考えられる。
【0030】
データ変換ステップS1は、コンテンツID生成工程S1−1、基本データ生成工程S1−2、データ処理工程S1−3、マスターデータ生成工程S1−4に分けられる。
コンテンツデータを保有しているコンテンツデータホルダ、例えば音楽コンテンツの場合のレーベルやレコード会社等は、マスター作成者へコンテンツデータを提供し、ホログラムマスターメディア91の制作を依頼する。これに応じてマスター制作者は、データ変換ステップS1としての処理を行う。
【0031】
まずコンテンツID生成工程S1−1として、提供された個々のコンテンツデータについてコンテンツIDを生成する。
次に基本データ生成工程S1−2として、提供されたコンテンツデータにコンテンツIDを付加した基本データを生成する。
コンテンツデータに付加するコンテンツIDとしては、情報がハッキングされた際にコンテンツを再生する装置をリボークできるようなIDを用いることもできる。
【0032】
次にデータ処理工程S1−3としてコンテンツデータに対する必要なデータ処理を行う。例えばオーディオコンテンツデータに対してはATRAC方式やMPEGオーディオ方式等の圧縮処理を施す。
さらに、有料化や使用者特定を目的とするダウンロード後の再生制限のために暗号化処理を施すこともある。
そしてデータ処理工程S1−3を経たデータ列について、次にマスターデータ生成工程S1−4で、ホログラム化するために必要な変換が行なわれる。例えば2次元データに展開される。
【0033】
以上のデータ変換ステップS1の処理例を図3に模式的に示す。
図3におけるデータブロックとは、ストリームデータとしてのオーディオデータを所定サイズ毎に抽出して生成した記録単位のことを表している。
図3(a)の例は、所定データ量としてのオーディオデータに対してヘッダを付加して1つのデータブロックを生成し、これを1記録単位とする例である。この記録単位は、後述するホログラムマスター製造装置において、ホログラム材料に1つのホログラム要素として記録される単位の例である。
ヘッダには、コンテンツIDが記録される。さらにヘッダにはオーディオデータとしての属性、ブロックナンバ、データサイズなどが記録されるようにもする。
オーディオデータは、所定の圧縮方式や、暗号化処理が施されたオーディオデータである。
図3(b)の例は、上記ヘッダ及びオーディオデータに加えて、エラー訂正コード(ECC)が付加されたデータブロックが形成される例である。つまりデータブロック内のオーディオデータに対してエラー訂正用のエンコードが施され、そのECCパリティが記録されることで、再生時に、データブロック単位でエラー訂正処理が可能となるようにしている。
基本データ生成ステップS1−2、データ処理ステップS1−3で、このようなデータブロックが生成された後、マスターデータ生成ステップS1−4では、二次元画像エンコードを行い、各データブロックを二次元画像パターンのデータに変換することになる。
【0034】
続いてマスター制作者は、マスター生成ステップS2として、ホログラムマスター製造装置を用いて、データ変換ステップS1で生成されたマスターデータが記録されたホログラムマスターメディア91を製造する。ホログラムマスター製造装置の例は後述するが、例えば二次元データ列とされているマスターデータを液晶パネル等の表示装置に表示させ、その表示画像の物体光と、参照光とを合わせてフォトポリマーなどのホログラム材料へプリントすることでマスターを作成することができる。
なおホログラムとしてはフォトポリマーなどの材料ではなく、アルミに対して凹凸を付けることで作成するものもあり、ホログラムマスターメディア91の製造手法は、どのようなタイプのホログラムマスターメディア91を作成するかによって異なる。
【0035】
マスター生成ステップS2で製造されたホログラムマスターメディア91は、提供媒体生成ステップS3に受け渡される。例えば提供媒体生成ステップS3はホログラムメモリ複製工程S3−1と、コンテンツ提供媒体製造工程S3−2に分けられる。
ホログラムマスターメディア91は、例えば複製業者に受け渡される。そして複製業者がホログラムメモリ複製工程S3−1として、ホログラムマスターメディア91を用いてシート状のホログラムメモリ1を量産する。
【0036】
複製方法としては、例えばホログラムマスターメディア91を別の感光材料上へ密着させて情報を転写する密着コピー法が考えられる。
また、フォトレジストに記録したホログラムによる凹凸像にニッケルを電着してスタンパを生成し、スタンパを用いて複製するエンボスホログラム法も考えられる。
【0037】
量産されたホログラムメモリ1は、例えば書籍、ポスター、パッケージメディア等の製造業者に配布され、コンテンツ提供媒体製造工程S3−2として、書籍等に貼付されてコンテンツ提供媒体が完成する。
なお、ホログラムメモリ複製工程S3−1とコンテンツ提供媒体製造工程S3−2は、一体的に実行される場合もある。例えばコンテンツ提供媒体としての製品に直接複製印刷等によりホログラムメモリ1が形成されるような場合である。
【0038】
製造されたコンテンツ提供媒体は、店舗や各種施設等に配布され、一般ユーザーの目に触れる状態とされる。つまりダウンロード可能な状態とされる。
なお、以上の手順では、コンテンツデータの暗号化やコンテンツIDの設定はデータ変換ステップS1で行われる。例えば、マスター生成ステップS2や提供媒体生成ステップS3の作業は、マスター作成者が外部業者に委託することも想定されるが、、データ変換ステップS1で暗号化等を行うことでコンテンツ情報の流出を防ぐことができる。
【0039】
続いて、上記マスター生成ステップS2で製造されるホログラムマスターメディア91及びホログラムマスターメディア91から複製されるホログラムメモリ1の例を説明する。
なお、物体光と参照光によって生じる干渉縞によりデータを記録するホログラム記録媒体にはさまざまな方式があるが、ここではホログラフィックステレオグラム(Holographic Stereogram)方式のホログラム記録媒体としてホログラムマスターメディア91を生成する例に挙げる。
【0040】
従来より知られているホログラフィックステレオグラム方式のホログラム記録媒体は、多数の画像を原画とし、これらを1枚のホログラム記録媒体に短冊状又はドット状の要素ホログラムとして順次記録する。
このホログラフィックステレオグラムでは、被写体を横方向の異なる観察点から順次撮影することにより得られた複数の画像の情報が、短冊状の要素ホログラムとして横方向に連続するように順次記録されることで、このホログラフィックステレオグラムを観察者が両目で見たとき、その左右の目にそれぞれ写る2次元画像は若干異なるものとなる。これにより、観察者は視差を感じることとなり、3次元画像が再生されることとなる。つまり物体光と参照光の干渉縞によって例えば立体的に視認できる画像が記録される。
このようなホログラム記録媒体は、記録密度を飛躍的に向上させ、著しい大容量化が可能であることも知られており、このためホログラム記録媒体は、3次元画像を再生のためだけでなく、例えばコンピュータデータ等の各種データを記録する記録媒体としても有用であると考えられている。
例えば上記ホログラフィックステレオグラム方式を応用する場合、オーディオデータ、ビデオデータ、テキストデータ、プログラムデータ等のコンテンツデータを所定の記録単位毎に2次元画像化する。例えばいわゆる二次元バーコード(QRコード)のような画像パターンを生成する。そして記録単位毎の2次元画像としての画像パターンを多数生成し、それぞれを短冊状の要素ホログラムとして記録していく。このようにすると、従来の印刷による二次元バーコードに比べて記録密度を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0041】
図4には、例えばオーディオデータをホログラム記録媒体に記録することを模式的に示している。
図4(b)はホログラム材料30に帯状にホログラム要素を記録する状態を表している。ホログラム材料30には物体光L4と記録用の参照光L3が照射される。
例えば液晶パネルによる透過型の表示装置41に画像を表示した状態で、表示装置41に物体光L4を照射する。表示装置41を通過した物体光L4は、表示装置41に表示された画像を反映した物体光となるが、この物体光L4はシリンドリカルレンズ42で垂直方向の線状に収束されてホログラム材料30に照射される。
この線状に収束された物体光L4と参照光L3が干渉した際の干渉縞が、図示するように垂直方向の帯状のホログラム要素としてホログラム材料30に記録されることになる。
【0042】
ここで、帯状の各ホログラム要素を生成していくためには、ホログラム材料30を例えば矢印H方向に1段階ずつ送るとともに、表示装置41に表示する画像を変化させていく。すると、干渉縞としての帯状のホログラム要素がホログラム材料30上に格子状に形成されていくことになる。
このとき、或る物体を様々な角度から撮影した画像を順次表示装置41に表示させて、それぞれホログラム要素として記録していくと、視認上で立体画像が見える状態になるが、本例の場合、表示装置41に表示させる画像として、オーディオデータを2次元バーコード状に表現したパターンとする。即ちオーディオデータを、2次元バーコード状のパターン画像とし、これをホログラム要素として記録する。
【0043】
図4(a)に、表示装置41に順次表示させる画像の例を示すが、表示装置41には、オーディオデータDAに基づく画像を順次表示させることになる。
オーディオデータDAに基づく画像は、図示するように、二次元バーコード状の画像である。記録しようとする元々のオーディオデータについては、例えば固定長のデータサイズ毎などとしての記録単位毎に分割し、その各記録単位のオーディオデータを二次元バーコード画像パターンに変換する。
その二次元バーコード状の画像パターンを表示装置41に表示させた場合、当該画像パターンを反映した物体光L4がホログラム材料30に照射され、参照光L3との干渉縞によって該画像パターンを記録した線状のホログラム要素が形成される。即ちオーディオデータDAの1つの記録単位がホログラム材料30に記録されることになる。
そこで、図4(a)のようにオーディオデータDAに基づく画像(#1・・・#x)を順次、表示装置41に表示させながら、ホログラム材料30にホログラム要素を形成していくと、オーディオデータDAを記録したホログラム記録媒体が形成できる。
【0044】
本例では、以上のように記録を行ったホログラム材料30をホログラムマスターメディア91とする。そして、ホログラムマスターメディア91からホログラムメモリ1を複製する。
図5に、上記のように作成されたホログラムマスターメディア91から複製して形成されたホログラムメモリ1の様子を示している。
各ホログラム要素として記録されたデータは、人が視認できる画像としてホログラムメモリ1上にあらわれる。この場合、ホログラムメモリ1に対しては、或る方向に配置された光源からの光や、周囲の自然光等の外光が参照光となる。
上記図4(a)のような#1・・・#xの順序でオーディオデータDAを記録していった場合、例えば図5のように、ホログラムメモリ1に対する各角度から、#1〜#xのオーディオデータDAの画像パターンが視認できる。
【0045】
このオーディオデータDAによる画像パターンは、二次元バーコードのように、人が意味的にその内容を認識できる画像ではないが、そのオーディオデータDAによる画像パターンについては、ホログラム再生装置50が読み取ってデータ処理するものとされる。ホログラム再生装置50は、図示する読取範囲θ0で、各画像をイメージセンサで読み取っていく。即ち#1〜#xのオーディオデータDAの各画像パターンを、それぞれ読み取っていく。例えば再生装置のレンズ系の位置を順次移動させたり、或いは読み出しのための参照光の位置を順次移動させながら、各光像をイメージセンサで読み取っていく。そして各イメージパターンを各記録単位のデータにデコードする。そして各記録単位のデータからオーディオデータDAとしてのストリームデータを生成する。
【0046】
以上のようなホログラムメモリ1を複製形成するためのホログラムマスターメディア91を作成するホログラムマスター製造装置、即ちホログラフィックステレオグラム作成システムについて説明する。
このホログラフィックステレオグラム作成システムは、物体光と参照光との干渉縞が記録されたフィルム状のホログラム材料30をそのままホログラフィックステレオグラム(ホログラムマスターメディア91)にする、いわゆるワンステップホログラフィックステレオグラムを作成するシステムである。
【0047】
図6にホログラムマスター製造装置の構成を示す。このホログラムマスター製造装置は、図2のデータ変換ステップS1で生成されたマスターデータを入力するマスターデータ入力部11と、マスターデータであるオーディオデータDAとしての画像パターンを順次記録データDRとして出力する記録データ生成部13と、このシステム全体の制御を行う制御用コンピュータ14と、ホログラフィックステレオグラム作成用の光学系を有するホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15とを備えている。
【0048】
マスターデータ入力部11は、データ変換ステップS1でオーディオコンテンツデータから生成された二次元画像データを入力し、これを記録データ生成部13に受け渡す。即ち図4に示した#1〜#xとしての画像パターンデータを受け渡す。
【0049】
記録データ生成部13は、マスターデータ入力11からの各オーディオデータDAによる画像パターンを取り込み、#1〜#xの順序に、それぞれ所定タイミングで記録データDRとして出力する。
即ち記録データ生成部13は、ホログラム材料30に対する記録時に、#1〜#xの順序の記録データDR(オーディオデータDAに基づく画像パターンのデータ)を順次、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に送出するとともに、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に記録データDRを送出する毎に、データを送出したことを示すタイミング信号S1を制御用コンピュータ14に送出する。
【0050】
制御用コンピュータ14は、記録データ生成部13からのタイミング信号S1に基づいてホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15を駆動し、記録データ生成部13から出力された記録データDRに基づく画像を、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15内にセットされたホログラム材料30に、短冊状の要素ホログラムとして順次記録する。
このとき、制御用コンピュータ14は、後述するように、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に設けられたシャッタ及び記録媒体送り機構等の制御を行う。すなわち、制御用コンピュータ14は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に制御信号S2を送出して、シャッタの開閉や、記録媒体送り機構によるホログラム材料30の送り動作等を制御する。
【0051】
ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15は、例えば図7に示す光学系を備える。なお、図7(a)は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3全体の光学系を上方から見た図であり、図7(b)は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3の光学系の物体光用の部分を横方向から見た図である。
【0052】
ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15は、図7(a)に示すように、所定の波長のレーザ光を出射するレーザ光源31と、レーザ光源31からのレーザ光L1の光軸上に配されたシャッタ32と、ハーフミラー33とを備えている。シャッタ32は、制御用コンピュータ14によって制御され、ホログラム材料30を露光しないときには閉じられ、ホログラム材料30を露光するときに開放される。また、ハーフミラー33は、シャッタ32を通過してきたレーザ光L2を、参照光と物体光とに分離するためのものであり、ハーフミラー33によって反射された光L3が参照光となり、ハーフミラー33を透過した光L4が物体光となる。
【0053】
ハーフミラー33によって反射された光L3の光軸上には、参照光用の光学系として、シリンドリカルレンズ34と、参照光を平行光とするためのコリメータレンズ35と、コリメータレンズ35からの平行光を反射する全反射ミラー36とがこの順に配置されている。
そして、ハーフミラー33によって反射された光は、先ず、シリンドリカルレンズ34によって発散光とされる。次に、コリメータレンズ35によって平行光とされる。その後、全反射ミラー36によって反射され、ホログラム材料30に参照光として入射する。
【0054】
一方、ハーフミラー33を透過した光L4の光軸上には、図7(a)及び図7(b)に示すように、物体光用の光学系として、ハーフミラー33からの透過光を反射する全反射ミラー38と、凸レンズとピンホールを組み合わせたスペーシャルフィルタ39と、物体光を平行光とするためのコリメータレンズ40と、記録対象の画像を表示する表示装置41と、物体光をホログラム用記録媒体30上に集光させるシリンドリカルレンズ42とがこの順に配置されている。
そして、ハーフミラー33を透過した光L4は、全反射ミラー38によって反射された後、スペーシャルフィルタ39によって点光源からの拡散光とされる。次に、コリメータレンズ40によって平行光とされ、その後、表示装置41に入射する。ここで、表示装置41は、例えば液晶パネルからなる透過型の画像表示装置であり、記録データ生成部13から送られた記録データDRに基づく画像を表示する。そして、表示装置41を透過した光は、表示装置41に表示された画像に応じて変調された後、シリンドリカルレンズ42に入射する。
【0055】
表示装置41を透過した光は、シリンドリカルレンズ42により横方向に集束され、この集束光が物体光としてホログラム用記録媒体30に入射する。すなわち、このホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15では、表示装置41からの投影光が短冊状の物体光としてホログラム用記録媒体30に入射する。
【0056】
ここで、参照光及び物体光は、参照光がホログラム材料30の一方の主面に入射し、物体光がホログラム材料30の他方の主面に入射するようにする。すなわち、ホログラム材料30の一方の主面に、参照光を所定の入射角度にて入射させるとともに、ホログラム材料30の他方の主面に、物体光をホログラム材料30に対して光軸がほぼ垂直となるように入射させる。これにより、参照光と物体光とがホログラム材料30上において干渉し、当該干渉によって生じる干渉縞が、ホログラム材料30に屈折率の変化として記録される。
【0057】
また、このホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15は、制御用コンピュータ14の制御のもとに、ホログラム材料30を間欠送りし得る記録媒体送り機構43を備えている。この記録媒体送り機構43は、記録媒体送り機構43に所定の状態でセットされたフィルム状のホログラム材料30に対して、記録データ生成部13から出力された記録データDRに基づく1つの画像が1つの要素ホログラムとして記録される毎に、制御用コンピュータ14からの制御信号S2に基づいて、ホログラム材料30を1要素ホログラム分だけ間欠送りする。これにより、記録データ生成部13から出力される記録データDRに基づく各画像、つまりオーディオデータDAに基づく#1〜#xの画像パターンが、要素ホログラムとして、ホログラム材料30に横方向に連続するように順次記録される。
【0058】
以上のように、このホログラムマスター製造装置では、記録データ生成部13から出力される記録データDRに基づく複数の露光用画像が表示装置41に順次表示されるとともに、各画像毎にシャッタ32が開放され、各画像がそれぞれ短冊状の要素ホログラムとしてホログラム材料30に順次記録される。このとき、ホログラム材料30は、1画像毎に1要素ホログラム分だけ送られるので、各要素ホログラムは、横方向に連続して並ぶこととなる。これにより、画像データDPとして、例えばオーディオデータDAによる画像パターンが横方向に連続した複数の要素ホログラムとして記録される。
そして、このシステムでデータDRの記録を行ったホログラム材料30が、図2で説明したホログラムマスターメディア91となる。
そのホログラムマスターメディア91を用いて複製されたホログラムメモリ1が、図5で説明したホログラムメモリ1となり、例えばポスターや書籍等に貼付される。
【0059】
[3.ホログラム再生装置(ダウンロード装置)構成]
続いて、図2のようにオーディオデータDA等のコンテンツデータが二次元パターン画像の形態で記録されたホログラムメモリ1に対するホログラム再生装置50を説明する。即ちこのホログラム再生装置50は、ポスターや書籍等に貼付されたホログラムメモリ1からコンテンツデータをダウンロードするダウンロード装置である。
【0060】
図8(a)(b)は、それぞれホログラム再生装置50の外観例を示している。
ホログラム再生装置50は、例えばユーザーが携帯可能な小型の筐体で構成され、筐体上にユーザーインターフェースのための表示部51や操作部52が設けられる。
ホログラムメモリ1に対するデータ読取のためには、例えば筐体の一側面に、撮像レンズ系53や読取のための参照光を照射する発光素子(LED)54が設けられる。
図2に示したように、ホログラム再生装置50はホログラムメモリ1に対して読取範囲θ0の読取スキャンを行う。このため、例えば図8(a)の場合は、発光素子54の位置は固定されるが、レンズ移動部53aとして、撮像レンズ系53の位置を移動させる機構が設けられている。また例えば図8(b)は、撮像レンズ系53は固定されるが、発光素子54の位置を移動させる発光素子移動部54aが設けられている。
読取時のスキャン動作の例については後述する。
【0061】
図9によりホログラム再生装置50の構成を説明する。
図9においてシステムコントローラ61は、例えばマイクロコンピュータにより形成され、ホログラムメモリ1からのオーディオデータDAの読取のための動作を実行するために各部を制御する。
またシステムコントローラ61は操作部52の操作情報を監視し、ユーザーの操作に応じて必要な制御を行う。またシステムコントローラ61は、表示部51を制御してユーザーに提示する各種の情報の表示を実行させる。
【0062】
読取機構部56は、撮像レンズ系53、イメージャ55,発光素子54、スキャン機構74を有する。撮像レンズ系53は、1又は複数のレンズにより構成される光学系である。1枚の撮像レンズ、或いは撮像レンズとフォーカスレンズ等を備えた複数のレンズにより構成され、ホログラムメモリ1からの再生像光をイメージ55に導く。イメージャ55は、例えばCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の固体撮像素子アレイによって構成され、撮像レンズ系53により入射した再生像の光を受光し、電気信号に変換する。
【0063】
例えばLEDによる発光素子54は、発光駆動回路75によって発光される。発光素子54は、当該ホログラム再生装置50によってホログラムメモリ1の再生を行う場合に、システムコントローラ61の指示によって発光素子54を発光駆動する。
スキャン機構74は、例えば図8(a)のように設けられているレンズ移動部53a内で、レンズ系53(レンズ系53とイメージャ55)を移動させる機構である。或いは図8(b)のように設けられている発光素子移動部54a内で発光素子54を移動させる機構である。
【0064】
カメラメカ制御部67は、ホログラムメモリ1の再生を行う際に、システムコントローラ61の指示に応じて読取機構部56を駆動制御する。例えばレンズ系53におけるフォーカス制御や、スキャン機構74の動作を制御する。
【0065】
転送制御/信号処理部62は、イメージャ55の動作を制御すると共に、イメージ55によって得られる信号の処理を行う。
即ち転送制御/信号処理部62は、イメージャ55に対して転送タイミング信号、転送アドレス信号等を供給して、撮像信号としての固体撮像素子アレイで得られる信号を順次転送出力させる。そしてイメージャ55から転送されたきた撮像信号について、サンプリング処理、AGC処理、A/D変換処理等を施し、撮像データとして出力する。
【0066】
転送制御/信号処理部62から出力される撮像データは、メモリコントローラ63の制御によってDRAM64に蓄積される。
DRAM64に蓄積された撮像データに関する信号処理系として、光学補正部68、幾何歪み補正部69、二値化部70、データ処理部71が設けられる。またこれらの各部の処理結果や処理に必要な情報についてのシステムコントローラ61とのやりとりにSRAM72が用いられる。
また、フラッシュメモリ65には、例えば上記各部での信号処理に必要な設定値、係数、その他必要な情報が記憶される。また後述する使用許可情報、暗号解読キーなどがフラッシュメモリ65に記録されるようにしてもよい。
【0067】
光学補正部68は、イメージャ55によって得られる撮像データについて光学的な原因によるデータ値の変動を補正する処理を行う。
幾何歪み補正部69は、撮像データとして取り込まれた再生像に生じている幾何的な歪みを補正する処理を行う。
二値化部70は、イメージャ55によって得られる階調のある撮像データを白黒の二値に変換する処理を行う。ホログラムメモリ1から読み取るべきデータは、二次元パターン化されたオーディオデータDAであり、二次元画像パターンは、オーディオデータDAを白黒の二値のデータに変換した上で画像パターンにしたものであるからである。
【0068】
データ処理部71は、二次元の画像パターンとして二値化された撮像データについて、デコード処理を行い、オーディオデータを得る。
即ち、1枚の二次元画像パターンとしての撮像データから、図3に示したような1つのデータブロックとしてのデータ列を生成する。
データ処理部71は、DRAM64に蓄積された各二次元画像パターンの撮像データについて、それぞれデータブロックとしてのデータ列を生成していき、各データブロックから抽出されたオーディオデータDAに基づいて、元のオーディオストリームデータを生成していく。
この場合において、データブロックが図3(b)のようにエラー訂正コードが含まれているのであれば、データ処理部71はオーディオデータのエラー訂正処理を行うことになる。
また、データ処理部71は、データブロックから抽出したオーディオデータDAについて、必要に応じて、圧縮処理や圧縮に対する伸長処理、送信用又は記録用のエンコード処理、或いは暗号化に対するデコード処理等を行う。
【0069】
データ処理部71で得られたオーディオデータDAとしてのオーディオストリームデータは、外部インターフェース66を介して外部機器100、例えばパーソナルコンピュータやオーディオシステム等の装置に、ホログラムメモリ1からの再生データとして転送することができる。外部インターフェース66は例えばUSBインターフェース等が想定される。もちろん外部インターフェース66はUSB以外の規格のインターフェースでもよい。
ユーザーは外部機器100側で取り込んだオーディオデータを再生させることで、オーディオ再生を楽しむことができる。
【0070】
またデータ処理部71で得られたオーディオデータDAとしてのオーディオストリームデータは、メディアドライブ73に供給されて二次記録メディア90に記録することができる。またヘッダに含まれるコンテンツID等の情報もオーディオデータDAとともに二次記録メディア90に記録される。
【0071】
二次記録メディア90は、例えば光ディスク、光磁気ディスク等をされる。例えばCD(Compact Disc)方式、DVD(Digital Versatile Disc)方式、ブルーレイディスク(Blu-Ray Disc)方式、MD(Mini Disc)方式などの各種方式の記録可能型のディスクが記録メディア90として考えられる。これらのディスクが記録メディア90とされる場合、メディアドライブ73は、ディスク種別に対応したエンコード処理、エラー訂正コード処理、或いは必要であれば圧縮処理等を施して、オーディオデータをディスクに記録する。
また二次記録メディア90としてハードディスクも想定され、その場合、メディアドライブ73は、いわゆるHDD(ハードディスクドライブ)として構成される。
さらに二次記録メディア90は、固体メモリを内蔵した可搬性のメモリカード、或いは内蔵型固体メモリとしても実現でき、その場合メディアドライブ73は、メモリカード或いは内蔵型固体メモリに対する記録装置部として構成され、必要な信号処理を行ってオーディオデータ記録を行う。内蔵型固体メモリとしては、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリだけでなく、DRAM等の揮発性メモリも想定される。
【0072】
二次記録メディア90に記録されたオーディオデータDA、即ちホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータは、メディアドライブ73が二次記録メディア90から読み出し、上記の外部インターフェース66により外部機器100に送信することができる。
さらに上記のCD、DVD、ブルーレイディスク、MD、メモリカード等の可搬性の記録メディア90に記録した場合は、その記録メディア90を外部機器で再生させることで、ユーザーはホログラムメモリ1から読み出した音楽等を聞くことができる。
【0073】
またこのホログラム再生装置50自体で再生出力することもできるように、再生処理部76、D/A変換器77、アナログオーディオ処理部78が設けられている。
再生処理部76は、二次記録メディア90に記録したオーディオデータをメディアドライブ73で読み出した際に、その読み出したオーディオデータをデコードする。例えば記録メディア90における圧縮方式のデコードを行ったり、また記録メディア90において暗号化状態でオーディオデータが記録されている場合は、その暗号解読のための復号処理等を行う。
例えば再生処理部76でリニアPCMオーディオデータの状態にまでデコードされたオーディオデータは、D/A変換器77でアナログ音声信号に変換され、アナログオーディオ処理部78で増幅、ゲイン調整、インピーダンス調整等の処理が施された後、スピーカ部或いは接続されたヘッドホン等に供給されて再生音声として出力される。
これによりユーザーは、ダウンロードしたオーディオコンテンツを、ホログラム再生装置50によって再生させ、音楽等を楽しむことができる。
【0074】
なお、この図9の例のホログラム再生装置50における、本発明請求項でいうダウンロード装置の構成要件に相当する部位は次のようになる。
発光素子54及び発光駆動回路75が参照光出力手段として機能する。
読取機構部56、転送制御/信号処理部62が検出手段として機能する。
データ処理手段71が再生処理手段として機能する。
メディアドライブ73が、二次記録媒体に対する記録手段として機能する。
メディアドライブ73,再生処理部76,D/A変換器77,アナログオーディオ処理部78が、コンテンツデータを再生出力する再生出力手段として機能する。
外部インターフェース66が、コンテンツデータを外部機器に送信する送信手段として機能する。
データ処理部71もしくは再生処理部76が、暗号解読手段として機能する。
【0075】
図8,図9のような構成のホログラム再生装置50によってホログラムメモリ1からデータを読み取る際の動作例について説明する。
図6,図7では、記録時には参照光の角度を固定して、HPO(Horizontal Parallax Only)の光学系で様々な画像を記録する方式を説明したが、このような記録を行った場合は、基本的には再生時には参照光の角度を固定し、イメージャの角度を変化させることが望ましい。
図10は、ホログラム再生装置50においてレンズ系53とイメージャ55の角度を変化させる読取方式を示している。即ち図8(a)のようにレンズ移動部53aを備えたホログラム再生装置50において、このレンズ移動部53aの移動可能範囲で、レンズ系53とイメージャ55を一体的に移動させる移動ユニット80を形成する。そして、この移動ユニットを、図9に示したスキャン機構74によって図10に示すように回転方向に移動させて、ホログラムメモリ1に対する撮像方向の角度を変化させる。読取のための参照光L5を出力する発光素子54は固定位置である。
つまりユーザーがホログラムメモリ1に対してホログラム再生装置50を対向させた状態で読取を指示する操作を行ったら、システムコントローラ61がカメラメカ制御部67に指示してスキャン機構74を駆動させ、移動ユニットを回転移動させる。このときにイメージャ55によって順次得られる再生像の撮像データとして、図5の#1〜#xの撮像データが得られることになり、上記のようにホログラム再生装置50内でオーディオデータDAを得る。
【0076】
また、移動ユニット80を回転方向に移動させるのではなく、図11に示すように、移動ユニット80を平行移動させるように構成しても良い。
このように平行移動で再生像を取り込むようにすれば、移動ユニット80の移動機構を簡単な構成とすることができる。但し、再生像に歪みが生じやすいという点があり、十分な歪み補正等の処理が必要となる。
また、図12のように、イメージャ55のサイズが十分に大きい場合には、撮像レンズ系53のみを移動させる構成も考えられる。
【0077】
また図8(b)のような構成として撮像レンズ系53側は固定とし、発光素子移動部54aにおいて発光素子をホログラムメモリ1に対して回転移動させることで、図13に示すように、ホログラムメモリ1に対して照射する読み取り用の参照光L5の角度を変化させるようにしてもよい。
【0078】
[4.ダウンロードされるコンテンツデータ]
続いて、本例のダウンロードシステムでダウンロードされるコンテンツデータについて説明する。
ここまでコンテンツデータの例として、オーディオコンテンツデータを例に挙げてきたが、もちろんオーディオコンテンツデータ以外のコンテンツデータも、多様に考えられる。
例えばビデオクリップなどの動画映像データ、写真画像等の静止画像としてのスチル画像データなどをダウンロードするシステムとしてもよい。
また小説、随筆、論文、説明文、広告宣伝その他のテキストデータも本例でいうダウンロード対象のコンテンツデータとして採用できるし、コンピュータプログラムやアプリケーションプログラムなども、本例のダウンロード対象のコンテンツデータとすることができる。
【0079】
即ち本例のコンテンツダウンロードシステムは、コンテンツデータの種類にかかわらず、ユーザーに提供する各種のデータをホログラムメモリ1に記録し、これをホログラム再生装置50を用いてユーザーに提供できるシステムとすることができる。
そして、例えば動画又は静止画データやテキストデータをダウンロードコンテンツとする場合には、それに対応してホログラム再生装置50において、それらダウンロードデータ内容を表示部51に表示出力する構成を採ることも考えられる。
【0080】
また、ダウンロードによるコンテンツ提供の目的としては、コンテンツデータの販売としてもよいし、コンテンツの紹介や各種の宣伝を目的としても良い。
例えば本例のコンテンツダウンロードシステムを、音楽コンテンツ、映像コンテンツ、テキストコンテンツ、プログラムコンテンツ等をユーザーに販売するシステムとして用いる場合は、ユーザーに対する課金システムが機能するようにすればよい。
もちろんユーザーに無償でコンテンツデータを提供するシステムとすることもできる。
また有償、無償にかかわらず、例えば一定の資格を有する人のみがダウンロードしてコンテンツデータを利用できるようにすることも考えられる。例えば教材としてのコンテンツデータを、特定の学校の職員や生徒のみが利用できるようにしたり、会社の業務資料としてのコンテンツデータを、その会社の社員のみが利用できるようにするなどである。ここでいう利用とは、ダウンロードしたコンテンツデータの再生や、他の機器へ転送することなどである。
【0081】
また紹介、宣伝用のシステムとする場合、例えば音楽コンテンツの一部、動画コンテンツの一部等をホログラムメモリ1に記録し、それをユーザーがダウンロードして再生できるようにすることで、例えばパッケージメディア5として販売しようとするコンテンツデータの紹介、宣伝が可能となる。
或いは、或る物品の販売のための広告として、その物品の紹介、宣伝、説明等のためのテキストデータ、画像データ、音声データ等のコンテンツをダウンロード可能とすれば、本例のコンテンツダウンロードシステムは広告宣伝用のシステムとして機能する。
【0082】
ホログラムメモリ1に記録されるコンテンツデータは、これらの目的に沿ったものとされればよい。
特にコンテンツ自体の販売目的であれば、高品質なコンテンツデータをホログラムメモリ1に記録する。例えば高音質な音楽コンテンツを記録して、これをユーザーが有料でダウンロードできるようにする。
一方、紹介用であれば、低品質なデータや、一部のデータをホログラムメモリ1に記録する。例えば品質を落とした音楽コンテンツや、曲の一部分のみとした音楽コンテンツをダウンロードさせるようにし、ユーザーが、そのコンテンツの内容を確認できるようにすればよい。また、機能を制限したコンピュータソフトウェアプログラムとしてのコンテンツとし、ユーザーがそのソフトウェアプログラムを購入前に試用できるようにしてもよい。
【0083】
[5.コンテンツデータの記録態様]
上記のようにコンテンツダウンロードシステムの実用上の目的は各種考えられるが、それに応じてコンテンツデータの記録態様が決定されればよい。
特に有料のダウンロードシステムとする場合は、コンテンツデータを暗号化処理したり、使用制限フラグを設けてホログラム再生装置50においてダウンロードしてもそのままでは使用できないようにすることが考えられる。
【0084】
図14に、ホログラムメモリ1に記録されるコンテンツデータの形式と、ホログラム再生装置50に取り込まれたときの処理や二次記録メディア90での記録形式、さらには使用時、即ちホログラム再生装置50での再生時や外部機器100への送信時の処理の例を示している。
なお、図14(a)〜(e)の各例では、ホログラム再生装置50がホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを一旦、二次記録メディア90に記録するものとして示しているが、二次記録メディア90に記録しないで再生/送信時処理を行う場合もあり得る。
【0085】
図14(a)は、ホログラムメモリ1に非暗号化状態でコンテンツデータを記録する例である。つまり図2のデータ変換ステップS2で暗号化処理を行わない場合である。この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを二次記録メディア90に記録すれば、二次記録メディア90でも非暗号化コンテンツデータが記録されることになる。二次記録メディア90において非暗号化状態でコンテンツデータが記録されていることから、ホログラム再生装置50は、そのコンテンツデータの再生出力や外部機器100への送信を自由に行うことができる。
この図14(a)の例は、無料のコンテンツダウンロードシステムとして好適な例である。ところでこの場合、ダウンロード対象のコンテンツデータにコンテンツIDを付加することは必ずしも必要ではない。即ち図2の基本データ生成ステップS1−2で生成する基本データには、必ずしもコンテンツIDが含まれていなくても良い。
なお、ダウンロードシステム上の課金や使用制限以外の目的で、ホログラム再生装置50側で暗号化等を行うことは任意である。例えば外部機器100への送信時に、暗号化処理を行って送信することは考えられる。
【0086】
図14(b)は、ホログラムメモリ1に暗号化状態でコンテンツデータを記録する例である。つまり図2のデータ変換ステップS2で暗号化処理を行う場合である。この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを二次記録メディア90に記録すれば、二次記録メディア90でも暗号化コンテンツデータが記録されることになる。二次記録メディア90において暗号化状態でコンテンツデータが記録されていることから、ホログラム再生装置50は、そのコンテンツデータをそのまま再生出力したり、外部機器100へそのまま転送して再生させることはできない。このため、後述するが、図1に示したコンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を入手することが必要となる。ホログラム再生装置50では二次記録メディア90から読み出したコンテンツデータについては、再生時に使用許可情報に含まれている暗号解読キーを用いて、暗号解読処理を行う。即ち再生処理部76もしくはデータ処理部71で非暗号化デコードを行って暗号解読されたコンテンツデータを得る。この時点で、コンテンツデータを再生出力したり、或いは外部機器100に転送して再生させることが可能となる。
この図14(b)の例は、有料のダウンロードシステムとする場合や、有料又は無料で特定の資格を有するユーザーのみにコンテンツデータを提供するシステムとする場合に好適な例である。
【0087】
図14(c)も、ホログラムメモリ1に暗号化状態でコンテンツデータを記録する例である。つまり図2のデータ変換ステップS2で暗号化処理を行う場合である。この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを、非暗号化デコードして二次記録メディア90に記録する。ホログラム再生装置50は、コンテンツ使用管理システム6から入手した使用許可情報に含まれている暗号解読キーを用いて、ホログラムメモリ1から取り込んだ暗号化コンテンツデータに対する暗号解読処理を、データ処理部71で行う。そして暗号解読したコンテンツデータを二次記録メディア90に記録する。二次記録メディア90上では非暗号化コンテンツデータが記録されるため、その後、二次記録メディア90から読み出したコンテンツデータを再生したり、外部機器100に転送して再生させたりすることができる。
この図14(c)の例も、有料のダウンロードシステムとする場合や、有料又は無料で特定の資格を有するユーザーのみにコンテンツデータを提供するシステムとする場合に好適な例である。
【0088】
図14(d)は、ホログラムメモリ1に一部分が暗号化されたコンテンツデータを記録する例である。つまり図2のデータ変換ステップS2で暗号化処理では、コンテンツデータの一部分のみ、例えば音楽データであればサビの部分のみ暗号化するなどの例である。
この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを二次記録メディア90に記録すれば、二次記録メディア90でも一部が暗号化されたコンテンツデータが記録される。二次記録メディア90において一部暗号化状態でコンテンツデータが記録されていることから、ホログラム再生装置50は、そのコンテンツデータについては、暗号化されていない部分のみについては、そのまま再生出力したり、外部機器100へそのまま転送して再生させることができる。暗号化部分を含めたコンテンツ全体を再生させるためには、コンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を入手することが必要となる。ホログラム再生装置50では二次記録メディア90から読み出したコンテンツデータについては、再生時に使用許可情報に含まれている暗号解読キーを用いて、暗号解読処理は再生処理部76もしくはデータ処理部71で非暗号化デコードを行って全てが非暗号化状態となったコンテンツデータを得る。この時点で、コンテンツデータを再生出力したり、或いは外部機器100に転送して再生させることが可能となる。
この図14(c)の例も、有料のダウンロードシステムとする場合や、有料又は無料で特定の資格を有するユーザーのみにコンテンツデータを提供するシステムとする場合に好適な例であるが、コンテンツの一部は再生可能であるため、課金等を行う前にユーザーがコンテンツデータの一部を試聴したり見て確認することができるシステムとすることができる。
なおこのように一部暗号化コンテンツデータをホログラムメモリ1に記録する場合でも、図14(c)のようにダウンロード時に非暗号化デコードすることも考えられる。例えば予め課金契約をして暗号解読キーを入手しているユーザーや、特定の再生資格所有者は、二次記録メディア90に全体が非暗号化デコードされたコンテンツデータを記録できるようにするが、それ以外のユーザーは、課金処理等を行わなければ一部が暗号化のまま二次記録メディア90に記録され、一部しか再生できないようにするシステムとする例である。
【0089】
図14(e)は、ホログラムメモリ1に使用制限フラグ情報が付加されたコンテンツデータを記録する例である。例えば図2のデータ変換ステップS2において、基本データ生成ステップS2−2もしくはデータ処理ステップS1−3で、コンテンツデータの暗号化は行わないが、ヘッダ情報等に使用制限フラグ情報を付加する。この使用制限フラグ情報は、ホログラム再生装置50側で、システムコントローラ61が、その使用制限フラグが解除されていない限りそのコンテンツデータを再生禁止と判断する情報である。
この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを二次記録メディア90に記録すれば、二次記録メディア90でも使用制限フラグ情報が付加されたコンテンツデータが記録される。
二次記録メディア90に記録されたコンテンツデータについては、システムコントローラ61は、その使用制限フラグが解除されない限り再生禁止と判断し、ユーザーの操作に応じた再生動作は実行させない。再生させるには、コンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を入手することが必要となる。使用許可情報にはコンテンツIDに対応した使用制限解除情報が含まれており、その使用制限解除情報は、コンテンツIDに対応して例えばフラッシュメモリ65等に記憶されるものとする。
ユーザーがコンテンツデータの再生出力を指示する操作を行った場合、システムコントローラ61は、そのコンテンツデータのコンテンツIDに基づいて使用制限解除情報が既に入手されているかを判断し、入手されていれば(例えばフラッシュメモリ65にコンテンツIDに対応して使用制限解除情報が記憶されていれば)、使用制限は解除されたとして再生出力処理を行う。コンテンツIDに対応した使用制限解除情報が入手されていなければ、再生出力処理は実行しないようにする。外部機器100への送信処理についても同様とする。
従って、上述の暗号化の場合と同様に、課金等により使用許可情報を入手したユーザーのみ、ダウンロードしたコンテンツデータの使用が可能となるため、この図14(e)の例も、有料のダウンロードシステムとする場合や、有料又は無料で特定の資格を有するユーザーのみにコンテンツデータを提供するシステムとする場合に好適な例である。
なおこのように使用制限フラグ情報を付加したコンテンツデータをホログラムメモリ1に記録する場合、ダウンロード時に、既にそのダウンロードするコンテンツIDに対応した使用制限解除情報を入手していれば、使用制限フラグ情報を消去して二次記録メディア90に記録するような例も考えられる。
【0090】
以上、暗号化、非暗号化、使用制限フラグ情報の有無等のコンテンツデータの記録形式例を述べたが、他にも各種の形式が考えられる。例えば使用制限フラグ情報の付加と暗号化の両方を行ったコンテンツデータをホログラムメモリ1に記録するようにしてもよい。また、コンテンツデータの一部については使用制限フラグ情報を付加し、他の部分は使用制限しないで、例えば試聴等が可能とする例も考えられる。さらには、コンテンツデータの一部を暗号化、他の部分を非暗号化状態として上で、全体或いは一部についての使用制限フラグ情報を付加するなどの例も考えられる。
【0091】
また、時限的な使用制限も考えられる。例えば使用制限フラグ情報はダウンロード後30日など、所定の期間経過で有効となるようものとする。ホログラム再生装置50のシステムコントローラ61はダウンロードコンテンツデータを二次記録メディア90に記録する際に、そのダウンロード日時がコンテンツデータのヘッダ等に含まれるようにするか、或いはフラッシュメモリ65にコンテンツIDに対応させてダウンロード日時を登録しておく。そしてダウンロード日時から所定の期間は使用制限フラグ情報にかかわらず再生を許可するが、期間経過後は再生禁止とし、使用許可情報によって使用制限を解除しなければ再生できないようにする例である。
さらには、使用制限フラグ情報が付加されたコンテンツデータについて使用回数を限定して再生を許可することも考えられる。即ちシステムコントローラ61は、コンテンツデータが再生される毎に再生回数をカウントしてフラッシュメモリ65に記憶しておく。そして所定回数の再生を行った後は再生禁止とし、使用許可情報によって使用制限を解除しなければ再生できないようにする例である。
これらの時限的な使用制限や、回数的な使用制限により、例えばユーザーにコンテンツデータの購入判断のための試用期間を設定すること等が可能となる。
【0092】
[6.ダウンロードコンテンツの使用許可]
続いて、暗号化や使用制限フラグ情報によって、ダウンロードコンテンツをそのままでは使用できないようにする場合、例えば有料のシステムとする場合などにおける使用許可の手法について述べる。
【0093】
基本的にはホログラム再生装置50のユーザーは、何らかの手法でダウンロードしたコンテンツデータについての使用要求情報をコンテンツ使用管理システム6に送信し、コンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を受け取る。
或いはダウンロードサービスを受けたい場合に、予め使用要求情報をコンテンツ使用管理システム6に送信し、コンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を受け取る。
そして使用許可情報がホログラム再生装置50に入力された状態とすることで、上述した非暗号化デコードや使用制限フラグ情報の解除が実行でき、ダウンロードしたコンテンツデータの使用が可能となる。
【0094】
ユーザーがコンテンツ使用管理システム6に送信する使用要求情報には、例えばユーザーID、ホログラム再生装置50の機器ID、コンテンツIDなどが含まれるようにする。
一方、コンテンツ使用管理システム6がユーザーに対して発行する使用許可情報には、例えば許可するユーザ或いはホログラム再生装置50を特定するためのユーザーIDや機器ID、許可するコンテンツを特定するためのコンテンツID等に加え、暗号解読キーや使用制限解除情報などが含まれるものとする。
【0095】
図15に、ホログラム再生装置50とコンテンツ使用管理システム6の間の通信例を示す。
ここでは、コンテンツの有料ダウンロードサービスを行うためにコンテンツ使用管理システム6が設けられるとし、まずその場合のコンテンツ使用管理システム6の構成例を説明する。コンテンツ使用管理システム6は、管理サーバ31、コンテンツ情報データベース32、ユーザー情報データベース33、課金処理システム34を備える。
【0096】
管理サーバ31は、ユーザーの所持するホログラム再生装置50との間の通信処理や、コンテンツ情報データベース32及びユーザー情報データベース33の管理、さらには課金処理システム34への指示を行う。
コンテンツ情報データベース32は、例えばホログラムメモリ1によりユーザーに提供可能とされている各種のコンテンツについての情報を保持する。例えば個々のコンテンツについての付与されているコンテンツIDに対応して、そのコンテンツのダウンロード料金情報、著作権者、製造者、コンテンツホルダー等の権利者情報、暗号化情報、コンテンツ内容に関する情報などがデータベース化されて記憶されている。
ユーザー情報データベース33には、例えばユーザーとのダウンロードサービス契約によってユーザーから提示されたユーザー情報が記録されている。例えばユーザーID、住所氏名等のユーザー特定情報、ホログラム再生装置50を特定する機器固有の機器ID、ユーザーに対する課金処理のための銀行口座やクレジットカードナンバや支払い方法が、個々のユーザーに対して記録されてデータベース化されている。さらには課金処理形態によってはユーザーの所持する携帯電話番号、インターネットプロバイダとの契約番号などが記録されていても良い。例えばユーザーの電話料金等にコンテンツのダウンロード料金を含ませてユーザに請求するような場合である。
またユーザーのダウンロード履歴、例えばダウンロードしたコンテンツのコンテンツIDやその日時、料金等も逐次追加記録されていく。
ユーザーは、ダウンロードサービスを受けたい場合は、予め契約により、ユーザーに関する情報をコンテンツ使用管理システム6に提示する。コンテンツ使用管理システム6は、契約を行ったユーザーに対してユーザーIDを付与するとともに、そのユーザーの情報をユーザー情報データベース33に登録する。
【0097】
課金処理システム34は、ユーザーに対する課金処理や権利者への料金支払いの処理を行う。例えばユーザーに対する課金処理としては、ユーザーの銀行口座に対する自動引き落とし処理や、クレジットカードによる支払請求処理、或いはユーザーが契約する電話業者等への課金依頼処理等を行う。一方、コンテンツホルダ、著作権者(或いは著作権管理団体)、コンテンツ提供媒体製造者等に対して送金処理を行う。
【0098】
このようなコンテンツ使用管理システム6に対して、ユーザーは、例えばホログラム再生装置50から通信を行って、コンテンツの料金支払い手続を行い、コンテンツを使用可能とする。この流れの一例を説明する。
ここでは、例えばホログラム再生装置50は通信部79を備え、直接コンテンツ使用管理システム6との間が通信可能に構成されている例とする。即ち図9の構成に加えて通信部79を備え、ユーザーの送信操作に応じてシステムコントローラ61が使用要求情報を通信部79から送信できるようにした場合である。
【0099】
ユーザーがホログラム再生装置50を用いてホログラムメモリ1からコンテンツデータをダウンロードさせた場合、ホログラム再生装置50は例えば上記図14(b)の形式で暗号化コンテンツデータを二次記録メディア90に記録するとする。
この場合、ユーザーは使用要求情報を送信する操作を操作部52から行う。するとシステムコントローラ61は、例えばユーザーID、機器ID、コンテンツIDを含む使用要求情報を通信部79かたコンテンツ使用管理システム6に送信させる。
ユーザーIDはダウンロードサービス契約によりユーザーに付与されるもので、例えばユーザはそのユーザーIDをホログラム再生装置50に入力し、ホログラム再生装置50においてはフラッシュメモリ65等に記憶されるようにしておく。もちろん通信部79を備える場合は、契約時のコンテンツ使用管理システム6との通信によってユーザーIDがホログラム再生装置50に送信され、ホログラム再生装置50が自動的にユーザーIDをフラッシュメモリ65に記憶するようにしてもよい。
また機器IDは、ホログラム再生装置50の製造時に付与され、フラッシュメモリ65に格納したシリアルナンバ等を用いればよい。
使用要求情報の送信の際、システムコントローラ61は、フラッシュメモリ65からユーザーIDや機器IDを読み出し、またダウンロードしたコンテンツデータに付与されているコンテンツIDを読み出して、使用要求情報を生成し、通信部79から送信させる。
【0100】
使用要求情報を受信したコンテンツ使用管理システム6では、管理サーバ31がユーザーIDに基づいてユーザー情報データベース33を検索し、ユーザーを特定するとともに、コンテンツIDに基づいてコンテンツ情報データベース32を検索して、ユーザーが購入を求めたコンテンツデータを特定する。そして適正にユーザー及びコンテンツデータが特定できたら、管理サーバ31は、課金処理システム34に対して、当該ユーザーに対するコンテンツデータ購入代金の課金処理を指示する。課金処理システム34は指示に応じて当該ユーザーに対する課金処理を行うとともに、権利者への送金処理を行う。
そして管理サーバー31は、使用許可情報をホログラム再生装置50に送信する。使用許可情報には、ユーザーID、機器IDと共に、使用を許可するコンテンツデータを特定させるためのコンテンツIDを含み、またそのコンテンツデータの暗号解読キーを含むものとする。
ホログラム再生装置50側では、使用許可情報を通信部79で受信したら、システムコントローラ61は、そのコンテンツIDと暗号解読キーを対応させて例えばフラッシュメモリ65等に記憶する。以降は、当該コンテンツデータの再生や送信の際には、暗号解読キーを用いて非暗号化デコードを実行することができ、ユーザーは自由に当該コンテンツデータを使用できることになる。
【0101】
なお、以上の使用処理の流れは一例であり、他にも多様な方式が考えられる。例えばシステム上で、コンテンツデータの暗号解読キーを統一しておく。そして、ユーザーとの契約時に暗号解読キーをホログラム再生装置50側に送信しておくようにする。つまり暗号解読キーを含む包括的な使用許可情報を予めホログラム再生装置50に送信しておく。すると、図14(c)のようにダウンロード時に非暗号化デコードを行うことができる。そのような場合、システムコントローラ61は、ダウンロードが行われるたびに、ユーザーID、機器ID、ダウンロードしたコンテンツデータのコンテンツIDを通信部79からコンテンツ使用管理システム6に送信するようにし、コンテンツ使用管理システム6は、受信した情報に応じて、該当ユーザーに対する課金処理を行うようにすればよい。
また、図14(e)で説明したような形式の場合は、コンテンツ使用管理システム6は暗号解読キーではなく使用制限解除情報を含む使用許可情報をホログラム再生装置50に送信することになる。
【0102】
ところで図15の例では、ホログラム再生装置50に通信部79が備えられる場合を示したが、必ずしもホログラム再生装置50が通信機能を備えなくても良い。
図16(a)(b)に例を示す。
図16(a)の例は、例えばユーザーはコンテンツ使用管理システム6に対してコンテンツの使用を求める場合に、携帯電話機101等の電話装置とホログラム再生装置50を接続する。そして携帯電話機101による通信機能を利用して、管理サーバ31との間の使用要求情報、使用許可情報の送受信を行うようにする。
また、図16(b)の例は、例えばユーザーはコンテンツ使用管理システム6に対してコンテンツの使用を求める場合に、パーソナルコンピュータ102等のネットワーク通信可能な機器とホログラム再生装置50を接続する。そしてインターネット等のネットワーク110を介して、管理サーバ31との間の使用要求情報、使用許可情報の送受信を行うようにする。
この図16(a)(b)のように、ホログラム再生装置50が外部機器の通信機能を利用してコンテンツ使用管理システム6との間の通信を行うようにしてもよい。特にこのように携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102を利用する場合、ユーザーに対するコンテンツデータ代金の課金処理は、携帯電話使用料やインターネット利用料などに加算することも好適である。
【0103】
さらには、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102等を用いる場合に、ホログラム再生装置50と接続しない方式も考えられる。
例えばユーザーは、ホログラム再生装置50でダウンロードしたコンテンツデータについてのコンテンツIDや、ユーザーIDを、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102に手動で入力する。コンテンツIDについてはホログラム再生装置50が表示部51で表示できるようにすればよい。
ユーザーは自分に付与されたユーザーIDとコンテンツIDを入力して、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102からコンテンツ使用管理システム6に送信する。これに対してコンテンツ使用管理システム6からは、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102に対して使用許可情報を送信してくるが、そのとき、使用許可情報を受信した携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102において、使用許可情報に含まれている暗号解読キーや使用制限解除情報、及びコンテンツIDとしてのコード番号を表示するようにする。
ユーザーは表示されたコード番号を手動で操作部52からホログラム再生装置50に入力する。ホログラム再生装置50は入力された暗号解読キーや使用制限解除情報を、コンテンツIDに対応させて例えばフラッシュメモリ65に記憶する。これによって、その後、当該コンテンツデータの非暗号化デコードや使用制限解除処理を実行できるようにし、自由な使用が可能となるようにする。
【0104】
また、コンテンツデータの使用はホログラム再生装置50ではなく、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102側で行う場合も考えられる。
即ちホログラム再生装置50は、ダウンロードしたコンテンツデータについて、例えば暗号化状態或いは使用制限状態で携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102に転送するようにする。
転送は外部インターフェース66を用いて行っても良いし、二次記録メディア90を可搬性の記録メディアとし、当該二次記録メディア90を携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102側のメディアドライブに装填するものとしてもよい。
そして、上述した使用要求情報と使用許可情報の送受信を携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102において実行し、使用許可情報に基づくコンテンツデータの再生等の使用は、その携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102上で行われるようにしてもよい。
【0105】
例えば以上の各種の例によって、有料のコンテンツダウンロードシステムが実現可能となる。もちろん、上述のように特定の資格者に対して使用を可能とするシステムも同様に実現できる。例えばコンテンツ使用管理システム6は、ユーザー側からの使用要求情報で送信されてくるユーザーIDに対して認証処理を行い、認証OKであればユーザー側に暗号解読キーや使用制限解除情報を含む使用許可情報を送信するようにすればよい。
そしてこのようなダウンロードシステムにおいては、課金処理等に基づく使用許可のための使用要求情報、使用許可情報の通信を行うことが必要となるが、このコンテンツデータ自体を通信するものではなく、ID等の少ないデータ量の通信のみであるため、例えば大容量高速通信回線は要求されない。例えば上記のように携帯電話機101等を利用した通信などで十分に実現できる。
【0106】
また使用許可情報には機器IDを含むようにし、ユーザー側での再生時等には、機器IDまでも一致しなければ再生できないようにするなどの手法を導入すれば、ダウンロード後にユーザーサイドで無断コピーされたコンテンツデータを使用できないようにすることも可能である。
【0107】
なお、ホログラム再生装置50における使用要求情報や使用許可情報の通信にかかる情報は、フラッシュメモリ65に限らず、例えば、ハードディスク、メモリカード、或いはメディアドライブ73における光ディスク等の二次記録メディア90などに記憶されても良い。
【0108】
[7.コンテンツデータと視認画像データの混在記録]
以上説明してきた実施の形態では、ホログラムメモリ1にコンテンツデータを記録するものであるが、ホログラムメモリ1にコンテンツデータとともに、そのホログラムメモリ1自体をユーザーが見たときに視認できる画像データを混在記録することも考えられる。この画像データとは、ダウンロード対象のデータではなく、あくまでホログラムメモリ1自体のデザイン効果を高める画像のことである。
ここでは、ホログラム再生装置50で取り込まれるコンテンツデータと、ホログラムメモリに記録された状態で人の視覚による認識が可能な画像データとをホログラムメモリ1に混在記録させる実施の形態を説明する。
なお、ダウンロード対象のコンテンツデータとして画像データの場合もあることを先に述べたが、以下の説明では、ダウンロード対象とはならない人が視認する画像データのことを「視認画像データ」と呼んで区別する。またダウンロード対象となるコンテンツデータの例としてオーディオコンテンツデータを挙げる。
【0109】
ここでは上述したホログラフィックステレオグラム方式のホログラムメモリを形成する場合に、ホログラム材料上の垂直の帯状として記録されるホログラム要素として、一部には視認画像データを記録させ、一部にはコンテンツデータとしてダウンロードさせるオーディオデータを記録させることで、オーディオデータと視認画像データを混在記録する。
【0110】
図17には、オーディオデータと視認画像データをホログラムメモリに混在記録することを模式的に示している。
先に図4でも述べたが、この場合も図17(b)に示すように、表示装置41に画像を表示した状態で、表示装置41に物体光L4を照射する。表示装置41を通過した物体光L4は、表示装置41に表示された画像を反映した物体光となり、この物体光L4がシリンドリカルレンズ42で垂直方向の線状に収束されてホログラム材料30に照射される。
この線状に収束された物体光L4と参照光L3が干渉した際の干渉縞が、図示するように垂直方向の帯状のホログラム要素としてホログラム材料30に記録される。
【0111】
ここで、帯状の各ホログラム要素を生成していくためには、ホログラム材料30を例えば矢印H方向に1段階ずつ送るとともに、表示装置41に表示する画像を変化させていく。すると、干渉縞としての帯状のホログラム要素がホログラム材料30上に格子状に形成されていくことになる。
このとき、或る物体を様々な角度から撮影した画像を順次表示装置41に表示させて、それぞれホログラム要素として記録していくと、視認上で立体画像が見える状態になるが、本例の場合、表示装置41に表示させる画像として、視認画像データによる画像と、オダウンロードコンテンツとしてのオーディオデータを2次元バーコード状に表現したパターン画像を与える。
即ち図17(a)に示すように、表示装置41には、オーディオデータDAに基づく二次元パターン画像と、視認画像データDPに基づく画像を、所定の順序(#1・・・#x)で表示装置41に表示させながら、ホログラム材料30にホログラム要素を形成していくと、オーディオデータDAと画像データDPを混在記録したホログラム材料30が形成できる。これをホログラムマスターメディア91とする。
【0112】
図18に、そのようにして形成されたホログラムマスターメディア91から複製されるホログラムメモリ1の様子を示している。
各ホログラム要素として記録されたデータは、人が視認できる画像としてホログラムメモリ1上にあらわれる。この場合、ホログラムメモリ1に対しては、或る方向に配置された光源からの光や、周囲の自然光等の外光が参照光となる。
上記図17(a)のような#1・・・#xの順序でオーディオデータDA、視認画像データDPを記録していった場合、例えば図18のように、ホログラムメモリ1に対して、角度θ1の範囲からは、#1〜#nのオーディオデータDAの画像パターンが視認できる。また略正面方向である角度θ2の範囲では、#n+1〜#mの視認画像データDPの画像が視認できる。さらに角度θ3の範囲からは、#m+1〜#xのオーディオデータDAの画像パターンが視認できる。
【0113】
オーディオデータDAによる画像パターンは、二次元バーコードのように、人が意味的にその内容を認識できる画像ではないが、視認画像データDPによる画像は、ホログラムメモリ1に対して略正面に対峙した人200がその画像自体を認識できるものである。
オーディオデータDAによる画像パターンについては、ホログラム再生装置50が読み取ってデータ処理するものとされる。ホログラム再生装置50は、図示する読取範囲θ0で、各画像をイメージセンサで読み取っていく。即ち#1〜#nのオーディオデータDAによる画像パターン、#n+1〜#mの視認画像データDPの画像、及び#m+1〜#xのオーディオデータDAの画像パターンを、それぞれ読み取っていく。この読取のための動作は上述した図10,図11,図12,図13のような動作で行われればよい。そして撮像データとして取り込んだ各イメージパターンをデータにデコードする。
但しこの場合、ホログラム再生装置50はダウンロード対象ではない視認画像データDPの再生像も読み取ってしまうことになるが、このときホログラム再生装置50内でのデータ処理過程で、#n+1〜#mの視認画像データDPを破棄し、#1〜#n及び#m+1〜#xの読み出し画像パターンからデコードしたオーディオデータDAとしての各記録単位のデータのみを抽出する。そして各記録単位のデータからオーディオデータDAとしてのストリームデータを生成する。
【0114】
つまりこの場合のホログラムメモリ1は、ホログラムメモリの高密度記録という特性を生かしてオーディオデータDA等のコンテンツデータを十分な容量、記録できるだけでなく、人200が略正面方向から見たときに、画像自体を認識できるため、ホログラムメモリ1自体をデザイン性の高いものとすることができる。
また例えばオーディオデータDAを記録することを想定した場合、音楽データとしてのオーディオデータDAをダウンロードコンテンツとして記録すると共に、その音楽のアーティスト写真やジャケット画像を視認画像データDPとして記録すれば、付加価値の高いホログラムメモリ1を実現できる。例えばユーザーは視認できる画像によってアーティストや音楽の内容を認識しながら、ホログラム再生装置50によって、その音楽自体(オーディオデータDA)を読み取っていくことが可能となる。
【0115】
なお、当然ながら、ある角度範囲での視認可能な像を視認画像データDPの像とした場合、その視認画像データDPを記録した分だけ、オーディオデータDA等のコンテンツデータの記録容量は減少する。但しこれは逆に言えば、オーディオデータDA等の記録に必要な容量を設定した上で、残りの容量として、視認画像データDPを記録するものとすればよいものである。つまり、どのくらいの角度範囲でデザイン上有効な画像が見えるようにするか(視認画像データDPの記録容量をどれくらいとするか)というのは、記録しようとするコンテンツデータの容量と、デザイン上の観点を勘案して、決められればよい。
また、必ずしも正面方向から視認画像データDPによる像が視認できるようにする必要はなく、例えばホログラムメモリ1に対して人200が斜め方向から見たときのみ視認画像データDPによる像が認識できるようにすることも考えられる。
【0116】
次に、上記のような視認画像データとコンテンツデータを混在記録させたホログラムメモリ1の製造について説明する。
図19にコンテンツ提供媒体製造システム2による製造手順を示している。なお、図2と同一部分については説明を省略する。
この場合、データ変換ステップS1として、視認画像データ生成工程S1−5が加わることになる。視認画像データ生成工程S1−5では、視認画像データDPとして記録する画像データを生成する。例えば或る物体を撮影したり、コンピュータグラフィックなどの手法でホログラム材料30に記録される複数の要素ホログラムに対応した複数の画像の視認画像データDPを生成する。ホログラムメモリ1に記録され、視認される画像を立体画像とする場合は、上記した#n+1〜#mの各画像データDPを、いわゆる視差画像列としての画像とすればよい。
そしてマスターデータ生成工程S1−4では、データ処理ステップS1−3を経たオーディオデータを二次元パターン画像に変換してコンテンツマスターデータとすると共に、視認画像データ生成工程S1−5で生成された視認画像データDPを、視認画像マスターデータに変換して送出する。
【0117】
なお、オーディオデータDAと視認画像データDPを混在記録したホログラムメモリ1を製造するが、そのホログラムメモリ1からホログラム再生装置50が再生像を取り込んだ後に、オーディオデータDAと視認画像データDPを区別できるようにする必要がある。
その1つの手法としては、データ変換ステップS1において生成されるオーディオデータDAのデータブロックの構成として、図20(b)(d)に示すように識別コードを付加することが考えられる。この識別コードとは、ホログラムメモリ1に記録されているホログラム要素として、画像データDPと区別するためのコード情報であり、つまり識別コードによってオーディオデータDAが記録されたデータブロックであることを示すものとしている。このような識別コードが付加されたデータブロックを二次元パターン画像に変換してオーディオコンテンツとしてのマスターデータを生成する。
なお、図20(a)(c)は図3(a)(b)に示したデータブロックの構成と同じであるが、このように識別コードが付加されていなくても、ホログラム再生装置50側でオーディオデータDAと視認画像データDPを判別することは可能である。
【0118】
次にマスター生成ステップS2としてホログラムマスターメディア91を製造するホログラムマスター製造装置は図21のようになる。
前述した図6と異なるのは、視認画像マスターデータ入力部12が設けられ、上記データ変換ステップS1で生成された視認画像マスターデータが入力されることである。
記録データ生成部13は、コンテンツマスターデータ入力部11に入力されて供給されるオーディオデータDAに基づくパターン画像データと、視認画像マスターデータ入力部12から供給される視認画像マスタデータDPについて、例えば図17の#1〜#xのデータ順序を制御し、順次ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に供給する。制御用コンピュータ14,ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15の動作は、図6,図7で説明したものと同様である。
【0119】
つまりホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15では、記録データ生成部13から出力される記録データDRに基づく複数の露光用画像が表示装置41に順次表示されるとともに、各画像毎にシャッタ32が開放され、各画像がそれぞれ短冊状の要素ホログラムとしてホログラム材料30に順次記録される。このとき、ホログラム材料30は、1画像毎に1要素ホログラム分だけ送られるので、各要素ホログラムは、横方向に連続して並ぶこととなる。これにより、視認画像データDPとして、例えば横方向の視差情報を含む複数の画像が、横方向に連続した複数の要素ホログラムとしてホログラム材料30に記録され、横方向の視差を有するホログラフィックステレオグラムが得られるとともに、オーディオデータDAによる画像パターンも同じく横方向に連続した複数の要素ホログラムとして記録される。
そして、このシステムでデータDRの記録を行ったホログラム材料30が、図19のホログラムマスターメディア91とされ、このホログラムマスターメディア91を用いてホログラム複製工程S3−1、コンテンツ提供媒体製造工程S3−2としての提供媒体生成ステップS3が行われる。
このようにして生成されたポスターや書籍等のコンテンツ提供媒体に設けられたホログラムメモリ1や、パッケージメディアとしてのホログラムメモリ1では、ユーザーが視認画像データDPによる画像を視認することができ、そのデザイン性を高めることができる。
【0120】
なお、ホログラム再生装置50によるダウンロードの際には、ホログラムメモリ1に対して図18の読取範囲θ0としての全ての再生像を撮像データとして取り込み、DRAM64に蓄積していくことになるが、この場合、視認画像データDPとしての再生像も撮像データとして含まれることになる。
このためデータ処理部71は、DRAM64に蓄積された各撮像データについて、オーディオデータDAを含むデータブロックの二次元画像パターンの再生像の撮像データであるのか、或いは画像データDPの再生像であるのかを判別し、画像データDPの再生像である撮像データについては破棄する処理も行う。
例えばデータブロックが図20(b)又は図20(d)の構成とされる場合、データ処理部71は、データブロック内で識別コードが存在しているか否かで、撮像データが、オーディオデータDAの再生像であるのか、視認画像データDPの再生像であるのかを判別できる。
またデータブロックが図20(c)又は図20(d)の構成とされる場合、ECCパリティを用いて正しくエラー訂正処理ができれば、その撮像データはオーディオデータDAの再生像の撮像データであり、正しくエラー訂正処理ができなければ視認画像データDPの再生像であると判別するようにしてもよい。
また、データブロックが図20(a)のように識別コードが存在せず、またエラー訂正コードも含まれていない場合は、そのデータブロックの形式やデータ内容を確認して判別する手法が考えられる。例えばヘッダ情報としての決められた意味のある情報が含まれていればオーディオデータDAのデータブロックとして採用することが考えられる。またデータブロックから抽出したオーディオデータを繋げてオーディオストリームデータを生成する際には、そのデータブロックナンバを確認することになるが、その場合、視認画像データDPにはストリームデータとしての順序を示すデータブロックナンバは存在しないため、結果として視認画像データDPの再生像から得られるデータは除外できることになる。
【0121】
以上のように、ホログラムメモリ1に視認画像データとコンテンツデータを混在記録することで、ホログラムメモリ1の高密度記録という特性を生かしてオーディオデータDA等のダウンロード対象のコンテンツデータを十分な容量、記録でき、さらに人がホログラムメモリ1自体を見たときに、画像を認識できるため、ホログラムメモリ1をデザイン性、更にはホログラムメモリ1を貼付したコンテンツ提供媒体のデザイン性の高いものとしたり、付加価値を与えることができる。なお視認画像データとしては、再生像として立体画像を得るものであってもよいし、立体画像ではない二次元画像が観察されるものでもよい。
またホログラム再生装置50側では、ホログラムメモリ1に対して所定の角度範囲で観察される再生像を取り込んでいき、コンテンツデータによる画像パターンを抽出していくことで、コンテンツデータを正しくダウンロードできる。
【0122】
なお、図18の例では、視認画像データDPの再生像はホログラムメモリ1の略正面方向から人が観察できるようにしたが、このようにすることで、視認画像データDPの再生像が見えやすくなり、視認したときのデザイン性の向上に好適である。但し、使用状況や目的によっては、正面方向ではなく、斜め方向から視認画像データDPの再生像が見えるようにしてもよい。
また、図18の角度θ2の範囲、つまり正面方向においてコンテンツデータによる画像パターンの再生像が観察されるようにすれば、ホログラム再生装置50のスキャン機構74によるスキャン角度範囲を狭くすることができ、構成の簡略化に適しているという利点が得られる。
【0123】
[8.変形例]
以上実施の形態について説明してきたが、本発明は多様な変形例が考えられる。
ホログラムメモリ1は、ホログラフィックステレオグラム方式に限らず、他の記録方式のホログラムメモリ1でも本発明を適用できる。
また例えば波長多重、角度多重、シフト多重、多値記録など、ホログラム記録媒体の大容量化を実現する技術は多様に存在するが、それらが採用されたホログラムメモリ1を用いても良い。
またホログラムメモリ1としての記録方式や種類は、記録するコンテンツデータの容量に応じて選定されても良い。
ホログラム再生装置50の構成は上記図9の構成に限られない。ホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータの再生出力、送信出力の形態も多様に考えられる。
また、ホログラム再生装置50自体ではダウンロードしたコンテンツデータを再生する機能は設けず、コンテンツデータは外部インターフェース66による通信又は二次記録メディア90の移動によって外部機器100に転送するものとし、外部機器100側で再生されるものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の実施の形態のダウンロードシステムの説明図である。
【図2】実施の形態のコンテンツ提供媒体製造システムの説明図である。
【図3】実施の形態のコンテンツデータの記録単位としてのデータブロックの説明図である。
【図4】実施の形態のホログラムへのコンテンツデータ記録の説明図である。
【図5】実施の形態のホログラムメモリの再生像の説明図である。
【図6】実施の形態のホログラムマスター製造装置のブロック図である。
【図7】実施の形態のホログラムマスターを形成するホログラフィックステレオグラムプリンタ装置の光学系の説明図である。
【図8】実施の形態のホログラム再生装置の外観例の説明図である。
【図9】実施の形態のホログラム再生装置のブロック図である。
【図10】実施の形態の再生装置による読み取り動作の説明図である。
【図11】実施の形態の再生装置による読み取り動作の説明図である。
【図12】実施の形態の再生装置による読み取り動作の説明図である。
【図13】実施の形態の再生装置による読み取り動作の説明図である。
【図14】実施の形態のコンテンツデータの記録形式の説明図である。
【図15】実施の形態のコンテンツデータ使用管理システムの説明図である。
【図16】実施の形態のコンテンツデータ使用管理システムとの通信例の説明図である。
【図17】他の実施の形態のコンテンツ提供媒体製造システムの説明図である。
【図18】他の実施の形態のホログラムマスター製造装置のブロック図である。
【図19】他の実施の形態のコンテンツデータの記録単位としてのデータブロックの説明図である。
【図20】他の実施の形態のホログラムへのコンテンツデータ記録の説明図である。
【図21】他の実施の形態のホログラムメモリの再生像の説明図である。
【符号の説明】
【0125】
1 ホログラムメモリ、2 コンテンツ提供媒体製造システム、3 ポスター、4 書籍、5 パッケージメディア、6 コンテンツ使用管理システム、7 ユーザー機器、14 制御用コンピュータ、15、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置、30 ホログラム材料、31 管理サーバ、50 ホログラム再生装置、53 撮像レンズ系、54 発光素子、55 イメージャ、61 システムコントローラ、66 外部インターフェース、71 データ処理部、73 メディアドライブ 76 再生処理部、90 二次記録メディア、91 ホログラムマスターメディア、100 外部機器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンテンツデータの配信システム、及び該システムを構成するコンテンツ提供媒体の製造方法、さらにはコンテンツ取得装置、コンテンツ取得方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2002−91431号公報
【0003】
一般にユーザーが好みの音楽コンテンツ、映像コンテンツなどを入手するためには、CD(Compact Disc:商標)、DVD(Digital Versatile Disc:商標)、MD(Mini Disc:商標)などの各種パッケージメディアを購入することが行われる。
さらに近年では、EMD(Electronic Music Distribution)と呼ばれる電子音楽配信が実用化されており、ユーザーがインターネット等のネットワーク環境を通じて所望のコンテンツをダウンロードすることで入手できるようにもされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EMDにより、ユーザーがわざわざ店舗まで行かなくとも音楽コンテンツ等を購入できたり、また好みの1曲のみを購入できるなど、利便性が高まっているが、EMDには高速ネットワーク環境を有することが適しており、誰しもがその利便性を容易に享受できるわけではない。
例えば圧縮された音楽コンテンツでも、64kbpsで演奏時間が5分の音楽コンテンツであると、ダウンロードするデータ量は2.4MBになる。これを64kbpsのモデムを用いてもダウンロード転送には5分かかることになり、ADSLや光ファイバーなどの高速回線環境を持たないユーザーには非常に手間がかかると感じられる現状がある。
また、パーソナルコンピュータ経由でのダウンロードとなるため、当然ながら、EMDを利用する際にはパーソナルコンピュータを立ち上げなければならない上に、ウェブサイト上で自分の好みの曲があるかどうかを探す必要がある。
つまりポスターや雑誌の広告のように簡単にユーザーの目に入る状況にはなく、積極的に自分から探しにいくという行為が必要であった。例えばポスターや書籍等に音楽コンテンツ等の紹介があり、ユーザーがそれを見て音楽コンテンツ等を入手したい思っても、即座に容易に音楽コンテンツ等を入手できるものではない。
また音楽コンテンツ等は、携帯用プレーヤ等のAV機器で再生したいという要望が高いが、パーソナルコンピュータでダウンロードした場合、そのコンテンツを携帯用プレーヤ等に移動させなければならず、その点でも手間がかかる。
【0005】
一方、近年QRコード(商標)に代表されるような二次元バーコードが普及しており、書籍等に印刷された二次元バーコードを光学的なリーダ装置や、リーダー機能を備えた携帯電話機で読み取ることで、各種情報を入手できるようにされている(例えば特許文献1参照)。
ところが二次元バーコードの容量は数百バイト程度であり、配信として十分な品質の音楽や映像のコンテンツを記録することはできない。
現状、二次元バーコードを利用した音楽配信を行おうとすれば、例えば二次元バーコードに配信ウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)等のアドレス情報を記録しておく。ユーザーは二次元バーコードから読み取ったURLにアクセスすることで、所望の音楽を、携帯電話やパーソナルコンピュータ等でダウンロードすることになる。この場合、ウェブサイトを探すという手間は省けるが、結局大容量のコンテンツデータ自体をネットワーク通信を介してダウンロードすることになる。従ってユーザーにストレスを感じさせないためには、高速な通信環境が不可欠となるという点は解消されない。
もちろん音楽データ等を二次元バーコードとして記録することはできるが、容量的な問題から、かなり短い時間のみ(例えば楽曲の一部分のみ)であったり、低音質なものとならざるを得ず、例えば音楽や映像のコンテンツ自体の配信サービスを二次元バーコードのみで成立させることは困難である。
【0006】
このような現状に対して本発明は、ユーザーが高速ネットワーク環境を備えていなくともストレスなく音楽や映像等のコンテンツの配信を受けることができるようにすること、及び配信やコンテンツ利用に関してのユーザーの手間を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンテンツ配信システムは、配信データとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体と、上記コンテンツ提供媒体に設けられた上記ホログラムメモリから上記コンテンツデータを読み出して取得するコンテンツ取得装置とを備えて成る。
またさらに、配信される上記コンテンツデータの使用には課金処理等の所定の条件に応じた使用許可を必要とし、上記コンテンツデータの使用許可情報を配信する使用許可配信装置を更に備え、上記コンテンツ取得装置は、上記使用許可配信装置と接続する接続手段を更に備え、上記コンテンツデータの再生前に上記使用許可配信装置から上記コンテンツデータの使用許可情報を取得する。
また、上記コンテンツ提供媒体に設けられた上記ホログラムメモリには、上記コンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリに記録された状態で、人の視覚による認識が可能な画像データが記録されているようにもする。この場合、上記コンテンツ取得装置は、上記コンテンツデータと上記画像データが記録された上記ホログラムメモリに対するデータ読み出しの際に、上記コンテンツデータのみを取得する。
【0008】
本発明のコンテンツ提供媒体製造方法は、コンテンツデータをホログラムマスターデータに変換するデータ変換ステップと、上記ホログラムマスターデータを用いてマスター記録媒体を製造するマスター生成ステップと、上記マスター記録媒体からホログラムメモリを複製し、該ホログラムメモリを所定のコンテンツ提供媒体に具備させる提供媒体生成ステップとを備える。
また上記データ変換ステップでは、圧縮処理や暗号化処理を施したコンテンツデータを、上記ホログラムマスターデータに変換する。
また、上記データ変換ステップでは、配信対象としてのコンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリ上での人による内容認識が可能な視認対象となる画像データを、上記ホログラムマスターデータに変換する。
上記コンテンツ提供媒体は例えば紙媒体である。
【0009】
本発明のコンテンツ取得装置は、配信データとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体から上記コンテンツデータを取得するコンテンツ取得装置として、上記コンテンツ提供媒体上の上記ホログラムメモリに対して読み出し参照光を出力する参照光出力手段と、上記参照光出力手段により上記ホログラムメモリに読み出し参照光を与えた状態で上記ホログラムメモリに記録されたデータによる再生像を検出する検出手段と、上記検出手段で検出された再生像から上記コンテンツデータとしてのデータ列を再生する再生処理手段とを備える。
また、二次記録媒体に対する記録手段を備え、上記再生処理手段で再生した上記コンテンツデータを、上記記録手段により上記二次記録媒体に記録する。
また、コンテンツデータを再生出力する再生出力手段を備え、上記二次記録媒体に記録された上記コンテンツデータを、上記再生出力手段で再生出力する。
また、コンテンツデータを外部機器に送信する送信手段を備え、上記再生処理手段で再生した上記コンテンツデータを、上記送信手段により外部機器に送信する。
ここで、上記再生出力手段による上記コンテンツデータの再生出力や、上記送信手段による上記コンテンツデータの送信は、入力される使用許可情報に応じて実行されるようにしてもよい。
また、暗号化されたコンテンツデータに対する暗号解読処理を行う暗号解読手段を備える。上記暗号解読手段による暗号解読処理は、入力される使用許可情報を用いて実行されるようにもする。
【0010】
本発明のコンテンツ取得方法は、配信データとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体から上記コンテンツデータを取得するコンテンツ取得方法として、上記コンテンツ提供媒体上の上記ホログラムメモリに対して読み出し参照光を与えた状態で、上記ホログラムメモリに記録されたデータの再生像を検出する検出ステップと、上記検出ステップで検出された再生像から上記コンテンツデータとしてのデータ列を再生する再生処理ステップとを備える。
【0011】
即ち本発明では、コンテンツ提供媒体にホログラムメモリを貼付又は印刷等により具備させる。コンテンツ提供媒体とは、例えばポスターや書籍等の紙媒体が考えられるが、もちろん紙以外の物品でもよい。例えば材質や物品種類にかかわらず、ホログラムメモリを貼付等により具備するようにしたあらゆる物品、商品は本発明でいうコンテンツ提供媒体となり得る。
そしてコンテンツ提供媒体上のホログラムメモリには、コンテンツデータが記録される。コンテンツデータは有償又は無償でユーザーに提供する配信対象としての各種データであり、音楽や音声等のオーディオデータ、映画やビデオクリップ等の映像データ、静止画データ、小説その他のテキストデータ、コンピュータプログラムやアプリケーションデータなど、多様なデータが想定される。
ホログラムメモリは、記録密度を飛躍的に向上させ、著しい大容量化が可能であることが知られている。従来、ホログラムメモリは、3次元画像等の視認画像の再生などに用いられていたが、視認画像だけでなく、各種データを記録する大容量の記録媒体としても有用である。ホログラムメモリを用いれば、配信サービスとしてのコンテンツデータとして十分な容量のデータ記録が可能である。
そしてコンテンツ取得装置としては、いわゆるホログラムリーダーとして構成することで、ホログラムメモリに記録されたコンテンツデータを、ネットワーク通信等を介することなく、直接取り込むことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コンテンツ取得装置によって、コンテンツ提供媒体に備えられたホログラムメモリから直接コンテンツデータを取得することができる。つまり高速なネットワーク環境やパーソナルコンピュータシステムを備える必要はなく、ユーザーはコンテンツ取得装置を所持することで手軽にコンテンツデータを入手できるという効果がある。
またコンテンツ提供媒体としてポスターや書籍等の紙媒体を用い、そのコンテンツ提供媒体にホログラムメモリが備えられていることで、ユーザーはポスター等でのコンテンツデータの紹介を見かけたときに、そのコンテンツデータを欲しいと思えば、即座に入手できる。つまりユーザーにとっては、自然に目にとまった機会にコンテンツデータを入手でき、後からわざわざ店舗やインターネットウェブサイトで探すという手間がかからない。またコンテンツデータの提供者側でも、ユーザーに提供できる機会、又は購入してもらえる機会が増えることで有用なものとなる。
【0013】
また、ホログラムメモリには、コンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリに記録された状態で、人の視覚による認識が可能な画像データが記録されているようにもすれば、ホログラムメモリ及びホログラムメモリを備えたコンテンツ提供媒体の視覚効果、デザイン効果を向上させることができる。またこのようなホログラムメモリに対しては、コンテンツ取得装置は、データ読み出しの際にコンテンツデータのみを取得すれば装置動作として適切となる。
【0014】
コンテンツ取得装置において再生出力手段を備えるようにすれば、二次記録媒体に記録したコンテンツデータを、そのコンテンツ取得装置自体で出力させることができ、例えば取得した音楽コンテンツ等を非常に手軽に楽しむことができる。
またコンテンツ取得装置において送信手段を備えるようにすれば、取得したコンテンツデータを外部機器に転送して、そのコンテンツデータを外部機器で利用できる。
またコンテンツデータの暗号化や、使用許可情報に基づく暗号解読、再生出力許可、送信許可が行われるようにすれば、例えば有料でコンテンツ配信システムとして適切な処理が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を次の順序で説明する。
[1.ダウンロードシステム構成]
[2.コンテンツ提供媒体製造システム]
[3.ホログラム再生装置(ダウンロード装置)構成]
[4.ダウンロードされるコンテンツデータ]
[5.コンテンツデータの記録態様]
[6.ダウンロードコンテンツの使用許可]
[7.コンテンツデータと視認画像データの混在記録]
[8.変形例]
【0016】
[1.ダウンロードシステム構成]
実施の形態として、音楽コンテンツを有料又は無料でユーザーがダウンロードできるダウンロードシステムを例に挙げる。なお、ここでいうダウンロードとは、サーバからネットワークを経由してデータを端末装置に取り込むという狭義ではなく、提供されたコンテンツを端末装置に取り込むという広義であり、いわゆる配信の意味も含まれる。
図1にダウンロードシステムの構成例を示す。
コンテンツ提供媒体製造システム2は、ホログラムメモリ3を備えたコンテンツ提供媒体を製造する。このコンテンツ提供媒体製造システム2は具体的には、例えばコンテンツホルダーとしての音楽レーベルや音楽出版社、メモリ製造者、マスタリング業者、複製業者、印刷業者等が関与して、コンテンツ提供媒体を製造することになる。
【0017】
図1ではコンテンツ提供媒体の例としてポスター3、書籍4、パッケージメディア5を挙げている。
例えばコンテンツ提供媒体製造システム2では、アーティストのポスターに、そのアーティストの楽曲を記録したホログラムメモリ1を貼付又は印刷形成したコンテンツ提供媒体としてのポスター3を製造する。
またコンテンツ提供媒体製造システム2は、表紙、裏表紙、或いはページ内等にホログラムメモリ1を備えた書籍3を製造する。
さらにコンテンツ提供媒体製造システム2は、CDやDVDのようなパッケージメディアとして、ホログラムメモリ1を用いたパッケージメディア5を製造する。
もちろんこれらは一例であり、コンテンツ提供媒体製造システム2が製造するコンテンツ提供媒体は、音楽コンテンツ等のコンテンツデータを記録したホログラムメモリ1を備えたあらゆる製品が想定できる。
【0018】
図1のダウンロードシステムにおいて、ユーザー機器7は、ユーザーがコンテンツデータのダウンロードや使用に用いる機器を示している。
ユーザーサイドでは、少なくともホログラム再生装置50を用意することが必要となる。ユーザーはホログラム再生装置50に、コンテンツ提供媒体に設けられたホログラムメモリ1に対する読出スキャンを実行させ、ホログラムメモリ1に記録されているコンテンツデータを読み出す。即ちダウンロードする。
例えば店頭などでポスター3を見た際、或いは書籍4を購入したときなど、ホログラムメモリ1の部分にホログラム再生装置50を対向させ、ダウンロードを指示する操作を行うことで、ホログラム再生装置50はホログラムメモリ1からの再生像を取り込み、その再生像からオーディオデータ等のコンテンツデータをデコードして取得する。ホログラム再生装置50によるホログラムメモリ1に対する読出スキャンは接触方式、非接触方式のいずれもが考えられる。
【0019】
ホログラム再生装置50は、取り込んだコンテンツデータを内部の二次記録メディアに記録し、例えば再生させることでユーザーに音楽等を提供できるようにしてもよいし、通信機能により外部機器100にコンテンツデータを転送して、外部機器100において使用できるようにしてもよい。外部機器100としては、ユーザーが使用できるパーソナルコンピュータ、携帯電話機、AV(Audio-Visual)装置などが想定される。
【0020】
コンテンツ使用管理システム6は、例えばコンテンツデータのダウンロードを有料とする場合や、無料ではあっても一定の使用資格を有するユーザーにのみコンテンツデータを提供したい場合など、ホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータの使用に何らかの制限を与えたい場合に機能するシステムである。
例えば有料のコンテンツデータについては、暗号化を施すか、又は使用制限フラグ等を付加してホログラムメモリ1に記録しておき、このようなコンテンツデータをホログラム再生装置50がダウンロードしても、そのままでは再生できないようにする。この場合、ホログラム再生装置50側からはコンテンツ使用要求情報をコンテンツ使用管理システム6に送信する。コンテンツ使用要求情報とは、例えばコンテンツデータに与えられているコンテンツID(Identify)やユーザーID、機器IDを含むものである。
【0021】
コンテンツ使用管理システム6は、コンテンツ使用要求情報を受信したら、そのユーザーに対する課金処理や、使用資格判別処理等を行い、それらの結果コンテンツ使用を許容する場合は、ユーザーに対してコンテンツ使用許可情報を送信する。コンテンツ使用許可情報には、例えば暗号解読キーや、使用制限フラグを無効化する情報等が含まれるようにすることで、そのコンテンツ使用許可情報を受け取ったユーザーは、ホログラム再生装置50によって取り込んだコンテンツデータについて通常の使用が可能となる。例えばホログラム再生装置50において再生出力させたり、外部機器100に送信することが可能となるようにする。
【0022】
このように、図1のコンテンツダウンロードシステムでは、一般に流通するポスター3や書籍4等をコンテンツ提供媒体とし、ホログラムメモリ1に記録されたコンテンツデータをユーザーがホログラム再生装置50によってダウンロードできるものである。またそのシステムにおいて有料のダウンロードサービスとすることも可能である。
【0023】
QRコードのような二次元バーコードを使って音声情報や短い楽曲を専用再生装置、あるいは携帯電話に転送するものはすでに存在しているが、二次元バーコードでは記録できる容量が数百バイト程度であり、音楽等のコンテンツデータをユーザーに提供する媒体としては不十分である。例えばCDやDVD等のパッケージメディア、或いはEMDで提供されるコンテンツデータと同等の品質や長さのコンテンツデータのダウンロードシステムを構築することはできない。
これに対してホログラムメモリ1は扱えるため情報量が格段と大きく、高品質な音楽コンテンツなどを記録するのに十分な容量を持つことができる。例えば数M〜数10MBのデータ量をホログラムメモリ1に記録することは困難でなく、さらには1GB程度も可能とされている。
【0024】
昨今の音楽データの圧縮技術では64kbps程度のレートでMD並み(ATRAC1の圧縮方式での138kbps)の音質が確保できる。また、コーデックとしてATRAC3plusを想定し、256kbpsであればCD並みの音質が確保できる。
例えば64kbpsのレートで5分の音楽コンテンツを圧縮すると、データの容量としては2.4MBにすることができる。256kbpsではその4倍で9.6MBになる。
これらの容量はADSLや光ファイバーによる高速なデータ通信手段を使えば、短時間に転送可能であるが、電話回線などによる通信では数分レベルが必要となり非常に不便である。
一方、ホログラムメモリ1には、この程度の容量のコンテンツデータは十分に記録可能であるため、本例のダウンロードシステムでは、高速な通信手段を用いなくとも、ホログラム再生装置50によって音楽コンテンツ等をダウンロードできることになる。
【0025】
さらに本例では、ホログラムメモリ1として安価なホログラムシートを作成し、ポスター3や雑誌等の書籍4などに貼り付けたりして掲載することで、ユーザーがよく目にする位置にコンテンツそのものを配布することができる。つまりユーザーは、ポスター3等を見たときにコンテンツデータを入手したいと思えば、所持するホログラム再生装置50によって即座に入手でき、複雑なシステム環境や手間を必要としない。
ダウンロードしたコンテンツデータそのものは、その場でホログラム再生装置50で再生させたり、外部機器100に転送してユーザーが使用できる。
【0026】
つまり本例のダウンロードシステムによっては、コンテンツデータの提供者側は、安価なホログラムメモリ1を複製し、ポスター3等のコンテンツ提供媒体に掲載することによってコンテンツデータを大量に頒布し、ユーザーが目にするチャンスを増やすことでコンテンツ購入を広げることができる。
ユーザー側も、雑誌、ポスターなどに貼り付けられたシート状のホログラムメモリ1をホログラム再生装置50でスキャンさせることでコンテンツを簡単にダウンロードでき、再生等の使用することが可能となる。
【0027】
また広告用途などにも好適である。例えば従来の広告は紙面の制約から多くの内容記載できなかったが、商品説明のデータ、映像、音声などコンテンツデータとしてをホログラムメモリ1に記録しておけば、非常に多くの情報をユーザーに伝えることが可能となる。
【0028】
[2.コンテンツ提供媒体製造システム]
図1に示したコンテンツ提供媒体製造システム2によるコンテンツ提供媒体の製造方法及び製造されるコンテンツ提供媒体について、図2〜図7で説明する。
【0029】
コンテンツデータを記録したホログラムメモリ1を備えるコンテンツ提供媒体を製造する工程は、大別して図2に示すデータ変換ステップS1と、マスター生成ステップS2と、提供媒体生成ステップS3に分けられる。
データ変換ステップS1では、コンテンツデータとしてのオーディオデータ等を、ホログラムメモリ1に記録するマスターデータに変換する。
マスター生成ステップS2では、マスターデータを記録したホログラムマスターメディア91を生成する。
提供媒体生成ステップS3では、ホログラムマスターメディア91からシート状のホログラムメモリ1を複製する。そしてシート状のホログラムメモリ1を書籍4やポスター3などに貼り付けてコンテンツ提供媒体とする。なお、ホログラムメモリ1を貼付するのではなく、書籍等に直接印刷形成するなどの手法も考えられる。
【0030】
データ変換ステップS1は、コンテンツID生成工程S1−1、基本データ生成工程S1−2、データ処理工程S1−3、マスターデータ生成工程S1−4に分けられる。
コンテンツデータを保有しているコンテンツデータホルダ、例えば音楽コンテンツの場合のレーベルやレコード会社等は、マスター作成者へコンテンツデータを提供し、ホログラムマスターメディア91の制作を依頼する。これに応じてマスター制作者は、データ変換ステップS1としての処理を行う。
【0031】
まずコンテンツID生成工程S1−1として、提供された個々のコンテンツデータについてコンテンツIDを生成する。
次に基本データ生成工程S1−2として、提供されたコンテンツデータにコンテンツIDを付加した基本データを生成する。
コンテンツデータに付加するコンテンツIDとしては、情報がハッキングされた際にコンテンツを再生する装置をリボークできるようなIDを用いることもできる。
【0032】
次にデータ処理工程S1−3としてコンテンツデータに対する必要なデータ処理を行う。例えばオーディオコンテンツデータに対してはATRAC方式やMPEGオーディオ方式等の圧縮処理を施す。
さらに、有料化や使用者特定を目的とするダウンロード後の再生制限のために暗号化処理を施すこともある。
そしてデータ処理工程S1−3を経たデータ列について、次にマスターデータ生成工程S1−4で、ホログラム化するために必要な変換が行なわれる。例えば2次元データに展開される。
【0033】
以上のデータ変換ステップS1の処理例を図3に模式的に示す。
図3(a)(b)におけるデータブロックとは、ストリームデータとしてのオーディオデータを所定サイズ毎に抽出して生成した記録単位のことを表している。
図3(a)の例は、所定データ量としてのオーディオデータに対してヘッダを付加して1つのデータブロックを生成し、これを1記録単位とする例である。この記録単位は、後述するホログラムマスター製造装置において、ホログラム材料に1つのホログラム要素として記録される単位の例である。
ヘッダには、コンテンツIDが記録される。さらにヘッダにはオーディオデータとしての属性、ブロックナンバ、データサイズなどが記録されるようにもする。
オーディオデータは、所定の圧縮方式や、暗号化処理が施されたオーディオデータである。
図3(b)の例は、上記ヘッダ及びオーディオデータに加えて、エラー訂正コード(ECC)が付加されたデータブロックが形成される例である。つまりデータブロック内のオーディオデータに対してエラー訂正用のエンコードが施され、そのECCパリティが記録されることで、再生時に、データブロック単位でエラー訂正処理が可能となるようにしている。
基本データ生成ステップS1−2、データ処理ステップS1−3で、このようなデータブロックが生成された後、マスターデータ生成ステップS1−4では、二次元画像エンコードを行い、各データブロックを二次元画像パターンのデータに変換することになる。
【0034】
続いてマスター制作者は、マスター生成ステップS2として、ホログラムマスター製造装置を用いて、データ変換ステップS1で生成されたマスターデータが記録されたホログラムマスターメディア91を製造する。ホログラムマスター製造装置の例は後述するが、例えば二次元データ列とされているマスターデータを液晶パネル等の表示装置に表示させ、その表示画像の物体光と、参照光とを合わせてフォトポリマーなどのホログラム材料へプリントすることでマスターを作成することができる。
なおホログラムとしてはフォトポリマーなどの材料ではなく、アルミに対して凹凸を付けることで作成するものもあり、ホログラムマスターメディア91の製造手法は、どのようなタイプのホログラムマスターメディア91を作成するかによって異なる。
【0035】
マスター生成ステップS2で製造されたホログラムマスターメディア91は、提供媒体生成ステップS3に受け渡される。例えば提供媒体生成ステップS3はホログラムメモリ複製工程S3−1と、コンテンツ提供媒体製造工程S3−2に分けられる。
ホログラムマスターメディア91は、例えば複製業者に受け渡される。そして複製業者がホログラムメモリ複製工程S3−1として、ホログラムマスターメディア91を用いてシート状のホログラムメモリ1を量産する。
【0036】
複製方法としては、例えばホログラムマスターメディア91を別の感光材料上へ密着させて情報を転写する密着コピー法が考えられる。
また、フォトレジストに記録したホログラムによる凹凸像にニッケルを電着してスタンパを生成し、スタンパを用いて複製するエンボスホログラム法も考えられる。
【0037】
量産されたホログラムメモリ1は、例えば書籍、ポスター、パッケージメディア等の製造業者に配布され、コンテンツ提供媒体製造工程S3−2として、書籍等に貼付されてコンテンツ提供媒体が完成する。
なお、ホログラムメモリ複製工程S3−1とコンテンツ提供媒体製造工程S3−2は、一体的に実行される場合もある。例えばコンテンツ提供媒体としての製品に直接複製印刷等によりホログラムメモリ1が形成されるような場合である。
【0038】
製造されたコンテンツ提供媒体は、店舗や各種施設等に配布され、一般ユーザーの目に触れる状態とされる。つまりダウンロード可能な状態とされる。
なお、以上の手順では、コンテンツデータの暗号化やコンテンツIDの設定はデータ変換ステップS1で行われる。例えば、マスター生成ステップS2や提供媒体生成ステップS3の作業は、マスター作成者が外部業者に委託することも想定されるが、、データ変換ステップS1で暗号化等を行うことでコンテンツ情報の流出を防ぐことができる。
【0039】
続いて、上記マスター生成ステップS2で製造されるホログラムマスターメディア91及びホログラムマスターメディア91から複製されるホログラムメモリ1の例を説明する。
なお、物体光と参照光によって生じる干渉縞によりデータを記録するホログラム記録媒体にはさまざまな方式があるが、ここではホログラフィックステレオグラム(Holographic Stereogram)方式のホログラム記録媒体としてホログラムマスターメディア91を生成する例に挙げる。
【0040】
従来より知られているホログラフィックステレオグラム方式のホログラム記録媒体は、多数の画像を原画とし、これらを1枚のホログラム記録媒体に短冊状又はドット状の要素ホログラムとして順次記録する。
このホログラフィックステレオグラムでは、被写体を横方向の異なる観察点から順次撮影することにより得られた複数の画像の情報が、短冊状の要素ホログラムとして横方向に連続するように順次記録されることで、このホログラフィックステレオグラムを観察者が両目で見たとき、その左右の目にそれぞれ写る2次元画像は若干異なるものとなる。これにより、観察者は視差を感じることとなり、3次元画像が再生されることとなる。つまり物体光と参照光の干渉縞によって例えば立体的に視認できる画像が記録される。
このようなホログラム記録媒体は、記録密度を飛躍的に向上させ、著しい大容量化が可能であることも知られており、このためホログラム記録媒体は、3次元画像を再生のためだけでなく、例えばコンピュータデータ等の各種データを記録する記録媒体としても有用であると考えられている。
例えば上記ホログラフィックステレオグラム方式を応用する場合、オーディオデータ、ビデオデータ、テキストデータ、プログラムデータ等のコンテンツデータを所定の記録単位毎に2次元画像化する。例えばQRコードなどの二次元バーコードのような画像パターンを生成する。そして記録単位毎の2次元画像としての画像パターンを多数生成し、それぞれを短冊状の要素ホログラムとして記録していく。このようにすると、従来の印刷による二次元バーコードに比べて記録密度を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0041】
図4(a)(b)には、例えばオーディオデータをホログラム記録媒体に記録することを模式的に示している。
図4(b)はホログラム材料30に帯状にホログラム要素を記録する状態を表している。ホログラム材料30には物体光L4と記録用の参照光L3が照射される。
例えば液晶パネルによる透過型の表示装置41に画像を表示した状態で、表示装置41に物体光L4を照射する。表示装置41を通過した物体光L4は、表示装置41に表示された画像を反映した物体光となるが、この物体光L4はシリンドリカルレンズ42で垂直方向の線状に収束されてホログラム材料30に照射される。
この線状に収束された物体光L4と参照光L3が干渉した際の干渉縞が、図示するように垂直方向の帯状のホログラム要素としてホログラム材料30に記録されることになる。
【0042】
ここで、帯状の各ホログラム要素を生成していくためには、ホログラム材料30を例えば矢印H方向に1段階ずつ送るとともに、表示装置41に表示する画像を変化させていく。すると、干渉縞としての帯状のホログラム要素がホログラム材料30上に格子状に形成されていくことになる。
このとき、或る物体を様々な角度から撮影した画像を順次表示装置41に表示させて、それぞれホログラム要素として記録していくと、視認上で立体画像が見える状態になるが、本例の場合、表示装置41に表示させる画像として、オーディオデータを2次元バーコード状に表現したパターンとする。即ちオーディオデータを、2次元バーコード状のパターン画像とし、これをホログラム要素として記録する。
【0043】
図4(a)に、表示装置41に順次表示させる画像の例を示すが、表示装置41には、オーディオデータDAに基づく画像を順次表示させることになる。
オーディオデータDAに基づく画像は、図示するように、二次元バーコード状の画像である。記録しようとする元々のオーディオデータについては、例えば固定長のデータサイズ毎などとしての記録単位毎に分割し、その各記録単位のオーディオデータを二次元バーコード画像パターンに変換する。
その二次元バーコード状の画像パターンを表示装置41に表示させた場合、当該画像パターンを反映した物体光L4がホログラム材料30に照射され、参照光L3との干渉縞によって該画像パターンを記録した線状のホログラム要素が形成される。即ちオーディオデータDAの1つの記録単位がホログラム材料30に記録されることになる。
そこで、図4(a)のようにオーディオデータDAに基づく画像(#1・・・#x)を順次、表示装置41に表示させながら、ホログラム材料30にホログラム要素を形成していくと、オーディオデータDAを記録したホログラム記録媒体が形成できる。
【0044】
本例では、以上のように記録を行ったホログラム材料30をホログラムマスターメディア91とする。そして、ホログラムマスターメディア91からホログラムメモリ1を複製する。
図5に、上記のように作成されたホログラムマスターメディア91から複製して形成されたホログラムメモリ1の様子を示している。
各ホログラム要素として記録されたデータは、人が視認できる画像としてホログラムメモリ1上にあらわれる。この場合、ホログラムメモリ1に対しては、或る方向に配置された光源からの光や、周囲の自然光等の外光が参照光となる。
上記図4(a)のような#1・・・#xの順序でオーディオデータDAを記録していった場合、例えば図5のように、ホログラムメモリ1に対する各角度から、#1〜#xのオーディオデータDAの画像パターンが視認できる。
【0045】
このオーディオデータDAによる画像パターンは、二次元バーコードのように、人が意味的にその内容を認識できる画像ではないが、そのオーディオデータDAによる画像パターンについては、ホログラム再生装置50が読み取ってデータ処理するものとされる。ホログラム再生装置50は、図示する読取範囲θ0で、各画像をイメージセンサで読み取っていく。即ち#1〜#xのオーディオデータDAの各画像パターンを、それぞれ読み取っていく。例えば再生装置のレンズ系の位置を順次移動させたり、或いは読み出しのための参照光の位置を順次移動させながら、各光像をイメージセンサで読み取っていく。そして各イメージパターンを各記録単位のデータにデコードする。そして各記録単位のデータからオーディオデータDAとしてのストリームデータを生成する。
【0046】
以上のようなホログラムメモリ1を複製形成するためのホログラムマスターメディア91を作成するホログラムマスター製造装置、即ちホログラフィックステレオグラム作成システムについて説明する。
このホログラフィックステレオグラム作成システムは、物体光と参照光との干渉縞が記録されたフィルム状のホログラム材料30をそのままホログラフィックステレオグラム(ホログラムマスターメディア91)にする、いわゆるワンステップホログラフィックステレオグラムを作成するシステムである。
【0047】
図6にホログラムマスター製造装置の構成を示す。このホログラムマスター製造装置は、図2のデータ変換ステップS1で生成されたマスターデータを入力するマスターデータ入力部11と、マスターデータであるオーディオデータDAとしての画像パターンを順次記録データDRとして出力する記録データ生成部13と、このシステム全体の制御を行う制御用コンピュータ14と、ホログラフィックステレオグラム作成用の光学系を有するホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15とを備えている。
【0048】
マスターデータ入力部11は、データ変換ステップS1でオーディオコンテンツデータから生成された二次元画像データを入力し、これを記録データ生成部13に受け渡す。即ち図4に示した#1〜#xとしての画像パターンデータを受け渡す。
【0049】
記録データ生成部13は、マスターデータ入力11からの各オーディオデータDAによる画像パターンを取り込み、#1〜#xの順序に、それぞれ所定タイミングで記録データDRとして出力する。
即ち記録データ生成部13は、ホログラム材料30に対する記録時に、#1〜#xの順序の記録データDR(オーディオデータDAに基づく画像パターンのデータ)を順次、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に送出するとともに、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に記録データDRを送出する毎に、データを送出したことを示すタイミング信号S1を制御用コンピュータ14に送出する。
【0050】
制御用コンピュータ14は、記録データ生成部13からのタイミング信号S1に基づいてホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15を駆動し、記録データ生成部13から出力された記録データDRに基づく画像を、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15内にセットされたホログラム材料30に、短冊状の要素ホログラムとして順次記録する。
このとき、制御用コンピュータ14は、後述するように、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に設けられたシャッタ及び記録媒体送り機構等の制御を行う。すなわち、制御用コンピュータ14は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に制御信号S2を送出して、シャッタの開閉や、記録媒体送り機構によるホログラム材料30の送り動作等を制御する。
【0051】
ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15は、例えば図7に示す光学系を備える。なお、図7(a)は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15全体の光学系を上方から見た図であり、図7(b)は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15の光学系の物体光用の部分を横方向から見た図である。
【0052】
ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15は、図7(a)に示すように、所定の波長のレーザ光を出射するレーザ光源31と、レーザ光源31からのレーザ光L1の光軸上に配されたシャッタ32と、ハーフミラー33とを備えている。シャッタ32は、制御用コンピュータ14によって制御され、ホログラム材料30を露光しないときには閉じられ、ホログラム材料30を露光するときに開放される。また、ハーフミラー33は、シャッタ32を通過してきたレーザ光L2を、参照光と物体光とに分離するためのものであり、ハーフミラー33によって反射された光L3が参照光となり、ハーフミラー33を透過した光L4が物体光となる。
【0053】
ハーフミラー33によって反射された光L3の光軸上には、参照光用の光学系として、シリンドリカルレンズ34と、参照光を平行光とするためのコリメータレンズ35と、コリメータレンズ35からの平行光を反射する全反射ミラー36とがこの順に配置されている。
そして、ハーフミラー33によって反射された光は、先ず、シリンドリカルレンズ34によって発散光とされる。次に、コリメータレンズ35によって平行光とされる。その後、全反射ミラー36によって反射され、ホログラム材料30に参照光として入射する。
【0054】
一方、ハーフミラー33を透過した光L4の光軸上には、図7(a)及び図7(b)に示すように、物体光用の光学系として、ハーフミラー33からの透過光を反射する全反射ミラー38と、凸レンズとピンホールを組み合わせたスペーシャルフィルタ39と、物体光を平行光とするためのコリメータレンズ40と、記録対象の画像を表示する表示装置41と、物体光をホログラム用記録媒体30上に集光させるシリンドリカルレンズ42とがこの順に配置されている。
そして、ハーフミラー33を透過した光L4は、全反射ミラー38によって反射された後、スペーシャルフィルタ39によって点光源からの拡散光とされる。次に、コリメータレンズ40によって平行光とされ、その後、表示装置41に入射する。ここで、表示装置41は、例えば液晶パネルからなる透過型の画像表示装置であり、記録データ生成部13から送られた記録データDRに基づく画像を表示する。そして、表示装置41を透過した光は、表示装置41に表示された画像に応じて変調された後、シリンドリカルレンズ42に入射する。
【0055】
表示装置41を透過した光は、シリンドリカルレンズ42により横方向に集束され、この集束光が物体光としてホログラム用記録媒体30に入射する。すなわち、このホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15では、表示装置41からの投影光が短冊状の物体光としてホログラム用記録媒体30に入射する。
【0056】
ここで、参照光及び物体光は、参照光がホログラム材料30の一方の主面に入射し、物体光がホログラム材料30の他方の主面に入射するようにする。すなわち、ホログラム材料30の一方の主面に、参照光を所定の入射角度にて入射させるとともに、ホログラム材料30の他方の主面に、物体光をホログラム材料30に対して光軸がほぼ垂直となるように入射させる。これにより、参照光と物体光とがホログラム材料30上において干渉し、当該干渉によって生じる干渉縞が、ホログラム材料30に屈折率の変化として記録される。
【0057】
また、このホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15は、制御用コンピュータ14の制御のもとに、ホログラム材料30を間欠送りし得る記録媒体送り機構43を備えている。この記録媒体送り機構43は、記録媒体送り機構43に所定の状態でセットされたフィルム状のホログラム材料30に対して、記録データ生成部13から出力された記録データDRに基づく1つの画像が1つの要素ホログラムとして記録される毎に、制御用コンピュータ14からの制御信号S2に基づいて、ホログラム材料30を1要素ホログラム分だけ間欠送りする。これにより、記録データ生成部13から出力される記録データDRに基づく各画像、つまりオーディオデータDAに基づく#1〜#xの画像パターンが、要素ホログラムとして、ホログラム材料30に横方向に連続するように順次記録される。
【0058】
以上のように、このホログラムマスター製造装置では、記録データ生成部13から出力される記録データDRに基づく複数の露光用画像が表示装置41に順次表示されるとともに、各画像毎にシャッタ32が開放され、各画像がそれぞれ短冊状の要素ホログラムとしてホログラム材料30に順次記録される。このとき、ホログラム材料30は、1画像毎に1要素ホログラム分だけ送られるので、各要素ホログラムは、横方向に連続して並ぶこととなる。これにより、画像データDPとして、例えばオーディオデータDAによる画像パターンが横方向に連続した複数の要素ホログラムとして記録される。
そして、このシステムでデータDRの記録を行ったホログラム材料30が、図2で説明したホログラムマスターメディア91となる。
そのホログラムマスターメディア91を用いて複製されたホログラムメモリ1が、図5で説明したホログラムメモリ1となり、例えばポスターや書籍等に貼付される。
【0059】
[3.ホログラム再生装置(ダウンロード装置)構成]
続いて、図2のようにオーディオデータDA等のコンテンツデータが二次元パターン画像の形態で記録されたホログラムメモリ1に対するホログラム再生装置50を説明する。即ちこのホログラム再生装置50は、ポスターや書籍等に貼付されたホログラムメモリ1からコンテンツデータをダウンロードするダウンロード装置である。
【0060】
図8(a)(b)は、それぞれホログラム再生装置50の外観例を示している。
ホログラム再生装置50は、例えばユーザーが携帯可能な小型の筐体で構成され、筐体上にユーザーインターフェースのための表示部51や操作部52が設けられる。
ホログラムメモリ1に対するデータ読取のためには、例えば筐体の一側面に、撮像レンズ系53や読取のための参照光を照射する発光素子(LED)54が設けられる。
図2に示したように、ホログラム再生装置50はホログラムメモリ1に対して読取範囲θ0の読取スキャンを行う。このため、例えば図8(a)の場合は、発光素子54の位置は固定されるが、レンズ移動部53aとして、撮像レンズ系53の位置を移動させる機構が設けられている。また例えば図8(b)は、撮像レンズ系53は固定されるが、発光素子54の位置を移動させる発光素子移動部54aが設けられている。
読取時のスキャン動作の例については後述する。
【0061】
図9によりホログラム再生装置50の構成を説明する。
図9においてシステムコントローラ61は、例えばマイクロコンピュータにより形成され、ホログラムメモリ1からのオーディオデータDAの読取のための動作を実行するために各部を制御する。
またシステムコントローラ61は操作部52の操作情報を監視し、ユーザーの操作に応じて必要な制御を行う。またシステムコントローラ61は、表示部51を制御してユーザーに提示する各種の情報の表示を実行させる。
【0062】
読取機構部56は、撮像レンズ系53、イメージャ55,発光素子54、スキャン機構74を有する。撮像レンズ系53は、1又は複数のレンズにより構成される光学系である。1枚の撮像レンズ、或いは撮像レンズとフォーカスレンズ等を備えた複数のレンズにより構成され、ホログラムメモリ1からの再生像光をイメージ55に導く。イメージャ55は、例えばCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の固体撮像素子アレイによって構成され、撮像レンズ系53により入射した再生像の光を受光し、電気信号に変換する。
【0063】
例えばLEDによる発光素子54は、発光駆動回路75によって発光される。発光駆動回路75は、当該ホログラム再生装置50によってホログラムメモリ1の再生を行う場合に、システムコントローラ61の指示によって発光素子54を発光駆動する。
スキャン機構74は、例えば図8(a)のように設けられているレンズ移動部53a内で、レンズ系53(レンズ系53とイメージャ55)を移動させる機構である。或いは図8(b)のように設けられている発光素子移動部54a内で発光素子54を移動させる機構である。
【0064】
カメラメカ制御部67は、ホログラムメモリ1の再生を行う際に、システムコントローラ61の指示に応じて読取機構部56を駆動制御する。例えばレンズ系53におけるフォーカス制御や、スキャン機構74の動作を制御する。
【0065】
転送制御/信号処理部62は、イメージャ55の動作を制御すると共に、イメージャ55によって得られる信号の処理を行う。
即ち転送制御/信号処理部62は、イメージャ55に対して転送タイミング信号、転送アドレス信号等を供給して、撮像信号としての固体撮像素子アレイで得られる信号を順次転送出力させる。そしてイメージャ55から転送されたきた撮像信号について、サンプリング処理、AGC処理、A/D変換処理等を施し、撮像データとして出力する。
【0066】
転送制御/信号処理部62から出力される撮像データは、メモリコントローラ63の制御によってDRAM64に蓄積される。
DRAM64に蓄積された撮像データに関する信号処理系として、光学補正部68、幾何歪み補正部69、二値化部70、データ処理部71が設けられる。またこれらの各部の処理結果や処理に必要な情報についてのシステムコントローラ61とのやりとりにSRAM72が用いられる。
また、フラッシュメモリ65には、例えば上記各部での信号処理に必要な設定値、係数、その他必要な情報が記憶される。また後述する使用許可情報、暗号解読キーなどがフラッシュメモリ65に記録されるようにしてもよい。
【0067】
光学補正部68は、イメージャ55によって得られる撮像データについて光学的な原因によるデータ値の変動を補正する処理を行う。
幾何歪み補正部69は、撮像データとして取り込まれた再生像に生じている幾何的な歪みを補正する処理を行う。
二値化部70は、イメージャ55によって得られる階調のある撮像データを白黒の二値に変換する処理を行う。ホログラムメモリ1から読み取るべきデータは、二次元パターン化されたオーディオデータDAであり、二次元画像パターンは、オーディオデータDAを白黒の二値のデータに変換した上で画像パターンにしたものであるからである。
【0068】
データ処理部71は、二次元の画像パターンとして二値化された撮像データについて、デコード処理を行い、オーディオデータを得る。
即ち、1枚の二次元画像パターンとしての撮像データから、図3に示したような1つのデータブロックとしてのデータ列を生成する。
データ処理部71は、DRAM64に蓄積された各二次元画像パターンの撮像データについて、それぞれデータブロックとしてのデータ列を生成していき、各データブロックから抽出されたオーディオデータDAに基づいて、元のオーディオストリームデータを生成していく。
この場合において、データブロックが図3(b)のようにエラー訂正コードが含まれているのであれば、データ処理部71はオーディオデータのエラー訂正処理を行うことになる。
また、データ処理部71は、データブロックから抽出したオーディオデータDAについて、必要に応じて、圧縮処理や圧縮に対する伸長処理、送信用又は記録用のエンコード処理、或いは暗号化に対するデコード処理等を行う。
【0069】
データ処理部71で得られたオーディオデータDAとしてのオーディオストリームデータは、外部インターフェース66を介して外部機器100、例えばパーソナルコンピュータやオーディオシステム等の装置に、ホログラムメモリ1からの再生データとして転送することができる。外部インターフェース66は例えばUSBインターフェース等が想定される。もちろん外部インターフェース66はUSB以外の規格のインターフェースでもよい。
ユーザーは外部機器100側で取り込んだオーディオデータを再生させることで、オーディオ再生を楽しむことができる。
【0070】
またデータ処理部71で得られたオーディオデータDAとしてのオーディオストリームデータは、メディアドライブ73に供給されて二次記録メディア90に記録することができる。またヘッダに含まれるコンテンツID等の情報もオーディオデータDAとともに二次記録メディア90に記録される。
【0071】
二次記録メディア90は、例えば光ディスク、光磁気ディスク等とされる。例えばCD(Compact Disc:商標)方式、DVD(Digital Versatile Disc:商標)方式、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc:商標)方式、MD(Mini Disc:商標)方式などの各種方式の記録可能型のディスクが記録メディア90として考えられる。これらのディスクが記録メディア90とされる場合、メディアドライブ73は、ディスク種別に対応したエンコード処理、エラー訂正コード処理、或いは必要であれば圧縮処理等を施して、オーディオデータをディスクに記録する。
また二次記録メディア90としてハードディスクも想定され、その場合、メディアドライブ73は、いわゆるHDD(ハードディスクドライブ)として構成される。
さらに二次記録メディア90は、固体メモリを内蔵した可搬性のメモリカード、或いは内蔵型固体メモリとしても実現でき、その場合メディアドライブ73は、メモリカード或いは内蔵型固体メモリに対する記録装置部として構成され、必要な信号処理を行ってオーディオデータ記録を行う。内蔵型固体メモリとしては、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリだけでなく、DRAM等の揮発性メモリも想定される。
【0072】
二次記録メディア90に記録されたオーディオデータDA、即ちホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータは、メディアドライブ73が二次記録メディア90から読み出し、上記の外部インターフェース66により外部機器100に送信することができる。
さらに上記のCD、DVD、ブルーレイディスク、MD、メモリカード等の可搬性の記録メディア90に記録した場合は、その記録メディア90を外部機器で再生させることで、ユーザーはホログラムメモリ1から読み出した音楽等を聞くことができる。
【0073】
またこのホログラム再生装置50自体で再生出力することもできるように、再生処理部76、D/A変換器77、アナログオーディオ処理部78が設けられている。
再生処理部76は、二次記録メディア90に記録したオーディオデータをメディアドライブ73で読み出した際に、その読み出したオーディオデータをデコードする。例えば記録メディア90における圧縮方式のデコードを行ったり、また記録メディア90において暗号化状態でオーディオデータが記録されている場合は、その暗号解読のための復号処理等を行う。
例えば再生処理部76でリニアPCMオーディオデータの状態にまでデコードされたオーディオデータは、D/A変換器77でアナログ音声信号に変換され、アナログオーディオ処理部78で増幅、ゲイン調整、インピーダンス調整等の処理が施された後、スピーカ部或いは接続されたヘッドホン等に供給されて再生音声として出力される。
これによりユーザーは、ダウンロードしたオーディオコンテンツを、ホログラム再生装置50によって再生させ、音楽等を楽しむことができる。
【0074】
なお、この図9の例のホログラム再生装置50における、本発明請求項でいうダウンロード装置の構成要件に相当する部位は次のようになる。
発光素子54及び発光駆動回路75が参照光出力手段として機能する。
読取機構部56、転送制御/信号処理部62が検出手段として機能する。
データ処理手段71が再生処理手段として機能する。
メディアドライブ73が、二次記録媒体に対する記録手段として機能する。
メディアドライブ73,再生処理部76,D/A変換器77,アナログオーディオ処理部78が、コンテンツデータを再生出力する再生出力手段として機能する。
外部インターフェース66が、コンテンツデータを外部機器に送信する送信手段として機能する。
データ処理部71もしくは再生処理部76が、暗号解読手段として機能する。
【0075】
図8,図9のような構成のホログラム再生装置50によってホログラムメモリ1からデータを読み取る際の動作例について説明する。
図6,図7では、記録時には参照光の角度を固定して、HPO(Horizontal Parallax Only)の光学系で様々な画像を記録する方式を説明したが、このような記録を行った場合は、基本的には再生時には参照光の角度を固定し、イメージャの角度を変化させることが望ましい。
図10は、ホログラム再生装置50においてレンズ系53とイメージャ55の角度を変化させる読取方式を示している。即ち図8(a)のようにレンズ移動部53aを備えたホログラム再生装置50において、このレンズ移動部53aの移動可能範囲で、レンズ系53とイメージャ55を一体的に移動させる移動ユニット80を形成する。そして、この移動ユニットを、図9に示したスキャン機構74によって図10に示すように回転方向に移動させて、ホログラムメモリ1に対する撮像方向の角度を変化させる。読取のための参照光L5を出力する発光素子54は固定位置である。
つまりユーザーがホログラムメモリ1に対してホログラム再生装置50を対向させた状態で読取を指示する操作を行ったら、システムコントローラ61がカメラメカ制御部67に指示してスキャン機構74を駆動させ、移動ユニットを回転移動させる。このときにイメージャ55によって順次得られる再生像の撮像データとして、図5の#1〜#xの撮像データが得られることになり、上記のようにホログラム再生装置50内でオーディオデータDAを得る。
【0076】
また、移動ユニット80を回転方向に移動させるのではなく、図11に示すように、移動ユニット80を平行移動させるように構成しても良い。
このように平行移動で再生像を取り込むようにすれば、移動ユニット80の移動機構を簡単な構成とすることができる。但し、再生像に歪みが生じやすいという点があり、十分な歪み補正等の処理が必要となる。
また、図12のように、イメージャ55のサイズが十分に大きい場合には、撮像レンズ系53のみを移動させる構成も考えられる。
【0077】
また図8(b)のような構成として撮像レンズ系53側は固定とし、発光素子移動部54aにおいて発光素子をホログラムメモリ1に対して回転移動させることで、図13に示すように、ホログラムメモリ1に対して照射する読み取り用の参照光L5の角度を変化させるようにしてもよい。
【0078】
[4.ダウンロードされるコンテンツデータ]
続いて、本例のダウンロードシステムでダウンロードされるコンテンツデータについて説明する。
ここまでコンテンツデータの例として、オーディオコンテンツデータを例に挙げてきたが、もちろんオーディオコンテンツデータ以外のコンテンツデータも、多様に考えられる。
例えばビデオクリップなどの動画映像データ、写真画像等の静止画像としてのスチル画像データなどをダウンロードするシステムとしてもよい。
また小説、随筆、論文、説明文、広告宣伝その他のテキストデータも本例でいうダウンロード対象のコンテンツデータとして採用できるし、コンピュータプログラムやアプリケーションプログラムなども、本例のダウンロード対象のコンテンツデータとすることができる。
【0079】
即ち本例のコンテンツダウンロードシステムは、コンテンツデータの種類にかかわらず、ユーザーに提供する各種のデータをホログラムメモリ1に記録し、これをホログラム再生装置50を用いてユーザーに提供できるシステムとすることができる。
そして、例えば動画又は静止画データやテキストデータをダウンロードコンテンツとする場合には、それに対応してホログラム再生装置50において、それらダウンロードデータ内容を表示部51に表示出力する構成を採ることも考えられる。
【0080】
また、ダウンロードによるコンテンツ提供の目的としては、コンテンツデータの販売としてもよいし、コンテンツの紹介や各種の宣伝を目的としても良い。
例えば本例のコンテンツダウンロードシステムを、音楽コンテンツ、映像コンテンツ、テキストコンテンツ、プログラムコンテンツ等をユーザーに販売するシステムとして用いる場合は、ユーザーに対する課金システムが機能するようにすればよい。
もちろんユーザーに無償でコンテンツデータを提供するシステムとすることもできる。
また有償、無償にかかわらず、例えば一定の資格を有する人のみがダウンロードしてコンテンツデータを利用できるようにすることも考えられる。例えば教材としてのコンテンツデータを、特定の学校の職員や生徒のみが利用できるようにしたり、会社の業務資料としてのコンテンツデータを、その会社の社員のみが利用できるようにするなどである。ここでいう利用とは、ダウンロードしたコンテンツデータの再生や、他の機器へ転送することなどである。
【0081】
また紹介、宣伝用のシステムとする場合、例えば音楽コンテンツの一部、動画コンテンツの一部等をホログラムメモリ1に記録し、それをユーザーがダウンロードして再生できるようにすることで、例えばパッケージメディア5として販売しようとするコンテンツデータの紹介、宣伝が可能となる。
或いは、或る物品の販売のための広告として、その物品の紹介、宣伝、説明等のためのテキストデータ、画像データ、音声データ等のコンテンツをダウンロード可能とすれば、本例のコンテンツダウンロードシステムは広告宣伝用のシステムとして機能する。
【0082】
ホログラムメモリ1に記録されるコンテンツデータは、これらの目的に沿ったものとされればよい。
特にコンテンツ自体の販売目的であれば、高品質なコンテンツデータをホログラムメモリ1に記録する。例えば高音質な音楽コンテンツを記録して、これをユーザーが有料でダウンロードできるようにする。
一方、紹介用であれば、低品質なデータや、一部のデータをホログラムメモリ1に記録する。例えば品質を落とした音楽コンテンツや、曲の一部分のみとした音楽コンテンツをダウンロードさせるようにし、ユーザーが、そのコンテンツの内容を確認できるようにすればよい。また、機能を制限したコンピュータソフトウェアプログラムとしてのコンテンツとし、ユーザーがそのソフトウェアプログラムを購入前に試用できるようにしてもよい。
【0083】
[5.コンテンツデータの記録態様]
上記のようにコンテンツダウンロードシステムの実用上の目的は各種考えられるが、それに応じてコンテンツデータの記録態様が決定されればよい。
特に有料のダウンロードシステムとする場合は、コンテンツデータを暗号化処理したり、使用制限フラグを設けてホログラム再生装置50においてダウンロードしてもそのままでは使用できないようにすることが考えられる。
【0084】
図14に、ホログラムメモリ1に記録されるコンテンツデータの形式と、ホログラム再生装置50に取り込まれたときの処理や二次記録メディア90での記録形式、さらには使用時、即ちホログラム再生装置50での再生時や外部機器100への送信時の処理の例を示している。
なお、図14(a)〜(e)の各例では、ホログラム再生装置50がホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを一旦、二次記録メディア90に記録するものとして示しているが、二次記録メディア90に記録しないで再生/送信時処理を行う場合もあり得る。
【0085】
図14(a)は、ホログラムメモリ1に非暗号化状態でコンテンツデータを記録する例である。つまり図2のデータ変換ステップS2で暗号化処理を行わない場合である。この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを二次記録メディア90に記録すれば、二次記録メディア90でも非暗号化コンテンツデータが記録されることになる。二次記録メディア90において非暗号化状態でコンテンツデータが記録されていることから、ホログラム再生装置50は、そのコンテンツデータの再生出力や外部機器100への送信を自由に行うことができる。
この図14(a)の例は、無料のコンテンツダウンロードシステムとして好適な例である。ところでこの場合、ダウンロード対象のコンテンツデータにコンテンツIDを付加することは必ずしも必要ではない。即ち図2の基本データ生成ステップS1−2で生成する基本データには、必ずしもコンテンツIDが含まれていなくても良い。
なお、ダウンロードシステム上の課金や使用制限以外の目的で、ホログラム再生装置50側で暗号化等を行うことは任意である。例えば外部機器100への送信時に、暗号化処理を行って送信することは考えられる。
【0086】
図14(b)は、ホログラムメモリ1に暗号化状態でコンテンツデータを記録する例である。つまり図2のデータ変換ステップS2で暗号化処理を行う場合である。この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを二次記録メディア90に記録すれば、二次記録メディア90でも暗号化コンテンツデータが記録されることになる。二次記録メディア90において暗号化状態でコンテンツデータが記録されていることから、ホログラム再生装置50は、そのコンテンツデータをそのまま再生出力したり、外部機器100へそのまま転送して再生させることはできない。このため、後述するが、図1に示したコンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を入手することが必要となる。ホログラム再生装置50では二次記録メディア90から読み出したコンテンツデータについては、再生時に使用許可情報に含まれている暗号解読キーを用いて、暗号解読処理を行う。即ち再生処理部76もしくはデータ処理部71で非暗号化デコードを行って暗号解読されたコンテンツデータを得る。この時点で、コンテンツデータを再生出力したり、或いは外部機器100に転送して再生させることが可能となる。
この図14(b)の例は、有料のダウンロードシステムとする場合や、有料又は無料で特定の資格を有するユーザーのみにコンテンツデータを提供するシステムとする場合に好適な例である。
【0087】
図14(c)も、ホログラムメモリ1に暗号化状態でコンテンツデータを記録する例である。つまり図2のデータ変換ステップS2で暗号化処理を行う場合である。この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを、非暗号化デコードして二次記録メディア90に記録する。ホログラム再生装置50は、コンテンツ使用管理システム6から入手した使用許可情報に含まれている暗号解読キーを用いて、ホログラムメモリ1から取り込んだ暗号化コンテンツデータに対する暗号解読処理を、データ処理部71で行う。そして暗号解読したコンテンツデータを二次記録メディア90に記録する。二次記録メディア90上では非暗号化コンテンツデータが記録されるため、その後、二次記録メディア90から読み出したコンテンツデータを再生したり、外部機器100に転送して再生させたりすることができる。
この図14(c)の例も、有料のダウンロードシステムとする場合や、有料又は無料で特定の資格を有するユーザーのみにコンテンツデータを提供するシステムとする場合に好適な例である。
【0088】
図14(d)は、ホログラムメモリ1に一部分が暗号化されたコンテンツデータを記録する例である。つまり図2のデータ変換ステップS2で暗号化処理では、コンテンツデータの一部分のみ、例えば音楽データであればサビの部分のみ暗号化するなどの例である。
この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを二次記録メディア90に記録すれば、二次記録メディア90でも一部が暗号化されたコンテンツデータが記録される。二次記録メディア90において一部暗号化状態でコンテンツデータが記録されていることから、ホログラム再生装置50は、そのコンテンツデータについては、暗号化されていない部分のみについては、そのまま再生出力したり、外部機器100へそのまま転送して再生させることができる。暗号化部分を含めたコンテンツ全体を再生させるためには、コンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を入手することが必要となる。ホログラム再生装置50では二次記録メディア90から読み出したコンテンツデータについては、再生時に使用許可情報に含まれている暗号解読キーを用いて、暗号解読処理は再生処理部76もしくはデータ処理部71で非暗号化デコードを行って全てが非暗号化状態となったコンテンツデータを得る。この時点で、コンテンツデータを再生出力したり、或いは外部機器100に転送して再生させることが可能となる。
この図14(c)の例も、有料のダウンロードシステムとする場合や、有料又は無料で特定の資格を有するユーザーのみにコンテンツデータを提供するシステムとする場合に好適な例であるが、コンテンツの一部は再生可能であるため、課金等を行う前にユーザーがコンテンツデータの一部を試聴したり見て確認することができるシステムとすることができる。
なおこのように一部暗号化コンテンツデータをホログラムメモリ1に記録する場合でも、図14(c)のようにダウンロード時に非暗号化デコードすることも考えられる。例えば予め課金契約をして暗号解読キーを入手しているユーザーや、特定の再生資格所有者は、二次記録メディア90に全体が非暗号化デコードされたコンテンツデータを記録できるようにするが、それ以外のユーザーは、課金処理等を行わなければ一部が暗号化のまま二次記録メディア90に記録され、一部しか再生できないようにするシステムとする例である。
【0089】
図14(e)は、ホログラムメモリ1に使用制限フラグ情報が付加されたコンテンツデータを記録する例である。例えば図2のデータ変換ステップS2において、基本データ生成ステップS2−2もしくはデータ処理ステップS1−3で、コンテンツデータの暗号化は行わないが、ヘッダ情報等に使用制限フラグ情報を付加する。この使用制限フラグ情報は、ホログラム再生装置50側で、システムコントローラ61が、その使用制限フラグが解除されていない限りそのコンテンツデータを再生禁止と判断する情報である。
この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを二次記録メディア90に記録すれば、二次記録メディア90でも使用制限フラグ情報が付加されたコンテンツデータが記録される。
二次記録メディア90に記録されたコンテンツデータについては、システムコントローラ61は、その使用制限フラグが解除されない限り再生禁止と判断し、ユーザーの操作に応じた再生動作は実行させない。再生させるには、コンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を入手することが必要となる。使用許可情報にはコンテンツIDに対応した使用制限解除情報が含まれており、その使用制限解除情報は、コンテンツIDに対応して例えばフラッシュメモリ65等に記憶されるものとする。
ユーザーがコンテンツデータの再生出力を指示する操作を行った場合、システムコントローラ61は、そのコンテンツデータのコンテンツIDに基づいて使用制限解除情報が既に入手されているかを判断し、入手されていれば(例えばフラッシュメモリ65にコンテンツIDに対応して使用制限解除情報が記憶されていれば)、使用制限は解除されたとして再生出力処理を行う。コンテンツIDに対応した使用制限解除情報が入手されていなければ、再生出力処理は実行しないようにする。外部機器100への送信処理についても同様とする。
従って、上述の暗号化の場合と同様に、課金等により使用許可情報を入手したユーザーのみ、ダウンロードしたコンテンツデータの使用が可能となるため、この図14(e)の例も、有料のダウンロードシステムとする場合や、有料又は無料で特定の資格を有するユーザーのみにコンテンツデータを提供するシステムとする場合に好適な例である。
なおこのように使用制限フラグ情報を付加したコンテンツデータをホログラムメモリ1に記録する場合、ダウンロード時に、既にそのダウンロードするコンテンツIDに対応した使用制限解除情報を入手していれば、使用制限フラグ情報を消去して二次記録メディア90に記録するような例も考えられる。
【0090】
以上、暗号化、非暗号化、使用制限フラグ情報の有無等のコンテンツデータの記録形式例を述べたが、他にも各種の形式が考えられる。例えば使用制限フラグ情報の付加と暗号化の両方を行ったコンテンツデータをホログラムメモリ1に記録するようにしてもよい。また、コンテンツデータの一部については使用制限フラグ情報を付加し、他の部分は使用制限しないで、例えば試聴等が可能とする例も考えられる。さらには、コンテンツデータの一部を暗号化、他の部分を非暗号化状態として上で、全体或いは一部についての使用制限フラグ情報を付加するなどの例も考えられる。
【0091】
また、時限的な使用制限も考えられる。例えば使用制限フラグ情報はダウンロード後30日など、所定の期間経過で有効となるようものとする。ホログラム再生装置50のシステムコントローラ61はダウンロードコンテンツデータを二次記録メディア90に記録する際に、そのダウンロード日時がコンテンツデータのヘッダ等に含まれるようにするか、或いはフラッシュメモリ65にコンテンツIDに対応させてダウンロード日時を登録しておく。そしてダウンロード日時から所定の期間は使用制限フラグ情報にかかわらず再生を許可するが、期間経過後は再生禁止とし、使用許可情報によって使用制限を解除しなければ再生できないようにする例である。
さらには、使用制限フラグ情報が付加されたコンテンツデータについて使用回数を限定して再生を許可することも考えられる。即ちシステムコントローラ61は、コンテンツデータが再生される毎に再生回数をカウントしてフラッシュメモリ65に記憶しておく。そして所定回数の再生を行った後は再生禁止とし、使用許可情報によって使用制限を解除しなければ再生できないようにする例である。
これらの時限的な使用制限や、回数的な使用制限により、例えばユーザーにコンテンツデータの購入判断のための試用期間を設定すること等が可能となる。
【0092】
[6.ダウンロードコンテンツの使用許可]
続いて、暗号化や使用制限フラグ情報によって、ダウンロードコンテンツをそのままでは使用できないようにする場合、例えば有料のシステムとする場合などにおける使用許可の手法について述べる。
【0093】
基本的にはホログラム再生装置50のユーザーは、何らかの手法でダウンロードしたコンテンツデータについての使用要求情報をコンテンツ使用管理システム6に送信し、コンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を受け取る。
或いはダウンロードサービスを受けたい場合に、予め使用要求情報をコンテンツ使用管理システム6に送信し、コンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を受け取る。
そして使用許可情報がホログラム再生装置50に入力された状態とすることで、上述した非暗号化デコードや使用制限フラグ情報の解除が実行でき、ダウンロードしたコンテンツデータの使用が可能となる。
【0094】
ユーザーがコンテンツ使用管理システム6に送信する使用要求情報には、例えばユーザーID、ホログラム再生装置50の機器ID、コンテンツIDなどが含まれるようにする。
一方、コンテンツ使用管理システム6がユーザーに対して発行する使用許可情報には、例えば許可するユーザ或いはホログラム再生装置50を特定するためのユーザーIDや機器ID、許可するコンテンツを特定するためのコンテンツID等に加え、暗号解読キーや使用制限解除情報などが含まれるものとする。
【0095】
図15に、ホログラム再生装置50とコンテンツ使用管理システム6の間の通信例を示す。
ここでは、コンテンツの有料ダウンロードサービスを行うためにコンテンツ使用管理システム6が設けられるとし、まずその場合のコンテンツ使用管理システム6の構成例を説明する。コンテンツ使用管理システム6は、管理サーバ31、コンテンツ情報データベース32、ユーザー情報データベース33、課金処理システム34を備える。
【0096】
管理サーバ31は、ユーザーの所持するホログラム再生装置50との間の通信処理や、コンテンツ情報データベース32及びユーザー情報データベース33の管理、さらには課金処理システム34への指示を行う。
コンテンツ情報データベース32は、例えばホログラムメモリ1によりユーザーに提供可能とされている各種のコンテンツについての情報を保持する。例えば個々のコンテンツについての付与されているコンテンツIDに対応して、そのコンテンツのダウンロード料金情報、著作権者、製造者、コンテンツホルダー等の権利者情報、暗号化情報、コンテンツ内容に関する情報などがデータベース化されて記憶されている。
ユーザー情報データベース33には、例えばユーザーとのダウンロードサービス契約によってユーザーから提示されたユーザー情報が記録されている。例えばユーザーID、住所氏名等のユーザー特定情報、ホログラム再生装置50を特定する機器固有の機器ID、ユーザーに対する課金処理のための銀行口座やクレジットカードナンバや支払い方法が、個々のユーザーに対して記録されてデータベース化されている。さらには課金処理形態によってはユーザーの所持する携帯電話番号、インターネットプロバイダとの契約番号などが記録されていても良い。例えばユーザーの電話料金等にコンテンツのダウンロード料金を含ませてユーザに請求するような場合である。
またユーザーのダウンロード履歴、例えばダウンロードしたコンテンツのコンテンツIDやその日時、料金等も逐次追加記録されていく。
ユーザーは、ダウンロードサービスを受けたい場合は、予め契約により、ユーザーに関する情報をコンテンツ使用管理システム6に提示する。コンテンツ使用管理システム6は、契約を行ったユーザーに対してユーザーIDを付与するとともに、そのユーザーの情報をユーザー情報データベース33に登録する。
【0097】
課金処理システム34は、ユーザーに対する課金処理や権利者への料金支払いの処理を行う。例えばユーザーに対する課金処理としては、ユーザーの銀行口座に対する自動引き落とし処理や、クレジットカードによる支払請求処理、或いはユーザーが契約する電話業者等への課金依頼処理等を行う。一方、コンテンツホルダ、著作権者(或いは著作権管理団体)、コンテンツ提供媒体製造者等に対して送金処理を行う。
【0098】
このようなコンテンツ使用管理システム6に対して、ユーザーは、例えばホログラム再生装置50から通信を行って、コンテンツの料金支払い手続を行い、コンテンツを使用可能とする。この流れの一例を説明する。
ここでは、例えばホログラム再生装置50は通信部79を備え、直接コンテンツ使用管理システム6との間が通信可能に構成されている例とする。即ち図9の構成に加えて通信部79を備え、ユーザーの送信操作に応じてシステムコントローラ61が使用要求情報を通信部79から送信できるようにした場合である。
【0099】
ユーザーがホログラム再生装置50を用いてホログラムメモリ1からコンテンツデータをダウンロードさせた場合、ホログラム再生装置50は例えば上記図14(b)の形式で暗号化コンテンツデータを二次記録メディア90に記録するとする。
この場合、ユーザーは使用要求情報を送信する操作を操作部52から行う。するとシステムコントローラ61は、例えばユーザーID、機器ID、コンテンツIDを含む使用要求情報を通信部79かたコンテンツ使用管理システム6に送信させる。
ユーザーIDはダウンロードサービス契約によりユーザーに付与されるもので、例えばユーザはそのユーザーIDをホログラム再生装置50に入力し、ホログラム再生装置50においてはフラッシュメモリ65等に記憶されるようにしておく。もちろん通信部79を備える場合は、契約時のコンテンツ使用管理システム6との通信によってユーザーIDがホログラム再生装置50に送信され、ホログラム再生装置50が自動的にユーザーIDをフラッシュメモリ65に記憶するようにしてもよい。
また機器IDは、ホログラム再生装置50の製造時に付与され、フラッシュメモリ65に格納したシリアルナンバ等を用いればよい。
使用要求情報の送信の際、システムコントローラ61は、フラッシュメモリ65からユーザーIDや機器IDを読み出し、またダウンロードしたコンテンツデータに付与されているコンテンツIDを読み出して、使用要求情報を生成し、通信部79から送信させる。
【0100】
使用要求情報を受信したコンテンツ使用管理システム6では、管理サーバ31がユーザーIDに基づいてユーザー情報データベース33を検索し、ユーザーを特定するとともに、コンテンツIDに基づいてコンテンツ情報データベース32を検索して、ユーザーが購入を求めたコンテンツデータを特定する。そして適正にユーザー及びコンテンツデータが特定できたら、管理サーバ31は、課金処理システム34に対して、当該ユーザーに対するコンテンツデータ購入代金の課金処理を指示する。課金処理システム34は指示に応じて当該ユーザーに対する課金処理を行うとともに、権利者への送金処理を行う。
そして管理サーバー31は、使用許可情報をホログラム再生装置50に送信する。使用許可情報には、ユーザーID、機器IDと共に、使用を許可するコンテンツデータを特定させるためのコンテンツIDを含み、またそのコンテンツデータの暗号解読キーを含むものとする。
ホログラム再生装置50側では、使用許可情報を通信部79で受信したら、システムコントローラ61は、そのコンテンツIDと暗号解読キーを対応させて例えばフラッシュメモリ65等に記憶する。以降は、当該コンテンツデータの再生や送信の際には、暗号解読キーを用いて非暗号化デコードを実行することができ、ユーザーは自由に当該コンテンツデータを使用できることになる。
【0101】
なお、以上の使用処理の流れは一例であり、他にも多様な方式が考えられる。例えばシステム上で、コンテンツデータの暗号解読キーを統一しておく。そして、ユーザーとの契約時に暗号解読キーをホログラム再生装置50側に送信しておくようにする。つまり暗号解読キーを含む包括的な使用許可情報を予めホログラム再生装置50に送信しておく。すると、図14(c)のようにダウンロード時に非暗号化デコードを行うことができる。そのような場合、システムコントローラ61は、ダウンロードが行われるたびに、ユーザーID、機器ID、ダウンロードしたコンテンツデータのコンテンツIDを通信部79からコンテンツ使用管理システム6に送信するようにし、コンテンツ使用管理システム6は、受信した情報に応じて、該当ユーザーに対する課金処理を行うようにすればよい。
また、図14(e)で説明したような形式の場合は、コンテンツ使用管理システム6は暗号解読キーではなく使用制限解除情報を含む使用許可情報をホログラム再生装置50に送信することになる。
【0102】
ところで図15の例では、ホログラム再生装置50に通信部79が備えられる場合を示したが、必ずしもホログラム再生装置50が通信機能を備えなくても良い。
図16(a)(b)に例を示す。
図16(a)の例は、例えばユーザーはコンテンツ使用管理システム6に対してコンテンツの使用を求める場合に、携帯電話機101等の電話装置とホログラム再生装置50を接続する。そして携帯電話機101による通信機能を利用して、管理サーバ31との間の使用要求情報、使用許可情報の送受信を行うようにする。
また、図16(b)の例は、例えばユーザーはコンテンツ使用管理システム6に対してコンテンツの使用を求める場合に、パーソナルコンピュータ102等のネットワーク通信可能な機器とホログラム再生装置50を接続する。そしてインターネット等のネットワーク110を介して、管理サーバ31との間の使用要求情報、使用許可情報の送受信を行うようにする。
この図16(a)(b)のように、ホログラム再生装置50が外部機器の通信機能を利用してコンテンツ使用管理システム6との間の通信を行うようにしてもよい。特にこのように携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102を利用する場合、ユーザーに対するコンテンツデータ代金の課金処理は、携帯電話使用料やインターネット利用料などに加算することも好適である。
【0103】
さらには、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102等を用いる場合に、ホログラム再生装置50と接続しない方式も考えられる。
例えばユーザーは、ホログラム再生装置50でダウンロードしたコンテンツデータについてのコンテンツIDや、ユーザーIDを、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102に手動で入力する。コンテンツIDについてはホログラム再生装置50が表示部51で表示できるようにすればよい。
ユーザーは自分に付与されたユーザーIDとコンテンツIDを入力して、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102からコンテンツ使用管理システム6に送信する。これに対してコンテンツ使用管理システム6からは、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102に対して使用許可情報を送信してくるが、そのとき、使用許可情報を受信した携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102において、使用許可情報に含まれている暗号解読キーや使用制限解除情報、及びコンテンツIDとしてのコード番号を表示するようにする。
ユーザーは表示されたコード番号を手動で操作部52からホログラム再生装置50に入力する。ホログラム再生装置50は入力された暗号解読キーや使用制限解除情報を、コンテンツIDに対応させて例えばフラッシュメモリ65に記憶する。これによって、その後、当該コンテンツデータの非暗号化デコードや使用制限解除処理を実行できるようにし、自由な使用が可能となるようにする。
【0104】
また、コンテンツデータの使用はホログラム再生装置50ではなく、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102側で行う場合も考えられる。
即ちホログラム再生装置50は、ダウンロードしたコンテンツデータについて、例えば暗号化状態或いは使用制限状態で携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102に転送するようにする。
転送は外部インターフェース66を用いて行っても良いし、二次記録メディア90を可搬性の記録メディアとし、当該二次記録メディア90を携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102側のメディアドライブに装填するものとしてもよい。
そして、上述した使用要求情報と使用許可情報の送受信を携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102において実行し、使用許可情報に基づくコンテンツデータの再生等の使用は、その携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102上で行われるようにしてもよい。
【0105】
例えば以上の各種の例によって、有料のコンテンツダウンロードシステムが実現可能となる。もちろん、上述のように特定の資格者に対して使用を可能とするシステムも同様に実現できる。例えばコンテンツ使用管理システム6は、ユーザー側からの使用要求情報で送信されてくるユーザーIDに対して認証処理を行い、認証OKであればユーザー側に暗号解読キーや使用制限解除情報を含む使用許可情報を送信するようにすればよい。
そしてこのようなダウンロードシステムにおいては、課金処理等に基づく使用許可のための使用要求情報、使用許可情報の通信を行うことが必要となるが、このコンテンツデータ自体を通信するものではなく、ID等の少ないデータ量の通信のみであるため、例えば大容量高速通信回線は要求されない。例えば上記のように携帯電話機101等を利用した通信などで十分に実現できる。
【0106】
また使用許可情報には機器IDを含むようにし、ユーザー側での再生時等には、機器IDまでも一致しなければ再生できないようにするなどの手法を導入すれば、ダウンロード後にユーザーサイドで無断コピーされたコンテンツデータを使用できないようにすることも可能である。
【0107】
なお、ホログラム再生装置50における使用要求情報や使用許可情報の通信にかかる情報は、フラッシュメモリ65に限らず、例えば、ハードディスク、メモリカード、或いはメディアドライブ73における光ディスク等の二次記録メディア90などに記憶されても良い。
【0108】
[7.コンテンツデータと視認画像データの混在記録]
以上説明してきた実施の形態では、ホログラムメモリ1にコンテンツデータを記録するものであるが、ホログラムメモリ1にコンテンツデータとともに、そのホログラムメモリ1自体をユーザーが見たときに視認できる画像データを混在記録することも考えられる。この画像データとは、ダウンロード対象のデータではなく、あくまでホログラムメモリ1自体のデザイン効果を高める画像のことである。
ここでは、ホログラム再生装置50で取り込まれるコンテンツデータと、ホログラムメモリに記録された状態で人の視覚による認識が可能な画像データとをホログラムメモリ1に混在記録させる実施の形態を説明する。
なお、ダウンロード対象のコンテンツデータとして画像データの場合もあることを先に述べたが、以下の説明では、ダウンロード対象とはならない人が視認する画像データのことを「視認画像データ」と呼んで区別する。またダウンロード対象となるコンテンツデータの例としてオーディオコンテンツデータを挙げる。
【0109】
ここでは上述したホログラフィックステレオグラム方式のホログラムメモリを形成する場合に、ホログラム材料上の垂直の帯状として記録されるホログラム要素として、一部には視認画像データを記録させ、一部にはコンテンツデータとしてダウンロードさせるオーディオデータを記録させることで、オーディオデータと視認画像データを混在記録する。
【0110】
図17には、オーディオデータと視認画像データをホログラムメモリに混在記録することを模式的に示している。
先に図4でも述べたが、この場合も図17(b)に示すように、表示装置41に画像を表示した状態で、表示装置41に物体光L4を照射する。表示装置41を通過した物体光L4は、表示装置41に表示された画像を反映した物体光となり、この物体光L4がシリンドリカルレンズ42で垂直方向の線状に収束されてホログラム材料30に照射される。
この線状に収束された物体光L4と参照光L3が干渉した際の干渉縞が、図示するように垂直方向の帯状のホログラム要素としてホログラム材料30に記録される。
【0111】
ここで、帯状の各ホログラム要素を生成していくためには、ホログラム材料30を例えば矢印H方向に1段階ずつ送るとともに、表示装置41に表示する画像を変化させていく。すると、干渉縞としての帯状のホログラム要素がホログラム材料30上に格子状に形成されていくことになる。
このとき、或る物体を様々な角度から撮影した画像を順次表示装置41に表示させて、それぞれホログラム要素として記録していくと、視認上で立体画像が見える状態になるが、本例の場合、表示装置41に表示させる画像として、視認画像データによる画像と、オダウンロードコンテンツとしてのオーディオデータを2次元バーコード状に表現したパターン画像を与える。
即ち図17(a)に示すように、表示装置41には、オーディオデータDAに基づく二次元パターン画像と、視認画像データDPに基づく画像を、所定の順序(#1・・・#x)で表示装置41に表示させながら、ホログラム材料30にホログラム要素を形成していくと、オーディオデータDAと画像データDPを混在記録したホログラム材料30が形成できる。これをホログラムマスターメディア91とする。
【0112】
図18に、そのようにして形成されたホログラムマスターメディア91から複製されるホログラムメモリ1の様子を示している。
各ホログラム要素として記録されたデータは、人が視認できる画像としてホログラムメモリ1上にあらわれる。この場合、ホログラムメモリ1に対しては、或る方向に配置された光源からの光や、周囲の自然光等の外光が参照光となる。
上記図17(a)のような#1・・・#xの順序でオーディオデータDA、視認画像データDPを記録していった場合、例えば図18のように、ホログラムメモリ1に対して、角度θ1の範囲からは、#1〜#nのオーディオデータDAの画像パターンが視認できる。また略正面方向である角度θ2の範囲では、#n+1〜#mの視認画像データDPの画像が視認できる。さらに角度θ3の範囲からは、#m+1〜#xのオーディオデータDAの画像パターンが視認できる。
【0113】
オーディオデータDAによる画像パターンは、二次元バーコードのように、人が意味的にその内容を認識できる画像ではないが、視認画像データDPによる画像は、ホログラムメモリ1に対して略正面に対峙した人200がその画像自体を認識できるものである。
オーディオデータDAによる画像パターンについては、ホログラム再生装置50が読み取ってデータ処理するものとされる。ホログラム再生装置50は、図示する読取範囲θ0で、各画像をイメージセンサで読み取っていく。即ち#1〜#nのオーディオデータDAによる画像パターン、#n+1〜#mの視認画像データDPの画像、及び#m+1〜#xのオーディオデータDAの画像パターンを、それぞれ読み取っていく。この読取のための動作は上述した図10,図11,図12,図13のような動作で行われればよい。そして撮像データとして取り込んだ各イメージパターンをデータにデコードする。
但しこの場合、ホログラム再生装置50はダウンロード対象ではない視認画像データDPの再生像も読み取ってしまうことになるが、このときホログラム再生装置50内でのデータ処理過程で、#n+1〜#mの視認画像データDPを破棄し、#1〜#n及び#m+1〜#xの読み出し画像パターンからデコードしたオーディオデータDAとしての各記録単位のデータのみを抽出する。そして各記録単位のデータからオーディオデータDAとしてのストリームデータを生成する。
【0114】
つまりこの場合のホログラムメモリ1は、ホログラムメモリの高密度記録という特性を生かしてオーディオデータDA等のコンテンツデータを十分な容量、記録できるだけでなく、人200が略正面方向から見たときに、画像自体を認識できるため、ホログラムメモリ1自体をデザイン性の高いものとすることができる。
また例えばオーディオデータDAを記録することを想定した場合、音楽データとしてのオーディオデータDAをダウンロードコンテンツとして記録すると共に、その音楽のアーティスト写真やジャケット画像を視認画像データDPとして記録すれば、付加価値の高いホログラムメモリ1を実現できる。例えばユーザーは視認できる画像によってアーティストや音楽の内容を認識しながら、ホログラム再生装置50によって、その音楽自体(オーディオデータDA)を読み取っていくことが可能となる。
【0115】
なお、当然ながら、ある角度範囲での視認可能な像を視認画像データDPの像とした場合、その視認画像データDPを記録した分だけ、オーディオデータDA等のコンテンツデータの記録容量は減少する。但しこれは逆に言えば、オーディオデータDA等の記録に必要な容量を設定した上で、残りの容量として、視認画像データDPを記録するものとすればよいものである。つまり、どのくらいの角度範囲でデザイン上有効な画像が見えるようにするか(視認画像データDPの記録容量をどれくらいとするか)というのは、記録しようとするコンテンツデータの容量と、デザイン上の観点を勘案して、決められればよい。
また、必ずしも正面方向から視認画像データDPによる像が視認できるようにする必要はなく、例えばホログラムメモリ1に対して人200が斜め方向から見たときのみ視認画像データDPによる像が認識できるようにすることも考えられる。
【0116】
次に、上記のような視認画像データとコンテンツデータを混在記録させたホログラムメモリ1の製造について説明する。
図19にコンテンツ提供媒体製造システム2による製造手順を示している。なお、図2と同一部分については説明を省略する。
この場合、データ変換ステップS1として、視認画像データ生成工程S1−5が加わることになる。視認画像データ生成工程S1−5では、視認画像データDPとして記録する画像データを生成する。例えば或る物体を撮影したり、コンピュータグラフィックなどの手法でホログラム材料30に記録される複数の要素ホログラムに対応した複数の画像の視認画像データDPを生成する。ホログラムメモリ1に記録され、視認される画像を立体画像とする場合は、上記した#n+1〜#mの各画像データDPを、いわゆる視差画像列としての画像とすればよい。
そしてマスターデータ生成工程S1−4では、データ処理ステップS1−3を経たオーディオデータを二次元パターン画像に変換してコンテンツマスターデータとすると共に、視認画像データ生成工程S1−5で生成された視認画像データDPを、視認画像マスターデータに変換して送出する。
【0117】
なお、オーディオデータDAと視認画像データDPを混在記録したホログラムメモリ1を製造するが、そのホログラムメモリ1からホログラム再生装置50が再生像を取り込んだ後に、オーディオデータDAと視認画像データDPを区別できるようにする必要がある。
その1つの手法としては、データ変換ステップS1において生成されるオーディオデータDAのデータブロックの構成として、図20(b)(d)に示すように識別コードを付加することが考えられる。この識別コードとは、ホログラムメモリ1に記録されているホログラム要素として、画像データDPと区別するためのコード情報であり、つまり識別コードによってオーディオデータDAが記録されたデータブロックであることを示すものとしている。このような識別コードが付加されたデータブロックを二次元パターン画像に変換してオーディオコンテンツとしてのマスターデータを生成する。
なお、図20(a)(c)は図3(a)(b)に示したデータブロックの構成と同じであるが、このように識別コードが付加されていなくても、ホログラム再生装置50側でオーディオデータDAと視認画像データDPを判別することは可能である。
【0118】
次にマスター生成ステップS2としてホログラムマスターメディア91を製造するホログラムマスター製造装置は図21のようになる。
前述した図6と異なるのは、視認画像マスターデータ入力部12が設けられ、上記データ変換ステップS1で生成された視認画像マスターデータが入力されることである。
記録データ生成部13は、コンテンツマスターデータ入力部11に入力されて供給されるオーディオデータDAに基づくパターン画像データと、視認画像マスターデータ入力部12から供給される視認画像マスタデータDPについて、例えば図17の#1〜#xのデータ順序を制御し、順次ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に供給する。制御用コンピュータ14,ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15の動作は、図6,図7で説明したものと同様である。
【0119】
つまりホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15では、記録データ生成部13から出力される記録データDRに基づく複数の露光用画像が表示装置41に順次表示されるとともに、各画像毎にシャッタ32が開放され、各画像がそれぞれ短冊状の要素ホログラムとしてホログラム材料30に順次記録される。このとき、ホログラム材料30は、1画像毎に1要素ホログラム分だけ送られるので、各要素ホログラムは、横方向に連続して並ぶこととなる。これにより、視認画像データDPとして、例えば横方向の視差情報を含む複数の画像が、横方向に連続した複数の要素ホログラムとしてホログラム材料30に記録され、横方向の視差を有するホログラフィックステレオグラムが得られるとともに、オーディオデータDAによる画像パターンも同じく横方向に連続した複数の要素ホログラムとして記録される。
そして、このシステムでデータDRの記録を行ったホログラム材料30が、図19のホログラムマスターメディア91とされ、このホログラムマスターメディア91を用いてホログラム複製工程S3−1、コンテンツ提供媒体製造工程S3−2としての提供媒体生成ステップS3が行われる。
このようにして生成されたポスターや書籍等のコンテンツ提供媒体に設けられたホログラムメモリ1や、パッケージメディアとしてのホログラムメモリ1では、ユーザーが視認画像データDPによる画像を視認することができ、そのデザイン性を高めることができる。
【0120】
なお、ホログラム再生装置50によるダウンロードの際には、ホログラムメモリ1に対して図18の読取範囲θ0としての全ての再生像を撮像データとして取り込み、DRAM64に蓄積していくことになるが、この場合、視認画像データDPとしての再生像も撮像データとして含まれることになる。
このためデータ処理部71は、DRAM64に蓄積された各撮像データについて、オーディオデータDAを含むデータブロックの二次元画像パターンの再生像の撮像データであるのか、或いは画像データDPの再生像であるのかを判別し、画像データDPの再生像である撮像データについては破棄する処理も行う。
例えばデータブロックが図20(b)又は図20(d)の構成とされる場合、データ処理部71は、データブロック内で識別コードが存在しているか否かで、撮像データが、オーディオデータDAの再生像であるのか、視認画像データDPの再生像であるのかを判別できる。
またデータブロックが図20(c)又は図20(d)の構成とされる場合、ECCパリティを用いて正しくエラー訂正処理ができれば、その撮像データはオーディオデータDAの再生像の撮像データであり、正しくエラー訂正処理ができなければ視認画像データDPの再生像であると判別するようにしてもよい。
また、データブロックが図20(a)のように識別コードが存在せず、またエラー訂正コードも含まれていない場合は、そのデータブロックの形式やデータ内容を確認して判別する手法が考えられる。例えばヘッダ情報としての決められた意味のある情報が含まれていればオーディオデータDAのデータブロックとして採用することが考えられる。またデータブロックから抽出したオーディオデータを繋げてオーディオストリームデータを生成する際には、そのデータブロックナンバを確認することになるが、その場合、視認画像データDPにはストリームデータとしての順序を示すデータブロックナンバは存在しないため、結果として視認画像データDPの再生像から得られるデータは除外できることになる。
【0121】
以上のように、ホログラムメモリ1に視認画像データとコンテンツデータを混在記録することで、ホログラムメモリ1の高密度記録という特性を生かしてオーディオデータDA等のダウンロード対象のコンテンツデータを十分な容量、記録でき、さらに人がホログラムメモリ1自体を見たときに、画像を認識できるため、ホログラムメモリ1をデザイン性、更にはホログラムメモリ1を貼付したコンテンツ提供媒体のデザイン性の高いものとしたり、付加価値を与えることができる。なお視認画像データとしては、再生像として立体画像を得るものであってもよいし、立体画像ではない二次元画像が観察されるものでもよい。
またホログラム再生装置50側では、ホログラムメモリ1に対して所定の角度範囲で観察される再生像を取り込んでいき、コンテンツデータによる画像パターンを抽出していくことで、コンテンツデータを正しくダウンロードできる。
【0122】
なお、図18の例では、視認画像データDPの再生像はホログラムメモリ1の略正面方向から人が観察できるようにしたが、このようにすることで、視認画像データDPの再生像が見えやすくなり、視認したときのデザイン性の向上に好適である。但し、使用状況や目的によっては、正面方向ではなく、斜め方向から視認画像データDPの再生像が見えるようにしてもよい。
また、図18の角度θ2の範囲、つまり正面方向においてコンテンツデータによる画像パターンの再生像が観察されるようにすれば、ホログラム再生装置50のスキャン機構74によるスキャン角度範囲を狭くすることができ、構成の簡略化に適しているという利点が得られる。
【0123】
[8.変形例]
以上実施の形態について説明してきたが、本発明は多様な変形例が考えられる。
ホログラムメモリ1は、ホログラフィックステレオグラム方式に限らず、他の記録方式のホログラムメモリ1でも本発明を適用できる。
また例えば波長多重、角度多重、シフト多重、多値記録など、ホログラム記録媒体の大容量化を実現する技術は多様に存在するが、それらが採用されたホログラムメモリ1を用いても良い。
またホログラムメモリ1としての記録方式や種類は、記録するコンテンツデータの容量に応じて選定されても良い。
ホログラム再生装置50の構成は上記図9の構成に限られない。ホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータの再生出力、送信出力の形態も多様に考えられる。
また、ホログラム再生装置50自体ではダウンロードしたコンテンツデータを再生する機能は設けず、コンテンツデータは外部インターフェース66による通信又は二次記録メディア90の移動によって外部機器100に転送するものとし、外部機器100側で再生されるものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の実施の形態のダウンロードシステムの説明図である。
【図2】実施の形態のコンテンツ提供媒体製造システムの説明図である。
【図3】実施の形態のコンテンツデータの記録単位としてのデータブロックの説明図である。
【図4】実施の形態のホログラムへのコンテンツデータ記録の説明図である。
【図5】実施の形態のホログラムメモリの再生像の説明図である。
【図6】実施の形態のホログラムマスター製造装置のブロック図である。
【図7】実施の形態のホログラムマスターを形成するホログラフィックステレオグラムプリンタ装置の光学系の説明図である。
【図8】実施の形態のホログラム再生装置の外観例の説明図である。
【図9】実施の形態のホログラム再生装置のブロック図である。
【図10】実施の形態の再生装置による読み取り動作の説明図である。
【図11】実施の形態の再生装置による読み取り動作の説明図である。
【図12】実施の形態の再生装置による読み取り動作の説明図である。
【図13】実施の形態の再生装置による読み取り動作の説明図である。
【図14】実施の形態のコンテンツデータの記録形式の説明図である。
【図15】実施の形態のコンテンツデータ使用管理システムの説明図である。
【図16】実施の形態のコンテンツデータ使用管理システムとの通信例の説明図である。
【図17】他の実施の形態のコンテンツ提供媒体製造システムの説明図である。
【図18】他の実施の形態のホログラムマスター製造装置のブロック図である。
【図19】他の実施の形態のコンテンツデータの記録単位としてのデータブロックの説明図である。
【図20】他の実施の形態のホログラムへのコンテンツデータ記録の説明図である。
【図21】他の実施の形態のホログラムメモリの再生像の説明図である。
【符号の説明】
【0125】
1 ホログラムメモリ、2 コンテンツ提供媒体製造システム、3 ポスター、4 書籍、5 パッケージメディア、6 コンテンツ使用管理システム、7 ユーザー機器、14 制御用コンピュータ、15、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置、30 ホログラム材料、31 管理サーバ、50 ホログラム再生装置、53 撮像レンズ系、54 発光素子、55 イメージャ、61 システムコントローラ、66 外部インターフェース、71 データ処理部、73 メディアドライブ 76 再生処理部、90 二次記録メディア、91 ホログラムマスターメディア、100 外部機器
【技術分野】
【0001】
本発明はコンテンツデータのダウンロードシステム、及び該システムを構成するコンテンツ提供媒体の製造方法、さらにはダウンロード装置、ダウンロード方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2002−91431号公報
【0003】
一般にユーザーが好みの音楽コンテンツ、映像コンテンツなどを入手するためには、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、MD(Mini Disc)などの各種パッケージメディアを購入することが行われる。
さらに近年では、EMD(Electronic Music Distribution)と呼ばれる電子音楽配信が実用化されており、ユーザーがインターネット等のネットワーク環境を通じて所望のコンテンツをダウンロードすることで入手できるようにもされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EMDにより、ユーザーがわざわざ店舗まで行かなくとも音楽コンテンツ等を購入できたり、また好みの1曲のみを購入できるなど、利便性が高まっているが、EMDには高速ネットワーク環境を有することが適しており、誰しもがその利便性を容易に享受できるわけではない。
例えば圧縮された音楽コンテンツでも、64kbpsで演奏時間が5分の音楽コンテンツであると、ダウンロードするデータ量は2.4MBになる。これを64kbpsのモデムを用いてもダウンロード転送には5分かかることになり、ADSLや光ファイバーなどの高速回線環境を持たないユーザーには非常に手間がかかると感じられる現状がある。
また、パーソナルコンピュータ経由でのダウンロードとなるため、当然ながら、EMDを利用する際にはパーソナルコンピュータを立ち上げなければならない上に、ウェブサイト上で自分の好みの曲があるかどうかを探す必要がある。
つまりポスターや雑誌の広告のように簡単にユーザーの目に入る状況にはなく、積極的に自分から探しにいくという行為が必要であった。例えばポスターや書籍等に音楽コンテンツ等の紹介があり、ユーザーがそれを見て音楽コンテンツ等を入手したい思っても、即座に容易に音楽コンテンツ等を入手できるものではない。
また音楽コンテンツ等は、携帯用プレーヤ等のAV機器で再生したいという要望が高いが、パーソナルコンピュータでダウンロードした場合、そのコンテンツを携帯用プレーヤ等に移動させなければならず、その点でも手間がかかる。
【0005】
一方、近年QRコードに代表されるような二次元バーコードが普及しており、書籍等に印刷された二次元バーコードを光学的なリーダ装置や、リーダー機能を備えた携帯電話機で読み取ることで、各種情報を入手できるようにされている(例えば特許文献1参照)。
ところが二次元バーコードの容量は数百バイト程度であり、配信として十分な品質の音楽や映像のコンテンツを記録することはできない。
現状、二次元バーコードを利用した音楽配信を行おうとすれば、例えば二次元バーコードに配信ウェブサイトのURL等のアドレス情報を記録しておく。ユーザーは二次元バーコードから読み取ったURLにアクセスすることで、所望の音楽を、携帯電話やパーソナルコンピュータ等でダウンロードすることになる。この場合、ウェブサイトを探すという手間は省けるが、結局大容量のコンテンツデータ自体をネットワーク通信を介してダウンロードすることになる。従ってユーザーにストレスを感じさせないためには、高速な通信環境が不可欠となるという点は解消されない。
もちろん音楽データ等を二次元バーコードとして記録することはできるが、容量的な問題から、かなり短い時間のみ(例えば楽曲の一部分のみ)であったり、低音質なものとならざるを得ず、例えば音楽や映像のコンテンツ自体の配信サービスを二次元バーコードのみで成立させることは困難である。
【0006】
このような現状に対して本発明は、ユーザーが高速ネットワーク環境を備えていなくともストレスなく音楽や映像等のコンテンツの配信を受けることができるようにすること、及び配信やコンテンツ利用に関してのユーザーの手間を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンテンツダウンロードシステムは、ダウンロードデータとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体と、上記コンテンツ提供媒体に設けられた上記ホログラムメモリから上記コンテンツデータを読み出して取得するダウンロード装置とを備えて成る。
またさらに、課金処理等の所定の条件に応じて、上記ダウンロード装置により取得した上記コンテンツデータの使用を許可する使用管理装置を備える。
また、上記コンテンツ提供媒体に設けられた上記ホログラムメモリには、上記コンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリに記録された状態で、人の視覚による認識が可能な画像データが記録されているようにもする。この場合、上記ダウンロード装置は、上記コンテンツデータと上記画像データが記録された上記ホログラムメモリに対するデータ読み出しの際に、上記コンテンツデータのみを取得する。
【0008】
本発明のコンテンツ提供媒体製造方法は、コンテンツデータをホログラムマスターデータに変換するデータ変換ステップと、上記ホログラムマスターデータを用いてマスター記録媒体を製造するマスター生成ステップと、上記マスター記録媒体からホログラムメモリを複製し、該ホログラムメモリを所定のコンテンツ提供媒体に具備させる提供媒体生成ステップとを備える。
また上記データ変換ステップでは、圧縮処理や暗号化処理を施したコンテンツデータを、上記ホログラムマスターデータに変換する。
また、上記データ変換ステップでは、ダウンロード対象としてのコンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリ上での視認対象となる画像データを、上記ホログラムマスターデータに変換する。
上記コンテンツ提供媒体は例えば紙媒体である。
【0009】
本発明のダウンロード装置は、ダウンロードデータとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体から上記コンテンツデータをダウンロードするダウンロード装置として、上記コンテンツ提供媒体上の上記ホログラムメモリに対して読み出し参照光を出力する参照光出力手段と、上記参照光出力手段により上記ホログラムメモリに読み出し参照光を与えた状態で上記ホログラムメモリに記録されたデータによる再生像を検出する検出手段と、上記検出手段で検出された再生像から上記コンテンツデータとしてのデータ列を再生する再生処理手段とを備える。
また、二次記録媒体に対する記録手段を備え、上記再生処理手段で再生した上記コンテンツデータを、上記記録手段により上記二次記録媒体に記録する。
また、コンテンツデータを再生出力する再生出力手段を備え、上記二次記録媒体に記録された上記コンテンツデータを、上記再生出力手段で再生出力する。
また、コンテンツデータを外部機器に送信する送信手段を備え、上記再生処理手段で再生した上記コンテンツデータを、上記送信手段により外部機器に送信する。
ここで、上記再生出力手段による上記コンテンツデータの再生出力や、上記送信手段による上記コンテンツデータの送信は、入力される使用許可情報に応じて実行されるようにしてもよい。
また、暗号化されたコンテンツデータに対する暗号解読処理を行う暗号解読手段を備える。上記暗号解読手段による暗号解読処理は、入力される使用許可情報を用いて実行されるようにもする。
【0010】
本発明のダウンロード方法は、ダウンロードデータとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体から上記コンテンツデータをダウンロードするダウンロード方法として、上記コンテンツ提供媒体上の上記ホログラムメモリに対して読み出し参照光を与えた状態で、上記ホログラムメモリに記録されたデータの再生像を検出する検出ステップと、上記検出ステップで検出された再生像から上記コンテンツデータとしてのデータ列を再生する再生処理ステップとを備える。
【0011】
即ち本発明では、コンテンツ提供媒体にホログラムメモリを貼付又は印刷等により具備させる。コンテンツ提供媒体とは、例えばポスターや書籍等の紙媒体が考えられるが、もちろん紙以外の物品でもよい。例えば材質や物品種類にかかわらず、ホログラムメモリを貼付等により具備するようにしたあらゆる物品、商品は本発明でいうコンテンツ提供媒体となり得る。
そしてコンテンツ提供媒体上のホログラムメモリには、コンテンツデータが記録される。コンテンツデータは有償又は無償でユーザーに提供するダウンロード対象としての各種データであり、音楽や音声等のオーディオデータ、映画やビデオクリップ等の映像データ、静止画データ、小説その他のテキストデータ、コンピュータプログラムやアプリケーションデータなど、多様なデータが想定される。
ホログラムメモリは、記録密度を飛躍的に向上させ、著しい大容量化が可能であることが知られている。従来、ホログラムメモリは、3次元画像等の視認画像の再生などに用いられていたが、視認画像だけでなく、各種データを記録する大容量の記録媒体としても有用である。ホログラムメモリを用いれば、配信サービスとしてのコンテンツデータとして十分な容量のデータ記録が可能である。
そしてダウンロード装置としては、いわゆるホログラムリーダーとして構成することで、ホログラムメモリに記録されたコンテンツデータを、ネットワーク通信等を介することなく、直接取り込むことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ダウンロード装置によって、コンテンツ提供媒体に備えられたホログラムメモリから直接コンテンツデータをダウンロードすることができる。つまり高速なネットワーク環境やパーソナルコンピュータシステムを備える必要はなく、ユーザーはダウンロード装置を所持することで手軽にコンテンツデータを入手できるという効果がある。
またコンテンツ提供媒体としてポスターや書籍等の紙媒体を用い、そのコンテンツ提供媒体にホログラムメモリが備えられていることで、ユーザーはポスター等でのコンテンツデータの紹介を見かけたときに、そのコンテンツデータを欲しいと思えば、即座にダウンロードして入手できる。つまりユーザーにとっては、自然に目にとまった機会にコンテンツデータを入手でき、後からわざわざ店舗やインターネットウェブサイトで探すという手間がかからない。またコンテンツデータの提供者側でも、ユーザーに提供できる機会、又は購入してもらえる機会が増えることで有用なものとなる。
【0013】
また、ホログラムメモリには、コンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリに記録された状態で、人の視覚による認識が可能な画像データが記録されているようにもすれば、ホログラムメモリ及びホログラムメモリを備えたコンテンツ提供媒体の視覚効果、デザイン効果を向上させることができる。またこのようなホログラムメモリに対しては、ダウンロード装置は、データ読み出しの際にコンテンツデータのみを取得すれば装置動作として適切となる。
【0014】
ダウンロード装置において再生出力手段を備えるようにすれば、ダウンロードして二次記録媒体に記録したコンテンツデータを、そのダウンロード装置自体で出力させることができ、例えばダウンロードした音楽コンテンツ等を非常に手軽に楽しむことができる。
またダウンロード装置において送信手段を備えるようにすれば、ダウンロードしたコンテンツデータを外部機器に転送して、そのコンテンツデータを外部機器で利用できる。
またコンテンツデータの暗号化や、使用許可情報に基づく暗号解読、再生出力許可、送信許可が行われるようにすれば、例えば有料でコンテンツダウンロードシステムとして適切な処理が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を次の順序で説明する。
[1.ダウンロードシステム構成]
[2.コンテンツ提供媒体製造システム]
[3.ホログラム再生装置(ダウンロード装置)構成]
[4.ダウンロードされるコンテンツデータ]
[5.コンテンツデータの記録態様]
[6.ダウンロードコンテンツの使用許可]
[7.コンテンツデータと視認画像データの混在記録]
[8.変形例]
【0016】
[1.ダウンロードシステム構成]
実施の形態として、音楽コンテンツを有料又は無料でユーザーがダウンロードできるダウンロードシステムを例に挙げる。
図1にダウンロードシステムの構成例を示す。
コンテンツ提供媒体製造システム2は、ホログラムメモリ3を備えたコンテンツ提供媒体を製造する。このコンテンツ提供媒体製造システム2は具体的には、例えばコンテンツホルダーとしての音楽レーベルや音楽出版社、メモリ製造者、マスタリング業者、複製業者、印刷業者等が関与して、コンテンツ提供媒体を製造することになる。
【0017】
図1ではコンテンツ提供媒体の例としてポスター3、書籍4、パッケージメディア5を挙げている。
例えばコンテンツ提供媒体製造システム2では、アーティストのポスターに、そのアーティストの楽曲を記録したホログラムメモリ1を貼付又は印刷形成したコンテンツ提供媒体としてのポスター3を製造する。
またコンテンツ提供媒体製造システム2は、表紙、裏表紙、或いはページ内等にホログラムメモリ1を備えた書籍3を製造する。
さらにコンテンツ提供媒体製造システム2は、CDやDVDのようなパッケージメディアとして、ホログラムメモリ1を用いたパッケージメディア5を製造する。
もちろんこれらは一例であり、コンテンツ提供媒体製造システム2が製造するコンテンツ提供媒体は、音楽コンテンツ等のコンテンツデータを記録したホログラムメモリ1を備えたあらゆる製品が想定できる。
【0018】
図1のダウンロードシステムにおいて、ユーザー機器7は、ユーザーがコンテンツデータのダウンロードや使用に用いる機器を示している。
ユーザーサイドでは、少なくともホログラム再生装置50を用意することが必要となる。ユーザーはホログラム再生装置50に、コンテンツ提供媒体に設けられたホログラムメモリ1に対する読出スキャンを実行させ、ホログラムメモリ1に記録されているコンテンツデータを読み出す。即ちダウンロードする。
例えば店頭などでポスター3を見た際、或いは書籍4を購入したときなど、ホログラムメモリ1の部分にホログラム再生装置50を対向させ、ダウンロードを指示する操作を行うことで、ホログラム再生装置50はホログラムメモリ1からの再生像を取り込み、その再生像からオーディオデータ等のコンテンツデータをデコードして取得する。ホログラム再生装置50によるホログラムメモリ1に対する読出スキャンは接触方式、非接触方式のいずれもが考えられる。
【0019】
ホログラム再生装置50は、取り込んだコンテンツデータを内部の二次記録メディアに記録し、例えば再生させることでユーザーに音楽等を提供できるようにしてもよいし、通信機能により外部機器100にコンテンツデータを転送して、外部機器100において使用できるようにしてもよい。外部機器100としては、ユーザーが使用できるパーソナルコンピュータ、携帯電話機、AV(Audio-Visual)装置などが想定される。
【0020】
コンテンツ使用管理システム6は、例えばコンテンツデータのダウンロードを有料とする場合や、無料ではあっても一定の使用資格を有するユーザーにのみコンテンツデータを提供したい場合など、ホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータの使用に何らかの制限を与えたい場合に機能するシステムである。
例えば有料のコンテンツデータについては、暗号化を施すか、又は使用制限フラグ等を付加してホログラムメモリ1に記録しておき、このようなコンテンツデータをホログラム再生装置50がダウンロードしても、そのままでは再生できないようにする。この場合、ホログラム再生装置50側からはコンテンツ使用要求情報をコンテンツ使用管理システム6に送信する。コンテンツ使用要求情報とは、例えばコンテンツデータに与えられているコンテンツIDやユーザーID、機器IDを含むものである。
【0021】
コンテンツ使用管理システム6は、コンテンツ使用要求情報を受信したら、そのユーザーに対する課金処理や、使用資格判別処理等を行い、それらの結果コンテンツ使用を許容する場合は、ユーザーに対してコンテンツ使用許可情報を送信する。コンテンツ使用許可情報には、例えば暗号解読キーや、使用制限フラグを無効化する情報等が含まれるようにすることで、そのコンテンツ使用許可情報を受け取ったユーザーは、ホログラム再生装置50によって取り込んだコンテンツデータについて通常の使用が可能となる。例えばホログラム再生装置50において再生出力させたり、外部機器100に送信することが可能となるようにする。
【0022】
このように、図1のコンテンツダウンロードシステムでは、一般に流通するポスター3や書籍4等をコンテンツ提供媒体とし、ホログラムメモリ1に記録されたコンテンツデータをユーザーがホログラム再生装置50によってダウンロードできるものである。またそのシステムにおいて有料のダウンロードサービスとすることも可能である。
【0023】
QRコードのような二次元バーコードを使って音声情報や短い楽曲を専用再生装置、あるいは携帯電話に転送するものはすでに存在しているが、二次元バーコードでは記録できる容量が数百バイト程度であり、音楽等のコンテンツデータをユーザーに提供する媒体としては不十分である。例えばCDやDVD等のパッケージメディア、或いはEMDで提供されるコンテンツデータと同等の品質や長さのコンテンツデータのダウンロードシステムを構築することはできない。
これに対してホログラムメモリ1は扱えるため情報量が格段と大きく、高品質な音楽コンテンツなどを記録するのに十分な容量を持つことができる。例えば数M〜数10MBのデータ量をホログラムメモリ1に記録することは困難でなく、さらには1GB程度も可能とされている。
【0024】
昨今の音楽データの圧縮技術では64kbps程度のレートでMD並み(ATRAC1の圧縮方式での138kbps)の音質が確保できる。また、コーデックとしてATRAC3plusを想定し、256kbpsであればCD並みの音質が確保できる。
例えば64kbpsのレートで5分の音楽コンテンツを圧縮すると、データの容量としては2.4MBにすることができる。256kbpsではその4倍で9.6MBになる。
これらの容量はADSLや光ファイバーによる高速なデータ通信手段を使えば、短時間に転送可能であるが、電話回線などによる通信では数分レベルが必要となり非常に不便である。
一方、ホログラムメモリ1には、この程度の容量のコンテンツデータは十分に記録可能であるため、本例のダウンロードシステムでは、高速な通信手段を用いなくとも、ホログラム再生装置50によって音楽コンテンツ等をダウンロードできることになる。
【0025】
さらに本例では、安価なホログラムシートを作成し、ポスター3や雑誌等の書籍4などに掲載することで、ユーザーがよく目にする位置にコンテンツそのものを配布することができる。つまりユーザーは、ポスター3等を見たときにコンテンツデータを入手したいと思えば、所持するホログラム再生装置50によって即座に入手でき、複雑なシステム環境や手間を必要としない。
ダウンロードしたコンテンツデータそのものは、その場でホログラム再生装置50で再生させたり、外部機器100に転送してユーザーが使用できる。
【0026】
つまり本例のダウンロードシステムによっては、コンテンツデータの提供者側は、安価なホログラムメモリ1を複製し、ポスター3等のコンテンツ提供媒体に掲載することによってコンテンツデータを大量に頒布し、ユーザーが目にするチャンスを増やすことでコンテンツ購入を広げることができる。
ユーザー側も、雑誌、ポスターなどに貼り付けられたシート状のホログラムメモリ1をホログラム再生装置50でスキャンさせることでコンテンツを簡単にダウンロードでき、再生等の使用することが可能となる。
【0027】
また広告用途などにも好適である。例えば従来の広告は紙面の制約から多くの内容記載できなかったが、商品説明のデータ、映像、音声などコンテンツデータとしてをホログラムメモリ1に記録しておけば、非常に多くの情報をユーザーに伝えることが可能となる。
【0028】
[2.コンテンツ提供媒体製造システム]
図1に示したコンテンツ提供媒体製造システム2によるコンテンツ提供媒体の製造方法及び製造されるコンテンツ提供媒体について、図2〜図7で説明する。
【0029】
コンテンツデータを記録したホログラムメモリ1を備えるコンテンツ提供媒体を製造する工程は、大別して図2に示すデータ変換ステップS1と、マスター生成ステップS2と、提供媒体生成ステップS3に分けられる。
データ変換ステップS1では、コンテンツデータとしてのオーディオデータ等を、ホログラムメモリ1に記録するマスターデータに変換する。
マスター生成ステップS2では、マスターデータを記録したホログラムマスターメディア91を生成する。
提供媒体生成ステップS3では、ホログラムマスターメディア91からシート状のホログラムメモリ1を複製する。そしてシート状のホログラムメモリ1を書籍4やポスター3などに貼り付けてコンテンツ提供媒体とする。なお、ホログラムメモリ1を貼付するのではなく、書籍等に直接印刷形成するなどの手法も考えられる。
【0030】
データ変換ステップS1は、コンテンツID生成工程S1−1、基本データ生成工程S1−2、データ処理工程S1−3、マスターデータ生成工程S1−4に分けられる。
コンテンツデータを保有しているコンテンツデータホルダ、例えば音楽コンテンツの場合のレーベルやレコード会社等は、マスター作成者へコンテンツデータを提供し、ホログラムマスターメディア91の制作を依頼する。これに応じてマスター制作者は、データ変換ステップS1としての処理を行う。
【0031】
まずコンテンツID生成工程S1−1として、提供された個々のコンテンツデータについてコンテンツIDを生成する。
次に基本データ生成工程S1−2として、提供されたコンテンツデータにコンテンツIDを付加した基本データを生成する。
コンテンツデータに付加するコンテンツIDとしては、情報がハッキングされた際にコンテンツを再生する装置をリボークできるようなIDを用いることもできる。
【0032】
次にデータ処理工程S1−3としてコンテンツデータに対する必要なデータ処理を行う。例えばオーディオコンテンツデータに対してはATRAC方式やMPEGオーディオ方式等の圧縮処理を施す。
さらに、有料化や使用者特定を目的とするダウンロード後の再生制限のために暗号化処理を施すこともある。
そしてデータ処理工程S1−3を経たデータ列について、次にマスターデータ生成工程S1−4で、ホログラム化するために必要な変換が行なわれる。例えば2次元データに展開される。
【0033】
以上のデータ変換ステップS1の処理例を図3に模式的に示す。
図3におけるデータブロックとは、ストリームデータとしてのオーディオデータを所定サイズ毎に抽出して生成した記録単位のことを表している。
図3(a)の例は、所定データ量としてのオーディオデータに対してヘッダを付加して1つのデータブロックを生成し、これを1記録単位とする例である。この記録単位は、後述するホログラムマスター製造装置において、ホログラム材料に1つのホログラム要素として記録される単位の例である。
ヘッダには、コンテンツIDが記録される。さらにヘッダにはオーディオデータとしての属性、ブロックナンバ、データサイズなどが記録されるようにもする。
オーディオデータは、所定の圧縮方式や、暗号化処理が施されたオーディオデータである。
図3(b)の例は、上記ヘッダ及びオーディオデータに加えて、エラー訂正コード(ECC)が付加されたデータブロックが形成される例である。つまりデータブロック内のオーディオデータに対してエラー訂正用のエンコードが施され、そのECCパリティが記録されることで、再生時に、データブロック単位でエラー訂正処理が可能となるようにしている。
基本データ生成ステップS1−2、データ処理ステップS1−3で、このようなデータブロックが生成された後、マスターデータ生成ステップS1−4では、二次元画像エンコードを行い、各データブロックを二次元画像パターンのデータに変換することになる。
【0034】
続いてマスター制作者は、マスター生成ステップS2として、ホログラムマスター製造装置を用いて、データ変換ステップS1で生成されたマスターデータが記録されたホログラムマスターメディア91を製造する。ホログラムマスター製造装置の例は後述するが、例えば二次元データ列とされているマスターデータを液晶パネル等の表示装置に表示させ、その表示画像の物体光と、参照光とを合わせてフォトポリマーなどのホログラム材料へプリントすることでマスターを作成することができる。
なおホログラムとしてはフォトポリマーなどの材料ではなく、アルミに対して凹凸を付けることで作成するものもあり、ホログラムマスターメディア91の製造手法は、どのようなタイプのホログラムマスターメディア91を作成するかによって異なる。
【0035】
マスター生成ステップS2で製造されたホログラムマスターメディア91は、提供媒体生成ステップS3に受け渡される。例えば提供媒体生成ステップS3はホログラムメモリ複製工程S3−1と、コンテンツ提供媒体製造工程S3−2に分けられる。
ホログラムマスターメディア91は、例えば複製業者に受け渡される。そして複製業者がホログラムメモリ複製工程S3−1として、ホログラムマスターメディア91を用いてシート状のホログラムメモリ1を量産する。
【0036】
複製方法としては、例えばホログラムマスターメディア91を別の感光材料上へ密着させて情報を転写する密着コピー法が考えられる。
また、フォトレジストに記録したホログラムによる凹凸像にニッケルを電着してスタンパを生成し、スタンパを用いて複製するエンボスホログラム法も考えられる。
【0037】
量産されたホログラムメモリ1は、例えば書籍、ポスター、パッケージメディア等の製造業者に配布され、コンテンツ提供媒体製造工程S3−2として、書籍等に貼付されてコンテンツ提供媒体が完成する。
なお、ホログラムメモリ複製工程S3−1とコンテンツ提供媒体製造工程S3−2は、一体的に実行される場合もある。例えばコンテンツ提供媒体としての製品に直接複製印刷等によりホログラムメモリ1が形成されるような場合である。
【0038】
製造されたコンテンツ提供媒体は、店舗や各種施設等に配布され、一般ユーザーの目に触れる状態とされる。つまりダウンロード可能な状態とされる。
なお、以上の手順では、コンテンツデータの暗号化やコンテンツIDの設定はデータ変換ステップS1で行われる。例えば、マスター生成ステップS2や提供媒体生成ステップS3の作業は、マスター作成者が外部業者に委託することも想定されるが、、データ変換ステップS1で暗号化等を行うことでコンテンツ情報の流出を防ぐことができる。
【0039】
続いて、上記マスター生成ステップS2で製造されるホログラムマスターメディア91及びホログラムマスターメディア91から複製されるホログラムメモリ1の例を説明する。
なお、物体光と参照光によって生じる干渉縞によりデータを記録するホログラム記録媒体にはさまざまな方式があるが、ここではホログラフィックステレオグラム(Holographic Stereogram)方式のホログラム記録媒体としてホログラムマスターメディア91を生成する例に挙げる。
【0040】
従来より知られているホログラフィックステレオグラム方式のホログラム記録媒体は、多数の画像を原画とし、これらを1枚のホログラム記録媒体に短冊状又はドット状の要素ホログラムとして順次記録する。
このホログラフィックステレオグラムでは、被写体を横方向の異なる観察点から順次撮影することにより得られた複数の画像の情報が、短冊状の要素ホログラムとして横方向に連続するように順次記録されることで、このホログラフィックステレオグラムを観察者が両目で見たとき、その左右の目にそれぞれ写る2次元画像は若干異なるものとなる。これにより、観察者は視差を感じることとなり、3次元画像が再生されることとなる。つまり物体光と参照光の干渉縞によって例えば立体的に視認できる画像が記録される。
このようなホログラム記録媒体は、記録密度を飛躍的に向上させ、著しい大容量化が可能であることも知られており、このためホログラム記録媒体は、3次元画像を再生のためだけでなく、例えばコンピュータデータ等の各種データを記録する記録媒体としても有用であると考えられている。
例えば上記ホログラフィックステレオグラム方式を応用する場合、オーディオデータ、ビデオデータ、テキストデータ、プログラムデータ等のコンテンツデータを所定の記録単位毎に2次元画像化する。例えばいわゆる二次元バーコード(QRコード)のような画像パターンを生成する。そして記録単位毎の2次元画像としての画像パターンを多数生成し、それぞれを短冊状の要素ホログラムとして記録していく。このようにすると、従来の印刷による二次元バーコードに比べて記録密度を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0041】
図4には、例えばオーディオデータをホログラム記録媒体に記録することを模式的に示している。
図4(b)はホログラム材料30に帯状にホログラム要素を記録する状態を表している。ホログラム材料30には物体光L4と記録用の参照光L3が照射される。
例えば液晶パネルによる透過型の表示装置41に画像を表示した状態で、表示装置41に物体光L4を照射する。表示装置41を通過した物体光L4は、表示装置41に表示された画像を反映した物体光となるが、この物体光L4はシリンドリカルレンズ42で垂直方向の線状に収束されてホログラム材料30に照射される。
この線状に収束された物体光L4と参照光L3が干渉した際の干渉縞が、図示するように垂直方向の帯状のホログラム要素としてホログラム材料30に記録されることになる。
【0042】
ここで、帯状の各ホログラム要素を生成していくためには、ホログラム材料30を例えば矢印H方向に1段階ずつ送るとともに、表示装置41に表示する画像を変化させていく。すると、干渉縞としての帯状のホログラム要素がホログラム材料30上に格子状に形成されていくことになる。
このとき、或る物体を様々な角度から撮影した画像を順次表示装置41に表示させて、それぞれホログラム要素として記録していくと、視認上で立体画像が見える状態になるが、本例の場合、表示装置41に表示させる画像として、オーディオデータを2次元バーコード状に表現したパターンとする。即ちオーディオデータを、2次元バーコード状のパターン画像とし、これをホログラム要素として記録する。
【0043】
図4(a)に、表示装置41に順次表示させる画像の例を示すが、表示装置41には、オーディオデータDAに基づく画像を順次表示させることになる。
オーディオデータDAに基づく画像は、図示するように、二次元バーコード状の画像である。記録しようとする元々のオーディオデータについては、例えば固定長のデータサイズ毎などとしての記録単位毎に分割し、その各記録単位のオーディオデータを二次元バーコード画像パターンに変換する。
その二次元バーコード状の画像パターンを表示装置41に表示させた場合、当該画像パターンを反映した物体光L4がホログラム材料30に照射され、参照光L3との干渉縞によって該画像パターンを記録した線状のホログラム要素が形成される。即ちオーディオデータDAの1つの記録単位がホログラム材料30に記録されることになる。
そこで、図4(a)のようにオーディオデータDAに基づく画像(#1・・・#x)を順次、表示装置41に表示させながら、ホログラム材料30にホログラム要素を形成していくと、オーディオデータDAを記録したホログラム記録媒体が形成できる。
【0044】
本例では、以上のように記録を行ったホログラム材料30をホログラムマスターメディア91とする。そして、ホログラムマスターメディア91からホログラムメモリ1を複製する。
図5に、上記のように作成されたホログラムマスターメディア91から複製して形成されたホログラムメモリ1の様子を示している。
各ホログラム要素として記録されたデータは、人が視認できる画像としてホログラムメモリ1上にあらわれる。この場合、ホログラムメモリ1に対しては、或る方向に配置された光源からの光や、周囲の自然光等の外光が参照光となる。
上記図4(a)のような#1・・・#xの順序でオーディオデータDAを記録していった場合、例えば図5のように、ホログラムメモリ1に対する各角度から、#1〜#xのオーディオデータDAの画像パターンが視認できる。
【0045】
このオーディオデータDAによる画像パターンは、二次元バーコードのように、人が意味的にその内容を認識できる画像ではないが、そのオーディオデータDAによる画像パターンについては、ホログラム再生装置50が読み取ってデータ処理するものとされる。ホログラム再生装置50は、図示する読取範囲θ0で、各画像をイメージセンサで読み取っていく。即ち#1〜#xのオーディオデータDAの各画像パターンを、それぞれ読み取っていく。例えば再生装置のレンズ系の位置を順次移動させたり、或いは読み出しのための参照光の位置を順次移動させながら、各光像をイメージセンサで読み取っていく。そして各イメージパターンを各記録単位のデータにデコードする。そして各記録単位のデータからオーディオデータDAとしてのストリームデータを生成する。
【0046】
以上のようなホログラムメモリ1を複製形成するためのホログラムマスターメディア91を作成するホログラムマスター製造装置、即ちホログラフィックステレオグラム作成システムについて説明する。
このホログラフィックステレオグラム作成システムは、物体光と参照光との干渉縞が記録されたフィルム状のホログラム材料30をそのままホログラフィックステレオグラム(ホログラムマスターメディア91)にする、いわゆるワンステップホログラフィックステレオグラムを作成するシステムである。
【0047】
図6にホログラムマスター製造装置の構成を示す。このホログラムマスター製造装置は、図2のデータ変換ステップS1で生成されたマスターデータを入力するマスターデータ入力部11と、マスターデータであるオーディオデータDAとしての画像パターンを順次記録データDRとして出力する記録データ生成部13と、このシステム全体の制御を行う制御用コンピュータ14と、ホログラフィックステレオグラム作成用の光学系を有するホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15とを備えている。
【0048】
マスターデータ入力部11は、データ変換ステップS1でオーディオコンテンツデータから生成された二次元画像データを入力し、これを記録データ生成部13に受け渡す。即ち図4に示した#1〜#xとしての画像パターンデータを受け渡す。
【0049】
記録データ生成部13は、マスターデータ入力11からの各オーディオデータDAによる画像パターンを取り込み、#1〜#xの順序に、それぞれ所定タイミングで記録データDRとして出力する。
即ち記録データ生成部13は、ホログラム材料30に対する記録時に、#1〜#xの順序の記録データDR(オーディオデータDAに基づく画像パターンのデータ)を順次、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に送出するとともに、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に記録データDRを送出する毎に、データを送出したことを示すタイミング信号S1を制御用コンピュータ14に送出する。
【0050】
制御用コンピュータ14は、記録データ生成部13からのタイミング信号S1に基づいてホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15を駆動し、記録データ生成部13から出力された記録データDRに基づく画像を、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15内にセットされたホログラム材料30に、短冊状の要素ホログラムとして順次記録する。
このとき、制御用コンピュータ14は、後述するように、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に設けられたシャッタ及び記録媒体送り機構等の制御を行う。すなわち、制御用コンピュータ14は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に制御信号S2を送出して、シャッタの開閉や、記録媒体送り機構によるホログラム材料30の送り動作等を制御する。
【0051】
ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15は、例えば図7に示す光学系を備える。なお、図7(a)は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3全体の光学系を上方から見た図であり、図7(b)は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置3の光学系の物体光用の部分を横方向から見た図である。
【0052】
ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15は、図7(a)に示すように、所定の波長のレーザ光を出射するレーザ光源31と、レーザ光源31からのレーザ光L1の光軸上に配されたシャッタ32と、ハーフミラー33とを備えている。シャッタ32は、制御用コンピュータ14によって制御され、ホログラム材料30を露光しないときには閉じられ、ホログラム材料30を露光するときに開放される。また、ハーフミラー33は、シャッタ32を通過してきたレーザ光L2を、参照光と物体光とに分離するためのものであり、ハーフミラー33によって反射された光L3が参照光となり、ハーフミラー33を透過した光L4が物体光となる。
【0053】
ハーフミラー33によって反射された光L3の光軸上には、参照光用の光学系として、シリンドリカルレンズ34と、参照光を平行光とするためのコリメータレンズ35と、コリメータレンズ35からの平行光を反射する全反射ミラー36とがこの順に配置されている。
そして、ハーフミラー33によって反射された光は、先ず、シリンドリカルレンズ34によって発散光とされる。次に、コリメータレンズ35によって平行光とされる。その後、全反射ミラー36によって反射され、ホログラム材料30に参照光として入射する。
【0054】
一方、ハーフミラー33を透過した光L4の光軸上には、図7(a)及び図7(b)に示すように、物体光用の光学系として、ハーフミラー33からの透過光を反射する全反射ミラー38と、凸レンズとピンホールを組み合わせたスペーシャルフィルタ39と、物体光を平行光とするためのコリメータレンズ40と、記録対象の画像を表示する表示装置41と、物体光をホログラム用記録媒体30上に集光させるシリンドリカルレンズ42とがこの順に配置されている。
そして、ハーフミラー33を透過した光L4は、全反射ミラー38によって反射された後、スペーシャルフィルタ39によって点光源からの拡散光とされる。次に、コリメータレンズ40によって平行光とされ、その後、表示装置41に入射する。ここで、表示装置41は、例えば液晶パネルからなる透過型の画像表示装置であり、記録データ生成部13から送られた記録データDRに基づく画像を表示する。そして、表示装置41を透過した光は、表示装置41に表示された画像に応じて変調された後、シリンドリカルレンズ42に入射する。
【0055】
表示装置41を透過した光は、シリンドリカルレンズ42により横方向に集束され、この集束光が物体光としてホログラム用記録媒体30に入射する。すなわち、このホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15では、表示装置41からの投影光が短冊状の物体光としてホログラム用記録媒体30に入射する。
【0056】
ここで、参照光及び物体光は、参照光がホログラム材料30の一方の主面に入射し、物体光がホログラム材料30の他方の主面に入射するようにする。すなわち、ホログラム材料30の一方の主面に、参照光を所定の入射角度にて入射させるとともに、ホログラム材料30の他方の主面に、物体光をホログラム材料30に対して光軸がほぼ垂直となるように入射させる。これにより、参照光と物体光とがホログラム材料30上において干渉し、当該干渉によって生じる干渉縞が、ホログラム材料30に屈折率の変化として記録される。
【0057】
また、このホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15は、制御用コンピュータ14の制御のもとに、ホログラム材料30を間欠送りし得る記録媒体送り機構43を備えている。この記録媒体送り機構43は、記録媒体送り機構43に所定の状態でセットされたフィルム状のホログラム材料30に対して、記録データ生成部13から出力された記録データDRに基づく1つの画像が1つの要素ホログラムとして記録される毎に、制御用コンピュータ14からの制御信号S2に基づいて、ホログラム材料30を1要素ホログラム分だけ間欠送りする。これにより、記録データ生成部13から出力される記録データDRに基づく各画像、つまりオーディオデータDAに基づく#1〜#xの画像パターンが、要素ホログラムとして、ホログラム材料30に横方向に連続するように順次記録される。
【0058】
以上のように、このホログラムマスター製造装置では、記録データ生成部13から出力される記録データDRに基づく複数の露光用画像が表示装置41に順次表示されるとともに、各画像毎にシャッタ32が開放され、各画像がそれぞれ短冊状の要素ホログラムとしてホログラム材料30に順次記録される。このとき、ホログラム材料30は、1画像毎に1要素ホログラム分だけ送られるので、各要素ホログラムは、横方向に連続して並ぶこととなる。これにより、画像データDPとして、例えばオーディオデータDAによる画像パターンが横方向に連続した複数の要素ホログラムとして記録される。
そして、このシステムでデータDRの記録を行ったホログラム材料30が、図2で説明したホログラムマスターメディア91となる。
そのホログラムマスターメディア91を用いて複製されたホログラムメモリ1が、図5で説明したホログラムメモリ1となり、例えばポスターや書籍等に貼付される。
【0059】
[3.ホログラム再生装置(ダウンロード装置)構成]
続いて、図2のようにオーディオデータDA等のコンテンツデータが二次元パターン画像の形態で記録されたホログラムメモリ1に対するホログラム再生装置50を説明する。即ちこのホログラム再生装置50は、ポスターや書籍等に貼付されたホログラムメモリ1からコンテンツデータをダウンロードするダウンロード装置である。
【0060】
図8(a)(b)は、それぞれホログラム再生装置50の外観例を示している。
ホログラム再生装置50は、例えばユーザーが携帯可能な小型の筐体で構成され、筐体上にユーザーインターフェースのための表示部51や操作部52が設けられる。
ホログラムメモリ1に対するデータ読取のためには、例えば筐体の一側面に、撮像レンズ系53や読取のための参照光を照射する発光素子(LED)54が設けられる。
図2に示したように、ホログラム再生装置50はホログラムメモリ1に対して読取範囲θ0の読取スキャンを行う。このため、例えば図8(a)の場合は、発光素子54の位置は固定されるが、レンズ移動部53aとして、撮像レンズ系53の位置を移動させる機構が設けられている。また例えば図8(b)は、撮像レンズ系53は固定されるが、発光素子54の位置を移動させる発光素子移動部54aが設けられている。
読取時のスキャン動作の例については後述する。
【0061】
図9によりホログラム再生装置50の構成を説明する。
図9においてシステムコントローラ61は、例えばマイクロコンピュータにより形成され、ホログラムメモリ1からのオーディオデータDAの読取のための動作を実行するために各部を制御する。
またシステムコントローラ61は操作部52の操作情報を監視し、ユーザーの操作に応じて必要な制御を行う。またシステムコントローラ61は、表示部51を制御してユーザーに提示する各種の情報の表示を実行させる。
【0062】
読取機構部56は、撮像レンズ系53、イメージャ55,発光素子54、スキャン機構74を有する。撮像レンズ系53は、1又は複数のレンズにより構成される光学系である。1枚の撮像レンズ、或いは撮像レンズとフォーカスレンズ等を備えた複数のレンズにより構成され、ホログラムメモリ1からの再生像光をイメージ55に導く。イメージャ55は、例えばCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の固体撮像素子アレイによって構成され、撮像レンズ系53により入射した再生像の光を受光し、電気信号に変換する。
【0063】
例えばLEDによる発光素子54は、発光駆動回路75によって発光される。発光素子54は、当該ホログラム再生装置50によってホログラムメモリ1の再生を行う場合に、システムコントローラ61の指示によって発光素子54を発光駆動する。
スキャン機構74は、例えば図8(a)のように設けられているレンズ移動部53a内で、レンズ系53(レンズ系53とイメージャ55)を移動させる機構である。或いは図8(b)のように設けられている発光素子移動部54a内で発光素子54を移動させる機構である。
【0064】
カメラメカ制御部67は、ホログラムメモリ1の再生を行う際に、システムコントローラ61の指示に応じて読取機構部56を駆動制御する。例えばレンズ系53におけるフォーカス制御や、スキャン機構74の動作を制御する。
【0065】
転送制御/信号処理部62は、イメージャ55の動作を制御すると共に、イメージ55によって得られる信号の処理を行う。
即ち転送制御/信号処理部62は、イメージャ55に対して転送タイミング信号、転送アドレス信号等を供給して、撮像信号としての固体撮像素子アレイで得られる信号を順次転送出力させる。そしてイメージャ55から転送されたきた撮像信号について、サンプリング処理、AGC処理、A/D変換処理等を施し、撮像データとして出力する。
【0066】
転送制御/信号処理部62から出力される撮像データは、メモリコントローラ63の制御によってDRAM64に蓄積される。
DRAM64に蓄積された撮像データに関する信号処理系として、光学補正部68、幾何歪み補正部69、二値化部70、データ処理部71が設けられる。またこれらの各部の処理結果や処理に必要な情報についてのシステムコントローラ61とのやりとりにSRAM72が用いられる。
また、フラッシュメモリ65には、例えば上記各部での信号処理に必要な設定値、係数、その他必要な情報が記憶される。また後述する使用許可情報、暗号解読キーなどがフラッシュメモリ65に記録されるようにしてもよい。
【0067】
光学補正部68は、イメージャ55によって得られる撮像データについて光学的な原因によるデータ値の変動を補正する処理を行う。
幾何歪み補正部69は、撮像データとして取り込まれた再生像に生じている幾何的な歪みを補正する処理を行う。
二値化部70は、イメージャ55によって得られる階調のある撮像データを白黒の二値に変換する処理を行う。ホログラムメモリ1から読み取るべきデータは、二次元パターン化されたオーディオデータDAであり、二次元画像パターンは、オーディオデータDAを白黒の二値のデータに変換した上で画像パターンにしたものであるからである。
【0068】
データ処理部71は、二次元の画像パターンとして二値化された撮像データについて、デコード処理を行い、オーディオデータを得る。
即ち、1枚の二次元画像パターンとしての撮像データから、図3に示したような1つのデータブロックとしてのデータ列を生成する。
データ処理部71は、DRAM64に蓄積された各二次元画像パターンの撮像データについて、それぞれデータブロックとしてのデータ列を生成していき、各データブロックから抽出されたオーディオデータDAに基づいて、元のオーディオストリームデータを生成していく。
この場合において、データブロックが図3(b)のようにエラー訂正コードが含まれているのであれば、データ処理部71はオーディオデータのエラー訂正処理を行うことになる。
また、データ処理部71は、データブロックから抽出したオーディオデータDAについて、必要に応じて、圧縮処理や圧縮に対する伸長処理、送信用又は記録用のエンコード処理、或いは暗号化に対するデコード処理等を行う。
【0069】
データ処理部71で得られたオーディオデータDAとしてのオーディオストリームデータは、外部インターフェース66を介して外部機器100、例えばパーソナルコンピュータやオーディオシステム等の装置に、ホログラムメモリ1からの再生データとして転送することができる。外部インターフェース66は例えばUSBインターフェース等が想定される。もちろん外部インターフェース66はUSB以外の規格のインターフェースでもよい。
ユーザーは外部機器100側で取り込んだオーディオデータを再生させることで、オーディオ再生を楽しむことができる。
【0070】
またデータ処理部71で得られたオーディオデータDAとしてのオーディオストリームデータは、メディアドライブ73に供給されて二次記録メディア90に記録することができる。またヘッダに含まれるコンテンツID等の情報もオーディオデータDAとともに二次記録メディア90に記録される。
【0071】
二次記録メディア90は、例えば光ディスク、光磁気ディスク等をされる。例えばCD(Compact Disc)方式、DVD(Digital Versatile Disc)方式、ブルーレイディスク(Blu-Ray Disc)方式、MD(Mini Disc)方式などの各種方式の記録可能型のディスクが記録メディア90として考えられる。これらのディスクが記録メディア90とされる場合、メディアドライブ73は、ディスク種別に対応したエンコード処理、エラー訂正コード処理、或いは必要であれば圧縮処理等を施して、オーディオデータをディスクに記録する。
また二次記録メディア90としてハードディスクも想定され、その場合、メディアドライブ73は、いわゆるHDD(ハードディスクドライブ)として構成される。
さらに二次記録メディア90は、固体メモリを内蔵した可搬性のメモリカード、或いは内蔵型固体メモリとしても実現でき、その場合メディアドライブ73は、メモリカード或いは内蔵型固体メモリに対する記録装置部として構成され、必要な信号処理を行ってオーディオデータ記録を行う。内蔵型固体メモリとしては、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリだけでなく、DRAM等の揮発性メモリも想定される。
【0072】
二次記録メディア90に記録されたオーディオデータDA、即ちホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータは、メディアドライブ73が二次記録メディア90から読み出し、上記の外部インターフェース66により外部機器100に送信することができる。
さらに上記のCD、DVD、ブルーレイディスク、MD、メモリカード等の可搬性の記録メディア90に記録した場合は、その記録メディア90を外部機器で再生させることで、ユーザーはホログラムメモリ1から読み出した音楽等を聞くことができる。
【0073】
またこのホログラム再生装置50自体で再生出力することもできるように、再生処理部76、D/A変換器77、アナログオーディオ処理部78が設けられている。
再生処理部76は、二次記録メディア90に記録したオーディオデータをメディアドライブ73で読み出した際に、その読み出したオーディオデータをデコードする。例えば記録メディア90における圧縮方式のデコードを行ったり、また記録メディア90において暗号化状態でオーディオデータが記録されている場合は、その暗号解読のための復号処理等を行う。
例えば再生処理部76でリニアPCMオーディオデータの状態にまでデコードされたオーディオデータは、D/A変換器77でアナログ音声信号に変換され、アナログオーディオ処理部78で増幅、ゲイン調整、インピーダンス調整等の処理が施された後、スピーカ部或いは接続されたヘッドホン等に供給されて再生音声として出力される。
これによりユーザーは、ダウンロードしたオーディオコンテンツを、ホログラム再生装置50によって再生させ、音楽等を楽しむことができる。
【0074】
なお、この図9の例のホログラム再生装置50における、本発明請求項でいうダウンロード装置の構成要件に相当する部位は次のようになる。
発光素子54及び発光駆動回路75が参照光出力手段として機能する。
読取機構部56、転送制御/信号処理部62が検出手段として機能する。
データ処理手段71が再生処理手段として機能する。
メディアドライブ73が、二次記録媒体に対する記録手段として機能する。
メディアドライブ73,再生処理部76,D/A変換器77,アナログオーディオ処理部78が、コンテンツデータを再生出力する再生出力手段として機能する。
外部インターフェース66が、コンテンツデータを外部機器に送信する送信手段として機能する。
データ処理部71もしくは再生処理部76が、暗号解読手段として機能する。
【0075】
図8,図9のような構成のホログラム再生装置50によってホログラムメモリ1からデータを読み取る際の動作例について説明する。
図6,図7では、記録時には参照光の角度を固定して、HPO(Horizontal Parallax Only)の光学系で様々な画像を記録する方式を説明したが、このような記録を行った場合は、基本的には再生時には参照光の角度を固定し、イメージャの角度を変化させることが望ましい。
図10は、ホログラム再生装置50においてレンズ系53とイメージャ55の角度を変化させる読取方式を示している。即ち図8(a)のようにレンズ移動部53aを備えたホログラム再生装置50において、このレンズ移動部53aの移動可能範囲で、レンズ系53とイメージャ55を一体的に移動させる移動ユニット80を形成する。そして、この移動ユニットを、図9に示したスキャン機構74によって図10に示すように回転方向に移動させて、ホログラムメモリ1に対する撮像方向の角度を変化させる。読取のための参照光L5を出力する発光素子54は固定位置である。
つまりユーザーがホログラムメモリ1に対してホログラム再生装置50を対向させた状態で読取を指示する操作を行ったら、システムコントローラ61がカメラメカ制御部67に指示してスキャン機構74を駆動させ、移動ユニットを回転移動させる。このときにイメージャ55によって順次得られる再生像の撮像データとして、図5の#1〜#xの撮像データが得られることになり、上記のようにホログラム再生装置50内でオーディオデータDAを得る。
【0076】
また、移動ユニット80を回転方向に移動させるのではなく、図11に示すように、移動ユニット80を平行移動させるように構成しても良い。
このように平行移動で再生像を取り込むようにすれば、移動ユニット80の移動機構を簡単な構成とすることができる。但し、再生像に歪みが生じやすいという点があり、十分な歪み補正等の処理が必要となる。
また、図12のように、イメージャ55のサイズが十分に大きい場合には、撮像レンズ系53のみを移動させる構成も考えられる。
【0077】
また図8(b)のような構成として撮像レンズ系53側は固定とし、発光素子移動部54aにおいて発光素子をホログラムメモリ1に対して回転移動させることで、図13に示すように、ホログラムメモリ1に対して照射する読み取り用の参照光L5の角度を変化させるようにしてもよい。
【0078】
[4.ダウンロードされるコンテンツデータ]
続いて、本例のダウンロードシステムでダウンロードされるコンテンツデータについて説明する。
ここまでコンテンツデータの例として、オーディオコンテンツデータを例に挙げてきたが、もちろんオーディオコンテンツデータ以外のコンテンツデータも、多様に考えられる。
例えばビデオクリップなどの動画映像データ、写真画像等の静止画像としてのスチル画像データなどをダウンロードするシステムとしてもよい。
また小説、随筆、論文、説明文、広告宣伝その他のテキストデータも本例でいうダウンロード対象のコンテンツデータとして採用できるし、コンピュータプログラムやアプリケーションプログラムなども、本例のダウンロード対象のコンテンツデータとすることができる。
【0079】
即ち本例のコンテンツダウンロードシステムは、コンテンツデータの種類にかかわらず、ユーザーに提供する各種のデータをホログラムメモリ1に記録し、これをホログラム再生装置50を用いてユーザーに提供できるシステムとすることができる。
そして、例えば動画又は静止画データやテキストデータをダウンロードコンテンツとする場合には、それに対応してホログラム再生装置50において、それらダウンロードデータ内容を表示部51に表示出力する構成を採ることも考えられる。
【0080】
また、ダウンロードによるコンテンツ提供の目的としては、コンテンツデータの販売としてもよいし、コンテンツの紹介や各種の宣伝を目的としても良い。
例えば本例のコンテンツダウンロードシステムを、音楽コンテンツ、映像コンテンツ、テキストコンテンツ、プログラムコンテンツ等をユーザーに販売するシステムとして用いる場合は、ユーザーに対する課金システムが機能するようにすればよい。
もちろんユーザーに無償でコンテンツデータを提供するシステムとすることもできる。
また有償、無償にかかわらず、例えば一定の資格を有する人のみがダウンロードしてコンテンツデータを利用できるようにすることも考えられる。例えば教材としてのコンテンツデータを、特定の学校の職員や生徒のみが利用できるようにしたり、会社の業務資料としてのコンテンツデータを、その会社の社員のみが利用できるようにするなどである。ここでいう利用とは、ダウンロードしたコンテンツデータの再生や、他の機器へ転送することなどである。
【0081】
また紹介、宣伝用のシステムとする場合、例えば音楽コンテンツの一部、動画コンテンツの一部等をホログラムメモリ1に記録し、それをユーザーがダウンロードして再生できるようにすることで、例えばパッケージメディア5として販売しようとするコンテンツデータの紹介、宣伝が可能となる。
或いは、或る物品の販売のための広告として、その物品の紹介、宣伝、説明等のためのテキストデータ、画像データ、音声データ等のコンテンツをダウンロード可能とすれば、本例のコンテンツダウンロードシステムは広告宣伝用のシステムとして機能する。
【0082】
ホログラムメモリ1に記録されるコンテンツデータは、これらの目的に沿ったものとされればよい。
特にコンテンツ自体の販売目的であれば、高品質なコンテンツデータをホログラムメモリ1に記録する。例えば高音質な音楽コンテンツを記録して、これをユーザーが有料でダウンロードできるようにする。
一方、紹介用であれば、低品質なデータや、一部のデータをホログラムメモリ1に記録する。例えば品質を落とした音楽コンテンツや、曲の一部分のみとした音楽コンテンツをダウンロードさせるようにし、ユーザーが、そのコンテンツの内容を確認できるようにすればよい。また、機能を制限したコンピュータソフトウェアプログラムとしてのコンテンツとし、ユーザーがそのソフトウェアプログラムを購入前に試用できるようにしてもよい。
【0083】
[5.コンテンツデータの記録態様]
上記のようにコンテンツダウンロードシステムの実用上の目的は各種考えられるが、それに応じてコンテンツデータの記録態様が決定されればよい。
特に有料のダウンロードシステムとする場合は、コンテンツデータを暗号化処理したり、使用制限フラグを設けてホログラム再生装置50においてダウンロードしてもそのままでは使用できないようにすることが考えられる。
【0084】
図14に、ホログラムメモリ1に記録されるコンテンツデータの形式と、ホログラム再生装置50に取り込まれたときの処理や二次記録メディア90での記録形式、さらには使用時、即ちホログラム再生装置50での再生時や外部機器100への送信時の処理の例を示している。
なお、図14(a)〜(e)の各例では、ホログラム再生装置50がホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを一旦、二次記録メディア90に記録するものとして示しているが、二次記録メディア90に記録しないで再生/送信時処理を行う場合もあり得る。
【0085】
図14(a)は、ホログラムメモリ1に非暗号化状態でコンテンツデータを記録する例である。つまり図2のデータ変換ステップS2で暗号化処理を行わない場合である。この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを二次記録メディア90に記録すれば、二次記録メディア90でも非暗号化コンテンツデータが記録されることになる。二次記録メディア90において非暗号化状態でコンテンツデータが記録されていることから、ホログラム再生装置50は、そのコンテンツデータの再生出力や外部機器100への送信を自由に行うことができる。
この図14(a)の例は、無料のコンテンツダウンロードシステムとして好適な例である。ところでこの場合、ダウンロード対象のコンテンツデータにコンテンツIDを付加することは必ずしも必要ではない。即ち図2の基本データ生成ステップS1−2で生成する基本データには、必ずしもコンテンツIDが含まれていなくても良い。
なお、ダウンロードシステム上の課金や使用制限以外の目的で、ホログラム再生装置50側で暗号化等を行うことは任意である。例えば外部機器100への送信時に、暗号化処理を行って送信することは考えられる。
【0086】
図14(b)は、ホログラムメモリ1に暗号化状態でコンテンツデータを記録する例である。つまり図2のデータ変換ステップS2で暗号化処理を行う場合である。この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを二次記録メディア90に記録すれば、二次記録メディア90でも暗号化コンテンツデータが記録されることになる。二次記録メディア90において暗号化状態でコンテンツデータが記録されていることから、ホログラム再生装置50は、そのコンテンツデータをそのまま再生出力したり、外部機器100へそのまま転送して再生させることはできない。このため、後述するが、図1に示したコンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を入手することが必要となる。ホログラム再生装置50では二次記録メディア90から読み出したコンテンツデータについては、再生時に使用許可情報に含まれている暗号解読キーを用いて、暗号解読処理を行う。即ち再生処理部76もしくはデータ処理部71で非暗号化デコードを行って暗号解読されたコンテンツデータを得る。この時点で、コンテンツデータを再生出力したり、或いは外部機器100に転送して再生させることが可能となる。
この図14(b)の例は、有料のダウンロードシステムとする場合や、有料又は無料で特定の資格を有するユーザーのみにコンテンツデータを提供するシステムとする場合に好適な例である。
【0087】
図14(c)も、ホログラムメモリ1に暗号化状態でコンテンツデータを記録する例である。つまり図2のデータ変換ステップS2で暗号化処理を行う場合である。この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを、非暗号化デコードして二次記録メディア90に記録する。ホログラム再生装置50は、コンテンツ使用管理システム6から入手した使用許可情報に含まれている暗号解読キーを用いて、ホログラムメモリ1から取り込んだ暗号化コンテンツデータに対する暗号解読処理を、データ処理部71で行う。そして暗号解読したコンテンツデータを二次記録メディア90に記録する。二次記録メディア90上では非暗号化コンテンツデータが記録されるため、その後、二次記録メディア90から読み出したコンテンツデータを再生したり、外部機器100に転送して再生させたりすることができる。
この図14(c)の例も、有料のダウンロードシステムとする場合や、有料又は無料で特定の資格を有するユーザーのみにコンテンツデータを提供するシステムとする場合に好適な例である。
【0088】
図14(d)は、ホログラムメモリ1に一部分が暗号化されたコンテンツデータを記録する例である。つまり図2のデータ変換ステップS2で暗号化処理では、コンテンツデータの一部分のみ、例えば音楽データであればサビの部分のみ暗号化するなどの例である。
この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを二次記録メディア90に記録すれば、二次記録メディア90でも一部が暗号化されたコンテンツデータが記録される。二次記録メディア90において一部暗号化状態でコンテンツデータが記録されていることから、ホログラム再生装置50は、そのコンテンツデータについては、暗号化されていない部分のみについては、そのまま再生出力したり、外部機器100へそのまま転送して再生させることができる。暗号化部分を含めたコンテンツ全体を再生させるためには、コンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を入手することが必要となる。ホログラム再生装置50では二次記録メディア90から読み出したコンテンツデータについては、再生時に使用許可情報に含まれている暗号解読キーを用いて、暗号解読処理は再生処理部76もしくはデータ処理部71で非暗号化デコードを行って全てが非暗号化状態となったコンテンツデータを得る。この時点で、コンテンツデータを再生出力したり、或いは外部機器100に転送して再生させることが可能となる。
この図14(c)の例も、有料のダウンロードシステムとする場合や、有料又は無料で特定の資格を有するユーザーのみにコンテンツデータを提供するシステムとする場合に好適な例であるが、コンテンツの一部は再生可能であるため、課金等を行う前にユーザーがコンテンツデータの一部を試聴したり見て確認することができるシステムとすることができる。
なおこのように一部暗号化コンテンツデータをホログラムメモリ1に記録する場合でも、図14(c)のようにダウンロード時に非暗号化デコードすることも考えられる。例えば予め課金契約をして暗号解読キーを入手しているユーザーや、特定の再生資格所有者は、二次記録メディア90に全体が非暗号化デコードされたコンテンツデータを記録できるようにするが、それ以外のユーザーは、課金処理等を行わなければ一部が暗号化のまま二次記録メディア90に記録され、一部しか再生できないようにするシステムとする例である。
【0089】
図14(e)は、ホログラムメモリ1に使用制限フラグ情報が付加されたコンテンツデータを記録する例である。例えば図2のデータ変換ステップS2において、基本データ生成ステップS2−2もしくはデータ処理ステップS1−3で、コンテンツデータの暗号化は行わないが、ヘッダ情報等に使用制限フラグ情報を付加する。この使用制限フラグ情報は、ホログラム再生装置50側で、システムコントローラ61が、その使用制限フラグが解除されていない限りそのコンテンツデータを再生禁止と判断する情報である。
この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを二次記録メディア90に記録すれば、二次記録メディア90でも使用制限フラグ情報が付加されたコンテンツデータが記録される。
二次記録メディア90に記録されたコンテンツデータについては、システムコントローラ61は、その使用制限フラグが解除されない限り再生禁止と判断し、ユーザーの操作に応じた再生動作は実行させない。再生させるには、コンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を入手することが必要となる。使用許可情報にはコンテンツIDに対応した使用制限解除情報が含まれており、その使用制限解除情報は、コンテンツIDに対応して例えばフラッシュメモリ65等に記憶されるものとする。
ユーザーがコンテンツデータの再生出力を指示する操作を行った場合、システムコントローラ61は、そのコンテンツデータのコンテンツIDに基づいて使用制限解除情報が既に入手されているかを判断し、入手されていれば(例えばフラッシュメモリ65にコンテンツIDに対応して使用制限解除情報が記憶されていれば)、使用制限は解除されたとして再生出力処理を行う。コンテンツIDに対応した使用制限解除情報が入手されていなければ、再生出力処理は実行しないようにする。外部機器100への送信処理についても同様とする。
従って、上述の暗号化の場合と同様に、課金等により使用許可情報を入手したユーザーのみ、ダウンロードしたコンテンツデータの使用が可能となるため、この図14(e)の例も、有料のダウンロードシステムとする場合や、有料又は無料で特定の資格を有するユーザーのみにコンテンツデータを提供するシステムとする場合に好適な例である。
なおこのように使用制限フラグ情報を付加したコンテンツデータをホログラムメモリ1に記録する場合、ダウンロード時に、既にそのダウンロードするコンテンツIDに対応した使用制限解除情報を入手していれば、使用制限フラグ情報を消去して二次記録メディア90に記録するような例も考えられる。
【0090】
以上、暗号化、非暗号化、使用制限フラグ情報の有無等のコンテンツデータの記録形式例を述べたが、他にも各種の形式が考えられる。例えば使用制限フラグ情報の付加と暗号化の両方を行ったコンテンツデータをホログラムメモリ1に記録するようにしてもよい。また、コンテンツデータの一部については使用制限フラグ情報を付加し、他の部分は使用制限しないで、例えば試聴等が可能とする例も考えられる。さらには、コンテンツデータの一部を暗号化、他の部分を非暗号化状態として上で、全体或いは一部についての使用制限フラグ情報を付加するなどの例も考えられる。
【0091】
また、時限的な使用制限も考えられる。例えば使用制限フラグ情報はダウンロード後30日など、所定の期間経過で有効となるようものとする。ホログラム再生装置50のシステムコントローラ61はダウンロードコンテンツデータを二次記録メディア90に記録する際に、そのダウンロード日時がコンテンツデータのヘッダ等に含まれるようにするか、或いはフラッシュメモリ65にコンテンツIDに対応させてダウンロード日時を登録しておく。そしてダウンロード日時から所定の期間は使用制限フラグ情報にかかわらず再生を許可するが、期間経過後は再生禁止とし、使用許可情報によって使用制限を解除しなければ再生できないようにする例である。
さらには、使用制限フラグ情報が付加されたコンテンツデータについて使用回数を限定して再生を許可することも考えられる。即ちシステムコントローラ61は、コンテンツデータが再生される毎に再生回数をカウントしてフラッシュメモリ65に記憶しておく。そして所定回数の再生を行った後は再生禁止とし、使用許可情報によって使用制限を解除しなければ再生できないようにする例である。
これらの時限的な使用制限や、回数的な使用制限により、例えばユーザーにコンテンツデータの購入判断のための試用期間を設定すること等が可能となる。
【0092】
[6.ダウンロードコンテンツの使用許可]
続いて、暗号化や使用制限フラグ情報によって、ダウンロードコンテンツをそのままでは使用できないようにする場合、例えば有料のシステムとする場合などにおける使用許可の手法について述べる。
【0093】
基本的にはホログラム再生装置50のユーザーは、何らかの手法でダウンロードしたコンテンツデータについての使用要求情報をコンテンツ使用管理システム6に送信し、コンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を受け取る。
或いはダウンロードサービスを受けたい場合に、予め使用要求情報をコンテンツ使用管理システム6に送信し、コンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を受け取る。
そして使用許可情報がホログラム再生装置50に入力された状態とすることで、上述した非暗号化デコードや使用制限フラグ情報の解除が実行でき、ダウンロードしたコンテンツデータの使用が可能となる。
【0094】
ユーザーがコンテンツ使用管理システム6に送信する使用要求情報には、例えばユーザーID、ホログラム再生装置50の機器ID、コンテンツIDなどが含まれるようにする。
一方、コンテンツ使用管理システム6がユーザーに対して発行する使用許可情報には、例えば許可するユーザ或いはホログラム再生装置50を特定するためのユーザーIDや機器ID、許可するコンテンツを特定するためのコンテンツID等に加え、暗号解読キーや使用制限解除情報などが含まれるものとする。
【0095】
図15に、ホログラム再生装置50とコンテンツ使用管理システム6の間の通信例を示す。
ここでは、コンテンツの有料ダウンロードサービスを行うためにコンテンツ使用管理システム6が設けられるとし、まずその場合のコンテンツ使用管理システム6の構成例を説明する。コンテンツ使用管理システム6は、管理サーバ31、コンテンツ情報データベース32、ユーザー情報データベース33、課金処理システム34を備える。
【0096】
管理サーバ31は、ユーザーの所持するホログラム再生装置50との間の通信処理や、コンテンツ情報データベース32及びユーザー情報データベース33の管理、さらには課金処理システム34への指示を行う。
コンテンツ情報データベース32は、例えばホログラムメモリ1によりユーザーに提供可能とされている各種のコンテンツについての情報を保持する。例えば個々のコンテンツについての付与されているコンテンツIDに対応して、そのコンテンツのダウンロード料金情報、著作権者、製造者、コンテンツホルダー等の権利者情報、暗号化情報、コンテンツ内容に関する情報などがデータベース化されて記憶されている。
ユーザー情報データベース33には、例えばユーザーとのダウンロードサービス契約によってユーザーから提示されたユーザー情報が記録されている。例えばユーザーID、住所氏名等のユーザー特定情報、ホログラム再生装置50を特定する機器固有の機器ID、ユーザーに対する課金処理のための銀行口座やクレジットカードナンバや支払い方法が、個々のユーザーに対して記録されてデータベース化されている。さらには課金処理形態によってはユーザーの所持する携帯電話番号、インターネットプロバイダとの契約番号などが記録されていても良い。例えばユーザーの電話料金等にコンテンツのダウンロード料金を含ませてユーザに請求するような場合である。
またユーザーのダウンロード履歴、例えばダウンロードしたコンテンツのコンテンツIDやその日時、料金等も逐次追加記録されていく。
ユーザーは、ダウンロードサービスを受けたい場合は、予め契約により、ユーザーに関する情報をコンテンツ使用管理システム6に提示する。コンテンツ使用管理システム6は、契約を行ったユーザーに対してユーザーIDを付与するとともに、そのユーザーの情報をユーザー情報データベース33に登録する。
【0097】
課金処理システム34は、ユーザーに対する課金処理や権利者への料金支払いの処理を行う。例えばユーザーに対する課金処理としては、ユーザーの銀行口座に対する自動引き落とし処理や、クレジットカードによる支払請求処理、或いはユーザーが契約する電話業者等への課金依頼処理等を行う。一方、コンテンツホルダ、著作権者(或いは著作権管理団体)、コンテンツ提供媒体製造者等に対して送金処理を行う。
【0098】
このようなコンテンツ使用管理システム6に対して、ユーザーは、例えばホログラム再生装置50から通信を行って、コンテンツの料金支払い手続を行い、コンテンツを使用可能とする。この流れの一例を説明する。
ここでは、例えばホログラム再生装置50は通信部79を備え、直接コンテンツ使用管理システム6との間が通信可能に構成されている例とする。即ち図9の構成に加えて通信部79を備え、ユーザーの送信操作に応じてシステムコントローラ61が使用要求情報を通信部79から送信できるようにした場合である。
【0099】
ユーザーがホログラム再生装置50を用いてホログラムメモリ1からコンテンツデータをダウンロードさせた場合、ホログラム再生装置50は例えば上記図14(b)の形式で暗号化コンテンツデータを二次記録メディア90に記録するとする。
この場合、ユーザーは使用要求情報を送信する操作を操作部52から行う。するとシステムコントローラ61は、例えばユーザーID、機器ID、コンテンツIDを含む使用要求情報を通信部79かたコンテンツ使用管理システム6に送信させる。
ユーザーIDはダウンロードサービス契約によりユーザーに付与されるもので、例えばユーザはそのユーザーIDをホログラム再生装置50に入力し、ホログラム再生装置50においてはフラッシュメモリ65等に記憶されるようにしておく。もちろん通信部79を備える場合は、契約時のコンテンツ使用管理システム6との通信によってユーザーIDがホログラム再生装置50に送信され、ホログラム再生装置50が自動的にユーザーIDをフラッシュメモリ65に記憶するようにしてもよい。
また機器IDは、ホログラム再生装置50の製造時に付与され、フラッシュメモリ65に格納したシリアルナンバ等を用いればよい。
使用要求情報の送信の際、システムコントローラ61は、フラッシュメモリ65からユーザーIDや機器IDを読み出し、またダウンロードしたコンテンツデータに付与されているコンテンツIDを読み出して、使用要求情報を生成し、通信部79から送信させる。
【0100】
使用要求情報を受信したコンテンツ使用管理システム6では、管理サーバ31がユーザーIDに基づいてユーザー情報データベース33を検索し、ユーザーを特定するとともに、コンテンツIDに基づいてコンテンツ情報データベース32を検索して、ユーザーが購入を求めたコンテンツデータを特定する。そして適正にユーザー及びコンテンツデータが特定できたら、管理サーバ31は、課金処理システム34に対して、当該ユーザーに対するコンテンツデータ購入代金の課金処理を指示する。課金処理システム34は指示に応じて当該ユーザーに対する課金処理を行うとともに、権利者への送金処理を行う。
そして管理サーバー31は、使用許可情報をホログラム再生装置50に送信する。使用許可情報には、ユーザーID、機器IDと共に、使用を許可するコンテンツデータを特定させるためのコンテンツIDを含み、またそのコンテンツデータの暗号解読キーを含むものとする。
ホログラム再生装置50側では、使用許可情報を通信部79で受信したら、システムコントローラ61は、そのコンテンツIDと暗号解読キーを対応させて例えばフラッシュメモリ65等に記憶する。以降は、当該コンテンツデータの再生や送信の際には、暗号解読キーを用いて非暗号化デコードを実行することができ、ユーザーは自由に当該コンテンツデータを使用できることになる。
【0101】
なお、以上の使用処理の流れは一例であり、他にも多様な方式が考えられる。例えばシステム上で、コンテンツデータの暗号解読キーを統一しておく。そして、ユーザーとの契約時に暗号解読キーをホログラム再生装置50側に送信しておくようにする。つまり暗号解読キーを含む包括的な使用許可情報を予めホログラム再生装置50に送信しておく。すると、図14(c)のようにダウンロード時に非暗号化デコードを行うことができる。そのような場合、システムコントローラ61は、ダウンロードが行われるたびに、ユーザーID、機器ID、ダウンロードしたコンテンツデータのコンテンツIDを通信部79からコンテンツ使用管理システム6に送信するようにし、コンテンツ使用管理システム6は、受信した情報に応じて、該当ユーザーに対する課金処理を行うようにすればよい。
また、図14(e)で説明したような形式の場合は、コンテンツ使用管理システム6は暗号解読キーではなく使用制限解除情報を含む使用許可情報をホログラム再生装置50に送信することになる。
【0102】
ところで図15の例では、ホログラム再生装置50に通信部79が備えられる場合を示したが、必ずしもホログラム再生装置50が通信機能を備えなくても良い。
図16(a)(b)に例を示す。
図16(a)の例は、例えばユーザーはコンテンツ使用管理システム6に対してコンテンツの使用を求める場合に、携帯電話機101等の電話装置とホログラム再生装置50を接続する。そして携帯電話機101による通信機能を利用して、管理サーバ31との間の使用要求情報、使用許可情報の送受信を行うようにする。
また、図16(b)の例は、例えばユーザーはコンテンツ使用管理システム6に対してコンテンツの使用を求める場合に、パーソナルコンピュータ102等のネットワーク通信可能な機器とホログラム再生装置50を接続する。そしてインターネット等のネットワーク110を介して、管理サーバ31との間の使用要求情報、使用許可情報の送受信を行うようにする。
この図16(a)(b)のように、ホログラム再生装置50が外部機器の通信機能を利用してコンテンツ使用管理システム6との間の通信を行うようにしてもよい。特にこのように携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102を利用する場合、ユーザーに対するコンテンツデータ代金の課金処理は、携帯電話使用料やインターネット利用料などに加算することも好適である。
【0103】
さらには、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102等を用いる場合に、ホログラム再生装置50と接続しない方式も考えられる。
例えばユーザーは、ホログラム再生装置50でダウンロードしたコンテンツデータについてのコンテンツIDや、ユーザーIDを、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102に手動で入力する。コンテンツIDについてはホログラム再生装置50が表示部51で表示できるようにすればよい。
ユーザーは自分に付与されたユーザーIDとコンテンツIDを入力して、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102からコンテンツ使用管理システム6に送信する。これに対してコンテンツ使用管理システム6からは、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102に対して使用許可情報を送信してくるが、そのとき、使用許可情報を受信した携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102において、使用許可情報に含まれている暗号解読キーや使用制限解除情報、及びコンテンツIDとしてのコード番号を表示するようにする。
ユーザーは表示されたコード番号を手動で操作部52からホログラム再生装置50に入力する。ホログラム再生装置50は入力された暗号解読キーや使用制限解除情報を、コンテンツIDに対応させて例えばフラッシュメモリ65に記憶する。これによって、その後、当該コンテンツデータの非暗号化デコードや使用制限解除処理を実行できるようにし、自由な使用が可能となるようにする。
【0104】
また、コンテンツデータの使用はホログラム再生装置50ではなく、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102側で行う場合も考えられる。
即ちホログラム再生装置50は、ダウンロードしたコンテンツデータについて、例えば暗号化状態或いは使用制限状態で携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102に転送するようにする。
転送は外部インターフェース66を用いて行っても良いし、二次記録メディア90を可搬性の記録メディアとし、当該二次記録メディア90を携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102側のメディアドライブに装填するものとしてもよい。
そして、上述した使用要求情報と使用許可情報の送受信を携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102において実行し、使用許可情報に基づくコンテンツデータの再生等の使用は、その携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102上で行われるようにしてもよい。
【0105】
例えば以上の各種の例によって、有料のコンテンツダウンロードシステムが実現可能となる。もちろん、上述のように特定の資格者に対して使用を可能とするシステムも同様に実現できる。例えばコンテンツ使用管理システム6は、ユーザー側からの使用要求情報で送信されてくるユーザーIDに対して認証処理を行い、認証OKであればユーザー側に暗号解読キーや使用制限解除情報を含む使用許可情報を送信するようにすればよい。
そしてこのようなダウンロードシステムにおいては、課金処理等に基づく使用許可のための使用要求情報、使用許可情報の通信を行うことが必要となるが、このコンテンツデータ自体を通信するものではなく、ID等の少ないデータ量の通信のみであるため、例えば大容量高速通信回線は要求されない。例えば上記のように携帯電話機101等を利用した通信などで十分に実現できる。
【0106】
また使用許可情報には機器IDを含むようにし、ユーザー側での再生時等には、機器IDまでも一致しなければ再生できないようにするなどの手法を導入すれば、ダウンロード後にユーザーサイドで無断コピーされたコンテンツデータを使用できないようにすることも可能である。
【0107】
なお、ホログラム再生装置50における使用要求情報や使用許可情報の通信にかかる情報は、フラッシュメモリ65に限らず、例えば、ハードディスク、メモリカード、或いはメディアドライブ73における光ディスク等の二次記録メディア90などに記憶されても良い。
【0108】
[7.コンテンツデータと視認画像データの混在記録]
以上説明してきた実施の形態では、ホログラムメモリ1にコンテンツデータを記録するものであるが、ホログラムメモリ1にコンテンツデータとともに、そのホログラムメモリ1自体をユーザーが見たときに視認できる画像データを混在記録することも考えられる。この画像データとは、ダウンロード対象のデータではなく、あくまでホログラムメモリ1自体のデザイン効果を高める画像のことである。
ここでは、ホログラム再生装置50で取り込まれるコンテンツデータと、ホログラムメモリに記録された状態で人の視覚による認識が可能な画像データとをホログラムメモリ1に混在記録させる実施の形態を説明する。
なお、ダウンロード対象のコンテンツデータとして画像データの場合もあることを先に述べたが、以下の説明では、ダウンロード対象とはならない人が視認する画像データのことを「視認画像データ」と呼んで区別する。またダウンロード対象となるコンテンツデータの例としてオーディオコンテンツデータを挙げる。
【0109】
ここでは上述したホログラフィックステレオグラム方式のホログラムメモリを形成する場合に、ホログラム材料上の垂直の帯状として記録されるホログラム要素として、一部には視認画像データを記録させ、一部にはコンテンツデータとしてダウンロードさせるオーディオデータを記録させることで、オーディオデータと視認画像データを混在記録する。
【0110】
図17には、オーディオデータと視認画像データをホログラムメモリに混在記録することを模式的に示している。
先に図4でも述べたが、この場合も図17(b)に示すように、表示装置41に画像を表示した状態で、表示装置41に物体光L4を照射する。表示装置41を通過した物体光L4は、表示装置41に表示された画像を反映した物体光となり、この物体光L4がシリンドリカルレンズ42で垂直方向の線状に収束されてホログラム材料30に照射される。
この線状に収束された物体光L4と参照光L3が干渉した際の干渉縞が、図示するように垂直方向の帯状のホログラム要素としてホログラム材料30に記録される。
【0111】
ここで、帯状の各ホログラム要素を生成していくためには、ホログラム材料30を例えば矢印H方向に1段階ずつ送るとともに、表示装置41に表示する画像を変化させていく。すると、干渉縞としての帯状のホログラム要素がホログラム材料30上に格子状に形成されていくことになる。
このとき、或る物体を様々な角度から撮影した画像を順次表示装置41に表示させて、それぞれホログラム要素として記録していくと、視認上で立体画像が見える状態になるが、本例の場合、表示装置41に表示させる画像として、視認画像データによる画像と、オダウンロードコンテンツとしてのオーディオデータを2次元バーコード状に表現したパターン画像を与える。
即ち図17(a)に示すように、表示装置41には、オーディオデータDAに基づく二次元パターン画像と、視認画像データDPに基づく画像を、所定の順序(#1・・・#x)で表示装置41に表示させながら、ホログラム材料30にホログラム要素を形成していくと、オーディオデータDAと画像データDPを混在記録したホログラム材料30が形成できる。これをホログラムマスターメディア91とする。
【0112】
図18に、そのようにして形成されたホログラムマスターメディア91から複製されるホログラムメモリ1の様子を示している。
各ホログラム要素として記録されたデータは、人が視認できる画像としてホログラムメモリ1上にあらわれる。この場合、ホログラムメモリ1に対しては、或る方向に配置された光源からの光や、周囲の自然光等の外光が参照光となる。
上記図17(a)のような#1・・・#xの順序でオーディオデータDA、視認画像データDPを記録していった場合、例えば図18のように、ホログラムメモリ1に対して、角度θ1の範囲からは、#1〜#nのオーディオデータDAの画像パターンが視認できる。また略正面方向である角度θ2の範囲では、#n+1〜#mの視認画像データDPの画像が視認できる。さらに角度θ3の範囲からは、#m+1〜#xのオーディオデータDAの画像パターンが視認できる。
【0113】
オーディオデータDAによる画像パターンは、二次元バーコードのように、人が意味的にその内容を認識できる画像ではないが、視認画像データDPによる画像は、ホログラムメモリ1に対して略正面に対峙した人200がその画像自体を認識できるものである。
オーディオデータDAによる画像パターンについては、ホログラム再生装置50が読み取ってデータ処理するものとされる。ホログラム再生装置50は、図示する読取範囲θ0で、各画像をイメージセンサで読み取っていく。即ち#1〜#nのオーディオデータDAによる画像パターン、#n+1〜#mの視認画像データDPの画像、及び#m+1〜#xのオーディオデータDAの画像パターンを、それぞれ読み取っていく。この読取のための動作は上述した図10,図11,図12,図13のような動作で行われればよい。そして撮像データとして取り込んだ各イメージパターンをデータにデコードする。
但しこの場合、ホログラム再生装置50はダウンロード対象ではない視認画像データDPの再生像も読み取ってしまうことになるが、このときホログラム再生装置50内でのデータ処理過程で、#n+1〜#mの視認画像データDPを破棄し、#1〜#n及び#m+1〜#xの読み出し画像パターンからデコードしたオーディオデータDAとしての各記録単位のデータのみを抽出する。そして各記録単位のデータからオーディオデータDAとしてのストリームデータを生成する。
【0114】
つまりこの場合のホログラムメモリ1は、ホログラムメモリの高密度記録という特性を生かしてオーディオデータDA等のコンテンツデータを十分な容量、記録できるだけでなく、人200が略正面方向から見たときに、画像自体を認識できるため、ホログラムメモリ1自体をデザイン性の高いものとすることができる。
また例えばオーディオデータDAを記録することを想定した場合、音楽データとしてのオーディオデータDAをダウンロードコンテンツとして記録すると共に、その音楽のアーティスト写真やジャケット画像を視認画像データDPとして記録すれば、付加価値の高いホログラムメモリ1を実現できる。例えばユーザーは視認できる画像によってアーティストや音楽の内容を認識しながら、ホログラム再生装置50によって、その音楽自体(オーディオデータDA)を読み取っていくことが可能となる。
【0115】
なお、当然ながら、ある角度範囲での視認可能な像を視認画像データDPの像とした場合、その視認画像データDPを記録した分だけ、オーディオデータDA等のコンテンツデータの記録容量は減少する。但しこれは逆に言えば、オーディオデータDA等の記録に必要な容量を設定した上で、残りの容量として、視認画像データDPを記録するものとすればよいものである。つまり、どのくらいの角度範囲でデザイン上有効な画像が見えるようにするか(視認画像データDPの記録容量をどれくらいとするか)というのは、記録しようとするコンテンツデータの容量と、デザイン上の観点を勘案して、決められればよい。
また、必ずしも正面方向から視認画像データDPによる像が視認できるようにする必要はなく、例えばホログラムメモリ1に対して人200が斜め方向から見たときのみ視認画像データDPによる像が認識できるようにすることも考えられる。
【0116】
次に、上記のような視認画像データとコンテンツデータを混在記録させたホログラムメモリ1の製造について説明する。
図19にコンテンツ提供媒体製造システム2による製造手順を示している。なお、図2と同一部分については説明を省略する。
この場合、データ変換ステップS1として、視認画像データ生成工程S1−5が加わることになる。視認画像データ生成工程S1−5では、視認画像データDPとして記録する画像データを生成する。例えば或る物体を撮影したり、コンピュータグラフィックなどの手法でホログラム材料30に記録される複数の要素ホログラムに対応した複数の画像の視認画像データDPを生成する。ホログラムメモリ1に記録され、視認される画像を立体画像とする場合は、上記した#n+1〜#mの各画像データDPを、いわゆる視差画像列としての画像とすればよい。
そしてマスターデータ生成工程S1−4では、データ処理ステップS1−3を経たオーディオデータを二次元パターン画像に変換してコンテンツマスターデータとすると共に、視認画像データ生成工程S1−5で生成された視認画像データDPを、視認画像マスターデータに変換して送出する。
【0117】
なお、オーディオデータDAと視認画像データDPを混在記録したホログラムメモリ1を製造するが、そのホログラムメモリ1からホログラム再生装置50が再生像を取り込んだ後に、オーディオデータDAと視認画像データDPを区別できるようにする必要がある。
その1つの手法としては、データ変換ステップS1において生成されるオーディオデータDAのデータブロックの構成として、図20(b)(d)に示すように識別コードを付加することが考えられる。この識別コードとは、ホログラムメモリ1に記録されているホログラム要素として、画像データDPと区別するためのコード情報であり、つまり識別コードによってオーディオデータDAが記録されたデータブロックであることを示すものとしている。このような識別コードが付加されたデータブロックを二次元パターン画像に変換してオーディオコンテンツとしてのマスターデータを生成する。
なお、図20(a)(c)は図3(a)(b)に示したデータブロックの構成と同じであるが、このように識別コードが付加されていなくても、ホログラム再生装置50側でオーディオデータDAと視認画像データDPを判別することは可能である。
【0118】
次にマスター生成ステップS2としてホログラムマスターメディア91を製造するホログラムマスター製造装置は図21のようになる。
前述した図6と異なるのは、視認画像マスターデータ入力部12が設けられ、上記データ変換ステップS1で生成された視認画像マスターデータが入力されることである。
記録データ生成部13は、コンテンツマスターデータ入力部11に入力されて供給されるオーディオデータDAに基づくパターン画像データと、視認画像マスターデータ入力部12から供給される視認画像マスタデータDPについて、例えば図17の#1〜#xのデータ順序を制御し、順次ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に供給する。制御用コンピュータ14,ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15の動作は、図6,図7で説明したものと同様である。
【0119】
つまりホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15では、記録データ生成部13から出力される記録データDRに基づく複数の露光用画像が表示装置41に順次表示されるとともに、各画像毎にシャッタ32が開放され、各画像がそれぞれ短冊状の要素ホログラムとしてホログラム材料30に順次記録される。このとき、ホログラム材料30は、1画像毎に1要素ホログラム分だけ送られるので、各要素ホログラムは、横方向に連続して並ぶこととなる。これにより、視認画像データDPとして、例えば横方向の視差情報を含む複数の画像が、横方向に連続した複数の要素ホログラムとしてホログラム材料30に記録され、横方向の視差を有するホログラフィックステレオグラムが得られるとともに、オーディオデータDAによる画像パターンも同じく横方向に連続した複数の要素ホログラムとして記録される。
そして、このシステムでデータDRの記録を行ったホログラム材料30が、図19のホログラムマスターメディア91とされ、このホログラムマスターメディア91を用いてホログラム複製工程S3−1、コンテンツ提供媒体製造工程S3−2としての提供媒体生成ステップS3が行われる。
このようにして生成されたポスターや書籍等のコンテンツ提供媒体に設けられたホログラムメモリ1や、パッケージメディアとしてのホログラムメモリ1では、ユーザーが視認画像データDPによる画像を視認することができ、そのデザイン性を高めることができる。
【0120】
なお、ホログラム再生装置50によるダウンロードの際には、ホログラムメモリ1に対して図18の読取範囲θ0としての全ての再生像を撮像データとして取り込み、DRAM64に蓄積していくことになるが、この場合、視認画像データDPとしての再生像も撮像データとして含まれることになる。
このためデータ処理部71は、DRAM64に蓄積された各撮像データについて、オーディオデータDAを含むデータブロックの二次元画像パターンの再生像の撮像データであるのか、或いは画像データDPの再生像であるのかを判別し、画像データDPの再生像である撮像データについては破棄する処理も行う。
例えばデータブロックが図20(b)又は図20(d)の構成とされる場合、データ処理部71は、データブロック内で識別コードが存在しているか否かで、撮像データが、オーディオデータDAの再生像であるのか、視認画像データDPの再生像であるのかを判別できる。
またデータブロックが図20(c)又は図20(d)の構成とされる場合、ECCパリティを用いて正しくエラー訂正処理ができれば、その撮像データはオーディオデータDAの再生像の撮像データであり、正しくエラー訂正処理ができなければ視認画像データDPの再生像であると判別するようにしてもよい。
また、データブロックが図20(a)のように識別コードが存在せず、またエラー訂正コードも含まれていない場合は、そのデータブロックの形式やデータ内容を確認して判別する手法が考えられる。例えばヘッダ情報としての決められた意味のある情報が含まれていればオーディオデータDAのデータブロックとして採用することが考えられる。またデータブロックから抽出したオーディオデータを繋げてオーディオストリームデータを生成する際には、そのデータブロックナンバを確認することになるが、その場合、視認画像データDPにはストリームデータとしての順序を示すデータブロックナンバは存在しないため、結果として視認画像データDPの再生像から得られるデータは除外できることになる。
【0121】
以上のように、ホログラムメモリ1に視認画像データとコンテンツデータを混在記録することで、ホログラムメモリ1の高密度記録という特性を生かしてオーディオデータDA等のダウンロード対象のコンテンツデータを十分な容量、記録でき、さらに人がホログラムメモリ1自体を見たときに、画像を認識できるため、ホログラムメモリ1をデザイン性、更にはホログラムメモリ1を貼付したコンテンツ提供媒体のデザイン性の高いものとしたり、付加価値を与えることができる。なお視認画像データとしては、再生像として立体画像を得るものであってもよいし、立体画像ではない二次元画像が観察されるものでもよい。
またホログラム再生装置50側では、ホログラムメモリ1に対して所定の角度範囲で観察される再生像を取り込んでいき、コンテンツデータによる画像パターンを抽出していくことで、コンテンツデータを正しくダウンロードできる。
【0122】
なお、図18の例では、視認画像データDPの再生像はホログラムメモリ1の略正面方向から人が観察できるようにしたが、このようにすることで、視認画像データDPの再生像が見えやすくなり、視認したときのデザイン性の向上に好適である。但し、使用状況や目的によっては、正面方向ではなく、斜め方向から視認画像データDPの再生像が見えるようにしてもよい。
また、図18の角度θ2の範囲、つまり正面方向においてコンテンツデータによる画像パターンの再生像が観察されるようにすれば、ホログラム再生装置50のスキャン機構74によるスキャン角度範囲を狭くすることができ、構成の簡略化に適しているという利点が得られる。
【0123】
[8.変形例]
以上実施の形態について説明してきたが、本発明は多様な変形例が考えられる。
ホログラムメモリ1は、ホログラフィックステレオグラム方式に限らず、他の記録方式のホログラムメモリ1でも本発明を適用できる。
また例えば波長多重、角度多重、シフト多重、多値記録など、ホログラム記録媒体の大容量化を実現する技術は多様に存在するが、それらが採用されたホログラムメモリ1を用いても良い。
またホログラムメモリ1としての記録方式や種類は、記録するコンテンツデータの容量に応じて選定されても良い。
ホログラム再生装置50の構成は上記図9の構成に限られない。ホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータの再生出力、送信出力の形態も多様に考えられる。
また、ホログラム再生装置50自体ではダウンロードしたコンテンツデータを再生する機能は設けず、コンテンツデータは外部インターフェース66による通信又は二次記録メディア90の移動によって外部機器100に転送するものとし、外部機器100側で再生されるものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の実施の形態のダウンロードシステムの説明図である。
【図2】実施の形態のコンテンツ提供媒体製造システムの説明図である。
【図3】実施の形態のコンテンツデータの記録単位としてのデータブロックの説明図である。
【図4】実施の形態のホログラムへのコンテンツデータ記録の説明図である。
【図5】実施の形態のホログラムメモリの再生像の説明図である。
【図6】実施の形態のホログラムマスター製造装置のブロック図である。
【図7】実施の形態のホログラムマスターを形成するホログラフィックステレオグラムプリンタ装置の光学系の説明図である。
【図8】実施の形態のホログラム再生装置の外観例の説明図である。
【図9】実施の形態のホログラム再生装置のブロック図である。
【図10】実施の形態の再生装置による読み取り動作の説明図である。
【図11】実施の形態の再生装置による読み取り動作の説明図である。
【図12】実施の形態の再生装置による読み取り動作の説明図である。
【図13】実施の形態の再生装置による読み取り動作の説明図である。
【図14】実施の形態のコンテンツデータの記録形式の説明図である。
【図15】実施の形態のコンテンツデータ使用管理システムの説明図である。
【図16】実施の形態のコンテンツデータ使用管理システムとの通信例の説明図である。
【図17】他の実施の形態のコンテンツ提供媒体製造システムの説明図である。
【図18】他の実施の形態のホログラムマスター製造装置のブロック図である。
【図19】他の実施の形態のコンテンツデータの記録単位としてのデータブロックの説明図である。
【図20】他の実施の形態のホログラムへのコンテンツデータ記録の説明図である。
【図21】他の実施の形態のホログラムメモリの再生像の説明図である。
【符号の説明】
【0125】
1 ホログラムメモリ、2 コンテンツ提供媒体製造システム、3 ポスター、4 書籍、5 パッケージメディア、6 コンテンツ使用管理システム、7 ユーザー機器、14 制御用コンピュータ、15、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置、30 ホログラム材料、31 管理サーバ、50 ホログラム再生装置、53 撮像レンズ系、54 発光素子、55 イメージャ、61 システムコントローラ、66 外部インターフェース、71 データ処理部、73 メディアドライブ 76 再生処理部、90 二次記録メディア、91 ホログラムマスターメディア、100 外部機器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンテンツデータの配信システム、及び該システムを構成するコンテンツ提供媒体の製造方法、さらにはコンテンツ取得装置、コンテンツ取得方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2002−91431号公報
【0003】
一般にユーザーが好みの音楽コンテンツ、映像コンテンツなどを入手するためには、CD(Compact Disc:商標)、DVD(Digital Versatile Disc:商標)、MD(Mini Disc:商標)などの各種パッケージメディアを購入することが行われる。
さらに近年では、EMD(Electronic Music Distribution)と呼ばれる電子音楽配信が実用化されており、ユーザーがインターネット等のネットワーク環境を通じて所望のコンテンツをダウンロードすることで入手できるようにもされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EMDにより、ユーザーがわざわざ店舗まで行かなくとも音楽コンテンツ等を購入できたり、また好みの1曲のみを購入できるなど、利便性が高まっているが、EMDには高速ネットワーク環境を有することが適しており、誰しもがその利便性を容易に享受できるわけではない。
例えば圧縮された音楽コンテンツでも、64kbpsで演奏時間が5分の音楽コンテンツであると、ダウンロードするデータ量は2.4MBになる。これを64kbpsのモデムを用いてもダウンロード転送には5分かかることになり、ADSLや光ファイバーなどの高速回線環境を持たないユーザーには非常に手間がかかると感じられる現状がある。
また、パーソナルコンピュータ経由でのダウンロードとなるため、当然ながら、EMDを利用する際にはパーソナルコンピュータを立ち上げなければならない上に、ウェブサイト上で自分の好みの曲があるかどうかを探す必要がある。
つまりポスターや雑誌の広告のように簡単にユーザーの目に入る状況にはなく、積極的に自分から探しにいくという行為が必要であった。例えばポスターや書籍等に音楽コンテンツ等の紹介があり、ユーザーがそれを見て音楽コンテンツ等を入手したい思っても、即座に容易に音楽コンテンツ等を入手できるものではない。
また音楽コンテンツ等は、携帯用プレーヤ等のAV機器で再生したいという要望が高いが、パーソナルコンピュータでダウンロードした場合、そのコンテンツを携帯用プレーヤ等に移動させなければならず、その点でも手間がかかる。
【0005】
一方、近年QRコード(商標)に代表されるような二次元バーコードが普及しており、書籍等に印刷された二次元バーコードを光学的なリーダ装置や、リーダー機能を備えた携帯電話機で読み取ることで、各種情報を入手できるようにされている(例えば特許文献1参照)。
ところが二次元バーコードの容量は数百バイト程度であり、配信として十分な品質の音楽や映像のコンテンツを記録することはできない。
現状、二次元バーコードを利用した音楽配信を行おうとすれば、例えば二次元バーコードに配信ウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)等のアドレス情報を記録しておく。ユーザーは二次元バーコードから読み取ったURLにアクセスすることで、所望の音楽を、携帯電話やパーソナルコンピュータ等でダウンロードすることになる。この場合、ウェブサイトを探すという手間は省けるが、結局大容量のコンテンツデータ自体をネットワーク通信を介してダウンロードすることになる。従ってユーザーにストレスを感じさせないためには、高速な通信環境が不可欠となるという点は解消されない。
もちろん音楽データ等を二次元バーコードとして記録することはできるが、容量的な問題から、かなり短い時間のみ(例えば楽曲の一部分のみ)であったり、低音質なものとならざるを得ず、例えば音楽や映像のコンテンツ自体の配信サービスを二次元バーコードのみで成立させることは困難である。
【0006】
このような現状に対して本発明は、ユーザーが高速ネットワーク環境を備えていなくともストレスなく音楽や映像等のコンテンツの配信を受けることができるようにすること、及び配信やコンテンツ利用に関してのユーザーの手間を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンテンツ配信システムは、配信データとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体と、上記コンテンツ提供媒体に設けられた上記ホログラムメモリから上記コンテンツデータを読み出して取得するコンテンツ取得装置とを備えて成る。
またさらに、配信される上記コンテンツデータの使用には課金処理等の所定の条件に応じた使用許可を必要とし、上記コンテンツデータの使用許可情報を配信する使用許可配信装置を更に備え、上記コンテンツ取得装置は、上記使用許可配信装置と接続する接続手段を更に備え、上記コンテンツデータの再生前に上記使用許可配信装置から上記コンテンツデータの使用許可情報を取得する。
また、上記コンテンツ提供媒体に設けられた上記ホログラムメモリには、上記コンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリに記録された状態で、人の視覚による認識が可能な画像データが記録されているようにもする。この場合、上記コンテンツ取得装置は、上記コンテンツデータと上記画像データが記録された上記ホログラムメモリに対するデータ読み出しの際に、上記コンテンツデータのみを取得する。
【0008】
本発明のコンテンツ提供媒体製造方法は、コンテンツデータをホログラムマスターデータに変換するデータ変換ステップと、上記ホログラムマスターデータを用いてマスター記録媒体を製造するマスター生成ステップと、上記マスター記録媒体からホログラムメモリを複製し、該ホログラムメモリを所定のコンテンツ提供媒体に具備させる提供媒体生成ステップとを備える。
また上記データ変換ステップでは、圧縮処理や暗号化処理を施したコンテンツデータを、上記ホログラムマスターデータに変換する。
また、上記データ変換ステップでは、配信対象としてのコンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリ上での人による内容認識が可能な視認対象となる画像データを、上記ホログラムマスターデータに変換する。
上記コンテンツ提供媒体は例えば紙媒体である。
【0009】
本発明のコンテンツ取得装置は、配信データとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体から上記コンテンツデータを取得するコンテンツ取得装置として、上記コンテンツ提供媒体上の上記ホログラムメモリに対して読み出し参照光を出力する参照光出力手段と、上記参照光出力手段により上記ホログラムメモリに読み出し参照光を与えた状態で上記ホログラムメモリに記録されたデータによる再生像を検出する検出手段と、上記検出手段で検出された再生像から上記コンテンツデータとしてのデータ列を再生する再生処理手段とを備える。
また、二次記録媒体に対する記録手段を備え、上記再生処理手段で再生した上記コンテンツデータを、上記記録手段により上記二次記録媒体に記録する。
また、コンテンツデータを再生出力する再生出力手段を備え、上記二次記録媒体に記録された上記コンテンツデータを、上記再生出力手段で再生出力する。
また、コンテンツデータを外部機器に送信する送信手段を備え、上記再生処理手段で再生した上記コンテンツデータを、上記送信手段により外部機器に送信する。
ここで、上記再生出力手段による上記コンテンツデータの再生出力や、上記送信手段による上記コンテンツデータの送信は、入力される使用許可情報に応じて実行されるようにしてもよい。
また、暗号化されたコンテンツデータに対する暗号解読処理を行う暗号解読手段を備える。上記暗号解読手段による暗号解読処理は、入力される使用許可情報を用いて実行されるようにもする。
【0010】
本発明のコンテンツ取得方法は、配信データとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体から上記コンテンツデータを取得するコンテンツ取得方法として、上記コンテンツ提供媒体上の上記ホログラムメモリに対して読み出し参照光を与えた状態で、上記ホログラムメモリに記録されたデータの再生像を検出する検出ステップと、上記検出ステップで検出された再生像から上記コンテンツデータとしてのデータ列を再生する再生処理ステップとを備える。
【0011】
即ち本発明では、コンテンツ提供媒体にホログラムメモリを貼付又は印刷等により具備させる。コンテンツ提供媒体とは、例えばポスターや書籍等の紙媒体が考えられるが、もちろん紙以外の物品でもよい。例えば材質や物品種類にかかわらず、ホログラムメモリを貼付等により具備するようにしたあらゆる物品、商品は本発明でいうコンテンツ提供媒体となり得る。
そしてコンテンツ提供媒体上のホログラムメモリには、コンテンツデータが記録される。コンテンツデータは有償又は無償でユーザーに提供する配信対象としての各種データであり、音楽や音声等のオーディオデータ、映画やビデオクリップ等の映像データ、静止画データ、小説その他のテキストデータ、コンピュータプログラムやアプリケーションデータなど、多様なデータが想定される。
ホログラムメモリは、記録密度を飛躍的に向上させ、著しい大容量化が可能であることが知られている。従来、ホログラムメモリは、3次元画像等の視認画像の再生などに用いられていたが、視認画像だけでなく、各種データを記録する大容量の記録媒体としても有用である。ホログラムメモリを用いれば、配信サービスとしてのコンテンツデータとして十分な容量のデータ記録が可能である。
そしてコンテンツ取得装置としては、いわゆるホログラムリーダーとして構成することで、ホログラムメモリに記録されたコンテンツデータを、ネットワーク通信等を介することなく、直接取り込むことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コンテンツ取得装置によって、コンテンツ提供媒体に備えられたホログラムメモリから直接コンテンツデータを取得することができる。つまり高速なネットワーク環境やパーソナルコンピュータシステムを備える必要はなく、ユーザーはコンテンツ取得装置を所持することで手軽にコンテンツデータを入手できるという効果がある。
またコンテンツ提供媒体としてポスターや書籍等の紙媒体を用い、そのコンテンツ提供媒体にホログラムメモリが備えられていることで、ユーザーはポスター等でのコンテンツデータの紹介を見かけたときに、そのコンテンツデータを欲しいと思えば、即座に入手できる。つまりユーザーにとっては、自然に目にとまった機会にコンテンツデータを入手でき、後からわざわざ店舗やインターネットウェブサイトで探すという手間がかからない。またコンテンツデータの提供者側でも、ユーザーに提供できる機会、又は購入してもらえる機会が増えることで有用なものとなる。
【0013】
また、ホログラムメモリには、コンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリに記録された状態で、人の視覚による認識が可能な画像データが記録されているようにもすれば、ホログラムメモリ及びホログラムメモリを備えたコンテンツ提供媒体の視覚効果、デザイン効果を向上させることができる。またこのようなホログラムメモリに対しては、コンテンツ取得装置は、データ読み出しの際にコンテンツデータのみを取得すれば装置動作として適切となる。
【0014】
コンテンツ取得装置において再生出力手段を備えるようにすれば、二次記録媒体に記録したコンテンツデータを、そのコンテンツ取得装置自体で出力させることができ、例えば取得した音楽コンテンツ等を非常に手軽に楽しむことができる。
またコンテンツ取得装置において送信手段を備えるようにすれば、取得したコンテンツデータを外部機器に転送して、そのコンテンツデータを外部機器で利用できる。
またコンテンツデータの暗号化や、使用許可情報に基づく暗号解読、再生出力許可、送信許可が行われるようにすれば、例えば有料でコンテンツ配信システムとして適切な処理が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を次の順序で説明する。
[1.ダウンロードシステム構成]
[2.コンテンツ提供媒体製造システム]
[3.ホログラム再生装置(ダウンロード装置)構成]
[4.ダウンロードされるコンテンツデータ]
[5.コンテンツデータの記録態様]
[6.ダウンロードコンテンツの使用許可]
[7.コンテンツデータと視認画像データの混在記録]
[8.変形例]
【0016】
[1.ダウンロードシステム構成]
実施の形態として、音楽コンテンツを有料又は無料でユーザーがダウンロードできるダウンロードシステムを例に挙げる。なお、ここでいうダウンロードとは、サーバからネットワークを経由してデータを端末装置に取り込むという狭義ではなく、提供されたコンテンツを端末装置に取り込むという広義であり、いわゆる配信の意味も含まれる。
図1にダウンロードシステムの構成例を示す。
コンテンツ提供媒体製造システム2は、ホログラムメモリ3を備えたコンテンツ提供媒体を製造する。このコンテンツ提供媒体製造システム2は具体的には、例えばコンテンツホルダーとしての音楽レーベルや音楽出版社、メモリ製造者、マスタリング業者、複製業者、印刷業者等が関与して、コンテンツ提供媒体を製造することになる。
【0017】
図1ではコンテンツ提供媒体の例としてポスター3、書籍4、パッケージメディア5を挙げている。
例えばコンテンツ提供媒体製造システム2では、アーティストのポスターに、そのアーティストの楽曲を記録したホログラムメモリ1を貼付又は印刷形成したコンテンツ提供媒体としてのポスター3を製造する。
またコンテンツ提供媒体製造システム2は、表紙、裏表紙、或いはページ内等にホログラムメモリ1を備えた書籍3を製造する。
さらにコンテンツ提供媒体製造システム2は、CDやDVDのようなパッケージメディアとして、ホログラムメモリ1を用いたパッケージメディア5を製造する。
もちろんこれらは一例であり、コンテンツ提供媒体製造システム2が製造するコンテンツ提供媒体は、音楽コンテンツ等のコンテンツデータを記録したホログラムメモリ1を備えたあらゆる製品が想定できる。
【0018】
図1のダウンロードシステムにおいて、ユーザー機器7は、ユーザーがコンテンツデータのダウンロードや使用に用いる機器を示している。
ユーザーサイドでは、少なくともホログラム再生装置50を用意することが必要となる。ユーザーはホログラム再生装置50に、コンテンツ提供媒体に設けられたホログラムメモリ1に対する読出スキャンを実行させ、ホログラムメモリ1に記録されているコンテンツデータを読み出す。即ちダウンロードする。
例えば店頭などでポスター3を見た際、或いは書籍4を購入したときなど、ホログラムメモリ1の部分にホログラム再生装置50を対向させ、ダウンロードを指示する操作を行うことで、ホログラム再生装置50はホログラムメモリ1からの再生像を取り込み、その再生像からオーディオデータ等のコンテンツデータをデコードして取得する。ホログラム再生装置50によるホログラムメモリ1に対する読出スキャンは接触方式、非接触方式のいずれもが考えられる。
【0019】
ホログラム再生装置50は、取り込んだコンテンツデータを内部の二次記録メディアに記録し、例えば再生させることでユーザーに音楽等を提供できるようにしてもよいし、通信機能により外部機器100にコンテンツデータを転送して、外部機器100において使用できるようにしてもよい。外部機器100としては、ユーザーが使用できるパーソナルコンピュータ、携帯電話機、AV(Audio-Visual)装置などが想定される。
【0020】
コンテンツ使用管理システム6は、例えばコンテンツデータのダウンロードを有料とする場合や、無料ではあっても一定の使用資格を有するユーザーにのみコンテンツデータを提供したい場合など、ホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータの使用に何らかの制限を与えたい場合に機能するシステムである。
例えば有料のコンテンツデータについては、暗号化を施すか、又は使用制限フラグ等を付加してホログラムメモリ1に記録しておき、このようなコンテンツデータをホログラム再生装置50がダウンロードしても、そのままでは再生できないようにする。この場合、ホログラム再生装置50側からはコンテンツ使用要求情報をコンテンツ使用管理システム6に送信する。コンテンツ使用要求情報とは、例えばコンテンツデータに与えられているコンテンツID(Identify)やユーザーID、機器IDを含むものである。
【0021】
コンテンツ使用管理システム6は、コンテンツ使用要求情報を受信したら、そのユーザーに対する課金処理や、使用資格判別処理等を行い、それらの結果コンテンツ使用を許容する場合は、ユーザーに対してコンテンツ使用許可情報を送信する。コンテンツ使用許可情報には、例えば暗号解読キーや、使用制限フラグを無効化する情報等が含まれるようにすることで、そのコンテンツ使用許可情報を受け取ったユーザーは、ホログラム再生装置50によって取り込んだコンテンツデータについて通常の使用が可能となる。例えばホログラム再生装置50において再生出力させたり、外部機器100に送信することが可能となるようにする。
【0022】
このように、図1のコンテンツダウンロードシステムでは、一般に流通するポスター3や書籍4等をコンテンツ提供媒体とし、ホログラムメモリ1に記録されたコンテンツデータをユーザーがホログラム再生装置50によってダウンロードできるものである。またそのシステムにおいて有料のダウンロードサービスとすることも可能である。
【0023】
QRコードのような二次元バーコードを使って音声情報や短い楽曲を専用再生装置、あるいは携帯電話に転送するものはすでに存在しているが、二次元バーコードでは記録できる容量が数百バイト程度であり、音楽等のコンテンツデータをユーザーに提供する媒体としては不十分である。例えばCDやDVD等のパッケージメディア、或いはEMDで提供されるコンテンツデータと同等の品質や長さのコンテンツデータのダウンロードシステムを構築することはできない。
これに対してホログラムメモリ1は扱えるため情報量が格段と大きく、高品質な音楽コンテンツなどを記録するのに十分な容量を持つことができる。例えば数M〜数10MBのデータ量をホログラムメモリ1に記録することは困難でなく、さらには1GB程度も可能とされている。
【0024】
昨今の音楽データの圧縮技術では64kbps程度のレートでMD並み(ATRAC1の圧縮方式での138kbps)の音質が確保できる。また、コーデックとしてATRAC3plusを想定し、256kbpsであればCD並みの音質が確保できる。
例えば64kbpsのレートで5分の音楽コンテンツを圧縮すると、データの容量としては2.4MBにすることができる。256kbpsではその4倍で9.6MBになる。
これらの容量はADSLや光ファイバーによる高速なデータ通信手段を使えば、短時間に転送可能であるが、電話回線などによる通信では数分レベルが必要となり非常に不便である。
一方、ホログラムメモリ1には、この程度の容量のコンテンツデータは十分に記録可能であるため、本例のダウンロードシステムでは、高速な通信手段を用いなくとも、ホログラム再生装置50によって音楽コンテンツ等をダウンロードできることになる。
【0025】
さらに本例では、ホログラムメモリ1として安価なホログラムシートを作成し、ポスター3や雑誌等の書籍4などに貼り付けたりして掲載することで、ユーザーがよく目にする位置にコンテンツそのものを配布することができる。つまりユーザーは、ポスター3等を見たときにコンテンツデータを入手したいと思えば、所持するホログラム再生装置50によって即座に入手でき、複雑なシステム環境や手間を必要としない。
ダウンロードしたコンテンツデータそのものは、その場でホログラム再生装置50で再生させたり、外部機器100に転送してユーザーが使用できる。
【0026】
つまり本例のダウンロードシステムによっては、コンテンツデータの提供者側は、安価なホログラムメモリ1を複製し、ポスター3等のコンテンツ提供媒体に掲載することによってコンテンツデータを大量に頒布し、ユーザーが目にするチャンスを増やすことでコンテンツ購入を広げることができる。
ユーザー側も、雑誌、ポスターなどに貼り付けられたシート状のホログラムメモリ1をホログラム再生装置50でスキャンさせることでコンテンツを簡単にダウンロードでき、再生等の使用することが可能となる。
【0027】
また広告用途などにも好適である。例えば従来の広告は紙面の制約から多くの内容記載できなかったが、商品説明のデータ、映像、音声などコンテンツデータとしてをホログラムメモリ1に記録しておけば、非常に多くの情報をユーザーに伝えることが可能となる。
【0028】
[2.コンテンツ提供媒体製造システム]
図1に示したコンテンツ提供媒体製造システム2によるコンテンツ提供媒体の製造方法及び製造されるコンテンツ提供媒体について、図2〜図7で説明する。
【0029】
コンテンツデータを記録したホログラムメモリ1を備えるコンテンツ提供媒体を製造する工程は、大別して図2に示すデータ変換ステップS1と、マスター生成ステップS2と、提供媒体生成ステップS3に分けられる。
データ変換ステップS1では、コンテンツデータとしてのオーディオデータ等を、ホログラムメモリ1に記録するマスターデータに変換する。
マスター生成ステップS2では、マスターデータを記録したホログラムマスターメディア91を生成する。
提供媒体生成ステップS3では、ホログラムマスターメディア91からシート状のホログラムメモリ1を複製する。そしてシート状のホログラムメモリ1を書籍4やポスター3などに貼り付けてコンテンツ提供媒体とする。なお、ホログラムメモリ1を貼付するのではなく、書籍等に直接印刷形成するなどの手法も考えられる。
【0030】
データ変換ステップS1は、コンテンツID生成工程S1−1、基本データ生成工程S1−2、データ処理工程S1−3、マスターデータ生成工程S1−4に分けられる。
コンテンツデータを保有しているコンテンツデータホルダ、例えば音楽コンテンツの場合のレーベルやレコード会社等は、マスター作成者へコンテンツデータを提供し、ホログラムマスターメディア91の制作を依頼する。これに応じてマスター制作者は、データ変換ステップS1としての処理を行う。
【0031】
まずコンテンツID生成工程S1−1として、提供された個々のコンテンツデータについてコンテンツIDを生成する。
次に基本データ生成工程S1−2として、提供されたコンテンツデータにコンテンツIDを付加した基本データを生成する。
コンテンツデータに付加するコンテンツIDとしては、情報がハッキングされた際にコンテンツを再生する装置をリボークできるようなIDを用いることもできる。
【0032】
次にデータ処理工程S1−3としてコンテンツデータに対する必要なデータ処理を行う。例えばオーディオコンテンツデータに対してはATRAC方式やMPEGオーディオ方式等の圧縮処理を施す。
さらに、有料化や使用者特定を目的とするダウンロード後の再生制限のために暗号化処理を施すこともある。
そしてデータ処理工程S1−3を経たデータ列について、次にマスターデータ生成工程S1−4で、ホログラム化するために必要な変換が行なわれる。例えば2次元データに展開される。
【0033】
以上のデータ変換ステップS1の処理例を図3に模式的に示す。
図3(a)(b)におけるデータブロックとは、ストリームデータとしてのオーディオデータを所定サイズ毎に抽出して生成した記録単位のことを表している。
図3(a)の例は、所定データ量としてのオーディオデータに対してヘッダを付加して1つのデータブロックを生成し、これを1記録単位とする例である。この記録単位は、後述するホログラムマスター製造装置において、ホログラム材料に1つのホログラム要素として記録される単位の例である。
ヘッダには、コンテンツIDが記録される。さらにヘッダにはオーディオデータとしての属性、ブロックナンバ、データサイズなどが記録されるようにもする。
オーディオデータは、所定の圧縮方式や、暗号化処理が施されたオーディオデータである。
図3(b)の例は、上記ヘッダ及びオーディオデータに加えて、エラー訂正コード(ECC)が付加されたデータブロックが形成される例である。つまりデータブロック内のオーディオデータに対してエラー訂正用のエンコードが施され、そのECCパリティが記録されることで、再生時に、データブロック単位でエラー訂正処理が可能となるようにしている。
基本データ生成ステップS1−2、データ処理ステップS1−3で、このようなデータブロックが生成された後、マスターデータ生成ステップS1−4では、二次元画像エンコードを行い、各データブロックを二次元画像パターンのデータに変換することになる。
【0034】
続いてマスター制作者は、マスター生成ステップS2として、ホログラムマスター製造装置を用いて、データ変換ステップS1で生成されたマスターデータが記録されたホログラムマスターメディア91を製造する。ホログラムマスター製造装置の例は後述するが、例えば二次元データ列とされているマスターデータを液晶パネル等の表示装置に表示させ、その表示画像の物体光と、参照光とを合わせてフォトポリマーなどのホログラム材料へプリントすることでマスターを作成することができる。
なおホログラムとしてはフォトポリマーなどの材料ではなく、アルミに対して凹凸を付けることで作成するものもあり、ホログラムマスターメディア91の製造手法は、どのようなタイプのホログラムマスターメディア91を作成するかによって異なる。
【0035】
マスター生成ステップS2で製造されたホログラムマスターメディア91は、提供媒体生成ステップS3に受け渡される。例えば提供媒体生成ステップS3はホログラムメモリ複製工程S3−1と、コンテンツ提供媒体製造工程S3−2に分けられる。
ホログラムマスターメディア91は、例えば複製業者に受け渡される。そして複製業者がホログラムメモリ複製工程S3−1として、ホログラムマスターメディア91を用いてシート状のホログラムメモリ1を量産する。
【0036】
複製方法としては、例えばホログラムマスターメディア91を別の感光材料上へ密着させて情報を転写する密着コピー法が考えられる。
また、フォトレジストに記録したホログラムによる凹凸像にニッケルを電着してスタンパを生成し、スタンパを用いて複製するエンボスホログラム法も考えられる。
【0037】
量産されたホログラムメモリ1は、例えば書籍、ポスター、パッケージメディア等の製造業者に配布され、コンテンツ提供媒体製造工程S3−2として、書籍等に貼付されてコンテンツ提供媒体が完成する。
なお、ホログラムメモリ複製工程S3−1とコンテンツ提供媒体製造工程S3−2は、一体的に実行される場合もある。例えばコンテンツ提供媒体としての製品に直接複製印刷等によりホログラムメモリ1が形成されるような場合である。
【0038】
製造されたコンテンツ提供媒体は、店舗や各種施設等に配布され、一般ユーザーの目に触れる状態とされる。つまりダウンロード可能な状態とされる。
なお、以上の手順では、コンテンツデータの暗号化やコンテンツIDの設定はデータ変換ステップS1で行われる。例えば、マスター生成ステップS2や提供媒体生成ステップS3の作業は、マスター作成者が外部業者に委託することも想定されるが、、データ変換ステップS1で暗号化等を行うことでコンテンツ情報の流出を防ぐことができる。
【0039】
続いて、上記マスター生成ステップS2で製造されるホログラムマスターメディア91及びホログラムマスターメディア91から複製されるホログラムメモリ1の例を説明する。
なお、物体光と参照光によって生じる干渉縞によりデータを記録するホログラム記録媒体にはさまざまな方式があるが、ここではホログラフィックステレオグラム(Holographic Stereogram)方式のホログラム記録媒体としてホログラムマスターメディア91を生成する例に挙げる。
【0040】
従来より知られているホログラフィックステレオグラム方式のホログラム記録媒体は、多数の画像を原画とし、これらを1枚のホログラム記録媒体に短冊状又はドット状の要素ホログラムとして順次記録する。
このホログラフィックステレオグラムでは、被写体を横方向の異なる観察点から順次撮影することにより得られた複数の画像の情報が、短冊状の要素ホログラムとして横方向に連続するように順次記録されることで、このホログラフィックステレオグラムを観察者が両目で見たとき、その左右の目にそれぞれ写る2次元画像は若干異なるものとなる。これにより、観察者は視差を感じることとなり、3次元画像が再生されることとなる。つまり物体光と参照光の干渉縞によって例えば立体的に視認できる画像が記録される。
このようなホログラム記録媒体は、記録密度を飛躍的に向上させ、著しい大容量化が可能であることも知られており、このためホログラム記録媒体は、3次元画像を再生のためだけでなく、例えばコンピュータデータ等の各種データを記録する記録媒体としても有用であると考えられている。
例えば上記ホログラフィックステレオグラム方式を応用する場合、オーディオデータ、ビデオデータ、テキストデータ、プログラムデータ等のコンテンツデータを所定の記録単位毎に2次元画像化する。例えばQRコードなどの二次元バーコードのような画像パターンを生成する。そして記録単位毎の2次元画像としての画像パターンを多数生成し、それぞれを短冊状の要素ホログラムとして記録していく。このようにすると、従来の印刷による二次元バーコードに比べて記録密度を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0041】
図4(a)(b)には、例えばオーディオデータをホログラム記録媒体に記録することを模式的に示している。
図4(b)はホログラム材料30に帯状にホログラム要素を記録する状態を表している。ホログラム材料30には物体光L4と記録用の参照光L3が照射される。
例えば液晶パネルによる透過型の表示装置41に画像を表示した状態で、表示装置41に物体光L4を照射する。表示装置41を通過した物体光L4は、表示装置41に表示された画像を反映した物体光となるが、この物体光L4はシリンドリカルレンズ42で垂直方向の線状に収束されてホログラム材料30に照射される。
この線状に収束された物体光L4と参照光L3が干渉した際の干渉縞が、図示するように垂直方向の帯状のホログラム要素としてホログラム材料30に記録されることになる。
【0042】
ここで、帯状の各ホログラム要素を生成していくためには、ホログラム材料30を例えば矢印H方向に1段階ずつ送るとともに、表示装置41に表示する画像を変化させていく。すると、干渉縞としての帯状のホログラム要素がホログラム材料30上に格子状に形成されていくことになる。
このとき、或る物体を様々な角度から撮影した画像を順次表示装置41に表示させて、それぞれホログラム要素として記録していくと、視認上で立体画像が見える状態になるが、本例の場合、表示装置41に表示させる画像として、オーディオデータを2次元バーコード状に表現したパターンとする。即ちオーディオデータを、2次元バーコード状のパターン画像とし、これをホログラム要素として記録する。
【0043】
図4(a)に、表示装置41に順次表示させる画像の例を示すが、表示装置41には、オーディオデータDAに基づく画像を順次表示させることになる。
オーディオデータDAに基づく画像は、図示するように、二次元バーコード状の画像である。記録しようとする元々のオーディオデータについては、例えば固定長のデータサイズ毎などとしての記録単位毎に分割し、その各記録単位のオーディオデータを二次元バーコード画像パターンに変換する。
その二次元バーコード状の画像パターンを表示装置41に表示させた場合、当該画像パターンを反映した物体光L4がホログラム材料30に照射され、参照光L3との干渉縞によって該画像パターンを記録した線状のホログラム要素が形成される。即ちオーディオデータDAの1つの記録単位がホログラム材料30に記録されることになる。
そこで、図4(a)のようにオーディオデータDAに基づく画像(#1・・・#x)を順次、表示装置41に表示させながら、ホログラム材料30にホログラム要素を形成していくと、オーディオデータDAを記録したホログラム記録媒体が形成できる。
【0044】
本例では、以上のように記録を行ったホログラム材料30をホログラムマスターメディア91とする。そして、ホログラムマスターメディア91からホログラムメモリ1を複製する。
図5に、上記のように作成されたホログラムマスターメディア91から複製して形成されたホログラムメモリ1の様子を示している。
各ホログラム要素として記録されたデータは、人が視認できる画像としてホログラムメモリ1上にあらわれる。この場合、ホログラムメモリ1に対しては、或る方向に配置された光源からの光や、周囲の自然光等の外光が参照光となる。
上記図4(a)のような#1・・・#xの順序でオーディオデータDAを記録していった場合、例えば図5のように、ホログラムメモリ1に対する各角度から、#1〜#xのオーディオデータDAの画像パターンが視認できる。
【0045】
このオーディオデータDAによる画像パターンは、二次元バーコードのように、人が意味的にその内容を認識できる画像ではないが、そのオーディオデータDAによる画像パターンについては、ホログラム再生装置50が読み取ってデータ処理するものとされる。ホログラム再生装置50は、図示する読取範囲θ0で、各画像をイメージセンサで読み取っていく。即ち#1〜#xのオーディオデータDAの各画像パターンを、それぞれ読み取っていく。例えば再生装置のレンズ系の位置を順次移動させたり、或いは読み出しのための参照光の位置を順次移動させながら、各光像をイメージセンサで読み取っていく。そして各イメージパターンを各記録単位のデータにデコードする。そして各記録単位のデータからオーディオデータDAとしてのストリームデータを生成する。
【0046】
以上のようなホログラムメモリ1を複製形成するためのホログラムマスターメディア91を作成するホログラムマスター製造装置、即ちホログラフィックステレオグラム作成システムについて説明する。
このホログラフィックステレオグラム作成システムは、物体光と参照光との干渉縞が記録されたフィルム状のホログラム材料30をそのままホログラフィックステレオグラム(ホログラムマスターメディア91)にする、いわゆるワンステップホログラフィックステレオグラムを作成するシステムである。
【0047】
図6にホログラムマスター製造装置の構成を示す。このホログラムマスター製造装置は、図2のデータ変換ステップS1で生成されたマスターデータを入力するマスターデータ入力部11と、マスターデータであるオーディオデータDAとしての画像パターンを順次記録データDRとして出力する記録データ生成部13と、このシステム全体の制御を行う制御用コンピュータ14と、ホログラフィックステレオグラム作成用の光学系を有するホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15とを備えている。
【0048】
マスターデータ入力部11は、データ変換ステップS1でオーディオコンテンツデータから生成された二次元画像データを入力し、これを記録データ生成部13に受け渡す。即ち図4に示した#1〜#xとしての画像パターンデータを受け渡す。
【0049】
記録データ生成部13は、マスターデータ入力11からの各オーディオデータDAによる画像パターンを取り込み、#1〜#xの順序に、それぞれ所定タイミングで記録データDRとして出力する。
即ち記録データ生成部13は、ホログラム材料30に対する記録時に、#1〜#xの順序の記録データDR(オーディオデータDAに基づく画像パターンのデータ)を順次、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に送出するとともに、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に記録データDRを送出する毎に、データを送出したことを示すタイミング信号S1を制御用コンピュータ14に送出する。
【0050】
制御用コンピュータ14は、記録データ生成部13からのタイミング信号S1に基づいてホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15を駆動し、記録データ生成部13から出力された記録データDRに基づく画像を、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15内にセットされたホログラム材料30に、短冊状の要素ホログラムとして順次記録する。
このとき、制御用コンピュータ14は、後述するように、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に設けられたシャッタ及び記録媒体送り機構等の制御を行う。すなわち、制御用コンピュータ14は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に制御信号S2を送出して、シャッタの開閉や、記録媒体送り機構によるホログラム材料30の送り動作等を制御する。
【0051】
ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15は、例えば図7に示す光学系を備える。なお、図7(a)は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15全体の光学系を上方から見た図であり、図7(b)は、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15の光学系の物体光用の部分を横方向から見た図である。
【0052】
ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15は、図7(a)に示すように、所定の波長のレーザ光を出射するレーザ光源31と、レーザ光源31からのレーザ光L1の光軸上に配されたシャッタ32と、ハーフミラー33とを備えている。シャッタ32は、制御用コンピュータ14によって制御され、ホログラム材料30を露光しないときには閉じられ、ホログラム材料30を露光するときに開放される。また、ハーフミラー33は、シャッタ32を通過してきたレーザ光L2を、参照光と物体光とに分離するためのものであり、ハーフミラー33によって反射された光L3が参照光となり、ハーフミラー33を透過した光L4が物体光となる。
【0053】
ハーフミラー33によって反射された光L3の光軸上には、参照光用の光学系として、シリンドリカルレンズ34と、参照光を平行光とするためのコリメータレンズ35と、コリメータレンズ35からの平行光を反射する全反射ミラー36とがこの順に配置されている。
そして、ハーフミラー33によって反射された光は、先ず、シリンドリカルレンズ34によって発散光とされる。次に、コリメータレンズ35によって平行光とされる。その後、全反射ミラー36によって反射され、ホログラム材料30に参照光として入射する。
【0054】
一方、ハーフミラー33を透過した光L4の光軸上には、図7(a)及び図7(b)に示すように、物体光用の光学系として、ハーフミラー33からの透過光を反射する全反射ミラー38と、凸レンズとピンホールを組み合わせたスペーシャルフィルタ39と、物体光を平行光とするためのコリメータレンズ40と、記録対象の画像を表示する表示装置41と、物体光をホログラム用記録媒体30上に集光させるシリンドリカルレンズ42とがこの順に配置されている。
そして、ハーフミラー33を透過した光L4は、全反射ミラー38によって反射された後、スペーシャルフィルタ39によって点光源からの拡散光とされる。次に、コリメータレンズ40によって平行光とされ、その後、表示装置41に入射する。ここで、表示装置41は、例えば液晶パネルからなる透過型の画像表示装置であり、記録データ生成部13から送られた記録データDRに基づく画像を表示する。そして、表示装置41を透過した光は、表示装置41に表示された画像に応じて変調された後、シリンドリカルレンズ42に入射する。
【0055】
表示装置41を透過した光は、シリンドリカルレンズ42により横方向に集束され、この集束光が物体光としてホログラム用記録媒体30に入射する。すなわち、このホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15では、表示装置41からの投影光が短冊状の物体光としてホログラム用記録媒体30に入射する。
【0056】
ここで、参照光及び物体光は、参照光がホログラム材料30の一方の主面に入射し、物体光がホログラム材料30の他方の主面に入射するようにする。すなわち、ホログラム材料30の一方の主面に、参照光を所定の入射角度にて入射させるとともに、ホログラム材料30の他方の主面に、物体光をホログラム材料30に対して光軸がほぼ垂直となるように入射させる。これにより、参照光と物体光とがホログラム材料30上において干渉し、当該干渉によって生じる干渉縞が、ホログラム材料30に屈折率の変化として記録される。
【0057】
また、このホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15は、制御用コンピュータ14の制御のもとに、ホログラム材料30を間欠送りし得る記録媒体送り機構43を備えている。この記録媒体送り機構43は、記録媒体送り機構43に所定の状態でセットされたフィルム状のホログラム材料30に対して、記録データ生成部13から出力された記録データDRに基づく1つの画像が1つの要素ホログラムとして記録される毎に、制御用コンピュータ14からの制御信号S2に基づいて、ホログラム材料30を1要素ホログラム分だけ間欠送りする。これにより、記録データ生成部13から出力される記録データDRに基づく各画像、つまりオーディオデータDAに基づく#1〜#xの画像パターンが、要素ホログラムとして、ホログラム材料30に横方向に連続するように順次記録される。
【0058】
以上のように、このホログラムマスター製造装置では、記録データ生成部13から出力される記録データDRに基づく複数の露光用画像が表示装置41に順次表示されるとともに、各画像毎にシャッタ32が開放され、各画像がそれぞれ短冊状の要素ホログラムとしてホログラム材料30に順次記録される。このとき、ホログラム材料30は、1画像毎に1要素ホログラム分だけ送られるので、各要素ホログラムは、横方向に連続して並ぶこととなる。これにより、画像データDPとして、例えばオーディオデータDAによる画像パターンが横方向に連続した複数の要素ホログラムとして記録される。
そして、このシステムでデータDRの記録を行ったホログラム材料30が、図2で説明したホログラムマスターメディア91となる。
そのホログラムマスターメディア91を用いて複製されたホログラムメモリ1が、図5で説明したホログラムメモリ1となり、例えばポスターや書籍等に貼付される。
【0059】
[3.ホログラム再生装置(ダウンロード装置)構成]
続いて、図2のようにオーディオデータDA等のコンテンツデータが二次元パターン画像の形態で記録されたホログラムメモリ1に対するホログラム再生装置50を説明する。即ちこのホログラム再生装置50は、ポスターや書籍等に貼付されたホログラムメモリ1からコンテンツデータをダウンロードするダウンロード装置である。
【0060】
図8(a)(b)は、それぞれホログラム再生装置50の外観例を示している。
ホログラム再生装置50は、例えばユーザーが携帯可能な小型の筐体で構成され、筐体上にユーザーインターフェースのための表示部51や操作部52が設けられる。
ホログラムメモリ1に対するデータ読取のためには、例えば筐体の一側面に、撮像レンズ系53や読取のための参照光を照射する発光素子(LED)54が設けられる。
図2に示したように、ホログラム再生装置50はホログラムメモリ1に対して読取範囲θ0の読取スキャンを行う。このため、例えば図8(a)の場合は、発光素子54の位置は固定されるが、レンズ移動部53aとして、撮像レンズ系53の位置を移動させる機構が設けられている。また例えば図8(b)は、撮像レンズ系53は固定されるが、発光素子54の位置を移動させる発光素子移動部54aが設けられている。
読取時のスキャン動作の例については後述する。
【0061】
図9によりホログラム再生装置50の構成を説明する。
図9においてシステムコントローラ61は、例えばマイクロコンピュータにより形成され、ホログラムメモリ1からのオーディオデータDAの読取のための動作を実行するために各部を制御する。
またシステムコントローラ61は操作部52の操作情報を監視し、ユーザーの操作に応じて必要な制御を行う。またシステムコントローラ61は、表示部51を制御してユーザーに提示する各種の情報の表示を実行させる。
【0062】
読取機構部56は、撮像レンズ系53、イメージャ55,発光素子54、スキャン機構74を有する。撮像レンズ系53は、1又は複数のレンズにより構成される光学系である。1枚の撮像レンズ、或いは撮像レンズとフォーカスレンズ等を備えた複数のレンズにより構成され、ホログラムメモリ1からの再生像光をイメージ55に導く。イメージャ55は、例えばCMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の固体撮像素子アレイによって構成され、撮像レンズ系53により入射した再生像の光を受光し、電気信号に変換する。
【0063】
例えばLEDによる発光素子54は、発光駆動回路75によって発光される。発光駆動回路75は、当該ホログラム再生装置50によってホログラムメモリ1の再生を行う場合に、システムコントローラ61の指示によって発光素子54を発光駆動する。
スキャン機構74は、例えば図8(a)のように設けられているレンズ移動部53a内で、レンズ系53(レンズ系53とイメージャ55)を移動させる機構である。或いは図8(b)のように設けられている発光素子移動部54a内で発光素子54を移動させる機構である。
【0064】
カメラメカ制御部67は、ホログラムメモリ1の再生を行う際に、システムコントローラ61の指示に応じて読取機構部56を駆動制御する。例えばレンズ系53におけるフォーカス制御や、スキャン機構74の動作を制御する。
【0065】
転送制御/信号処理部62は、イメージャ55の動作を制御すると共に、イメージャ55によって得られる信号の処理を行う。
即ち転送制御/信号処理部62は、イメージャ55に対して転送タイミング信号、転送アドレス信号等を供給して、撮像信号としての固体撮像素子アレイで得られる信号を順次転送出力させる。そしてイメージャ55から転送されたきた撮像信号について、サンプリング処理、AGC処理、A/D変換処理等を施し、撮像データとして出力する。
【0066】
転送制御/信号処理部62から出力される撮像データは、メモリコントローラ63の制御によってDRAM64に蓄積される。
DRAM64に蓄積された撮像データに関する信号処理系として、光学補正部68、幾何歪み補正部69、二値化部70、データ処理部71が設けられる。またこれらの各部の処理結果や処理に必要な情報についてのシステムコントローラ61とのやりとりにSRAM72が用いられる。
また、フラッシュメモリ65には、例えば上記各部での信号処理に必要な設定値、係数、その他必要な情報が記憶される。また後述する使用許可情報、暗号解読キーなどがフラッシュメモリ65に記録されるようにしてもよい。
【0067】
光学補正部68は、イメージャ55によって得られる撮像データについて光学的な原因によるデータ値の変動を補正する処理を行う。
幾何歪み補正部69は、撮像データとして取り込まれた再生像に生じている幾何的な歪みを補正する処理を行う。
二値化部70は、イメージャ55によって得られる階調のある撮像データを白黒の二値に変換する処理を行う。ホログラムメモリ1から読み取るべきデータは、二次元パターン化されたオーディオデータDAであり、二次元画像パターンは、オーディオデータDAを白黒の二値のデータに変換した上で画像パターンにしたものであるからである。
【0068】
データ処理部71は、二次元の画像パターンとして二値化された撮像データについて、デコード処理を行い、オーディオデータを得る。
即ち、1枚の二次元画像パターンとしての撮像データから、図3に示したような1つのデータブロックとしてのデータ列を生成する。
データ処理部71は、DRAM64に蓄積された各二次元画像パターンの撮像データについて、それぞれデータブロックとしてのデータ列を生成していき、各データブロックから抽出されたオーディオデータDAに基づいて、元のオーディオストリームデータを生成していく。
この場合において、データブロックが図3(b)のようにエラー訂正コードが含まれているのであれば、データ処理部71はオーディオデータのエラー訂正処理を行うことになる。
また、データ処理部71は、データブロックから抽出したオーディオデータDAについて、必要に応じて、圧縮処理や圧縮に対する伸長処理、送信用又は記録用のエンコード処理、或いは暗号化に対するデコード処理等を行う。
【0069】
データ処理部71で得られたオーディオデータDAとしてのオーディオストリームデータは、外部インターフェース66を介して外部機器100、例えばパーソナルコンピュータやオーディオシステム等の装置に、ホログラムメモリ1からの再生データとして転送することができる。外部インターフェース66は例えばUSBインターフェース等が想定される。もちろん外部インターフェース66はUSB以外の規格のインターフェースでもよい。
ユーザーは外部機器100側で取り込んだオーディオデータを再生させることで、オーディオ再生を楽しむことができる。
【0070】
またデータ処理部71で得られたオーディオデータDAとしてのオーディオストリームデータは、メディアドライブ73に供給されて二次記録メディア90に記録することができる。またヘッダに含まれるコンテンツID等の情報もオーディオデータDAとともに二次記録メディア90に記録される。
【0071】
二次記録メディア90は、例えば光ディスク、光磁気ディスク等とされる。例えばCD(Compact Disc:商標)方式、DVD(Digital Versatile Disc:商標)方式、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc:商標)方式、MD(Mini Disc:商標)方式などの各種方式の記録可能型のディスクが記録メディア90として考えられる。これらのディスクが記録メディア90とされる場合、メディアドライブ73は、ディスク種別に対応したエンコード処理、エラー訂正コード処理、或いは必要であれば圧縮処理等を施して、オーディオデータをディスクに記録する。
また二次記録メディア90としてハードディスクも想定され、その場合、メディアドライブ73は、いわゆるHDD(ハードディスクドライブ)として構成される。
さらに二次記録メディア90は、固体メモリを内蔵した可搬性のメモリカード、或いは内蔵型固体メモリとしても実現でき、その場合メディアドライブ73は、メモリカード或いは内蔵型固体メモリに対する記録装置部として構成され、必要な信号処理を行ってオーディオデータ記録を行う。内蔵型固体メモリとしては、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリだけでなく、DRAM等の揮発性メモリも想定される。
【0072】
二次記録メディア90に記録されたオーディオデータDA、即ちホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータは、メディアドライブ73が二次記録メディア90から読み出し、上記の外部インターフェース66により外部機器100に送信することができる。
さらに上記のCD、DVD、ブルーレイディスク、MD、メモリカード等の可搬性の記録メディア90に記録した場合は、その記録メディア90を外部機器で再生させることで、ユーザーはホログラムメモリ1から読み出した音楽等を聞くことができる。
【0073】
またこのホログラム再生装置50自体で再生出力することもできるように、再生処理部76、D/A変換器77、アナログオーディオ処理部78が設けられている。
再生処理部76は、二次記録メディア90に記録したオーディオデータをメディアドライブ73で読み出した際に、その読み出したオーディオデータをデコードする。例えば記録メディア90における圧縮方式のデコードを行ったり、また記録メディア90において暗号化状態でオーディオデータが記録されている場合は、その暗号解読のための復号処理等を行う。
例えば再生処理部76でリニアPCMオーディオデータの状態にまでデコードされたオーディオデータは、D/A変換器77でアナログ音声信号に変換され、アナログオーディオ処理部78で増幅、ゲイン調整、インピーダンス調整等の処理が施された後、スピーカ部或いは接続されたヘッドホン等に供給されて再生音声として出力される。
これによりユーザーは、ダウンロードしたオーディオコンテンツを、ホログラム再生装置50によって再生させ、音楽等を楽しむことができる。
【0074】
なお、この図9の例のホログラム再生装置50における、本発明請求項でいうダウンロード装置の構成要件に相当する部位は次のようになる。
発光素子54及び発光駆動回路75が参照光出力手段として機能する。
読取機構部56、転送制御/信号処理部62が検出手段として機能する。
データ処理手段71が再生処理手段として機能する。
メディアドライブ73が、二次記録媒体に対する記録手段として機能する。
メディアドライブ73,再生処理部76,D/A変換器77,アナログオーディオ処理部78が、コンテンツデータを再生出力する再生出力手段として機能する。
外部インターフェース66が、コンテンツデータを外部機器に送信する送信手段として機能する。
データ処理部71もしくは再生処理部76が、暗号解読手段として機能する。
【0075】
図8,図9のような構成のホログラム再生装置50によってホログラムメモリ1からデータを読み取る際の動作例について説明する。
図6,図7では、記録時には参照光の角度を固定して、HPO(Horizontal Parallax Only)の光学系で様々な画像を記録する方式を説明したが、このような記録を行った場合は、基本的には再生時には参照光の角度を固定し、イメージャの角度を変化させることが望ましい。
図10は、ホログラム再生装置50においてレンズ系53とイメージャ55の角度を変化させる読取方式を示している。即ち図8(a)のようにレンズ移動部53aを備えたホログラム再生装置50において、このレンズ移動部53aの移動可能範囲で、レンズ系53とイメージャ55を一体的に移動させる移動ユニット80を形成する。そして、この移動ユニットを、図9に示したスキャン機構74によって図10に示すように回転方向に移動させて、ホログラムメモリ1に対する撮像方向の角度を変化させる。読取のための参照光L5を出力する発光素子54は固定位置である。
つまりユーザーがホログラムメモリ1に対してホログラム再生装置50を対向させた状態で読取を指示する操作を行ったら、システムコントローラ61がカメラメカ制御部67に指示してスキャン機構74を駆動させ、移動ユニットを回転移動させる。このときにイメージャ55によって順次得られる再生像の撮像データとして、図5の#1〜#xの撮像データが得られることになり、上記のようにホログラム再生装置50内でオーディオデータDAを得る。
【0076】
また、移動ユニット80を回転方向に移動させるのではなく、図11に示すように、移動ユニット80を平行移動させるように構成しても良い。
このように平行移動で再生像を取り込むようにすれば、移動ユニット80の移動機構を簡単な構成とすることができる。但し、再生像に歪みが生じやすいという点があり、十分な歪み補正等の処理が必要となる。
また、図12のように、イメージャ55のサイズが十分に大きい場合には、撮像レンズ系53のみを移動させる構成も考えられる。
【0077】
また図8(b)のような構成として撮像レンズ系53側は固定とし、発光素子移動部54aにおいて発光素子をホログラムメモリ1に対して回転移動させることで、図13に示すように、ホログラムメモリ1に対して照射する読み取り用の参照光L5の角度を変化させるようにしてもよい。
【0078】
[4.ダウンロードされるコンテンツデータ]
続いて、本例のダウンロードシステムでダウンロードされるコンテンツデータについて説明する。
ここまでコンテンツデータの例として、オーディオコンテンツデータを例に挙げてきたが、もちろんオーディオコンテンツデータ以外のコンテンツデータも、多様に考えられる。
例えばビデオクリップなどの動画映像データ、写真画像等の静止画像としてのスチル画像データなどをダウンロードするシステムとしてもよい。
また小説、随筆、論文、説明文、広告宣伝その他のテキストデータも本例でいうダウンロード対象のコンテンツデータとして採用できるし、コンピュータプログラムやアプリケーションプログラムなども、本例のダウンロード対象のコンテンツデータとすることができる。
【0079】
即ち本例のコンテンツダウンロードシステムは、コンテンツデータの種類にかかわらず、ユーザーに提供する各種のデータをホログラムメモリ1に記録し、これをホログラム再生装置50を用いてユーザーに提供できるシステムとすることができる。
そして、例えば動画又は静止画データやテキストデータをダウンロードコンテンツとする場合には、それに対応してホログラム再生装置50において、それらダウンロードデータ内容を表示部51に表示出力する構成を採ることも考えられる。
【0080】
また、ダウンロードによるコンテンツ提供の目的としては、コンテンツデータの販売としてもよいし、コンテンツの紹介や各種の宣伝を目的としても良い。
例えば本例のコンテンツダウンロードシステムを、音楽コンテンツ、映像コンテンツ、テキストコンテンツ、プログラムコンテンツ等をユーザーに販売するシステムとして用いる場合は、ユーザーに対する課金システムが機能するようにすればよい。
もちろんユーザーに無償でコンテンツデータを提供するシステムとすることもできる。
また有償、無償にかかわらず、例えば一定の資格を有する人のみがダウンロードしてコンテンツデータを利用できるようにすることも考えられる。例えば教材としてのコンテンツデータを、特定の学校の職員や生徒のみが利用できるようにしたり、会社の業務資料としてのコンテンツデータを、その会社の社員のみが利用できるようにするなどである。ここでいう利用とは、ダウンロードしたコンテンツデータの再生や、他の機器へ転送することなどである。
【0081】
また紹介、宣伝用のシステムとする場合、例えば音楽コンテンツの一部、動画コンテンツの一部等をホログラムメモリ1に記録し、それをユーザーがダウンロードして再生できるようにすることで、例えばパッケージメディア5として販売しようとするコンテンツデータの紹介、宣伝が可能となる。
或いは、或る物品の販売のための広告として、その物品の紹介、宣伝、説明等のためのテキストデータ、画像データ、音声データ等のコンテンツをダウンロード可能とすれば、本例のコンテンツダウンロードシステムは広告宣伝用のシステムとして機能する。
【0082】
ホログラムメモリ1に記録されるコンテンツデータは、これらの目的に沿ったものとされればよい。
特にコンテンツ自体の販売目的であれば、高品質なコンテンツデータをホログラムメモリ1に記録する。例えば高音質な音楽コンテンツを記録して、これをユーザーが有料でダウンロードできるようにする。
一方、紹介用であれば、低品質なデータや、一部のデータをホログラムメモリ1に記録する。例えば品質を落とした音楽コンテンツや、曲の一部分のみとした音楽コンテンツをダウンロードさせるようにし、ユーザーが、そのコンテンツの内容を確認できるようにすればよい。また、機能を制限したコンピュータソフトウェアプログラムとしてのコンテンツとし、ユーザーがそのソフトウェアプログラムを購入前に試用できるようにしてもよい。
【0083】
[5.コンテンツデータの記録態様]
上記のようにコンテンツダウンロードシステムの実用上の目的は各種考えられるが、それに応じてコンテンツデータの記録態様が決定されればよい。
特に有料のダウンロードシステムとする場合は、コンテンツデータを暗号化処理したり、使用制限フラグを設けてホログラム再生装置50においてダウンロードしてもそのままでは使用できないようにすることが考えられる。
【0084】
図14に、ホログラムメモリ1に記録されるコンテンツデータの形式と、ホログラム再生装置50に取り込まれたときの処理や二次記録メディア90での記録形式、さらには使用時、即ちホログラム再生装置50での再生時や外部機器100への送信時の処理の例を示している。
なお、図14(a)〜(e)の各例では、ホログラム再生装置50がホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを一旦、二次記録メディア90に記録するものとして示しているが、二次記録メディア90に記録しないで再生/送信時処理を行う場合もあり得る。
【0085】
図14(a)は、ホログラムメモリ1に非暗号化状態でコンテンツデータを記録する例である。つまり図2のデータ変換ステップS2で暗号化処理を行わない場合である。この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを二次記録メディア90に記録すれば、二次記録メディア90でも非暗号化コンテンツデータが記録されることになる。二次記録メディア90において非暗号化状態でコンテンツデータが記録されていることから、ホログラム再生装置50は、そのコンテンツデータの再生出力や外部機器100への送信を自由に行うことができる。
この図14(a)の例は、無料のコンテンツダウンロードシステムとして好適な例である。ところでこの場合、ダウンロード対象のコンテンツデータにコンテンツIDを付加することは必ずしも必要ではない。即ち図2の基本データ生成ステップS1−2で生成する基本データには、必ずしもコンテンツIDが含まれていなくても良い。
なお、ダウンロードシステム上の課金や使用制限以外の目的で、ホログラム再生装置50側で暗号化等を行うことは任意である。例えば外部機器100への送信時に、暗号化処理を行って送信することは考えられる。
【0086】
図14(b)は、ホログラムメモリ1に暗号化状態でコンテンツデータを記録する例である。つまり図2のデータ変換ステップS2で暗号化処理を行う場合である。この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを二次記録メディア90に記録すれば、二次記録メディア90でも暗号化コンテンツデータが記録されることになる。二次記録メディア90において暗号化状態でコンテンツデータが記録されていることから、ホログラム再生装置50は、そのコンテンツデータをそのまま再生出力したり、外部機器100へそのまま転送して再生させることはできない。このため、後述するが、図1に示したコンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を入手することが必要となる。ホログラム再生装置50では二次記録メディア90から読み出したコンテンツデータについては、再生時に使用許可情報に含まれている暗号解読キーを用いて、暗号解読処理を行う。即ち再生処理部76もしくはデータ処理部71で非暗号化デコードを行って暗号解読されたコンテンツデータを得る。この時点で、コンテンツデータを再生出力したり、或いは外部機器100に転送して再生させることが可能となる。
この図14(b)の例は、有料のダウンロードシステムとする場合や、有料又は無料で特定の資格を有するユーザーのみにコンテンツデータを提供するシステムとする場合に好適な例である。
【0087】
図14(c)も、ホログラムメモリ1に暗号化状態でコンテンツデータを記録する例である。つまり図2のデータ変換ステップS2で暗号化処理を行う場合である。この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを、非暗号化デコードして二次記録メディア90に記録する。ホログラム再生装置50は、コンテンツ使用管理システム6から入手した使用許可情報に含まれている暗号解読キーを用いて、ホログラムメモリ1から取り込んだ暗号化コンテンツデータに対する暗号解読処理を、データ処理部71で行う。そして暗号解読したコンテンツデータを二次記録メディア90に記録する。二次記録メディア90上では非暗号化コンテンツデータが記録されるため、その後、二次記録メディア90から読み出したコンテンツデータを再生したり、外部機器100に転送して再生させたりすることができる。
この図14(c)の例も、有料のダウンロードシステムとする場合や、有料又は無料で特定の資格を有するユーザーのみにコンテンツデータを提供するシステムとする場合に好適な例である。
【0088】
図14(d)は、ホログラムメモリ1に一部分が暗号化されたコンテンツデータを記録する例である。つまり図2のデータ変換ステップS2で暗号化処理では、コンテンツデータの一部分のみ、例えば音楽データであればサビの部分のみ暗号化するなどの例である。
この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを二次記録メディア90に記録すれば、二次記録メディア90でも一部が暗号化されたコンテンツデータが記録される。二次記録メディア90において一部暗号化状態でコンテンツデータが記録されていることから、ホログラム再生装置50は、そのコンテンツデータについては、暗号化されていない部分のみについては、そのまま再生出力したり、外部機器100へそのまま転送して再生させることができる。暗号化部分を含めたコンテンツ全体を再生させるためには、コンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を入手することが必要となる。ホログラム再生装置50では二次記録メディア90から読み出したコンテンツデータについては、再生時に使用許可情報に含まれている暗号解読キーを用いて、暗号解読処理は再生処理部76もしくはデータ処理部71で非暗号化デコードを行って全てが非暗号化状態となったコンテンツデータを得る。この時点で、コンテンツデータを再生出力したり、或いは外部機器100に転送して再生させることが可能となる。
この図14(c)の例も、有料のダウンロードシステムとする場合や、有料又は無料で特定の資格を有するユーザーのみにコンテンツデータを提供するシステムとする場合に好適な例であるが、コンテンツの一部は再生可能であるため、課金等を行う前にユーザーがコンテンツデータの一部を試聴したり見て確認することができるシステムとすることができる。
なおこのように一部暗号化コンテンツデータをホログラムメモリ1に記録する場合でも、図14(c)のようにダウンロード時に非暗号化デコードすることも考えられる。例えば予め課金契約をして暗号解読キーを入手しているユーザーや、特定の再生資格所有者は、二次記録メディア90に全体が非暗号化デコードされたコンテンツデータを記録できるようにするが、それ以外のユーザーは、課金処理等を行わなければ一部が暗号化のまま二次記録メディア90に記録され、一部しか再生できないようにするシステムとする例である。
【0089】
図14(e)は、ホログラムメモリ1に使用制限フラグ情報が付加されたコンテンツデータを記録する例である。例えば図2のデータ変換ステップS2において、基本データ生成ステップS2−2もしくはデータ処理ステップS1−3で、コンテンツデータの暗号化は行わないが、ヘッダ情報等に使用制限フラグ情報を付加する。この使用制限フラグ情報は、ホログラム再生装置50側で、システムコントローラ61が、その使用制限フラグが解除されていない限りそのコンテンツデータを再生禁止と判断する情報である。
この場合、ホログラム再生装置50でホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータを二次記録メディア90に記録すれば、二次記録メディア90でも使用制限フラグ情報が付加されたコンテンツデータが記録される。
二次記録メディア90に記録されたコンテンツデータについては、システムコントローラ61は、その使用制限フラグが解除されない限り再生禁止と判断し、ユーザーの操作に応じた再生動作は実行させない。再生させるには、コンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を入手することが必要となる。使用許可情報にはコンテンツIDに対応した使用制限解除情報が含まれており、その使用制限解除情報は、コンテンツIDに対応して例えばフラッシュメモリ65等に記憶されるものとする。
ユーザーがコンテンツデータの再生出力を指示する操作を行った場合、システムコントローラ61は、そのコンテンツデータのコンテンツIDに基づいて使用制限解除情報が既に入手されているかを判断し、入手されていれば(例えばフラッシュメモリ65にコンテンツIDに対応して使用制限解除情報が記憶されていれば)、使用制限は解除されたとして再生出力処理を行う。コンテンツIDに対応した使用制限解除情報が入手されていなければ、再生出力処理は実行しないようにする。外部機器100への送信処理についても同様とする。
従って、上述の暗号化の場合と同様に、課金等により使用許可情報を入手したユーザーのみ、ダウンロードしたコンテンツデータの使用が可能となるため、この図14(e)の例も、有料のダウンロードシステムとする場合や、有料又は無料で特定の資格を有するユーザーのみにコンテンツデータを提供するシステムとする場合に好適な例である。
なおこのように使用制限フラグ情報を付加したコンテンツデータをホログラムメモリ1に記録する場合、ダウンロード時に、既にそのダウンロードするコンテンツIDに対応した使用制限解除情報を入手していれば、使用制限フラグ情報を消去して二次記録メディア90に記録するような例も考えられる。
【0090】
以上、暗号化、非暗号化、使用制限フラグ情報の有無等のコンテンツデータの記録形式例を述べたが、他にも各種の形式が考えられる。例えば使用制限フラグ情報の付加と暗号化の両方を行ったコンテンツデータをホログラムメモリ1に記録するようにしてもよい。また、コンテンツデータの一部については使用制限フラグ情報を付加し、他の部分は使用制限しないで、例えば試聴等が可能とする例も考えられる。さらには、コンテンツデータの一部を暗号化、他の部分を非暗号化状態として上で、全体或いは一部についての使用制限フラグ情報を付加するなどの例も考えられる。
【0091】
また、時限的な使用制限も考えられる。例えば使用制限フラグ情報はダウンロード後30日など、所定の期間経過で有効となるようものとする。ホログラム再生装置50のシステムコントローラ61はダウンロードコンテンツデータを二次記録メディア90に記録する際に、そのダウンロード日時がコンテンツデータのヘッダ等に含まれるようにするか、或いはフラッシュメモリ65にコンテンツIDに対応させてダウンロード日時を登録しておく。そしてダウンロード日時から所定の期間は使用制限フラグ情報にかかわらず再生を許可するが、期間経過後は再生禁止とし、使用許可情報によって使用制限を解除しなければ再生できないようにする例である。
さらには、使用制限フラグ情報が付加されたコンテンツデータについて使用回数を限定して再生を許可することも考えられる。即ちシステムコントローラ61は、コンテンツデータが再生される毎に再生回数をカウントしてフラッシュメモリ65に記憶しておく。そして所定回数の再生を行った後は再生禁止とし、使用許可情報によって使用制限を解除しなければ再生できないようにする例である。
これらの時限的な使用制限や、回数的な使用制限により、例えばユーザーにコンテンツデータの購入判断のための試用期間を設定すること等が可能となる。
【0092】
[6.ダウンロードコンテンツの使用許可]
続いて、暗号化や使用制限フラグ情報によって、ダウンロードコンテンツをそのままでは使用できないようにする場合、例えば有料のシステムとする場合などにおける使用許可の手法について述べる。
【0093】
基本的にはホログラム再生装置50のユーザーは、何らかの手法でダウンロードしたコンテンツデータについての使用要求情報をコンテンツ使用管理システム6に送信し、コンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を受け取る。
或いはダウンロードサービスを受けたい場合に、予め使用要求情報をコンテンツ使用管理システム6に送信し、コンテンツ使用管理システム6から使用許可情報を受け取る。
そして使用許可情報がホログラム再生装置50に入力された状態とすることで、上述した非暗号化デコードや使用制限フラグ情報の解除が実行でき、ダウンロードしたコンテンツデータの使用が可能となる。
【0094】
ユーザーがコンテンツ使用管理システム6に送信する使用要求情報には、例えばユーザーID、ホログラム再生装置50の機器ID、コンテンツIDなどが含まれるようにする。
一方、コンテンツ使用管理システム6がユーザーに対して発行する使用許可情報には、例えば許可するユーザ或いはホログラム再生装置50を特定するためのユーザーIDや機器ID、許可するコンテンツを特定するためのコンテンツID等に加え、暗号解読キーや使用制限解除情報などが含まれるものとする。
【0095】
図15に、ホログラム再生装置50とコンテンツ使用管理システム6の間の通信例を示す。
ここでは、コンテンツの有料ダウンロードサービスを行うためにコンテンツ使用管理システム6が設けられるとし、まずその場合のコンテンツ使用管理システム6の構成例を説明する。コンテンツ使用管理システム6は、管理サーバ31、コンテンツ情報データベース32、ユーザー情報データベース33、課金処理システム34を備える。
【0096】
管理サーバ31は、ユーザーの所持するホログラム再生装置50との間の通信処理や、コンテンツ情報データベース32及びユーザー情報データベース33の管理、さらには課金処理システム34への指示を行う。
コンテンツ情報データベース32は、例えばホログラムメモリ1によりユーザーに提供可能とされている各種のコンテンツについての情報を保持する。例えば個々のコンテンツについての付与されているコンテンツIDに対応して、そのコンテンツのダウンロード料金情報、著作権者、製造者、コンテンツホルダー等の権利者情報、暗号化情報、コンテンツ内容に関する情報などがデータベース化されて記憶されている。
ユーザー情報データベース33には、例えばユーザーとのダウンロードサービス契約によってユーザーから提示されたユーザー情報が記録されている。例えばユーザーID、住所氏名等のユーザー特定情報、ホログラム再生装置50を特定する機器固有の機器ID、ユーザーに対する課金処理のための銀行口座やクレジットカードナンバや支払い方法が、個々のユーザーに対して記録されてデータベース化されている。さらには課金処理形態によってはユーザーの所持する携帯電話番号、インターネットプロバイダとの契約番号などが記録されていても良い。例えばユーザーの電話料金等にコンテンツのダウンロード料金を含ませてユーザに請求するような場合である。
またユーザーのダウンロード履歴、例えばダウンロードしたコンテンツのコンテンツIDやその日時、料金等も逐次追加記録されていく。
ユーザーは、ダウンロードサービスを受けたい場合は、予め契約により、ユーザーに関する情報をコンテンツ使用管理システム6に提示する。コンテンツ使用管理システム6は、契約を行ったユーザーに対してユーザーIDを付与するとともに、そのユーザーの情報をユーザー情報データベース33に登録する。
【0097】
課金処理システム34は、ユーザーに対する課金処理や権利者への料金支払いの処理を行う。例えばユーザーに対する課金処理としては、ユーザーの銀行口座に対する自動引き落とし処理や、クレジットカードによる支払請求処理、或いはユーザーが契約する電話業者等への課金依頼処理等を行う。一方、コンテンツホルダ、著作権者(或いは著作権管理団体)、コンテンツ提供媒体製造者等に対して送金処理を行う。
【0098】
このようなコンテンツ使用管理システム6に対して、ユーザーは、例えばホログラム再生装置50から通信を行って、コンテンツの料金支払い手続を行い、コンテンツを使用可能とする。この流れの一例を説明する。
ここでは、例えばホログラム再生装置50は通信部79を備え、直接コンテンツ使用管理システム6との間が通信可能に構成されている例とする。即ち図9の構成に加えて通信部79を備え、ユーザーの送信操作に応じてシステムコントローラ61が使用要求情報を通信部79から送信できるようにした場合である。
【0099】
ユーザーがホログラム再生装置50を用いてホログラムメモリ1からコンテンツデータをダウンロードさせた場合、ホログラム再生装置50は例えば上記図14(b)の形式で暗号化コンテンツデータを二次記録メディア90に記録するとする。
この場合、ユーザーは使用要求情報を送信する操作を操作部52から行う。するとシステムコントローラ61は、例えばユーザーID、機器ID、コンテンツIDを含む使用要求情報を通信部79かたコンテンツ使用管理システム6に送信させる。
ユーザーIDはダウンロードサービス契約によりユーザーに付与されるもので、例えばユーザはそのユーザーIDをホログラム再生装置50に入力し、ホログラム再生装置50においてはフラッシュメモリ65等に記憶されるようにしておく。もちろん通信部79を備える場合は、契約時のコンテンツ使用管理システム6との通信によってユーザーIDがホログラム再生装置50に送信され、ホログラム再生装置50が自動的にユーザーIDをフラッシュメモリ65に記憶するようにしてもよい。
また機器IDは、ホログラム再生装置50の製造時に付与され、フラッシュメモリ65に格納したシリアルナンバ等を用いればよい。
使用要求情報の送信の際、システムコントローラ61は、フラッシュメモリ65からユーザーIDや機器IDを読み出し、またダウンロードしたコンテンツデータに付与されているコンテンツIDを読み出して、使用要求情報を生成し、通信部79から送信させる。
【0100】
使用要求情報を受信したコンテンツ使用管理システム6では、管理サーバ31がユーザーIDに基づいてユーザー情報データベース33を検索し、ユーザーを特定するとともに、コンテンツIDに基づいてコンテンツ情報データベース32を検索して、ユーザーが購入を求めたコンテンツデータを特定する。そして適正にユーザー及びコンテンツデータが特定できたら、管理サーバ31は、課金処理システム34に対して、当該ユーザーに対するコンテンツデータ購入代金の課金処理を指示する。課金処理システム34は指示に応じて当該ユーザーに対する課金処理を行うとともに、権利者への送金処理を行う。
そして管理サーバー31は、使用許可情報をホログラム再生装置50に送信する。使用許可情報には、ユーザーID、機器IDと共に、使用を許可するコンテンツデータを特定させるためのコンテンツIDを含み、またそのコンテンツデータの暗号解読キーを含むものとする。
ホログラム再生装置50側では、使用許可情報を通信部79で受信したら、システムコントローラ61は、そのコンテンツIDと暗号解読キーを対応させて例えばフラッシュメモリ65等に記憶する。以降は、当該コンテンツデータの再生や送信の際には、暗号解読キーを用いて非暗号化デコードを実行することができ、ユーザーは自由に当該コンテンツデータを使用できることになる。
【0101】
なお、以上の使用処理の流れは一例であり、他にも多様な方式が考えられる。例えばシステム上で、コンテンツデータの暗号解読キーを統一しておく。そして、ユーザーとの契約時に暗号解読キーをホログラム再生装置50側に送信しておくようにする。つまり暗号解読キーを含む包括的な使用許可情報を予めホログラム再生装置50に送信しておく。すると、図14(c)のようにダウンロード時に非暗号化デコードを行うことができる。そのような場合、システムコントローラ61は、ダウンロードが行われるたびに、ユーザーID、機器ID、ダウンロードしたコンテンツデータのコンテンツIDを通信部79からコンテンツ使用管理システム6に送信するようにし、コンテンツ使用管理システム6は、受信した情報に応じて、該当ユーザーに対する課金処理を行うようにすればよい。
また、図14(e)で説明したような形式の場合は、コンテンツ使用管理システム6は暗号解読キーではなく使用制限解除情報を含む使用許可情報をホログラム再生装置50に送信することになる。
【0102】
ところで図15の例では、ホログラム再生装置50に通信部79が備えられる場合を示したが、必ずしもホログラム再生装置50が通信機能を備えなくても良い。
図16(a)(b)に例を示す。
図16(a)の例は、例えばユーザーはコンテンツ使用管理システム6に対してコンテンツの使用を求める場合に、携帯電話機101等の電話装置とホログラム再生装置50を接続する。そして携帯電話機101による通信機能を利用して、管理サーバ31との間の使用要求情報、使用許可情報の送受信を行うようにする。
また、図16(b)の例は、例えばユーザーはコンテンツ使用管理システム6に対してコンテンツの使用を求める場合に、パーソナルコンピュータ102等のネットワーク通信可能な機器とホログラム再生装置50を接続する。そしてインターネット等のネットワーク110を介して、管理サーバ31との間の使用要求情報、使用許可情報の送受信を行うようにする。
この図16(a)(b)のように、ホログラム再生装置50が外部機器の通信機能を利用してコンテンツ使用管理システム6との間の通信を行うようにしてもよい。特にこのように携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102を利用する場合、ユーザーに対するコンテンツデータ代金の課金処理は、携帯電話使用料やインターネット利用料などに加算することも好適である。
【0103】
さらには、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102等を用いる場合に、ホログラム再生装置50と接続しない方式も考えられる。
例えばユーザーは、ホログラム再生装置50でダウンロードしたコンテンツデータについてのコンテンツIDや、ユーザーIDを、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102に手動で入力する。コンテンツIDについてはホログラム再生装置50が表示部51で表示できるようにすればよい。
ユーザーは自分に付与されたユーザーIDとコンテンツIDを入力して、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102からコンテンツ使用管理システム6に送信する。これに対してコンテンツ使用管理システム6からは、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102に対して使用許可情報を送信してくるが、そのとき、使用許可情報を受信した携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102において、使用許可情報に含まれている暗号解読キーや使用制限解除情報、及びコンテンツIDとしてのコード番号を表示するようにする。
ユーザーは表示されたコード番号を手動で操作部52からホログラム再生装置50に入力する。ホログラム再生装置50は入力された暗号解読キーや使用制限解除情報を、コンテンツIDに対応させて例えばフラッシュメモリ65に記憶する。これによって、その後、当該コンテンツデータの非暗号化デコードや使用制限解除処理を実行できるようにし、自由な使用が可能となるようにする。
【0104】
また、コンテンツデータの使用はホログラム再生装置50ではなく、携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102側で行う場合も考えられる。
即ちホログラム再生装置50は、ダウンロードしたコンテンツデータについて、例えば暗号化状態或いは使用制限状態で携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102に転送するようにする。
転送は外部インターフェース66を用いて行っても良いし、二次記録メディア90を可搬性の記録メディアとし、当該二次記録メディア90を携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102側のメディアドライブに装填するものとしてもよい。
そして、上述した使用要求情報と使用許可情報の送受信を携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102において実行し、使用許可情報に基づくコンテンツデータの再生等の使用は、その携帯電話機101やパーソナルコンピュータ102上で行われるようにしてもよい。
【0105】
例えば以上の各種の例によって、有料のコンテンツダウンロードシステムが実現可能となる。もちろん、上述のように特定の資格者に対して使用を可能とするシステムも同様に実現できる。例えばコンテンツ使用管理システム6は、ユーザー側からの使用要求情報で送信されてくるユーザーIDに対して認証処理を行い、認証OKであればユーザー側に暗号解読キーや使用制限解除情報を含む使用許可情報を送信するようにすればよい。
そしてこのようなダウンロードシステムにおいては、課金処理等に基づく使用許可のための使用要求情報、使用許可情報の通信を行うことが必要となるが、このコンテンツデータ自体を通信するものではなく、ID等の少ないデータ量の通信のみであるため、例えば大容量高速通信回線は要求されない。例えば上記のように携帯電話機101等を利用した通信などで十分に実現できる。
【0106】
また使用許可情報には機器IDを含むようにし、ユーザー側での再生時等には、機器IDまでも一致しなければ再生できないようにするなどの手法を導入すれば、ダウンロード後にユーザーサイドで無断コピーされたコンテンツデータを使用できないようにすることも可能である。
【0107】
なお、ホログラム再生装置50における使用要求情報や使用許可情報の通信にかかる情報は、フラッシュメモリ65に限らず、例えば、ハードディスク、メモリカード、或いはメディアドライブ73における光ディスク等の二次記録メディア90などに記憶されても良い。
【0108】
[7.コンテンツデータと視認画像データの混在記録]
以上説明してきた実施の形態では、ホログラムメモリ1にコンテンツデータを記録するものであるが、ホログラムメモリ1にコンテンツデータとともに、そのホログラムメモリ1自体をユーザーが見たときに視認できる画像データを混在記録することも考えられる。この画像データとは、ダウンロード対象のデータではなく、あくまでホログラムメモリ1自体のデザイン効果を高める画像のことである。
ここでは、ホログラム再生装置50で取り込まれるコンテンツデータと、ホログラムメモリに記録された状態で人の視覚による認識が可能な画像データとをホログラムメモリ1に混在記録させる実施の形態を説明する。
なお、ダウンロード対象のコンテンツデータとして画像データの場合もあることを先に述べたが、以下の説明では、ダウンロード対象とはならない人が視認する画像データのことを「視認画像データ」と呼んで区別する。またダウンロード対象となるコンテンツデータの例としてオーディオコンテンツデータを挙げる。
【0109】
ここでは上述したホログラフィックステレオグラム方式のホログラムメモリを形成する場合に、ホログラム材料上の垂直の帯状として記録されるホログラム要素として、一部には視認画像データを記録させ、一部にはコンテンツデータとしてダウンロードさせるオーディオデータを記録させることで、オーディオデータと視認画像データを混在記録する。
【0110】
図17には、オーディオデータと視認画像データをホログラムメモリに混在記録することを模式的に示している。
先に図4でも述べたが、この場合も図17(b)に示すように、表示装置41に画像を表示した状態で、表示装置41に物体光L4を照射する。表示装置41を通過した物体光L4は、表示装置41に表示された画像を反映した物体光となり、この物体光L4がシリンドリカルレンズ42で垂直方向の線状に収束されてホログラム材料30に照射される。
この線状に収束された物体光L4と参照光L3が干渉した際の干渉縞が、図示するように垂直方向の帯状のホログラム要素としてホログラム材料30に記録される。
【0111】
ここで、帯状の各ホログラム要素を生成していくためには、ホログラム材料30を例えば矢印H方向に1段階ずつ送るとともに、表示装置41に表示する画像を変化させていく。すると、干渉縞としての帯状のホログラム要素がホログラム材料30上に格子状に形成されていくことになる。
このとき、或る物体を様々な角度から撮影した画像を順次表示装置41に表示させて、それぞれホログラム要素として記録していくと、視認上で立体画像が見える状態になるが、本例の場合、表示装置41に表示させる画像として、視認画像データによる画像と、オダウンロードコンテンツとしてのオーディオデータを2次元バーコード状に表現したパターン画像を与える。
即ち図17(a)に示すように、表示装置41には、オーディオデータDAに基づく二次元パターン画像と、視認画像データDPに基づく画像を、所定の順序(#1・・・#x)で表示装置41に表示させながら、ホログラム材料30にホログラム要素を形成していくと、オーディオデータDAと画像データDPを混在記録したホログラム材料30が形成できる。これをホログラムマスターメディア91とする。
【0112】
図18に、そのようにして形成されたホログラムマスターメディア91から複製されるホログラムメモリ1の様子を示している。
各ホログラム要素として記録されたデータは、人が視認できる画像としてホログラムメモリ1上にあらわれる。この場合、ホログラムメモリ1に対しては、或る方向に配置された光源からの光や、周囲の自然光等の外光が参照光となる。
上記図17(a)のような#1・・・#xの順序でオーディオデータDA、視認画像データDPを記録していった場合、例えば図18のように、ホログラムメモリ1に対して、角度θ1の範囲からは、#1〜#nのオーディオデータDAの画像パターンが視認できる。また略正面方向である角度θ2の範囲では、#n+1〜#mの視認画像データDPの画像が視認できる。さらに角度θ3の範囲からは、#m+1〜#xのオーディオデータDAの画像パターンが視認できる。
【0113】
オーディオデータDAによる画像パターンは、二次元バーコードのように、人が意味的にその内容を認識できる画像ではないが、視認画像データDPによる画像は、ホログラムメモリ1に対して略正面に対峙した人200がその画像自体を認識できるものである。
オーディオデータDAによる画像パターンについては、ホログラム再生装置50が読み取ってデータ処理するものとされる。ホログラム再生装置50は、図示する読取範囲θ0で、各画像をイメージセンサで読み取っていく。即ち#1〜#nのオーディオデータDAによる画像パターン、#n+1〜#mの視認画像データDPの画像、及び#m+1〜#xのオーディオデータDAの画像パターンを、それぞれ読み取っていく。この読取のための動作は上述した図10,図11,図12,図13のような動作で行われればよい。そして撮像データとして取り込んだ各イメージパターンをデータにデコードする。
但しこの場合、ホログラム再生装置50はダウンロード対象ではない視認画像データDPの再生像も読み取ってしまうことになるが、このときホログラム再生装置50内でのデータ処理過程で、#n+1〜#mの視認画像データDPを破棄し、#1〜#n及び#m+1〜#xの読み出し画像パターンからデコードしたオーディオデータDAとしての各記録単位のデータのみを抽出する。そして各記録単位のデータからオーディオデータDAとしてのストリームデータを生成する。
【0114】
つまりこの場合のホログラムメモリ1は、ホログラムメモリの高密度記録という特性を生かしてオーディオデータDA等のコンテンツデータを十分な容量、記録できるだけでなく、人200が略正面方向から見たときに、画像自体を認識できるため、ホログラムメモリ1自体をデザイン性の高いものとすることができる。
また例えばオーディオデータDAを記録することを想定した場合、音楽データとしてのオーディオデータDAをダウンロードコンテンツとして記録すると共に、その音楽のアーティスト写真やジャケット画像を視認画像データDPとして記録すれば、付加価値の高いホログラムメモリ1を実現できる。例えばユーザーは視認できる画像によってアーティストや音楽の内容を認識しながら、ホログラム再生装置50によって、その音楽自体(オーディオデータDA)を読み取っていくことが可能となる。
【0115】
なお、当然ながら、ある角度範囲での視認可能な像を視認画像データDPの像とした場合、その視認画像データDPを記録した分だけ、オーディオデータDA等のコンテンツデータの記録容量は減少する。但しこれは逆に言えば、オーディオデータDA等の記録に必要な容量を設定した上で、残りの容量として、視認画像データDPを記録するものとすればよいものである。つまり、どのくらいの角度範囲でデザイン上有効な画像が見えるようにするか(視認画像データDPの記録容量をどれくらいとするか)というのは、記録しようとするコンテンツデータの容量と、デザイン上の観点を勘案して、決められればよい。
また、必ずしも正面方向から視認画像データDPによる像が視認できるようにする必要はなく、例えばホログラムメモリ1に対して人200が斜め方向から見たときのみ視認画像データDPによる像が認識できるようにすることも考えられる。
【0116】
次に、上記のような視認画像データとコンテンツデータを混在記録させたホログラムメモリ1の製造について説明する。
図19にコンテンツ提供媒体製造システム2による製造手順を示している。なお、図2と同一部分については説明を省略する。
この場合、データ変換ステップS1として、視認画像データ生成工程S1−5が加わることになる。視認画像データ生成工程S1−5では、視認画像データDPとして記録する画像データを生成する。例えば或る物体を撮影したり、コンピュータグラフィックなどの手法でホログラム材料30に記録される複数の要素ホログラムに対応した複数の画像の視認画像データDPを生成する。ホログラムメモリ1に記録され、視認される画像を立体画像とする場合は、上記した#n+1〜#mの各画像データDPを、いわゆる視差画像列としての画像とすればよい。
そしてマスターデータ生成工程S1−4では、データ処理ステップS1−3を経たオーディオデータを二次元パターン画像に変換してコンテンツマスターデータとすると共に、視認画像データ生成工程S1−5で生成された視認画像データDPを、視認画像マスターデータに変換して送出する。
【0117】
なお、オーディオデータDAと視認画像データDPを混在記録したホログラムメモリ1を製造するが、そのホログラムメモリ1からホログラム再生装置50が再生像を取り込んだ後に、オーディオデータDAと視認画像データDPを区別できるようにする必要がある。
その1つの手法としては、データ変換ステップS1において生成されるオーディオデータDAのデータブロックの構成として、図20(b)(d)に示すように識別コードを付加することが考えられる。この識別コードとは、ホログラムメモリ1に記録されているホログラム要素として、画像データDPと区別するためのコード情報であり、つまり識別コードによってオーディオデータDAが記録されたデータブロックであることを示すものとしている。このような識別コードが付加されたデータブロックを二次元パターン画像に変換してオーディオコンテンツとしてのマスターデータを生成する。
なお、図20(a)(c)は図3(a)(b)に示したデータブロックの構成と同じであるが、このように識別コードが付加されていなくても、ホログラム再生装置50側でオーディオデータDAと視認画像データDPを判別することは可能である。
【0118】
次にマスター生成ステップS2としてホログラムマスターメディア91を製造するホログラムマスター製造装置は図21のようになる。
前述した図6と異なるのは、視認画像マスターデータ入力部12が設けられ、上記データ変換ステップS1で生成された視認画像マスターデータが入力されることである。
記録データ生成部13は、コンテンツマスターデータ入力部11に入力されて供給されるオーディオデータDAに基づくパターン画像データと、視認画像マスターデータ入力部12から供給される視認画像マスタデータDPについて、例えば図17の#1〜#xのデータ順序を制御し、順次ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15に供給する。制御用コンピュータ14,ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15の動作は、図6,図7で説明したものと同様である。
【0119】
つまりホログラフィックステレオグラムプリンタ装置15では、記録データ生成部13から出力される記録データDRに基づく複数の露光用画像が表示装置41に順次表示されるとともに、各画像毎にシャッタ32が開放され、各画像がそれぞれ短冊状の要素ホログラムとしてホログラム材料30に順次記録される。このとき、ホログラム材料30は、1画像毎に1要素ホログラム分だけ送られるので、各要素ホログラムは、横方向に連続して並ぶこととなる。これにより、視認画像データDPとして、例えば横方向の視差情報を含む複数の画像が、横方向に連続した複数の要素ホログラムとしてホログラム材料30に記録され、横方向の視差を有するホログラフィックステレオグラムが得られるとともに、オーディオデータDAによる画像パターンも同じく横方向に連続した複数の要素ホログラムとして記録される。
そして、このシステムでデータDRの記録を行ったホログラム材料30が、図19のホログラムマスターメディア91とされ、このホログラムマスターメディア91を用いてホログラム複製工程S3−1、コンテンツ提供媒体製造工程S3−2としての提供媒体生成ステップS3が行われる。
このようにして生成されたポスターや書籍等のコンテンツ提供媒体に設けられたホログラムメモリ1や、パッケージメディアとしてのホログラムメモリ1では、ユーザーが視認画像データDPによる画像を視認することができ、そのデザイン性を高めることができる。
【0120】
なお、ホログラム再生装置50によるダウンロードの際には、ホログラムメモリ1に対して図18の読取範囲θ0としての全ての再生像を撮像データとして取り込み、DRAM64に蓄積していくことになるが、この場合、視認画像データDPとしての再生像も撮像データとして含まれることになる。
このためデータ処理部71は、DRAM64に蓄積された各撮像データについて、オーディオデータDAを含むデータブロックの二次元画像パターンの再生像の撮像データであるのか、或いは画像データDPの再生像であるのかを判別し、画像データDPの再生像である撮像データについては破棄する処理も行う。
例えばデータブロックが図20(b)又は図20(d)の構成とされる場合、データ処理部71は、データブロック内で識別コードが存在しているか否かで、撮像データが、オーディオデータDAの再生像であるのか、視認画像データDPの再生像であるのかを判別できる。
またデータブロックが図20(c)又は図20(d)の構成とされる場合、ECCパリティを用いて正しくエラー訂正処理ができれば、その撮像データはオーディオデータDAの再生像の撮像データであり、正しくエラー訂正処理ができなければ視認画像データDPの再生像であると判別するようにしてもよい。
また、データブロックが図20(a)のように識別コードが存在せず、またエラー訂正コードも含まれていない場合は、そのデータブロックの形式やデータ内容を確認して判別する手法が考えられる。例えばヘッダ情報としての決められた意味のある情報が含まれていればオーディオデータDAのデータブロックとして採用することが考えられる。またデータブロックから抽出したオーディオデータを繋げてオーディオストリームデータを生成する際には、そのデータブロックナンバを確認することになるが、その場合、視認画像データDPにはストリームデータとしての順序を示すデータブロックナンバは存在しないため、結果として視認画像データDPの再生像から得られるデータは除外できることになる。
【0121】
以上のように、ホログラムメモリ1に視認画像データとコンテンツデータを混在記録することで、ホログラムメモリ1の高密度記録という特性を生かしてオーディオデータDA等のダウンロード対象のコンテンツデータを十分な容量、記録でき、さらに人がホログラムメモリ1自体を見たときに、画像を認識できるため、ホログラムメモリ1をデザイン性、更にはホログラムメモリ1を貼付したコンテンツ提供媒体のデザイン性の高いものとしたり、付加価値を与えることができる。なお視認画像データとしては、再生像として立体画像を得るものであってもよいし、立体画像ではない二次元画像が観察されるものでもよい。
またホログラム再生装置50側では、ホログラムメモリ1に対して所定の角度範囲で観察される再生像を取り込んでいき、コンテンツデータによる画像パターンを抽出していくことで、コンテンツデータを正しくダウンロードできる。
【0122】
なお、図18の例では、視認画像データDPの再生像はホログラムメモリ1の略正面方向から人が観察できるようにしたが、このようにすることで、視認画像データDPの再生像が見えやすくなり、視認したときのデザイン性の向上に好適である。但し、使用状況や目的によっては、正面方向ではなく、斜め方向から視認画像データDPの再生像が見えるようにしてもよい。
また、図18の角度θ2の範囲、つまり正面方向においてコンテンツデータによる画像パターンの再生像が観察されるようにすれば、ホログラム再生装置50のスキャン機構74によるスキャン角度範囲を狭くすることができ、構成の簡略化に適しているという利点が得られる。
【0123】
[8.変形例]
以上実施の形態について説明してきたが、本発明は多様な変形例が考えられる。
ホログラムメモリ1は、ホログラフィックステレオグラム方式に限らず、他の記録方式のホログラムメモリ1でも本発明を適用できる。
また例えば波長多重、角度多重、シフト多重、多値記録など、ホログラム記録媒体の大容量化を実現する技術は多様に存在するが、それらが採用されたホログラムメモリ1を用いても良い。
またホログラムメモリ1としての記録方式や種類は、記録するコンテンツデータの容量に応じて選定されても良い。
ホログラム再生装置50の構成は上記図9の構成に限られない。ホログラムメモリ1からダウンロードしたコンテンツデータの再生出力、送信出力の形態も多様に考えられる。
また、ホログラム再生装置50自体ではダウンロードしたコンテンツデータを再生する機能は設けず、コンテンツデータは外部インターフェース66による通信又は二次記録メディア90の移動によって外部機器100に転送するものとし、外部機器100側で再生されるものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の実施の形態のダウンロードシステムの説明図である。
【図2】実施の形態のコンテンツ提供媒体製造システムの説明図である。
【図3】実施の形態のコンテンツデータの記録単位としてのデータブロックの説明図である。
【図4】実施の形態のホログラムへのコンテンツデータ記録の説明図である。
【図5】実施の形態のホログラムメモリの再生像の説明図である。
【図6】実施の形態のホログラムマスター製造装置のブロック図である。
【図7】実施の形態のホログラムマスターを形成するホログラフィックステレオグラムプリンタ装置の光学系の説明図である。
【図8】実施の形態のホログラム再生装置の外観例の説明図である。
【図9】実施の形態のホログラム再生装置のブロック図である。
【図10】実施の形態の再生装置による読み取り動作の説明図である。
【図11】実施の形態の再生装置による読み取り動作の説明図である。
【図12】実施の形態の再生装置による読み取り動作の説明図である。
【図13】実施の形態の再生装置による読み取り動作の説明図である。
【図14】実施の形態のコンテンツデータの記録形式の説明図である。
【図15】実施の形態のコンテンツデータ使用管理システムの説明図である。
【図16】実施の形態のコンテンツデータ使用管理システムとの通信例の説明図である。
【図17】他の実施の形態のコンテンツ提供媒体製造システムの説明図である。
【図18】他の実施の形態のホログラムマスター製造装置のブロック図である。
【図19】他の実施の形態のコンテンツデータの記録単位としてのデータブロックの説明図である。
【図20】他の実施の形態のホログラムへのコンテンツデータ記録の説明図である。
【図21】他の実施の形態のホログラムメモリの再生像の説明図である。
【符号の説明】
【0125】
1 ホログラムメモリ、2 コンテンツ提供媒体製造システム、3 ポスター、4 書籍、5 パッケージメディア、6 コンテンツ使用管理システム、7 ユーザー機器、14 制御用コンピュータ、15、ホログラフィックステレオグラムプリンタ装置、30 ホログラム材料、31 管理サーバ、50 ホログラム再生装置、53 撮像レンズ系、54 発光素子、55 イメージャ、61 システムコントローラ、66 外部インターフェース、71 データ処理部、73 メディアドライブ 76 再生処理部、90 二次記録メディア、91 ホログラムマスターメディア、100 外部機器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダウンロードデータとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体と、
上記コンテンツ提供媒体に設けられた上記ホログラムメモリから上記コンテンツデータを読み出して取得するダウンロード装置と、
を備えたことを特徴とするコンテンツダウンロードシステム。
【請求項2】
さらに、上記ダウンロード装置により取得した上記コンテンツデータの使用を許可する使用管理装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツダウンロードシステム。
【請求項3】
上記コンテンツ提供媒体に設けられた上記ホログラムメモリには、上記コンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリに記録された状態で、人の視覚による認識が可能な画像データが記録されていることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツダウンロードシステム。
【請求項4】
上記ダウンロード装置は、上記コンテンツデータと上記画像データが記録された上記ホログラムメモリに対するデータ読み出しの際に、上記コンテンツデータのみを取得する請求項3に記載のコンテンツダウンロードシステム。
【請求項5】
コンテンツデータをホログラムマスターデータに変換するデータ変換ステップと、
上記ホログラムマスターデータを用いてマスター記録媒体を製造するマスター生成ステップと、
上記マスター記録媒体からホログラムメモリを複製し、該ホログラムメモリを所定のコンテンツ提供媒体に具備させる提供媒体生成ステップと、
を備えることを特徴とするコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項6】
上記データ変換ステップでは、圧縮処理したコンテンツデータを、上記ホログラムマスターデータに変換することを特徴とする請求項5に記載のコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項7】
上記データ変換ステップでは、暗号化処理したコンテンツデータを、上記ホログラムマスターデータに変換することを特徴とする請求項5に記載のコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項8】
上記データ変換ステップでは、ダウンロード対象としてのコンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリ上での視認対象となる画像データを、上記ホログラムマスターデータに変換することを特徴とする請求項5に記載のコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項9】
上記コンテンツ提供媒体は紙媒体である特徴とする請求項5に記載のコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項10】
ダウンロードデータとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体から上記コンテンツデータをダウンロードするダウンロード装置として、
上記コンテンツ提供媒体上の上記ホログラムメモリに対して読み出し参照光を出力する参照光出力手段と、
上記参照光出力手段により上記ホログラムメモリに読み出し参照光を与えた状態で、上記ホログラムメモリに記録されたデータによる再生像を検出する検出手段と、
上記検出手段で検出された再生像から上記コンテンツデータとしてのデータ列を再生する再生処理手段と、
を備えたことを特徴とするダウンロード装置。
【請求項11】
さらに二次記録媒体に対する記録手段を備え、
上記再生処理手段で再生した上記コンテンツデータを、上記記録手段により上記二次記録媒体に記録することを特徴とする請求項10に記載のダウンロード装置。
【請求項12】
さらに、コンテンツデータを再生出力する再生出力手段を備え、
上記二次記録媒体に記録された上記コンテンツデータを、上記再生出力手段で再生出力することを特徴とする請求項11に記載のダウンロード装置。
【請求項13】
上記再生出力手段による上記コンテンツデータの再生出力は、入力される使用許可情報に応じて実行されることを特徴とする請求項12に記載のダウンロード装置。
【請求項14】
さらに、コンテンツデータを外部機器に送信する送信手段を備え、
上記再生処理手段で再生した上記コンテンツデータを、上記送信手段により外部機器に送信することを特徴とする請求項10に記載のダウンロード装置。
【請求項15】
上記送信手段による上記コンテンツデータの送信は、入力される使用許可情報に応じて実行されることを特徴とする請求項14に記載のダウンロード装置。
【請求項16】
さらに、暗号化されたコンテンツデータに対する暗号解読処理を行う暗号解読手段を備えることを特徴とする請求項10に記載のダウンロード装置。
【請求項17】
上記暗号解読手段による暗号解読処理は、入力される使用許可情報を用いて実行されることを特徴とする請求項16に記載のダウンロード装置。
【請求項18】
ダウンロードデータとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体から上記コンテンツデータをダウンロードするダウンロード方法として、
上記コンテンツ提供媒体上の上記ホログラムメモリに対して読み出し参照光を与えた状態で、上記ホログラムメモリに記録されたデータの再生像を検出する検出ステップと、
上記検出ステップで検出された再生像から上記コンテンツデータとしてのデータ列を再生する再生処理ステップと、
を備えたことを特徴とするダウンロード方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信データとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体と、
上記コンテンツ提供媒体に設けられた上記ホログラムメモリから上記コンテンツデータを読み出して取得するコンテンツ取得装置と、
を備えたことを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項2】
配信される上記コンテンツデータの使用には使用許可を必要とし、
上記コンテンツデータの使用許可情報を配信する使用許可配信装置を更に備え、
上記コンテンツ取得装置は、上記使用許可配信装置と接続する接続手段を更に備え、上記コンテンツデータの再生前に上記使用許可配信装置から上記コンテンツデータの使用許可情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項3】
上記コンテンツ提供媒体に設けられた上記ホログラムメモリには、上記コンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリに記録された状態で、人の視覚による認識が可能な画像データが記録されていることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項4】
上記コンテンツ取得装置は、上記コンテンツデータと上記画像データが記録された上記ホログラムメモリに対するデータ読み出しの際に、上記コンテンツデータのみを取得する請求項3に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項5】
コンテンツデータをホログラムマスターデータに変換するデータ変換ステップと、
上記ホログラムマスターデータを用いてマスター記録媒体を製造するマスター生成ステップと、
上記マスター記録媒体からホログラムメモリを複製し、該ホログラムメモリを所定のコンテンツ提供媒体に具備させる提供媒体生成ステップと、
を備えることを特徴とするコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項6】
上記データ変換ステップでは、圧縮処理したコンテンツデータを、上記ホログラムマスターデータに変換することを特徴とする請求項5に記載のコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項7】
上記データ変換ステップでは、暗号化処理したコンテンツデータを、上記ホログラムマスターデータに変換することを特徴とする請求項5に記載のコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項8】
上記データ変換ステップでは、配信対象としてのコンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリ上での人による内容認識が可能な視認対象となる画像データを、上記ホログラムマスターデータに変換することを特徴とする請求項5に記載のコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項9】
上記コンテンツ提供媒体は紙媒体である特徴とする請求項5に記載のコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項10】
配信データとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体から上記コンテンツデータを取得するコンテンツ取得装置として、
上記コンテンツ提供媒体上の上記ホログラムメモリに対して読み出し参照光を出力する参照光出力手段と、
上記参照光出力手段により上記ホログラムメモリに読み出し参照光を与えた状態で、上記ホログラムメモリに記録されたデータによる再生像を検出する検出手段と、
上記検出手段で検出された再生像から上記コンテンツデータとしてのデータ列を再生する再生処理手段と、
を備えたことを特徴とするコンテンツ取得装置。
【請求項11】
さらに二次記録媒体に対する記録手段を備え、
上記再生処理手段で再生した上記コンテンツデータを、上記記録手段により上記二次記録媒体に記録することを特徴とする請求項10に記載のコンテンツ取得装置。
【請求項12】
さらに、コンテンツデータを再生出力する再生出力手段を備え、
上記二次記録媒体に記録された上記コンテンツデータを、上記再生出力手段で再生出力することを特徴とする請求項11に記載のコンテンツ取得装置。
【請求項13】
上記再生出力手段による上記コンテンツデータの再生出力は、入力される使用許可情報に応じて実行されることを特徴とする請求項12に記載のコンテンツ取得装置。
【請求項14】
さらに、コンテンツデータを外部機器に送信する送信手段を備え、
上記再生処理手段で再生した上記コンテンツデータを、上記送信手段により外部機器に送信することを特徴とする請求項10に記載のコンテンツ取得装置。
【請求項15】
上記送信手段による上記コンテンツデータの送信は、入力される使用許可情報に応じて実行されることを特徴とする請求項14に記載のコンテンツ取得装置。
【請求項16】
さらに、暗号化されたコンテンツデータに対する暗号解読処理を行う暗号解読手段を備えることを特徴とする請求項10に記載のコンテンツ取得装置。
【請求項17】
上記暗号解読手段による暗号解読処理は、入力される使用許可情報を用いて実行されることを特徴とする請求項16に記載のコンテンツ取得装置。
【請求項18】
配信データとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体から上記コンテンツデータを取得するコンテンツ取得方法として、
上記コンテンツ提供媒体上の上記ホログラムメモリに対して読み出し参照光を与えた状態で、上記ホログラムメモリに記録されたデータの再生像を検出する検出ステップと、
上記検出ステップで検出された再生像から上記コンテンツデータとしてのデータ列を再生する再生処理ステップと、
を備えたことを特徴とするコンテンツ取得方法。
【請求項1】
ダウンロードデータとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体と、
上記コンテンツ提供媒体に設けられた上記ホログラムメモリから上記コンテンツデータを読み出して取得するダウンロード装置と、
を備えたことを特徴とするコンテンツダウンロードシステム。
【請求項2】
さらに、上記ダウンロード装置により取得した上記コンテンツデータの使用を許可する使用管理装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツダウンロードシステム。
【請求項3】
上記コンテンツ提供媒体に設けられた上記ホログラムメモリには、上記コンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリに記録された状態で、人の視覚による認識が可能な画像データが記録されていることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツダウンロードシステム。
【請求項4】
上記ダウンロード装置は、上記コンテンツデータと上記画像データが記録された上記ホログラムメモリに対するデータ読み出しの際に、上記コンテンツデータのみを取得する請求項3に記載のコンテンツダウンロードシステム。
【請求項5】
コンテンツデータをホログラムマスターデータに変換するデータ変換ステップと、
上記ホログラムマスターデータを用いてマスター記録媒体を製造するマスター生成ステップと、
上記マスター記録媒体からホログラムメモリを複製し、該ホログラムメモリを所定のコンテンツ提供媒体に具備させる提供媒体生成ステップと、
を備えることを特徴とするコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項6】
上記データ変換ステップでは、圧縮処理したコンテンツデータを、上記ホログラムマスターデータに変換することを特徴とする請求項5に記載のコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項7】
上記データ変換ステップでは、暗号化処理したコンテンツデータを、上記ホログラムマスターデータに変換することを特徴とする請求項5に記載のコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項8】
上記データ変換ステップでは、ダウンロード対象としてのコンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリ上での視認対象となる画像データを、上記ホログラムマスターデータに変換することを特徴とする請求項5に記載のコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項9】
上記コンテンツ提供媒体は紙媒体である特徴とする請求項5に記載のコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項10】
ダウンロードデータとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体から上記コンテンツデータをダウンロードするダウンロード装置として、
上記コンテンツ提供媒体上の上記ホログラムメモリに対して読み出し参照光を出力する参照光出力手段と、
上記参照光出力手段により上記ホログラムメモリに読み出し参照光を与えた状態で、上記ホログラムメモリに記録されたデータによる再生像を検出する検出手段と、
上記検出手段で検出された再生像から上記コンテンツデータとしてのデータ列を再生する再生処理手段と、
を備えたことを特徴とするダウンロード装置。
【請求項11】
さらに二次記録媒体に対する記録手段を備え、
上記再生処理手段で再生した上記コンテンツデータを、上記記録手段により上記二次記録媒体に記録することを特徴とする請求項10に記載のダウンロード装置。
【請求項12】
さらに、コンテンツデータを再生出力する再生出力手段を備え、
上記二次記録媒体に記録された上記コンテンツデータを、上記再生出力手段で再生出力することを特徴とする請求項11に記載のダウンロード装置。
【請求項13】
上記再生出力手段による上記コンテンツデータの再生出力は、入力される使用許可情報に応じて実行されることを特徴とする請求項12に記載のダウンロード装置。
【請求項14】
さらに、コンテンツデータを外部機器に送信する送信手段を備え、
上記再生処理手段で再生した上記コンテンツデータを、上記送信手段により外部機器に送信することを特徴とする請求項10に記載のダウンロード装置。
【請求項15】
上記送信手段による上記コンテンツデータの送信は、入力される使用許可情報に応じて実行されることを特徴とする請求項14に記載のダウンロード装置。
【請求項16】
さらに、暗号化されたコンテンツデータに対する暗号解読処理を行う暗号解読手段を備えることを特徴とする請求項10に記載のダウンロード装置。
【請求項17】
上記暗号解読手段による暗号解読処理は、入力される使用許可情報を用いて実行されることを特徴とする請求項16に記載のダウンロード装置。
【請求項18】
ダウンロードデータとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体から上記コンテンツデータをダウンロードするダウンロード方法として、
上記コンテンツ提供媒体上の上記ホログラムメモリに対して読み出し参照光を与えた状態で、上記ホログラムメモリに記録されたデータの再生像を検出する検出ステップと、
上記検出ステップで検出された再生像から上記コンテンツデータとしてのデータ列を再生する再生処理ステップと、
を備えたことを特徴とするダウンロード方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信データとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体と、
上記コンテンツ提供媒体に設けられた上記ホログラムメモリから上記コンテンツデータを読み出して取得するコンテンツ取得装置と、
を備えたことを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項2】
配信される上記コンテンツデータの使用には使用許可を必要とし、
上記コンテンツデータの使用許可情報を配信する使用許可配信装置を更に備え、
上記コンテンツ取得装置は、上記使用許可配信装置と接続する接続手段を更に備え、上記コンテンツデータの再生前に上記使用許可配信装置から上記コンテンツデータの使用許可情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項3】
上記コンテンツ提供媒体に設けられた上記ホログラムメモリには、上記コンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリに記録された状態で、人の視覚による認識が可能な画像データが記録されていることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項4】
上記コンテンツ取得装置は、上記コンテンツデータと上記画像データが記録された上記ホログラムメモリに対するデータ読み出しの際に、上記コンテンツデータのみを取得する請求項3に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項5】
コンテンツデータをホログラムマスターデータに変換するデータ変換ステップと、
上記ホログラムマスターデータを用いてマスター記録媒体を製造するマスター生成ステップと、
上記マスター記録媒体からホログラムメモリを複製し、該ホログラムメモリを所定のコンテンツ提供媒体に具備させる提供媒体生成ステップと、
を備えることを特徴とするコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項6】
上記データ変換ステップでは、圧縮処理したコンテンツデータを、上記ホログラムマスターデータに変換することを特徴とする請求項5に記載のコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項7】
上記データ変換ステップでは、暗号化処理したコンテンツデータを、上記ホログラムマスターデータに変換することを特徴とする請求項5に記載のコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項8】
上記データ変換ステップでは、配信対象としてのコンテンツデータに加えて、上記ホログラムメモリ上での人による内容認識が可能な視認対象となる画像データを、上記ホログラムマスターデータに変換することを特徴とする請求項5に記載のコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項9】
上記コンテンツ提供媒体は紙媒体である特徴とする請求項5に記載のコンテンツ提供媒体製造方法。
【請求項10】
配信データとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体から上記コンテンツデータを取得するコンテンツ取得装置として、
上記コンテンツ提供媒体上の上記ホログラムメモリに対して読み出し参照光を出力する参照光出力手段と、
上記参照光出力手段により上記ホログラムメモリに読み出し参照光を与えた状態で、上記ホログラムメモリに記録されたデータによる再生像を検出する検出手段と、
上記検出手段で検出された再生像から上記コンテンツデータとしてのデータ列を再生する再生処理手段と、
を備えたことを特徴とするコンテンツ取得装置。
【請求項11】
さらに二次記録媒体に対する記録手段を備え、
上記再生処理手段で再生した上記コンテンツデータを、上記記録手段により上記二次記録媒体に記録することを特徴とする請求項10に記載のコンテンツ取得装置。
【請求項12】
さらに、コンテンツデータを再生出力する再生出力手段を備え、
上記二次記録媒体に記録された上記コンテンツデータを、上記再生出力手段で再生出力することを特徴とする請求項11に記載のコンテンツ取得装置。
【請求項13】
上記再生出力手段による上記コンテンツデータの再生出力は、入力される使用許可情報に応じて実行されることを特徴とする請求項12に記載のコンテンツ取得装置。
【請求項14】
さらに、コンテンツデータを外部機器に送信する送信手段を備え、
上記再生処理手段で再生した上記コンテンツデータを、上記送信手段により外部機器に送信することを特徴とする請求項10に記載のコンテンツ取得装置。
【請求項15】
上記送信手段による上記コンテンツデータの送信は、入力される使用許可情報に応じて実行されることを特徴とする請求項14に記載のコンテンツ取得装置。
【請求項16】
さらに、暗号化されたコンテンツデータに対する暗号解読処理を行う暗号解読手段を備えることを特徴とする請求項10に記載のコンテンツ取得装置。
【請求項17】
上記暗号解読手段による暗号解読処理は、入力される使用許可情報を用いて実行されることを特徴とする請求項16に記載のコンテンツ取得装置。
【請求項18】
配信データとしてコンテンツデータが記録されたホログラムメモリを有するコンテンツ提供媒体から上記コンテンツデータを取得するコンテンツ取得方法として、
上記コンテンツ提供媒体上の上記ホログラムメモリに対して読み出し参照光を与えた状態で、上記ホログラムメモリに記録されたデータの再生像を検出する検出ステップと、
上記検出ステップで検出された再生像から上記コンテンツデータとしてのデータ列を再生する再生処理ステップと、
を備えたことを特徴とするコンテンツ取得方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2006−293667(P2006−293667A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−113198(P2005−113198)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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